JP2002283488A - 乾燥ゲル複合体およびその製造方法 - Google Patents
乾燥ゲル複合体およびその製造方法Info
- Publication number
- JP2002283488A JP2002283488A JP2001083672A JP2001083672A JP2002283488A JP 2002283488 A JP2002283488 A JP 2002283488A JP 2001083672 A JP2001083672 A JP 2001083672A JP 2001083672 A JP2001083672 A JP 2001083672A JP 2002283488 A JP2002283488 A JP 2002283488A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reinforcing material
- gel
- dry gel
- gel composite
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 低密度の乾燥ゲルは強度が弱く取り扱い難
く、また、繊維などの補強剤を添加した乾燥ゲルは知ら
れているが、特に表面の強度が十分でなく取り扱いが難
しかった。 【解決手段】 繊維などの補強材からなる層を乾燥ゲル
層の表面に形成することで、表面の強度を確保し、さら
に繊維などの補強材の密度分布を形成することで熱伝導
率の改善を実現する。
く、また、繊維などの補強剤を添加した乾燥ゲルは知ら
れているが、特に表面の強度が十分でなく取り扱いが難
しかった。 【解決手段】 繊維などの補強材からなる層を乾燥ゲル
層の表面に形成することで、表面の強度を確保し、さら
に繊維などの補強材の密度分布を形成することで熱伝導
率の改善を実現する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱材、吸音材お
よび触媒担体などに用いられる乾燥ゲル複合体ならびに
乾燥ゲル複合体の製造方法に関する。
よび触媒担体などに用いられる乾燥ゲル複合体ならびに
乾燥ゲル複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】乾燥ゲルを断熱材、吸音材および触媒担体
などとして用いる場合、一般的に表面積が大きく、同時
に密度の低いものの方が好ましい。また、機器へ組み込
むことを考えると、乾燥ゲルは様々な形態のブロック状
に成型されることが好ましい。さらに、低密度の乾燥ゲ
ルは強度が弱いため、強度を向上させることも必要であ
る。
などとして用いる場合、一般的に表面積が大きく、同時
に密度の低いものの方が好ましい。また、機器へ組み込
むことを考えると、乾燥ゲルは様々な形態のブロック状
に成型されることが好ましい。さらに、低密度の乾燥ゲ
ルは強度が弱いため、強度を向上させることも必要であ
る。
【0003】ところが、湿潤ゲルは乾燥時にゲル孔中の
毛管力によって収縮を起こす結果、その密度が上昇する
とともに、割れを生じて片状となりやすい。このため、
ブロック状のものが得られにくい。収縮を抑えて乾燥さ
せる方法として、主として二つの方法が知られている。
その第一番目の方法は、超臨界乾燥法である。溶媒の臨
界点以上の圧力および温度で乾燥するために、乾燥時に
気液界面が形成されない。このため、毛管力が生じず、
収縮を起こさずに乾燥でき、割れを回避してブロック体
が得られる。
毛管力によって収縮を起こす結果、その密度が上昇する
とともに、割れを生じて片状となりやすい。このため、
ブロック状のものが得られにくい。収縮を抑えて乾燥さ
せる方法として、主として二つの方法が知られている。
その第一番目の方法は、超臨界乾燥法である。溶媒の臨
界点以上の圧力および温度で乾燥するために、乾燥時に
気液界面が形成されない。このため、毛管力が生じず、
収縮を起こさずに乾燥でき、割れを回避してブロック体
が得られる。
【0004】この方法は、キスラーによりアルコールの
超臨界乾燥を用いる方法として開発され(ジャーナル
オブ フィジカルケミストリー、36巻、52〜64ペ
ージ、1932年)、後にハントらにより、二酸化炭素
を用いた超臨界乾燥へと発展した(米国特許第4610863
号)。しかし、この方法では、割れのないブロックは得
られるものの、取り扱い時に必要な強度を有するゲルは
得られない。
超臨界乾燥を用いる方法として開発され(ジャーナル
オブ フィジカルケミストリー、36巻、52〜64ペ
ージ、1932年)、後にハントらにより、二酸化炭素
を用いた超臨界乾燥へと発展した(米国特許第4610863
号)。しかし、この方法では、割れのないブロックは得
られるものの、取り扱い時に必要な強度を有するゲルは
得られない。
【0005】第二番目の方法として、ゲル表面を疎水化
することによって、毛管力を減少させて乾燥させる方法
(米国特許3015645;ジャーナル オブ ノンー
クリスタライン ソリッド、186巻、104−112
ページ、1995年)が知られている。この方法では、
乾燥進行時に収縮し、乾燥が完了に近づくと再びもとの
大きさを回復して低密度のゲルが得られる。しかし、乾
燥進行時の収縮によるストレスにより割れが生じやす
い。また、超臨界乾燥と同様に、強度の改善は実現され
ない。
することによって、毛管力を減少させて乾燥させる方法
(米国特許3015645;ジャーナル オブ ノンー
クリスタライン ソリッド、186巻、104−112
ページ、1995年)が知られている。この方法では、
乾燥進行時に収縮し、乾燥が完了に近づくと再びもとの
大きさを回復して低密度のゲルが得られる。しかし、乾
燥進行時の収縮によるストレスにより割れが生じやす
い。また、超臨界乾燥と同様に、強度の改善は実現され
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、高い強度
を有したブロック体を得るために、繊維体や多孔質シー
トを補強材として用い、ゲル原料に触媒を加えた反応液
を前記強度保持材と共存させてゲル化を完了させ、これ
を乾燥させる方法が知られている(特開平6−1918
22号公報)。
を有したブロック体を得るために、繊維体や多孔質シー
トを補強材として用い、ゲル原料に触媒を加えた反応液
を前記強度保持材と共存させてゲル化を完了させ、これ
を乾燥させる方法が知られている(特開平6−1918
22号公報)。
【0007】しかし、補強材の添加によって強度が上昇
した場合でも、取り扱い時に、直接表面に手が触れるこ
とによって表面からゲルの欠落が起こりやすいという問
題があった。そこで、本発明の目的は、取り扱い時に必
要な表面の強度を確保し、ゲルの欠損を抑制できる乾燥
ゲル複合体およびその製造方法とを提供することであ
る。
した場合でも、取り扱い時に、直接表面に手が触れるこ
とによって表面からゲルの欠落が起こりやすいという問
題があった。そこで、本発明の目的は、取り扱い時に必
要な表面の強度を確保し、ゲルの欠損を抑制できる乾燥
ゲル複合体およびその製造方法とを提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく、乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥ゲル層
の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が50〜
300kg/m3であることを特徴とする乾燥ゲル複合体
を提供する。前記乾燥ゲル複合体においては、乾燥ゲル
層が前記補強材層に侵入していることが有効である。ま
た、前記補強材層が緩衝作用を有するのが有効である。
決すべく、乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥ゲル層
の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が50〜
300kg/m3であることを特徴とする乾燥ゲル複合体
を提供する。前記乾燥ゲル複合体においては、乾燥ゲル
層が前記補強材層に侵入していることが有効である。ま
た、前記補強材層が緩衝作用を有するのが有効である。
【0009】前記補強材層は、連続気泡を有する断熱性
のフォームまたは断熱性の繊維集合体を含む補強材から
なるのが有効である。また、前記繊維集合体はグラスウ
ールであるのが有効である。さらに、前記補強材層内が
深さ方向に密度分布を有することも有効である。
のフォームまたは断熱性の繊維集合体を含む補強材から
なるのが有効である。また、前記繊維集合体はグラスウ
ールであるのが有効である。さらに、前記補強材層内が
深さ方向に密度分布を有することも有効である。
【0010】また、前記乾燥ゲル複合体は、少なくとも
一方の表面の少なくとも一部の密度が、内部の密度より
高いのが有効である。前記補強材層が前記乾燥ゲル層に
侵入していることも有効である。さらに、前記補強材層
の表面に、前記補強材と接着した保護膜を有することも
有効である。
一方の表面の少なくとも一部の密度が、内部の密度より
高いのが有効である。前記補強材層が前記乾燥ゲル層に
侵入していることも有効である。さらに、前記補強材層
の表面に、前記補強材と接着した保護膜を有することも
有効である。
【0011】さらに本発明は、戦機乾燥ゲル複合体複数
個が、それぞれの乾燥ゲル複合体の表面の補強材層同士
で接着されて形成されたことを特徴とする乾燥ゲル複合
体接着ブロックをも提供する。
個が、それぞれの乾燥ゲル複合体の表面の補強材層同士
で接着されて形成されたことを特徴とする乾燥ゲル複合
体接着ブロックをも提供する。
【0012】また、本発明は、前記乾燥ゲル複合体の製
造方法であって、(a1)ゲル原料にゲル化触媒を添加
して混合物を得る工程、(b1)前記混合物を前記補強
材層を構成する補強材と共存させた後にゲル化を完了さ
せ、湿潤ゲル複合体を形成する工程、(b1')必要に
応じて非水溶媒中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複
合体中のゲル表面に疎水化処理を施す工程、および(c
1)前記湿潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除去し
て乾燥ゲル複合体を得る工程を、工程(a1)〜(c
1)の順に含むことを特徴とする製造方法も提供する。
前記工程(b1)においては、前記混合物を補強材と共
存させる際に、前記補強材が占める空間を減圧状態と
し、減圧された空間に前記混合物を注入することが有効
である。
造方法であって、(a1)ゲル原料にゲル化触媒を添加
して混合物を得る工程、(b1)前記混合物を前記補強
材層を構成する補強材と共存させた後にゲル化を完了さ
せ、湿潤ゲル複合体を形成する工程、(b1')必要に
応じて非水溶媒中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複
合体中のゲル表面に疎水化処理を施す工程、および(c
1)前記湿潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除去し
て乾燥ゲル複合体を得る工程を、工程(a1)〜(c
1)の順に含むことを特徴とする製造方法も提供する。
前記工程(b1)においては、前記混合物を補強材と共
存させる際に、前記補強材が占める空間を減圧状態と
