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JP2002293835A - 高耐熱樹脂およびそれからなる成形品 - Google Patents

高耐熱樹脂およびそれからなる成形品

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Publication number
JP2002293835A
JP2002293835A JP2001097836A JP2001097836A JP2002293835A JP 2002293835 A JP2002293835 A JP 2002293835A JP 2001097836 A JP2001097836 A JP 2001097836A JP 2001097836 A JP2001097836 A JP 2001097836A JP 2002293835 A JP2002293835 A JP 2002293835A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
weight
unit
carboxylic acid
unsaturated carboxylic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001097836A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Yamanaka
亨 山中
Hideki Matsumoto
英樹 松本
Masafumi Koyama
雅史 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2001097836A priority Critical patent/JP2002293835A/ja
Publication of JP2002293835A publication Critical patent/JP2002293835A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリメタクリル酸メチルに匹敵する優れた光
学特性を有し、優れた耐熱性、滞留安定性と機械的特性
を有する樹脂材料を提供すること。 【解決手段】 (i)不飽和カルボン酸アルキルエステル
単位、(ii)下記一般式(1) 【化1】 (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表され
るグルタル酸無水物単位を有する共重合体若しくは上記
単位に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体又
は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位にさら
に(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体1
00重量部と(B)上記グルタル酸無水物単位の酸無水
物基と結合して前記共重合体を架橋する多官能性分子鎖
連結剤0.1〜10重量部を反応させ、前記共重合体を
架橋させて成る樹脂を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械特性と耐熱性
さらには透明性に優れる樹脂材料およびそれからなる成
形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル
酸メチル樹脂に代表される非晶性透明樹脂は電気・電子
分野をはじめ広く利用されている。特にポリカーボネー
ト樹脂はコンパクトディスク等の記録メディア用基材と
して利用されているが、光弾性係数が大きく、複屈折が
大きいという課題を有している。一方、ポリメタクリル
酸メチル樹脂は、複屈折が小さく、光学特性に優れるも
のの、耐熱性が十分ではなく、レーザー追記型光学ディ
スクのような耐熱性が必要とされる用途に使用するには
問題がある。
【0003】特開昭49−85184号広報には、メタ
クリル酸アルキルとメタクリル酸の共重合ポリマーの加
熱処理により、酸無水物構造を形成させることにより、
ビカット軟化温度を向上させる技術が開示されている
が、市場では該開示ポリマーよりもさらに高い耐熱性が
求められている。
【0004】一方、高温で架橋解離性を示す耐熱性に優
れたスチレン系架橋樹脂組成物が、特開平11−181
200号広報に開示されている。しかしながら、該開示
技術ではスチレン構造を有するため、ポリマーの屈折率
が大きくなるという課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、ポリメタクリル酸メチルに匹敵する優れた光学
特性を有し、優れた耐熱性、滞留安定性と機械的特性を
有する樹脂材料、さらにはそれらからなる成形品を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)特定の環状構
造を有する共重合体と(B)多官能性分子鎖連結剤を反
応させることにより得られる耐熱性と透明性に優れた樹
脂材料が、上記課題を解決できるできることを見出し、
本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、(1) (A)(i)不飽
和カルボン酸アルキルエステル単位、(ii)下記一般式
(1)
【化4】 (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表され
るグルタル酸無水物単位を有する共重合体若しくは上記
単位に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体又
は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位にさら
に(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体1
00重量部と(B)上記グルタル酸無水物単位の酸無水
物基と結合して前記共重合体を架橋する多官能性分子鎖
連結剤0.1〜10重量部を反応させ、前記共重合体を
架橋させて成る樹脂、(2) 前記共重合体(A)は、前
記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位(i)を30〜
95重量%、前記グルタル酸無水物単位(ii)を5〜60
