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JP2002222961A - 真空容器の製造方法 - Google Patents

真空容器の製造方法

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Publication number
JP2002222961A
JP2002222961A JP2001015876A JP2001015876A JP2002222961A JP 2002222961 A JP2002222961 A JP 2002222961A JP 2001015876 A JP2001015876 A JP 2001015876A JP 2001015876 A JP2001015876 A JP 2001015876A JP 2002222961 A JP2002222961 A JP 2002222961A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor substrate
vacuum
atoms
bonded
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001015876A
Other languages
English (en)
Inventor
Teruhisa Shibahara
輝久 柴原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2001015876A priority Critical patent/JP2002222961A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空容器1の真空空間6の真空度を向上させ
る。 【解決手段】 基台2の上側に半導体基板3を結合し、
半導体基板3を薄肉化処理し、その後に、半導体基板3
を加工する。然る後に、基台2と半導体基板3の接合体
を弗化水素と塩化銅の混合水溶液に浸漬する。半導体基
板3の表面に結合していた酸素原子等の非金属原子が弗
化水素によって除去されて半導体基板3の表面が露出
し、該露出した半導体基板3の表面と上記混合水溶液中
の銅原子とが結合する。その銅原子が結合した半導体基
板3の上側に蓋部材4を陽極接合する。この際、陽極接
合部から不要なガスの発生が非常に小さく抑制されて真
空空間6を真空度が良好な状態で気密封止することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陽極接合を利用し
て作製される真空容器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3には真空容器の一例が断面図により
模式的に示されている。この図3に示す真空容器1は、
基台(例えば、ガラス基板)2と、シリコン等の半導体
基板3と、蓋部材(例えばガラス基板)4とを有して構
成されている。上記基台2と半導体基板3と蓋部材4は
順に積層して積層体5を形成し、上記基台2と蓋部材4
にはそれぞれ半導体基板3を介して対向し合う部位に凹
部2a,4aが形成されており、それら凹部2a,4a
によって上記積層体5の内部には真空空間6が形成され
ている。
【0003】上記真空空間6の内部には、例えば、上記
半導体基板3を加工して形成された振動体7が収容され
る。その振動体7は、上記真空空間6内に収容配設され
ることにより、空気のダンピングを受けずに、良好に振
動することができることとなる。
【0004】図4には振動体が加工形成された半導体基
板3の一例が基台2と共に斜視図により示されている。
図4に示す半導体基板3はエッチング等の技術を利用し
て加工され、該半導体基板3には、上記振動体7を含む
センサ部8と、該センサ部8を囲むシール部9とが形成
されている。上記シール部9は、前記基台2と蓋部材4
によって図に示す上下両側から挟み込まれ当該基台2お
よび蓋部材4と陽極接合して、上記センサ部8を収容す
るための真空空間6を封止する部位である。
【0005】上記センサ部8は角速度センサを構成する
ものであり、四角形状の振動体7と、振動体支持固定部
10(10a,10b,10c,10d)と、電極支持
