JP2002173825A - エアバック基布用合成繊維およびエアバック基布 - Google Patents
エアバック基布用合成繊維およびエアバック基布Info
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- JP2002173825A JP2002173825A JP2000371256A JP2000371256A JP2002173825A JP 2002173825 A JP2002173825 A JP 2002173825A JP 2000371256 A JP2000371256 A JP 2000371256A JP 2000371256 A JP2000371256 A JP 2000371256A JP 2002173825 A JP2002173825 A JP 2002173825A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 コンパクトに格納でき、かつ長期間折り畳ま
れた後でも耐衝撃性及び通気阻止性が良好であるノンコ
ートエアバック基布用の合成繊維を提供すること。 【解決手段】 初期モジュラスが25〜60cN/dt
ex、伸長弾性回復率が85%以上、破断強度が5.0
cN/dtex以上、破断伸度が18%以上、180℃
乾熱収縮率が10%以上であるバランスの優れたノンコ
ートエアバック基布用の合成繊維を用いる。さらに合成
繊維の主たる繰り返し単位が、ポリトリメチレンテレフ
タレートであることが好ましい。
れた後でも耐衝撃性及び通気阻止性が良好であるノンコ
ートエアバック基布用の合成繊維を提供すること。 【解決手段】 初期モジュラスが25〜60cN/dt
ex、伸長弾性回復率が85%以上、破断強度が5.0
cN/dtex以上、破断伸度が18%以上、180℃
乾熱収縮率が10%以上であるバランスの優れたノンコ
ートエアバック基布用の合成繊維を用いる。さらに合成
繊維の主たる繰り返し単位が、ポリトリメチレンテレフ
タレートであることが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安全を確保するた
めのエアバック基布用合成繊維に関する。さらに詳しく
は、表面に樹脂コート層が存在しないノンコートエアバ
ック基布用の合成繊維に関する。
めのエアバック基布用合成繊維に関する。さらに詳しく
は、表面に樹脂コート層が存在しないノンコートエアバ
ック基布用の合成繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エアバックを作動させるインフレ
ーターの改良により、瞬間的に膨張する高圧ガスの低温
化が可能となり、よりコンパクトに格納することのでき
る、樹脂被覆ないし含浸が施されていないエアバック基
布(ノンコートエアバック基布)用気密織物が実用化さ
れている。
ーターの改良により、瞬間的に膨張する高圧ガスの低温
化が可能となり、よりコンパクトに格納することのでき
る、樹脂被覆ないし含浸が施されていないエアバック基
布(ノンコートエアバック基布)用気密織物が実用化さ
れている。
【0003】かかるノンコートエアバックに要求される
特性は、基布厚さが薄くても高圧ガスの通気阻止性が高
く、また瞬間的な膨張に耐え得る耐衝撃性、耐久性を有
し、さらには膨張時、人体に特に顔面に接触した際の刺
激が少ないことがあげられる。
特性は、基布厚さが薄くても高圧ガスの通気阻止性が高
く、また瞬間的な膨張に耐え得る耐衝撃性、耐久性を有
し、さらには膨張時、人体に特に顔面に接触した際の刺
激が少ないことがあげられる。
【0004】これらの問題点を解決するために種々のノ
ンコート型エアバック基布が提案されている。例えば、
特開平4−214437号公報や特開平7−48717
号公報においては、ポリエチレンテレフタレート繊維か
らなるノンコートエアバック基布が提案されている。し
かしこれらのポリエチレンテレフタレート繊維を用いた
場合には、繊維の初期モジュラスが約65cN/dte
x以上と高く、布帛の柔軟性が低く、膨張時に人体、特
に顔面に接触した際の刺激が大きいという問題点があっ
た。
ンコート型エアバック基布が提案されている。例えば、
特開平4−214437号公報や特開平7−48717
号公報においては、ポリエチレンテレフタレート繊維か
らなるノンコートエアバック基布が提案されている。し
かしこれらのポリエチレンテレフタレート繊維を用いた
場合には、繊維の初期モジュラスが約65cN/dte
