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JP2002212579A - 環境負荷低減型の潤滑油組成物 - Google Patents

環境負荷低減型の潤滑油組成物

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Publication number
JP2002212579A
JP2002212579A JP2001005552A JP2001005552A JP2002212579A JP 2002212579 A JP2002212579 A JP 2002212579A JP 2001005552 A JP2001005552 A JP 2001005552A JP 2001005552 A JP2001005552 A JP 2001005552A JP 2002212579 A JP2002212579 A JP 2002212579A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
oil composition
alkaline earth
earth metal
alkyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001005552A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Fujizu
貴 藤津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
Showa Shell Sekiyu KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Shell Sekiyu KK filed Critical Showa Shell Sekiyu KK
Priority to JP2001005552A priority Critical patent/JP2002212579A/ja
Publication of JP2002212579A publication Critical patent/JP2002212579A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間連続運転されたる条件で、耐熱性、清
浄性の性能を大幅に向上させ、組成物中の塩素化合物及
び硫黄化合物を低減した、環境にやさしい潤滑油組成物
の提供。 【解決手段】 アルキルサリシレートアルカリ土類金属
塩0.1〜50質量%を含有し、かつ潤滑油組成物中の
塩素含有量(ASTM D 6443試験方法で測定し
た)が10ppm以下であることを特徴とする潤滑油組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長時間連続運転さ
れる条件で、耐熱性、清浄性の性能を大幅に向上させ、
組成物中の塩素化合物及び硫黄化合物を低減した、環境
にやさしい潤滑油組成物に関する。
【0002】本発明は、組成物中の塩素化合物及び硫黄
化合物の含有量を抑制した潤滑油組成物に関するもの
で、エンジンの排出ガス中から、これらの化合物や酸化
物を抑制できると共に、長時間連続運転条件下で優れた
清浄性を長期に渡り維持する潤滑油組成物に関するもの
であり、船舶用内燃機関、陸用内燃機関の全てに適用可
能な潤滑油組成物であるが、特には船舶用内燃機関用に
適した潤滑油組成物に関する。
【0003】
【従来の技術】陸用内燃機関を起因とする排出ガス規制
が厳しく規制されてきているが、これまでは、船舶から
の大気汚染は、港湾や沿岸地域を除けば人間が生活する
陸域から離れているために、あまり問題にされていなか
った。しかし近年、森林や湖沼を破壊する酸性雨の問題
や地球温暖化問題に対して地球規模で取り組まなければ
ならない重大な課題になり、船舶からの大気汚染物質に
ついても無視できなくなってきた。このため1990年
頃より国際連合の専門機関の1つである国際海事機関
(IMO:International Mariti
me Organization)の海洋環境保護委員
会において、審議されてきた船舶からの大気汚染防止に
ついて「MARPOL73/78条約(1973年の船
舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978
年の議定書)」新付属書が、1997年9月に開催され
た締約国会議で採択された。規制の内容は、NOxにつ