固定部11(11a,11b)と、検出用電極パット形
成部12と、梁13(13a,13b,13c,13
d)と、櫛歯形状の可動電極部14(14a,14b)
と、櫛歯形状の固定電極部15(15a,15b)とを
有して構成されている。
【0006】上記振動体支持固定部10(10a,10
b,10c,10d)と電極支持固定部11(11a,
11b)と検出用電極パット形成部12は前記基台2お
よび蓋部材4に陽極接合されて固定される。上記振動体
7は梁13(13a,13b,13c,13d)によっ
て前記振動体支持固定部10(10a,10b,10
c,10d)にそれぞれ連通接続されている。また、上
記振動体7の端縁部から上記櫛歯形状の可動電極部14
(14a,14b)が図4のX方向に沿って突出形成さ
れており、この可動電極部14と間隔を介して噛み合う
ように櫛歯形状の固定電極部15(15a,15b)が
電極支持固定部11(11a,11b)から上記X方向
に沿って伸長形成されている。
【0007】上記基台2と蓋部材4には、それぞれ、上
記振動体7と梁13(13a,13b,13c,13
d)と可動電極部14(14a,14b)の全てに対向
する部位に図3に示すような凹部2a,4aが形成され
ている。これら凹部2a,4aによって、前記振動体7
と梁13(13a,13b,13c,13d)と可動電
極部14(14a,14b)は基台2、蓋部材4に対し
て浮いた状態と成し、可動可能となっている。
【0008】上記振動体支持固定部10(10a,10
b,10c,10d)と電極支持固定部11(11a,
11b)と検出用電極パット形成部12の各上面には金
属膜である電極パット(図示せず)がそれぞれ形成され
る。上記蓋部材4には上記各電極パットに対向する部位
に貫通孔がそれぞれ形成され、これにより、上記各電極
パットは外部に露出した状態となり、ワイヤーボンディ
ング等によって、外部の回路と導通接続することができ
る。
【0009】上記基台2の凹部2aの底面には上記振動
体7と間隔を介して対向する部位に検出用電極部(図示
せず)が形成される。また、基台2にはその検出用電極
部と検出用電極パット形成部12を導通接続させるため
の配線パターン16が形成される。
【0010】図4に示すセンサ部8では、例えば、外部
の回路から上記固定電極部15a,15bにそれぞれ駆
動用の交流電圧が印加されると、固定電極部15aと可
動電極部14a間、固定電極部15bと可動電極部14
b間に生じる静電力が上記交流電圧に応じて変化して上
記振動体7は図4に示すX方向に駆動振動を行う。この
ように振動体7が駆動振動している状態で、Y軸回りに
回転すると、Z方向のコリオリ力が発生する。このコリ
オリ力が上記振動体7に加えられて該振動体7はZ方向
に検出振動する。
【0011】この振動体7のZ方向の振動によって、該
振動体7と上記検出用電極部間の間隔が変化して当該振
動体7と検出用電極部間の静電容量が変化する。この静
電容量の変化を上記検出用電極部から配線パターン16
と前記電極パットを介して外部に取り出し、この検出値
に基づいて、前記Y軸回りの回転の角速度の大きさ等を
検出することができる。
【0012】以下に、上記図4に示すような振動体7
(センサ部8)を収容した真空容器1の製造工程の一例
を図5に基づいて簡単に説明する。なお、図5では図4
に示すA−A部分に対応する部位が示されている。
【0013】図5(a)に示すように、基台2に凹部2
aを形成し、次に、図5(b)に示すように、その凹部
2aの開口部を塞ぐように上記基台2の上側に半導体基
板3を配置して、それら基台2と半導体基板3を陽極接
合する。そして、図5(c)に示すように、上記半導体
基板3を例えば平面研削によって設定の厚みに薄肉化
し、その後に、その半導体基板3の上面を鏡面研磨す
る。
【0014】然る後に、図5(d)に示すように、エッ
チングやフォトリソグラフィー等の技術を利用して上記
半導体基板3を前記図4に示すようなパターン形状に加
工する。
【0015】その後に、予め凹部4aや複数の貫通孔1
8が形成された蓋部材4を上記半導体基板3の上側に配
置する。この際、上記凹部4aが上記振動体7と間隔を
介して対向し、かつ、上記複数の貫通孔18がそれぞれ
対応する前記振動体支持固定部10(10a,10b,
