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JP2003316041A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Info

Publication number
JP2003316041A
JP2003316041A JP2002117321A JP2002117321A JP2003316041A JP 2003316041 A JP2003316041 A JP 2003316041A JP 2002117321 A JP2002117321 A JP 2002117321A JP 2002117321 A JP2002117321 A JP 2002117321A JP 2003316041 A JP2003316041 A JP 2003316041A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituent
photosensitive member
electrophotographic photosensitive
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002117321A
Other languages
English (en)
Inventor
Daisuke Tanaka
大介 田中
公博 ▲吉▼村
Kimihiro Yoshimura
Koichi Nakada
浩一 中田
Tatsuya Ikesue
龍哉 池末
Yosuke Morikawa
陽介 森川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002117321A priority Critical patent/JP2003316041A/ja
Publication of JP2003316041A publication Critical patent/JP2003316041A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrophotography Configuration And Component (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返し使用の耐久による保護層の剥がれが
なく、また耐摩耗性、電子写真特性にも優れた電子写真
感光体、この電子写真感光体を有するプロセスカートリ
ッジ及び電子写真装置を提供することにある。 【解決手段】 導電性支持体上に感光層及び保護層を有
する電子写真感光体において、該保護層が導電性粒子、
電荷輸送材料の少なくとも一方及び熱硬化性樹脂を含有
し、該保護層が塗布後の乾燥過程において、多段階の乾
燥温度を経て形成され、初期乾燥温度(A℃)が保護層
の塗布塗料に用いられた溶媒の沸点±25℃以内で、初
期乾燥時間が15秒以上15分以下であり、初期乾燥時
間を除く多段乾燥の合計時間が20分以上120分以下
である電子写真感光体、この電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジ及び電子写真装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、より詳
しくは、耐久性の高い保護層を有する電子写真感光体、
この電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び
電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体は、帯電、露光、現像、
転写、クリーニング及び除電等の手段が繰り返し適用さ
れる。帯電及び露光により形成された静電潜像は、トナ
ーといわれる微粒子状の現像剤によりトナー画像とな
る。更に、このトナー画像は転写手段により紙等の転写
材に転写されるが、全てのトナーが転写されるわけでは
なく、一部が電子写真感光体上に残留する。
【0003】この残留トナーの量が多いと、転写材の画
像は、更に転写不良が生じる所謂ボソ抜け状となり、画
像の均一性に欠けるだけでなく、電子写真感光体へのト
ナーの融着やフィルミングの発生という問題が生じる。
これらの問題に対して、電子写真感光体の表面層の離型
性を向上することが求められている。
【0004】また、電子写真感光体は上述のような電気
的及び機械的外力が直接加えられるために、それらに対
する耐久性が求められている。具体的には、摺擦による
表面の磨耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾン
やNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等に対
する耐久性が要求される。
【0005】電子写真感光体に要求される上記のような
要求を満たすために、各種の保護層を設ける試みがなさ
れている。例えば、特開昭57−30846号公報には
樹脂に導電性粉末として金属酸化物を添加することによ
り抵抗を制御することのできる保護層が提案されてい
る。
【0006】電子写真感光体の保護層に導電性粒子を分
散するのは、保護層自体の電気抵抗を制御し、電子写真
プロセスの繰り返しに伴う電子写真感光体内での残留電
位の増加を防止するのがその主な目的であり、他方、電
子写真感光体用の保護層の適切な体積抵抗率は1010
1015Ω・cmであることが知られている。しかしなが
ら、前記の範囲の抵抗値においては、保護層の電気抵抗
はイオン電導によって影響を受け易く、そのために環境
の変化によって電気抵抗が大きく変化する傾向にある。
特に、金属酸化物を膜中に分散している場合には、金属
酸化物表面の吸水性が高いために、全環境において、し
かも、電子写真プロセスの繰り返しを行う際に、保護層
の抵抗を前記範囲に保つことはこれまで非常に困難であ
った。更に、樹脂自体でも吸水性が高いものも多く、樹
脂自体により保護層の抵抗を下げる要因になっているこ
とも多かった。
【0007】特に高湿下においては、放置により抵抗が
低下したり、また、帯電により発生するオゾンやNOx
等の活性物質が表面に繰り返し付着したりすることによ
り、電子写真感光体表面の抵抗の低下や表面層からのト
ナーの離型性の低下を引き起こし、画像流れが発生す
る、画像均一性が不十分になる等の問題があった。
【0008】また、一般的に保護層に導電性粒子粒子を
分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐた
めに、粒子の粒径が入射光の波長よりも小さいこと、即
ち、0.3μm以下であることが好ましい。しかし、通
常導電性粒子は樹脂溶液中において凝集する傾向があ
り、均一に分散しにくく、一旦分散しても二次凝集や沈
殿が起こり易いので粒径0.3μm以下といった微粒子
の良好な分散膜を安定して生産することは非常に困難で
あった。更に、透明度、導電均一性を向上させる観点か
ら特に粒径の小さい超微粒子(一次粒径0.1μm以
下)を分散することが好ましいが、このような超微粒子
の分散性、分散安定性は更に悪くなる傾向にあった。
【0009】上記の欠点を補うために、例えば特開平1
−306857号公報にはフッ素含有シランカップリン
グ剤、チタネートカップリング剤あるいはC715NC
O等の化合物を添加した保護層が、特開昭62−295
066号公報には結着樹脂中に、撥水処理することによ
り分散性及び耐湿性の向上した金属微粉末又は金属酸化
物微粉末を分散した保護層が、特開平2−50167号
公報には結着樹脂中にチタネートカップリング剤、フッ
素含有シランカップリング剤及びアセトアルコキシアル
ミニウムジイソプロピレートで表面処理された金属酸化
物微粉末を分散した保護層が開示されている。
【0010】電子写真装置は、電子写真感光体と、電子
写真感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電手段によっ
て帯電された電子写真感光体表面に露光により静電潜像
を形成する露光手段と、露光手段によって形成された静
電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する現像手段
と、現像手段によって形成されたトナー像を紙等の被記
録体に転写する転写手段と、転写手段によって被記録体
に転写されたトナー像を被記録体上に定着する定着手段
とを有する構成のものが一般的である。
【0011】帯電手段としては、コロナ帯電装置(コロ
ナ放電器)が広く使用されていた。そして、コロナ帯電
装置に比べて、低オゾンや低電力等の利点があることか
ら、電子写真感光体に電圧を印加した帯電部材を当接さ
せて電子写真感光体を帯電する接触方式の帯電装置(接
触帯電装置)も実用化されている。
【0012】接触帯電装置は、電子写真感光体に、ロー
ラー型、ファーブラシ型、磁気ブラシ型又はブレード型
等の導電性の帯電部材を接触させ、この帯電部材(以
下、接触帯電部材と記す)に所定の帯電バイアスを印加
して、電子写真感光体面を所定の極性・電位に帯電させ
るものである。
【0013】接触帯電の帯電機構には、放電帯電機構と
直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、
どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0014】しかし、放電帯電機構でのオゾンの発生が
原理的に避けられないことや、直接注入帯電機構では、
帯電ローラーあるいはファーブラシを用いた簡易な構成
で直接帯電をすることが難しく、絶対的帯電不良による
画像のかぶり(反転現像の場合には白地部が現像され
る)や帯電ムラ等が生じる。
【0015】そこで、新たな帯電方式として以下に記載
する方法が提案されている。電圧を印加した帯電部材を
電子写真感光体に接触させて電子写真感光体面を帯電す
る帯電装置であり、前記帯電部材が弾性体で構成され、
かつ、前記帯電部材表面は電子写真感光体面に対して速
度差を持っており、かつ、少なくとも前記帯電部材と電
子写真感光体との接触面に導電性粒子を担持する。これ
により、直接帯電において十分な接触性を得られ、均一
な帯電が可能となる。
【0016】また、前記導電性粒子を供給する手段を持
つ。これにより、本帯電装置を長期に使用した場合にお
いても帯電を安定して行うことができる。
【0017】前記導電性粒子の抵抗値が、1×109Ω
・cm以下である。これにより、直接帯電において均一
でかつ安定した帯電が可能となる。
【0018】前記導電性粒子の粒径が、10nm以上1
画素の大きさ以下である。これにより、露光を阻害しな
い良好な画像を得られる装置を提供できる。
【0019】電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1
×1014Ω・cm以下である。更に、電子写真感光体の
最表面層の体積抵抗が1×109Ω・cm以上1×10
14Ω・cm以下である。これにより、プロセススピード
の速い装置においても、十分な帯電性を与えることがで
きる。
【0020】電子写真感光体の周りに配置された、該電
子写真感光体に接触し、該電子写真感光体を一様に帯電
する帯電器と、該電子写真感光体に露光により静電潜像
を形成する露光器と、該静電潜像を現像剤で可視化し、
かつ電子写真感光体上に残留したトナーを回収する現像
器と、該電子写真感光体上のトナー像を被記録体に転写
する転写帯電器から構成された電子写真方式の画像記録
装置に上述の帯電装置を用いる。これにより、トナーリ
サイクル画像形成装置においても、均一な帯電性を与え
ることができる、優れた帯電方式が考案されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】これらの保護層におい
ても、高湿下における抵抗が低くなり画像ボケが発生し
たり、摺擦による磨耗や傷に対する耐久性が十分ではな
く、未だ近年の高画質に応える保護層として満足できる
電子写真特性を示すものが得られていないのが現状であ
る。
【0022】しかし、前述に記載したように、保護層に
はある程度の硬さや耐摩耗性が求められる上、電子写真
感光体としての特性を満たすことが重要であるにもかか
わらず、保護層に熱硬化性樹脂を用い、電荷輸送材料、
導電性粒子の少なくとも一方を含有させた場合、熱硬化
反応をさせる上で、高温での乾燥が必要となる。しか
し、すでに感光層を形成する上で、十分な熱を与えてい
る上に、硬化をさせるための熱量を得ることは、電子写
真感光体の電子写真特性を悪化させることになってしま
う。
【0023】更に、保護層の乾燥時における温度を高い
温度で一度に行うと、保護層に含有させた導電性粒子
は、局所的に高熱を持つことになり、導電性粒子の周り
の溶剤が一気に揮発することで、保護層樹脂との間に微
少ボイドを作ることで隙間が出来き、連続耐刷試験で該
導電性粒子が剥がれ落ち、黒ポチとして画像に出てしま
う。また、保護層に含有させた電荷輸送材料は、保護層
を一度に乾燥させることで、周りの保護層用樹脂が一気
に固まるため、電荷輸送材料の分子運動が阻害され、π
電子の重なりをうまく作れずに、電荷輸送機能が十分に
発揮されなくなり、結果として濃度薄という状態を作っ
てしまう。
【0024】また、逆に乾燥温度が低くして一度に乾燥
を行うと十分に硬化をせず、保護層としての役目を果た
さなくなってしまう。
【0025】更には、乾燥温度を低くして、乾燥する時
間を長過ぎると、感光層中の材料に多くの熱量を与え過
ぎることになり、熱履歴によって電子写真特性を悪化さ
せてしまうことがある。また、乾燥する時間が短過ぎる
と、乾燥温度が低い時と同様に、十分に保護層が硬化を
せず、耐摩耗性を十分に満足しない。
【0026】つまり、保護層として役目を果たし、かつ
十分に満足した電子写真特性を持った電子写真感光体を
作製するには、乾燥時間と乾燥温度が微妙なバランスを
両立させる必要がある。
【0027】更に、新しい帯電方式においては、電圧を
印加した帯電部材を電子写真感光体に接触させて電子写
真感光体面を帯電する帯電装置であり、前記帯電部材が
弾性体で構成され、かつ、前記帯電部材表面は電子写真
感光体面に対して速度差を持っており、かつ、少なくと
も前記帯電部材と電子写真感光体との接触面に導電性粒
子を担持することにより、直接帯電において十分な接触
性を得られ、均一な帯電が可能となるため、その装置に
用いる感光体には、より大きな負荷がかかり、保護層と
しての摺擦による磨耗や傷に対する耐久性を達成するの
が難しく、保護層に求める要求としては、より厳しくな
る。
【0028】本発明の目的は、上記課題を解決すること
であり、繰り返し使用の耐久による保護層の剥がれがな
く、また耐摩耗性、電子写真特性にも優れた電子写真感
光体を提供することにある。
【0029】本発明の別の目的は、上記電子写真感光体
を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供
することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、導電性
支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体に
おいて、該保護層が導電性粒子、電荷輸送材料の少なく
とも一方及び熱硬化性樹脂を含有し、該保護層が塗布後
の乾燥過程において、多段階の乾燥温度を経て形成さ
れ、初期乾燥温度(A℃)が保護層の塗布塗料に用いら
れた溶媒の沸点±25℃以内で、初期乾燥時間が15秒
以上15分以下であり、初期乾燥時間を除く多段乾燥の
合計時間が20分以上120分以下であることを特徴と
する電子写真感光体が提供される。
【0031】また、本発明に従って、上記電子写真感光
体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提
供される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。
【0033】導電性支持体上に感光層及び保護層を有す
る電子写真感光体において、該保護層が熱硬化性樹脂及
び導電性粒子又は電荷輸送材料の少なくとも一方を含有
し、該保護層が塗布後の乾燥過程において、多段階の乾
燥温度を経て形成され、初期乾燥温度(A℃)が保護層
の塗布塗料に用いられた溶媒の沸点±25℃以内で、初
期乾燥時間が15秒以上15分以下であり、初期乾燥時
間を除く、多段乾燥の合計時間20分以上120分以下
であることが重要である。
【0034】乾燥を多段階にすることで、保護層に含有
させた導電性粒子は、局所的に高熱を持つことがなくな
り、連続耐刷試験で該導電性粒子が剥がれ落ちることな
く良好な画像を出力することができる。また、保護層に
電荷輸送材料を含有させた場合も、周りの保護層用樹脂
が一気に固まることがないため、最適な配置を取ること
ができ、電荷輸送機能を十分に発揮することができるた
め、良好な画像が出力できる。更に、乾燥を多段階にし
た場合、初期の乾燥温度も重要である。
【0035】初期の乾燥を溶媒の沸点+25℃より高温
又は沸点−25℃より低温で行った電子写真感光体を電
子写真装置に用いると、耐久を行うと黒ポチ画像が発生
する。これは、初期乾燥温度が低過ぎる場合、初期乾燥
の後でも保護層中に溶媒が残留することになり、後工程
の乾燥で一度に揮発することで、保護層と下層の間に、
小さな気泡のようなボイドができ、保護層中に泡が残
り、耐久中に保護層が削れた際に、泡の部分だけ明部電
位が変わり、黒ポチ画像として出力されたと予想され
る。また、初期乾燥温度が高過ぎても、保護層中の溶媒
が一度に揮発するために、乾燥を多段階にしなかったと
きと同様に、保護層に含有させた導電性粒子は、局所的
に高熱を持つことになり、導電性粒子の周りの溶剤が一
気に揮発することで、保護層樹脂との間に微少ボイドを
作ることで隙間ができ、連続耐刷試験で該導電性粒子が
剥がれ落ち、黒ポチとして画像に出てしまう。また、保
護層に含有させた電荷輸送材料は、保護層を一度に乾燥
させることで、周りの保護層用樹脂が一気に固まるた
