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JP2003291007A - 硬質皮膜被覆工具 - Google Patents

硬質皮膜被覆工具

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Publication number
JP2003291007A
JP2003291007A JP2002099937A JP2002099937A JP2003291007A JP 2003291007 A JP2003291007 A JP 2003291007A JP 2002099937 A JP2002099937 A JP 2002099937A JP 2002099937 A JP2002099937 A JP 2002099937A JP 2003291007 A JP2003291007 A JP 2003291007A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
hard
hard coating
cutting
tool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002099937A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyuki Kubota
和幸 久保田
Nobuhiko Shima
順彦 島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Moldino Tool Engineering Ltd
Original Assignee
Hitachi Tool Engineering Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Tool Engineering Ltd filed Critical Hitachi Tool Engineering Ltd
Priority to JP2002099937A priority Critical patent/JP2003291007A/ja
Publication of JP2003291007A publication Critical patent/JP2003291007A/ja
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  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】切削加工の乾式化、高速化に対し被削材との化
学反応が少なく、しかも耐クレーター摩耗性が著しく改
善された硬質皮膜被覆工具を提供する。 【構成】基体表面に硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆工
具において、該硬質皮膜の少なくとも1層が硼素と酸素
を含有し金属成分は(TixMeyBz)で表されるT
iを主成分とする酸窒化物層であり、x、y、zは、x
+y+z=100、50x<100、0.1<y<4
0、0.1<z<30を満たし、MeはTiを除く4
a、5a、6a族金属、Al、Si、Ca、K、Y、M
g、Fの1種以上の元素からなり、且つ、該Tiを主成
分とする酸窒化物層はESCA分析において、Tiと酸
素、硼素と窒素の結合エネルギーが確認されることを特
徴とする硬質皮膜被覆工具である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、金属材料等の切削
加工に使用される硬質皮膜被覆工具において、特に高速
切削、乾式切削に適用される耐クレーター摩耗性に優れ
る物理蒸着硬質皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年では更なる加工の高能率、高精度化
の要求を満たす為、切削速度の高速化に加え、環境問題
及び加工コスト低減の観点から乾式での切削加工が重要
視されている。こうような切削環境下においては、切削
工具表面に被覆される耐摩耗皮膜と切削される材料との
間に化学反応が発生し、工具寿命が逃げ面のこすり摩耗
だけではなく、スクイ面のクレーター摩耗により強く支
配される傾向が強くなってきた。従来のTiN、TiC
N及びTiAlN皮膜はこのような苛酷な切削環境下に
おいては、切削温度の上昇に伴い被加工物との化学反応
に起因したクレーター摩耗の増加により、十分な切削寿
命を得られないのが実状である。特に比較的連続切削で
ある旋盤加工や高速高送りのフライス加工においては、
このクレーター摩耗を抑制することが、極めて重要なこ
とである。この対策として、特表平11−502775
号公報に示される二硫化モリブデンや、特開平7−16
4211号公報に示される炭化タングステン及びダイヤ
