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JP2001232194A - エポキシド製造用触媒、及び該触媒の製法 - Google Patents

エポキシド製造用触媒、及び該触媒の製法

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Publication number
JP2001232194A
JP2001232194A JP2000052194A JP2000052194A JP2001232194A JP 2001232194 A JP2001232194 A JP 2001232194A JP 2000052194 A JP2000052194 A JP 2000052194A JP 2000052194 A JP2000052194 A JP 2000052194A JP 2001232194 A JP2001232194 A JP 2001232194A
Authority
JP
Japan
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catalyst
carrier
epoxide
oxide
reaction
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000052194A
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English (en)
Inventor
Toshio Hayashi
利生 林
Takahiro Inagaki
貴大 稲垣
Masahiro Wada
正大 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
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Priority to US09/788,573 priority patent/US6500967B2/en
Priority to DE10108643A priority patent/DE10108643A1/de
Publication of JP2001232194A publication Critical patent/JP2001232194A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • C07D301/03Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds
    • C07D301/04Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen
    • C07D301/08Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen in the gaseous phase
    • C07D301/10Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with air or molecular oxygen in the gaseous phase with catalysts containing silver or gold
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J23/00Catalysts comprising metals or metal oxides or hydroxides, not provided for in group B01J21/00
    • B01J23/38Catalysts comprising metals or metal oxides or hydroxides, not provided for in group B01J21/00 of noble metals
    • B01J23/48Silver or gold
    • B01J23/52Gold

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  • Materials Engineering (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 不飽和炭化水素を部分酸化してエポキシドを
製造するのに好適に用いられるエポキシド製造用触媒、
該触媒の製法、並びに、該触媒を用いたエポキシドの製
法を提供すること。 【解決手段】 チタン、または、ジルコニウムの少なく
とも一方を含有する酸化物を含んでなる担体に金微粒子
が固定されてなり、NH3 −TPD法にてもとめた酸量
が0.1mmol/g以下であるエポキシド製造用触媒
は、例えば、酸量が0.15mmol/g以下である上
記担体に金微粒子を固定することで製造できる。また、
該構成のエポキシド製造用触媒は、不飽和炭化水素を部
分酸化して対応するエポキシドを製造する際の触媒とし
て好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、分子状水
素などの還元性物質の存在下、分子状酸素を用いてオレ
フィン化合物を部分酸化して対応するエポキシドを製造
する際に好適に用いられるエポキシド製造用触媒、その
製法、及び該エポキシド製造用触媒を用いたエポキシド
の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、チタン含有酸化物に金微粒子
が固定されてなる触媒を用いて、分子状水素などの還元
性物質の存在下、分子状酸素によりオレフィン化合物を
部分酸化することで対応するエポキシドを製造する方法
は知られている(特開平8−127550号公報、特開
平10−5590号公報、特開平10−244156号
公報、特開平11−128743号公報、US−593
9569等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
触媒は、エポキシ化反応の初期段階では或る程度の活性
を示すものの、反応の進行に伴って活性が経時的に低下
する。従って、上記の触媒は、反応が定常状態に達した
段階では、その活性が不充分となってしまうという問題
点を有している。また、活性の低下した触媒に対し、例
えば、酸素含有ガス中で高温度処理を施すことにより該
触媒の再生を試みても、その活性が戻りにくいという問
題点をも有している。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、例えば、不飽和炭化水素を
部分酸化して対応するエポキシドを製造する際に好適に
用いられるエポキシド製造用触媒、その製法、及び該エ
ポキシド製造用触媒を用いたエポキシドの製法を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記の
問題を解決すべく上記従来の触媒について検討した。そ
の結果、チタン、または、ジルコニウムの少なくとも一
方を含有する酸化物を含んでなる担体に金微粒子が固定
されてなる触媒の活性低下がおこる原因は主に触媒自体
の酸点の性質と関係していることが明らかとなった。
【0006】より具体的には、オレフィンのエポキシ化
反応において、製造されたエポキシドはエポキシド製造
用触媒上の酸点により容易に異性化反応を起こし、対応
するアルデヒド類に変化する。例えば、プロピレンオキ
シドが製造される場合には、上記異性化反応によりプロ
ピオンアルデヒドが生成される。さらに上記エポキシド
製造用触媒に対し、異性化反応により生成したプロピオ
ンアルデヒドを単独で接触させると、このエポキシド製
造用触媒自体の重量増加が見られ、かつプロピオンアル
デヒドに接触させた上記エポキシド製造用触媒を用いて
プロピレンのエポキシ化反応を行うと活性の明らかな低
下が観察された。このように、異性化反応で生じたアル
デヒド類は、酸点上で縮合や重合をおこして縮合物や重
合物となり、エポキシド製造用触媒の活性点を被毒する
ことが明らかとなった。
【0007】そこで、本願発明者らは、上記エポキシド
製造用触媒についてさらに鋭意検討した。その結果、酸
点の性質を示す指標の中でも、上記エポキシド製造用触
媒に吸着させたアンモニアの脱離量よりもとめられる
「酸量」が触媒活性維持および触媒活性回復に特に重要
であり、酸量が所定の値の範囲内となるように調製され
たエポキシド製造用触媒は良好な触媒活性を長期間にわ
たり示すとともに、その触媒活性を容易に回復可能であ
ることを見いだした。
【0008】すなわち、本発明にかかるエポキシド製造
用触媒は、上記の課題を解決するために、チタン、また
は、ジルコニウムの少なくとも一方を含有する酸化物を
含んでなる担体に、金微粒子が固定されてなる触媒であ
って、上記触媒に50℃の温度条件下で吸着させたアン
モニアの、50℃〜400℃の温度範囲内での脱離量か
らもとめた酸量が0.1mmol/g以下であることを
特徴としている。
【0009】本発明にかかるエポキシド製造用触媒はま
た、上記の構成に加えて、上記金微粒子が粒子径10n
m以下の超微粒子であることを特徴としている。
【0010】本発明にかかるエポキシド製造用触媒はさ
らに、上記の構成に加えて、上記酸化物が、酸化チタ
ン、チタン含有複合酸化物、チタン含有ケイ酸塩、酸化
ジルコニウム、ジルコニウム酸塩、ジルコニウム含有複
合酸化物、および、ジルコニウム含有ケイ酸塩からなる
群より選択される少なくとも一種類の酸化物であること
を特徴としている。
【0011】本発明にかかるエポキシド製造用触媒の製
法は、上記の課題を解決するために、チタン、または、
ジルコニウムの少なくとも一方を含有する酸化物を含ん
でなり、かつ、50℃の温度条件下で吸着させたアンモ
ニアの、50℃〜400℃の温度範囲内での脱離量から
もとめた酸量が0.15mmol/g以下である担体
に、金微粒子を固定する工程を含んでなることを特徴と
している。
【0012】本発明にかかるエポキシドの製法は、上記
の課題を解決するために、上記のエポキシド製造用触媒
を用いて、還元性物質の存在下、分子状酸素により不飽
和炭化水素を部分酸化することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明にかかるエポキシド製造用
触媒(以下、単に「本発明にかかる触媒」と称する場合
もある)は、チタン、または、ジルコニウムの少なくと
も一方を含有する酸化物を含んでなる担体に、金微粒子
が固定されてなる触媒(以下、単に「金微粒子含有触
媒」と称する場合もある)であって、以下に説明する酸
量が0.1mmol/g以下である構成である。はじめ
に、本発明における「酸量」の定義および測定方法につ
いて説明を行う。
【0014】酸量の測定は、TPD−70(日本ベル社
製の商品名)を測定装置として使用し、次の要領で行っ
た。はじめに、酸量測定の対象物(以下、被測定体と称
する)約0.5gを正確にはかり採り、被測定体を該測
定装置内に導入した。続いて、この測定装置内に流量5
0ml/分でヘリウムガスを流通させながら280℃で
30分間保ち、被測定体に吸着している水を取り除い
た。その後、測定装置内の温度を50℃まで下げ、50
℃・200mmHg(約0.263atm)の条件下
で、アンモニアガスを10分間、被測定体に吸着させ
た。続いて、測定装置内を10-3mmHg(約1.31
×10-6atm)の真空度となるまで排気した後、流量
50ml/分でヘリウムガスを流通させながら測定装置
内の温度を10℃/分の昇温速度で50℃から400℃
まで昇温し、その間に脱離するアンモニアをマススペク
トロメータにて定量した。本発明における「酸量」と
は、上記脱離するアンモニアのモル数(mmol)を被
測定体の重量(g)で除した値をさすものとする。な
お、上記説明のアンモニアの脱離量の測定方法を、以
下、NH3 −TPD法と称する場合もある。
【0015】上記金微粒子含有触媒の酸量が0.1mm
ol/g以下の場合(すなわち本発明にかかる触媒)に
は、不飽和炭化水素の部分酸化反応に対する触媒活性が
高く、対応するエポキシドを高収率かつ高選択率で製造
することが可能である。加えて良好な触媒活性が従来品
と比較して長期間維持される。さらに、一旦低下した触
媒活性を、例えば、酸素含有ガスを用いて熱処理を行う
などの方法で容易に回復(賦活)させることが可能であ
る。
【0016】一方、上記金微粒子含有触媒の酸量が0.