め、電荷輸送材料の分子運動が阻害され、π電子の重な
りをうまく作れずに、電荷輸送機能が十分に発揮されな
くなり、結果として濃度薄という状態を作ってしまう。
【0036】また、更に、初期の乾燥時間を15秒未満
にした程度では、膜中の溶媒が十分に除去しきれず、結
果として後乾燥工程で、大きな熱量を与えることで溶媒
を除去させることになり、前述と同様なことが起こる。
【0037】一方で、初期の乾燥温度を15分より長く
すると、耐摩耗性が劣ることが分かった。これは保護層
中の硬化に関与する比較的低分子のものが、下層に染み
込んでしまい、結果として比較的大きな分子のものが膜
中に多くなり、分子運動がし難くなるために、熱硬化反
応が十分に行われていないと考えられる。
【0038】つまり、保護層が熱硬化性樹脂及び導電性
粒子又は電荷輸送材料の少なくとも一方を含有し、該保
護層が塗布後の乾燥過程に置いて、多段階の乾燥温度を
経て形成され、初期乾燥温度(A℃)が保護層の塗布塗
料に用いられた溶媒の沸点±25℃以内で、初期乾燥時
間が15秒以上15分以下であることが重要であること
を見出した。
【0039】更に、前述のように初期の乾燥条件を上記
のようにしても、後に行う乾燥工程を制御することが、
より保護層を有する電子写真感光体として有用なものが
得られることが分かった。
【0040】一般に、熱硬化性樹脂は硬化する温度にお
いては、乾燥時間を長くした方がより硬化をすることが
知られている。しかし、本発明における保護層を用いた
電子写真感光体では、120分を超える乾燥を行った場
合、画像濃度が薄くなる現象が観察された。これは、大
きな熱履歴を与えたために電子写真感光体の感度が悪化
し、明部電位が上昇することで発生したと予想される。
【0041】逆に、20分未満の乾燥であった場合、保
護層の硬化が十分に行われずに、耐摩耗性が劣ることが
分かった。
【0042】また、これらの理由から、複数の溶剤を混
合して用いた場合、上記初期乾燥温度(A℃)は、沸点
が最も低い溶媒の沸点の−25℃以上(下限)、沸点が
最も高い溶媒の沸点の+25℃以下(上限)、であるこ
とが必要である。
【0043】本発明者らは、鋭意検討の結果、電子写真
感光体としての特性、及び保護層としての所望の硬度を
得るために、保護層に熱硬化性樹脂を用いた場合、保護
層の溶媒を揮発させ、かつ硬化を十分に行わせるための
絶妙な条件を見いだした。
【0044】一方で本発明においては、初期の乾燥温度
の上限は、溶媒の沸点+25℃以内であっても、熱硬化
性樹脂の硬化開始温度未満のほうが、より高強度の保護
層を持つ感光層が得られ易い。つまり初期の乾燥では、
保護層が硬化していないという意味である。これは、初
期乾燥で、一度硬化が、活性になったものが、後乾燥に
入る前に失活してしまい、後乾燥で十分硬化をしないた
めだと考えた。ちなみに、本発明では熱硬化開始温度と
は、その温度で1時間硬化させた後に、硬化してしまう
ことを指す。更に、硬化していないとは、電子写真感光
体の保護層が有機溶媒を染み込ませた布類で拭いた際
に、拭き取れることと定義した。逆に、硬化をすると
は、保護層が有機溶媒を染み込ませた布類で拭いた際
に、拭き取れないことと定義した。
【0045】本発明における保護層に用いる結着樹脂で
ある熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂及びイソシアネート樹脂の少なくとも1種
であり、更に比較的手頃な温度で硬化をするものが多い
ことから、フェノール樹脂が好ましい。
【0046】熱硬化性フェノール樹脂は、一般的にフェ
ノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹
脂である。フェノール樹脂には2つのタイプがあり、フ
ェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアル
カリ触媒で反応させて得られるレゾールタイプと、ホル
ムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で
反応させて得られるノボラックタイプに大別される。
【0047】レゾールタイプは、アルコール類やケトン
類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架
橋重合して硬化物となる。一方、ノボラックタイプは一
般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムア
ルデヒドやヘキサメチレンテトラミン等のホルムアルデ
ヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
【0048】一般的に工業的には、レゾールは塗料、接
着剤、注型品及び積層品用のワニスとして利用され、ノ
ボラックは主として成形材料や結合剤として利用されて
いる。
【0049】本発明における結着樹脂として利用される
熱可塑性樹脂であるフェノール樹脂は、上記のレゾール
タイプ及びノボラックタイプのどちらでも利用可能であ
るが、硬化剤を加えることなく硬化することや、塗料と
しての操作性等からレゾールタイプを用いることが好ま
しい。
【0050】本発明ではこれらのフェノール樹脂を1種
類又は2種類以上混合して用いることができ、また、レ
ゾールタイプとノボラックタイプを混合して用いること
も可能である。また、本発明に使用されるフェノール樹
脂は、公知のフェノール樹脂であれば如何なるものを用
いてもよい。
【0051】通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェ
ノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下
で製造される。用いられる主たるフェノール類として
は、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアル
キルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン
及びビスフェノール等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。また、アルデヒド類としては、ホル
ムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及
びアセトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0052】これらのフェノール類とアルデヒド類とを
アルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール
類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノ
ール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらを
オリゴマー化したもの、及びモノマーとオリゴマーの混
合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返し
が2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、1つ
のものがモノマーである。
【0053】用いられるアルカリ触媒としては、金属系
アルカリ化合物、アンモニア及びアミン化合物が挙げら
れ、金属系アルカリ化合物としては、NaOH、KOH
及びCa(OH)2等のアルカリ金属及びアルカリ土類
金属の水酸化物等が、アミン化合物としては、アンモニ
ア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。中でもアンモ
ニア及びアミン化合物を用いることが好ましく、安定性
を考慮するとアミン化合物を用いることがより好まし
い。
【0054】本発明の保護層は熱硬化性樹脂を溶媒等で
溶解又は希釈して得た塗料を感光層上に塗工して成形す
るが、塗工後に重合反応が起きて硬化層を形成する。重
合の形態として、熱による付加及び縮合反応により進行
し、保護層を塗工後、加熱することで重合反応を起こし
高分子硬化層を生成する。
【0055】本発明の保護層は、本質的に抵抗体として
電荷の移動をさせるものではなく、保護層中に含有させ
る導電性粒子又は電荷輸送材料の少なくとも一方により
電荷を移動させて、保護層を施した電子写真感光体の感
度を維持し、残留電位を低下させるものである。従っ
て、抵抗体としての体積抵抗率は低く設定する必要はな
く、その体積抵抗率として、1×1012Ω・cm以上に
することにより、形成された静電潜像の流れ等を高い次
元で抑制することできる。
【0056】本発明における導電性粒子は、保護層の体
積抵抗率を調整する補助的な役割を担うものであり、必
要なければ必ずしも用いなくてよい。
【0057】本発明の保護層に用いられる導電性粒子と
しては、金属及び金属酸化物が挙げられる。金属として
は、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及
びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒
子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物と
しては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチ
モン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープし
た酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした
酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム
等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以
上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み
合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着
の形にしてもよい。
【0058】また、本発明においては、上述した各種導
電性粒子の中でも透明性の点から金属酸化物を用いるこ
とが特に好ましい。更に、これら金属酸化物の中でも透
明性、分散性、抵抗制御性等の点から酸化スズを用いる
ことが特に好ましい。ここで用いられる酸化スズは、分
散性や液安定性を改良する目的で表面処理等されていて
よく、抵抗制御性を良くする目的でアンチモンやタンタ
ルをドープすることもできる。
【0059】本発明において用いられる導電性粒子の平
均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ま
しく、特には0.1μm以下が好ましい。
【0060】膜強度的には、導電性粒子の量が増えれば
増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、保護層の
体積抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少な
くする方が好ましい。
【0061】本発明において用いられる潤滑性粒子とし
てはフッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シ
リカ粒子及びアルミナ粒子が好ましく、より好ましくは
フッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以
上混合してもよい。
【0062】フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ
化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチ
レンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリ
デン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共
重合体のなかから1種あるいは2種以上を適宜選択する
のが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ
化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量分布や
粒子の粒径は適宜選択することができ、特に制限される
ものではない。
【0063】また、シリカ粒子やアルミナ粒子等の無機
粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かないか
もしれないが、これらを分散、添加することにより、表
面保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に表面保護層
の潤滑性が増すことが、本発明者等の検討で明らかにな
っている。ここでいう潤滑性粒子とは、潤滑性を付与す
る粒子を含めて表している。
【0064】フッ素原子含有樹脂を導電性粒子と共に樹
脂溶液中で相互の粒子を凝集させないように、フッ素原
子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、ま
た、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処
理したりするとよい。フッ素原子含有化合物を添加又は
導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含
有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒
子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が
格段に向上した。また、フッ素原子含有化合物を添加し
導電性粒子を分散した液、又は表面処理を施した導電性
粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散す
ることによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時
的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られ
る。
【0065】本発明におけるフッ素原子含有化合物とし
ては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリ
コーンオイル及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
表1〜表3に好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこ
れらの化合物に限定されるものではない。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】導電性粒子の表面処理方法としては、導電
性粒子と表面処理剤とを適当な溶媒中で混合、分散し、
表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法
としては、ボールミルやサンドミル等の通常の分散手段
を用いることができる。次に、この分散溶液から溶媒を
除去し、導電性粒子表面に固着させればよい。また、必
要に応じて、この後更に熱処理を行ってもよい。また、
処理液中には反応促進のための触媒を添加することもで
きる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更
に粉砕処理を施すことができる。
【0070】導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物
の割合は、粒子の粒径、形状及び表面積等に影響を受け
るが、表面処理済みの導電性粒子全質量に対し、1〜6
5質量%が好ましく、特には1〜50質量%が好まし
い。
【0071】更に、本発明においては、より環境安定性
のある保護層とするために、下記式(I)で示されるシ
ロキサン化合物を導電性粒子分散時に添加したり、又
は、下記式(I)で示されるシロキサン化合物で表面処
理を施した導電性粒子を混合することにより、更に環境
安定性により優れた保護層を得ることができる。
【0072】
【化8】
【0073】式中、Aは水素原子又はメチル基であり、
かつ、Aの全部における水素原子の割合は0.1〜50
%の範囲、αは0以上の整数である。
【0074】このシロキサン化合物を添加後分散した塗
工液又はこれを表面処理した導電性金属酸化物微粒子を
溶媒に溶かした結着樹脂中に分散することによって、分
散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分
散性の良い塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成し
た保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得
られる。
【0075】一般式(I)で示されるシロキサン化合物
の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理を
する場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよ
く、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0076】表面処理の方法としては、湿式・乾式の二
通りがある。湿式では導電性金属酸化物粒子を一般式
(I)で示されるシロキサン化合物とを溶媒中で分散
し、該シロキサン化合物を微粒子表面に付着させる。分
散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の一般の
分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液