いては、排出量が規制値以下となるような機関を製造
し、定期的な検査で確認すること、また、SOxについ
ては、燃料油に含まれる硫黄分を規制することとなって
いる。
【0004】船舶では主推進機関のほとんどがディーゼ
ルエンジンである。船舶用ディーゼルエンジン燃料であ
る軽油、重油には多量の硫黄分が含まれており、燃焼に
伴い排出される排気ガス中には硫黄酸化物(SOx)が
含まれる。またディーゼルエンジンからは空気中の窒素
が燃焼によって窒素酸化物(NOx)になり、排気ガス
となって排出される。硫黄酸化物、窒素酸化物の両者と
もに、酸性雨の原因物質であり、減らしていかねばなら
ない。
【0005】排気ガス中には硫黄酸化物とともに水も含
まれ、これらが反応して硫酸を生成する。生成した硫酸
の一部はエンジン油にふくまれる結果となり、エンジン
内部の部材を腐食して、摩耗することとなる。そのため
現状では塩基性を有する金属系清浄分散剤を比較的に多
量に添加し、この硫酸を中和している。
【0006】また排気ガス中に含めれる粒子状物質(P
M)による環境汚染問題が深刻になっている。米国環境
保護庁はRoger.O.McClellanとFre
deric.J.Miller両博士の調査研究に基づ
き、PM2.5と総称される2.5μm以下の粒径のP
Mが人体に有害であると発表している。PMは燃料中の
硫黄分に起因する硫酸塩、煤及び燃料と潤滑油の未燃分
である可溶性有機成分(SOF)からなる。このうち全
PMに対するSOF成分の割合は30〜40%といわれ
ている。SOF成分を酸化させて低減させるSOF酸化
触媒や、PMをフィルタートラップして低減させるDP
F等、最近は排出ガス浄化を目的に、これら後処理装置
が陸用ディーゼルエンジンに搭載されつつある。
【0007】しかしエンジン油に硫黄、塩素を含んだ基
油や添加剤を比較的多く添加すると、エンジン油は一部
分が燃焼室内で燃料と共に燃焼するために、エンジン油
に起因する硫黄酸化物、塩素化合物が多量に排気ガス中
に含まれることとなる。これら硫黄酸化物が後処理装置
の働きを阻害したり、そのまま放出され大気汚染に影響
を与えるなど、環境上好ましくない。ただしこれまでの
所、潤滑油油中の硫黄分や塩素分を起因とする化合物が
大気中に放出された際の影響度についてはまだ未知な部
分が多いが、今後の大きな問題に発展しかねない。近年
になり舶用エンジン油組成物の発明として、特開平10
−121081号、特開平10−121082号公報が
あるが、硫黄分を多く含む過塩基性アルカリ土類金属フ
ェネートが配合されており、また塩素を含む添加剤につ
いては議論されていない。同様の技術として特開平10
−279980号、特開平10−287893号公報が
あるが、硫黄を含む硫黄含有酸化防止剤が配合されてお
り、塩素を含む添加剤についての議論は無い。エンジン
油の一部は燃焼室内で燃料と共に燃焼し、あるいはエン
ジン油それ自身のまま排気ガスとともに大気中に放出さ
れる。その際、硫黄酸化物や塩素化合物が排気ガスに含
まれることになり、今後は少しでも環境への負荷を減ら
すことが大切である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長時
間連続運転される条件で、耐熱性、清浄性の性能を大幅
に向上させ、組成物中の塩素化合物及び硫黄化合物を低
減した、環境にやさしい潤滑油組成物を提供する点にあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決した潤滑油組成物を製造するための基盤となる配合
処方を開発すべく、鋭意研究を重ねた結果、硫黄化合物
及び塩素化合物を極力使用することなく、実際のエンジ
ン運転条件下で、特定のサリシレート系清浄剤と特定の
基油組成との組み合わせによる内燃機関用潤滑油組成物
(配合処方)により、高温下においても優れた清浄性を
長期に渡り有する潤滑油を提供することが可能となるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明の第一は、アルキルサリシレートア
ルカリ土類金属塩0.1〜50質量%を含有し、かつ潤
滑油組成物中の塩素含有量(ASTM D 6443試
験方法で測定した)が10ppm以下であることを特徴
とする潤滑油組成物に関する。
【0011】本発明の第二は、潤滑油組成物中の硫黄含
有量(ASTM D 5185では硫黄含有量0.09
〜0.60%の範囲のものも対象にしているが、本発明
では0.60%をこえるものも測定の対象としてAST
M D 5185に記載の方法で測定している)が0.