重量%、前記不飽和カルボン酸単位(iii)を0〜5重量
%、前記その他のビニル系単量体単位(iv)を0〜65重
量%を含む(ただし、(i)(ii)(iii)(iv)の合計は100
重量%)(1)1記載の樹脂、(3) 前記共重合体(A)中
の前記不飽和カルボン酸単位(iii)の含有量が0〜1重
量%である(1)又は(2)記載の樹脂、(4) 前記共重合体
(A)は、反応させる単量体の全量を100重量%とし
て、不飽和カルボン酸単量体7〜60重量%と、不飽和
カルボン酸アルキルエステル30〜93重量%と、前記
その他のビニル系単量体単位(iv)を含む場合にはビニル
系単量体2〜63重量%とを共重合させ、得られた共重
合体を加熱することにより脱水及び/又は脱アルコール
反応によりグルタル酸無水物単位を生成させることによ
り製造される(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂、
(5) 前記不飽和カルボン酸単位(iii)は、下記一般式
(2)で表される構造を有する(1)ないし(4)のいずれかに
記載の樹脂、
【化5】 (ただし、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基を
表す)(6) 前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単
位(i)は、下記一般式(3)で表される構造を有する(1)な
いし(5)のいずれかに記載の樹脂、
【化6】 (ただし、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基を
表し、Rは炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化
水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくはハ
ロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環
式炭化水素基を示す) (7) グルタル酸無水物単位の酸無水物基と結合して前
記共重合体を架橋する多官能性分子鎖連結剤(B)は、
1分子中に水酸基を2個以上有するポリオールである
(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂、(8) 前記共重
合体(A)のガラス転移温度が120℃以上である(1)
ないし(7)のいずれか1項に記載の樹脂、(9) (1)ない
し(8)のいずれかに記載の樹脂から主として成る成形
品、及び(10) 成形品が光学ディスク基材、ディスプレ
イ部材、光学レンズ、または液晶バックライト用導光板
である(9)記載の成形品、を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂の(A)成分であ
る、特定の環状構造を有する共重合体とは、(i)不飽和
カルボン酸アルキルエステル単位、上記一般式(1)で
表されるグルタル酸無水物単位を有する共重合体若しく
は上記単位に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重
合体又は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位
にさらに(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重
合体である。なお、本明細書において単に「アルキル」
と言う場合には直鎖状及び分枝状の両者が包含される。
【0009】本発明における特定の環状構造を有する共
重合体(A)を製造する方法としては、特に制限はない
が、後の加熱工程により上記グルタル酸無水物単位(ii)
を与える不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸
アルキルエステルと、前記その他のビニル系単量体単位
(iv)を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体とを
共重合させ、原重合体とした後、かかる原重合体を適当
な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、脱アルコー
ル及び/又は脱水による分子内環化反応を行わせること
により製造することができる。この場合、典型的には、
原重合体を加熱することにより2単位の不飽和カルボン
酸単位(iii)のカルボキシル基が脱水されて、あるい
は、隣接する不飽和カルボン酸単位(iii)と不飽和カル
ボン酸エステル単位(i)からアルコールの脱離により1
単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。
【0010】この際に用いられる不飽和カルボン酸単量
体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合
させることが可能ないずれの不飽和カルボン酸単量体も
使用可能である。好ましい不飽和カルボン酸単量体とし
て、下記一般式(4)
【0011】
【化7】
【0012】(ただし、Rは水素又は炭素数1〜5の
アルキル基を表す)で表される化合物、マレイン酸、及
びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられ
るが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリ
ル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。
これらはその1種または2種以上用いることができる。
なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量
体は、共重合すると上記一般式(2)で表される構造の不
飽和カルボン酸単位を与える。
【0013】また不飽和カルボン酸アルキルエステル系
単量体としては特に制限はないが、好ましい例として、
下記一般式(5)で表されるものを挙げることができる。
【0014】
【化8】
【0015】(ただし、Rは水素又は炭素数1〜5の
アルキル基を表し、Rは炭素数1〜6の脂肪族若しく
は脂環式炭化水素基であり、又は1個以上炭素数以下の
数の水酸基若しくはハロゲンで置換された炭素数1〜6
の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基を示す) これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭
化水素基又は置換基を有する該炭化水素基を持つアクリ
ル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特
に好適である。なお、上記一般式(5)で表される不飽和
カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上
記一般式(3)で表される構造の不飽和カルボン酸アルキ
ルエステル単位を与える。
【0016】不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量
体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)
アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエ
チル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル
および(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒド
ロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸
メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0017】本発明に用いられるその他のビニル系単量
体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレ
ン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレン
などの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビ
ニル系単量体、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジ
ルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−
グリシジルスチレン、無水マレイン酸、マレイン酸モノ
エチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル
酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルア
クリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プ
ロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、ア
クリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチル
アミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メ
タクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロ
ヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N
−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルア
ミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、
2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキ
サゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−ス
チリル−オキサゾリンなどを挙げることができるが、透
明性、屈折率の点で芳香環を含まない単量体がより好ま
しく使用できる。これらは単独ないし2種以上を用いる
ことができる。
【0018】これらの単量体を共重合する方法について
は特に制限はなく、ラジカル重合による、塊状重合、溶
液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を用い
ることができる。これらの重合方法自体はこの分野にお
いて周知である。
【0019】これらの原重合体製造時に用いられる単量
体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100重
量%として、不飽和カルボン酸系単量体が7〜60重量
%、より好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは
15〜40重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル
系単量体は好ましくは30〜93重量%、より好ましく
は30〜90重量%、最も好ましくは30〜85重量
%、これらに共重合可能な他のビニル系単量体を用いる
場合、その好ましい割合は2〜63重量%である。
【0020】不飽和カルボン酸系単量体量が7重量%未
満の場合には、原重合体の加熱による環化反応物生成量
が少なくなり、従って共重合体(A)の耐熱性向上効果
が小さくなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸単量
体量が60重量%以上の場合には、原重合体の加熱によ
る環化反応後に反応性の高い不飽和カルボン酸単位が多
量に残存する傾向があり、その結果(A)成分と(B)
多官能性分子鎖連結剤とを反応させた場合、非熱可逆性
の結合が生成することがあるため、成形が困難になる可
能性がある。
【0021】本発明における原重合体の加熱による共重
合体(A)の製造方法は、特に制限はないが、上記原重
合体を200〜300℃に昇温したベントを有する押出
機に通して加熱脱揮することにより、環化反応を行う方
法が好ましく用いることができる。さらに共重合体
(A)中の反応性の高い不飽和カルボン酸系単位量を減
少させる方法として、2つ以上のベントを有する押出機
を用いることが好ましい。なお、上記の方法により加熱
脱揮する時間は特に限定されず、適宜設定可能である
が、通常、1分間〜20分間程度が適当である。
【0022】また、原重合体を押出機に通す際にグルタ
ル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、原重