1mmol/gを超える場合には、触媒活性の経時低下
が著しく大きくなる。また、エポキシ化反応に数百時間
使用した後に、例えば、該金微粒子含有触媒を酸素含有
ガスの存在下で100℃から500℃まで昇温して熱処
理を行い再生を試みても、活性の回復度合いが著しく不
良となる。
【0017】なお、金微粒子含有触媒の活性低下の度合
いや活性回復の度合いは、上記説明のように、その酸点
の性質の中でも酸量に特に大きく影響されるが、酸点の
性質の他の尺度である「酸点の強度」にも影響される。
具体的には、上記NH3 −TPD法において、脱離して
くるアンモニアの脱離ピーク温度が150℃以下である
ことがより好ましい。このピーク温度が150℃を超え
ると酸点の強度が強くなり過ぎるため生成したエポキシ
ドの重合や縮合が起こりやすくなる。加えて、一旦生成
した重合物や縮合物の金微粒子含有触媒からの脱離は困
難であるので、活性の低下した金微粒子含有触媒の再生
もより困難となる。
【0018】本発明にかかる触媒の製法は、特に限定さ
れるものではないが、例えば、チタン、または、ジルコ
ニウムの少なくとも一方を含有する酸化物を含んでな
り、かつ、上記説明の酸量が0.15mmol/g以下
である担体に、金微粒子を固定して製造することができ
る。
【0019】また、酸量が上記値の範囲内に調整されて
なる担体(酸量調整前の担体については以下に詳細に説
明する)の調製方法には、例えば、1)アルカリ金属元
素;アルカリ土類金属元素;希土類元素;タリウム元
素;から選択される少なくとも一種類の元素がさらに担
持されるように、担体を調製する方法(酸量調整元素共
担持法と称する)、2)金化合物を付着あるいは結合さ
せる前に、担体と、アルコール類;ケトン類;エーテル
類;エステル類;などから選択される少なくとも一種類
の有機化合物とを、水の非存在下で必要に応じて加熱環
境を用意して接触させ、続いて150℃〜450℃の温
度範囲内で熱処理を施す方法(接触・熱処理法と称す
る)、3)シリル化剤を用いて、担体をシリル処理する
方法(シリル化処理法と称する)、4)担体を少なくと
も一種類の電子供与性化合物にて処理する方法(電子供
与性化合物処理法と称する)、5)担体を、500℃〜
1,200℃、より好ましくは750℃〜1,000℃
の範囲内の温度雰囲気下で熱処理する方法(高温焼成処
理法と称する)、などを挙げることができる。これらの
方法を使用すれば、酸量が低減されて0.15mmol
/g以下の値を示す担体を、容易に調製することが可能
となる。
【0020】上記1)の酸量調整元素共担持法に使用さ
れるアルカリ金属元素としては、具体的には、例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウ
ム、フランシウムが挙げられる。アルカリ土類金属元素
として、具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げら
れる。希土類元素としては、具体的には、ランタン、セ
リウム、サマリウム等が挙げられる。また、使用可能な
他の元素としてはタリウム元素が挙げられる。上記例示
の元素のうち、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
およびバリウムがより好ましい。なお、これらの元素の
単独あるいは合計の含有量は、調製される担体の酸量が
0.15mmol/g以下となる限りにおいて特に限定
されるものではないが、0.001重量%〜20重量%
の範囲内が好ましく、0.005重量%〜5重量%の範
囲内がより好ましく、0.01重量%〜2重量%の範囲
内がさらに好ましい。
【0021】なお、いうまでもないが、チタン、また
は、ジルコニウムの少なくとも一方を含有する酸化物を
含んでなる担体が、該酸化物をシリカ等の支持体上に固
定(担持)してなるものである場合には、上記の元素は
該酸化物が担持される以前に支持体上に固定されてもよ
く、該酸化物が担持されると同時、または担持された後
に支持体上に担持されてもよい。
【0022】上記2)の接触・熱処理法において、担体
と有機化合物とを接触させる形態は特に限定されるもの
ではない。例えば、a)液状の上記有機化合物中に担体
を浸漬してもよく、b)液状の上記有機化合物で担体を
洗浄してもよく、c)気体状の上記有機化合物に担体を
曝してもよい。また、接触・熱処理法に使用されるアル
コール類としては、具体的には、例えば、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、オクチルアルコール、エチレング
リコール等が挙げられる。ケトン類として、具体的に
は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等が挙げられる。エーテル類として、具体的に
は、テトラヒドロフラン、ジイソブチルエーテル等が挙
げられる。エステル類としては、具体的には、例えば、
酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げ
られる。
【0023】なお、担体と有機化合物との接触を加熱環
境下で行う場合、加熱条件は、室温を超え1000℃以
下の温度範囲内であることがより好ましく、50℃〜3
00℃の温度範囲内であることがさらに好ましい。ま
た、処理時間や、使用される有機化合物の量・種類等
は、接触・熱処理後の担体の酸量が0.15mmol/
g以下となるように設定すればよい。
【0024】上記3)のシリル化処理法に使用されるシ
リル化剤としては、具体的には、例えば、有機シラン、
有機シリルアミン、有機シラザン等を挙げることができ
る。有機シランとして、具体的には、例えば、クロロト
リメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、クロロブロ
モジメチルシラン、ニトロトリメチルシラン、クロロト
リエチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ジメ
チルプロピルクロロシラン、ジメチルオクチルクロロシ
ラン、トリブチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロ
ロシラン、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメ
チルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジ
フェニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、エトキ
シトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエ
トキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エ
チルトリエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシ
ラン、メトキシトリプロピルシラン、ブチルトリメトキ
シシラン、オクチルトリメトキシシラン、アセトキシト
リメチルシラン等が挙げられる。
【0025】有機シリルアミンとして、具体的には、例
えば、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミ
ノトリメチルシラン、N−トリメチルシリルジメチルア
ミン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、メチル
シラトラン、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−
トリメチルシリルピロリジン等が挙げられる。
【0026】有機シラザンとして、具体的には、例え
ば、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザ
ン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3
−ジフェニルテトラメチルジシラザン等が挙げられる。
【0027】その他のシリル化剤として、具体的には、
例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−シア
ノプロピルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリメ
トキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、
ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3,3,
4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルト
リクロロシラン、トリメチルシリルトリフルオロメタン
スルホナート、N,O−ビストリメチルシリルアセトア
ミド、N−トリメチルシリルアセトアミド、N,N’−
ビストリメチルシリル尿素等が挙げられる。
【0028】なお、シリル化処理の処理時間や、使用さ
れるシリル化剤の量・種類等は、該処理後の担体の酸量
が0.15mmol/g以下となるように設定すればよ
い。
【0029】上記4)の電子供与性化合物処理法に使用
される電子供与性化合物としては、具体的には、窒素含
有化合物、イオウ含有化合物、リン含有化合物等が挙げ
られる。窒素含有化合物としては、例えば、モルフォリ
ンおよびその誘導体、等の脂肪族アミン;アニリン、ピ
リジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、ピロール、イ
ンドール、カルバゾール、およびこれら化合物の誘導
体、等の芳香族アミン;等が挙げられるが、特にこれら
に限定されるものではない。上記窒素含有化合物は、1
級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであっても
よい。イオウ含有化合物としては、例えば、フェニルメ
ルカプタン等のチオール類、スルフィド類、ジスルフィ
ド類、チオフェン、ベンゾチオフェン、およびこれら化
合物の誘導体等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。リン含有化合物としては、例えば、1級ホスフ
ィン類、2級ホスフィン類、3級ホスフィン類、ホスフ
ィンオキシド類、等が挙げられるが、特に限定されるも
