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JP2002515734A - 遺伝子改変された樹状細胞により媒介される免疫刺激 - Google Patents

遺伝子改変された樹状細胞により媒介される免疫刺激

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JP2002515734A
JP2002515734A JP52437797A JP52437797A JP2002515734A JP 2002515734 A JP2002515734 A JP 2002515734A JP 52437797 A JP52437797 A JP 52437797A JP 52437797 A JP52437797 A JP 52437797A JP 2002515734 A JP2002515734 A JP 2002515734A
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cell
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dendritic
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JP52437797A
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エス. ソン,エリザベス
チャダ,サニル
リー,バージニア
ジェイ. ジォリー,ダグラス
Original Assignee
カイロン コーポレイション
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 インビボまたはエクスビボで樹状細胞を遺伝的に改変することによって、1つ以上の疾患関連抗原に対する免疫応答を刺激するために有用な、組成物および方法が提供される。これらの組成物および方法は、従来の方法によって得られ得る免疫刺激レベルに匹敵する免疫刺激レベルを達成するために、より少ない投与量の遺伝子送達ビヒクルを投与することを可能とする。あるいは、従来の遺伝子送達ビヒクルの投与量の投与が、得られる免疫応答を増強する。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝子改変された樹状細胞により媒介される免疫刺激発明の技術分野 本発明は一般に組換えDNA技術に関する。詳細には、本発明は、(i)樹状細胞の インビボでの形質導入、または(ii)少なくとも1つの疾患関連抗原を機能的にコ ードする発現ベクターによってエクスビボで形質導入された樹状細胞の投与によ る、動物の免疫系の予防的または治療的刺激のために有用な組成物または方法に 関する。発明の背景 疾患に関連する抗原に対する免疫系刺激は、疾患の予防のための認容されたア プローチである。従来の技術は、種々のウイルス病原から作製された死菌ワクチ ンまたは弱毒化生ワクチンの使用を包含した。組換えDNA技術の出現によって、 ウイルス感染と戦うための、より安全なワクチンの新世代(ここで、免疫刺激物 は典型的には病原によってコードされる免疫原性タンパク質である)の開発が可 能となった。 これらの技術にもかかわらず、多くのウイルス疾患およびガンについては、有 効な処置または予防手段はわずかしか開発されていない。近年、いくつかのグル ープが、遺伝子治療技術の使用による、HIVコード遺伝子産物に対する動物での 免疫誘導を報告している。具体的には、HIV env/rev遺伝子をコードするレトロ ウイルスベクターによってエクスビボで形質導入された自己線維芽細胞を、マウ ス、非ヒト霊長類、およびヒトに注射して、これらの抗原に対する免疫応答を誘 導した。Warnerら、1991;Laubeら、1993;およびZeignerら、1994を参照のこと 。 しかし、このようなエクスビボのアプローチは、個別の産物(すなわち形質導 入された自己細胞)を各患者ごとに作製しなければならないので、大規模なワク チン接種プログラムのためには実用的ではない。エクスビボのアプローチのこの ような欠点および他の欠点を克服するために、疾患特異的免疫原の発現を指向す る発現ベクターを保有する遺伝子送達ビヒクルを患者に直接投与する、インビボ 技術の開発が企てられている。WO 91/02805、WO 93/10814、WO 93/15207、WO 94 /O6921、WO 94/21792、およびWO 95/07994を参照のこと。Irwinら(1994)は、マ ウス、アカゲザル、およびヒヒへの組換えレトロウイルスの筋肉内注射の後の、 特定の免疫原に対する免疫誘導を報告した。疾患関連抗原に対する改良された免 疫刺激を可能とする組成物および方法が必要とされている。発明の要旨 本発明の目的は、哺乳動物、特にヒトを包含する動物の免疫予防的または免疫 治療的処置のための組成物および方法を提供することにある。本発明の組成物は 、ガンのような疾患に対して、あるいは細菌性、寄生虫性、またはウイルス性の 感染対して動物を免疫するために、動物に免疫原(すなわち、疾患関連抗原)を 送達するために使用され得る。このような免疫は、(i)遺伝子送達ビヒクルによ って送達される発現ベクターによってコードされ、次いでインビボで抗原提示細 胞(APC)の表面上で発現および提示される免疫原、または(ii)エクスビボでこの ような発現ベクターによって形質導入されたAPC(特に、樹状細胞)の表面上に 提示される免疫原に対する、細胞性免疫応答の発生の結果である。 本発明の1つの局面は、インビボまたはインビトロであれ、樹状細胞を標的と する遺伝子送達ビヒクルに関する。このような遺伝子送達ビヒクルは、樹状細胞 標的エレメントおよび少なくとも1つの疾患関連抗原の発現を指向する発現ベク ターを含む。1つの実施態様において、発現ベクターは組換えウイルスによって 保有される。組換えウイルスは本発明の実施において有用であり、DNAウイルス およびRNAウイルスの両方を包含する。好ましい実施態様において、組換えウイ ルスは、マイナス鎖RNAウイルスまたはプラス鎖RNAウイルスのいずれか由来のも のである。組換えウイルスが由来し得るプラス鎖RNAウイルスの例としては、レ トロウイルス類(例えば、ニワトリ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、マウ ス白血病ウイルス、ミンク細胞フォーカス形成ウイルス、マウス肉腫ウイルス、 細網内皮症ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、メイソン−パイツァーサルウイルス 、ヒヒ内因性ウイルス、ネコ内因性レトロウイルス、テナガザル白血病ウイルス 、 HIV I、HTLV I、およびHTLV III)、特にマウスレトロウイルス類、トガウイル ス類、例えば、アルファウイルス類、特にシンドビスウイルス、セムリキ森林ウ イルス、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス、ピコルナウイルス類、ならびにコ ロナウイルス類が挙げられ、レトロウイルス類およびアルファウイルス類由来の ものが好ましい。組換えウイルスが由来し得るマイナス鎖RNAウイルスの例とし ては、ラブドウイルス類(例えば、水疱性口内炎ウイルス)、ミクソウイルス類 、パラミクソウイルス類、オルトミクソウイルス類(例えば、インフルエンザウ イルス)、およびブニアウイルス類が挙げられる。本発明の実施において有用な 組換えウイルスが由来し得る有用なDNAウイルスは、アデノウイルス類およびア デノ随伴ウイルス類を含む。 他の実施態様において、遺伝子送達ビヒクルは非ウイルス性の遺伝子送達ビヒ クルである。すなわち、発現ベクターはウイルスによって保有されていない。こ の発現ベクターはDNAまたはRNAのいずれかであり、そして線状または環状であり 得る。特に好ましい発現ベクターは、真核生物層状(layered)ベクター開始系で ある。1つの実施態様において、発現ベクターは1つ以上のポリヌクレオチド凝 集剤(condensing agent)と複合体を形成する。ポリヌクレオチド凝集剤はポリカ チオンを包含する。好ましいポリカチオンとしては、ポリリジン、ポリアルギニ ン、ヒストン、プロタミン、スペルミジン、およびスペルミンが挙げられ、ポリ リジンが特に好ましい。別の実施態様において、発現ベクターは、樹状細胞標的 エレメントのみと複合体を形成する。さらに別の実施態様において、発現ベクタ ーは脂質と会合し、好ましくはリポソーム(特にカチオン性脂質で構成されるリ ポソーム)中にカプセル化されている。 遺伝子送達ビヒクルが樹状細胞を標的とする場合、樹状細胞標的エレメントは 、遺伝子送達ビヒクルを樹状細胞に標的する任意の分子であり得る。種々の実施 態様は、樹状細胞標的エレメントが、高親和性結合対、樹状細胞表面マーカーに 対して反応性の抗体、および樹状細胞表面マーカーに対して反応性の抗体由来の 抗原結合ドメインからなる群から選択される実施態様を包含する。好ましい高親 和性結合対としては、ビオチン/アビジン、シトスタチン/パパインおよびホス ホネート/カルボキシペプチダーゼAからなる群から選択されるものを含む。好 ま しい樹状細胞表面マーカー(これに対して抗体(または抗体由来の抗原結合ドメ イン)が生じて樹状細胞標的エレメントを生成する)としては、CD11c、CD54、C D58、CD25、CD11a、CD23、CD32、CD40、CD1、CD45、MHCクラスI、MHCクラスII 、Mac-1、Mac-2、およびMac-3が挙げられる。他の実施態様において、樹状細胞 標的エレメントはハイブリッドエンベロープタンパク質であり、ここでエンベロ ープ部分はウイルスエンベロープタンパク質(例えば、レトロウイルスエンベロ ープタンパク質)由来であり、そして樹状細胞標的エレメントは、樹状細胞原形 質膜上に提示される分子と特異的に相互作用するタンパク質由来である。 本発明の発現ベクターは少なくとも1つの疾患関連抗原の発現を指向する。そ のような抗原は好ましくは、ガン、過剰増殖性疾患、細菌感染、寄生虫感染、お よびウイルス感染からなる群から選択される疾患に関連する。本明細書中に記載 される免疫刺激組成物および方法を用いて処置、抑制、または予防され得るガン としては、とりわけ、乳ガン、大腸ガン、メラノーマ、肺ガン、脳ガン、および 白血病が挙げられる。処置、抑制、または予防され得る細菌感染としては、とり わけ、肺炎、敗血病、結核、およびブドウ球菌感染症(staph infections)が挙げ られる。処置され得る寄生虫感染としては、とりわけ、マラリア(Plasmodium属 の原虫(P.falciparum、P.malariae、P.ovale、およびP.vivaxを包含する)によ って引き起こされる)、睡眠病(トリパノソーマによって引き起こされる)、お よび眼オンコセルカ症を引き起こす感染が挙げられる。本明細書中に記載される 組成物および方法を用いて処置、抑制、または予防され得るウイルス感染として は、とりわけ、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、非A非B肝炎、デルタ型肝炎因 子(hepatitis delta agent)、CMV、エプスタイン・バールウイルス、HTLV I、HT LV II、およびHIV Iによって引き起こされる感染が挙げられる。 1つの実施態様において、発現ベクターは1つの疾患関連抗原をコードする。 他の実施態様において、発現ベクターは複数の疾患関連抗原(例えば、2、3、 4、5、6、7、8、9、または10以上の抗原)をコードする。複数の疾患関連 抗原が1つの発現ベクターによってコードされる場合、それらの抗原は同じ疾患 または異なる疾患に関連し得る。あるいは、他の発現ベクターでコードされる疾 患とは異なる疾患に関連する1つ以上の抗原を各々コードする発現ベクターの組 み合わせを含む組成物もまた調製され得る。異なる疾患に関連する1つ以上の抗 原をコードする組成物がワクチンとして特に有用である。 本発明の本局面のさらに別の実施態様において、発現ベクターはまた免疫調節 補因子をコードする。 本発明の好ましい実施態様は、本発明の種々の遺伝子送達ビヒクルおよび薬学 的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含む薬学的組成物に関する。特に好まし い実施態様としては、薬学的組成物が固体形態である実施態様が挙げられる。 本発明の第2の局面は、遺伝的に改変された樹状細胞を産生するためのインビ ボの方法に関する。そのような方法は、樹状細胞を標的とする遺伝子送達ビヒク ルを動物に投与する工程を包含し、ここで遺伝子送達ビヒクルは樹状細胞標的エ レメントおよび少なくとも1つの疾患関連抗原の発現を指向する発現ベクターを 含む。 関連する局面において、予防方法が提供される。1つの実施態様において、予 防は、予防有効量の本発明による遺伝子送達ビヒクルを動物に投与することによ って達成される。