合体100重量部に対し、酸、アルカリ、塩化合物の1
種以上を0.01〜1重量部添加することが好ましい。
これら酸、アルカリ、塩化合物については特に制限はな
く、酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホ
ン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸
メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸
化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アル
コキシド類、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。さ
らに、塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金
属塩、炭酸金属塩等が挙げられ、特に水和物である塩が
好ましく用いられる。
【0023】本発明におけるグルタル酸無水物単位を含
有する共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、120
℃以上のものが好ましく、特に150℃以上のものが、
耐熱性の点で好ましい。共重合体(A)のガラス転移温
度を120℃以上にすることは、共重合体(A)中にお
けるグルタル酸無水物単位(i)の量を約10重量%以上
に制御することにより達成できる。なお、ガラス転移点
の上限は特に限定されないが、通常、170℃程度であ
る。
【0024】本発明における共重合体(A)100重量
%中に含まれるグルタル酸無水物単位は共重合体中に好
ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜55重
量%、最も好ましくは15〜50重量%である。グルタ
ル酸無水物単位が5重量%以下の場合、耐熱性向上効果
が小さくなる傾向がある。また、不飽和カルボン酸系単
位は0〜5重量%、より好ましくは0〜3重量%、最も
好ましくは0〜1重量%である。不飽和カルボン酸系単
位5重量%以上の場合、(A)成分と(B)多官能性分
子鎖連結剤とを反応させた場合、非熱可逆性の結合が生
成することがあるため、成形が困難になる可能性があ
る。
【0025】また不飽和カルボン酸アルキルエステル系
単量体は好ましくは30〜95重量%、より好ましくは
30〜90重量%、最も好ましくは30〜85重量%、
共重合可能な他のビニル系単量体は好ましくは0〜65
重量%である。
【0026】本発明の共重合体(A)成分としては、
N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用い、30
℃で測定した極限粘度[η]が、0.35〜0.85d
l/gのものが好ましく、0.45〜0.7のものが特
に好ましい。
【0027】本発明の高耐熱樹脂は特定の構造を有する
共重合体(A)100重量部に対して(B)多官能性分
子鎖連結剤0.1〜10重量部を反応させることにより
得られるが、ここでいう(B)多官能性分子鎖連結剤と
は、(A)成分中に構造単位として存在するグルタル酸
無水物構造と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有
する化合物である。該官能基としては水酸基が好まし
い。
【0028】化合物(B)中の水酸基は共重合体(A)
中のグルタル酸無水物基と反応し、エステル結合と遊離
のカルボキシル基を生成するが、この結合はさらに高温
下では熱可逆的に開裂し、水酸基と酸無水物基に戻るた
め、通常、実使用温度領域では架橋構造を形成し、優れ
た耐熱性、機械的特性を発現するが、200〜350℃
の高温領域では架橋構造が開裂し、熱可塑性を示し、良
好な成形性を有する。
【0029】本発明における多官能性分子鎖連結剤
(B)としては、酸無水物基と結合できる官能基、好ま
しくは水酸基を1分子中に2個以上含み、共重合体
(A)を架橋できるものであれば何ら限定されず、種々
の化合物を採用することができる。好ましい多官能性分
子鎖連結剤(B)の例として、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペン
チルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ピナコール、、1,5−ペンタンジオール、1,4
−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,
4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペ
ンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,5−
ジメチル−2,5−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオ
ール(好ましくは炭素数2〜10)、シス−1,2−シ
クロヘキサンジオール、トランス−1,2−シクロヘキ
サンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、4,4’−イソプロピリ
デンジシクロヘキサノール、1,5−デカリンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど脂環式ジ
オール(好ましくは炭素数5〜20)、ヒドロキノン、
レゾルシン、カテコール、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキ
シナフタレン、ビスフェノールA,ビスフェノールSな
ど芳香族ジオール(好ましくは炭素数5〜20)、グリ
セリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−
ヘプタントリオール、ペンタエリスリトール、マンニト
ールなどの脂肪族多価アルコール(好ましくは炭素数4
〜10)、1,3,5−シクロヘキサントリオールなど
の脂環式多価アルコール(好ましくは炭素数5〜2
0)、糖類(好ましくは炭素数5〜20)等をその例と
して挙げることができる。
【0030】本発明において、(B)多官能性分子鎖連
結剤の添加量は、特定構造を有する共重合体(A)10
0重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.
