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JP2002371478A - 柄調人工皮革 - Google Patents

柄調人工皮革

Info

Publication number
JP2002371478A
JP2002371478A JP2001179085A JP2001179085A JP2002371478A JP 2002371478 A JP2002371478 A JP 2002371478A JP 2001179085 A JP2001179085 A JP 2001179085A JP 2001179085 A JP2001179085 A JP 2001179085A JP 2002371478 A JP2002371478 A JP 2002371478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pattern
artificial leather
concave
convex
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001179085A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Kawada
泰雄 川田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001179085A priority Critical patent/JP2002371478A/ja
Publication of JP2002371478A publication Critical patent/JP2002371478A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Coloring (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 凹部と凸部で色目の違いを有することにより
凹凸感が鮮明であり、柔軟性に優れ、耐摩耗性に優れた
凹凸柄を有した人工皮革を提供する。 【解決手段】 繊度0.5dtex以下の極細合成繊維
から構成される人工皮革の起毛面に、凹凸部を有し、凹
部が濃色で、熱収縮または溶融されて固定化された繊維
から構成され、凸部が淡色に色分けされた凹凸柄を有す
る柄調人工皮革。 【効果】人口皮革の印捺部の熱溶融または熱収縮によっ
て、印捺部の印捺個所に容易に凹部が形成され、黒鉛等
の一部が凹部に取り込まれ、かくして凹凸模様が明確に
表現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凹凸柄を有する柄
調人工皮革に関し、さらに詳しくは、凹凸感が鮮明であ
り、柔軟性に優れ、かつ、柄消えの無い耐摩耗性に優れ
た柄調人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人工皮革の表面に、凹凸形状の柄を形成
する方法としては、機械的手段により 繊維製品の一部
を押圧して繊維を変形させ、そのままセット(固定)する
メカニカル・エンボス法がある。また、化学的手段によ
り繊維製品の一部の繊維を膨潤、収縮、溶解または炭化
せしめるケミカル・エンボス法がある。
【0003】上記のうち、メカニカル・エンボス法で
は、凸部模様のある加熱エンボスロールを繊維製品(人
工皮革の表面)に押圧するので、凸部に押圧される部分
付近の繊維までが、裏側に至るまで軟化融着してフィル
ム状に固まり、人工皮革の本来の弾力性のある柔らかい
風合いが損なわれるという問題がある。さらに、エンボ
スロールの凸部以外の部分も、高熱を帯びているので、
その輻射熱を受けて、人工皮革製品の全体がフィルム状
に溶融したり黄色変形する危険があり、その適用範囲は
限られる。また、生地の凹部は、フィルム状であるため
光沢を有しているが、色目は生地の凸部と同色であり、
凹凸感は鮮明でない。
【0004】ケミカル・エンボス法では、苛性ソーダー
を主とするアルカリ剤や、無機または有機の溶剤を印捺
し、その印捺した部分の繊維を収縮させたり溶解あるい
は炭化させて、凹部とするものである。しかし、そこで
使用するアルカリ剤や溶剤を洗浄除去するために、後処
