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JP2001133624A - 近赤外線遮蔽フィルム - Google Patents

近赤外線遮蔽フィルム

Info

Publication number
JP2001133624A
JP2001133624A JP31532499A JP31532499A JP2001133624A JP 2001133624 A JP2001133624 A JP 2001133624A JP 31532499 A JP31532499 A JP 31532499A JP 31532499 A JP31532499 A JP 31532499A JP 2001133624 A JP2001133624 A JP 2001133624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent
layer
infrared shielding
infrared
shielding film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31532499A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Nakabeppu
哲也 中別府
Toshiharu Yoshikawa
逸治 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP31532499A priority Critical patent/JP2001133624A/ja
Publication of JP2001133624A publication Critical patent/JP2001133624A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマディスプレイ用光学フィルター等
に用いて好適な、高度な近赤外線遮蔽性と可視光透過性
を兼備し、透過色のカラーバランスに優れるとともに、
実用的な耐久性を有し、且つ生産性が良好であり、更に
は可視光領域の不要光を選択的に遮蔽して画質を向上さ
せ得る近赤外線遮蔽フィルムを提供することを課題とす
る。 【解決手段】 透明樹脂フィルム層と、近赤外線吸収
色素としてジイモニウム系化合物を必須成分として含有
する透明近赤外線遮蔽層と、透明樹脂フィルム層と、前
記透明近赤外線遮蔽層の色調を補整する色材を含有する
透明色調補整層とを積層した多層構造を有するように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近赤外線遮蔽フィ
ルムに関し、特にプラズマディスプレイ用光学フィルタ
に好適に用いられる近赤外線遮蔽フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、プラズマディスプレイか
ら放射されて、周辺の電子機器の誤動作の原因となる波
長 850〜 1000 nmの近赤外線の遮蔽には、以下のよう
なものが用いられ、或いは提案されている。 (1) 透明基材上に金属酸化物薄膜と金属薄膜を多層積
層し、金属薄膜の光の反射特性を利用して可視光は透過
しながら近赤外線領域の光を反射して遮蔽するもの。 (2) 透明基材上に屈折率の異なる薄膜を多層積層し、
光の干渉作用を利用して特定の近赤外線領域の光を反射
して遮蔽するもの。 (3) アクリル系樹脂に銅イオンを含有する化合物を注
型重合させたシートで、銅イオンの吸収性により近赤外
線領域の光を吸収して遮蔽するもの。 (4) 熱可塑性樹脂中に近赤外線吸収剤を分散させてシ
ート状に熱成形し、近赤外線領域の光を吸収して遮蔽す
るもの。 (5) 近赤外線吸収剤を含有する樹脂組成物をシート状
にキャスト成形、或いは透明基材上に塗工して、近赤外
線領域の光を吸収して遮蔽するもの。
【0003】〔問題点〕しかし、前記のプラズマディス
プレイ用近赤外線遮蔽材料には、それぞれ以下のような
問題点があった。即ち、前記 (1)及び(2) のプラズマデ
ィスプレイ用近赤外線遮蔽材料については、薄膜材料の
選択とそれぞれの光学膜厚及び積層回数により、光学特
性を自由に設計することができ、所望の近赤外線遮蔽性
を得ることができる。しかしながら、周辺機器の誤動作
を防止するための高度な遮蔽性を得るためには、積層回
数を多くする必要があり、また積層回数が少ない場合
は、他に近赤外線吸収剤を含有する層を設け遮蔽性を補
う必要があり、製造コストが非常に高くなり、汎用性に
欠ける。また、ディスプレイの大型化に伴ない更なる大
面積への成膜が必要な場合は、前記 (1)及び(2) のよう
な光学薄膜系材料では高精度の面内均一性が要求される
ため、製造が困難となる。
【0004】前記(3) のプラズマディスプレイ用近赤外
線遮蔽材料については、銅イオンの近赤外線の吸収能が
低いため、高度な遮蔽性を得るためには、シートの厚み
を薄くすることができず、シートの成形も一枚一枚プレ
ポリマーを型に入れて重合させるため、製造コストが高
くなる。また、可視光領域の赤色の発光部分も大きく吸
収するため、シートそのものの透過色が青色になりカラ
ーバランスが損なわれるため、ディスプレイ用のフィル
ターとして好ましくない。
【0005】前記(4) のプラズマディスプレイ用近赤外
線遮蔽材料については、熱可塑性樹脂中に分散する近赤
