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JP2003328042A - 焼結原料の造粒方法 - Google Patents

焼結原料の造粒方法

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JP2003328042A
JP2003328042A JP2002139885A JP2002139885A JP2003328042A JP 2003328042 A JP2003328042 A JP 2003328042A JP 2002139885 A JP2002139885 A JP 2002139885A JP 2002139885 A JP2002139885 A JP 2002139885A JP 2003328042 A JP2003328042 A JP 2003328042A
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granulation
mixer
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particles
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JP2002139885A
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Noboru Sakamoto
登 坂本
Yoshinori Watanabe
芳典 渡辺
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Publication date
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  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微粒の粉鉄鉱石を用いた場合にも造粒性が良
く所望の擬似粒子とすることができる焼結原料の造粒方
法を提供すること。 【解決手段】 粉鉄鉱石と炭材とを主体とする焼結原料
を一次造粒ミキサ4で造粒後、さらに二次造粒ミキサ6
によって造粒して擬似粒子とする粉鉄鉱石の造粒方法で
あって、一次造粒ミキサ4および二次造粒ミキサ6のい
ずれの造粒の際にも水を添加するか、または粉鉄鉱石を
3〜5mmを分級点として粗粒と微粒に分級し、鉄鉱石
の粗粒の全部と微粒の一部を一次造粒ミキサ4に投入し
て造粒を行い、引き続き一次造粒ミキサ4での造粒体と
鉄鉱石の微粉の残部を二次造粒ミキサ6に投入して造粒
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、粉鉄鉱石をディス
クペレタイザやドラムミキサ等の造粒ミキサによって造
粒して擬似粒子とする焼結原料の造粒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から高炉原料として、焼結原料であ
る粉鉄鉱石、媒溶材、および粉炭材等を混合し、造粒し
た後、焼結することにより得られる焼結鉱が用いられて
いる。
【0003】このような焼結鉱に関して、従来、原料配
合や造粒工程を調整して通気性を改善することや、擬似
粒子の表面に粉コークスを付着させて燃焼性を良好にす
ること、配合原料や擬似粒子の構造を調整して燃焼効率
を高めること等、種々の試みがなされている。特に、焼
結操業での生産率、歩留まりおよび成品品質は、造粒工
程の操業に強く依存する。
【0004】ところで、わが国の鉄鉱石資源は50%以
上をオーストラリアに依存しており、従来から、粉鉄鉱
石としてはピソライト系鉱石が主流であった。しかしな
がら、ピソライト鉱石の残存埋蔵量が少なくなってきて
おり、マラマンバ系鉱石への資源転換移行が始まってい
る。ピソライト鉱石は比較的粗粒であり、造粒性が良好
であるのに対し、マラマンバ鉱石は微粉であり、マラマ
ンバ鉱石を多く用いる場合には、従来の条件では焼結操
業での生産率、歩留まりおよび成品強度の面で十分な造
粒ペレットを得ることができない。したがって、微粒原
料でも良好な擬似粒子を得ることができる造粒条件が求
められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、造粒現
象は種々の要因が複雑に絡み合い、その定量的な解析は
なされておらず、新しい鉄鉱石原料に適した造粒条件が
未だ見出されていないのが現状である。
【0006】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、微粒の粉鉄鉱石を用いた場合にも造粒性が良
く所望の擬似粒子とすることができる焼結原料の造粒方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1の観点では、粉鉄鉱石と炭材とを主体
とする焼結原料を一次造粒ミキサで造粒後、さらに二次
造粒ミキサによって造粒して擬似粒子とする焼結原料の
造粒方法であって、前記一次造粒ミキサおよび二次造粒
ミキサのいずれの造粒の際にも水を添加することを特徴
とする焼結原料の造粒方法を提供する。
【0008】従来の方法では、造粒原料中に微粒が多い
と、一次造粒ミキサにおいて微粒同士が不十分に合体し
た微粒の擬似粒子を多く生成し、二次造粒ミキサでもこ
のような微粒の擬似粒子はほとんど造粒されず微粒のま
まとなるが、一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキサの両