3〜5重量部である。(B)成分の添加量は、所望する
架橋ポリマーの特性により、上記範囲内で適宜増減して
使用するのがよい。(A)成分100重量部に対して、
0.1重量部未満では顕著な効果が得られず、また、1
0重量部を越えると、機械的特性の低下や透明性の喪失
が生じるため、好ましくない。
【0031】(A)成分と(B)成分の反応により、架
橋構造が形成したことは、(A)成分の良溶媒に対し
て、得られた耐熱樹脂が不溶になることで容易に確認可
能である。ここでいう良溶媒とは、1%の濃度で加熱す
ることなくポリマーの溶液が得られる溶媒を意味する。
【0032】本発明の樹脂の製造方法は、特に限定する
ものではないが、例えば、(A)特定の構造を有する共
重合体と(B)成分を直接添加して溶融混練により反応
させることにより製造できる。通常、溶融混練による反
応は(A)成分の融点またはガラス転移温度以上の温度
で行うのが好ましい。例えば、グルタル酸無水物単位含
有共重合体(A)、および多官能性分子鎖連結剤を予備
混合するか、または個別に押出機などに供給して、15
0℃〜350℃において十分溶融混練することにより調
製される。なお、この場合、溶融混練の時間は、特に限
定されないが、通常1分間〜20分間程度が適当であ
る。
【0033】本発明の樹脂は耐熱性、透明性、機械的特
性に優れるが、非透明性用途に使用する場合には、さら
に充填材を添加することにより、強度、剛性、耐熱性を
さらに高めることができる。
【0034】このような充填材は繊維状であっても粒状
などの非繊維状であってもよく、その具体例としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アス
ベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、
ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレ
ー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび
酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップド
ストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
このような充填材を添加する場合、その含有量は各用途
に照らして適宜選択でき、何ら限定されないが、通常、
樹脂100重量部に対し合計で5重量部〜75重量部程
度である。
【0035】また、本発明の樹脂に弾性重合体等の衝撃
改良剤を添加することで、衝撃強度を飛躍的に向上させ
ることも可能である。衝撃改良剤として、本発明の樹脂
と屈折率の差が小さいものを選択することにより、透明
性を保ったまま、耐衝撃性を高めることも可能である。
このような衝撃改良剤を添加する場合、その含有量は各
用途に照らして適宜選択でき、何ら限定されないが、通
常、樹脂100重量部に対し合計で5重量部〜45重量
部程度である。
【0036】さらに、本発明の樹脂は、ヒンダードフェ
ノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、
ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸
収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系およ
び酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および
可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、その
ハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイ
ドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、
次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、燐
系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン
系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、
顔料などの着色剤などの添加剤を含有してもよい。これ
らの添加剤を添加する場合、その含有量は各用途に照ら
して有効量を適宜選択できる。
【0037】本発明の耐熱樹脂は、機械的特性、成形加
工性にも優れており、溶融成形が可能であるため、押出
成形、射出成形およびプレス成形などが可能である。
【0038】そして、本発明の樹脂成形品は、その優れ
た耐熱性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機
械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよ
びそれらの部品類、一般雑貨など種々の用途に用いるこ
とができる。
【0039】本発明の耐熱樹脂からなる成形品の具体的
用途としては、例えば、電気機器のハウジング、OA機
器のハウジング、各種カバー、各種ギヤー、各種ケー
ス、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、
抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コン
デンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、
各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チュー
ナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小
型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハ
ウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシ
ャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテ
ナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電
