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JP2004002500A - 高分岐グラフト共重合体およびそれらからなるイオン伝導性ポリマー電解質 - Google Patents

高分岐グラフト共重合体およびそれらからなるイオン伝導性ポリマー電解質 Download PDF

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JP2004002500A
JP2004002500A JP2002148021A JP2002148021A JP2004002500A JP 2004002500 A JP2004002500 A JP 2004002500A JP 2002148021 A JP2002148021 A JP 2002148021A JP 2002148021 A JP2002148021 A JP 2002148021A JP 2004002500 A JP2004002500 A JP 2004002500A
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Japan
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graft copolymer
polymer chain
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polar portion
group
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JP2002148021A
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English (en)
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Akira Hirao
平尾 明
Kenji Sugiyama
杉山 賢次
Kiyoshi Kawamura
河村 潔
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Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】本発明は、常温においても高いイオン伝導性を有する有機系固体電解質を提供することを目的とする。
【解決手段】主鎖ポリマー鎖における各繰り返し単位ごとに分岐ポリマー鎖を有する部分を含有するグラフト共重合体において、分岐ポリマー鎖がイオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分を少なくとも1以上有するポリマー鎖であることを特徴とするグラフト共重合体。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なグラフト共重合体に関し、さらにはそれらを用いた電気化学デバイス、特に電池材料として好適に用いられるイオン伝導性ポリマー電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
リチウム電池の電解質としては、無機アルカリ塩を非プロトン性溶媒に溶解した電解液が使用されている。しかし、電解液は電池の缶体内への封止が難しく、電池組み立て後にも液漏れが発生し易く、引火性溶媒を用いた場合の危険性が指摘されている。また、電解液が揮発し易く、長期間の信頼性に欠けるという欠点を有している。この欠点を取り除くために固体電解質が検討されている。特に、高分子を主成分とした有機系固体電解質は、柔軟性、軽量性、弾性、薄膜成膜性、加工性が無機系固体電解質に比較して格段に優れており、薄型製品の内臓電池への使用が注目されている。
【0004】
現在、有機系固体電解質として、ポリエーテル系高分子化合物(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなど)とアルカリ金属塩(リチウムトリフルオロメチルスルフォニルイミド(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタンスルフォン酸リチウム(LiCFSO))などの複合体が知られている。しかし、交流インピーダンス法から求められるイオン伝導度が10−7[S/cm]と極めて低く、電解質として使用するには不十分であるといえる。またそのような有機系固体電解質に可塑剤を添加してイオン伝導度を高くすることも可能であるが、膜強度や成膜性に劣り、液体電解液と同様に缶体への封止に問題が発生する。また、オキシエチレン鎖の熱運動性を高めイオン伝導性の向上を目的にオリゴエチレンを側鎖に導入したグラフト高分子が多数報告されている。例えば、特開平10−237143号公報、特開平10−245427号公報には、非水系電解液を添加したポリアルキレンオキサイド系のブロック−グラフト共重合体とリチウム系無機塩との高分子固体電解質が記載されている。しかし、非水系溶媒、可塑剤を添加してイオン伝導度を高くしており、そのような溶剤を用いた系では、十分なイオン伝導性が得られず、さらに高温作動時の耐熱性、安定性などの面から限界に至っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常温においても高いイオン伝導性を有する有機系固体電解質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ(ハロメチルスチレン)に対して、イオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分を少なくとも1以上有するリビングポリマー末端アニオンを適当な条件下反応させることにより、側鎖に該極性部分を高密度で有する高分岐グラフト共重合体を得ることができ、それらとリチウム塩の複合体が高いイオン伝導性を有することを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)主鎖ポリマー鎖における各繰り返し単位ごとに分岐ポリマー鎖を有するグラフト共重合体において、分岐ポリマー鎖がイオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分を少なくとも1以上有するポリマー鎖であることを特徴とするグラフト共重合体に関し、
(2)イオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分が、酸素、窒素、およびイオウからなる群から選ばれるヘテロ原子種を含有する極性部分であることを特徴とする(1)に記載のグラフト共重合体、
(3)分岐ポリマー鎖が、式(I)
【化5】
Figure 2004002500
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C8炭化水素基を表し、nは2〜6のいずれかの整数を表し、R同士、R同士は、同一または相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマーであることを特徴とする(1)または(2)に記載のグラフト共重合体、
(4)主鎖ポリマー鎖が、式(II)
【化6】
Figure 2004002500