理が必要となり、その為、工程が二工程となり、その洗
浄溶液の処理に当たっては、公害問題に十分注意しなく
てはならない。さらにその工程で用いられるアルカリ剤
や溶剤の多くは、有害な危険物質を含んでおり、取り扱
いが危険であるばかりか、印捺箇所が変質または黄変す
るという問題が指摘される。
【0005】一方、合成繊維製品の一部に、黒鉛、カー
ボン・ブラック等の黒体微粒子を塗布し、近赤外線を照
射し、黒色微粒子の付着した繊維部分だけが、加熱され
て溶融、収縮して凹部を形成し、その付着していない後
の部分では、熱の影響を受けない凸部を形成し、繊維製
品の表面に凹凸模様を立体的に形成する方法がある(特
公平7−53472公報、特開昭63−211359公
報)。しかし、この方法では、繊維製品が硬い風合いと
なり、柔軟性や、耐磨耗性に問題が生じる。
【0006】上記何れの方法であっても、押圧セットさ
れ、または溶解されて形成される模様の凹部を、異色に
着色することは出来ず、従って単一色の凹凸部模様しか
形成されないという問題がある。さらにメカニカル・エ
ンボス法では、柄によっては軟化融着まで到達せず、摩
耗によって柄消えが発生するという問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題を解決し、人工皮革において、凹部と凸部で色目
の違いを有することにより、凹凸感がより鮮明な柄調を
有し、かつ、柔軟性に富み、柄消えの耐摩耗性に優れた
柄調の人工皮革を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために、鋭意研究をした結果、本発明を完成す
るに至った。
【0009】即ち、本願で特許請求される発明は下記の
通りである。 (1) 繊度0.5dtex以下の極細合成繊維から構
成される人工皮革の起毛面に、凹凸部と、該凹部が濃色
に、該凸部が淡色に色分けされた凹凸柄とを有し、かつ
下記式(1)に示す柔軟柄消え耐久指数が250以上で
あることを特徴とする柄調人工皮革。 柔軟柄消え耐久指数=柄消え耐磨耗回数/剛軟度(mm)―――(1) 但し、柄消え耐磨耗回数はマーチンデール法による磨耗
回数、剛軟度(mm)は、カンチレバー法による剛軟度
を示す。
【0010】(2)該凹部を構成する繊維が、熱収縮ま
たは溶融されて、固定化されていることを特徴とする
(1)記載の柄調人工皮革。 (3)該凹部を構成する繊維の表面に、黒色微粒子が固
定化されていることを特徴とする(1)または(2)記
載の柄調人工皮革。 (4)該凹凸部の濃淡差ΔEが5以上であることを特徴
とする(1)、(2)または(3)記載の柄調人工皮
革。
【0011】本発明によれば、極細繊維及びポリウレタ
ンから成る人工皮革において、形成される凹凸状の柄部
分の繊維が、脆化変質または変色を伴わずに、凹部と凸
部の色目が異なるように柄出しを行うことにより、凹凸
感がより鮮明であり、かつ、柔軟で、柄消えの無い、耐
摩耗性に優れた柄調の人工皮革を得ることができる。本
発明に用いる人工皮革は、繊度0.5dtex以下の短
繊維が、三次元的に交絡した短繊維不織布を含む構造物
であることが好ましい。
【0012】また、不織布構造物の内層域に、編み物ま
たは織物を埋め込んで構成される、不織布と布帛の複合
構造物であることが好ましい。また構造物中に、極細の
単繊維同士の絡み合い、及び内部に介在する織編物との
一体交絡構造を有する複合構造物であっても良い。不織
布構造であれば、上記のように、内部層域に織編物の存
在を特定するものではない。
【0013】本発明の凹凸部において、凸部は、極細繊
維が起毛処理を受けて、繊維の先端部は毛羽状で自由に
動くことができ、人工皮革特有のスウェード調の柔軟な
風合いと、手触り感を有する部位である。
【0014】凹部は、極細繊維が、やや窪んだ状態で、
熱収縮または溶融された状態であり、繊維の先端は一部
お互いに溶融し、固定化されていることが好ましい。凹
凸部の構成比率は、凹部の面積比率で10〜70%が好
ましく、より好ましくは20〜60%である。
【0015】凹凸の厚み差は、0.05mm〜1.0m
mの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.8m
mである。厚み差が小さいと、凹凸感が弱く、大きすぎ