10c,10d)や電極支持固定部11(11a,11
b)や検出用電極パット形成部12の上面に形成された
電極パットの形成位置と一致するように、上記蓋部材4
を半導体基板3の上側に位置合わせして配置する。そし
て、真空排気が行われている真空室内で、上記半導体基
板3と蓋部材4を陽極接合し、上記基台2と半導体基板
3と蓋部材4によって真空空間6を形成して該真空空間
6を気密封止する。
【0016】このようにして、真空容器1を作製するこ
とができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな真空容器1の製造工程において、半導体基板3の上
側に蓋部材4を陽極接合する際に、その半導体基板3と
蓋部材4の陽極接合部から不要なガスが発生し、そのガ
スが上記真空空間6内に流入してしまうために、上記真
空空間6内の真空状態を悪化させてしまうという問題が
ある。
【0018】また、上記不要なガスの発生量にはばらつ
きがあるために、上記真空空間6の真空度が各真空容器
1毎に異なり、例えば、真空容器1の真空空間6内に上
記図4に示すような角速度センサを構成する振動体7が
収容される場合には、その振動体7の振動状態が各真空
容器1毎にばらついて角速度センサの性能にばらつきが
生じる等の製品性能のばらつき問題が発生してしまう。
【0019】このような問題を解消するために、例え
ば、ガス吸着物質を上記振動体7と共に上記真空空間6
内に収容し、上記ガス吸着物質に上記不要なガスを吸着
させて上記真空空間6の真空度悪化や真空度ばらつきを
回避する手法が提案されている。しかしながら、上記ガ
ス吸着物質を各真空空間6毎に配置しなければならず、
手間と多くの時間を要するという問題が発生する。ま
た、上記ガス吸着物質を収容するために、上記真空空間
6を広くしなければならず、必然的に、真空容器1が大
型化してしまうという問題が発生する。
【0020】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的は、真空空間を所望の良好な真
空状態とすることが容易であり、かつ、小型な真空容器
を作製するための製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決す
る手段としている。すなわち、第1の発明は、基台の上
側に半導体基板が接合され、その半導体基板の上側に蓋
部材が陽極接合されて成る積層体の内部に真空空間が形
成されている形態の真空容器を製造する方法であって、
上記基台の上側に半導体基板を接合した後に、上記半導
体基板の表面に結合している非金属原子を除去して半導
体基板の表面を露出させ、この状態で、上記半導体基板
の表面と上記非金属原子との結合度よりも上記半導体基
板の表面との結合度が強い金属原子を上記露出している
半導体基板の表面に結合させ、然る後に、上記金属原子
が結合された半導体基板の上面に蓋部材を陽極接合する
ことを特徴として構成されている。
【0022】第2の発明は、上記第1の発明の構成を備
え、金属原子は銅原子であることを特徴として構成され
ている。
【0023】第3の発明は、上記第1又は第2の発明の
構成を備え、半導体基板の表面に結合している非金属原
子を除去するための除去用物質と、半導体基板表面との
結合用の金属原子とが含有されている溶液中に、基台と
半導体基板の接合体を浸漬させ、上記除去用物質によっ
て上記半導体基板の表面から非金属原子を除去する処理
と、その処理によって露出した半導体基板の表面に上記
金属原子を結合させる処理とを同一工程で行うことを特
徴として構成されている。
【0024】第4の発明は、上記第3の発明の構成を備
え、除去用物質は弗化水素であることを特徴として構成
されている。
【0025】上記構成の発明において、例えば、半導体
基板がシリコン基板である場合には、その半導体基板を
構成しているシリコン原子は酸素原子(非金属原子)と
非常に結合し易いために、特別な処理を施さなくとも、
半導体基板の表面のシリコン原子に酸素原子が結合して
半導体基板の上部は自然に酸化した状態となる。
【0026】この発明では、基台の上側に半導体基板を
接合した後には、半導体基板の表面に結合した上記酸素
原子等の非金属原子を除去して半導体基板の表面を露出
させる。そして、この状態で、例えば銅原子等の金属原
