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JP2002305078A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法

Info

Publication number
JP2002305078A
JP2002305078A JP2001106397A JP2001106397A JP2002305078A JP 2002305078 A JP2002305078 A JP 2002305078A JP 2001106397 A JP2001106397 A JP 2001106397A JP 2001106397 A JP2001106397 A JP 2001106397A JP 2002305078 A JP2002305078 A JP 2002305078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light emitting
emitting layer
solution
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001106397A
Other languages
English (en)
Inventor
Hodaka Tsuge
穂高 柘植
Akihiro Komatsuzaki
明広 小松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001106397A priority Critical patent/JP2002305078A/ja
Publication of JP2002305078A publication Critical patent/JP2002305078A/ja
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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】多層積層構造を有する有機エレクトロルミネッ
センス素子を簡便に製造できる方法を提供する。 【解決手段】陽極層10と陰極層70との間で、正孔輸
送層20を溶液状態で形成し、次に、正孔輸送層20を
構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度パラメータ
を有する溶媒に発光層40を構成する有機物を溶解して
成る溶液状態の発光層40を、溶液状態の正孔輸送層2
0に積層し、さらに、発光層40を構成する有機物に対
して溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に電子
輸送層60を構成する有機物を溶解して成る溶液状態の
電子輸送層60を、溶液状態の発光層40に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高輝度での発光が
可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、米国特許第6097147号によ
り、燐光を放射する物質を含有する発光層を備えた多層
積層構造で形成され、発光効率を向上させた有機エレク
トロルミネッセンス素子が知られている。
【0003】このものにおいて、多層から成る薄膜の積
層形成に際して発光性物質の蒸着工程を用いた、いわゆ
る乾式法を採用しているため、製造工程が複雑になり生
産効率が悪い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、上記問題
点に鑑み、多層積層構造を有する有機エレクトロルミネ
ッセンス素子を簡便に製造できる方法を提供することを
課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、陽極層及び陰極層の両電極層と、ホスト
剤と燐光を放射するドープ剤とを有する発光層と、前記
両電極層の間で該発光層を介して積層する第1及び第2
の両有機層とを具備し、前記電極層の一方が基板上に形
成される有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する
方法において、前記両電極層の間で、前記両有機層のう
ち前記基板側に位置すべき第1の有機層を溶液状態で形
成し、次に、前記第1の有機層を構成する有機物に対し
て溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に前記発
光層を構成する有機物を溶解して成る溶液状態の発光層
を、前記溶液状態の第1の有機層に積層し、さらに、前
記発光層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度
パラメータを有する溶媒に前記第2の有機層を構成する
有機物を溶解して成る溶液状態の第2の有機層を、前記
溶液状態の発光層に積層する。
【0006】ここで、モル蒸発熱ΔH、モル体積Vの液
体の絶対温度Tにおける溶解度パラメータSPは、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 で定義される。ただし、上記式中、SPは溶解度パラメ
ータ(単位:(cal/cm31/2)であり、ΔHはモ
ル蒸発熱(単位:cal/mol)であり、Rは気体定
数(単位:cal/(mol・K))であり、Tは絶対
温度(単位:K)であり、Vはモル体積(単位:cm3
/mol)である。
【0007】本発明では、発光層を構成する有機物を、
第1の有機層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶
解度パラメータを有する溶媒に溶解し、また、第2の有
機層を構成する有機物を、発光層を構成する有機物に対
して溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に溶解
して、第1の有機層と発光層と第2の有機層とをそれぞ
れ溶液状態で積層し、有機エレクトロルミネッセンス素
子の多層積層構造を形成する。この際、第1の有機層を
構成する有機物は、発光層を構成する有機物の溶解に用
いた溶媒に対して溶解度が僅小であるので、第1の有機