子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアード
ライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オ
ーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクト
ディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、
エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサ
ー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフ
ィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファク
シミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイル
レス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モー
ター部品、ライター、タイプライターなどに代表される
機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代
表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーター
ターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレ
ーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・
排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルス
ノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エン
ジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、
キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水セ
ンサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサ
ー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフト
ポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン
用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロール
バルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、
ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパ
ーモーター関係部品、デュストリビュター、スターター
スィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワ
イヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコ
ンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒ
ューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁
板、ステップモーターローター、ランプソケット、ラン
プリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピスト
ン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよ
び点火装置ケースなどが挙げられるが、とりわけ、優れ
た耐熱性と、透明性を生かした、光学ディスク基材、デ
ィスプレイ部材、光学レンズ、および液晶バックライト
用導光板が好ましい用途例として挙げられる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用
した各種物性の測定方法を記載する。
【0041】(1)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製D
SC−7型)を用いて測定した。
【0042】(2)流動性 ISO−R1133に従い、樹脂ペレットを、70℃で
3時間乾燥し、250℃、98Nの条件でMFRを測定
した。この値が大きいほど、高い流動性を示し、成形加
工性が優れる。
【0043】(3)透明性 東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して、23
℃で厚み3mmの角板の全光線透過率値(%)を測定し
た。
【0044】(4)溶解性 ジメチルホルムアミド(DMF)10mlにポリマー
0.1gを投入し、25℃での溶解性を確認した。
【0045】実施例1〜5、比較例1〜3 (1) グルタル無水物単位を含有する共重合体(A−1
−1)、(A−1−2)の製造 (A−1)容量が20リットルで、バッフルおよびファ
ウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブ
に、懸濁剤としてアクリル酸メチル/アクリルアミド共
重合体(重量比20/80、特公昭45−24151号
公報実施例1記載)0.05部をイオン交換水165部
に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガ
スで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しな
がら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。 メタクリル酸 50重量部 メタクリル酸メチル 50重量部 t−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤) 0.3重量部 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.4重量部