方で水を添加することにより、一次造粒ミキサでの造粒
性が高まるとともに、従来水分が添加されていなかった
二次造粒ミキサにおいて、微粒が粗粒の造粒体に付着し
やすくなり、得られる擬似粒子は微粒が少ない良好なも
のとなる。
【0009】本発明の第2の観点では、粉鉄鉱石と炭材
とを主体とする焼結原料を一次造粒ミキサで造粒後、さ
らに二次造粒ミキサによって造粒して擬似粒子とする焼
結原料の造粒方法であって、前記二次造粒ミキサに、前
記一次造粒ミキサで造粒した造粒体の他、微粒の鉄材を
添加して造粒することを特徴とする焼結原料の造粒方法
を提供する。
【0010】上述したように、造粒原料中に微粒が多い
と、一次造粒ミキサにおいて微粒同士が不十分に合体し
た微粒の擬似粒子を多く生成し、このような微粒の擬似
粒子は嵩密度が高まっているので二次造粒ミキサではほ
とんど造粒されず微粒の擬似粒子のままとなる。これに
対して、このように、一次造粒ミキサを経ていない微粒
の鉄材を二次造粒ミキサに直接投入することにより、嵩
密度が高まっていない微粒が二次造粒ミキサに投入され
ることとなり、このような微粒が一次造粒ミキサで造粒
された造粒体の周囲に付着してさらに造粒されるため、
原料に微粉が多くても得られる擬似粒子は微粒が少ない
良好なものとなる。
【0011】好ましくは、粉鉄鉱石を3〜5mmを分級
点として粗粒と微粒に分級し、粉鉄鉱石の粗粒の全部と
微粒の一部を前記一次造粒ミキサに投入して造粒を行
い、前記二次造粒ミキサに、一次造粒ミキサでの造粒体
の他、微粒の鉄材として粉鉄鉱石の微粒の残部を投入し
て造粒を行うことである。これにより、粉鉄鉱石以外の
鉄材を装入することなく微粒が少ない良好な擬似粒子を
得ることができる。
【0012】上記本発明の第2の観点の構成に加え、こ
のように一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキサのいずれ
の造粒の際にも水を添加することを採用することによ
り、一次造粒ミキサにより造粒がより容易になるととも
に、二次造粒ミキサに直接投入された鉄鉱石の微粉が、
一次造粒ミキサで造粒された造粒体により付着しやすく
なり、得られる擬似粒子は一層微粒の少ないより良好な
ものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
具体的に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に
係る焼結原料の造粒方法を実施するための設備を示す模
式図である。山積みされた粉鉄鉱石1は、粉コークス
(炭材)、返鉱、フラックスとともにホッパ群2からベ
ルトコンベア3を介してドラム型の一次造粒ミキサ4に
投入され、一次造粒ミキサ4を所定回数回転させること
により造粒体を形成する。一次造粒ミキサ4内には、散
水ノズル5により散水可能となっている。
【0014】一方、ドラム型の二次造粒ミキサ6には、
一次造粒ミキサ4で造粒された造粒体が投入され、二次
造粒ミキサ6を所定回数回転させることにより擬似粒子
が得られる。この擬似粒子は焼結機に搬送されて焼結さ
れ、焼結鉱となる。二次造粒ミキサ6内には、散水ノズ
ル7により散水可能となっている。
【0015】本発明の第1の実施形態においては、以上
のような設備を用いて、粉鉄鉱石、粉コークス(炭
材)、返鉱、フラックスからなる造粒原料を一次造粒ミ
キサ4に投入し、散水ノズル5から散水しながら、一次
造粒ミキサ4を回転させて造粒を行い、得られた造粒体
を二次造粒ミキサ6に投入して散水ノズル7から散水し
ながら、二次造粒ミキサ6を回転させてさらに造粒を行
い、擬似粒子を製造する。
【0016】従来は、主として、一次造粒ミキサのみで
散水を行っていた。これは、従来の原料系は比較的造粒
性が良好であり一次造粒ミキサの散水のみでさほど不都
合がなかったためである。これに対して、微粉のマラマ
ンバ鉱石を相当量用いる場合には、従来よりも造粒性が
悪く、従来の方法では十分な造粒を行うことができなか
った。つまり、一次造粒ミキサにおいて微粒同士が不十
分に合体した微粒の擬似粒子を多く生成し、このような
微粒の擬似粒子は二次造粒ミキサでもほとんど造粒され
ず微粒のままとなっていた。
【0017】そこで、本実施形態では、一次造粒ミキサ
4での造粒の際に散水ノズル5から散水するとともに、
二次造粒ミキサ6での造粒の際にも散水ノズル7から散
水するようにした。これにより、一次造粒ミキサ4での
造粒性が高まるとともに、従来水分が添加されていなか
った二次造粒ミキサ6において、微粒が粗粒の造粒体に
付着しやすくなり、得られる擬似粒子は微粒が少ない良
好なものとなる。
【0018】この際の散水量は、結晶水等の持ち込み水
分を除いて原料全体の2〜4%が好ましく、散水水分の
うち、50〜80%を一次造粒ミキサ5で散水し、20
〜50%を二次造粒ミキサ9で散水することが好まし
い。
【0019】図2は、本発明の第2の実施形態に係る焼
結原料の造粒方法を実施するための設備を示す模式図で
ある。図2において、図1と同じものには同じ符号を付
している。山積みされた粉鉄鉱石1は、振動篩8によっ
て篩分けされ、適宜の分級点、例えば図示のように3m
mで分級される。分級された粉鉄鉱石のうち粗粒の全部
と微粒の一部を、粉コークス(炭材)、返鉱、フラック
スとともにホッパ群2aからベルトコンベア3aを介し
てドラム型の一次造粒ミキサ4に投入され、一次造粒ミ
キサ4を所定回数回転させることにより造粒体を形成す
る。一次造粒ミキサ4内には、散水ノズル5により散水
可能となっている。
【0020】一方、分級された微粒の残部は、粉コーク