外線吸収剤の選択により、光学特性の制御が比較的容易
に行え、加熱溶融した樹脂をスリットダイから押出し成
形することにより、大量に安価に製造することが可能で
ある。しかしながら、可視光透過性と近赤外線吸収性の
両方に優れた近赤外線吸収剤は概して耐熱性が劣るた
め、樹脂とともに加熱溶融される工程で変質してしま
い、安定した製造が困難であり、また耐熱性に優れた色
素を用いた場合は、可視光領域の透過性が低くなり、デ
ィスプレイの輝度低下が大きくなる。
【0006】前記(5) のプラズマディスプレイ用近赤外
線遮蔽材料については、前記(4) のプラズマディスプレ
イ用近赤外線遮蔽材料における熱による変質は回避で
き、製造コストも最も安価で生産性に優れている。しか
しながら近赤外線吸収剤として、ジイモニウム系化合
物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、有
機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチ
ン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合
物、トリフェニルメタン系化合物、メルカプトナフトー
ル系化合物等、様々な近赤外線吸収剤の組み合わせの提
案が行われているが、高度な遮蔽性を得るために、透過
色のカラーバランスが著しく損なわれたり、可視光の透
過性が十分でない。また、当該材料を高温高湿度下又は
屋外で長時間使用すると、分解や変質により近赤外線の
遮蔽性が低下したり、透過色のカラーバランスが著しく
損なわれたりして、耐湿性、耐熱性、耐光性等の耐久性
の面で実用性に欠ける。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その
為に具体的に設定された課題は、プラズマディスプレイ
用光学フィルター等に用いて好適な、高度な近赤外線遮
蔽性と可視光透過性を兼備し、透過色のカラーバランス
に優れるとともに、実用的な耐久性を有し、且つ生産性
が良好であり、更には可視光領域の不要光を選択的に遮
蔽して画質を向上させ得る近赤外線遮蔽フィルムを提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を効果的に解決
できるように具体的に構成した技術的手段としての、本
発明における請求項1に係る近赤外線遮蔽フィルムは、
透明樹脂フィルム層(1)と、近赤外線吸収剤としてジ
イモニウム系化合物を必須成分として含有する透明近赤
外線遮蔽層(2)と、透明樹脂フィルム層(3)と、前
記透明近赤外線遮蔽層(2)の色調を補整する色材を含
有する透明色調補整層(4)とを積層した多層構造を有
することを特徴とするものである。
【0009】ここに、請求項2に係る近赤外線遮蔽フィ
ルムは、前記ジイモニウム系化合物が次の一般式で表さ
れることを特徴とする。
【化2】 (式中、Rは互いに同一若しくは相異なる水素、アルキ
ル基、アリール基、ヒドロキシ基、フェニル基、ハロゲ
ン化アルキル基より選ばれる基であり、Xは過塩素酸イ
オン、フッ化硼素酸イオン、ヘキサフルオロ砒酸イオ
ン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロ
酢酸イオン、ピクリン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イ
オン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオンから選
ばれる陰イオン) また、請求項3に係る近赤外線遮蔽フィルムは、波長 8
50〜 1000 nmの近赤外線の透過率が 10 %以下であ
り、可視光線の平均透過率が 65 %以上であり、L*
* * 表色系における色調が、−3≦a* ≦3、且つ−
3≦b* ≦3であることを特徴とする。また、請求項4
に係る近赤外線遮蔽フィルムは、前記透明樹脂フィルム
層(1)と、前記透明近赤外線遮蔽層(2)と、前記透
明樹脂フィルム層(3)と、前記透明色調補整層(4)
とは、この順に積層されてなることを特徴とする。
【0010】更に、請求項5に係る近赤外線遮蔽フィル
ムは、前記透明近赤外線遮蔽層(2)及び/または前記
透明色調補整層(4)を形成する樹脂が、ガラス転移点
が 70 ℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
更に、請求項6に係る近赤外線遮蔽フィルムは、前記熱
可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂の
いずれかであることを特徴とする。更に、請求項7に係
る近赤外線遮蔽フィルムは、前記ジイモニウム系化合物
の融点が、190 ℃以上であることを特徴とする。更に、
請求項8に係る近赤外線遮蔽フィルムは、前記色材が、
波長 560〜590nmの可視光線を選択的に吸収する色材
であることを特徴とする。更に、請求項9に係る近赤外
線遮蔽フィルムは、前記の近赤外線遮蔽フィルムの両面
又は片面に、紫外線吸収剤を含有する透明粘着層(5)
を積層し、その上に離型フィルム層(6)を積層してな
ることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】この実施の形態に係る近赤外線遮
蔽フィルムは、図1に示すように、透明樹脂フィルム層
1と、近赤外線吸収剤として前記一般式で表されるジイ
