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JP2003240941A - 近赤外線遮断部材及びその製造方法 - Google Patents

近赤外線遮断部材及びその製造方法

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Publication number
JP2003240941A
JP2003240941A JP2002042117A JP2002042117A JP2003240941A JP 2003240941 A JP2003240941 A JP 2003240941A JP 2002042117 A JP2002042117 A JP 2002042117A JP 2002042117 A JP2002042117 A JP 2002042117A JP 2003240941 A JP2003240941 A JP 2003240941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared
infrared ray
infrared absorbing
resin
ray blocking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002042117A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Hasebe
浩 長谷部
Satoshi Odajima
智 小田嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd, Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2002042117A priority Critical patent/JP2003240941A/ja
Publication of JP2003240941A publication Critical patent/JP2003240941A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互いに異なる赤外線吸収特性を有する二種以
上の近赤外線吸収材料を用い、近赤外線吸収材料の変質
を防止した近赤外線遮断部材および該部材を簡便、か
つ、低コストで製造する方法を提供する。 【解決手段】 透光性基材の少なくとも片面に、互いに
異なる赤外線吸収特性を有し、かつ、互いに化学的な反
応を及ぼしあわない2種以上の近赤外線吸収材料と樹脂
の混合物からなる近赤外線遮断層を設けた事を特徴とす
る近赤外線遮断部材および互いに異なる赤外線吸収特性
を有し、かつ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない2
種以上の近赤外線吸収材料と有機溶剤と樹脂とからなる
近赤外線吸収塗料を、透光性基材の少なくとも片面に塗
工することを特徴とする近赤外線遮断部材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近赤外線を遮断す
る部材に関し、特にプラズマディスプレー前面パネル用
光学フィルタとして最適な特性を示す近赤外線遮断部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレーより放射され、そ
の本体および周辺機器の誤動作の原因となる電磁波は波
長850〜1000nmの近赤外線であり、一般的なプ
ラズマディスプレーでは、この帯域の波長を全体放射量
の10%以下に止めておけば、本体及び周辺機器に悪影
響を及ぼすことはない。また可視波長領域ではプラズマ
ディスプレーの輝度とコントラストの兼ね合いから全体
照射量の50〜60%の透過率が望ましいが、実用上電
磁波シールド層、反射防止部材層とともに積層配置され
ることが多いため、近赤外線遮断部材単体では65%以
上の可視光透過率を確保しておくことが望ましい。
【0003】このような近赤外線遮断部材を実現する方
法として以下のようなものが提案され、用いられてい
る。 (1)透明基板の上に屈折率の大きく異なる2つ以上の
誘電体物質を多層積層させ、各々の薄膜界面で反射する
光の干渉を用いて特定波長のみを遮断する方式。 (2)近赤外線吸収材料を分散させた樹脂をフィルム状
に熱成形し、所定の波長域の電磁波を吸収させることに
よって特定波長のみを遮断する方式。 (3)溶剤中にバインダとなる樹脂、および近赤外線吸
収材料を溶解させた後、PET等の透明基板上に塗工・
乾燥させることにより近赤外線吸収剤を含む薄膜を形成
し、所定の電磁波を吸収させることによって特定波長の
みを遮断する方式。
