JP2003020530A - 先染糸の製造方法 - Google Patents
先染糸の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高捲縮で弾性回復率に優れ、織編物に用いる
と優れたストレッチ性と膨らみ感を有し、風合いがソフ
トとなるチーズ先染糸の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレート繊維で
構成された捲縮糸のチーズをチーズ染色して先染糸を製
造するに際し、撚糸、弛緩熱処理並びにチーズワインド
工程が連続的かつ一体化した製造装置を用いてチーズを
作製することにより、高捲縮で弾性回復率に優れ、織編
物に用いるとストレッチ性、風合いがソフトとなるチー
ズ先染糸が提供できる。
と優れたストレッチ性と膨らみ感を有し、風合いがソフ
トとなるチーズ先染糸の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレート繊維で
構成された捲縮糸のチーズをチーズ染色して先染糸を製
造するに際し、撚糸、弛緩熱処理並びにチーズワインド
工程が連続的かつ一体化した製造装置を用いてチーズを
作製することにより、高捲縮で弾性回復率に優れ、織編
物に用いるとストレッチ性、風合いがソフトとなるチー
ズ先染糸が提供できる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリトリメチレン
テレフタレート繊維で構成された捲縮糸のチーズをチー
ズ染色して先染糸を製造するに際し、撚糸、弛緩熱処理
並びにチーズワインド工程が連続的かつ一体化した製造
装置を用いてチーズを作製することを特徴とする先染糸
の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、ナイロン繊維の持つ柔軟性とポリエステル繊維の持
つ機械的物性を併せて有し、ストレッチ性(伸び易さと
伸びた後の回復のし易さ)に優れた特徴を有する繊維で
あり、衣料用途分野に用いられている。特に、仮撚加工
等の糸加工によって捲縮を付与したポリトリメチレンテ
レフタレート繊維を用いた織編物を、反染めと言われる
織編物にした後に染色を施すと、ストレッチ性、膨らみ
感に優れた織編物が得られている。 【0003】一方、高級化や、複雑な配色というファッ
ション性の面から、糸条を染色した後に織編物にするい
わゆる先染織編物でも、ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維の捲縮糸が持つ優れたストレッチ性、膨らみ感を
発揮させたいという要望が高まってきている。しかしな
がら、これ迄、仮撚加工等の糸加工によって捲縮を付与
したポリトリメチレンテレフタレート繊維のチーズ先染
糸では、捲縮伸長率が十分とはいえず、織編物にして
も、反染めによって得られた織編物に比べると、ストレ
ッチ性、膨らみ感に劣るものしか得られておらず、現
在、ストレッチ性、膨らみ感に優れた織編物が得られる
先染糸の生産に至っていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高捲
縮で弾性回復率に優れ、織編物に用いると優れたストレ
ッチ性と膨らみ感を有し、風合いがソフトとなるチーズ
先染糸の製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題について鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
即ち、本発明はポリトリメチレンテレフタレート繊維で
構成された捲縮糸のチーズをチーズ染色して先染糸を製
造するに際し、撚糸、弛緩熱処理並びにチーズワインド
工程が連続的かつ一体化した製造装置を用いてチーズを
作製することを特徴とする先染糸の製造方法である。 【0006】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を
主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、ト
リメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好
ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以
上、さらに好ましくは90モル%以上含有するものをい
う。従って、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合
計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以
下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは
10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテ
レフタレートを包含する。 【0007】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより製造される。こ
の製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエ
ステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレート
とをブレンドしてもよい。 【0008】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキ
シ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上
のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又
はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内
で使用出来る。 【0009】さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等
の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線
吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていてもよい。繊維の形態は、長繊維が好
ましく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよ
く、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y
型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形
型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。さらに糸
条の形態としては、マルチフィラメント原糸(極細糸を
含む)、空気噴射加工糸等が挙げられる。 【0010】本発明において使用するポリトリメチレン
テレフタレート繊維は、破断強度2.2〜4.5cN/
dtex、破断伸度30〜55%、ヤング率14〜24
cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率60〜95
%、沸水収縮率4〜20%であることが好ましい。ま
た、繊度は20〜550dtexが好ましく、特に30
〜220dtexが好ましい。単糸繊度は0.1〜12
dtexが好ましく、特に0.5〜5dtexが、柔軟
な風合いが得られるので好ましい。本発明において、ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸方法について
は、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た
後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程
を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度50
00m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)
等の何れを採用しても良い。 【0011】本発明において、チーズ先染糸はポリトリ
メチレンテレフタレート繊維の捲縮糸で構成されている
ことが重要である。捲縮糸としては仮撚加工、押し込み
加工、ニットデニット加工等で捲縮加工を付与したもの
が例示される。捲縮糸の物性としては、捲縮伸長率が5
0%以上であることが好ましく、より好ましくは100
%以上である。この範囲である糸条を用いることによ
り、捲縮伸長率が50%以上の先染糸を得ることが出来
る。なお、ここで云う捲縮伸長率とは、2.6×10-4
cN/dtexの荷重下で乾熱90℃×15分処理を行
い、一昼夜放置した後、JIS−L−1090 伸縮性
試験方法(A法)に準じて測定したものである。 【0012】特に、捲縮糸としては、高い捲縮伸長率が
得られやすい仮撚加工糸が好ましい。仮撚加工として
は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタ
イプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等いかな
る方法によるものでも良いが、1ヒーター仮撚が高捲縮
が得られるので好ましい。さらにPOYの延伸仮撚であ
ってもよい。仮撚ヒーター温度は、本発明の目的が達成
できれば任意に設定することができ、一般的には、第1
ヒーターの出口直後の糸条温度を100℃以上200℃
以下とすることが好ましく、より好ましくは120℃以
上180℃以下、特に好ましくは130℃以上170℃
以下の範囲である。 【0013】仮撚数Tは、ポリエチレンテレフタレート
系ポリエステル繊維の仮撚加工で通常に用いられる範囲
でよく、次式で計算される。この場合、仮撚数の係数K
の値が17600〜35000の範囲であることが好ま
しく、仮撚加工糸によって好ましい仮撚数Tが決定され
る。 T(T/m)=K/{仮撚加工糸の繊度(dtex)}
0.5 尚、仮撚加工した捲縮糸は残留トルクがあるので、この
トルクを軽減する為に仮撚方向の異なる捲縮糸を2本以
上引き揃えても構わない。さらに、収束性を高めるため
にインターレースノズルを用いて交絡させても構わな
い。本発明において、捲縮糸は撚糸、弛緩熱処理並びに
チーズワインド工程が連続的かつ一体化した製造装置を
用いてチーズを作製し、捲縮を顕在化させることが重要
である。 【0014】この様な装置を用いることで捲縮糸を撚糸
してから潜在的にある捲縮を均一に発現することでき、
チーズにソフトワインドが可能となるため、チーズ染色
後のコーンへの解舒性も良好で、高い捲縮伸長率を持つ
先染糸が得られる。このような装置の代表例としては石
川製作所社製のDDW装置が挙げられる。この装置はダ
ブルツイスター方式で撚糸し、次いで、エプロンニップ
方式のフィード装置により積極的に糸を送り出し、パイ
プヒーターで非接触加熱を行って捲縮を顕在化させ、そ
の後、クイックトラバース方式で低テンション、低接圧
でワインド可能なチーズワインダーからなる工程が連続
的かつ一体化したものである。捲縮の顕在化を効率良く
行うために、パイプヒーター長やパイプ径を変更しても
構わない。また、必要に応じて、撚糸方向を各錘毎に変
更できる装置やセンサーカッター、突上げ装置を付与し
た装置であっても構わない。更に、パイプヒーターとチ
ーズワインダーの間に独立駆動できるエプロンニップ方
式等のフィードローラーをつけて、チーズワインド時に
フィード率を変更できるようにしても構わない。 【0015】本発明の捲縮糸を撚糸、弛緩熱処理並びに
チーズワインド工程が連続的かつ一体化した装置で捲縮
を顕在化した糸の物性としては、捲縮伸長率が20%以
上(但し、この捲縮伸長率は前述の測定方法で乾熱処理
を行わずに測定した値である)、より好ましくは30%
〜250%以上、特に好ましくは40〜200%であ
り、沸水収縮率が3%以下、好ましくは2%以下であ
る。また、本発明の特定の方法で得られたチーズの形態
としては巻密度は0.05〜0.5g/cm3 、好まし
くは0.08〜0.3g/cm3 、特に好ましくは0.