モニウム系化合物を必須成分として含有する樹脂組成物
を前記透明樹脂フィルム層1上に塗工して形成・積層さ
れた透明近赤外線遮蔽層2と、この透明近赤外線遮蔽層
2上に形成・積層された透明樹脂フィルム層3と、前記
透明近赤外線遮蔽層2の色調を補整する色材を含有する
樹脂組成物を塗工して形成・積層された透明色調補整層
4と、紫外線吸収剤を含有し、前記透明樹脂フィルム層
1の上層(図1では下層)に形成・積層された透明粘着
層5と、この透明粘着層5の上層(図1では下層)に形
成・積層された離型フィルム層6からなる多層構造を有
する。
【0012】このような構成にしたことにより、近赤外
線遮蔽フィルムは、プラズマディスプレイ用近赤外線遮
蔽フィルターとして実用的で高度な近赤外線遮蔽性と可
視光透過性、及び優れたカラーバランスを有するフィル
ムが得られる。ここに、透明粘着層5と離型フィルム層
6は、必ずしも透明樹脂フィルム層1側に設けられる必
要はなく、透明色調補整層4上に、透明粘着層5と離型
フィルム層6をこの順に積層してもよい。
【0013】ジイモニウム系化合物は、次の一般式で表
される化合物で、
【化3】 Rは互いに同一若しくは相異なる水素、アルキル基(メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アリー
ル基、ヒドロキシ基、フェニル基、ハロゲン化アルキル
基等であり、Xは過塩素酸イオン、フッ化硼素酸イオ
ン、ヘキサフルオロ砒酸イオン、ヘキサフルオロアンチ
モン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ピクリン酸イ
オン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硫酸
イオン、塩化物イオン等であり、具体的にはN,N,
N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニ
ル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキサ
フルオロアンチモン酸塩等が例示できる。これらは適宜
合成して使用することもできるが、日本化薬(株)製 I
RG−022、 IRG−040 、日本カーリット(株)製 CIR−1
080、 CIR−1081、 CIR−1083等が市販されており、そ
れらを使用することも可能である。
【0014】これらのジイモニウム系化合物は、近赤外
領域にモル吸光係数εが約 10 万程度の大きな吸収を有
し、波長 400〜500 nmの可視光領域に若干吸収があり
薄い黄褐色〜緑色の色調を呈するものの、可視光透過性
が他の近赤外線吸収剤よりも優れているため、前記近赤
外線遮蔽フィルムに用いて好適なものである。ジイモニ
ウム系化合物の配合量は、該近赤外線吸収剤を含有する
透明近赤外線遮蔽層2の厚みに依存するが、十分な周辺
機器の誤動作防止機能を発現するためには波長 850 〜
1000 nmの近赤外線透過率が 10 %以下になるように
する必要がある。そのためには、透明近赤外線遮蔽層2
の厚みを 5〜 50 μm程度として設計した場合には、樹
脂固形分に対する近赤外線吸収剤の配合量を 0.3〜5.0
重量%程度とすれば良い。透明近赤外線遮蔽層2を形成
する樹脂に対する近赤外線吸収剤の過剰の配合は透明近
赤外線遮蔽層2中での前記近赤外線吸収剤の偏析や可視
光透過性の低下を招くので好ましくない。
【0015】また、波長 850〜900 nmの近赤外線を前
記ジイモニウム系化合物と他の近赤外線吸収剤とを配合
して遮蔽してもよく、この場合は、波長 850nm付近に
吸収極大を有するフタロシアニン系化合物や、ジチオー
ルニッケル錯体、例えばビス(ジチオベンジル)ニッケ
ル錯体等の有機金属錯体等を用いてもよい。しかし、前
者は可視光領域の透過性が低く、また後者はジイモニウ
ム系化合物を還元し変質させる触媒作用を有するため、
これらの近赤外線吸収剤は透明色調補整層4に配合する
方が良く、当該透明近赤外線遮蔽層2中ではジイモニウ
ム系化合物を単独で配合した方が良い。
【0016】また、実用的な耐久性を付与するにはジイ
モニウム系化合物は融点が 190℃以上のものを使用する
ことが望ましい。融点が 190℃以下のものは高温高湿度
下において変質しやすく、 190℃以上のものは、後述の
好適な樹脂種の選択と併せて、実用上良好な耐久性を得
ることができる。
【0017】透明近赤外線遮蔽層2及び/または透明色
調補整層4を形成する樹脂は、実用的な耐久性を付与す
るために、ガラス転移点が 70 ℃以上の熱可塑性樹脂で
あって、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂のいずれ
かであることが望ましく、好ましくはトルエン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等の汎用溶剤に
可溶性の樹脂が良い。この樹脂のガラス転移点が 70 ℃
未満であると、長時間プラズマディスプレイ表面の高温
に曝された場合に、樹脂が軟化すると同時に透明近赤外
線遮蔽層2中のジイモニウム系化合物が変質を受けやす
く、カラーバランスが損なわれたり、近赤外線の遮蔽性
が低下する等、長期の安定性に問題がある。これに対し
て、ガラス転移点が 70 ℃以上であれば熱による変質を
抑制することが可能となる。一方、エポキシ系、ウレタ