のではない。
【0030】なお、電子供与性化合物処理の処理時間
や、使用される電子供与性化合物の量・種類等は、該処
理後の担体の酸量が0.15mmol/g以下となるよ
うに設定すればよい。
【0031】上記5)の高温焼成処理法において熱処理
に供される雰囲気としては、具体的には、例えば、酸素
ガス含有雰囲気、水素ガス含有雰囲気、並びに、アルゴ
ン、ヘリウム、窒素などの不活性ガス含有雰囲気等が挙
げられる。なお、高温焼成処理の処理時間等は、該処理
後の担体の酸量が0.15mmol/g以下となるよう
に設定すればよい。
【0032】これらの1)〜5)に示した担体の酸量調
整方法は、単独で使用してもよく、場合によっては複数
を組み合わせて使用してもよい。
【0033】本発明において、上記酸量調整方法により
酸量が0.15mmol/g以下となるべく処理される
「担体」とは、1)チタン、または、ジルコニウムの少
なくとも一方を含有する酸化物を含んでなり、2)金微
粒子を担持可能であり、さらに、3)処理前の酸量が
0.15mmol/gを超えている担体であれば特に限
定されるものではない。
【0034】上記チタン、または、ジルコニウムの少な
くとも一方を含有する酸化物(以下、単に酸化物と称す
る場合もある)の種類は特に限定されるものではない
が、チタンを含有する酸化物(チタン含有酸化物)とし
て具体的には、例えば、酸化チタン、チタン含有複合酸
化物、チタン含有ケイ酸塩、などが挙げられる。これら
チタン含有酸化物の中でも比表面積の比較的大きなもの
が特に好適である。なお、チタン含有酸化物の形状は特
に限定されるものではなく、例えば粉体状で用いてもよ
い。
【0035】上記のチタン含有酸化物のうち、酸化チタ
ンはその一次粒子径が10nm〜200nmの範囲内で
あり、かつ、比表面積が5m2 /g以上と比較的大きな
値を示すものがより好ましい。なお、酸化チタンの一次
粒子径および比表面積は特に上記例示の範囲内に限定さ
れるものではない。
【0036】上記チタン含有複合酸化物とは、チタンが
酸素原子を介して他の元素、例えばケイ素と化学的に結
合されてなる複合物であれば特に限定されるものではな
い。具体的には、例えば、チタニア−シリカ、チタニア
−アルミナ、チタニア−ジルコニアなどの、比較的高い
比表面積を有するチタン含有複合物であることがより好
ましい。これらチタン含有複合酸化物のなかでも、特に
50m2 /g以上の比表面積を有する酸化物担体に、酸
化チタンを高分散密度で担持させた物がより好適であ
る。
【0037】上記チタン含有ケイ酸塩は、チタンを含有
してなるケイ酸塩であれば特に限定されるものではな
い。なかでも、シリカ骨格中にチタンを含有させた多孔
体であることが好ましく、特に、比表面積が比較的大き
く、チタン原子(Ti4+)が孤立してケイ酸塩中に高密
度で分散してなる構造であることが好ましい。このよう
なチタン含有ケイ酸塩は公知であり、例えば、ゼオライ
ト(X,Y型、ZSM−5、ZSM−48など)系材料
をなすアルミニウム原子の一部がチタン原子で置換さ
れ、チタン原子がゼオライト格子中に組み込まれた材
料;大きな細孔(メソポア)を有するメソポーラスシリ
カ(MCM−41、MCM−48、MCM−50等)の
一部をチタン原子で置換した材料;チタンとケイ素との
複合酸化物でミクロポーラスなチタノシリカライト(い
わゆる、TS−1、TS−2等);等が望ましい。ま
た、これらのチタン含有ケイ酸塩上に、酸化チタンを微
小量、高分散密度で担持させたものを用いることもでき
る。
【0038】チタン含有ケイ酸塩におけるチタンとケイ
素との原子比率(Ti/Si)は、0.1/100〜2
0/100の範囲内であることが好ましく、1/100
〜10/100の範囲内であることがより好ましい。チ
タンの比率が上記範囲よりも少ないチタン含有ケイ酸塩
を用いて得られる触媒は、例えばシリカ単体を担体とし
て用いて得られる触媒と実質的に同一の触媒特性とな
る。従って、不飽和炭化水素であるオレフィンの選択的
な部分酸化を生じさせることが全くできないので好まし
くない。
【0039】一方、ジルコニウムを含有する酸化物(以
下、場合によってはジルコニウム含有酸化物と称する)
として、具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、ジル
コニウム酸塩、ジルコニウム含有複合酸化物、ジルコニ
ウムを含有し細孔構造を有するケイ酸塩(ジルコニウム
含有ケイ酸塩と称する場合もある)などが挙げられる。
これらジルコニウム含有酸化物の中でも比表面積の比較
的大きなものが特に好適である。なお、チタン含有酸化
物の形状は特に限定されるものではなく、例えば粉体状
で用いてもよい。
【0040】上記の酸化ジルコニウムには、非晶質およ
び結晶質の酸化物の双方がその範疇に含まれる。二酸化
ジルコニウムを例に挙げると、例えば、単斜晶、斜方
晶、正方晶、などの結晶相のものが、上記結晶質の酸化
物として含まれる。
【0041】上記のジルコニウム酸塩もまた、非晶質状
であっても結晶質状であってもよい。ジルコニウム酸塩
として、具体的には、例えば、アルカリ金属(メタ
ル)、アルカリ土類金属(メタル)、ランタノイド金属
(メタル)、またはアクチノイド金属(メタル)のジル
コニウム酸塩が挙げられる。より具体的には、マグネシ
ウムジルコネートや、ナトリウムジルコネートなどが挙
げられる。
【0042】上記のジルコニウム含有複合酸化物とは、
ジルコニウムが酸素原子を介して他の元素、例えばケイ
素と化学的に結合されてなる複合物であれば特に限定さ
れるものではない。具体的には、例えば、非晶質あるい
は結晶質(結晶性)シリカにジルコニウムを高分散させ
てなる酸化物;マグネシウムシリケートやバリウムシリ
ケート上にジルコニウムを分散させてなる酸化物;など
が挙げられる。
【0043】上記のジルコニウムを含有し細孔構造を有
するケイ酸塩(ジルコニウム含有ケイ酸塩)には、非晶
性(非晶質)あるいは結晶性のジルコノシリケートが挙
げられる。ジルコノシリケートに含有されるジルコニウ
ム原子は、ケイ酸塩内のケイ素原子に置き換わっている
場合が多い。具体的には、例えば、ゼオライトやモレキ
ュラーシーブ構造を有したジルコノシリケートが挙げら
れ、細孔に関してもミクロ細孔やメゾ細孔を有したジル
コノシリケートが挙げられる。より具体的には、ZSM
−5、ZSM−11、ゼオライトベータ、並びにMCM
−41などにジルコニウムが組み込まれてなるジルコノ
シリケートが挙げられる。
【0044】本発明における「担体」とは、上記説明
の、チタン、または、ジルコニウムの少なくとも一方を
含有する酸化物1種類のみから構成されるものであって
もよく、場合によっては、該酸化物を複数種組み合わせ
て構成されるものであってもよい。また、最終的に製造
されるエポキシド製造用触媒の活性向上を目的として、
例えば、これら酸化物を予め成型された支持体(以下に
説明する)上に固定化したものを上記担体として使用す
ることもできる。
【0045】上記「支持体」としては、チタンおよびジ
ルコニウムの双方を含有しない金属酸化物や各種金属か
らなる材料を用いることが可能である。該支持体とし
て、具体的には、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)や、
金属酸化物としてのアルミナ、マグネシア、コージエラ
イト、酸化ジルコニウム、並びにこれら酸化物の複合体
としてのセラミックス;各種金属からなる発泡体、ハニ
カム担体(支持体)、並びにペレット;などが挙げられ
る。上記例示の支持体は、一種類のみを使用してもよ
く、必要に応じて二種類以上を使用してもよい。
【0046】本発明にかかる触媒の活性をより向上させ
る観点からは、上記例示の支持体のなかでもアルミナま
たはシリカの少なくとも一方を含有するものがより好ま
しく、シリカを含有するものが特に好ましい。なお、こ
こで、「アルミナまたはシリカを含有する」とは、支持
体がゼオライト(アルミノシリケート)やシリカアルミ
ナを含有する場合も含むものとする。
【0047】また、上記支持体の結晶構造、形状、大き
さなどは特に限定されるものではないが、比表面積が5
0m2 /g以上であることがより好ましく、100m2
/g以上であることがさらに好ましい。比表面積が上記
値の範囲内である場合には、反応生成物の逐次酸化など
の副反応がより一層抑制される。すなわち、反応基質を
酸化して目的とする反応生成物のみを生成する反応がよ
り選択的・効率的に行われるので、本発明にかかる触媒
の触媒性能はより一層向上される。
【0048】チタン、または、ジルコニウムの少なくと
も一方を含有する酸化物を支持体上に固定する場合にお
ける両者の比率は特に限定されるものではないが、該酸
化物と支持体との重量比(酸化物重量:支持体重量)
が、1:100〜50:100の範囲内であることがよ
り好ましい。
【0049】上記酸化物を支持体上に固定化する(担持
させる)方法は特に限定されるものではないが、上記支
持体としてシリカやアルミナなどを含んでなるものを使
用する場合には、例えば、アルコキシドを用いたゾル−
ゲル法;混練法;コーティング法;などの従来公知の方
法が使用可能である。これらの方法により、上記酸化物
を、いわゆる島状構造をなすように支持体上に分散・担
持させることが可能となる。
【0050】本発明にかかる触媒の構成元素として、該
触媒の活性をさらに向上させることを目的として、更に
バナジウム、モリブデン、マンガン等の5A〜7A族元
素;鉄、コバルト、ルテニウム等の8族元素;銅、亜
鉛、アルミニウム、すず等の1B〜4B元素;リン、イ
オウ等の5B〜6B元素;塩素などの7B族元素;など
を上記担体に担持(含有)させることが可能である。例
えば、アルミニウムやモリブデンなどの酸性元素が含有
されていても、上記説明のように酸量を低下させる処方
により、本発明にかかる触媒の「酸量」を上記規定の範
囲内とすることが可能となる。
【0051】酸量が0.15mol/g以下となるべく
処理された上記担体(より具体的には、担体に含まれる
チタン含有酸化物、および/または、ジルコニウム含有
酸化物)に金微粒子を固定することで、本発明にかかる
エポキシド製造用触媒が製造される。この金微粒子の大
きさは特に限定されるものではないが、粒子径が10n
m以下である、いわゆる超微粒子がより好適である。ま
た、上記担体における金の担持量は、担体に含まれるチ
タン含有酸化物およびジルコニウム含有酸化物の総重量
を基準として、0.001重量%以上が好ましく、0.