【0046】15分かけて反応温度を65℃まで昇温し
たのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通
常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗
浄、乾燥を行ない、ビーズ状のビニル系共重合体(原重
合体(A−1−0))を得た。ガスクロマトグラフィー
による残存モノマーの測定結果、残存モノマーはメタク
リル酸0.7重量部、メタクリル酸メチル0.8重量部
であった。
【0047】このビーズ状ビニル系共重合体(A−1−
0)を、スクリュウ径30mm、L/Dが25のベント
付き同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−3
0)のホッパー口より供給して、樹脂温度250℃、ス
クリュウ回転数100rpmで溶融押出し、ペレット状
のグルタル無水物単位を含有する共重合体(A−1−
1)を得た。得られた(A−1−1)について、DSC
によるガラス転位温度(Tg)を測定した結果、173
℃であった。1H−NMRスペクトルを測定し、スペク
トルの帰属を、0〜0.8ppmのピークがメタクリル
酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合
物のα−メチル基の水素、0.8〜1.6ppmのピー
クはポリマー主鎖のメチレン基の水、3.0ppmのピ
ークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−C
OOCH)の水素、11.9ppmのピークはメタク
リル酸のカルボン酸の水素とした。スペクトルの積分比
から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおり
であった。 メタクリル酸単位:2.0重量% メタクリル酸メチル単位:51.5重量% グルタル酸無水物単位:46.5重量%
【0048】(A−1−2)(A−1−1)を再度、ス
クリュウ径30mm、L/Dが25のベント付き同方向
回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)のホッパ
ー口より供給して、樹脂温度250℃、スクリュウ回転
数100rpmで溶融押出し、ペレット状のグルタル無
水物単位を含有する共重合体(A−1−2)を得た。こ
の(A−1−2)のTgは176℃であった。また、1
H−NMRスペクトルの積分比より算出した、各共重合
単位の組成は下記のとおりであった。 メタクリル酸単位:0.1重量% メタクリル酸メチル単位:50.0重量% グルタル酸無水物単位:49.9重量%
【0049】(2) グルタル無水物単位を含有する共重
合体(A−2−1)および(A−2−2)の製造 (A−1−0)と同様の方法で、モノマー組成をメタク
リル酸20重量部、メタクリル酸メチル80重量部に変
更してビーズ状のビニル系重合体(A−2−0)を得
た。この重合体中の残存モノマーはメタクリル酸0.2
重量部、メタクリル酸メチル0.7重量部であった。こ
のビニル系共重合体を同様の方法で溶融混練し、ペレッ
ト状のグルタル無水物単位を含有する共重合体(A−2
−1)を得た。この(A−2−1)のTgは141℃で
あった。また、1H−NMRスペクトルの積分比より算
出した、各共重合単位の組成は下記のとおりであった。 メタクリル酸単位:1.3重量% メタクリル酸メチル単位:81.0重量% グルタル酸無水物単位:17.7重量%
【0050】(A−2−2)上記の(A−2−1)を再
度、スクリュウ径30mm、L/Dが25のベント付き
同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)の
ホッパー口より供給して、樹脂温度250℃、スクリュ
ウ回転数100rpmで溶融押出し、ペレット状のグル
タル無水物単位を含有する共重合体(A−2−2)を得
た。この(A−2−2)のTgは145℃であった。ま
た、1H−NMRスペクトルの積分比より算出した、各
共重合単位の組成は下記のとおりであった。 メタクリル酸単位:0.1重量% メタクリル酸メチル単位:79.8重量% グルタル酸無水物単位:20.1重量%
【0051】(3) グルタル酸無水物単位を含まない重
合体(A−3−1)、(A−3−2)の製造 (A−1)、(A−2)と同様の方法で、モノマー組成
をメタクリル酸メチル100重量部に変更してビーズ状
のビニル系重合体(A−3−0)を得た。この重合体中
の残存モノマーはメタクリル酸メチル0.6重量部であ
った。この(A−3−0)のTgは101℃であった。
さらに、参考例1と同様に、スクリュウ径30mm、L
/Dが25のベント付き同方向回転2軸押出機(池貝鉄
工製 PCM−30)のホッパー口より供給して、樹脂
温度250℃、スクリュウ回転数100rpmで溶融押
出し、ペレット化し、重合体(A−3−1)を得、さら
にもう一度同様条件で溶融混練を行い、ペレット化した
重合体(A−3−2)を得た。(A−3−1)および
(A−3−2)のTgは(A−3−0)と同じ101℃
であった。
【0052】(4) 多官能性分子鎖連結剤との反応 (A)成分の共重合体100重量部に対して、表1に示
した添加量で、2,5−ジヒドロキシヘキサン(B−
1)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(B−
2)、1,4−ブタンジオール(B−3)を、ラボプラ
ストミル(東洋精機製)を用いて270℃で10分間溶
融混練した。
【0053】得られたポリマーを粉砕後110℃で12
時間乾燥し、ガラス転移温度(Tg)測定、流動性測
定、架橋性測定を行い、流動性が確認できたものについ
ては、プレス成形で3mm厚みの試験片を作成し、全光
線透過率の測定を行った。また、すべての試料のDMF
に対する溶解性を判定し、室温での架橋構造の有無を確
認した。各ポリマーの評価結果を表1に示した。
【0054】
【表1】表1 ※1: MFR測定 測定条件:A;280℃、B;250℃ 判定:>20g/10分;○、 <20g/10分;
△、流動しない;× ※2: 架橋性 判定 :DMF可溶性;×、DMF不溶;○ ※3: 成形できず。
【0055】表1の実施例、比較例より以下のことが明
らかである。本発明の高耐熱樹脂は(B)成分を添加し