ン系等の熱硬化型の樹脂は、成分中に含まれる活性な反
応基がジイモニウム系化合物と反応し、塗膜の光学的特
性が著しく損なわれるため、使用することができない。
以上の要件を満たす樹脂としては、ポリエステル系樹
脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。
【0018】透明樹脂フィルム層1と透明樹脂フィルム
層3を構成する透明樹脂フィルムは、前記の各層を積層
したときに光透過性に支障がなければ特に限定されるも
のではないが、ポリエステル系、アクリル系、ポリカー
ボネート系、セルロース系、ウレタン系等が挙げられ、
透明近赤外線遮蔽層2や色調補整層4との屈折率差の点
でポリエステル系、アクリル系が好ましい。また、透明
樹脂フィルム層1と透明樹脂フィルム層3を構成する透
明樹脂フィルムの厚みは、10〜125μmが作業性、
ヘイズ値の面から好ましい。
【0019】透明色調補整層4は、前記ジイモニウム系
化合物を含有する前記透明近赤外線遮蔽層2の黄褐色〜
緑色の色調を中性化してカラーバランスを整えるため
に、それらの補色となるような色材を含有しているのが
好ましい。この色材としては、無機系顔料、有機系顔
料、有機系染料、色素等一般的なものが挙げられる。無
機顔料としては、コバルト化合物、鉄化合物、クロム化
合物等が挙げられ、有機顔料としては、アゾ系、インド
リノン系、キナクリドン系、バット系、フタロシアニン
系、ナフタロシアニン系等が挙げられ、前記有機系染料
及び色素には、アゾ系、アジン系、アントラキノン系、
インジゴイド系、オキサジン系、キノフタロン系、スク
ワリウム系、スチルベン系、トリフェニルメタン系、ナ
フトキノン系、ピラロゾン系、ポリメチン系等が挙げら
れるが、これらの内で、発色性と耐久性の兼合いから有
機系顔料が好適に用いられる。
【0020】また、前記の色材として、波長 560〜590
nmの可視光線領域に選択的に吸収を有する色材を用い
ることにより、プラズマディスプレイからのネオンガス
の発光による不要光を遮蔽して色純度を改善して画質を
良くする機能を付加することが好ましい。このような色
材には、例えばジメチルキナクリドンのような有機系顔
料が挙げられる。そして、色材と共に波長 850〜900 n
mの領域に吸収極大を有するジチオールニッケル錯体等
の有機金属錯体を配合することにより、近赤外線遮蔽性
を補完することが好ましい。そして、これら数種の色材
の配合量は、当該近赤外線遮蔽フィルムのL* **
表色系における色調が、−3≦a* ≦3、且つ−3≦b
* ≦3となるように、前記透明色調補整層(4)の膜厚
と、樹脂固形分量と、色材量から配合量を決定すれば良
い。
【0021】また、近赤外線遮蔽フィルムを、プラズマ
ディスプレイ用光学フィルタとして用いる場合、可視光
の平均透過率は、画面の輝度とコントラストの兼ね合い
から50 〜 60 %とすることが好ましいが、前記近赤外
線遮蔽フィルムは実際には他の電磁波シールドフィル
ム、反射帯電防止フィルム等と積層して使用されるた
め、積層化による透過損失を考慮すると、近赤外線遮蔽
フィルムの可視光平均透過率は、 65 %以上であること
が好ましい。また、当該透明近赤外線遮蔽層、透明色調
調整層、透明粘着層には必要に応じ、塗膜を形成する樹
脂の耐湿性及び耐熱性を改善するため、一般的に用いら
れる酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤には、芳
香族アミン系、ヒンダードフェノール系等があり、多種
多様なものが市販されているが、前者は着色する傾向が
あり、ヒンダードフェノール系のものが好ましい。
【0022】近赤外線遮蔽フィルムのいずれかの片面ま
たは両面には、紫外線光によるジイモニウム系化合物の
変質を防ぎ、耐光性を改善するため、粘着剤等に紫外線
吸収剤を配合した紫外線遮蔽層としての透明粘着層5を
設けることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾ
フェノン系、ベンゾトリアゾール系等が挙げられる。ま
た、透明粘着層5を介して、透明基材、例えばフィルタ
ー基材等に、この近赤外線遮蔽フィルムを容易に貼り付
けることができる。更に、透明粘着層5を積層する場合
には、その上層(粘着面)にポリエチレン系等の離型フ
ィルム層6を貼付しておくことが、作業性の点で好まし
い。
【0023】この実施の形態に係る近赤外線遮蔽フィル
ムは、例えば、次のようにして製造することができる。
先ず、透明近赤外線遮蔽層2を形成する樹脂を、所定量
のジイモニウム系化合物等と共に、溶剤に溶解或いは分
散処理して樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物をバー
コーター、ロールコーター、スリットダイコーター等の
通常の塗工装置を用いて、透明樹脂フィルム層1を構成
する透明樹脂フィルム上に塗布し、溶剤を乾燥蒸発させ
て、近赤外線遮蔽層2が積層された透明樹脂フィルムA
を形成する。一方、透明色調補整層4を形成する樹脂
を、色調調整用の前記色材等と共に、溶剤に溶解或いは
分散処理して樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物をバ
ーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター等