層と発光層とは、溶液状態のまま互いに隣接して積層し
た場合、各薄膜層を構成する有機物が溶解・混合するこ
となく薄膜層を形成できる。また、発光層を構成する有
機物は、第2の有機層を構成する有機物の溶解に用いた
溶媒に対して溶解度が僅小であるので、発光層と第2の
有機層とは、溶液状態のまま互いに隣接して積層した場
合、各薄膜層を構成する有機物が溶解・混合することな
く薄膜層を形成できる。即ち、発光層や第1及び第2の
両有機層の各薄膜層を構成する有機物を溶解した溶液を
用いた湿式法により簡便な薄膜形成が可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】図1(a)は、発光効率の向上を
目的として多層に積層された素子構造を有する有機エレ
クトロルミネッセンス素子の基本構造を示す。有機エレ
クトロルミネッセンス素子の素子構造は、陽極層10と
陰極層70との両電極層の間に、基板上に形成された陽
極層10に、正孔輸送層20、電子ブロック層30、発
光層40、正孔ブロック層50及び電子輸送層60の各
薄膜層が順次積層されて成る多層積層構造であり、発光
層40は、発光層ドープ剤41と発光層ホスト剤42と
から構成されている。
【0009】図1(a)〜(d)で示される各素子構造
において、陽極層10は、例えばガラス基板のような透
明絶縁性支持体に形成された透明な導電性物質が用いら
れ、その材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化
錫インジウム(ITO)などの導電性酸化物、あるい
は、金、銀、クロムなどの金属、よう化銅、硫化銅など
の無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポ
リアニリン等の導電性ポリマーなどを用いることができ
る。
【0010】また、陰極層70が透明な材料で形成され
ている場合には、陽極層10は不透明な材料で形成され
ても良い。
【0011】また、図1(a)〜(d)で示される各素
子構造において、陰極層70には、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウム、バリウム、硼素、アルミ
ニウム、銅、銀、金などの単体または合金が使用でき
る。さらに、これらを積層して使用することもできる。
また、テトラヒドロアルミン酸塩により湿式で形成する
こともできる。この場合、陰極層70に用いられるテト
ラヒドロアルミン酸塩としては、特に、水素化アルミニ
ウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化ア
ルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウ
ムを挙げることができる。この中で、水素化アルミニウ
ムリチウムが、特に電子輸送層への電子注入性に優れて
いる。
【0012】また、正孔輸送層20は、陽極から注入さ
れる正孔を輸送するための層であり、正孔輸送性有機物
を含む有機層である。正孔輸送層性有機物の例として、
【0013】
【化1】
【0014】[化1]に示すポリ(N−ビニルカルバゾ
ール)(以下PVKともいう。)、
【0015】
【化2】
【0016】[化2]に示すポリ(パラ−フェニレンビ
ニレン)、
【0017】
【化3】
【0018】(化学式[化3]中、RはC,H,O,Nで
構成する置換基である)[化3]を繰り返し単位として有
するポリカルバゾール化合物などの高分子からなること
が好ましい。あるいは、
【0019】
【化4】
【0020】[化4]に示すN,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビ
フェニル−4,4’−ジアミン(以下TPDともい
う。)、
【0021】
【化5】
【0022】[化5]に示すカルバゾールビフェニル
(以下、CBPとも言う。)、
【0023】
【化6】
【0024】[化6]に示すN,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(1−ナフチル)―1,1’−ビフェニ
ル−4,4’−ジアミン(以下、NPDとも言う。)
【0025】
【化7】
【0026】[化7]に示す4,4’−ビス(10−フ
ェノチアジニル)ビフェニル、
【0027】
【化8】
【0028】[化8]に示すカッパーフタロシアニン等
が挙げられる。
【0029】また、電子ブロック層30は、陰極層70
から発光層40へ注入された電子がそのまま陽極層10
へ通過してしまうことを防ぐため電子をブロックするた
めの層であり、電子ブロック性物質で構成される。電子
ブロック性物質としては、例えば、[化1]、[化2]、
[化4]乃至[化7]で示される化合物や、
【0030】
【化9】
【0031】[化9]に示す2,4,6−トリフェニル−
1,3,5−トリアゾール、
【0032】
【化10】
【0033】[化10]に示すフローレン、などを挙げる
ことができる。
【0034】また、発光層40はドープ剤41とホスト
剤42とを有し、これらドープ剤41とホスト剤42と
を均一に分散させるため、バインダ高分子を添加するこ
とも可能である。ホスト剤42は、陽極層10及び陰極
層70からそれぞれ注入された正孔と電子とが発光層4
0において再結合する際に賦活されて励起子として作用
する物質であり、
【0035】
【化11】
【0036】[化11]に示す1,3,5−トリ(5−
(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール))フェニル(以下OXD−1ともい
う。)
【0037】
【化12】
【0038】(化学式[化12]中、RはC,H,O,N
で構成する置換基を示す。)[化12]を繰り返し単位と
して有するポリフルオレン化合物、などが挙げられる。
【0039】一方、発光層40のドープ剤41は、励起
子たるホスト剤の励起エネルギーにより燐光を放射する
物質であり、
【0040】
【化13】
【0041】[化13]に示すトリ(2フェニルピリジ
ン)イリジウム錯体(以下Ir(ppy)3とも言
う。)、
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】(化学式[化19]中、acacは、
