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JP2003286337A - 芳香族ジヒドロキシ化合物の貯槽および芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ジヒドロキシ化合物の貯槽および芳香族ポリカーボネートの製造方法

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Publication number
JP2003286337A
JP2003286337A JP2002090468A JP2002090468A JP2003286337A JP 2003286337 A JP2003286337 A JP 2003286337A JP 2002090468 A JP2002090468 A JP 2002090468A JP 2002090468 A JP2002090468 A JP 2002090468A JP 2003286337 A JP2003286337 A JP 2003286337A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
storage tank
dihydroxy compound
aromatic
aromatic dihydroxy
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002090468A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshifumi Ikemura
祥史 池村
Yuki Matsuoka
由記 松岡
Toru Sawaki
透 佐脇
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2002090468A priority Critical patent/JP2003286337A/ja
Publication of JP2003286337A publication Critical patent/JP2003286337A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相に優れ、ゲルや異物の少ない芳香族ポリ
カーボネートを効率よく製造できる技術を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとを溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造
するに際し、原料として使用する粒子状または塊状の芳
香族ジヒドロキシ化合物を貯蔵するために、酸素濃度が
0.0001〜1体積%の気体で充満された貯槽を使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、芳香族ポリカー
ボネートの製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、溶融重合法による芳香族ポリカーボネートの製造方
法に関し、着色、ゲル、異物の少ない芳香族ポリカーボ
ネートを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、耐衝撃性、
透明性等に優れた特性を有するため、非常に有用な樹脂
として広く一般に知られている。
【0003】芳香族ポリカーボネートを製造する方法と
しては、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを、有
機溶媒およびアルカリ水溶液の混合液中で反応させる界
面重縮合法と、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとを、触媒の存在下または非存在下、高温減圧下に
おいて反応させ、発生するフェノールを系外に除去する
溶融重縮合法がある。
【0004】溶融重縮合法は、界面重縮合法に比して反
応温度が高いという性質上、原料中の僅かな不純物や酸
化性物質の存在によって主反応が阻害され、および/ま
たは副反応が促進される結果、製品が着色したり、ゲル
が生成すると言う問題を有し、従来からこの要因を除去
することが検討されてきたが未だに充分な解決に至って
いない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来着色やゲルや異物
の原因となる不純物等を除去するため,原料である炭酸
ジエステルや芳香族ジヒドロキシ化合物中に含まれる不
溶性不純物を除去する目的で、任意の形状および目開き
を有するフィルター類が一般的に使用されてきた。
【0006】しかしフィルターによる不純物除去操作を
行っても、原料中の不溶性不純物を完全に除去すること
は困難であり、可溶性不純物は除去することができず、
色相が優れたポリカーボネートを溶融重合法で製造する
ことは充分に達成されているとは言えない。
【0007】一方、製品の着色は、芳香族ポリカーボネ
ートの優れた特徴である透明性が損なわれることにつな
がり、特にコンパクトディスクやデジタルビデオディス
ク等の光学用途に使用する場合においては致命的な問題
である。
【0008】そこで、エステル交換法で得られる芳香族
ポリカーボネートの色相および品質改善技術が熱望され
ていた。
【0009】本願発明の目的は、色相の改善および異物
の減少を可能とする技術を提供することにある。
【0010】本願発明のさらに他の目的および利点は、
以下の説明から明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決すべく
鋭意研究を重ねた結果、原料の一つである固体状の芳香
族ジヒドロキシ化合物中に含まれている酸素が、重合反
応時に副反応を促進することおよび芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルの混合溶融物を長時間保持する
と環状および/または分岐したオリゴマーが生成し、こ
れが製品の着色やゲルや異物の原因となるとの知見が得
られ、本願発明が完成した。
【0012】すなわち本願発明の一態様は、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合して芳