スとともにホッパ群2bからベルトコンベア3bを介し
てドラム型の二次造粒ミキサ6に投入される。二次造粒
ミキサ6には、これらとともに一次造粒ミキサ4で造粒
された造粒体が投入され、二次造粒ミキサ6を所定回数
回転させることによりさらに造粒され、擬似粒子が得ら
れる。この擬似粒子は焼結機に搬送されて焼結され、焼
結鉱となる。二次造粒ミキサ9内には、散水ノズル7に
より散水可能となっている。
【0021】このように、粉鉄鉱石等を造粒して擬似粒
子を製造するに際して、上述のように、所定の分級点で
分級した粉鉄鉱石のうち、粗粒の全部と微粒の一部を一
次造粒ミキサ4に投入し、微粒の残部は二次造粒ミキサ
6に直接投入することにより、嵩密度が高まっていない
微粒が二次造粒ミキサ6に投入されることとなり、この
ような微粒が一次造粒ミキサ4で造粒された造粒体の周
囲に付着してさらに造粒されるため、原料に微粉が多く
ても得られる擬似粒子は微粒が少ない良好なものとな
る。
【0022】この場合に、上記粉鉄鉱石の分級点を3〜
5mmの範囲とする。分級点が3mm未満では、粉鉄鉱
石が水分5〜6%を含有し、銘柄によっては粘土質鉱石
であるため、篩の目詰まりが生じやすく、安定した篩い
分け効果が得難く、5mmを超えると粗粒の造粒体の表
面に微粒鉱石が被覆して擬似粒子が成長する現象が得難
くなる。
【0023】また、一次造粒ミキサ4に投入する微粒と
粗粒との配合比は質量比で、微粒/粗粒=30/70〜
60/40であることが好ましい。一次造粒ミキサ4で
の微粒比率が30%未満では、一次造粒ミキサ4内で粉
鉄鉱石が不足し、核となる造粒体が安定して得られず、
また、二次造粒ミキサ6に供給される微粒鉱石が相対的
に多くなるため二次造粒ミキサ6内での造粒負荷が上昇
し、擬似粒子の粒径成長が十分に行われない。また一次
造粒ミキサ4での微粒比率が60%超では一次造粒ミキ
サ4内での微粉量が多すぎ造粒操作が十分行われず、ま
た二次造粒ミキサ6内では擬似粒子が成長するための粉
鉄鉱石が不足するために十分な成長が達成されない。
【0024】一次造粒ミキサ4および二次造粒ミキサ6
における造粒操作に際して、散水ノズル5および7か
ら、一次造粒ミキサ4および二次造粒ミキサ6の両方に
水を添加することが好ましい。これにより一次造粒ミキ
サ4により造粒がより容易になるとともに、二次造粒ミ
キサ6に直接投入された鉄鉱石の微粉が、一次造粒ミキ
サ4で造粒された造粒体により付着しやすくなり、得ら
れる擬似粒子は一層微粒の少ないより良好なものとな
る。この際の散水量は、結晶水等の持ち込み水分を除い
て原料全体の2〜4%が好ましく、散水水分のうち、5
0〜80%を一次造粒ミキサ4で散水し、20〜50%
を二次造粒ミキサ6で散水することが好ましい。
【0025】なお、上記第2の実施形態では、粉鉄鉱石
を分級し、一次造粒ミキサに粗粒の全部と微粒の一部を
投入して造粒し、二次造粒ミキサには、その造粒体と、
微粒の残部を投入したが、分級を行わずに、二次造粒ミ
キサに他の微粒鉄材、例えば粒径の小さいペレット原
料、製鉄所で発生する各種ダスト等の他の微粉鉄材を使
用しても同様の効果が得られる。
【0026】次に、本発明に至ったシミュレーション結
果について説明する。まず、シミュレーションに先立っ
て、現行の造粒設備における操業条件と造粒状況につい
て把握した。図3は現行の造粒設備を説明する模式図で
あり、表1は原料の配合比率、表2は一次および二次造
粒ミキサの操業項目を示すものである。造粒はドラム型
の一次および二次造粒ミキサで行い一次造粒ミキサへの
原料供給量は790t/hである。図3に示すように、
二次造粒ミキサは一次造粒ミキサよりも内容積が大き
く、その結果、二次造粒ミキサの原料滞留量は一次造粒
ミキサの約半分となっている。擬似粒子化のために一次
造粒ミキサで約2mass%の温水を散水し、二次造粒
ミキサでは散水せず、持ち込み水分の約6mass%を
含め最終擬似粒子の水分を約8mass%で管理してい
る。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】造粒ミキサ内の擬似粒子は複雑な運動を経
て形成されるが、その際に影響を受ける主要造粒因子と
して造粒ミキサ内での原料掻き揚げ運動に依存すると想
定される。この現象は擬似粒子の受ける慣性力と重力の
比で表す以下の(1)式のフルード数Frで表現するこ
とができる。 Fr=DN/g ‥‥‥(1) ここで、D:造粒ミキサ内径(m)、N:ミキサ回転数
(rpm)、g:重力加速度(m/min)である。
【0030】表2に示すように、一次造粒ミキサでのF
rは二次造粒ミキサのFrより大きい。これは、原料に
与えられる慣性力が重力に比較して大きいこと、換言す
れば一次造粒ミキサ内での原料の転動は、二次造粒ミキ
サ内での原料の転動に比べて掻き上げ落下運動が激しい
ことを意味している。
【0031】原料と擬似粒子のサンプリングは、安定操
業中の焼結プラントにおける原料コンベアを瞬間的に停
止し、図3に示す#1〜#3の地点で行った。#1は一
次造粒ミキサの入り口、#2は二次造粒ミキサの入り
口、#3は二次造粒ミキサの出口である。採取量は1回
につき約20kgとした。採取試料は水分の変化がない
よう、缶にいれ密封して保管した。採取試料は、篩い分
け試験を行うとともに、嵩密度を測定した。採取作業
は、各地点で3回づつ行い、その再現性を併せて評価し
た。採取の間隔は10分間以上とし、前回の採取による
プラントの停止の影響がないようにした。原料の造粒ミ
キサ内滞留時間の評価は、地点#1および#2から同時
にトレーサとしてのピンポン玉を6個入れ、地点#2お