【0004】しかしながら前記のプラズマディスプレー
用近赤外線遮断部材には、その性能や製造コスト上、以
下に記すような問題点がある。即ち、前記(1)のプラ
ズマディスプレー用近赤外線遮断部材に於いては、十分
な可視光透過率と近赤外線吸収率を得るために、誘電体
薄膜の膜厚を数十〜数百nmの範囲で±10nmオーダ
ーの精度で管理する必要がある。このため真空蒸着法を
用いて製造されるが、プラズマディスプレー画面の様な
大面積の物体に蒸着を行うにはそれを収納するための巨
大な真空蒸着設備が必要となる。また、蒸着面積が大き
くなるに従い膜厚が一定に保ちにくくなり、部位によっ
て可視光透過率と近赤外線吸収率が変わってしまうなど
品質的にも製造コスト的にも問題があり、品質的にも製
造コスト的にも製造は困難である。
【0005】一方、プラズマディスプレー用近赤外線遮
断部材に使用する近赤外線吸収材料としては、前記した
可視光透過率特性、近赤外線吸収特性の必要条件から、
主としてイモニウム化合物が用いられる。しかしこの化
合物は、100℃以下の実使用環境下での耐熱性は十分
であるものの、樹脂を溶融させる温度環境下では、その
一部または全てが変質してしまうという問題がある。従
って、前記(2)に示す方法は、樹脂にこのイモニウム
化合物を溶融する工程が不可欠であるため、安定した生
産は困難である。
【0006】前記(3)の方法であれば、イモニウム化
合物を加熱することなくバインダとなる樹脂中に分散さ
せることができるため、その変質を防ぐことができる。
また、前記3つの製造方法のうち、製造コストが最も安
価であり、プラズマディスプレー用近赤外線遮断部材製
造方法として主流となっている。
【0007】しかしながら、上記のイモニウム化合物
(以下IMと称す)は、波長1000nmでの吸光係数
が80000程度であるのに対し、波長850nmでの
吸光係数は35000程度であるため、波長850nm
での透過率が、10%以下となるようにIMの濃度と塗
装厚を調整した場合、可視光線域での透過率は平均60
%程度迄落ち込んでしまう。また、このイモニウム化合
物の可視光線域での吸光係数は一定ではなく、波長60
0nmの吸光係数が小さいため、橙色の光を多く透過し
てしまいカラーバランスが著しく損なわれてしまうとい
う問題がある。
【0008】この波長850nmでの吸収量を補うた
め、波長1000nmでの透過率が10%以下程度にな
るようIMの濃度と塗装厚を調整しておき、波長850
nm付近に吸収ピークをもつ別材料を使用することによ
り遮断量の不足分を補うという手法をとるのが一般的で
ある。波長850nm付近に吸収波長ピークを持ち、か
つ可視光線の透過性のよい物質としては、特開2001
−133624号公報の実施例に記載されたようなニッ
ケル錯体が挙げられるが、この物質は、IM−Sb等の
イモニウム化合物を還元し変質させてしまう触媒作用を
持つため、溶剤中でイモニウム化合物と混合させると、
イモニウム化合物の持つ近赤外線吸収特性が損なわれて
しまう。
【0009】このため、例えば特開2001−1336
24号公報のように、ニッケル錯体とIMを別々のバイ
ンダ樹脂中に有機溶剤を介して分散させ、基材の両面に
塗装するなどIMを混入させる層とニッケル錯体を混入
させる層を分離したり、あらかじめIMの塗装フィルム
と、ニッケル錯体の塗装フィルムを製造しておいて、各
々塗装の完了した部材を透明な接着剤によって貼り付け
るなど、両材料が加工中に直接触れ合わないような工程
によって製造され、製品化されている。しかし、前者の
方法では実質2回以上の塗装工程を繰り返さねばなら
ず、また後者の方法では加えてフィルムを接着する工程
が加わるなど、プラズマディスプレー用近赤外線吸収フ
ィルムの製造低コスト化に大きな障害となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、複雑な工程を経ることなく
安定して製造することができ、かつ、経済性にも優れた
近赤外線吸収材料およびその製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨
は、透光性基材の少なくとも片面に、互いに異なる赤外
線吸収特性を有し、かつ、互いに化学的な反応を及ぼし
あわない2種以上の近赤外線吸収材料と樹脂の混合物か
らなる近赤外線遮断層を設けたことを特徴とする近赤外
線遮断部材にあり、さらに、互いに異なる赤外線吸収特
性を有し、かつ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない
2種以上の近赤外線吸収材料と有機溶剤と樹脂とからな
る近赤外線吸収塗料を、透光性基材の少なくとも片面に
塗工することを特徴とする近赤外線遮断部材の製造方法