香族ポリカーボネートを製造するに際し、原料として使
用する、粒子状または塊状の芳香族ジヒドロキシ化合物
を貯蔵する貯槽であって、酸素濃度が0.0001〜1
体積%の気体で充満された貯槽である。
【0013】このような貯槽を使用すると、製造される
芳香族ポリカーボネートの色相の改善および異物の減少
が可能となる。
【0014】なお、この貯槽は、酸素濃度が0.000
1〜1体積%以上の気体を貯槽内に流通できることおよ
び/または貯槽を密閉できること、酸素濃度が0.00
01〜1体積%の気体が、貯槽の底部から1m上までの
間の部分から流通できること、貯槽の内圧が、0.00
01〜0.2MPaであることが好ましい。確実に酸素
との接触を減少できるからである。
【0015】本願発明の更に他の一態様は、上記の貯槽
を使用することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの
製造方法である。
【0016】この場合、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとを混合溶融して得られた混合溶融物を、
72時間以内に重合工程に供して溶融重縮合することが
好ましい。
【0017】このような芳香族ポリカーボネートの製造
方法を採用することによって、製造される芳香族ポリカ
ーボネートの色相の改善および異物の減少が可能とな
る。
【0018】なお、以下に説明する発明の実施の形態や
実施例の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本願発明の実施の形態を
実施例等を使用して説明する。なお、これらの実施例等
及び説明は本願発明を例示するものであり、本願発明の
範囲を制限するものではない。本願発明の趣旨に合致す
る限り他の実施の形態も本願発明の範疇に属し得ること
は言うまでもない。
【0020】本願発明で言う、芳香族ポリカーボネート
とは主たる成分である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステルとを、触媒の非存在下または、含窒素塩基性
化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土
類金属化合物よりなるエステル交換触媒等の存在下、溶
融重縮合させた芳香族ポリカーボネートである。
【0021】芳香族ジヒドロキシ化合物としては固体状
であって、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジク
ロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p’
−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、
1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、
1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好
ましい。
【0022】炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカー
ボネート、ビス(トリルフェニル)カーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボ
ネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカー
ボネートなどが挙げられるが、特にジフェニルカーボネ
ートが好ましい。
【0023】本願発明に用いられる2種類の原料の使用
比率は、製造しようとするポリカーボネートのOH末端
基量によって適宜変更できるが、炭酸ジエステルの使用
モル数を芳香族ジヒドロキシ化合物の使用モル数で除し
た値であらわした原料モル比において通常0.8〜1.
5、好ましくは0.95〜1.1、さらには1.0〜
1.05の範囲で使用するのが特に好ましい。
【0024】また、本願発明の芳香族ポリカーボネート
は必要に応じて、脂肪族ジヒドロキシ化合物として、エ
チレングリコール、1,4−ブタンジヒドロキシ、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジ
ヒドロキシ等を、ジカルボン酸類として、コハク酸、イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピ
ン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフタル酸等、例
えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸等のオキシ酸類を含有していても良
い。
【0025】本願発明に係る芳香族ジヒドロキシ化合物
は、芳香族ジヒドロキシ化合物の間に侵入している気体
を酸素の少ない気体で置換しやすくするように、粒子状
または塊状をなす。その大きさや具体的形状には特に制
限はない。
【0026】ただし、例えばペレット状に押し固めたも
のであって、ペレット内の気体を外部の気体で置換する
ことが困難と思われる場合であっても、本願発明が有効
である場合もある。このようなペレットも本願発明の
「塊状」に属する。
【0027】有効である理由は、押し固めることによ
り、ペレット内の気体量が非常に少なくなっていたり、
酸素の少ない気体の下で押し固められ、ペレット内の気
体量が置換されなくても、問題を回避できるようになり
得るからであると推測される。
【0028】このような芳香族ジヒドロキシ化合物を得
るには、上記した貯槽が有効である。
【0029】この貯槽を充満する気体としては、酸素濃
度が0.0001〜1体積%であることが好ましく、酸
素濃度が0.0001〜0.001体積%であることが
さらに好ましい。
【0030】酸素濃度が1体積%の条件を超えると着色
やゲルや異物の発生が増大するようである。酸素濃度は
低いほどよいが、0.0001体積%未満とするのは経
済的に不利であり、技術的に困難が増大する。
【0031】ここで、酸素濃度が所定濃度以下の気体で