よび#3への出現時間を計って求めた。このようにして
求めた原料の造粒ミキサ内滞留時間は一次造粒ミキサで
1.4分間、二次造粒ミキサで1.5分間であり、いず
れも設計滞留時間よりも短時間で造粒していることが確
認された。
【0032】この際の擬似粒子の湿潤状況下での#1〜
#3での粒度分布を図4に示す。図4に示すように3回
の採取実験における粒度分布の再現性は非常に高く、定
常状態で操業中の従来の造粒設備は極めて時間的な変動
が少ない安定した設備であることがわかる。
【0033】この図4から、−0.5mm微粒原料は、
一次造粒ミキサの造粒効果により急激に減少するが、二
次ミキサではその効果が減少し、−0.5mm微粒原料
消費は抑制されることがわかる。これは−0.5mm微
粒原料の一部は一次造粒ミキサ内で造粒されるものの擬
似粒子は0.5mm以下に留まり+0.5mmに成長し
ないことによる。
【0034】また、#1〜#3での擬似粒子の嵩密度を
図5に示す。一般に、造粒ミキサ内で擬似粒子が成長す
る場合、転動過程で嵩密度が向上し、その結果強度が改
善されるとされているが、図5からいずれの粒度域にお
いても造粒の進展にともなって湿潤状態での嵩密度が上
昇することが確認された。−0.5mm微粒原料は二次
造粒ミキサで造粒されにくいが、嵩密度は上昇している
ことがわかる。−0.5mm微粒原料の嵩密度の上昇は
逆に微粒原料の付着粉としての機能を低下させ、その結
果図4に示すように−0.5mm擬似粒子が多く残留す
ることになると考えられる。
【0035】次に、上記操業データを基に、造粒確率モ
デルによるシミュレーションのパラメータの最適化を図
り、それに基づいて、最適な操業条件の把握を行った結
果について説明する。
【0036】まず、造粒確率モデルについて説明する。
焼結プラントは極めて大がかりな設備であるため、鉄鉱
石原料の変更や操業上に影響のある条件の変更を行おう
とする場合、実プラントにおける実験は事実上不可能で
あり、従来より造粒をシミュレートすることが試みられ
ている。しかし、従来の造粒モデルは、物理化学現象を
重視した理論モデルに基づいており、鉱石特性、造粒シ
ステム特性等の操業上重要な特性を解析することが困難
である。このため、新しい造粒モデルとして造粒プロセ
スの操業解析や操業評価に堪える汎用のモデルが望まれ
る。
【0037】特に、マラマンバ鉱石は微紛の比率が他の
原料に比較して高く、難造粒性であるので、造粒性の悪
化によって焼結ベッド通気性悪化を招く。このため、こ
れを解決するための新しい造粒システムと造粒性評価モ
デルを構築する必要がある。このように、実機造粒プラ
ントを想定した新造粒モデル開発が重要になってくる。
【0038】従来の造粒モデルは、プロセスにおいて生
じる現象を、確定的現象として捕らえ、微分方程式化し
て、初期条件・境界条件のもとで解を得ようとしたもの
であるため、鉱石特性、造粒システム特性等の操業上重
要な特性を解析することが困難であるばかりでなく、計
算が膨大になる等、実用性に欠けている。
【0039】そこで、ここでは、従来の研究のように原
料を1個の粒子として取り扱わず、粒度分布を有する粒
子群として取り扱い、現実の原料条件に近い条件で造粒
解析を行う。図6は、造粒確率モデルに基づく造粒シミ
ュレーション方法を説明するための概念図である。
【0040】この造粒シミュレーション方法において
は、原料の粒度分布ベクトルFは第i番目の篩目ごとの
重量割合fi(mass%)として定める。たとえば、
第1の篩目は0mm以上0.125mm未満の径の原料
を選別し、第2の篩目は0.125mm以上1.00m
m未満の径の原料を選別し、第3の篩目は1.00mm
以上3.00mm未満の径の原料を選別する。篩目の数
をn個、i番目の篩目で選別された原料の比率がfkと
すると、“k”について1からnまでのfkの総和は1
である。
【0041】また、造粒確率πは篩目の番数によらず一
定とする。ここにπはゼロ以上で1以下の数であり、f
i(mass%)の原料は造粒機で造粒されてπfi
(mass%)擬似粒子となる。この造粒擬似粒子はそ
れぞれの径に応じて各篩目に属するようになる。また、
未造粒分は(1−π)fi(mass%)となる。この
未造粒分は、造粒過程の進行に伴って減少していく。
【0042】また、ここでの造粒シミュレーション方法
においては、仮想的に単位造粒操作を定義する。この単
位造粒操作は、ある時間単位ごとまたは造粒ミキサのあ
る回転(1回転も含む)ごとについて原料が造粒される
過程であり、この単位造粒操作を繰り返すことによっ
て、造粒が完了するものと仮定する。この単位造粒操作
によって、fi(mass%)の原料のうちπだけ造粒
されて、πfi(mass%)の造粒擬似粒子が生成さ
れる。
【0043】このような単位造粒操作を篩目ごとに行っ
た結果を図7、8に示す。図7は第1番目の篩目で選別
されたf1(mass%)の原料への単位造粒操作につ
いて説明する。ここでは簡単のために、原料はすべて第
1の篩目下のみに存在するものとする。まず、このよう
な第1の篩目に単位造粒操作を施すと、f1(mass
%)の原料は、πf1(mass%)の造粒擬似粒子と
(1−π)f1(mass%)の未造粒粒子に分かれ
る。ここで、πf1(mass%)の造粒擬似粒子は粒
子径に応じて第1番目から第n番目の篩目のいずれかに
よって選別される。
【0044】第1番目の篩目によって選別される造粒擬
似粒子をπf1×q11(mass%)、第2番目の篩
目によって選別される造粒擬似粒子をπf1×πq21
(mass%)、第3番目の篩目によって選別される造
粒擬似粒子をπf1×πq31(mass%)、‥‥