ると、硬い風合いになる。凹部は、濃色に、凸部は、淡
色に色分けされているが、凹凸部の濃淡差は、ΔE色差
で、5以上が好ましく、より好ましくは、ΔEが8〜2
0である。
【0016】凹凸部の配列、柄は、規則性があっても良
く、規則性が無くてもよい。たとえば、格子状の柄のよ
うな規則性の柄でも良く、シマウマや豹のような動物の
柄を模倣しても良い。凹凸部の各種配列や、構成によ
り、濃淡差を利用した、人工皮革の各種の柄が可能であ
り、目的に応じて、適宜、柄を選択できる。
【0017】凹部を濃染化するために、染色前に凹部を
あらかじめ、黒色化しておくことが好ましい。そのため
に、極細の合成繊維布帛の表面に、黒鉛、カーボン・ブ
ラック、活性炭その他のいずれかの黒色の微粉末を配合
した塗料を印捺乾燥し、波長が750μ前後の近赤外線を
含む赤外線を照射して、合成繊維の印捺塗料付着部分を
溶融または収縮させることが好ましい。
【0018】ここに、合成繊維とは、ナイロン、ポリエ
ステル繊維等の熱可塑性繊維であり、加熱されると溶融
する繊維である。塗料に配合する黒鉛、カーボン・ブラ
ック、活性炭、その他の炭の中で、最も好ましいもの
は、鉛筆の芯に使用されるが如き黒鉛である。塗料に
は、防染剤や抜染剤、或いは、染料や顔料等の着色剤
を、配合することができ、それらの着色剤により、部分
的に異色に色分けして印捺することができる。印捺は、
印捺ロール、捺染スクリーン、スプレー等が好ましい。
【0019】塗料は、デンプンやカルボキシメチルセル
ロース等の水溶性糊をバインダーとする水溶性のもので
あってもよいし、エマルジョンーラテックス等をバイン
ダーとする、非水溶性のものであっても良い。
【0020】本発明の好ましい印染の態様は、塗料が繊
維製品の裏面まで含浸せず、表面に付着するように印捺
することである。極細繊維の表面に、上記黒色の微粒子
が付着し、熱により、収縮、溶融され、一部、黒色微粒
子は、繊維の溶融と共に、繊維表面に固定化され、極細
繊維はお互いに溶融融着する。その後、繊維表面の未固
着の黒色微粒子を充分に洗浄して洗い流す。
【0021】黒色微粒子の固着付着量としては、凹部に
おいて、0.1〜5omf%が好ましく、より好ましく
は0.3〜2omf%である。柄消え耐磨耗度は、マー
チンデール法で、厚みが0.75mm以上の場合は12
Kpaの荷重下で、厚みが0.75mm未満の場合は9
Kpaの荷重下で、凹凸柄が消えるまでの磨耗回数で表
されるが、15000回以上が好ましく、より好ましく
は、20000回以上であり、最も好ましくは、250
00回以上である。
【0022】剛軟度(mm)は、カンチレバー法による
測定値であり、数値が小さいほど柔らかいことを示す。
カンチレバー剛軟度は、60mm以下が好ましく、より
好ましくは50mm以下である。
【0023】柔軟柄消え耐久指数は、柄消え耐磨耗回数
/剛軟度(mm)で表される指数であり、柔軟性と柄消
え耐久性の両方の特性を表す指数であり、柔らかく、耐
久性が大きい程、大きな数値になる。但し、柄消え耐磨
耗回数はマーチンデール法による磨耗回数であり、剛軟
度(mm)は、カンチレバー法により測定される。柔軟
柄消え耐久指数は、250以上が好ましく、より好まし
くは、500以上であり、特に好ましくは、800以上
である。
【0024】柔軟性は、人工皮革にとっては重要な因子
であり、本発明では、染色加工前の生機の段階で、凹凸
柄だし加工を行うことが好ましく、その後、充分に洗浄
した後、染色加工を行うことで、柔軟性を損なうことな
く、凹凸形状の濃淡色差を有する柄調の人工皮革を提供
することができる。染色加工後の製品の段階で、人工皮
革製品を凹凸柄だし加工すると、凹凸柄だし加工による
風合い硬化が生じやすく、柄消え耐久性も劣る傾向にあ
る。
【0025】柄消え耐久性については、柄だし加工にお
いて、凹部の極細繊維が一部溶融すると共に、黒色の微
粒子を一部繊維表面に固定化させ、未固着の黒色微粒子
を洗浄除去し、繊維同士もお互いに溶融融着することに
より、より強固に凹部の繊維が固定化されるため、柄部
の耐磨耗性に優れた特性を有しているものと推察してい
る。
【0026】本発明の人工皮革で用いられる、極細繊維
の繊度は、0.5dtex以下が好ましく、さらに好ま
しくは0.3dtex以下であり、特に好ましくは0.