モンドライクカーボンからなる潤滑性皮膜と耐摩耗性を
有する硬質皮膜を積層し、潤滑効果を利用することによ
り切削温度上昇抑制に基づく、皮膜と被加工物間の拡散
現象を抑制しようとする切削工具が開発されているが、
いずれも硬質皮膜と潤滑皮膜間の密着性が悪い上に潤滑
皮膜そのものが非常に脆い為、これら潤滑皮膜は切削時
に容易に剥離または破壊などを発生し、上記切削環境下
においては何ら効果を発揮するには至っていない。また
特開平11−156992号公報に示される、Cr系潤
滑皮膜を被覆した工具が提案されているが、Cr系皮膜
は硬度そのものが低く耐摩耗性が極めて悪く、耐クレー
ター摩耗性を改善するには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情
に鑑み、切削加工の乾式化、高速化に対し被削材との化
学反応が少なく、しかも耐クレーター摩耗性が著しく改
善された硬質皮膜被覆工具を提供することを課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基体表面
に硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆工具において、該硬
質皮膜の少なくとも1層が硼素と酸素を含有し金属成分
は(TixMeyBz)で表されるTiを主成分とする
酸窒化物層であり、x、y、zは、x+y+z=10
0、50x<100、0.1<y<40、0.1<z<
30を満たし、MeはTiを除く4a、5a、6a族金
属、Al、Si、Ca、K、Y、Mg、Fの1種以上の
元素からなり、且つ、該Tiを主成分とする酸窒化物層
はESCA分析において、Tiと酸素、硼素と窒素の結
合エネルギーが確認されることを特徴とする硬質皮膜被
覆工具であり、上記Tiを主成分とする酸窒化物層の硬
度を上昇せしめるとともに、潤滑性を向上させ、結果耐
クレーター摩耗性を著しく改善させる事に成功した。乾
式、高速切削加工において拡散現象が少なく、耐クレー
ター摩耗性に優れ切削工具としての寿命が極めて良好と
なることを確認し本発明に到達した。
【0005】
【作用】先ず、TiN系皮膜を例に、種々の添加成分の
効果を鋭意研究した結果、硼素の添加と被覆条件の最適
化により、TiNの耐クレーター摩耗性を著しく改善で
きる知見を得るに至った。調査した結果、TiN皮膜内
部に硼素と窒素の結合エネルギーが確認され、BとNの
結合エネルギーを有する相の潤滑効果により切削温度が
2〜4割低減される事実を確認した。また、TiNの鋼
に対する摩擦係数が硼素の添加により0.8から0.4
に激減していることも確認された。更に、被覆条件によ
って、TiN皮膜の硬度が硼素添加によりビッカース硬
度で2200から2800に上昇していることも確認さ
れた。これは硼素の窒化物が微細に分散されることによ
るものである。すなわち、セラミック系の硬質皮膜を分
散強化せしめると同時に分散相のもつ潤滑性をも硬質皮
膜に付与することが可能であるという驚くべき事実を発
見した。
【0006】しかしながら、硼素を添加したといえど
も、切削条件によっては、切削温度が極めて上昇する場
合があり、このような場合、皮膜に酸化による摩滅が発
生する結果となる。従って、更に皮膜の耐酸化性を向上
する必要がある。酸素を添加することにより、結晶粒界
が緻密になり、結晶粒界の欠陥が減少するため、耐酸化
性が改善されることが確認された。これは硬質皮膜の酸
化は主に皮膜の結晶粒界を酸素が拡散浸透することによ
り進行するため、結晶粒界が緻密化することにより、酸
素の拡散が抑制され、結果、耐酸化性が向上するものと
考えられる。
【0007】次に、耐酸化性を高めるためには、耐クレ
ーター摩耗性はあまり良くないが耐酸化性には極めて優
れるTiとAl系硬質皮膜と硼素と酸素が添加されたT
iの酸窒化物皮膜とを複層化することにより、相乗効果
が発揮される結果となるため、このような複層化をする
ことも、極めて切削温度が上昇するような切削環境下で
は、より好ましいといえる。
【0008】図1はTiBターゲットを用い基体バイア
ス300V、反応ガスとして窒素を500SCCM、酸
素を20SCCM使用し、反応圧0.5PaでTiBO
N皮膜をアークイオンプレーティング法により被覆した
時の皮膜のESCA(Electoron Spectroscopy for Che
mical Analysis)解析結果である。硼素含有量は4原子
%と25原子%である。図1、図2ではTiと酸素との
結合エネルギー回折ピークが確認される。図3ではBと
Nとの結合エネルギー回折ピークが確認される。図1は
Tiと酸素の結合が、TiOを形成している例であり、
図2はTiOを形成している例である。BとNの結合
においては、相を形成する場合、TEM(Transmission
Electron Microscope)観察結果によれば数ナノから数
