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JP2003060381A - 電波吸収体 - Google Patents

電波吸収体

Info

Publication number
JP2003060381A
JP2003060381A JP2001244729A JP2001244729A JP2003060381A JP 2003060381 A JP2003060381 A JP 2003060381A JP 2001244729 A JP2001244729 A JP 2001244729A JP 2001244729 A JP2001244729 A JP 2001244729A JP 2003060381 A JP2003060381 A JP 2003060381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radio wave
wave absorber
fiber
fibers
electromagnetic wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001244729A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadataka Azuma
忠孝 東
Yukitoshi Kosaka
幸利 高坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Glass Fiber Co Ltd
Original Assignee
Unitika Glass Fiber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Glass Fiber Co Ltd filed Critical Unitika Glass Fiber Co Ltd
Priority to JP2001244729A priority Critical patent/JP2003060381A/ja
Publication of JP2003060381A publication Critical patent/JP2003060381A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 優れた電波吸収性能を有し、かつ軽量で
加工が容易であり、さらに自立性を有する電波吸収体を
提供すること。 【解決手段】 無機系繊維と、樹脂結合剤と、導電性ま
たは磁性を有する繊維もしくは粉体とを含み、空隙率が
35〜89%であることを特徴とする電波吸収体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として1GHz
以上の周波数域において、優れた吸収性能を有する電波
吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】社会の高度な技術化にともなって、電波
を発信する各種電子機器が広く使用されるようになり、
さらに高周波領域の電波も商業的、技術的に使用可能と
なり、高周波領域にますます使用電波領域が拡大してき
ている。使用される電波の領域が高周波領域に拡大して
いる理由としては、電波の直進性が高いため、さまざま
な外的な影響を受けにくく、使用に際して電波的に快適
であるためである。しかし、これらの機器から発せられ
る電波が、他の電子機器の制御や性能あるいは人々の健
康に悪影響を与えるおそれがあり、さらに高周波領域の
電波は電波が有するエネルギーが大きく、有害性がより
高いことから、電波の発生源には、例えばアンテナ等入
受信部以外の部分を電波的に遮蔽するための遮蔽体をは
じめとする様々な電波漏洩防止の工夫がなされ、また、
被受信体には妨害電波の影響を受けないようにするため
に、その妨害電波を反射あるいは吸収するための各種技
術が提供されている。
【0003】電波吸収体としては、通常、10MHz〜
1GHz近傍の周波数領域では主としてフェライト等の
磁性材料やカーボンなどで構成された電波吸収体が用い
られ、1GHz以上ではカーボン等の導電材料、カーボ
ニル鉄等の磁性材料、金属繊維、導電性繊維または導電
性塗料等が用途に応じて用いられている。
【0004】それらの中で、金属繊維を使った不織布状
の電波吸収体として、特開平2−12898、特開平9
−307268等が提案されている。これらに使用され
ている金属繊維としては、主として、高分子繊維の表面
