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JP2003534382A - ポリエンマクロライドの水溶性アミド誘導体ならびにそれらの調製および使用 - Google Patents

ポリエンマクロライドの水溶性アミド誘導体ならびにそれらの調製および使用

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JP2003534382A
JP2003534382A JP2001587773A JP2001587773A JP2003534382A JP 2003534382 A JP2003534382 A JP 2003534382A JP 2001587773 A JP2001587773 A JP 2001587773A JP 2001587773 A JP2001587773 A JP 2001587773A JP 2003534382 A JP2003534382 A JP 2003534382A
Authority
JP
Japan
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polyene macrolide
group
alkyl
polyene
hydrogen
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP2001587773A
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English (en)
Inventor
コンウェイ シー. チャン,
ビン ティー. ダン,
クリストファー ジェイ. バルドウィン,
デイビッド ジェイ. ローリー,
レイナ ジェイ. サイモン,
ロバート アール. ウェブ,
Original Assignee
マイクロロジックス バイオテック,インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by マイクロロジックス バイオテック,インコーポレイテッド filed Critical マイクロロジックス バイオテック,インコーポレイテッド
Publication of JP2003534382A publication Critical patent/JP2003534382A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H17/00Compounds containing heterocyclic radicals directly attached to hetero atoms of saccharide radicals
    • C07H17/04Heterocyclic radicals containing only oxygen as ring hetero atoms
    • C07H17/08Hetero rings containing eight or more ring members, e.g. erythromycins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、新しい2種類のポリエンマクロライドアミド誘導体(これらは、真菌感染を治療または予防するのに有用である)を提供する。これらの新規のポリエンマクロライドアミド誘導体は、真菌活性を示し、そして従来のポリエン抗生物質(例えば、アンポテリシンBおよびアンポテリシンBメチルエステル)よりも水溶性が高い。これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、一般に、以下の2つの特徴を有する種々の親ポリエンマクロライドのいずれかから誘導した「コア」ポリエンマクロライド骨格を含む:環外カルボキシル基およびアミノ糖残基。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (1.関連出願の相互参照) 本願は、35 U.S.C.119(e)に基づいて、2000年5月31日
に出願された米国暫定特許出願第60/207,659号(その内容は、本明細
書中で参考として援用されている)から優先権を主張している。
【0002】 (2.発明の背景) (2.1 発明の分野) 本発明は、一般に、ポリエンマクロライドの誘導体に関する。特に、本発明は
、植物、ヒトおよび動物における局所真菌感染および/または全身真菌感染を治
療または予防するのに有用なポリエンマクロライドの水溶性アミド誘導体に関す
る。
【0003】 (2.2 関連技術の説明) 多くのポリエンマクロライドは、局所真菌感染および/または全身真菌感染を
治療するのに有用な抗真菌特性を有することが知られている。これらのポリエン
マクロライドの例には、アンホテリシンB、アウレオファシン(aureofa
cin)、カンジシジン、カンジジン、レボリン(levorin)、マイコヘ
プチン(mycoheptin)、ナイスタチン、パルトリシン(partri
cin)A、パルトリシンB、ペリマイシン(perimycin)、ピマリシ
ン、ポリファンギン(polyfungin)、リモシジン(rimocidi
n)およびトリコマイシンが挙げられる。しかしながら、これらの化合物は、そ
れらの両性特性に起因して、一般に、水溶液での溶解度が限られており、このこ
とは、順に、全身真菌感染の治療におけるそれらの有効性を限定する。これらの
化合物を変性する従来の試行では、それらの誘導体の一部は、全身的に使用した
とき、望ましくない毒性特性を示した。例えば、アンポテリシンBメチルエステ
ル(AME)は、ラットおよびイヌにおいて、アンポテリシンBよりも低い急性
腎毒性および肝毒性を示したが、全身真菌感染に罹った患者においてAMEを使
って行った唯一の臨床試験では、多くの患者は、白質退化に関連した進行性の神
経機能障害を発現した。Ellisら、1988,Tox.Path.16(1
):1;Parmegianiら、1987,Antimicrob.Agen
ts Chemo.31(11):1756〜1760;Hoeprichら、
1985,Diag.Microbiol.Infect.Dis.3:47−
58;Massaら、1985,Fund. App.Tox.5:737〜7
53;Keim Jr.ら、1976,Antimicrob.Agents
Chemo.10(4):687〜690;およびKeim Jr.ら、197
3,Science 179:584〜586を参照のこと。これらの合併症の
発生率および重症度は、投与したAMEの量と共に増大した(上記)。実際、A
MEの毒性は、その臨床試験を中止し生成物を決して市場に持ち込まない程に非
常に激しかった。
【0004】 これらの制限を一部検討するために、ポリエンマクロライドの多くの誘導体が
開発されている。1種類の誘導体には、そのアミノ糖残基のアミノ基で置換され
た特定のポリエンマクロライドが挙げられる。例えば、Falkowskiらの
米国特許第4,093,796号は、その糖アミノ基において糖類で置換された
ポリエンマクロライドを教示している。Falkowskiらの米国特許第4,
195,172号は、ポリエンマクロライドのN−グリコール誘導体のN−メチ
ルグルカミン塩を教示しており、ここで、このポリエンマクロライドのアミノ基
は、アルドースまたはケトース単糖類もしくはオリゴ糖類で置換されている。F
alkowskiらの米国特許第4,294,958号は、ポリエンマクロライ
ドのトリメチルアンモニウム塩(そのメチルエステルを含めて)を教示している
。Falkowskiらの米国特許第4,365,058号は、その糖アミノ基
において非糖置換基で置換したポリエンマクロライドのエステルを教示している
。Semanらの米国特許第5,314,999号は、そのN位置において1−
アミノ−1−デオキシケトース基で置換されたポリエンマクロライドを教示して
おり、それは、それ自体、さらに置換され得る。Borowskiらの米国特許
第5,942,495号は、ポリエンマクロライドのN−アルキル−N−グリコ
シル誘導体を教示しており、これらは、抗菌活性を有すること、酸と水溶性塩を
形成すること、およびN−アルキルポリエンマクロライド誘導体よりも毒性が低
いことが報告されている。
【0005】 文献で報告された他の誘導体には、特定のポリエンマクロライド誘導体のアミ
ドが挙げられる。例えば、Falkowskiらの米国特許第4,783,52
7号は、ポリエンマクロライドのアルキル誘導体、イソアルキル誘導体および複
素環アミド誘導体を教示している。Jarzbesloら、1982,J.An
tibiot.35(2):220〜229は、アンホテリシンBの脂肪族アミ
ドを教示している。Czerwinskiら、1990,J.Antibiot
.43(6):980〜683は、アンホテリシンB 2−モルホリノエチルア
ミドを教示している。Grzybowska & Borowski,1990
,J.Antibiot.43(7):907〜908は、アンホテリシンB、
カンジジン、アウレオファシンおよびナイスタチンのヒドラジドを教示している
。Graybillら、1998,Antimicrobial Agents
and Chemother.42(1)147〜150およびYamash
itaら、1995,J.Am.Chem.Soc.117(23):6249
〜6253は、アンホテリシンBのオリゴ(エチレングリコール)アミドを教示
している。Cheronら、1988,Biochem.Pharmacol.
37(5):827〜836は、そのポリエンアミド糖残基でさらにアミド化さ
れたアンホテリシンBの特定のアルキルアミドを教示している。最後に、Bru
zzeseら、1996,Eur.J.Med.Chem.31:965〜97
2、Bruzzeseらの米国特許第5,296,597号およびBruzze
seらの米国特許第5,298,495号は、パートリシン(partrici
ns)AおよびBの特定のアミド誘導体を教示している。
【0006】 前述の誘導体のいずれも、水溶性、低毒性、および抗真菌剤としての効力の最
適な組合せを与えない。AmBは、依然として、多くの適応症に一般に好まれる
薬剤であるので、抗真菌活性を示しかつ水溶性および/または毒性特性を改良し
たポリエンマクロライド誘導体が必要とされている。
【0007】 (3.発明の要旨) 1局面では、本発明は、新規なポリエンマクロライドアミド誘導体を提供し、
これは、抗真菌活性を有し、アンホテリシンB(AmB)およびアンホテリシン
Bメチルエステル(AME)と比較して、高い水溶性を有する。これらのポリエ
ンマクロライドアミド誘導体は、一般に、以下の2つの特徴を有する種々の親ポ
リエンマクロライドのいずれかから誘導した「コア」ポリエンマクロライド骨格
を含む:環外カルボキシル基およびアミノ糖残基。この親ポリエンマクロライド
の環外カルボキシル基は、AmBおよびAMEと比較して、得られるポリエンの
水溶性を高める置換基でアミド化される。本発明のポリエンマクロライドアミド
誘導体の1種では、そのアミノ糖残基の第一級アミノ基の窒素原子(「アミノ窒
素」)は、炭水化物残基(これは、単糖類、二糖類、オリゴ糖類または多糖類で
あり得る)で置換されている。本発明の全ての化合物では、そのアミノ窒素は、
必要に応じて、アルキル化され得る。このアミノ窒素がジアルキル化される実施
態様では、それらのアルキル基は、同一または異なり得る。
【0008】 何らかの特定の理論で束縛するつもりはないが、本発明のアミド誘導体の水溶
性増大は、そのアミド基の窒素原子(「アミド窒素」)に結合したおよび/また
は含まれている1個またはそれ以上の同一または異なる水溶性増大置換基の存在
によると考えられている。これらの水溶性増大置換基は、一般に、典型的には、
1個またはそれ以上の同一または異なる置換または非置換ヘテロ原子(例えば、
S、O、N、NHなど)を含有させたことによって、極性である。
【0009】 1実施態様では、これらの水溶性増大置換基は、炭化水素、例えば、限定では
なく例としては、直鎖および分枝アルキル、シクロアルキル、アリールおよびア
リールアルキルがあり、これらは、1個またはそれ以上の同一または異なる極性
置換基で置換されている。典型的な極性置換基には、−OH、−SH、=O(オ
キソ)、=S(チオキソ)、−NH、=NH(イミノ)、−C(=NH)−N
(アミジノ)、−NH−C(=NH)−NH(グアニジノ)、−C(O)
H、−C(O)OH、−C(O)O、−C(O)NH、−N、−CN
、−X、−CXなどが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、各Xは、
独立して、ハロゲン(好ましくは、F、ClまたはBr)であり、そしてM
、一価対イオン(例えば、Na、Kなど)を表わす。これらの極性置換した
アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルはまた、必要に応
じて、1個またはそれ以上の同一または異なる非極性置換基(例えば、アルキル
、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルなど)で置換され得る。
【0010】 別の実施態様では、これらの水溶性増大置換基は、その炭素原子の1個または
それ以上を同一または異なるヘテロ原子で置き換えて直鎖および分枝のヘテロア
ルキル、シクロヘテロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキル
(限定ではなく、例として)を形成した炭化水素である。これらのヘテロアルキ
ル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアリール基およびヘテロアリールアルキ
ル基の炭素原子および/またはヘテロ原子(例えば、N)の1個またはそれ以上
は、上記のように、1個またはそれ以上の同一または異なる極性または非極性置
換基でさらに置換され得る。
【0011】 さらに別の実施態様では、これらの水溶性増大置換基は、それらが結合したア
ミド窒素と一緒になって、飽和または不飽和窒素含有環を形成する。この環は、
必要に応じて、1個またはそれ以上の同一または異なる追加環ヘテロ原子を含有
し得、そして/あるいは、必要に応じて、上記のように、1個またはそれ以上の
環炭素またはヘテロ原子において、同一または異なる極性または非極性置換基で
置換され得る。
【0012】 本発明の1実施態様では、これらの水溶性増大置換基は、ポリヒドロキシル化
アルキル、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類、ポリアルキレングリコー
ル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)ならび
にポリアルキレンオキシドからなる群から選択される。
【0013】 そのアミド窒素が単一の水溶性増大置換基のみを含有する本発明の実施態様で
は、他のアミド窒素置換基は、上記のように、水素または非極性置換基であり得
る。
【0014】 そのアミド窒素において炭水化物残基を含有する本発明の実施態様では、この
炭水化物残基は、一般に、アマドリ転位を経由して、還元炭水化物で付加される
【0015】 例証的な1実施態様では、本発明は、その薬学的に受容可能な塩を含めた構造
式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体を提供する:
【0016】
【化7】 ここで: N−R−C(O)は、ポリエンマクロライド骨格である; CH−Rは、炭水化物残基であり、この場合、図示したCHは、末端炭
水化物糖類の芳香族炭素から誘導され、そしてRは、この炭水化物の残部であ
る; 以下の(i)または(ii)のいずれかである:(i)RおよびRは、そ
れぞれ、互いに独立して、水素、非極性置換基および水溶性増大置換基からなる
群から選択されるが、但し、RおよびRの少なくとも1個は、水溶性増大置
換基である;または(ii)RおよびRは、それらが結合したアミド窒素と
一緒になって、飽和または不飽和環を形成し、該環は、必要に応じて、1個また
はそれ以上の同一または異なる追加環ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個ま
たはそれ以上の同一または異なる極性または非極性置換基あるいはそれらの組合
せでさらに置換されている;そして R14は、水素またはアルキルである。
【0017】 別の例証的な実施態様では、本発明は、その薬学的に受容可能な塩を含めた、
構造式(II)の化合物を提供する:
【0018】
【化8】 ここで: N−R−C(O)およびR14は、構造式(I)について先に定義したとお
りである; Rは、水素、非極性置換基または水溶性増大置換基である; Rは、水素またはアルキルである;そして Rは、ポリヒドロキシル化アルキル、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類から
なる群から選択された水溶性増大置換基である。
【0019】 構造式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体の特定の実施態様では、R は、水素であり、そして/またはR14は、水素である。構造式(II)のポ
リエンマクロライドアミド誘導体の特定の実施態様では、Rは、水素であり、
そして/またはRおよびR14の一方もしくは両方は、水素である。
【0020】 別の局面では、本発明は、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体を作製
する方法を提供する。構造式(II)(ここで、RおよびR14は、それぞれ
、水素である)のアミド誘導体を得るために、親ポリエンマクロライドは、公知
方法または下記の方法に従って、適当なアミンと反応される。構造式(II)(
ここで、Rおよび/またはR14は、アルキルである)の誘導体は、標準的な
アルキル化方法を使用して、上記生成物から得ることができる。あるいは、この
親ポリエンマクロライドは、まず、標準的な方法に従ってアルキル化され得、そ
のアルキル化中間体は、公知方法または下記の方法に従って、アミド化され得る
【0021】 構造式(I)(ここで、R14は、水素である)のポリエンマクロライドアミ
ド誘導体を得るために、親ポリエンマクロライドは、まず、アマドリ転位条件下
にて、適当な還元炭水化物と反応されて、アマドリ生成物を得、これは、そのア
ミノ窒素において、炭水化物残基で置換される。このアマドリ生成物は、次いで
、公知方法または下記の方法に従って、適当なアミンと反応されて、構造式(I
)のポリエンアミド誘導体を得る。構造式(I)(ここで、R14は、アルキル
である)の誘導体は、標準的なアルキル化方法を使用して、上記生成物から得る
ことができる。あるいは、この親ポリエンマクロライドは、まず、このアマドリ
転位反応の前に、モノアルキル化され得るか、またはそのアマドリ生成物は、こ
のアミド化反応前に、アルキル化され得る。
【0022】 あるいは、構造式(I)のアミド誘導体は、アマドリ転位条件下にて、構造式
(II)(ここで、RまたはR14の少なくとも1個は、水素である)のアミ
ド誘導体を適当な還元炭水化物と反応することにより、調製され得る。もし、こ
の代替経路を使用するなら、この還元炭水化物と反応できるアミド部分にある任
意の置換基は、その還元炭水化物との反応前に、保護すべきである。もし、その
出発物質のRおよびR14が、それぞれ、水素であるなら、構造式(I)(こ
こで、R14は、アルキルである)の誘導体は、標準的なアルキル化方法を使用
して、上記生成物から得ることができる。
【0023】 本発明の特定の実施態様では、その合成のアミド化工程は、ウロニウム塩また
はホスホニウム塩カップリング剤を使用して、実行される。この反応は、典型的
には、有機アミン含有塩基の存在下にて、実行される。
【0024】 別の実施態様では、式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、ワンポ
ット反応で合成される。この実施態様によれば、親ポリエンマクロライドは、ま
ず、アマドリ転位条件下にて、還元炭水化物と反応される。何ら単離または精製
せずに、このアマドリ生成物は、次いで、上記のように、ウロニウム塩またはホ
スホニウム塩カップリング剤を使用して、アミド化される。もし、アルキル化誘
導体が望ましいなら、この親ポリエンマクロライドは、まず、アルキル化し、次
いで、このワンポット反応での出発試薬として使用すべきである。
【0025】 記述した合成経路の全てでは、適当な場合、その中間体および/または反応生
成物は、標準的な技術(例えば、沈殿および/またはクロマトグラフィー)を使
用して、単離され得る。
【0026】 別の局面では、本発明は、これらの新規ポリエンマクロライドアミド誘導体を
含有する薬学的組成物を提供する。これらの薬学的組成物は、一般に、本発明の
1種またはそれ以上のポリエンマクロライドアミド誘導体(これらは、その薬学
的に受容可能な塩の形状であり得る)および薬学的に受容可能なキャリア、賦形
剤または希釈剤を含有する。キャリア、賦形剤または希釈剤の選択は、特に、所
望の投与形態に依存している。
【0027】 さらに別の局面では、本発明は、真菌(例えば、C.albicansおよび
他のカンジダ属(例えば、C.glabrata)、Crytococcus
neoformans属、Blastomyces dermatitidis
属、Histoplasma capsulatum属、Torulopsis
glabrata属、Coccidioides immitus属、Par
acoccidioides braziliensis属、Aspergil
lus属およびムコール菌症の薬剤)の成長を阻止する方法を提供する。この方
法は、一般に、真菌を、その真菌の成長を阻止するのに有効な量の本発明のポリ
エンマクロライドアミド誘導体またはその薬学的に受容可能な塩と接触させる工
