JP2004003068A - 繊維材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイナスイオンの発生量が十分にある繊維材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介して、マイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(5)上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料によれば、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介して、マイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(5)上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料によれば、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイナスイオン発生体を含む繊維材料、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイナスイオンが多く存在する環境下では、爽やかな感じがするとともに、生体細胞を活性化し、人体に対して好影響を与えるといわれている。そのため、各種マイナスイオン発生体が提案されている。例えば、トルマリンが挙げられる。トルマリンは、自発分極の性質を有し、マイナスイオン発生体として最も知られているものの1つである。
ところが、実際は、ポリエステル繊維などにトルマリンだけを付与したものでは、マイナスイオンをほとんど発生せず、マイナスイオンを発生するように励起する励起剤を併用したり、物理的な作用を与えないとマイナスイオンが発生しないことがわかってきた。
モナズ石、サマルスキー石等のウラン系列、トリウム系列などを含む天然放射性希有元素鉱物から微弱ながらも放射されている放射線が、大気中の分子に衝突したときに、これらの分子から電子が放出され、放出された電子は大気中の分子に吸着して、マイナスイオンが発生していることが知られている。
さらに、これらの鉱物だけではマイナスイオンの発生量が不足しているとして、ジルコンのような遠赤外線を放出するものを併用したり、また、負に帯電するバインダー樹脂や帯電しないバインダー樹脂を用いてマイナスイオン発生体を繊維材料に付与することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなマイナスイオン発生体と励起剤とを併用する方法や、負に帯電、若しくは帯電しないバインダー樹脂を用いて繊維材料に固着させる方法では、マイナスイオンの発生数が十分でなく、近年、繊維材料としての使用量が増加しているポリエステル繊維を含む繊維材料では、特に発生数が少ないという問題を有しており、その改善が望まれている。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、マイナスイオンの発生数が十分にある繊維材料、及びその製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の繊維材料は、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
また、上記バインダー樹脂は、ウレタン樹脂であることが好ましい。
また、上記制電層は、親水性モノマーを原料とする重合体を含むものであることが好ましい。
また、上記布帛は、ポリエステル繊維を含むものであることが好ましい。
また、上記繊維材料は、透湿性および防水性を有するものであることが好ましい。
また、上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料であることが好ましい。
また、上記マイナスイオン発生体として化石サンゴを用いることが好ましい。本発明の繊維材料の製造方法は、ポリエステル繊維を含む布帛に制電層を形成した後、マイナスイオンを含むバインダー樹脂溶液を付与することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維材料は、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生する繊維材料である。このような繊維材料としては、(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介して、マイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(5)(1)〜(4)の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料がある。
【0007】
(形態例1)
本発明の繊維材料の一形態例としては、(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
布帛としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維を含む織物、編物、不織布、フィルム等が挙げられる。また、布帛は、必要に応じて、精練・リラックス、減量、マーセライズ、染色、捺染、撥水、カレンダー処理、透湿性防水樹脂皮膜付与、防炎加工、抗菌(制菌)加工等の加工を施される。
マイナスイオン発生体としては、ウラン系列、トリウム系列などを含む天然放射性希有元素鉱物、例えば、モナズ石、サマルスキー石、チルケライト、ホルマライト、マグネタイト、アクマタイト、ピスタイト、コルンブ石、チタン磁鉄鉱、ガドリン石、カツレン石などが挙げられる。
また、自己分極を有するマイナスイオン発生体として、トルマリン、ロッシェル塩、硫酸グリシン、燐酸カリウム、BaTiO3、KTaO3などが挙げられる。
また、マイナスイオン発生体として化石サンゴを用いることもできる。なお、本発明における化石サンゴとは、死んだサンゴ、死んだサンゴ及びサンゴと同様に石灰質の骨格や殻をつくる石灰藻、有孔虫、貝などが死んだ後、石灰質の骨や殻が固まって、それが長い間積み重なって作られたサンゴ礁、前記のものが地殻変動で埋没または自然風化して、海底で堆積し隆起したと推定されるものなどをいう。
これらのマイナスイオン発生体は混合して使用してもよく、また、ジルコン、アルミナ、シリカ等の赤外線放射物質と混合したものであってもよい。
また、マイナスイオン発生体の粒子径としては、0.001μm〜50μm程度であるとよい。
【0008】
本発明の繊維材料において、上記マイナスイオン発生体は、バインダー樹脂を介し布帛の少なくとも片面に固着される。本形態例の繊維材料に使用されるバインダー樹脂としては、布帛の種類により正、負どちらに帯電するかは異なるため適宜選択する必要はあるが、アミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などやCMC、でんぷんなどの糊剤などが用いられる。その中でも、布帛の素材によらず安定して正に帯電し、かつ得られる繊維材料の風合い、洗濯耐久性の観点より特にウレタン樹脂が好ましい。
また、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料は、後述する形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0009】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、上述したように、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法を用いる。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜して、バインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液の調製方法としては、任意の方法で調製することができるが、例えば、モナズ石、サマルスキー石などのマイナスイオン発生体を高粘度のバインダー樹脂の中に添加し、ボールミル等を用い分散した後、粘度調整のため溶媒で希釈を行ったり、また、マイナスイオン発生体を溶媒中に分散させ攪拌しながらバインダー樹脂中に添加して、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を調整する方法などが挙げられる。この際、ウレタン樹脂等のバインダー樹脂は、水または分散剤などを含む水系、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエンなどの溶剤系の溶媒に溶解したものでもよい。
このように調製されたマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液は、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対して付与される。付与する方法としては、パディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法が挙げられる。この際、バインダー樹脂溶液中に必要に応じ、架橋剤、顔料、酸化防止剤、界面活性剤などを添加しても良い。
【0010】
バインダー樹脂溶液を布帛に付与した後、乾式製膜法により製膜する場合は、バインダー樹脂のタイプに応じ冷却を行ったり、または、40℃〜180℃で乾燥して、必要に応じて、更に熱処理やエージング処理を行う。また、製膜した後、さらに、必要に応じ撥水加工、制電加工等を行っても良い。
また、バインダー樹脂溶液を布帛に付与した後、湿式製膜法により製膜する場合には、水や溶剤を含む水溶液の中に浸漬し、凝固させ、製膜し、脱溶媒、乾燥を行い、繊維材料を得ることができる。また、撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
本形態例の繊維材料においては、布帛として、特にレーヨン、毛、綿などの素材を用いたときに、制電層を形成しなくてもマイナスイオンを多く発生させることができる。
【0011】
(形態例2)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
本形態例における繊維材料の布帛は、布帛本体と、該布帛本体の表面に形成された制電層とからなるものである。布帛本体としては、上述の形態例1の布帛と同じものが適用される。特に、負の静電気を帯び易いポリエステル繊維を含む布帛本体の場合、制電層を有しているとよい。