に金属をメッキした導電性高分子繊維や、金属を繰り返
し冷間引き抜き加工して繊維状まで細かくした金属その
ものの繊維などが大多数を占めている。
【0005】例えば、前記導電性高分子繊維では、特開
平2−12898があり、これには直径20μm、長さ
5mmの金属繊維が開示されている、また、特開昭58
−188190には、加圧成形した樹脂の中に直径が1
0〜100μm、長さが1〜5mmの金属繊維を含ませ
た形態が示されている。さらに、特開平8−28868
5には、長さ1mm以上で太さが長さの1/10以下の
金属繊維が示されている。これらはいずれも金属繊維を
使用して、不織布を製造するものである。
【0006】いずれも不織布製造時に、上記繊維は比較
的直線性が良いことと絡みにくいことから、繊維が設備
のパスラインで絡んで引きちぎれたりしにくく、製造中
の電波吸収体の流れに沿って配列し易くなっているが、
これらの電波吸収体は、繊維同士がからみあいにくいの
で、繊維のからみ構造を持った良質な不織布が製造しに
くく、そのために製造工程が複雑になり、製品が高価な
ものとなる。また使用されている金属繊維は線径が均一
かつ長さも一定であることから、電波入射時の反射減衰
効果が、電波の偏波面が電波吸収体の流れに平行なとき
と垂直なときとで大きく異なるという問題点を有してい
た。
【0007】さらに、特開2000−278032で
は、上記電波入射時の反射減衰効果に関する問題点を解
決するため、該金属繊維の切創方法に工夫して、金属繊
維断面を不定形とし、この断面不定形金属繊維と、無機
系繊維と、これら繊維を結合させるための有機系繊維と
を均一に混合させた電波吸収体について開示している。
しかし、該電波吸収体は、自立性(自分で形状を保持で
きる性質)がないため、設置する際に、自立性を持たせ
るために支持体を用いる必要があった。このため、電波
吸収体設置にあたり、コストが増し、また、工程が複雑
となるため、実用的ではなく、上記してきた問題を解決
できるような電波吸収体の出現が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた電波
吸収性能を有し、かつ軽量で加工が容易であり、さらに
自立性を有する電波吸収体を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、無機系繊維と、樹
脂結合剤と、導電性または磁性を有する繊維もしくは粉
体とを含む電波吸収体を創製に成功し、該電波吸収体
が、高周波の電波に対して優れた吸収性能を有すること
を知見し、さらに当該電波吸収体が自立性を有している
ことをも知見した。
【0010】すなわち、本発明は、(1) 無機系繊維
と、樹脂結合剤と、導電性または磁性を有する繊維もし
くは粉体とを含み、空隙率が35〜89%であることを
特徴とする電波吸収体、(2) 無機系繊維が、ガラス
繊維であることを特徴とする前記(1)に記載の電波吸
収体、(3) 導電性または磁性を有する繊維もしくは
粉体が、金属または/および炭素からなることを特徴と
する前記(1)に記載の電波吸収体、(4) 吸収体の
形状が、板状であることを特徴とする前記(1)に記載
の電波吸収体、(5) 電波吸収体の板状物の厚さが、
1.5〜25mmであることを特徴とする前記(4)に
記載の電波吸収体、(6) 電波吸収体が、自立性をも
った吸収体であることを特徴とする前記(1)に記載の
電波吸収体、(7) 吸収される電波の周波数が、1G
Hz以上であることを特徴とする前記(1)に記載の電
波吸収体、(8) 表層材と、前記(1)の電波吸収体
と、反射体がこの順で積層されてなる電波吸収資材、
(9) 表層材が、電波透明体であることを特徴とする
前記(8)に記載の電波吸収資材、(10) 無機系繊
維と、樹脂結合剤と、導電性または磁性を有する繊維も
しくは粉体とを混合または合体することを特徴とする前
記(1)に記載されている電波吸収体の製造方法、に関
する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、無機系繊維と、樹脂結
合剤と、導電性または磁性を有する繊維または粉体とを
含んでいる電波吸収体であり、さらに、空隙率、つまり
電波吸収体の体積に占める空間(隙間)の割合が、35
〜89%であることを特長としている。このような要件
を満たすものであれば、どのような材料や形態をとって
いてもかまわない。このような要件を満たすことによ
り、短波長つまり高周波領域の電波に対して優れた吸収
性能を有し、かつ軽量であり、切削等の加工が容易であ
り、さらに自立性を有するので、設置の際の取り扱いが