【0049】
【化20】
【0050】[化20]で示される官能基を示す。下記
[化21]乃至[化25]に示す化学式において同じ。)
【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】
【化23】
【0054】
【化24】
【0055】
【化25】
【0056】[化14]乃至[化19]、[化21]乃至[化
25]で示されるイリジウム錯体化合物、
【0057】
【化26】
【0058】[化26]に示す2,3,7,8,12,
13,17,18−オクタエチル−21H,23H−白
金(II)ポルフィン(以下PtOEPとも言う。)など
を挙げることができる。
【0059】また、発光層40に添加可能なバインダ高
分子の例として、ポリスチレン、ポリビニルビフェニ
ル、ポリビニルフェナントレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリビニルペリレン、ポリ(エチレン−co−ビニ
ルアセテート)、ポリブタジエンのcisとtran
s、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリビニルピロリ
ドン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、
ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(2−ビニルピリジン
−co−スチレン)、ポリアセナフチレン、ポリ(アク
リロニトリル−co−ブタジエン)、ポリ(ベンジルメ
タクリレート)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(スチ
レン−co−アクリロニトリル)、ポリ(4−ビニルビ
フェニル)、ポリエチレングリコールなどが挙げられ
る。
【0060】また、正孔ブロック層50は、陽極層10
から発光層40へ注入された正孔がそのまま陰極層70
へ通過してしまうことを防ぐため正孔をブロックするた
めの層であり、正孔ブロック性物質で構成される。正孔
ブロック性物質としては、例えば、
【0061】
【化27】
【0062】[化27] に示す2−(4−ビフェニリ
ル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール、(以下PBDともい
う。)、
【0063】
【化28】
【0064】[化28]に示すバソキュプロイン(以下B
CPともいう。)、[化11]に示すOXD−1、[化2
7]に示すPBD、
【0065】
【化29】
【0066】[化29]に示すトリス(8−ヒドロキシ
キノリナート)アルミニウム(以下Alq3ともい
う。)、
【0067】
【化30】
【0068】[化30]に示す3−(4−ビフェニリ
ル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フ
ェニル−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZとも
いう。)、
【0069】
【化31】
【0070】[化31]に示す4,4’−ビス(1,1
−ジフェニルエテニル)ビフェニル(以下にDPVBi
ともいう。)、
【0071】
【化32】
【0072】[化32]に示す2,5−ビス(1−ナフ
チル)−1.3.4−オキサジアゾール(以下にBND
ともいう。)
【0073】
【化33】
【0074】[化33]に示される4,4’−ビス
(1,1−ビス(4−メチルフェニル)エテニル)ビフ
ェニル(以下DTVBiとも言う。)、
【0075】
【化34】
【0076】[化34]に示される2,5−ビス(4−
ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下
BBDともいう。)、
【0077】
【化35】
【0078】
【化36】
【0079】[化35]、[化36]に示すようなオキ
サジアゾール系高分子化合物、
【0080】
【化37】
【0081】
【化38】
【0082】[化37]、[化38]で示すようなトリ
アゾール系高分子化合物、などを挙げることができる。
【0083】また、電子輸送層60は、陰極層70から
注入される電子を輸送するための層であり、電子輸送剤
を含む。電子輸送剤は、電子輸送性高分子で構成され、
さらに電子輸送性低分子を含む構成が可能である。
【0084】ここで、電子輸送性低分子の例として、
[化27]に示すPBD、[化29]に示すAlq3、
[化30]に示すTAZ、[化31]に示すDPVB
i、[化32]に示すBND、[化33]に示すDTV
Bi、[化34]に示すBBDなどを挙げることができ
る。
【0085】また、電子輸送性高分子の例として、[化
35]、[化36]で示されるようなオキサジアゾール
系高分子化合物、[化37]、[化38]で示されるよ
うなトリアゾール系高分子化合物、
【0086】
【化39】
【0087】(化学式[化39]中、RはC,H,O,N
で構成する置換基を示す。)[化39]を繰り返し単位に
有するポリフルオレン化合物、などが挙げられる。
【0088】発光効率のさらなる向上や構造の簡素化の
ため、図1(a)に示す有機エレクトロルミネッセンス
素子の基本構造に変更を加えたものとして、図1(b)
〜(e)に示す素子構造が可能である。
【0089】図1(b)で示される有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の素子構造は、本発明の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子の第1の実施形態を示す。図1
(a)の電子ブロック層30と正孔ブロック層50とが
省略されているが、図1(b)において、正孔輸送層2
0に電子ブロック効果を、電子輸送層60に正孔ブロッ
ク効果をそれぞれ持たせて、発光効率を維持させること
ができる。
【0090】図1(c)で示される有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の素子構造は、図1(a)で示す素子構
造において、電子ブロック層30と正孔ブロック層50
とを省略し、陰極層70と電子輸送層60との間に電子
