JP2003034842A - 切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼 - Google Patents
切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼Info
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Abstract
し、冷間加工後の被削性、特に切屑処理性を向上させる
ことのできる技術を確立すること。 【解決手段】 B:0.001〜0.01%(質量%を
表わす、以下同じ)とN:0.002〜0.01%を含
む鋼からなり、当該鋼の横断面0.5mm×0.5mm
の視野当たりに、直径1μm以上のBNが10個以上存
在する、冷間加工後の切屑処理性に優れた鋼材を開示す
る。
Description
造を含む、以下、本明細書において同じ)により所定の
形状に冷間加工した後に切削加工される冷間鍛造用鋼に
関し、特に、冷間加工後に切削加工を行なう際の切屑処
理性を大幅に改善された冷間鍛造用鋼に関するものであ
る。
高いうえに鋼材の歩留まりも良好であることから、ボル
ト、ナット、ねじ等の機械部品や電装部品等を製造する
ための加工法として汎用されている。
めざましいものがあり、ニアネットシェイプやネットシ
ェイプ等によって仕上げ切削加工の手数を省略乃至軽減
しようとする試みもなされている。しかし、最終製品に
求められる精度や表面品位の要求を満たすには、仕上げ
切削加工に頼らざるを得ないことも多く、そのため、冷
間加工性と被削性の両立も重要な要求特性となってい
る。
工時の切削代は減少する傾向が見られる。そして切込み
が小さくなると、切屑は伸び易くなって絡まり易くな
り、それが原因となって切削製品の表面品質を劣化させ
たり、更には自動切削運転の停止を余儀なくさせられ
る、といった切屑処理性の問題が生じてくる。しかも、
冷間加工により加工硬化した後では、切削加工時の剪断
角が大きくなって切屑は更に薄くなり、切屑処理性の低
下が一層顕著になってくる。そのため、焼入焼戻し等の
熱処理を施さずに冷間加工してから切削加工を行なう場
合には、切屑処理性の改善が大きな課題となってくる。
を添加し鋼中にMnSなどの硫化物を生成させたり、鉛
を添加することが有効であることはよく知られている。
しかし、硫黄や鉛を多量添加すると冷間加工性が低下す
るという問題が生じてくる。
態制御を行なう方法があり、本件出願人も既に特開昭4
9−58019号、特開昭50−7717号、特公昭5
9−47024号公報などに開示の技術を提案してい
る。
昭50−7717号公報では、鋼中にSと共にZrを含
有させ、MnS中にZrを固溶させて(Mn,Zr)S
とすることにより硫化物の変形能を低下させ、硫化物を
丸く制御することで冷間加工性の改善を図っている。そ
して、Sを0.04〜0.09%と通常より多めに添加
することで被削性を高めることを提案した。また特公昭
59−47024号公報では、Caを添加することによ
ってMnSを(Mn,Ca)Sとし、上記Zrと同様の
作用により冷間加工性を改善すると共に、S添加とCa
の積極添加による硬質酸化物(Al2O3)の低減によっ
て、被削性を改善する方法を提案した。この場合に添加
されるS量は0.01〜0.15質量%の範囲であり、
被削性の若干の改善ならば、少量のS添加で目的を果た
すことができる。ところが、被削性の要求程度が高くな
ると多量のSを添加しなければならず、それに伴う冷間
加工性の低下が軽視できなくなる。
幾つかあり、例えば特許第2733989号や、特開平
11−1746号、特開平3−240931号などが知
られている。しかしこれらは、いずれも冷間加工された
後の切削加工時における切屑処理性の改善を意図するも
のではなく、上記特許第2733989号や特開平11
