JP4376359B2 - ポリカーボネート樹脂組成物の連続製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ポリカーボネート組成物の連続製造方法に関し、さらに詳しくはポリマー色相、耐加水分解性に優れるとともに、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を安定して製造しうるポリカーボネート組成物の連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れており、各種機械部品、光学用成形品、自動車部品などの用途に広く用いられている。
【0003】
特に近年光学用成形品としての需要は著しく、例えば光学用ディスク、情報ディスク、光学レンズ、プリズム等に広く用いられており、それに伴い安定性、離型性、転写性等の要求がこれまで以上に高まってきている。
【0004】
このようなポリカーボネートは、従来、ビスフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面法)、あるいは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させる方法(溶融法)によって製造されている。
【0005】
これらのうち、後者は、前者界面法と比較して安価にポリカーボネートを製造することができるという利点を有するとともに、ホスゲンなどの毒性物質を用いないので、環境衛生上好ましい。
【0006】
一般的に、重縮合反応で得られたポリカーボネートは、ペレタイズされた後、使用目的に応じて各小ロットに分配され、再溶融されて目的に応じた各種添加剤を加えられたり、着色されたりして用いられている。
【0007】
ところで、従来のポリカーボネートでは、溶融時に、着色したり、分子量が低下したりすることがあり、滞留安定性に欠けることがあった。このため、通常、ポリカーボネートからなるペレットを再溶融する際に、耐熱安定剤などを添加して、熱安定性を向上させている。しかしながら、この方法では、熱安定性が低い状態でポリカーボネートに加熱処理を施すことになる。
【0008】
また、上記耐熱安定剤の添加によって、ポリカーボネートの耐水性が低下することがあり、このようなポリカーボネートから得られる成形体では、使用中に透明性が低下してしまうことがあった。
【0009】
特開平5−009286号公報では溶融重縮合反応で得られたポリカーボネートが溶融状態の間にリン化合物および/またはイオウ含有酸性化合物を添加してポリカーボネート組成物を製造する方法が記載されている。
【0010】
しかしながら該報では溶融状態であるポリカーボネートにリン化合物および/またはイオウ含有酸性化合物の添加方法に関する具体的記載はなく、所望の品質を有するポリカーボネート組成物を連続製造できるという点で問題があった。
【0011】
また該報では触媒中和剤としてイオウ含有酸性化合物を使用している。イオウ含有酸性化合物は残存する触媒に対し過剰に添加、具体的には2倍モル以上添加しているため、残存する触媒は中和安定化されるものの、過剰分のイオウ含有酸性化合物が得られるポリカーボネート中に残存し、結果として得られるポリカーボネートの耐水性は十分とは言えず、また光学用ディスク成形品に蒸着されるアルミ膜を腐食させたりするという問題点があった。
【0012】
このためポリマー色相、耐加水分解性に優れるとともに、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を安定して製造しうるポリカーボネート組成物の連続製造方法の出現が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、ポリマー色相、耐加水分解性に優れるとともに、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を安定して製造しうるポリカーボネート組成物の連続製造方法を見出し本願発明を完成するに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明は次の通りである。
【0015】
1. 芳香族ジヒドロキシ化合物と該芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1.00〜1.1モルの炭酸ジエステルとを、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り10-8〜5×10-5当量のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下溶融重縮合反応させた後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、ポリカーボネート100重量部に対し、
[A]下記式(1)
【0016】
【化3】
【0017】
(ここでA1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、X1はアンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンである。)
で示されるスルホン酸化合物0.00001〜0.01重量部
および/または
[B]リン化合物0.0001〜0.1重量部
および/または
[C]脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル0.0005〜0.3重量部を、
混合された、あるいは別個の液状物として、二軸押出機に同時にあるいは別々に添加するに際し、この二軸押出機の加圧状態にある部分に当該液状物を添加することを特徴とするポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0018】
2. 二軸押出機の当該液状物を添加するいずれかの部分の加圧状態が2Kg/cm2以上となる条件で当該液状物を添加することを特徴とする上記1記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0019】