布帛本体の表面に形成される制電層として、親水性モノマーを原料とする重合体を形成したものが挙げられ、親水性モノマーの(共)重合体、好ましくは親水性のモノマーを、布帛本体を構成する素材に対しグラフト共重合させたものが好ましい。
上記親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、分子量100〜5000程度のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を有するジビニルモノマーが好ましく用いられ、特に好ましくはポリエチレンオキシドを有するものがよい。また、これらの親水性モノマーは、混合して使用しても良い。また、これらに加え、シルクフィブロインやシルクセリシン、吸湿性アクリル系粒子など他の親水性化合物を併用してもよい。
更に、他の好ましい例として、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を有する樹脂、例えば、ポリエチレンオキシド基をもつポリエステル樹脂皮膜層が挙げられる。このような制電層は、制電性は一般的な帯電防止剤に比べると劣るものの、優れたマイナスイオン発生性能を有する。
他の制電層としては、第4級アンモニウム塩カチオン界面活性剤などの界面活性剤層、制電性を有するウレタン樹脂皮膜層、金属皮膜層などが挙げられる。
【0012】
本形態例のマイナスイオン発生体としては、上述した形態例1の繊維材料のものと同じものが適用される。
本形態例の繊維材料に用いられるバインダー樹脂としては、制電層を有する布帛を用いる場合は、特に限定されるものではなく、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂などや、CMC、でんぷんなどの糊剤等が挙げられる。その中でも、上記形態例1と同様の理由によりウレタン樹脂が好ましい。また、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料は、後述する形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0013】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与し、制電層を有する布帛にして、その布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法がある。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜してバインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
制電層をなす樹脂溶液としては、親水性モノマーを原料とする重合体を水などの溶媒で溶解または分散させたものを用いることができる。また、その中に、アジリジン系、イミン系などの架橋剤や過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロントリル、タンシャリーブチルパーオキシドなどの重合開始剤、界面活性剤を添加してもよい。
上記制電層を形成する方法としては、特に制限されず、布帛本体に対して、界面活性剤を付与して界面活性剤層を形成する方法や、制電性を有するウレタン樹脂などを布帛本体に付与し、熱処理することにより架橋反応させ皮膜を形成させる方法、また、金属などを蒸着などのメッキ法により導電性皮膜を形成する方法等が挙げられる。
【0014】
しかし、上記の方法により制電層を形成することはできるものの、洗濯耐久性、堅牢度、ファッション性、及びマイナスイオンの発生量といった観点から、親水性モノマーを布帛本体上で重合させ布帛本体の素材(ポリエステルなど)とのグラフト重合による皮膜および/または布帛本体上の親水性モノマーによる重合皮膜により得られた制電層が特に好ましい。このように制電層を形成する方法としては、例えば、精練等を行った布帛本体に、浸漬法により親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与して、重合する方法が挙げられる。また、上記以外の方法としては、精練等を行った布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液をパディング法、グラビア転写法、コーティング法にて付与した後、湿熱法、乾熱法、マイクロウエーブ、紫外線、放射線などを用いた電磁波照射などにより重合する方法が挙げられる。そして、重合反応が完了したのち、必要に応じ、洗浄、乾燥する。
また、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂層の付与方法としては、水に分散されたエマルジョンタイプのポリエステル樹脂をパディング法や吸尽法にて布帛本体を構成する繊維上に制電層を形成することができる。
次に、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を制電層の表面に付与する。マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液としては、上述した形態例1と同様のものが適用され、それをパディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法によって布帛に付与する。その後、乾式製膜法や湿式製膜法など上述した方法で製膜することができる。また、それに対して撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
このように、布帛本体、特にポリエステル繊維を含む布帛本体に、制電層を形成した後、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する繊維材料の製造方法によれば、マイナスイオンを十分に発生することができる繊維材料を得ることができる。
【0015】
(形態例3)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料が挙げられる。好ましくは、バインダー樹脂層の厚みは5μm以上の厚みを有するとよい。
マイナスイオン発生体がバインダー樹脂を介して布帛に固着する際、マイナスイオン発生体がバインダー樹脂に埋没してしまうと、マイナスイオンの発生数が減少することが予想されるため、通気性のある樹脂をバインダー樹脂として用いる必要性があると考えられるが、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層が1μm以上の厚みを有すると、通気性の有無にかかわらず、制電層がない布帛、また正に帯電しないバインダー樹脂であっても、マイナスイオンを十分に発生できることから、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みは1μm以上とする。
本形態例の繊維材料に用いられる布帛及びマイナスイオン発生体としては、上述した形態例1の繊維材料のものと同じものが適用される。また、本形態例の繊維材料に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限されるものではなく、上述した形態例2の繊維材料に用いられるバインダー樹脂と同じものが適用される。その中でも、上記と同じ理由によりウレタン樹脂が特に好ましい。
上述したように、マイナスイオン発生体がバインダー樹脂に埋没してしまうと、マイナスイオン発生数が減少することが予想され、通気性のある樹脂をバインダー樹脂として用いる必要性があると考えられる。それから考えれば、通気性を有しているバインダー樹脂を用いると防水性がなくなり、防水性が要求される用途では使用できないこととなる。
しかし、本発明では、通気性がなく防水性を有しているバインダー樹脂であっても、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上あれば、マイナスイオンが十分に発生し、透湿性を有していれば更に好ましい。
透湿性および防水性を有するバインダー樹脂を用いてバインダー樹脂層を形成したところ、優れたマイナスイオン発生数を示した。具体的には、そのバインダー樹脂層を用いて得られた繊維材料の透湿性は、JIS L 1099 塩化カルシウム法での測定値で2000g/m2・24hrs以上または酢酸カリウム法での測定値で5000g/m2・24hrs以上あるとよい。特に好ましくは酢酸カリウム法での測定値で15000g/m2・24hrs以上あるとよい。そして、繊維材料がこのような性質を出すためには、バインダー樹脂がポリエチレンオキシド等を有する親水性のポリウレタンであることが好ましい。
【0016】
また、防水性のレベル(耐水圧)は任意レベルで対応可能であり、たとえばJIS L1092での測定値(低水圧法または高水圧法)で500mmから数万mmのものであっても、マイナスイオンを多量に発生させることができる。バインダー樹脂層は、無孔質膜、多孔質膜など特に限定されるものではない。
また、透湿性と防水性のバランスから言えば、透湿性が塩化カルシウム法での測定値2000g/m2・24hrs以上、または酢酸カリウム法での測定値で5000g/m2・24hrs以上であり、かつ耐水圧は500mm以上あるとよいが、より過酷な条件下で使用されるときこそ、マイナスイオンの効果が望まれるので、酢酸カリウム法での測定値で15000g/m2・24hrs以上、耐水圧20000mm以上が特によい。
このように、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層が1μm以上の厚みを有すると、その通気性の有無にかかわらず、制電層がない布帛、また正に帯電しないバインダー樹脂であっても、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0017】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与し、それを製膜して、1μm以上の厚みを有するバインダー樹脂層を形成する方法がある。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液としては、上述した形態例1の繊維材料と同様のものが適用され、それをパディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法によって布帛に付与される。本形態例は、バインダー樹脂層を1μm以上とするので、上記付与方法の中でも、特に、コーティング法またはラミネート法を用いるのが好ましい。