x以上と高く、布帛の柔軟性が低く、膨張時に人体、特
に顔面に接触した際の刺激が大きいという問題点があっ
た。
【0005】また、ナイロン66などのポリアミド繊維
を用いた場合には、布帛とした場合の柔軟性こそポリエ
チレンテレフタレート繊維を用いた場合に比較して優れ
ているものの、長期間の使用に耐えうるための寸法安定
性に問題があった。
を用いた場合には、布帛とした場合の柔軟性こそポリエ
チレンテレフタレート繊維を用いた場合に比較して優れ
ているものの、長期間の使用に耐えうるための寸法安定
性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来の技術における問題を解決し、コンパクトに格納
でき、かつ長期間折り畳まれた後でも耐衝撃性及び通気
阻止性が良好であるノンコートエアバック基布用の合成
繊維を提供することにある。
の従来の技術における問題を解決し、コンパクトに格納
でき、かつ長期間折り畳まれた後でも耐衝撃性及び通気
阻止性が良好であるノンコートエアバック基布用の合成
繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のエアバック基布
用合成繊維は、表面に樹脂コート層が存在しないエアバ
ック基布用の合成繊維において、下記(a)〜(e)の
物性を同時に満足することを特徴とする。 (a)初期モジュラスY(cN/dtex) :25≦Y≦60 (b)伸長弾性回復率R(%) :R≧85 (c)破断強度S(cN/dtex) :S≧5.0 (d)破断伸度E(%) :E≧18 (e)180℃乾熱収縮率HS(%) :HS≧10 さらに、合成繊維を構成するポリマーが、繰り返し単位
の85モル%以上をポリトリメチレンテレフタレートで
あることが好ましい。
用合成繊維は、表面に樹脂コート層が存在しないエアバ
ック基布用の合成繊維において、下記(a)〜(e)の
物性を同時に満足することを特徴とする。 (a)初期モジュラスY(cN/dtex) :25≦Y≦60 (b)伸長弾性回復率R(%) :R≧85 (c)破断強度S(cN/dtex) :S≧5.0 (d)破断伸度E(%) :E≧18 (e)180℃乾熱収縮率HS(%) :HS≧10 さらに、合成繊維を構成するポリマーが、繰り返し単位
の85モル%以上をポリトリメチレンテレフタレートで
あることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のエアバック基布用合成繊
維の初期モジュラスY(単位cN/dtex)は、低通
気性と耐衝撃性を満足させるために25≦Y≦60の範
囲であることが必要である。さらには30≦Y≦55の
範囲であることが好ましい。低すぎる場合には高圧ガス
の衝撃によって繊維が容易に伸張され、破断強さは向上
するものの通気性が大きくなりすぎるという問題点が発
生する。一方高すぎる場合には、高圧ガスの衝撃を受け
る際に応力集中が発生して、該応力集中点で引裂かれ破
裂し易くなる。さらに、膨張時の乗員の顔面に接触する
際の刺激が大きい傾向にある。
維の初期モジュラスY(単位cN/dtex)は、低通
気性と耐衝撃性を満足させるために25≦Y≦60の範
囲であることが必要である。さらには30≦Y≦55の
範囲であることが好ましい。低すぎる場合には高圧ガス
の衝撃によって繊維が容易に伸張され、破断強さは向上
するものの通気性が大きくなりすぎるという問題点が発
生する。一方高すぎる場合には、高圧ガスの衝撃を受け
る際に応力集中が発生して、該応力集中点で引裂かれ破
裂し易くなる。さらに、膨張時の乗員の顔面に接触する
際の刺激が大きい傾向にある。
【0009】また本発明で得られるエアバック基布が優
れた耐衝撃性を満足させるためには、伸長弾性回復率R
は85%以上であることが重要である。さらには95%
以上、最も好ましくは100%以上であることが好まし
い。通常、エアバック基布は長期間折り畳まれた状態で
収納されたままであり、そのため折り目の跡がつき、長
期間屈曲状態になっていた折り目における繊維物性が低
下している。実際にエアバックが作動し膨張する際に
は、高圧ガスの衝撃による応力集中が折り目の部分に発
生し、破裂し易くなるのである。基布を構成する繊維の
伸長弾性回復率が高いほど折り目の癖が小さく、膨張時
の応力集中を受けることが少なく、装着時と同様の耐衝
撃性を得ることができる。
れた耐衝撃性を満足させるためには、伸長弾性回復率R
は85%以上であることが重要である。さらには95%