1〜0.25g/cm3 であり、糸の巻き量としても1
00〜2000g、好ましくは500〜1100gであ
る。捲縮を顕在化した糸の物性及びチーズ形態がこの範
囲内にあれば、チーズ染色後のチーズ内外層での色差が
なく、糸長方向の捲縮斑もなく均一で、高捲縮な先染糸
を得る事ができる。 【0016】具体的な製造方法としては、例えば、石川
製作所社製DDW装置を用い、加工速度を50〜200
m、好ましくは80〜150m/分とし、撚糸を0〜1
000T/m、好ましくは50〜350T/m行って、
弛緩熱温度を100〜220℃、好ましくは150〜2
10℃にして、弛緩率を30〜200%、好ましくは1
20〜180%にすれば良い。尚、ここで云う弛緩率と
は、下式で算出した値である。 弛緩率=〔パイプヒーター入口の糸速/チーズワインド
時の糸速〕×100 尚、撚糸の撚り方向としては特に限定されるものではな
く、必要に応じて適宜選定すればよいが、捲縮糸に仮撚
方向が片方向のみの仮撚糸を用いる場合には、撚糸の方
向としては、仮撚方向と逆方向に撚糸を行うと、先染糸
の捲縮伸長率を高くすることができるので好ましい。ま
た、撚糸回数を高くしたい場合等には、必要に応じて、
本発明の装置で加工する前の捲縮糸にイタリー撚糸機、
リング撚糸機、ダブルツイスター等を使用して撚糸を行
っても構わない。 【0017】チーズワインド条件としては、巻取り時の
オーバーフィード率を2〜10%、好ましくは3〜5%
に設定して、糸量を100〜2000gにして、チーズ
を作成すれば良い。本発明の特定な製造方法で得られた
チーズはチーズ染色される。チーズ染色方法としては、
特に限定されるものではなく、通常、PET等で行われ
ている方法を採用すれば良い。例えば、一般に使用され
ているチーズ染色機を使用して、精練は通常行われてい
る様に原糸油剤等が洗浄される条件であれば良く、ノニ
オン系界面活性剤、炭酸ソーダ等の存在下で50℃〜9
0℃で10〜30分行えばよい。 【0018】ポリトリメチレンテレフタレート繊維の染
色には、一般に行われているポリエチレンテレフタレー
ト繊維を分散染料を用いて染色する方法を採用すれば良
く、アルカリ耐性のある分散染料を用いてpH8〜11
のアルカリ染色を行っても構わない。染色温度は90℃
〜130℃、時間は15分〜120分の範囲であれば良
いが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維はガラス転
移点が低いので90℃〜120℃といった従来のポリエ
チレンテレフタレート繊維より低温で染色しても優れた
発色性が得られる特徴がある。更に、染色堅牢度を向上
させる目的で、還元洗浄やソーピングを行っても構わな
い。また、本発明の糸条の編立性、柔軟性を向上させる
ために一般に市販されているオイリング油剤等をチーズ
形態や糸条で付与しても構わない。 【0019】本発明の製造方法で得られたチーズ先染糸
の物性としては、捲縮伸長率が20%以上であり、好ま
しくは40〜250%、特に好ましくは50〜200%
であり、10%伸長時の弾性回復率が60%以上である
ことが好ましく、特に好ましくは70%以上95%以下
である。上記の範囲内であると、織編物に用いるとスト
レッチ性や膨らみ感に優れたものとなる。本発明の先染
糸は、横編(セーター等)、丸編・織物(アウター、イ
ンナー)、レース、口ゴムや襟部用の付属品、製紐、モ
ール糸、細巾テープ、靴下、サポーター、パンスト、タ
イツ、パイル織編物(アウター、カーシート等)、カー
ペット等に使用することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例などで具体
的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、測定方法、評価方法等は以下の通りで
ある。 (1)還元粘度(ηsp/c) ポリマーを、90℃でo−クロロフェノールに1g/デ
シリットルの濃度で溶解し、その後、得られた溶液をオ
ストワルド粘度管に移して35℃で測定し、下記式によ
り算出した。 ηsp/c=(T/T0 −1)/c 式中、Tは試料溶液の落下時間(秒)、T0 は溶剤の落
下時間(秒)、cは溶液濃度(g/デシリットル)を表
す。 【0021】(2)強伸度特性 東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用い、試料長2
0cm、引張速度20cm/分の条件で、引張強度(c
N/dtex)、伸度(%)、初期弾性率(cN/dt
ex)を測定した。 (3)捲縮伸長率 繊維に2.6×10-4cN/dtexの荷重を加えた状
態で、タバイ社製パーフェクトオーブンにて乾熱90℃
×15分処理を行い、一昼夜放置した後、JIS−L−
1090;伸縮性試験方法(A法)に準じて測定した。
なお、本発明の撚糸、弛緩熱処理、チーズワインドが一
体化した装置を用いて捲縮を顕在化させた糸条の捲縮伸
長率は乾熱処理を行わずに捲縮伸長率を測定した。 【0022】(4)沸水収縮率 JIS−L−1013;熱水収縮率測定法(B法)に準
拠して測定を行った。尚、熱水の温度は100℃とし
た。 (5)弾性回復率 繊維を、チャック間距離20cmに0.0294cN/
dtexの初荷重をかけて引張試験機に取り付け、引張
速度20cm/分で伸長率20%まで伸長し、1分間放
置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み
曲線を描く。収縮中、応力が0.0294cN/dte
xになった時の伸びを残留伸び(A)とする。20%伸
長時の弾性回復率は下記の式に従って求めた。 20%伸長時の弾性回復率(%)={(20−A)/2
0}×100 また10%伸長時の弾性回復率は、初荷重及び残留伸び
を読み取る応力を0.08826cN/dtexとし、
伸長率を10%までとして、上記と同様に行い、下記の
式に従って求めた。 10%伸長時の弾性回復率(%)={(10−A)/1
0}×100 【0023】(6)横編地のストレッチ性 JIS−L−1018;伸長弾性率A法(定伸長法)に
準拠して行った。自記装置付の定速引張試験機を用い、
10cm幅×15cm長さの試験片を用い、初荷重2.