65質量%以下である請求項1記載の潤滑油組成物に関
する。
【0012】本発明の第三は、硫酸灰分量(JIS K
2272による)が異なる2種類以上のアルキルサリ
シレートアルカリ土類金属塩を用い、硫酸灰分量が10
質量%以下のアルキルサリシレートアルカリ土類金属塩
が、全アルキルサリシレートアルカリ土類金属塩中の5
0%以上を占めるようにした請求項1または2記載の潤
滑油組成物に関する。
【0013】本発明の第四は、ジアルキルジチオリン酸
亜鉛を含有する請求項1〜3いずれか記載の潤滑油組成
物に関する。
【0014】本発明の第五は、前記アルキルサリシレー
トアルカリ土類金属塩がアルキルサリシレートカルシウ
ム塩である請求項1〜4いずれか記載の潤滑油組成物に
関する。
【0015】
【発明実施の形態】本発明の潤滑油組成物に用いられる
アルキルサリシレートアルカリ土類金属塩は、シェルグ
ループが所有している日本国特許第1271215号、
第1031507号に示すように、芳香族カルボン酸と
原子番号12〜56の間の周期律表第II族金属との油溶
性塩基性塩で、全塩基価が12mgKOH/g以上に包
括されるものである。またアルキルサリシレートアルカ
リ土類金属塩それ自体の全塩基価が50〜400mgK
OH/gのものが本発明の潤滑油組成物用添加剤として
好ましい。とくにアルカリ土類金属塩がカルシウムやマ
グネシウムであることが好ましい。アルキルサリシレー
トマグネシウム塩は特開2000−63876号公報に
あるように、アルキルサリシレートマグネシウム塩とア
ルキルサリシレートカルシウム塩を混合配合しても、ア
ルキルサリシレートカルシウム塩のみの配合時と同様に
優れた清浄性能を有していることが分かっており、性能
を損なわない範囲でアルキルサリシレートカルシウム塩
と併用してすぐれた効果を奏する。
【0016】本発明におけるアルキルサリシレートアル
カリ土類金属塩とは、下記式に示す有機化合物(1)と
無機化合物(2)および(3)の混合体である。
【化1】
【0017】前記式中、Rはアルキル基であるが、平均
アルキル鎖長が、炭素数10〜35であることが好まし
い。平均アルキル鎖長が炭素数10以下の短い鎖長であ
ると油中分散性が低下し清浄性が劣り、また、炭素数3
5よりも長い鎖長であると、酸中和性能が劣る。また、
無機化合物が安定的に潤滑油中に分散し、かつ、酸化劣
化によって潤滑油中にできた酸性物質を中和する性能を
いかんなく発揮するうえで、有機化合物のアルキル基の
鎖長は重要な役割を担っている。前記式(1)、(2)
および(3)中のMは、アルカリ土類金属であり、カル
シウム、マグネシウム、バリウムが好ましく、とくにカ
ルシウムが好ましい。前記式(1)で示される有機化合
物であるアルキルサリシレートアルカリ土類金属塩は、
前記式(2)および(3)で示される無機化合物よりな
る核を取り囲む様な形で存在している態様が好ましい。
【0018】本発明の潤滑油組成物においては、耐摩耗
剤としてジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)の
添加が好ましい。ZnDTPの添加はエンジンの摩耗を
防止すると同時に潤滑油の酸化も防止することができ
る。ZnDTPのアルキル基は特に制限されないが、通
常、炭素数3〜12が好ましい。また、そのアルキル基
は第2級アルキル基(Sec−ZnDTP)及び又は第
1級アルキル基(Pri−ZnDTP)及び又はアリー
ル基(Aryl−ZnDTP)が配合されていることが
好ましい。通常0.3〜5重量%であり、好ましくは1
〜2重量%である。ただしエンジン部品に対する耐摩耗
性能が要求されない用途の場合には、耐摩耗剤を潤滑油
組成物中に添加する必要は無い。
【0019】本発明において用いられているアルキルサ
リシレートアルカリ土類金属塩の配合量は、最終製品と
なる内燃機用潤滑油100質量%として、その配合量は
1〜50質量%、好ましくは2〜45質量%の割合とす
る。またJIS K 2272で規定される潤滑油組成
物の硫酸灰分量が0.1〜10質量%、好ましくは0.