を導電性金属酸化物微粒子表面に固着させる。この熱処
理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過
程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こ
り、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキ
サンが三次元構造にまで発達し、導電性金属酸化物微粒
子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処理
は、該シロキサン化合物を導電性金属酸化物微粒子表面
に固着させることによって完了するが、必要に応じて処
理後の微粒子に粉砕処理を施してもよい。乾式処理にお
いては、溶媒を用いずに該シロキサン化合物と導電性金
属酸化物微粒子とを混合し混練を行うことによってシロ
キサン化合物を微粒子表面に付着させる。その後は、湿
式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施して表面処理を完
了する。
【0077】本発明の保護層に含有することのできる電
子輸送材料は、分子内に水酸基を少なくとも一つ有する
化合物が好ましく、特には、分子内にフェノール基を少
なくとも一つ有する化合物、分子内にヒドロキシアルキ
ル基、ヒドロキシアルコキシ基及び置換基を有してもよ
いヒドロキシフェニル基より選ばれる置換基を少なくと
も1つ有する化合物が好ましい。
【0078】本発明に用いられるヒドロキシアルキル
基、ヒドロキシアルコキシ基及び置換基を有してもよい
ヒドロキシフェニル基より選ばれる置換基を少なくとも
1つ有する電荷輸送材料は、下記式(1)〜(6)のい
ずれかで示される化合物であることが好ましい。
【0079】
【化9】
【0080】式中、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数
1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、
α、β及びγはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置
換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい
アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置
換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベ
ンゼン環を示し、a、b及びdは0又は1であり、m及
びnは0又は1である。
【0081】
【化10】
【0082】式中、R4、R5及びR6はそれぞれ炭素数
1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、
δ及びεはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基
を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアル
コキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基
を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼ
ン環を示し、e、f及びgは0又は1である。p、q及
びrは0又は1であり、総てが同時に0になることはな
い。Z1及びZ2はそれぞれハロゲン原子、置換基を有し
てもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有し
てもよい複素環基を示し、共同で環をなしてもよい。
【0083】
【化11】
【0084】式中、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ
炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を
示し、ζ、η、θ及びιはそれぞれ置換基としてハロゲ
ン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有
してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリー
ル基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有し
てもよいベンゼン環を示し、h、i、j及びkは0又は
1であり、s、t及びuは0又は1である。Z3及びZ4
はそれぞれハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキ
ル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有
してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環
基を示し、共同で環をなしてもよい。
【0085】
【化12】
【0086】式中、R11は炭素数1〜8の枝分かれして
もよい2価の炭化水素基を示し、R 12は水素原子、置換
基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいア
ラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を示
す。Ar1及びAr2は置換基を有してもよいアルキル
基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有し
てもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基
を示す。Ar3は置換基を有してもよいアリーレン基又
は2価の置換基を有してもよい複素環基を示す。v及び
wはそれぞれ0又は1である。ただし、v=0の時、w
=0である。κ及びλはそれぞれ置換基としてハロゲン
原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有し
てもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール
基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有して
もよいベンゼン環を示す。
【0087】
【化13】
【0088】式中、R13は炭素数1〜8の枝分かれして
もよい2価の炭化水素基を示す。Ar4及びAr5は置換
基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいア
ラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換
基を有してもよい複素環基を示す。μ及びνはそれぞれ
置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアル
キル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を
有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素
環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、
μとνは置換基を介して共同で環をなしてもよい。xは
0又は1である。
【0089】
【化14】
【0090】式中、R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜
8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar
6は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有して
もよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基
又は置換基を有してもよい複素環基を示す。ξ、π、ρ
及びσはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を
有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコ
キシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を
有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン
環を示す。なお、ξとπ及びρとσは置換基を介して共
同で環をなしてもよい。y及びzはそれぞれ0又は1で
ある。
【0091】上記式(1)〜(6)における置換基等の
構造について以下に詳しく説明する。
【0092】式中、R1〜R11及びR13〜R15はそれぞ
れ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい、メチレン基、エ
チレン基、プロピレン基及びブチレン基等の2価の炭化
水素基を示す。R12は水素原子、置換基を有してもよい
メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアル
キル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル
基及びナフチルメチル基等のアラルキル基又はフェニル
基を示す。
【0093】式中、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、
ι、κ、λ、μ、ν、ξ、π、ρ及びσが示すベンゼン
環が有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素
及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメ
チル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキ
ル基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基
を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基
及びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有しても
よいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基
等の複素環基を示す。μとν、ξとπ、及びρとσは共
同でそれぞれが結合している置換基等を介して、フルオ
レン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を
形成してもよい。
【0094】式中、Z1〜Z4はフッ素、塩素、臭素及び
ヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル
基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル
基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基を
有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及
びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有してもよ
いピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等
の複素環基を示す。Z1とZ2及びZ3とZ4は共同でそれ
ぞれが結合しているビフェニル骨格を介して、フルオレ
ン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を形
成してもよい。
【0095】式中、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5及びA
6は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロ
ピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有しても
よいベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等
のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナ
フチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール
基、又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル
基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。Ar
3は置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン
基、アンスリレン基及びピレニレン基等のアリーレン
基、ピリジレン基又はチエニレン基等の2価の複素環基
を示す。
【0096】式(1)〜(6)において有してもよい置
換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブ
チル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基及び
ナフチルメチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフ
チル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、
カルバゾリル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフ
ェニル基等の芳香環基、メトキシ基、エトキシ基及びプ
ロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基及びナフト
キシ基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素及び
ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基等が挙
げられる。
【0097】本発明において保護層に用いられる電荷輸
送材料は、フェノール樹脂との相溶性が良好で均一に分
散された保護層膜を容易に作製できるが、その相溶性を
更に良好にするために、式(1)〜(3)においてはR
1〜R10で示される2価の炭化水素基は炭素数4以下で
あることが好ましく、また、ヒドロキシアルキル基及び
ヒドロキシアルコキシ基の数が2個以上であることが好
ましい。また、式(4)〜(6)においては、電荷輸送
材料に含まれるフェノール残基がフェノール樹脂と反応
して保護層マトリックス中に電荷輸送材料が取り込ま
れ、保護層としての強度がより強くなる。
【0098】本発明に用いられる式(1)〜(6)の特
定の構造を有する電荷輸送材料は、保護層を作製するた
めの塗工液中に均一に溶解又は分散させ、塗布して形成
する。式(1)〜(6)の電荷輸送材料と熱可塑性樹脂
の混合割合は、質量比で、電荷輸送材料/熱可塑性樹脂
=0.1/10〜20/10が好ましく、特には0.5
/10〜10/10が好ましい。熱可塑性樹脂に対して
電荷輸送材料が少な過ぎると残留電位低下の効果が小さ
くなり、多過ぎると保護層の強度を低下させる可能性が
ある。
【0099】以下に、本発明で用いられる式(1)〜
(6)で示される電荷輸送材料の具体例を示す。ただ
し、本発明の電荷輸送材料はこれらに限定されるもので
はない。
【0100】
【化15】
【0101】
【化16】
【0102】
【化17】
【0103】
【化18】
【0104】
【化19】
【0105】
【化20】
【0106】
【化21】
【0107】
【化22】
【0108】
【化23】
【0109】
【化24】
【0110】
【化25】
【0111】
【化26】
【0112】
【化27】
【0113】保護層の塗料を分散する溶媒としては、熱
可塑性樹脂を十分に溶解し、式(1)〜(6)で示され
る電荷輸送材料も十分に溶解し、導電性粒子を用いる場
合はその分散性が良く、フッ素原子含有化合物、フッ素
原子含有樹脂粒子及びシロキサン化合物等の潤滑性粒子
を用いる場合は相溶性や処理性が良好で、更に、保護層
の塗塗料と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶媒
が好ましい。
【0114】従って、溶媒としては、メタノール、エタ
ノール及び2−プロパノール等のアルコール類、アセト
ン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及
び酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン及び
ジオキサン等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の
芳香族炭化水素類、クロロベンゼン及びジクロロメタン
等のハロゲン系炭化水素類等が使用可能であり、更にク
ラックや膜厚ダレの対策にこれらを混合して用いてもよ
い。また、混合した際は、混合比にもよるが、初期乾燥
温度は溶媒の沸点の高い方と低い方の間にあるのが好ま
しい。沸点の低い方に合わせると十分に保護層中の溶媒
を除去できずに、前述のような問題が起こるし、沸点の
高い方に合わせると、乾燥時間が短い初期乾燥で、低い
方の揮発溶媒が、一度に揮発してしまい、同様な問題を
起こす可能性が高くなる。しかし、沸点が近いものであ
れば、これに限らない。これらの中で熱可塑性樹脂、特
にフェノール樹脂の形態に最も好適な溶媒は、メタノー
ル、エタノール及び2−プロパノール等のアルコール類