ないものと比較して耐熱性が向上している。比較例1お
よび2との比較から、(A)成分としてカルボキシル基
を多量に含むものでは高温時の架橋構造の開裂が十分で
はなく、成形性が損なわれる。また、比較例3との比較
では、無水物構造を持たない重合体を用いた場合には、
(B)成分との反応が起こらないため、耐熱性向上効果
が見られない。
【0056】上記の通り、本発明の高耐熱樹脂は透明
性、耐熱性に優れるので、光学ディスク、ディスプレイ
部材、光学レンズ、および液晶バックライト用導光板用
の材料として好適に用いることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
グルタル酸無水物構造単位を有する共重合体と多官能性
分子鎖結合剤を反応させることにより、実使用時には架
橋構造を形成し、高い耐熱性を有し、さらに高温下で熱
可塑性を発現し溶融成形可能な優れた透明性を有する高
耐熱樹脂が得られる。
【0058】そして、本発明で得られる樹脂組成物およ
びそれからなる成形品は、優れた耐熱性と透明性を生か
した、光学ディスク、ディスプレイ部材、光学レンズ、
液晶バックライト用導光板などの用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 G11B 7/24 526 G11B 7/24 526B // C08L 33:06 C08L 33:06 (72)発明者 小山 雅史 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 Fターム(参考) 4F071 AA32X AA33 AA33X AA78 AA86 BC17 4J100 AB02R AB03R AJ02Q AL03P AL08P AL09P AM02R AM15R AN03R BB01P BC04P CA04 CA05 HA42 HA53 HC10 JA33 JA36 5D029 KA02 KC13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(i)不飽和カルボン酸アルキルエ
    ステル単位、(ii)下記一般式(1) 【化1】 (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表され
    るグルタル酸無水物単位を有する共重合体若しくは上記
    単位に(iii)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体又
    は上記(i)(ii)若しくは上記(i)(ii)(iii)の単位にさら
    に(iv)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体1
    00重量部と(B)上記グルタル酸無水物単位の酸無水
    物基と結合して前記共重合体を架橋する多官能性分子鎖
    連結剤0.1〜10重量部を反応させ、前記共重合体を
    架橋させて成る樹脂。
  2. 【請求項2】 前記共重合体(A)は、前記不飽和カル
    ボン酸アルキルエステル単位(i)を30〜95重量%、
    前記グルタル酸無水物単位(ii)を5〜60重量%、前記
    不飽和カルボン酸単位(iii)を0〜5重量%、前記その
    他のビニル系単量体単位(iv)を0〜65重量%を含む
    (ただし、(i)(ii)(iii)(iv)の合計は100重量%)請
    求項1記載の樹脂。
  3. 【請求項3】 前記共重合体(A)中の前記不飽和カル
    ボン酸単位(iii)の含有量が0〜1重量%である請求項
    1又は2記載の樹脂。
  4. 【請求項4】 前記共重合体(A)は、反応させる単量
    体の全量を100重量%として、不飽和カルボン酸単量
    体7〜60重量%と、不飽和カルボン酸アルキルエステ
    ル30〜93重量%と、前記その他のビニル系単量体単
    位(iv)を含む場合にはビニル系単量体2〜63重量%と
    を共重合させ、得られた共重合体を加熱することにより
    脱水及び/又は脱アルコール反応によりグルタル酸無水
    物単位を生成させることにより製造される請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の樹脂。
  5. 【請求項5】 前記不飽和カルボン酸単位(iii)は、下
    記一般式(2)で表される構造を有する請求項1ないし4
    のいずれか1項に記載の樹脂。 【化2】 (ただし、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基を
    表す)
  6. 【請求項6】 前記不飽和カルボン酸アルキルエステル
    単位(i)は、下記一般式(3)で表される構造を有する請求
    項1ないし5のいずれか1項に記載の樹脂。 【化3】 (ただし、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基を
    表し、Rは炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式の炭
    化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくは
    ハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂
    環式の炭化水素基を示す)
  7. 【請求項7】 グルタル酸無水物単位の酸無水物基と結
    合して前記共重合体を架橋する多官能性分子鎖連結剤
    (B)は、1分子中に水酸基を2個以上有するポリオー
    ルである請求項1ないし6のいずれか1項記載の樹脂。
  8. 【請求項8】 前記共重合体(A)のガラス転移温度が
    120℃以上である請求項1ないし7のいずれか1項に
    記載の樹脂。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載
    の樹脂から主として成る成形品。
  10. 【請求項10】 成形品が光学ディスク基材、ディスプ
    レイ部材、光学レンズ、または液晶バックライト用導光
    板である請求項9記載の成形品。
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