2〜9質量%になるように調整して、これらのサリシレ
ート金属塩の配合量を決定することが好ましい。
【0020】硫酸灰分量は潤滑油中に含まれる金属系清
浄剤添加剤(アルキルサリシレートカルシウム塩など)
の量を示すものであり、試料を燃やして生じた炭化残留
物に硫酸を加えて、硫酸塩として定量表示した灰分(試
験法:JIS K 2272)のことである。一般的に
硫酸灰分が多いとホットチューブ試験に代表される高温
清浄性試験では良い結果が得られると言われている(必
然的に金属系清浄剤の添加量が多くなるため)。
【0021】また、硫黄含有量は、主として基油や耐摩
耗剤に基因するものである。ただし、金属系清浄剤のな
かにはその構造式中に硫黄を含むものもあり、たとえ
ば、アルキルスルフォネートカルシウム塩(明細書中の
金属系清浄剤C)やアルキルフィネートカルシウム塩
(明細書中の金属系清浄剤D)は硫黄を含んでいるが、
本発明で用いる前記アルキルサリシレートアルカリ土類
金属塩は実質的に硫黄を含んでいない。
【0022】無灰系分散剤は、通常0.1〜20質量%
の割合で配合し、その種類としては、シェルグループが
所有している日本国特許第1367796号、第166
7140号、第1302811号、第1743435号
に示されるポリアルケニルこはく酸イミド、ポリアルケ
ニルこはく酸エステルなどが挙げられる。窒素含有量
1.6%未満含有のポリアルケニルこはく酸イミド、ポ
リアルケニルこはく酸エステルを用いることが好まし
い。それは窒素含有量が低い無灰系分散剤の方が、性能
的に好ましいからである。現に、過去において窒素量含
有量の高い無灰系分散剤がディーゼルエンジン向けには
良いと一般的に言われ使用され続けていたが、近年は特
に窒素含有量は低くても優れた清浄性能を有する無灰系
分散剤も市販されはじめた。なおポリアルケニルこはく
酸イミドは、アルケニル無水こはく酸、あるいはアルケ
ニル無水こはく酸とポリアミンとの反応で得られる。潤
滑油組成物中の窒素含有量が0.01%以上となるよう
に処方されるのが好ましいが、最大でも0.3%以下に
することが好ましい。少なくとも0.01%は含まれて
いないと、潤滑油中に混入してくるススや発生したスラ
ッジを安定した分散状態に保てない場合が生じる。
【0023】酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−
t−ブチルフェノール、4,4′−メチレンビス−
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール
系酸化防止剤や、アルキル化ジフェニルアミン、フェニ
ル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルア
ミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げられ、これらは
0.01〜2質量%の割合で使用することができる。
【0024】本発明の潤滑油組成物には、所望によりそ
の他の各種添加剤を適量加えることも有効である。その
他の添加剤として、目的に応じて、流動点降下剤、消泡
剤、防錆剤、抗乳化剤(エマルジョンを破壊して2液相
に分離するために用いるもの)、金属不活性化剤、粘度
指数向上剤を使用することもある。流動点降下剤として
は、日本国特許第1195542号、第1264056
号に記載されているポリメタクリレート系などが使用さ
れる。消泡剤として、シリコーン、フルオロシリコー
ン、フルオロアルキルエーテル、ジメチルポリシクロヘ
キサン、ポリアクリレートなどが使用される。防錆剤と
しては、石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルホ
ネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニル
こはく酸またはそのエステル誘導体、多価アルコールエ
ステル、ベンゾトリアゾール系化合物、チアジアゾール
系化合物などが使用される。抗乳化剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
ナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イ
オン系界面活性剤などが使用される。金属不活性化剤と