注入性物質で構成される電子注入層61を追加したもの
である。
【0091】電子注入性物質としては、たとえば、フッ
化リチウム、酸化リチウム、
【0092】
【化40】
【0093】[化40]で示される8−ヒドロキシキノリ
ナートリチウム(以下Liqともいう。)などが挙げら
れる。
【0094】図1(d)で示される有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の素子構造は、図1(a)で示す素子構
造から、電子ブロック層30と正孔ブロック層50とを
省略し、陽極層10と正孔輸送層20との間に正孔注入
性物質で構成される正孔注入層21を追加したものであ
る。
【0095】正孔注入性物質としては、例えば、[化8]
に示すカッパーフタロシアニンなどの金属フタロシアニ
ンや、
【0096】
【化41】
【0097】[化41]で示される、ポリ(3,4)エチ
レンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート
(以下PEDT/PSSともいう。)、などが挙げられ
る。
【0098】図1(e)で示される有機エレクトロルミ
ネッセンス素子の素子構造は、図1(a)で示す素子構
造から、電子ブロック層30と電子輸送層60とを省略
したものである。
【0099】次に、図1(b)を本発明の第1の実施形
態として、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方
法を説明する。
【0100】まず、基板となる透明絶縁性支持体、例え
ばガラス基板上に陽極層10を蒸着法またはスパッタ法
にて形成する。
【0101】次に、正孔輸送性高分子または正孔輸送性
低分子を溶媒に溶解または分散した第1の溶液を作成す
る。ここで、第1の溶液に、さらにバインダ高分子を溶
解または分散することも可能である。そして、第1の溶
液を用いた湿式法によって、陽極層10上に第1の有機
層たる正孔輸送層20を形成する。
【0102】さらに、発光層40のドープ剤41とホス
ト剤42とを溶媒に溶解または分散した第2の溶液を作
成する。ここで、第2の溶液に、さらにバインダ高分子
を溶解または分散することも可能である。そして、その
第2の溶液を用いた湿式法によって、上記正孔輸送層2
0上に発光層40を形成する。
【0103】その後、電子輸送性高分子または電子輸送
性低分子を溶媒に溶解または分散した第3の溶液を作成
する。ここで、第3の溶液に、さらにバインダ高分子を
溶解または分散することも可能である。その第3の溶液
を用いた湿式法によって、発光層40上に第2の有機層
たる電子輸送層60を形成する。
【0104】また、第2の溶液に用いた溶媒の溶解度パ
ラメータは、発光層40の成膜温度において、正孔輸送
層20に含まれる物質(正孔輸送性高分子または正孔輸
送性低分子など)に対して可溶範囲外を示す値を有す
る。このような溶媒を用いた、湿式法による発光層40
の形成において、下層の正孔輸送層20に含まれる有機
物を溶解することがない。
【0105】例えば、正孔輸送層20に含まれる有機物
が正孔輸送性高分子たる、[化1]に示すPVKの時、こ
のPVKの可溶範囲を示す溶解度パラメータは、室温に
おいて、8.9(cal/cm31/2以上10.0(c
al/cm31/2以下である。従って、第2の溶液に用
いる溶媒として、この溶解度パラメータの範囲外にある
溶媒を用いると、正孔輸送層20に含まれるPVKを溶
解することなく発光層40を形成することができる。こ
のような溶媒の例として、キシレン(溶解度パラメータ
が8.8(cal/cm31/2)、エチルベンゼン(溶
解度パラメータが8.7(cal/cm31/2)、2−
ニトロプロパン(溶解度パラメータが10.1(cal
/cm31/2)、シクロヘキサン(溶解度パラメータが
8.2(cal/cm31/2)などが挙げられる。
【0106】また、第3の溶液に用いる溶媒の溶解度パ
ラメータは、電子輸送層60の成膜温度において、発光
層40に含まれる物質(ドープ剤41、ホスト剤42及
びバインダ高分子など)に対して可溶範囲外を示す値を
有する。このような溶媒を用いた、湿式法による電子輸
送層60の形成において、下層の発光層40に含まれる
有機物を溶解することがない。
【0107】例えば、発光層40に含まれるドープ剤4
1が[化11]に示すOXD−1であり、ホスト剤42が
[化13]に示すIr(ppy)3であり、バインダ高分
子としてポリ(4-ビニルビフェニル)を用いる時、こ
れらの発光層を構成する有機物の可溶範囲を示す溶解度
パラメータは、室温において8.7(cal/cm3
1/2以上11.1(cal/cm31/2以下である。し
たがって、第3の溶液に用いる溶媒として、この溶解度
パラメータの範囲外にある溶媒を用いると、発光層40
に含まれる有機物を溶解することなく電子輸送層60を
形成する事が出来る。このような、溶媒の例としてn−
ノナン(溶解度パラメータ7.64(cal/cm3
1/2)、1-デセン(溶解度パラメータ7.85(cal
/cm31 /2)、メチルシクロヘキサン(溶解度パラメ
ータ8.13(cal/cm31/2)、シクロヘキサン
(溶解度パラメータ8.20(cal/cm31/2)、
1−クロロプロパン(溶解度パラメータ8.30(ca
l/cm31/2)、アセトニトリル(溶解度パラメータ
11.8(cal/cm31/2)などが挙げられる。
【0108】この時、上記の第1乃至第3の溶液に用い
る溶媒は自然乾燥によって蒸発することにより、正孔輸
送層20と発光層40と電子輸送層60とが形成され
る。この場合、加熱、紫外線の照射による重合、硬化等
の処理を行う必要がなく、従って、製造工程が簡単であ
り、生産効率を向上させることができる。
【0109】本発明で使用される湿式法には、たとえば
キャスティング法、ブレードコート法、浸漬塗工法、ス
ピンコート法、スプレイコート法、ロール塗工法、イン
クジェット塗工法などの通常の塗工法が含まれる。
【0110】最後に、発光層40上に、蒸着法などを用
いて陰極を形成し、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子が得られる。
【0111】なお、溶解度パラメータSPは、モル蒸発