また、バインダー樹脂溶液を付与した後、乾式製膜法や湿式製膜法など上述した方法で製膜することができる。また、それに対して撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
【0018】
(形態例4)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
ここで、本形態例の繊維材料の布帛は、形態例2の繊維材料と同様に、布帛本体と制電層からなるものである。そして、本形態例の繊維材料の布帛本体としては、上述した形態例1の繊維材料の布帛と同じものが適用され、本形態例の繊維材料の制電層としては、上述した形態例2の繊維材料の制電層と同じものが適用される。
また、本形態例の繊維材料で用いられるマイナスイオン発生体、及び正に帯電するバインダー樹脂としては、上述した形態例1の繊維材料と同じものが適用される。また、バインダー樹脂においては、上記形態例1と同様の理由によりウレタン樹脂が特に好ましい。また、バインダー樹脂層の厚さが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料が、上記形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0019】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与し制電層を有する布帛にして、その布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法がある。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜して、バインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
制電層をなす樹脂溶液、及び制電層を形成する方法としては、上述した形態例2の繊維材料と同様のものが適用される。
次に、制電層の表面にマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する。バインダー樹脂溶液としては、形態例1の繊維材料と同様のものが適用され、その付与方法としては、パディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法が用いられる。マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与した後、乾式製膜法や湿式製膜法など先に述べた方法で製膜することができ、上記と同様に撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
【0020】
(形態例5)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(5)上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料が挙げられる。
上記スリット糸としては、上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットして得られるものであれば、特に制限はないが、布帛又は布帛本体としてフィルムを用いたものが好ましい。布帛又は布帛本体としてフィルムを用いた繊維材料は、スリット性が良好であるため、繊維材料をスリット糸とする際に、糸くずの発生等の問題がなく作業性に優れている。
また、スリット糸としては、スリット時のスリット幅が0.1〜10mm程度のものが好ましい。
また、スリット糸は、そのまま用いてもよいし、撚糸としてもよい。また、他の繊維と混紡、混繊してもよく、例えば、スリット糸と他の繊維により芯鞘構造にして、カバーリングや、たすきがけ状などの他の繊維と複合した糸とすることができる。ここで、他の繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維などを挙げることができ、特に限定されるものではない。なお、上述したように、スリット糸と他の繊維により芯鞘構造にする場合、どちらを芯糸、鞘糸にしてもよいが、マイナスイオン発生量からスリット糸を鞘糸とすることが好ましい。
また、マイナスイオン発生体は、布帛と布帛の間に挟まれた構造のものであってもよい。
このように、上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0021】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例のスリット糸を含む繊維材料は、スリット糸や他の繊維と複合した糸を用いて、織物、編物、不織布などを形成することによって得られる。この際、織物、編物、不織布などを構成する全ての糸に、スリット糸や他の繊維と複合した糸を用いてもよいが、他の糸と混ぜて織物、編物、不織布などを形成してもよい。例えば、縦糸としてスリット糸、及び他の繊維と複合した糸を用い、横糸として他の糸を用いた織物や、編糸の一部にスリット糸、他の繊維と複合した糸を用いた編物など、用途や求められる性能に応じて、適宜、糸を組み合わせればよい。
ただし、スリット糸、又は他の繊維と複合した糸を他の糸と組み合わせて使用する場合は、例えば、染色等の後工程において不具合が生じないように考慮することが好ましい。例えば、バインダー樹脂にウレタン樹脂を用いた繊維材料から得られるスリット糸、他の糸としてナイロンを用いる場合には、酸性染料可染型ウレタン樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、他の糸と共にバインダー樹脂を染色できるようにしたり、バインダー樹脂にアクリル樹脂やウレタン樹脂を用いた繊維材料から得られるスリット糸、他の糸としてポリエステル繊維を用いる場合には、バインダー樹脂への分散染料の汚染を防止するため、特開平2−216262号公報に記載の分散染料を補足する酸化ケイ素などの吸着剤や、特開昭60−45686号公報に記載の分散染料のバインダー樹脂への親和性を低下させる酸化ケイ素などの物質を添加させたり、他の公知の汚染防止処理を施すことが好ましい。
ここで、他の糸とは、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維などから製造され、スリット糸を含まないものをいう。
【0022】
以上説明したように、本発明の繊維材料(形態例1〜5)は、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生することができるため、カーテン、壁紙、カーペット、タオルの他に、布団カバー、枕カバー、シーツ等の寝具類、肌着、Yシャツ、靴下等の衣類といった種々の繊維製品に好適に用いられる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に従い詳細に本発明の繊維素材を説明する。実施例中の「部」は質量部を意味する。なお、実施例に記載の測定結果は下記の方法により測定を行った。
【0024】
イオン発生数の評価方法:
イオン測定器としてIC−1000(有限会社ユニバーサル企画)を用い、試料をA4サイズに切り取り、A4サイズの台紙に貼り付け(マイナスイオン発生体が布帛の片面にのみ付与されている場合は、付与面が外気に触れるように台紙に貼り付ける)、これを角柱状にし、イオン測定器の吸入口に取り付けマイナスのレンジにて測定を行った。また、試料となる角柱は、その長辺が柱の外周となるように作製した。この測定の結果は、後述する洗濯耐久性の評価と区別するため、表1、表2においては初期の欄に記した。
また、表中において、発生したイオンの記載については、マイナスイオンが発生した場合は−とし、続いてマイナスイオン発生数の測定値を記した。逆にプラスイオンが発生した場合は+とし、続いてプラスイオン発生数の測定値を記した。
【0025】
洗濯耐久性の評価方法:
JIS L0217 103法に準じて洗濯を10回行った後、上記マイナスイオン発生数の評価方法により、イオン発生数を測定した。
尚、洗濯耐久性については、実施例4を除く実施例で得られた繊維材料について調べた。
【0026】
バインダー樹脂の帯電性の評価方法:
JIS L 1094に記載の摩擦耐電圧測定器を用い、増幅器の波形よりバインダー樹脂がプラスを帯びているか、マイナスを帯びているかをみた。摩擦布には、測定する繊維材料に用いられている布帛の素材と同一のJIS L0803に記載の単一繊維布(I)を用い、試験片として得られた繊維材料を用いた。ただし、得られた繊維材料の片面のみにマイナスイオン発生体及びバインダー樹脂が付与されている場合には、この付与された面と摩擦布がこすられるよう試験機に試験片を取り付けた。
【0027】
透湿性の評価方法:
JIS L1099 酢酸カリウム法および塩化カルシウム法に準拠して評価した。ただし、単位を24時間に換算して記した。また、表1及び表2の記載は、上段が酢酸カリウム法で、下段が塩化カルシウム法による測定値を示す。
尚、透湿性については、実施例1、実施例7で得られた繊維材料について調べた。
【0028】
耐水圧の評価方法:
JIS L1092 低水圧法または高水圧法に準拠して評価した。水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(密度たてとよこの合計が210本/2.54cm程度のもの)などを重ねて試験機に取り付け測定を行った。ただし、高水圧法にて測定したものの単位は、低水圧法の測定値と比較しやすくするため、9.8kPa=水柱1000mmとして換算して記した。尚、耐水圧については、実施例1、実施例7、実施例9で得られた繊維材料について調べた。
【0029】
(実施例1)
ポリエステルタフタ(たて密度117本/2.54cm、よこ密度88本/2.54cm、たて糸、よこ糸とも78デシテックス/68フィラメント)を精練し、分散染料でネビーに染色し、撥水剤(「アサヒガードAG710」、旭硝子(株)製)の5%水溶液を用いて撥水加工を行ったものを布帛として使用した。次に、離型紙上に、ポリエチレンオキシド基を有する親水性のある透湿性ポリウレタン樹脂(固形分30%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン50部、ジルコン3部、モナズ石2部、顔料5部からなるバインダー樹脂溶液(i)を塗布、乾燥し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得た。バインダー樹脂層中のジルコンとモナズ石の合計量は1.5g/m2であった。
次に、得られたバインダー樹脂層の上に、水膨潤性ウレタン樹脂(固形分50%)100部、トルエン30部、架橋剤9部、触媒0.5部からなる水膨潤性のある樹脂溶液(ii)を0.1mmの厚みで塗布、乾燥し、それを布帛と貼り合わせ、熱ロールで熱圧着した。