して、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチア
ジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリ
アゾールまたはその誘導体、メルカプトベンゾチアゾー
ル、チアジアゾールまたはその誘導体、ベンゾイミダゾ
ールまたはその誘導体、プロピオンニトリルまたはその
誘導体などが使用される。また粘度指数向上剤として
は、内燃機関用潤滑油組成物100重量部に対して、
0.01〜20重量部配合される。粘度指数向上剤とし
ては、例えばシェルグループが所有している日本国特許
第954077号、第1031507号、第14687
52号、第1764494号、第1751082号に記
載されているスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−イソプレン星状共重合体、ポリメタクリレート系、エ
チレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、これらは
全量に対して1〜20質量%の割合で使用される。また
これらのものに窒素原子や酸素原子を分子中に含んだ極
性モノマーを共重合させた分散型粘度指数向上剤につい
ても同じように使用することができる。
【0025】本発明の潤滑油組成物が優れた清浄性及び
耐熱性を有する理由のひとつとして、硫酸イオンの生成
を抑制する潤滑油組成の処方技術にある。一般的に知ら
れている様に、潤滑油中に生成する硫酸イオンは、燃料
中に含まれる硫黄化合物の燃焼や内燃機関潤滑油組成物
に含まれる硫黄元素を含む添加剤の劣化によって発生す
ることが考えられる。本発明の主要な潤滑油組成物であ
るアルキルサリシレート金属塩は、この硫酸イオンの発
生となる硫黄元素を化合物中に含まず、硫酸イオン生成
を抑制できる配合処方であるため添加剤自身の分解を抑
制し、添加剤自身の働きを助長できると考えられ、清浄
性及び酸中和能力を高めることが可能になっている。本
発明の潤滑油組成物は、舶用ディーゼル機関のみなら
ず、陸用自動車エンジンや、ガス燃料を使用するエンジ
ン用の潤滑油としても優れた性能を発揮する。特に現
在、陸用自動車エンジン油の使用済み潤滑油を燃料とし
て一般的に再利用している側面からも、硫黄や塩素化合
物を極力含まないことは、環境保護の点で非常に重要に
なってくる。
【0026】本発明の潤滑油組成物は、燃焼時に発生す
る亜硫酸等の酸性成分を速やかに中和する能力と燃焼残
さ物を分散させ、エンジン内の燃焼室内にあるピストン
ライナーやピストンリンググルーブへの堆積を防止し清
浄に保つ能力に長けた、環境負荷低減型の内燃機関用潤
滑油組成物である。
【0027】
【実施例】以下本発明について、実施例及び比較例を挙
げて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。表1に示す組成を有する各エンジン
油組成物を調製し、これらの性能評価試験を行った。試
験結果を表1に示す。
【0028】<ホットチューブ試験>ホットチューブテ
スタ試験装置(コマツエンジニアリング株式会社製)を
用いて、供試油の耐熱性、清浄性を評価した。本装置
は、エンジン油の高温清浄性をガラス試験管のラッカー
濃度で評価する。試験方法については、JPI−5S−
55−99(エンジン油−ホットチューブ試験方法)に
定められている手順に従って、A法(評点法)で評価を
行った。清浄性についての結果は試験法に規定されてい
る様に、0点(真っ黒な場合)を最悪とし、10点(無
色透明な場合)を最良として判断する。
【0029】全ての試験油の基油組成は、標準的なエン
ジン油の組成を基本とした。高温下での清浄性能と深く
関係のある全塩基価の値は、各試料油とも40mgKO
H/gになるように配合された。実施例中及び比較例中
の基油A〜Cは、以下の種類及び性状を有するものであ
る。
【0030】基油A:100℃動粘度は17.6mm
/s、40℃動粘度が138.0mm/s、粘度指数
140、流動点−27℃、引火点300℃、蒸発損失量
1重量%という性状を有しているペンタエリスリトール
ヒンダードエステル系のポリオールエステル化合物の合
成基油を用いた。
【0031】基油B:100℃動粘度が8.15mm
/s、40℃動粘度が47.9mm /s、粘度指数1
44、流動点−20℃、引火点260℃、という高粘度