である。
【0115】従来の電荷輸送材料は、一般的にアルコー
ル類の溶媒には不溶又は難溶であり、一般のフェノール
樹脂への均一な分散は困難であるが、本発明に用いられ
る式(1)〜(6)に示される電荷輸送材料の多くはア
ルコール類を主成分とする溶媒に可溶であるのでフェノ
ール樹脂塗工液への分散が可能となる。
【0116】本発明の保護層の塗布方法としては、浸漬
コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナー
コーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバ
ーコーティング法及びブレードコーティング法等の一般
的な塗工方法を用いることができる。
【0117】本発明の保護層の膜厚は、薄過ぎると電子
写真感光体の耐久性を損ない、厚過ぎると保護層を設け
たことによる残留電位が上昇するため、適度な厚さにす
る必要がある。具体的には0.1μm〜10μmの範囲
が好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmの範囲
である。
【0118】本発明においては、前記保護層中に、帯電
時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による
保護層の劣化等を防止する目的で、酸化防止剤の添加材
を加えてもよい。
【0119】次に、感光層について以下に説明する。
【0120】本発明の電子写真感光体は主に積層構造を
有することが好ましい。図1(a)の電子写真感光体
は、導電性支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2
が順に設けており、更に最表面に保護層1を設けてい
る。また、図1(b)及び(c)の様に導電性支持体と
電荷発生層の間に、結着層5、更には干渉縞防止等を目
的とする下引き層6を設けてもよい。
【0121】導電性支持体4としては、支持体自身が導
電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム
合金又はステンレス等を用いることができ、その他にア
ルミニウム、アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸
化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有
する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子
(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及
び銀粒子等)を適当なバインダーと共にプラスチックや
紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラス
チック等を用いることができる。
【0122】また、導電性支持体と感光層の間には、バ
リアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設ける
ことができる。結着層は、感光層の接着性改良、塗工性
改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体から
の電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等
のために形成される。結着層には、カゼイン、ポリビニ
ルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル
酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレ
タン、ゼラチン又は酸化アルミニウム等によって形成で
きる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1
〜3μmがより好ましい。
【0123】本発明に用いられる電荷発生材料として
は、(1)モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ等のアゾ系
顔料、(2)金属フタロシアニン及び非金属フタロシア
ニン等のフタロシアニン系顔料、(3)インジゴ及びチ
オインジゴ等のインジゴ系顔料、(4)ペリレン酸無水
物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料、(5)ア
ンスラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料、
(6)スクワリリウム色素、(7)ピリリウム塩及びチ
アピリリウム塩類、(8)トリフェニルメタン系色素、
(9)セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン
等の無機物質、(10)キナクリドン顔料、(11)ア
ズレニウム塩顔料、(12)シアニン染料、(13)キ
サンテン色素、(14)キノンイミン色素、(15)ス
チリル色素、(16)硫化カドミウム及び(17)酸化
亜鉛等が挙げられる。
【0124】電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例
えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェ
ノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチ
レン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポ
キシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。これらは、単独、混合あるいは共重合体ポリマー
として1種又は2種以上用いることができる。
【0125】電荷発生層用塗料に用いる溶媒は、使用す
る樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択さ
れるが、有機溶媒としてはアルコール類、スルホキシド
類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲ
ン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることができ
る。
【0126】電荷発生層3は、前記の電荷発生材料を
0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶媒と共に、ホモジナイ
ザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライタ
ー、ロールミル等の方法でよく分散し、塗布、乾燥され
て形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特
には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0127】また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤又は公知の電荷発生材
料を必要に応じて添加することもできる。
【0128】用いられる電荷輸送材料としては、各種ト
リアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、
各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種
ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種
チアゾール系化合物及び各種トリアリールメタン系化合
物等が挙げられる。
【0129】電荷輸送層2を形成するのに用いられる結
着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリ
エステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポ
リサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から
選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、
ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及び
ジアリルフタレート樹脂が挙げられる。
【0130】電荷輸送層2は一般的には前記の電荷輸送
材料と結着樹脂を溶媒に溶解し、塗布して形成する。電
荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程
度である。溶媒としては、アセトン及びメチルエチルケ
トン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエス
テル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、
クロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素
系炭化水素類等が用いられる。この溶液を塗布する際に
は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティン
グ法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法
を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好まし
く、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、
5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時
間の時間で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができ
る。
【0131】電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的
の接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入
された電荷キャリアを受け取ると共に、これ等の電荷キ
ャリアを保護層との界面まで輸送する機能を有してい
る。この電荷輸送層は電荷キャリアを輸送する限界があ
るので必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5
〜40μmが好ましく、特には7〜30μmの範囲が好
ましい。
【0132】更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線
吸収剤、可塑剤又は公知の電荷輸送材料を必要に応じて
添加することもできる。
【0133】本発明では更に、この電荷輸送層の上に前
記保護層を塗布、硬化させて成膜することで完成され
る。
【0134】図2に本発明の電子写真感光体を有するプ
ロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を
示す。
【0135】図2において、11はドラム状の本発明の
電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定
の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回
転過程において、一次帯電手段13によりその周面に正
又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット
露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)
から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画
像信号に対応して強度変調された露光光14を受ける。
こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像
情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0136】形成された静電潜像は、次いで現像手段1
5によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真
感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11
の回転と同期して取り出されて給送された転写材17
に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているト
ナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
【0137】トナー画像の転写を受けた転写材17は、
電子写真感光体面から分離されて像定着手段18へ導入
されて像定着を受けることにより画像形成物(プリン
ト、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0138】像転写後の電子写真感光体11の表面は、
クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を
受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの
前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形
成に使用される。なお、一次帯電手段13が帯電ローラ
ー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ず
しも必要ではない。
【0139】本発明においては、上述の電子写真感光体
11、一次帯電手段13、現像手段15及びクリーニン
グ手段19等の構成要素のうち、複数のものを容器に納
めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成
し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービー
ムプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に
構成してもよい。例えば、一次帯電手段13、現像手段
15及びクリーニング手段19の少なくとも1つを電子
写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化し
て、装置本体のレール等の案内手段22を用いて装置本
体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることが
できる。
【0140】また、露光光14は、電子写真装置が複写
機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透
過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、
この信号に従って行われるレーザービームの走査、LE
Dアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等によ
り照射される光である。
【0141】本発明の電子写真感光体は、電子写真複写
機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、
CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プ
リンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅
広く適用し得るものである。
【0142】図3に本発明の電子写真感光体を有する、
注入帯電方式のプロセスカートリッジを備えた電子写真
装置の概略構成を示す。
【0143】(画像記録装置の全体的な概略構成)31
は像担持体であり、本例ではφ24mmの回転ドラム型
の負極性OPC感光体(ネガ感光体、以下、電子写真感
光体と記す)である。この電子写真感光体31は矢印の
時計方向に周速度47mm/sec(=プロセススピー
ドPS、印字速度)の一定速度をもって回転駆動され
る。上記の電子写真感光体31については更に別項で詳
述する。
【0144】帯電装置32は、粒子帯電タイプの接触帯
電装置であり、接触帯電部材としての帯電ローラ32
と、該帯電ローラに対する帯電バイアス印加電源S1か
らなる。
【0145】帯電ローラ32は、芯金32aと、この芯
金32aの外周りに同心一体にローラ状に形成した帯電
粒子担持体としてのゴムあるいは発泡体の弾性・中抵抗
層32bからなり、更に、弾性・中抵抗層32bの外周
面に帯電粒子(導電性粒子)mを担持させて構成され
る。この帯電ローラ32は電子写真感光体31に所定の
侵入量をもって押圧当接させて、所定幅の帯電接触部n
を形成させている。帯電ローラ32に担持させた帯電粒
子mが帯電接触部nにおいて電子写真感光体31面に接
触する。
【0146】帯電ローラ32は電子写真感光体31と同
じ矢印方向に回転駆動され、帯電接触部nにおいて電子
写真感光体31の回転方向と逆方向(カウンター)で回
転することで、帯電粒子mを介して電子写真感光体1面
に対して速度差を持って接触する。
【0147】電子写真感光体31に対する帯電ローラ3
2の相対速度差は、帯電ローラ32と逆方向(電子写真
感光体31の回転に順回転方向)に周速度を異ならせて
回転駆動させることでも持たせることができる。ただ、
直接注入帯電の帯電性は電子写真感光体31の周速と帯
電ローラ32の周速の比に依存するため、帯電ローラ3
2を電子写真感光体1と同じ方向に回転駆動させる方が
回転数の点で有利であるとともに、粒子の保持性の点で
も、この構成にすることが好ましい。
【0148】画像記録装置の画像記録時には該帯電ロー
ラ32の芯金32aに帯電バイアス印加電源S1から所
定の帯電バイアスが印加される。