以上、最も好ましくは100%以上であることが好まし
い。通常、エアバック基布は長期間折り畳まれた状態で
収納されたままであり、そのため折り目の跡がつき、長
期間屈曲状態になっていた折り目における繊維物性が低
下している。実際にエアバックが作動し膨張する際に
は、高圧ガスの衝撃による応力集中が折り目の部分に発
生し、破裂し易くなるのである。基布を構成する繊維の
伸長弾性回復率が高いほど折り目の癖が小さく、膨張時
の応力集中を受けることが少なく、装着時と同様の耐衝
撃性を得ることができる。
【0010】布帛の機械的強度特性と柔軟性を両立させ
るためには、繊維の初期モジュラスの要件に加えて、破
断強度E(引張強度)が5.0cN/dtex以上であ
ることも必要であり、さらには6.0cN/dtex以
上であることが好ましい。破断強度が低いと耐衝撃性や
耐バースト性などの機械的特性を満足することが困難で
ある。また、繊維の破断強度が低い場合には、エアバッ
クの強度を大きくするためには目付けを大きくする事が
必要となり、エアバックの格納性が低下する。
るためには、繊維の初期モジュラスの要件に加えて、破
断強度E(引張強度)が5.0cN/dtex以上であ
ることも必要であり、さらには6.0cN/dtex以
上であることが好ましい。破断強度が低いと耐衝撃性や
耐バースト性などの機械的特性を満足することが困難で
ある。また、繊維の破断強度が低い場合には、エアバッ
クの強度を大きくするためには目付けを大きくする事が
必要となり、エアバックの格納性が低下する。
【0011】また繊維の破断伸度は18.0%以上であ
ることが必要であり、更に20%以上35%以下である
ことが望ましい。破断伸度が18%未満であると、布帛
とした時、硬く柔軟性が劣るとともに、格納性が低下
し、また、紡糸・製織時にケバや糸切れを起こし易く不
適当である。また、伸度があまりにも高すぎる場合には
布帛自体の伸度が大きくなり、膨張時において気体の透
過量が多くなりエアバック用基布として用いられない。
ることが必要であり、更に20%以上35%以下である
ことが望ましい。破断伸度が18%未満であると、布帛
とした時、硬く柔軟性が劣るとともに、格納性が低下
し、また、紡糸・製織時にケバや糸切れを起こし易く不
適当である。また、伸度があまりにも高すぎる場合には
布帛自体の伸度が大きくなり、膨張時において気体の透
過量が多くなりエアバック用基布として用いられない。
【0012】本発明の合成繊維は、上記特性に加えて1
80℃乾熱収縮率が10%以上であることが必要であ
る。好ましくは10%以上30%以下である。10%未
満の場合には、縫製後収縮熱処理を施してもノンコート
エアバック用基布に要求される低通気性の高密度織物を
得ることは困難となる。
80℃乾熱収縮率が10%以上であることが必要であ
る。好ましくは10%以上30%以下である。10%未
満の場合には、縫製後収縮熱処理を施してもノンコート
エアバック用基布に要求される低通気性の高密度織物を
得ることは困難となる。
【0013】さらに本発明のエアバック基布用合成繊維
の好ましい物性を述べる。単繊維繊度は3.0dtex
以下が好ましい。さらに好ましくは1.0〜2.2dt
exである。3.0dtexを超える場合には、ノンコ
ートエアバック用基布に要求される通気度(0.20c
c/cm2/sec/0.5inchAq.以下、好ま
しくは0.15cc/cm2/sec/0.5inch
Aq.)を達成しにくい傾向にある。またエアバックに
成型した時の嵩も大きくなり格納性も低下する傾向にあ
る。一方1.0dtex未満の場合には、紡糸中の単糸
切れが発生し易くなる傾向にあり、製糸が困難である上
に、毛羽の発生も起こりやすくなる傾向にある。
の好ましい物性を述べる。単繊維繊度は3.0dtex
以下が好ましい。さらに好ましくは1.0〜2.2dt
exである。3.0dtexを超える場合には、ノンコ
ートエアバック用基布に要求される通気度(0.20c
c/cm2/sec/0.5inchAq.以下、好ま
しくは0.15cc/cm2/sec/0.5inch
Aq.)を達成しにくい傾向にある。またエアバックに
成型した時の嵩も大きくなり格納性も低下する傾向にあ
る。一方1.0dtex未満の場合には、紡糸中の単糸
切れが発生し易くなる傾向にあり、製糸が困難である上
に、毛羽の発生も起こりやすくなる傾向にある。
【0014】本発明のエアバック用合成繊維は、上記特
性を満足するものであれば特に制限無く使用できるが、
製造の容易さ等を考慮すると、合成繊維を構成するポリ