にある。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の近赤外線遮断部材
につき説明する。本発明において用いられる透光性基材
としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチ
ルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、フッ素
化ポリイミド等の透明性のシート状基材やガラスやアク
リル板、ポリカーボネート板等、無機または有機の透明
板状基材が用いられ、前記シート状基材としては、厚さ
数十〜数百μmのシートを用いるのが一般的であり、前
記板状基材としては数mm以上の板状体を用いるのが一
般的である。また、既に電磁波シールド層が生成されて
いるガラス基材などのシートであってもよい。既に電磁
波シールド層が生成されているガラス基材などに直接塗
装して近赤外線遮断層を生成する事も可能で、同塗料を
フィルム塗装して電磁波シールド基材に接着する方法よ
りも遙かに優れた生産性を有し、非常に低コストでプラ
ズマディスプレー用前面パネルを製造することが可能と
なる。
【0013】近赤外線吸収材料としては、イモニウム化
合物、フタロシアニン化合物、シアニン系化合物、アミ
ニウム系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キ
ノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニ
ルメタン系化合物、メルカプトナフトール系化合物を挙
げることができる。本発明においては、互いに異なる赤
外線吸収特性を有する2種以上の近赤外線吸収材料を用
いる必要があり、互いに異なる赤外線吸収特性としては
赤外線吸収ピーク位置が互いに異なることであることが
好ましい。すなわち、1種の近赤外線吸収材料だけでは
カバーしきれない近赤外線の吸収波長領域を2種以上の
互いに吸収ピーク範囲が異なる近赤外線吸収材料を用い
てカバーするものである。このような近赤外線吸収材料
の組み合わせとしては、吸収ピークを900〜1500
nmに吸収ピークを有するものと800〜900nmに
吸収ピークを有するものの組み合わせが好ましい。この
組み合わせにおいては、その組み合わせにより近赤外線
吸収材料の機能を損なわない組み合わせとする必要があ
る。
【0014】このような組み合わせの例として、イモニ
ウム化合物(赤外線吸収ピーク1060〜1085n
m)とフタロシアニン化合物(同810〜850nm)
の組み合わせ等を例示でき、3種以上の組み合わせの例
としては、ニッケル錯体(赤外線吸収ピーク810〜8
50nm)とフタロシアニン化合物(同870〜930
nm)、フタロシアニン化合物(同950〜1000n
m)の組み合わせ、フタロシアニン化合物(同810〜
850nm)とフタロシアニン化合物(同870〜93
0nm)、フタロシアニン化合物(同950〜1000
nm)の組み合わせを示すことができる。
【0015】上記の近赤外線吸収材料の中では、イモニ
ウム化合物が波長1000nm付近の最大吸収波長にお
ける吸光係数が90000以上と少量の混入で非常に大
きな近赤外線吸収特性が得られることに加えて、可視光
線領域での吸光係数が非常に小さい。従って、これを用
いるとプラズマディスプレー用近赤外線遮断部材用途と
して実用的で高度な近赤外線吸収性と可視光線透過性が
得られるため、近赤外線吸収材料の一つとして、イモニ
ウム化合物を用いることが好ましい。このような組み合
わせの中では広範囲の近赤外線吸収性と可視光線透過
性、イモニウム化合物の変性の少ないことからイモニウ
ム化合物と、フタロシアニン化合物の組み合わせが好ま
しい。
【0016】本発明で用いられるイモニウム化合物とし
ては、下記一般式で示されるものを用いることができ
る。
【0017】
【化1】
【0018】上記一般式において、Rは水素、炭素数1
〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数
1〜4のハロゲン化アルキル基を示し、8つのRは同一
であっても互いに異なっていてもよい。Xは過塩素酸イ
オン、フッ化ホウ素酸イオン、ヘキサフルオロ砒酸イオ
ン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、、トリフルオ
ロ酢酸イオンピクリン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イ
オン、リン酸イオンまたは硫酸イオンを示す。
【0019】このイモニウム化合物の具体例として、
N,N,N’N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフ
ェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘ
キサフルオロアンチモン酸塩(以下、IM−Sbとい
う。)を例示できる。このIM−Sbは、実用温度範囲
における耐熱性が、他のイモニウム化合物に比べ優れて
いるため波長1060〜1085nmの近赤外線を吸収
する材料として有用である。
【0020】しかし、イモニウム化合物単独では波長8
50nm付近における吸光係数が小さいため、この波長
において近赤外線透過率10%以下を保ちつつ、可視光
線透過率平均値65%以上を確保することは困難であ
る。ところで、イモニウム結合(>C=N+<)は一般
的に比較的弱い結合であり、反応性の強い官能基や、水
にさらされると容易に分解して変質してしまい、近赤外
線吸収能力が失われてしまうことが知られている。波長
850nm付近を集中的に吸収できる材料として、下記
の一般式で示されるフタロシアニン化合物が好ましく用
いられる。フタロシアニン化合物はテトラベンゾテトラ
アザポルフィン骨格から成る極めて大きな共役二重結合
から成り立っている。
【0021】
【化2】
【0022】上記式におけるMeは、アルミニウム、チ
タン、鉄、コバルト、スズ、銅等の金属元素を示し、こ
の中央に配置される金属元素の種類により、様々な光吸
収特性を持つことが知られている。特に、銅フタロシア
ニンやチタニルフタロシアニンは、近赤外線領域に急峻
な吸収ピークを持つことから、CD−R用の感光性色素
として用いられることが多い。また、高温、高湿下にお
いても極めて安定な特性を示すばかりでなく、光吸収特
性に関しては、前述のニッケル錯体と同等の特性を示
す。しかも他の物質に対する反応性も乏しく、前述のニ
ッケル錯体のようにイモニウム化合物と混合したとき
に、イモニウム化合物の持つ近赤外線吸収特性が損なう
ことがない。従って、イモニウム化合物とフタロシアニ
ン化合物の組み合わせは、イモニウム化合物のイモニウ
ム結合が破壊されることなく、同一溶液中に分散させて
も各々干渉せず、独立した特性を保ち続けるため、数種
類の近赤外線吸収剤と、バインダ樹脂を溶剤に溶解さ
せ、1つの塗料として作成することができる。従って、
両者の適切な配合によりプラズマディスプレー用近赤外
線遮断部材に適した材料となる。
【0023】本発明で用いる樹脂としては、通常、近赤
外吸収材料を基材に塗布するために用いられるバインダ
樹脂であればどのようなものも用いることができ、特に
近赤外線吸収材料の一つとしてイモニウム化合物が用い
られる場合はイモニウム結合を変質させるような官能基
を含まない樹脂が好ましく、反応性に乏しく比較的溶剤
に溶けやすい熱可塑性のポリエステル樹脂やアクリル樹
脂が好ましく用いられる。
【0024】本発明の近赤外線遮断部材には、イモニウ
ム化合物等の変質を生じさせない範囲で、色調を調整す
る色材、近赤外線吸収材料の変質防止などのための紫外
線吸収剤、樹脂の耐湿性、耐熱性の改善などのための酸
化防止剤、導電性付与のための透明導電材等を添加して
もよい。色材は近赤外線吸収材料としてイモニウム化合
物を用いた場合、黄褐色〜緑色の色調を呈することが多
いため、この色調を調整するためのものであり、無機系
顔料、有機系顔料、有機系染料および色素等を用いるこ
とができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤を例示で
きる。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、ヒンダー
ドフェノール系などを用いることができ、着色の少ない
点から、ヒンダードフェノール系が好ましく用いられ
る。本発明において、透光性基材の少なくとも片面に設
けられる近赤外線遮断層の厚みは、該層を片面にのみ設
けた場合は5〜50μm、両面に設けた場合は両面合わ
せて5〜50μmとすることが好ましい。本発明におい
て、樹脂に対する近赤外線吸収材料の配合量は0.5〜
5.0質量%であることが好ましい。
【0025】次に、本発明の近赤外線遮断部材の製造方
法につき、説明する。本発明の近赤外線遮断部材の製造
方法においては、互いに異なる赤外線吸収特性を有し、
かつ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない2つ以上の
近赤外線吸収材料と樹脂とを有機溶剤に溶解して近赤外
線吸収塗料を作成する。近赤外線吸収材料の組み合わせ
および樹脂としては前述のものが用いられる。ここで用
いられる有機溶剤としては、樹脂および近赤外線吸収材
料を溶解可能で、透光性基材を傷めることなく、近赤外
線吸収材料を変質させることなく、塗料塗工後の塗膜を