充満されたかどうかは、貯槽内の気体組成を測定するこ
とによって決められる。貯槽内の一個所において酸素濃
度が所定濃度以下の気体であることが出された場合は、
本願発明に係る貯槽の条件を満たし得る。
【0032】ただし、貯槽内の気体の組成が不均一であ
る場合は、本願発明の効果が減少する場合もあるので、
貯槽内の複数箇所の気体組成を測定することによって決
めることがより好ましい。
【0033】貯槽内のどの部位を測定すべきか、どの程
度の数の箇所について測定すべきか、どの程度の頻度で
測定すべきか等も試行錯誤で定めることができる。そし
て、このような条件が明らかになった後は、測定個所や
測定頻度を減少させることも可能である。場合によって
は一個所の測定で充分である場合もあり得る。
【0034】なお、貯槽に配管部分がある場合は、その
配管部分に残留する気体の置換に時間を要する場合があ
るので、積極的に配管部分に所定の気体を導通すること
や、時間をおいて貯槽内の気体組成を分析することが有
用である場合がある。
【0035】酸素濃度が所定濃度以下の気体で充満され
た貯槽の状態を実現するには、酸素濃度が所定濃度以下
の気体を貯槽内に流通できることが好ましい。
【0036】この流通には、酸素濃度が所定濃度以下の
気体を、貯槽の底部から1m上までの間の部分から流通
させることが有用である。
【0037】芳香族ジヒドロキシ化合物の含有する気体
中の酸素濃度が高い場合、この酸素濃度をできるだけ早
く低減するには、粒状または塊状である芳香族ジヒドロ
キシ化合物のできるだけ下の方から、まんべんなく、酸
素濃度が所定濃度以下の気体を吹き込むことが有効であ
るが、実際には、貯槽の底部から1m上までの間の部分
から流通させれば充分であることが判明した。貯槽の底
部から0.5m上までの間の部分から流通させるのがよ
り好ましい。
【0038】また、別の観点からいうと、貯槽を密閉で
きることが好ましい。
【0039】密閉されていないと、外部から酸素が侵入
しやすいからである。
【0040】密閉された状態で、酸素濃度が所定濃度以
下の気体を常時、あるいは気体組成を監視してその変化
に応じて、吹き込むことが信頼性に優れている。
【0041】なお、単に密閉するだけではなく、貯槽の
内圧が、0.0001〜0.2MPaであることが好ま
しい。
【0042】確実に酸素の侵入を防止できるからであ
る。
【0043】なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、上記
条件で貯槽内に、2〜24時間保持されたものであるこ
とが好ましい。2時間未満では、芳香族ジヒドロキシ化
合物に含まれる気体が充分置換できない場合があり、2
4時間を越えると、本願発明の効果が頭打ちになること
が多いからである。
【0044】このような貯槽を使用して芳香族ジヒドロ
キシ化合物を貯蔵し、これを用いて、溶融重縮合により
芳香族ポリカーボネートを製造すると、得られる芳香族
ポリカーボネートの色相が改善され、ゲルや異物が減少
する。
【0045】芳香族ポリカーボネートを製造する場合に
は、上記に加え、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ
ステルとを混合溶融して得られた混合溶融物を、72時
間以内に重合工程に供して溶融重縮合することが好まし
い。72時間以内に代えて、48時間以内であることが
よりのぞましい。
【0046】重合工程に供するまでの時間が長すぎる
と、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの溶
融混合物中に、環状および/または分岐状オリゴマーが
生成し、これが製品中のゲルや異物の原因となるため、
好ましくないからである。
【0047】本願発明に用いられる酸素濃度の低い気体
において、酸素以外の成分としては、不活性ガスが好ま
しい。不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン等のいわ
ゆる希ガスの他、窒素、炭酸ガス等、芳香族ジヒドロキ
シ化合物や炭酸ジエステルと相互作用を示さないものを
使用することができる。特に窒素が好適に使用される。
【0048】なお、本願発明にいう不活性ガスか否か
は、例えばビーカースケール等で、溶融重縮合により芳
香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとから芳香族
ポリカーボネートを作製する際に、その雰囲気ガスとし
て試験対象のガスを使用する場合と窒素ガスを使用する
場合とに分け、作製される芳香族ポリカーボネートの色
相を比較すること等によって確認することができる。
【0049】本願発明に用いられる触媒は特に限定され
ないが、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物およ
び/またはアルカリ土類金属化合物とよりなるエステル
交換触媒を使用することができる。
【0050】本願発明で使用されるアルカリ金属および
/またはアルカリ土類金属化合物についても、得られる
芳香族ポリカーボネートの色相を低下させるものでなけ
れば特に制限なく公知のものを使用することができる。
【0051】触媒として用いられるアルカリ金属化合物
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素化
物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シ
アン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホ
ウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられ、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カ
リウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリ
ウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸
カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウ
ム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステア
リン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ
素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸
ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、
安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水
素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノール
Aのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フ
ェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など
が挙げられる。
【0052】触媒として用いられるアルカリ土類金属化
合物としては、例えばアルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫
酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、
安息香酸塩、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げ
られ、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化スト
ロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、
炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウ
ム、酢酸ストロンチウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウ
ム、硝酸ストロンチウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バ
リウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硫酸カルシウム、亜
硫酸バリウム、亜硫酸ストロンチウム、シアン酸カルシ
ウム、シアン酸バリウム、シアン酸ストロンチウム、チ
オシアン酸カルシウム、チオシアン酸バリウム、チオシ
アン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸バリウム、ステアリン酸ストロンチウム、水素
化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素バリウム、水素化ホ
ウ素ストロンチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸バ
リウム、安息香酸ストロンチウム、ビスフェノールAの
カルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、フェノ
ールのカルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩な
どが挙げられる。
【0053】本願発明においては所望により、触媒のア
ルカリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元
素のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表
第14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いるこ
とができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ
素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
【0054】(a)周期率表第14族元素のアート錯体
のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号
公報に記載のものをいうが、具体的には、NaGe(O
Me)5、NaGe(OEt)3、NaGe(OP
r)5、NaGe(OBu)5、NaGe(OPh)5
LiGe(OMe)5、LiGe(OBu)5、LiGe
(OPh)5等のゲルマニウム(Ge)の化合物を挙げ
ることができる。
【0055】スズ(Sn)の化合物としては、NaSn
(OMe)3、NaSn(OMe)2(OEt)、NaS
n(OPr)3、NaSn(O−n−C6133、Na
Sn(OMe)5、NaSn(OEt)5、NaSn(O
Bu)5、NaSn(O−n−C12255、NaSn
(OEt)、NaSn(OPh)5、NaSnBu2(O
Me)3を挙げることができる。
【0056】また(b)周期律表第14族元素のオキソ
酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(sili
cic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(sta
nic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム
(II)酸(germanous acid)のアルカ
リ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanic
acid)のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0057】ケイ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノケ
イ酸(monosilicic acid)またはその
縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、オル
トケイ酸モノナトリウム、オルトケイ酸ジナトリウム、
オルトケイ酸トリナトリウム、オルトケイ酸テトラナト
リウムを挙げることができる。