指数基油を用いた。
【0032】なお、高粘度指数基油としては、溶剤脱蝋
によって分離される素蝋(スラックワックス)を原料と
して、これを触媒の存在下に水添分解(接触分解)して
直鎖パラフィンを分枝パラフィンに異性化することによ
り得られる粘度指数130以上(典型的には140〜1
55)を有する潤滑油基油、もしくは、天然ガス(メタ
ン等)のガス化プロセス(部分酸化)によって得られる
水素と一酸化炭素を原料としてフィッシャートロプシュ
重合にて重質直鎖パラフィンとし、これを前述と同様の
接触分解異性化することで得られる粘度指数130以上
(典型的には140〜155)を有する潤滑油基油が挙
げられるが、ここで用いられる基油は、どちらかに限定
されるものではない。
【0033】基油C:溶剤精製基油または水添精製基油
の単独あるいは混合物の硫黄分を0.40質量%を含ん
でいる鉱油基油である。基油粘度がSAE(アメリカ自
動車技術者協会)40グレードになるように調合された
ものを用いた。なお、SAE40グレードは100℃に
おける動粘度が12.5〜16.3mm/sの粘度範
囲のものである。
【0034】本発明に使用する基油の性状は100℃お
ける動粘度が2〜80mm/s、好ましくは4〜50
mm/sである。ここで100℃における動粘度が2
mm /s未満では、潤滑性が低下して耐焼き付き性が
劣り、また80mm/s以上ではエンジン内部におけ
る粘性による抵抗が大きくなり、燃費効率等の低下の観
点から好ましくない。
【0035】本発明で使用する基油の粘度指数について
は75以上、好ましくは80以上である。粘度指数が7
5未満では、低温における始動性、また、高温における
粘度低下による潤滑性の悪化から、本目的の内燃機関用
潤滑油組成物の基油としては好ましくない。
【0036】全ての試験油の添加剤組成は、標準的な舶
用潤滑油の添加剤組成を基本とした。すなわち金属系清
浄剤、無灰系分散剤、消泡剤等を配合している。
【0037】特に金属系清浄剤については、アルキルサ
リシレートカルシウム塩、アルキルスルフォネートカル
シウム塩、アルキルフィネートカルシウム塩を使用し
た。実施例中の金属系清浄剤A〜Dの添加剤は、以下の
性状を有するものである。 金属系清浄剤A(アルキルサリシレートカルシウム
塩):全塩基価(塩酸法)160mgKOH/g、全塩
基価(過塩素酸法)170mgKOH/g、硫酸灰分2
0.4% 金属系清浄剤B(アルキルサリシレートカルシウム
塩):全塩基価(塩酸法)69mgKOH/g、全塩基
価(過塩素酸法)70mgKOH/g、硫酸灰分8.6
質量% 金属系清浄剤C(アルキルスルフォネートカルシウム
塩):全塩基価(塩酸法)292mgKOH/g、全塩
基価(過塩素酸法)300mgKOH/g、硫酸灰分4
0.8質量% 金属系清浄剤D(アルキルフィネートカルシウム塩):
全塩基価(塩酸法)250mgKOH/g、全塩基価
(過塩素酸法)254mgKOH/g、硫酸灰分30.
9質量%
【0038】耐摩耗剤としてのジアルキルジチオりん酸
亜鉛は、アルコール残基が1級で主成分が炭素数4〜6
の1級アルコール残基を主成分とした市販品である。1
級を主成分とするジアルキルジチオりん酸亜鉛は、熱安
定性に優れている利点から船舶用潤滑油組成物中に耐摩
耗剤として好まれて用いられるが、特に1級を主成分と
して限定するものでは無い。
【0039】
【表1】
【0040】実施例1と比較例1及び比較例2を比較す
ると、同じ基油Cを用いた処方において、アルキルサリ
シレートカルシウム塩がアルキルスルフォネートカルシ
ウム塩やアルキルフィネートカルシウムよりも優れた清
浄性能力をもっていることがわかる。その際の塩素含有
量を比べてみると、塩素含有量の少ないものが清浄性能
力に優れていることが分かる。実施例1及び実施例2と
比較例3を比べてみても、明らかに塩素含有量の少ない
ものの方が優れている。アルキルサリシレートカルシウ
ム塩を含有し、かつ塩素含有量の低いものの方が優れた
清浄性を有する。なお、表中における代表性状とは当然
各実施例および比較例の潤滑油組成物の性状を示すもの
である。表中の全塩基価は、各添加剤の配合割合を調整
して40mgKOH/gにそろえたものである。全塩基
価の値を揃えた理由であるが、全塩基価が高い油は硫酸
灰分も高くなり、高温清浄性能が高い。そのため、商品
として販売する時に、この全塩基価の値がその商品価値