3. 二軸押出機のいずれかの添加部における樹脂充満率が50%以上であることを特徴とする上記1または2記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0020】
4. 二軸押出機が多段式ベント付二軸押出機であり、かつ混練部、シール部、減圧部からなる単位処理ゾーンを少なくとも1個以上有し、混練部の少なくとも一つに上記液状物が添加されることを特徴とする上記1または2記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0021】
5. 上記スルホン酸化合物が下記式(1)−1
【0022】
【化4】
【0023】
(ここでA2、A3、A4、A5、およびA6は互いに独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。)
で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0024】
6. 上記リン化合物として芳香族亜リン酸エステル化合物を用いることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0025】
7. アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物と共に、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量の含窒素塩基性化合物を存在させ溶融重縮合反応させることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
【0026】
ここで、上記第1項の発明において、スルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルの添加は必ず共に行われる場合のみを含むものではなく、そのうちの一つまたは二つの組合わせの添加の場合をも含むものであることを意味するが、その場合、添加されるすべての剤について上記第1項の添加条件が適用されることを意味している。
【0027】
また、反応生成物であるポリカーボネートとは芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを含窒素塩基性化合物とアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物等の触媒の存在下溶融重縮合反応させることにより得られるすべてのポリカーボネートを包含する。
【0028】
また、「加圧状態」とは大気圧を越える圧力の事を意味する。
【0029】
本願発明で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては特に制限はなく種々の公知のものを使用することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば下記式(2)
【0030】
【化5】
【0031】
に示される化合物であり、上記式(2)中、R1、R2は、同一または異なる、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から12の炭化水素基である。
【0032】
炭化水素基としては、アルキル基等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基あるいはフェニル基等の炭素数6から12の芳香族炭化水素基を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。式中、m、nは同一または異なり、0または1から4の整数を表わす。
【0033】
具体的にはビス(4ーヒドロキジフェニル)メタン、2,2ービス(4ーヒドロキジフェニル)プロパン、2,2ービス(4ーヒドロキシー3ーメチルフェニル)プロパン、4,4ービス(4ーヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2ービス(4ーヒドロキシー3,5ージクロロフェニル)プロパン、2,2ービス(4ーヒドロキシー3,5ージブロモフェニル)プロパン、ビス(4ーヒドロキジフェニル)オキサイド、ビス(3,5ージクロロー4ーヒドロキジフェニル)オキサイド、p,p’ージヒドロキシジフェニル、3,3’ージクロロー4,4’ージヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,4ージヒドロキシー2,5ージクロロベンゼン、1,4ージヒドロキシー3ーメチルベンゼン、ビス(4ーヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4ーヒドロキジフェニル)スルホキシド、スピログリコール等が挙げられる。
【0034】
これらの内で特に2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく用いられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いても良く、また二種以上組み合わせて用いても良い。
【0035】
本願発明で使用される炭酸ジエステルについても特に制限はなく種々の公知のものを使用することができる。
【0036】
具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、mークレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられる。これらの内で特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。これらの炭酸ジエステルは単独で用いても良く、また二種以上組み合わせて用いても良い。
【0037】
本願発明でポリカーボネートを製造するに際しては、上記炭酸ジエステルは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1.00〜1.1モル、好ましくは1.005〜1.09モル、さらに好ましくは1.01〜1.08モルの量で用いられる。
【0038】
上記1.00〜1.1モルの使用量を逸脱すると、得られるポリカーボネートの色相が低下したり、所望のポリカーボネートを得るのに著しく時間を要するため好ましくない。