‥、第n番目の篩目によって選抜される造粒擬似粒子を
πf1×πqn1(mass%)とする。q11(ma
ss%)は造粒されはしたが、粒子径成長が不十分で、
第1番目の篩目下にとどまる原料の質量百分率である。
第1番目の篩目下には、造粒しなかった原料(1−π)
f1(mass%)も存在する。πf1×q11も含め
て、πf1×q11からπf1×qn1までの総和は、
最初の定義によってπf1である。したがって、“k”
について1からnまでのqk1の総和は1となる。
【0045】図8は第2番目の篩目で選別されたf2
(mass%)の原料への単位造粒操作について説明す
る。簡単のために、原料は第2の篩目中にのみ存在する
ものとする。f2(mass%)の原料は、πf2(m
ass%)の造粒擬似粒子と(1−π)f2(mass
%)未造粒粒子に分かれる。ここで、πf2(mass
%)の造粒擬似粒子は、1番目から第n番目の篩目のい
ずれかによって選別される。第1番目の篩目によって選
別される造粒擬似粒子をπf2×q12(mass
%)、第2番目の篩目によって選別される造粒擬似粒子
をπf2×q22(mass%)、第3番目の篩目によ
って選抜される造粒擬似粒子をπf2×q32(mas
s%)、. . .、第n番目の篩目によって選抜され
る造粒擬似粒子をπf2×qn2(mass%)とす
る。
【0046】ここで、πf2×q22(mass%)
は、造粒されはしたが、第2番目の篩目下にとどまる原
料の重量百分率である。第2番目の篩目下には、造粒し
なかった原料(1−π)f2(mass%)も存在す
る。πf2×q22も含めて、πf2×q12からπf
2×qn2までの総和は、定義によってπf2である。
したがって、“k”について1からnまでのqk2の総
和も常に1となり、物質収支が成立する。ここで、係数
πq12は、単位造粒操作において、第2篩目粒子が第
1篩目粒子に変化すること、すなわち擬似粒子の崩壊を
表している。
【0047】以上、第1節目粒子、第2節目粒子への単
位造粒操作について説明したが、他の節目についても同
様である。
【0048】以上から、原料粒度分布ベクトルF(f
1、f2、f3、‥‥‥‥‥‥、fn)が確率過程を経
て成品粒度分布又は擬似粒子粒度分布ベクトルG(g
1、g2、g3、‥‥‥‥‥‥gn)となるプロセスを
定式化する。そのため、qijをマトリクス要素とする
n行n列のマトリクスを造粒マトリクスBとする。ここ
に、nは篩目の総数であり、たとえば篩目の個数は6個
等とする。また、qijは、j番目の篩で選別された擬
似粒子が造粒操作によってi番目の篩目に移行する確率
を表し、0≦qij≦1 である。第1番の篩目の単位
造粒操作後に第1番目の篩目下に残留する原料g1(m
ass%)は g1=f1(1−π)+f1πq11 ここに、右辺第1項は未造粒成分、右辺第2項は造粒さ
れたが第1番目の篩目下にとどまる成分である。
【0049】次に、第2番の篩目の単位造粒操作後に第
2番目の篩目に残留する原料g2wt%は g2=f2(1−π)+f1πq21+f2πq22 =f2(1−π)+π(f1q21+f2q22)であ
る。 ここに、右辺第1項は未造粒成分、右辺第2項は造粒に
よって径が大きくなった結果第1の篩目から第2の篩目
に移行した造粒成分、右辺第3項は造粒されたが第2番
目の篩目にとどまる成分である。
【0050】以下、同様にして、第k番の篩目の単位造
粒操作後に第k番目の篩目に入る原料gk(mass
%)は gk=fk(1−π)+f1πqk1+f2πqk2+
‥‥‥‥‥‥‥‥‥+fmπqkm+ ‥‥‥‥‥‥
+fkπqkk ここに、右辺第1項は未造粒成分、右辺第2項以下(最
後の項を除く)は造粒によって径が大きくなった結果第
i番目の篩目(iは1以上)から第k番目の篩目に移行
した造粒成分、最後の項は造粒されたk番目の篩目の擬
似粒子が第k番目の篩目にとどまる成分である。
【0051】上記gkの式をマトリクス表示すると、以
下の(2)式に示すようになる。 G={(1−π)E+πB}F ‥‥‥‥‥‥(2) ここで、Gはgkを成分とするn列の縦ベクトルであり
成品粒度分布ベクトル、Fはfkを成分とするn列のベ
クトルであり原料粒度分布ベクトル、Eはn行n列の単
位マトリクスである。
【0052】以上のマトリクス表示式で単位造粒操作を
表すことができるため、N回の単位造粒操作後の成品粒
度分布ベクトルGは、以下の(3)式に示すようにな
る。 G={(1−π)E+πB}F ‥‥‥‥‥‥(3) ここで、
【数1】 Nは、単位造粒操作の繰り返し回数であるが、単位造粒
操作をある時間単位当りで定義すれば、この式は任意時
間後の擬似粒子粒度分布を表す式となる。
【0053】以下、造粒マトリクスBと単位造粒操作の
繰り返し回数Nとの関係について説明する。既に説明し
たように、(n+1)回目の造粒確率は、n回目の造粒
確率によって決定される。このような造粒過程は、マル
コフ連鎖であり、{(1−π)E+πB}は、ひと
つの確率行列に収束する。したがって、ここでの造粒シ
ミュレーションは、他の造粒条件が同一であれば、Nが
無限大の時に鉱石の造粒特性に応じた同一の造粒結果に
収束するという性質を持つ。ここに、収束の速度はπが
大きいほど大きくなる。しかし、現実には、造粒システ
ム内の滞留時間は限界があり、単位造粒操作を無限回繰
り返すことはできない。したがって、ここでの造粒シミ
ュレーションは、与えられた造粒マトリクスBの下で、
ある有限なNtmについて、{(1−π)E+πB)
の進展をシミュレートしていくものである。
【0054】次に、造粒マトリクスBによって造粒前後
