JP2003081798A - 香料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ｌ−メントール（Ａ）と、プロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソル
ビットから選ばれる１種又は２種以上（Ｂ）を含有し、
（Ａ）成分と（Ｂ）成分の質量比が１：０．１以上であ
ることを特徴とする口腔用組成物配合用香料組成物。 【効果】 本発明の香料組成物では、余分な香りや呈味
を与えることなく、香料組成物中の低温下でのｌ−メン
トールの析出を抑えることができ、その結果、口腔用組
成物への配合を容易にすると共に、配合対象口腔用組成
物の使用感の維持が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ｌ−メントールを
含有する口腔用組成物配合用の香料組成物に関し、更に
詳述すれば、香料組成物中のｌ−メントールが低温状態
で析出するのを抑え、口腔用組成物中に均一に配合し得
る香料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に口腔用組成物には、清涼感を付与
するためｌ−メントールが配合される場合が多い。ｌ−
メントールは常温で結晶状の固体であることから、通常
は香料組成物中で均一に溶解された形で歯磨などの対象
組成物に配合される。ところが、香料組成物中のｌ−メ
ントールは、その濃度や温度によっては結晶が析出し、
口腔用組成物への均一な配合に支障をきたす場合があっ
た。例えば、香料組成物の成分構成により一概に言うこ
とはできないが、ｌ−メントール含量が６０％以上の香
料組成物では、５℃以下に置くとｌ−メントールの結晶
が析出する可能性が高い。

【０００３】香料組成物中でｌ−メントールの結晶が析
出した場合、製造現場において香料組成物を移送する配
管が結晶で塞がれてしまい、口腔用組成物への配合に支
障をきたすおそれがある。また、結晶が析出した状態で
香料組成物を何らかの組成物に配合した場合、香料成分
が偏って配合されることにより、使用感が損なわれるお
それがある。例えば、結晶が析出した状態の香料組成物
を歯磨に配合した場合、ｌ−メントールの結晶が存在す
る部分は清涼感が著しく強くなる一方、他の部分は十分
な清涼感が得られなくなるだけでなく、この歯磨を使用
した場合、ｌ−メントールの結晶によって口の中が傷つ
けられる危険性さえもあり得る。また、ｌ−メントール
の結晶部分から歯磨剤が液分離する可能性もあり、安定
性的にも問題である。

【０００４】こうした課題に対し、従来は、香料組成物
中のｌ−メントール濃度を、ｌ−メントールが析出する
レベル以下に抑える対応がなされてきたが、この方法で
は、香料組成物の配合対象組成物においてｌ−メントー
ル濃度を上げたい場合、同時にｌ−メントール以外の香
料成分も増やさざるを得ず、余分な香りや呈味の発生や
製造原価の高騰といった弊害が生じることがあった。

【０００５】従って、香料組成物におけるｌ−メントー
ル濃度をあるレベル以下に保ち、かつ、配合対象口腔用
組成物の使用感が損なわれないような香料組成物が望ま
れていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記要望に鑑
みなされたものであり、余分な香りや呈味を発生させる
ことなく香料組成物中のｌ−メントールの析出を抑え、
配合対象口腔用組成物への配合を容易にすると共に、配
合対象口腔用組成物の使用感を維持することを可能にし
た香料組成物を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ね
た結果、香料組成物中に、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、グリセリン、ソルビットといった
非香料成分を混和することによって、香料組成物中のｌ
−メントールの析出を抑えることができることを知見
し、これにより配合対象口腔用組成物に対し、余分な香
りや呈味を与えることなく、均一に香料組成物中の成分
を配合することが可能であることを見出し、本発明をな
すに至った。

【０００８】即ち、本発明によれば、香料組成物中にお
いて、（Ａ）ｌ−メントール１部（質量部、以下同じ）
に対し、（Ｂ）プロピレングリコール、ポリエチレング
リコール、グリセリン、ソルビットから選ばれる１種又
は２種以上を０．１部以上の割合で混和することを特徴
とする、低温でのｌ−メントールの析出を防止した口腔
用組成物配合用香料組成物が提供される。

【０００９】なお、ｌ−メントール（Ａ）と、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、
ソルビットから選ばれる１種又は２種以上（Ｂ）を、１
つの組成物中に同時に存在せしめること自体は既に知ら
れた技術である（特開平１１−１６５７７８号、特開平
１１−３３５２６４号、特開２０００−２６２５７号、
特開２０００−１７８１５７号、特開２０００−２３９
１４２号、特開２００１−６４１３６号公報参照）。し
かし、これら公報において開示されている組成物は、い
ずれも他の組成物への配合が前提とされたものではな
く、従って、本発明が開示するような他の組成物への配
合における課題解決を示唆するものではない。即ち、本
発明では、香料組成物を口腔用組成物に配合する際の課
題解決、詳しくは、香料組成物中のｌ−メントールの析
出を抑え、香料成分を配合対象口腔用組成物中に均一に
配合するといった課題に対し、香料組成物中に上記
（Ｂ）成分を配合することにより解決を図ったものであ
る。このことは上記従来技術を超えた本発明者らの新知
見に係わるものである。