【0039】
本願発明で使用されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物についても得られるポリカーボネートの色相を低下させるものでなければ特に制限はなく種々の公知のものを使用することができる。
【0040】
例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0041】
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0042】
触媒としてのアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物は、当該触媒中のアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属化合物が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-8〜5×10-5当量となる割合いで好ましく使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し5×10-7〜1×10-5当量となる割合である。
【0043】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の使用量が上記1×10-8〜5×10-5当量の範囲内であると芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの重縮合反応活性を維持できるとともに、得られるポリカーボネートの色相等の品質に悪影響を起こさない。また触媒として使用するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の使用量が上記範囲内であれば、これらの化合物の活性を上記スルホン酸化合物で低下もしくは失活させることができ、色相、耐熱性、耐加水分解性等の品質に優れたポリカーボネートを得ることができる。
【0044】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の使用量が上記1×10-8〜5×10-5当量の範囲を逸脱すると得られるポリカーボネートの品質が低下する傾向にある。
【0045】
本願発明においては触媒として上記アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物とともに、所望により他の塩基性化合物を用いることができる。
【0046】
上記塩基性化合物としては、例えば高温で易分解性あるいは揮発性の含窒素化合物等が好ましく使用される。
【0047】
含窒素化合物として具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φーCH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラメチルアシモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)などが挙げられる。
【0048】
上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量となる割合である。
【0049】
なお、本願明細書において、仕込み芳香族ジオール化合物(芳香族ジヒドロキシ化合物ともいう)に対するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素塩基性化合物の割合いを、「芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属または塩基性窒素としてW(数値)当量のZ(化合物名)量」として表現したが、これは、例えば、Zがナトリウムフェノキシドや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンモノナトリウム塩のようにナトリウム原子が一つであり、またはトリエチルアミンのように塩基性窒素が一つであれば、Zの量がWモルに相当する量であることを意味し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジナトリウム塩のように二つであれば、W/2モルに相当する量であることを意味する。
【0050】
本願発明で使用されるスルホン酸化合物は下記式(1)
【0051】
【化6】
【0052】
(ここでA1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、X1はアンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンである。)
で示され、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の活性を低下もしくは失活させることができ、色相、耐熱性、耐加水分解性等の品質に優れたポリカーボネートを得ることができる。
なかでも、スルホン酸化合物が下記式(1)−1
【0053】
【化7】
【0054】
(ここでA2、A3、A4、A5、およびA6は互いに独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。)
に示されるスルホン酸ホスホニウム塩であることが好ましい。
【0055】
具体的には、ヘキシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、トルエンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0056】
上記スルホン酸化合物の使用量としては、使用されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の活性を低下もしくは失活させるのに十分な量であればよく、具体的にはポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.00001〜0.01重量部、好ましくは0.0005〜0.005重量部の範囲で用いられる。
【0057】