の物質収支を説明する。この造粒マトリクスBには、造
粒ミキサに加える水、フラックス等は直接含まれていな
いが、これらの因子によって難造粒性となるか易造粒性
となるか等を考慮して、造粒マトリクスBのマトリクス
要素qijに反映させることができる。したがって、造
粒前後で鉱石や廃棄物等の原料それ自身の総量は保存さ
れるから、既に説明したように、“k”について1から
nまでのqk1の総和は1となり、“k”について1か
らnまでのqk2の総和は1となり、同様にして、
“k”について1からnまでのqknの総和は1とな
る。すなわち、以下の(4)式が成り立つ。
【数2】
【0055】確率的造粒過程を表す演算子P
{(1−π)E+πB}を用いれば、πqijによ
って、鉱石微紛部比率、粒子間の結合容易性、吸水性、
表面物理化学特性値を、造粒結果に反映することができ
る。また、係数(1−π)によって、造粒ミキサの径/
長さ比、原料供給量、加湿量等の設備に依存する非造粒
性も反映することができる。たとえば、造粒ミキサの径
/長さを変化させれば、それだけ造粒速度が変化するた
め、経験則に照らして、または簡単には比例則を適応す
るなどして、πを変化させればよい。
【0056】造粒マトリクスBにおいて、その対角行列
qkk(k=1〜n)より上の領域は崩壊領域を、下の
領域は造粒領域を意味する。したがって、(4)式の条
件下で、以下の(5)式に示す上三角行列Bを選択す
れば造粒操作とともに造粒は限りなく進むこととなって
結果的に擬似粒子は最大篩目以上に成長することにな
る。一方、以下の(6)式に示す下三角行列Bを選択
すれば造粒操作を行っているにも拘わらず擬似粒子は限
りなく崩壊を続け、最終的には擬似粒子は全量最小篩目
以下となる。実際の造粒現象では造粒と崩壊が同時に進
行するから、BとBの間の(7)式に造粒マトリッ
クスBが使用されることとなる。BとB の間のどの
位置に存在するかは原料粒度ごとの造粒性、崩壊性に依
存する。
【0057】
【数3】
【0058】以上の造粒確率モデルは多種類の原料を混
合する場合も適用することができる。造粒確率がπ1で
あり造粒マトリクスがB1である原料1と、造粒確率が
π2であり造粒マトリクスがB2である原料2とを混合
した混合原料を造粒するものとする。異種粒子同士は、
混合のみによっては合体しないとすれば、線形近似によ
り、前記混合原料の前記造粒確率πは、k1+k2=1
となる実数k1およびk2を選ぶと、(k1・π1+k
2・π2)であり、前記混合原料の前記造粒マトリクス
Bは、k1・B1+k2・B2である。
【0059】以上の造粒確率モデルに基づくシミュレー
ションの計算フローを図9に示す。まず、初期値として
造粒条件を設定し(工程S1)、以下、造粒ミキサ滞留
時間および回転数から決まる総転動回数(Nmax)分
のシミュレーションを上記(3)を基に行う(工程S2
〜S5)。ただし、造粒工程では−1mm原料は被覆原
料として作用するので、この粒度域の原料が消費され尽
くされた段階でシミュレーションは完了する(工程S
6,S7)。また、−1mm原料が残留していてもN=
Nmaxとなった段階でシミュレーションは完了する
(工程S8,S7)。シミュレーション結果として各造
粒操作ごとの擬似粒子粒度分布(G)、造粒マトリッ
クス(B)が得られる(工程S9)。
【0060】上述した造粒確率πは、単位造粒操作ごと
の原料全体の造粒確率であり、1回ごとにどれだけ造粒
に寄与するかを示すパラメータである。そのため、時間
あるいは造粒操作回数に対する擬似粒子粒径分布の変化
より適正値を設定することができる。
【0061】上述した図4の実際の造粒操業データか
ら、最終造粒時の造粒特性は微粉部分での造粒による消
費が少ないこと、+5mm擬似粒子粒度の変化が少ない
ことが特徴である。この造粒特性は造粒マトリックスB
の粒度ごと造粒確率要素qijに反映される。また、実
際の造粒操業において、表2に示したように、一次造粒
ミキサでは回転数:6.0rpm、原料滞留時間:1.
4分間であり、二次造粒ミキサでは回転数:4.8rp
m、原料滞留時間:1.5分間であるから、造粒操作回
数は、以下の(8)、(9)式に示すようになる。 一次造粒ミキサ:6.0rpm×1.4min=8.4回転 ‥‥(8) 二次造粒ミキサ:4.8rpm×1.5min=7.2回転 ‥‥(9) すなわち、図3の#1〜#2の間に8.4回の造粒操作
が、#2〜#3の間に7.2回の造粒操作が行われるこ
ととなる。これらの値は図10のNに反映され、その際
に得られるGNの値と図4の結果とを比較し、パラメー
タである造粒マトリックスBと造粒確率πの妥当性をチ
ェックする。このようにして得られた造粒マトリックス
を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキサとも
に1回転の造粒操作で原料が造粒に寄与する確率πは2
0%である。換言すれば、80%は造粒に寄与せず次の
造粒操作原料になることを意味する。また、造粒マトリ
ックスBを構成する確率要素qijは一次、二次造粒ミ
キサとも擬似粒子の崩壊および微粉擬似粒子の造粒寄与
率の低下を配慮して設定している。
【0064】図10に、初期原料粒度条件、(8)、
(9)式で求めた造粒ミキサの転動条件、および表3に
示すパラメータを用いて造粒シミュレーションを行った
結果と、#1〜#3よりサンプリングして求めた実測値
とを比較して示す。図10から、造粒パラメータである
πおよびqijの適正化により実測造粒現象を精度よく
シミュレートできることが確認される。このシミュレー
ション結果から、一次造粒ミキサ内では、1.0〜2.
83mmおよび2.83〜5.0mm径の擬似粒子が成