942cNをかけた後、つかみ幅2.5cm、つかみ間
距離10cmで、速度10cm/分で伸長率100%に
なるまで伸長し、1分間放置する。その後再び同じ速度
で収縮させ、応力−歪み曲線を描き、収縮中応力が初荷
重と同じ応力になった時の残留伸びをL(mm)とし
て、下記の式に従って回復率を求めた。 回復率(%)={(100−L)/100}×100 得られた横編地の回復率から、ストレッチ性を下記のラ
ンク付けを行った。 ◎:回復率が90%を越える。 ○:回復率が85%以上90%未満。 △:回復率が80%以上85%未満。 ×:回復率が70%未満。 【0024】(7)横編地の膨らみ感 繊維の研究に従事する10人の検査員によって手触りに
よる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。 ○:膨らみ感がある。 △:やや膨らみ感がある。 ×:膨らみ感がない。 【0025】(8)横編地の風合い 繊維の研究に従事する10人の検査員によって手触りに
よる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。 ○:ソフトと感じる。 △:ややソフトと感じる。 ×:硬いと感じる。 【0026】 【実施例1】ηsp/c=0.8のポリトリメチレンテ
レフタレートを、紡糸温度265℃、紡糸速度1200
m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール
温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3
倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/
36fの延伸糸を得た。延伸糸の強度、伸度、弾性率並
びに20%伸長時の弾性回復率は、各々3.2cN/d
tex、46%、24cN/dtex並びに85%であ
った。得られた84dtex/36fのポリトリメチレ
ンテレフタレートマルチフィラメント原糸を、石川製作
所(株)社製のピン仮撚機IVF338を用いて、糸速
190m/分、仮撚数3400T/m、仮撚加工温度1
70℃、1stフィード0.0%とし、仮撚方向SとZ
方向のそれぞれ1本づつを引き揃えて、TUフィード
4.1%の条件で加工を施し仮撚加工糸を得た。得られ
た仮撚糸の捲縮伸長率は195%であった。 【0027】得られた84dtex/36f双糸の仮撚
糸を石川製作所社製のDDWを用いて撚糸、弛緩熱処
理、チーズワインドを一貫工程で行ってチーズを得た。
尚、加工条件並びにこの糸条の物性は表1に示した。得
られたチーズをチーズ染色機(日阪製作所(株)製、小
型チーズ染色機)にセットし、花王社製スコアロールF
C−250(1g/リットル)を添加して、流量40リ
ットル/分で常温から2℃/分の昇温速度で90℃まで
昇温し、90℃で10分間精練を行った。 【0028】精練後、脱水、水洗を行い分散染料(Di
anix Blue AC−E:1%omf)、分散剤
(ディスパーTL0.5g/リットル)を加え、更に酢
酸にてpH5に調整した後、流量40リットル/分でイ
ン−アウトで染液を循環し、2℃/分昇温速度で110
℃まで昇温し、110℃で30分染色を行った。染色
後、脱水、水洗を行い水酸化ナトリウム1g/l、ハイ
ドロサルファイト2g/l、サンモールRC−7001
g/l(日華化学社製)にて流量40リットル/分で2
℃/分の昇温速度で70℃まで昇温し、70℃で20分
間還元洗浄を行った。 【0029】還元洗浄後、脱液、中和水洗を行い、シリ
コーン系柔軟剤(ロンサイズK−22、一方社(株)
製)を5%omf添加し、50℃で20分オイリング処
理を行った。脱水後、乾燥を行って先染糸を得た。得ら
れた先染糸の物性は表2に示した。この先染糸を横編機
(コッポ(株)製、14ゲージ)に3本引き揃え24コ
ース、20ウエルの天竺組織の横編地を作成し、ホフマ
ンプレス機(神戸電気工業(株)製、神戸プレス)にて
スチーム仕上げを行って横編地を得た。横編地の布帛特
性を評価した結果を表2に示すが、ストレッチ性、膨ら
み感に優れ、風合いもソフトであった。 【0030】 【実施例2】実施例1と同様にして167dtex/4
8fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメ
ント原糸を得た。得られた原糸の物性は強度3.5cN
/dtex、伸度45%、弾性率22cN/dtex、
20%伸長時の弾性回復率87%であった。得られた原
糸を用いて、仮撚数を2800T/mに変更し、仮撚方
向をZの1本とした(捲縮伸長率は200%)以外は実
施例1と同様にてチーズを作成した。この糸条の物性を
表1に示した。得られたチーズを実施例1と同様にチー
ズ染色、仕上げを行った。得られた先染糸の物性は表2
に示した。この先染糸を実施例1と同様にして横編地を
得た。横編地の布帛特性は、表2に示すように、ストレ
ッチ性、膨らみ感に優れ、風合いもソフトであった。 【0031】 【実施例3〜5】実施例1において、撚糸、弛緩熱処
理、チーズワインドを一貫工程の加工条件を表1に変更
した(糸条の物性を表1に示す)以外は実施例と同様に
して先染糸と横編地を得た。得られた先染糸並びに横編
地の物性は表2に示す。実施例3〜5はいずれも捲縮伸
長率が高く、10%伸長時の回復率も優れており、横編
地の布帛特性評価結果からも、ストレッチ性、膨らみ感
に優れており、風合いもソフトなものであった。 【0032】 【比較例1】実施例1において、84dtex/32f
のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント
原糸の代わりに、84dtex/36fポリエチレンテ
レフタレート原糸(旭化成(株)社製、強度3.9cN
/dtex、伸度35%、弾性率97cN/dtex、
20%伸長時の弾性回復率25%)を用い、仮撚条件
を、仮撚数3200T/m、仮撚加工温度220℃に変
更した以外は、実施例1と同様にして仮撚加工を行っ
た。得られた仮撚糸の捲縮伸長率は145%であった。
得られた仮撚糸を用いて、染色温度を130℃に変更し
た以外は実施例1と同様にして、先染糸を得た。得られ
た先染糸の物性は表1に示した。得られた先染糸を用い
て実施例1と同様にして横編地を得た。横編地の布帛特