2dtex以下である。人工皮革での、表面繊維の剛
性、表面立毛の腰の点から、0.5dtex以下が好ま
しく、さらに、極細繊維では、凹部の加熱溶融処理で、
容易に溶融処理ができ、表面積が大きくでき、黒色微粒
子の固定化効果が促進され、凹凸柄だし効果も大きい。
【0027】人工皮革に含まれるポリウレタン含有量
は、3.0〜40wt%が 好ましく、さらに好ましく
は、5.0〜15wt%である。人工皮革の厚みは0.
35mm〜1.3mmの範囲であるが、これに特定する
ものではない。
【0028】人工皮革の製造方法の一例としては、少な
くとも、人工皮革表面の繊維層として、単繊維繊度0.
5dtex以下の極細繊維を主体として構成される繊維
層を含んで成る不織シート状物に、水系高分子エマルジ
ョンを付与し、加熱乾燥してスエード調人工皮革を製造
する方法において、前記不織シート状物の表面繊維層を
予め起毛処理し、次いで前記水系高分子エマルジョンに
水溶性高分子化合物の水溶液を混合して付与し、加熱乾
燥した後に、前記水溶性高分子化合物を抽出除去する方
法がある。
【0029】極細繊維の繊維素材としては、通常の人工
皮革に用いられるものなら特に制限はなく、例えばポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6、ナイロン
66、ポリアクリロニトリル等を用いることができる。
極細繊維としては、通常の湿式、乾式及び溶融紡糸法
により直接紡糸されたもの、 またメルトブロー法、海
島型繊維及びポリマーブレンド繊維から一成分を抽出除
去したもの、割繊糸法等によって得られるものが使用で
きる。 前記方法で得られる単繊維繊度0.5dtex
以下の極細繊維を主体として成る表面繊維層を主体とし
て成る表面繊維層を有する不織シート状物が適用され
る。
【0030】該単繊維繊度が0.5dtexを越える場
合は、繊維の剛性が大きく、表面立毛の腰が強いためス
エード調人工皮革特有の高級な表面品位、手触り感、及
びライテイング効果等を得ることが困難になる。不織シ
ート状物を得る方法としては、上記の各種極細繊維か
ら、カード・クロスレイヤー、ランダムウェーバー等の
乾式法、液体中に極細繊維を分散させ湿式抄造法等によ
り不織ウェッブを製造し、その不織ウェッブ単独または
その不織ウェッブの下面に、同種もしくは、異種の不織
ウェッブを積層した積層体を、ニードルパンチ、液流交
絡処理等により交絡一体化する方法等によって得られ
る。
【0031】また編織物の片面または両面に、前記極細
繊維から得た不織ウェッブを積層した積層体を、同様に
ニードルパンチング、液体交絡装置等によって、交絡一
体化し、不織シート状物としてもよい。
【0032】前記極細繊維から成る不織ウェッブが、編
織物の少なくとも片面全体を覆って配置されて織物と三
次元交絡されている不織シート状物である場合は、不織
シート状物が、編織物によって補強されているために、
付与される水系高分子エマルジョンの量を少なくするな
ど、広い範囲で好適条件を選択することができ、その結
果、しなやかで柔軟な風合いを有し、きめ細かな表面立
毛品位が、得やすく、且つ、物性を満足させることがで
きる。
【0033】不織シート状物の起毛処理方法は、針布、
ブラシまたはバフ等により可能であるが、エメリーペー
パーによるバフィングが、立毛の長短やきめ細かさを使
用するエメリーペーパーの番手、回転速度等によって容
易に調整可能な点で好ましい。その際、水溶性高分子化
合物の水溶液と水系高分子化合物の混合物を付与するこ
とが好ましい。これは、乾燥工程でのエマルジョン物質
のマイグレーションを防止し、且つ表面立毛層に水溶性