01〜20重量%の範囲内がより好ましく、0.02重
量%〜10重量%の範囲内がさらに好ましい。金の担持
量が0.001重量%よりも少ないと、エポキシド製造
用触媒の活性が低下するので好ましくない。一方、金の
担持量を20重量%よりも多くしても、金を上記の範囲
内で担持させた場合と比較して、エポキシド製造用触媒
の活性の更なる向上は殆ど望めず、金が無駄になるので
好ましくない。
【0052】金微粒子を上記担体に担持させるには、チ
タンまたはジルコニウムの少なくとも一方を含有する酸
化物を含んでなる担体に金微粒子を固定する際に使用さ
れる方法を、特に限定なく採用できる。具体的には、例
えば、1)気相蒸着法を採用して担体上に金化合物が蒸
着されてなる金含有固形物を得、これを焼成する方法
や、2)適当な溶媒に金化合物が溶解されてなる溶液を
調整し、この溶液に上記担体を投入した後に該溶液から
溶媒を除去する工程(工程Aとする)、および、溶媒除
去後に残る金含有固形物を熱処理(焼成)する工程(工
程Bとする)をこの順に含んでなる方法が挙げられる。
これにより、金微粒子が担体上に固定されてなる金含有
複合体、すなわち、本発明にかかるエポキシド製造用触
媒が製造される。なお、上記工程Aとしては、共沈法、
析出沈澱法や、以下にも説明する含浸法、浸析法、並び
にイオン交換法などの一般的な方法が用いられる。
【0053】上記の含浸法では、担体を、金化合物が均
一に溶解されてなる溶液に投入後、一定時間放置し、続
いて溶媒を留去(除去)することにより、その表面に溶
媒中の金化合物が付着あるいは結合されてなる担体(金
含有固形物)が得られる。溶媒の留去は、例えばエバポ
レータ等の装置を用いて減圧下または常圧下で行うこと
ができ、その際に加温してもよい。
【0054】上記の浸析法では、担体を、金化合物が均
一に溶解されてなる溶液に投入後、一定時間静置あるい
は撹拌し、続いて溶液がろ過される。これにより、その
表面に溶媒中の金化合物が付着あるいは結合されてなる
担体(金含有固形物)がろ別される。ろ別された金含有
固形物は、必要に応じて適当な溶媒で洗浄してもよい。
担体投入後の溶液を静置あるいは撹拌する際の温度は、
使用される金化合物の熱安定性を考慮して決められる
が、一般には0℃〜150℃の範囲内であることがより
好ましい。また、上記溶液を静置あるいは撹拌する時間
は特に限定されるものではないが、1秒〜24時間の範
囲内であることがより好ましい。
【0055】上記のイオン交換法では、イオン交換能の
ある担体を、金化合物が均一に溶解されイオンとして存
在する溶液に投入後、一定時間静置あるいは撹拌し、続
いて溶液がろ過される。これにより、その表面に溶媒中
の金化合物が結合されてなる担体(金含有固形物)がろ
別される。ろ別された金含有固形物は、必要に応じて適
当な溶媒で洗浄してもよい。担体投入後の溶液を静置あ
るいは撹拌する際の温度は、使用される金化合物の熱安
定性を考慮して決められるが、一般には0℃〜150℃
の範囲内であることがより好ましい。また、上記溶液を
静置あるいは撹拌する時間は特に限定されるものではな
いが、1秒〜24時間の範囲内であることがより好まし
い。なお、上記金化合物を溶解する溶媒や、金含有固形
物を洗浄する溶媒としては、水を好適に使用することが
できる。
【0056】上記工程Aに用いられる金化合物として
は、具体的には、例えば、テトラクロロ金(III) 酸など
の塩化金酸;テトラクロロ金(III) 酸ナトリウムなどの
塩化金酸ナトリウム;シアン化金(I) やジシアノ金(I)
酸カリウムなどのシアン化金およびシアン化金カリウ
ム;ジエチルアミン金(III) 三塩化物;塩化金エチレン
ジアミン四酢酸塩;(CH3 2 Au(CH3 COCH
COCH3 );(CH3 2 Au(CF3 COCHCO
CH3 );(CH3 2 Au(CF3 COCHCOCF
3 );(C2 5 2 Au(CH3 COCHCOC
3 );(CH3 2 Au(C6 5 COCHCOCF
3 );CH3 AuP(CH3 3 ;AuP(CH3 3
Cl;AuP(CH3 3 NO3 ;Au(PPh3 )N
3 ;AuCH3(PPh3 );AuCl(PP
3 );Au2 (CH3 6 ;Au(CH3 6(PP
3 );などが挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。
【0057】上記工程Aに用いられる溶媒は、上記金化
合物を溶解できるものであれば特に限定されるものでは
ない。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、
エーテル類、エステル類、及び炭化水素類等が挙げられ
る。アルコール類としては、具体的には、例えば、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、オクチルアルコール、エ
チレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、
具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル類と
しては、具体的には、例えば、テトラヒドロフラン、ジ
イソブチルエーテル等が挙げられる。エステル類として
は、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プ
ロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類として
は、具体的には、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレ
ン等が挙げられる。
【0058】また、溶液における金化合物の濃度は特に
限定されるものではないが、上記含浸法または浸析法を
採用する場合には、0.01mmol/L〜100mm
ol/Lの範囲内であることがより好ましい。
【0059】上記工程Bでは、上記工程Aにて得られた
金含有固形物に対する熱処理(焼成)が施され、担体に
付着あるいは結合されてなる金化合物が、金微粒子とし
て担体に固定される。その結果、本発明にかかるエポキ
シド製造用触媒が製造される。
【0060】金含有固形物に対する焼成条件は特に限定
されるものではないが、温度条件が50℃〜800℃の
範囲内であり、また焼成時間が1時間〜24時間の範囲
内であることがより好ましい。なお上記工程Aにて得ら
れた金含有固形物から溶媒を完全に除去するために、工
程Bに供する前に該固形物を乾燥することもできる。
【0061】本発明にかかるエポキシドの製法、即ち、
上記構成のエポキシド製造用触媒を用いて不飽和炭化水
素を部分酸化する反応(エポキシ化反応)の反応形態は
特に限定されるものではなく、例えば具体的には、固定
床式、流動床式、移動床式等を挙げることができる。ま
た、該反応は、気相で行うことが望ましいが、液相で行
うこともできる。以下の説明においては、上記の反応を
気相で行う場合を例に挙げることとする。
【0062】上記の製造方法において、原料として用い
られる不飽和炭化水素は、オレフィン二重結合を有する
化合物であればよく、特に限定されるものではないが、
炭素数3〜12の化合物がより好ましい。該不飽和炭化
水素としては、具体的には、例えば、プロピレン、1−
ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−
ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−
ブテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセ
ン、3−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メ
チル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、シク
ロヘキセン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メ
チル−1−シクロペンテン等のオレフィンが挙げられ
る。不飽和炭化水素の二重結合が酸化されることによ
り、対応するエポキシドが生成される。
【0063】エポキシド製造用触媒の使用量は、金微粒
子の担持量や、不飽和炭化水素の種類、反応条件等に応
じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、
反応時の不飽和炭化水素の空間速度(SV)が100h
-1・ml/g・cat.〜10,000hr-1・ml/g
・cat.(触媒1g当たりの空間速度)の範囲内となる量
が好適である。
【0064】還元性物質としては、特に限定されない
が、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、一酸化二窒素、ア
ルコール類、アルデヒド類、フェノール類、ギ酸類、シ
ュウ酸類、及びシクロヘキサジエン類から選ばれた少な
くとも1種の物質がより好ましく、水素が特に好まし
い。
【0065】還元性物質の使用量は特に限定されるもの
ではないが、還元性物質と不飽和炭化水素との体積比
(還元性物質/不飽和炭化水素)が1/10〜100/
1の範囲内となる量が好適である。そして、還元性物質
の割合が多い程、反応速度が大きくなるので、上記の体
積比は100/1に近い方がより好ましい。反応系に還
元性物質が存在することによって、50℃以下の低温条
件下においても、エポキシドが生成される。尚、反応系
に還元性物質が存在しない場合には、200℃以上の温
度で不飽和炭化水素の反応が起こるものの、エポキシド
は殆ど生成せず、完全酸化されて二酸化炭素および水が
生成する。
【0066】酸素の使用量は、特に限定されるものでは
ないが、酸素と不飽和炭化水素との体積比(酸素/不飽
和炭化水素)が1/10〜10/1の範囲内となる量が
好適である。酸素の使用量が上記範囲よりも少ないと、
エポキシドの収率が低下するので好ましくない。一方、
酸素の使用量を上記範囲より多くしても、上記の範囲内
で使用した場合と比較して、エポキシドの更なる収率向
上は望めず、選択率が低下するので好ましくない。
【0067】本発明にかかるエポキシドの製法において
は、不飽和炭化水素、水素などの還元性物質および酸素
を含む原料ガスと、本発明にかかるエポキシド製造用触
媒とを接触させることにより、該不飽和炭化水素の部分
酸化反応が進行する。従って、反応方法としては、例え
ば、反応装置にエポキシド製造用触媒を充填し、該反応
装置内に上記の原料ガスを流通させる方法が好適であ