し、減圧された空間に前記混合物を注入することが有効
である。
【0013】さらに、本発明は、前記乾燥ゲル複合体の
製造方法であって、(a2)ゲル原料と補強材とを共存
させる工程、(b2)工程(a2)に引き続き、ゲル化
触媒を加えることにより、ゲル化を進行させ湿潤ゲル複
合体を形成する工程、(b2')必要に応じて非水溶媒
中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表
面に疎水化処理を施す工程、および(c2)前記湿潤ゲ
ル複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合
体を得る乾燥工程を、工程(a2)〜(c2)の順に含
むことを特徴とする製造方法も提供する。
製造方法であって、(a2)ゲル原料と補強材とを共存
させる工程、(b2)工程(a2)に引き続き、ゲル化
触媒を加えることにより、ゲル化を進行させ湿潤ゲル複
合体を形成する工程、(b2')必要に応じて非水溶媒
中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表
面に疎水化処理を施す工程、および(c2)前記湿潤ゲ
ル複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合
体を得る乾燥工程を、工程(a2)〜(c2)の順に含
むことを特徴とする製造方法も提供する。
【0014】前記ゲル原料としては、水ガラスから電気
透析によって得られたケイ酸水溶液を用いることが有効
である。また、乾燥工程(d)において、流通させる気
体の圧力を調製することで、前記湿潤ゲル複合体中の非
水溶媒の蒸気圧よりも高い圧力で乾燥を行うのが有効で
ある。
透析によって得られたケイ酸水溶液を用いることが有効
である。また、乾燥工程(d)において、流通させる気
体の圧力を調製することで、前記湿潤ゲル複合体中の非
水溶媒の蒸気圧よりも高い圧力で乾燥を行うのが有効で
ある。
【0015】また、本発明は、乾燥ゲル層および少なく
とも前記乾燥ゲル層の表面に存在する補強材層からな
り、平均密度が50〜300kg/m3である乾燥ゲル複
合体複数個が、それぞれの乾燥ゲル複合体の表面の補強
材層同士で接着されて形成された乾燥ゲル複合体接着ブ
ロックの製造方法であって、前記乾燥ゲル複合体それぞ
れの補強材層中の補強材同士を接着することを特徴とす
る製造方法を提供する。前記補強材同士は接着剤を用い
て接着することが有効である。
とも前記乾燥ゲル層の表面に存在する補強材層からな
り、平均密度が50〜300kg/m3である乾燥ゲル複
合体複数個が、それぞれの乾燥ゲル複合体の表面の補強
材層同士で接着されて形成された乾燥ゲル複合体接着ブ
ロックの製造方法であって、前記乾燥ゲル複合体それぞ
れの補強材層中の補強材同士を接着することを特徴とす
る製造方法を提供する。前記補強材同士は接着剤を用い
て接着することが有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の乾燥ゲル複合体
およびその製造方法に関して説明する。まず、乾燥ゲル
複合体に関して図面を参照しながら説明する。本発明の
乾燥ゲル複合体の特徴は、図1に示したように、乾燥ゲ
ル複合体1が乾燥ゲル層3と少なくとも表面に存在する
補強材層2とからなることである。乾燥ゲル層3の表面
が補強材層2によって保護されているために、表面の強
度が確保され、ゲルの欠落が防止される。補強材層2は
乾燥ゲル層3の上に形成されているが、乾燥ゲル層3に
固定されている必要はない。
およびその製造方法に関して説明する。まず、乾燥ゲル
複合体に関して図面を参照しながら説明する。本発明の
乾燥ゲル複合体の特徴は、図1に示したように、乾燥ゲ
ル複合体1が乾燥ゲル層3と少なくとも表面に存在する
補強材層2とからなることである。乾燥ゲル層3の表面
が補強材層2によって保護されているために、表面の強
度が確保され、ゲルの欠落が防止される。補強材層2は
乾燥ゲル層3の上に形成されているが、乾燥ゲル層3に
固定されている必要はない。
【0017】ただし、取り扱い方法によっては、補強材
層2が乾燥ゲル層3に固定されている方が、より強度が
増すため好ましく、固定の形態としては、図1のように
補強材層2が乾燥ゲル層3内の領域に侵入して重なって
形成される構成が簡単で好ましい。また、図1の補強材
層2の上には、補強材層2と同じまたは別の補強材によ
り別の補強材層が形成されていてもよい。この場合、補
強材層同士は融着あるいは接着剤などで接着されること
が好ましい。
層2が乾燥ゲル層3に固定されている方が、より強度が
増すため好ましく、固定の形態としては、図1のように
補強材層2が乾燥ゲル層3内の領域に侵入して重なって
形成される構成が簡単で好ましい。また、図1の補強材
層2の上には、補強材層2と同じまたは別の補強材によ
り別の補強材層が形成されていてもよい。この場合、補
強材層同士は融着あるいは接着剤などで接着されること
が好ましい。
【0018】図1において、補強材層2は乾燥ゲル層3
の上面にのみ形成されているが、もちろん下面にも設け
ることができ、その場合には上面と下面の強度を確保す
ることができる。また、50〜300kg/m3という低
密度であるため、良好な断熱特性および吸音特性を示
し、触媒担体としても好ましい。さらに、本発明の乾燥
ゲル複合体では、図2に示したように乾燥ゲル層3が補
強材層2内に形成されていることが好ましい。これは、
乾燥ゲル層3内部にも補強材が存在することで、複合体
全体の強度が上昇するからである。ここで、もちろん、
複合体の上面と下面の両方に、乾燥ゲル層3と共存しな
い補強材層2が存在してもよい。
の上面にのみ形成されているが、もちろん下面にも設け
ることができ、その場合には上面と下面の強度を確保す
ることができる。また、50〜300kg/m3という低
密度であるため、良好な断熱特性および吸音特性を示
し、触媒担体としても好ましい。さらに、本発明の乾燥
ゲル複合体では、図2に示したように乾燥ゲル層3が補
強材層2内に形成されていることが好ましい。これは、
乾燥ゲル層3内部にも補強材が存在することで、複合体
全体の強度が上昇するからである。ここで、もちろん、
複合体の上面と下面の両方に、乾燥ゲル層3と共存しな
い補強材層2が存在してもよい。
【0019】本発明で用いられる補強材としては、ハニ
カム構造体、ガラス繊維、鉱物繊維、例えばポリエステ
ル系繊維、アラミド系繊維、ナイロン系繊維などの合成
繊維および天然繊維などの有機繊維、ならびにこれらの
繊維からなる繊維布ならびに不織布などの繊維集合体も
使用することができる。また、ポリウレタン系、ポリエ
ステル系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系、ポリスチ
レン系、シリコン系などのフォームも用いることができ
る。
カム構造体、ガラス繊維、鉱物繊維、例えばポリエステ
ル系繊維、アラミド系繊維、ナイロン系繊維などの合成
繊維および天然繊維などの有機繊維、ならびにこれらの
繊維からなる繊維布ならびに不織布などの繊維集合体も
使用することができる。また、ポリウレタン系、ポリエ
ステル系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系、ポリスチ
レン系、シリコン系などのフォームも用いることができ
る。
【0020】乾燥ゲル層と重ならない部分の補強材層内
の補強材には、補強材層としてある程度の形状を保持す
ることが好ましいことから、上記のうちハニカム構造
体、各種フォームと各種繊維からなる繊維布および不織
布などの繊維集合体が好適に用いられる。また、得られ
る乾燥ゲル複合体を特に断熱材として用いる場合、補強
材層が緩衝作用を有することが好ましい。この場合は、
組み込み部分の形状と乾燥ゲル複合体の形状が一致して
いない場合でも、乾燥ゲル層の表面にある補強材層が変
形することにより、組み込み部に隙間無く設置すること
が可能になる。これにより、前記の隙間に断熱性の悪い
空気層が形成されることがなくなり、断熱性能の低下が
抑制される効果を奏する。
の補強材には、補強材層としてある程度の形状を保持す
ることが好ましいことから、上記のうちハニカム構造
体、各種フォームと各種繊維からなる繊維布および不織
布などの繊維集合体が好適に用いられる。また、得られ
る乾燥ゲル複合体を特に断熱材として用いる場合、補強
材層が緩衝作用を有することが好ましい。この場合は、
組み込み部分の形状と乾燥ゲル複合体の形状が一致して
いない場合でも、乾燥ゲル層の表面にある補強材層が変
形することにより、組み込み部に隙間無く設置すること
が可能になる。これにより、前記の隙間に断熱性の悪い
空気層が形成されることがなくなり、断熱性能の低下が
抑制される効果を奏する。
【0021】この場合、補強材層を形成する緩衝作用を
有する補強材として、繊維集合体や連続気泡を持ち断熱
性を有する上述の各種フォームが好適に用いられる。具
体的には、上記の各種繊維の織物や不織布であり、マッ
ト状のものも用いられる。また、上述のフォームで連続
気泡を有するものなどが好適に用いられる。これらの中
でも、入手が容易で、シリカ、アルミナ、ジルコニア、
チタニアなどのように表面に水酸基を有しているため
に、湿潤ゲルとの接着性が良いことからグラスウールが
好ましい。また、上述の各種フォームは、切り出すこと
などにより任意の形をもたせることが容易であるため、
表面の平坦性などの形状を出し易い効果を奏する。
有する補強材として、繊維集合体や連続気泡を持ち断熱
性を有する上述の各種フォームが好適に用いられる。具
体的には、上記の各種繊維の織物や不織布であり、マッ
ト状のものも用いられる。また、上述のフォームで連続
気泡を有するものなどが好適に用いられる。これらの中
でも、入手が容易で、シリカ、アルミナ、ジルコニア、
チタニアなどのように表面に水酸基を有しているため
に、湿潤ゲルとの接着性が良いことからグラスウールが
好ましい。また、上述の各種フォームは、切り出すこと
などにより任意の形をもたせることが容易であるため、
表面の平坦性などの形状を出し易い効果を奏する。
【0022】さらに、補強材層内の補強材が、深さ方向
に密度分布をもっていることが好ましい。図3のような
板状の乾燥ゲル複合体1を断熱材として用いる場合、通
常深さ方向に温度差が生じるように設置して用いる。補
強材層2が乾燥ゲル層3内に存在することにより補強材
の固体熱伝導のために断熱性能は低下するが、深さ方向
に密度分布をもたせることにより断熱性能の低下を抑制
することができる。
に密度分布をもっていることが好ましい。図3のような
板状の乾燥ゲル複合体1を断熱材として用いる場合、通
常深さ方向に温度差が生じるように設置して用いる。補
強材層2が乾燥ゲル層3内に存在することにより補強材
の固体熱伝導のために断熱性能は低下するが、深さ方向
に密度分布をもたせることにより断熱性能の低下を抑制
することができる。
【0023】これは、伝熱方向に直列に抵抗体がある場
合、全体の抵抗は抵抗が大きい方の抵抗値に支配される
ためである。例えば、補強材が極端に薄い層に押し込ま
れ、他の層は補強材がほとんどない乾燥ゲル層の場合、
補強材のある補強材層の熱抵抗が小さくても、前記乾燥
ゲル層の熱抵抗は補強材が無い場合とほとんど変わらな
い。そのため、全体の熱抵抗は、補強材が無いときとほ
ぼ同じになる。
合、全体の抵抗は抵抗が大きい方の抵抗値に支配される