程を包含する。この方法は、静真菌性効果(この場合、その真菌の成長は、阻止
される)を達成するために、または殺真菌性効果(この場合、その真菌は、殺さ
れる)を達成するために、実行され得る。
【0028】 最終局面では、本発明は、ヒト、動物および/または植物における真菌感染を
治療および/または予防する方法を提供する。これらの方法は、一般に、ヒト、
動物または植物に、このヒト、動物または植物における真菌感染を治療または予
防するのに有効な量で、1種またはそれ以上の本発明のポリエンマクロライドア
ミド誘導体または薬学的組成物を投与する工程を包含する。このポリエンマクロ
ライドアミド誘導体または薬学的組成物は、その真菌感染の性質に依存して、全
身的に投与されるか局所的に適用され得る。
【0029】 (4.好ましい実施態様の詳細な説明) (4.1 定義) 本明細書中で使用する以下の用語は、以下の意味を有することが意図される。
【0030】 「アルキル」とは、飽和または不飽和の分枝、直鎖または環状一価炭化水素基
であって、親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一炭素原子から1個の水素
原子を除去することにより誘導されたものを意味する。典型的なアルキル基には
、メチル;エチル(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル(例え
ば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プ
ロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−
1−イル(アリル)、シクロプロプ−1−エン−1−イル、シクロプロプ−2−
エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルな
ど);ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プ
ロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル
、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ
−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル
、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロ
ブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブト−1
,3−ジエン−1−イル、ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イ
ル、ブト−3−イン−1−イルなど);などが挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0031】 「アルキル」との用語は、具体的には、任意の飽和度または飽和レベルを有す
る基、すなわち、炭素−炭素単結合だけを有する基、1個またはそれ以上の炭素
−炭素二重結合を有する基、1個またはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有する
基、ならびに炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合
の混合物を有する基を含むことが意図される。特定の飽和レベルを意味している
場合、「アルカニル」、「アルケニル」および「アルキニル」との表現が使用さ
れる。「低級アルキル」との表現は、1個〜8個の炭素原子を含むアルキル基を
意味する。
【0032】 特定のアルキルを構成する炭素原子の数は、広く変わり得、得られる分子の特
性によってのみ限定される。例えば、もし、アルキルが、水溶性増大置換基に非
極性置換基として含まれるなら、それは、その水溶性増大置換基が網状疎水性(
net hydrophobic)とならない炭素原子の数であるべきである。
この場合、このアルキルは、一般に、1個〜20個の炭素原子、典型的には、1
個〜10個の炭素原子、通常、1個〜8個の炭素原子、最も頻繁には、1個〜4
個の炭素原子を含有する。そのアミノ窒素でアルキル化された本発明のアミド誘
導体には、そのアルキルは、一般に、1個〜20個の炭素原子、典型的には、1
個〜10個の炭素原子、通常、1個〜8個の炭素原子、最も頻繁には、1個〜4
個の炭素原子を含有するものの、それは、得られる分子が本明細書中で記述のよ
うに活性であるという条件で、さらに多くの数の炭素原子を含有し得る。
【0033】 「アルカニル」とは、飽和の分枝、直鎖または環状アルキル基であって、親ア
ルカンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導されたもの
を意味する。典型的なアルカニル基には、メタニル;エタニル;プロパニル(例
えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロ
パン−1−イルなど);ブタニル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イ
ル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−
メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど);
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】 「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の
分枝、直鎖または環状アルキル基であって、親アルケンの単一炭素原子から1個
の水素原子を除去することにより誘導されたものを意味する。この基は、その二
重結合の周りにおいて、シス立体配座またはトランス立体配座のいずれかであり
得る。典型的なアルケニル基には、エテニル;プロペニル(例えば、プロプ−1
−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル
(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル
、シクロプロプ−2−エン−1−イル);ブテニル(例えば、ブト−1−エン−
1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イ
ル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジ
エン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1
−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−
イルなど);などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】 「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の
分枝、直鎖または環状アルキル基であって、親アルキンの単一炭素原子から1個
の水素原子を除去することにより誘導されたものを意味する。典型的なアルキニ
ル基には、エチニル;プロピニル(例えば、プロプ−1−イン−1−イル、プロ
プ−2−イン−1−イルなど);ブチニル(例えば、ブト−1−イン−1−イル
、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなど);などが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0036】 「シクロアルキル」とは、飽和または不飽和の環状アルキル基を意味する。特
定の飽和レベルが意図される場合、「シクロアルカニル」または「シクロアルケ
ニル」との術語が使用される。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロパン
、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから誘導した基が挙げら
れるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、このシクロアルキル基
は、(C〜C)シクロアルキル、さらに好ましくは、(C〜C)シクロ
アルカニルである。
【0037】 「アルキルジル」とは、飽和または不飽和の分枝、直鎖または環状二価炭化水
素基であって、親アルカン、アルケンまたはアルキンの2個の異なる炭素原子の
各々から1個の水素原子を除去することにより、あるいは親アルカン、アルケン
またはアルキンの単一炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導さ
れたものを意味する。これらの2個の一価ラジカルの中心または二価ラジカル中
心の各原子価は、同一または異なる原子で結合を形成できる。典型的なアルキル
ジル基には、メタンジル;エチルジル(例えば、エタン−1,1−ジル、エタン
−1,2−ジル、エテン−1,1−ジル、エテン−1,2−ジル);プロピルジ
ル(例えば、プロパン−1,1−ジル、プロパン−1,2−ジル、プロパン−2
,2−ジル、プロパン−1,3−ジル、シクロプロパン−1,1−ジル、シクロ
プロパン−1,2−ジル、プロプ−1−エン−1,1−ジル、プロプ−1−エン
−1,2−ジル、プロプ−2−エン−1,2−ジル、プロプ−1−エン−1,3
−ジル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジル、シクロプロプ−2−エン−1
,2−ジル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジル、プロプ−1−イン−1,
3−ジルなど);ブチルジル(例えば、ブタン−1,1,−ジル、ブタン−1,
2−ジル、ブタン−1,3−ジル、ブタン−1,4−ジル、ブタン−2,2−ジ
ル、2−メチル−プロパン−1,1−ジル、2−メチル−プロパン−1,2−ジ
ル、シクロブタン−1,1−ジル、シクロブタン−1,2−ジル、シクロブタン
−1,3−ジル、ブト−1−エン−1,1−ジル、ブト−1−エン−1,2−ジ
ル、ブト−1−エン−1,3−ジル、ブト−1−エン−1,4−ジル、2−メチ
ル−プロプ−1−エン−1,1−ジル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−
ジル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−
ジル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−
ジル、シクロブト−1−エン−1,2−ジル、シクロブト−1−エン−1,3−
ジル、シクロブト−2−エン−1,2−ジル、シクロブト−1,3−ジエン−1
,2−ジル、シクロブト−1,3−ジエン−1,3−ジル、ブト−1−イン−1
,3−ジル、ブト−1−イン−1,4−ジル、ブタ−1,3−ジン−1,4−ジ
ルなど);などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の不飽和レベルが
意図されている場合、アルカニルジル、アルケニルジルおよび/またはアルキニ
ルジルという術語が使用される。好ましい実施態様では、このアルキルジル基は
、(C〜C)アルキルジルである。飽和非環式アルカニルジル基もまた、好
ましく、ここで、それらのラジカル中心は、その末端炭素にあり、例えば、エタ
ンジル(メタノ);エタン−1,2−ジル(エタノ);プロパン−1,3−ジル
(プロパノ);ブタン−1,4−ジル(ブタノ)など(これらはまた、以下で定
義のアルキレノとも呼ばれる)がある。
【0038】 「アルキレノ」とは、2個の末端一価ラジカル中心を有する直鎖アルキルジル
基であって、直鎖親アルカン、アルケンまたはアルキンの2個の末端炭素原子の
各々から1個の水素原子を除去することにより誘導されるものをいう。典型的な
アルキレノ基には、メタノ;エチレノ(例えば、エタノ、エテノ、エチノ);プ
ロピレノ(例えば、プロパノ、プロプ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プ
ロプ[1]イノなど);ブチレノ(例えば、ブタノ、ブト[1]エノ、ブト[2
]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブト[1]イノ、ブト[2]イノ、ブト[1,
3]ジイノなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定レベルの飽
和が意図されている場合、アルカノ、アルケノおよび/またはアルキノという術
語が使用される。好ましい実施形態では、このアルキレノ基は、(C〜C
または(C〜C)アルキレノである。直鎖飽和アルカノ基もまた、好ましく
、例えば、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなどがある。
【0039】 「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルキニル
、ヘテロアルキルジルおよびヘテロアルキレノ」とは、それぞれ、その1個以上
の炭素原子(および任意の結合した水素原子)が、それぞれ別個に、同一または
異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き換えられたアルキル基、アルカニル
基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジル基およびアルキレノ基をいう。
これらの基に含めることができる典型的なヘテロ原子またはヘテロ原子基には、
−O−、−S−、−Se−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−O−S−
O−、−O−NR’−、−NR’−、−NR’−NR’−、=N−N=、−N=
N−、−N=N−NR’−、−PH−、−P(O)−、−O−P(O)−、
−SH−、−S(O)−、−SnH−など、およびそれらの組合せ(例え
ば、−NR’−S(O)−を含む)が挙げられるが、これらに限定されず、こ
こで、各R’は、別個に、本明細書中で定義されるように、水素、アルキル、ア
ルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリ
ールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択される。
【0040】 「シクロヘテロアルキル」とは、1個以上の炭素原子(および任意の結合した
水素原子)が、別個に、同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き
換えられた飽和または不飽和の環状アルキル基をいう。この炭素原子を置き換え
る典型的なヘテロ原子には、N、P、O、S、Siなど(任意の結合した水素原
子(例えば、NH)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。特定レベ
ルの飽和が意図されている場合、「シクロヘテロアルカニル」または「シクロヘ
テロアルケニル」という術語が使用される。典型的なシクロヘテロアルキル基に
は、以下から誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない:エポキシド
、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロ
リジン、キヌクリジンなど。好ましい実施形態では、このシクロヘテロアルキル
は、3員〜6員のシクロヘテロアルキルである。特に好ましいシクロヘテロアル
キルは、モルホリノ、ピロリジノ、ピピリジノ、テトラヒドロチオフェノ、テト
ラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルである。
【0041】 「親芳香環系」とは、共役π電子系を有する不飽和の環式または多環式環系を
意味する。具体的には、「親芳香環系」との定義には、これらの環の1個以上が
芳香族であり、かつこれらの環の1個以上が飽和または不飽和である縮合環系(
例えば、インダン、インデン、フェナレンなど)が含まれる。典型的な親芳香環
系には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラ
セン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン
、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン
、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、
オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、
ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン(pleiad
ene)、ピレン、ピラントレン(pyranthrene)、ルビセン、トリ
フェニレン、トリナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】 「アリール」とは、一価芳香族炭化水素基であって、親芳香環系の単一炭素原
子から1個の水素原子を除去することにより誘導されたものをいう。典型的なア
リール基には、以下から誘導された基が挙げられるが、これらに限定されない:
アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、ア
ズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサ
セン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダ
ン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン
、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン
、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン
、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなど。好ましい実施形態では、こ
のアリール基は、(C〜C14)アリールであり、(C〜C10)アリール
がさらに好ましい。特に好ましいアリールは、シクロペンタジエニル、フェニル
およびナフチルである。
【0043】 「アリールアルキル」とは、炭素原子(典型的には、末端またはsp炭素原
子)に結合した水素原子の1個がアリール基で置き換えられた非環式アルキル基
をいう。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、2−フェニルエタン−1
−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン
−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェ
ニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定のアル
キル部分が意図されている場合、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよ
び/またはアリールアルキニルという術語が使用される。好ましい実施形態では
、このアリールアルキル基は、(C〜C20)アリールアルキルであり、例え
ば、このアリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニ
ル部分は、(C〜C)であり、そしてそのアリール部分は、(C〜C14 )である。特に好ましい実施形態では、このアリールアルキル基は、(C〜C13 )であり、例えば、このアリールアルキル基のアルカニル部分、アルケニル
部分またはアルキニル部分は、(C〜C)であり、そしてそのアリール部分
は、(C〜C10)である。
【0044】 「親ヘテロ芳香環系」とは、1個以上の炭素原子(および任意の結合した水素
原子)が、それぞれ別個に、同一または異なるヘテロ原子で置き換えられた親芳
香環系をいう。これらの炭素原子を置き換える典型的なヘテロ原子には、N、P
、O、S、Si(任意の結合した水素原子(例えば、NH)を含む)などが挙げ
られるが、これらに限定されない。具体的には、「親ヘテロ芳香環系」との定義
には、それらの環の1個以上が、芳香族であり、これらの環の1個以上が、飽和
または不飽和である縮合環系(例えば、アルシンドール(arsindole)
、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど)が挙げられ
る。典型的な親ヘテロ芳香環系には、アルシンドール、カルバゾール、β−カル
ボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾー
ル、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン
、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサ
ゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン(per
imidine)、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラ
ジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリ
ジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン
、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、ト
リアゾール、キサンテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】 「ヘテロアリール」とは、一価ヘテロ芳香族基であって、親ヘテロ芳香環系の
単一原子から1個の水素原子を除去することにより誘導されたものをいう。典型
的なヘテロアリール基には、以下から誘導された基が挙げられるが、これらに限
定されない:アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、ク
ロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インド
ール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソイン
ドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナ
フチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン
、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、
ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリ
ジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チア
ジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなど。好まし
い実施形態では、このヘテロアリール基は、5員〜14員のヘテロアリールであ
り、5員〜10員のヘテロアリールが特に好ましい。最も好ましいヘテロアリー
ル基には、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドー
ル、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから誘導
されたものがある。
【0046】 「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子(典型的には、末端またはsp 炭素原子)に結合した水素原子の1個をヘテロアリール基で置き換えた非環式ア
ルキル基をいう。特定のアルキル部分が意図されている場合、ヘテロアリールア
ルカニル、ヘテロアリールアルケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニル
との術語が使用される。好ましい実施形態では、このヘテロアリールアルキル基
は、6員〜20員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、このヘテロアリー
ルアルキルのアルカニル部分、アルケニル部分またはアルキニル部分は、1員〜
6員であり、そしてそのヘテロアリール部分は、5員〜14員のヘテロアリール
である。特に好ましい実施形態では、このヘテロアリールアルキルは、6員〜1
3員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、そのアルカニル部分、アルケニ
ル部分またはアルキニル部分は、1員〜3員であり、そしてそのヘテロアリール
部分は、5員〜10員のヘテロアリールである。
【0047】 (4.2 化合物) 本発明は、2種類の新しいクラスのポリエンマクロライドアミド誘導体(およ
び/またはその薬学的に受容可能な塩)、新規ポリエンマクロライドアミド誘導
体を含有する薬学的組成物、新規ポリエンマクロライドアミド誘導体を作製する
方法、および新規ポリエンマクロライドアミド誘導体および/または薬学的組成
物を使用して、植物および動物の両方(ヒトを含む)において真菌の成長を阻害
ならびに/または真菌感染を治療および/または予防する方法を提供する。
【0048】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、伝統的なポリエンマクロライ
ド抗真菌剤を超える著しい利点を提供する。例えば、本発明のポリエンマクロラ
イドアミド誘導体は、伝統的なポリエンマクロライド抗真菌剤(例えば、アンホ
テリシンB(AmB)およびアンホテリシンBメチルエステル(AME))より
も水溶性であり、そして多くは、これらよりも低い急性毒性を示す。一部には、
それらの水溶性が原因で、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、大規
模な処方を必要とせず、使用が非常に簡単になる。殆どのものは、それらの遊離
塩基形態で、水に容易に溶解し、そして全てのものは、薬学的に受容可能な塩(
例えば、アスパラギン酸塩)として調製したとき、水に容易に溶解性である。そ
れゆえ、本発明のアミド誘導体は、乾燥状態で保存され得、そして使用直前に、
水または他の水性ビヒクルに溶解され得る。これは、AmB(これは、典型的に
は、脂質処方として販売されている(例えば、FUNGIZONE,Brist
on−Meyers Squibb Co.))とは全く対照的である。
【0049】 本発明に従うポリエンマクロライドアミド誘導体の1つのクラスには、その薬
学的に受容可能な塩を含む、構造式(I)の化合物:
【0050】
【化9】 が挙げられる。ここで: N−R−C(O)は、ポリエンマクロライド骨格である; CH−Rは、炭水化物残基であり、この場合、図示したCHは、末端炭
水化物糖類の芳香族炭素から誘導され、そしてRは、該炭水化物の残部を示す
; 以下の(i)または(ii)のいずれかである:(i)Rは、水素、非極性
置換基および水溶性増大置換基からなる群から選択され、そしてRは、水溶性
増大置換基である;または(ii)RおよびRは、それらが結合したアミド
窒素と一緒になって、飽和または不飽和環を形成し、該環は、必要に応じて、1
個以上の同一または異なるさらなる環ヘテロ原子を含み、これは、必要に応じて
、1個以上の同一または異なる極性または非極性置換基あるいはそれらの組合せ
でさらに置換される;そして R14は、水素またはアルキルである。
【0051】 本発明に従うポリエンマクロライドアミド誘導体の他のクラスには、その薬学
的に受容可能な塩を含む、構造式(II)の化合物:
【0052】
【化10】 が挙げられる。ここで: N−R−C(O)およびR14は、構造式(I)について先に定義したとお
りである; Rは、水素、非極性置換基または水溶性増大置換基である; Rは、水素またはアルキルである;そして Rは、ポリヒドロキシル化アルキル、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類から
なる群から選択される水溶性増大置換基である。
【0053】 本発明の化合物は、特定の型の「親」ポリエンマクロライドのアミド誘導体で
ある。具体的には、この親ポリエンマクロライドは、例えば、AmBおよびナイ
スタチンで例示されるように、環外カルボキシル基およびアミノ糖残基を有する
型のものである。構造式(I)および(II)の化合物では、この親ポリエンマ
クロライドの環外カルボキシル基は、アミド基に転化される。この環外アミド基
の窒素原子(「アミド窒素」)は、以下でさらに詳細に記載するように、AmB
およびAMEと比較して、得られる化合物の水溶性を高める1個以上の同一また
は異なる置換基で置換される。
【0054】 構造式(I)の化合物では、この親ポリエンマクロライドのアミノ糖残基の第
一級アミノ基は、炭水化物残基で置換される。この炭水化物残基は、以下でさら
に詳細に記載するが、末端糖類単位のアノマー炭素を介して、この第一級アミノ
基の窒素原子(「アミノ窒素」)に結合される。構造式(I)および(II)の
化合物もまた、このアミノ窒素でアルキル化され得る。ジアルキル化される式(
II)の化合物の実施形態では、そのアルキル基は、同一または異なり得る。
【0055】 式(I)および(II)のポリエンマクロライドアミド誘導体では、ポリエン
骨格N−R−C(O)は、上述の特徴を有する任意の公知の親ポリエンマクロ
ライドまたは後に発見された親ポリエンマクロライドから誘導され得る。好まし
くは、骨格N−R−C(O)が誘導される親ポリエンマクロライドは、抗真菌
活性を有する。ポリエン骨格N−R−C(O)が誘導され得る必要な特徴を有
する親ポリエンマクロライドの非限定的な例には、アンホテリシンA(AmA)
、アンホテリシンB(AmB)、アウレオファシン、カンジシジン、カンジジン
、レボリン、マイコヘプチン、ナイスタチン(Aを含む)、パルトリシン(A
およびBを含む)、ペンタマイシン(pentamycin)、ペリマイシン(
perimycin)、ピマリシン、ポリファンギン、リモシジンおよびトリコ
マイシンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいクラスのポリエン骨
格N−R−C(O)には、AmBおよびナイスタチンから誘導されるものがあ
る。ナイスチンおよびAmBの構造は、以下で図示したとおりであり、これには
、これらの親ポリエンマクロライドを得る方法を参照する引用が含まれる(各親
ポリエンマクロライドについて、必要なアミノ糖残基の必要な環外カルボキシル
基およびアミノ第一級基は、太字で図示されており、矢印で示されている):
【0056】
【化11a】
【0057】
【化11b】 構造式(I)および(II)の化合物では、その分子の図示されたN−R
C(O)部分は、この親ポリエンマクロライドにより導かれる。当業者は、R および/またはR14が水素であるとき、これらの水素はまた、この親ポリエン
マクロライドにより導かれることを認識している。さらに、ポリエン骨格N−R −C(O)が、親ポリエンマクロライドの大環部分に結合したアミノ糖部分(
例えば、AmBおよびナイスタチンの3−アミノ−3,6−ジデオキシマンノー
ス)を含有することが理解される。このアミノ糖は、この親ポリエンマクロライ
ドの固有部分であり、式(I)の炭水化物残基CH−R(これは、この親ポ
リエンマクロライドにより導かれず、かつ本発明の特定のアミド誘導体の発明的
特徴の1つを構成する)から区別されるべきである。
【0058】 本明細書中に記載した術語および化合物を明確にする特定の例として、AmB
から誘導されるポリエン骨格N−R−C(O)は、以下で図示されており、こ
こで、太字点線は、式(I)のアミド誘導体においてCH−R、NR およびR14置換基に結合した原子、ならびに式(II)のアミド誘導体におい
てNR、RおよびR14置換基を示す:
【0059】
【化12】 他の親ポリエンマクロライドから誘導されるポリエン骨格N−R−C(O)
の構造は、当業者に明らかである。
【0060】 本発明の化合物をさらに説明するために、構造式(I)および(II)(ここ
で、N−R−C(O)は、AmBから誘導されるポリエンマクロライド骨格で
ある)のアミド誘導体は、それぞれ、構造(Ia)および(IIa)として、以
下に提供される:
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】 構造式(I)のアミド誘導体では、炭水化物残基CH−Rは、長さが任意
数の糖類単位であり得、典型的には、1個〜約100個の糖類単位にわたる。そ
れゆえ、この炭水化物残基は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(これは、3個〜十
数個の糖類単位を含有する)または多糖類(これは、十数個〜30個、40個、
50個、60個、100個、数百個、数千個以上の糖類単位を含有する)であり
得る。大低の場合、この炭水化物残基は、単糖類、二糖類またはオリゴ糖類であ
る。しかし、AmBのアミノ糖残基を大きい重合体で置換しても、その化合物の
抗菌活性に悪影響を与えないことが発見されているように、炭水化物残基CH −Rは、大きい水溶性多糖類であり得、依然として、抗菌活性を保持する。炭
水化物残基CH−Rについて水溶性が低い大きな多糖類を含むポリエンマク
ロライドアミド誘導体は、局所的に使用され得るか、または非水性環境において
、抗菌剤として使用され得る。あるいは、この化合物の水溶性の特性は、以下で
さらに詳細に述べるように、水溶性が高い置換基R(例えば、非常に極性の置
換基)を選択することにより、改良され得る。式(I)のアミド誘導体が、その
アミド窒素において、水溶性増大置換基を含有するので、本発明の化合物の著し
い利点は、アミド窒素置換基の選択によってそれらの水溶性を選択的に調整する
能力である。
【0063】 炭水化物残基CH−Rは、ホモ重合体(ここで、全ての糖類単位は、同一
である)であり得るか、または異なる糖類単位の混合物を含有するヘテロ重合体
であり得る。この炭水化物残基は、以下でさらに詳細に述べるように、分枝また
は直鎖であり得、これらの糖類単位は、互いに別個に、環状立体配座、直鎖立体
配座、または環状立体配座と直鎖立体配座との混合物であり得る。さらに、式(
I)のポリエンマクロライドアミド誘導体を合成するのに使用されるアマドリ転
位反応の束縛だけを受けて、炭水化物残基CH−Rの糖類単位は、種々の異
なる置換基で置換され得る。これらの置換基は、本発明の誘導体に望ましい特性
(例えば、改良された水溶性、低い毒性など)を与えるのに使用され得、これら
は、当業者に明らかである。
【0064】 式(I)のアミド誘導体を合成する方法に関連してさらに詳細に記載するよう
に、炭水化物残基CH−Rが、適当な還元炭水化物(代表的には、還元糖)
のアマドリ転位を介して生成されることが理解される。従って、式(I)の誘導
体の炭水化物残基CH−Rは、式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導
体を生じるアマドリ転位反応で反応物として使用される還元炭化水素とは異なる
構造を有する。アマドリ転位反応の原理およびアマドリ転位を受けることができ
る還元炭水化物の必要条件は、周知であり、よく理解されている。簡潔に、単糖
類で例示されるこれらの還元炭水化物の転位および必要条件を、以下に図示する
【0065】
【化15】 この転位を受けることができる還元炭水化物の必要条件は、種々のR基で規定
される。一般に、この炭水化物反応物は、アルドースであり、その2位にある水
酸基は、存在しなければならず、そして、妨害されていない状態でなければなら
ない。化合物40、41、42、43、44および45では、aは、0から実質
的に任意の数までの整数であり、ここで、aは、開放鎖配座異性体においてのみ
、0である;R10は、水素、アルキル、アルキリデン、シクロアルキル、アリ
ールアルキル、アリール、グリコシルまたは重合体であるが、アシルまたは強力
電子吸引基ではない;R11は、水素、アルキル、アルキリデン、アリールアル
キルであるが、R10がアリールのとき、アリールではなく、さらに、反応して
いるアミン中での(R10+R11)の組合せは、その窒素原子を立体障害すべ
きではない;そしてR13は、水素、−CHOH、−CH、−COOH、−
CONHR、−COOなどであり、ここで、Rは、例えば、水素またはア
ルキルであり、そしてMは、金属イオン(例えば、Na、Kなど)を表わ
す。これらの属性を有する任意の還元炭水化物は、アマドリ転位を受けて、式(
I)のポリエンマクロライドアミド誘導体を生じ得る。このアマドリ転位の必要
条件に関するさらなる指針については、Hodge & Fisher,「Am
adori Rearrangement Products」、In:Met
hods in Carbohydrate Chemistry,II巻、R
eactions of Carbohydrates,Whistler &
Wolfram編、99〜107頁,Academic Press,Inc
.,New York(1963)を参照のこと。当業者は、所望の炭水化物残
基CH−Rを有する式(I)のアミド誘導体を得るために、適当な還元炭水
化物反応物を選択できる。表1は、構造式(I)のポリエンマクロライドアミド
誘導体を生成するのに使用され得るアマドリ転位を受けることができる還元炭水
化物の代表的なリストを提示する。適当な特性を有する他の炭水化物は、当業者
に明らかである。
【0066】 当業者は、上で説明したアマドリ転位が炭水化物だけを例示していることを理
解する。本明細書中で記述した反応およびポリエンマクロライドアミド誘導体に
ついては、化合物40、41、42、43、44および45では、R10は、R −C(O)に相当し、そしてR11は、構造式(I)のR14に相当している
【0067】
【表1】 構造式(I)のアミド誘導体にある炭水化物残基CH−Rの絶対的な立体
配置は、成功には重要ではない。それゆえ、反応物として使用される還元炭水化
物(例えば、表1の還元炭水化物)は、その反応生成物の所望の立体配置に依存
して、D−異性体、L−異性体、またはD−異性体とL−異性体との混合物であ
り得る。もし、必要に応じて、純粋な化合物が望ましいなら、そのアマドリ転位
反応の反応物として、純粋な光学異性体である還元炭水化物を選択すべきである
【0068】 これらの還元炭水化物(例えば、表1の還元炭水化物)はまた、α−配座異性
体またはβ−配剤異性体、またはα−およびβ−配座異性体の混合物のいずれか
であり得る。このアルデヒド反応の作用機構が原因で、対応するα−およびβ−
配座異性体の還元炭水化物反応物は、同じアマドリ生成物を生じる。
【0069】 上記転位で説明しているように、アマドリ転位反応により生成される炭水化物
残基は、環状立体配座または直鎖立体配座のいずれかであり得、または環状およ
び直鎖配座異性体の混合物であり得ることが分かる。本明細書中で図示した式(
I)の特定のポリエンマクロライドアミド誘導体では、このアマドリ転位を経由
して付加された種々の炭水化物残基は、それらの環状立体配置で示されている。
しかしながら、これらの図示は、決して、図示した誘導体または構造式(I)の
任意のポリエンマクロライドアミド誘導体の炭水化物残基をその環状形状に限定
するつもりはない。この炭水化物残基が単糖類であるとき、それは、直鎖、環状
、または直鎖および環状配座異性体の混合物であり得る。この炭水化物残基が、
二糖類、オリゴ糖類または多糖類であるとき、各単糖類単位は、環状または直鎖
、または直鎖および環状配座異性体の混合物であり得る。それゆえ、構造式(I
)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、純粋な化合物の形状、または2種ま
たはそれ以上の異なる配座異性体の混合物の形状であり得る。その唯一の要件は
、このポリエンマクロライドアミド誘導体が、単一化合物または異なる配座異性
体の混合物であろうと、本明細書中で記述した抗菌活性を有することにある。も
し望ましいなら、純粋な配座異性体は、当業者に周知の技術を使用して、単離さ
れ得る。
【0070】 いくつかの実施態様では、式(I)のポリエンマクロライド誘導体は、アマド
リ転位生成物であり、ここで、その還元炭水化物反応物は、α−配座、β−配座
、D−配座またはL−配座またはそれらの混合物のいずれかで、グルコース、マ
ルトース、セロビオース、ラクトース、アロースおよびガラクトースからなる群
から選択される。
【0071】 式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体では、そのアミド窒素は、そこ
に結合されているか、および/または1種またはそれ以上の同一または異なる水
溶性増大置換基(これらは、Rおよび/またはRとして命名されている)水
溶性増大置換基は、一般に、1個またはそれ以上の同一または異なるヘテロ原子
を含有させることによって、極性を有する基を含有する。このようなヘテロ原子
は、典型的には、O、N、NHおよびSからなる群から選択されるものの、他の
ヘテロ原子は、使用され得る。
【0072】 1実施態様では、これらの水溶性増大置換基は、炭化水素、例えば、直鎖およ
び分枝アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリールアルキルがあり、こ
れらは、1個またはそれ以上の同一または異なる極性置換基で置換されている。
典型的な極性置換基には、−OH、−SH、=O(オキソ)、=S(チオ)、−
NH、=NH(イミノ)、−C(=NH)−NH(アミジノ)、−NH−C
(=NH)−NH(グアニジノ)、−C(O)H、−C(O)OH、−C(O
)O、−C(O)NH、−N、−CN、−X、−CXなどが挙げら
れるが、これらに限定されず、ここで、各Xは、別個に、ハロゲン(好ましくは
、F、ClまたはBr)であり、そしてMは、一価対イオン(例えば、Na 、Kなど)を表わす。これらの極性置換したアルキル、シクロアルキル、アリ
ールおよびアリールアルキルはまた、必要に応じて、1個またはそれ以上の同一
または異なる非極性置換基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリールおよ
びアリールアルキルなど)であり得る;しかしながら、極性置換基および非極性
置換基の組合せを選択するときには、その水溶性増大置換基の全体的な正味の特
性が極性となることを保証するように、注意を払うべきである。好ましい極性置
換した炭化水素水溶性増大置換基には、複数の極性置換基を含有するもの、例え
ば、複数の同一または異なる極性置換基で置換した(C〜C10)アルキルお
よび(C〜C10)シクロアルキルがある。1実施態様では、これらの複数の
極性置換基は、互いに別個に、低級アルコキシ基、メトキシ基、ヒドロキシ基、
アミノ基、イミノ基、アミジノ基およびグアニジノ基からなる群から選択される
【0073】 別の実施態様では、このヘテロ原子は、炭化水素の鎖に含まれ、これらの水溶