マーの繰り返し単位の85モル%以上がポリトリメチレ
ンテレフタレートであるポリエステルからなるポリトリ
メチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。該ポリマ
ーには本発明の目的を阻害しない範囲内、例えば全酸成
分を基準として15モル%以下、好ましくは5モル%以
下で第三成分を共重合していてもよい。好ましく用いら
れる共重合成分としては、従来公知の酸成分、グリコー
ル成分いずれもあげることができるが、なかでも2官能
性リン化合物を共重合している事が、得られるエアバッ
クの難燃性が向上するので好ましい。この場合共重合量
としては、リン元素量として0.3〜1.5重量%の範
囲が適当で、好ましくは0.6〜1.1重量%である。
リン元素が0.3重量%未満の場合には難燃性能が低下
する傾向にあり、一方1.5重量%を越える場合には繊
維の強度が低下する傾向にある。好ましく用いられる2
官能性リン化合物としては、例えば下記[化1]式、又
は[化2]式で表されるホスホン酸誘導体又はホスフィ
ン酸誘導体を例示する事ができる。
性を満足するものであれば特に制限無く使用できるが、
製造の容易さ等を考慮すると、合成繊維を構成するポリ
マーの繰り返し単位の85モル%以上がポリトリメチレ
ンテレフタレートであるポリエステルからなるポリトリ
メチレンテレフタレート繊維が最も好ましい。該ポリマ
ーには本発明の目的を阻害しない範囲内、例えば全酸成
分を基準として15モル%以下、好ましくは5モル%以
下で第三成分を共重合していてもよい。好ましく用いら
れる共重合成分としては、従来公知の酸成分、グリコー
ル成分いずれもあげることができるが、なかでも2官能
性リン化合物を共重合している事が、得られるエアバッ
クの難燃性が向上するので好ましい。この場合共重合量
としては、リン元素量として0.3〜1.5重量%の範
囲が適当で、好ましくは0.6〜1.1重量%である。
リン元素が0.3重量%未満の場合には難燃性能が低下
する傾向にあり、一方1.5重量%を越える場合には繊
維の強度が低下する傾向にある。好ましく用いられる2
官能性リン化合物としては、例えば下記[化1]式、又
は[化2]式で表されるホスホン酸誘導体又はホスフィ
ン酸誘導体を例示する事ができる。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】式中、R1は炭素数1〜18の炭化水素基
を表し、R2、R3はそれぞれ同じか又は異なる基であっ
て水素原子又は炭化水素基を表わし、R4は2価の有機
基を表わし、Xはカルボシキル基又はそのエステルを表
わす。具体的にはフェニルホスホン酸ジメチル、(2−
カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸などが好まし
く用いられる。
を表し、R2、R3はそれぞれ同じか又は異なる基であっ
て水素原子又は炭化水素基を表わし、R4は2価の有機
基を表わし、Xはカルボシキル基又はそのエステルを表
わす。具体的にはフェニルホスホン酸ジメチル、(2−
カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸などが好まし
く用いられる。
【0018】また、合成繊維がポリエステル繊維である
場合、用いられるポリエステル繊維の固有粘度は0.7
以上、好ましくは0.8以上とすることが好ましい。固
有粘度が0.7未満の場合、破断強力及び耐衝撃性が低
下する傾向にある。また製糸性等の観点からポリエステ
ル繊維の固有粘度は1.5以下が好ましく、より好まし
くは1.3以下である。
場合、用いられるポリエステル繊維の固有粘度は0.7
以上、好ましくは0.8以上とすることが好ましい。固
有粘度が0.7未満の場合、破断強力及び耐衝撃性が低
下する傾向にある。また製糸性等の観点からポリエステ
ル繊維の固有粘度は1.5以下が好ましく、より好まし
くは1.3以下である。
【0019】以上に述べられてきた本発明のエアバック
基布用合成繊維は、例えばポリメチレンテレフタレート
繊維で説明すると、以下の方法により製造することがで
きる。
基布用合成繊維は、例えばポリメチレンテレフタレート
繊維で説明すると、以下の方法により製造することがで
きる。
【0020】すなわち、固有粘度が0.8以上のポリト
リメチレンテレフタレートポリマーを溶融吐出し、吐出
された糸条を融点以上の温度に加熱された雰囲気中を通
過せしめた後、冷却風にて冷却固化せしめ、油剤を0.