の通常の塗工装置を用いて、透明樹脂フィルム層3を構
成する透明樹脂フィルム上に塗布し、溶剤を乾燥蒸発さ
せて、色調補整層4が積層された透明樹脂フィルムBを
形成する。なお、色材の平均粒子径は 0.01 〜 10 μm
の範囲内であることが、透明性、発色性及び樹脂組成物
の経時安定性の面から好ましい。
【0024】次いで、透明樹脂フィルムAと透明樹脂フ
ィルムBとを積層する。この際、両透明樹脂フィルムの
貼り合せは、近赤外線遮蔽層2と、透明樹脂フィルムB
の色調補整層4が積層されていない面とを対面させ、近
赤外線遮蔽層2を形成する樹脂の軟化点以上の温度で加
熱ラミネートすることが好ましい。この場合、色調補整
層4が同様に軟化してヒートロールに融着する不具合が
生じる場合には、透明樹脂フィルムAと透明樹脂フィル
ム層3を構成する透明樹脂フィルムとを予め加熱ラミネ
ートしておき、その後、透明樹脂フィルム表面に色調調
整層4を積層しても良い。また、透明基材、例えばプラ
ズマディスプレイ前面板の表面に、透明樹脂フィルムA
と透明樹脂フィルムBとを順次ラミネートして、前述の
積層形態にしても差し支えない。
【0025】なお、透明樹脂フィルムAの近赤外線遮蔽
層2と、透明樹脂フィルムBの色調補整層4とを対面さ
せて積層した場合、または、近赤外線遮蔽層2が露出す
るように透明樹脂フィルムAと透明樹脂フィルムBとを
積層し、近赤外線遮蔽層2上に透明粘着層5を設けた場
合は、いずれの場合も高温高湿度下でジイモニウム系化
合物の変質が促進される傾向がある。このようにして製
造された近赤外線遮蔽フィルムは、プラズマディスプレ
イ用光学フィルタの他に、例えば、自動車用熱線遮蔽ガ
ラス、複層ガラス等に好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例及び比較例を具体的に説明す
る。なお、各実施例及び比較例で得た近赤外線遮蔽フィ
ルムが積層された試料の光学特性の測定方法、及び耐久
性の評価方法は次の通りである。 (全光線透過率、及びヘイズ値の測定)東京電色工業
(株)製ヘイズメータ MODEL TC-H3DPK を用い、各試料
から切り出した 60 × 60 mm角の試験片の全光線透過
率T及びヘイズ値Hを測定した。各数値は室内の空気の
透過率、ヘイズ値を比較対照した。
【0027】(色調の測定)東京電色工業(株)製カラ
ーアナライザー TOPSCAN TC -1800- MK IIを用い、各試
料から切り出した 60 × 60 mm角の試験片のL* *
* 表色系のL* 、a* 、b* 値を測定した。なお、標
準光としてD65、入射角±2°にて測定した。
【0028】(分光透過率の測定)日本分光(株)製分
光光度計 V-570 を用い、各試料から切り出した 60 ×
60mm角の試験片の 850nm、 900nm、 1000 nmに
おける透過率T850 、T900 、T 1000 を測定した。各
数値は室内の空気の透過率を比較対照とした。
【0029】(耐湿性の評価)東京理化器械(株)製恒
温恒湿試験器 KCH-1000 を用い、温度 60 ℃、湿度 90
%RHに設定し、 1000 時間試験後の各試料のT、H、
* 、a* 、b* 、T850 、T900 、T1000の各測定値
の変化量が2ポイント未満のものを○とし、2ポイント
以上のものを×とした。
【0030】(耐熱性の評価)いすゞ製作所(株)製定
温恒温器を用い、温度 80 ℃に設定し、 1000 時間試験
後の各試料のT、H、L* 、a* 、b* 、T850 、T90
0 、T 1000 の各測定値の変化量が2ポイント未満のも
のを○とし、2ポイント以上のものを×とした。
【0031】(耐光性の評価)ヘレウス(株)製キセノ
ンフェードメータ SUNTEST CPS+ を用いて、照度 500W
/m2 、温度 60 ℃に設定し、 400時間試験後の各試料
のT、H、L* 、a*、b* 、T850 、T900 、T1000
の各測定値の変化量が2ポイント未満のものを○とし、
2ポイント以上のものを×とした。なお、紫外線吸収層
を片面にのみ設ける場合には、紫外線吸収層側から紫外
線を照射するように試験した。
【0032】〔実施例1〕市販の飽和共重合ポリエステ
ル樹脂(ガラス転移温度 70 ℃): 15 重量部と、近赤
外線吸収剤としてジイモニウム系化合物(N,N,
N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニ
ル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキサ
フルオロアンチモン酸塩、融点 200℃):0.2 重量部と
を、メチルエチルケトンとトルエンの1:1混合溶剤:
84.8 重量部に溶解混合した樹脂組成物を、市販のポリ
エチレンテレフタレートフィルム(48μm厚)上に乾燥
塗膜の厚みが 20 μmとなるように塗工して、近赤外線
吸収剤としてジイモニウム系化合物を含有する近赤外線
遮蔽層が積層された透明樹脂フィルム A1 を得た。
【0033】また、前記飽和共重合ポリエステル樹脂
(ガラス転移温度 70 ℃): 15 重量部、近赤外線吸収
剤としてビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体: 0.15
重量部、予め分散処理した紫色有機系顔料(大日本イン
キ化学工業(株)製 FastogenSuper Violet RN ): 0.