−1746号は、熱間圧延や熱間鍛造などの熱間加工性
と被削性の両立を目的としている。そして、これらに開
示された成分の規定だけでは、冷間加工の用途に適用し
ても十分な効果は得られない。また特開平3−2409
31号では、被削性向上のためBNを多量析出させるこ
とに主眼を置いているため、Nを0.01%以上含有さ
せているが、Nを多量に含有させると固溶N量の増大に
よって歪み時効が抑制できなくなり、冷間加工時の加工
硬化が大きくなるばかりでなく、冷間加工前の強度も上
昇するため、冷間加工性に及ぼす悪影響が軽視できなく
なる。
情に着目してなされたものであって、特に冷間加工後に
切削加工される鋼を対象とし、冷間加工後の被削性、特
に切屑処理性を向上させることのできる技術を確立する
ことにある。
のできた本発明に係る切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼
とは、B:0.001〜0.01%(質量%を表わす、
以下同じ)とN:0.002〜0.01%を含む鋼から
なり、当該鋼の横断面0.5mm×0.5mmの視野当
たりに、直径(平均直径:短径と長径の平均値)1μm
以上のBNが10個以上存在するところに特徴を有して
いる。
冷間鍛造用鋼の特徴は、本質的に鋼中のB,Nの各含有
率と、当該鋼断面内に存在するBNの存在形態を特定し
た点に存在するが、その特徴が実用鋼として有効に発揮
できるのは、当該鋼が、C:0.005〜0.5%を含
み、且つ、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.
03%以下、S:0.07%以下、A1:0.1%以
下、Cr:1.6%以下に夫々制限され、残部が実質的
にFeからなるものであり、あるいは必要により、他の
元素として 1)Cu:2.0%以下(0%を含まない)、Ni:2.
0%以下(0%を含まない)、Mo:1.0%以下(0
%を含まない)のうち1種または2種以上を含有させ、
鋼としての強度を高めたもの、 2)Pb:0.1%以下(0%を含まない)および/また
はBi:0.1%以下(0%を含まない)を含有させて
被削性を更に高めたもの、 3)Mg:0.01%以下(0%を含まない)、Ca:
0.01%以下(0%を含まない)、Zr:0.2%以
下(0%を含まない)、Te:0.1%以下(0%を含
まない)のうち1種または2種以上を含有させ、硫化物
形態を丸く形態制御することで冷間加工性を更に高めた
もの、等が、実用的な好ましい冷間鍛造用鋼として推奨
される。
間加工性と被削性の両立を意図するものであるが、被削
性の中でも特に切屑処理性に主眼をおいている。そして
本発明者らは、前述した従来例の如く、被削性向上を快
削成分の添加のみに頼るのではなく、冷間加工により加
工硬化した後で鋼を切削加工すると切屑処理性が著しく
低下することに注目した。そして、冷間加工時の加工硬
化を低減させるため、加工硬化を助長する固溶NをB添
加によりBNとして固定し、加工硬化を抑制することで
切屑処理性を向上させた。また、このBNが鋼中に微細
析出して被削性向上に有効に作用することは以前より知
られているが、冷間鍛造用鋼として冷間加工後に切削加
工される際の切屑処理性を高めるには、このBNを比較
的粗大なものとして存在させることがより有効であるこ
とを見出し、適切な圧延条件の制御によってこれを達成
したものである。
特に切屑処理性の向上に好適な鋼の開発を期して鋭意研
究を進めてきた。その結果、B添加により切屑処理性に
優れた冷間鍛造用鋼が得られることを確認した。
快削成分の添加により向上することはよく知られてい
る。しかし、これらの元素を添加し過ぎると冷間加工性
が低下するので、冷間鍛造用鋼への積極的な添加は好ま
しくない。そこで、SやPb,Biの添加以外の解決策
について検討を進めた。
になるほど切屑処理性が低下することはよく知られてい