性は、表2に示すように、膨らみ感はややあるものの、
ストレッチ性に劣り、風合いも硬いものであった。 【0033】 【表1】 【0034】 【表2】 【0035】 【発明の効果】本発明により、ストレッチ性、膨らみ感
に優れ、風合いがソフトなポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維の捲縮糸で構成されたチーズ先染糸を提供する
ことができる。
テレフタレート繊維で構成された捲縮糸のチーズをチー
ズ染色して先染糸を製造するに際し、撚糸、弛緩熱処理
並びにチーズワインド工程が連続的かつ一体化した製造
装置を用いてチーズを作製することを特徴とする先染糸
の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、ナイロン繊維の持つ柔軟性とポリエステル繊維の持
つ機械的物性を併せて有し、ストレッチ性(伸び易さと
伸びた後の回復のし易さ)に優れた特徴を有する繊維で
あり、衣料用途分野に用いられている。特に、仮撚加工
等の糸加工によって捲縮を付与したポリトリメチレンテ
レフタレート繊維を用いた織編物を、反染めと言われる
織編物にした後に染色を施すと、ストレッチ性、膨らみ
感に優れた織編物が得られている。 【0003】一方、高級化や、複雑な配色というファッ
ション性の面から、糸条を染色した後に織編物にするい
わゆる先染織編物でも、ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維の捲縮糸が持つ優れたストレッチ性、膨らみ感を
発揮させたいという要望が高まってきている。しかしな
がら、これ迄、仮撚加工等の糸加工によって捲縮を付与
したポリトリメチレンテレフタレート繊維のチーズ先染
糸では、捲縮伸長率が十分とはいえず、織編物にして
も、反染めによって得られた織編物に比べると、ストレ
ッチ性、膨らみ感に劣るものしか得られておらず、現
在、ストレッチ性、膨らみ感に優れた織編物が得られる
先染糸の生産に至っていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高捲
縮で弾性回復率に優れ、織編物に用いると優れたストレ
ッチ性と膨らみ感を有し、風合いがソフトとなるチーズ
先染糸の製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題について鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
即ち、本発明はポリトリメチレンテレフタレート繊維で
構成された捲縮糸のチーズをチーズ染色して先染糸を製
造するに際し、撚糸、弛緩熱処理並びにチーズワインド
工程が連続的かつ一体化した製造装置を用いてチーズを
作製することを特徴とする先染糸の製造方法である。 【0006】本発明において、ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維とは、トリメチレンテレフタレート単位を
主たる繰り返し単位とするポリエステル繊維をいい、ト
リメチレンテレフタレート単位を約50モル%以上、好
ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以
上、さらに好ましくは90モル%以上含有するものをい
う。従って、他の酸成分及び/又はグリコール成分の合
計量が、約50モル%以下、好ましくは30モル%以
下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは
10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテ
レフタレートを包含する。 【0007】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより製造される。こ
の製造過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよいし、又、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエ
ステルやナイロンと、ポリトリメチレンテレフタレート
とをブレンドしてもよい。 【0008】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキ
シ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上
のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又
はグリセリン等)も重合体が実質的に線状である範囲内
で使用出来る。 【0009】さらに二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等
の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線
吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていてもよい。繊維の形態は、長繊維が好
ましく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよ
く、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y
型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形
型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。さらに糸
条の形態としては、マルチフィラメント原糸(極細糸を
含む)、空気噴射加工糸等が挙げられる。 【0010】本発明において使用するポリトリメチレン
テレフタレート繊維は、破断強度2.2〜4.5cN/
dtex、破断伸度30〜55%、ヤング率14〜24
cN/dtex、20%伸長時の弾性回復率60〜95
%、沸水収縮率4〜20%であることが好ましい。ま
た、繊度は20〜550dtexが好ましく、特に30
〜220dtexが好ましい。単糸繊度は0.1〜12
dtexが好ましく、特に0.5〜5dtexが、柔軟
な風合いが得られるので好ましい。本発明において、ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維の紡糸方法について