更に、フッ素系撥水剤(「アサヒガードAG5690」、旭硝子(株)製)を用いて撥水処理を行い、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂溶液(i)および樹脂溶液(ii)から形成されるバインダー樹脂層の厚さは30μmとした。得られた繊維材料の各種性能を表1に記した。
【0030】
(実施例2)
ポリエステルポンジ(たて密度97本/2.54cm、よこ密度83本/2.54cm、たて糸83デシテックス/36フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント)を精練、減量加工をおこない、分散染料にてグリーンに染色した。
次に、ポリエチレンオキシド基を有するジビニルモノマー(分子量1500)4部、アクリル酸1部、イミン系架橋剤0.1部、過硫酸アンモニウム0.1部、触媒0.01部、水94.8部からなる樹脂溶液を用い、湿熱処理により、布帛であるポリエステルポンジの両面に制電層を形成した。
それを洗浄後、その両面にウレタン樹脂(固形分50%)3部、サマルスキー石水分散液(固形分15%)20部、水77部からなるバインダー樹脂溶液をパディング法にて付与し、乾燥、熱処理を行った。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は2.0g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0031】
(実施例3)
一次帯電防止剤(「ナイスポールFL」、日華化学製)1部、水99部からなる樹脂溶液を用いて制電層を付与すること、その樹脂溶液を布帛に付与する方法としてパディング法を用い、乾燥、熱処理を行った工程以外は、実施例2と同様にして繊維材料を得た。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0032】
(実施例4)
制電層を設けなかった以外は、実施例2と同様にし、繊維材料を得た。得られた繊維材料のイオン発生数および帯電性を表1に記した。
【0033】
(実施例5)
ポリエステルサテン(目付け250g/m2、たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸166デシテックス/2/32フィラメント)の平織物を精練した後、分散染料で染色するのと同時に、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂のエマルジョンを織物に対して2%owfで吸尽法(130℃:液流染色機)にて付与した。
次いで、実施例2に記載のマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液をグラビア転写法にて布帛の片面に付与し、繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は0.45g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0034】
(実施例6)
ポリエステル/綿=65/35(たて密度94本/2.54cm、よこ密度73本/2.54cm)の平織物を精練した後、分散染料で染色するのと同時に、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂のエマルジョンを織物に対して2%owfで吸尽法(130℃:液流染色機)にて付与した。
次いで、実施例2に記載のマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液をグラビア転写法にて布帛の片面に付与し、繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は0.45g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例7)
ポリエステルポンジ(たて密度96本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸78デシテックス/36フィラメント、よこ糸78デシテックス/72フィラメント)を精練し、分散染料でベージュに染色したものを布帛として使用した。
次に、離型紙上に、ポリエチレンオキシド基を有する親水性のある透湿性ポリウレタン樹脂(固形分30%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン40部、ジメチルホルムアミド10部、化石サンゴ粉5部からなるバインダー樹脂溶液(iii)を0.1〜0.12mmの厚みで塗布し、乾燥して、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得た。バインダー樹脂層中の化石サンゴの付与量は3.0g/m2であった。
次に、得られたバインダー樹脂層の上に、水膨潤性ウレタン樹脂(固形分50%)100部、トルエン30部、架橋剤9部、触媒0.5部からなる水膨潤性のある樹脂溶液(iv)を0.1mmの厚みで塗布、乾燥し、それを布帛と貼り合わせ、熱ロールで熱圧着した。
更に、フッ素系撥水剤(「アサヒガードAG5690」、旭硝子(株)製)を用いて撥水処理を行い、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂溶液(iii)および樹脂溶液(iv)から形成されるバインダー樹脂層の厚さは30μmとした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に記した。
【0037】
(実施例8)
ポリエステルポンジ(たて密度97本/2.54cm、よこ密度83本/2.54cm、たて糸83デシテックス/36フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント)を精練、減量加工をおこない、分散染料にてグリーンに染色した。
次に、ポリエチレンオキシド基を有するジビニルモノマー(分子量1500)4部、アクリル酸1部、イミン系架橋剤0.1部、過硫酸アンモニウム0.1部、触媒0.01部、水94.8部からなる樹脂溶液を用い、湿熱処理により、布帛であるポリエステルポンジの両面に制電層を形成した。
それを洗浄後、その両面に、ウレタン樹脂(固形分60部)3部、化石サンゴ水分散液(固形分15部)20部、架橋剤(「レザミンD−52」、大日精化製)0.3部、水71.7部からなるバインダー樹脂溶液をパディング法にて付与し、乾燥、熱処理を行った。なお、バインダー樹脂層中の化石サンゴの付与量は2.0g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に示す。
【0038】
(実施例9)
ポリエステルポンジ(たて密度96本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸78デシテックス/36フィラメント、よこ糸78デシテックス/72フィラメント)を精練し、分散染料でベージュに染色し、撥水剤(「NKガードNDN−7E」、日華化学製)5部、架橋剤(「ベッカミンAPM」、大日本インキ化学工業製)0.2部、触媒(「ユニカカタリストA35」、ユニオン化学製)0.05部、帯電防止剤(「ナイスポールFE26」、日華化学製)を用いて撥水処理を行ったものを布帛とした。
次に、布帛の片面にアクリル樹脂(固形分18%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン10部、化石サンゴ粉5部、シリカ9部、帯電防止剤(「デレクトールRTX」、明成化学製)3部、メラミン樹脂(「MB111」、根上工業製)1部、触媒(「MB2000」、根上工業製)0.5部からなるバインダー樹脂溶液を鈍角刃を用いたフローティング法で塗布、乾燥し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得て、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は1.5g/m2、バインダー樹脂層の厚さは3μmとした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に示す。
【0039】
【表2】
なお、実施例7〜9で得られた繊維材料のイオン発生数の測定は、バインダー樹脂層同士を10秒間に20回揉み、直ちに前記イオン測定器にて行われた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上とした繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
上記バインダー樹脂がウレタン樹脂であれば、透湿性および防水性に優れた繊維材料を得ることができる。
上記制電層が、親水性モノマーを原料とする重合体を含む繊維材料であれば、洗濯耐久性、堅牢度、ファッション性に優れ、かつマイナスイオンを十分に発生することができる。
上記布帛が、ポリエステル繊維を含む繊維材料においても、マイナスイオンを十分に発生することができる。
透湿性および防水性を有する繊維材料であれば、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、マイナスイオン発生体として、化石サンゴは好適に用いられる。
本発明の繊維材料の製造方法は、ポリエステル繊維を含む布帛に制電層を形成した後、マイナスイオンを含むバインダー樹脂溶液を付与する方法であるので、マイナスイオンを十分に発生することができる繊維材料を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイナスイオン発生体を含む繊維材料、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイナスイオンが多く存在する環境下では、爽やかな感じがするとともに、生体細胞を活性化し、人体に対して好影響を与えるといわれている。そのため、各種マイナスイオン発生体が提案されている。例えば、トルマリンが挙げられる。トルマリンは、自発分極の性質を有し、マイナスイオン発生体として最も知られているものの1つである。
ところが、実際は、ポリエステル繊維などにトルマリンだけを付与したものでは、マイナスイオンをほとんど発生せず、マイナスイオンを発生するように励起する励起剤を併用したり、物理的な作用を与えないとマイナスイオンが発生しないことがわかってきた。