性増大置換基が、直鎖または分枝ヘテロアルキル(例えば、エーテル、チオエー
テル、スルホンアミド、アルキルアミンなど)、シクロヘテロアルキル(例えば
、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロ
リジン、キヌクリジンなど)、ヘテロアリール(例えば、クロマン、クロメン、
フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン
、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキ
ノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、フェナントロリン、
フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン
、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノ
キサリン、チオフェン、キサンテンなど)およびヘテロアリールアルキル(これ
には、例えば、式−(CH−R22の化合物が挙げられ、ここで、mは、
1〜6の整数であり、そしてR22は、ヘテロアリールである)となるようにさ
れる。これらのヘテロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、ヘテロアリール基
およびヘテロアリールアルキル基の炭素原子および/またはヘテロ原子(例えば
、N、NHなど)の1個またはそれ以上は、上記のように、1個またはそれ以上
の同一または異なる極性または非極性置換基でさらに置換され得る。再度、これ
らの種々の極性および非極性置換基は、得られる水溶性増大置換基の全体的な正
味の特性が極性となるように、選択すべきである。この形式の好ましい水溶性増
大置換基には、先に記述したように、1個または2個の同一または異なるヘテロ
原子を含有するもの、および炭素原子またはヘテロ原子の1個またはそれ以上で
必要に応じて置換したものがある。1実施態様では、これらの水溶性増大置換基
は、飽和または不飽和の5員環〜6員環であり、これらは、1個または2個の同
一または異なるヘテロ原子、好ましくは、O、N、NHおよびSからなる群から
選択されるヘテロ原子を含有する。これらのヘテロ原子含有環は、先に記述した
ように、必要に応じて、1個またはそれ以上の同一または異なる極性置換基また
は非極性置換基で置換され得る。このような5員環または6員環を非極性置換基
で置換するとき、これらの環は、1置換されており、その置換基は、典型的には
、(C〜C)アルキル、(C〜C3〜4)アルカニル、(C〜C)ア
リール、フェニル、6員〜9員のアリールアルキルおよびベンジルからなる群か
ら選択される。これらの、置換または非置換のヘテロ原子含有環は、そのアミド
窒素に直接結合され得るか、またはアミン、アルキルアミンまたはアルキルジル
スペーサ部分(好ましくは、a−NH−、(C〜C10)アルキルジル、(C 〜C10)アルキレノまたは(C〜C)アルカノスペーサ部分)を介して
、そのアミド窒素から離れて配置され得る。
【0074】 さらに別の実施態様では、RおよびRは、一緒になって、それらが結合し
たアミド窒素が、飽和環または不飽和環の構成要素として含まれるようにされ、
この環は、先に記述したように、必要に応じて、1個またはそれ以上の同一また
は異なる追加ヘテロ原子を含有し得るか、および/または必要に応じて、その環
炭素またはヘテロ原子の1個またはそれ以上で、同一または異なる極性または非
極性置換基でさらに置換される。1実施態様では、このような環は、5員環また
は6員環である。このような5員環または6員環が、非極性置換基で置換される
とき、これらの環は、通常、一置換され、その置換基は、典型的には、(C
)アルキル、(C〜C3〜4)アルカニル、(C〜C)アリール、フ
ェニル、6員〜9員のアリールアルキルおよびベンジルからなる群から選択され
る。
【0075】 そのアミド窒素で単一の水溶性増大置換基だけを含有する構造式(I)および
(II)の化合物の実施態様では、他のアミド窒素置換基は、先に記述したよう
に、水素または非極性置換基であり得る。1実施態様では、この非極性置換基は
、低級アルキル、(C〜C3〜4)アルキル、低級アルカニルまたは(C
3〜4)アルカニルである。
【0076】 上記論述から分かるように、これらの水溶性増大置換基の組成は、成功には重
要ではない。有用な水溶性増大置換基のさらに非限定的な例には、ポリヒドロキ
シル化アルキル、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類、ポリアルキレング
リコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)
およびポリアルキレンオキシドが挙げられる。
【0077】 特定の1実施態様では、これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、構造
式(I)の化合物であり、ここで、 N−R−C(O)、CH−RおよびR14は、構造式(I)について先
に記述したとおりである; 以下の(i)または(ii)のいずれかである:(i)Rは、水素、(C 〜C)アルキル、1個またはそれ以上の同一または異なるR10基で置換され
た(C〜C)アルキル、−[(CH−NH]−(CH−NR1516、−NH−[(CH−NH]−(CH−NR15 、−[(CH−NH]−(CH−R17および−NH−[(C
−NH]−(CH−R17からなる群から選択され、そしてR は、1個またはそれ以上の同一または異なるR10基で置換された(C〜C )アルキル、−[(CH−NH]−(CH−NR1516
−NH−[(CH−NH]−(CH−NR1516、−[(C
−NH]−(CH−R17および−NH−[(CH−N
H]−(CH)p−R17からなる群から選択されるか、または(ii)R およびRは、それらが結合したアミド窒素原子と一緒になって、5員または
6員の飽和または不飽和環を形成し、該環は、必要に応じて、O、N、NHおよ
びSからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一または異なる追加ヘテ
ロ原子を含み、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素またはヘテロ原子に
おいて、同一または異なる置換基で置換されており、該置換基は、R10、(C 〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−(CH−R10、(
〜C)アリール、フェニル、6員〜9員アリールアルキルおよびベンジル
からなる群から選択される; 各R10は、別個に、−OH、=O(オキソ)、−NH(アミノ)、=NH
(イミノ)、−C(=NH)−NH(アミジノ)および−NH−C(=NH)
−NH(グアニジノ)からなる群から選択される; 以下の(i)または(ii)のいずれかである:(i)R15およびR16
、それぞれ別個に、水素、(C〜C)アルキル、および1個またはそれ以上
の同一または異なるR10基で別個に置換された(C〜C)アルキルからな
る群から選択されるか、または(ii)R15およびR16は、それらが結合し
た窒素原子と一緒になって、5員または6員の飽和または不飽和環を形成し、該
環は、必要に応じて、O、N、NHおよびSからなる群から選択された1個また
はそれ以上の同一または異なる追加ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個また
はそれ以上の環炭素またはヘテロ原子において、同一または異なる置換基で置換
されており、該置換基は、R10、(C〜C)アルキル、(C〜C)ア
ルコキシ、−(CH−R10、(C〜C)アリール、フェニル、6員
〜9員アリールアルキルおよびベンジルからなる群から選択される; R17は、5員または6員の飽和または不飽和環であり、該環は、O、N、N
HおよびSからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一または異なる追
加ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素またはヘテロ
原子において、同一または異なる置換基で置換されており、該置換基は、R10 、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−(CH−R 、(C〜C)アリール、フェニル、6員〜9員アリールアルキルおよびベ
ンジルからなる群から選択される; 各nは、別個に、1〜6の整数である;そして 各pは、別個に、0〜6の整数である。
【0078】 上記化合物の特定の1実施態様では、R15およびR16は、代替例(ii)
に従って定義され、飽和環を形成し、この環は、先に記述したように、必要に応
じて、追加ヘテロ原子を含有し、そして必要に応じて、置換されている。他の特
定の実施態様では、R17は、5員〜6員のヘテロアリール環であり、これは、
必要に応じて、上記のように置換されている。
【0079】 別の実施態様では、構造式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体および
/またはそれらの上記特定の実施態様は、適用できる場合、以下からなる群から
選択される1つまたはそれ以上の特徴を有する: N−R−C(O)は、AmBまたはナイスタチンから誘導されたポリエン骨
格である; CH−Rは、単糖類、二糖類またはオリゴ糖類であり、 Rは、水素である;および/または R14は、水素である。
【0080】 さらに別の実施態様では、本発明のポリエンマクロライド誘導体は、構造式(
I)の化合物であり、ここで: Rは、水素である; Rは、−NH−NR1516、−(CH−NR1516、−(C
−R17、および1個またはそれ以上のアミノ基または水酸基で置換さ
れた(C〜C)アルキルからなる群から選択される; R15およびR16は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、5員また
は6員の飽和または不飽和環を形成し、該環は、必要に応じて、O、S、Nおよ
びNHからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一または異なる追加ヘ
テロ原子を含み、および/または、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素
またはヘテロ原子において、同一または異なるR10基、(C〜C)アルキ
ル基、(C〜C)アルコキシ基、(C〜C)アリール基、フェニル基、
6員〜9員アリールアルキル基またはベンジル基で置換されている; R17は、5員または6員ヘテロアリールであり、該ヘテロアリールは、必要
に応じて、1個またはそれ以上の同一または異なる(C〜C)アルキル基、
(C〜C)アルコキシ基、(C〜C)アリール基、フェニル基、6員〜
9員アリールアルキル基またはベンジル基で置換されている;そして 他の全ての変数は、構造式(I)について定義したとおりである。
【0081】 さらに別の実施態様では、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、構
造式(I)の化合物であり、ここで: RおよびRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、5員または6
員シクロヘテロアルキル環を形成し、該環は、必要に応じて、1個またはそれ以
上の置換基で置換され、該置換基は、(C〜C)アルキル、(C〜C
アルコキシ、−(CH−R10、(C〜C)アリール、フェニル、6
員〜9員アリールアルキルおよびベンジルからなる群から選択される; R10は、アミノまたはヒドロキシである;そして 他の全ての変数は、構造式(I)について定義したとおりである。1実施態様
では、このシクロヘテロアルキル環は、モルホリン環またはピペラジン環である
。このピペラジン環は、置換されるとき、好ましくは、そのN−位置で置換され
る。
【0082】 構造式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体に関連して代表的な水溶性
増大置換基は、化合物(100)〜(122)および(127)〜(147)(
下記)を参照して説明される。その他の代表的な水溶性増大置換基は、Bruz
zeseらの米国特許第5,296,597号(特に、6欄〜10欄および表1
を参照)、Bruzzeseらの米国特許第5,298,495号(特に、表1
および2を参照)およびBruzzeseら、1996年、Eur.J.Med
.Chem.31:965〜972(特に、表Iを参照)で記述されており、そ
の開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0083】 構造式(I)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、炭水化
物CH−Rは、還元炭水化物としてα−D−グルコースを使用したアマドリ
転位生成物である)には、以下の化合物が挙げられる:
【0084】
【化16】 また、化合物(100)〜(107)および(127)〜(131)の対応す
るナイスタチン誘導体も例示されている。
【0085】 構造式(I)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、炭水化
物CH−Rは、その還元炭水化物としてD−ガラクトースを使用するアマド
リ転位生成物である)には、以下の化合物が挙げられる:
【0086】
【化17】 また、化合物(108)〜(115)および(132)〜(137)の対応す
るナイスタチン誘導体も例示されている。
【0087】 構造式(I)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、炭水化
物CH−Rは、その還元炭水化物としてD−マルトースを使用するアマドリ
転位生成物である)には、以下の化合物が挙げられる:
【0088】
【化18】 また、化合物(116)〜(122)および(138)〜(140)の対応す
るナイスタチン誘導体も例示されている。
【0089】 構造式(I)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、炭水化
物CH−Rは、その還元炭水化物としてD−セロビオースを使用するアマド
リ転位生成物である)には、以下の化合物が挙げられる:
【0090】
【化19】 また、化合物(141)〜(144)の対応するナイスタチン誘導体も例示さ
れている。
【0091】 構造式(I)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、炭水化
物CH−Rは、その還元炭水化物としてα−D−ラクトースを使用するアマ
ドリ転位生成物である)には、以下の化合物が挙げられる:
【0092】
【化20】 また、化合物(144)〜(147)の対応するナイスタチン誘導体も例示さ
れている。
【0093】 構造式(II)のポリエンマクロライドアミド誘導体では、RおよびR14 は、共に、好ましくは、水素であるか、または一方は、水素であり、そして他方
は、(C〜C)アルカニルであり、Rは、水素であるか、および/または
は、単糖類である。
【0094】 構造式(II)の代表的なポリエンマクロライドアミド誘導体には、以下の化
合物が挙げられる:
【0095】
【化21】 また、化合物(123)〜(126)の対応するナイスタチン誘導体も例示さ
れている。
【0096】 当業者は、本明細書中で具体的に記述した化合物種だけでなく、式(I)およ
び(II)で包含される化合物の多くが、互変異性、配座異性、幾何異性および
/または立体異性の現象を示し得ることを理解する。本明細書および請求の範囲
の範囲内に入る式図は、可能な互変異性形状、配座異性形状、鏡像異性形状また
は幾何異性形状の1つだけを示し得るので、本発明は、本明細書中で記述した効
用の1つまたはそれ以上を有する化合物の任意の互変異性形状、配座異性形状、
鏡像異性形状および/または幾何異性形状だけでなく、これらの種々の異なる形
状の混合物を包含することが理解できるはずである。
【0097】 さらに、これらの化合物の多くでは、ポリエン骨格N−R−C(O)は、明
記したキラル中心の多くの空間的配置と共に、図示されている。描写した特定の
構造には、関与しているポリエン骨格のついての文献で報告されたものがあるが
、それらに限定するとは解釈されない。それゆえ、図示した構造は、単に、それ
らの実際の化合物を代表する略記様式として解釈され、後に、これらの構造表示
が正しくない範囲まで、それらは、いずれの様式でも限定するとは解釈されない
【0098】 構造式(I)および(II)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、周知の
化学的性質を使用して、周知の方法に従って合成され得る。1実施態様では、式
(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、以下で図示した図式(I)に従
って合成され得、ここで、RおよびR14は、それぞれ、水素である:
【0099】
【化22】 図式(I)では、N−R−C(O)、−CH−RおよびRは、構造式
(I)について先に定義したとおりである。図式(I)によれば、環外カルボキ
シル基およびアミノ官能性を有する親ポリエンマクロライドは、アマドリ転位条
件下にて、還元炭水化物13(例えば、表1で挙げた還元炭水化物の1種)と反
応されて、グルコシル化アマドリ生成物12を生じる。このアマドリ転位反応は
、Amadori,1955年,Adv.Carbohydr.Chem.10
:169およびHodge & Fisher(上記)で記述されており、両方
の内容は、本明細書中で参考として援用されている。アマドリ生成物12は、次
いで、当該技術分野で周知の標準方法(例えば、Bruzzese,1996年
、Eur.J.Med.Chem.31:965〜992を参照)または下記の
方法を使用して、アミン11(好ましくは、その遊離塩基形状)との反応により
、対応するアミド14に転化される。そのアミド窒素で異なる水溶性増大置換基
を有する構造式(I)の化合物は、アマドリ生成物12を適当なアミン11と反
応させることにより、類似の様式で合成され得る。もし必要なら、アミン11お
よび/または炭水化物CH−R上の任意の反応性置換基は、周知の保護基お
よび化学反応を使用して、保護され得る。選択する実際の保護基は、他の因子の
うちで、その反応性置換基の素性に依存しており、当業者に明らかである。広範
囲の反応基に適当な保護基だけでなく、それらの結合および除去の条件の非限定
的な例は、Greene & Wats,Protective Groups
in Organic Synthesis,3版、John Wiley
& Sons,Inc.,NY(1999年)で見られ、その内容は、本明細書
中で参考として援用されている。
【0100】 あるいは、式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、以下の図式(I
I)に従って合成され得、ここで、RおよびR14は、それぞれ、水素である
【0101】
【化23】 図式(II)では、N−R−C(O)、CH−RおよびRは、構造式(
I)について先に定義したとおりである。図式(II)によれば、親ポリエンマ
クロライド10は、標準条件下にて、アミン11(好ましくは、遊離塩基形状)
と反応されて、アミド化中間体16を生じる。アミド化中間体16は、次いで、
アマドリ転位条件下にて、還元炭水化物13と反応されて、ポリエンアミド誘導
体14を生じる。もし必要なら、アミン11および/または還元炭水化物13上
の任意の反応性置換基は、図式(I)について先に記述したように、保護され得
る。そのアミド窒素で2個の水溶性増大置換基を含む構造式(I)の化合物(例
えば、式(I)の化合物であって、ここで、RおよびRは、それぞれ、水素
以外のものである)は、適当なアミン11を選択することにより、図示した方法
を普通に改良することにより合成され得る。構造式(I)の化合物(ここで、そ
のアミド窒素は、環に含まれている)(例えば、化合物106)は、適当なアミ
ン11を選択することにより、図示した方法を普通に改良することにより合成さ
れ得る。
【0102】 図式(I)および(II)で図示されたアミド化工程は、有利には、アミド結
合を形成するためのペプチド化学反応で通例使用される化学反応および試薬を用
いて実行され得ることが発見された。1実施態様では、これらのアミド化工程は
、以下のようなウロニウム塩を使用して実行され得る:O−(ベンゾトリアゾー
ル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ
ホスフェート(「HBTU」);O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル
)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
(「HATU」);O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,
N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(
「HAPyU」);O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N
’−ビス(ペンタメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(「HBP
ipU」);O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビ
ス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(「HBPyU」
);O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチ
ルウロニウムテトラフルオロボレート(「TBTU」);O−(ベンゾトリアゾ
ール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(ペンタメチレン)ウロニウムテ
トラフルオロボレート;O−[4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3
(4H)−イル]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオ
ロボレート(「TDBTU」);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピ
リジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレー
ト(「TPTU」);O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テ
トラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(「TSTU」);およびO−(
5−ノルボレン−2,3−ジカルボキシミド)−N,N,N’,N’−テトラメ
チルウロニウムテトラフルオロボレート(「TNTU」)。これらの反応は、例
えば、Dourtuglou,Synthesis,572(1984年)で記
述されているように実行され得、その開示内容は、本明細書中で参考として援用
されている。要約すると、これらの反応は、典型的には、塩基(これは、通常、
非妨害または妨害アミン塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン(「DIE
A」)、N−メチルモルホリンまたはトリエチルアミン))および所望のアミン
11の存在下にて、極性有機溶媒(通常、双極有機溶媒(例えば、ジメチルスル
ホキシド(「DMSO」)、ジメチルアセトアミド(「DMA」)またはジメチ
ルホルムアミド(「DMF」)))中で、約−10℃〜30℃の範囲の温度で、
実行される。カルボン酸10または12、ウロニウム塩、塩基およびアミン11
の割合は、典型的には、1:1:1〜3:過剰または1:1.5:1.5〜5:
1.5であるが、他の割合は、使用され得る。
【0103】 他の実施態様では、これらのアミド化工程は、ホスホニウム塩、例えば、ベン
ゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキ
サフルオロホスフェート(「BOP」);ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホ
ニウムヘキサフルオロホスフェート(「PyBroP」);およびベンゾトリア
ゾール−1−イルオキシ−トリピロロジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート(「PyBOP」)を使用して、実行され得る。これらの反応は、ウロニウ
ム塩については、上記のように実行され得る。
【0104】 式(I)のポリエンアミド誘導体は、ワンポット反応において、高収率で合成
され得る。このワンポット反応は、以下の図式(III)で図示されており、こ
こで、RおよびR14は、それぞれ、水素である:
【0105】
【化24】 置換基N−R−C(O)、CH−RおよびRは、構造式(I)について
定義したとおりである。図式(III)によれば、親ポリエンマクロライド10
(1当量)および還元炭水化物13(約1.2〜約1.5当量)は、適当な有機
溶媒、典型的には、双極性溶媒(例えば、DMF)に溶解され、そして約30℃
〜約55℃の範囲の温度で、約5〜72時間にわたって、攪拌される。この反応
に続いて、TLC、HPLCまたは他のルーティング(routing)方法に
かけて、この反応の第一工程(アマドリ転位)が適当な完結レベルまでいったこ
とを保証し得る。この反応混合物は、次いで、典型的には、約−10℃〜約5℃
の範囲の温度まで冷却される。1実施態様では、一旦、冷却すると、ウロニウム
塩(約1.5〜約3当量)またはホスホニウム塩(約1.5〜約3当量)カップ
リング試薬および適当な塩基(例えば、DIEA(約 当量〜約 当量))が添
加され、数分間(例えば、約5〜約30分間)攪拌され、そしてアミン11(約
1.5〜約5当量)が添加される。他の実施態様では、これらのアミド化試薬は
、他の順序で添加される。例えば、これらのアミド化試薬は、同時に添加され得
るか、またはアミン11が、まず、添加され、続いて、このカップリング試薬お
よびDIEAが添加され得る。このアミド化工程用の試薬の添加順序は、成功に
は重要ではない。この反応混合物は、次いで、典型的には、約20℃〜約30℃
の範囲の温度まで暖められ、その反応は、完結まで進行され、これは、一般に、
約0.5〜約18時間かかる。このポリエンマクロライドアミド誘導体は、標準
的な技術(例えば、沈殿またはクロマトグラフィー)を使用して、この反応混合
物から回収され得る。
【0106】 式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体(ここで、置換基R14は、ア
ルキルである)は、図式(IV)(下記)で図示した種々の異なる様式で、合成
され得る:
【0107】
【化25】 図式IVでは、置換基N−R−C(O)、CH−R、Rは、構造式(I
)について定義したとおりであり、Rは、水素であり、R14は、アルキルで
あり、そしてXは、ハロゲン(例えば、Cl、BrまたはI)である。図式IV
によれば、1方法では、親ポリエンマクロライド10は、まず、標準的な技術に
従って、アルキル化試薬20でモノアルキル化されて、アルキル化親ポリエンマ
クロライド22を生じる。アルキル化試薬20は、ハロゲン化アルキルとして図
示されているものの、熟練した技術者は、事実上、任意の標準的なアルキル化試
薬を使用し得ることを認識している。アルキル化親マクロライド22は、次いで
、図式I、IIまたはIIIで記述した方法に従って、アルキル化ポリエンマク
ロライドアミド誘導体28に転化され得る。
【0108】 他の方法では、グリコシル化アマドリ生成物12は、標準的なアルキル化技術
を使用してアルキル化され、アルキル化アマドリ生成物26を生じ、これは、次
いで、先に記述した方法のいずれかに従ってアミド化されて、アルキル化ポリエ
ンマクロライドアミド誘導体28を生じる。さらに他の方法では、アミド化ポリ
エンマクロライド16は、標準的なアルキル化技術を使用してアルキル化されて
、アルキル化アミド化ポリエンマクロライド24を生じ、これは、次いで、アマ
ドリ転位条件下にて、炭水化物13と反応されて、アルキル化ポリエンマクロラ
イドアミド誘導体28を生じる。
【0109】 式(II)のポリエンマクロライドアミド誘導体は、上記方法を普通に改良す
ることにより、合成され得る。モノ−およびジアルキル化誘導体は、まず、親ポ
リエンマクロライド10をアルキル化することに続いてアミド化することにより
、あるいは、まず親ポリエンマクロライド10をアミド化することに続いて標準
的な技術に従ってモノ−またはジアルキル化することにより、合成され得る。
【0110】 親ポリエンマクロライド10は、商業的に得られるか、または周知方法に従っ
て単離または合成され得る。種々の親ポリエンマクロライド10を合成する方法
は、Beau,「Polyene Macrolides:Stereostr
uctural Elucidation and Synthetic St
udies of a Few Members」In:Recent Pro
gress in the Chemical Synthesis of A
ntibiotics,pp.135〜182,Springer−Verla
g,Berlin(1990)だけでなく、本明細書中で引用された参考文献で
記述されている。これらの方法は、通常、広範囲の親ポリエンマクロライド10
を合成するのに適合され得る。天然生成物として親ポリエンマクロライド10を
単離する方法は、当該技術分野で周知である。
【0111】 上記方法に加えて、親ポリエンマクロライド10またはグリコシル化アマドリ
生成物12をアミドに転化する方法は、当該技術分野で周知である。代表的な方
法は、米国特許第4,783,527号で記述されている。AmBのアミドを合
成する特定の方法は、Czerwinskiら、1990年、J.Antibi
ot.43(6):680〜683およびJarzebskiら、1982年、
J.Antibiot.35(2):220〜229で記述されている。米国特
許第5,298,495号、米国特許第5,296,597号およびBruzz
eseら、1996年、J.Med.Chem.31:965〜972で記述さ
れている。これらの方法のいずれかは、通常、本発明の一置換および二置換ポリ
エンマクロライドアミド誘導体の全範囲を合成するのに適合され得る。上で挙げ
た特許および参考文献だけでなく、本明細書中で引用した種々の特許および参考
文献の全内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0112】 図示した図式の全てにおいて、アマドリ転位反応は、2工程で進行する。図式
(I)を参照すると、グルコシル化アマドリ生成物12の形成は、2工程で進行
する。第一工程では、グルコシルアミン(図示せず)は、10の一次アミノ基を
還元炭水化物13のアノマー炭素と縮合することにより、形成される。第二工程
では、このグリコシルアミンは、酸性媒体中で再配列されて、グルコシル化アマ
ドリ生成物12を形成する。それゆえ、還元炭水化物13試薬は、このアマドリ
転位後に所望の炭水化物残基CH−Rを生じるように、選択すべきである。
【0113】 このアマドリ転位の原理は、周知であり、簡単に説明されている(上記)。そ
れゆえ、適当な還元炭水化物13を選ぶことは、当業者に明らかとなる。特定の
代表的な還元炭水化物13は、表1で提供されている。その他の指針は、Ama
dori,1955年、Adv.Carbohydr.Chem.10:169
,Hodge & Fisher(上記)(および本明細書中で引用した参考文
献)および米国特許第5,314,999号で見られ、それらの全ての内容は、
本明細書中で参考として援用されている。
【0114】 このアマドリ転位は、酸触媒される。記述した転位反応の多くには、酸性カル
ボキシル置換基を有するポリエンマクロライドが関与しているので、これらのカ
ルボキシル含有ポリエンマクロライドは、この転位を「自己触媒」できる。この
ような「自己触媒」アマドリ転位反応(例えば、図式Iの反応)は、事実上、ア
マドリ転位反応を実行するのに有用であることが当該技術分野で公知の任意の溶
媒系(ここで、この親ポリエンマクロライドは、安定である)で実行され得、こ
れには、文献(例えば、Hodge & Fischer(上記))で記述され
た無水溶媒系が挙げられる。AmB(これは、酸および塩基中で安定ではない)
については、過度に酸性および塩基性の溶媒系(例えば、氷酢酸)は、避けるべ
きである。
【0115】 図式(I)および文献で報告されたアマドリ転位の多くとは異なり、図式(I
I)の方法では、誘導体16は、遊離カルボキシル基を有しない。むしろ、親ポ
リエンマクロライド10の環外カルボキシルは、アミド化されている。それゆえ
、誘導体16は、このアマドリ転位を効率的に「自己触媒」し得ない。結果とし
て、水の存在下にて、アミド化誘導体16と還元炭水化物13との間でのアマド
リ転位反応を実行するのが好ましいことが発見されている。この反応が無水条件
下にて進行している間、非無水条件下にて、著しく良好な収率が得られる。図式
(II)には、種々の非無水溶媒系が使用され得る。典型的には、この溶媒系は
、約1%(v/v)〜5%(v/v)の水を含有すべきである。そのプロトン供
与体は、この溶媒系であり得るか、またはHodge & Fisher(上記
)で記述されたように、添加した化合物であり得る。この文献で記述された溶媒
系のいずれかは、本明細書中で記述のように、使用に適合され得る。本明細書中
で教示された原理に容易に適合され得る代表的な溶媒系は、Hodge & F
isher、1963年(上記)で記述されている。特定の溶媒系は、実施例の
項(下記)で提供されている。
【0116】 図式(I)に従ってポリエンマクロライドアミド誘導体を合成するとき、この
アマドリ転位工程用の溶媒としてN,N’−ジメチルプロピレン尿素(「DMP
U」)を使用すると、他の溶媒(例えば、DMF)と比較して良好な結果が得ら
れることが発見されている。例えば、この溶媒としてDMFを使用するとき、少
量であるが測定可能な量の副生成物が生成される。比較すると、この反応をDM
PU中で実行するとき、この副生成物の生成が少なくなる。
【0117】 さらに、この文献は、このアマドリ転位が1:1のモル比のポリエンマクロラ
イド:還元炭水化物(例えば、図式(I)での化合物10および13)を使って
うまく実行され得ることを報告している。しかしながら、約1:1.1の範囲の
モル比を使用すると、良好な結果が得られることが発見されている。約1.25
〜約1.5時間の等間隔で、3個の等しいアリコートで、この還元炭水化物を添
加すると、良好な結果が生じることもまた、発見されている。それゆえ、上記図
式で図示されたアマドリ転位反応は、1当量の還元炭水化物13を使って実行さ
れ得るのに対して、全体で約1.1当量の還元炭水化物13を使用して、約0.
367当量の3個の等しいアリコートで添加し、約1.25時間〜約1.5時間
の間隔で添加することが好ましい。
【0118】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、抗真菌活性を示し、典型的に
は、標準的なインビトロアッセイにおいて、C.albicahsに対して、約
8μg/mL以下の最小阻止濃度(MIC)を有する。一般に、本発明の活性ポ
リエンマクロライドアミド誘導体は、当該技術分野で周知のインビトロスクリー
ニングアッセイを使用して、同定される。活性を評価するのに使用できる特定の
インビトロスクリーニングアッセイは、実施例の項で提供されている。
【0119】 あるいは、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、インビボモデルを
使用して、抗真菌活性について評価され得る。この場合もやはり、このようなモ
デルは、当該技術分野で周知である。当該技術分野で周知であるか本開示を検討
すると当業者に明らかとなる他のアッセイもまた、本発明の活性ポリエンマクロ
ライドアミド誘導体を同定するのに使用され得る。
【0120】 一般に、本発明の活性ポリエンマクロライドアミド誘導体は、標準的な方法を
使用して、Candida albicansに対して、約64μg/mL未満
、通常、約32μg/mL未満、好ましくは、約16μg/mL未満、そして最
も好ましくは約8μg/mLの最小阻止濃度(MIC)を示す。もちろん、これ
らの範囲の下端またはそれより低いMICを有する化合物が好ましい。
【0121】 本発明の誘導体の全ては、以下でさらに詳細に記述するように、局所的または
全身的に使用され得る。インビボ用途(例えば、全身投与)には、および/また
は全身に及ぶ感染を治療または予防するのに使用するために、著しい抗真菌活性
(すなわち、4μg/mL未満)、AmBよりも高い水溶性(ほぼ中性のpHで
)および低い毒性を示す誘導体が好ましい。一般に、標準的なマウス腎臓バイオ
バーダン(bioburden)アッセイ(例えば、実施例の項で記述された5
日間および7日間のマウスバイオバーダンアッセイ)で20以下のED50を示
す誘導体は、インビボ用途で適当である。毒性は、水溶性ほどには、局所投与お
よび用途には問題ではない。
【0122】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、現在利用できるポリエンマク
ロライド抗真菌剤よりも著しく有利である。具体的には、本発明のポリエンマク
ロライドアミド誘導体は、優れた水溶性、低い毒性および効果的な治療有効性を
示す。さらに、両方の種類の誘導体(すなわち、式(I)および(II)の化合
物)は、低い急性毒性で、インビトロアッセイおよびインビボアッセイの両方に
おいて、AmBに匹敵する抗真菌活性を示す。
【0123】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、真菌を殺すかその成長を阻止
するために、広範囲の用途で使用できる。例えば、このポリエンマクロライドア
ミド誘導体は、食品、化粧品、医薬および他の栄養分含有物質のような物質の消
毒剤または防腐剤として、使用できる。
【0124】 消毒剤または防腐剤として使用するために、これらのポリエンマクロライドア
ミド誘導体は、単独で、または数種のポリエンマクロライドアミド誘導体の混合
物として、または他の抗真菌剤および/または抗菌剤と組み合わせて、添加でき
る。これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、この化合物それ自体として
供給され得るか、または当該技術分野で周知の種々の担体、希釈剤または賦形剤
と混合され得る。
【0125】 真菌感染を治療または予防するのに使用するとき、本発明のポリエンマクロラ
イドアミド誘導体は、単独で、2種またはそれ以上のポリエンマクロライドアミ
ド誘導体の混合物として、他の抗真菌剤、抗生物質または抗菌剤と組み合わせて
、または他の薬学的に活性な試薬と組合せて、投与または塗布できる。これらの
ポリエンマクロライドアミド誘導体は、それ自体または薬学的組成物として投与
または塗布できる。その特定の薬学的処方は、所望の投与様式に依存しており、
また、当業者に明らかとなる。ポリエンマクロライドの局所投与または全身投与
のための非常に多くの組成物が文献で記述されている。これらの組成物のいずれ
かは、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体と共に処方され得る。
【0126】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体を含有する薬学的組成物は、通常
の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、すりつぶし、乳化、カプセル化、取り込み
または凍結乾燥プロセスによって作製され得る。薬学的組成物は、1種またはそ
れ以上の生理学的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤または補助剤(これらは、
この活性ポリエンマクロライドアミド誘導体を、薬学的に使用できる処方物に処
理するのを促進する)を使用する通常の様式で、処方され得る。適当な処方は、
選択される投与経路に依存している。
【0127】 局所用途には、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、当該技術分野
で周知のように、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして処方され得る
【0128】 全身処方には、注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、くも膜下
腔内注射または腹腔内注射)により投与するように設計されたものだけでなく、
経皮投与、経粘膜投与、経口投与または肺投与用に設計されたものが挙げられる
【0129】 注射には、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、水溶液、好ましく
は、生理学的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス液、リンゲル液または生理食
塩水)中で処方され得る。この溶液は、処方化剤(例えば、懸濁剤、安定化剤お
よび/または分散剤)を含有し得る。
【0130】 あるいは、これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、使用前、適当な媒
体(例えば、無菌の発熱物質がない水)を使って構成するために、粉末形状であ
り得る。
【0131】 経粘膜投与には、その処方において、浸透する障壁に適当な浸透剤が使用され
る。このような浸透剤は、一般に、当該技術分野で公知である。
【0132】 経口投与のために、これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、それらを
当該技術分野で周知の薬学的に受容可能な担体と組み合わせることにより、容易
に処方され得る。このような担体により、本発明の化合物は、治療される患者が
摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ、ス
ラリー、懸濁液などとして処方できるようになる。経口固形処方(例えば、粉末
、カプセル剤および錠剤)に適当な賦形剤には、充填剤、例えば、糖(例えば、
ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール);セルロース調製
物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、イモデンプン
、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニル
ピロリドン(PVP));顆粒化剤;および結合剤が挙げられる。もし望ましい
なら、崩壊剤(例えば、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸また
はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が添加され得る。