を決定していると言っても過言ではない。特に船舶用エ
ンジンオイルのビジネスにおいてはこの全塩基価の値
が、その潤滑油の性能を予測する上で、非常に重要視さ
れている位である。そこで全塩基価の値を一定にして、
全塩基価が例え同一値であったとしても、その他の配合
条件が異なれば、大きく性能差が現れることを示すもの
である。
【0041】実施例3は、実施例1と同じ金属系清浄剤
のアルキルサリシレートカルシウム塩の組み合わせを用
いていても、硫黄分を含まない合成基油との配合系で
は、性能差が顕著に現れることが分かる。実施例3と実
施例4を比べてみると、耐摩耗剤が1%添加される程度
の硫黄分(耐摩耗剤に起因する)が含まれる程度では、
何ら高温下における性能に影響は与えないことがわか
る。必要に応じて耐摩耗剤の添加は可能であると言える
が、無い方が好ましい。以上のことから、潤滑油組成物
中の硫黄分が少ない配合系で、かつアルキルサリシレー
トカルシウム塩を含み、かつ塩素含有量の少ない配合油
が、優れた清浄性を有する。
【0042】実施例3と実施例4は、基油Aと基油Bよ
りなる基油成分に対して、金属系清浄剤のアルキルサリ
シレートカルシウム塩2種以上の配合割合をバランスす
ることで、実施例3と実施例4は、実施例1と実施例2
の配合油の性能を凌駕した高い清浄能力を持つ配合とな
ることがわかる。また実施例1と実施例2とを比べてみ
ると、性能的にはどちらも変わらないほど優れた清浄性
を有しているのであるが、硫酸灰分が少ない金属系清浄
剤Bのアルキルサリシレートカルシウム塩を含む実施例
2の方が有利と言える。硫酸灰分の値は無機物質を主と
して硫酸塩として重さを測った灰分のことである。潤滑
油組成物中の硫酸灰分値がほぼ同一であるにも関わらず
清浄性能に差がでるのは、これは金属系清浄剤Bの中に
含まれる有機性物質が高温下で油中に安定して分散し、
清浄性能を高めているためと考えれられる。以上のこと
から硫酸灰分値が低いアルキルサリシレートカルシウム
塩ほど高温清浄性能に優れていると言える。
【0043】
【発明の効果】本発明は、組成物中の塩素化合物及び硫
黄化合物の含有量を抑制した潤滑油組成物であって、長
時間連続運転される条件で、耐熱性、清浄性の性能を大
幅に向上させ、かつ環境負荷を低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は潤滑油組成物の清浄性の評価に用いたホ
ットチューブ試験機の概略を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 20:00 C10N 20:00 Z 30:00 30:00 Z 30:04 30:04 30:06 30:06 30:08 30:08 40:25 40:25

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキルサリシレートアルカリ土類金属
    塩0.1〜50質量%を含有し、かつ潤滑油組成物中の
    塩素含有量(ASTM D 6443試験方法で測定し
    た)が10ppm以下であることを特徴とする潤滑油組
    成物。
  2. 【請求項2】 潤滑油組成物中の硫黄含有量(ASTM
    D 5185記載の方法で測定)が0.65質量%以
    下である請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 硫酸灰分量(JIS K 2272によ
    る)が異なる2種類以上のアルキルサリシレートアルカ
    リ土類金属塩を用い、硫酸灰分量が10質量%以下のア
    ルキルサリシレートアルカリ土類金属塩が、全アルキル
    サリシレートアルカリ土類金属塩中の50%以上を占め
    るようにした請求項1または2記載の潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】 ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する
    請求項1〜3いずれか記載の潤滑油組成物。
  5. 【請求項5】 前記アルキルサリシレートアルカリ土類
    金属塩がアルキルサリシレートカルシウム塩である請求
    項1〜4いずれか記載の潤滑油組成物。
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