容易である電波吸収体を得ることができる。
【0012】該空隙率について、説明する。空隙率は、
本明細書中、前記したように、電波吸収体全体積中に占
める空間(隙間)の割合と定義する。また、空隙率を求
める式を以下のように定義する。
【数1】 空隙率(%)={1−(無機系繊維の体積比+樹脂結合剤の体積比+導電性ま たは磁性を有する繊維もしくは粉体の体積比)}×100 (I) 上記式中、電波吸収体の全体積を1とする。無機系繊維
の体積比は、無機系繊維の体積を電波吸収体の全体積で
除した値であり、以下、樹脂結合剤および導電性または
磁性を有する繊維もしくは粉体についても、同様に各成
分の体積を電波吸収体の全体積で除した値として求めら
れる。各成分の体積を測定する方法としては、例えば
縦、横、高さの3辺の長さを測定することにより体積を
計算する方法や体積と密度の関係式(体積=質量/密
度)を用いて求める方法等が挙げられる。後者の場合、
密度は、25℃における密度であり、これは各繊維また
は樹脂等の成分により定まった値であるため、各成分の
質量を測定することにより、体積を求めることができ
る。また各成分の質量を測定する方法としては、例えば
製造時に使用する原料の質量から計算する方法や該電波
吸収体を焼却して、焼却前後に質量を測定することによ
り、各成分の質量を計算する方法(LOI法:Loss of
ignition)等が挙げられる。より具体的な方法は、実施
例に記載する。このようにして測定された体積、質量お
よび密度を用いて、空隙率を計算することができる。
【0013】前記のようにして求められた体積または質
量により、本発明の電波吸収体の空隙率が前記式(I)
を用いて求められる。この求められた空隙率が約35〜
89%程度であることが好ましい。空隙率が約35%以
下である場合、電波吸収体自体が重くなり作業性が悪く
なると共に、電波吸収率が低下するおそれがある。ま
た、空隙率が約89%以上である場合は、電波吸収体自
体の剛性強度が低くなり、自立性が維持できにくくなる
ので好ましくない。
【0014】本発明で用いられる無機系繊維としては、
例えばガラス繊維、チタン酸バリウム繊維、各種セラミ
ックス繊維またはロックウール等が挙げられる。ロック
ウールとは、輝緑岩や玄武岩、あるいは鉄鋼石から鉄を
取り除いたスラグを、コークスや石灰石と混合して、約
1600℃程度の高熱で溶解し、その後、回転シリンダ
ーにかけ、綿あめ状に繊維化して圧縮熱処理したもので
ある。これら無機系繊維は、単独で用いてもよく、2種
類以上を併用して用いてもよい。中でも、特に好ましい
繊維としては、ガラス繊維が挙げられる。
【0015】本発明で用いられるガラス繊維としては、
例えばEガラス、Dガラス、Tガラス、Cガラスおよび
Hガラス等のガラス繊維が挙げられる。これらガラス繊
維は、公知の製造方法に従って製造されたものでもよ
く、市販品を用いてもかまわない。中でも、特に好まし
いのは、Eガラス繊維である。
【0016】本発明で用いられるチタン酸バリウム繊
維、各種セラミックス繊維またはロックウールについて
も、公知の方法で製造されたものを用いてもよく、ま
た、市販品を用いてもかまわない。
【0017】本発明で用いられる樹脂結合剤としては、
当該分野で使用されうる公知の樹脂を使用してかまわな
い。また、使用目的によっては、難燃性樹脂が用いられ
る。難燃性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、水素
化ポリエチレン樹脂またはフッ素樹脂等が挙げられる。
その他の使用されうる樹脂としては、例えばエポキシ樹
脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂またはポリイミド樹脂等が挙げられる。またこれ
らを単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用し
てもかまわない。さらに、これら樹脂の変性物、例えば
変性フェノール樹脂等を用いることも可能である。これ
ら樹脂は、公知の製造方法に従って製造されてもよく、
市販品を用いてもかまわない。
【0018】本発明で用いられる導電性または磁性を有
する繊維もしくは粉体としては、前記導電性や磁性を有
しているものであれば、どのようなものであってもかま
わないが、例えば金属または炭素からなっている繊維も
しくは粉体等が好ましく用いられる。また、それぞれ単
独で使用してもよく、2種類以上併用して使用してもか
まわない。該金属繊維もしくは粉体としては、例えばア