【0133】 もし望ましいなら、固形投薬形態は、標準的な技術を使用して、糖被覆または
腸溶被覆され得る。
【0134】 経口液状製剤(例えば、懸濁液、エリキシル剤および溶液)のために、適当な
キャリア、賦形剤または希釈剤としては、水、グリコール、オイル、アルコール
などが挙げられる。さらに、香料、防腐剤、着色剤などが添加され得る。
【0135】 舌下投与には、これらの組成物は、通常の様式で処方された錠剤、薬用ドロッ
プなどの形状をとり得る。
【0136】 吸入によって投与するために、本発明で使用する化合物は、適当な推進薬(例
えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ
フルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガス)を使用して、加圧パック由
来のエアロゾルスプレーまたは噴霧器の形状で、都合よく送達される。加圧エア
ロゾルの場合、その投薬単位は、計量した量を送達するバルブを設けることによ
り、決定され得る。例えば、吸入器または注入器で使用するゼラチンのカプセル
およびカートリッジは、この化合物の粉末混合物および適当な粉末ベース(例え
ば、ラクトースまたはデンプン)を含有させて処方され得る。
【0137】 これらの化合物はまた、直腸組成物または膣組成物(例えば、座剤または保持
浣腸剤(これは、例えば、通常の座剤ベース(例えば、ココアバターまたは他の
グリセリドを含有する)))で処方され得る。
【0138】 先に記述した処方に加えて、これらのポリエンマクロライドアミド誘導体はま
た、デポー製剤として処方され得る。このような長期にわたって作用する処方は
、移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により、投与され得る。
それゆえ、例えば、これらの化合物は、適当な高分子材料または疎水性材料(例
えば、適当なオイル中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂、または難溶性誘
導体(例えば、難溶性塩)と共に処方され得る。
【0139】 あるいは、他の薬学送達システムが使用され得る。リポソームおよび乳濁液は
、本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体を送達するのに使用され得る送達
ビヒクルの周知の例である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)
もまた、通常、毒性が高いが、使用され得る。さらに、これらのポリエンマクロ
ライドアミド誘導体は、持続放出システム(例えば、この治療剤を含有する固形
高分子の半浸透性マトリックス)を使用して、送達され得る。種々の持続放出材
料が確立されており、当業者に周知である。持続放出カプセルは、それらの化学
的性質に依存して、数週間から100日までにわたって、これらの化合物を放出
し得る。
【0140】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体上の特定の置換基は、酸性または
塩基性であり得るので、これらの誘導体は、その遊離酸、遊離塩基または薬学的
に受容可能な塩として、上記処方物のいずれかに含有され得る。薬学的に受容可
能な塩は、これらの遊離の酸または塩基の抗菌活性を実質的に保持する塩および
それぞれ塩基または酸との反応により調製される塩である。薬学的な塩は、対応
する遊離の塩基形態または酸形態よりも、水性溶媒および他のプロトン性溶媒中
での溶解性が高い傾向にある。薬学的に受容可能な塩のいくつかの例には、以下
が挙げられる:(1)酸付加塩であって、これらは、無機酸(例えば、塩酸、臭
化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)を用いて形成される;もしくは有機酸(例
えば、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グル
タミン、リシン、オルニチン)、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペン
タンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒド
ロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタ
ンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスル
ホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ
[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−
フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グ
ルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸(hydroxynaphth
oic acid)、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)を用いて形成
される;または(2)このアミド誘導体中に存在している酸性プロトンを、金属
イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウム
イオン)で置き換えるか、または有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンな
ど)と配位するかいずれかのときに形成される塩。1つの実施形態において、薬
学的に受容可能な塩は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピルビン酸、乳酸、マ
ロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息
香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸およびマンデル酸
を用いて形成される。別の実施形態では、薬学的に受容可能な塩は、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸およびフマル酸を用いて形成される。
【0141】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体またはそれらの組成物は、一般に
、意図される目的を達成するのに有効な量で、使用される。もちろん、使用する
量は、特定の用途に依存していることが理解されるはずである。
【0142】 例えば、消毒剤または防腐剤として使用するために、抗真菌有効量のポリエン
マクロライド誘導体またはその組成物が、消毒または防腐される物質に、塗布ま
たは添加される。抗真菌有効量とは、標的真菌の成長を阻止するか標的真菌に致
死性であるポリエンマクロライド誘導体または組成物の量を意味する。その実際
の量は、特定の標的真菌および用途に依存しているが、これらのポリエンマクロ
ライドアミド誘導体またはそれらの組成物を消毒剤または防腐剤として使用する
ためには、通常、比較的に低い量で、消毒または防腐される物質に添加または塗
布される。典型的には、このポリエンマクロライド誘導体は、消毒溶液または防
腐される物質の約5重量%未満、好ましくは、約1重量%未満、およびさらに好
ましくは、約0.1重量%未満を占める。当業者は、例えば、実施例で提供した
インビトロアッセイを使用して、過度の実験なしで、特定用途のための特定のポ
リエンマクロライドアミド誘導体の抗真菌有効量を決定し得る。
【0143】 真菌の感染を治療または予防するのに使用するために、本発明のポリエンマク
ロライドアミド誘導体またはそれらの組成物は、治療有効量で、投与または塗布
される。治療有効量とは、真菌感染またはその症状を改善するかそれを処置また
は予防するのに有効な量を意味する。治療有効量の決定は、特に、本明細書中で
提示した詳細な開示に照らして、当業者の能力の十分に範囲内である。
【0144】 消毒剤および防腐剤の場合としては、真菌感染を治療または予防するための局
所投与には、例えば、実施例で提供されたインビトロアッセイを使用して、治療
有効用量が決定し得る。この処置は、この感染が見えている間または見えないと
きでも、適用され得る。当業者は、過度の実験なしで、局所感染を治療する治療
有効量を決定し得る。
【0145】 全身投与のためには、治療有効用量は、最初に、インビトロアッセイから推定
され得る。例えば、用量は、細胞培養で決定されるようなMICを含む循環ポリ
エンマクロライド誘導体濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて処方さ
れ得る。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をさらに正確に決定するの
に使用され得る。
【0146】 初期投薬量もまた、当該技術分野で周知の技術を使用して、インビボデータ(
例えば、動物モデル)から推定され得る。当業者は、動物データに基づいて、ヒ
トへの投与を容易に最適化し得る。
【0147】 あるいは、初期投薬量は、特定のポリエンマクロライド誘導体のMICと公知
のポリエンマクロライドのMICとを比較することにより、そして、それに従っ
て、その初期投薬量を調節することにより、公知のポリエンマクロライド(例え
ば、AmB)の投与する投薬量から決定され得る。その最適投薬量は、通常の最
適化により、これらの初期値から得られ得る。
【0148】 投薬量および間隔は、治療効果を維持するのに十分な血漿レベルの活性ポリエ
ンマクロライド誘導体を供給するために、個々に調節され得る。投与のための注
射による通常の患者投薬量は、約0.1〜5mg/kg/日、好ましくは、約0
.5〜1mg/kg/日の範囲である。治療有効血清レベルは、日々、単回の一
日用量または複数回用量を投与することにより、達成され得る。
【0149】 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体は、AmBよりも低い毒性を示す
ので、AmBと類似の様式で投与され得る。AmBのために使用される典型的な
投薬量および投与経路は、周知である(例えば、Goodman and Gi
lman’s The Pharmacological Basis of
Therapeutics,8版、1990年、Pergamon Press
Inc.,1165〜1168ページを参照のこと(その内容は、本明細書中
で参考として援用されている))。
【0150】 例えば、少量の試験用量(20mlの5%ブドウ糖溶液に溶解した1mgの化
合物)は、20〜30分間にわたって、静脈内投与され得る。患者の体温、脈拍
、呼吸数および血圧は、4時間にわたって、30分ごとに記録され得る。重症で
急速に進行している真菌感染に罹っているが心肺機能が良好で試験用量に対する
反応が穏やかな患者は、直ちに、2〜4時間の期間にわたって、静脈内に、0.
3mg/kgの化合物を受け得る(例えば、Beunet,1990年、「An
tifungal Agents」、Principles and Prac
tice of Infectious Diseases、3版、Churc
hill Livingstone,Inc.,New York,361〜3
70ページを参照)。もし、この患者が、この試験用量に対して激しい反応また
は心肺機能障害を有する場合、それよりも少ない用量(例えば、0.1mg/k
gまたは5〜10mg)が推奨され得る。この用量は、5〜10mg/日だけ高
められ得る。激しい感染または劇症性の感染では、投薬量は、急速に投薬量を増
大させてから、その患者に毎日0.5〜1.0mg/kgを与えるべきである。
【0151】 もし、虚弱な患者の反応によって、全投薬量を直ちに投与するのが勧められな
い場合、6〜8時間ごとに、少しずつ増やした用量を与え得る。例えば、1mg
試験用量に対して激しい反応を示すなら、続いて、8時間間隔で、5mg、15
mgおよび25mgを与え、続いて、24時間後に、40mgを与え得る。ほと
んどの深性真菌症に推奨される維持量は、0.4〜0.6mg/kg/日であり
、これは、2〜4時間にわたって注入される。
【0152】 局所投与または選択摂取の場合、ポリエンマクロライド誘導体の有効局所濃度
は、血漿濃度と無関係であり得る。当業者は、過度の実験なしで、治療有効局所
投薬量を最適化し得る。
【0153】 投与するポリエンマクロライドアミド誘導体の量は、もちろん、他の要因のう
ち、治療する被験体、被験体の体重、病気の重症度、投与様式および処方する医
師の判断に依存している。
【0154】 この抗真菌療法は、感染が検出可能な間、または感染が検出可能ではない場合
でさえ、断続的に繰り返され得る。この療法は、他の薬剤(例えば、他の抗真菌
剤、抗生物質または抗菌剤)または本発明の他のポリエンマクロライドアミド誘
導体と組み合わせて、提供され得る。
【0155】 好ましくは、本明細書中で記述したポリエンマクロライドアミド誘導体の治療
有効量は、実質的な毒性を生じることなく、治療上の利点を与える。これらのポ
リエンマクロライドアミド誘導体の毒性は、例えば、LD50(その集団の50
%を致死させる用量)またはLD100(その集団の100%を致死させる用量
)を決定することにより、細胞培養物または実験動物での標準的な薬学手順を使
用して、決定し得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数である。高い
治療指数を示すポリエンマクロライドアミド誘導体が好ましい。これらの細胞培
養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトで使用するのに毒性がな
い投薬量範囲を処方する際に使用され得る。本明細書中に記載されるポリエンマ
クロライドアミド誘導体の投薬量は、好ましくは、循環濃度範囲内にあり、これ
らの濃度は、毒性がほとんどまたは全くなしで、有効用量を含む。この投薬量は
、使用する投薬形状および利用する投与経路に依存して、変化し得る。正確な処
方、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師により選択さ
れ得る。例えば、Finglら、1975年、The Pharmacolog
ical Basis of Therapeutics、第1章、1ページを
参照せよ。
【0156】 本発明を記述したが、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するのではなく、
例示するために提示されている。
【0157】 (5.実施例:アンホテリシンBのアミド誘導体の調製) 本実施例は、アンホテリシンB(「AmB」)の種々のアミド誘導体の調製を
説明する。AmBは、Biosource Pharm(Spring Val
ley,NY)から購入した。アミンは、Aldrich(Milwaukee
,WI)またはFluka(Milwaukee,WI)から購入した。合成し
た化合物の全てを、表2(これは、実施例の最後に提示する)に示す。表2では
、このアミド化およびアマドリ転位で使用するアミン還元炭水化物をそれぞれ列
挙している。表2で記述した化合物の全ては、特別に合成しなかったもの(特定
の表セルに化合物番号がないことで示される)を含めて、活性であると予想され
、本節で記述した方法に従って、合成され得る。
【0158】 これらのポリエンマクロライドアミド誘導体は、光に感受性であり、従って、
調製および保存中において、光から保護すべきである。琥珀色バイアルで保存す
ることが推奨される。
【0159】 (5.1 LCMSおよびHPLC分析) 本実施例で記述した種々の反応は、本節で記述するように、LCMSおよびH
PLCによってモニターした。反応生成物を、同じ条件を使用して、特徴付けた
【0160】 LCMSを、その注入口装置として使用されるWaters Allianc
e HPLCを備えたFinnigan LCQ−Classic質量分析計、
または注入口装置としてのThermoquest Surveyor HPL
Cを備えたThermoquest LCQ−Duo質量分析計で実行した。使
用したカラムは、Waters Symmetry C18(4.6×50mm
)またはVydac C4(4.6×50mm)のいずれかであった。緩衝液A
(水中の0.5%酢酸)と緩衝液B(アセトニトリル中の0.5%酢酸)との間
の線形勾配をを伴う、0.75mL/分の流速を使用した。
【0161】 HPLCを、HP 1090フォトダイオードアレイHPLCまたはAgil
ent 1100フォトダイオードアレイHPLCで実行した。使用したカラム
は、このLCMS分析のものと同じであった。緩衝液A(60mM EtN−
HOAc、pH 6.0)と緩衝液B(90%アセトニトリルおよび10%緩衝
液A)との間の線形勾配を伴う、1.0mL/分の流速を使用した。
【0162】 (5.2 式(II)のアミドAmB誘導体の調製) (5.2.1 糖アミド遊離塩基の調製) グルコサミン、ガラクトサミンおよびマンノサミンは、塩酸塩として購入した
。5.2.2節(下記)で記述するようなアミドの調製での使用のために、これ
らのアミンの遊離塩基形状が必要である。これらの遊離塩基アミンは、下記のイ
オン交換クロマトグラフィーを使用して調製し、特定の例として、グルコサミン
塩酸塩を例示した。他の糖アミン遊離塩基は、同じ方法で調製した。
【0163】 アニオン交換樹脂(Bio−Rad AG 3−X4、100〜200メッシ
ュ)をカラム(25g)に装填し、そしてメタノールで洗浄した。水酸化ナトリ
ウム溶液(1M、50mL)を添加し、この樹脂を、その溶離液がpH7に達す
るまで、水で洗浄した。この樹脂に、50mLの水に溶解したグルコサミン塩酸
塩(5.0g)の溶液を添加し、続いて、300mLの水と共に、溶離液を添加
した。この水を凍結乾燥すると、そのアミノ糖遊離塩基が得られた。
【0164】 (5.2.2 アミドの調製) スキーム(II)(上記)に示すように、化合物123、124、125およ
び126を合成した。要約すると、丸底フラスコにて、AmB(100mg、0
.11mmol)を、19.65mLのジメチルホルムアミドに溶解した。トリ
エチルアミン(100mL、1.1mmol)を添加し、その溶液を、室温で、
10分間攪拌した。次いで、遊離塩形状での適当なアミン(5.2.1節(上記
)を参照;また、表2を参照;1.1mmol)を添加し、十分に混合し、そし
て1分間超音波処理し、続いて、ジフェニルホスホリルアジド(250mL、1
.1mmol)を添加した。この反応を、室温で、6時間放置した。UV=36
5nmおよび410nmで、1.1mL/分の流速で、10分間にわたって、3
0%〜45%の溶媒Bの線形勾配を使用して、分析用HPLC(Waters
Symmetry C−18、3.5mm、4.6×50mm)により、このグ
リコサミドAmB生成物の形成を決定した(溶媒A:100mM トリエチルア
ミン酢酸塩(pH7)/水;溶媒B:90% アセトニトリル/100mM 酢
酸トリエチルアンモニウム(pH7))。次いで、この反応混合物を、100m
M 酢酸トリエチルアンモニウム(pH6)で10倍希釈し、その所望の生成物
を、UV=340nm、6mL/分の流速で、60分間にわたって、溶媒Bの2
5%〜45%の線形勾配を使用して、調製用逆相HPLCにより精製した(溶媒
A:100mM 酢酸トリエチルアンモニウム(pH6)/水;溶媒B:90%
アセトニトリル/100mM 酢酸トリエチルアンモニウム(pH6))。こ
のアミド生成物を含有する画分をプールし、得られた水溶液を数回凍結乾燥して
、その生成物を乾燥させ、過剰のトリエチルアンモニウム塩を除去した。その構
造を、質量スペクトルで確認し、その純度を、HPLC分析で確認した。
【0165】 合成した各化合物に対する主要質量スペクトルピーク(MH+)は、以下のと
おりである:化合物123、MH+=1086;化合物124、MH+=108
6;化合物125、MH+=1086;化合物126、MH+=1087。
【0166】 (5.3 式(I)のAmBアミド誘導体のツーポット合成) 式(I)に従う特定のアミド誘導体を、スキーム(I)(上記)で図示した「
ツーポット」方法に従って、合成した。要約すると、AmBを、まず、Falk
owskiら、1975年、「N−Glycosyl Derivatives
of Polyene Macrolide Antibiotics」、J
.Antibiot.28:244で記述された手順を使用して、アマドリ転位
条件下にて、還元糖と反応させた。得られたグルコシル化中間体を、次いで、標
準方法を使用して、アミド化した。これらのツーポット合成の各工程で使用した
特定の手順は、以下で提供する(このアマドリ転位は、α−D−グルコースを参
照して、説明している)。化合物100〜122、127〜130、132〜1
36および140〜144は、この方法に従って合成した。
【0167】 (5.3.1 アマドリ転位) AmB(800mg、0.86mmol)を、16mLの無水ジメチルホルム
アミド(DMF)に溶解し、そして5分間攪拌した。α−D−グルコース(31
6mg、1.72mmol)を添加した。得られた溶液を外気に対して密封し、
そして水浴に入れ、37℃で6時間にわたって平衡化した。この反応を、完結し
たと判断するまで、LCMSを続けた。その反応生成物を、精製することなく、
下記のアマドリ転位で直接使用した。同じ手順を使用したが、α−D−グルコー
スを、それぞれ、D−ガラクトース(315mg、1.72mmol)、D−マ
ルトース水和物(620mg、1.72mmol)、D−セロビオース(588
mg、1.72mmol)およびα−D−ラクトース水和物(620mg、1.