十ナノの大きさを有するナノ結晶であり、結晶形態は種
々のものが存在する。TiN層の大幅な硬度上昇はこの
ナノ結晶が格子歪を発生させることに起因するものであ
り、耐クレーター摩耗性はTiNに比べ著しく改善され
る結果となったで。これはBN結合自体が優れた潤滑性
を付与していることに起因すると考えられる。また硼素
添加においては被覆条件においてイオンエネルギーが小
さい場合にはナノBN相の出現は認められなかった。従
って、ナノ結晶を介在させ、高硬度化を達成するために
は、被覆条件の最適化も重要であるといえる。
【0009】更なる高速切削や乾式切削においては、皮
膜はクレーター摩耗による摩滅だけではなく、酸化によ
る摩滅や皮膜の高温硬度の劣化に起因する、こすり摩耗
が発生し、十分に満足する結果を得ることが困難にな
る。そのため、Tiの一部をW、Cr、Ta、Nb、Z
r、Al、Siに置き換えることにより、これらの元素
がTi原子と置換し、皮膜全体を固溶強化し、高温硬度
を改善できることを見出した。Ti以外の金属成分はそ
の置換量が0.1原子%以下では何ら明確な効果が確認
されず、40原子%以上置換するとTiNの有する強靭
性を劣化させる。また、硼素に関してはその添加量が
0.1原子%以下では潤滑性を改善させるに至らず、3
0原子%を超えて含有させるとTiNの有する強靭性を
劣化させる。
【0010】こすり摩耗に影響を及ぼす高温硬度に関し
ては、皮膜を800℃で1時間真空中で保持した後の硬
度を測定してみたところ、窒素に対し10原子%の酸素
とTiに対し10原子%の硼素を含む(TiB)(O
N)はビッカース硬度が2200であるのに対し、酸素
量は同一のもと、Tiに20原子%別元素を添加したも
のは、その1例として(TiCrB)(ON)で260
0、(TiZrB)(ON)で2550、(TiNb
B)(ON)で2650と高い数値を示した。Tiの一
部を周期律表の4a、5a、6a族金属やAl、Siに
置換した系はいずれも同様の傾向をしめした。酸化に関
し、TiNは450℃を超えると酸化し、粉状のTiO
に変態してしまう。硼素を添加したTiBNは550℃
で酸化が開始する。次に、酸素を添加した(TiB)
(ON)は酸化開始温度が700℃まで向上する。更
に、Tiの一部を20原子%Al、Si、Yで置換した
ものは(TiAlB)(ON)で850℃、(TiSi
B)(ON)で1050℃、(TiYB)(ON)で9
00℃まで酸化は確認されないことが確認された。従っ
て、上記硼素と酸素を含有せしめたTiN層単層は70
0℃までは十分その効果を発揮するものの、更に切削温
度が上がる場合は、酸化発生により摩滅を伴う工具境界
摩耗が発生してしまうが、上記添加成分によりこの現象
を抑制するために、より一層の寿命向上が可能である。
【0011】もう一つの重要な因子として、潤滑性が挙
げられる。硼素の添加により潤滑性も向上せしめること
が可能であるが、更に、Ca、Mg、K、Fの添加が潤
滑性をより一層向上せしめることが確認された。これは
Ca、Mg、Kは切削熱により優先的に酸化し、低融点
酸化物を皮膜表面に形成することにより、より潤滑性を
向上させる結果となる。Fはハロゲン族そのものが有す
る潤滑性により、皮膜の潤滑性を向上させる結果とな
る。但し、この皮膜は高温硬度も高く、圧縮残留応力も
高い傾向にあり、高圧縮残留応力による剥離が発生する
場合がある。このような場合は一般的硬質皮膜と積層に
することが好ましい結果となる。特に耐酸化性の優れる
TiAl系硬質皮膜との多層構造等の併用が好ましい。
TiAlN系は850℃まで酸化が抑制されるため、更
に切削温度が上昇する場合、極めて長寿命を達成する。
【0012】硼素と酸素を含有する上述の各種硬質皮膜
に炭素を添加することにより、炭素の有する潤滑性が付
与され、より好ましい結果となる。また硼素と酸素を含
有する上述のTiを主成分とする硬質皮膜とTiとAl
系皮膜と積層する場合、双方の皮膜はともに同じ結晶形
態を有するため、層間の密着性は極めて強固である。多
層の構造に関しては、皮膜表面側に潤滑性の優れる皮膜
を被覆する方がより好ましいが必ずしも限定されるもの
ではない。また層数そのものも特に限定されるものでは
ない。
【0013】以上のごとく、耐クレーター摩耗性を大幅
に改善するとともに、耐酸化性、耐こすり摩耗性、潤滑
性を改善した本発明による硬質皮膜被覆工具は、高速、
高送りミーリング切削加工に使用される工具に対しても
効果的であるが、更に、従来アルミナ皮膜を有し、膜厚
が10μm程度に硬質皮膜が被覆された一般的に化学蒸
着(以下、CVDと称する。)による被覆工具が使用さ
れていた旋削分野へも適用が可能となった。旋削は比較
的連続切削であるため、特に、クレーター摩耗に工具寿
命が支配される場合が多い。本発明においても皮膜の膜
厚が薄いとCVD皮膜に耐クレーター摩耗性が劣る結果