【００１０】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明では、香料組成物中にｌ−メントールを含有する
が、ｌ−メントールは単体として配合してもよいし、こ
れらを含む精油等、例えばペパーミントオイルとして配
合しても構わない。この場合、香料組成物中におけるｌ
−メントールの含有量は、１〜７５％（質量百分率、以
下同じ）、特に１０〜６０％とすることが、ｌ−メント
ールを均一に溶解する点で好ましい。なお、その他の香
料成分については、本発明の効果を妨げない範囲内で適
宜選択することができる。

【００１１】例えば、スペアミントオイル、アニスオイ
ル、ユーカリオイル、ウィンターグリーンオイル、カシ
アオイル、シナモンオイル、クローブオイル、タイムオ
イル、セージオイル、カルダモンオイル、ローズマリー
オイル、マジョラムオイル、レモンオイル、オレンジオ
イル、フェンネルオイル、ナツメグオイル、ラベンダー
オイル、パラクレスオイル等の天然精油及び、ｌ−カル
ボン、アネトール、１，８−シネオール、メチルサリシ
レート、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモ
ール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセ
テート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネ
ン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料
成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イ
ソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メ
チルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデ
ート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、
フラネオール、マルトール、エチルマルトール、エチル
シクロペンテノロン、ガンマ／デルタデカラクトン、ガ
ンマ／デルタウンデカラクトン、Ｎ−エチル−ｐ−メン
タン−３−カルボキサミド等の香料成分、更には、いく
つかの香料成分や天然精オイルを組み合わせてなるアッ
プル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、
ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイ
ン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨ
ーグルト等の調合フレーバーの１種又は２種以上を、本
発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。

【００１２】また、本発明では、香料組成物中におい
て、ｌ−メントール１部に対し、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビット
から選ばれる１種又は２種以上を０．１部以上、好まし
くは０．２部以上１部以下の割合で混和する。この割合
で配合することにより、口腔用組成物中のｌ−メントー
ルの析出を効果的に抑えることができる。

【００１３】また、本発明の香料組成物の配合対象口腔
用組成物としては、歯磨やマウスウォッシュなど、一般
にｌ−メントールが配合されるような口腔用組成物が挙
げられる。そのような口腔用組成物には、本発明の効果
を著しく阻害しない限り、通常使用される成分が使用可
能である。例えば、歯磨組成物では、研磨剤、粘結剤、
粘稠剤、保湿剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色剤、
防腐剤、保存安定化剤、ｐＨ調整剤、薬効成分等の通常
使用される成分を適宜配合し得る。なお、本発明の香料
組成物を口腔用組成物に配合した場合、口腔用組成物中
におけるｌ−メントールの配合量は、０．００５〜５
％、特に０．０５〜２％とすることが好ましい。例え
ば、歯磨組成物中におけるｌ−メントールの配合量は、
０．１〜２％、特に０．３〜１％とすることが好まし
い。

【００１４】

【発明の効果】本発明の香料組成物では、余分な香りや
呈味を与えることなく、香料組成物中の低温下でのｌ−
メントールの析出を抑えることができ、その結果、口腔
用組成物への配合を容易にすると共に、配合対象口腔用
組成物の使用感の維持が可能となる。

【００１５】

【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。 ［実施例、比較例］表１に示す組成の香料組成物を調製
した。

【００１６】

【表１】

【００１７】

【表２】

【００１８】次に、上記香料Ａ〜Ｄを配合した表３に示
す組成の歯磨組成物を調製し、清涼感、呈味性、ｌ−メ
ントールの析出の有無について評価した。結果を表３に
示す。

【００１９】

【表３】

【００２０】表３は、表１の各香料組成物を配合した歯
磨組成物の例である。比較品１において香料Ａを１．０
％配合したところ清涼感が不足したため、比較品２では
香料組成物中のｌ−メントールの割合を高めた香料Ｂを
配合したが、香料Ｂではｌ−メントールの析出が発生し
てしまった。

【００２１】そこで、ｌ−メントールの析出を避けるた
め、香料組成物中のｌ−メントールの割合を変えないよ
うに、香料Ａの配合量を増やしたところ、表２記載の成
分も増えたため、それら成分由来の刺激のある呈味が過
度に強まってしまった（比較品３）。

【００２２】これに対し本発明品１，２では、プロピレ
ングリコールやグリセリンを添加した香料（Ｃ，Ｄ）を
配合することにより、比較品３のような余分な呈味を発
現することなく、望ましいレベルの清涼感を得ることが
でき、香料組成物中のｌ−メントールの析出も抑えるこ
とができた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 浩史 東京都墨田区本所１丁目３番７号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 平野 正徳 東京都墨田区本所１丁目３番７号 ライオ ン株式会社内 Ｆターム(参考） 4C083 AA122 AB172 AC121 AC122 AC131 AC132 AC782 AC862 AD041 AD042 AD302 AD352 AD531 AD532 CC41 DD22 EE06 4H059 BA13 BA14 BB02 BB13 BB45 BB52 DA09 EA01 EA32

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ｌ−メントール（Ａ）と、プロピレング
   リコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソル
   ビットから選ばれる１種又は２種以上（Ｂ）を含有し、
   （Ａ）成分と（Ｂ）成分の質量比が１：０．１以上であ
   ることを特徴とする口腔用組成物配合用香料組成物。
2. 【請求項２】 口腔用組成物が歯磨組成物である請求項
   １記載の香料組成物。