また上記スルホン酸化合物は通常アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の活性を低下もしくは失活させる目的でアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物に対し過剰モル添加するため得られるポリカーボネート中に過剰分が残存することとなるが、上記スルホン酸化合物はそれ自身中性もしくは弱酸性であるため、得られるポリカーボネートの品質を低下させることなく、かつ触媒の活性を低下もしくは失活することができる。
【0058】
なお、触媒との関係においては、これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で、使用することができる。
【0059】
本願発明で使用されるリン化合物としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸エステル、および亜リン酸エステルを用いることができる。
【0060】
このようなリン酸エステルとしては具体的にはたとえば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート、などのトリアルキルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどを挙げることができる。
【0061】
また亜リン酸エステルとしては下記一般式で表わされる化合物を挙げることができる。
【0062】
【化8】
【0063】
(式中Rは脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表わす。これらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0064】
このような式で表わされる化合物として具体的にはたとえば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリステアリルホスファイトなどのトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのアリールアルキルホスファイトなどを挙げることができる。
【0065】
さらに亜リン酸エステルとしてジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4−ジーtーブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイトなどを挙げることができる。
【0066】
これらの化合物は単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。これらのうちリン化合物として、上記一般式で表わされる亜リン酸エステルが好ましく、さらに芳香族亜リン酸エステルが好ましく用いられる。
【0067】
本願発明ではリン化合物は、ポリカーボネート100重量部に対し0.0001〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部の量で添加しうる。上記0.0001〜0.1重量部の範囲を逸脱すると剤の効果が十分に発現しないか、もしくはポリマー品質へ悪影響を及ぼす等の問題があり好ましくない。
【0068】
本願発明で使用される脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルは、ポリカーボネート100重量部に対し0.0005〜0.3重量部、好ましくは0.007〜0.08重量部、さらに好ましくは0.01〜0.07重量部で使用しうる。
【0069】
上記0.0005〜0.3重量部の範囲を逸脱すると得られるポリカーボネート系樹脂組成物の耐熱性低下、もしくは十分な離型性および高度な転写を得ることができないという欠点を有するため好ましくない。
【0070】
脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルとは、多価アルコールの少なくとも1つの水酸基が未反応であるものを言い、炭素数12〜24の飽和一価脂肪酸のモノグリセリドおよび/またはジグリセリドが好ましい。
【0071】
上記脂肪族カルボン酸としては特に限定されず、また飽和および不飽和脂肪族カルボン酸を共に用いることができる。上記脂肪族カルボン酸としては飽和一価脂肪酸が好ましく炭素数12〜24のものが特に好ましい。炭素数が上記範囲より少ないと、製造されたポリカーボネート系樹脂組成物が上記範囲のものに比べ劣り、またガスの発生が起こるので好ましくない場合が多い。一方炭素数が上記範囲より大きいとポリカーボネート系樹脂組成物の離型性が上記範囲内のものに比べ劣るので好ましくない場合が多い。
【0072】
上記脂肪族カルボン酸としては、具体的には、ドデシル酸、ペンダデシル酸、パルチミン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
【0073】
上記多価アルコールとしては、特に限定されず、2価、3価、4価、5価、6価等いずれも用いることができるが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが好ましく、グリセリンが特に好ましい。
【0074】
本願発明で用いる脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルは、慣用のエステル化反応によって得ることができる。
【0075】
上記離型剤を添加した際に、その剤がポリマー中に残存する各種の物質、例えば、残存触媒、あるいは触媒失活剤と影響を与え合うが、その際に本願発明において特定の触媒失活剤と離型剤との組み合わせを選択することにより、互いの悪影響を最小限に抑えて、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を提供することができる。さらに本願発明においては、特定の原料の仕込み割合、特定量の特定触媒を用いて製造し、特定の末端ヒドロキシル基濃度、特定の分子量をもったポリカーボネートにより、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を提供することができる。
【0076】