になるが、クレーター摩耗が発生するすくい面におい
て、3μm以上被覆することにより、CVD皮膜に匹敵
する耐クレーター摩耗性を持たせることが可能であるこ
とを確認した。皮膜の厚さは3μmから15μmである
ことがより好ましいといえる。
【0014】更に、工具性能を向上させるために、Ti
AlN系皮膜に第3成分を添加することが有効であるこ
とを見出した。これは第3成分がTiAlN皮膜を固溶
強化することに起因するものである。本発明の硬質皮膜
被覆工具は、その被覆方法については、特に限定される
ものではないが、被覆母材への熱影響、工具の疲労強
度、皮膜の密着性等を考慮した場合、アーク放電方式イ
オンプレーティング物理蒸着法であることが望ましい。
また、ナノ結晶が存在するか否かの被覆条件は本発明に
おいては前述のTiBON系と同様の傾向であった。以
下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0015】
【実施例1】アークイオンプレーティング装置を用い、
金属成分の蒸発源である各種合金製ターゲット、並びに
反応ガスである窒素ガス、酸素ガス、メタンガスから目
的の皮膜が得られるものを選択し、TiAlN系皮膜に
おいては、被覆基体温度400℃、反応ガス圧力1.0
Pa、基体印加バイアス電圧150Vの条件下にて、被
覆基体であるミーリング用超硬インサートに表1に示す
各皮膜を被覆した工具を作成した。本発明例におけるT
i系硬質層の被覆条件は同一温度において、バイアス電
位300V反応ガス圧力0.5Paとし、BN結合を有
する相を介在させた。硼素はTiターゲットに必要量添
加することにより皮膜に含有させた。インサートに使用
した超硬合金はJIS−P40グレード超硬合金であ
る。尚本発明例36はバイアス電位100V反応ガス圧
力0.5Paとしイオンエネルギーを落とし、ナノ結晶
が確認されない場合の事例である。
【0016】
【表1】
【0017】比較例においてはTiAl系以外の皮膜も
同一条件で被覆した。得られた硬質皮膜被覆インサート
を用い切削試験を行った。工具寿命は本切削条件下では
クレーター摩耗が支配するため、クレーター摩耗により
工具が切削不能となった時の切削長とした。切削諸元を
次に示す。一刃あたりの送りが1mmを越えるようなフ
ライス加工では切削温度が局部的に上昇し、クレーター
摩耗が発生する傾向にある。インサート切削条件は、工
具形状RDMW1604MOTNである丸コマインサー
トを用いたミーリング加工で、巾100mm×長さ25
0mmの面取り加工、被削材SKD61(HRC4
5)、切り込み1.0mm、切削速度200m/mi
n、送り2.0mm/刃、乾式切削とした。欠損に至る
切削時間を表1に併記する。尚、表に記載の膜厚はすく
い面の膜厚を示す。
【0018】表1より、本発明例1〜36は全体的に著
しい寿命改善が認められる。本発明例は、比較例が全て
クレーター摩耗により短寿命であったことより、耐クレ
ーター摩耗性の改善によるところが大きい。酸素と硼素
を添加された本発明例1〜15は、いずれもMe成分が
4a、5a、6a族の事例であり、Me成分を含有しな
い比較例41〜44に対し長寿命であることが確認され
た。本発明例16〜18は、Al、Si、Yを添加した
例、本発明例19〜22は、K、Caを添加した例で、
更に耐摩耗性が向上した。本発明例25〜29はTiA
lN系皮膜と積層にした例であり、本発明例2に対し更
に寿命が改善されることが明らかである。また、本発明
例30〜32は一般的硬質皮膜と積層した事例である。
いずれも比較例38、40と比べ格段に長寿命である。
比較例38、40は皮膜に剥離が発生した。本発明例3
6は被覆条件によりナノ結晶が介在しない場合の事例で
あるが、本発明例2に対し若干は劣るものの十分に満足
のいく結果である。比較例45〜50は組成範囲が本発
明外の事例であるが、潤滑効果が十分でなかったり、切
削中に皮膜に破壊や剥離が発生し、満足な結果を得るに
至らなかった。
【0019】
【実施例2】実施例1の方法に基づき表1記載の本発明
例及び比較例の皮膜を旋削用サーメットインサート(チ
ップ形状:TNGG110302R)に被覆し、旋削加
工を実施した。用いたサーメット合金の組成は重量%で
60TiCN−10WC−10TaC−5MoC―5
Ni−10Coである。切削条件は被削材としてS53
Cを用い、切削速度220m/分、切り込み1mm、送
り0.15mm/rev、水溶性切削油を用いて実施し
た。いずれもクレーター摩耗の進行から発熱が大きくな
り、逃げ面摩耗が増大する傾向にある。逃げ面摩耗値が
0.1mmになった時点を寿命と判定した。寿命までの
切削時間を表2に記載する。
【0020】
【表2】
【0021】表2より、本発明例は旋削加工においても
全体的に著しい寿命改善が認められる。比較例が全て、