ルミニウム、ステンレス、マンガン、クロム、セリウ
ム、白金、チタン、パラジウム、亜鉛、鉛、スズ、銅、
銀、金、鉄またはニッケル等が挙げられる。中でも、ア
ルミニウム、ステンレスまたは銅が好ましく用いられ
る。また、これら金属を単独で用いてもよく、2種類以
上を混合して用いてもかまわなく、合金を用いることも
可能である。
【0019】本発明に用いられる各種繊維の太さおよび
長さ等の形状は特に限定しないが、無機系繊維であれ
ば、太さが約1〜16μm程度で長さが約0.5〜50
mm程度であることが好ましい。また導電性または磁性
を有する繊維では、太さが約7〜500μm程度で長さ
が約0.1〜25mm程度であることが好ましい。ま
た、導電性または磁性を有する粉体では、直径が上記導
電性または磁性を有する繊維の長さ、太さの範疇にあれ
ば、どのような大きさであってもかまわない。
【0020】本発明で用いられる樹脂結合剤は、粉末、
分散物または繊維のいずれの場合で用いてもよいが、好
ましくは、粉末で用いることが好ましく、その粉末の粒
子径としては、JIS標準で約2〜200メッシュパス
程度の粒子径、または約10〜500μm程度の粒子径
であることが好ましい。
【0021】本発明の電波吸収体の製造方法は、上述の
無機系繊維と、導電性または磁性を有する繊維もしくは
粉体と、樹脂結合剤とを混合または合体することを特長
とする。かかる特長さえ有していれば、どのような製造
方法で製造されていてもよい。例えば特許第29711
61号公報で開示されている手段を用いて、本発明にか
かる電波吸収体を作製することができる。以下、好まし
い製造方法について説明する。
【0022】まず、概略工程を説明する。原料を水中
に分散、混合する工程、紙抄きの要領で脱水すること
によりシート状のウェブを調整する工程、このウェブ
を樹脂結合剤の融点以上分解点未満の温度に一旦加熱加
圧し、冷却することにより固化シートを得る工程、こ
の固化シートを所望の枚数積層した後、再び熱可塑性樹
脂の融点以上分解点未満の温度に加熱することで、該固
化シートを一体化し、さらに所望の厚さ幅に膨張させ、
その後冷却する工程を含むことにより、本発明の電波吸
収体が製造されうる。
【0023】本発明の製造方法についてさらに詳しく説
明する。始めに、本発明の電波吸収体の原料を混合す
る。このとき、無機系繊維、樹脂結合剤および導電性ま
たは磁性を有する繊維もしくは粉体をすべて同時に混合
してもよいし、先に無機系繊維と樹脂結合剤を混合し
て、後で導電性または磁性を有する繊維もしくは粉体を
添加してもかまわない。後者の場合は、本発明におい
て、無機系繊維と樹脂結合剤と導電性または磁性を有す
る繊維もしくは粉体の合体の一例である。前者の場合
は、原料すべてが均一に分散された電波吸収体ができる
が、後者の場合は、特定の一部分に導電性または磁性を
有する繊維もしくは粉体を集合させた電波吸収体を作製
することができる。
【0024】無機系繊維の使用量は、無機系繊維と樹脂
結合剤の総重量に対して、無機系繊維が約40〜90重
量%程度であることが好ましい。従って、樹脂結合剤の
使用量は、無機系繊維と樹脂結合剤の総重量に対して、
約10〜60重量%程度であることが好ましい。無機系
繊維が約40%程度以下であると、樹脂結合剤が多くな
り無機系繊維が少なくなるので、電波吸収性能が効果的
に発揮できなくなるおそれがあり好ましくない。また、
無機系繊維が約90%以上であると、樹脂結合剤が足り
なくなるため充分に繊維間の接着ができなくなり、自立
性が保持できなくなるおそれがあるので好ましくない。
また、導電性または磁性を有する繊維もしくは粉体の使
用量は、無機系繊維と樹脂結合剤との総重量100重量
部に対して、約2〜30重量部程度である。導電性また
は磁性を有する繊維もしくは粉体が約2重量部以下であ
った場合、充分な電波吸収性能が得られないおそれがあ
り、約30重量部以上であると、経済的ではなく、高コ
スト化するため好ましくない。
【0025】さらに、上記原料混合液中に、本発明の目
的を損なわない限り、各種添加剤、例えば有機合成繊維
(例えば上記した樹脂と有機合成繊維が芯鞘構造をとっ
ているもの、例えばユニチカ株式会社製、商品名メルテ
ィ等)、増粘剤、分散剤、顔料、染料、紫外線安定剤、
酸化防止剤、発泡剤、消泡剤または殺菌剤等を配合して
もかまわない。
【0026】次に、上記原料混合液を、シート状に加工
する。かかる場合、公知の抄紙技術を用いてよく、例え
ばシート金型または他の連続湿式積層装置のような湿式
積層装置のスクリーン上にシート状にして回収し,スク