子を上記半導体基板の表面に結合させる。その後に、そ
の金属原子が結合された半導体基板の上面に蓋部材を陽
極接合する。つまり、表面に酸素原子等の非金属原子が
結合していない状態の半導体基板の上側に蓋部材を陽極
接合する。このようにして、真空容器を製造する。
【0027】このように作製された真空容器内の真空空
間の真空状態は、従来の製法によって作製された真空容
器の真空空間内の真空状態よりも格段に良好である。ま
た、この発明に示した製造方法によって真空容器を作製
することによって、前記ガス吸着物質を上記真空空間内
に収容することなく、真空空間を良好な真空状態とする
ことが可能であることから、上記ガス吸着物質を上記真
空空間に設けなくて済む分、真空容器の作製に掛かる手
間と時間を削減することができるし、また、真空容器の
小型化を図ることができる。なお、この明細書におい
て、原子とは、イオン化された原子を含むものとする。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る実施形態
例を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態例の
説明において、前記従来例と同一名称部分には同一符号
を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0029】この実施形態例では、上記図4に示すよう
な振動体7(センサ部8)を収容封止する真空容器1を
例にし、その真空容器1の製造工程例を説明する。この
実施形態例において特徴的なことは、基台2と半導体基
板3を接合した後に、その半導体基板3の表面から酸素
原子等の非金属原子を除去する処理を行い、該処理によ
って露出した半導体基板3の表面に銅原子を結合させて
から、その銅原子が結合した半導体基板3の上側に蓋部
材4を陽極接合することである。それ以外の構成は前記
従来例に示した真空容器の製造工程とほぼ同様である。
【0030】すなわち、この実施形態例では、まず、図
1(a)に示すように、基台2に凹部2aをサンドブラ
スト加工を利用して形成し、次に、図1(b)に示すよ
うに、基台2の上側に半導体基板3を陽極接合する。そ
して、図1(c)に示すように、上記半導体基板3を例
えば平面研削によって予め定めた厚みに薄肉化し、さら
に、その薄肉化した半導体基板3の表面を鏡面研磨す
る。その後に、図1(d)に示すように、エッチングや
フォトリソグラフィ等の技術を利用して、上記半導体基
板3を図4に示すようなパターン形状に加工する。
【0031】然る後に、設定温度(例えば約80℃)に
加熱された洗浄液(例えば、過酸化水素水を3wt%、ア
ンモニアを3wt%の割合で混合した水溶液)に、上記基
台2と半導体基板3の接合体を設定時間(例えば10分
間)浸漬する。次に、上記接合体を上記洗浄液から取り
出して、流水すすぎを設定時間(例えば約5分間)行
う。
【0032】その流水すすぎの後に引き続いて、弗化水
素と塩化銅の混合水溶液(例えば、弗化水素が1wt%、
かつ、塩化銅が0.3ppmである混合水溶液)に上記接
合体を設定時間(例えば10分間)浸漬する。
【0033】ところで、上記半導体基板3の表面の例え
ばシリコン原子は非金属原子である酸素原子と非常に結
合し易く、特別な処理を施さなくとも、上記半導体基板
3の表面には酸素原子が結合する。これにより、半導体
基板3の上部には図1(e)に示すように酸化層3aが
形成される。上記弗化水素は上記酸素原子等の非金属原
子を上記半導体基板3の上面から除去することができる
除去用物質であることから、上記したように、基台2と
半導体基板3の接合体を上記弗化水素と塩化銅の混合水
溶液に浸漬することにより、上記半導体基板3の表面に
自然に結合した酸素原子が半導体基板3の表面から除去
されて半導体基板3の表面が露出する。
【0034】なお、上記弗化水素と塩化銅の混合水溶液
に上記接合体を浸漬する前の状態では、半導体基板3の
表面には上記酸素原子だけでなく、僅かではあるが酸素
原子以外の例えば水素原子等の非金属原子をも結合して
いるが、上記混合水溶液中では、上記酸素原子と同様
に、それら水素原子等の非金属原子をも半導体基板3の
表面から除去される。
【0035】また、上記混合水溶液中の金属原子である