熱ΔH、モル体積Vの液体の絶対温度Tにおいて、 SP={(ΔH−RT)/V}1/2 で定義される。ただし、上記式中、SPは溶解度パラメ
ータ(単位:(cal/cm31/2)であり、ΔHはモ
ル蒸発熱(単位:cal/mol)であり、Rは気体定
数(単位:cal/(mol・K))であり、Tは絶対
温度(単位:K)であり、Vはモル体積(単位:cm3
/mol)である。
【0112】また、図1(c)は、本発明の有機エレク
トロルミネッセンス素子の第2の実施形態であり、上記
図1(b)で示される素子構造の製造工程中、正孔輸送
層20、発光層40、電子輸送層60を順次形成した
後、該電子輸送層60上にフッ化リチウムなどの電子注
入性物質を蒸着法により成膜して電子注入層61を形成
した後に、該電子注入層61上に、上記図1(b)と同
様に陰極を形成する製造工程を経て得られる。
【0113】また、図1(d)は、本発明の有機エレク
トロルミネッセンス素子の第3の実施形態であり、上記
図1(b)で示される素子構造の製造工程中、正孔輸送
層20の形成前に、陽極層10上に、[化8]で示すカッ
パーフタロシアニンなどの正孔注入性物質を蒸着法によ
り成膜して正孔注入層21を形成した後に、該正孔注入
層21上に、上記図1(b)と同様に正孔輸送層20、
発光層40、電子輸送層60、陰極層70を順次形成す
る製造工程を経て得られる。
【0114】さらに、図1(e)は、本発明の有機エレ
クトロルミネッセンス素子の第4の実施形態であり、上
記図1(b)で示される素子構造の製造工程中、電子輸
送層60を形成する替りに、発光層40上にPBDなど
の正孔ブロック性物質を湿式法により成膜して正孔ブロ
ック層50を形成した後に、陰極層70を形成する製造
工程を経て得られる。
【0115】
【実施例】[実験1]所定の膜厚を有する薄膜を基板上に
積層したテストピースを作成し、所定の溶解度パラメー
タを有する溶媒に対する溶解範囲を測定した。
【0116】有機エレクトロルミネッセンス素子を構成
する、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロ
ック層、電子輸送層、電子注入層などの薄膜層の材料6
mgを、可溶な溶媒1mlに溶解して、溶液を作成す
る。この溶液を用いて、酸素プラズマ処理を施した市販
のITO基板(旭硝子社製:20Ω/□)上に、スピン
コート法により膜厚が50nmとなるように、回転数及
び時間を調整して、薄膜付の基板を作成し、テストピー
スとする。
【0117】
【表1】
【0118】[表1]に示す溶解度パラメータを有する溶
媒を、これら溶解度パラメータ値の昇順に用意し、図2
(a)及び図2(b)に示すように、それらの溶媒1で
満たされたビーカー2にテストピース3をそれぞれ10
秒間浸漬させ、その後、図2(c)に示すように、テス
トピース3を取り出して薄膜が溶解したか否かを目視で
確認する。
【0119】薄膜が溶解する溶媒の溶解度パラメータの
うち、最小値と最大値とをテストピースの溶解範囲と定
義する。 [実施例1]ゲルパーエイションクロマトグラフィーに
より測定したポリスチレン換算重量平均量(以下分子量
という。)1,100,000のPVK6mgを1ml
の1,2ジクロロエタンで溶解して、溶液1を作成し
た。
【0120】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mgバインダ高分子として分子量
100,000のポリビニルビフェニル2.5mgをキ
シレン(溶解度パラメータ8.8(cal/c
31/2)1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0121】PBDとして2.5mgとバインダ高分子
としてポリスチレン(分子量10,000)2.5mg
をシクロヘキサン(溶解度パラメータ8.2(cal/
cm 31/2)の溶媒1mlに溶解して、溶液3を作成し
た。
【0122】酸素プラズマ処理を行ったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。[実験1]による
正孔輸送層の溶解範囲は8.9〜10.0(cal/c
31/2であった。
【0123】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。[実験1]による発光層の溶解範囲
は8.7〜11.1(cal/cm31/2であった。
【0124】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た。
【0125】真空蒸着装置により真空度10-3Paでア
ルミニウムとリチウムを、リチウムが1%となるように
蒸着速度1nm/secの速度で共蒸着して陰極を形成
した。
【0126】このようにして得られる図1(b)に示す
素子構造において、9V、1mA/cm2で480cd
/m2の緑色の発光を得た。
【0127】[実施例2] [実施例1]の溶液2の溶媒
を下表の溶媒にした以外は[実施例1]と同様に図1
(b)に示す素子構造を作成したところ、下記に示す
[表2]のような発光効率の発光が得られた。
【0128】
【表2】
【0129】[実施例3] [実施例1]の溶液3の溶媒
を下表の溶媒にした以外は[実施例1]と同様に図1
(b)に示す素子構造を作成したところ、下記に示す
[表3]のような発光効率の発光が得られた。
【0130】
【表3】
【0131】[実施例4] [実施例1]の溶液2の溶質
のIr(ppy)3に替え、下記に示す[表4]のドー
プ剤を使用した事以外は[実施例1]と同様に図1
(b)に示す素子構造を作成したところ、下記[表4]
に示す発光効率の発光が得られた。
【0132】
【表4】
【0133】[実施例5] [実施例1]において、電子
輸送層と陰極の間に電子注入層として、フッ化リチウム
を真空蒸着で真空度10-3Pa速度0.1nm/sec
で5nm成膜し陰極をアルミニウムに替えた事以外は
[実施例1]と同様の条件で図1(c)の素子構造を作
成した。
【0134】この時、8.7V、1mA/cm2で52
0cd/m2の緑色の発光を得られた。
【0135】[実施例6][実施例1]において、IT
O陽極と正孔輸送層の間に正孔注入層として、カッパー
フタロシアニンを真空蒸着で真空度10-3Pa速度0.