05〜1.0重量%付与し、紡糸速度500〜1000
m/分の速度で引き取る。得られた未延伸糸をガラス転
移点以上の温度で予熱し未延伸糸の引き取り速度に応じ
た延伸倍率で4.0〜6.0倍に延伸し、次いで120
〜200℃の温度で熱セットをして巻き取ることにより
得られる。
リメチレンテレフタレートポリマーを溶融吐出し、吐出
された糸条を融点以上の温度に加熱された雰囲気中を通
過せしめた後、冷却風にて冷却固化せしめ、油剤を0.
05〜1.0重量%付与し、紡糸速度500〜1000
m/分の速度で引き取る。得られた未延伸糸をガラス転
移点以上の温度で予熱し未延伸糸の引き取り速度に応じ
た延伸倍率で4.0〜6.0倍に延伸し、次いで120
〜200℃の温度で熱セットをして巻き取ることにより
得られる。
【0021】本発明においては、特に上記の紡糸速度を
1000m/分以下とすることにより、高倍率延伸によ
る本発明の破断強度・破断伸度と弾性回復率とを両立で
きる上でより好ましい。
1000m/分以下とすることにより、高倍率延伸によ
る本発明の破断強度・破断伸度と弾性回復率とを両立で
きる上でより好ましい。
【0022】このようにえられた合成繊維を用いること
により、もう一つの本願発明であるエアバック用基布を
得ることができる。このとき使用する合成繊維はマルチ
フィラメントとし、延伸後の総繊度は220〜940d
texの範囲とすることが適当である。得られた延伸糸
は、無撚又は有撚状態で整経を行い、織り密度(本/イ
ンチ)×√(糸条繊度)の値が920〜1025の範囲
となるように製織し、精錬、熱セット後130〜200
℃に加熱されたローラーを用いてカレンダー加工を行
い、更に高密度の織物に仕上げ、エアバック用の基布と
する。その際、織物にシワ等が発生しないようにピンテ
ンター等により張力をかけておくことが好ましい。
により、もう一つの本願発明であるエアバック用基布を
得ることができる。このとき使用する合成繊維はマルチ
フィラメントとし、延伸後の総繊度は220〜940d
texの範囲とすることが適当である。得られた延伸糸
は、無撚又は有撚状態で整経を行い、織り密度(本/イ
ンチ)×√(糸条繊度)の値が920〜1025の範囲
となるように製織し、精錬、熱セット後130〜200
℃に加熱されたローラーを用いてカレンダー加工を行
い、更に高密度の織物に仕上げ、エアバック用の基布と
する。その際、織物にシワ等が発生しないようにピンテ
ンター等により張力をかけておくことが好ましい。
【0023】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を詳述する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお実施例中の物性及び測定値は次のようにして求め
た。
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお実施例中の物性及び測定値は次のようにして求め
た。
【0024】(1)固有粘度IV フェノール/テトラクロロエタン=1/1混合溶媒に
て、定法により30℃で測定した。
て、定法により30℃で測定した。
【0025】(2)繊度D JIS−L1013の方法により測定した。
【0026】 (3)破断強度S、破断伸度E、及び初期モジュラスY JIS−L1013の方法により破断強度、破断伸度、
初期モジュラスを測定した。
初期モジュラスを測定した。
【0027】(4)180℃乾熱収縮率 荷重0.88mN/dtex(0.10g/de)を負
荷して原糸長(L0)を測定し、次いで180℃乾熱中
に荷重をかけずに投入し、30分間処理後の糸長L1を
荷重0.88mN/dtex(0.10g/de)を負
荷して測定し、次式より求めた。 HS(%)=(L0−L1)/L0×100
荷して原糸長(L0)を測定し、次いで180℃乾熱中
に荷重をかけずに投入し、30分間処理後の糸長L1を
荷重0.88mN/dtex(0.10g/de)を負
荷して測定し、次式より求めた。 HS(%)=(L0−L1)/L0×100
【0028】(5)伸長弾性回復率 JIS−L1013の定義による伸長弾性率の測定方法
に準拠して行った。繊維を、20℃、65%RHの温湿
度管理された部屋で24時間放置後、引張試験機により
糸長20cm、引張り速度2cm/分で10%伸長後、