る。これにより、目的物であるエポキシドを含む生成ガ
スを得ることができる。原料ガスは、必要に応じて、窒
素や、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス
によって希釈されていてもよい。不活性ガスの使用量
は、特に限定されるものではない。尚、反応方式は、特
に限定されるものではないが、上記の反応がいわゆる気
相不均一触媒反応であるので、連続方式が好適である。
【0068】反応温度は、不飽和炭化水素の種類やエポ
キシド製造用触媒との組み合わせ等に応じて設定すれば
よく、特に限定されるものではないが、不飽和炭化水素
やエポキシドが気体として存在し得る温度、例えば、0
℃〜350℃の範囲内がより好適であり、20℃〜28
0℃の範囲内がさらに好適である。反応温度が極端に低
いと、エポキシドの収率が低下するので好ましくない。
一方、反応温度が極端に高いと、不飽和炭化水素やエポ
キシドが完全酸化されて二酸化炭素および水が生成し、
エポキシドの選択率が低下すると共に、燃焼によって消
費される還元性物質の量が増加するので好ましくない。
【0069】反応圧力は、反応温度等の反応条件に応じ
て設定すればよく、特に限定されるものではないが、不
飽和炭化水素やエポキシドが気体として存在し得る圧
力、例えば、0.01MPa〜2MPaの範囲内が好適
である。反応圧力が極端に低いと、エポキシドの収率が
低下するので好ましくない。一方、反応圧力が極端に高
いと、エポキシドの収率は向上するものの、コンプレッ
サー等の設備が必要となるので、実用的(工業的)では
ない。反応時間は、反応温度や反応圧力等の反応条件に
応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0070】本発明にかかるエポキシドの製法において
は、気相で直接酸化することにより、つまり、気相酸化
反応することにより、反応工程が一工程(一段階)とな
り、不飽和炭化水素からエポキシドを高収率かつ高選択
率(高転化率)で得ることができるとともに、燃焼され
る還元性物質の量を低減することができるので、還元性
物質の消費量を従来の方法と比較して少なくすることが
できる。即ち、不飽和炭化水素からエポキシドを高収率
かつ高選択率で得ることができる製法を提供することが
できる。
【0071】尚、不飽和炭化水素を部分酸化する反応を
液相で行う場合には、回分式、半回分式、連続流通式の
種々の反応形式を採用することができる。液相反応にお
ける反応温度並びに反応圧力は、不飽和炭化水素やエポ
キシドが気体として存在し得る温度並びに圧力、例え
ば、温度は150℃以下、圧力は0.05MPa〜10
MPaの範囲内が好適である。
【0072】或いは、反応に対して不活性な溶媒を用い
て、上記の反応を液相で行うこともできる。溶媒を用い
る反応方法としては、例えば、本発明にかかるエポキシ
ド製造用触媒を溶媒に懸濁させてなる懸濁液に、前記の
原料ガスをバブリングさせる方法が好適である。該溶媒
としては、例えば、ベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化
メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。また、溶媒の使用量は、特
に限定されるものではない。
【0073】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0074】〔実施例1〕酸化チタン(II) アセチルア
セトナート2.96g、30重量%濃度のカリウムメト
キシド メチルアルコール溶液0.36g、並びにナト
リウムメトキシド0.07gを含んでなるメチルアルコ
ール溶液500mlに、支持体としての酸化ケイ素(商
品名・シリカQ−10,富士シリシア化学株式会社製;
比表面積326m2 /g、10メッシュ〜20メッシ
ュ、粒子径840μm〜1700μm)60gを浸漬し
た後、エバポレータを用いてメチルアルコールを留去し
た。
【0075】得られた固形残存物を120℃で12時間
乾燥させた後、空気中で600℃・3時間の条件で焼成
することにより本発明における担体(酸化チタン担持酸
化ケイ素)Aを得た。担体Aにおける酸化チタン(チタ
ニア:チタン含有酸化物)の割合(担持量)は1.5重
量(質量)%であった。また、担体Aにおけるナトリウ
ム(アルカリ金属元素)並びにカリウム(アルカリ金属
元素)の割合(担持量)を蛍光X線分析法により分析し
た結果、メタル換算でナトリウムは0.05重量%、カ
リウムは0.1重量%であった。さらに、上記NH3
TPD法にて測定した担体Aの酸量は0.067mmo
l/gであり、0.15mmol/g以下であるとの条
件を満たしていた。
【0076】次に、金化合物としてのジメチル金アセチ
ルアセトナート0.0326g(0.10mmol)を
溶解してなるメチルアルコール溶液100mlに、担体
Aを50g浸漬し、エバポレータを用いて常圧下でメチ
ルアルコールを留去した。続いて、得られた金含有固形
物を、空気中で300℃・3時間の条件で焼成すること
により、担体Aに金微粒子が担持(固定)されてなる触
媒(Au−Na−K−Ti−SiO2 )を得た。この触
媒における金の担持量を蛍光X線分析法で分析した結
果、メタル換算で0.04重量%であった。また、上記
NH3 −TPD法にて測定した該触媒の酸量は0.04
3mmol/gであり、本発明にかかるエポキシド製造
用触媒(触媒Aと称する)であることが確認された。
【0077】次に、上記触媒A 2.5ml(cc)を
内径10mmの反応管に充填し、触媒層の温度を200
℃に保ちながら、原料ガスを流量5,000hr-1・m
l/g・cat.(常温・常圧時換算値)にて流通させ、プ
ロピレンのエポキシ化反応を行った。なお、上記の原料
ガスとは、水素、酸素、プロピレン、およびアルゴン
を、体積比(水素/酸素/プロピレン/アルゴン)が2
0/20/20/40となるように混合されてなる混合
ガスである。
【0078】そして、反応開始0.5時間後、50時間
後、100時間後、500時間後に反応管出口のガスを
採取し、ガスクロマトグラフィーを用いてその組成を分
析し、プロピレンオキシド(エポキシド)の収率(収率
Aとする)の経時的な変化を調べた。触媒Aの酸量、並
びに収率の測定結果を表1にまとめた。
【0079】また、未使用の触媒Aを別に用意し、該触
媒Aを用いて上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を500時間行った。反応後、反応系より触
媒Aを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で
含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度条件下で触
媒Aに30分間の熱処理(再生処理)を施し、触媒活性
の再生を試みた。
【0080】続いて、熱処理後の触媒Aを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポキシ化反
応を再度行ったところ、反応開始0.5時間後、50時
間後、100時間後、500時間後のプロピレンオキシ
ドの収率(収率A’とする)は、順に、3.3%、2.
7%、2.3%、1.9%、であった。すなわち、本発
明にかかる触媒Aの再生率(収率A’/収率A×100
(%))はいずれも80%〜100%の範囲内にあり、
再生処理により十分実用に耐え得る触媒活性に容易に回
復可能であることが判明した。
【0081】〔比較例1〕酸化チタン(II) アセチルア
セトナート2.96gを含んでなるメチルアルコール溶
液500mlに、酸化ケイ素(実施例1のものと同じ)
60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアル
コールを留去した。
【0082】得られた固形残存物を120℃で12時間
乾燥させた後、空気中で400℃・3時間の条件で焼成
することにより担体(1)を得た。担体(1)における
酸化チタン(チタニア)の担持量は1.5重量%であっ
た。また、上記NH3 −TPD法にて測定した担体
(1)の酸量は0.153mmol/gであり、0.1
5mmol/g以下であるとの条件を満たしていなかっ
た。
【0083】次に、担体Aに代えて担体(1)を使用し
た以外は、上記実施例1と同様の方法により該担体
(1)に金微粒子を固定し、比較用触媒(1)を得た。
比較用触媒(1)における金、ナトリウム、並びにカリ
ウムの担持量を蛍光X線分析法で分析した結果、金の担
持量はメタル換算で0.04重量%であったが、ナトリ
ウムおよびカリウムは検出されなかった。さらに、上記
NH3 −TPD法にて測定した比較用触媒(1)の酸量
は0.12mmol/gであり、0.1mmol/gを
超えていることが確認された。
【0084】続いて、上記触媒Aに代えて比較用触媒
(1)を用いた以外は、上記実施例1と同様の条件でプ
ロピレンのエポキシ化反応を行い、プロピレンオキシド
の収率の経時的な変化を調べた。比較用触媒(1)の酸
量、並びに収率の測定結果を表1にまとめた。
【0085】また、未使用の比較用触媒(1)を別に用
意し、該比較用触媒(1)を用いて上記説明と同一の条
件でプロピレンのエポキシ化反応を500時間行った。
反応後、反応系より比較用触媒(1)を取り出し、酸素
とヘリウムとを体積比9:91で含んでなる混合ガスを
用い、280℃の温度条件下で比較用触媒(1)に30
分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試みた。
【0086】そして、熱処理後の比較用触媒(1)を用
いた以外は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時間
後、50時間後、100時間後、500時間後のプロピ
レンオキシドの収率は、順に、2.7%、1.8%、
1.3%、0.4%、であった。すなわち、比較用触媒
(1)の再生率はいずれも60%台にとどまり、再生処
理によっても実用に耐え得る触媒活性には回復しないこ
とが判明した。
【0087】〔実施例2〕酸化ケイ素を浸漬する溶液と
して、酸化チタン(II) アセチルアセトナート2.96
g、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート0.4
7g、30重量%濃度のカリウムメトキシド メチルア
ルコール溶液0.36g、並びにナトリウムメトキシド
0.07gを含んでなるメチルアルコール溶液500m
lを使用した以外は、上記実施例1と同様の方法で担体