【0149】これにより、電子写真感光体31の周面が
直接注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に接触帯電
処理される。本例では帯電ローラ32の芯金32aに帯
電バイアス印加電源S1から−600Vの帯電バイアス
を印加して、電子写真感光体31面にその印加帯電バイ
アスとほぼ同じ帯電電位を得た。
【0150】帯電ローラ32の外周面に塗布されている
帯電粒子mは、帯電ローラ32による電子写真感光体3
1の帯電とともに電子写真感光体31面に付着して持ち
去られる。
【0151】帯電粒子mは現像装置35の現像剤tに添
加してあり、電子写真感光体31に静電潜像の現像時に
トナーとともに電子写真感光体31面に付着し、電子写
真感光体31の回転で帯電接触部nに持ち運ばれること
で、電子写真感光体31を介して帯電ローラ32に供給
される。
【0152】上記の帯電装置32及び直接注入帯電につ
いては更に別項で詳述する。
【0153】レーザダイオード・ポリゴンミラー等を含
むレーザビームスキャナ(露光装置)34は、目的の画
像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度
変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記回転電
子写真感光体31の一様帯電面を走査露光Lする。
【0154】この走査露光Lにより回転電子写真感光体
31の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成さ
れる。
【0155】現像装置35は、一成分磁性トナー(ネガ
トナー)を用いた反転現像装置である。
【0156】現像装置内にはその現像剤tと帯電粒子m
との混合剤t+mを収容させてある。回転電子写真感光
体31面の静電潜像はこの現像装置35により現像部位
aにてトナー画像として現像される。
【0157】すなわち、本例の画像記録装置はトナーリ
サイクルプロセスであり、画像転写後の電子写真感光体
31面上に残留した転写残トナーは専用のクリーナ(ク
リーニング装置)で除去されることなく電子写真感光体
31の回転にともない帯電接触部nに持ち運ばれて、帯
電接触部nにおいて電子写真感光体31の回転に対して
カウンタ回転する帯電ローラ32に一時的に回収され、
この帯電ローラ外周を周回するにつれて、反転したトナ
ー電荷が正規化され、順次に電子写真感光体31に吐き
出されて現像部位aに至り、現像装置35において現像
同時クリーニングにて回収・再利用される。
【0158】接触転写手投としての中抵抗の転写ローラ
36は、電子写真感光体31に所定に圧接させて転写ニ
ップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに不図
示の給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転
写材Pが給紙され、かつ転写ローラ36に転写バイアス
印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加される
ことで、電子写真感光体31側のトナー像が転写ニップ
部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されてい
く。
【0159】本例で使用の転写ローラ36は、芯金36
aに中抵抗発泡層36bを形成した、ローラ抵抗値5×
108Ωのものであり、+2.0kVの電圧を芯金36
aに印加して転写を行なった。転写ニップ部bに導入さ
れた転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、
その表面側に回転電子写真感光体31の表面に形成担持
されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転
写されていく。
【0160】熱定着方式等の定着装置37では、転写ニ
ップ部bに給紙されて電子写真感光体31側のトナー画
像の転写を受けた転写材Pは回転電子写真感光体31の
面から分離されて定着装置37に導入され、トナー画像
の定着を受けて画像形成物(プリントコピー)として装
置外へ排出される。
【0161】そして、電子写真感光体31は再度帯電装
置32により帯電され、繰り返して画像形成に用いられ
る。
【0162】(3)帯電ローラ32 本例における接触帯電部材としての帯電ローラ32は、
前記したように、芯金32aと、この芯金32aの外周
りに同心一体となるようローラ状に形成した帯電粒子担
持体としてのゴムあるいは発泡体の弾性・中抵抗層32
bからなる。そして、この帯電ローラ32の弾性・中抵
抗層32bの外周面に帯電粒子(導電性粒子)mを担持
させている。
【0163】弾性・中抵抗層32bは樹脂(例えばウレ
タン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化
剤、発泡剤等により処方され、芯金32aの上にローラ
状に形成した。その後、表面を研磨した。
【0164】接触帯電部材としての帯電ローラ32は、
一般的に用いられる放電用の帯電ローラに対し以下の点
で特に異なる; 1.表層に高密度の帯電粒子mを担持するための表面構
造や粗さ特性 2.直接注入帯電に必要な抵抗特性(体積抵抗、表面抵
抗) (3)−1 表面構造及び粗さ特性 従来、放電によるローラ表面は平坦で表面の平均粗さR
aでサブμm以下であり、ローラ硬度も高い。放電を用
いた帯電において、放電現象はローラと被帯電体の接触
部から少し離れた数十μmの隙間で放電現象が起きる。
ローラ及び被帯電体表面に凹凸が存在する場合、部分的
に電界強度がことなるため放電現象が不安定になり、帯
電ムラを生じる。従って、従来の帯電ローラは平坦で高
硬度な表面を必要とする。
【0165】ではなぜ放電用帯電ローラでは注入帯電で
きないのかを考察するに、それは、前述のような表面構
造では外観上ドラムと密着しているように見えるが、電
荷注入に必要な分子レベルでのミクロな接触性という意
味ではほとんど接触していないのである。
【0166】一方、本発明における接触帯電部材として
帯電ローラ32は帯電粒子mを高密度に担持する必要か
らある程度の粗さが要求される。平均粗さRaにして、
1μm〜500μmが好ましい。
【0167】1μmよりも小さいと帯電粒子mを担持す
るための表面積が不足するとともに、絶縁物(たとえば
トナー)等がローラ表層に付着した場合その周辺がドラ
ムに接触できなくなり、帯電性能が低下する。
【0168】また、粒子の保持能力について考慮した場
合、用いる帯電粒子の粒子径より大きな粗さを持つこと
が好ましい。
【0169】逆に500μmよりも大きいと、ローラ表
面の凹凸が被帯電体の面内帯電均一性を低下させること
になる。本例におけるRaは50μmであった。
【0170】平均粗さRaの測定には、キーエンス社製
表面形状測定顕微鏡VF−7500、VF7510を用
い対物レンズ250倍から1250倍を用い非接触にて
ローラ表面の形状及びRaの測定を行った。
【0171】(3)−2 抵抗特性 従来の放電を用いる帯電ローラは芯金に低抵抗の基層を
形成した後、表面を高抵抗層で被覆している。放電によ
るローラ帯電は印加電圧が高く、ピンホール(膜の損傷
による支持体の露出)があるとその周辺にまで電圧降下
が及び帯電不良を生じる。従って、1011Ω以上にする
ことが好ましい。
【0172】一方、直接注入帯電方式においては、低電
圧による帯電を可能とするため接触帯電部材の表層を高
抵抗にする必要がなく、ローラを単層で構成することが
できる。むしろ、直接注入帯電において帯電ローラ32
の表面抵抗で104〜1010Ω□であることが好まし
い。
【0173】1010Ω□よりも大きくなると、ローラ表
面に大きな電位差を生じるため帯電粒子に吐き出しバイ
アスが作用し吐き出され易くなる。また、帯電面内の均
一性が低下し、ローラの摺擦によるムラが中間調画像に
スジ状となって現れ、画像品位の低下が見られる。一
方、104Ω□よりも小さい場合は、注入帯電であって
もドラムピンホールによる周辺の電圧降下を生じ易くな
る。
【0174】更に、体積抵抗については、104〜107
Ω・cmの範囲であることが好ましい。104Ω・cm
よりも小さい場合は、ピンホールリークによる電源の電
圧降下を生じ易くなる。一方、107Ω・cmよりも大
きい場合は、帯電に必要な電流が確保できなくなり、帯
電電圧が低下する。
【0175】本実施形態に用いた帯電ローラ32の表面
抵抗及び体積抵抗は、107Ω□及び106Ω・cmであ
った。
【0176】帯電ローラ32の抵抗測定は以下の手順で
行った。測定時の構成について概略図を図4に示す。ロ
ーラ抵抗は、帯電ローラ32の芯金32aに総圧9.8
N(1kgf)の加重がかかるよう外径24mmの絶縁
体ドラム43に電極を施し測定した。電極は主電極42
の周りにガード電極41を配し、図4(a)及び(b)
に示す配線図にて測定を行った。主電極42とガード電
極41間の距離はおよそ弾性・中抵抗層32bの厚さ程
度に調整し、主電極42はガード電極41に対し十分な
幅を確保した。測定は主電極42に電源S4から+10
0Vを印加し電流計Av及びAsに流れる電流を測定
し、それぞれ体積抵抗、表面抵抗を測定した。
【0177】(3)−3 その他のローラ特性 直接注入帯電方式において、接触帯電部材は柔軟な電極
として機能することが重要である。
【0178】本帯電装置32においては、帯電ローラ3
2の弾性・中抵抗層32bの弾性特性を調整して達成し
ている。アスカーC硬度で15度〜50度が好ましい範
囲である。更に好ましくは、20〜40度が好ましい。
【0179】高過ぎると、必要な侵入量が得られず、被
帯電体との間に帯電接触部nを確保できないため帯電性
能が低下する。また、物質の分子レベルの接触性が得ら
れないため異物の混入等によりその周辺への接触が妨げ
られる。
【0180】一方、硬度が低過ぎると、形伏が安定しな
いために被帯電体との接触圧にムラを生じ帯電ムラを生
じる。あるいは、長期放置によるローラの永久変形ひず
みによる帯電不良を生じる。
【0181】本例ではアスカーC硬度で22度の帯電ロ
ーラ32を使用した。更に、帯電ローラ32は電子写真
感光体31に対して0.3mmの侵入量に配設し、本例
では約2mmの帯電接触部nを形成させてある。
【0182】(3)−4 帯電ローラの材質、構造、寸
法 帯電ローラ32の弾性・中抵抗層32bの材質として
は、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、
IR等に抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化
物等の導電性物質を分散したゴム材が挙げられる。導電
性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調
整をすることも可能である。その後必要に応じて表面の
粗さ調整、研磨等による成型を行う。また、機能分離し
た複数層による構成も可能である。
【0183】しかし、帯電ローラ32の弾性・中抵抗層
32bの形態としては多孔体構造がより好ましい。前述
の表面粗さをローラの成型と同時に得られるという点で
製造的にも有利である。発泡体のセル径としては、1〜
500μmが適切である。発泡成形した後に、その表面
を研磨することにより多孔体表面を露出させ、前述の粗
さを持った表面構造を作製可能である。
【0184】そして最終的に径6mm、長手長さ240
mmの芯金32aに、多孔体表面を有する、層厚3mm
の弾性・中抵抗層32bを形成し、外径12mm、中抵
抗層長手長さ220mm、の帯電ローラ32を作製し
た。
【0185】帯電ローラ32は被帯電体としての電子写
真感光体31に対して0.3mmの侵入量にて配設し、
本実施例では接触幅約2mmの帯電接触部nを形成させ
てある。
【0186】(4) 帯電粒子m 本発明に係る帯電粒子の好ましい体積抵抗は、1×10
-1〜1×109Ω・cmである。1×109Ω・cmを超
えると、接触帯電工程を含む画像形成方法において用い
た場合帯電性の改良効果が見込まれない。一方、1×1
-1Ω・cm未満の場合は高湿下でのトナーの摩擦帯電
特性を阻害してしまい、現像性の低下に加えてカブリや
転写性の悪化が見られ、現像同時クリーニングシステム
においては帯電部材の汚染が悪化してしまうため、大き
い比表面積による帯電性改良効果が見られなくなってし
まう。
【0187】ここで、粒子の抵抗の測定は以下のように
して行う。円筒形の金属製セルに試料を充填し、試料に
接するように上下に電極を配し、上部電極には荷重7k
gf/cm2を加える。この状態で電極間に電圧Vを印
加し、その時に流れる電流I(A)から抵抗(体積抵抗
率Rv)を測定する。この時、電極面積をS(c
2)、試料厚みをM(cm)とすると、 Rv(Ω・cm)=V(V)×S(cm2)/I(A)
/M(cm) である。
【0188】本実施形態では、電極と試料の接触面積S
=2.26cm2とし、電圧V=100Vで測定した。
【0189】本発明における帯電粒子としては、例え
ば、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル等の金属微粉
末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウ
ム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、
酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングス
テン等の金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウ
ム、チタン酸カリ等の金属化合物、あるいはこれらの複
合酸化物等の導電性微粉末が使用できる。
【0190】これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ及び
酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有
していることが、帯電粒子の抵抗を低く設定できるこ
と、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される帯電
粒子がカブリとして目立たないこと、という点で好まし
い。
【0191】また、帯電粒子の抵抗値を制御する等の目
的で、アンチモン、アルミニウム等の元素を含有させた
金属酸化物の微粒子、導電性材料を表面に有する微粒子
等も帯電粒子として使用できる。例えば、アルミニウム
元素を含有する酸化亜鉛微粒子、アンチモン元素を含有
する酸化スズ微粒子等である。但し、一般にアンチモン
元素の導入による抵抗制御は粉末の青黒色性が増すため
好ましくない。
【0192】また、帯電粒子は、比表面積が5×105
cm2/cm3以上1×107cm2/cm3以下である。
【0193】磁性をもつ帯電粒子であると、例えば磁性
トナーに添加した際、トナーから遊離した微粒子がトナ
ー担持体に付着して汚染する場合が多々あり、トナーの
摩擦帯電特性、そしてそのまま画像特性に悪影響を及ぼ
す恐れがある。
【0194】次に、帯電粒子とトナー粒子と、及び帯電
粒子と帯電部材表面との接触密度について考察する。
【0195】一般に球形と仮定される粒子がほぼ平面と
仮定される部材と接触する場合、接点数は1である。こ
れは帯電粒子と、帯電部材やトナー粒子との接触につい
ても当てはまる。そこでトナー粒子や帯電部材との接点
数を増やすには、材料表面に多数の凹凸を形成すれば接
触する凸部が増加し、接触点を増やすことができる。但
し、例えばトナー粒子の表面に多数の凹凸を形成させる
ことは、摩擦帯電特性上決して好ましいとは言えない。
一方、帯電粒子表面に凹凸を形成すれば、トナー粒子の
みならず帯電部材との接触点も増加するため、帯電部材
の設計等は簡単化され好ましい。
【0196】すなわち帯電粒子の表面に多数の凹凸を形
成して使用することは、プリンタ本体や用いるトナーに
特殊仕様の必要が無く、広い範囲で応用可能な技術なの
である。
【0197】この粒子表面の凹凸の数の指標として、粒
子粉末の比表面積が通常用いられる。但し、一般に用い
られる比表面積はその単位、cm2/g、からも分かる
ように、単位質量当たりの表面積であり、この数値を用
いる議論では比重の異なる材料での比較あるいは最適化
が容易ではない。
【0198】そこで本発明者らは比表面積として、微粒
子1個当たりの表面積に対応する物性である、cm2
cm3単位を採用し、帯電粒子とトナー及び帯電部材と
の接触点数と、画像特性及び帯電性との関係を鋭意検討
した。
【0199】その結果、接触帯電工程を含む画像形成方
法において、使用トナーに含有される帯電粒子の比表面
積が5×105cm2/cm3以上1×107cm2/cm3
以下である場合、帯電性並びに画像特性が大きく改善さ
れ、特に直接注入帯電機構を含む画像形成方法において
は、帯電部材が汚染されても良好な帯電性を維持できる
ことを見出した。これは帯電粒子とトナー及び帯電部材
との接触点数を増加させた効果によることは間違いない
と思われる。好ましくは10×105cm2/cm3以上
8×106cm2/cm3以下とすることで、より好まし
くは1.2×10 6cm2/cm3以上4.0×106以下
とすることで、帯電性及び画像特性がより一層向上す
る。
【0200】ここで、帯電粒子の比表面積は以下のよう
にして求めた。まず、BET法に従い、比表面積測定装
置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所
社製)を用いて資料表面に窒素ガスを吸着させ、BET
多点法を用いてBET比表面積(cm2/g)を算出す
る。
【0201】次に、乾式自動密度計「Accupyc
1330」(島津製作所社製)を用いて真密度(g/c
3)を求める。この際、10cm3の試料容器を用い、
試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.