【0058】スズ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノス
ズ酸(monostanic acid)またはその縮
合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例
としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3・x
2O、x=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウム塩
(Na4SnO4)を挙げることができる。
【0059】ゲルマニウム(II)酸(germano
us acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲル
マニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカ
リ金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナ
トリウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
【0060】ゲルマニウム(IV)酸(germani
c acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマ
ニウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中性
アルカリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマニ
ウム酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)オルトゲルマ
ニウム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テトラ
ナトリウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na
2Ge25)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウム塩
(Na2Ge49)、ペンタゲルマニウム酸ジナトリウ
ム塩(Na2Ge511)を挙げることができる。
【0061】触媒としてのアルカリ金属化合物またはア
ルカリ土類金属化合物は、該触媒中のアルカリ金属元素
またはアルカリ土類金属元素が芳香族ジヒドロキシ化合
物1モル当り1×10-8〜5×10-5当量であることが
好ましく、5×10-7〜1×10-5当量であることが特
に好ましい。ここで当量とは1分子中に含まれるアルカ
リ金属元素およびアルカリ土類金属元素の価数の総和を
表わし、モルと当量の関係は、1分子中にアルカリ金属
元素(1価)が1つ含まれる場合には1モルは1当量に
等しくなり、アルカリ土類金属元素(2価)が1つ含ま
れる場合には1モルは2当量に等しくなる。また、1分
子中にアルカリ金属元素(1価)が2つ含まれる場合に
は1モルは2当量に等しくなる。該触媒中のアルカリ金
属元素量またはアルカリ土類金属元素量が芳香族ジヒド
ロキシ化合物1モル当り1×10 -8〜5×10-5当量の
範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性
に悪影響を及ぼしたり、また、逆エステル交換反応が生
じ、高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題
があり好ましくない。
【0062】また、触媒としての含窒素塩基性化合物と
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)な
どの塩基性塩を挙げることができる。
【0063】上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性
化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジヒドロキシ
化合物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量となる割
合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準
に対し2×10-5〜5×10 -4当量であり、5×10-5
〜5×10-4当量であることが特に好ましい。
【0064】なお、本明細書において、仕込み芳香族ジ
オール化合物(芳香族ジヒドロキシ化合物ともいう)に
対するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、
含窒素塩基性化合物の割合を、「芳香族ジヒドロキシ化
合物1モルに対し金属または塩基性窒素としてW(数
値)当量のZ(化合物名)量」として表現したが、これ
は、例えば、Zがナトリウムフェノキシドや2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンモノナトリウム
塩のようにナトリウム原子が一つであり、またはトリエ
チルアミンのように塩基性窒素が一つであれば、Zの量
がWモルに相当する量であることを意味し、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジナトリウム塩
のように二つであれば、W/2モルに相当する量である
ことを意味する。
【0065】本願発明の重縮合反応には、上記触媒と共
に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸およ
び同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の助触媒を共存させることができる。
【0066】これら助触媒を特定の割合で用いることに
より、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことな
く、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時
における装置内での異物の生成、焼けといった好ましく
ない副反応をより効果的に抑制することができる。