モナズ石、サマルスキー石等のウラン系列、トリウム系列などを含む天然放射性希有元素鉱物から微弱ながらも放射されている放射線が、大気中の分子に衝突したときに、これらの分子から電子が放出され、放出された電子は大気中の分子に吸着して、マイナスイオンが発生していることが知られている。
さらに、これらの鉱物だけではマイナスイオンの発生量が不足しているとして、ジルコンのような遠赤外線を放出するものを併用したり、また、負に帯電するバインダー樹脂や帯電しないバインダー樹脂を用いてマイナスイオン発生体を繊維材料に付与することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなマイナスイオン発生体と励起剤とを併用する方法や、負に帯電、若しくは帯電しないバインダー樹脂を用いて繊維材料に固着させる方法では、マイナスイオンの発生数が十分でなく、近年、繊維材料としての使用量が増加しているポリエステル繊維を含む繊維材料では、特に発生数が少ないという問題を有しており、その改善が望まれている。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、マイナスイオンの発生数が十分にある繊維材料、及びその製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の繊維材料は、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることを特徴とする。
本発明の繊維材料は、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする。
また、上記バインダー樹脂は、ウレタン樹脂であることが好ましい。
また、上記制電層は、親水性モノマーを原料とする重合体を含むものであることが好ましい。
また、上記布帛は、ポリエステル繊維を含むものであることが好ましい。
また、上記繊維材料は、透湿性および防水性を有するものであることが好ましい。
また、上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料であることが好ましい。
また、上記マイナスイオン発生体として化石サンゴを用いることが好ましい。本発明の繊維材料の製造方法は、ポリエステル繊維を含む布帛に制電層を形成した後、マイナスイオンを含むバインダー樹脂溶液を付与することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維材料は、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生する繊維材料である。このような繊維材料としては、(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介して、マイナスイオン発生体が固着されている繊維材料、(5)(1)〜(4)の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料がある。
【0007】
(形態例1)
本発明の繊維材料の一形態例としては、(1)布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
布帛としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維を含む織物、編物、不織布、フィルム等が挙げられる。また、布帛は、必要に応じて、精練・リラックス、減量、マーセライズ、染色、捺染、撥水、カレンダー処理、透湿性防水樹脂皮膜付与、防炎加工、抗菌(制菌)加工等の加工を施される。
マイナスイオン発生体としては、ウラン系列、トリウム系列などを含む天然放射性希有元素鉱物、例えば、モナズ石、サマルスキー石、チルケライト、ホルマライト、マグネタイト、アクマタイト、ピスタイト、コルンブ石、チタン磁鉄鉱、ガドリン石、カツレン石などが挙げられる。
また、自己分極を有するマイナスイオン発生体として、トルマリン、ロッシェル塩、硫酸グリシン、燐酸カリウム、BaTiO3、KTaO3などが挙げられる。
また、マイナスイオン発生体として化石サンゴを用いることもできる。なお、本発明における化石サンゴとは、死んだサンゴ、死んだサンゴ及びサンゴと同様に石灰質の骨格や殻をつくる石灰藻、有孔虫、貝などが死んだ後、石灰質の骨や殻が固まって、それが長い間積み重なって作られたサンゴ礁、前記のものが地殻変動で埋没または自然風化して、海底で堆積し隆起したと推定されるものなどをいう。
これらのマイナスイオン発生体は混合して使用してもよく、また、ジルコン、アルミナ、シリカ等の赤外線放射物質と混合したものであってもよい。
また、マイナスイオン発生体の粒子径としては、0.001μm〜50μm程度であるとよい。
【0008】
本発明の繊維材料において、上記マイナスイオン発生体は、バインダー樹脂を介し布帛の少なくとも片面に固着される。本形態例の繊維材料に使用されるバインダー樹脂としては、布帛の種類により正、負どちらに帯電するかは異なるため適宜選択する必要はあるが、アミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂などやCMC、でんぷんなどの糊剤などが用いられる。その中でも、布帛の素材によらず安定して正に帯電し、かつ得られる繊維材料の風合い、洗濯耐久性の観点より特にウレタン樹脂が好ましい。
また、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料は、後述する形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0009】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、上述したように、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法を用いる。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜して、バインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液の調製方法としては、任意の方法で調製することができるが、例えば、モナズ石、サマルスキー石などのマイナスイオン発生体を高粘度のバインダー樹脂の中に添加し、ボールミル等を用い分散した後、粘度調整のため溶媒で希釈を行ったり、また、マイナスイオン発生体を溶媒中に分散させ攪拌しながらバインダー樹脂中に添加して、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を調整する方法などが挙げられる。この際、ウレタン樹脂等のバインダー樹脂は、水または分散剤などを含む水系、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエンなどの溶剤系の溶媒に溶解したものでもよい。
このように調製されたマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液は、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対して付与される。付与する方法としては、パディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法が挙げられる。この際、バインダー樹脂溶液中に必要に応じ、架橋剤、顔料、酸化防止剤、界面活性剤などを添加しても良い。
【0010】
バインダー樹脂溶液を布帛に付与した後、乾式製膜法により製膜する場合は、バインダー樹脂のタイプに応じ冷却を行ったり、または、40℃〜180℃で乾燥して、必要に応じて、更に熱処理やエージング処理を行う。また、製膜した後、さらに、必要に応じ撥水加工、制電加工等を行っても良い。
また、バインダー樹脂溶液を布帛に付与した後、湿式製膜法により製膜する場合には、水や溶剤を含む水溶液の中に浸漬し、凝固させ、製膜し、脱溶媒、乾燥を行い、繊維材料を得ることができる。また、撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
本形態例の繊維材料においては、布帛として、特にレーヨン、毛、綿などの素材を用いたときに、制電層を形成しなくてもマイナスイオンを多く発生させることができる。
【0011】
(形態例2)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(2)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
本形態例における繊維材料の布帛は、布帛本体と、該布帛本体の表面に形成された制電層とからなるものである。布帛本体としては、上述の形態例1の布帛と同じものが適用される。特に、負の静電気を帯び易いポリエステル繊維を含む布帛本体の場合、制電層を有しているとよい。
布帛本体の表面に形成される制電層として、親水性モノマーを原料とする重合体を形成したものが挙げられ、親水性モノマーの(共)重合体、好ましくは親水性のモノマーを、布帛本体を構成する素材に対しグラフト共重合させたものが好ましい。
上記親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、分子量100〜5000程度のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を有するジビニルモノマーが好ましく用いられ、特に好ましくはポリエチレンオキシドを有するものがよい。また、これらの親水性モノマーは、混合して使用しても良い。また、これらに加え、シルクフィブロインやシルクセリシン、吸湿性アクリル系粒子など他の親水性化合物を併用してもよい。
更に、他の好ましい例として、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等を有する樹脂、例えば、ポリエチレンオキシド基をもつポリエステル樹脂皮膜層が挙げられる。このような制電層は、制電性は一般的な帯電防止剤に比べると劣るものの、優れたマイナスイオン発生性能を有する。
他の制電層としては、第4級アンモニウム塩カチオン界面活性剤などの界面活性剤層、制電性を有するウレタン樹脂皮膜層、金属皮膜層などが挙げられる。
【0012】
本形態例のマイナスイオン発生体としては、上述した形態例1の繊維材料のものと同じものが適用される。