は、1500m/分程度の巻取り速度で未延伸糸を得た
後、2〜3.5倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程
を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取り速度50
00m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)
等の何れを採用しても良い。 【0011】本発明において、チーズ先染糸はポリトリ
メチレンテレフタレート繊維の捲縮糸で構成されている
ことが重要である。捲縮糸としては仮撚加工、押し込み
加工、ニットデニット加工等で捲縮加工を付与したもの
が例示される。捲縮糸の物性としては、捲縮伸長率が5
0%以上であることが好ましく、より好ましくは100
%以上である。この範囲である糸条を用いることによ
り、捲縮伸長率が50%以上の先染糸を得ることが出来
る。なお、ここで云う捲縮伸長率とは、2.6×10-4
cN/dtexの荷重下で乾熱90℃×15分処理を行
い、一昼夜放置した後、JIS−L−1090 伸縮性
試験方法(A法)に準じて測定したものである。 【0012】特に、捲縮糸としては、高い捲縮伸長率が
得られやすい仮撚加工糸が好ましい。仮撚加工として
は、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタ
イプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等いかな
る方法によるものでも良いが、1ヒーター仮撚が高捲縮
が得られるので好ましい。さらにPOYの延伸仮撚であ
ってもよい。仮撚ヒーター温度は、本発明の目的が達成
できれば任意に設定することができ、一般的には、第1
ヒーターの出口直後の糸条温度を100℃以上200℃
以下とすることが好ましく、より好ましくは120℃以
上180℃以下、特に好ましくは130℃以上170℃
以下の範囲である。 【0013】仮撚数Tは、ポリエチレンテレフタレート
系ポリエステル繊維の仮撚加工で通常に用いられる範囲
でよく、次式で計算される。この場合、仮撚数の係数K
の値が17600〜35000の範囲であることが好ま
しく、仮撚加工糸によって好ましい仮撚数Tが決定され
る。 T(T/m)=K/{仮撚加工糸の繊度(dtex)}
0.5 尚、仮撚加工した捲縮糸は残留トルクがあるので、この
トルクを軽減する為に仮撚方向の異なる捲縮糸を2本以
上引き揃えても構わない。さらに、収束性を高めるため
にインターレースノズルを用いて交絡させても構わな
い。本発明において、捲縮糸は撚糸、弛緩熱処理並びに
チーズワインド工程が連続的かつ一体化した製造装置を
用いてチーズを作製し、捲縮を顕在化させることが重要
である。 【0014】この様な装置を用いることで捲縮糸を撚糸
してから潜在的にある捲縮を均一に発現することでき、
チーズにソフトワインドが可能となるため、チーズ染色
後のコーンへの解舒性も良好で、高い捲縮伸長率を持つ
先染糸が得られる。このような装置の代表例としては石
川製作所社製のDDW装置が挙げられる。この装置はダ
ブルツイスター方式で撚糸し、次いで、エプロンニップ
方式のフィード装置により積極的に糸を送り出し、パイ
プヒーターで非接触加熱を行って捲縮を顕在化させ、そ
の後、クイックトラバース方式で低テンション、低接圧
でワインド可能なチーズワインダーからなる工程が連続
的かつ一体化したものである。捲縮の顕在化を効率良く
行うために、パイプヒーター長やパイプ径を変更しても
構わない。また、必要に応じて、撚糸方向を各錘毎に変
更できる装置やセンサーカッター、突上げ装置を付与し
た装置であっても構わない。更に、パイプヒーターとチ
ーズワインダーの間に独立駆動できるエプロンニップ方
式等のフィードローラーをつけて、チーズワインド時に
フィード率を変更できるようにしても構わない。 【0015】本発明の捲縮糸を撚糸、弛緩熱処理並びに
チーズワインド工程が連続的かつ一体化した装置で捲縮
を顕在化した糸の物性としては、捲縮伸長率が20%以
上(但し、この捲縮伸長率は前述の測定方法で乾熱処理
を行わずに測定した値である)、より好ましくは30%
〜250%以上、特に好ましくは40〜200%であ
り、沸水収縮率が3%以下、好ましくは2%以下であ
る。また、本発明の特定の方法で得られたチーズの形態
としては巻密度は0.05〜0.5g/cm3 、好まし
くは0.08〜0.3g/cm3 、特に好ましくは0.
1〜0.25g/cm3 であり、糸の巻き量としても1
00〜2000g、好ましくは500〜1100gであ
る。捲縮を顕在化した糸の物性及びチーズ形態がこの範
囲内にあれば、チーズ染色後のチーズ内外層での色差が
なく、糸長方向の捲縮斑もなく均一で、高捲縮な先染糸
を得る事ができる。 【0016】具体的な製造方法としては、例えば、石川
製作所社製DDW装置を用い、加工速度を50〜200
m、好ましくは80〜150m/分とし、撚糸を0〜1
000T/m、好ましくは50〜350T/m行って、
弛緩熱温度を100〜220℃、好ましくは150〜2
10℃にして、弛緩率を30〜200%、好ましくは1
20〜180%にすれば良い。尚、ここで云う弛緩率と
は、下式で算出した値である。 弛緩率=〔パイプヒーター入口の糸速/チーズワインド
時の糸速〕×100 尚、撚糸の撚り方向としては特に限定されるものではな
く、必要に応じて適宜選定すればよいが、捲縮糸に仮撚
方向が片方向のみの仮撚糸を用いる場合には、撚糸の方
向としては、仮撚方向と逆方向に撚糸を行うと、先染糸
の捲縮伸長率を高くすることができるので好ましい。ま
た、撚糸回数を高くしたい場合等には、必要に応じて、
本発明の装置で加工する前の捲縮糸にイタリー撚糸機、
リング撚糸機、ダブルツイスター等を使用して撚糸を行
っても構わない。 【0017】チーズワインド条件としては、巻取り時の
オーバーフィード率を2〜10%、好ましくは3〜5%
に設定して、糸量を100〜2000gにして、チーズ
を作成すれば良い。本発明の特定な製造方法で得られた
チーズはチーズ染色される。チーズ染色方法としては、
特に限定されるものではなく、通常、PET等で行われ
ている方法を採用すれば良い。例えば、一般に使用され