る。このため冷間鍛造用鋼の如く、冷間鍛造による冷間
加工後に切削加工される鋼材では、冷間加工時の加工硬
化によって硬質化し切屑処理性が低下する。そこで、加
工硬化による硬さ上昇の抑制を期して研究を進めたとこ
ろ、B添加によってNをBNとして析出させれば、加工
硬化に影響を及ぼす固溶Nが減少し、加工硬化による硬
さの上昇が抑えられて切屑処理性を向上せしめ得ること
が確認された。
合に十分な効果が得られないことから、更なる切屑処理
性向上対策を検討した。その結果、固溶Nを固定するた
めに析出させたBN析出物の存在形態を適正に制御する
ことが極めて有効であるとの知見を得た。
とは良く知られている。しかしBN析出物は一般に非常
に微細であり、単に析出させただけでは、冷間加工後の
切屑処理性に十分な作用を与えることはできなかった。
そこで、圧延条件を主体にして更に追究を重ねた結果、
鋼材横断面0.5mm×0.5mmの視野当たりに直径
1μm以上のBNが10個以上存在するものは、安定し
て優れた切屑処理性を示すことが確認された。
理由は、直径1μm以上のBN析出物だけが被削性に寄
与するということではなく、冷間加工後の鋼の切屑処理
性に及ぼすBN析出物の影響を飛躍的に発揮させるた
め、制御圧延なしでは微細で冷間加工後の切屑処理性向
上への寄与が小さいBNを全体的に粗大化させることの
目安として、直径1μm以上のサイズのBN析出物を標
準的に選択し、その数を鋼材横断面0.5mm×0.5
mmの視野当たり10個以上と定めているのである。
N析出物の横断面0.5mm×0.5mm視野当たりに
存在する個数が切屑処理性に与える影響を整理して示し
たグラフであり、このグラフからも、直径1μm以上の
BN析出物の個数が切屑処理性と密接な相関性を有して
いることを確認できる。そして本発明者らは、冷間鍛造
用鋼として実用上満足の行く切屑処理性を有していると
評価できるのは、切屑処理性指数で6超あればよいこと
を確認しており、この値を満たすには、上記BN析出物
の数で、横断面0.5mm×0.5mm視野当たり10
個以上を確保すればよいのである。
を明確にする。
発明のポイントとなる元素で、BN析出物を生成し、固
溶Nによる歪み時効を抑制して加工硬化による硬さの上
昇を抑えると共に、切屑処理性の向上にも寄与する。こ
うした作用を発揮させるには0.001%以上の含有さ
せなければならない。但し、含有量が多くなり過ぎると
熱間延性を著しく低下させるので、その上限を0.01
%とした。Bのより好ましい含有量は0.0015%以
上、0.008%以下である。
記の様に鋼中に固溶Nとして存在することで冷間加工性
に悪影響を及ぼす元素であるが、本発明では、Bとの反
応によりBNを析出させて切屑処理性を高めるのに重要
な元素であり、少なくとも0.002%以上含有させな
ければならない。しかし多過ぎると、過剰分は固溶Nと
して残存して冷間加工性を劣化させるので、0.01%
以下に抑えるべきである。Nのより好ましい含有量は0
003%以上、0.085%以下である。
Nの各含有量を規定すると共に、横断面中に存在するB
N析出物のサイズと個数を定めたところに特徴を有して
いるが、これらの特徴を実用鋼材として有効に発揮させ
るには、鋼材自体の基本成分や許容される合金元素など
も規定しておくことが望ましいので、以下、それらの元
素についても説明する。
鍛造製品の強度を確保するために有用な元素で、0.0
05%未満では強度不足になることがあり、一方0.5
%を超えると強度が高くなり過ぎて冷間加工性が劣化す
る。Cのより好ましい範囲は0.007%以上、0.4
5%以下である。
は、脱酸剤として有用な元素であるが、過剰量になると
固溶強化により冷間加工性や被削性を劣化させるので、
1%以下、より好ましくは0.7%以下に抑えるべきで
ある。
は、強化元素として作用する他、鋼中のSと結合してM
nSを形成し被削性の向上にも寄与する有用な元素であ