別の実施態様において、予防は、疾患関連抗原の少なくとも抗 原性部分をコードする遺伝子の発現を指向するに十分な遺伝情報をコードする発 現ベクターを保有する遺伝子送達ビヒクルによってエクスビボで形質導入された 、予防有効量の樹状細胞集団を動物に投与することによって達成される。 本発明のさらに別の関連する局面において、疾患の治療的処置(予防ではなく )のための方法が提供される。1つの実施態様において、治療的処置は、樹状細 胞を標的とする治療有効量の遺伝子送達ビヒクルを動物に投与することによって 達成される。ここで遺伝子送達ビヒクルは、疾患関連抗原の少なくとも抗原性部 分をコードする遺伝子の発現を指向するに十分な遺伝情報をコードする発現ベク ターを保有する。別の実施態様において、治療的処置は、疾患関連抗原の少なく とも抗原性部分をコードする遺伝子の発現を指向するに十分な遺伝情報をコード する発現ベクターを保有する遺伝子送達ビヒクルによってエクスビボで形質導入 された、治療有効量の樹状細胞集団を動物に投与することによって達成される。 このような動物の予防または処置方法は、遺伝子送達ビヒクル、あるいは、単 回または複数回エクスビボで形質導入された樹状細胞集団の、一度の直接注射に よって達成され得る。別の実施態様において、この方法は、本発明の遺伝子送達 ビヒクル、あるいはエクスビボで形質導入された樹状細胞集団を、ほとんど同時 に複数部位へ投与することを包含する。好ましい投与経路は、静脈内経路および 皮下経路を包含する。このような方法による予防的処置に好ましい動物は、鳥類 、哺乳動物、および魚類を包含する。特に好ましい哺乳動物は、ヒト、ウシ、ウ マ、イヌ、ネコ、ブタ、およびヒツジからなる群から選択される哺乳動物を包含 する。 本発明のさらに別の局面は、遺伝的に改変された樹状細胞を生産するエクスビ ボの方法に関する。1つの実施態様において、このような方法は、樹状細胞から 実質的に構成される(すなわち、約50%を超える樹状細胞、より好ましくは約75 %を超える樹状細胞、より好ましくはさらに約90%を超える樹状細胞であり、約 95%を超える樹状細胞が特に好ましい)細胞の集団を得る工程、および本発明の 遺伝子送達ビヒクルの導入によってこの細胞集団を遺伝的に改変する工程を包含 する。別の実施態様において、この方法は、樹状細胞を含む細胞の第1集団を得 る工程、本発明の遺伝子送達ビヒクルの導入によってこの細胞の第1集団を遺伝 的に改変する工程、および樹状細胞から実質的に構成される細胞の第2集団を遺 伝的に改変された細胞の第1集団から部分的に単離する工程を包含する。樹状細 胞から実質的に構成される細胞集団を単離する好ましい方法としては、アフィニ ティークロマトグラフィーおよびFACSが挙げられる。図面の簡単な説明 図1は、樹状細胞を同定するために有用ないくつかの細胞表面マーカーを示す 。(−)で示されるマーカーは樹状細胞上に存在しないので、ネガティブ選択ス トラテジーにおいて使用され得る。(+)で示されるマーカーは樹状細胞上に存 在し、(++)および(+++)は特に有用な樹状細胞マーカーを示す。(+)、(++) 、および(+++)樹状細胞マーカーはまた、本発明の遺伝子送達ビヒクルが標的 し得る適切な標的を示す。 図2のフローチャートは、パーコール密度勾配を用いる脾細胞分離ストラテジ ーを示す。 図3は、CT26.p24に対する樹状細胞治療の効果を示す。Balb/cマウスに総量で 2×105の腫瘍細胞を注射した。8日目、15日目、および22日目に図中に示すよ うに動物を処置した。マウスの腫瘍体積を1週間に2回測定した。 図4は、JC.p24に対する樹状細胞治療の効果を示す。Balb/cマウスに総量で3 ×105の腫瘍細胞を注射した。8日目、15日目、および22日目に図中に示すよう に動物を処置した。マウスの腫瘍体積を1週間に2回測定した。 図5は、JC.p24に対する樹状細胞免疫の効果を示す。Balb/cマウスを、p24で 2回(1週間の間をおいて)形質導入した日臓樹状細胞で免疫し、次に3×105 の腫瘍細胞を注射した。マウスの腫瘍体積を1週間に2回測定した。 図6は、BM-DC.p24による単回の免疫の後の、JC.p24に対する樹状細胞免疫の 効果を示す。Balb/cマウスを、BM-DC.p24で1回免疫した。1週間後、このマウ スに総量で3×105の腫瘍細胞を注射した。マウスの腫瘍体積を1週間に2回測 定した。 図7は、JC.p24に対する樹状細胞免疫の効果を示す。Balb/cマウスを、D2SC/1 .β-galおよびD2SC/1.p24で1日目および8日目に処置した。次に、このマウス に総量で3×105の腫瘍細胞を15日目に注射した。マウスの腫瘍体積を1週間に 2回測定した。 図8は、CT26.p24に対する樹状細胞免疫の効果を示す。Balb/cマウスを、1日 目および7日目に図の説明に記載されたワクチンで免疫した。15日目に、この動 物に総量で2×105の腫瘍細胞を注射した。マウスの腫瘍体積を1週間に2回測 定した。 図9は、樹状細胞に抗原を導入する方法間の比較を示す。これは、レトロウイ ルスベクターをタンパク質またはペプチドローディングに対して比較する。Balb /cマウスを図の説明に記載されたワクチンで1日目および7日目に免疫した。8 日目に、この動物に総量で2×105のCT26.β-gal腫瘍細胞を注射した。マウスの 腫瘍体積を1週間に2回測定した。用語の定義 以下の用語を明細書全体を通して使用する。特に指示のない限り、これらの用 語は以下のように定義される: 「遺伝子送達ビヒクル」は、1つ以上の問題の遺伝子または配列を宿主細胞中 に送達(および好ましい実施態様においては発現)し得る構築物をいう。このよ うなビヒクルの代表例としては、ウイルスベクター、裸のDNAまたはまたはRNA発 現ベクター、カチオン性凝集剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソー ム中にカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクター、およびある種の真核生物細 胞(例えば、プロデューサー細胞))が挙げられる。本発明の好ましい実施態様の 範囲内において、遺伝子送達ビヒクルは、標的エレメント(例えば、その遺伝子 送達ビヒクルに共有結合するか、その遺伝子送達ビヒクル上で発現するか、また はその遺伝子送達ビヒクルの外側の必須部分として含まれる、高親和性結合対の メンバー)を含む。 「高親和性結合対」は、10-yM未満のKDで互いに結合することができる分子 の一組を意味し、ここでyは8、9、10、11、12、13、14および15からなる群か ら選択される。本明細書中で使用される「KD」は、反応A+B=ABの解離定 数を意味し、ここでAおよびBはこの高親和性結合対のメンバーである。当該分 野において理解されるように、2つの分子の親和性が高まるにつれ、KDは減少 する。親和性定数は、例えばScatchard分析(Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sci .51:660-672,1949参照)による技術を包含する種々の技術によって容易に決定 され得る。適切な親和性結合対の代表例としては、ビオチン/アビジン、シトス タチン/パパイン、およびホスホネート/カルボキシペプチダーゼAが挙げられ る。 「標的エレメント」は、樹状細胞に特異的に結合し得る分子を意味する。本発 明の内容においては、標的エレメントおよびその補体の結合の後にその細胞型に おいて生物学的影響が見られる場合、あるいは樹状細胞と結合した標的エレメン トと非標的細胞との結合の間に、10倍を超える相違、好ましくは25、50または10 0倍を超える相違がある場合、標的エレメントは樹状細胞に特異的に結合すると 考えられる。一般に、標的エレメントは樹状細胞に、KDが(前出のScatchard分 析で決定して)10-5M未満、好ましくは10-6M未満、より好ましくは10-7M未満 、そして最も好ましくは10-8M未満で結合することが好ましい。さらに、高親和 性結合対を標的のために使用する場合、標的エレメントは、好ましくは、高親和 性 結合対の親和性定数より少なくとも1log(すなわち10倍)少ない親和性で樹状 細胞に結合する。適切な標的エレメントは、好ましくは、非免疫原性であり、タ ンパク質分解によって分解されず、そして免疫系によって除去されないものであ る。特に好ましい標的エレメントは、好ましくは、動物中で(清澄化剤(clearin g agent)の非存在下で)10分間から1週間の間の半減期を有する。適切な標的エ レメントの代表例をより詳細に後述する。 「樹状細胞を標的する」は樹状細胞を標的する方法をいう。そのような方法は 以下のように定義される:遺伝子送達ビヒクルは、従来の多数の様式のうちの任 意の様式での投与の後に、遺伝子送達ビヒクルがそのエレメントを欠く場合に起 こる形質導入と比較して、樹状細胞の形質導入の増加を引き起こすエレメントを 有する;あるいは、通常または従来の投与経路と比較して樹状細胞の形質導入が 増強されるような特定の様式または特定の経路で、遺伝子送達ビヒクルが投与さ れる。 「清澄化剤」は、循環する結合した標的エレメントに結合および/または架橋 する分子を意味する。好ましくは、清澄化剤は、非免疫原性であり、結合した標 的エレメントに特異的であり、そして迅速な腎クリアランスを避けるに十分に大 きい。さらに、清澄化剤は好ましくはタンパタ質分解で分解されず、そして免疫 系によって除去されない。特に好ましい清澄化剤としては、結合した標的エレメ ントに親和性結合メンバーとは異なる部位で結合するものが挙げられ、そして最 も好ましくは、その標的への標的エレメントの結合をブロックするように結合す るものである。本発明の内容において数多くの清澄化剤が使用され得、例えば、 Marshallら、Brit.J.Cancer 69:502-507、1994に記載のものが挙げられる。 「発現ベクター」は、疾患関連抗原をコードする1つ以上の遺伝子の発現を指 向し得る組換え核酸分子(DNAまたはRNA)をいう。発現ベクターは、抗原をコード する遺伝子に作動可能に連結したプロモーター(その発現ベクターが、機能的プ ロモーターに隣接した位置特異的組み込みのために設計されている場合を除いて )、およびポリアデニル化配列を含まなければならない。特定の実施態様におい て、発現ベクターはプラスミド構築物の一部である。発現ベクター成分に加えて 、プラスミド構築物はまた、以下のうちの1つ以上を含み得る:細菌性複製起 点;1つ以上の選択マーカー;プラスミド構築物を一本鎖DNAとして存在させる シグナル(例えば、M13複製起点);マルチクローニングサイト;および「哺乳 動物」複製起点(例えば、SV40またはアデノウイルス複製起点)。他の実施態様 において、発現ベクターは組換えウイルスゲノムであり、そして用いられる特定 のウイルス系に依存してRNAまたはDNAのいずれかである。あるいは、発現ベクタ ーは、インビトロで転写されるRNAを含み得る。本明細書において用いられる「 発現ベクター」はまた、細胞中に導入した後、異なる形態に変換されるベクター をいう。例えば、組換えレトロウイルスを保有するRNAゲノムはDNAに逆転写され 、そして細胞のゲノム中に組み込まれる。本発明の目的のためには、RNAおよびD NAの両方の形態が「発現ベクター」である。 「変質細胞成分(altered cellular component」は、通常、細胞を腫瘍形成性 にすることに関連するか、あるいは腫瘍形成細胞に関連するが、細胞を腫瘍形成 性にするために必要とされるわけではなく必須であるわけでもない、タンパク質 および他の細胞構成要素をいう。変質の前、この細胞成分は、正常な細胞増殖お よび調節に必須であり得、そして例えば、細胞内タンパク質分解、転写調節、細 胞周期制御、および細胞−細胞相互作用を調節するタンパク質を含む。変質の後 、この細胞成分はもはやその通常の調節機能を果たさず、それゆえ細胞は非制御 的増殖を経験し得る。変質細胞成分の代表例としては、ras*、p53*、Rb*、ウィ ルムス腫瘍遺伝子でコードされる変質タンパク質、ユビキチン*、ムチン*、DCC 、APC、およびMCC遺伝子でコードされるタンパク質、ならびにレセプターまたは レセプター様構造、例えばneu、チロイドホルモンレセプター、血小板由来成長 因子(PDGF)レセプター、インスリンレセプター、上皮成長因子(EGF)レセプター 、およびコロニー刺激因子(CSF)レセプターが挙げられる。これらならびに他の 細胞成分はより詳細に後述され、引用参考文献にも説明されている。 「非腫瘍形成性」は、ヌードマウスにおいて細胞形質転換を引き起こさず、ま たは腫瘍形成を誘導しない変質細胞成分をいう。腫瘍形成細胞成分を非腫瘍形成 細胞成分と識別する代表的なアッセイをより詳細に後述する。 本発明において使用される「免疫原性」は、適当な条件下で免疫応答を引き起 こし得る変質細胞成分のことをいう。この応答は細胞性でなければならず、そし て体液性応答を包含し得る。免疫原性を決定するために使用され得る代表的なア ッセイをより詳細に後述する。 本発明の数多くの局面および利点は、本発明の実施の説明を提供する以下の詳 細な説明を考慮すると、当業者に明らかである。