を調製し、本発明における担体Bを得た。
【0088】担体Bにおける酸化チタン(チタニア:チ
タン含有酸化物)の担持量は1.5重量%であり、酸化
ジルコニウム(ジルコニア:ジルコニウム含有酸化物)
担持量は0.2重量%であった。また、担体Bにおける
ナトリウム(アルカリ金属元素)並びにカリウム(アル
カリ金属元素)の担持量はメタル換算で順に、0.05
重量%、0.1重量%であった。さらに、上記NH3
TPD法にて測定した担体Bの酸量は0.143mmo
l/gであり、0.15mmol/g以下であるとの条
件を満たしていた。
【0089】次に、担体Aに代えて担体Bを使用した以
外は、上記実施例1と同様の方法により、該担体Bに金
微粒子が固定されてなる触媒(Au−Na−K−Ti−
Zr−SiO2 )を得た。この触媒における金の担持量
を蛍光X線分析法で分析した結果、メタル換算で0.0
4重量%であった。また、上記NH3 −TPD法にて測
定した該触媒の酸量は0.093mmol/gであり、
本発明にかかるエポキシド製造用触媒(触媒Bと称す
る)であることが確認された。
【0090】続いて、上記触媒Aに代えて触媒Bを用い
た以外は、上記実施例1と同様の条件でプロピレンのエ
ポキシ化反応を行い、プロピレンオキシドの収率の経時
的な変化を調べた。触媒Bの酸量、並びに収率の測定結
果を表1にまとめた。
【0091】また、未使用の触媒Bを別に用意し、該触
媒Bを用いて上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を500時間行った。反応後、反応系より触
媒Bを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で
含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度条件下で触
媒Bに30分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試み
た。
【0092】そして、熱処理後の触媒Bを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポキシ化反
応を再度行ったところ、反応開始0.5時間後、50時
間後、100時間後、500時間後のプロピレンオキシ
ドの収率は、順に、2.7%、2.3%、1.9%、
1.6%、であった。すなわち、本発明にかかる触媒B
の再生率はいずれも80%〜100%の範囲内であり、
再生処理により十分実用に耐え得る触媒活性に容易に回
復可能であることが判明した。
【0093】〔比較例2〕酸化ケイ素を浸漬する溶液と
して、酸化チタン(II) アセチルアセトナート2.96
g、およびジルコニウム(IV)アセチルアセトナート
0.47gを含んでなるメチルアルコール溶液500m
lを使用した以外は、上記実施例1と同様の方法で担体
を調製し、担体(2)を得た。上記NH3 −TPD法に
て測定した担体(2)の酸量は0.165mmol/g
であり、0.15mmol/g以下であるとの条件を満
たしていなかった。
【0094】次に、担体Aに代えて担体(2)を使用し
た以外は、上記実施例1と同様の方法により該担体
(2)に金微粒子を固定し、比較用触媒(2)を得た。
比較用触媒(2)の酸量は0.153mmol/gであ
り、0.1mmol/gを超えていることが確認され
た。
【0095】続いて、上記触媒Aに代えて比較用触媒
(2)を用いた以外は、上記実施例1と同様の条件でプ
ロピレンのエポキシ化反応を行い、プロピレンオキシド
の収率の経時的な変化を調べた。比較用触媒(2)の酸
量、並びに収率の測定結果を表1にまとめた。
【0096】また、未使用の比較用触媒(2)を別に用
意し、該比較用触媒(2)を用いて上記説明と同一の条
件でプロピレンのエポキシ化反応を500時間行った。
反応後、反応系より比較用触媒(2)を取り出し、酸素
とヘリウムとを体積比9:91で含んでなる混合ガスを
用い、280℃の温度条件下で比較用触媒(2)に30
分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試みた。
【0097】さらに、熱処理後の比較用触媒(2)を用
いた以外は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時間
後、50時間後、100時間後、500時間後のプロピ
レンオキシドの収率は、順に、1.3%、1.0%、
0.5%、0.3%、であった。すなわち、比較用触媒
(2)の再生率は、特に0.5時間使用後において50
%にとどまり、再生処理によっても実用に耐え得る触媒
活性には回復しないことが判明した。
【0098】〔実施例3〕上記比較例2における担体
(2)をメチルアルコールに浸漬し、64℃の加熱環境
下で還流しながら30分間処理を行った。続いて、処理
後の担体(2)を120℃で乾燥し、更に、空気中25
0℃で30分間の熱処理を行い担体Cを得た(接触・熱
処理)。上記NH3 −TPD法にて測定した担体Cの酸
量は0.13mmol/gであり、0.15mmol/
g以下であるとの条件を満たしていた。
【0099】次に、担体Aに代えて担体Cを使用した以
外は、上記実施例1と同様の方法により、該担体Cに金
微粒子が固定されてなる触媒を得た。上記NH3 −TP
D法にて測定した該触媒の酸量は0.096mmol/
gであり、本発明にかかるエポキシド製造用触媒(触媒
Cと称する)であることが確認された。
【0100】次に、上記触媒Aに代えて触媒Cを用いた
以外は、上記実施例1と同様の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を行い、プロピレンオキシドの収率の経時的
な変化を調べた。触媒Cの酸量、並びに収率の測定結果
を表1にまとめた。
【0101】また、未使用の触媒Cを別に用意し、該触
媒Cを用いて上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を500時間行った。反応後、反応系より触
媒Cを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で
含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度条件下で触
媒Cに30分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試み
た。
【0102】続いて、熱処理後の触媒Cを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポキシ化反
応を再度行ったところ、反応開始0.5時間後、50時
間後、100時間後、500時間後のプロピレンオキシ
ドの収率は、順に、2.3%、2.0%、1.2%、
0.9%、であった。すなわち、本発明にかかる触媒C
の再生率はいずれも80%〜100%の範囲内であり、
再生処理により十分実用に耐え得る触媒活性に容易に回
復可能であることが判明した。
【0103】〔実施例4〕酸化チタン(II) アセチルア
セトナート3.94gを含んでなるメチルアルコール溶
液250mlに、酸化ケイ素(実施例1と同一のもの)
60gを浸漬した後、エバポレータを用いてメチルアル
コールを留去した。
【0104】得られた固形残存物を120℃で12時間
乾燥させた後、空気中で400℃・3時間の条件で焼成
することにより酸量調整前の担体を得た。該担体におけ
る酸化チタン(チタニア:チタン含有酸化物)の担持量
は2.0重量%であった。また、上記NH3 −TPD法
にて測定した該担体の酸量は0.17mmol/gであ
った。
【0105】次に、上記担体20gをステンレス管に充
填し、200℃に保ちながらメトキシトリメチルシラン
(シリル化剤)蒸気を約10体積%含有するアルゴンガ
スを流量5,000hr-1・ml(チタン含有酸化物1
gあたり)にて10分間流通させ、該担体にシリル化処
理を施した。シリル化処理後の担体(本発明における担
体Dとする)には2.6重量%の重量増加が認められ
た。また、その酸量は0.101mmol/gであり、
0.15mmol/g以下であるとの条件を満たしてい
た。
【0106】次に、金化合物としてのジメチル金アセチ
ルアセトナート0.0326g(0.10mmol)を
溶解してなるメチルアルコール溶液150mlを40℃
に保ち、ここに担体D全量を10分間浸漬した。続い
て、メチルアルコール溶液をろ過し、金含有固形物をろ
別した。
【0107】続いて、得られた金含有固形物を、空気中
で300℃・3時間の条件で焼成することにより、担体
Dに金微粒子が担持されてなる触媒(Au−Ti−Si
2)を得た。この触媒における金の担持量を蛍光X線
分析法で分析した結果、メタル換算で0.1重量%であ
った。また、上記NH3 −TPD法にて測定した該触媒
の酸量は0.082mmol/gであり、本発明にかか
るエポキシド製造用触媒(触媒Dと称する)であること
が確認された。
【0108】次に、上記触媒D 2.5mlを反応管に
充填し、触媒層の温度を210℃に保ちながら、原料ガ
スを流量5,000hr-1・ml/g・cat.(常温・常
圧時換算値)にて流通させ、trans−2−ブテンの
エポキシ化反応を行った。なお、上記の原料ガスとは、
水素、酸素、trans−2−ブテン、およびアルゴン
を、体積比(水素/酸素/trans−2−ブテン/ア
ルゴン)が20/20/20/40となるように混合さ
れてなる混合ガスである。
【0109】そして、反応開始0.5時間後、50時間
後、100時間後、500時間後に反応管出口のガスを
採取し、ガスクロマトグラフィーを用いてその組成を分
析し、2,3−エポキシブタン(エポキシド)の収率
(収率Bとする)の経時的な変化を調べた。触媒Dの酸
量、並びに収率の測定結果を表1にまとめた。
【0110】また、未使用の触媒Dを別に用意し、該触
媒Dを用いて上記説明と同一の条件でtrans−2−
ブテンのエポキシ化反応を500時間行った。反応後、
反応系より触媒Dを取り出し、酸素とヘリウムとを体積
比9:91で含んでなる混合ガスを用い、280℃の温
度条件下で触媒Dに30分間の熱処理を施し、触媒活性
の再生を試みた。
【0111】続いて、熱処理後の触媒Dを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でtrans−2−ブテンの
エポキシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時
間後、50時間後、100時間後、500時間後のプロ
ピレンオキシドの収率(収率B’とする)は、順に、