リーン上でシート状にしたものと水とを分離してもよ
い。
【0027】始めの無機系繊維と樹脂結合剤とを含む原
料混合液に、導電性または磁性を有する繊維もしくは粉
体を混合していない場合は、ここで、得られたシート状
物に導電性または磁性を有する繊維もしくは粉体を散布
する。ここで散布することで、上記したように一部分に
導電性または磁性を有する繊維もしくは粉体を集合させ
ることができる。
【0028】ついで、得られたシート状物を乾燥する。
ここでの乾燥は、樹脂結合剤が完全には融解しないよう
な条件下で乾燥させる。乾燥は自然乾燥、乾燥器内での
乾燥、真空乾燥あるいはこれらの組み合わせにおいて行
うことができる。温度としては、約150〜180℃程
度であることが好ましい。
【0029】該シート状物を、例えば2枚、3枚、4枚
等の所定の枚数を積層して積層体とし、加熱加圧し一体
化させ、その後所望の厚さになるように該積層体を加熱
膨張させて、最後に冷却固化することで、本発明の電波
吸収体が得られる。シート状物の積層枚数を多くするこ
とにより、より優れた電波吸収性能を持たせることもで
きる。この加熱加圧、膨張、冷却固化の過程について説
明する。
【0030】前記加熱加圧による一体化、加熱膨張、冷
却固化の過程は、例えば、ダブルベルトプレスを用いて
連続的に行うことができる。ダブルベルトプレスとして
は、例えば、対面する側において同方向に走行する2つ
の無端ベルトからなり、走行方向に従って材料導入部、
余熱ゾーンを含む加熱ゾーン、冷却ゾーンを有するもの
等が挙げられる。一体化と加熱膨張は、加熱ゾーンで行
われる。
【0031】材料導入部は、例えば、上下に配置した二
つの無端ベルトの下側の無端ベルトのみを長くすること
により成形することができる。例えば、1枚または複数
枚重ねたシート状物を供給する。加熱ゾーンは、無端ベ
ルトを金属製等とし、これをヒーター等により加熱する
ことにより形成することができる。なお、無端ベルトの
加熱には、無端ベルト自体をヒーターで加熱したり、無
端ベルトを移動させる駆動ヒートロール等を介して間接
加熱したり、両者を併用する等の加熱手段を採用するこ
とができる。ベルト温度を検知することにより加熱を制
御することができるものが好ましい。加圧は、通常加熱
と同時に行う。冷却ゾーンは、金属製等の無端ベルトを
通水等により冷却されたベルト支持ロール等を介して冷
却すること等により成形することができる。
【0032】積層体を加圧加熱して一体化する際、ま
た、加熱膨張、冷却固化する際、積層体があらかじめ設
定した所定の厚さになるように、すなわち所定の厚さ以
下には圧力がかからないように加圧する。積層体の厚さ
をあらかじめ設定した所定の厚さになるように加圧する
ためには、例えば、ダブルベルトプレスの二つの無端ベ
ルトの間隔をダイヤル設定やその他の方法により所望の
間隔に設定することにより、所望の厚さ幅とすればよ
い。また、加熱ゾーンと冷却ゾーンの幅は個別に任意に
設定できるものが好ましい。
【0033】加熱ゾーンでの条件としては、温度は樹脂
結合剤の融点より約10〜50℃程度高めの範囲である
ことが好ましく、圧力は、約0.1〜100kg/cm
程度であることが好ましい。また、冷却ゾーンでの条
件としては、温度は約10〜50℃程度で、圧力は加熱
プレスと同圧力であることが好ましい。
【0034】最後に、得られた積層体を所望の大きさに
切断することにより、本発明の電波吸収体が製造でき
る。切断は、公知の手段を用いてよく、例えばカッター
等により行われることが可能である。
【0035】本発明の電波吸収体は、どのような形状で
あってもかまわない。例えば、板状、球状、凸状または
凹状であってもかまわないが、中でも板状であることが
好ましい。また、板状である場合、厚さが約1.5〜2
5mm程度であることが好ましい。厚さが約1.5mm
程度以下である場合、充分な電波吸収性能が得られず、
また厚さが約25mm程度以上である場合、経済的でな
いので好ましくない。
【0036】本発明の電波吸収体は、自立性を有してい
る。つまり、自分で形状を保持することができる。その
ため、設置の際に、形状を維持するための特別な取り付
け支持体も不要であり、それ故に無用なコストがかから
ない。
【0037】本発明の電波吸収体に吸収される電波の周
波数領域は、約1GHz以上であり、好ましくは約4G
Hz以上である。またこの周波数領域では、全領域にお
いて、約70%程度以上、電波が、本発明の電波吸収体
に吸収されるのが好ましい。
【0038】本発明の電波吸収体の電波吸収性能を測定
する好ましい一態様について説明する。サンプルは、正