05 重量部及び青色有機系顔料(東洋インキ製造(株)
製 Lionol Blue ES ): 0.025重量部を、メチルエチル
ケトンとトルエンの1:1混合溶剤: 84.775 重量部に
溶解混合した樹脂組成物を、前記ポリエチレンテレフタ
レートフィルム( 48 μm厚)上に、乾燥塗膜の厚みが
10 μmとなるように塗工して、色調補整層が積層され
た透明樹脂フィルム B1 を得た。
【0034】次いでこの透明樹脂フィルム B1 の前記色
調補整層上に、紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・
ケミカルズ(株)製 TINUVIN 384): 2.7重量部、酸化
防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 I
RGANOX - 1010 ): 0.9重量部、アクリル系粘着剤(東
亜合成(株)製アロンS - 1601): 96.4 重量部を混合
して得た混合物を、乾燥塗膜の厚みが 15 μmとなるよ
う塗工して紫外線吸収剤を含有する透明粘着層を積層し
た。
【0035】この粘着加工を施した色調調整フィルム B
1 の粘着面を、ロールラミネータにより厚さ 3mmの強
化ガラス基材に貼り付け、更にジイモニウム系化合物塗
工フィルム A1 を、ジイモニウム系化合物塗工フィルム
の塗工面と色調調整フィルムの透明樹脂フィルム面とが
対面するように、強化ガラス基材に温度 140℃で加熱ラ
ミネートして、実施例1としての近赤外線遮蔽フィルム
が強化ガラス基材上に積層された試料1を得た。この試
料1の初期光学特性と、各耐久性試験後の光学特性とを
それぞれ測定し、その結果を表1にまとめた。
【0036】〔実施例2〕市販のアクリル樹脂(ガラス
転移温度 105℃): 15 重量部と、近赤外線吸収剤とし
てジイモニウム系化合物(日本化薬(株)製 IRG-040、
融点 246℃): 0.3重量部とを、メチルエチルケトンと
トルエンの1:1混合溶剤: 84.7 重量部に溶解混合し
た樹脂組成物を、市販のポリメタクリル樹脂フィルム
( 50 μm厚)上に、乾燥塗膜の厚みが 20 μmとなる
ように塗工して、近赤外線吸収剤ジイモニウム系化合物
を含有する近赤外線遮蔽層が積層された透明樹脂フィル
ム A2を得た。
【0037】次に、この透明樹脂フィルム A2 と、別の
前記ポリメタクリル樹脂フィルム(50 μm厚)とを、
前記近赤外線遮蔽層を介して温度 180℃で加熱ラミネー
トし、ラミネートフィルムを得た。次いで、前記アクリ
ル樹脂: 15 重量部と、予め分散処理した紫色有機系顔
料(大日本インキ化学工業(株)製 Fastogen Super Vi
olet RN ):0.05重量部及び青色有機系顔料(東洋イン
キ製造(株)製 Lionol Blue ES ): 0.025重量部を、
メチルエチルケトンとトルエンの1:1混合溶剤 84.92
5重量部に溶解混合した樹脂組成物を、前記ラミネート
フィルム上に、乾燥塗膜の厚みが 10 μmとなるように
塗工して、色調調整層が積層されたラミネートフィルム
B2 を得た。
【0038】更にこの色調調整層上に、予め離型フィル
ム(ポリエチレンフィルム)の表面に紫外線吸収剤(チ
バ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 TINUVIN 38
4):2.7重量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・
ケミカルズ(株)製 IRGANOX- 1010 ): 0.9重量部、
アクリル系粘着剤(東亜合成(株)製アロン S - 1601
): 96.4 重量部を混合して得た混合物を、乾燥塗膜
の厚みが 15 μmとなるよう塗工した離型フィルムの紫
外線吸収剤を含有する粘着面を、ロールラミネータによ
り貼り付け合わせて、実施例2としての近赤外線遮蔽フ
ィルムとした。この実施例2の近赤外線遮蔽フィルム
を、ロールラミネータ装置を用いて前記離型フィルムを
剥離しながら、厚さ 3mmの強化ガラス基材に貼り付け
て試料2とした。この試料2の初期光学特性と、各耐久
性試験後の光学特性とをそれぞれ測定し、その結果を表
1にまとめた。
【0039】〔実施例3〕色調調整層4に用いる有機系
顔料(クラリアント・ジャパン(株)製 Hostaparm Red
-Violet ER - 02 ): 0.075重量部を用いた以外は実施
例1に準じ、実施例3としての近赤外線遮蔽フィルムが
強化ガラス基材上に積層された試料3を得た。この試料
3の初期透過スペクトルを図−2に示した。また、この
試料3の初期光学特性と、各耐久性試験後の光学特性と
をそれぞれ測定し、その結果を表1にまとめた。
【0040】〔比較例1〕市販の飽和共重合ポリエステ
ル樹脂(ガラス転移温度 65 ℃): 15 重量部、近赤外
線吸収剤のジイモニウム系化合物(N,N,N’,N’
−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−ベ
ンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキサフルオロアン
チモン酸塩、融点 200℃): 0.2重量部、近赤外線吸収
剤のビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体: 0.20 重量
部、近赤外線吸収剤のフタロシアニン系化合物: 0.10
重量部を、メチルエチルケトンとトルエンの1:1混合
溶剤84.8 重量部に溶解混合した樹脂組成物を、市販の
ポリエチレンテレフタレートフィルム( 48 μm厚)上
に、乾燥塗膜の厚みが 20 μmとなるように塗工した。
【0041】次いでこのフィルムの塗工面と反対側の面
に、紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
(株)製 TINUVIN 384): 2.7重量部、酸化防止剤( I
RGANOX - 1010 ): 0.9重量部、アクリル系粘着剤(東
亜合成(株)製アロン S - 1601 ): 96.4 重量部を混