直ちに除重し、元のつかみ間隔に戻した後、直ちに2c
m/分の引張り速度で引張った。そして、下記式により
弾性回復率を求めた。 弾性回復率(%)=(L−L1)/L×100 L:10%伸長時の伸び(mm、ここでは20mm) L1:第1回目引張り後の残留ひずみ(mm)
に準拠して行った。繊維を、20℃、65%RHの温湿
度管理された部屋で24時間放置後、引張試験機により
糸長20cm、引張り速度2cm/分で10%伸長後、
直ちに除重し、元のつかみ間隔に戻した後、直ちに2c
m/分の引張り速度で引張った。そして、下記式により
弾性回復率を求めた。 弾性回復率(%)=(L−L1)/L×100 L:10%伸長時の伸び(mm、ここでは20mm) L1:第1回目引張り後の残留ひずみ(mm)
【0029】(6)難燃性(コイル法) JIS−L−1091(D)に従って測定した値であ
る。
る。
【0030】(7)通気度(折畳後) エアバック基布を用いて、60L容量(直径700m
m)のエアバックを作成し、これを左右からそれぞれ4
回蛇腹に折り畳んだあと、上下からそれぞれ4回蛇腹に
折り畳んで、150mm×150mmの大きさにしたあ
と、該折り畳んだエアバックに4kg荷重をかけて30
日間放置した。その後、通気度をJIS−L−1096
フラジール法で測定した値である。
m)のエアバックを作成し、これを左右からそれぞれ4
回蛇腹に折り畳んだあと、上下からそれぞれ4回蛇腹に
折り畳んで、150mm×150mmの大きさにしたあ
と、該折り畳んだエアバックに4kg荷重をかけて30
日間放置した。その後、通気度をJIS−L−1096
フラジール法で測定した値である。
【0031】(8)バースト圧力(折畳後) エアバック基布を用いて、60L容量(直径700m
m)のエアバックを作成し、これを左右からそれぞれ4
回蛇腹に折り畳んだあと、上下からそれぞれ4回蛇腹に
折り畳んで、150mm×150mmの大きさにしたあ
と、該折り畳んだエアバックに4kg荷重をかけて30
日間放置した。その後、伊藤精機(株)高速バースト試
験機に折りたたみ後のエアバックを設置し、40kg/
cm2Gに圧縮した窒素ガスを瞬間的に導入し20から
40msecで破裂させ、その時の圧力値をバースト圧
とする。
m)のエアバックを作成し、これを左右からそれぞれ4
回蛇腹に折り畳んだあと、上下からそれぞれ4回蛇腹に
折り畳んで、150mm×150mmの大きさにしたあ
と、該折り畳んだエアバックに4kg荷重をかけて30
日間放置した。その後、伊藤精機(株)高速バースト試
験機に折りたたみ後のエアバックを設置し、40kg/
cm2Gに圧縮した窒素ガスを瞬間的に導入し20から
40msecで破裂させ、その時の圧力値をバースト圧
とする。
【0032】(9)擦過性 エアバッグ作動時に十分接触する距離にある金属板に、
厚さ10mmの加硫したゴム(硬度70:横河ウェザッ
ク株式会社製YARN HARDNESSで測定した
値)を固定し、エアバッグを作動させたとき、加硫ゴム
表面にできるキズ(5mm以上)を目視判断で評価し
た。 ○:キズ4箇所以下 △:キズ5〜19箇所 ×:キズ20箇所以上
厚さ10mmの加硫したゴム(硬度70:横河ウェザッ
ク株式会社製YARN HARDNESSで測定した
値)を固定し、エアバッグを作動させたとき、加硫ゴム
表面にできるキズ(5mm以上)を目視判断で評価し
た。 ○:キズ4箇所以下 △:キズ5〜19箇所 ×:キズ20箇所以上
【0033】[実施例1]固有粘度0.65のポリトリ
メチレンテレフタレート(PTT)チップを減圧下、1
80℃で固相重合を行い、固有粘度0.85のチップを
得た。このチップを固有粘度に応じて275℃で溶融吐
出し、25℃の冷却風で冷却固化させた後、700m/
分の速度で巻き取った。得られた未延伸糸を70℃加熱
ローラーで予熱した後、延伸倍率5.5倍で延伸し、1
80℃で熱セットを行って470dtex/192fi
lのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊
維に150T/mの撚りを施して平織りに製織し、精練
加工、熱セットを施した。次に金属ロールカレンダーを
用い、線圧が200kg/cm、速度6m/分、温度1
50℃で熱加工を施した。得られたエアバック基布は織
密度が経55本/インチ、緯50本/インチ、厚み0.