1nm/secで5nm成膜した事以外は[実施例1]
と同様の条件で図1(d)の素子構造を作成した。
【0136】この時、8.4V、1mA/cm2で52
0cd/m2の緑色の発光を得られた。
【0137】[実施例7] [化39]で示される繰り返し
単位を有するポリフルオレン化合物の分子構造中のRを
直鎖のアルキル基(−Cn2n+1)とし、分子量を1,
000,000とした場合において、溶解範囲を[実験
1]にしたがい測定したところ、下記に示す[表5]に示
される結果が得られた。
【0138】
【表5】
【0139】このことから、上記R中の直鎖の長さで溶
解範囲を変動させることができることが判る。
【0140】そこで、PVK分子量1,100,000
の6mgを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、
溶液1を作成した。
【0141】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mgとバインダ高分子としてポリ
ビニルビフェニル(分子量115,000)2.5mg
をキシレン1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0142】[化39]においてRを直鎖のアルキル基
(−Cn2n+1)とした繰り返し単位を持つ分子量1,
000,000の重合体5mgをシクロヘキサン1ml
に溶解して、溶液3を作成した。
【0143】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1000rpm、1秒間でスピンコートする事
により50nmの正孔輸送層を得た。
【0144】正孔輸送層上に溶液2を回転数1000r
pm、1秒間でスピンコートする事により20nmの発
光層を得た。[実験1]による該発光層の溶解範囲は
8.6〜11.1(cal/cm31/2であった。
【0145】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た。
【0146】最後に真空蒸着装置によりアルミニウムと
リチウムを、真空度10-3Paでリチウムが1%となる
ように蒸着速度1nm/secの速度で共蒸着して陰極
を形成した。
【0147】このようにして得られる図1(b)に示す
素子構造において、下記に示す[表6]のような発光効
率の発光が得られた。
【0148】
【表6】
【0149】[実施例8] [実施例7]において、溶液
2のバインダ高分子として分子量50,000を有する
PVK、溶媒としてトリクロロエチレンを使用し、溶液
3の溶媒としてエチルベンゼンにした以外は、[実施例
7]と同様の条件で図1(b)に示す素子構造を作成し
た。
【0150】この時、[実験1]による発光層の溶解範囲
は、8.9〜10.6(cal/cm31/2であった。
【0151】このようにして得られる素子構造におい
て、下記[表7]に示す発光効率の発光が得られた。
【0152】
【表7】
【0153】[表6]と[表7]とを比較すると、溶液
3の溶媒としてエチルベンゼンを用いた[表7]におい
て、発光層のバインダ高分子をエチルベンゼンに不溶な
PVK(分子量50,000)にした事により、1mA
/cm2での輝度が低下したと考えられる。
【0154】[実施例9][化39]で示される分子構造
中のRを−C1021とし、該[化39]の繰り返し単位を
有する重合体の分子量を変動させた場合に、[実験1]
により溶解範囲を測定したところ、下記[表8]に示す
結果が得られた。
【0155】
【表8】
【0156】このことから、上記重合体の分子量を変動
させると溶解範囲も変動可能であることが判る。
【0157】そこで、[実施例7]と同様の条件で、図
1(b)に示す素子構造を作成したところ、下記[表9]
に示す発光効率の発光が得られた。
【0158】
【表9】
【0159】[実施例10] [化39]のRを直鎖の−
1021とし、[化39]の繰り返し単位を有する重合体
の分子量を10,000として、溶媒による性能の差を
調査した。[実施例7]において[化39]で示される分
子構造中のRを直鎖のアルキル基(−Cn2n+1)を−
1021とし、溶媒を置き換えた以外は[実施例7]と
同様の条件で図1(b)の素子構造を作成したところ、
下記[表10]に示される発光効率の発光を得た。
【0160】
【表10】
【0161】[表6]と[表10]とを比較すると、溶
媒が変更されても下層たる発光層の不溶範囲の溶媒を使
用すれば、1mA/cm2における輝度のばらつきは1
0%以内であることが判る。
【0162】[実施例11][化3]で示される繰り返し
単位を有するポリカルバゾール化合物の分子構造中のR
を直鎖のアルキル基(−Cn2n+1)とし、分子量を
1,000,000とした場合において、溶解範囲を
[実験1]にしたがい測定したところ、下記に示す[表
11]に示される結果が得られた。
【0163】
【表11】
【0164】このことにより、上記R中の直鎖の長さで
溶解範囲を変動させることができることが判る。
【0165】そこで、[化3]においてRを直鎖のアルキ
ル基(−Cn2n+1)とした繰り返し単位を有する分子
量100,000の重合体6mgをトリクロロメタン1
mlに溶解して、溶液1を作成した。
【0166】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mg バインダ高分子として分子
量100,000のポリビニルビフェニル 2.5mg
をキシレン1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0167】PBD2.5mgとバインダ高分子として
ポリスチレン(分子量10,000)2.5mgをシク
ロヘキサン(溶解度パラメータ8.2(cal/c
31/2)の溶媒1mlに溶解して、溶液3を作成し
た。
【0168】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。
【0169】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0170】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の正孔ブロック層を得た。
【0171】真空蒸着装置により真空度10-3Paでア