高分子化合物を集中的に集めることで立毛層を保護する
という意味がある。
【0034】水溶性高分子化合物としては、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチ
ルセルロース、カゼイン、部分ケン化及び完全ケン化ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリ
ル酸、等の水溶性の高分子化合物を使用できるが、水系
高分子エマルジョンの増粘効果と水溶液中でのマイグレ
ーションの容易性及びコスト的観点から、ポリビニルア
ルコール類が好ましい。
【0035】水系高分子エマルジョンとしては、ポリウ
レタン、ポリ塩化ビニリデン(共重合体)、ポリ塩化ビ
ニル(共重合体)、ポリアミド、ポリアミノ酸、ポリ酢
酸ビニル(共重合体)、ポリアクリル酸共重合体、ポリ
アクリル酸エステル、SBR、NBR等の乳化重合品、または
これらを水に分散させたものがあげられる。かかる水系
高分子エマルジョンの種類は、得られるスエード調人工
皮革の用途によって適宜選択すればよい。
【0036】次いで、起毛された不織シート状物に付与
する水溶性高分子化合物の水溶液と水系高分子エマルジ
ョンの混合物の濃度について説明する。混合物中におけ
る水系高分子エマルジョンの濃度は目的とするスエード
調人工皮革の性量、風合い、物性(引裂強度、剥離強度
等)を得るために必要なエマルジョン物質の付着量から
適宜選択できるが、1〜40wt%の濃度範囲が好まし
い。
【0037】不織シート状物に対する付着量としては、
2〜100omf%が好ましい。付与される不織シート
状物が、編織物によって補強されたような、それ自体が
高強度の物性を有する場合においては、上記混合物中の
エマルジョン物質の濃度は1〜 40wt%の範囲が好ま
しく、不織シート状物に対するエマルジョン物質の付着
量として2 〜 60omf% の範囲が好ましい。エマル
ジョン物質の不織シート状物に対する付着量が2omf
%未満ではエマルジョン物質のバインダー効果が著しく
低下し、目的とする人工皮革の剥離強度、寸法安定性等
の物性が得られない。また、付着量が100omf%を
越えると硬く、ゴワゴワした風合いになり好ましくな
い。
【0038】次いで、加熱乾燥の具体的方法は熱風加
熱、赤外線加熱、高周波加熱等を適用できるが、水溶性
高分子化合物を乾燥時に不織シート状物の立毛層により
多く集め立毛層を保護するという主旨からすれば、ピン
テンター、クリップテンター、ショートループ方式等の
熱風加熱装置がより好ましい。 以上の製造方法によ
り、本発明が適用される人工皮革のシートを得ることが
できる。
【0039】本発明の柄調人工皮革を得るための柄出し
仕上げ法は、合成繊維から主として構成される染色加工
前の生機の表面に、黒鉛、カーボン・ブラック、活性炭
その他のいずれかの微粉末を配合した塗料を印捺乾燥
し、波長が750μ前後の近赤外線を含む赤外線を照射し
て、合成繊維の印捺塗料付着部分を溶融または収縮させ
る。
【0040】塗料に配合する黒鉛、カーボン・ブラッ
ク、活性炭、その他の炭の中で、最も好ましいものは、
鉛筆の芯に使用されるが如き黒鉛である。塗料には、防
染剤や抜染剤、或いは、染料や顔料等の着色剤を、配合
することができ、それらの着色剤により、部分的に異色
に色分けして印捺することができる。印捺は、印捺ロー
ル、捺染スクリーン、スプレー等が好ましい。塗料は、
デンプンやカルボキシメチルセルロース等の水溶性糊を
バインダーとする水溶性のものであってもよいし、エマ
ルジョンーラテックス等をバインダーとする、非水溶性