4.1%、3.8%、3.5%、2.9%、であった。
すなわち、本発明にかかる触媒Dの再生率(収率B’/
収率B×100(%))はいずれも90%〜100%の
範囲内にあり、再生処理により十分実用に耐え得る触媒
活性に容易に回復可能であることが判明した。
【0112】〔比較例3〕上記実施例4において、シリ
ル化処理を施す以前の担体を担体(3)として使用した
以外は、実施例4と同様の方法により該担体(3)に金
微粒子を固定し、比較用触媒(3)を得た。比較用触媒
(3)の酸量は0.13mmol/gであり、0.1m
mol/gを超えていることが確認された。
【0113】次に、上記触媒Dに代えて比較用触媒
(3)を用いた以外は、上記実施例4と同様の条件でt
rans−2−ブテンのエポキシ化反応を行い、2,3
−エポキシブタンの収率の経時的な変化を調べた。比較
用触媒(3)の酸量、並びに収率の測定結果を表1にま
とめた。
【0114】また、未使用の比較用触媒(3)を別に用
意し、該比較用触媒(3)を用いて上記説明と同一の条
件でtrans−2−ブテンのエポキシ化反応を500
時間行った。反応後、反応系より比較用触媒(3)を取
り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で含んでな
る混合ガスを用い、280℃の温度条件下で比較用触媒
(3)に30分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試
みた。
【0115】続いて、熱処理後の比較用触媒(3)を用
いた以外は、上記説明と同一の条件でtrans−2−
ブテンのエポキシ化反応を再度行ったところ、反応開始
0.5時間後、50時間後、100時間後、500時間
後の2,3−エポキシブタンの収率は、順に、2.8
%、1.8%、1.3%、0.8%、であった。すなわ
ち、比較用触媒(3)の再生率は経時的に低下し、特に
500時間使用後において60%未満にとどまり、再生
処理によっても実用に耐え得る触媒活性には回復しない
ことが判明した。
【0116】〔実施例5〕酸量調整前の担体に対し、シ
リル化処理を施す代わりに、電子供与性化合物であるピ
リジンを用いて処理を施した以外は、上記実施例4と同
様の方法により担体の調製を行った。上記ピリジンを用
いた処理(ピリジン処理)とはすなわち、上記担体20
gをステンレス管に充填して200℃に保ち、ここにピ
リジン蒸気を約0.57体積%含有するアルゴンガスを
流量5,000hr-1・ml(チタン含有酸化物1gあ
たり)にて10分間流通(接触)させる処理のことを指
す。該ピリジン化処理後の担体(本発明における担体E
とする)の酸量は0.09mmol/gであり、0.1
5mmol/g以下であるとの条件を満たしていた。
【0117】続いて、担体Dに代えて担体Eを使用した
以外は、上記実施例4と同様の方法により,該担体Eに
金微粒子が固定されてなる触媒を得た。上記NH3 −T
PD法にて測定した該触媒の酸量は0.075mmol
/gであり、本発明にかかるエポキシド製造用触媒(触
媒Eと称する)であることが確認された。
【0118】次に、上記触媒Dに代えて触媒Eを用いた
以外は、上記実施例4と同様の条件でtrans−2−
ブテンのエポキシ化反応を行い、2,3−エポキシブタ
ンの収率の経時的な変化を調べた。触媒Eの酸量、並び
に収率の測定結果を表2にまとめた。
【0119】また、未使用の触媒Eを別に用意し、該触
媒Eを用いて上記説明と同一の条件でtrans−2−
ブテンのエポキシ化反応を500時間行った。反応後、
反応系より触媒Eを取り出し、酸素とヘリウムとを体積
比9:91で含んでなる混合ガスを用い、280℃の温
度条件下で触媒Cに30分間の熱処理を施し、触媒活性
の再生を試みた。
【0120】続いて、熱処理後の触媒Eを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でtrans−2−ブテンの
エポキシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時
間後、50時間後、100時間後、500時間後の2,
3−エポキシブタンの収率は、順に、3.3%、3.1
%、2.7%、2.0%、であった。すなわち、本発明
にかかる触媒Eの再生率はいずれも80%〜100%の
範囲内であり、再生処理により十分実用に耐え得る触媒
活性に容易に回復可能であることが判明した。
【0121】〔実施例6〕上記比較例1における担体
(1)の調製法において、得られた固形残存物を120
℃で12時間乾燥させた後、焼成条件を「空気中で95
0℃・3時間」に変更して焼成し(高温焼成処理)、担
体Fを得た。担体Fにおける酸化チタン(チタニア:チ
タン含有酸化物)の担持量は1.5重量%であった。ま
た、上記NH3 −TPD法にて測定した担体Fの酸量は
0.07mmol/gであり、0.15mmol/g以
下であるとの条件を満たしていた。
【0122】次に、担体(1)に代えて担体Fを使用し
た以外は、上記比較例1と同様の方法により該担体Fに
金微粒子を固定し、触媒Fを得た。上記NH3 −TPD
法にて測定した触媒Fの酸量は0.06mmol/gで
あり、本発明にかかるエポキシド製造用触媒であること
が確認された。
【0123】続いて、上記触媒Aに代えて触媒Fを用い
た以外は、上記実施例1と同様の条件でプロピレンのエ
ポキシ化反応を行い、プロピレンオキシドの収率の経時
的な変化を調べた。触媒Fの酸量、並びに収率の測定結
果を表2にまとめた。
【0124】また、未使用の触媒Fを別に用意し、該触
媒Fを用いて上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を500時間行った。反応後、反応系より触
媒Fを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で
含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度条件下で触
媒Fに30分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試み
た。
【0125】そして、熱処理後の触媒Fを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポキシ化反
応を再度行ったところ、反応開始0.5時間後、50時
間後、100時間後、500時間後のプロピレンオキシ
ドの収率は、順に、3.6%、2.5%、2.2%、
1.2%、であった。すなわち、本発明にかかる触媒F
の再生率はいずれも90%〜100%の範囲内であり、
再生処理により十分実用に耐え得る触媒活性に容易に回
復可能であることが判明した。
【0126】〔実施例7〕テトライソプロピルチタナー
ト1.06g、ナトリウムメトキシド0.07g、酸化
モリブデンアセチルアセトナート0.02g、酸化バナ
ジウムアセチルアセトナート0.2g、アルミニウムア
セチルアセトナート0.24g、マグネシウムアセチル
アセトナート1.28g、並びにアセチルアセトン1.
5gを含んでなるメチルアルコール溶液50mlに、酸
化ケイ素(上記実施例1と同一の物)60gを10分間
浸漬した後、メチルアルコールを減圧下で留去した。
【0127】得られた固形残存物を120℃で12時間
乾燥させた後、空気中で400℃・6時間の条件で焼成
することにより本発明における担体Gを得た。担体Gに
おける酸化チタン(チタニア:チタン含有酸化物)の割
合(担持量)は0.5重量%であった。また、担体Gに
おけるナトリウム(アルカリ金属元素)、マグネシウム
(アルカリ土類金属元素)、モリブデン、バナジウム、
アルミニウムの担持量を蛍光X線分析法により分析した
結果、メタル換算でそれぞれ順に0.05重量%、0.
2重量‰、0.01重量%、0.06重量‰、0.03
重量‰であった。さらに、上記NH3 −TPD法にて測
定した担体Gの酸量は0.062mmol/gであり、
0.15mmol/g以下であるとの条件を満たしてい
た。
【0128】次に、金化合物としてのジメチル金アセチ
ルアセトナート0.0489g(0.15mmol)を
溶解してなるメチルアルコール溶液100mlに、担体
Gを50g浸漬し、エバポレータを用いて常圧下でメチ
ルアルコールを留去した。続いて、得られた金含有固形
物を、空気中で300℃・3時間の条件で焼成すること
により、担体Gに金微粒子が担持されてなる触媒(Au
−V−Al−Na−Mg−Ti−SiO2 )を得た。こ
の触媒における金の担持量を蛍光X線分析法で分析した
結果、メタル換算で0.06重量%であった。また、上
記NH3 −TPD法にて測定した該触媒の酸量は0.0
58mmol/gであり、本発明にかかるエポキシド製
造用触媒(触媒Gと称する)であることが確認された。
【0129】続いて、上記触媒Aに代えて触媒Gを用い
た以外は、上記実施例1と同様の条件でプロピレンのエ
ポキシ化反応を行い、プロピレンオキシドの収率の経時
的な変化を調べた。触媒Gの酸量、並びに収率の測定結
果を表2にまとめた。
【0130】また、未使用の触媒Gを別に用意し、該触
媒Gを用いて上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を500時間行った。反応後、反応系より触
媒Gを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比9:91で
含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度条件下で触
媒Fに30分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試み
た。
【0131】そして、熱処理後の触媒Gを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポキシ化反
応を再度行ったところ、反応開始0.5時間後、50時
間後、100時間後、500時間後のプロピレンオキシ
ドの収率は、順に、2.9%、2.6%、1.7%、
1.1%、であった。すなわち、本発明にかかる触媒G
の再生率はいずれも80%〜95%の範囲内であり、再
生処理により十分実用に耐え得る触媒活性に容易に回復
可能であることが判明した。
【0132】〔比較例4〕酸化ケイ素を浸漬する溶液と
して、テトライソプロピルチタナート1.06g、酸化
モリブデンアセチルアセトナート0.02g、酸化バナ
ジウムアセチルアセトナート0.2g、アルミニウムア
セチルアセトナート0.24g、並びにアセチルアセト