【0067】本願発明においては上記方法で重合槽から
得られたポリカーボネートは着色がなく、異物含有量の
少ない良好な品質を示すが、引き続きベント式2軸ルー
ダーを用いて、触媒失活剤の添加処理および脱揮処理を
行なうことができる。この際、ポリカーボネートを重合
機から直接溶融状態でルーダーに供給しても良く、一旦
冷却・ペレット化してルーダーに供給しても良い。
【0068】本願発明に使用する失活剤としては、公知
の失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸
のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にド
デシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩
等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトル
エンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラト
ルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン
酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスル
ホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラト
ルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フ
ェニル等が好ましく用いられ、就中、ドデシルベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく
使用される。
【0069】これらの失活剤の使用量はアルカリ金属化
合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれ
た前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合
で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好まし
くは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
【0070】これらの失活剤は直接、または適当な溶媒
に溶解または分散させて溶融状態のポリカーボネート樹
脂に添加、混練する。
【0071】また本願発明においては、本願発明の目的
を損なわない範囲でポリカーボネート樹脂にその他の添
加剤を添加することができる。
【0072】このような添加剤としては、例えば、加工
安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸
収剤、金属不活性化剤、金属石鹸類、造核剤、帯電防止
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃
剤、離型剤、防黴剤、着色剤、防曇剤、天然油、合成
油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤、エポキシ
化合物をあげることができる。
【0073】これらの内でも耐熱安定剤、紫外線吸収
剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これら
は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0074】本願発明に用いられる加工安定剤、耐熱安
定剤、酸化防止剤等の目的のためには、例えば、燐化合
物、フェノール系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、
ヒンダードアミン系安定剤等を挙げることができる。
【0075】光安定剤、紫外線吸収剤等としては、一般
的な紫外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫
外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外
線吸収剤等を挙げることができる。
【0076】離型剤としては一般的に知られた離型剤を
用いることができ、例えば、パラフィン類などの炭化水
素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ステア
リン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリルア
ルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系離型
剤、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル系
離型剤、シリコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を
挙げることができる。
【0077】着色剤としては有機系や無機系の顔料や染
料を使用することができる。
【0078】金属不活性化剤としては、例えばN,N’
−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等が、金属石鹸類と
しては例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ニ
ッケル等が挙げられる。
【0079】帯電防止剤としては、例えば(βーラウラ
ミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェ
ート等の第4級アンモニウム塩系、アルキルホスフェー
ト系化合物が挙げられる。
【0080】造核剤としては、例えばジ(4−t−ブチ
ルフェニル)ホスホン酸ナトリウム、ジベンジリデンソ
ルビトール、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェノール)アシッドホスフェートナトリウム塩等のソル
ビトール系、リン酸塩系化合物が挙げられる。
【0081】滑剤としては、例えばエルカ酸アミド、ス