方形に切断したものを使用する。また測定は、外界の電
波から遮断されている電波暗室で行う。また測定機器と
しては、公知の電波吸収を測定することができるスペク
トラムアナライザーを用いてもかまわない。例えばヒュ
ーレット・パッカード社製のスペクトラムアナライザー
を使用することもできる。
【0039】測定は、サンプルを、測定機器内のサンプ
ル室に設置し、電波をサンプルに向かって照射入射し
て、反射した電波量を測定することにより、電波吸収性
能が測定できる。このとき、照射される電波は直交偏波
とも呼ばれる平面波である。そして、入射電波量と反射
電波量の関係から、電波吸収性能が求められる。
【0040】測定した電波吸収性能は、以下の式で説明
される。
【数2】 電波吸収量(dB)=10×log(Pm/Pa) (II) 上記式中、Pmは、入射した電波量(単位;W)であ
り、Paは、反射した電波量(単位;W)である。電波
吸収量は、デシベル(dB)で表される。この電波吸収
量が、10dBであるとき、電波は90%吸収されたこ
とになり、20dBでは、99%、30dBでは99.
9%、電波が吸収された計算となる。
【0041】本発明にかかる電波吸収資材は、表層材
と、上記で説明した電波吸収体と、反射体がこの順で積
層されてなることを特長としている。このような構成と
することで、優れた電波吸収性能を有することとなる。
また、電波吸収体は、1層でも、2層以上積層されてい
てもよく、また、2層以上積層される場合、異なる繊維
や樹脂等の組成を有する電波吸収体を積層してもかまわ
ない。このように、電波吸収体を積層することにより、
本発明の電波吸収資材は、より優れた電波吸収性能を有
することとなる。
【0042】上記表層材としては、本発明の業界分野で
公知の表層材を用いることができるが、電波透明体であ
ることが好ましい。該電波透明体とは、電波に対して透
明、つまり電波に影響を与えない材料のことをいい、電
波を好ましくはほぼ100%透過する材料であればどの
ような材料であってもかまわない。そのような材料とし
ては、例えば、発泡ポリエチレン等の発泡有機高分子、
テフロン(登録商標)等の有機高分子、プラスチックま
たはセラミック等が挙げられる。
【0043】反射体としては、電波を反射する材料であ
ればどのようなものでもよく、例えば金属板や金属箔が
好適に用いられる。このような金属としては、例えばア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、チタン、ニッケルまた
は鉄等が挙げられる。中でも特に、アルミニウムが好ま
しく用いられる。これらは単独で用いられてもよく、2
種類以上組み合わせて使用してもかまわない。
【0044】本発明にかかる電波吸収資材を製造する方
法としては、上記した表層材、電波吸収体、反射体を積
層することができる公知の方法を用いてよい。例えば、
前述したダブルベルトプレスを用いる方法でもかまわな
いし、また、接着剤により貼り付ける方法をとってもか
まわない。この場合、接着剤は、公知のものを用いても
かまわないが、本発明の目的を損ねるものであってはな
らない。
【0045】
【実施例】本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明す
る。しかし、本発明はこれに限定されるものではないこ
とは言うまでもない。
【0046】〔実施例1〕水2000リットル中に撹拌
しながら、無機系繊維として平均繊維長が6mm、太さ
が10μmのガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社
製、ECE2251/0 1Z)7560gを加え、5
分間撹拌してよく分散させた。次に、この分散物に、樹
脂結合剤として、フェノール樹脂であるUNIVEKS
N−type(自己硬化性フェノール樹脂微粒子、ユ
ニチカ社製)7560gを加えることによって原料混合
液を得た。この混合液を抄紙機にて抄紙し、抄紙後、長
さ3.5mm、太さ100μmのアルミニウム繊維90
0gをほぼ均一に散布して、ついで160℃で乾燥させ
て水を除去することにより厚さ0.3cm、幅60cm
のガラス繊維シート18mを得た。
【0047】得られたガラス繊維シートを9mの長さに
なるように切断したものを、アルミニウムを散布した面
が内側になるように2枚重ね、加熱ゾーンと冷却ゾーン
の幅を個別に任意に設定できるダブルベルトプレスに挿
入し、最後に60cmごとに切断して、厚さ6mmで、
60cm四方の積層電波吸収体15枚を得た。この時の