発明の詳細な説明 本発明は、樹状細胞における少なくとも1つの疾患関連抗原の発現および細胞 表面提示を、その抗原が関連する疾患に対する予防的または治療的免疫応答を生 じさせるために使用し得るという発見に基づく。さらに、遺伝的に改変された樹 状細胞によって媒介される免疫系刺激の効率が、遺伝的に改変された線維芽細胞 、筋肉、および他の細胞型によって媒介される免疫系刺激の効率より数桁高い大 きさであり得るということが発見された。その結果、これらの発見は、所望の予 防的または治療的結果を達成するために必要とされる投薬量を低減すること、あ るいは免疫応答を増強することのいずれかによる、遺伝子治療媒介免疫刺激への 改善されたアプローチを可能とする。 免疫刺激ストラテジーを用いる処置に適した疾患としては、HBV(WO 93/15207 参照)、HCV(WO 93/15207参照)、HPV(WO 92/05248、WO 90/10459、EPO 133,1 23参照)、エプスタインバーウイルス(EPO 173,254;JP 1,128,788;および米国 特許第4,939,088号、および同5,173,414号参照)、ネコ白血病ウイルス(WO 93/ 09070、EPO 377,842、WO 90/08832、およびWO 93/09238参照)、ネコ免疫不全ウ イルス(米国特許第5,037,753号、WO 92/15684、WO 90/13573、およびJP 4,126, 085)、HTLV IおよびII、ならびにHIV(WO 91/02805参照)によって引き起こされ るようなウイルス感染;メラノーマ、子宮頚ガン、直腸ガン、腎臓ガン、乳ガン 、卵巣ガン、前立腺ガン、白血病のようなガン;および心疾患が挙げられる。 樹状細胞は、免疫応答を開始するように機能する抗原提示細胞の系である(St einman,R.(1991)、Annu.Rev.Immunol.,9巻:272-296;Research in Immunolo gy,140巻、International Reviews in Immunology、6巻、Advances in Immunol ogy,47巻、およびEpidermal Langerhans Cell、G.Shuler編もまた参照のこと )。樹状細胞は、多くの非リンパ系組織中に見出されるが、求心性リンパ流ま たは血流を介して、リンパ系器官のT依存性領域に移動し得る。非リンパ系器官 において、樹状細胞はランゲルハンス細胞および間質樹状細胞を包含する。リン パ液および血液において、樹状細胞は、それぞれ、求心性リンパベール細胞(aff erent lymph veiled cell)および血液樹状細胞を包含する。樹状細胞は遠心性リ ンパ液中には見出されない。リンパ系器官において、樹状細胞はリンパ系樹状細 胞および相互鉗合(interdigitating)細胞を包含する。本発明の文脈において 用いられる場合、特に指示のない限り、これらの細胞型およびその前駆体の各々 を「樹状細胞」と呼ぶ。 樹状細胞は、独特の樹状形状を有し、運動性であり、そして細胞表面刺激に特 異的なT細胞を効率的にクラスター形成および活性化させる。典型的には、ラン ゲルハンス細胞および間質細胞のような非リンパ系器官中の樹状細胞は、求心性 リンパ中および血中でベール細胞(連続的に広がり、そして大きな膜状仮足を退 縮する細胞)となり、これはリンパ系組織に移動し、ここで樹状細胞または相互 鉗合細胞として単離され得る。 上皮ランゲルハンス細胞の部分的に富化された集団(ここでランゲルハンス細 胞は総細胞集団の約60%までを構成し得る)は容易に調製され得る。なぜならα -thy-1(モノクローナル抗体)および補体と付着とを用いて、マウス組織からケ ラチノサイトを枯渇させ得るからである。ヒトランゲルハンス細胞の富化調製物 は、α-thy-1を抗CD-1抗体で置換することによって調製され得る。培養中、1〜 3日培養の後までは、マウスランゲルハンス細胞およびヒトランゲルハンス細胞 のいずれも活性な抗原提示細胞ではない。この期間の後、血中およびリンパ系の 樹状細胞に完全に類似して、これらの細胞は増大し、より多くのMHCクラスIIお よび細胞付着分子を発現し、そしてFcレセプターを失う。ヒトの血液から、90% を超える樹状細胞を含む細胞集団が得られ、ここで富化なしで0.1%未満の白血 球が樹状細胞である。このような富化は、T細胞、単球、およびB細胞プラスN K細胞を連続的に枯渇させることによって達成され得、30〜60%の範囲の樹状細 胞の初期集団を生じる。次いで、不純物と選択的に反応するモノクローナル抗体 (特に、CD45RAへの)を用いるパニングまたはFACSによって、より高い純度が得 られる(Freudenthal,P、Steinman、R.M.,Proc.Nat'l.Acad.Sci.(USA)(19 9 0)87:7698-7702)。一般に樹状細胞を富化するために、低い浮遊密度、培養中 のプラスチックに非付着性であること(特に1日以上後)、および他の細胞上で 見出されるマーカーの非存在についての選択が行われる。そのような方法は、他 の細胞型を枯渇させるが、樹状細胞を積極的に選択しない。 樹状細胞は、その細胞膜上に識別可能なパターンのマーカーを発現する。図1 は、いくつかの異なる細胞表面マーカーの存在または非存在を示すことによって このパターンを図示する。樹状細胞をポジティブまたはネガティブに選択するた めに使用され得る他のマーカーとしては、ICAM-1(CD54)、LFA-3(CD58)、およびC D11bが挙げられる。ヒトまたはマウスの血液から単離されるが皮膚からは単離さ れない樹状細胞は、CD11aおよびLFA-1を発現する。皮膚においては、樹状細胞の 免疫刺激効果は、サイトカイン(特にGM-CSF)によって増強され得る。 樹状細胞は、静止状態のリンパ球からのT依存性応答を開始させる。一旦感作 すると、T細胞は他の抗原提示細胞と相互作用する。樹状細胞抗原プロセシング 活性が調節される。皮膚またはリンパ系器官から単離された新鮮な細胞(すなわ ち1日未満の間、培養された細胞)のみが天然のタンパク質を提示する。この期 間の後、この細胞は抗原をプロセシングしない。さらに、樹状細胞は活動的に食 作用性ではない。 遺伝子治療媒介免疫刺激は種々の方法で達成され得る。例えば、疾患関連抗原 またはその改変形態(本明細書中以下、集合的に「抗原」とよぶ)をコードする 発現ベクターを樹状細胞に送達して、その抗原に対する免疫応答を開始させ得る 。抗原の発現は一過性であり得、またはある時間にわたって安定であり得る。免 疫応答が病原性因子(例えば、ウイルス、細菌、もしくは新生物性、またはさも なければ他の疾患性の自己細胞)によって刺激されるべき場合、発現ベクターは 好ましくは、抗原の改変形態(天然抗原と比較して病原性が低減されているが、 それでもなおそれに対する免疫応答を刺激する)をコードする。 ウイルス感染によって引き起こされる特定の疾患(例えば、HIVによって引き 起こされるAIDS)の場合、発現ベクターによってコードされる免疫刺激発現産物 は、HLAクラスI-拘束免疫応答またはクラスII-拘束免疫応答のいずれかあるいは 両方を誘発する形態である。HIVについては、免疫刺激のための好ましい抗原は 、 好ましくはgp160、gp120、およびgp41から選択されるエンベロープタンパク質由 来であり、これは、病原性を低減するために(特にシンシチウムの可能性を低減 するため、疾患増強免疫応答に導くエピトープの発現を避けるため、免疫優性で あるが株特異的なエピトープを除去するため、またはいくつかの株特異的エピト ープを提示するために)改変されている。この目的のために発現され得る他のHI V遺伝子または遺伝子の組み合わせとしては、gag、pol、rev、vif、nef、prot、 gag/pol、gag protなどが挙げられる。これに加えて、他の所望の抗原由来の免 疫原性部分が発現され得る。所望の抗原の免疫原性部分は長さが変更されてもよ く、好ましくは少なくとも9アミノ酸であり、そしてタンパク質全体を含み得る 。当業者が理解するように、このアプローチおよび同様の免疫刺激アプローチは 、数多くの疾患の処置に使用され得る。 さらなる実施態様において、発現ベクターは、疾患関連抗原の1つ以上の免疫 原性部分をコードする少なくとも1つの目的の遺伝子の発現を導く。本明細書に おいて用いられる場合、目的の遺伝子は免疫刺激を可能にする少なくとも1つの 産物をコードする。「疾患関連」抗原は、細胞(または器官)を罹患させること に関連するか、あるいは疾患状態に一般的に関連するが細胞を罹患させるために 必要とはされない抗原である。広範な種々の「疾患関連」抗原が公知であり、こ れらには、通常は腫瘍細胞に関連する免疫原性の非腫瘍形成性変質細胞成分が含 まれる(WO 93/10814参照)。細胞性免疫応答に対応する腫瘍関連抗原(例えば 、MAGE-1、MAGE-3、MART-1、およびgp100)もまた本明細書中で用いられる「疾 患関連抗原」に包含される。「疾患関連」抗原が、種々の真核生物、原核生物、 またはウイルス性の病原の全体または一部を包含することもまた理解される。さ らに詳細にはWO 93/10814を参照のこと。 上記の産物をコードする核酸分子、ならびに本発明において使用するのに有利 である他の核酸分子は、種々の供給源(例えば、アメリカンタイプカルチャーコ レクションのような寄託機関)から、あるいはBritish Bio-Technology Limited (Cowley、Oxford England)のような商業的な供給源から容易に入手され得る。 あるいは本発明で使用するためのcDNA配列は、その配列を発現するかまたは含む 細胞から、例えば、単離されたmRNAからのRT PCRによって得られ得る。本発明で 使用するに適した核酸分子はまた、その全体または一部が、例えばApplied Bios ystems Inc.のDNA合成機(例えばABI DNA合成機モデル392(Foster City、CA) 上で合成され得る。 A.遺伝子送達ビヒクル 遺伝子送達ビヒクル(「GDV」)は、核酸分子、具体的には発現ベクターを真 核生物細胞に送達し得る組成物である。遺伝子送達ビヒクルの代表例としては、 組換えウイルスベクター(例えば、レトロウイルス;WO 89/09271参照、および シンドビスのようなアルファウイルス;WO 95/07994参照)、他の組換えおよび 非組換えのウイルス系(例えば、アデノウイルス;WO 93/19191参照)、1以上 の凝集剤と会合した核酸分子(WO 93/03709参照)、リポソームと会合した核酸 分子(Wangら、PNAS 84:7851、1987)、改変されたバクテリオファージ、また は細菌が挙げられる。どのような形態であっても、GDVは標的細胞中で少なくと も1つの疾患関連抗原の発現を指向する発現ベクターを保有する。 1つの実施態様において、GDVは、アストロウイルス(astrovirus)、コロナ ウイルス、オルトミクソウイルス、パポーバウイルス、パラミクソウイルス、パ ルボウイルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、トガウ イルス、またはアデノイウルイスのようなウイルス由来の組換えウイルスである 。好ましい実施態様において、組換えウイルスベクターは、組換えレトロウイル スベクターである。レトロウイルスGDVは、例えばB、CおよびD型のレトロウ イルスを含む広範な種々のレトロウイルス、ならびにスプマウイルス(spumaviru s)およびレンチウイルスから容易に構築され得る(RNA Tumor Viruses、第2版、C old Spring Harbor Laboratory、1985)。このようなレトロウイルスは、アメリ カンタイプカルチャーコレクション(ATCC,Rockville,MD)のような寄託機関ま たはコレクションから容易に入手し得、または公知の供給源から一般に利用可能 な技術を用いて単離され得る。本発明の実施において使用され得る数多くのレト ロウイルスGDVは、米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号、EP345,242お よびWO 91/02805に記載されている。 特に好ましい組換えレトロウイルスは、ニワトリ白血病ウイルス(ATCC番号VR -535およびVR-247)、ウシ白血病ウイルス(VR-1315)、マウス白血病ウイルス( MLV)、ミンク細胞フォーカス形成ウイルス(Kochら、J.Vir.49:828、1984;お よびOliffら、J.Vir.48:542、1983)、マウス肉腫ウイルス(ATCC番号VR-844、4 5010および45016)、細網内皮症ウイルス(ATCC番号VR-994、VR-770および45011) 、ラウス肉腫ウイルス、メイソン−パイツァーサルウイルス、ヒヒ内因性ウイル ス、ネコ内因性レトロウイルス(例えば、RD114)、テナガザル白血病ウイルス(GA LV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、HTLV I、HTLV III、およびレトロウイルスベ クターとして使用されるマウスまたはラットのgL30配列を包含するレトロウイル ス由来である。組換えレトロウイルスを生成し得る特に好ましいMLVの株として は が挙げられる。