ルミニウムとリチウムを、リチウムが1%となるように
蒸着速度1nm/secの速度で共蒸着して陰極を形成
した。
【0172】このようにして得られた、図1(e)に示
す素子構造により、下記[表12]に示すような発光効
率の発光が得られた。
【0173】
【表12】
【0174】[実施例12][実施例11]における溶液
2の溶媒をトリクロロメタンに変更した以外は、[実施
例11]と同様の条件で図1(e)に示す素子構造を作
成した。
【0175】この時、全ての素子で上層成膜時に下層が
溶解してしまう為、発光むらが非常に多く測定不能であ
った。
【0176】[実施例13][実施例11]における溶液
2の溶媒をαブロモナフタレンに変更した以外は、[実
施例11]と同様の条件で図1(e)に示す素子構造を
作成したところ、下記[表13]に示すような発光効率の
発光が得られた。
【0177】
【表13】
【0178】n=11〜12では、上層成膜時に下層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0179】[実施例14][化3]で示される分子構造
中のRを−C817とし、該[化3]の繰り返し単位を有
する重合体の分子量を変動させた場合に、[実験1]に
より溶解範囲を測定したところ、下記[表14]に示す
結果が得られた。
【0180】
【表14】
【0181】このことにより、上記重合体の分子量によ
り溶解範囲の変更が可能であることが判る。
【0182】[化3]中のRを直鎖の−C817とした場
合の[表14]に示す各分子量の重合体6mgを1mlの
1,2ジクロロエタンで溶解して溶液1を作成した。
【0183】OXD−1として2.5mgとIr(pp
y)3として0.17mg バインダ高分子として分子
量100,000のポリビニルビフェニル 2.5mg
をエチルベンゼン1mlに溶解して溶液2を作成した。
【0184】PBD2.5mgとバインダ高分子として
ポリスチレン(分子量10,000) 2.5mgをシ
クロヘキサン(溶解度パラメータ8.2(cal/cm
31 /2)の溶媒1mlに溶解して、溶液3を作成した。
【0185】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。
【0186】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0187】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の正孔ブロック層を得た。
【0188】真空蒸着装置により真空度10-3Paでア
ルミニウムとリチウムを、リチウムが1%となるように
蒸着速度1nm/secの速度で共蒸着して陰極を形成
した。
【0189】このようにして作成した、図1(e)に示
す素子構造により、下記[表15]に示すような発光効
率の発光が得られた。
【0190】
【表15】
【0191】分子量10,000では、上層成膜時に下
層が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0192】[実施例11]乃至[実施例14]の結果よ
り、正孔輸送層の溶解範囲を調整する事により、上層で
ある発光層を成膜する溶媒の選択範囲が広がる事が判
る。
【0193】[実施例15][化12]で示される分子構造
中のRを直鎖のアルキル基(−Cn2n+1)とし、分子
量を100,000とした場合において、溶解範囲を
[実験1]にしたがい測定したところ、下記に示す[表1
6]に示される結果が得られた。
【0194】
【表16】
【0195】このことにより、上記R中の直鎖の長さで
溶解範囲が変動可能であることが判る。
【0196】ここで、分子量1,100,000のPV
K6mgを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、
溶液1を作成した。
【0197】[化12]を繰り返し単位として有するポリ
フルオレン化合物の分子構造中のRを直鎖のアルキル基
(−Cn2n+1)とした分子量100,000の重合体
5mgとIr(ppy)3 を0.17mgをエチルベ
ンゼン1mlに溶解して、溶液2を作成した。
【0198】PBD2.5mgとバインダ高分子として
分子量50,000のポリスチレン2.5mlをシクロ
ヘキサン1mlに溶解して、溶液3を作成した。
【0199】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。[実験1]によ
れば、正孔輸送層の溶解範囲は8.9〜10.0(ca
l/cm31/2であった。
【0200】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0201】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た。
【0202】最後アルミニウムとリチウムを、リチウム
が1%となるように蒸着速度1nm/secの速度で共
蒸着して陰極を形成した。
【0203】このようにして得られた図1(b)に示す
素子構造により、下記[表17]に示すような発光効率
の発光が得られた。
【0204】
【表17】
【0205】N≦8では、電子輸送層成膜時に発光層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0206】[実施例16][実施例15]における溶
液3の溶媒をαブロモナフタレンに変更した以外は、
[実施例15]と同様の条件で図1(b)に示す素子構
造を作成したところ、下記[表18]に示すような発光
効率の発光が得られた。
【0207】
【表18】
【0208】Nが12〜15では、電子輸送層成膜時に
発光層が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0209】[実施例17][化12]で示される分子構
造中のRを−C817とし、該[化12]の繰り返し単位
を有する重合体の分子量を変動させた場合に、[実験
1]により溶解範囲を測定したところ、下記[表19]
に示す結果が得られた。
【0210】
【表19】
【0211】このことにより、上記重合体の分子量によ
り溶解範囲の変更が可能であることが判る。
【0212】ここで、[実施例15]における[化12]
で示される分子構造中のRを−C817とし、[化12]
の繰り返し単位を有する重合体の分子量を変動させて、