ためである。例えば、補強材が極端に薄い層に押し込ま
れ、他の層は補強材がほとんどない乾燥ゲル層の場合、
補強材のある補強材層の熱抵抗が小さくても、前記乾燥
ゲル層の熱抵抗は補強材が無い場合とほとんど変わらな
い。そのため、全体の熱抵抗は、補強材が無いときとほ
ぼ同じになる。
【0024】さらに、このように補強材の密度が深さ方
向に密度分布を持っている場合、密度の高い部分が表面
近傍であることが好ましい。つまり、同じ量の補強材を
添加するので有れば、表面付近への補強材の添加量を多
く、表面から遠い部分には表面付近に比べて少量の補強
材を添加することが好ましい。これは、取り扱い上、最
も強度を必要とするのが表面であるからである。
向に密度分布を持っている場合、密度の高い部分が表面
近傍であることが好ましい。つまり、同じ量の補強材を
添加するので有れば、表面付近への補強材の添加量を多
く、表面から遠い部分には表面付近に比べて少量の補強
材を添加することが好ましい。これは、取り扱い上、最
も強度を必要とするのが表面であるからである。
【0025】さらに、上述のように表面の補強材密度が
高くなっている場合、図3に示したように補強材層2が
乾燥ゲル層3に含まれる構成が好ましい。この場合補強
材層2の緩衝作用は期待できないが、乾燥ゲル層3に比
較して熱伝導率が高く乾燥ゲルを含まない補強材層が存
在しないため断熱性能は高くなる。また、乾燥ゲル層3
に含まれない補強材層が存在しないが、表面の補強材密
度が高くなっているため、取り扱い時に重要な表面の強
度が高くなる。したがって、組み込み部との密着性が問
題にならない場合は、この構成が好ましい。
高くなっている場合、図3に示したように補強材層2が
乾燥ゲル層3に含まれる構成が好ましい。この場合補強
材層2の緩衝作用は期待できないが、乾燥ゲル層3に比
較して熱伝導率が高く乾燥ゲルを含まない補強材層が存
在しないため断熱性能は高くなる。また、乾燥ゲル層3
に含まれない補強材層が存在しないが、表面の補強材密
度が高くなっているため、取り扱い時に重要な表面の強
度が高くなる。したがって、組み込み部との密着性が問
題にならない場合は、この構成が好ましい。
【0026】さらに、図4のように補強材層2の外側表
面に保護膜4が形成される構成が好ましい。保護膜4が
補強材に接着して形成されているために、乾燥ゲル層3
上に直接保護膜を形成するよりも下地との接着性が増
し、強固な保護膜が形成される。特に、乾燥ゲル層3の
ゲルが疎水性のゲルの場合にはゲルと保護膜4との接着
性が落ちるため、補強材層2の表面に保護膜4が形成さ
れた構成をとることが好ましい。また、補強材層2の上
部に、乾燥ゲル層3が重ならない部分がある場合、補強
材を保護膜4との接着する面積が増えるため、接着力が
増し、好ましい。
面に保護膜4が形成される構成が好ましい。保護膜4が
補強材に接着して形成されているために、乾燥ゲル層3
上に直接保護膜を形成するよりも下地との接着性が増
し、強固な保護膜が形成される。特に、乾燥ゲル層3の
ゲルが疎水性のゲルの場合にはゲルと保護膜4との接着
性が落ちるため、補強材層2の表面に保護膜4が形成さ
れた構成をとることが好ましい。また、補強材層2の上
部に、乾燥ゲル層3が重ならない部分がある場合、補強
材を保護膜4との接着する面積が増えるため、接着力が
増し、好ましい。
【0027】保護膜4は、各種有機高分子材料または無
機高分子材料から構成することができる。この保護膜を
熱可塑性の有機高分子材料で形成する場合、補強材にも
熱可塑性樹脂を用いることで、熱可塑性樹脂からなるシ
ートを前記補強材層に融着させて保護膜を容易に形成す
ることができる。
機高分子材料から構成することができる。この保護膜を
熱可塑性の有機高分子材料で形成する場合、補強材にも
熱可塑性樹脂を用いることで、熱可塑性樹脂からなるシ
ートを前記補強材層に融着させて保護膜を容易に形成す
ることができる。
【0028】また、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の
前駆体を有機溶媒の溶液または水性エマルジョンとして
補強材層上に塗布し、加熱、紫外線照射、水蒸気の浸入
などにより硬化させて保護膜を形成することも可能であ
る。さらに、各種の接着剤を用いて、補強材上にその有
機高分子あるいはシリコン系樹脂などからなるシートを
貼り付けることでも形成可能である。
前駆体を有機溶媒の溶液または水性エマルジョンとして
補強材層上に塗布し、加熱、紫外線照射、水蒸気の浸入
などにより硬化させて保護膜を形成することも可能であ
る。さらに、各種の接着剤を用いて、補強材上にその有
機高分子あるいはシリコン系樹脂などからなるシートを
貼り付けることでも形成可能である。
【0029】また、上記の有機溶媒や水性エマルジョン
の粘度が低い場合は、ノズルを通して吹き付けて塗布す
ることも可能である。特に、乾燥ゲル層のゲルが疎水性
の場合は、前記ゲルへの有機溶媒の浸入が容易であり、
有機溶媒が乾燥する際にゲルの収縮がおこるため、水溶
性高分子の水溶液あるいは非水溶性高分子の水性エマル
ジョンを用いることが好ましい。
の粘度が低い場合は、ノズルを通して吹き付けて塗布す
ることも可能である。特に、乾燥ゲル層のゲルが疎水性
の場合は、前記ゲルへの有機溶媒の浸入が容易であり、
有機溶媒が乾燥する際にゲルの収縮がおこるため、水溶
性高分子の水溶液あるいは非水溶性高分子の水性エマル
ジョンを用いることが好ましい。
【0030】また、図5に示したように、複数の乾燥ゲ
ル複合体を、補強材層を介して接着した乾燥ゲル複合体
接着ブロックが構成される。このような構成を用いるこ
とで、サイズの大きな断熱材や吸音材が容易に得られる
効果がある。
ル複合体を、補強材層を介して接着した乾燥ゲル複合体
接着ブロックが構成される。このような構成を用いるこ
とで、サイズの大きな断熱材や吸音材が容易に得られる
効果がある。
【0031】次に、本発明の乾燥ゲル複合体の製造方法
について説明する。本発明の乾燥ゲル複合体の好ましい
製造方法は、(a1)ゲル原料にゲル化触媒を添加して
混合物を得る工程、(b1)前記混合物を前記補強材層
を構成する補強材と共存させた後にゲル化を完了させ、
湿潤ゲル複合体を形成する工程、(b1')必要に応じ
て非水溶媒中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複合体
中のゲル表面に疎水化処理を施す工程、および(c1)
前記湿潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾
燥ゲル複合体を得る工程を、工程(a1)〜(c1)の
順に含む。
について説明する。本発明の乾燥ゲル複合体の好ましい
製造方法は、(a1)ゲル原料にゲル化触媒を添加して
混合物を得る工程、(b1)前記混合物を前記補強材層
を構成する補強材と共存させた後にゲル化を完了させ、
湿潤ゲル複合体を形成する工程、(b1')必要に応じ
て非水溶媒中で疎水化剤によって、前記湿潤ゲル複合体
中のゲル表面に疎水化処理を施す工程、および(c1)
前記湿潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾
燥ゲル複合体を得る工程を、工程(a1)〜(c1)の
順に含む。
【0032】工程(a1)において用いるゲル原料とし
ては、ゾル−ゲル法に用いられる金属酸化物化合物など
が挙げられる。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコ
ニウム、チタンなどの酸化物がある。このなかでも、ケ
イ素の酸化物化合物が入手の容易性から好ましい。ケイ
素の酸化物化合物としては、テトラメトキシシランなど
のケイ素アルコキシドやそのオリゴマー、コロイダルシ
リカ、水ガラスなどがあり、水ガラスから電気透析によ
り得られるケイ酸水溶液が好適に用いられる。
ては、ゾル−ゲル法に用いられる金属酸化物化合物など
が挙げられる。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコ
ニウム、チタンなどの酸化物がある。このなかでも、ケ
イ素の酸化物化合物が入手の容易性から好ましい。ケイ
素の酸化物化合物としては、テトラメトキシシランなど
のケイ素アルコキシドやそのオリゴマー、コロイダルシ
リカ、水ガラスなどがあり、水ガラスから電気透析によ
り得られるケイ酸水溶液が好適に用いられる。
【0033】また、金属酸化物の他に、フェノール類−
ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリ
オール−イソシアネートなどの有機化合物も用いること
ができる。上記ゲル原料に用いるゲル触媒としては、一
般的的には、アンモニア水、塩酸、硫酸などの無機塩基
および酸の他、有機酸およびピリジンなどの有機塩基を
用いることができる。その他、メラミン−ホルムアルデ
ヒドを原料とする場合には、炭酸ナトリウムなどの金属
塩も好適に用いられる。
ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ポリ
オール−イソシアネートなどの有機化合物も用いること
ができる。上記ゲル原料に用いるゲル触媒としては、一
般的的には、アンモニア水、塩酸、硫酸などの無機塩基
および酸の他、有機酸およびピリジンなどの有機塩基を
用いることができる。その他、メラミン−ホルムアルデ
ヒドを原料とする場合には、炭酸ナトリウムなどの金属
塩も好適に用いられる。
【0034】工程(b1)において、補強材に対するゲ
ル原料の量を調整することによって、または補強材層を
浸漬する深さによって、図1〜3に示されるような構成
を実現できる。また、工程(b1)において、密度の異
なる補強材を重ねることによって深さ方向に補強材の密
度分布を有する乾燥ゲル複合体を得ることができる。ま
たは、ゲル化時に、補強材を上から板状のもので押さえ
つけて成型することによって、上面に近い部分の密度が
高い乾燥ゲル複合体を得ることができる。上から押さえ
つけて成型する場合には、特に繊維集合体を補強材とし
て用いる際に生じ易い深さ方向のムラ(部分的に補強材
のない部分が生じる)が圧縮によりなくなり、表面の強
度が得られ易いため、好ましい。
ル原料の量を調整することによって、または補強材層を
浸漬する深さによって、図1〜3に示されるような構成
を実現できる。また、工程(b1)において、密度の異
なる補強材を重ねることによって深さ方向に補強材の密
度分布を有する乾燥ゲル複合体を得ることができる。ま
たは、ゲル化時に、補強材を上から板状のもので押さえ
つけて成型することによって、上面に近い部分の密度が
高い乾燥ゲル複合体を得ることができる。上から押さえ
つけて成型する場合には、特に繊維集合体を補強材とし
て用いる際に生じ易い深さ方向のムラ(部分的に補強材
のない部分が生じる)が圧縮によりなくなり、表面の強
度が得られ易いため、好ましい。
【0035】また、工程(b1)において、繊維集合体
や各種フォームとゲル原料を共存させる際、ゲル化が短
時間で進む場合あるいはゲル原料の粘度が高い場合に
は、補強材に充分ゲル原料が含浸されないうちにゲル化
が起こり、最終的に乾燥ゲル層内に空気が残ることがよ
くある。この場合、得られる乾燥ゲル複合体の熱伝導率
は前記の空気の存在のために高くなる。
や各種フォームとゲル原料を共存させる際、ゲル化が短
時間で進む場合あるいはゲル原料の粘度が高い場合に