本願発明は、溶融状態のポリカーボネートにスルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルの液状物を二軸押出機の加圧状態にある部分に添加することを特徴とする。
【0077】
本願発明において使用しうる二軸押出機は混練部を有していることが望ましく、混練部、シール部、減圧部からなる単位処理ゾーンを有するものを好ましく使用することができる。単位処理ゾーンは1つでも良いが必要に応じて複数個有することもできる。
【0078】
「混練部」とは溶融ポリカーボネート送液機能より混合機能を重視した、パドル型等の撹拌翼が設置されたルーダ部分を言い、その部分以前にスルホン酸化合物、リン化合物、脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル等の添加物が添加されていれば、ここで好適に混練が実施される。
【0079】
「シール部」とは溶融ポリカーボネートの流れについて、当該シール部の上流部と下流部とで異なる操作圧力をとる事を可能にする目的で設置されたルーダ部分で、ルーダーの断面を見た場合にその空間部分が混練される樹脂で実質的に完全に充填されている部分を含むものを意味し、好ましくは上流部に混練部、下流部に減圧部を有する。この混練部、シール部、減圧部の組合わせにより、たとえば混練部を加圧状態にし、減圧部を減圧状態に保つことが可能となる。シール部は例えばルーダーの撹拌軸に円盤状の板を取り付けることによって実現可能である。
【0080】
また、「減圧部」とはベント口を設置し、これを介して真空ポンプ等により減圧に維持されているルーダ部分を意味し、ルーダーのスクリュー構成としてはフルフライトユニットを使用することができる。なお「減圧部」は「ベント部」と称することもある。
【0081】
減圧部では真空ポンプ等により減圧処理し、溶媒ならびに揮発性不純物を系外に除去するのが通常である。減圧処理は、760mmHg以下、好ましくは500mmHg以下の圧力で0.1秒間以上行うのが望ましい。減圧部圧力が760mmHgを越えると添加した脱気助剤ならびに揮発性不純物を系外に除去できないため好ましくない。
【0082】
本願発明でいう液状物とは、使用温度下において液状の物の外、溶融物、溶液、縣濁液、乳濁液であるものをも含む概念である。
【0083】
たとえば、使用されるスルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルが常温下で液体状態であればそのまま使用することができ、また常温下で液体状態であっても送液性を良好にするためにその温度を上げ、液粘度を下げて使用することもできる。
【0084】
また使用されるスルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルが常温下で固体状態である場合には、例えば融点以上に加熱し溶融液体状態で使用することも本願発明の範囲に含まれ、更に溶剤により溶液、もしくは縣濁液、乳濁液とすることも本願発明の範囲に含まれる。
【0085】
使用される溶剤としてはスルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルを液状物にし、かつ液状物が溶融状態のポリカーボネートに安定して連続添加でき、所望のポリカーボネート組成物が得られるものであれば特に制限はない。
【0086】
また使用される溶剤はポリマー中に残存すると得られるポリカーボネート組成物の品質を損なう可能性があるため、混練後速やかに除去されことが好ましく、具体的には塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、水等が挙げられる。
【0087】
本願発明において、溶融状態のポリカーボネートにスルホン酸化合物および/またはリン化合物および/または脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルの液状物を、混合された、あるいは別個の液状物として、二軸押出機に同時にあるいは別々に添加するに際し、この二軸押出機の加圧状態にある部分に当該液状物を添加する場合の当該部分の圧力は2Kg/cm2以上となる条件が好ましく、より好ましくは5Kg/cm2以上である。2Kg/cm2未満では上記液状物を添加する場合に剤そのものや使用される溶媒や分散媒の飛散が増加する場合が生じ好ましくない。ここで、本願発明において、「2Kg/cm2以上となる条件」もしくは「5Kg/cm2以上となる条件」というのはすべての添加液状物の添加が同時に満足する条件のみを意味するものではなく、二軸押出機の加圧状態にあるいずれかの部分が2Kg/cm2以上となる条件あるいは5Kg/cm2以上となる条件をも含むものである。
【0088】
なお、液状物添加ラインと二軸押出機との接続部には混練部の樹脂の逆流を防ぐ目的で背圧機構を有する逆止弁を設置することも好ましく実施される。
【0089】
添加が行われるルーダー部分では液状物と溶融ポリマーとが接触しており、添加後速やかに混練され、ポリマー中に均一分散することが望ましい。そのため、この添加が行われるルーダー部分の樹脂充満率は50%以上が好ましく、更に好ましくは80%以上である。したがって、混練部、シール部、減圧部よりなる単位処理ゾーンを有する場合にはその混練部に添加するのが望ましい。なおこの場合も、本願発明において、「樹脂充満率は50%以上」もしくは「80%以上」というのはすべての添加液状物の添加が同時に満足する条件のみを意味するものではなく、二軸押出機の加圧状態にあるいずれかの部分が「樹脂充満率は50%以上」もしくは「80%以上」となる条件をも含むものである。
【0090】
なお、加圧状態にあっても樹脂充満率が100%未満となる条件がありうるのは、重合反応で生じた低沸点化合物や上記液状物の溶媒や分散媒として使用される低分点化合物がガス状になって存在するためであると考えられている。
【0091】
ベント部はたいていの場合上記樹脂充満率の範囲を逸脱した部分となり、また減圧状態でもあるため、添加部周辺添加剤が飛散し、比較的長期間連続添加した場合飛散した添加剤の熱劣化等により得られるポリマー品質が低下する等の問題があり、比較的長期間での連続運転には好ましくない。
【0092】