比較的穏やかな条件で乾燥できるものが好ましく用いら
れ、近赤外線吸収材料の種類により適宜選択されるが、
メチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケト
ン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、キシレン等およびこれらの2種以上の混合溶剤
を好ましい溶剤として例示できる。樹脂および近赤外線
吸収材料の混合比は前述の通りであり、樹脂の溶液中の
濃度は塗工性、および塗工厚さから、樹脂固形分濃度は
20〜40質量%であることが好ましい。
【0026】こうして得られた近赤外線吸収塗料を透光
性基材の片面または両面に塗布するが、塗工にあたって
は通常の塗工方法、すなわち、ロールコーター、ディッ
プコーター、スピンコーター、カーテンコーター、ブレ
ードコーター、エアーナイフコーター、スプレーコータ
ー、バーコーターなどのアプリケーターを用いた塗布法
を採用できる。塗布量は、乾燥後の厚みが前述の厚みと
なる量を塗布する。
【0027】本発明の近赤外線遮断部材は互いに異なる
赤外線吸収特性を有し、かつ、互いに化学的な反応を及
ぼしあわない2つ以上の近赤外線吸収材料を用いている
ので、単一の層で形成しても好適な近赤外線吸収特性と
可視光線透過特性を有する近赤外線遮断部材が得られ、
各々の近赤外線吸収材料を別々のコーティング材料とし
て作成し、多層積層させた場合と同等の性能を有する。
【0028】また、本発明の近赤外線遮断部材の製造方
法によれば、互いに異なる赤外線吸収特性を有し、か
つ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない2つ以上の近
赤外線吸収材料をバインダとなる樹脂ともに有機溶剤中
に混合、溶解しているので、混合した近赤外線吸収材料
はコーティング溶液中、及び塗装後も互いに干渉せず、
塗膜乾燥後も各々の近赤外線吸収特性および可視光線透
過特性を有したまま同一樹脂中に存在することになるの
で、各々の近赤外線吸収材料を別々のコーティング材料
として作成し、多層積層させた場合と同等の性能を有す
る。従って、多層塗装または、部材接着等の工程は必要
なく、低コストで好適な近赤外線遮断部材を製造するこ
とができる。この塗料は一度の塗装で充分な膜厚を形成
することが可能であり、従来のように複数回の塗装を実
施する必要は無く、また張り合わせ接着といった工程も
必要ないため、プラズマディスプレー用近赤外線遮断部
材を従来よりも非常に低コストで製造することを可能と
する。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。 (使用材料)実施例及び比較例における使用材料は以下
の通りである。 1.イモニウムアンチモン酸塩系化合物 「NIR−IM2」(ナガセケムテックス株式会社製:
N,N,N’N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフ
ェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘ
キサフルオロアンチモン酸塩、融点:220〜230
℃、吸収ピーク波長:1060〜1085nm、吸光係
数:90000以上)(略称;IM−Sb) 2.フタロシアニン化合物 「イーエクスカラー IR−14」(株式会社 日本触
媒製:銅フタロシアニン化合物、融点:300〜350
℃、吸収ピーク波長:810〜850nm、吸光係数:
130000以上)(略称;IR−14) 3.ニッケル錯体化合物 「SIR−159」(三井化学株式会社製:ニッケル錯
体化合物、融点300℃以上)
【0030】4.バインダ樹脂 「エリーテル UE3600」(ユニチカ株式会社製:
飽和重合ポリエステル樹脂、ガラス転移温度:75℃)
(略称;UE3600) 5.メチルエチルケトン(略称;MEK) 「メチルエチルケトン」(山一化学工業株式会社製:メ
チルエチルケトン 99%以上) 6.トルエン 「トルオール」(山一化学工業株式会社製:トルエン
99%以上) 7.ジメチルホルムアミド(略称;DMF) 「ジメチルホルムアミド」(三菱ガス化学株式会社製:
ジメチルホルムアミド99%以上) 8.基材 市販のポリエチレンテレフタレートフィルム 厚さ:1
00μm(略称;PET)
【0031】(評価方法)実施例および比較例における
近赤外線遮断部材の特性評価方法は以下の通りである。 (透過率測定)日本分光株式会社製分光光度計V570
を用い、製作した近赤外線遮断部材より、50mm×5
0mmの試験片を切り取り測定を行った。室内の空気の
透過率をリファレンスとし、測定波長範囲:350〜1
000nm、測定波長ピッチ:2nm、受光時間:0.