のものであっても良い。柄だし加工後、洗浄して、液体
染色機を用いて、通常の染色を行うことができる。染色
後、ソーダ灰とハイドロサルファイト及び界面活性剤を
配合して、通常の還元洗浄を行うことが好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によりさら
に詳細に説明する。実施例、比較例中の評価方法は、以
下の通りである。 (1)柄消え耐磨耗回数 JIS−L−1096E法(マーチンデール法)の装置
を用い、厚みが0.75mm以上の製品に対しては12
KPaの荷重、0.75mm未満の厚みに対しては9K
Paの荷重を掛けて、摩耗を繰り返し、柄が消える回数
で示す。
【0042】(2)剛軟度(mm) JIS−L−1096A法(45°角度のカンチレバー
法)による。 (3)ΔE色差 ミノルタ製"分光測色計"を使用し、色差(△E)を測定
する。
【0043】実施例1 人工皮革の生機を構成する繊維として、直接紡糸法によ
って得られた単繊維繊度0.1dtex(275dte
x/2500f)のPET極細繊維を製造し、長さ5m
mに切断した極細繊維を水中に分散せしめ抄造用スラリ
ーとした。 このスラリーを抄造し、目付130g/m2
の不織ウェッブを製造し、165dtex/48f の
PET繊維から成る目付量120g/m2の平織物の両
面に,上記不織ウェッブを積層し,高速水流の噴射により
三次元的に交絡一体化させた。
【0044】高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノ
ズルから30kg/cm2の圧力で噴射した。積層シー
トは、下面に吸引装置を有する80メッシュの金網に載
せ、ノズルから30mmの位置で、高圧水流を衝突させ
た。積層シートの表裏両面からこの操作を行い、目付量
210g/m2、厚さ0.95mm、見掛け密度が22
g/m2のシート状物を得た。 このシート状物を、24
0番のエメリーペーパーを用いて、ペーパー速度700
m/minで、表面をバフィングし、厚さ0.9mmと
した。 これに、平均粒子径が0.3μmのポリエーテル系
水系ポリウレタン エマルジョン10wt% 濃度であ
り、感熱剤としてNa2SO4(硫酸ナトリウム)5wt%を
加えて、調合液を試作した。
【0045】この調合液を撹拌しながら、加温したとこ
ろ、60℃ でゲル化物が認められた。 この調合液を、
先のシート状物に含浸し、ピック・アップ率が150o
mf% になるように、マングルを用いて絞った。次い
で、130℃ のピンテンター乾燥機で、3分間加熱乾燥
し、不織シートの生機を得た。
【0046】この不織シート生機のバフィング面に、下
記の組成の印捺糊を、豹柄のスクリーン捺染機を用い
て、印捺し、これを乾燥させた後、布速4m/minに
て、近赤外線ランプから50mm下を通して、主要波長
750μmの近赤外線を照射した。この結果、印捺箇所
の極細繊維の毛羽は、収縮あるいは溶融し、その印捺箇
所に凹部が形成され、同時に黒鉛粉末(カーボン)の一
部が凹部に取り込まれ、固定された。 〈印捺糊組成〉 (単位 : 質量部) 元糊(グアーガム 固形分15%) 35.5 捺染剤(日本化学製品(株)S−10) 30.0 キャリアー(明成化学(株)テリール・キャリアーFPL) 5.0 黒鉛粉末 1.5 分散染料(日本化学製品(株)) 8.0 水 20.0 合 計 100.0 その後、洗浄し、液流染色機(日阪製作所社製)を用い
て、浴比1 : 20、温度、染料としてアゾ系染料を用い
て、ベージュ色に染色した。次に、この起毛布帛を、苛
性ソーダー5g/lと二酸化チオ尿素5g/l配合・調