5psigで10回行う。この後、容器内圧力が平衡に
達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力
の振れが0.0050/minを目安とし、この値以下
であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自
動測定する。測定は5回行い、その平均値を求め、真密
度とする。
【0202】ここで、粉体の比表面積は以下のようにし
て求まる。
【0203】比表面積(cm2/cm3)=BET比表面
積(cm2/g)×真密度(g/cm3) 更に上記帯電粒子は、体積基準のメジアン径D50が0.
4μm以上4.0μmの導電性微粒子である。
【0204】一般に粒子同士の相互作用による付着力
は、粒子同士の粒径差が大きいほど強い。本発明に係る
帯電粒子に期待される作用の1つとしては、トナーとの
接触による摩擦帯電特性の改良であるから、帯電粒子と
トナー粒子とが強く付着してはその作用が困難となる。
トナーは質量平均粒径が3.0μm〜12.0μmであ
り、対する帯電粒子の適正なD50は0.4μm以上であ
る。D50が0.4μm未満の帯電粒子はトナー粒子と分
離しにくく、摩擦帯電特性の改良が見込めないため、例
えば十分な画像濃度が得られない。
【0205】一方、D50が大きくなるとトナーとの相互
作用が弱くなり、摩擦帯電特性等の改良効果が低下す
る。帯電粒子のD50がトナーの質量平均粒径以上となる
と、相互作用の効果がほとんど見られなくなることに加
え、現像電界下でのトナーの動きをむしろ阻害するよう
になり、カブリが悪化したり、解像力が低下したりす
る。より好ましいD50は0.5μm以上3.5μm以下
である。
【0206】こういった意味では、帯電粒子の粒度分布
において、粒径の細かい粒子は少ない方が好ましい。粒
度分布における微粉側の分布の指標としては体積基準で
のD 10を用いることができ、このD10としては0.3μ
m以上がより好ましく、0.4μm以上が更に好まし
い。同様に粒径の大きい粒子も少ない方が好ましく、粗
粉側の分布の指標としてD90を用いれば、D90は4μm
以下がより好ましいと言える。
【0207】ここで、帯電粒子のD10、D50及びD90
以下のようにして測定する。レーザ回折式粒度分布測定
装置「LS−230型」(コールター社製)にリキッド
モジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径
を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布により粒
子のD10、D50及びD90を算出する。測定は、メタノー
ル10mlに粒子を約10mg加え、超音波分散機で2
分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条
件で測定を行う。
【0208】ここで、トナー中に含まれる帯電粒子の諸
物性を測定する場合は、クリーナレスシステムにおいて
清掃モードの無い条件で多数枚の印字を行った後、トナ
ー容器を取り外してクリーナを取り付け、常時清掃モー
ドの状態で印字を行うことによりクリーナ容器で帯電粒
子を採取し、十分量を捕集してから各測定を行う。
【0209】(6)現像装置 35aはマグネットロール35bを内包させた、現像剤
担持搬送部材としての非磁性回転現像スリーブであり、
現像容器35e内に備える現像前混合剤t+m内のトナ
ーtは回転現像スリーブ35a上を搬送される過程にお
いて、規制ブレード35cで層厚規制及び電荷付与を受
ける。35dは現像容器35e内のトナーの循環を行い
順次スリーブ周辺にトナーを搬送する攪拌部材である。
【0210】回転現像スリーブ35aにコートされたト
ナーtはスリーブ35aの回転により、電子写真感光体
31とスリーブ35aの対向部である現像部位(現像領
域部)aに搬送される。また、スリーブ35aには現像
バイアス印加電源S5より現像バイアス電圧が印加され
る。
【0211】本例において、現像バイアス電圧はDC電
圧とAC電圧の重畳電圧とした。これにより、電子写真
感光体31側の静電潜像がトナーtにより反転現像され
る。
【0212】a)トナーt:現像剤である1成分磁性ト
ナーtは、結着樹脂、磁性体粒子、電荷制御剤を混合し
混練、粉砕、分級の各行程を経て作製し、更に帯電粒子
mや流動化剤等を外添剤として添加して作成されたもの
である。トナーの平均粒径(D4)は8μmであった。
【0213】(4)帯電粒子担持量、被覆率 本実施形態においてはトナーリサイクル構成であるた
め、従来装置に比べ多くのトナーが帯電ローラ表面を汚
染する。トナーは摩擦帯電による電荷を表面に維持する
ため抵抗値としては1013Ω・cm以上の抵抗を有す
る。従って、帯電ローラ32がトナーにより汚染される
と、帯電ローラ32上に担持している粒子抵抗が増加し
帯電性能が低下する。たとえ、帯電粒子の抵抗が低くと
も、トナーの混入により担持している粉体の抵抗は上昇
し帯電性に障害を生じる。従って、帯電粒子担持量が担
持量/Raで0.005〜1mg/cm2/μm、好ま
しくは0.02〜0.3mg/cm2/μmであって
も、その成分に多くのトナーが含まれていることがあ
り、当然帯電性能は低下する。この場合、担持粒子の抵
抗が上昇しその状況を捉えることができる。つまり、実
使用状態において、帯電ローラ32に担持している粒子
(トナーや紙粉等の混入物も含む)を前記した方法で抵
抗測定を行いその値が、10-1〜1012Ω・cmが好ま
しく、より好ましくは10-1〜1010Ω・cmである。
【0214】更に、帯電粒子mの帯電における実効的な
存在量を把握するために、帯電粒子mの被覆率を調整す
ることが更に重要となる。帯電粒子mは白色であるため
磁性トナーの黒色と区別可能である。顕微鏡における観
察において白色を呈している領域を面積率として求め
る。被覆率が0.1以下の場合は帯電ローラ32の周速
度を高めても帯電性能としては不十分であることから、
帯電粒子mの被覆率を0・2〜1の範囲に保つことが好
ましい。
【0215】また、担持量の調節は、基本的には帯電粒
子mの現像剤tへの添加量の調整により行なった。ま
た、必要に応じて、帯電ローラ32の外周の一部に弾性
ブレードを当接することにより調整を行った。部材を当
接することにより、トナーの摩擦帯電極性を正規化する
効果があり、帯電ローラ32に担持されている粒子量を
調整することが可能となる。
【0216】
【実施例】以下、実施例において本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例によって制限されるものではない。なお、実施例
中の「部」は質量部を示す。
【0217】(実施例1)直径30mm、長手長さ26
0mmの導電性基体上に、共重合ポリアミド樹脂(商品
名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部をメ
タノール60部/ブタノール40部の混合液に溶解した
溶液を、外径30mmのアルミニウムシリンダー上に浸
漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.
5μmの下引き層を形成した。
【0218】次に、下記式で示されるCuKα特性X線
回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°
及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウム
フタロシアニン顔料4部、
【0219】
【化28】 ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−
1、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン7
0部からなる混合溶液をサンドミルで10時間分散した
後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗工液を
調製した。この塗工液を上記で作製した下引き層上に浸
漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.