4秒の条件とした。
【0032】[実施例1] 近赤外線吸収材料としてイ
モニウム化合物(IM−Sb)とフタロシアニン化合物
(IR−14)を用い、MEK:トルエン=1:1なる
重量比で混合した混合溶剤中に、IM−Sb:0.4、
IR−14:0.1、UE3600:15、混合溶剤:
43の重量比となるよう近赤外線吸収材料およびバイン
ダ樹脂を溶解させ、塗料1を作成した。この塗料1をP
ETの片面に乾燥厚みが10μmとなるように、市販の
ロールコーターを用いて塗装し近赤外線吸収機能を有す
るフィルム1を作成した。塗料の乾燥条件は80℃、1
0分とした。得られたフィルム1につき、透過率を測定
した。その結果を図1に示す(実線)。なお、得られた
フィルム1は高度の可視光透過性をも有するものであっ
た。
【0033】次に、フィルム1を、60℃95%RHの
高湿環境下で1000時間放置した場合の透過光波長特
性を図2に示す。実線は高湿試験実施前の測定値であ
り、点線は試験後の測定値である。またフィルム1を8
0℃の高温環境下で1000時間放置した場合の透過光
波長特性を図3に示す。実線は高湿試験実施前の測定値
であり、点線は試験後の測定値である。
【0034】[実施例2] 基材のPETを50×50
mmの大きさに切断し、塗料1をディップコーティング
によりPETの両面に塗装した。塗料1の乾燥厚みが両
面合わせて10μmになるように、引き上げ速度は、1
0mm/秒とし、近赤外線吸収機能を有するフィルム5
を作成した。塗料の乾燥条件は80℃、10分とした。
得られたフィルム5につき、透過率を測定した。その結
果を実施例1の結果と共に図1に示す(1点鎖線)。得
られたフィルム5の透過スペクトルは実施例1で得られ
たフィルム1の透過スペクトルと重なっていた。なお、
得られたフィルム5は高度の可視光透過性をも有するも
のであった。
【0035】[比較例1] 実施例1で用いたと同様の
混合溶剤を用い、IM−Sb:0.8、UE−360
0:15、混合溶剤:43の重量比で混合し塗料2を、
IR−14:0.2、UE−3600:15、混合溶
剤:43の重量比で混合し塗料3を作成した。得られた
塗料2をPETの片面に、塗料3を塗料2を塗っていな
いもう一方の面に、それぞれ乾燥厚みが5μmとなるよ
うに塗装し、近赤外線吸収機能を有するフィルム2を得
た。塗料の乾燥条件は80℃、10分とした。得られた
フィルム2につき、透過率を測定した。その結果をフィ
ルム1の透過率と共に図1に示す(点線)。
【0036】[比較例2、3] 近赤外線吸収材料とし
てイモニウム化合物(IM−Sb)とニッケル錯体化合
物(SIR−159)とを用い、SIR−159は、M
EK及びトルエンに不溶なため、溶剤としてDMF溶剤
を用いて近赤外線吸収塗料の試作を行った。すなわち、
IM−Sb:0.2、SIR−159:0.08、UE
−3600:15、DMF:43の重量比となるよう、
近赤外線吸収材料およびバインダ樹脂をDMF溶剤中に
溶解させ、塗料4を作成した。同様に、IM−Sb:
0.4、UE−3600:15、DMF:43の重量比
となるよう混合し塗料5を、SIR−159:0.1
6、UE−3600:15、DMF:43の重量比とな
るよう混合して塗料6を作成した。
【0037】塗料4をPETの片面に乾燥厚みが20μ
mとなるように、市販のアプリケーターを用いて塗装し
近赤外線吸収機能を有するフィルム3を得た。塗料の乾
燥条件は80℃、20分とした。(比較例2) また、塗料5をPETの片面に乾燥厚みが10μmとな
るように塗装した。また塗料6を塗料5を塗っていない
もう一方の面に、乾燥厚みが10μmとなるように塗装
し、近赤外線吸収機能を有するフィルム4を得た。塗料
の乾燥条件は80℃、20分とした。(比較例3) 得られたフィルム3、4につき、透過率を測定した。そ
れらの結果を図4に示す(比較例2:実線、比較例3:
点線)
【0038】実施例1、実施例2と比較例1の比較か
ら、フィルム1の透過波形とフィルム2の透過波形の差
は、最大でも2%以内に留まっており可視光線透過特性
および近赤外線吸収特性は同等であることがわかる。従
って、IM−SbとIR−14は溶剤中であっても、塗
装後のバインダ樹脂中であっても互いに干渉、反応を起
こさず各々の特性を保ったまま独立に存在していること
がわかる。
【0039】高湿試験と高温試験の結果から、高温環境
下においても高湿環境化においても、試験前後の透過率
の差は、可視光線領域で最大3%、850〜1000n
mの近赤外線領域で最大1%以内であり、高温、高湿環
境下においてもIM−SbとIR−14は互いに変質や