整し、温度80℃にて還元洗浄し、湯洗い、 脱水 、
乾燥させた。かくして、黄土色の起毛面に、黒鉛の存在
により着色された凹部による豹柄の凹凸模様が、鮮やか
に柄だしされた。表1に、柄消え磨耗回数、剛軟度、Δ
E色差を示した。マーチンデール法(12Pka)によ
る柄消え磨耗回数は、25000回と良好であり、柔軟
柄消え耐久指数が500であり、充分に柔らかで、耐久
性に優れているものであった。
【0047】比較例1 実施例1にて作成した起毛布帛の柄つけ加工として、柄
付き熱ロールにより、温度180℃、圧力10kg/cm2の
条件で、エンボス加工を施す。エンボス加工後、通常の
液流染色を施すと、エンボスで形成された凹部が、染色
時の熱の影響で一部回復し、凹凸間の境界が不明確とな
り、かつ凹部と凸部の色目は、ほぼ同色であった。表1
に示すように、マーチンデール法(12Pka)による
柄消え磨耗回数は、10000回であり、柔軟柄消え耐
久指数が143であり、柔軟性と耐久性に劣る物であっ
た。
【0048】
【表1】 色差判定 : ミノルタ製“分光測色計"使用 柄消え : 一定荷重下マーチンデール法にて柄消え
が発生した時点の回数で判定
【0049】
【発明の効果】請求項1ないし4記載の発明によれば、
人工皮革の印捺部の熱溶融または熱収縮によって、印捺
部の印捺箇所に容易に凹部が形成され、黒鉛等の一部が
凹部に取り込まれ、かくして凹凸模様が明確に表現され
る。またこのように印捺箇所だけが熱溶融または熱収縮
すると同時に黒鉛等で着色されるので、凹凸の柄ズレが
起こることがなく、従って、型際がシャープで鮮明な立
体感に富む表面の人工皮革が得られる。また柔軟で、摩
耗による柄消えが発生しにくく耐久性のある柄調人工皮
革が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B154 AA07 AA20 AB23 BA25 BA39 BB12 BB18 BF07 BF29 BF30 DA07 DA09 DA13 DA19 4F055 AA02 BA06 DA02 DA07 DA12 EA04 EA34 FA18 GA03 HA04 HA12 HA22 4H057 AA01 DA22 DA34 DA43 EA11 4L047 AA21 AB08 BA04 BA21 CA05 CB10 CC01 CC16 DA00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊度0.5dtex以下の極細合成繊維か
    ら構成される人工皮革の起毛面に、凹凸部と、該凹部が
    濃色に、該凸部が淡色に色分けされた凹凸柄とを有し、
    かつ下記式(1)に示す柔軟柄消え耐久指数が250以
    上であることを特徴とする柄調人工皮革。 柔軟柄消え耐久指数=柄消え耐磨耗回数/剛軟度(mm)―――(1) 但し、柄消え耐磨耗回数はマーチンデール法による磨耗
    回数、剛軟度(mm)は、カンチレバー法による剛軟度
    を示す。
  2. 【請求項2】該凹部を構成する繊維が、熱収縮または溶
    融されて、固定化されていることを特徴とする請求項1
    記載の柄調人工皮革。
  3. 【請求項3】該凹部を構成する繊維の表面に、黒色微粒
    子が固定化されていることを特徴とする請求項1または
    2記載の柄調人工皮革。
  4. 【請求項4】該凹凸部の濃淡差ΔEが5以上であること
    を特徴とする請求項1、2または3記載の柄調人工皮
    革。
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