テアリン酸モノグリセリド等が、難燃剤としては、例え
ばトリス(2−クロロエチル)ホスフェートなどの含ハ
ロゲンリン酸エステル類、ヘキサブロモシクロドデカ
ン、デカブロモフェニルオキサイドなどのハロゲン化
物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アル
ミニウムなどの金属無機化合物類、これらの混合物等が
挙げられる。
【0082】これらの添加剤は、直接に、または適当な
溶媒またはポリマーに溶解または分散させて、あるいは
マスターペレットとして、溶融状態のポリカーボネート
に添加、混練する。このような操作を実施するのに用い
られる設備に特に制限は無いが、例えば2軸押出機等が
好ましく、添加剤を溶液の形で供給する場合はプランジ
ャーポンプ等の定量ポンプが用いられ、添加剤をマスタ
ーポリマーの形で供給する場合はサイドフィーダー等が
一般に使用される。添加剤を溶媒に溶解または分散させ
た場合はベント付きの2軸押出機が特に好ましく使用さ
れる。
【0083】本願発明で得られたポリカーボネートは、
上述したようにして添加剤を加えた後、公知の方法に従
ってポリマーフィルターでろ過することもできる。この
場合は、異物含有量の少なさを反映してポリマーフィル
ターの寿命も従来より長くなる効果が得られる。
【0084】
【実施例】以下実施例によって説明する。なお実施例中
の%および部は特に断らない限り重量%または重量部で
ある。なお以下の実施例において得られたポリカーボネ
ートの物性は以下のようにして測定した。
【0085】(固有粘度および粘度平均分子量)0.7
g/dLの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い
固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求め
た。
【0086】[η]=1.23×10-40.83 (色調(b値))ポリカーボネートペレット(短径×長
径×長さ(mm)=2.5×3.3×3.0)のLab
値を日本電色工業製ND−1001DPを用い反射法で
測定し黄色度の尺度としてb値を用いた。
【0087】(異物)ポリカーボネートペレット1kg
を取り、塩化メチレン10Lに溶解したものを、レーザ
ー光を利用した光散乱/光遮断方式による液体微粒子カ
ウンター(Hiac/Royco社製)に通液し、該ペ
レット中に含まれる異物の個数を数えた。
【0088】(ゲル)ポリカーボネートペレットを1k
g取り、塩化メチレン10Lに溶解した溶液を目開きが
30μmのフィルターでろ過し、該フィルターを暗室内
でブラックライトを照射しつつ顕微鏡で観察し、蛍光を
発する部分の個数を数えた。
【0089】[実施例1]純度99.99体積%の窒素
を流通させた、図1に示すような密閉貯槽(適宜排気す
ることにより内圧を0.003MPaに維持、酸素濃度
0.01体積%)に、芳香族ジヒドロキシ化合物とし
て、平均粒径が1mmのプリル状のビスフェノールAを
保持し、これと、炭酸ジエステルとして蒸留精製した溶
融状態のジフェニルカーボネートとをモル比でジフェニ
ルカーボネート/ビスフェノールA=1.01となるよ
うにスチームジャケットおよびスチームコイルを有する
原料調製槽に供給し、撹拌しつつ混合・溶融した。
【0090】しかる後、原料供給槽に全量移送し、連続
重合を行った。
【0091】原料供給槽の平均滞留時間は16時間であ
り、該重合物は、フィルターに通じ、ろ過した後、撹拌
機、ジャケットおよびコイルを有する初期重合槽へ触媒
溶液とともに連続的に供給するようになし、連続溶融重
縮合を実施した。
【0092】重合触媒としてはビスフェノールAのジナ
トリウム塩とテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと
を使用し、触媒調製槽においてフェノール/水=90/
10重量%の混合液に溶解した後、ビスフェノールA1
モルあたりビスフェノールAのジナトリウム塩が1×1
-6当量、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが1
×10-4モルとなるように初期重合槽へ供給した。
【0093】重合設備は初期重合槽と後期重合槽とより
構成されており、各重合槽の運転条件は、初期重合槽
が、内温250℃、真空度4000Pa、後期重合槽
が、内温270℃、真空度67Paであった。
【0094】運転時間は、連続600時間であった。ポ
リカーボネートのサンプルは、1回/日の頻度で後期重
合槽出口で採取し、品質評価した。結果を表1に示す。
このデータは3点のサンプルの平均値である。
【0095】なお、上記純度99.99体積%の窒素を
流通させた貯槽内の気体の組成は、直径2.0m、高さ
2.5mの直胴部分と底部に高さ1.7mの円錐状部分
を有する貯槽内について、図1のA点で測定した。
【0096】この結果、貯槽内の気体は、平均で、窒素
濃度が99.99体積%、酸素濃度が0.01体積%で
あった。
【0097】貯槽には、間欠的に芳香族ジヒドロキシ化
合物を受け入れた。
【0098】芳香族ジヒドロキシ化合物のレベルは図1
の貯槽1の直胴部分の上端から2.2mと2.45mと
の間に保たれた。なお、窒素の導入は図1の貯槽出口2
より50cm上から行った。
【0099】貯槽における芳香族ジヒドロキシ化合物の
平均滞留時間は12時間であった。
【0100】[実施例2]純度99.99体積%の窒素
を流通させた実施例1と同様の貯槽(適宜排気すること
により内圧を0.001MPaに維持、酸素濃度0.0
1体積%)に、芳香族ジヒドロキシ化合物として平均粒
径が1mmのプリル状のビスフェノールAを保持し、こ
れと、炭酸ジエステルとして蒸留精製した溶融状態のジ
フェニルカーボネートとをモル比でジフェニルカーボネ
ート/ビスフェノールA=1.01となるようにスチー
ムジャケットおよびスチームコイルを有する原料調製槽
に供給し、撹拌しつつ混合・溶融した。
【0101】しかる後、原料供給槽に全量移送し、該原
料供給槽から溶融した原料混合物を連続的に供給するこ
とにより、連続重合を行った。
【0102】原料供給槽の平均滞留時間は24時間であ
り、該重合物は、フィルターに通じ、ろ過した後、撹拌