本願発明では得られるポリカーボネートに本願発明の目的を損なわない範囲で通常のその他の添加剤、例えば加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、金属石鹸類、造核剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、離型剤、防黴剤、着色剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤などを添加してもよい。
【0093】
これらの添加剤としては、具体的には次のようなものが挙げられる。ここで加工安定剤としては、例えば2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルbゲンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0094】
光安定剤としては、例えば2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンホゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾフェノン系化合物、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系化合物などの紫外線吸収剤、ニッケルジブチルジチオカーバメート、[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル、等のニッケル系クエンチャーなどが挙げられる。
【0095】
金属不活性化剤としては、例えばN,N’−[3−(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等が、金属石鹸類としては例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ニッケル等が挙げられる。
【0096】
また造核剤としては、例えばジ(4−t−ブチルフェニル)ホスホン酸ナトリウム、ジベンジリデンソルビトール、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウム塩等のソルビトール系、リン酸塩系化合物が挙げられる。
【0097】
帯電防止剤としては、例えば(β−ラウラミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート等の第4級アンモニウム塩系、アルキルホスフェート系化合物が挙げられる。
【0098】
難燃剤としては、例えばトリス(2−クロロエチル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル類、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモフェニルオキサイドなどのハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウムなどの金属無機化合物類、これらの混合物等が挙げられる。
【0099】
【発明の効果】
このようにして本願発明により、ポリマー色相、耐加水分解性に優れるとともに、成形時の分子量低下、色相保持等の熱安定性および離型性、転写性等の成形性にも優れたポリカーボネート組成物を安定して製造しうるポリカーボネート組成物の連続製造方法を提供することができる。
【0100】
【実施例】
以下実施例に基づき、本願発明を詳細に説明するが、本願発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0101】
[実施例1]
140℃で溶解した、1:1.04のモル比のビスフェノールA(以下BPAと称する)とジフェニルカーボネート(以下DPCと称する)との混合物を保持する槽型撹拌槽から、この混合物を、ビスフェノールA成分の供給速度が毎時0.16キロモルの速度となる供給速度で温度180℃の第二の槽型撹拌槽に送液した。これと同時に、この混合物を保持する槽型攪拌槽に、BPAとDPCとを、それぞれ毎時0.160キロモルおよび0.166キロモルとなるようフィードし、この攪拌槽の液面を一定に保った。反応の進行と共に発生したフェノールは溜出除去した。
【0102】
この第二の槽型撹拌槽には、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを毎時0.03モルおよびビスフェノールAジナトリウム塩を毎時0.00008モル(5×10-7モル/モル−BPA、1×10-6当量/モル−BPA)添加した。
第二の槽型撹拌槽におけるこの反応溶液の滞留時間は40分であった。
【0103】
次に反応溶液を、ビスフェノールA由来の構成要素の供給速度が毎時0.16キロモルの速度となる供給速度で、次の温度210℃、圧力100mmHgに保たれた第三の槽型撹拌槽に送液した。
滞留時間は40分であった。発生したフェノールは溜出除去した。
【0104】
次に、この反応溶液を、ビスフェノールA由来の構成要素の供給速度が毎時0.16キロとなる供給速度で、温度260℃、圧力15mmHgに保たれた第四の槽型撹拌槽に送液した。
滞留時間は40分であった。発生したフェノールは溜出除去した。
定常状態の反応物の粘度平均分子量は6000であった。
【0105】
次にこの反応物をギアポンプにて275℃、0.5mmHgにコントロールされた二軸横型撹拌重合槽に、ビスフェノールA由来の構成要素の供給速度が毎時0.16キロとなる供給速度で(約40kg/時間)送り込み、滞留時間40分にて重合させた。この時のポリマーの粘度平均分子量は15500であった。
【0106】
次に溶融状態のままで、このポリマーをギアポンプにて混練部、シール部、減圧部(圧力15mmHg)からなる単位処理ゾーンを3つ有する二軸押出機(L/D=44、バレル温度260℃)に、ビスフェノールA由来の構成要素の供給速度が毎時0.16キロとなる供給速度で(約40kg/時間)送り込み、ポリカーボネート100重量部に対して第一処理ゾーンの混練部でスルホン酸化合物として精製水にて懸濁させたドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩の1%懸濁液を1重量部、第二処理ゾーンの混練部でリン化合物として100℃に加温したトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量部、第三処理ゾーンの混練部で脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルとして100℃にて溶融したステアリン酸モノグリセリドを0.05重量部、連続的に添加しポリカーボネートと混練し、ダイを通してストランド状とし、カッターで切断してペレットとした。