ているチーズ染色機を使用して、精練は通常行われてい
る様に原糸油剤等が洗浄される条件であれば良く、ノニ
オン系界面活性剤、炭酸ソーダ等の存在下で50℃〜9
0℃で10〜30分行えばよい。 【0018】ポリトリメチレンテレフタレート繊維の染
色には、一般に行われているポリエチレンテレフタレー
ト繊維を分散染料を用いて染色する方法を採用すれば良
く、アルカリ耐性のある分散染料を用いてpH8〜11
のアルカリ染色を行っても構わない。染色温度は90℃
〜130℃、時間は15分〜120分の範囲であれば良
いが、ポリトリメチレンテレフタレート繊維はガラス転
移点が低いので90℃〜120℃といった従来のポリエ
チレンテレフタレート繊維より低温で染色しても優れた
発色性が得られる特徴がある。更に、染色堅牢度を向上
させる目的で、還元洗浄やソーピングを行っても構わな
い。また、本発明の糸条の編立性、柔軟性を向上させる
ために一般に市販されているオイリング油剤等をチーズ
形態や糸条で付与しても構わない。 【0019】本発明の製造方法で得られたチーズ先染糸
の物性としては、捲縮伸長率が20%以上であり、好ま
しくは40〜250%、特に好ましくは50〜200%
であり、10%伸長時の弾性回復率が60%以上である
ことが好ましく、特に好ましくは70%以上95%以下
である。上記の範囲内であると、織編物に用いるとスト
レッチ性や膨らみ感に優れたものとなる。本発明の先染
糸は、横編(セーター等)、丸編・織物(アウター、イ
ンナー)、レース、口ゴムや襟部用の付属品、製紐、モ
ール糸、細巾テープ、靴下、サポーター、パンスト、タ
イツ、パイル織編物(アウター、カーシート等)、カー
ペット等に使用することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例などで具体
的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、測定方法、評価方法等は以下の通りで
ある。 (1)還元粘度(ηsp/c) ポリマーを、90℃でo−クロロフェノールに1g/デ
シリットルの濃度で溶解し、その後、得られた溶液をオ
ストワルド粘度管に移して35℃で測定し、下記式によ
り算出した。 ηsp/c=(T/T0 −1)/c 式中、Tは試料溶液の落下時間(秒)、T0 は溶剤の落
下時間(秒)、cは溶液濃度(g/デシリットル)を表
す。 【0021】(2)強伸度特性 東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用い、試料長2
0cm、引張速度20cm/分の条件で、引張強度(c
N/dtex)、伸度(%)、初期弾性率(cN/dt
ex)を測定した。 (3)捲縮伸長率 繊維に2.6×10-4cN/dtexの荷重を加えた状
態で、タバイ社製パーフェクトオーブンにて乾熱90℃
×15分処理を行い、一昼夜放置した後、JIS−L−
1090;伸縮性試験方法(A法)に準じて測定した。
なお、本発明の撚糸、弛緩熱処理、チーズワインドが一
体化した装置を用いて捲縮を顕在化させた糸条の捲縮伸
長率は乾熱処理を行わずに捲縮伸長率を測定した。 【0022】(4)沸水収縮率 JIS−L−1013;熱水収縮率測定法(B法)に準
拠して測定を行った。尚、熱水の温度は100℃とし
た。 (5)弾性回復率 繊維を、チャック間距離20cmに0.0294cN/
dtexの初荷重をかけて引張試験機に取り付け、引張
速度20cm/分で伸長率20%まで伸長し、1分間放
置した。その後、再び同じ速度で収縮させ、応力−歪み
曲線を描く。収縮中、応力が0.0294cN/dte
xになった時の伸びを残留伸び(A)とする。20%伸
長時の弾性回復率は下記の式に従って求めた。 20%伸長時の弾性回復率(%)={(20−A)/2
0}×100 また10%伸長時の弾性回復率は、初荷重及び残留伸び
を読み取る応力を0.08826cN/dtexとし、
伸長率を10%までとして、上記と同様に行い、下記の
式に従って求めた。 10%伸長時の弾性回復率(%)={(10−A)/1
0}×100 【0023】(6)横編地のストレッチ性 JIS−L−1018;伸長弾性率A法(定伸長法)に
準拠して行った。自記装置付の定速引張試験機を用い、
10cm幅×15cm長さの試験片を用い、初荷重2.
942cNをかけた後、つかみ幅2.5cm、つかみ間
距離10cmで、速度10cm/分で伸長率100%に
なるまで伸長し、1分間放置する。その後再び同じ速度
で収縮させ、応力−歪み曲線を描き、収縮中応力が初荷
重と同じ応力になった時の残留伸びをL(mm)とし
て、下記の式に従って回復率を求めた。 回復率(%)={(100−L)/100}×100 得られた横編地の回復率から、ストレッチ性を下記のラ
ンク付けを行った。 ◎:回復率が90%を越える。 ○:回復率が85%以上90%未満。 △:回復率が80%以上85%未満。 ×:回復率が70%未満。 【0024】(7)横編地の膨らみ感 繊維の研究に従事する10人の検査員によって手触りに
よる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。 ○:膨らみ感がある。 △:やや膨らみ感がある。 ×:膨らみ感がない。 【0025】(8)横編地の風合い 繊維の研究に従事する10人の検査員によって手触りに
よる官能検査を行い、下記のランク付けを行った。 ○:ソフトと感じる。 △:ややソフトと感じる。 ×:硬いと感じる。 【0026】 【実施例1】ηsp/c=0.8のポリトリメチレンテ
レフタレートを、紡糸温度265℃、紡糸速度1200
m/分で紡糸して未延伸糸を得、次いで、ホットロール
温度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3
倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/
36fの延伸糸を得た。延伸糸の強度、伸度、弾性率並
びに20%伸長時の弾性回復率は、各々3.2cN/d
tex、46%、24cN/dtex並びに85%であ
った。得られた84dtex/36fのポリトリメチレ
ンテレフタレートマルチフィラメント原糸を、石川製作
所(株)社製のピン仮撚機IVF338を用いて、糸速
190m/分、仮撚数3400T/m、仮撚加工温度1