72mmol)で置き換えて、対応するD−ガラクトース、D−マルトース、D
−セロビオースおよびα−D−ガラクトースグリコシル化転位生成物を得た。
【0168】 (5.3.2 アミド化) 対応するアミドを作製するために、5.3.1節(上記)で得たグリコシル化
アマドリ転位生成物(粗DMF溶液)(2mL、約100mg、0.1mmol
)に、ジフェニルホスホリルアミド(110μL、0.92mmol)、トリエ
チルアミン(128μL、0.92mmol)および表2(下記)のアミン(0
.92mmol)を添加した。これらの溶液を室温で攪拌し、そしてLCMSで
モニターした。4時間後、その生成物を、冷ジエチルエーテル50mLで沈殿さ
せた。遠心分離およびこのエーテルの除去後、その生成物を水40mLに溶解し
、そして凍結乾燥して、黄色粉末を得た。その化合物番号(Cmpds.)、こ
れらの化合物を合成するのに使用したアミン反応物および還元炭水化物を、表2
(下記)に記す。合成した化合物の構造もまた、発明の詳細な説明(上記)で提
供している。
【0169】 (5.4 式(I)のAmBアミド誘導体のワンポット合成) そのカップリング試薬としてPyBroPまたはHBTUのいずれかを使用し
て、スキーム(III)(上記)で図示した「ワンポット」方法に従って、式(
I)の特定のアミド誘導体を合成した。各方法は、化合物114と共に、以下で
説明する。各方法に従って合成した他の化合物は、その反応の詳細に続いて述べ
る。
【0170】 (5.4.1 PyBroPのワンポット合成) 8mLのDMF中のAmB(500mg;0.514mmol)の懸濁液に、
D−ガラクトース(107mg;0.595mmol)を添加した。その反応混
合物を、50℃で、72時間攪拌した。この混合物を0℃まで冷却し、DIEA
(0.377mL;2.164mmol)およびPyBroP(504mg;1
.082mmol)を添加し、得られた混合物を、10分間攪拌した。1−(2
−アミノエチル)ピペリジン(0.231mL;1.623mmol)を添加し
、その混合物を25℃まで暖め、さらに1.5時間攪拌した。この混合物を、次
いで、50mLのエーテルに懸濁し、フリット製漏斗で濾過し、そして収集した
沈殿物をエーテル(50mL×2)およびアセトニトリル(50mL×3)で洗
浄し、そしてハウス真空下にて、1時間乾燥して、640mgの化合物114を
得た。
【0171】 同じ手順によるが、適当な量の還元炭水化物およびアミンを置き換えて、化合
物103、104、107、110、114、133および135を合成した。
【0172】 (5.4.2 HBTUワンポット合成) 8mLのDMF中のAmB(500mg;0.514mmol)の懸濁液に、
D−ガラクトース(107mg;0.595mmol)を添加した。その反応混
合物を、50℃で、72時間攪拌した。この混合物を0℃まで冷却し、DIEA
(0.377mL;2.164mmol)およびHBTU(410mg;1.0
82mmol)を添加し、得られた混合物を、10分間攪拌した。1−(2−ア
ミノエチル)ピペリジン(0.231mL;1.623mmol)を添加し、そ
の混合物を25℃まで暖め、さらに1.5時間攪拌した。次いで、この混合物を
、エーテル50mLに懸濁し、フリット製漏斗で濾過し、収集した沈殿物をエー
テル(50mL×2)およびアセトニトリル(50mL×3)で洗浄し、そして
ハウス真空下にて、1時間乾燥して、660mgの化合物114を得た。
【0173】 (5.5 代替アマドリ転位条件) 本発明の化合物をまた、以下に記載の代替アマドリ転位条件を使用して、生成
し得る。この経路は、DMPU溶媒を使用し、また、全体で1.1当量の還元炭
水化物(これは、3つの等しいアリコートで、この反応混合物に添加した)を使
用する。それを、このツーポット合成またはワンポット合成に関連して、使用し
得る。
【0174】 30℃〜55℃(典型的には、約45℃)の範囲の温度でN,N’−ジメチル
プロピレン尿素(「DMPU」)400mLに溶解したAmB(1当量)の溶液
に、還元炭水化物(0.367当量)を添加する。この混合物を、約1〜3時間
(典型的には、約1.35時間)攪拌し、他のアリコートの還元炭水化物(0.
367当量)を添加する。この混合物を、再度、1.35時間攪拌し、最終アリ
コートの還元炭水化物(0.367当量)を添加する。次いで、この得られた混
合物を、45℃で、さらに18時間攪拌し、得られたアマドリ転位生成物を、先
に記述したようにして、単離する。
【0175】 (5.6 アスパラギン酸塩の調製) ポリエンマクロライド誘導体を、1当量のアスパラギン酸と混合し、次いで、
50mg/mLの濃度まで、水を添加する。もし、透明な溶液が生じない場合、
少量のジメチルスルホキシドを添加して、透明な溶液を得、これを、凍結し凍結
乾燥して、黄色を粉末を得る。この黄色の粉末を水に溶解し、凍結し、そして再
度凍結乾燥して、そのアスパラギン酸塩を得る。
【0176】 (5.7 ポリエンマクロライド誘導体の形成) 本発明のポリエンマクロライドアミド誘導体(特に、そのアスパラギン酸塩)
は、良好な水溶性を有する。本発明の化合物(特に、これらのアスパラギン酸塩
)のほとんどは、5%マンニトール水溶液(例えば、OSMITROL,Bax
ter Healthcare,Deerfield,IL)に溶解して、黄色
の等張溶液を生成し得る。OSMITROLに容易に溶解しない化合物は、まず
、約2.0のpHで、0.1%乳酸水溶液に溶解し得る。腹腔内注射のためには
、もし、このポリエンマクロライド誘導体が、この乳酸溶液に溶解しない場合、
少量で、約10%(v/v)まで、プロピレングリコールを添加し得る。次いで
、4.9%マンニトール水溶液(5.0のpHまで酢酸で緩衝化した)を添加し
て、黄色の等張溶液を形成する。
【0177】
【表2】 (6.実施例:インビトロデータ) 合成した各化合物について、Reference Method for B
roth Dilution Antifungal Susceptibil
ity Testing of Yeasts,Approved Stand
ard,NCCLS document M27−A(ISBN 1−5623
8−328−0)(NCCLS,940 West Valley Road,
Suite 1400,Wayne,Pennsylvania 19087,
1997年)で記述されているようにして、C.albicansに対する最小
阻止濃度(MICs)を決定した。これら種々の化合物のMICs(μg/mL
)は、表3(下記)で提供する。試験した全ての化合物は、8μg/mL以下の
MICsを示し、多くは、AmB(0.125〜0.25μg/mL)およびA
ME(平均して、0.75μg/mL)の匹敵するMICを示した。
【0178】 (7.実施例:インビボデータ) 第5節(上記)で記述したようにして合成した種々の化合物を、下記のように
して、種々のインビボアッセイで試験した。これらの種々のアッセイの結果は、
表3(これは、この節の最後で提示している)で提供する。記述したインビボア
ッセイの全てでは、これらの試験化合物を、そのアスパラギン酸塩の形状で、水
性媒体(滅菌水中の5%マンニトール;OSMITROL,Baxter He
althcare,Deerfield,IL)中で処方し、続いて、適当に希
釈した。これらの処方は、投薬前に、新たに調製した。
【0179】 比較のために、AmBおよびAMEもまた試験した。AmBについては、市販
のFUNGIZONE(Bristol−Meyers Squibb Co.
)を使用した。報告された値は、そのFUNGIZONE粉末の重量基準ではな
く、そのAmB活性成分の重量に基づいている。AMEは、これらの試験化合物
について記述したように、OSMITROLで処方した。
【0180】 (7.1 最大非致死量の決定) 選択した化合物について、最大非致死量(NLD)データを得た。数群におい
て、4匹のマウス(Swiss−Websterオスマウス;Simonsen
Laboratories,Gilroy,CA)の各々に、1回の静脈内用
量を投与した。選択した用量は、類似の構造の化合物のNLDに基づいていた。
所見を検討した後、それより高い用量または低い用量を投与し、NLDを決定し
た。これらの結果は、以下の表3(NLD Acute Mice)に作表する
。比較のために、AmBおよびAMEについての値を提供する。
【0181】 静脈内投与経路によりマウスで評価した各化合物は、AmBよりも急性毒性の
オーダーが低かった。
【0182】 (7.2 ED50の決定:C.Albicansでチャレンジした免疫適格
性マウスにおける5日間の腎臓バイオバーダン評価) 本発明の種々のポリエンマクロライドアミド誘導体を、生きているC.alb
icansでチャレンジした免疫適格性マウスに、5日間にわたって、毎日1回
、腹腔内投与したとき、それらの保護効果について評価した。
【0183】 C.albicansを、48時間にわたって、Sabouraudデキスト
ロース寒天(SDA)プレートで増殖させた。コロニーを収集し、そしてリン酸
緩衝生理食塩水(PBS)で遠心分離することにより、2回洗浄した。洗浄した
ペレットをPBSに再懸濁し、そして希釈して、1ミリリットルあたり、所望数
の真菌を得た。その接種材料の一部をSDAプレート上にプレートして、1ミリ
リットルあたりのコロニー形成単位(CFU)を決定した。
【0184】 Swiss−Websterマウス(Simonsen Laborator
ies,Gilroy,CA)に、静脈内注射により、単一接種材料(0.2m
L)(これは、概算で、2.0×10CFUのC.albicansを含有す
る)を投与した。その接種日は、研究0日目と命名した。注射の3日目から開始
して、マウスを、連続5日間にわたって、毎日1回、媒体だけまたは処方した試
験化合物で腹腔内処理した。
【0185】 これらのマウスを、研究0日目から研究10日目(最後の用量の3日後)まで
、毎日、観察した。死んでいることが分かったマウスまたは死の直前に安楽死さ
せたマウスは、さらに処理することになく、この研究から除いた。生き残ったマ
ウスを、研究10日目で、COの吸入により安楽死させ、各マウスから、両方
の腎臓を除去した。除去した各対の腎臓を、3mLの氷冷PBS(これは、10
%グリセロースを含有する)中でホモジナイズした。各ホモジネートの一部を使
用して、SDAプレート(30℃で48時間のインキュベーション)を使って、
腎臓1個あたりのlog10CFUを決定した。腎臓のlog10CFUデータ
は、t−試験を使用して分析した。統計学的に有意な応答についての規準は、p
<0.01に設定した。
【0186】 これらの結果を、表3(ED50マウス5日間)に作表する。比較のために、
AmBおよびAMEについての結果もまた、提供する。有効性は、個々の動物に
ついて、平均媒体対照値と比較して、腎臓CFUの2log10より大きい低下
として、定義した。この試験化合物についてのED50は、これらの動物の50
%が平均媒体対照値と比較して腎臓CFUの2log10の低下を示した投薬量
として、決定した。
【0187】 2、4、8または16mg/kg/日の用量で腹腔内投与したとき、AmBは
、それぞれ、マウスの20%、60%、100%および78%で有効であった。
このモデルでAmBで腹腔内処理したマウスのED50は、3mg/kg/日で
あると算出された。試験した化合物の多くは、このアッセイにおいて、AmBに
匹敵するED50を示した。
【0188】 (7.3 ED50の決定:C.Albicansでチャレンジした好中球減
少性マウスにおける7日目の腎臓バイオバーダン評価) 本発明の種々のポリエンマクロライドアミド誘導体を、生きているC.alb
icansでチャレンジした好中球減少性マウスに、7日間にわたって、毎日1
回、腹腔内投与したとき、それらの保護効果について評価した。
【0189】 Swiss−Websterマウス(Simonsen Laborator
ies,Gilroy,CA)を、研究1日目に、5−フルオロウラシル(15
0mg/kg)を静脈内投与することにより、好中球減少性にした。研究0日目
にて、全てのマウスに、静脈内注射により、単一接種材料(0.2mL)(これ
は、概算で、5.0×10CFUのC.albicansを含有する)を与え
た。その接種日は、研究0日目と命名した。感染後の日(研究1日目)から開始
して、マウスを、連続7日間にわたって、毎日1回、媒体だけまたは処方した試
験化合物で腹腔内処理した。
【0190】 これらのマウスを、研究1日目から研究8日目(最後の用量の1日後)まで、
毎日、観察した。死んでいることが分かったマウスまたは死の直前に安楽死させ
たマウスは、さらに処理することになく、この研究から除いた。生き残ったマウ
スを、研究8日目で、COの吸入により安楽死させ、各マウスから、両方の腎
臓を除去した。除去した各対の腎臓を、3mLの氷冷PBS(これは、10%グ
リセロースを含有する)中でホモジナイズした。各ホモジネートの一部を使用し
て、SDAプレート(30℃で48時間のインキュベーション)を使って、腎臓
1個あたりのlog10CFUを決定した。腎臓のlog10CFUデータは、
t−試験を使用して分析した。統計学的に有意な応答についての規準は、p<0
.01に設定した。
【0191】 これらの結果を、表3(ED50マウス7日間)に作表する。比較のために、
AmBおよびAMEについての結果もまた、提供する。有効性は、個々の動物に
ついて、平均媒体対照値と比較して、腎臓CFUの2log10より大きい低下
として、定義した。この試験化合物についてのED50は、これらの動物の50
%が平均媒体対照値と比較して腎臓CFUの2log10の低下を示した投薬量
として、決定した。
【0192】 (7.4 2週間範囲−マウスにおける毒性研究の発見) 本発明の種々のポリエンマクロライドアミド誘導体を、静脈内注射により亜慢
性的に投与したとき、それらの潜在的な毒性を特性付けるために評価した。
【0193】 CD−1(登録商標)マウス(Charles River Laborat
ories,Portage,MI)を、投薬の開始前、少なくとも5日間にわ
たって、実験室条件に順応させた。順化期間中にて、このマウスの一般的な状態
を評価し、健康であると考えられたものを使用した。これらのマウスを、階層化
した体重レジメンを使用して、処理群にランダムに割り当てた。各処理群は、3
匹のオスマウスおよび3匹のメスマウスからなっていた。これらのマウスを、環
境制御した部屋に収容し、そして適宜、齧歯類の固形飼料および水を与えた。
【0194】 投薬の第1日では、このマウスは、約7〜9週齡であり、22〜30gの体重
であった。用量は、研究1日目〜5日目および8日目〜12日目で、毎日1回、
静脈注射により、投与した。投薬量は、有効性および毒性研究からのデータに基
づいて選択し、1.25〜30mg/kg/日の範囲であった。1、3、5、8
、10、12および15日目で、投薬の0.5時間後、臨床観察を記録し、いず
れかの日に、変化を観察した。体重は、投薬前および研究8日目および12日目
、および研究15日目(この研究の存命局面の完了)で、記録した。
【0195】 瀕死/健康状態が悪化している臨床状態にあることが分かった動物は、CO を吸入することにより、安楽死させた(指定した動物を死の直前に殺した)。死
んだまたは安楽死した動物の死亡日を記録した。早期に死んだ動物は、さらに処
理することなく、研究から除いた。
【0196】 投薬の完了(研究16日目)の1日後、生き残っている全てのマウスは、CO を吸入することにより、安楽死させた。それらの腎臓を、組織学的検査のため
に保存した。臨床的発見および組織病理学的発見に基づいて、最大非観察悪影響
レベル(maximum no−observed−adverse−effe
ct level)(NOAEL)を決定した。結果は、表3に作表する。比較
のために、AmBおよびAMEの値を提供する。
【0197】 (7.5 ウサギにおける上昇単一用量腎毒性研究) 本発明の種々のポリエンマクロライドアミド誘導体を、ウサギにおいて腎毒性
を生じる投与化合物の静脈内用量を決定するために、評価した。腎毒性は、尿量
および血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンを測定することにより、モニ
ターした。
【0198】 メスニュージーランド白ウサギ(Hra:(NZW)SPF;Covance
,Richmond,CA)を、投薬の開始前、9日間にわたって、実験室条件
に順応させた。順応期間中、これらのウサギは、別々の4日間、抑制剤に順応さ
せた。順応の1日目における抑制の持続期間は、5分間を超えなかった。順応の
最終日における抑制の持続期間は、50分間であった。この研究中、これらの動
物を、1日あたり60分間以下で、抑制した。
【0199】 これらのウサギを、環境制御した部屋に収容し、そして1日125gのウサギ
固形飼料の制限食を入れた。水は、適宜供給した。
【0200】 0.6mL/分の速度で、耳静脈への静脈注入により、上昇単一用量を投与し
た。各上昇投薬に続いて、少なくとも2日間の非投薬観察期間を設けた。各ウサ
ギの臨床状態を、一般的な状態と食物および水の利用度とついて、毎日、観察し
た。体重は、各投薬前だけでなく、最後の投薬の2日後に記録した。最初の投薬
の2日前(研究2日目)および各投薬の約24時間後に、これらのウサギから、
血液試料を収集し、そしてBUNおよびクレアチニンについて分析した。尿は、
投薬開始前の2回の24時間にわたって、また、各処理後の24時間にわたって
収集した。検死は、実行しなかった。
【0201】 体重、尿排出量、BUNおよびクレアチニンのデータは、片側Mann−Wh
itney試験を使用して、統計学的に評価した。統計学的な有意性の規準は、
p≦0.05で設定した。上記測定に基づいて、腎毒性の最大非観察悪影響レベ
ル(NOAEL)を決定した。結果は、表3に作表する。比較のために、AmB
およびAMEの値を提供する。
【0202】 (7.6 マウス生存モデルにおけるED50の決定) Swiss−Websterマウス(Simonsen Laborator
ies,Gilroy,CA)を、研究1日目で、5−フルオロウラシル(15
0mg/kg)を静脈内投与することにより、好中球減少性にする。研究0日目
で、全てのマウスに、静脈内注射により、概算で5.0×10CFUのC.a
lbicansを含有する単一接種材料(0.5mL)を与える。その接種日は
、研究0日目と命名する。注射後約4時間で、マウスを、連続7日間にわたって
、毎日1回、試験化合物で腹腔内処理する。
【0203】 これらのマウスを、研究0日目から研究28日目まで、毎日、観察する。死ん
でいることが分かったか瀕死状態のために安楽死させたマウスは、この研究から
除く。生き残ったマウスを、研究28日目で、COの吸入により安楽死させ、
この研究から除く。瀕死のマウスは、安楽死した日に死んだものとして記録する
【0204】 この試験化合物のED50を、これらの動物の50%が生き残った投薬量とし
て、決定した。
【0205】 (7.7 Candida Glabrataでチャレンジした免疫抑制マウ
スにおける腎臓バイオバーダン評価) C.glabrataを、定置インキュベータにおいて、37℃で、24時間
にわたって、20mLのSBAブロス(250mLのEhrlenmeyer)
で成長させる。この懸濁液を、PBS中で遠心分離することにより、2回、洗浄
する。洗浄したペレットを、PBS中で再懸濁し、そして希釈して、1ミリリッ
トルあたり、所望数の真菌を得る。その接種材料の一部をSDAプレート上にプ
レートして、1ミリリットルあたりのコロニー形成単位(CFU)を決定する。
【0206】 メスC57黒マウスを、研究−3、0、3、6および9日目で、シクロホスフ
ァミド(100mg/kg)を静脈内投与することにより、免疫抑制する。研究