反応を起こさず、各々の特性を保ったまま独立に存在し
ていることがわかる。
【0040】製造工程および完成品形態で、互いの近赤
外線吸収材料が触れ合うことの無いフィルム4はプラズ
マディスプレー用近赤外線遮断部材として好適な特性を
示しているが、同一溶剤中に溶解させたフィルム3は、
IM−Sbの分解により、近赤外線吸収特性が著しく損
なわれていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】互いに異なる赤外線吸収特性を有し、か
つ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない2つ以上の近
赤外線吸収材料と、樹脂との混合物からなる近赤外線遮
断層を用いることにより、互いの特性を損なうことなく
独立した状態で存在させることができ、かつ、広範囲な
近赤外線領域で優れた吸収特性を示す近赤外線遮断層と
なり、プラズマディスプレー用近赤外線遮断部材として
好適な特性を有する部材を得ることができる。本発明に
よれば、異なる性質の近赤外線吸収材料を1つの塗料内
に集約することができるため、塗装工程は1回で済み大
幅な製造コスト低減が可能となる。この効果は特に、近
赤外線吸収材料の一つとしてイモニウム化合物を用いた
場合に特に顕著となる。また、イモニウム化合物とフタ
ロシアニン化合物とを近赤外線吸収剤の組み合わせとし
て用いた場合に、イモニウム化合物の変性も少なく、近
赤外線吸収領域も広いという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1、実施例2および比較例1で得られ
たフィルムの透過スペクトルを示す図である。
【図2】 実施例1で得られたフィルムの高湿試験前後
の透過スペクトルを示す図である。
【図3】 実施例1で得られたフィルムの高温試験前後
の透過スペクトルを示す図である。
【図4】 比較例2および比較例3で得られたフィルム
の透過スペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA19 CA26 4F100 AK01B AK01C AK41 AK41A AK42 AR00A BA02 BA03 BA10B BA10C CA07B CA07C JD10B JD10C JN01A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性基材の少なくとも片面に、互いに
    異なる赤外線吸収特性を有し、かつ、互いに化学的な反
    応を及ぼしあわない2種以上の近赤外線吸収材料と樹脂
    の混合物からなる近赤外線遮断層を設けたことを特徴と
    する近赤外線遮断部材。
  2. 【請求項2】 異なる赤外線吸収特性を有し、かつ、互
    いに化学的な反応を及ぼしあわない2種以上の近赤外線
    吸収材料のうち一つが赤外線吸収ピーク1060〜10
    85nmのイモニウム化合物であり、他の一つが赤外線
    吸収ピーク810〜850nmのフタロシアニン化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線遮断部
    材。
  3. 【請求項3】互いに異なる赤外線吸収特性を有し、か
    つ、互いに化学的な反応を及ぼしあわない2種以上の近
    赤外線吸収材料と有機溶剤と樹脂とからなる近赤外線吸
    収塗料を、透光性基材の少なくとも片面に塗工すること
    を特徴とする近赤外線遮断部材の製造方法。
JP2002042117A 2002-02-19 2002-02-19 近赤外線遮断部材及びその製造方法 Withdrawn JP2003240941A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014032380A (ja) * 2012-07-09 2014-02-20 Fujifilm Corp 近赤外線吸収性組成物、これを用いた近赤外線カットフィルタ及びその製造方法、並びに、カメラモジュール及びその製造方法
JP2015034837A (ja) * 2012-07-27 2015-02-19 富士フイルム株式会社 近赤外線吸収性組成物、これを用いた近赤外線カットフィルタ及びその製造方法、並びに、カメラモジュール及びその製造方法
JP2017512875A (ja) * 2014-04-01 2017-05-25 テーザ・ソシエタス・ヨーロピア プラズマ開始による貼付の方法

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