は、補強材に充分ゲル原料が含浸されないうちにゲル化
が起こり、最終的に乾燥ゲル層内に空気が残ることがよ
くある。この場合、得られる乾燥ゲル複合体の熱伝導率
は前記の空気の存在のために高くなる。
【0036】これを避けるためには、ゲル原料と触媒と
の混合物を補強材に加える前に、補強材が占める空間を
減圧状態とし、その中へ前記の混合物を注入することが
好ましい。簡単には、密閉された容器を用意し、その中
に補強材を設置し、この容器内を減圧にした後、減圧に
された容器内に前記の混合物を注入する。こうすること
で、補強材中に空気が残ることなく短時間でゲル原料と
ゲル化触媒との混合物を補強材と共存させることができ
る。
の混合物を補強材に加える前に、補強材が占める空間を
減圧状態とし、その中へ前記の混合物を注入することが
好ましい。簡単には、密閉された容器を用意し、その中
に補強材を設置し、この容器内を減圧にした後、減圧に
された容器内に前記の混合物を注入する。こうすること
で、補強材中に空気が残ることなく短時間でゲル原料と
ゲル化触媒との混合物を補強材と共存させることができ
る。
【0037】つぎに工程(b1')では、必要に応じて
疎水化剤処理を行う。断熱材として用いる場合には水の
吸着を抑制することが重要であり、特にケイ素、アルミ
ニウム、ジルコニウム、チタンなどの金属酸化物をゲル
原料とする際には、この疎水化処理を行うことが好まし
い。疎水化処理の前には、後述する疎水化剤が水と反応
して失われることを避けるために、通常は水溶性溶媒に
よる溶媒置換により水を除くが、水溶性溶媒と非水溶性
溶媒の混合溶媒中で疎水化を行えば、前記の溶媒置換を
行わなくても疎水化処理を行うことも可能である。ま
た、疎水化処理は、乾燥後に疎水化剤蒸気を用いて行う
ことも可能である。
疎水化剤処理を行う。断熱材として用いる場合には水の
吸着を抑制することが重要であり、特にケイ素、アルミ
ニウム、ジルコニウム、チタンなどの金属酸化物をゲル
原料とする際には、この疎水化処理を行うことが好まし
い。疎水化処理の前には、後述する疎水化剤が水と反応
して失われることを避けるために、通常は水溶性溶媒に
よる溶媒置換により水を除くが、水溶性溶媒と非水溶性
溶媒の混合溶媒中で疎水化を行えば、前記の溶媒置換を
行わなくても疎水化処理を行うことも可能である。ま
た、疎水化処理は、乾燥後に疎水化剤蒸気を用いて行う
ことも可能である。
【0038】本発明に用いることのできる疎水化剤とし
てはシリル化剤が反応性が高く好ましく、例えばジシラ
ザン、クロロシラン、アルキルシラノール、アルコキシ
シランなどがあげられる。これらのシリル化剤がジシラ
ザン化合物、クロロシラン化合物、アルコキシシラン化
合物の場合は、直接あるいは加水分解を受けて、対応す
るアルキルシラノールになってからゲル表面のシラノー
ル基と反応する。またアルキルシラノールをシリル化剤
として用いれば、そのまま表面のシラノール基と反応す
る。
てはシリル化剤が反応性が高く好ましく、例えばジシラ
ザン、クロロシラン、アルキルシラノール、アルコキシ
シランなどがあげられる。これらのシリル化剤がジシラ
ザン化合物、クロロシラン化合物、アルコキシシラン化
合物の場合は、直接あるいは加水分解を受けて、対応す
るアルキルシラノールになってからゲル表面のシラノー
ル基と反応する。またアルキルシラノールをシリル化剤
として用いれば、そのまま表面のシラノール基と反応す
る。
【0039】具体的には、トリメチルクロロシラン、メ
チルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの
クロロシラン化合物、ヘキサメチルジシラザンなどのシ
ラザン化合物、メトキシトリメチルシラン、エトキシト
リメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキ
シジエチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどのア
ルコキシシラン化合物、トリメチルシラノール、トリエ
チルシラノールなどのシラノール化合物に代表されるシ
リル化剤を好適に用いることができる。これらの表面に
トリメチルシリル基などのアルキルシリル基を導入する
ことによって疎水化が進行する。
チルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの
クロロシラン化合物、ヘキサメチルジシラザンなどのシ
ラザン化合物、メトキシトリメチルシラン、エトキシト
リメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキ
シジエチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどのア
ルコキシシラン化合物、トリメチルシラノール、トリエ
チルシラノールなどのシラノール化合物に代表されるシ
リル化剤を好適に用いることができる。これらの表面に
トリメチルシリル基などのアルキルシリル基を導入する
ことによって疎水化が進行する。
【0040】また、疎水化剤として、フッ素化されたシ
リル化剤を用いれば、疎水性が強くなり非常に効果的で
ある。例えば、パーフルオロフルオロアルキル基を有し
たクロロシラン類を好適に用いることができる。また、
疎水化剤としてはエタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチ
レングリコール、グリセロールなどのアルコール類の
他、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸などのカルボ
ン酸なども用いることができる。これらは、ゲル表面の
水酸基と反応してエステルを形成することで疎水化を進
めるが、反応が比較的遅いため高温の条件が必要であ
る。
リル化剤を用いれば、疎水性が強くなり非常に効果的で
ある。例えば、パーフルオロフルオロアルキル基を有し
たクロロシラン類を好適に用いることができる。また、
疎水化剤としてはエタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチ
レングリコール、グリセロールなどのアルコール類の
他、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸などのカルボ
ン酸なども用いることができる。これらは、ゲル表面の
水酸基と反応してエステルを形成することで疎水化を進
めるが、反応が比較的遅いため高温の条件が必要であ
る。
【0041】また、本発明の疎水化処理で使用される非
水溶媒としては、水溶性の溶媒と非水溶性の溶媒がある
が、水溶性の溶媒と、非水溶性の溶媒の混合溶媒が用い
られることが疎水化を好適に進めるため好ましい。疎水
化処理時に使用する水溶性溶媒としては、アセトン、
1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジ
オキソランなどが好適に用いられる。その他にも、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリ−
ブタノールなどの低級アルコール、蟻酸、酢酸、プロピ
オン酸などの低級カルボン酸も用いることができる。し
かし、疎水化剤としてクロロシランを用いる場合、低級
アルコールの存在でクロロシランの疎水化が阻害される
ことがあるため、低級アルコールの使用は避けるべきで
ある。
水溶媒としては、水溶性の溶媒と非水溶性の溶媒がある
が、水溶性の溶媒と、非水溶性の溶媒の混合溶媒が用い
られることが疎水化を好適に進めるため好ましい。疎水
化処理時に使用する水溶性溶媒としては、アセトン、
1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,3−ジ
オキソランなどが好適に用いられる。その他にも、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリ−
ブタノールなどの低級アルコール、蟻酸、酢酸、プロピ
オン酸などの低級カルボン酸も用いることができる。し
かし、疎水化剤としてクロロシランを用いる場合、低級
アルコールの存在でクロロシランの疎水化が阻害される
ことがあるため、低級アルコールの使用は避けるべきで
ある。
【0042】非水溶性の溶媒としては、特に制限は受け
ないが、入手の容易性と乾燥の容易性から、低沸点の炭
化水素であるペンタン、ヘキサン、へプタンあるいはそ
れらの混合物であることが好ましい。
ないが、入手の容易性と乾燥の容易性から、低沸点の炭
化水素であるペンタン、ヘキサン、へプタンあるいはそ
れらの混合物であることが好ましい。
【0043】最後に、工程(c1)において、湿潤ゲル
複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合体
を得る。乾燥は、超臨界乾燥によれば、収縮無く良好な
低密度乾燥ゲル複合体を得ることが可能である。一方、
超臨界乾燥によらなくても、凍結乾燥の適用も可能であ
る他、湿潤ゲル表面が疎水化されている場合には、臨界
点未満条件で加熱乾燥が可能となる。
複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合体
を得る。乾燥は、超臨界乾燥によれば、収縮無く良好な
低密度乾燥ゲル複合体を得ることが可能である。一方、
超臨界乾燥によらなくても、凍結乾燥の適用も可能であ
る他、湿潤ゲル表面が疎水化されている場合には、臨界
点未満条件で加熱乾燥が可能となる。
【0044】臨界点未満条件での乾燥では、湿潤ゲル中
に保持される非水溶媒は、その表面張力の小さい方が、
毛管力が小さくなるため、収縮を起こしにくく有利であ
る。従って、乾燥する際に、表面張力の低い液体に置換
することも効果がある。このような本発明で好適に用い
られる非水溶媒としては、官能基を含まない炭化水素、
フッ素化された炭化水素、エーテル、アルコールの他、
アルキルシラン、ジメチルポリシロキサンなどのケイ素
化合物が好ましい。特に沸点での表面張力が0.016
N/m以下の液体が好ましい。
に保持される非水溶媒は、その表面張力の小さい方が、
毛管力が小さくなるため、収縮を起こしにくく有利であ
る。従って、乾燥する際に、表面張力の低い液体に置換
することも効果がある。このような本発明で好適に用い
られる非水溶媒としては、官能基を含まない炭化水素、
フッ素化された炭化水素、エーテル、アルコールの他、
アルキルシラン、ジメチルポリシロキサンなどのケイ素
化合物が好ましい。特に沸点での表面張力が0.016
N/m以下の液体が好ましい。
【0045】この条件を満たす液体として、デカン、ノ
ナン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、ブタ
ンなどで環状構造を有しない炭化水素および、その異性
体がある。その他に、ハイドロフルオロカーボン化合物
(HFC)であるHFC−134a、HFC−152
a、オクタフルオロシクロペンタンなど、ハイドロフル
オロエーテル化合物(HFE)であるノナフルオロブチ
ルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル
など、フルオロアルコールであるヘキサフルオロイソプ
ロパノールなど、アルキルシランであるテトラメチルシ
ランなど、ジメチルポリシロキサンであるヘキサメチル
ジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルトリシロキサンなどがある。
ナン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、ブタ
ンなどで環状構造を有しない炭化水素および、その異性
体がある。その他に、ハイドロフルオロカーボン化合物
(HFC)であるHFC−134a、HFC−152
a、オクタフルオロシクロペンタンなど、ハイドロフル
オロエーテル化合物(HFE)であるノナフルオロブチ
ルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル
など、フルオロアルコールであるヘキサフルオロイソプ
ロパノールなど、アルキルシランであるテトラメチルシ
ランなど、ジメチルポリシロキサンであるヘキサメチル
ジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルトリシロキサンなどがある。
【0046】また、乾燥工程で表面張力を低下させて毛
管力を低減するために、界面活性剤を添加させることが
効果的で好ましい。また、界面活性剤の添加による表面
張力の低下は、繊維などの補強材へのゲル原料の含浸を
容易にするためにも好ましい。界面活性剤としては、シ
リコン系、炭化水素系に加え、前記の界面活性剤がフッ
素化されたフッ素系などがあり、各々アニオン型、カチ
オン型、ノニオン型があるが、実現される表面張力の低
さからフッ素系の界面活性剤が好ましい。例えば、パー
フルオロアルキル基を有するフッ素系では0.02N/
m程度以下まで表面張力が低下するものもある。このよ
うに界面活性剤の添加は、水系だけでなく、ゲルに保持
される液体がアルコールの場合でも有効であり、水溶性
溶媒と水との混合系に関しても効果がある。
管力を低減するために、界面活性剤を添加させることが
効果的で好ましい。また、界面活性剤の添加による表面
張力の低下は、繊維などの補強材へのゲル原料の含浸を
容易にするためにも好ましい。界面活性剤としては、シ
リコン系、炭化水素系に加え、前記の界面活性剤がフッ
素化されたフッ素系などがあり、各々アニオン型、カチ
オン型、ノニオン型があるが、実現される表面張力の低
さからフッ素系の界面活性剤が好ましい。例えば、パー
フルオロアルキル基を有するフッ素系では0.02N/
m程度以下まで表面張力が低下するものもある。このよ
うに界面活性剤の添加は、水系だけでなく、ゲルに保持
される液体がアルコールの場合でも有効であり、水溶性
溶媒と水との混合系に関しても効果がある。
【0047】また、本発明の乾燥ゲル複合体の別の製造
方法は、(a2)ゲル原料と補強材とを共存させる工
程、(b2)工程(a2)に引き続き、ゲル化触媒を加
えることにより、ゲル化を進行させ湿潤ゲル複合体を形
成する工程、(b2')必要に応じて非水溶媒中で疎水
化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表面に疎水
化処理を施す工程、および(c2)前記湿潤ゲル複合体
からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合体を得る
乾燥工程を、工程(a2)〜(c2)の順に含む。
方法は、(a2)ゲル原料と補強材とを共存させる工
程、(b2)工程(a2)に引き続き、ゲル化触媒を加
えることにより、ゲル化を進行させ湿潤ゲル複合体を形
成する工程、(b2')必要に応じて非水溶媒中で疎水
化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表面に疎水
化処理を施す工程、および(c2)前記湿潤ゲル複合体
からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル複合体を得る
乾燥工程を、工程(a2)〜(c2)の順に含む。
【0048】この製造方法が、上記の製造方法と異なる
のは、ゲル原料と繊維体を共存させてからゲル化触媒を
加える点である。この方法により、上で既に述べたよう
に、ゲル化が短時間で進む場合、あるいはゲル原料の粘
度が高い場合に補強材の間に空気が残ることを回避する
ことができる。つまり、この製造方法では、繊維体にゲ
ル原料が充分に含浸されてからゲル化が進行するため、
上で述べた空気の残存がなく、高い熱伝導率が得られる
効果がある。
のは、ゲル原料と繊維体を共存させてからゲル化触媒を
加える点である。この方法により、上で既に述べたよう
に、ゲル化が短時間で進む場合、あるいはゲル原料の粘
度が高い場合に補強材の間に空気が残ることを回避する
ことができる。つまり、この製造方法では、繊維体にゲ
ル原料が充分に含浸されてからゲル化が進行するため、
上で述べた空気の残存がなく、高い熱伝導率が得られる
効果がある。
【0049】また、シリカ乾燥ゲル複合体を製造する場
合、コストの点からは、価格の低い水ガラスを用いるこ
とが好ましいが、水ガラスをゲル化触媒によりゲル化さ
せる場合、水ガラスの粘度が高いために、繊維体などの
補強材に含浸あるいは混合させることが困難な場合があ
る。また、水ガラスをイオン交換してゲル化させる場
合、ゲル化時間をコントロールするのが難しい上に、形
成されたゲルは、湿潤ゲルの状態で収縮を起こしやすい
ために、複雑な型に入れて成型した場合割れの発生を抑
制することが難しい。
合、コストの点からは、価格の低い水ガラスを用いるこ
とが好ましいが、水ガラスをゲル化触媒によりゲル化さ
せる場合、水ガラスの粘度が高いために、繊維体などの
補強材に含浸あるいは混合させることが困難な場合があ
る。また、水ガラスをイオン交換してゲル化させる場
合、ゲル化時間をコントロールするのが難しい上に、形
成されたゲルは、湿潤ゲルの状態で収縮を起こしやすい
ために、複雑な型に入れて成型した場合割れの発生を抑
制することが難しい。
【0050】これに対して、水ガラスから電気透析によ
って得られたケイ酸水溶液を用いると、粘度が低く繊維
体などの補強材に含浸あるいは混合が容易なのに加え
て、湿潤ゲル形成時の収縮が小さく、型に入れてゲル化
させた場合の割れなどが生じにくい効果がある。また、
さらにケイ酸水溶液に界面活性剤を添加することで表面
張力を低下させることも繊維集合体などの細かな空隙を
有する補強材に含浸するには有効である。
って得られたケイ酸水溶液を用いると、粘度が低く繊維
体などの補強材に含浸あるいは混合が容易なのに加え
て、湿潤ゲル形成時の収縮が小さく、型に入れてゲル化
させた場合の割れなどが生じにくい効果がある。また、
さらにケイ酸水溶液に界面活性剤を添加することで表面
張力を低下させることも繊維集合体などの細かな空隙を
有する補強材に含浸するには有効である。
【0051】本発明の製造方法では、乾燥工程を、流通
させる気体の圧力を調製することで、前記湿潤ゲル複合
体中の非水溶媒の蒸気圧よりも高い圧力で行うことが好
ましい。これは、乾燥を行う圧力が、非水溶媒の蒸気圧
以下になると、前記非水溶性溶媒の沸騰が起こり、この
ことによりゲルの欠損などの損傷が生じ易いためであ
る。例えば、乾燥容器内に加圧気体を導入し、乾燥容器
から排出される気体の量を調整することで、乾燥容器内
の圧力を非水溶媒の蒸気圧よりも高い状態に保つことが
できる。
させる気体の圧力を調製することで、前記湿潤ゲル複合
体中の非水溶媒の蒸気圧よりも高い圧力で行うことが好
ましい。これは、乾燥を行う圧力が、非水溶媒の蒸気圧
以下になると、前記非水溶性溶媒の沸騰が起こり、この
ことによりゲルの欠損などの損傷が生じ易いためであ
る。例えば、乾燥容器内に加圧気体を導入し、乾燥容器
から排出される気体の量を調整することで、乾燥容器内
の圧力を非水溶媒の蒸気圧よりも高い状態に保つことが
できる。
【0052】表面層で接合したゲル複合体接着ブロック
に関しては既に述べたが、これは、乾燥ゲル複合体の補
強材層中の補強材同士を接着することで製造される。接
着するために、補強材同士を融着することができる。ま
た、接着剤を用いて接着することも可能である。補強材
同士を融着する場合は、補強材が熱可塑性樹脂あるいは
低融点ガラス等で構成されることが好ましい。また、さ
らに接着性を高めるために、補強材層の表面近傍に乾燥
ゲル層が形成されていないことが好ましい。
に関しては既に述べたが、これは、乾燥ゲル複合体の補
強材層中の補強材同士を接着することで製造される。接
着するために、補強材同士を融着することができる。ま
た、接着剤を用いて接着することも可能である。補強材
同士を融着する場合は、補強材が熱可塑性樹脂あるいは
低融点ガラス等で構成されることが好ましい。また、さ
らに接着性を高めるために、補強材層の表面近傍に乾燥
ゲル層が形成されていないことが好ましい。
【0053】また、接着剤としては、有機溶剤系の接着
剤、水系、あるいは水系エマルジョン系の接着剤の他、
水や有機溶媒を含まないホットメルト型の接着剤が用い
られる。ゲルが疎水化されている場合、有機溶剤のゲル
への浸入が容易であり、その後の有機溶媒の乾燥時にゲ
ルの収縮が起こり易いため、水系あるいは水系エマルジ
ョン系の接着剤、ホットメルト型のような無溶剤接着剤
を用いることが好ましい。また、図1のように乾燥ゲル
層に含まれない補強材層が存在する場合は、補強材層に
のみ接着剤をつけて乾燥ゲル層に有機溶媒が浸入しない
ようにすることが可能であるため好ましい。以下で具体
的な実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれ
らのみに限定されるものではない。
剤、水系、あるいは水系エマルジョン系の接着剤の他、
水や有機溶媒を含まないホットメルト型の接着剤が用い
られる。ゲルが疎水化されている場合、有機溶剤のゲル
への浸入が容易であり、その後の有機溶媒の乾燥時にゲ
ルの収縮が起こり易いため、水系あるいは水系エマルジ
ョン系の接着剤、ホットメルト型のような無溶剤接着剤
を用いることが好ましい。また、図1のように乾燥ゲル
層に含まれない補強材層が存在する場合は、補強材層に
のみ接着剤をつけて乾燥ゲル層に有機溶媒が浸入しない
ようにすることが可能であるため好ましい。以下で具体
的な実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれ
らのみに限定されるものではない。
【0054】
【実施例】《実施例1および比較例1》本実施例では、
ゲル原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒドを用
い、これと補強材としてウレタン連通フォームを用い
て、図1のように乾燥ゲル層3の上部に補強材層2を形
成した。湿潤ゲルは以下のように作製した。ゲル原料と
してのレゾルシノール、ホルムアルデヒド、さらにゲル
化触媒としての炭酸ナトリウムを、順に0.29モル、
0.57モル0.005モルずつ蒸留水67mlに溶解
させた溶液を調製し、加熱した後、直径8cmの容器に
厚さが5mmになるように流し込んだ。つぎに、厚さ5
mm、密度40kg/m3の軟質ウレタンフォームを、
その下部2mmが、前記ゲル原料とゲル化触媒との混合
溶液の上部2mmに浸るように上から浸漬させ、その後
にゲル化を完了させた。これを、純粋なエタノール中に
入れてゲル中の水をエタノールに置換し、同様にしてエ
タノールをペンタンと置換した。
ゲル原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒドを用
い、これと補強材としてウレタン連通フォームを用い