銅原子は上記半導体基板3の表面との結合度が上記半導
体基板3の表面と上記酸素原子等の非金属原子との結合
度よりも強いことから、上記の如く、基台2と半導体基
板3の接合体を上記弗化水素と塩化銅の混合水溶液に浸
漬することにより、その混合水溶液中の銅原子は上記露
出した半導体基板3の表面と結合して、図1(f)に示
すように、半導体基板3の上部には銅含有層20が形成
される。
【0036】この実施形態例では、上記のように、半導
体基板3の表面から上記酸素原子等の非金属原子を除去
して半導体基板3の表面を露出させる処理と、その露出
した半導体基板3の表面に銅原子を結合させる処理とを
同一工程で行う。
【0037】その後、上記混合水溶液から上記接合体を
取り出して流水すすぎを設定時間(例えば約5分間)行
い、例えばスピンドライヤーを利用して上記接合体を乾
燥させる。
【0038】然る後に、真空排気が成されている真空室
内で、上記銅原子が結合された半導体基板3の上側に蓋
部材4を陽極接合する。上記蓋部材4には、予め、図1
(g)に示すように、サンドブラスト加工によって凹部
4aが形成され、また、貫通孔18が形成されており、
従来例と同様に、上記凹部4aおよび貫通孔18の位置
合わせが成された状態で、上記のように、半導体基板3
と蓋部材4を陽極接合する。このようにして、真空容器
1を作製することができる。
【0039】この実施形態例によれば、基台2と半導体
基板3を接合した後に、その半導体基板3の表面に結合
している酸素原子等の非金属原子を除去して半導体基板
3の表面を露出させ、この状態で、その露出した半導体
基板3の表面に金属原子である銅原子を結合させてか
ら、上記半導体基板3の上側に蓋部材4を陽極接合す
る。これにより、上記基台2と半導体基板3と蓋部材4
から成る真空容器1内の真空空間6の真空度を、従来に
比べて、良好にすることができる。このことは本発明者
が行った実験によって確認されている。
【0040】その実験とは、上記実施形態例に示した製
造工程でもって複数の真空容器1を作製すると共に、従
来の製造工程でもって複数の真空容器1を作製し、それ
ら作製した各真空容器1の真空空間6内の真空度を調べ
て、各真空容器1を上記真空空間6の真空度に基づいて
分類した。図2(a)には、上記実施形態例に示した製
造工程で作製された複数の真空容器1を真空空間6の真
空度に基づいて分類した場合の真空容器1の真空度分布
状況が表されており、図2(b)には、従来の製造工程
で作製された複数の真空容器1を上記同様に真空空間6
の真空度に基づいて分類した場合の真空容器1の真空度
分布状況が表されている。
【0041】従来の製造工程で作製した場合には、図2
(b)に示されるように、各真空容器1の真空空間6の
真空度にはばらつきがあり、かつ、この実験結果では、
従来の製造工程で作製した複数の真空容器1のうちの約
40%のものにおいて、その真空空間6の真空度が64
0Pa以上であった。これに対して、上記実施形態例の製
造工程で作製した場合には、図2(a)に示されるよう
に、各真空容器1の真空空間6の真空度のばらつきは小
さく抑えられ、上記実施形態例で作製した全ての真空容
器1において、その真空空間6の真空度は320Pa以下
となっており、上記従来の製造工程で作製されたものと
比べると、上記真空空間6の真空度は格段に向上してい
ることが分かる。
【0042】上記実験結果からも明らかなように、この
実施形態例において示した製造工程によって真空容器1
を作製することで、従来に比べて、真空容器1の真空空
間6の真空度を格段に良好な状態とすることができる。
【0043】このように、この実施形態例に示す製造工
程によって、良好な結果を得ることができるのは、次に
示すような理由によるものと本発明者は考えている。例
えば、半導体基板3と蓋部材4を陽極接合する際に、そ
の半導体基板3と蓋部材4の陽極接合部から発生する不
要なガスは、上記半導体基板3の表面に自然に結合した
酸素原子や水素原子等の非金属原子のガスではないかと
推測されている。この実施形態例では、上記のように、
半導体基板3の表面から酸素原子や水素原子等の非金属
原子を除去して半導体基板3の表面を露出させ、その露
出した半導体基板3の表面に銅原子を結合させている。
その銅原子は、前記したように、半導体基板3の表面と