特に好ましい非マウスレトロウイルスはラウス肉腫ウイルスであ る。好ましいラウス肉腫ウイルスとしては が挙げられる。 本明細書で提供される開示および標準的な組換え技術があれば、上記の任意の レトロウイルスが、レトロウイルスGDVを作製または構築するために容易に使用 され得る。さらに、レトロウイルスGDVの一部分は、異なるレトロウイルス由来 であり得る。例えば、組換えレトロウイルスは、マウス肉腫ウイルス由来のLTR 、ラウス肉腫ウイルス由来のtRNA結合部位、MLV由来のパッケージングシグナル 、 およびニワトリ白血病ウイルス由来の第2鎖合成起点を含み得る。これらの組換 えレトロウイルスベクターを使用して、適当なパッケージング細胞株中にこれら の組換えレトロウイルスベクターを導入することによって、形質導入受容性のレ トロウイルスベクター粒子を生成し得る(WO 92/05266参照)。さらに、宿主細 胞DNAの特定の領域中への組換えレトロウイルスゲノムの位置特異的組み込みを 指向する組換えレトロウイルスが生産され得る。このような部位特異的組み込み は、レトロウイルス粒子中に組み込まれたキメラインテグラーゼによって媒介さ れ得る。例えば、WO 96/06727を参照のこと。組換えウイルスベクターは複製欠 損組換えウイルスであることが好ましい。 別の実施態様において、GDVはトガウイルス由来である。好ましいトガウイル スとしては、アルファウイルス、特に共有に係るWO 95/07994に記載のアルファ ウイルスが挙げられる。代表的なアルファウイルスはシンドビスウイルスである 。簡単に述べれば、組換えシンドビス発現ベクターは、代表的には、シンドビス ウイルス転写を開始し得る5’配列、シンドビス非構造タンパク質をコードする ヌクレオチド配列、改変または不活性化されたウイルス接合領域、シンドビスRN Aポリメラーゼ認識配列、少なくとも1つの目的の遺伝子、およびポリアデニル 化区域(tract)を含む。他のアルファウイルス由来の対応領域を上記の領域の代 わりに使用し得る。 好ましい実施態様において、組換えアルファウイルスベクターは構造タンパク 質をコードせず、そして目的の遺伝子はウイルス接合領域の下流に位置する。第 2のウイルス接合領域を有するベクターにおいて、目的の遺伝子は第2のウイル ス接合領域の下流に位置し得る。このような場合、ベクターはウイルス接合領域 と目的の遺伝子との間に位置するポリリンカーをさらに含み得る。 本発明において使用され得る他の組換えトガウイルスベクターとしては、セム リキ森林ウイルス(ATCC VR-67;ATCC VR-1247)、ミッデルブルグウイルス(ATCC VR-370)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373;ATCC VR-1246)、ベネズエラウマ 脳炎ウイルス(ATCC VR-923;ATCC VR-1250;ATCC VR-1249;ATCC VR-532)由来 のベクター、ならびに米国特許第5,091,309号、同第5,217,879号、およびWO 92/ 10578に記載のベクターが挙げられる。上記の組換えシンドビス発現ベクター、 ならびに多くの同様のベクター構築物は、本質的にWO 95/07994に記載されるよ うにして容易に調製され得る。 別の実施態様において、組換えウイルスベクターは組換えアデノウイルスベク ターである。そのような発現ベクターは、本明細書で提供される開示があれば容 易に調製および使用され得る(Berkner、Biotechniques 6:616、1988、およびRo senfeldら、Science 252:431、1991、WO 93/07283、WO 93/06223、およびWO 93/ 07282参照のこと)。 本発明での使用に適した他のウイルスベクターとしては、例えば、 由来のベクターが挙げられる。 本発明の別の実施態様において、GDVは、DNAまたはRNA発現ベクターを含む。 そのようなGDVの代表例としては、プラスミド、コスミド、および線状の2本鎖お よび1本鎖ポリヌクレオチドが挙げられる。このようなベクターは、樹状細胞中 で疾患関連抗原を発現させるために必要とされる遺伝情報、すなわち、プロモー ター、その疾患関連抗原をコードするオープンリーディングフレーム、転写停止 シグナル、およびポリアデニル化シグナルを含む。このようなポリヌクレオチド 系の1つの利点は、大量の所定の遺伝子送達ビヒクルを容易に生産し得ることで ある。当該分野で公知の任意の種々の技術のいずれかを用いて、インビトロ転写 によって大量のRNAが生産され得る。同様に、大量のDNAが細菌中で容易に培養さ れ得る。 関連の実施態様において、GDVは凝集剤(例えばポリカチオン)と会合したDNA またはRNA発現ベクターを含む。ポリカチオンは、負に荷電したホスフェート骨 格をマスクすることによって発現ベクターを凝集させ、分子をよりコンパクトな 形態に折り畳ませる。本発明のこの実施態様において有用なポリカチオンとして は、とりわけ、ポリリジン、ポリアルギニン、ヒストン、プロタミン、スペルミ ジン、スペルミン、および他の高度に塩基性のタンパク質またはポリペプチドが 挙げられる。このようなポリカチオンは修飾されて、標的エレメントを取り込み 得、そして/または核酸/ポリカチオン複合体の免疫原性を減少させ得る。例え ば、ポリカチオンは1つ以上のポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレ ングリコール)と化学結合し得る。あるいは(またはそれに加えて)、ポリカチ オンは1つ以上の多糖類と結合し得る。簡単に述べれば、化学結合は、ポリカチ オンとポリアルキレンまたは多糖類との間の共有結合の形成を伴う。そのような 結合を作製するための多くの適切な方法が当該分野で公知である。例えば、共有 に係るWO 96/21036を参照のこと。 別の実施態様において、GDVはリポソームに会合したDNAまたはRNA発現ベクタ ーである。リポソームは小さい脂質小胞であり、脂質二重層で包囲された水性コ ンパートメントで構成され、代表的には直径数百オングストロームの球状または わずかに引き伸ばされた構造である。適当な条件下で、リポソームは細胞の原形 質膜と、あるいはリポソームを取り込んだ細胞内のエンドサイトーシス小胞の膜 と融合して、その内容物を細胞質中に放出し得る。しかし細胞表面との相互作用 の前に、リポソーム膜は、その内容物を例えば血漿中の分解酵素から隔離および 保護する比較的非浸透性の障壁として作用する。さらに、リポソームは合成構造 なので、所望の特徴を組み込んだ特別に設計されたリポソームを生産し得る(St ryer,L.、Biochemistry、236-240頁、1975(W.H.Freeman、San Francisco、C A);Szokaら、Biochim.Biophys.Acta 600:1、1980;Bayerら、Biochim.Bioh ys.Acta.550:464、1979;Rivnayら、Meth.Enzymol.149:119、1987;Wangら 、PNAS 84:7851、1987;Plantら、Anal.Biochem.176:420、1989、および米国 特許第4,762,915号参照)。リポソームは、本発明の実施に有用なDNA、RNA、プ ラスミド、および他の発現ベクターを含む種々の核酸分子をカプセル化し得る。 GDV(1つ以上の異なる樹状細胞標的エレメント型に結合したGDVを包含する) は、さらに改変され得る。1つの特に有用な改変は、得られる組成物の免疫原性 を低減させる、ポリカチオンおよび遺伝子送達ビヒクルに結合する化合物の使用 を包含する。共有に係るWO 96/21036を参照のこと。 B.目的の遺伝子 上記本発明の実施に有用なGDVは、1つ以上の目的の遺伝子、すなわち処置ま たは予防すべき疾患に関連するかあるいは特徴的である少なくとも1つの抗原を コードする核酸分子を包含するかあるいは含有する。このような抗原としては、 変質細胞成分由来のもの、および外来生物または他の病原由来の抗原が挙げられ る。他の種々の疾患関連抗原が本発明の遺伝子送達ビヒクル中で使用され得る。 例えば、WO 91/02805、WO 96/20414、および米国特許第5,580,859号を参照のこ と。 本発明の他の実施態様において、外来生物または他の病原由来の抗原の免疫原 性部分の発現を指向する発現ベクターが提供される。これらの抗原もまた本明細 書中で「疾患関連抗原」とよばれる。このような抗原の代表例としては、細菌 (例えば、E.coli、連鎖球菌、ブドウ球菌、ミコバクテリアなど)、真菌、寄生 虫、およびウイルス(例えば、インフルエンザウイルス、HIV、A型肝炎ウイル ス、B型肝炎ウイルス、およびC型肝炎ウイルス(それぞれ「HAV」、「HBV」お よび「HAC」)、ヒトパピローマウイルス(「HPV」)、エプスタインバーウイル ス(「EBV」)、単純ヘルペスウイルス(「HSV」)、ハンタウイルス、HTLV I、 HTLV II、サイトメガロウイルス(「CMV」)、およびネコ白血病ウイルス)由来 の抗原が挙げられる。本明細書において使用される「免疫原性部分」は、適当な 条件下で免疫応答(すなわち細胞性または体液性)を引き起こし得るそれぞれの 抗原の一部分をいう。「部分」は種々のサイズであり得るが、好ましくは少なく とも9アミノ酸長であり、そして抗原全体を含み得る。 本発明の1つの実施態様において、発現ベクターは、少なくとも1つの疾患関 連抗原に加えて、免疫調節補因子をコードする遺伝子をコードする。免疫調節補 因子とは、すなわち、樹状細胞中で疾患関連抗原に加えて発現した場合に、その 抗原に対する免疫応答の質または強度を、補因子が存在しない場合に生じる免疫 応答に比べて増強させる因子である。応答の質または強度は、当業者に公知の種 々のアッセイによって測定され得、このアッセイとしては、例えば、細胞増殖を 測定するインビトロアッセイ(例えば、3Hチミジン取込み)、およびインビトロ 細胞障害性アッセイ(例えば、51Cr放出を測定するアッセイ)(Waenerら、AIDS Res.and Human Retroviruses 7:645-655,1991参照)が挙げられる。別の実施 態様において、免疫調節補因子は、発現ベクターでコードされる代わりに、遺伝 子送達ビヒクルが投与される前に、投与と同時に、あるいは投与後にのいずれか で外部から添加される。 免疫調節因子はインビボおよびエクスビボの両方で活性であり得る。このよう な免疫調節因子の代表例としては、例えば、サイトカイン、例えば、 、およびトランスポータータンパク質またはそのアナログに結合したMHC(Powis ら、Nature 354:528、1991)が挙げられる。どの免疫調節因子を使用するかの選 択はその因子の治療的効果に基づく。好ましい免疫調節因子としては、α-イン ターフェロン、γ-インターフェロン、およびIL-2が挙げられる。 疾患関連抗原をコードする核酸分子は、種々の供給源、例えばアメリカンタイ プカルチャーコレクション(ATCC、Rockville、MD)のような受託機関から、ある いはBritish Bio-Technology Limited(Cowley、Oxford、England)のような商 業的な供給源から容易に入手され得る。あるいは、このような抗原をコードする cDNAは、対応する遺伝子を発現するかまたは含むことが知られている細胞から生 成され得る(米国特許第4,683,202号;同第4,683,195号;および同第4,800,159 号参照。PCR Technology:Prlnciples and Applications for DNA Amplificatio n,Erlich(編)、Stockton Press、1989もまた参照のこと)。あるいは、既知配 列の遺伝子、または既知アミノ酸配列の抗原をコードする遺伝子が、例えばAppl ied Biosystems Inc.のDNA合成機(例えばAPBDNA合成機モデル392(Foster City 、CA)上で合成され得る。 C.標的エレメント 上記のように、本発明の1つの局面は、遺伝子送達ビヒクルを樹状細胞にイン ビボまたはインビトロのいずれかで標的するための組成物および方法を提供する 。本発明の内容において、標的エレメントは、樹状細胞の表面上に存在する分子 に親和性を有する分子である。広範な種々の標的エレメントが本発明の実施にお いて利用されて、遺伝子送達ビヒクルを樹状細胞に特異的に指向し得る。 本発明の1つの実施態様は、遺伝子送達ビヒクルを樹状細胞に標的するための 高親和性結合対の使用に関する。標的エレメントを用いる他の実施態様において 、標的エレメントは、多官能性結合剤を介して遺伝子送達ビヒクルに共有結合さ れる。一般的には、共有に係るWO 92/05266を参照のこと。 当業者に明らかなように、樹状細胞を標的し得る他の標的メカニズムもまた本 発明の範囲内である。 D.GDV 生産 一旦GDVが設計されると、それは所望の標的エレメントへの結合のためにおよ び/または動物への投与のために十分な量で生産されなければならない。GDVが 組換えウイルスベクターである場合、それはパッケージング系を利用して生産さ れ得る。