本形態例の繊維材料に用いられるバインダー樹脂としては、制電層を有する布帛を用いる場合は、特に限定されるものではなく、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂などや、CMC、でんぷんなどの糊剤等が挙げられる。その中でも、上記形態例1と同様の理由によりウレタン樹脂が好ましい。また、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料は、後述する形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0013】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与し、制電層を有する布帛にして、その布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法がある。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜してバインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
制電層をなす樹脂溶液としては、親水性モノマーを原料とする重合体を水などの溶媒で溶解または分散させたものを用いることができる。また、その中に、アジリジン系、イミン系などの架橋剤や過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロントリル、タンシャリーブチルパーオキシドなどの重合開始剤、界面活性剤を添加してもよい。
上記制電層を形成する方法としては、特に制限されず、布帛本体に対して、界面活性剤を付与して界面活性剤層を形成する方法や、制電性を有するウレタン樹脂などを布帛本体に付与し、熱処理することにより架橋反応させ皮膜を形成させる方法、また、金属などを蒸着などのメッキ法により導電性皮膜を形成する方法等が挙げられる。
【0014】
しかし、上記の方法により制電層を形成することはできるものの、洗濯耐久性、堅牢度、ファッション性、及びマイナスイオンの発生量といった観点から、親水性モノマーを布帛本体上で重合させ布帛本体の素材(ポリエステルなど)とのグラフト重合による皮膜および/または布帛本体上の親水性モノマーによる重合皮膜により得られた制電層が特に好ましい。このように制電層を形成する方法としては、例えば、精練等を行った布帛本体に、浸漬法により親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与して、重合する方法が挙げられる。また、上記以外の方法としては、精練等を行った布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液をパディング法、グラビア転写法、コーティング法にて付与した後、湿熱法、乾熱法、マイクロウエーブ、紫外線、放射線などを用いた電磁波照射などにより重合する方法が挙げられる。そして、重合反応が完了したのち、必要に応じ、洗浄、乾燥する。
また、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂層の付与方法としては、水に分散されたエマルジョンタイプのポリエステル樹脂をパディング法や吸尽法にて布帛本体を構成する繊維上に制電層を形成することができる。
次に、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を制電層の表面に付与する。マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液としては、上述した形態例1と同様のものが適用され、それをパディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法によって布帛に付与する。その後、乾式製膜法や湿式製膜法など上述した方法で製膜することができる。また、それに対して撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
このように、布帛本体、特にポリエステル繊維を含む布帛本体に、制電層を形成した後、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する繊維材料の製造方法によれば、マイナスイオンを十分に発生することができる繊維材料を得ることができる。
【0015】
(形態例3)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(3)布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上である繊維材料が挙げられる。好ましくは、バインダー樹脂層の厚みは5μm以上の厚みを有するとよい。
マイナスイオン発生体がバインダー樹脂を介して布帛に固着する際、マイナスイオン発生体がバインダー樹脂に埋没してしまうと、マイナスイオンの発生数が減少することが予想されるため、通気性のある樹脂をバインダー樹脂として用いる必要性があると考えられるが、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層が1μm以上の厚みを有すると、通気性の有無にかかわらず、制電層がない布帛、また正に帯電しないバインダー樹脂であっても、マイナスイオンを十分に発生できることから、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みは1μm以上とする。
本形態例の繊維材料に用いられる布帛及びマイナスイオン発生体としては、上述した形態例1の繊維材料のものと同じものが適用される。また、本形態例の繊維材料に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限されるものではなく、上述した形態例2の繊維材料に用いられるバインダー樹脂と同じものが適用される。その中でも、上記と同じ理由によりウレタン樹脂が特に好ましい。
上述したように、マイナスイオン発生体がバインダー樹脂に埋没してしまうと、マイナスイオン発生数が減少することが予想され、通気性のある樹脂をバインダー樹脂として用いる必要性があると考えられる。それから考えれば、通気性を有しているバインダー樹脂を用いると防水性がなくなり、防水性が要求される用途では使用できないこととなる。
しかし、本発明では、通気性がなく防水性を有しているバインダー樹脂であっても、バインダー樹脂層の厚みが1μm以上あれば、マイナスイオンが十分に発生し、透湿性を有していれば更に好ましい。
透湿性および防水性を有するバインダー樹脂を用いてバインダー樹脂層を形成したところ、優れたマイナスイオン発生数を示した。具体的には、そのバインダー樹脂層を用いて得られた繊維材料の透湿性は、JIS L 1099 塩化カルシウム法での測定値で2000g/m2・24hrs以上または酢酸カリウム法での測定値で5000g/m2・24hrs以上あるとよい。特に好ましくは酢酸カリウム法での測定値で15000g/m2・24hrs以上あるとよい。そして、繊維材料がこのような性質を出すためには、バインダー樹脂がポリエチレンオキシド等を有する親水性のポリウレタンであることが好ましい。
【0016】
また、防水性のレベル(耐水圧)は任意レベルで対応可能であり、たとえばJIS L1092での測定値(低水圧法または高水圧法)で500mmから数万mmのものであっても、マイナスイオンを多量に発生させることができる。バインダー樹脂層は、無孔質膜、多孔質膜など特に限定されるものではない。
また、透湿性と防水性のバランスから言えば、透湿性が塩化カルシウム法での測定値2000g/m2・24hrs以上、または酢酸カリウム法での測定値で5000g/m2・24hrs以上であり、かつ耐水圧は500mm以上あるとよいが、より過酷な条件下で使用されるときこそ、マイナスイオンの効果が望まれるので、酢酸カリウム法での測定値で15000g/m2・24hrs以上、耐水圧20000mm以上が特によい。
このように、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層が1μm以上の厚みを有すると、その通気性の有無にかかわらず、制電層がない布帛、また正に帯電しないバインダー樹脂であっても、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0017】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与し、それを製膜して、1μm以上の厚みを有するバインダー樹脂層を形成する方法がある。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液としては、上述した形態例1の繊維材料と同様のものが適用され、それをパディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法によって布帛に付与される。本形態例は、バインダー樹脂層を1μm以上とするので、上記付与方法の中でも、特に、コーティング法またはラミネート法を用いるのが好ましい。
また、バインダー樹脂溶液を付与した後、乾式製膜法や湿式製膜法など上述した方法で製膜することができる。また、それに対して撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
【0018】
(形態例4)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(4)制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されている繊維材料が挙げられる。
ここで、本形態例の繊維材料の布帛は、形態例2の繊維材料と同様に、布帛本体と制電層からなるものである。そして、本形態例の繊維材料の布帛本体としては、上述した形態例1の繊維材料の布帛と同じものが適用され、本形態例の繊維材料の制電層としては、上述した形態例2の繊維材料の制電層と同じものが適用される。
また、本形態例の繊維材料で用いられるマイナスイオン発生体、及び正に帯電するバインダー樹脂としては、上述した形態例1の繊維材料と同じものが適用される。また、バインダー樹脂においては、上記形態例1と同様の理由によりウレタン樹脂が特に好ましい。また、バインダー樹脂層の厚さが1μm以上であることが好ましい。
本形態例の繊維材料が、上記形態例3と同様に、透湿性および防水性を有していることが望ましい。