加熱ゾーンでの条件は、温度は190℃、圧力は1kg
/cm、厚さ幅は6mm、冷却ゾーンでの条件は、温
度は40℃、圧力は加熱プレスと同圧力の1kg/cm
2 、厚さ幅は6.0mmであった。
【0048】得られた電波吸収体の空隙率を求めた。得
られた電波吸収体1枚には、原料の質量から計算する
と、アルミニウム繊維が60g、ガラス繊維が504
g、フェノール樹脂が504g含有されていることにな
る。また、該電波吸収体の体積は、構成する各辺を測定
して計算したところ、2160cmであった。質量と
密度の関係から、体積をそれぞれ計算し、各成分の体積
を該電波吸収体の全体積2160cmで割り、各成分
の体積比を計算した。そして上述の式(I)に代入した
ところ、空隙率は45%であった。また、得られた電波
吸収体は、工作バサミで切断できる程度に軽量であり、
加工することが容易であった。さらに自立性を有してい
るため、電波吸収体のみで壁にたてかけることができ
た。
【0049】作製した600mm四方のサンプルについ
て、電波吸収性能測定を行った。測定機器として、ヒュ
ーレット・パッカード社製のスペクトラムアナライザー
を用い、入射電波発振機器として、シグナルジェネレイ
ターを反射電波受信機器として、シンセサイドスウィー
パーを使用した。周波数を1〜10GHzと変化させて
測定した。結果を表1にまとめた。表1より、得られた
電波吸収体は、優れた電波吸収性能を有していることが
わかった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明の電波吸収体は、広い範囲の周波
数領域において、優れた電波吸収性能を有している。ま
た、適度な形状加工が容易であり、自立性を有している
ため、設置の際に特別な支持体が不要であり、そのため
無用なコストが生じない。さらに、製造においても、複
雑で特別な装置を使用せず、工業的生産が容易であり、
低コストで、優れた電波吸収性能を有する電波吸収体を
提供することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機系繊維と、樹脂結合剤と、導電性ま
    たは磁性を有する繊維もしくは粉体とを含み、空隙率が
    35〜89%であることを特徴とする電波吸収体。
  2. 【請求項2】 無機系繊維が、ガラス繊維であることを
    特徴とする請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 【請求項3】 導電性または磁性を有する繊維もしくは
    粉体が、金属または/および炭素からなることを特徴と
    する請求項1に記載の電波吸収体。
  4. 【請求項4】 吸収体の形状が、板状であることを特徴
    とする請求項1に記載の電波吸収体。
  5. 【請求項5】 電波吸収体の板状物の厚さが、1.5〜
    25mmであることを特徴とする請求項4に記載の電波
    吸収体。
  6. 【請求項6】 電波吸収体が、自立性をもった吸収体で
    あることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収体。
  7. 【請求項7】 吸収される電波の周波数が、1GHz以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収
    体。
  8. 【請求項8】 表層材と、請求項1の電波吸収体と、反
    射体がこの順で積層されてなる電波吸収資材。
  9. 【請求項9】 表層材が、電波透明体であることを特徴
    とする請求項8に記載の電波吸収資材。
  10. 【請求項10】 無機系繊維と、樹脂結合剤と、導電性
    または磁性を有する繊維もしくは粉体とを混合または合
    体することを特徴とする請求項1に記載されている電波
    吸収体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7544427B2 (en) 2004-01-19 2009-06-09 Incorporated National University Iwate University Woody electric-wave-absorbing building material
CN104152105A (zh) * 2014-08-08 2014-11-19 太仓派欧技术咨询服务有限公司 一种具有吸波特性的玻璃纤维棉

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