17μmの電荷発生層を形成した。
【0220】次に、下記式で示されるトリアリルアミン
化合物7部、
【0221】
【化29】 ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三
菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に
溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布
し、110℃で60分間加熱乾燥して、膜厚20μmの
電荷輸送層を形成した。
【0222】保護層に、下記式で示される化合物で表面
処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微
粒子50部、
【0223】
【化30】 エタノール(沸点78℃)150部を、サンドミルにて
66時間かけて分散を行った(平均粒径0.03μ
m)。その後、レゾール型フェノール樹脂(商品名:P
L−4804、群栄化学工業(株)製)を樹脂成分とし
て30部を溶解し調合液とし、浸漬塗布法により、先の
電荷輸送層上に膜を形成した。この電子写真感光体を9
0℃で2分間の初期乾燥し、次いですぐに145℃の温
度で60分間熱風で後乾燥し、保護層を有する電子写真
感光体を得た。得られた電子写真感光体の膜厚測定は、
薄膜のため光の干渉による瞬間マルチ測光システムMC
PD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定し、
その膜厚は3μmであった。保護層用塗料の分散状態は
良好で、作製された保護層はムラのない均一な膜であっ
た。
【0224】(実施例2)実施例1において作製した電
子写真感光体の保護層用塗料に用いたフェノール樹脂を
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、
群栄化学工業(株)製)に代え、乾燥を90℃で1分間
でした後、更に145℃で60分間した以外は、実施例
1と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0225】(実施例3)実施例1において作製した電
子写真感光体の保護層用塗料に用いたフェノール樹脂を
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PR−5312
3、住友デュレス(株)製)に代え、溶媒をブタノール
(沸点118℃)、エタノール(沸点78℃)を質量比
で、9:1に混合したものに代え、保護層の乾燥を10
0℃で1分間した後、145℃で60分間した以外は、
実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0226】(実施例4)実施例1で作製した保護層の
樹脂を、熱硬化性メラミン樹脂、(商品名:サイメルC
−370、三井サイテック(株))に代え、初期乾燥温
度を60℃で15分間にした以外は、実施例1と全く同
様にして電子写真感光体を作製した。
【0227】(実施例5)実施例4で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を90℃で15秒
間にした以外は、実施例4と全く同様にして電子写真感
光体を作製した。
【0228】(実施例6)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を100℃で1分
間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真感
光体を作製した。
【0229】(実施例7)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を55℃で1分間
にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真感光
体を作製した。
【0230】(実施例8)実施例7で作製した電子写真
感光体における保護層の後乾燥の条件を145℃で12
0分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写
真感光体を作製した。
【0231】(実施例9)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の後乾燥の条件を145℃で20
分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真
感光体を作製した。
【0232】(実施例10)実施例1で作製した保護層
の樹脂を、油化シェル製のエピコート#815とエポメ
ートB002を2:1で配合したエポキシ樹脂に代え、
初期の乾燥条件を、100℃で1分間にし、後の乾燥条
件を160℃で60分間にした以外は、実施例1と全く
同様にして電子写真感光体を作製した。
【0233】(実施例11)実施例1で作製した保護層
の樹脂を、以下の構成に代えて作製し、初期の乾燥温度
を実施例2と同じにした以外は、実施例1と全く同様に
して電子写真感光体を作製した。
【0234】保護層用塗料として、例示化合物8で示さ
れる電荷輸送材料7部及び下記式で示されるビュレット
変性体溶液(固形分67質量%)10部をエタノール4
0部に溶解した。
【0235】
【化31】
【0236】(実施例12)実施例11で作製した電子
写真感光体の保護層に用いた溶媒をアセトンにし、保護
層用の電荷輸送材料を例示化合物17にし、初期の乾燥
条件を80℃で1分間にした以外は、実施例11と全く
同様にして電子写真感光体を作製した。
【0237】(実施例13)実施例11で作製した電子
写真感光体の保護層に用いた溶媒をメタノール70部、
メトキシプロパノール(沸点172℃)30部にし、保
護層用の電荷輸送材料を例示化合物30にし、初期の乾
燥温度を70℃で20秒間にした以外は、実施例11と
全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0238】(実施例14〜17)実施例11で作製し
た電子写真感光体11の保護層用の電荷輸送材料を例示
化合物2、42、49及び56にした以外は、実施例1
1と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0239】(実施例18)直径30mm、長手長さ2
60mmの導電性基体上に、共重合ナイロン樹脂(商品
名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部をメ
タノール60部/ブタノール40部の混合液に溶解した
溶液を、前記アルミシリンダーの上に浸漬塗布し、90
℃で10分間加熱乾燥し、膜厚が0.5(mのバリア層
を形成した。
【0240】下記式で示されるCuKα特性X線回折に
おけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び2
8.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料2部、
【0241】
【化32】 ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−
1、積水化学工業(株)製)1部、シクロヘキサノン1
20部からなる混合溶液をサンドミルで3時間分散した
後、酢酸エチル120部を加えて電荷発生層用塗工液を
調製した。この塗工液を上記で作製した下引き層上に浸
漬塗布し、60℃で20秒間加熱乾燥した。
【0242】次に、下記式で示されるトリアリ−ルアミ
ン系化合物7部と、
【0243】
【化33】 ポリカーボネート(商品名:ユ−ピロンZ−400、三
菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に
溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布
し、110℃で1時間加熱乾燥し、膜厚が20μmの電
荷輸送層を形成した。
【0244】保護層として、下記式で示される化合物で
表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ
超微粒子20部、
【0245】
【化34】 メチルハイドロジェンシリコンオイル(商品名:KF9
9、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(20
%)アンチモンドープ酸化錫微粒子30部、エタノール
150部、メトキシプロパノール(沸点172℃)45
部を、サンドミルに66時間かけて分散し、更にポリテ
トラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)
20部を加えて2時間分散を行った。その後、熱硬化性
レゾール型フェノール樹脂(PL−4852、群栄化学
工業(株)製)を樹脂成分として30部を溶解し、調合
液とした。
【0246】浸漬塗布法により、電荷輸送層上に、膜を
形成し、60℃で20秒間熱風乾燥した後、155℃で
1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成し電子
写真感光体を得た。
【0247】(比較例1)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を、60℃で20
分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真
感光体を作製した。
【0248】(比較例2)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を、90℃で15
秒間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真
感光体を作製した。
【0249】(比較例3)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を、105℃で1
分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真
感光体を作製した。
【0250】(比較例4)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期乾燥条件を、55℃で1分
間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写真感
光体を作製した。
【0251】(比較例5)実施例5で作製した電子写真
感光体5における保護層の後の乾燥条件を、145℃で
135分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電
子写真感光体を作製した。
【0252】(比較例6)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の後の乾燥条件を、145℃で1
5分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子写
真感光体を作製した。
【0253】(比較例7)実施例5で作製した電子写真
感光体における保護層の初期の乾燥条件を、120℃で
60分間にした以外は、実施例5と全く同様にして電子
写真感光体を作製した。
【0254】(比較例8)実施例5で作製した電子写真
感光体における初期の乾燥温度を除いた以外は、実施例
5と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0255】(比較例9)実施例11で作製した電子写
真感光体に用いた電荷輸送材料を例示化合物2に変え、
乾燥条件は比較例8に従い、電子写真感光体を作製し
た。
【0256】<評価1>得られた電子写真感光体を、レ
ーザージェット4000(ヒューレットパッカード社
製)に装着し、初期画像の評価(ベタ黒)をしたのち、
50000枚連続画像出力を行い、画像評価をした。更
に、連続出力後の電子写真感光体の表面観察を顕微鏡に
よって行い、保護層の傷の評価をした。結果を表4及び
表5にまとめた。また、実施例及び比較例に示した方法
で、初期乾燥のみを終えた電子写真感光体を、使用した
保護層の溶媒をキムワイプ(十條キンバリー製)に含有
させたもので、拭き取ったところ、比較例3の保護層は
取りにくかったものの、他のものは容易に剥がれた。結
果を表4及び表5に示す。
【0257】
【表4】
【0258】
【表5】
【0259】(実施例19〜36)実施例1〜18に示
した方法で、直径24mm、長手長さ246mmの導電
性支持体上に電子写真感光体を作製した以外は、全く同
様にして電子写真感光体を作製した。
【0260】(比較例10〜18)比較例1〜9に示し
た方法で、直径24mm、長手長さ246mmの導電性
支持体上に電子写真感光体を作製した以外は、全く同様
にして電子写真感光体を作製した。
【0261】<評価2>得られた電子写真感光体をレー
ザージェット1200(ヒューレットパッカード社製)
を図3に示される注入帯電方式の電子写真装置に改造し
たものに装着し、評価1の連続耐刷試験を25000枚
にした以外は、全く同じ評価を行った。実施例18〜3
4では、帯電粒子は、体積抵抗率が106Ω・cm、体
積基準の10%平均粒径(D10)0.8μm、50%平
均粒径(D50)1.4μm、90%平均粒径(D90
2.32μm、比表面積2.8×106cm2/cm3
導電性酸化スズを用い、帯電粒子担持体上に担持した粒
子の担持量を該帯電粒子担持体表面粗さRa(μm)で
除した値が0.1mg/cm2/μmになるようにした
装置を用いた。結果を表6に示す。
【0262】比較例10〜18では、帯電粒子を、体積
抵抗率が106Ω・cm、体積基準の10%平均粒径
(D10)1.6μm、50%平均粒径(D50)3.1μ
m、90%平均粒径(D90)4.2μm、比表面積4×
105cm2/cm3の導電性酸化錫を用い、該担持体上
に担持した粒子の担持量を該帯電粒子担持体表面粗さR
a(μm)で除した値が1.2mg/cm2/μmにな
るようにした装置を用いた。結果を表7に示す。
【0263】
【表6】
【0264】
【表7】
【0265】以上示したように、乾燥を多段階にするこ
とで、保護層に含有させた導電性粒子は、局所的に高熱
を持つことがなくなり、連続耐刷試験で該導電性粒子が
剥がれ落ちることなく良好な画像を出力することができ
る。また、保護層に電荷輸送材料を含有させた場合も、
周りの保護層用樹脂が一気に固まることがないため、最
適な配置を取ることができ、電荷輸送機能を十分に発揮
する事ができるため、良好な画像が出力できる。
【0266】更に、初期の乾燥を溶媒の沸点±25℃以
内で行うと、黒ポチ画像や濃度薄等の画像不良の発生な
く、常に良好な画像が提供できる。
【0267】また、更に、初期の乾燥時間を15秒以上
にすることで、黒ポチや濃度薄という画像不良の発生を
防げ、初期の乾燥温度を15分以内にすることで、十分
な硬化ができ、耐摩耗性に優れた感光体を提供できる。
【0268】また、初期の乾燥時間が15分を超えるも
のでは、初期の乾燥温度が下限ぎりぎり満足しても、乾
燥時間が長過ぎると保護層の樹脂中に含まれる硬化モノ
マーのような小さい分子量のものは、下層へマイグレー
トしてしまい硬化性が低下してしまったと考えられた。
更に、後乾燥が長過ぎるものは、電子写真感光体に多く
の熱量を与えてしまうことで、感光層の熱劣化を起こ
し、感度が悪くなるために明部電位が上昇し、十分がコ
ントラスト電位が得られずに、濃度薄を起こしてしま
う。一方で、熱硬化反応の乾燥温度が短過ぎるものは、
保護層の耐摩耗性が十分でなく、感光層に傷を発生させ
てしまう。また、比較例7のように、初期の乾燥温度が
溶媒の沸点+25℃超で更に熱硬化性樹脂の熱硬化反応
がはじまっていたもの(溶剤でふき取れず)は、初期乾
燥工程で一旦、硬化性樹脂が活性になってしまったた
め、後乾燥工程に入れとも、すでに失活してしまい十分
な硬化性が得られなかったと思われる。
【0269】更に、より感光体に厳しいプロセスである
本発明の注入帯電方式のプロセスカートリッジおび電子
写真装置の場合、連続耐刷試験の早い段階で、画像不良
が発生してしまったが、本発明の条件のような乾燥を行
った場合、良好な画像を提供できる。
【0270】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
保護層の乾燥を特定の条件下で行うことにより、耐久に
よる保護層の剥がれがなく、耐摩耗性に優れ、電子写真
特性も十分に満たす電子写真感光体、及びそれを有する
プロセスカートリッジや電子写真装置を提供することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構造の例を示す図
である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカー
トリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図
である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有する注入帯電方式
の画像装置の概略構成を示す図である。
【図4】帯電ローラの抵抗値測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 保護層 2 電荷輸送層 3 電荷発生層 4 導電性支持体 5 結着層 6 下引き層 11 電子写真感光体 12 軸 13 帯電手段 14 露光光 15 現像手段 16 転写手段 17 転写材 18 定着手段 19 クリーニング手段 20 前露光光 21 プロセスカートリッジ 22 案内手段 31 感光ドラム 32 帯電ローラ 32a 芯金 32b 導電弾性ローラ 34 レーザー露光装置 35 1成分磁性現像装置 36 転写帯電器 37 定着装置 m 帯電導電粒子(帯電粒子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/02 101 G03G 15/02 101 21/18 15/00 556 (72)発明者 中田 浩一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 池末 龍哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森川 陽介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA04 AA05 AA06 BA12 BA58 BA61 BB29 BB30 BB31 BB33 BB34 BB35 BB37 CA06 CA21 CA32 CA33 CA37 CA44 CA46 CA48 CA49 EA14 EA19 FA27 FC01 2H171 FA02 FA11 GA25 JA02 JA04 JA06 JA10 JA23 JA38 JA40 QA02 QA08 QA11 QA15 QA16 QB03 QB09 QB15 QB32 QC03 QC11 QC22 QC23 TA08 TA15 TB02 TB12 TB13 TB14 2H200 FA02 FA09 GA14 GA16 GA23 GA34 GB12 HA03 HA28 HB12 HB17 HB22 HB45 HB46 HB47 MA01 MA03 MA08 MA14 MA17 MA20 MB01 MB04 MC01 MC06 MC15

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層及び保護層を有
    する電子写真感光体において、該保護層が導電性粒子、
    電荷輸送材料の少なくとも一方及び熱硬化性樹脂を含有
    し、該保護層が塗布後の乾燥過程において、多段階の乾
    燥温度を経て形成され、初期乾燥温度(A℃)が保護層