ン1.5gを含んでなるメチルアルコール溶液50ml
を使用した以外は、上記実施例7と同様にして担体
(4)を調製した。担体(4)の酸量は0.18mmo
l/gであり、0.15mmol/gを超えていること
が確認された。
【0133】続いて、上記担体Gに代えて担体(4)を
使用した以外は、実施例7と同様の方法により該担体
(4)に金微粒子を固定し、比較用触媒(4)を得た。
比較用触媒(4)の酸量は0.12mmol/gであ
り、0.1mmol/gを超えていることが確認され
た。
【0134】次に、上記触媒Aに代えて比較用触媒
(4)を用いた以外は、上記実施例1と同様の条件でプ
ロピレンのエポキシ化反応を行い、プロピレンオキシド
の収率の経時的な変化を調べた。比較用触媒(4)の酸
量、並びに収率の測定結果を表2にまとめた。
【0135】また、未使用の比較用触媒(4)を別に用
意し、該比較用触媒(4)を用いて上記説明と同一の条
件でプロピレンのエポキシ化反応を500時間行った。
反応後、反応系より比較用触媒(4)を取り出し、酸素
とヘリウムとを体積比9:91で含んでなる混合ガスを
用い、280℃の温度条件下で比較用触媒(4)に30
分間の熱処理を施し、触媒活性の再生を試みた。
【0136】続いて、熱処理後の比較用触媒(4)を用
いた以外は、上記説明と同一の条件でプロピレンのエポ
キシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時間
後、50時間後、100時間後、500時間後のプロピ
レンオキシドの収率は、順に、1.8%、1.2%、
0.5%、0.4%、であった。すなわち、比較用触媒
(4)の再生率はいずれも67%未満にとどまり、再生
処理によっても実用に耐え得る触媒活性には回復しない
ことが判明した。
【0137】〔実施例8〕テトライソプロピルチタナー
ト1.06g、チオシアン鉄0.03g、アセチルアセ
トンルテニウム(III) 0.05g、亜鉛(II)アセチルア
セトナート0.05g、トリス(2,4−ペンタンジネ
ート)セリウム(III) トリハイドレート0.1g、並び
にアセチルアセトン1.5gを溶解してなるメチルアル
コール溶液50mlに、酸化ケイ素(上記実施例1と同
一のもの)60gを10分間浸漬した後、メチルアルコ
ールを減圧下で留去した。
【0138】得られた固形残存物を120℃で12時間
乾燥させた後、空気中で400℃・6時間の条件で焼成
することにより本発明における担体Hを得た。担体Hに
おける酸化チタン(チタニア:チタン含有酸化物)の担
持量は0.5重量%であった。また、担体Hにおけるル
テニウム、亜鉛、イオウ、鉄、セリウム(希土類元素)
の担持量を蛍光X線分析法により分析した結果、順にメ
タル換算で0.02重量%、0.02重量%、0.01
9重量%、0.016重量%、0.05重量%であっ
た。さらに、上記NH3 −TPD法にて測定した担体H
の酸量は0.083mmol/gであり、0.15mm
ol/g以下であるとの条件を満たしていた。
【0139】次に、担体Gに代えて担体Hを使用した以
外は、上記実施例7と同様の方法により該担体Hに金微
粒子を固定し、触媒Hを得た。上記NH3 −TPD法に
て測定した触媒Hの酸量は0.080mmol/gであ
り、本発明にかかるエポキシド製造用触媒であることが
確認された。また、触媒Hの金微粒子の担持量はメタル
換算で0.06重量%であった。
【0140】続いて、上記触媒H 2.5mlを内径1
0mmの反応管に充填し、触媒層の温度を200℃に保
ちながら、原料ガスを流量5,000hr-1・ml/g
・cat.(常温・常圧時換算値)にて流通させ、cis−
2−ブテンのエポキシ化反応を行った。なお、上記の原
料ガスとは、水素、酸素、cis−2−ブテン、および
アルゴンを、体積比(水素/酸素/cis−2−ブテン
/アルゴン)が20/20/20/40となるように混
合されてなる混合ガスである。
【0141】そして、反応開始0.5時間後、50時間
後、100時間後、500時間後に反応管出口のガスを
採取し、ガスクロマトグラフィーを用いてその組成を分
析し、2,3−エポキシブタン(エポキシド)の収率の
経時的な変化を調べた。触媒Hの酸量、並びに収率の測
定結果を表2にまとめた。
【0142】また、未使用の触媒Hを別に用意し、該触
媒Hを用いて上記説明と同一の条件でcis−2−ブテ
ンのエポキシ化反応を500時間行った。反応後、反応
系より触媒Hを取り出し、酸素とヘリウムとを体積比
9:91で含んでなる混合ガスを用い、280℃の温度
条件下で触媒Hに30分間の熱処理(再生処理)を施
し、触媒活性の再生を試みた。
【0143】続いて、熱処理後の触媒Hを用いた以外
は、上記説明と同一の条件でcis−2−ブテンのエポ
キシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.5時間
後、50時間後、100時間後、500時間後の2,3
−エポキシブタンの収率は、順に、3.4%、2.5
%、2.1%、1.1%、であり、再生処理により十分
実用に耐え得る触媒活性に容易に回復可能であることが
判明した。
【0144】〔比較例5〕酸化ケイ素を浸漬する溶液と
して、テトライソプロピルチタナート1.06g、チオ
シアン鉄0.03g、アセチルアセトンルテニウム(II
I) 0.05g、亜鉛(II)アセチルアセトナート0.0
5g、並びにアセチルアセトン1.5gを含んでなるメ
チルアルコール溶液50mlを使用した以外は、上記実
施例8と同様にして担体(5)を調製した。担体(5)
の酸量は0.17mmol/gであり、0.15mmo
l/gを超えていることが確認された。
【0145】続いて、上記担体Hに代えて担体(5)を
使用した以外は、実施例8と同様の方法により該担体
(5)に金微粒子を固定し、比較用触媒(5)を得た。
比較用触媒(5)の酸量は0.17mmol/gであ
り、0.1mmol/gを超えていることが確認され
た。
【0146】次に、上記触媒Hに代えて比較用触媒
(5)を用いた以外は、上記実施例8と同様の条件でc
is−2−ブテンのエポキシ化反応を行い、2,3−エ
ポキシブタンの収率の経時的な変化を調べた。比較用触
媒(5)の酸量、並びに収率の測定結果を表2にまとめ
た。
【0147】また、未使用の比較用触媒(5)を別に用
意し、これを用いて上記説明と同一の条件でcis−2
−ブテンのエポキシ化反応を500時間行った。反応
後、反応系より比較用触媒(5)を取り出し、酸素とヘ
リウムとを体積比9:91で含んでなる混合ガスを用
い、280℃の温度条件下で触媒Cに30分間の熱処理
を施し、触媒活性の再生を試みた。
【0148】続いて、熱処理後の比較用触媒(5)を用
いた以外は、上記説明と同一の条件でcis−2−ブテ
ンのエポキシ化反応を再度行ったところ、反応開始0.
5時間後、50時間後、100時間後、500時間後の
2,3−エポキシブタンの収率は、順に、1.7%、
1.4%、1.0%、0.6%、であった。すなわち、
本発明にかかる比較用触媒(5)の再生率はいずれも5
0%前後にとどまった。
【0149】
【表1】
【0150】
【表2】
【0151】
【発明の効果】本発明にかかるエポキシド製造用触媒
は、エポキシドを高収率かつ高選択率で得ることがで
き、加えて、活性低下が少ない等の良好な触媒性能を示
す。即ち、還元性物質の存在下、分子状酸素を用いて不
飽和炭化水素を部分酸化してエポキシドを製造する際に
好適に用いられる、活性並びに選択性に優れ、しかも、
活性の低下が少なくかつ触媒活性の再生が容易なエポキ
シド製造用触媒を提供することが可能となるという効果
を奏する。
【0152】本発明にかかるエポキシド製造用触媒の製
法によれば、上記優れた特性を有する触媒を製造するこ
とが可能となるという効果を奏する。
【0153】本発明にかかるエポキシドの製法によれ
ば、不飽和炭化水素からエポキシドを高収率で得ること
ができる製法を提供することが可能となるという効果を
奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 正大 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4G069 AA01 AA04 AA08 AA09 AA10 AA12 BA02A BA02B BA02C BA04A BA04B BA04C BA05A BA05B BA05C BA42A BC02B BC02C BC03B BC03C BC33A BC33B BC33C CB07 CB08 CB09 FA02 FA08 FB14 GA01 4H039 CA63 CC40

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン、または、ジルコニウムの少なくと
    も一方を含有する酸化物を含んでなる担体に、金微粒子
    が固定されてなる触媒であって、 上記触媒に50℃の温度条件下で吸着させたアンモニア
    の、50℃〜400℃の温度範囲内での脱離量からもと
    めた酸量が0.1mmol/g以下であることを特徴と
    するエポキシド製造用触媒。
  2. 【請求項2】上記金微粒子が粒子径10nm以下の超微
    粒子であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ
    ド製造用触媒。
  3. 【請求項3】上記酸化物が、酸化チタン、チタン含有複
    合酸化物、チタン含有ケイ酸塩、酸化ジルコニウム、ジ
    ルコニウム酸塩、ジルコニウム含有複合酸化物、およ
    び、ジルコニウム含有ケイ酸塩からなる群より選択され
    る少なくとも一種類の酸化物であることを特徴とする請
    求項1または2に記載のエポキシド製造用触媒。
  4. 【請求項4】チタン、または、ジルコニウムの少なくと
    も一方を含有する酸化物を含んでなり、かつ、50℃の
    温度条件下で吸着させたアンモニアの、50℃〜400
    ℃の温度範囲内での脱離量からもとめた酸量が0.15
    mmol/g以下である担体に、金微粒子を固定するこ
    とを特徴とするエポキシド製造用触媒の製法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし3のいずれか一項に記載の
    エポキシド製造用触媒を用いて、還元性物質の存在下、
    分子状酸素により不飽和炭化水素を部分酸化することを
    特徴とするエポキシドの製法。
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