(式中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、・は、分岐ポリマー鎖の結合部位を表す。)で表される繰り返し単位からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラフト共重合体、
(5)グラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.01〜2.50であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のグラフト共重合体、
(6)グラフト共重合体の数平均分子量が、5,000〜20,000,000の範囲であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のグラフト共重合体、
(7)グラフト共重合体が、アニオン重合開始剤の存在下、式(III)
【化7】
Figure 2004002500
(式中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表す。)で表される化合物を単独重合、または、前記化合物と共重合可能な化合物と共重合させたアニオン末端と、式(IV)
【化8】
Figure 2004002500
(式中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、Yは、求核攻撃に対して脱離する官能基を表す。)で表される重合体を反応させて得られることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のグラフト共重合体に関し、さらに、
(8)少なくとも1種の正に荷電したイオン種と(1)〜(7)のいずれかに記載のグラフト共重合体との複合体を有することを特徴とするイオン伝導性ポリマー電解質に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における高分岐グラフト共重合体は、主鎖ポリマー鎖における各繰り返し単位ごとすべてにイオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分を少なくとも1以上有するポリマー鎖を有することを特徴とする。このような分岐ポリマー鎖として、特に、該極性部分が酸素、窒素、およびイオウからなる群から選ばれるヘテロ原子種を含有する極性部分であるポリマー鎖を好適に例示することができ、より具体的には、式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖を好ましく例示することができる。
【0009】
式(I)で表される繰り返し単位中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C8炭化水素基を表し、nは、2〜6のいずれかの整数を表す。また、R同士、R同士は、同一または相異なっていてもよい。R、Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等を例示することができる。
【0010】
また、これらは、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アシル基等を例示することができる。式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖として、具体的には、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)等を例示することができる。また分岐ポリマー鎖の数平均分子量は、150〜10000の範囲が好ましく、さらに150〜5000、さらに150〜2000の範囲が好ましい。
【0011】
これら分岐ポリマー鎖は、1種単独のホモポリマーでも、また、2種以上の混合した共重合体であってもよく、必要に応じて、例えば式(I)で表される繰り返し単位に、共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を含めることができる。そのような単量体として、具体的には、芳香族ビニル化合物、芳香族複素環ビニル化合物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド又は(メタ)アクリロニトリル等を例示することができる。これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として使用することができ、またこれらの単量体から得られる繰り返し単位は、式(I)に示される繰り返し単位とランダムに又はブロックで共重合して含有させることができる。また、分岐ポリマー鎖は、1分子中ですべて同一である必要はなく、2種以上混合していてもかまわない。
【0012】
本発明の高分岐グラフト共重合体における主鎖ポリマーは、式(II)で表される繰り返し単位を好ましく用いることができ、式(II)中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、・は、分岐ポリマー鎖の結合部位を表す。Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、、t−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等を例示することができる。また、これらは、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アシル基等を例示することができる。式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖として、具体的には、ポリスチレン、ポリ(α―メチルスチレン)等を例示することができる。
【0013】
本発明のグラフト共重合体は、先に述べたように各繰り返し単位ごとに分岐ポリマー鎖を有する高密度グラフト共重合体ではあるが、そのような高密度の部分とそれ以外、例えば、低密度にグラフトしている部分、グラフトしていない部分を主鎖ポリマー鎖にブロックで含ませることもできる。高密度でない部分を含むグラフト共重合体においては、ランダムに分岐鎖を有するグラフト共重合体とは区別し、高密度の部分と、それ以外の部分が構造的にはっきり区別できる共重合体をいうものとする。
高密度でない部分を含むグラフト共重合体として、例えば式(II)で表される繰り返し単位を高密度繰り返し単位とした場合には、共重合可能な共役二重結合を有する単量体から誘導される繰り返し単位をブロックとして含めることができ、そのような単量体として、具体的には、芳香族ビニル化合物、芳香族複素環ビニル化合物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド又は(メタ)アクリロニトリル等を例示することができ、これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0014】
本発明の高分岐グラフト共重合体中、主鎖ポリマー鎖の数平均分子量は特に制限されず、例えば、1000〜100、000の範囲の任意の値を取ることができる。また、分子量分布(Mw/Mn)の値は、1.01〜2.50の範囲が好ましく、さらに1.01〜1.50の範囲であるのが好ましい。