22mmの織物であった。得られた実施例の繊維物性と
基布の物性を表1に示す。
メチレンテレフタレート(PTT)チップを減圧下、1
80℃で固相重合を行い、固有粘度0.85のチップを
得た。このチップを固有粘度に応じて275℃で溶融吐
出し、25℃の冷却風で冷却固化させた後、700m/
分の速度で巻き取った。得られた未延伸糸を70℃加熱
ローラーで予熱した後、延伸倍率5.5倍で延伸し、1
80℃で熱セットを行って470dtex/192fi
lのポリエステル繊維を得た。得られたポリエステル繊
維に150T/mの撚りを施して平織りに製織し、精練
加工、熱セットを施した。次に金属ロールカレンダーを
用い、線圧が200kg/cm、速度6m/分、温度1
50℃で熱加工を施した。得られたエアバック基布は織
密度が経55本/インチ、緯50本/インチ、厚み0.
22mmの織物であった。得られた実施例の繊維物性と
基布の物性を表1に示す。
【0034】[実施例2〜4及び比較例1〜5]固相重
合後のチップの固有粘度、溶融温度、紡糸速度、延伸倍
率、延伸温度、熱セット温度を表1のように変更した以
外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維を製糸
し、エアバック基布を得た。得られた実施例並びに比較
例の繊維物性と基布の物性を表1にあわせて示す。
合後のチップの固有粘度、溶融温度、紡糸速度、延伸倍
率、延伸温度、熱セット温度を表1のように変更した以
外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維を製糸
し、エアバック基布を得た。得られた実施例並びに比較
例の繊維物性と基布の物性を表1にあわせて示す。
【0035】[比較例6]固有粘度0.65のポリエチ
レンテレフタレート(PET)チップを減圧下、230
℃で固相重合を行い、固有粘度0.98のチップを得
た。このチップを固有粘度に応じて300℃で溶融吐出
し、25℃の冷却風で冷却固化させた後、700m/分
の速度で巻き取った。得られた未延伸糸を90℃加熱ロ
ーラーで予熱した後、延伸倍率5.2倍で延伸し、20
0℃で熱セットを行って470dtex/192fil
のポリエステル繊維を得た。こうして得られたポリエス
テル繊維を使用した以外は、実施例1と同様にして、エ
アバック布帛を得た。評価結果を表1にあわせて示す。
レンテレフタレート(PET)チップを減圧下、230
℃で固相重合を行い、固有粘度0.98のチップを得
た。このチップを固有粘度に応じて300℃で溶融吐出
し、25℃の冷却風で冷却固化させた後、700m/分
の速度で巻き取った。得られた未延伸糸を90℃加熱ロ
ーラーで予熱した後、延伸倍率5.2倍で延伸し、20
0℃で熱セットを行って470dtex/192fil
のポリエステル繊維を得た。こうして得られたポリエス
テル繊維を使用した以外は、実施例1と同様にして、エ
アバック布帛を得た。評価結果を表1にあわせて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明エアバック基布を構成する合成繊
維は、初期モジュラス、破断強度、破断伸度、伸長弾性
回復率のバランスがよく、これらの相乗効果によって、
これをエアバック基布として耐衝撃性、特に格納後の折
り目に起因する応力集中による耐バースト性が向上し、
通気阻止性が良好で、コンパクトに格納できる上、膨張
時の乗員の顔面への衝撃が減少するノンコートエアバッ
ク基布に要求される性能を高度に満足できる。
維は、初期モジュラス、破断強度、破断伸度、伸長弾性
回復率のバランスがよく、これらの相乗効果によって、
これをエアバック基布として耐衝撃性、特に格納後の折
り目に起因する応力集中による耐バースト性が向上し、
通気阻止性が良好で、コンパクトに格納できる上、膨張
時の乗員の顔面への衝撃が減少するノンコートエアバッ
ク基布に要求される性能を高度に満足できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D03D 1/02 D03D 1/02 15/00 15/00 A Fターム(参考) 3D054 CC26 CC47 FF02 FF03 FF11 FF13 FF18 FF20 4L035 BB31 BB56 BB89 BB91 CC01 EE02 EE08 EE09 EE14 EE20 FF01 FF10 GG05 HH10 4L048 AA22 AA48 AA49 AA50 AA51 AA53 AB07 AC09 AC10 AC11 AC12 AC14 BA01 CA01 CA02 CA03 CA04 CA06 CA11 CA12 CA15 DA25
Claims (4)
- 【請求項1】 表面に樹脂コート層が存在しないエアバ
ック基布用の合成繊維において、下記(a)〜(e)の
物性を同時に満足することを特徴とするエアバック基布