種々のウイルスベクターパッケージング系が以下に記載される。これは 、親ウイルスの1つ以上の必須機能が欠失され、その結果いくつかの機能(例え ば、ゲノム複製)が欠失しているが、パッケージングシグナルおよび1つ以上の 核酸分子からの遺伝子産物を発現する能力を保持している。ウイルスベクターパ ッケージング系の代表的な例は、レトロウイルスベクター、アルファウイルスベ クター、およびアデノウイルスベクターのためのものを含む。 このような組換えレトロウイルスベクターが利用される場合、ウイルス粒子を 生産するパッケージング細胞株を利用するのが好ましい。ここで、少なくともga g/pol遺伝子の5'末端のコドンが、ベクターとパッケージング細胞中のウイルス 構造タンパク質をコードする配列との間の相同的組換えの可能性を最小にするた めに、遺伝暗号の縮重性質を利用して改変される。パッケージング細胞に存在す るベクターとパッケージされる組換えレトロウイルスゲノムとの間の組換え事象 の可能性を低減するためのさらなる技術は、共有に係るWO 95/30763およびWO 96 /07749において提供される。 上記の組換えレトロウイルスベクターとの使用に適切なパッケージング細胞株 は、公知の技術を使用して容易に調製され得(WO 95/30763およびWO 92/05266を 参照のこと)、そして組換えベクター粒子の生産のためのプロデューサー細胞株 を作製するために利用される得る。 本発明のさらなる実施態様において、アルファウイルスパッケージング細胞株 が提供される。詳細には、アルファウイルスパッケージング細胞株は、次のよう に提供される。ウイルス構造タンパク質(1つ以上の安定に組み込まれた発現ベ クターからトランスで与えられる)が、トランスフェクトされた、形質導入され た、または細胞内で生産されたベクターRNA転写物を細胞質中でカプシド内に取 り込み得、そして感染性のパッケージされたベクター粒子を細胞膜を介して放出 し得るため、それによりアルファウイルスベクター産生細胞株が作製される。 上記のアルファウイルスベクター構築物の使用に適切なパッケージング細胞株 は容易に調製され得る(WO 95/07994を参照のこと)。 本発明のさらなる実施態様において、アデノウイルスパッケージング細胞株が 提供される。アデノウイルスベクターは核複製ウイルスに由来し、そしてそれら が複製欠損であるように構築され得る。1つ以上の核酸分子が、アデノウイルス ベクターにより、標的細胞への送達のために保有され得る(Ballayら、EMBO J. 4:3861,1985、Thummelら、J.Mol.Appl.Genetics 1:435,1982およびWO 92/0 5266を参照のこと)。 本発明の別の実施態様において、標的化遺伝子送達ビヒクルは、遺伝子送達を 補助するための1つ以上の融合性(fusigenic)タンパク質を含む。融合性タン パク質の代表的な例は、エコトロピックマウスレトロウイルスエンベロープタン パク質、正常なレセプター認識が不可能であるように改変された他のレトロウイ ルスエンベロープタンパク質、単純ヘルペスウイルス融合性タンパク質gHおよび gL由来の融合性タンパク質、エプスタインバーウイルス融合性タンパク質、風疹 ウイルスタンパク質、マラリア原虫融合性タンパク質、および融合特性を有する 当該分野で公知の他のタンパク質を含む。 E.遺伝子送達ビヒクルの精製 一旦GDVが生産されると、それらは、好ましくは、所望の標的エレメントに結 合する前に精製される。さらに、標的化GDVを含む組成物は、好ましくは、投与 前に再度精製される。精製のために利用される技術は、精製されるGDVのタイプ に依存する。例えば、種々の当該分野で公知の技術が存在する。これは、GDVが 、エンベロープを有する組換えウイルスベクター、核酸、またはリポソームであ る場合に使用され得る(精製手順の例についての米国特許第5,447,859号を参照 のこと)。 さらに、GDVが核酸である場合、種々の当該分野で公知の技術が存在する。こ れは、例えば、CsCl-エチジウムブロミド勾配、イオン交換クロマトグラフィー 、ゲルろ過クロマトグラフィー、およびポリエチレングリコールでの分沈澱によ る精製を含む。核酸の精製のさらなる記述は、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に 提供される。 GDVがリポソームである場合、当業者に公知の種々の精製方法が利用され得、 そしてManninoおよびGould-Fogerite(BioTechniqucs 6:682,1988)により詳細に 記載される。簡潔には、リポソームの調製は、代表的には、1以上の精製リン脂 質およびコレステロールの溶液を有機溶媒中で混合する工程、および溶媒を乾燥 するまで蒸発させる工程を包含する。次いで、GDVを含有する緩衝水溶液は脂質 膜に添加され、そして混合物は超音波処理され、十分均一なリポソームの分散液 を作製する。特定の実施態様において、透析、ゲルろ過、または超遠心が次いで 使用されて、インタクトなリポソームからの取り込まれなかった成分を分離する F.処方 GDVを含む組成物の精製後、調製物は、好ましくは、薬学的組成物に処方され る。このような組成物は、液体または乾燥形態であり得る。好ましい液体組成物 は、所望の産物が、薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤中に懸濁 され、そして安定化剤および他の賦形剤をさらに含み得る水溶液を含む。あるい は、本発明の組成物は、使用直前に再懸濁することが意図される固体処方物で調 製され得る。乾燥処方物は、凍結乾燥またはフリーズドライされたものを含む。 GDVが脂質エンベロープを有するウイルスである場合、好ましい乾燥処方物は 以下のいくつかまたはすべてを含む:1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアお よび/または希釈剤:サッカライド;高分子量構造添加剤;緩衝成分;水;およ び1つ以上のアミノ酸。これらの成分のいくつかまたはすべての組み合わせは、 凍結および凍結乾燥、または蒸発による乾燥の際に、標的化GDVの活性を保持す るように作用する。本発明の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤は、用い る投与量および濃度においてレシピエントに対して非毒性である。注射可能な溶 液のためのキャリアまたは希釈剤の代表的な例は、例えば、水、等張生理食塩水 (すなわち、リン酸緩衝化生理食塩水またはTris緩衝化生理食塩水、好ましくは 生理的pHに緩衝化されている)、マンニトール、デキストロース、グリセロール 、およびエタノール、ならびにポリペプチドまたはヒト血清アルブミンのような タンパク質を含む。 脂質エンベロープを有するウイルス(特に、組換えレトロウイルスおよびアル ファウイルス)のために好ましい凍結乾燥組成物は、10mg/mLマンニトール、1m g/mL HSA、20mM Tris(pH7.2)、および150mM NaClを含むものが特に好ましい(WO 95/10601を参照のこと)。このような組成物は、-70℃で少なくとも6ヶ月間安 定である。本発明の薬学的組成物はまた、細胞分裂、その結果、投与されたGDV の摂取および取り込みを刺激する因子をさらに含み得る。組換えウイルスを保存 するために特に好ましい方法および組成物は、WO 95/10601、WO 95/07994、およ びWO 96/21014に記載されている。液体または固体形態において、GDVが組換えウ イルスである場合の組成物の調製後、組換えウイルスは、好ましくは投与あたり 約10ng〜1mgの物質(同時精製した夾雑物として示される物質の量の約10倍) からなる。好ましくは、組成物は、約0.1〜1.0mLの水溶液の投与量で投与される 。これは、1つ以上の追加の薬学的に受容可能な賦形剤、安定化剤、または希釈 剤を含んでも含まなくてもよい。 I.投与 本発明の組成物(エクスビボで改変された樹状細胞または直接投与のためのGD V)は、代表的には、インビボで非経口(例えば、静脈内、皮下、および筋肉内 )で、または他の従来の直接的な経路(例えば、頬/舌下、直腸、口腔、鼻腔、 局所(例えば、経皮および眼)、膣、肺、動脈内、腹腔内、眼内、または鼻腔内 経路)で投与されるか、あるいは特定の組織(例えば、肝臓、骨髄)またはガン 治療の場合には腫瘍に直接投与される。非経口ではない(non-parenteral)経路 は、WO 96/20732でさらに議論されている。 好ましくは、組成物は動物に所望の経路で投与され、次いでその動物は所望の 生物学的応答について試験される。このような試験は、免疫学的スクリーニング アッセイ(例えば、CTLアッセイ、抗体アッセイ)を含み得る。実施される試験 は、標的化GDVにより導入される核酸分子により産生される産物および処置また は予防される疾患に依存する。このような試験の結果に基づいて、投与される標 的化GDVの力価が、投与以上のものが要求される場合、所望の効果をさらに増強 するために調節され得る。 本明細書に記載の多くの投与経路または他の当該分野で公知の投与経路による 投与は、単に、針、カテーテル、または関連デバイスを使用し、1つの時点また は複数の時点で直接投与することにより達成され得る。さらに、所定の時点での 遺伝子送達ビヒクル(またはそのためのエクスビボ形質導入細胞)の「投与」は 、1つ以上の領域に、または1つ以上の経路により投与することを含む。本発明 の特定の実施態様において、1以上の投与量が、示される様式で以下に直接投与 される:静脈内、103、104、105、106、107、108、109、1010、または1011cfu以 上の投与量;動脈内、103、104、105、106、107、108、109、1010、または1011c fu以上の投与量;筋肉内、103、104、105、106、107、108、109、1010、または1 011cfu以上の投与量(1010または1011cfuの投与量が好ましい);皮内、103、104 、105、106、107、 108、109、1010、または1011cfu以上の投与量;肺、103、104、105、106、107、 108、109、1010、または1011cfu以上の投与量;皮下、103、104、105、106、107 、108、109、1010、または1011cfu以上の投与量(108、1010、または1011cfuの 投与量が好ましい);間質、103、104、105、106、107、108、109、1010、また は1011cfu以上の投与量(108、109、1010、または1011cfuの投与量が好ましい) ;リンパ器官中(例えば、脾臓、扁桃、またはリンパ節)、103、104、105、106 、107、108、109、1010、または1011cfu以上の投与量;腫瘍中、103、104、105 、106、107、108、109、1010、または1011cfu以上の投与量(108、109、1010、 または1011cfuの投与量が好ましい);腹腔内、103、104、105、106、107、108 、109、1010、または1011cfu以上の投与量(108、109、1010、または1011cfuの 投与量が好ましい);および輸入リンパ中、103、104、105、106、107、108、109 、1010、または1011cfu以上の投与量。簡便のために、「cfu」はまた、非ウイ ルス粒子をいう。そのため、1cfuは1非ウイルス粒子に等価である。 投与のための他の経路および方法は、非経口ではない経路(例えば、共有に係 るWO 96/20732に開示される)、ならびに複数部位を介した投与(共有に係るWO 96/20731に開示される)を含む。 実施例 以下の実施例は、より完全に本発明を例示することを含む。さらに、これらの 実施例は、本発明の好ましい実施態様を提供し、そしてその範囲を制限すること を意図しない。以下の実施例に記載の多くの手順、または適切な別の手順のため の標準的な方法が、例えば、「Molecular Cloning」、第2版(Sambrookら、Col d Spring Harbor Laboratory Press,1987)および「Current Protocols in Mol ecular Biology」(Ausubelら編、Greene Associates/Wiley Interscience,NY ,1990)のような分子生物学の広く再編されたマニュアルにおいて提供される。 実施例1 遺伝子送達ビヒクルの直接投与後の 重要な抗原提示細胞としての樹状細胞の同定 上記のように、少なくとも1つの疾患関連抗原ベクターをコードする発現ベク ターを有する組換えレトロウイルスの直接注射が、エクスビボアプローチに好ま しい。しかし、所望の疾患関連抗原が形質導入細胞(例えば、線維芽細胞)(こ れは、次いで患者に投与される)により発現されるエクスビボアプローチに比較 して、遺伝子送達ビヒクルの患者への直接投与は、注射部位およびその近傍での 細胞の形質導入、ならびに組織(例えば、静脈内または皮下投与後に、遺伝子送 達ビヒクルがリンパ組織に輸送され得る)中に存在する形質導入細胞をもたらす 。