機、ジャケットおよびコイルを有する初期重合槽へ触媒
溶液とともに連続的に供給するようになし、連続溶融重
縮合を実施した。
【0103】重合触媒としてはビスフェノールAのジナ
トリウム塩とテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと
を使用し、触媒調製槽においてフェノール/水=90/
10重量%の混合液に溶解した後、ビスフェノールA1
モルあたりビスフェノールAのジナトリウム塩が1×1
-6当量、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが1
×10-4モルとなるように初期重合槽へ供給した。
【0104】重合設備は初期重合槽と後期重合槽とより
構成されており、各重合槽の運転条件は、初期重合槽
が、内温250℃、真空度4000Pa、後期重合槽
が、内温270℃、真空度67Paであった。
【0105】運転時間は、連続530時間であった。ポ
リカーボネートのサンプルは、1回/日の頻度で後期重
合槽出口で採取し、品質評価した。結果を表1に示す。
このデータは3点のサンプルの平均値である。
【0106】なお、上記純度99.99体積%の窒素を
流通させた貯槽内の気体の組成は、実施例1と同様に測
定した。
【0107】この結果、貯槽内の気体は、平均で、窒素
濃度が99.99体積%、酸素濃度が0.01体積%で
あった。
【0108】貯槽には、間欠的に芳香族ジヒドロキシ化
合物を受け入れた。
【0109】芳香族ジヒドロキシ化合物のレベルは図1
の貯槽1の直胴部分の上端から1.46mと1.71m
との間に保たれた。
【0110】貯槽における芳香族ジヒドロキシ化合物の
平均滞留時間は24時間であった。
【0111】[実施例3]芳香族ジヒドロキシ化合物と
してビスフェノールAを30分保持した以外は実施例1
と同じ装置、同じ運転条件で580時間の連続運転を実
施した。
【0112】ポリカーボネートのサンプルは、1回/日
の頻度で後期重合槽出口で採取し、品質評価した。結果
を表1に示す。
【0113】[実施例4]原料混合物が、調製から84
時間経過したものを用いた以外は実施例1と同じ装置、
同じ運転条件で500時間の連続運転を実施した。
【0114】ポリカーボネートのサンプルは、1回/日
の頻度で後期重合槽出口で採取し、品質評価した。結果
を表1に示す。
【0115】[比較例1]純度99.99体積%の窒素
を流通させたが、その流通量を減少させた以外は実施例
1と同様にした。
【0116】品質評価結果を表1に示す。このデータは
3点のサンプルの平均値である。
【0117】なお、この結果、貯槽内の気体は、平均
で、窒素濃度が95体積%、酸素濃度が5体積%であっ
た。
【0118】
【表1】
【0119】
【発明の効果】本願発明によれば、色相に優れ、ゲルや
異物の少ない芳香族ポリカーボネートを効率よく製造で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族ヒドロキシ化合物貯槽の概略図である。
【符号の説明】
1 貯槽 2 貯槽出口(底部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐脇 透 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 佐々木 勝司 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AB07 BB04A BB05A BB05B BB10A BB12A BB13A BB13B BF14A BG05X BG07X BG08X BG24X BH02 DB07 DB13 DB15 HA01 HC04A HC05A HC05B KB13 KB22 KD06 KD09 KD17 KE05 LB01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとを溶融重縮合して芳香族ポリカーボネートを製造
    するに際し、原料として使用する、粒子状または塊状の
    芳香族ジヒドロキシ化合物を貯蔵する貯槽であって、酸
    素濃度が0.0001〜1体積%の気体で充満された貯
    槽。
  2. 【請求項2】 酸素濃度が0.0001〜1体積%の気
    体を前記貯槽内に流通できることおよび/または前記貯
    槽を密閉できることを特徴とする請求項1に記載の貯
    槽。
  3. 【請求項3】 酸素濃度が0.0001〜1体積%の前
    記気体が、前記貯槽の底部から1m上までの間の部分か
    ら流通できることを特徴とする請求項1または2に記載
    の貯槽。
  4. 【請求項4】 前記貯槽の内圧が、0.0001〜0.
    2MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の貯槽。
  5. 【請求項5】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとを溶融重縮合する芳香族ポリカーボネートの製造
    方法であって、請求項1〜4に記載の貯槽を使用するこ
    とを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとを混合溶融して得られた混合溶融物を、72時間
    以内に重合工程に供して溶融重縮合することを特徴とす
    る、請求項5に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011079936A (ja) * 2009-10-06 2011-04-21 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2014210939A (ja) * 2008-11-28 2014-11-13 三菱化学株式会社 ポリカーボネート原料の調製方法
JP2016079400A (ja) * 2014-10-21 2016-05-16 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの製造装置

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