るが、多過ぎると強度が高くなり過ぎて冷間加工性を害
するので、2%以下、より好ましくは1.5%以下に抑
えるのがよい。
は、粒界に偏析して鋼の延性を低下させる有害な元素で
あり、少ない方が望ましい。しかし、ある程度以上は不
可避的に混入してくるので、0.03%以下、より好ま
しくは0.02%以下に抑えるべきである。
は、被削性向上に有効な元素であるが、多過ぎると冷間
加工性を著しく劣化させる。本発明では、被削性向上に
Sを積極的に活用しないので、その有害作用を排除する
ため0.07%以下、より好ましくは0.06%以下に
抑えるのがよい。但し、少量の積極的な含有は被削性の
一層の向上に有効であり、好ましくは0.003%以
上、更に好ましくは0.005%以上含有させることが
望ましい。
rは、鍛造製品に所定の強度を付与するのに有用な元素
であるが、多過ぎると鋼が硬質化して冷間加工性や被削
性に悪影響を及ぼすので、1.6%以下、より好ましく
は1.2%以下、更に好ましくは0.5%以下に抑える
のがよい。
lは脱酸剤として有用な元素であるが、過剰量になると
酸化物系の介在物源となって冷間加工性を劣化させるの
で、0.1%以下、より好ましくは0.05%以下に抑
えるのがよい。
い)、Ni:2.0%以下(0%を含まない)およびM
o:1.0%以下(0%を含まない)から選ばれる1種
以上」Cu,Ni,Moは、共に強度向上元素として有
用な元素であるが、多過ぎると被削性などに悪影響を及
ぼすので、鍛造製品の用途や要求特性に応じて適宜選択
して適量添加することが望ましい。何れにしても、被削
性などに与え悪影響を抑えるには、Cuは2.0%以
下、Niは2.0%以下、Moは1.0%以下にそれぞ
れ抑えることが望ましい。
および/またはBi:0.1%以下(0%を含まな
い)」PbとBiは何れも代表的な低融点金属であり、
被削性を向上させるのに有効に作用する。従って、被削
性がより重視される場合には積極的に添加するのが有効
である。しかし、過多に添加すると冷間加工性を劣化さ
せるので、それぞれ0.1%以下に抑えるべきである。
い)、Ca:0.01%以下(0%を含まない)、Z
r:0.2%以下(0%を含まない)、Te:0.1%
以下(0%を含まない)から選択される1種以上」M
g,Ca,Zr,Teは、硫化物の形態制御のために補
完的に添加することができる。但し、過度に添加しても
その効果は飽和するためそれぞれ上記上限値までの添加
に止めるべきである。
る前記BN析出物の形態は、上述した如き適切な化学成
分の鋼片を適切な条件で圧延・冷却・巻取りを行なうこ
とによって確保できるもので、好ましくは、850〜1
050℃の範囲まで加熱し、725〜1000℃の範囲
で所定の線径まで圧延した後、水流等によって600〜
6000℃/分の冷却速度で750〜950℃まで急冷
し、引き続き600℃までを1℃/秒以下の冷却速度で
徐冷することが好ましい。以下、それら各条件を推奨す
る理由を説明する。
鋼片の加熱温度が高過ぎると、固溶N量が増大してBN
の析出が制限されるので、1050℃以下に抑えるのが
よく、より好ましくは1000℃以下である。但し、加
熱温度が低過ぎると圧延時の圧延ロール負荷が増大する
などの障害が表われてくるので、850℃以上が好まし
い。より好ましい加熱温度は900℃以上である。
度は、窒化物の固溶を防止するために設定したもので、
あまり高温で行なうことは避けるべきである。また、圧
延ロールの負荷増大、寸法精度の低下、表面疵の発生等
を防止するという観点も考慮して、実用上は750〜1
000℃の範囲に制御することが望ましい。より好まし
い圧延温度は775℃以上、975℃以下である。
延後の巻取りに当たっては、代表的には水を冷媒とし6
00〜6000℃/分の冷却速度で750〜950℃ま
で冷却するのがよく、巻取り温度が950℃を超える
と、BNの析出が遅くなる。一方、巻取り温度が低過ぎ