以前は、遺伝子送達ビヒクルの注射により直接送達される発現ベクターにより コードされる疾患関連抗原の提示をどの細胞が担うか未知であった。動物への直 接注射により送達される発現ベクターによりコードされる抗原を提示する形質導 入細胞の同定を以下に記載する。 動物に直接注射された組換えレトロウイルスにより送達された発現ベクターを 追跡するために設計された以前の生物局在性研究では、全器官PCRを使用してプ ロウイルスDNAが注射部位において検出された(Sajjadiら、1994;Kamantigueら 、1995)。さらに、プロウイルスDNAは、しばしば、二次リンパ器官において検 出された。結果は、これらの動物がプロウイルスによりコードされる免疫原に対 して首尾よい免疫応答を増大した観察に一致した。 本研究において、組換えレトロウイルスを使用して送達された4つの発現ベク ター(それぞれが、HIV gp160/120エンベロープ、細菌β-ガラクトシダーゼ、ニ ワトリオボアルブミン、またはルシフェラーゼのいずれかをコードする)を使用 して、直接投与後の抗原提示および免疫誘導に関与する細胞を同定した。4つの 細胞集団を試験した。1番目の細胞集団は、PCRで同定した発現ベクターのプロ ウイルスコピーを含む(グループI)。2番目の細胞のサブセットは、コードさ れたタンパク質を発現する細胞のサブセットである(グループII)。β-gal組織 化学および免疫組織化学アッセイを用いてこれらの細胞を分析した。3番目のサ ブセット(グループIII)は、免疫系に対して抗原ペプチドを提示し得るグルー プII細胞のサブ集団からなる。グループIII細胞を、T細胞アッセイにおける免 疫応答を誘導するその能力により同定した。最後に、グループIVは、発現ベクタ ーのプロウイルスコピーを含まず、それゆえその対応の遺伝子由来の抗原タンパ ク質またはペプチドを発現しないが、それでもなお抗原を提示する異なるグルー プの細胞からなる。グループIV細胞の例は、初代形質導入細胞またはその断片を 取り込む食細胞を含む。このような細胞は、次いで再プロセシングされて、それ ら自身のMHC分子と関連して抗原ペプチドを提示する。レトロウイルスベクター HIV gp160/120、細菌性βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびニワト リオボアルブミンをコードする発現ベクターを有する非複製アンホトロピックマ ウス組換えレトロウイルスを用いた。レトロウイルスベクター骨格および高力価 ウイルス調製物(>1×107cfu/mL)を、WO 89/09271、WO 92/05266、および共 有に係るWO 96/21014に記載のように作製した。pUG-1ベクター(Mooreら、1993 )におけるニワトリオボアルブミンのcDNAをコードする1.2kbのBamHI〜BglIIフ ラグメントを、pSP73(Promega,Madison WI)のBamHI部位にクローニングした。 1.2kbのXhoI〜ClaIフラグメントを回収し、そしてN2-HIV gp160/120由来の対応 する3.8kbのXhoI〜ClaIフラグメントと置換した。ウイルス調製物のアリコート を、複製コンピテントレトロウイルス(RCR)について試験し、そしてRCRを含ま ないことを決定した。動物およびベクター免疫 Harlan Sprague-Dawley由来の7〜8週齢の雌BALB/c(H-2d)マウスまたはC57BL /6(H-2b)マウスを、全ての実験に用いた。1、4、および7日目に、マウスに、 100μl/注射、全200μl/マウスで、排腹筋または脛側前筋の両方において筋肉 内に(i.m.)、または100μlのレトロウイルス調製物で尾のつけねに皮内に注射 した。脾臓を採収し、そして適切に照射された脾臓細胞と混合することによって 、インビトロでのCTL培養を開始した。免疫組織化学 以下のリンパ球マーカーに対する抗体を、培養上清または精製免疫グロブリン として用いた:CD4(ラットIgG);CD8(ラットIgM);マクロファージ(ラット IgG);およびB220(ラット(IgM))。CD45(30R11.1、ラットIgG;Pharmingen ,San Diego,CA)、ラットIg(ポリクローナル;Jackson ImmunoResearch Labs., Inc.,West Grove,PA)、およびウサギIg(ポリクローナル;Jackson ImmunoRese arch,PA)に対する市販のビオチン化抗体もまた用いた。通常のウサギ血清を、 ネガティブコントロールとして用いた。 注射部位の筋肉を注意深く摘出し、OCTに浸し、そして液体窒素で迅速に凍結 して、そして使用するまで-70℃で保存した。5〜6μmでクリオスタット切片を 切り、風乾し、そしてアセトンで5分間固定した。切片を、先に力価測定したTr is緩衝化生理食塩水(pH7.4)に希釈した最適濃度の抗体とともに60分間インキ ュベートし、Tris緩衝化生理食塩水で洗浄し、ビオチン化抗ラットまたはウサギ IgGとともにインキュベートし、そして洗浄し、次いで、ストレプトアビジン結 合アルカリホスファターゼ(Jackson ImmunoResearch,PA)とともにインキュベ ートした。結合したアルカリホスファターゼを、先の記載の基質Fastviolet(Su rh,J.Exp.Med.,第176巻:495-505)で検出した。切片を、Meyerのヘマトキシリ ンで軽く対比染色し、そしてZeiss Axioscope顕微鏡下で写真撮影した。バック グラウンドを最小にするために、Airfuge超遠心分離機(Beckman Instruments,I nc.,Palo Alto,CA)で148,000×gで、30分間スピンし、そしてペレットを捨てた 後、抗体を用いた。浸潤細胞の単離 注射部位を、同時注射したラテックスビーズからの蛍光放射を介して可視化し した後に、外科鋏で摘出し、そして賽の目に切った。得られた筋肉の小片(平均 サイズ0.5cm3)を、ときどき振盪しながら、トリプシンで37℃で1時間消化した 。消化の終わりに、ウシ胎児血清を添加し、そして残った筋肉片を重力によって 分離した。浸潤細胞を培地で洗浄し、そしてルシフェラーゼおよびB3.Zアッセイ の後に計測した。パーコール密度勾配による脾臓細胞分画(図2を参照のこと) パーコールストックを、1部の10×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に対して 9部のパーコールを混合することによって調製した。「1.030」および「1.075」 作業パーコール溶液を、それぞれ、75%PBS+25%パーコールストック溶液およ び40%PBS+60%パーコールストック溶液を混合することによって作製した。ナ イーブなまたは免疫した動物由来の脾臓細胞を、以下の方法によってB+T細胞 、マクロファージ、および樹状細胞に分画した。脾臓を、ハンクス平衡化塩溶液 (HBSS)中のDNAse(Calbiochem,3800ユニット/mL)で、室温で、ときどき揺り 動かしながら1時間つぶした後に、ナイロンメッシュで濾過して破片を除去した 。得られた細胞をプールし、そして1500rpmで5分間遠心分離した後に、「1.075 」パーコール溶液に再懸濁した。プールした脾臓細胞を含む「1.075」パーコー ル溶液を、「1.030」パーコール溶液に注意深く重層し、そして勾配を、20分間 、1200rpmでスピンした。パーコール遠心分離の後、界面の低密度細胞およびペ レット中の高密度細胞を別々に回収し、そして徹底的に洗浄した。高密度細胞は 、赤血球、T細胞および形質細胞を除いたほとんどのB細胞を含んだ。低密度細 胞は、FACSの判定によれば、いくつかのB細胞(形質細胞を含む)、樹状細胞、 単球、およびマクロファージを含むが、T細胞は含まなかった。低密度画分中の ほとんどのB細胞を、完全培地(RPMI1640、10%ウシ胎児血清)と組織培養プレ ート中で2時間インキュベートした後に、注意深く洗浄することによって除去し た。残った付着細胞(樹状細胞、単球、およびマクロファージを含む)を、さら に一晩インキュベートした。成熟マクロファージは、一晩培養した後でもなお付 着する唯一の細胞であるので、全ての他の細胞型から分離された。X-gal (5-ブロモ-4-クロロ-3-インドシルb-D-ガラクトピラノシド)染色 培養物を、3%ホルムアルデヒドで5分間、室温で固定した後、PBSで洗浄し た。細胞を、1mg/mL X-gal/mL、5mMフェロシアン化カリウム、5mMのフェリシ アン化カリウム、および2mM MgCl2の溶液で重層した。プレートを、37℃で一晩 インキュベートした後に、LacZ発現した青色細胞の存在について、顕微鏡的に試 験した。インビトロでのCTL誘導および細胞障害性アッセイ 5匹のマウスを、HIV gp160/120をコードする発現ベクターを有する組換えレ トロウイルスを投与することによって免疫した。B+T細胞、樹状細胞、および マクロファージの画分を調製した。5匹の免疫していない同腹子を、類似の様式 でプロセシングした。細胞画分を、50:1の比で照射した刺激剤と混合し、7日 間培養した。51Cr放出アッセイ(Warnerら、(1991),AIDS Res.and Human Retrov iruses,第7巻:645-655)を行い、そして溶解の割合を計算した。樹状細胞および単球のエクスビボでの形質導入および養子移入 ナイーブなマウスを屠殺して、低密度画分を上記のように単離し、そしてGM-C SF(25ユニット/mL)およびIL-4(100ユニット/mL)を含む培地に移した。DA/KT およびDA/β-galプロデューサー細胞株を、0.45ミクロンの孔サイズを有するト ランスウェルに播種した。トランスウェル中の樹状細胞およびプロデューサー細 胞を、3日間同時培養した。回収した細胞を、徹底的に洗浄した。ナイーブなレ シピエントマウスに、これらの形質導入樹状細胞またはHIV gp160/120で安定に 形質導入した線維芽細胞を腹腔内に注射した。レシピエントマウスからの脾臓を 、7日後に採収した後に、インビトロで再刺激し、そして51Cr放出アッセイをし た。B3.Z アッセイ B3.Z細胞は、H-2Kb分子に関してニワトリオボアルブミンを認識するT細胞ハ イブリドーマである。これは、ヒトIL-2遺伝子の最小プロモーターに融合した細 菌LacZ遺伝子を含むプラスミドを含み、それゆえ、抗原刺激に際してLacZを誘導 し得る。抗原提示細胞は、オボアルブミン遺伝子でトランスフェクトされた細胞 またはオボアルブミン発現ベクターで免疫したマウス由来の分画された脾臓細胞 のいずれかである。2×105のB3.Z細胞および1×107の抗原提示細胞を含む個々 の培養物を一晩インキュベートし、続いて、B3.Z活性化のレベルを評価するため にX-gal染色した。各画分の抗原提示細胞の数を、オボアルブミン遺伝子でトラ ンスフェクトした既知数の細胞を含む培養物から作製される標準曲線から推定し た。結果 形質導入される細胞型を規定し、そして組換えレトロウイルスに基づく遺伝子 送達ビヒクルの筋肉への直接投与の後の免疫を誘導するために、注射部位を免疫 組織化学によって試験し、インビボでトランスフェクトされた細胞を同定した。 マウスを、ニワトリオボアルブミンをコードする発現ベクターを有する組換えレ トロウイルスで免疫した。3回の注射の後、マウスを、凍結切片のために屠殺し 、そして注射部位を、種々の白血球マーカーおよびオボアルブミンに対する抗体 を用いて免疫組織化学により分析した。 多くの浸潤細胞を、注射部位の近くの筋内膜(endomesium)中に見出した。マ ーカープロフィール分析から、F4/80ポジティブ単球/マクロファージを、注射 部位で最も突出した浸潤細胞として同定した。さらに、顕著な数のCD4ポジティ ブ細胞およびときどきB細胞が、注射部位に浸潤した。CD8ポジティブ細胞は見 出されなかった。異なるエピトープに対する2つの樹状細胞特的抗体(NLDC-145 およびN148)は、注射部位で、顕著な数の樹状細胞を検出し得た。処方緩衝液の みで注射したマウスは、同等のリンパ球浸潤を示し、注射由来の注射針損傷はリ ンパ球浸潤を引き起こすのに十分であることを示唆した。注射の皮内径路(同等 の免疫応答を誘導する)を試験した場合、注射部位は、同一の表現型を有する細 胞による同等の浸潤を示した。 免疫組織化学によって、いくつかの浸潤細胞が、オボアルブミンタンパク質を 発現することを見出した。抗オボアルブミンおよびF4/80抗体を用いた二重染色 は、全てではないがいくつかのオボアルブミンポジティブ細胞がマクロファージ マーカー(F4/80)と同時染色されることを示した。発現ベクターによってコー ドされるタンパク質の注射部位発現を確認するために、浸潤細胞を、ルシフェラ ーゼまたはオボアルブミンコード遺伝子送達ビヒクルを注射した動物から単離し た。初めに、細胞をNBTアッセイによって分析し、それらのほとんどが名実とも にマクロファージ/単球細胞系列であることを確認した。次いで、浸潤細胞は、 ルシフェラーゼまたはB3.Zアッセイに供された。ルシフェラーゼアッセイは、ほ とんどのルシフェラーゼ活性が、浸潤細胞に集中するが、残りの筋肉には集中し ないことを明らかにした。