の結合度が、半導体基板3の表面と上記非金属原子との
結合度よりも強い。このために、上記のように半導体基
板3の表面に銅原子を結合させることによって、半導体
基板3の表面に酸素原子や水素原子等の非金属原子が結
合できない状態にすることができる。
【0044】そのように半導体基板3の表面の銅原子に
起因して半導体基板3の表面に上記非金属原子が結合し
ていない状態で、換言すれば、上記半導体基板3と蓋部
材4の陽極接合の際に発生する不要なガスの構成原子が
上記半導体基板3の表面に結合していない状態で、半導
体基板3と蓋部材4の陽極接合を行うことから、上記不
要ガスの発生を抑制することができて、上記真空空間6
の真空度を向上させることができるのではないかと本発
明者は考えている。
【0045】前記したように、この実施形態例に示す製
造工程で真空容器1を作製することによって、前記実験
結果で確認されているように真空空間6の真空状態を良
好な状態とすることが可能となる。このことから、図4
に示すような角速度センサの振動体7が真空空間6の内
部に収容される場合には、各真空容器1の振動体7の振
動状態がほぼ同様となり、角速度センサの感度ばらつき
を非常に小さく抑えることができて、角速度センサの性
能の信頼性を向上させることができる。
【0046】また、この実施形態例では、真空容器1の
真空空間6の内部に前記ガス吸着物質を配設せずに、真
空空間6の真空状態を良好にすることが可能であること
から、上記ガス吸着物質を設置する手間が不要となる
し、ガス吸着物質を設けなくて済む分、真空空間6を小
さくすることができて真空容器1の小型化を図ることが
容易となる。
【0047】さらに、この実施形態例では、半導体基板
3の表面から酸素原子等の非金属原子を除去して半導体
基板3の表面を露出させる処理と、その露出した半導体
基板3の表面に金属原子である銅原子を結合させる処理
とを同一工程で行うことから、上記各処理をそれぞれ別
々の工程で行う場合に比べて、製造工程の簡略化を図る
ことができる。
【0048】さらに、この実施形態例では、基台2と蓋
部材4の各凹部2a,4aをサンドブラスト加工により
形成していることから、次に示すような効果を得ること
ができる。例えば、前記振動体7の表裏両面は非常に平
滑な面であることから、上記基台2と蓋部材4の各凹部
2a,4aの底面をも平滑な面となっていると、真空容
器1が落下した等の原因によって上記振動体7が上記凹
部2aあるいは凹部4aの底面に接触した際に、その振
動体7が凹部2aあるいは凹部4aの底面に密着してし
まい、振動体7が可動できなくなり、例えば角速度セン
サが機能しなくなる等の事態が発生する。
【0049】また、上記凹部2a,4aの底面が平滑な
面であると、製造工程中にも、上記のような振動体7の
密着問題が発生する虞がある。例えば、上記図1(d)
に示すように、半導体基板3を加工して、浮いた状態の
振動体7を形成した後に、上記基台2と半導体基板3の
接合体の洗浄・乾燥が行われる。上記洗浄工程におい
て、上記振動体7と凹部2aの底面との間の隙間に液体
が入り込み、次の乾燥工程において、その液体が乾燥に
より蒸発していくに従い、その液体の表面張力によっ
て、振動体7が凹部2aの底面側に引き寄せられてい
き、上記液体が完全に蒸発して乾燥が終了すると、振動
体7は凹部2aの底面にピッタリと密着した状態となっ
ている場合があり、上記の如く振動体7が可動できなく
なってしまう。
【0050】これに対して、この実施形態例では、上記
のように、上記各凹部2a,4aはサンドブラスト加工
により形成されたために、それら各凹部2a,4aの底
面はその粗さRが0.3μm以上の粗面と成している。
このことから、上記振動体7が上記凹部2a,4aの底
面に密着することを防止することができることとなり、
上記したような凹部2a,4aの各底面と振動体7との
密着を確実に防止することができる。
【0051】なお、この発明は上記実施形態例に限定さ
れるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例え
ば、上記実施形態例では、基台2と蓋部材4はガラス基
板であったが、半導体基板3と陽極接合することが可能
な材料であれば、ガラス基板以外の材料によって上記基