また、本発明の高分岐グラフト共重合体の数平均分子量は、組み合わせる主鎖ポリマー鎖、及び側鎖ポリマー鎖の数平均分子量によって任意の値をとることができるが、5,000〜20,000,000の範囲であるのが、好ましく、その分子量分布は、1.01〜2.50の範囲であるのが好ましく、さらに、1.01〜1.50の範囲であるのが好ましい。
【0015】
本発明の高分岐グラフト共重合体の製造方法として幾つか考えられが、分子量、及び分子量分布を制御した共重合体を得るためは、アニオンリビング重合を用いるのが好ましい。
すなわち、アニオン重合開始剤の存在下、式(III)で表される化合物を単独重合、または、前記化合物と共重合可能な化合物と共重合させたアニオン末端と、式(IV)で表される重合体を反応させる方法を用いて製造するのが好ましい。
【0016】
式(III)で表される化合物中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表す。R、Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、、t−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等を例示することができる。また、これらは、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アシル基等を例示することができる。式(III)で表される化合物として、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン−2−オキサイド等を例示することができる。
【0017】
式(IV)で表される重合体中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、Yは、求核攻撃に対して脱離する官能基を表す。Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、、t−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等を例示することができる。また、これらは、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、エステル基、アシル基等を例示することができる。Yとして、具体的には、クロル原子、ブロム原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等を例示することができる。
【0018】
本発明の製造に用いられる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば、特に制限されず、具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げることができる。また、これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0019】
本発明において用いられるアニオン重合開始剤として、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を例示することができ、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ナトリウム−カリウム合金等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,1−ジフェニルメチルカリウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム、カリウムカルバジド等を挙げることができ、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
反応は、通常、アニオン重合開始剤に、式(III)で表される化合物を添加し、アニオンリビング重合を行い、さらに式(IV)で表される重合体を添加して行われる。これらの一連の反応は、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス下、もしくは高真空下、−100〜0℃、好ましくは、−70〜−20℃の範囲で行われる。用いる側鎖ポリマーを形成する式(III)のリビングポリマー鎖は、式(IV)で表される重合体の繰り返し単位のモル数と当量以上であれば、特に制限されないが、1.5〜2.0当量用いるのが好ましい。過剰に用いたリビングアニオンポリマー鎖は、反応終了後、再沈殿、カラム分離等の操作により、容易に分離することができる。また、式(III)で表せる化合物のアニオン重合体の重量平均分子量(M)と数平均分子量(M)の比(M/M)は、特に制限されないが、1.01〜2.50の範囲が好ましく、さらに1.01〜1.50の範囲が好ましい。
【0021】
本発明のグラフト共重合体と複合体を形成する少なくとも1種の正に荷電したイオン種は、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiTFSI)、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタンスルホ酸リチウム(LiCFSO)などのアルカリ金属塩等を挙げることができる。グラフト共重合体とイオン種との複合体の製造方法は、イオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分とイオン種が相互作用できる環境下になるような製造方法であれば特に制限されず、特に薄膜に成形する方法であるのが好ましい。キャスティング法を好ましく例示することができる。
該複合体は、常温でも導電性を有することからリチウム2次電池用の有機系固体電解質として用いることができる。
【0022】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
本発明の実施例に使用した試薬および溶媒の精製法について以下に述べる。
使用した溶媒、およびモノマーは、すべて、通常の手順に従って、精製し、窒素雰囲気下、CaHを用いて蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)は、さらに高真空ライン(10−6Torr)でナトリウムナフタレニドから蒸留した。sec−ブチルリチウム(s−BuLi)は、市販のs−BuLiのシクロヘキサン(1.3M;ナカライ社製)を高真空下、ヘプタンで希釈し、小分けしたものを用いた。正確な濃度は、高真空下、THF中−78℃で1,1−.ジフェニルエチレン(DPE)との反応により1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムを生成させ、このアニオン特有の赤色が消色するまで標準 n−オクタノール/THFを用いて比色滴定により求めた。
[重合操作方法]
アニオン重合は高真空下ブレークシール法を用いた。重合はモノマーを開始剤系に加え所定時間反応した後、メタノールで反応を停止した。
【0024】
[サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)の測定]
UV(254nm)及び屈折率検出計を備えたTOSOH−HLC−8020を用いて測定した。カラムは3種のポリスチレンゲルカラム(TSKgelG4000HXL、G3000HXL及びG2000HXL)を用いて行った。キャリア溶媒としてはTHFまたはN,N−ジメチルホルムアミドを用い、流速1.0ml/分で行った。標準試料としてポリスチレンを用い、検量線を作成して、Mn及びMw/Mn値を決定した。TSK−G4000HHRカラムを備えたTOSH−HLC−8020を用いて、分取を行った。溶媒としてTHFを用い、ポリマー濃度は、サンプルの分子量に応じて、10〜20w/v%に調製した。