    の塗布塗料に用いられた溶媒の沸点±25℃以内で、初
    期乾燥時間が15秒以上15分以下であり、初期乾燥時
    間を除く多段乾燥の合計時間が20分以上120分以下
    であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 初期乾燥温度(A℃)が熱硬化性樹脂の
    硬化開始温度未満である請求項1に記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 初期乾燥温度(A℃)と多段乾燥の最終
    乾燥温度(B℃)の間の関係がA<Bを満たす請求項1
    又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、フェノ
    ール樹脂、エポキシ樹脂及びイソシアネート樹脂の少な
    くとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の電子
    写真感光体。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である請
    求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 フェノール樹脂がレゾール型フェノール
    樹脂である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性粒子が金属又は金属酸化物粒子で
    ある請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 保護層がフッ素原子含有化合物、シロキ
    サン化合物の少なくとも一方を含有する請求項1〜7の
    いずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 保護層が潤滑性粒子を含有する請求項1
    〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 潤滑性粒子がフッ素原子含有樹脂粒
    子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子及びアルミナ粒子
    の少なくとも1つである請求項9に記載の電子写真感光
    体。
  11. 【請求項11】 フッ素原子含有化合物が含フッ素シラ
    ンカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフ
    ッ素系界面活性剤からなる群より選択される請求項8に
    記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 シロキサン化合物が式(I)で示され
    るシロキサン化合物である請求項8に記載の電子写真感
    光体。 【化1】 (式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつ、Aの
    全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、
    nは0以上の正の整数である)
  13. 【請求項13】 保護層に用いられる電荷輸送材料が分
    子内に水酸基を少なくとも1つ有する請求項1〜12の
    いずれかに記載の電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 保護層に用いられる電荷輸送材料が、
    分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ
    基及び置換基を有してもよいヒドロキシフェニル基を少
    なくとも1つ有する請求項13に記載の電子写真感光
    体。
  15. 【請求項15】 ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシア
    ルコキシ基及び置換基を有してもよいヒドロキシフェニ
    ル基より選ばれる置換基の少なくとも1つ有する電荷輸
    送材料が、下記式(1)〜(6)のいずれかで表される
    ものである請求項1〜14のいずれかに記載の電子写真
    感光体。 【化2】 (式中、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数1〜8の枝
    分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、α、β及び
    γはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有し
    てもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
    基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有し
    てもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を
    示し、a、b及びdは0又は1であり、m及びnは0又
    は1である) 【化3】 (式中、R4、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜8の枝
    分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、δ及びεは
    それぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有しても
    よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、
    置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有しても
    よい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示
    し、e、f及びgは0又は1である。p、q及びrは0
    又は1であり、総てが同時に0になることはない。Z1
    及びZ2はそれぞれハロゲン原子、置換基を有してもよ
    いアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置
    換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよ
    い複素環基を示し、共同で環をなしてもよい) 【化4】 (式中、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ炭素数1〜
    8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、ζ、
    η、θ及びιはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置
    換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい
    アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置
    換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベ
    ンゼン環を示し、h、i、j及びkは0又は1であり、
    s、t及びuは0又は1である。Z3及びZ4はそれぞれ
    ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換
    基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよい
    アリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示し、
    共同で環をなしてもよい) 【化5】 (式中、R11は炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価
    の炭化水素基を示し、R 12は水素原子、置換基を有して
    もよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基
    又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Ar1
    びAr2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を
    有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリ
    ール基又は置換基を有してもよい複素環基を示す。Ar
    3は置換基を有してもよいアリーレン基又は2価の置換
    基を有してもよい複素環基を示す。v及びwはそれぞれ
    0又は1である。ただし、v=0の時、w=0である。
    κ及びλはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基
    を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアル
    コキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基
    を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼ
    ン環を示す) 【化6】 (式中、R13は炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価
    の炭化水素基を示す。Ar4及びAr5は置換基を有して
    もよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル
    基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有し
    てもよい複素環基を示す。μ及びνはそれぞれ置換基と
    してハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、
    置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有しても
    よいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1
    つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、μとνは
    置換基を介して共同で環をなしてもよい。xは0又は1
    である) 【化7】 (式中、R14及びR15はそれぞれ炭素数1〜8の枝分か
    れしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar6は置換基
    を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラ
    ルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基
    を有してもよい複素環基を示す。ξ、π、ρ及びσはそ
    れぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよ
    いアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置
    換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよ
    い複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。
    なお、ξとπ及びρとσは置換基を介して共同で環をな
    してもよい。y及びzはそれぞれ0又は1である)
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載の電
    子写真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手
    段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現
    像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残
    余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群よ
    り選ばれた少なくとも1つの手段と共に一体に支持し、
    電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプ
    ロセスカートリッジ。
  17. 【請求項17】 導電粒子を主成分とする帯電粒子と、
    導電性と弾性を有した表面を備え、該帯電粒子を担持す
    る帯電粒子担持体により構成され、該帯電粒子は電子写
    真感光体に接触して帯電する帯電装置を有する電子写真
    装置本体に着脱自在のプロセスカートリッジにおいて、 該帯電粒子が、体積抵抗率が1×109Ωcm以下であ
    り、 比表面積が5×105cm2/cm3以上1×107cm2
    /cm3以下であり、 体積基準のメジアン径D50が0.4μm以上4.0μm
    以下であり、 該担持体上に担持した粒子の担持量を該帯電粒子担持体
    表面粗さRa(μm)で除した値が0.005〜1mg
    /cm2/μmであり、 該電子写真感光体が、請求項1〜15のいずれか記載の
    電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカート
    リッジ。
  18. 【請求項18】 該帯電粒子担持体上を被覆している該
    導電粒子の割合を被覆率Rcとした場合、0.2≦Rc
    ≦1である請求項17に記載のプロセスカートリッジ。
  19. 【請求項19】 該帯電粒子担持体の表面抵抗が104
    〜1010Ω□である請求項17又は18に記載のプロセ
    スカートリッジ。
  20. 【請求項20】 該帯電粒子担持体は多孔体表面を有す
    る弾性体である請求項17〜19のいずかれに記載のプ
    ロセスカートリッジ。
  21. 【請求項21】 体積抵抗率が10-1〜109Ω・cm
    である該帯電粒子を備え、該帯電粒子担持体表面に該粒
    子を供給する帯電粒子供給手段を有する請求項17〜2
    0のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  22. 【請求項22】 該帯電粒子の体積基準のメジアン径D
    50が0.4μm以上3.5μm以下である請求項17〜
    21のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  23. 【請求項23】 該帯電粒子の体積基準のD90が4μm
    以下である請求項17〜22のいずれかに記載のプロセ
    スカートリッジ。
  24. 【請求項24】 該帯電粒子の体積基準のD10が0.3
    μm以上である請求項17〜23のいずれかに記載のプ
    ロセスカートリッジ。
  25. 【請求項25】 該帯電粒子の体積基準のD10が0.4
    μm以上である請求項24に記載のプロセスカートリッ
    ジ。
  26. 【請求項26】 該帯電粒子の比表面積が1.0×10
    6cm2/cm3以上8.0×106cm2/cm3以下であ
    る請求項17〜25のいずれかに記載のプロセスカート
    リッジ。
  27. 【請求項27】 該帯電粒子の比表面積が1.2×10
    6cm2/cm3以上4.0×106cm2/cm3以下であ
    る請求項26に記載のプロセスカートリッジ。
  28. 【請求項28】 請求項1〜15のいずれかに記載の電
    子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手
    段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像
    を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感
    光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上
    のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えること
    を特徴とする電子写真装置。
  29. 【請求項29】 導電粒子を主成分とする帯電粒子と、
    導電性と弾性を有した表面を備え、該帯電粒子を担持す
    る帯電粒子担持体により構成され、該帯電粒子は電子写
    真感光体に接触して帯電する帯電装置を具備する電子写
    真装置において、 該帯電粒子が、体積抵抗率が1×109Ωcm以下であ
    り、 比表面積が5×105cm2/cm3以上1×107cm2
    /cm3以下であり、 体積基準のメジアン径D50が0.4μm以上4.0μm
    以下であり、 該担持体上に担持した粒子の担持量を該帯電粒子担持体
    表面粗さRa(μm)で除した値が0.005〜1mg
    /cm2/μmであり、 該電子写真感光体が、請求項1〜16のいずれか記載の
    電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  30. 【請求項30】 該帯電粒子担持体上を被覆している該
    導電粒子の割合を被覆率Rcとした場合、0.2≦Rc
    ≦1である請求項29に記載の電子写真装置。
  31. 【請求項31】 該帯電粒子担持体の表面抵抗が104
    〜1010Ω□であることを特徴とする請求項29又は3
    0に記載の電子写真装置。
  32. 【請求項32】 該帯電粒子担持体は多孔体表面を有す
    る弾性体である請求項29〜31のいずかれに記載の電
    子写真装置。
  33. 【請求項33】 体積抵抗率が10-1〜109Ω・cm
    である該帯電粒子を備え、該帯電粒子担持体表面に該粒
    子を供給する帯電粒子供給手段を有する請求項29〜3
    2のいずれかに記載の電子写真装置。
  34. 【請求項34】 該帯電粒子の体積基準のメジアン径D
    50が0.4μm以上3.5μm以下である請求項29〜
    33のいずれかに記載の電子写真装置。
  35. 【請求項35】 該帯電粒子の体積基準のD90が4μm
    以下である請求項29〜34のいずれかに記載の電子写
    真装置。
  36. 【請求項36】 該帯電粒子の体積基準のD10が0.3
    μm以上である請求項29〜35のいずれかに記載の電
    子写真装置。
  37. 【請求項37】 該帯電粒子の体積基準のD10が0.4
    μm以上である請求項36に記載の電子写真装置。
  38. 【請求項38】 該帯電粒子の比表面積が1.0×10
    6cm2/cm3以上8.0×106cm2/cm3以下であ
    る請求項29〜37のいずれかに記載の電子写真装置。
  39. 【請求項39】 該帯電粒子の比表面積が1.2×10
    6cm2/cm3以上4.0×106cm2/cm3以下であ
    る請求項38に記載の電子写真装置。
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