ると、鋼材組織が硬くて脆い組織となり、冷間加工に適
さなくなる。実操業レベルでのより好ましい巻取り温度
は、800℃以上、925℃以下である。
で)」本発明で採用される製造条件で最も重要となるの
が冷却速度であり、冷却工程でBNを粗大な析出物とし
て生成させるには冷却速度を遅くすることが望ましく、
600℃までを1℃/秒以下、より好ましくは0.5℃
/秒以下、更に好ましくは0.4℃/秒以下に抑えるこ
とが望まれる。
に適正量のB,Nを含有させると共に、該鋼中に比較的
粗大なBNを多量存在させることによって、冷間鍛造後
においても優れた切屑処理性を示す冷間鍛造用鋼を提供
し得ることになった。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
した。発明鋼1と比較鋼1はS10Cをベースとし、発
明鋼2と比較鋼2はS20Cをベース、発明鋼3と比較
鋼3はS45Cをベースにしたものである。各鋼材を溶
製してから鋳造し、各鋳片を熱間鍛造により155mm
角の鋼片とした後、さらに加熱してから熱間圧延を行な
い線材に圧延した。圧延は、各鋼種とも直径8.5m
m、直径9.5mm、直径12.5mmの3つのサイズ
に圧延し、その後、直径8mmに冷間引き抜きを行なっ
て磨棒を作製し、各々について自動切削盤を用いて切屑
処理性の評価を行なった。
により冷間加工を付与した後の切削加工時の切屑処理性
を高めたところにあり、実用上は冷間鍛造や冷間圧造な
どによって成形された部品に対し切削加工を施す際にそ
の特徴が有効に発揮される。ただし、実際の部品では歪
み分布が一様でなく、切削部位の違いによる影響や部品
形状の影響も受けるため、切削加工性を定量的に評価す
ることは難しい面がある。このため本実施例では、定量
的な効果をより明確にするため、圧延後、線径を細くす
る冷間引き抜きによって一様な歪みを与えた磨棒の状態
で切削試験を行なった。また、冷間加工率の影響を把握
するため、磨棒の線径は直径8mmに統一し、冷間加工
前の圧延径を直径8.5mm〜12.5mmに変化させ
たときの影響も評価した。ちなみに、圧延径の直径が
8.5mmであるときの冷間加工率は12%、直径9.
5mmであるときの冷間加工率は30%、直径12.5
mmであるときの冷間加工率は60%となる。
延は、発明鋼、比較鋼とも本発明の規定要件を満たす条
件で実施した。また、BN介在物の個数の測定法は下記
の様にして行なった。
電子顕微鏡で0.5mm×0.5mmの視野を観察し、
直径1μm以上の介在物について、EPMAを用いて組
成分析を行い、測定視野内のBN介在物の個数を測定し
た。
は、0.5mm×0.5mmの視野面積当たりに直径1
μm以上のBN介在物が10個以上存在している。なお
切削試験は、直径8mmの磨棒を自動盤にて切削し、切
屑処理性を評価した。切削条件は表3に示す通りで、冷
間鍛造後の仕上げ切削を想定して切り込みを0.5mm
と小さくし、送り速度を4水準変化させた。そして各条
件で切屑を採取し、各切屑片の形態により図1に示す評
価点に基づいて、4条件の評価点の合計を切屑処理性指
数とし、この値の大小で被削性の良否を判断した。
5Cを夫々ベース鋼とした冷間加工率と硬さの関係を示
したものである。
抑えられているため、比較鋼よりも硬さが低減している
ことが分かる。図5〜図7はS10C,S20C,S4
5Cを夫々ベース鋼とした冷間加工率と切屑処理性指数
の関係を示したもので、発明鋼は加工硬化抑制とBN介
在物の制御により切屑処理性が向上していることを確認
できる。
5mmに圧延してから、冷間加工率30%で引き抜いて
直径8mmの磨棒を作製し、上記実施例1と同様の評価
を行なった。発明鋼4〜7は、B添加量を変化させてB
N介在物の量を変動させている。発明鋼8はCu,Ni
を含有させたもの、発明鋼9,10は、各々Pb,Bi
を含有させたもの、また発明鋼11,12はMg,Ca