台2や蓋部材4を構成してもよい。また、半導体基板3
はシリコン以外の半導体によって構成してもよい。
【0052】さらに、上記実施形態例では、半導体基板
3の表面から酸素原子等の非金属原子を除去して半導体
基板3の表面を露出させた後に、その露出した半導体基
板3の表面に結合する金属原子として銅原子を示した
が、その金属原子は、上記半導体基板3の表面との結合
度が上記半導体基板3の表面と上記非金属原子との結合
度よりも強いものであればよく、銅原子に限定されるも
のではない。
【0053】さらに、上記実施形態例では、半導体基板
3の表面から酸素原子等の非金属原子を除去する除去用
物質として弗化水素を用いたが、除去用物質は弗化水素
以外の材料でもよい。
【0054】さらに、上記実施形態例では、半導体基板
3の表面から上記非金属原子を除去する処理と、その処
理によって露出した半導体基板3の表面に金属原子を結
合させる処理とを同一工程で行ったが、それら処理を別
々の工程で行ってもよい。なお、半導体基板3の表面か
ら上記非金属原子を除去する処理と、その処理によって
露出した半導体基板3の表面に金属原子を結合させる処
理とを別々の工程で行うときには、上記半導体基板3の
表面から上記非金属原子を除去する処理から、その露出
した半導体基板3の表面に金属原子を結合させる処理に
移行する際に、上記半導体基板3の表面に酸素原子等の
非金属原子が結合してしまうのを阻止するための手段が
講じられる。
【0055】さらに、上記実施形態例では、上記除去用
物質が含まれている溶液中に、基台2と半導体基板3の
接合体を浸漬させて、半導体基板3の表面から非金属原
子を除去していたが、他の手法により、半導体基板3の
表面から非金属原子を除去してもよい。また、上記実施
形態例では、純粋半導体原子との結合用の金属原子が含
まれている溶液中に、基台2と半導体基板3の接合体を
浸漬させて、露出している半導体基板3の表面に上記金
属原子を結合させていたが、他の手法により、半導体基
板3の表面に金属原子を結合させてもよい。
【0056】さらに、上記実施形態例では、サンドブラ
スト加工を利用して基台2と蓋部材4にそれぞれ凹部2
a,4aを形成していたが、他の手法により、それら凹
部2a,4aを形成してもよい。さらに、上記実施形態
例では、真空容器1の真空空間6の内部に図4に示すよ
うな振動体7(センサ部8)が収容される例を示した
が、上記真空空間6の内部に収容されるものは上記振動
体7に限定されるものではない。さらに、上記実施形態
例では、基台2と蓋部材4にそれぞれ凹部2a,4aを
形成して真空空間6を形成していたが、例えば、上記基
台2と蓋部材4の一方あるいは両方に上記凹部を形成せ
ずに、半導体基板3の例えば中央領域を端縁領域よりも
薄くすることで、基台2および蓋部材4と、半導体基板
3との間に隙間を形成して真空空間6を形成する構成と
してもよい。
【0057】なお、上記実施形態例では、半導体基板3
の表面に主に結合している非金属原子が酸素原子である
場合を例にして説明したが、半導体基板3の表面に主に
結合している非金属原子が酸素原子以外の例えば水素原
子等の非金属原子である場合にも、上記同様に、その水
素原子等の非金属原子を除去して半導体基板3の表面を
露出させ、該露出した半導体基板3の表面に銅原子等の
金属原子を結合させ、然る後に、その金属原子が結合し
た半導体基板3の上側に蓋部材4を結合することによっ
て、上記実施形態例と同様の優れた効果を奏することが
できる。
【0058】
【発明の効果】この発明によれば、基台の上側に半導体
基板を接合した後に、その半導体基板の表面に結合して
いる非金属原子を除去して半導体基板の表面を露出さ
せ、この状態で、その半導体基板の表面と上記非金属原
子との結合度よりも上記半導体基板の表面との結合度が
強い金属原子を上記露出している半導体基板の表面に結
合させ、然る後に、その金属原子が結合された半導体基
板の上側に蓋部材を陽極接合するので、その陽極接合の
際に不要なガスの発生を抑制することができて、真空容
器の真空空間を、真空度が良好な状態で封止することが
できる。また、真空容器の真空空間の真空度のばらつき
を抑制することができる。
【0059】上記金属原子が銅原子である発明にあって
は、銅原子は半導体基板の表面との結合度が強いため