て、図1のように乾燥ゲル層3の上部に補強材層2を形
成した。湿潤ゲルは以下のように作製した。ゲル原料と
してのレゾルシノール、ホルムアルデヒド、さらにゲル
化触媒としての炭酸ナトリウムを、順に0.29モル、
0.57モル0.005モルずつ蒸留水67mlに溶解
させた溶液を調製し、加熱した後、直径8cmの容器に
厚さが5mmになるように流し込んだ。つぎに、厚さ5
mm、密度40kg/m3の軟質ウレタンフォームを、
その下部2mmが、前記ゲル原料とゲル化触媒との混合
溶液の上部2mmに浸るように上から浸漬させ、その後
にゲル化を完了させた。これを、純粋なエタノール中に
入れてゲル中の水をエタノールに置換し、同様にしてエ
タノールをペンタンと置換した。
【0055】つぎに上記ゲルを高圧容器内にペンタン50
mlとともに室温で設置した。耐圧容器に液体二酸化炭
素を導入して、ゲル中のペンタンを二酸化炭素に置換
し、その後に昇温して、温度50℃、圧力10Mpaに
調整し超臨界状態の二酸化炭素から圧力を解放して、乾
燥ゲル複合体を得た(実施例1)。比較のために、軟質
ウレタンフォームを複合しない乾燥ゲルを作製した。そ
の他の製造手順は、実施例と同様にして行った(比較例
1)。本実施例で得られた乾燥ゲル複合体の平均密度
は、100kg/m3、比較例の乾燥ゲルの平均密度
は、120kg/m3であった。また、実施例の乾燥ゲ
ル複合体は、その上部を手で擦ってもゲルの欠落は起こ
らなかったが、比較例の乾燥ゲルでは、表面のゲルの欠
落が生じた。このように、乾燥ゲル層上部に補強材層を
形成することで、乾燥ゲル層の強度を確保することがで
きた。
mlとともに室温で設置した。耐圧容器に液体二酸化炭
素を導入して、ゲル中のペンタンを二酸化炭素に置換
し、その後に昇温して、温度50℃、圧力10Mpaに
調整し超臨界状態の二酸化炭素から圧力を解放して、乾
燥ゲル複合体を得た(実施例1)。比較のために、軟質
ウレタンフォームを複合しない乾燥ゲルを作製した。そ
の他の製造手順は、実施例と同様にして行った(比較例
1)。本実施例で得られた乾燥ゲル複合体の平均密度
は、100kg/m3、比較例の乾燥ゲルの平均密度
は、120kg/m3であった。また、実施例の乾燥ゲ
ル複合体は、その上部を手で擦ってもゲルの欠落は起こ
らなかったが、比較例の乾燥ゲルでは、表面のゲルの欠
落が生じた。このように、乾燥ゲル層上部に補強材層を
形成することで、乾燥ゲル層の強度を確保することがで
きた。
【0056】《実施例2》本実施例では、ゲル原料とし
てレゾルシノール、ホルムアルデヒドを用い、これと補
強材としてウレタン連通フォームを用いて、図2に示す
ように乾燥ゲル層全体とその上部に補強材層を形成し
た。連通ウレタンフォームとして密度が40kg/
m3、厚さが8mmのものを用い、ゲル原料とゲル化触
媒との混合液に浸積させるときに、前記混合液下部まで
浸積させてゲル化を完了させた。その他は、実施例1と
同様に乾燥ゲル複合体を作製した。本実施例の乾燥ゲル
複合体の平均密度は、115kg/m3であった。ま
た、本実施例の乾燥ゲル複合体は、端部を手で持って移
動させてもゲルの欠落は生じなかったが、実施例1のゲ
ルでは、端部を手で持って移動を繰り返すうちに補強材
層が形成されていない乾燥ゲル下部でゲルの欠落が生じ
た。このように、乾燥ゲル層全体に補強材を層を形成す
ることによって乾燥ゲル複合体の強度が向上した。
てレゾルシノール、ホルムアルデヒドを用い、これと補
強材としてウレタン連通フォームを用いて、図2に示す
ように乾燥ゲル層全体とその上部に補強材層を形成し
た。連通ウレタンフォームとして密度が40kg/
m3、厚さが8mmのものを用い、ゲル原料とゲル化触
媒との混合液に浸積させるときに、前記混合液下部まで
浸積させてゲル化を完了させた。その他は、実施例1と
同様に乾燥ゲル複合体を作製した。本実施例の乾燥ゲル
複合体の平均密度は、115kg/m3であった。ま
た、本実施例の乾燥ゲル複合体は、端部を手で持って移
動させてもゲルの欠落は生じなかったが、実施例1のゲ
ルでは、端部を手で持って移動を繰り返すうちに補強材
層が形成されていない乾燥ゲル下部でゲルの欠落が生じ
た。このように、乾燥ゲル層全体に補強材を層を形成す
ることによって乾燥ゲル複合体の強度が向上した。
【0057】《実施例3および比較例2》本実施例で
は、ゲル原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒド
を用い、これと補強材としてウレタン連通フォームを用
いて、乾燥ゲル層と同じ位置に補強材層を形成した。そ
の際、補強材層中の補強材密度を、表面で高くした。補
強材層を形成するために、密度20kg/m3、厚さ4
mmの連通ウレタンフォームを下部に置き、さらにその
上に密度120kg/m3、厚さ1mmの連通ウレタン
フォームを置いて、これらのフォームを丁度浸すよう
に、実施例1のゲル原料とゲル化触媒との混合液を加
え、後は実施例1と同様にして乾燥ゲル複合体を作製し
た(実施例3)。比較のために、補強材層を形成するた
めに、密度40g/cm3、厚さ5mmの連通ウレタン
フォームを用いた他は、実施例と同様にして乾燥ゲル複
合体を形成した(比較例2)。
は、ゲル原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒド
を用い、これと補強材としてウレタン連通フォームを用
いて、乾燥ゲル層と同じ位置に補強材層を形成した。そ
の際、補強材層中の補強材密度を、表面で高くした。補
強材層を形成するために、密度20kg/m3、厚さ4
mmの連通ウレタンフォームを下部に置き、さらにその
上に密度120kg/m3、厚さ1mmの連通ウレタン
フォームを置いて、これらのフォームを丁度浸すよう
に、実施例1のゲル原料とゲル化触媒との混合液を加
え、後は実施例1と同様にして乾燥ゲル複合体を作製し
た(実施例3)。比較のために、補強材層を形成するた
めに、密度40g/cm3、厚さ5mmの連通ウレタン
フォームを用いた他は、実施例と同様にして乾燥ゲル複
合体を形成した(比較例2)。
【0058】得られた乾燥ゲル複合体の平均密度、熱伝
導率は、実施例が160kg/m3、0.0175W/
mK、比較例が160kg/m3、0.0190W/m
Kであった。また、乾燥ゲル複合体の上部表面同士を擦
りあわせたところ、比較例の方が先に表面からゲルの欠
落が生じた。尚、実施例、比較例共に端部を手でもって
移動させることによりゲルの欠落は生じなかった。この
ように、同じ重量の補強材を用いる場合、表面の密度を
高くした方が、表面強度が高くなり、熱伝導率も低くな
ることがわかった。
導率は、実施例が160kg/m3、0.0175W/
mK、比較例が160kg/m3、0.0190W/m
Kであった。また、乾燥ゲル複合体の上部表面同士を擦
りあわせたところ、比較例の方が先に表面からゲルの欠
落が生じた。尚、実施例、比較例共に端部を手でもって
移動させることによりゲルの欠落は生じなかった。この
ように、同じ重量の補強材を用いる場合、表面の密度を
高くした方が、表面強度が高くなり、熱伝導率も低くな
ることがわかった。
【0059】《実施例4》本実施例では、ゲル原料とし
てテトラメトキシシラン、補強材としてグラスウールを
用いて、図2に示すように乾燥ゲル層全体とその上部に
補強材層を形成した。また、保護膜を有する乾燥ゲル複
合体も作製した。テトラメトキシシラン/エタノール/
水=1:5:4(モル比)となるように混合して、厚さ
6mm、密度10kg/m3のグラスウールの上に注い
だ後に、ゲル化を完了させた。水はゲル化触媒としての
0.1Nアンモニア水の形で用いた。さらに、湿潤ゲル
内の溶媒を無水エタノールで置換した後、ヘキサンに置
換した。引き続き、ヘキサンをトリメチルクロロシラン
の6%ヘキサン溶液と置換して、45℃の雰囲気に24
時間置くことにより、疎水化処理を行った。疎水化処理
後、湿潤ゲル内の溶媒を純粋なヘキサンで置換し、後は
実施例1と同様にして超臨界乾燥を行った。このとき、
補強材層の表面近傍約0.5mmには乾燥ゲル層が形成
されていない部分が確認された。
てテトラメトキシシラン、補強材としてグラスウールを
用いて、図2に示すように乾燥ゲル層全体とその上部に
補強材層を形成した。また、保護膜を有する乾燥ゲル複
合体も作製した。テトラメトキシシラン/エタノール/
水=1:5:4(モル比)となるように混合して、厚さ
6mm、密度10kg/m3のグラスウールの上に注い
だ後に、ゲル化を完了させた。水はゲル化触媒としての
0.1Nアンモニア水の形で用いた。さらに、湿潤ゲル
内の溶媒を無水エタノールで置換した後、ヘキサンに置
換した。引き続き、ヘキサンをトリメチルクロロシラン
の6%ヘキサン溶液と置換して、45℃の雰囲気に24
時間置くことにより、疎水化処理を行った。疎水化処理
後、湿潤ゲル内の溶媒を純粋なヘキサンで置換し、後は
実施例1と同様にして超臨界乾燥を行った。このとき、
補強材層の表面近傍約0.5mmには乾燥ゲル層が形成
されていない部分が確認された。
【0060】上記の操作で2枚の乾燥ゲル複合体を作製
し、そのうち1枚は、表面にポリビニルアルコールの5
%水溶液を塗布し乾燥することで保護膜を形成した。得
られた乾燥ゲル複合体の密度は共に140kg/m3で
あった。また、乾燥ゲル複合体は、共に表面を手で擦っ
てもゲルの欠落は生じず、端部を手でもって移動させて
も割れは生じなかった。しかし、二つの乾燥ゲル複合体
の上部表面同士を擦りあわせ続けた場合、保護膜を有し
ない方が先にゲルの欠落を生じた。このように、アルコ
キシシランを原料に用い、グラスウールを補強材用いた
場合も、原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒド
を用い、補強材として連通ウレタンフォームを用いた場
合と同様に乾燥ゲル複合体の強度を確保することができ
た。また、保護膜を形成するとことによりさらに高い強
度を確保することができた。
し、そのうち1枚は、表面にポリビニルアルコールの5
%水溶液を塗布し乾燥することで保護膜を形成した。得
られた乾燥ゲル複合体の密度は共に140kg/m3で
あった。また、乾燥ゲル複合体は、共に表面を手で擦っ
てもゲルの欠落は生じず、端部を手でもって移動させて
も割れは生じなかった。しかし、二つの乾燥ゲル複合体
の上部表面同士を擦りあわせ続けた場合、保護膜を有し
ない方が先にゲルの欠落を生じた。このように、アルコ
キシシランを原料に用い、グラスウールを補強材用いた
場合も、原料としてレゾルシノール、ホルムアルデヒド
を用い、補強材として連通ウレタンフォームを用いた場
合と同様に乾燥ゲル複合体の強度を確保することができ
た。また、保護膜を形成するとことによりさらに高い強
度を確保することができた。
【0061】《実施例5》本実施例では、二つの乾燥ゲ
ル複合体から、補強材層で接着された乾燥ゲル複合体接
着ブロックを作製した。実施例4で作製した保護膜を有
しない乾燥ゲル複合体を2枚作製し、一方の補強材層に
エポキシ系接着剤ボンドクイック5(コニシ(株)製)
を塗布して、これに別の乾燥ゲル複合体の補強材層を接
着することで乾燥ゲル複合体接着ブロックを作製した。
このように容易に厚さの厚い、乾燥ゲル複合体を得るこ
とが可能となった。
ル複合体から、補強材層で接着された乾燥ゲル複合体接
着ブロックを作製した。実施例4で作製した保護膜を有
しない乾燥ゲル複合体を2枚作製し、一方の補強材層に