長し、この成長に応じ−0.5mm微粒が消費され、
5.0〜10mmおよび+10mm径の擬似粒子の粒径
はほとんど変化しないかあるいは崩壊によって若干低下
することがわかる。二次造粒ミキサ内では、1.0〜
5.0mm径の擬似粒子の成長は多少認められるものの
その成長は停滞している。これは−0.5mm径の原料
が20%以下になること、−0.5mm径の原料がこの
粒度域で造粒され、もはや付着原料としての機能が不足
することに起因する。なお、若干の擬似粒子成長にとも
ない0.5〜1.0mm径の擬似粒子は減少している。
−0.5mm径よりも0.5〜1.0mm径の減少が顕
著であるのは、転動過程で崩壊が進むことが一つの原因
と考えられる。図10からは、二次造粒ミキサでの造粒
は一次造粒ミキサでの造粒に比し顕著ではないものの、
図5に示す実測値と同様に擬似粒子嵩密度が上昇してい
ることが明らかである。これは、表2に示すように、二
次造粒ミキサでは一次造粒ミキサよりもフルード数を小
さく設定していることに起因する。すなわち、現行設備
では、一次造粒ミキサで主に造粒機能を持たせ、二次造
粒ミキサでは主に嵩密度上昇機能を持たせて、造粒ミキ
サによって機能を分けて擬似粒子を製造していることと
なる。
【0065】このような結果に基づいて、今後多量に入
荷が予定され、主流になると予想されている微粒のマラ
マンバ鉱石を配合した際の造粒特性をシミュレートした
結果について説明する。表4にマラマンバ鉱石の粒度分
布(推定値)、現行鉱石の粒度分布、および現行鉱石に
マラマンバ鉱石を加えた時の粒度分布を示す。表4に示
すようにマラマンバ鉱石は現行鉱石と比較して微粉が非
常に多く、現行鉱石に対するマラマンバ鉱石を30%ま
で高めると、原料中の−0.5mmの比率は40%付近
まで上昇すると推定される。
【0066】
【表4】
【0067】また、一般にマラマンバ鉱石の部品部は粒
子間の付着力が他鉱石に比較して低く、造粒性が悪いこ
とが知られているため、このことを考慮してシミュレー
ションを行った。シミュレーションにあたっては、表2
に示す値と比較し、1回の造粒操作で造粒される確率π
をマラマンバ鉱石+10%に対し−0.05とした条件
を設定した。シミュレーション結果を図11に示す。
【0068】図11に示すように、マラマンバ鉱石の配
合率に応じ擬似粒子の成長が遅れ始め、二次造粒ミキサ
出口付近でようやく擬似粒子の粒度分布が基準原料条件
に近づく。上述したように、二次造粒ミキサは本来造粒
機能が低く、主に擬似粒子の嵩密度を上昇させ強度を向
上させる機能を有している。しかし、このように微粉で
かつ造粒性の悪い原料の多配合の場合には、図11に示
すように、二次造粒ミキサでも造粒が行われており、こ
のため二次造粒ミキサでの嵩密度向上機能が低下してい
るものと考えられる。したがって、このように造粒性の
原料の多配合により見かけ上擬似粒子径分布が同程度で
あっても強度は弱く、結局搬送過程で崩壊する可能性を
有している。また、図11から、このように微粉原料の
多配合により造粒終了後も−0.5mmの擬似粒子が多
く存在しているのがわかる。−0.5mmの擬似粒子は
焼結ベッドの通気性を悪化させるため好ましくない。
【0069】このような状況で造粒性を向上させるため
には、(1)造粒ミキサ内での滞留時間の延長、(2)
原料自身の造粒特性の向上、(3)原料の投入方法の変
更の3つの事項が考えられる。
【0070】この中で(1)のシミュレーションを行っ
た結果、単に造粒ミキサ内の滞留時間を延長するだけで
は、擬似粒子の嵩密度の向上とこれにより強度の改善は
期待できるが擬似粒子の粒度はほとんど変化がなく、−
0.5mmの擬似粒子の生成量は削減できないと推定さ
れた。
【0071】(2)については、造粒水分の添加方法を
変化させることが考えられる。ここでは上述の表2に示
した実操業における条件(持ち込み水分6.0%、一次
造粒ミキサで2.0%散水、二次造粒ミキサでは散水せ
ず)を基準条件(条件a)とし、全水分量を8.0%と
一定として、事前にヤードで水分調整を実施して、持ち
込み水分:5.0%、一次造粒ミキサでの散水:3.0
%としたもの(条件b)、事前にヤードで水分調整を実
施して、持ち込み水分:4.0%、一次造粒ミキサでの
散水:2.0%、二次造粒ミキサでの散水:2.0%と
したもの(条件c)についてシミュレーションを行っ
た。基準条件である条件aでは、上述の表3に示す造粒
マトリックスおよび造粒確率を用いた。条件bのように
一次造粒ミキサでの散水の増加により微粉部分の被覆効
果を高められると仮定すると、放散の細粒部の造粒確率
が改善されることとなる。例えば−0.5mm粒度の造
粒確率が10%改善され(造粒モデル上は転動造粒によ
り各粒子に付着した微粉が剥離しにくくなると解釈す
る)、その分+10mm粒度の造粒確率で調整すると表
5の造粒マトリックスが得られる。また、条件cでは二
次造粒ミキサでの散水により、二次造粒ミキサにおける
被覆性が改善されることとなる。この場合の二次造粒ミ
キサにおける造粒マトリックスは表6に示すようにな
る。なお、一次造粒ミキサにおける造粒マトリックスは
表5に示すものを用いた。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】これらに基づいてシミュレーションを行っ
た結果を図12に示す。図12の(a)は基準条件であ
る条件aに基づくものであり、(b)は条件b、(c)
は条件cに基づくものである。この図に示すように、単
に一次造粒ミキサの散水量を増加するだけでも、−0.
5mmの微粒の擬似粒子が17%から14.5%と2.