[実施例15]と同様の条件で図1(b)に示す素子構
造を作成したところ、下記[表20]で示される発光効
率の発光が得られた。
【0213】
【表20】
【0214】[実施例18][化3]で示される繰り返し単
位を有するポリカルバゾール化合物の分子構造中のRを
直鎖のアルキル基(−Cn2n+1)とした場合におい
て、溶解範囲を[実験1]にしたがい測定したところ、下
記に示す[表21]に示される結果が得られた。
【0215】
【表21】
【0216】このことにより、上記R中の直鎖の長さで
溶解範囲が変動可能であることが判る。
【0217】ここで、分子量1,100,000のPV
K6mgを1mlの1,2ジクロロエタンで溶解して、
溶液1を作成した。
【0218】[化3]のRを直鎖のアルキル基(−Cn
2n+1)とした分子量10,000の重合体5mgとIr
(ppy)3 を0.17mgをキシレン1mlに溶解
して、溶液2を作成した。
【0219】PBD2.5mgとバインダ高分子として
分子量50,000のポリスチレン2.5mlをシクロ
ヘキサン1mlに溶解して、溶液3を作成した。
【0220】酸素プラズマ処理を行なったITO基板上
(市販ITO、旭硝子社製:20Ω/□以下)に溶液1
を回転数1500rpm、1秒間スピンコートする事に
より50nmの正孔輸送層を形成した。この、正孔輸送
層の溶解範囲は8.9〜10.0(cal/cm31/2
であった。
【0221】さらに、正孔輸送層上に溶液2を回転数1
000rpm、1秒間でスピンコートする事により20
nmの発光層を得た。
【0222】さらに、発光層上に溶液3を回転数100
0rpm、1秒間でスピンコートする事により50nm
の電子輸送層を得た。
【0223】最後に、アルミニウムとリチウムを、リチ
ウムが1%となるように蒸着速度1nm/secの速度
で共蒸着して陰極を形成した。
【0224】このようにして得られた図1(b)に示す
素子構造により、下記[表22]に示す発光効率の発光
が得られた。
【0225】
【表22】
【0226】N=15では、電子輸送層成膜時に発光層
が溶解してしまう為、素子は作成できなかった。 [実施例19][実施例18]における溶液3の溶媒を
ニトロエタンに変更した以外は、[実施例18]と同様
の条件で図1(b)に示す素子構造を作成したところ、
下記[表23]に示すような発光効率の発光を得た。
【0227】
【表23】
【0228】N≧8では、電子輸送層成膜時に発光層が
溶解してしまう為、素子は作成できなかった。
【0229】[実施例20][化3]中のRを−C817
とし、該[化3]の繰り返し単位を有する重合体の分子量
を変動させた場合に、[実験1]により溶解範囲を測定
したところ、下記[表24]に示す結果が得られた。
【0230】
【表24】
【0231】このことにより、上記重合体の分子量によ
り溶解範囲の変更が可能であることが判る。
【0232】ここで、上記重合体の分子量を変更して、
[実施例18]と同様の条件で、図1(b)に示す素子
構造を作成したところ、下記[表25]に示すような発光
効率の発光を得ることができた。
【0233】
【表25】
【0234】分子量が100,000〜1,000,0
00の範囲では、溶液2が作成できなかった。
【0235】[実施例21][実施例18]において、
[化3]のRを直鎖の−C1225とし、該[化3]を繰り返
し単位とする分子量10,000の重合体5mgと、I
r(ppy)3 0.17mgとを下記[表25]に示
す溶媒1mlに溶解して溶液2を作成した以外は、[実
施例18]と同様に図1(b)に示す素子構造を作成し
たところ、下記[表26]に示すような発光効率の発光
が得られた。
【0236】
【表26】
【0237】溶媒が変化しても、正孔輸送層の溶解範囲
外では、1mA/cm2における輝度のばらつきは10
%以内である。
【0238】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
により、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する
薄膜層材料を溶液にした状態で、すなわち湿式法で、多
層に積層形成できるので、有機エレクトロルミネッセン
ス素子の素子構造の形成が簡易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)有機エレクトロルミネッセンス
素子の素子構造
【図2】(a)〜(c)サンプルピースの溶解範囲の溶
解度パラメータの測定手順
【符号の説明】
10 陽極層 20 正孔輸送層(第1の有機層) 40 発光層 41 ドープ剤 42 ホスト剤 60 電子輸送層(第2の有機層) 70 陰極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB02 AB03 AB04 AB06 AB18 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極層及び陰極層の両電極層と、ホスト剤
    と燐光を放射するドープ剤とを有する発光層と、前記両
    電極層の間で該発光層を介して積層する第1及び第2の
    両有機層とを具備し、前記電極層の一方が基板上に形成
    される有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方
    法において、前記両電極層の間で、前記両有機層のうち
    前記基板側に位置すべき第1の有機層を溶液状態で形成
    し、次に、前記第1の有機層を構成する有機物に対して
    溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に前記発光
    層を構成する有機物を溶解して成る溶液状態の発光層
    を、前記溶液状態の第1の有機層に積層し、さらに、前
    記発光層を構成する有機物に対して溶解範囲外の溶解度
    パラメータを有する溶媒に前記第2の有機層を構成する
    有機物を溶解して成る溶液状態の第2の有機層を、前記
    溶液状態の発光層に積層することを特徴とする有機エレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
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