用合成繊維。 (a)初期モジュラスY(cN/dtex) :25≦Y≦60 (b)伸長弾性回復率R(%) :R≧85 (c)破断強度S(cN/dtex) :S≧5.0 (d)破断伸度E(%) :E≧18 (e)180℃乾熱収縮率HS(%) :HS≧10 - 【請求項2】 合成繊維を構成するポリマーが、繰り返
し単位の85モル%以上がポリトリメチレンテレフタレ
ートである請求項1記載のエアバック基布用合成繊維。 - 【請求項3】 合成繊維を構成するポリマーが、2官能
性リン化合物をリン元素として0.3〜1.5重量%含
有する請求項1または2に記載のエアバック基布用合成
繊維 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載のエア
バック基布用合成繊維を用いて製織してなるエアバック
基布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000371256A JP2002173825A (ja) | 2000-12-06 | 2000-12-06 | エアバック基布用合成繊維およびエアバック基布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000371256A JP2002173825A (ja) | 2000-12-06 | 2000-12-06 | エアバック基布用合成繊維およびエアバック基布 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002173825A true JP2002173825A (ja) | 2002-06-21 |
Family
ID=18841009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000371256A Pending JP2002173825A (ja) | 2000-12-06 | 2000-12-06 | エアバック基布用合成繊維およびエアバック基布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002173825A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20120040167A1 (en) * | 2009-04-14 | 2012-02-16 | Kolon Industries, Inc. | Polyester fiber for airbag and preparation method thereof |
CN105177796A (zh) * | 2015-10-20 | 2015-12-23 | 东华大学 | 一种环保安全气囊织物及其制备方法 |
WO2017188262A1 (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | セーレン株式会社 | エアバッグ用基布およびエアバッグ |
-
2000
- 2000-12-06 JP JP2000371256A patent/JP2002173825A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20120040167A1 (en) * | 2009-04-14 | 2012-02-16 | Kolon Industries, Inc. | Polyester fiber for airbag and preparation method thereof |
JP2012524173A (ja) * | 2009-04-14 | 2012-10-11 | コーロン インダストリーズ インク | エアバッグ用ポリエステル原糸及びその製造方法 |
US9758903B2 (en) * | 2009-04-14 | 2017-09-12 | Kolon Industries, Inc. | Polyester fiber for airbag and preparation method thereof |
CN105177796A (zh) * | 2015-10-20 | 2015-12-23 | 东华大学 | 一种环保安全气囊织物及其制备方法 |
WO2017188262A1 (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-02 | セーレン株式会社 | エアバッグ用基布およびエアバッグ |
JPWO2017188262A1 (ja) * | 2016-04-28 | 2019-04-11 | セーレン株式会社 | エアバッグ用基布およびエアバッグ |
US11052862B2 (en) | 2016-04-28 | 2021-07-06 | Seiren Co., Ltd. | Air bag base cloth and air bag |
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