5%程度減少して造粒性が改善されているが、一次造粒
ミキサおよび二次造粒ミキサの両方で散水を行うことに
より−0.5mmの微粒の擬似粒子がさらに減少して1
3%以下になっており、5〜10mm、+10mm粒度
の擬似粒子の増加が認められ、一次造粒ミキサおよび二
次造粒ミキサの両方で散水を行うことにより、造粒性が
一層改善されることが確認された。
【0075】(3)については、マラマンバ鉱石のよう
な微粒が多い時の対策として、鉄鉱石の分割投入が考え
られる。すなわち、図11の結果から、現状の原料条件
であれば造粒は一次造粒ミキサでほとんど終了するが、
微粒が増えると二次造粒ミキサでも一部造粒が行われ強
度に影響する嵩密度の上昇が期待できないことが導か
れ、しかも最終的に−0.5mmの擬似粒子の量が多い
ことが把握されたが、このように微粉増加時に造粒が進
まない原因は、造粒ミキサの転動中、微粒が核粒子に付
着して消費されることが起こり難く、微粉同士が不十分
に合体して微粒の擬似粒子を大量に生産することに起因
する。これを解消するためには、粉鉄鉱石のうち微粒を
核粒子の被覆粒子として使用する方法を指向することが
有効であると考えられる。そのために粉鉄鉱石の微粒を
二次造粒ミキサに投入して微粒を核粒子の被覆粒子とし
て有効に活用するのである。原料としての粉鉄鉱石は造
粒操作を受けていないから嵩密度が低く、造粒操作を経
た微粒よりも核粒子に対する付着性が高いものと考えら
れる。
【0076】このことをシミュレーションによって導
く。条件としては、マラマンバ鉱石30%配合品を用い
分級点3mmで分級し、分級点以下の微粒を30mas
s%二次造粒ミキサーに投入し、粗粒と微粒のうち二次
造粒ミキサに投入しない分を一次造粒ミキサに投入し
た。必要造粒水分のうち50〜80%を一次造粒ミキサ
に添加し、20〜50%を二次造粒ミキサに添加した。
このような条件における造粒状況を表7に示す造粒マト
リックスおよび造粒確率を用いてシミュレーションし
た。その結果を現行の造粒方法と比較して図13に示
す。
【0077】
【表7】
【0078】表7の造粒マトリックスは、表3に示す値
を基準に微粒の造粒性が改善されることを反映させるた
めに−0.5mm粒度の崩壊確率が低下するように造粒
マトリックスを設定した。造粒確率は図11の場合と同
様に考え0.05とした。
【0079】図13の(a)は現行の造粒方法を採用し
た場合、(b)は分割造粒を行った場合を示すが、この
図に示すように、分割造粒を行うことにより、微粒の被
覆効果が向上し、焼結ベッドの通気性を悪化させる−
0.5mmの微粒が二次造粒ミキサ出口で17.1%か
ら6.8%まで低下するとともに+3mm擬似粒子の収
率が上昇する。このように造粒性が著しく改善されるの
は、一次造粒ミキサで造粒された核擬似粒子の周囲に二
次造粒ミキサで添加した微粒が被覆され、二次造粒ミキ
サにおいて、核擬似粒子の嵩密度上昇と微粒被覆による
造粒とが同時に進行するからであると考えられる。
【0080】なお、上記実施形態では、一次造粒ミキサ
および二次造粒ミキサとしてドラム型のミキサを用いた
が、本発明はこれに限らず、ディスクペレタイザーを用
いるもの等、2つの造粒ミキサにより造粒するシステム
であれば全て適用可能である。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキサの両方で水を添加
するので、一次造粒ミキサでの造粒性が高まるととも
に、従来水分が添加されていなかった二次造粒ミキサに
おいて、微粒が粗粒の造粒体に付着しやすくなり、得ら
れる擬似粒子は微粒が少ない良好なものとなる。
【0082】また、本発明によれば、一次造粒ミキサを
経ていない鉄鉱石の微粉を二次造粒ミキサに直接投入す
るので、嵩密度が高まっていない微粒が二次造粒ミキサ
に投入されることとなり、このような微粒が一次造粒ミ
キサで造粒された造粒体の周囲に付着してさらに造粒さ
れるため、原料に微粉が多くても得られる擬似粒子は微
粒が少ない良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る焼結原料の造粒
方法を実施するための設備を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る焼結原料の造粒
方法を実施するための設備を示す模式図。
【図3】現行の造粒設備を説明する模式図。
【図4】現行の造粒設備においてサンプリングした擬似
粒子の湿潤状況下での粒度分布を示すグラフ。
【図5】現行の造粒設備においてサンプリングした擬似
粒子の湿潤状況下での嵩密度を示すグラフ。
【図6】造粒確率モデルに基づく造粒シミュレーション
方法を説明するための概念図。
【図7】第1の篩目による単位造粒操作の概念図。
【図8】第2の篩目による単位造粒操作の概念図。
【図9】造粒確率モデルに基づく造粒シミュレーション
の計算を示すフローチャート。
【図10】現行設備において、造粒シミュレーションを
行った場合と、#1〜#3よりサンプリングして求めた
場合における擬似粒子の粒度分布を示すグラフ。
【図11】現行の粉鉄鉱石を用いた場合と、それにマラ
マンバ鉱石を加えて行った場合とで造粒シミュレーショ
ンを行った際の擬似粒子の粒度分布の推移を示すグラ
フ。
【図12】造粒水分の添加方法を変化させて造粒シミュ
レーションを行った際の擬似粒子の流度分布の推移を示
すグラフ。
【図13】現行の造粒方法を採用した場合と、分割造粒
を行った場合とで造粒シミュレーションを行った際の擬
似粒子の粒度分布の推移を示すグラフ。
【符号の簡単な説明】
1;粉鉄鉱石 2,2a,2b;ホッパ群 3,3a,3b;ベルトコンベア 4;一次造粒ミキサ 5,7;散水ノズル 6;二次造粒ミキサ 8;振動篩

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉鉄鉱石と炭材とを主体とする焼結原料
    を一次造粒ミキサで造粒後、さらに二次造粒ミキサによ
    って造粒して擬似粒子とする焼結原料の造粒方法であっ
    て、前記一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキサのいずれ
    の造粒の際にも水を添加することを特徴とする焼結原料
    の造粒方法。
  2. 【請求項2】 粉鉄鉱石と炭材とを主体とする焼結原料
    を一次造粒ミキサで造粒後、さらに二次造粒ミキサによ
    って造粒して擬似粒子とする焼結原料の造粒方法であっ
    て、前記二次造粒ミキサに、前記一次造粒ミキサで造粒
    した造粒体の他、微粒の鉄材を添加して造粒することを
    特徴とする焼結原料の造粒方法。
  3. 【請求項3】 粉鉄鉱石を3〜5mmを分級点として粗
    粒と微粒に分級し、粉鉄鉱石の粗粒の全部と微粒の一部
    を前記一次造粒ミキサに投入して造粒を行い、前記二次
    造粒ミキサに、一次造粒ミキサでの造粒体の他、粉鉄鉱
    石の微粒の残部を投入して造粒を行うことを特徴とする
    請求項2に記載の焼結原料の造粒方法。
  4. 【請求項4】 前記一次造粒ミキサおよび二次造粒ミキ
    サのいずれの造粒の際にも水を添加することを特徴とす
    る請求項2または請求項3に記載の焼結原料の造粒方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101377784B1 (ko) * 2012-02-28 2014-03-25 현대제철 주식회사 소결광의 소결 원료 조립 방법 및 이 방법으로 제조된 소결광 조립체
JP2020012163A (ja) * 2018-07-19 2020-01-23 日本製鉄株式会社 焼結鉱の製造方法

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