合して得た混合物を、乾燥塗膜の厚みが 15 μmとなる
よう塗工して粘着加工を施した。この粘着加工を施した
フィルムの粘着面を、ロールラミネータにより厚さ 3m
mの強化ガラス基材に貼り付け、試料4とした。この試
料4の初期光学特性と各耐久性試験後の光学特性とをそ
れぞれ測定し、その結果を表1にまとめた。
【0042】〔比較例2〕市販のアクリル樹脂: 20 重
量部、近赤外線吸収剤のジイモニウム系化合物(N,
N,N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフェ
ニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキ
サフルオロアンチモン酸塩、融点 200℃):0.07 重量
部、近赤外線吸収剤のビス(ジチオベンジル)ニッケル
錯体: 0.07重量部をメチルエチルケトン: 79.84重量
部に溶解した樹脂組成物を、キャスト法によりステンレ
ス板上で溶剤を揮発させ、厚さ 50 μmのフィルムとし
た。
【0043】次いでこのフィルムに、紫外線吸収剤(チ
バ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 TINUVIN 38
4): 2.7重量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ(株)製 IRGANOX - 1010 ): 0.9重量
部、アクリル系粘着剤(東亜合成(株)製アロン S - 1
601 ): 96.4 重量部を混合して得た混合物を、乾燥塗
膜の厚みが 15 μmとなるよう塗工して粘着加工を施し
た。この粘着加工を施したフィルムの粘着面を、ロール
ラミネータにより厚さ 3mmの強化ガラス基材に貼り付
け、試料5とした。この試料5の初期光学特性と各耐久
性試験後の光学特性とをそれぞれ測定し、その結果を表
1にまとめた。
【0044】〔比較例3〕市販のアクリル樹脂: 100重
量部に対して、近赤外線吸収剤のジイモニウム系化合物
(N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミ
ノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)
・ヘキサフルオロアンチモン酸塩、融点 200℃): 0.0
05重量部、近赤外線吸収剤のビス(ジチオベンジル)ニ
ッケル錯体: 0.005重量部を添加して、射出成形機のシ
リンダー内温度を 220℃として均一に混練し、加熱押し
出し成形により厚さ 4mmのシート状に成形して、これ
を試料6とした。この試料6の初期光学特性と各耐久性
試験後の光学特性とをそれぞれ測定し、その結果を表1
にまとめた。
【0045】
【表1】
【0046】「評価結果」表1の結果から、実施例1〜
実施例3に係る試料1〜試料3は、いずれも、初期特性
において高度な近赤外線遮蔽性と可視光透過性、良好な
カラーバランスを有することが分かる。また、実施例1
〜実施例3に係る試料1〜試料3は、いずれも、各耐久
試験後の各光学特性の変化量がいずれも2ポイント未満
であり、実用的な耐久性を有していることが判る。更
に、試料3は、 580nmを中心として選択吸収性を有す
ることが判る。
【0047】これに対して、比較例1に係る色調補正層
が設けられていない試料4は、初期特性において高度な
近赤外線遮蔽性と良好なカラーバランスを有するもの
の、可視光透過性が低くいことが判り、また、各試験後
の光学特性変化から、実用上の耐久性に問題を有してい
る。また、比較例2に係る色調補整層が設けられていな
い試料5は、初期特性において高度な近赤外線遮蔽性を
有するものの、可視光透過性が低くく、カラーバランス
が悪いことが判り、また、耐湿性・耐光性試験後の光学
特性の変化から、実用上の耐久性に問題を有している。
更に、比較例3に係る色調補整層と紫外線吸収剤含有層
が設けられていない試料5は、初期特性において可視光
透過性は高いものの、近赤外線遮蔽性とカラーバランス
が悪いことが判り、また、耐湿性・耐光性試験後の光学
特性の変化から、実用上の耐久性に問題を有している。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明による請求項1に
係る近赤外線遮蔽フィルムでは、透明樹脂フィルム層
(1)と、近赤外線吸収剤としてジイモニウム系化合物
を含有する透明近赤外線遮蔽層(2)と、透明樹脂フィ
ルム層(3)と、前記透明近赤外線遮蔽層(2)の色調
を補整する色材を含有する透明色調補整層(4)とを積
層した多層構造を有することにより、高度な近赤外線遮
蔽性と可視光透過性を兼備し、透過色のカラーバランス
に優れるとともに、実用的な耐久性を有し、且つ生産性
が良好であり、更には可視光領域の不要光を選択的に遮
蔽して画質を向上させ得るプラズマディスプレイ用光学
フィルター等に用いて好適な近赤外線遮蔽フィルムがで
きる。
【0049】請求項2に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記ジイモニウム系化合物は、一般式[化1]で表
される化合物であるから、近赤外線領域にモル吸光係数
εが約10 万程度の大きな吸収能を有し、可視光透過率
が他の近赤外線吸収剤よりも優れており、近赤外線遮蔽
フィルムとして好適に使用することができる。
【0050】請求項3に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、波長 850〜1000nmの近赤外線の透過率が 10 %以
下、可視光線の平均透過率が 65 %以上、L* * *
表色系における色調が、−3≦a* ≦3、且つ−3≦b
* ≦3であることにより、周辺機器の誤動作防止機能を
充分に発揮することができ、カラーバランスに優れた近
赤外線遮蔽フィルムとして好適に使用することができ
る。
【0051】請求項4に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記透明樹脂フィルム層(1)と、前記透明近赤外
線遮蔽層(2)と、前記透明樹脂フィルム層(3)と、
前記透明色調補整層(4)とが、この順に積層されてな