このように、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着された繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0019】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例の繊維材料の製造方法としては、必要に応じて、精練・リラックス加工等の施された布帛本体に対し、親水性モノマーを含む樹脂溶液を付与し制電層を有する布帛にして、その布帛に対し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する方法がある。バインダー樹脂溶液を付与した後、それを製膜して、バインダー樹脂層を形成する。その後、必要に応じて、撥水、制電加工などの後加工を行う。
制電層をなす樹脂溶液、及び制電層を形成する方法としては、上述した形態例2の繊維材料と同様のものが適用される。
次に、制電層の表面にマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与する。バインダー樹脂溶液としては、形態例1の繊維材料と同様のものが適用され、その付与方法としては、パディング法、グラビア転写法、コーティング法、ラミネート法などの方法が用いられる。マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液を付与した後、乾式製膜法や湿式製膜法など先に述べた方法で製膜することができ、上記と同様に撥水、制電加工などの後加工を行ってもよい。
【0020】
(形態例5)
本発明の繊維材料の他の形態例としては、(5)上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料が挙げられる。
上記スリット糸としては、上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットして得られるものであれば、特に制限はないが、布帛又は布帛本体としてフィルムを用いたものが好ましい。布帛又は布帛本体としてフィルムを用いた繊維材料は、スリット性が良好であるため、繊維材料をスリット糸とする際に、糸くずの発生等の問題がなく作業性に優れている。
また、スリット糸としては、スリット時のスリット幅が0.1〜10mm程度のものが好ましい。
また、スリット糸は、そのまま用いてもよいし、撚糸としてもよい。また、他の繊維と混紡、混繊してもよく、例えば、スリット糸と他の繊維により芯鞘構造にして、カバーリングや、たすきがけ状などの他の繊維と複合した糸とすることができる。ここで、他の繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維などを挙げることができ、特に限定されるものではない。なお、上述したように、スリット糸と他の繊維により芯鞘構造にする場合、どちらを芯糸、鞘糸にしてもよいが、マイナスイオン発生量からスリット糸を鞘糸とすることが好ましい。
また、マイナスイオン発生体は、布帛と布帛の間に挟まれた構造のものであってもよい。
このように、上述した形態例1〜4の繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料とすることで、マイナスイオンを十分に発生することができる。
【0021】
以下、本形態例の繊維材料の製造方法を説明するが、記載された製造方法は好ましい一例であって、これに限定されるものではない。
本形態例のスリット糸を含む繊維材料は、スリット糸や他の繊維と複合した糸を用いて、織物、編物、不織布などを形成することによって得られる。この際、織物、編物、不織布などを構成する全ての糸に、スリット糸や他の繊維と複合した糸を用いてもよいが、他の糸と混ぜて織物、編物、不織布などを形成してもよい。例えば、縦糸としてスリット糸、及び他の繊維と複合した糸を用い、横糸として他の糸を用いた織物や、編糸の一部にスリット糸、他の繊維と複合した糸を用いた編物など、用途や求められる性能に応じて、適宜、糸を組み合わせればよい。
ただし、スリット糸、又は他の繊維と複合した糸を他の糸と組み合わせて使用する場合は、例えば、染色等の後工程において不具合が生じないように考慮することが好ましい。例えば、バインダー樹脂にウレタン樹脂を用いた繊維材料から得られるスリット糸、他の糸としてナイロンを用いる場合には、酸性染料可染型ウレタン樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、他の糸と共にバインダー樹脂を染色できるようにしたり、バインダー樹脂にアクリル樹脂やウレタン樹脂を用いた繊維材料から得られるスリット糸、他の糸としてポリエステル繊維を用いる場合には、バインダー樹脂への分散染料の汚染を防止するため、特開平2−216262号公報に記載の分散染料を補足する酸化ケイ素などの吸着剤や、特開昭60−45686号公報に記載の分散染料のバインダー樹脂への親和性を低下させる酸化ケイ素などの物質を添加させたり、他の公知の汚染防止処理を施すことが好ましい。
ここで、他の糸とは、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタンなどの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、絹、毛などの天然繊維などから製造され、スリット糸を含まないものをいう。
【0022】
以上説明したように、本発明の繊維材料(形態例1〜5)は、人体に対して好影響を与えるといわれているマイナスイオンを十分に発生することができるため、カーテン、壁紙、カーペット、タオルの他に、布団カバー、枕カバー、シーツ等の寝具類、肌着、Yシャツ、靴下等の衣類といった種々の繊維製品に好適に用いられる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に従い詳細に本発明の繊維素材を説明する。実施例中の「部」は質量部を意味する。なお、実施例に記載の測定結果は下記の方法により測定を行った。
【0024】
イオン発生数の評価方法:
イオン測定器としてIC−1000(有限会社ユニバーサル企画)を用い、試料をA4サイズに切り取り、A4サイズの台紙に貼り付け(マイナスイオン発生体が布帛の片面にのみ付与されている場合は、付与面が外気に触れるように台紙に貼り付ける)、これを角柱状にし、イオン測定器の吸入口に取り付けマイナスのレンジにて測定を行った。また、試料となる角柱は、その長辺が柱の外周となるように作製した。この測定の結果は、後述する洗濯耐久性の評価と区別するため、表1、表2においては初期の欄に記した。
また、表中において、発生したイオンの記載については、マイナスイオンが発生した場合は−とし、続いてマイナスイオン発生数の測定値を記した。逆にプラスイオンが発生した場合は+とし、続いてプラスイオン発生数の測定値を記した。
【0025】
洗濯耐久性の評価方法:
JIS L0217 103法に準じて洗濯を10回行った後、上記マイナスイオン発生数の評価方法により、イオン発生数を測定した。
尚、洗濯耐久性については、実施例4を除く実施例で得られた繊維材料について調べた。
【0026】
バインダー樹脂の帯電性の評価方法:
JIS L 1094に記載の摩擦耐電圧測定器を用い、増幅器の波形よりバインダー樹脂がプラスを帯びているか、マイナスを帯びているかをみた。摩擦布には、測定する繊維材料に用いられている布帛の素材と同一のJIS L0803に記載の単一繊維布(I)を用い、試験片として得られた繊維材料を用いた。ただし、得られた繊維材料の片面のみにマイナスイオン発生体及びバインダー樹脂が付与されている場合には、この付与された面と摩擦布がこすられるよう試験機に試験片を取り付けた。
【0027】
透湿性の評価方法:
JIS L1099 酢酸カリウム法および塩化カルシウム法に準拠して評価した。ただし、単位を24時間に換算して記した。また、表1及び表2の記載は、上段が酢酸カリウム法で、下段が塩化カルシウム法による測定値を示す。
尚、透湿性については、実施例1、実施例7で得られた繊維材料について調べた。
【0028】
耐水圧の評価方法:
JIS L1092 低水圧法または高水圧法に準拠して評価した。水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(密度たてとよこの合計が210本/2.54cm程度のもの)などを重ねて試験機に取り付け測定を行った。ただし、高水圧法にて測定したものの単位は、低水圧法の測定値と比較しやすくするため、9.8kPa=水柱1000mmとして換算して記した。尚、耐水圧については、実施例1、実施例7、実施例9で得られた繊維材料について調べた。
【0029】
(実施例1)
ポリエステルタフタ(たて密度117本/2.54cm、よこ密度88本/2.54cm、たて糸、よこ糸とも78デシテックス/68フィラメント)を精練し、分散染料でネビーに染色し、撥水剤(「アサヒガードAG710」、旭硝子(株)製)の5%水溶液を用いて撥水加工を行ったものを布帛として使用した。次に、離型紙上に、ポリエチレンオキシド基を有する親水性のある透湿性ポリウレタン樹脂(固形分30%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン50部、ジルコン3部、モナズ石2部、顔料5部からなるバインダー樹脂溶液(i)を塗布、乾燥し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得た。バインダー樹脂層中のジルコンとモナズ石の合計量は1.5g/m2であった。
次に、得られたバインダー樹脂層の上に、水膨潤性ウレタン樹脂(固形分50%)100部、トルエン30部、架橋剤9部、触媒0.5部からなる水膨潤性のある樹脂溶液(ii)を0.1mmの厚みで塗布、乾燥し、それを布帛と貼り合わせ、熱ロールで熱圧着した。
更に、フッ素系撥水剤(「アサヒガードAG5690」、旭硝子(株)製)を用いて撥水処理を行い、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂溶液(i)および樹脂溶液(ii)から形成されるバインダー樹脂層の厚さは30μmとした。得られた繊維材料の各種性能を表1に記した。
【0030】
(実施例2)
ポリエステルポンジ(たて密度97本/2.54cm、よこ密度83本/2.54cm、たて糸83デシテックス/36フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント)を精練、減量加工をおこない、分散染料にてグリーンに染色した。
次に、ポリエチレンオキシド基を有するジビニルモノマー(分子量1500)4部、アクリル酸1部、イミン系架橋剤0.1部、過硫酸アンモニウム0.1部、触媒0.01部、水94.8部からなる樹脂溶液を用い、湿熱処理により、布帛であるポリエステルポンジの両面に制電層を形成した。