エポキシ系接着剤ボンドクイック5(コニシ(株)製)
を塗布して、これに別の乾燥ゲル複合体の補強材層を接
着することで乾燥ゲル複合体接着ブロックを作製した。
このように容易に厚さの厚い、乾燥ゲル複合体を得るこ
とが可能となった。
【0062】《実施例6および比較例3、比較例4》本
実施例では、ゲル原料としてテトラメトキシシラン、補
強材としてグラスウールを用いて、図1に示すように乾
燥ゲル層全体とその上部に補強材層を形成した。その
際、ゲル原料を補強材と共存させた後にゲル化触媒を添
加してゲル化を進行させた。また、乾燥は、加圧気体を
流通させることで、ゲルが保持する溶媒の蒸気圧以上の
圧力で行った。まず、テトラメトキシシラン/エタノー
ル=1:3.5(モル比)となるように混合して、厚さ
6mm、密度10kg/m3のグラスウールの上に注い
だ後に、テトラメトキシシラン1モルに対して、水を4
モルの割合で添加してゲル化を完了させた。ゲル原料と
ゲル化触媒の量は、それらの混合液量の深さが5mmに
なるように調整した。水はゲル化触媒としての0.1N
アンモニア水の形で用いた。引き続き、実施例4と同様
に疎水化処理を行い、その後、加圧窒素を流通し内圧2
気圧、温度を80℃に調整した乾燥容器に入れて乾燥を
行った(実施例6)。
実施例では、ゲル原料としてテトラメトキシシラン、補
強材としてグラスウールを用いて、図1に示すように乾
燥ゲル層全体とその上部に補強材層を形成した。その
際、ゲル原料を補強材と共存させた後にゲル化触媒を添
加してゲル化を進行させた。また、乾燥は、加圧気体を
流通させることで、ゲルが保持する溶媒の蒸気圧以上の
圧力で行った。まず、テトラメトキシシラン/エタノー
ル=1:3.5(モル比)となるように混合して、厚さ
6mm、密度10kg/m3のグラスウールの上に注い
だ後に、テトラメトキシシラン1モルに対して、水を4
モルの割合で添加してゲル化を完了させた。ゲル原料と
ゲル化触媒の量は、それらの混合液量の深さが5mmに
なるように調整した。水はゲル化触媒としての0.1N
アンモニア水の形で用いた。引き続き、実施例4と同様
に疎水化処理を行い、その後、加圧窒素を流通し内圧2
気圧、温度を80℃に調整した乾燥容器に入れて乾燥を
行った(実施例6)。
【0063】比較のために、テトラメトキシシラン/エ
タノール/水=1:3.5:4(モル比)を混合した後
に、実施例と同じグラスウールの上に上記混合液を注い
だ。水はゲル化触媒としての0.1Nアンモニア水の形
で用いた。ゲル化が2分以内に完了したために、前記混
合液をグラスウールに完全に含浸させることができなか
った(比較例3)。また、比較のために、乾燥時に乾燥
容器内に窒素を流通させて1気圧、80℃に調整した乾燥
容器内にて乾燥を行ったが、乾燥後、一部ゲルが欠落し
た部分が見い出された(比較例4)。本実施例の乾燥ゲ
ル複合体の平均密度は、230kg/m3であり、端部
を手で持って移動させてもゲルの欠落は起こらなかっ
た。また、比較例3との比較から、ゲル化が速い場合
は、補強材をゲル原料に充分に含浸させた後に、ゲル化
触媒を加えてゲル化させることが有効であることがわか
った。また、1気圧に近い雰囲気で乾燥させる場合に比
較して、加圧雰囲気で乾燥させた場合に、ゲルの欠落が
抑制されたのは、溶媒が大気圧の沸点に達しても、雰囲
気圧が高いためにゲルの欠落につながりやすい沸騰が起
こらなかったためと考えられる。
タノール/水=1:3.5:4(モル比)を混合した後
に、実施例と同じグラスウールの上に上記混合液を注い
だ。水はゲル化触媒としての0.1Nアンモニア水の形
で用いた。ゲル化が2分以内に完了したために、前記混
合液をグラスウールに完全に含浸させることができなか
った(比較例3)。また、比較のために、乾燥時に乾燥
容器内に窒素を流通させて1気圧、80℃に調整した乾燥
容器内にて乾燥を行ったが、乾燥後、一部ゲルが欠落し
た部分が見い出された(比較例4)。本実施例の乾燥ゲ
ル複合体の平均密度は、230kg/m3であり、端部
を手で持って移動させてもゲルの欠落は起こらなかっ
た。また、比較例3との比較から、ゲル化が速い場合
は、補強材をゲル原料に充分に含浸させた後に、ゲル化
触媒を加えてゲル化させることが有効であることがわか
った。また、1気圧に近い雰囲気で乾燥させる場合に比
較して、加圧雰囲気で乾燥させた場合に、ゲルの欠落が
抑制されたのは、溶媒が大気圧の沸点に達しても、雰囲
気圧が高いためにゲルの欠落につながりやすい沸騰が起
こらなかったためと考えられる。
【0064】《実施例7および比較例5》本実施例で
は、ゲル原料として水ガラスから電気透析により得たケ
イ酸水溶液を用いたて、乾燥ゲル複合体を作製した。イ
オン交換膜の電気透析装置にケイ酸ナトリウム(Na2
0:SiO2=1:3(モル比))からなる水ガラス溶
液を通過させて、pH10.2、ケイ酸濃度14重量
%、Na2O濃度0.6重量%以下のケイ酸水溶液を得
た。このケイ酸水溶液を硫酸によってpH5.8に調整
し、その混合液を、密度20kg/m3、厚さ6mmの
グラスウールの、厚さ5mmの部分まで含浸されるよう
に注いだ。さらに溶媒置換工程において、水性ゲル中に
少量存在する硫酸ナトリウムを除去するために、水で洗
浄を行った。その後、実施例4と同様にして疎水化処理
を行い、実施例6と同様にして乾燥を行った(実施例
7)。
は、ゲル原料として水ガラスから電気透析により得たケ
イ酸水溶液を用いたて、乾燥ゲル複合体を作製した。イ
オン交換膜の電気透析装置にケイ酸ナトリウム(Na2
0:SiO2=1:3(モル比))からなる水ガラス溶
液を通過させて、pH10.2、ケイ酸濃度14重量
%、Na2O濃度0.6重量%以下のケイ酸水溶液を得
た。このケイ酸水溶液を硫酸によってpH5.8に調整
し、その混合液を、密度20kg/m3、厚さ6mmの
グラスウールの、厚さ5mmの部分まで含浸されるよう
に注いだ。さらに溶媒置換工程において、水性ゲル中に
少量存在する硫酸ナトリウムを除去するために、水で洗
浄を行った。その後、実施例4と同様にして疎水化処理
を行い、実施例6と同様にして乾燥を行った(実施例
7)。
【0065】比較のために、水ガラスをイオン交換樹脂
を通すことで得られたケイ酸溶液を用いて乾燥ゲル複合
体の作製を検討した。具体的には、Na20:SiO2=
1:3(モル比)の水ガラスをSiO2濃度が10重量
%になるように水で薄めて、これを強酸型の陽イオン交
換樹脂(スチレンジビニルベンゼン共重合体)を通し
て、pHを2.3とし、さらにアンモニア水を加えるこ
とによってpHを7とした。これを、上記のグラスウー
ルに含浸させようとしたが、粘度が高いために、うまく
含浸できなかった(比較例5)。本実施例で得られた乾
燥ゲル複合体の平均密度は、200kg/m3であった。
また、端部を手で持って移動させてもゲルの欠落は生じ
なかった。このように、粘度の高い水ガラスに比較し
て、水ガラスより電気透析を用いて得られたケイ酸水溶
液を用いれば、補強材へのゲル原料の含浸が改善され、
良好な乾燥ゲル複合体が得られることがわかった。
を通すことで得られたケイ酸溶液を用いて乾燥ゲル複合
体の作製を検討した。具体的には、Na20:SiO2=
1:3(モル比)の水ガラスをSiO2濃度が10重量
%になるように水で薄めて、これを強酸型の陽イオン交
換樹脂(スチレンジビニルベンゼン共重合体)を通し
て、pHを2.3とし、さらにアンモニア水を加えるこ
とによってpHを7とした。これを、上記のグラスウー
ルに含浸させようとしたが、粘度が高いために、うまく
含浸できなかった(比較例5)。本実施例で得られた乾
燥ゲル複合体の平均密度は、200kg/m3であった。
また、端部を手で持って移動させてもゲルの欠落は生じ
なかった。このように、粘度の高い水ガラスに比較し
て、水ガラスより電気透析を用いて得られたケイ酸水溶
液を用いれば、補強材へのゲル原料の含浸が改善され、
良好な乾燥ゲル複合体が得られることがわかった。
【0066】
【発明の効果】本発明の乾燥ゲル複合体は、少なくとも
表面に補強材層を有することが特徴であり、このことに
より表面の強度が向上する効果がある。本発明の、乾燥
ゲル複合体接着ブロックは、複数の乾燥ゲル複合体が、
補強材層を介して接着されて構成されるという特徴を有
している。このために、大きな乾燥ゲル複合体が容易に
得られるという効果がある。また、本発明の乾燥ゲル複
合体の製造方法は、ゲル原料と補強材とを共存させてか
ら、ゲル触媒を添加することが特徴である。このことに
より、ゲル原料の粘度が高いもの、ゲル化時間が短いも
のに関しても、補強材へのとゲル原料への含浸が容易に
なり、良好な乾燥ゲル複合体が得られる効果がある。
表面に補強材層を有することが特徴であり、このことに
より表面の強度が向上する効果がある。本発明の、乾燥
ゲル複合体接着ブロックは、複数の乾燥ゲル複合体が、
補強材層を介して接着されて構成されるという特徴を有
している。このために、大きな乾燥ゲル複合体が容易に
得られるという効果がある。また、本発明の乾燥ゲル複
合体の製造方法は、ゲル原料と補強材とを共存させてか
ら、ゲル触媒を添加することが特徴である。このことに
より、ゲル原料の粘度が高いもの、ゲル化時間が短いも
のに関しても、補強材へのとゲル原料への含浸が容易に
なり、良好な乾燥ゲル複合体が得られる効果がある。
【図1】本発明の乾燥ゲル複合体の構成を示す図であ
る。
る。
【図2】本発明の乾燥ゲル複合体の構成を示す図であ
る。
る。
【図3】本発明の乾燥ゲル複合体の構成を示す図であ
る。
る。
【図4】本発明の乾燥ゲル複合体の構成を示す図であ
る。
る。
【図5】本発明の乾燥ゲル複合体接着ブロックの構成を
示す図である。
示す図である。
1 乾燥ゲル複合体 2 補強材層 3 乾燥ゲル層 4 保護膜 5 乾燥ゲル複合体接着ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA01 AA06 AB02 AB05 AB06 AB09 AD13 AD21 AD43 AL12 AL17 4F100 AG00B AG00C AK33A AK51B AK51C BA03 BA07 BA10A BA10C BA43B BA43C DG06B DG06C DH00B DH00C DJ00A DJ00B DJ03B DJ03C GB07 JA13 JH01 JJ02 JJ02B JJ02C JK11B JK11C 4J002 CC031 CC181 CF002 CK021 CL002 CL062 DL006 FA042 FA046 FD012 FD016 GF00 GL00
Claims (19)
- 【請求項1】 乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥ゲ
ル層の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が5
0〜300kg/m3であることを特徴とする乾燥ゲル複
合体。 - 【請求項2】 乾燥ゲル層が前記補強材層内の少なくと
も一部に形成されていることを特徴とする請求項1記載
の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項3】 前記補強材層が緩衝作用を有することを
特徴とする請求項1または2記載の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項4】 前記補強材層が、連続気泡を有する断熱