ることにより、実用的な近赤外線遮蔽性と可視光透過
性、および優れたカラーバランスを有し、耐久性に優れ
た近赤外線遮蔽フィルムを構成することができる。
【0052】請求項5に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記透明近赤外線遮蔽層(2)及び/または前記透
明色調補整層(4)を形成する樹脂が、ガラス転移点が
70 ℃以上の熱可塑性樹脂であることにより、ジイモニ
ウム系化合物の変質を抑制することができ、実用的な耐
久性を向上させることができる。
【0053】請求項6に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂、アクリル
系樹脂のいずれかであることにより、透明近赤外線遮蔽
層(2)や透明色調補整層(4)の透明性、溶剤への溶
解性、塗工性の点で好適な近赤外線遮蔽フィルムを得る
ことができる。
【0054】請求項7に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記ジイモニウム系化合物の融点が 190℃以上であ
ることにより、高温高湿度下における変質を抑制でき、
好適な樹脂種の選択と併せて実用上良好な耐久性を得る
ことができる。
【0055】請求項8に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、前記色材が波長 560〜590 nmの可視光線を選択的
に吸収する色材であることにより、プラズマディスプレ
イからのネオンガス発光による不要光を遮断して色純度
を改善し、画質を向上することができる。
【0056】請求項9に係る近赤外線遮蔽フィルムで
は、請求項1に記載の近赤外線遮蔽フィルムの両面又は
片面に、紫外線吸収剤を含有する透明粘着層(5)を積
層し、その上に離型フィルム層(6)を積層したことに
より、基材に近赤外線遮蔽フィルムを容易に貼り付ける
ことができるとともに紫外線によるジイモニウム系化合
物の変質が防止でき、耐光性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による近赤外線遮蔽フィルムの構成を示
す断面説明図である。
【図2】本発明における実施例3で得られた試料3の初
期透過スペクトルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA14 CA23 CA27 CA29 5G435 AA00 AA04 AA12 AA14 AA17 BB06 CC12 GG11 GG16 KK07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明樹脂フィルム層(1)と、近赤外線吸
    収剤としてジイモニウム系化合物を含有する透明近赤外
    線遮蔽層(2)と、透明樹脂フィルム層(3)と、前記
    透明近赤外線遮蔽層(2)の色調を補整する色材を含有
    する透明色調補整層(4)とを積層した多層構造を有す
    ることを特徴とする近赤外線遮蔽フィルム。
  2. 【請求項2】前記ジイモニウム系化合物は、次の一般式
    で表されることを特徴とする請求項1記載の近赤外線遮
    蔽フィルム。 【化1】 (式中、Rは互いに同一若しくは相異なる水素、アルキ
    ル基、アリール基、ヒドロキシ基、フェニル基、ハロゲ
    ン化アルキル基より選ばれる基であり、Xは過塩素酸イ
    オン、フッ化硼素酸イオン、ヘキサフルオロ砒酸イオ
    ン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロ
    酢酸イオン、ピクリン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イ
    オン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオンから選
    ばれる陰イオン)
  3. 【請求項3】波長 850〜1000nmの近赤外線の透過率が
    10 %以下、可視光線の平均透過率が 65 %以上、L*
    * * 表色系における色調が、−3≦a* ≦3、且つ
    −3≦b* ≦3であることを特徴とする請求項1記載の
    近赤外線遮蔽フィルム。
  4. 【請求項4】前記透明樹脂フィルム層(1)と、前記透
    明近赤外線遮蔽層(2)と、前記透明樹脂フィルム層
    (3)と、前記透明色調補整層(4)とが、この順に積
    層されてなることを特徴とする請求項1記載の近赤外線
    遮蔽フィルム。
  5. 【請求項5】前記透明近赤外線遮蔽層(2)及び/また
    は前記透明色調補整層(4)を形成する樹脂が、ガラス
    転移点が 70 ℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴と
    する請求項1記載の近赤外線遮蔽フィルム。
  6. 【請求項6】前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂、
    アクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする請求
    項5記載の近赤外線遮蔽フィルム。
  7. 【請求項7】前記ジイモニウム系化合物の融点が 190℃
    以上であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線遮
    蔽フィルム。
  8. 【請求項8】前記色材が波長 560〜590 nmの可視光線
    を選択的に吸収する色材であることを特徴とする請求項
    1記載の近赤外線遮蔽フィルム。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の近赤外線遮蔽フィルムの
    両面又は片面に、紫外線吸収剤を含有する透明粘着層
    (5)を積層し、その上に離型フィルム層(6)を積層
    したことを特徴とする近赤外線遮蔽フィルム。
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