【0025】
実施例1
(1)3−(t−ブチル−ジメチルシリロキシメチル)スチレン(A)(10mmol)のTHF溶液を−78℃でs−BuLi(0.33mmol)に添加し−78℃で10分間撹拌した。脱気したメタノールを加え反応を停止した後大量のメタノールに加えて結晶を析出させ、結晶を濾過した。得られた結晶をTHF−メタノールを用いて再沈殿を行い、ポリ[3−(t−ブチル−ジメチルシリロキシメチル)スチレン](B)(Mw/Mn=1.05、収率100%、Mn=8800)を得た。
【0026】
(2)ポリマー(B)(5mmol)のクロロホルム溶液を、窒素雰囲気下、25℃でトリメチルシリルクロライド(TMSCl)(40mmol)とリチウムブロマイド(LiBr)(40mmol)のアセトニトリル溶液に30分かけて滴下し、さらに40℃で48時間反応させた。反応液を水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を乾燥後、溶媒を濃縮した。ヘキサンを加え、析出した結晶を濾過し、THF−メタノールを用いて再沈殿を行い、ポリ(3−ブロモメチルスチレン)(C)(Mw/Mn=1.05、収率100%、Mn=6600)を得た。
【0027】
(3)THF中のジフェニルメチルカリウム(0.333mmol)にエチレンオキサイド1.83g(41.5mmol)を0℃で加え、室温で6時間反応させてポリエチレンオキサイドカリウムを生成させ、ポリエチレンオキサイドカリウム(Mw=5660、Mw/Mn=1.02)を得た。さらに、−0℃で、上記のように調製したポリマー(C)44.3mg(0.00672mmol)を加え、40℃で48時間反応を行い、脱気したメタノールを加えて反応を停止した。大量のメタノールに加えて、析出した結晶を濾過し、目的とするグラフトポリマー(D)ほぼ定量的に得た。得られたグラフト重合体の重量平均分子量は、198×10となり、計算値とよく一致しており、側鎖のすべてにポリエチレンオキサイド鎖が導入されたことがわかった。また、Mw/Mnの値は、1.04であった。
【0028】
実施例2
実施例1で得られた高分岐グラフト共重合体(D)0.2gと過塩素酸リチウム(LiClO)0.03gをアルゴン雰囲気下のグローボックス中で、脱水アセトニトリル7mlと脱水メタノール5mlの混合溶媒12mlを加え、室温で攪拌して透明な溶液とした。この溶液を厚さ3mmのシリコンシート上にキャストし、加熱減圧下で溶媒を留去し、厚さ100μmの高分岐グラフト共重合体−Li塩複合体の薄膜を得た。この薄膜の30℃、60℃におけるイオン伝導度を測定した。イオン伝導度(S/cm)の値は、1.1×10−5(30℃)、1.1×10−3(60℃)
であった。
【0029】
【発明の効果】
以上のようにして得られた主鎖ポリマー鎖における各繰り返し単位ごとに、分岐ポリマー鎖を有する部分を含有するグラフト共重合体は、分岐鎖中のイオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分にリチウム塩を包含させることにより、室温で良好なイオン伝導性を示し、電池等の電気デバイスの電解質として利用することができ産業上の有用性は高い。

Claims (8)

  1. 主鎖ポリマー鎖における各繰り返し単位ごとに分岐ポリマー鎖を有するグラフト共重合体において、分岐ポリマー鎖がイオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分を少なくとも1以上有するポリマー鎖であることを特徴とするグラフト共重合体。
  2. イオン種と複合体を形成し得る極性部分またはイオン種を溶媒和し得る極性部分が、酸素、窒素、およびイオウからなる群から選ばれるヘテロ原子種を含有する極性部分であることを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 分岐ポリマー鎖が、式(I)
    Figure 2004002500
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C8炭化水素基を表し、nは2〜6のいずれかの整数を表し、R同士、R同士は、同一または相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位を有するポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のグラフト共重合体。
  4. 主鎖ポリマー鎖が、式(II)
    Figure 2004002500
    (式中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、・は、分岐ポリマー鎖の結合部位を表す。)で表される繰り返し単位からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグラフト共重合体。
  5. グラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.01〜2.50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のグラフト共重合体。
  6. グラフト共重合体の数平均分子量が、5,000〜20,000,000の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のグラフト共重合体。
  7. グラフト共重合体が、アニオン重合開始剤の存在下、式(III)
    Figure 2004002500
    (式中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表す。)で表される化合物を単独重合、または、前記化合物と共重合可能な化合物と共重合させたアニオン末端と、式(IV)
    Figure 2004002500
    (式中、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1〜C5のアルキル基を表し、Yは、求核攻撃に対して脱離する官能基を表す。)で表される重合体を反応させて得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラフト共重合体。
  8. 少なくとも1種の正に荷電したイオン種と請求項1〜7のいずれかに記載のグラフト共重合体との複合体を有することを特徴とするイオン伝導性ポリマー電解質。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5089595B2 (ja) * 2006-09-11 2012-12-05 旭化成株式会社 新規な高分子電解質及び電気化学素子
JP2014043487A (ja) * 2012-08-24 2014-03-13 Nissan Chem Ind Ltd エチレンオキサイド鎖を有するハイパーブランチポリマー及びその利用

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