クレーター摩耗により短寿命であったことより、耐クレ
ーター摩耗性の改善によるところが大きい。酸素と硼素
を添加された本発明例1〜15は、いずれもMe成分が
4a、5a、6a族の事例であり、Me成分を含有しな
い比較例41〜44に対し長寿命であることが確認され
た。本発明例25〜29はTiAlN系皮膜と積層にし
た例であり、本発明例2に対し更に寿命が改善されるこ
とが明らかである。また、本発明例30〜32は一般的
硬質皮膜と積層した事例である。いずれも比較例38、
40と比べ格段に長寿命である。比較例38、40は旋
削加工においても、皮膜に剥離が発生した。本発明例3
6は被覆条件によりナノ結晶が介在しない場合の事例で
あるが、本発明例2に対し若干は劣るものの十分に満足
のいく結果である。比較例45〜50は組成範囲が本発
明外の事例であるが、潤滑効果が十分でなかったり、切
削中に皮膜に破壊や剥離が発生し、満足な結果を得るに
至らなかった。
【0022】
【実施例3】TiAl金属ターゲットのAlの一部を他
成分で置換したターゲットを用い実施例1と同一条件に
て本発明例を作成した。実施例1と同一切削評価を実施
し、その結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】表3より、TiAl系硬質皮膜に第3の成
分を添加することにより、より一層の寿命向上が可能で
ある。これは第3成分の添加によりTiAlN系皮膜が
更に固溶強化されたり、耐酸化性が向上することに起因
するものである。
【0025】
【発明の効果】以上の如く、本発明の硬質皮膜被覆工具
は、従来の被覆工具に比べ耐クレーター摩耗性に優れ、
乾式高速切削加工において格段に長い工具寿命が得ら
れ、切削加工における生産性の向上、コスト低減、環境
改善に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明例の皮膜のESCA解析結果
で、Tiと酸素との結合エネルギー回折ピークを示し、
TiOを形成している例を示す。
【図2】図2は、本発明例の皮膜のESCA解析結果
で、Tiと酸素との結合エネルギー回折ピークを示し、
TiOを形成している例を示す。
【図3】図3は、本発明例の皮膜のESCA解析結果
で、BとNとの結合エネルギー回折ピークを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C046 FF03 FF05 FF10 FF13 FF16 FF19 FF25 4K029 AA02 AA04 BA34 BA41 BA48 BA60 BC02 BD05 CA03 DD06 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体表面に硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被
    覆工具において、該硬質皮膜の少なくとも1層が硼素と
    酸素を含有し金属成分は(TixMeyBz)で表され
    るTiを主成分とする酸窒化物層であり、x、y、z
    は、x+y+z=100、50x<100、0.1<y
    <40、0.1<z<30を満たし、MeはTiを除く
    4a、5a、6a族金属、Al、Si、Ca、K、Y、
    Mg、Fの1種以上の元素からなり、且つ、該Tiを主
    成分とする酸窒化物層はESCA分析において、Tiと
    酸素、硼素と窒素の結合エネルギーが確認されることを
    特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  2. 【請求項2】請求項1記載の硬質皮膜被覆工具におい
    て、該Tiを主成分とする酸窒化物層に炭素を含有させ
    たことを特徴とする物理蒸着硬質皮膜被覆工具。
  3. 【請求項3】請求項1及び2記載の硬質皮膜被覆工具に
    おいて、該皮膜が該Tiの酸窒化物層とTiとAlを主
    成分とし、C、N、Oの1種以上からなる硬質化合物層
    とが2層以上被覆されたことを特徴とする硬質皮膜被覆
    工具。
  4. 【請求項4】請求項3記載の硬質皮膜被覆工具におい
    て、該硬質化合物層のAlの一部を周期律表の4a、5
    a、6a族金属及びSiの1種以上の成分で置換したこ
    とを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4記載の硬質皮膜被覆工具に
    おいて、該基体が超硬合金若しくはサーメット合金であ
    り、皮膜の総厚がすくい面において3μm〜15μmで
    あることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
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