70℃、1stフィード0.0%とし、仮撚方向SとZ
方向のそれぞれ1本づつを引き揃えて、TUフィード
4.1%の条件で加工を施し仮撚加工糸を得た。得られ
た仮撚糸の捲縮伸長率は195%であった。 【0027】得られた84dtex/36f双糸の仮撚
糸を石川製作所社製のDDWを用いて撚糸、弛緩熱処
理、チーズワインドを一貫工程で行ってチーズを得た。
尚、加工条件並びにこの糸条の物性は表1に示した。得
られたチーズをチーズ染色機(日阪製作所(株)製、小
型チーズ染色機)にセットし、花王社製スコアロールF
C−250(1g/リットル)を添加して、流量40リ
ットル/分で常温から2℃/分の昇温速度で90℃まで
昇温し、90℃で10分間精練を行った。 【0028】精練後、脱水、水洗を行い分散染料(Di
anix Blue AC−E:1%omf)、分散剤
(ディスパーTL0.5g/リットル)を加え、更に酢
酸にてpH5に調整した後、流量40リットル/分でイ
ン−アウトで染液を循環し、2℃/分昇温速度で110
℃まで昇温し、110℃で30分染色を行った。染色
後、脱水、水洗を行い水酸化ナトリウム1g/l、ハイ
ドロサルファイト2g/l、サンモールRC−7001
g/l(日華化学社製)にて流量40リットル/分で2
℃/分の昇温速度で70℃まで昇温し、70℃で20分
間還元洗浄を行った。 【0029】還元洗浄後、脱液、中和水洗を行い、シリ
コーン系柔軟剤(ロンサイズK−22、一方社(株)
製)を5%omf添加し、50℃で20分オイリング処
理を行った。脱水後、乾燥を行って先染糸を得た。得ら
れた先染糸の物性は表2に示した。この先染糸を横編機
(コッポ(株)製、14ゲージ)に3本引き揃え24コ
ース、20ウエルの天竺組織の横編地を作成し、ホフマ
ンプレス機(神戸電気工業(株)製、神戸プレス)にて
スチーム仕上げを行って横編地を得た。横編地の布帛特
性を評価した結果を表2に示すが、ストレッチ性、膨ら
み感に優れ、風合いもソフトであった。 【0030】 【実施例2】実施例1と同様にして167dtex/4
8fのポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメ
ント原糸を得た。得られた原糸の物性は強度3.5cN
/dtex、伸度45%、弾性率22cN/dtex、
20%伸長時の弾性回復率87%であった。得られた原
糸を用いて、仮撚数を2800T/mに変更し、仮撚方
向をZの1本とした(捲縮伸長率は200%)以外は実
施例1と同様にてチーズを作成した。この糸条の物性を
表1に示した。得られたチーズを実施例1と同様にチー
ズ染色、仕上げを行った。得られた先染糸の物性は表2
に示した。この先染糸を実施例1と同様にして横編地を
得た。横編地の布帛特性は、表2に示すように、ストレ
ッチ性、膨らみ感に優れ、風合いもソフトであった。 【0031】 【実施例3〜5】実施例1において、撚糸、弛緩熱処
理、チーズワインドを一貫工程の加工条件を表1に変更
した(糸条の物性を表1に示す)以外は実施例と同様に
して先染糸と横編地を得た。得られた先染糸並びに横編
地の物性は表2に示す。実施例3〜5はいずれも捲縮伸
長率が高く、10%伸長時の回復率も優れており、横編
地の布帛特性評価結果からも、ストレッチ性、膨らみ感
に優れており、風合いもソフトなものであった。 【0032】 【比較例1】実施例1において、84dtex/32f
のポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント
原糸の代わりに、84dtex/36fポリエチレンテ
レフタレート原糸(旭化成(株)社製、強度3.9cN
/dtex、伸度35%、弾性率97cN/dtex、
20%伸長時の弾性回復率25%)を用い、仮撚条件
を、仮撚数3200T/m、仮撚加工温度220℃に変
更した以外は、実施例1と同様にして仮撚加工を行っ
た。得られた仮撚糸の捲縮伸長率は145%であった。
得られた仮撚糸を用いて、染色温度を130℃に変更し
た以外は実施例1と同様にして、先染糸を得た。得られ
た先染糸の物性は表1に示した。得られた先染糸を用い
て実施例1と同様にして横編地を得た。横編地の布帛特
性は、表2に示すように、膨らみ感はややあるものの、
ストレッチ性に劣り、風合いも硬いものであった。 【0033】 【表1】 【0034】 【表2】 【0035】 【発明の効果】本発明により、ストレッチ性、膨らみ感
に優れ、風合いがソフトなポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維の捲縮糸で構成されたチーズ先染糸を提供する
ことができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 山崎 博
大阪府高槻市八丁畷町11番7号 旭化成株
式会社内
(72)発明者 佐藤 浩和
大阪府大阪市中央区大手前1−7−31 グ
ンゼ産業株式会社内
(72)発明者 角浦 孝俊
石川県小松市串茶屋町い90番地 有限会社
角浦合繊内
Fターム(参考) 4H057 AA02 DA01 DA33 GA07
4L036 MA05 MA33 RA04 UA01 UA16
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリトリメチレンテレフタレート繊維で
構成された捲縮糸のチーズをチーズ染色して先染糸を製
造するに際し、撚糸、弛緩熱処理並びにチーズワインド
工程が連続的かつ一体化した製造装置を用いてチーズを
作製することを特徴とする先染糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001204420A JP2003020530A (ja) | 2001-07-05 | 2001-07-05 | 先染糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2001204420A JP2003020530A (ja) | 2001-07-05 | 2001-07-05 | 先染糸の製造方法 |
Publications (1)
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---|---|
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