性のフォームまたは断熱性の繊維集合体を含む補強材か
らなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項5】 前記繊維集合体がグラスウールであるこ
とを特徴とする請求項4記載の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項6】 前記補強材層内が深さ方向に密度分布を
有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項7】 表面が、内部の密度より高い密度部分を
有することを特徴とする請求項6記載の乾燥ゲル複合
体。 - 【請求項8】 前記補強材層が前記乾燥ゲル層に侵入し
ていることを特徴とする請求項7記載の乾燥ゲル複合
体。 - 【請求項9】 前記補強材層の表面に、前記補強材と接
着した保護膜を有することを特徴とする請求項1〜8の
いずれかに記載の乾燥ゲル複合体。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の乾燥
ゲル複合体複数個が、それぞれの乾燥ゲル複合体の表面
の補強材層同士で接着されて形成されたことを特徴とす
る乾燥ゲル複合体接着ブロック。 - 【請求項11】 乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥
ゲル層の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が
50〜300kg/m3であることを特徴とする乾燥ゲル
複合体の製造方法であって、(a1)ゲル原料にゲル化
触媒を添加して混合物を得る工程、(b1)前記混合物
を前記補強材層を構成する補強材と共存させた後にゲル
化を完了させ、湿潤ゲル複合体を形成する工程、および
(c1)前記湿潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除
去して乾燥ゲル複合体を得る工程を、工程(a1)〜
(c1)の順に含むことを特徴とする乾燥ゲル複合体の
製造方法。 - 【請求項12】 工程(b1)の後、非水溶媒中で疎水
化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表面に疎水
化処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項11記
載の乾燥ゲル複合体の製造方法。 - 【請求項13】 前記工程(b1)において、前記混合
物を補強材と共存させる際に、前記補強材が占める空間
を減圧状態とし、減圧された空間に前記混合物を注入す
ることを特徴とする請求項11または12記載の乾燥ゲ
ル複合体の製造方法。 - 【請求項14】 乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥
ゲル層の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が
50〜300kg/m3であることを特徴とする乾燥ゲル
複合体の製造方法であって、(a2)ゲル原料と補強材
とを共存させる工程、(b2)工程(a2)に引き続
き、ゲル化触媒を加えることにより、ゲル化を進行させ
湿潤ゲル複合体を形成する工程、および(c2)前記湿
潤ゲル複合体からゲル中の非水溶媒を除去して乾燥ゲル
複合体を得る乾燥工程を、工程(a2)〜(c2)の順
に含むことを特徴とする乾燥ゲル複合体の製造方法。 - 【請求項15】 工程(b2)の後、非水溶媒中で疎水
化剤によって、前記湿潤ゲル複合体中のゲル表面に疎水
化処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項14記
載の製造方法。 - 【請求項16】 前記ゲル原料として、水ガラスから電
気透析によって得られたケイ酸水溶液を用いることを特
徴とする請求項11または14記載の乾燥ゲル複合体の
製造方法。 - 【請求項17】 乾燥工程(d)において、流通させる
気体の圧力を調製することで、前記湿潤ゲル複合体中の
非水溶媒の蒸気圧よりも高い圧力で乾燥を行うことを特
徴とする請求項11または14記載の乾燥ゲル複合体の
製造方法。 - 【請求項18】 乾燥ゲル層および少なくとも前記乾燥
ゲル層の表面に存在する補強材層からなり、平均密度が
50〜300kg/m3である乾燥ゲル複合体複数個が、
それぞれの乾燥ゲル複合体の表面の補強材層同士で接着
されて形成された乾燥ゲル複合体接着ブロックの製造方
法であって、 前記乾燥ゲル複合体それぞれの補強材層中の補強材同士
を接着することを特徴とする製造方法。 - 【請求項19】 前記補強材同士を接着剤を用いて接着
することを特徴とする請求項18記載の乾燥ゲル複合体
接着ブロックの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001083672A JP2002283488A (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 乾燥ゲル複合体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001083672A JP2002283488A (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 乾燥ゲル複合体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002283488A true JP2002283488A (ja) | 2002-10-03 |
Family
ID=18939455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001083672A Pending JP2002283488A (ja) | 2001-03-22 | 2001-03-22 | 乾燥ゲル複合体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002283488A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015533384A (ja) * | 2012-10-17 | 2015-11-24 | ハッチンソンHutchinson | 有機モノリスゲル用の断熱性組成物、その使用およびそれを調製する方法 |
JP2017509743A (ja) * | 2014-02-12 | 2017-04-06 | ユッチンソン | 可撓性複合エアロゲル、およびその製造プロセス |
JP2017144640A (ja) * | 2016-02-18 | 2017-08-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 断熱材及びその製造方法 |
JPWO2016121757A1 (ja) * | 2015-01-27 | 2017-08-31 | 日立化成株式会社 | エアロゲル積層体及び断熱材 |
-
2001
- 2001-03-22 JP JP2001083672A patent/JP2002283488A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015533384A (ja) * | 2012-10-17 | 2015-11-24 | ハッチンソンHutchinson | 有機モノリスゲル用の断熱性組成物、その使用およびそれを調製する方法 |
JP2017509743A (ja) * | 2014-02-12 | 2017-04-06 | ユッチンソン | 可撓性複合エアロゲル、およびその製造プロセス |
JPWO2016121757A1 (ja) * | 2015-01-27 | 2017-08-31 | 日立化成株式会社 | エアロゲル積層体及び断熱材 |
JP2017144640A (ja) * | 2016-02-18 | 2017-08-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 断熱材及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7488877B2 (ja) | 補強されたエーロゲル複合物を含む改善された積層体 | |
CN105008786B (zh) | 使用气凝胶的绝热结构体 | |
KR101654795B1 (ko) | 고단열 에어로겔 함침 매트의 제조 방법 | |
CN109403022B (zh) | 具有亲水性或疏水性的气凝胶/非织物复合材料的制备方法及其产品 | |
KR102475767B1 (ko) | 에어로겔 블랭킷의 제조방법 | |
RU2146661C1 (ru) | Способ получения упрочненных волокнами ксерогелей и их применение | |
EP3000931B1 (en) | Heat insulation sheet and method of producing the same | |
CN107735385A (zh) | 低粉尘和高绝热的气凝胶毡的制备方法 | |
CN113382962B (zh) | 二氧化硅溶胶、使用它制造的二氧化硅气凝胶毡和制造二氧化硅气凝胶毡的方法 | |
KR102574283B1 (ko) | 에어로겔 블랭킷 | |
US20160003402A1 (en) | Heat-insulating molded article and production method for same | |
JP2014502305A (ja) | ポリウレタン複合材料 | |
JP2014035041A (ja) | エアロゲル粒子を用いた断熱材 | |
KR102559049B1 (ko) | 실리카 에어로겔 블랭킷의 제조방법 | |
KR20210038232A (ko) | 에어로겔 블랭킷의 제조방법 | |
JP2002283488A (ja) | 乾燥ゲル複合体およびその製造方法 | |
EP1103524A2 (en) | Method of drying wet silica gel | |
Nakanishi | Properties and applications of sol–gel materials: functionalized porous amorphous solids (monoliths) | |
KR20180078015A (ko) | 실리카 기공 구조체 및 그 제조 방법 | |
JP2002362983A (ja) | 乾燥ゲル複合体とそれを用いた断熱材 | |
JP2007182490A (ja) | 多孔質構造体を含有する樹脂組成物 | |
US12162766B1 (en) | Aerogel composite | |
JP2004131343A (ja) | 乾燥ゲルからなる多孔体の製造方法およびそれにより得られる多孔体 | |
EP4360870B1 (en) | Composite insulating material comprising super absorbent polymer layer | |
KR102816258B1 (ko) | 실리카 에어로겔 및 실리카 에어로겔 블랭킷의 제조 방법 |