に、半導体基板の表面に非常に安定的に結合することが
できて、半導体基板と蓋部材の陽極接合の際の不要なガ
スの発生をより確実に抑制することができる。
【0060】半導体基板の表面から非金属原子を除去す
る処理と、その処理によって露出した半導体基板の表面
に金属原子を結合させる処理とを同一工程で行う発明に
あっては、上記各処理を別々の工程で行う場合に比べ
て、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0061】半導体基板の表面から非金属原子を除去す
る除去用物質は弗化水素である発明にあっては、弗化水
素は入手し易い材料で、安価であるために、真空容器の
製造コスト増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空容器の製造方法の一実施形態
例を示す説明図である。
【図2】本発明者が行った実験結果を示すグラフであ
る。
【図3】真空容器を説明するためのモデル図である。
【図4】真空容器内に収容される振動体の一例を示す説
明図である。
【図5】従来の真空容器の製造工程例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 真空容器 2 基台 3 半導体基板 4 蓋部材 6 真空空間 20 銅含有層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基台の上側に半導体基板が接合され、そ
    の半導体基板の上側に蓋部材が陽極接合されて成る積層
    体の内部に真空空間が形成されている形態の真空容器を
    製造する方法であって、上記基台の上側に半導体基板を
    接合した後に、上記半導体基板の表面に結合している非
    金属原子を除去して半導体基板の表面を露出させ、この
    状態で、上記半導体基板の表面と上記非金属原子との結
    合度よりも上記半導体基板の表面との結合度が強い金属
    原子を上記露出している半導体基板の表面に結合させ、
    然る後に、上記金属原子が結合された半導体基板の上面
    に蓋部材を陽極接合することを特徴とした真空容器の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 金属原子は銅原子であることを特徴とし
    た請求項1記載の真空容器の製造方法。
  3. 【請求項3】 半導体基板の表面に結合している非金属
    原子を除去するための除去用物質と、半導体基板表面と
    の結合用の金属原子とが含有されている溶液中に、基台
    と半導体基板の接合体を浸漬させ、上記除去用物質によ
    って上記半導体基板の表面から非金属原子を除去する処
    理と、その処理によって露出した半導体基板の表面に上
    記金属原子を結合させる処理とを同一工程で行うことを
    特徴とした請求項1又は請求項2記載の真空容器の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 除去用物質は弗化水素であることを特徴
    とした請求項3記載の真空容器の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005161516A (ja) * 2003-11-05 2005-06-23 Akustica Inc 超薄形状のmemsマイクロホン及びマイクロスピーカ
JP2005535889A (ja) * 2002-08-12 2005-11-24 ザ・ボーイング・カンパニー 内部径方向検知およびアクチュエーションを備える分離型平面ジャイロスコープ
JP2006528422A (ja) * 2003-07-21 2006-12-14 コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク 積重ね構造およびそれの作成方法
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CN103508414A (zh) * 2013-09-13 2014-01-15 华中科技大学 一种mems陀螺仪芯片双面阳极键合工艺

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