それを洗浄後、その両面にウレタン樹脂(固形分50%)3部、サマルスキー石水分散液(固形分15%)20部、水77部からなるバインダー樹脂溶液をパディング法にて付与し、乾燥、熱処理を行った。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は2.0g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0031】
(実施例3)
一次帯電防止剤(「ナイスポールFL」、日華化学製)1部、水99部からなる樹脂溶液を用いて制電層を付与すること、その樹脂溶液を布帛に付与する方法としてパディング法を用い、乾燥、熱処理を行った工程以外は、実施例2と同様にして繊維材料を得た。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0032】
(実施例4)
制電層を設けなかった以外は、実施例2と同様にし、繊維材料を得た。得られた繊維材料のイオン発生数および帯電性を表1に記した。
【0033】
(実施例5)
ポリエステルサテン(目付け250g/m2、たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸166デシテックス/2/32フィラメント)の平織物を精練した後、分散染料で染色するのと同時に、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂のエマルジョンを織物に対して2%owfで吸尽法(130℃:液流染色機)にて付与した。
次いで、実施例2に記載のマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液をグラビア転写法にて布帛の片面に付与し、繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は0.45g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0034】
(実施例6)
ポリエステル/綿=65/35(たて密度94本/2.54cm、よこ密度73本/2.54cm)の平織物を精練した後、分散染料で染色するのと同時に、ポリエチレンオキシド基を有するポリエステル樹脂のエマルジョンを織物に対して2%owfで吸尽法(130℃:液流染色機)にて付与した。
次いで、実施例2に記載のマイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂溶液をグラビア転写法にて布帛の片面に付与し、繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は0.45g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表1に記した。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例7)
ポリエステルポンジ(たて密度96本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸78デシテックス/36フィラメント、よこ糸78デシテックス/72フィラメント)を精練し、分散染料でベージュに染色したものを布帛として使用した。
次に、離型紙上に、ポリエチレンオキシド基を有する親水性のある透湿性ポリウレタン樹脂(固形分30%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン40部、ジメチルホルムアミド10部、化石サンゴ粉5部からなるバインダー樹脂溶液(iii)を0.1〜0.12mmの厚みで塗布し、乾燥して、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得た。バインダー樹脂層中の化石サンゴの付与量は3.0g/m2であった。
次に、得られたバインダー樹脂層の上に、水膨潤性ウレタン樹脂(固形分50%)100部、トルエン30部、架橋剤9部、触媒0.5部からなる水膨潤性のある樹脂溶液(iv)を0.1mmの厚みで塗布、乾燥し、それを布帛と貼り合わせ、熱ロールで熱圧着した。
更に、フッ素系撥水剤(「アサヒガードAG5690」、旭硝子(株)製)を用いて撥水処理を行い、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂溶液(iii)および樹脂溶液(iv)から形成されるバインダー樹脂層の厚さは30μmとした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に記した。
【0037】
(実施例8)
ポリエステルポンジ(たて密度97本/2.54cm、よこ密度83本/2.54cm、たて糸83デシテックス/36フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント)を精練、減量加工をおこない、分散染料にてグリーンに染色した。
次に、ポリエチレンオキシド基を有するジビニルモノマー(分子量1500)4部、アクリル酸1部、イミン系架橋剤0.1部、過硫酸アンモニウム0.1部、触媒0.01部、水94.8部からなる樹脂溶液を用い、湿熱処理により、布帛であるポリエステルポンジの両面に制電層を形成した。
それを洗浄後、その両面に、ウレタン樹脂(固形分60部)3部、化石サンゴ水分散液(固形分15部)20部、架橋剤(「レザミンD−52」、大日精化製)0.3部、水71.7部からなるバインダー樹脂溶液をパディング法にて付与し、乾燥、熱処理を行った。なお、バインダー樹脂層中の化石サンゴの付与量は2.0g/m2、バインダー樹脂層の厚さは1μm未満とした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に示す。
【0038】
(実施例9)
ポリエステルポンジ(たて密度96本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸78デシテックス/36フィラメント、よこ糸78デシテックス/72フィラメント)を精練し、分散染料でベージュに染色し、撥水剤(「NKガードNDN−7E」、日華化学製)5部、架橋剤(「ベッカミンAPM」、大日本インキ化学工業製)0.2部、触媒(「ユニカカタリストA35」、ユニオン化学製)0.05部、帯電防止剤(「ナイスポールFE26」、日華化学製)を用いて撥水処理を行ったものを布帛とした。
次に、布帛の片面にアクリル樹脂(固形分18%、バインダー樹脂)100部、メチルエチルケトン10部、化石サンゴ粉5部、シリカ9部、帯電防止剤(「デレクトールRTX」、明成化学製)3部、メラミン樹脂(「MB111」、根上工業製)1部、触媒(「MB2000」、根上工業製)0.5部からなるバインダー樹脂溶液を鈍角刃を用いたフローティング法で塗布、乾燥し、マイナスイオン発生体を含むバインダー樹脂層を得て、透湿防水性を有する繊維材料を得た。なお、バインダー樹脂層中のマイナスイオン発生体の付与量は1.5g/m2、バインダー樹脂層の厚さは3μmとした。得られた繊維材料のイオン発生数およびバインダー樹脂の帯電性を表2に示す。
【0039】
【表2】
なお、実施例7〜9で得られた繊維材料のイオン発生数の測定は、バインダー樹脂層同士を10秒間に20回揉み、直ちに前記イオン測定器にて行われた。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上とした繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体を固着した繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
上記バインダー樹脂がウレタン樹脂であれば、透湿性および防水性に優れた繊維材料を得ることができる。
上記制電層が、親水性モノマーを原料とする重合体を含む繊維材料であれば、洗濯耐久性、堅牢度、ファッション性に優れ、かつマイナスイオンを十分に発生することができる。
上記布帛が、ポリエステル繊維を含む繊維材料においても、マイナスイオンを十分に発生することができる。
透湿性および防水性を有する繊維材料であれば、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、上記繊維材料をスリットしたスリット糸を含む繊維材料は、マイナスイオンを十分に発生することができる。
また、マイナスイオン発生体として、化石サンゴは好適に用いられる。
本発明の繊維材料の製造方法は、ポリエステル繊維を含む布帛に制電層を形成した後、マイナスイオンを含むバインダー樹脂溶液を付与する方法であるので、マイナスイオンを十分に発生することができる繊維材料を得ることができる。
Claims (11)
- 布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする繊維材料。
- 制電層を有する布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする繊維材料。
- 布帛の少なくとも片面に、バインダー樹脂を介してマイナスイオン発生体が固着され、前記バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂層の厚みが1μm以上であることを特徴とする繊維材料。
- 制電層を有する布帛の少なくとも片面に、正に帯電するバインダー樹脂を介して、マイナスイオン発生体が固着されていることを特徴とする繊維材料。
- バインダー樹脂が、ウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維材料。
- 制電層が、親水性モノマーを原料とする重合体を含むことを特徴とする請求項2または4に記載の繊維材料。
- 布帛が、ポリエステル繊維を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維材料。
- 透湿性および防水性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の繊維材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の繊維材料をスリットしたスリット糸を含むことを特徴とする繊維材料。
- 前記マイナスイオン発生体として化石サンゴを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の繊維材料。
- ポリエステル繊維を含む布帛に制電層を形成した後、マイナスイオンを含むバインダー樹脂溶液を付与することを特徴とする繊維材料の製造方法。
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