さらに、B3.Zアッセイは、浸潤細胞が、T細胞に対し てオボアルブミン由来のペプチドを提示することを示した。正常ウサギ血清を有 する平行切片、またはHIV gp160/120コード遺伝子送達ビヒクルで処置されたマ ウスの注射部位での抗オボアルブミン抗体を用いる染色は見出されなかった。こ れらの結果は、注射部位での浸潤細胞のいくつかの画分が、実際に形質導入され 、免疫応答を刺激するためにプロセシングされ得る抗原タンパク質を発現するこ とを示す。 これらの実験から、注射針損傷によって生じる炎症は、白血球の浸潤を促進す る可能性があり、次いで、白血球は遺伝子送達ビヒクルによってトランスフェク トされる。次いで、これらのトランスフェクトされた白血球を、免疫応答を誘導 するために二次リンパ様器官に移植する。これを確認するために、プロウイルス DNA組込みおよびタンパク質発現を、リンパ節および脾臓中の種々の白血球集団 において分析した。 全体の器官から単離されたDNAを用いる以前の生物局在性の研究は、いくつか の二次リンパ様器官中のプロウイルスDNAの検出に至った(Sajjadiら、前出;Ka mantigueら、前出)。全体の器官のPCRの感受性が制限されているので、PCRアッ セイを、分画した脾臓細胞について行った。免疫したマウス由来の脾臓細胞をプ ールし、そしてB細胞、T細胞、マクロファージ、および樹状細胞の画分に分離 した。HIV gp160/120またはβ-galをコードする遺伝子で免疫したマウスにおい て、ネオマイシンに対する耐性を与えるマーカー遺伝子に加えて、両ベクターに よってコードされるneoマーカーを、樹状細胞およびマクロファージ細胞の画分 において検出した。 プロウイルスDNAの組込みが白血球細胞画分において検出されたので、発現ベ クター由来のタンパク質発現もまた、これらのトランスフェクトした細胞画分に おいて分析した。BALB/cマウスに、β-gal発現を指向する遺伝子送達ビヒクルを 3回注射した。それらの脾臓をプールし、そして上記のように分画し、続いてX- gal染色した。PCRデータに一致して、分画していない脾臓および樹状細胞の画分 はβ-gal染色を示した。形質導入した細胞のほとんどが、クラスターにおいて発 見され、このことは、最初のトランスフェタト細胞からクローン的に誘導される ことを示唆している。ここに、0.2%の樹状細胞がトランスフェクトされ、これ はマウス当たり約2,000の細胞に対応する。さらに、マクロファージ画分および これらのマウスの鼠径および膝窩リンパ節由来の細胞は、いくらかのX-gal染色 を示したが、数は、樹状細胞画分と比較して非常に減少した。高密度画分は、B 細胞およびT細胞を含み、X-gal染色についてネガティブであった。 形質導入された細胞の表現型を、さらに分析した。B細胞、T細胞、およびマ クロファージの画分は、CD45R/B220、Thy-1.2、およびF4/80のそれらの代表的な マーカープロフィールによって判断されるように、分画後に同種であることが示 された。対照的に、細胞単離後すぐにプラスチックに付着するが、一晩培養後で はプラスチックに付着しない細胞は、いくつかの樹状細胞抗体染色に基づいて樹 状細胞を大部分含み、従って慣習的に樹状細胞画分と呼ばれるが、これらの画分 はまた、いくつかのCD45R/B220ポジティブB細胞(約20%)およびF4/80ポジテ ィブ単球/マクロファージ(約30%)を含み得る。より付着性の成熟マクロファ ージは、プラスチックに持続的に付着することによって分離されたので、「樹状 」細胞画分における単球/マクロファージ細胞は、単球のようであった。従って 、「樹状細胞」画分における純種の樹状細胞および単球の形質導入の割合を決定 した。さらに、いくつかのF4/80ポジティブ細胞が、注射部位において形質導入 されることが明らかなので、これらの細胞が脾臓に通る(traffic)かどうかを 決定した。β-gal遺伝子で形質導入したマウス由来の脾臓細胞を分画し、上記の ように「樹状細胞」画分を得た。細胞を2色FACSを用いて選別し、CD45R/B220ポ ジティブ、F4/80ポジティブ、または二重ネガティブ細胞(すなわち、それぞれ B細胞、単球、または樹状細胞)を回収した。次いで、各集団を、X-gal染色し 、そしてβ-gal活性を、単球で0.035%および樹状細胞で0.025%見出したが、B 細胞分画では、見出さなかった。これらの結果は、脾臓由来の脾臓樹状細胞およ び単球/マクロファージの両方が、形質導入され得、そしてベクターコードタン パク質を発現し得ることを示す。 免疫した動物由来の「樹状細胞」は、免疫系によって認識され、従って抗原ペ プチドを提示するので、このような細胞を、インビトロでナイーブな脾臓を初回 抗原刺激し得るかどうか測定するために研究した。マウスの1つのグループを免 疫し、HIVエンベロープgp160/120を発現させた。これらの脾臓細胞を、3つのグ ループに分画した:B+T細胞;マクロファージ;および「樹状細胞」の画分。 ナイーブな同腹子を、同様にプロセシングした。得られた6の別々の細胞グルー プを、混合して、脾臓細胞集団を再構成した。照射した刺激剤を加え、インビト ロでCTL培養を開始した。HIVエンベロープgp160/120を発現する細胞で免疫した マウス由来の、分画されていない免疫した脾臓および脾臓細胞を、コントロール として含んだ。免疫したマウス由来の初めの4つの組合せ(B+T細胞画分を含 む)が、優れた免疫応答を誘導し得た。興味深いことに、マウスを免疫した「樹 状細胞」画分のみが、ナイーブなB+T細胞集団において免疫応答を誘導し得、 「樹状細胞」画分が、インビトロで免疫応答を開始し得る抗原提示細胞を含むこ とを証明した。樹状細胞は、インビトロでの免疫応答を開始し得る細胞の唯一の 集団として以前に同定されているので、この「樹状細胞」集団は、真性の抗原提 示樹状細胞を含むはずである。 上記のデータは、インビボで形質導入された樹状細胞およびマクロファージが 、インビボおよびインビトロで一次免疫応答を誘導し得ることを示したので、エ クスビボで形質導入された細胞が免疫応答を刺激する能力もまた研究した。低密 度細胞画分を、ナイーブな脾臓のパーコール勾配分離によって分離し、続いてサ イトカインのカクテルで刺激し、細胞分裂を促進させた。増殖性細胞を、トラン スウエル培養を用いて、HIV gp160/120をコードする発現ベクターを有する組換 えレトロウイルスで形質導入した。形質導入樹状細胞およびマクロファージ細胞 のアリコートを、ナイーブな宿主に移入し、続いてインビトロで再刺激し、そし てCTL分析をした。予期されたように、レシピエントマウスは優れたCTL応答を誘 導し、これらの細胞の免疫誘導における役割を確認した。 他の細胞型と比較した、形質導入樹状細胞の免疫応答を誘導する相対的効力を エクスビボ方法により評価するために、形質導入樹状細胞を、同一の注射プロト コルにより注射された同じ抗原の匹敵するレベルを発現する形質導入線維芽細胞 と比較した。レトロウイルス媒介ルシフェラーゼ発現に基づく樹状細胞の形質導 入効率は、同一のプロトコル、その後のタンパク質含量に基づく標準化により約 0.1%であった。この形質導入効率に基づいて、養子移入実験におけるレシピエ ントマウスは、計5×105注射細胞中の平均約5×102形質導入樹状細胞を受けた と算出された。これらのエクスビボ形質導入樹状細胞により誘導された免疫応答 レベルは、同じ抗原を発現する3×104〜1×105線維芽細胞を注射するための同 じ注射プロトコルを用いて生じた免疫応答レベルに匹敵する。この算出に基づい て、単一の形質導入樹状細胞は、60〜200の形質導入線維芽細胞により生じた免 疫応答と等価な免疫応答を誘導する。 上記のデータは、タンパク質発現細胞の相対的に希なことを示す。由来する抗 原またはタンパク質を発現する細胞間の抗原提示細胞の頻度を評価するために、 以下の手順を使用して、これらの希な抗原提示細胞を、注射部位および種々のリ ンパ器官で同定した。 C57BL/6マウスに、オボアルブミンコード組換えレトロウイルスを注射した。 プールされた脾臓を、B、T、マタロファージ、および「樹状細胞」に分画した 。これらの潜在的な抗原提示細胞を、抗原刺激の際にLacZタンパク質を発現する CTLハイブリドーマである、B3.Z細胞と一晩インキュベートした。これらの培養 物を、X-galで染色して、B3.Z活性化のレベルを評価した。コントロールとして 、B3.Z細胞を、以下の試薬とインキュベートした:プレート結合抗T細胞レセプ ター抗体;オボアルブミン遺伝子でトランスフェクトした既知数のE7.G細胞;非 免疫脾細胞;または分画していない免疫脾細胞。標準曲線を、固定数のE7.G細胞 とインキュベートした活性化青色B3.Z細胞の頻度から作製し、そして各脾臓画分 における抗原提示細胞の頻度をそれらから評価した。脾臓あたり平均約100の抗 原提示細胞を、計107cfuの組換えレトロウイルスを注射したマウスにおいて検出 した。これらのマウスからプールされた脾細胞は、インビトロ刺激の1週間後に 100:1のエフェクター:標的比で行われたCTLアッセイにおいて40%の溶解を生 じた。 実験の別のシリーズにおいて、10匹のC57BL/6マウスに、上記で使用されたよ うな6×107cfuの同じ遺伝子送達ビヒクルを注射した。細胞を注射部位およびリ ンパ器官から単離した。E7.G細胞の認識から作製した標準曲線に対する比較は、 1×105および4×104抗原提示細胞を、それぞれ、鼠径リンパ節および膝窩リン パ節から回収したことを示した。2×104抗原提示細胞を、注射部位から回収し た。このデータは、抗原提示細胞が全く希であることを示す。従って、遺伝子治 療媒介免疫誘導は、以下に記載の選択細胞型の形質導入を増大することによって 改善され得る。 上記に示すように、遺伝子送達ビヒクル媒介形質導入により影響される細胞の ヒエラルキーが存在する。発現ベクターを含む細胞を、種々の供給源(器官全体 、精製細胞集団、またはインサイチュ形態の組織切片を含む)においてPCRのよ うな技術により検出し得る。発現ベクターを含む細胞(グループI)のうち、一般 的に、いくつかのみがタンパク質を発現するが(グループII)、グループI細胞 集団およびグループII細胞集団の相対的な大きさは、多くの例において比較し得 る。グループII細胞を、組織化学および免疫組織化学を含む種々の技術により検 出し得る。異種タンパク質発現の持続時間を調べる場合、発現の損失は上記の研 究の経過の間(10日)に生じないが、発現の持続時間は、使用される特定の遺伝 子送達ビヒクルに依存して変化するようである。 抗原プロセシングおよび抗原提示は、以下の多くの工程およびパラメーターを 含む:抗原タンパク質のペプチドへのプロセシング;ペプチドの小胞体への輸送 ;ペプチドの適切なMHCクラスI分子への結合;およびペプチド-MHCクラスI複合 体が細胞傷害性T細胞と相互作用し得る微小環境。従って、タンパク質発現細胞 のサブ集団のみが、免疫系に対して抗原ペプチドを提示するようである(グルー プIII)。上記の結果はこの仮説を確認し、そして抗原提示細胞が全く希である ことを確かに見出す。 最後に、発現ベクターを含まず、従って抗原を発現し得ないが、それにもかか わらず抗原を提示する細胞の異なるグループ(グループIV)が存在する。これらの 細胞の例として、初代形質導入細胞またはそれらのフラグメントを取り込み、そ してそれ自身のMHC分子に関して抗原ペプチドを再プロセシングして提示する( すなわち、交差プライミング(cross-Priming))、食細胞が挙げられる。 上記の結果は、遺伝子送達ビヒクルの直接投与後の抗原提示が、脾臓樹状細胞 およびマクロファージ細胞により媒介されることを証明する。特定の理論に縛ら れることなく、注射部位で最終的に形質導入された細胞は、針損傷により引き起 こされる炎症反応により補充され得るようである。形質導入後、細胞は、リンパ 管を介して脾臓に排出され、そして抗原を提示するようである。従って、エクス ビボ形質導入された単球/マクロファージおよび樹状細胞は、免疫応答を移入す るための優れた供給源である。従って、自己またはハプロタイプ適合の、形質導 入樹状細胞または単球/マクロファージは、疾患処置または予防のための免疫治 療アプローチにおいて使用され得る。しかし、エクスビボ遺伝子治療に関するロ ジスティックなおよび他の複雑性により、遺伝子送達ビヒクルの患者への直接投 与が好ましい。特に好ましいアプローチにおいて、樹状細胞のインビボ形質導入 が行われる。このような形質導入を増強するために、患者は、選択的に白血球の 増殖を引き起こすGM-CSFのようなサイトカインをコードする遺伝子送達ビヒクル のプレ注射または同時注射により処置され得る。あるいは、このような免疫調節 補因子の組換えバージョンを投与し得る。特に好ましいアプローチにおいて、遺 伝子送達ビヒクルを、インビボで樹状細胞に標的する。このような標的化遺伝子 送達ビヒクルの代表的な生産の例を、以下の実施例2に記載する。 実施例2 腫瘍特異的抗原に対して予防的および治療的免疫応答を誘導するためにレトロウ イルスベクターで形質導入されたマウス樹状細胞 1.腫瘍治療 ヒトパピローマウイルス(HPV)は、いくつかのヒトガン、特に頚領域および肛 門性器領域の扁平上皮腫瘍の発生に関与する。