を含有させたものである。
明鋼5は本発明で定める適正範囲内の条件を採用したも
の(5−1),(6−1)、冷却速度が適正範囲を外れ
るもの(5−2),(6−2)、加熱温度が適正範囲を
外れるもの(5−3),(6−3)で、これら以外は前
記適正範囲内の条件で圧延した。
速度が速いためBN介在物を大きく制御できていない。
(5−3),(6−3)は、加熱温度が高過ぎたため固
溶Nが多くなり十分な数のBN介在物が析出していな
い。
理性に及ぼすBN介在物の影響は、直径1μm以上のB
Nの数が多いほど顕著に表われている。また、B添加量
が多いほどBN介在物量は多くなっている。これらの結
果を元に、添加したBが全てBNになっていると仮定
し、計算で求められるBN量と切屑処理性の関係をまと
めた。
1,12はBN量でほぼ整理でき、BN量が多くなるほ
ど切屑処理性は明かに向上している。これらに対し(5
−2),(5−3),(6−2),(6−3)は、BN
介在物が適正に制御されていないため切屑処理性が悪
い。また、Pb,Biを添加した9,10は、BN量が
同等であるものよりも高い切屑処理性を示している。
冷間加工後に切削加工される鋼材に対し、冷間加工に伴
う切屑処理性の低下を未然に解決することができる。よ
って、この鋼材を使用することにより、冷間加工後の切
削加工の自動化をより安定的に実施することができ、生
産性の向上に大きくな貢献できる。
図である。
すグラフである。
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
指数の関係を示すグラフである。
指数の関係を示すグラフである。
量%)と切屑処理性指数の関係を示すグラフである。
たりに観察される直径1μm以上のBN析出物の個数が
切屑処理性に与える影響を整理して示したグラフであ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 B:0.001〜0.01%(質量%を
表わす、以下同じ)とN:0.002〜0.01%を含
む鋼からなり、当該鋼の横断面0.5mm×0.5mm
の視野当たりに、直径(平均直径:短径と長径の平均
値)1μm以上のBNが10個以上存在することを特徴
とする切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。 - 【請求項2】 鋼が、C:0.005〜0.5%を含
み、且つ、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.
03%以下、S:0.07%以下、A1:0.1%以
下、Cr:1.6%以下に夫々制限され、残部が実質的
にFeである請求項1に記載の切屑処理性に優れた冷間
鍛造用鋼。 - 【請求項3】 鋼が、他の元素としてCu:2.0%以
下(0%を含まない)、Ni:2.0%以下(0%を含
まない)、Mo:1.0%以下(0%を含まない)のう
ち1種または2種以上を含むものである請求項2に記載
の切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。 - 【請求項4】 鋼が、他の元素として、Pb:0.1%
以下(0%を含まない)および/またはBi:0.1%
以下(0%を含まない)を含むものである請求項2また
は3に記載の切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。 - 【請求項5】 鋼が、他の元素として、Mg:0.01
%以下(0%を含まない)、Ca:0.01%以下(0
%を含まない)、Zr:0.2%以下(0%を含まな
い)、Te:0.1%以下(0%を含まない)のうち1
種または2種以上を含むものである請求項2〜4のいず
れかに記載の切屑処理性に優れた冷間鍛造用鋼。
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