条件および結果を表1、2に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
[実施例2]
第一処理ゾーンの混練部でスルホン酸化合物として精製水にて懸濁させたドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩の1%懸濁液を1重量部、第二処理ゾーンの混練部でリン化合物としてのトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトと、脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルとしてのステアリン酸モノグリセリドとの150℃溶融混合物(重量比50:500)を0.055重量部添加し、第三処理ゾーンでは何も添加しないこと以外は実施例1と同様の方法で行った。
条件および結果を表1、2に示す。
【0110】
[比較例1]
第一〜三処理ゾーンのいずれにおいても何も添加しない以外は実施例1と同様の方法で行った。
条件および結果を表1、2に示す。
【0111】
[比較例2]
第二処理ゾーンにおいてその混練部の代わりに減圧部でリン化合物として100℃に加温したトリスノニルフェニルホスファイト0.003重量部を常圧下に添加した以外は実施例1と同様の方法で行った。
条件および結果を表1、2に示す。
【0112】
[得られたペレットの評価]
上記により得られたペレットについて以下の評価を行った。
【0113】
(1)色相:b値
得られたペレットについて日本電色工業(株)のColor and Color Difference Meter Z−300Aを用いてb値を測定した。
【0114】
(2)残存フェノール量
高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製HPLC8020システム)にて測定を行った。
【0115】
(3)離型性
ニッケル製のスタンパーを用い、シリンダー温度340℃、金型温度80℃、1サイクル7秒の条件で、CD成形機にて、φ120のコンパクトディスク基板を連続1000ショット成形し、金型開放時におけるディスク基板またはそのスプルー部分の金型への付着を不良率(%)として評価した。
【0116】
(4)転写性
(3)の成形にて得たディスク基板に転写されたピットを光学顕微鏡(800倍)で観察し、評価した。実施例および比較例のそれぞれについて、ディスク基板10枚を評価した。
【0117】
(5)熱安定性
(3)の成形条件で、20分間成形を止め樹脂を滞留させた後、再び成形を開始し、得られたディスク基板の色相と表面状態とを評価した。表面状態は、目視にて観察した。色相(YI)は日本電色工業(株)製のColor and Color Difference Meter ND−1001DPを用いて測定した。
【0118】
(6)湿熱安定性(耐沸水性)
(3)の方法にて得たディスク基板について120℃×80時間湿熱処理後の分子量低下を評価した。
Claims (4)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と該芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1.00〜1.1モルの炭酸ジエステルとを、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り10-8〜5×10-5当量のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下溶融重縮合反応させた後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、ポリカーボネート100重量部に対し、[A]下記式(1)−1
で示されるスルホン酸ホスホニウム塩0.00001〜0.01重量部および/または[B]リン化合物0.0001〜0.1重量部および/または[C]脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステル0.0005〜0.3重量部を、混合された、あるいは別個の液状物として、二軸押出機に同時にあるいは別々に添加するに際し、この二軸押出機の加圧状態にある部分に当該液状物を添加し、
二軸押出機の当該液状物を添加するいずれかの部分の加圧状態が2Kg/cm 2 以上となる条件で、かつ
二軸押出機のいずれかの添加部における樹脂充満率が50%以上であることを特徴とするポリカーボネート組成物の連続製造方法。 - 二軸押出機が多段式ベント付二軸押出機であり、かつ混練部、シール部、減圧部からなる単位処理ゾーンを少なくとも1個以上有し、混練部の少なくとも一つに上記液状物が添加されることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
- 上記リン化合物として芳香族亜リン酸エステル化合物を用いることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
- アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物と共に、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り1×10-5〜5×10-3当量の含窒素塩基性化合物を存在させ溶融重縮合反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の連続製造方法。
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