いくつかのパピローマウイルス型 由来のE7タンパク質は、腫瘍サプレッサー遺伝子Rb産物への結合により頸上皮細 胞の腫瘍形成形質転換を媒介する。E7遺伝子は不死化しており、そして初代ラッ ト細胞(Kanda,Tら、J.Virol,62:610-613,1988)および初代ヒト線維芽細胞(Wa tanabe,Sら、J.Virol,63,965-969,1989)の両方を形質転換し得る。タンパク 質の構造と機能との間の関係を解明することを意図するE7の変異分析は、アミノ 酸24での単一の点変異が形質転換能力を除去するが、一方トランス活性化活性は 維持されることを明らかにし(Edmonds,Cら、J.Virology 63,2650-2656,1989) 、そのためこのE7変異体はp24と呼ばれた。理論的には、頸ガンの大部分に存在 するE7タンパク質は、インビボ刺激T細胞応答に対する魅力的な標的である。 マウス細胞株はHPV感染に非許容的であるので、2つの代理HPV領域を、DA/p24 プロデューサー株由来のレトロウイルスベクターを形質導入することにより作製 した。DA/p24プロデューサー株を、p24遺伝子(Edmonds,Cら、J.Virology 63,26 50-2656,1989)をras遺伝子の代わりにレトロウイルス骨格に挿入した以外は、 上記の実施例2に記載のように構築した哺乳動物癌腫細胞株であるJC(ATCC番号C RL-2116)および結腸直腸癌腫細胞株であるCT26(Michael Brittain at Baylor Co llege of Medicine)をDA/p24で形質導入して、それぞれ、JC.p24およびCT26.p24 を作製した。 形質導入樹状細胞画分を以下のように調製した。天然のマウスを屠殺し、そし て脾臓樹状細胞(SP-DC)画分を実施例1に記載のように調製した。骨髄樹状細胞 (BM-DC)を、長骨を洗浄し、続いてB細胞の補体媒介除去を行うことにより調 製した。それらを、GM-CSF(500U/ml)およびIL-4(1000U/ml)を含むRPMI 1640培地 に入れた。DA/p24を、膜を横切ってプロデューサー細胞を全く漏らさない、0.45 ミクロンの孔サイズを有するトランスウェル(Corning Costar,Cambridge,MA )中に播種した。樹状細胞画分を、低付着組織培養ウェル(Corning Costar,Cam bridge,MA)に添加し、そしてDA/p24を含むトランスウェルを樹状細胞画分上に 置いた。同時培養の7日後、回収された細胞を、予防のための天然のレシピエン トマウスまたは治療実験のための腫瘍保持マウスへの注射の前にPBSで3回洗浄 した。親不死化樹状細胞株であるD2SC/1(WO 94/28113)を、β-galまたはp24抗原 のいずれかで形質導入した。得られる2つの不死化樹状細胞株D2SC/1.β-galお よびD2SC/1.p24をコントロールとして使用した。 治療実験のために、JC.p24またはCT26.p24腫瘍保持BALB/cマウスのいずれかを 、DA/p24プロデューサー細胞株との同時培養により形質導入された同系BM-DCま たはSP-DC樹状細胞を用いて処置した。腫瘍を、1日目に接種し、続いてp24形質 導入BM-DCまたはSP-DCで毎週処置した。免疫実験のために、天然のBALB/cマウス を、1日目および7日目にp24形質導入BM-DCまたはSP-DCで2回免疫し、続いて1 4日目にJC.p24またはCT26.p24で攻撃した。全てのマウスを、週に2回、腫瘍体 積を測定した。全ての実験について、平均腫瘍体積を腫瘍接種後の日数に対して プロットした。 A.CT26.p24 モデル 2×105 CT26.p24細胞を、50匹のBALB/cマウス(各10匹のマウスの5グループ )に注射し、7、14、および21日目にp24形質導入したBMまたは脾臓由来の樹状 細胞を用いて処置した。D2SC/1.β-galおよびDS2C/1.p24を、5×106細胞/マウ ス/治療で注射した。BM-DCおよびSP-DCを、それぞれ、2〜3×106細胞/マウス/ 治療または4〜10×105細胞/マウス/治療で注射した。BM-DCおよびSP-DCの効率 は、0.1〜1%であると評価され、従って2×103〜3×104(BM-DC)または4×102 〜1×104(SP-DC)の形質導入樹状細胞/マウス/治療が注射されたと考えられた 。 CT26.p24細胞を用いる樹状細胞治療の効果についての結果を図3に示す。p24 形質導入SP-DCまたはBM-DCで免疫されたマウスは、コントロールマウスと比較し た場合、腫瘍体積において30%未満の減少を示した。 B.JC.p24 モデル 3×105 JC.p24細胞を、50匹のBALB/cマウス(各10匹のマウスの5グループ) に注射し、そして7、14、および21日目に形質導入樹状細胞を用いて処置した。 D2SC/1.β-galおよびD2SC/1.p24を、5×106細胞/マウス/治療で注射した。BM-D CおよびSP-DCを、それぞれ、2〜3×e6細胞/マウス/治療または4〜10×105細 胞/マウス/治療で注射した。トランスウェル同時培養によるBM-DCおよびSP-DCの 形質導入効率は、0.1〜1%であると評価され、従って2×103〜3×104(BM-DC) または4×102〜1×104(SP-DC)の形質導入樹状細胞/マウス/免疫が注射された 。 JC.p24を用いる樹状細胞治療の効果についての結果を図4に示す。SP-DC免疫 マウスは、コントロール動物と比較した場合、腫瘍体積において約60%の減少を 示した。BM-DCワクチン接種動物が1回しかBM-DCで注射されなかった事実にかか わらず、いくらかの保護がなお観察された。いくつかの動物は、腫瘍負荷の減少 を示した。D2SC/1.β-gal免疫マウスは、非免疫コントロールとD2SC/1.p24免疫 動物との間の中間レベルの保護を示した。 2.腫瘍予防 A.JC.p24 腫瘍 50匹のBALB/cマウスを1日目に2回免疫し、そして7.3×105 JC.p24細胞を、5 0匹のBALB/cマウス(各10匹のマウスの5グループ)に注射し、そして7、14、 および21日目に形質導入樹状細胞を用いて処置した。D2SC/1.β-galおよびD2SC/ 1.p24を、5×106細胞/マウス/治療で注射した。BM-DCおよびSP-DCを、それぞれ 、2〜3×106細胞/マウス/治療または4〜10×105細胞/マウス/治療で注射した 。トランスウェル同時培養によるBM-DCおよびSP-DCの形質導入効率は、0.1〜1 %であると評価され、従って2×103〜3×104(BM-DC)または4×102〜1×104( SP-DC)の形質導入樹状細胞/マウス/免疫が注射された。 JC.p24を用いる樹状細胞免疫の効果についての結果を図5に示す。BM-DCワク チン接種動物が1回しかBM-DCを注射されなかった事実にかかわらず、いくらか の保護がなお観察された(図6)。いくつかの動物は、腫瘍負荷の減少を示した 。D2SC/1.β-gal免疫マウス(図7)は、非免疫コントロールおよびD2SC/1.p24 免疫動物との間の中間レベルの保護を示した。 B.CT26.p24 モデル 腫瘍が免疫原性である場合、樹状細胞ベースの予防および治療がより効果的で あることが、文献(Zitvogelら、Exp J.Med.183:87,1996)において示唆されて いる。樹状細胞予防または治療は、免疫原性腫瘍の完全な保護または退行を達成 し得るが、弱い免疫原性の腫瘍は、部分的な保護または退行しか達成され得ない 。JC.p24は弱い免疫原性であり、従って、おそらく免疫治療に対してほとんど感 受性がないので、免疫原性CT26.p24を用いる類似の予防実験は、より良好な保護 を示した(図8を参照のこと)。 3.樹状細胞ローディングの他の方法に対する比較 以下の実験は、レトロウイルス形質導入が、免疫応答の誘導において、樹状細 胞のタンパク質またはペプチドローディングと等価であることを示した。β-gal を、DA/β-galベクターで形質導入したCT26腫瘍であるCT26.β-galにおける代理 腫瘍抗原として使用した。免疫応答を、β-galで形質導入したか、または抗原ペ プチドもしくはタンパク質をロードしたかのいずれかの骨髄樹状細胞を用いて誘 導した。以下のグループを免疫誘導について比較し、そして結果は、これらのグ ループの全てから誘導されたCTL応答に匹敵し得ることを示した。この結果は、 ペプチドまたはタンパク質の樹状細胞ローディングが免疫応答を誘導するのに最 も良好な方法であると考慮されたので重要であった。同様の効力が、最適化され た形質導入法の使用により達成された。 1.処置なし 2.BM-DC.β-gal(マウスあたり1×106)形質導入(DA/β-gal同時培養、 7日間) 3.タンパク質の一晩のインキュベーション(100μg/ml) 4.2時間のペプチドローディング(20ng/ml)+hb2m(10μg/ml)(ヒトβ-2 ミクログロブリンは、抗原ペプチドの細胞ローディングのための標準的なプロト コルである) 図9は、樹状細胞に抗原を導入する方法間の比較を示す。この図に示すように 、腫瘍攻撃についての等価なレベルの保護を、レトロウイルスベクター形質導入 樹状細胞および抗原ペプチドまたはタンパク質をロードした樹状細胞を用いて免 疫した動物から観察した。樹状細胞にロードするために使用されたβ-galペプチ ドまたはタンパク質のモル比は非常に過剰(>100万倍)であったので(一方、 レトロウイルスベクター形質導入効率は1%しかないと評価された)、レトロウ イルス形質導入がペプチドまたはタンパク質ローディングと等価な保護を達成す ることを高く奨励した。 以下の表は、樹状細胞による免疫誘導に必要とされるタンパク質発現のレベル は、線維芽細胞のレベルの1%しかないことを示す。詳細には、線維芽細胞免疫 動物と等価な正味CTL溶解を、タンパク質発現が1/100である形質導入樹状細胞で 免疫したマウスにおいて観察した。この結果は、樹状細胞による抗原提示の優れ た効率を証明した。 本発明は、一般的におよび好ましい実施態様に関しての両方で上記されたが、 変化および改変が、前出の記載を考慮して当業者には想到されることが理解され る。従って、添付の請求の範囲は、請求される本発明の範囲内にある全てのその ような変化をカバーすることが意図される。 さらに、刊行物、特許、特許出願、および本発明の背景を明らかにするために 、特に、詳細な説明および実施例に記載されるようなその実施に関してさらなる 詳細を提供するために引用された他の資料は、その全体が参考として本明細書中 に援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/772,010 (32)優先日 平成8年12月19日(1996.12.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),CA,JP (72)発明者 リー,バージニア アメリカ合衆国 カリフォルニア 92007, カーディフ,エバーグリーン ドライブ 1374 (72)発明者 ジォリー,ダグラス ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92924, リューカディア,ヒルクレスト ドライブ 277

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.樹状細胞標的エレメントおよび少なくとも1つの疾患関連抗原の発現を指向 する発現ベクターを含む、遺伝子送達ビヒクル。 2.前記発現ベクターが組換えウイルスによって保有される、請求項1に記載の 遺伝子送達ビヒクル。 3.前記組換えウイルスが組換えレトロウイルスである、請求項2に記載の遺伝 子送達ビヒクル。 4.前記組換えウイルスがアルファウイルスである、請求項2に記載の遺伝子送 達ビヒクル。 5.前記発現ベクターが、ガン、心疾患、細菌感染、寄生虫感染、およびウイル ス感染からなる群から選択される疾患に関連する抗原の発現を指向する、請求項 1に記載の遺伝子送達ビヒクル。 6.請求項1〜5に記載の遺伝子送達ビヒクルおよび薬学的に受容可能なキャリ アを含有する、薬学的組成物。 7.遺伝的に改変された樹状細胞を生産するインビボの方法であって、該方法が 、樹状細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルを動物に投与する工程を包含し、こ こで該遺伝子送達ビヒクルが、樹状細胞標的エレメントおよび少なくとも1つの 疾患関連抗原の発現を指向する発現ベクターを含む、方法。 8.前記遺伝子送達ビヒクルが組換えウイルスである、請求項7に記載の方法。 9.動物における予防的免疫応答を刺激する方法であって、該方法が樹状細胞標 的エレメントおよび少なくとも1つの疾患関連抗原の発現を指向する発現ベクタ ーを含む予防有効量の遺伝子送達ビヒクルを動物に投与する工程を包含する、方 法。 10.前記遺伝子送達ビヒクルが組換えウイルスである、請求項9に記載の方法 。
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