0日目で、全てのマウスに、静脈内注射により、単一接種材料(0.2mL)(
これは、概算で、1.5×10CFUのC.glabrataを含有する)を
与える。接種の4日目から開始して、マウスを、連続5日間にわたって、毎日1
回、媒体対照または試験化合物で腹腔内処理する。
【0207】 これらのマウスを、研究11日目(最後の用量の3日後)まで、毎日、観察す
る。死んでいることが分かったマウスまたは死の直前に安楽死させたマウスは、
さらに処理することになく、この研究から除く。生き残ったマウスを、研究11
日目で、COの吸入により安楽死させ、各マウスから、両方の腎臓を除去する
。除去した各対の腎臓を、3mLの氷冷PBS(これは、10%グリセロースを
含有する)中でホモジナイズする。各ホモジネートの一部を使用して、SDAプ
レート(37℃で48時間のインキュベーション)を使って、腎臓1個あたりの
log10CFUを決定した。腎臓のlog10CFUデータは、t−試験を使
用して分析する。統計学的に有意な応答についての規準は、p<0.01に設定
した。
【0208】 有効性は、個々の動物について、平均媒体対照値と比較して、腎臓CFUの2
log10より大きい低下として、定義した。この試験化合物についてのED は、これらの動物の50%が平均媒体対照値と比較して腎臓CFUの2log10 の低下を示した投薬量として、決定する。
【0209】
【表3】 記述したように、本発明は、例示した実施態様の範囲によって限定されず、こ
れらの実施態様は、本発明の単一の局面の例示として解釈され、そして機能的に
等価な任意の組成物および方法は、本発明の範囲内に入る。実際、本発明の種々
の改変は、上記のものに加えて、前述の記述および添付の図面から、当業者に明
らかとなる。このような改変は、添付の請求の範囲の範囲内に入ると解釈される
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 チャン, コンウェイ シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94110, サン フランシスコ, カンバーランド ストリート 69 (72)発明者 ダン, ビン ティー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 95111, サン ノゼ, センター ロード 2600 ナンバー177 (72)発明者 バルドウィン, クリストファー ジェ イ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 95062, サンタ クルース, レンウィック ウ ェイ 2951 (72)発明者 ローリー, デイビッド ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 95129, サン ノゼ, ギャリ ドライブ 7130 (72)発明者 サイモン, レイナ ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 95033, ロス ゲイトス, ラス カンブレス ロード 18439 (72)発明者 ウェブ, ロバート アール. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94038, モス ビーチ, ピー.オー. ボック ス 225, ステトソン ストリート 802 Fターム(参考) 4C057 AA18 BB04 DD01 KK24 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA15 NA02 ZB32

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その薬学的に受容可能な塩を含めた、構造式(I)の化合物
    : 【化1】 ここで: N−R−C(O)は、ポリエンマクロライド骨格である; CH−Rは、炭水化物残基であり、この場合、図示したCHは、末端炭
    水化物糖類の芳香族炭素から誘導され、そしてRは、該炭水化物の残部である
    ; 以下の(i)または(ii)のいずれかである:(i)Rは、水素、非極性
    置換基および水溶性増大置換基からなる群から選択され、そしてRは、水溶性
    増大置換基である;または(ii)RおよびRは、それらが結合したアミド
    窒素と一緒になって、飽和または不飽和環を形成し、該環は、必要に応じて、1
    個またはそれ以上の同一または異なる環ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個
    またはそれ以上の環炭素またはヘテロ原子において、同一または異なる極性また
    は非極性置換基あるいはそれらの組合せで置換されている;そして R14は、水素またはアルキルである、 化合物。
  2. 【請求項2】 前記ポリエンマクロライド骨格N−R−C(O)が、アン
    ホテリシンBまたはナイスタチンから誘導される、請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 R14が、水素である、請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 以下の(i)または(ii)のいずれかであり:(i)R が、水素、(C〜C)アルキル、1個またはそれ以上の同一または異なるR10 基で置換された(C〜C)アルキル、−[(CH−NH]−(
    CH−NR1516、−NH−[(CH−NH]−(CH −NR1516、−[(CH−NH]−(CH−R17およ
    び−NH−[(CH−NH]−(CH−R17からなる群から選
    択され、そしてRが、1個またはそれ以上の同一または異なるR10基で置換
    された(C〜C)アルキル、−[(CH−NH]−(CH
    NR1516、−NH−[(CH−NH]−(CH−NR1516、−[(CH−NH]−(CH−R17および−NH−[
    (CH−NH]−(CH)p−R17からなる群から選択されるか;
    または(ii)RおよびRが、それらが結合したアミド窒素原子と一緒にな
    って、5員または6員の飽和または不飽和環を形成し、該環が、必要に応じて、
    O、N、NHおよびSからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一また
    は異なる追加ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素ま
    たはヘテロ原子において、同一または異なる置換基で置換されており、該置換基
    が、R10、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−(CH−R10、(C〜C)アリール、フェニル、6員〜9員アリールアルキ
    ルおよびベンジルからなる群から選択され、 各R10が、独立して、−OH、=O(オキソ)、−NH(アミノ)、=N
    H(イミノ)、−C(=NH)−NH(アミジノ)および−NH−C(=NH
    )−NH(グアニジノ)からなる群から選択され、 以下の(i)または(ii)のいずれかであり:(i)R15およびR16
    、それぞれ独立して、水素、(C〜C)アルキル、および1個またはそれ以
    上の同一または異なるR10基で独立して置換された(C〜C)アルキルか
    らなる群から選択されるか;または(ii)R15およびR16が、それらが結
    合した窒素原子と一緒になって、5員または6員の飽和または不飽和環を形成し
    、該環が、必要に応じて、O、N、NHおよびSからなる群から選択された1個
    またはそれ以上の同一または異なる追加ヘテロ原子を含み、必要に応じて、1個
    またはそれ以上の環炭素またはヘテロ原子において、同一または異なる置換基で
    置換されており、該置換基が、R10、(C〜C)アルキル、(C〜C )アルコキシ、−(CH−R10、(C〜C)アリール、フェニル、
    6員〜9員アリールアルキルおよびベンジルからなる群から選択され、 R17が、5員または6員の飽和または不飽和環であり、該環が、O、N、N
    HおよびSからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一または異なるヘ
    テロ原子を含み、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素またはヘテロ原子
    において、同一または異なる置換基で置換されており、該置換基が、R10、(
    〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、−(CH−R10
    (C〜C)アリール、フェニル、6員〜9員アリールアルキルおよびベンジ
    ルからなる群から選択され、 各nが、独立して、1〜6の整数であり;そして 各pが、独立して、0〜6の整数である、請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 RおよびRが、選択肢(i)により定義される、請求項
    4に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 RおよびRが、選択肢(ii)により定義される、請求
    項4に記載の化合物。
  7. 【請求項7】 以下からなる群から選択される1つまたはそれ以上の特徴を
    有する、請求項1または4に記載の化合物: N−R−C(O)は、AmBまたはナイスタチンから誘導されたポリエン骨
    格である; CH−Rは、単糖類、二糖類またはオリゴ糖類である; Rは、水素である;そして R14は、水素である、 化合物。
  8. 【請求項8】 Rが、水素であり; Rが、−NH−NR1516、−(CH−NR1516、−(C
    −R17、および1個またはそれ以上のアミノ基または水酸基で置換さ
    れた(C〜C)アルキルからなる群から選択され;そして R15およびR16が、それらが結合した窒素原子と一緒になって、5員また
    は6員の飽和または不飽和環を形成し、該環が、必要に応じて、O、S、Nおよ
    びNHからなる群から選択された1個またはそれ以上の同一または異なる追加ヘ
    テロ原子を含み、そして/あるいは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭
    素またはヘテロ原子において、同一または異なるR10基、(C〜C)アル
    キル基、(C〜C)アルコキシ基、−(CH−R10基、(C〜C )アリール基、フェニル基、6員〜9員アリールアルキル基またはベンジル基
    で置換されており; R17が、5員または6員ヘテロアリールであり、該ヘテロアリールが、必要
    に応じて、1個またはそれ以上の同一または異なる(C〜C)アルキル基、
    (C〜C)アルコキシ基、(C〜C)アリール基、フェニル基、6員〜
    9員アリールアルキル基またはベンジル基で置換されている、請求項4に記載の
    化合物。
  9. 【請求項9】 RおよびRが、それらが結合した窒素原子と一緒になっ
    て、5員または6員シクロヘテロアルキル環を形成し、該環が、必要に応じて、
    1個またはそれ以上の置換基で置換され、該置換基が、(C〜C)アルキル
    、(C〜C)アルコキシ、−(CH−R10、(C〜C)アリー
    ル、フェニル、6員〜9員アリールアルキルおよびベンジルからなる群から選択
    され;そして R10が、アミノまたはヒドロキシである、請求項4に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 −CH−Rが、単糖類、二糖類またはオリゴ糖類であ
    る、請求項1に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 −CH−Rが、グルコース、ガラクトース、マルトー
    ス、セロビオースおよびラクトースからなる群から選択された還元炭水化物のア
    マドリ転位生成物である、請求項10に記載の化合物。
  12. 【請求項12】 前記置換基NRが、表2で挙げたアミンのいずれか
    によって与えられる、請求項1または11に記載の化合物。
  13. 【請求項13】 化合物100、101、102、103、104、105
    、106、107、108、109、110、111、112、113、114
    、115、116、117、118、119、120、121、122、127
    、128、129、130、131、132、133、134、135、136
    、137、138、139、140、141、142、143、144、145
    、146および147からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  14. 【請求項14】 その薬学的に受容可能な塩を含めた、構造式(II)の化
    合物: 【化2】 ここで: N−R−C(O)およびR14は、請求項1で先に定義したとおりである; Rは、水素、非極性置換基または水溶性増大置換基である; Rは、水素またはアルキルである;そして Rは、ポリヒドロキシル化アルキル、単糖類、二糖類およびオリゴ糖類から
    なる群から選択された水溶性増大置換基である、 化合物。
  15. 【請求項15】 前記ポリエンマクロライド骨格N−R−C(O)が、ア
    ンホテリシンBまたはナイスタチンから誘導される、請求項14に記載の化合物
  16. 【請求項16】 Rが、水素である、請求項14に記載の化合物。
  17. 【請求項17】 Rが、ポリヒドロキシル化アルキル、単糖類、二糖類お
    よびオリゴ糖類からなる群から選択された水溶性増大置換基である、請求項14
    に記載の化合物。
  18. 【請求項18】 Rが、水素または低級アルキルである、請求項14に記
    載の化合物。
  19. 【請求項19】 Rが、グルコシル、ガラクトシルおよびマンノシルから
    なる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
  20. 【請求項20】 化合物123、124、125および126からなる群か
    ら選択される、請求項14に記載の化合物。
  21. 【請求項21】 請求項1または14に記載の化合物および薬学的に受容可
    能なキャリア、賦形剤または希釈剤を含有する、薬学的組成物。
  22. 【請求項22】 真菌の成長を阻止する方法であって、該真菌を、該真菌の
    該成長を阻止するのに有効な量の請求項1または14に記載の化合物と接触させ
    る工程を包含する、方法。
  23. 【請求項23】 被験体における真菌感染を治療または予防する方法であっ
    て、該被験体に、該真菌感染を治療または予防するのに有効な量の請求項1また
    は14に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
  24. 【請求項24】 前記被験体が、ヒト、動物または植物である、請求項23
    に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記感染が、局所感染である、請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記感染が、全身感染である、請求項23に記載の方法。
  27. 【請求項27】 ポリエンマクロライドアミド誘導体を作製する方法であっ
    て、該方法は、以下の工程を包含する: 親ポリエンマクロライドを、アマドリ転位条件下にて、還元炭水化物と反応さ
    せて、アマドリ転位生成物を得る工程;および 該アマドリ転位生成物を、式HNRのアミン試薬でアミド化して、該ポ
    リエンマクロライド誘導体を得る工程であって、ここで、RおよびRは、請
    求項1で定義したとおりである、 方法。
  28. 【請求項28】 さらに、前記親ポリエンマクロライド、前記アマドリ転位
    生成物または前記得られたポリエンマクロライド誘導体をN−アルキル化する工
    程を包含する、請求項26に記載の方法。
  29. 【請求項29】 ポリエンマクロライドアミド誘導体を作製する方法であっ
    て、該方法は、以下の工程を包含する: 親ポリエンマクロライドを、式HNRのアミン試薬でアミド化して、ア
    ミド化ポリエンマクロライドを得る工程であって、ここで、RおよびRは、
    請求項1で定義したとおりである、工程;および アマドリ転位条件下にて、該アミド化ポリエンマクロライドを還元炭水化物と
    反応させて、該ポリエンマクロライドアミド誘導体を得る工程。
  30. 【請求項30】 さらに、前記親ポリエンマクロライド、前記アミド化ポリ
    エンマクロライドまたは前記得られたポリエンマクロライド誘導体をN−アルキ
    ル化する工程を包含する、請求項28に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記アミド化工程が、ウロニウム塩またはホスホニウム塩
    カップリング剤を使って行われる、請求項26または28に記載の方法。
  32. 【請求項32】 単一ポット内で実行される、請求項26に記載の方法。
  33. 【請求項33】 構造式(I)のポリエンマクロライドアミド誘導体を作製
    する方法であって、 【化3】 ここで、N−R−C(O)、CH−R、R、RおよびR14は、請
    求項1で定義したとおりであり、該方法は、以下の工程を包含する: 構造(III)のポリエンマクロライドを、アマドリ転位条件下にて、還元炭
    化水素と反応させて、アマドリ転位生成物を得る工程:および 【化4】 該アマドリ転位生成物を、式HNRのアミン試薬でアミド化して、式(
    I)の該ポリエンマクロライドアミド誘導体を得る工程。
  34. 【請求項34】 ポリエンマクロライドアミド誘導体を作製する方法であっ
    て、該方法は、以下の工程を包含する: 親ポリエンマクロライドを、式HNRのアミン試薬でアミド化して、ポ
    リエンマクロライドアミド誘導体を得る工程であって、ここで、RおよびR は、請求項14で定義したとおりである、 方法。
  35. 【請求項35】 さらに、前記親ポリエンマクロライドまたは前記得られた
    ポリエンマクロライドアミド誘導体をN−モノ−またはジ−アルキル化する工程
    を包含する、請求項33に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記アミド化工程が、ウロニウム塩またはホスホニウム塩
    カップリング剤を使って行われる、請求項33に記載の方法。
  37. 【請求項37】 構造式(II)のポリエンマクロライドアミド誘導体を作
    製する方法であって、 【化5】 ここで、N−R−C(O)、R、R、RおよびR14は、請求項14
    で定義したとおりであり、該方法は、以下の工程を包含する: 構造(IV)のポリエンマクロライドを、式HNRのアミン試薬と反応
    させて、構造式(II)の該ポリエンマクロライドアミド誘導体を得る工程であ
    って、ここで、RおよびRは、請求項14で定義したとおりである: 【化6】
  38. 【請求項38】 前記アミド化工程が、ウロニウム塩またはホスホニウム塩
    カップリング剤を使って行われる、請求項36に記載の方法。
  39. 【請求項39】 請求項26、28、32、33または36のいずれか1項
    に記載の方法により生成した、ポリエンマクロライドアミド誘導体。
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