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JP2001187346A - 光触媒被覆材及びその製造方法、並びに該光触媒被覆材を使用する汚染物質含有物浄化方法及び汚染物質含有物浄化装置 - Google Patents

光触媒被覆材及びその製造方法、並びに該光触媒被覆材を使用する汚染物質含有物浄化方法及び汚染物質含有物浄化装置

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Publication number
JP2001187346A
JP2001187346A JP2000305917A JP2000305917A JP2001187346A JP 2001187346 A JP2001187346 A JP 2001187346A JP 2000305917 A JP2000305917 A JP 2000305917A JP 2000305917 A JP2000305917 A JP 2000305917A JP 2001187346 A JP2001187346 A JP 2001187346A
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JP
Japan
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photocatalyst
titanium
film
contaminant
coating material
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JP2000305917A
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Tatsuya Yasunaga
龍哉 安永
Toshiki Sato
俊樹 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒性と耐久性との両者に優れた光触媒被
覆材、及びその製造方法を提供すること。また、前記光
触媒被覆材を使用して、光触媒膜の剥離を生じることが
なく耐久性の点において実用に適するとともに、汚染物
質を効果的に分解・除去することができる、光触媒によ
る汚染物質含有物浄化方法及び光触媒による汚染物質含
有物浄化装置を提供すること。 【解決手段】 チタン基合金基材上に、アナターゼ型及
び/又はルチル型の酸化チタン結晶を90体積%以上含
有する光触媒膜が形成されてなる光触媒被覆材であっ
て、前記チタン基合金基材のチタン含有量が70質量%
以上であり、前記光触媒膜の厚みが0.1μm以上であ
り、前記チタン基合金基材と前記光触媒膜の間に存在
し、酸化チタン結晶、チタン基合金結晶とも異なる不可
避的薄膜の厚みが0.05μm以下であることを特徴と
する光触媒被覆材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒性と耐久性
に優れた光触媒被覆材、及びその製造方法、並びに該光
触媒被覆材を使用する汚染物質含有物浄化方法及び汚染
物質含有物浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】光触
媒の代表である酸化チタン(TiO2 )は、半導体であ
りその表面に紫外線を照射することにより光触媒性を発
現し、正孔による酸化力により有機物などを分解できる
ことが知られている。このような光触媒反応により、酸
化チタンはホルムアルデヒドなどの揮発性の有機化合物
の分解、トイレの悪臭物質の分解、院内感染防止のため
の殺菌などに有効であり、これらへの利用が進められて
いる。酸化チタンは一般に粉末の形態で供給されるが、
この場合、製品として供される光触媒被覆材の製作にあ
たっては、酸化チタン粉末を基材上に保持して固定化す
る必要がある。
【0003】基材上に酸化チタン粉末を固定化するには
光触媒反応で分解されないバインダーを用いる必要があ
り、現状ではフッ素樹脂系バインダーやシリコン系バイ
ンダーが多く用いられている。しかし、基材上にバイン
ダーにて酸化チタン粉末を保持してなる光触媒被覆材で
は、酸化チタン粒子が表面に現れ難くなるため、得られ
る光触媒被覆材の光触媒性(光触媒作用)が低い(弱
い)という欠点があった。
【0004】一方、基材上に、酸化チタン粉末ではな
く、Ti原子を含有するアルコキシド,アセチルアセト
ナート等の液体の有機チタン化合物を塗布し、これを4
00℃程度以上の高温で焼成して酸化チタンの薄膜を形
成することにより、光触媒被覆材を得るようにした方法
が知られている。このような液体有機チタン化合物を塗
布し高温焼成を行う方法では、前記したバインダーにて
酸化チタン粉末を固定化したものと違って、最表面が全
面的に酸化チタン膜で被覆された光触媒被覆材を得るこ
とができる。
【0005】ところが、前述した液体有機チタン化合物
の塗布・焼成による方法においては、400℃程度以上
の高温で焼成を行うので、焼成時に基材の構成元素が表
面方向へ拡散し、形成されている酸化チタン膜中に侵入
することから、基材の組成によっては、基材からの非T
i成分が前記酸化チタン膜中に不純物として侵入してし
まうことになる。このような不純物が多量に酸化チタン
膜中に侵入した場合は、正常な酸化チタンの結晶成長を
阻害してしまい、酸化チタン結晶膜が形成されなくなっ
てしまう。また、不純物の混入量が酸化チタンの結晶成
長を阻害するほどではない場合でも、半導体である酸化
チタンの光触媒作用をおこすバンドギャップ間に不純物
に起因する準位が形成されてしまい、この準位が電子と
正孔の再結合サイトとなって多量の電子と正孔が再結合
して消滅し光触媒反応効率が著しく低下してしまう。
【0006】そこで本発明の目的は、基材上に光触媒膜
として酸化チタン結晶の薄膜を形成してなる光触媒被覆
材において、光触媒性と耐久性との両者に優れた光触媒
被覆材、及びその製造方法を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、光触媒性と耐久性との両者に
優れた前記光触媒被覆材を使用して、光触媒膜の剥離を
生じることがなく耐久性の点において実用に適するとと
もに、汚染物質を効果的に分解・除去することができ
る、光触媒による汚染物質含有物浄化方法及び光触媒に
よる汚染物質含有物浄化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願請求項1の発明は、
チタン基合金基材上に、アナターゼ型及び/又はルチル
型の酸化チタン結晶を90体積%以上含有する光触媒膜
が形成されてなる光触媒被覆材であって、前記チタン基
合金基材のチタン含有量が70質量%以上であり、前記
光触媒膜の厚みが0.1μm以上であり、前記チタン基
合金基材と前記光触媒膜の間に存在し、酸化チタン結
晶、チタン基合金結晶とも異なる不可避的薄膜の厚みが
0.05μm以下である光触媒被覆材である。
【0008】請求項2の発明は、前記請求項1記載の光
触媒被覆材において、前記光触媒膜中の全酸化チタン結
晶に対するアナターゼ型酸化チタン結晶の体積比が80
%以上であることを特徴とするものである。
【0009】請求項3の発明は、チタン含有量が70質
量%以上であるチタン基合金からなる基材をその表面酸
化膜を除去すべく酸洗処理し、しかる後、該チタン基合
金基材表面に形成される不可避的薄膜であって、酸化チ
タン結晶、チタン基合金結晶とも異なる該不可避的薄膜
の膜厚が0.05μm以下において、前記酸洗処理され
たチタン基合金基材にチタン化合物を塗布し、このもの
を酸素含有雰囲気下で温度400℃以上で焼成し、この
塗布・焼成を1回、あるいは2回以上繰り返し行うこと
により、前記酸洗処理されたチタン基合金基材上に酸化
チタン結晶を90体積%以上含有し厚みが0.1μm以
上の光触媒膜を形成する光触媒被覆材の製造方法であ
る。
【0010】請求項4の発明は、請求項1又は2記載の
光触媒被覆材の表面に、紫外線を照射するとともに汚染
物質を含有する気体又は液体を接触させることにより、
前記汚染物質を分解・除去することを特徴とする光触媒
による汚染物質含有物浄化方法である。
【0011】請求項5の発明は、請求項1又は2記載の
光触媒被覆材を用いて構成された光触媒部と、該光触媒
部を構成する前記光触媒被覆材の表面に紫外線を照射す
る紫外線照射部と、汚染物質を含有する気体又は液体を
前記光触媒部に導き、前記紫外線が照射されている前記
光触媒被覆材の表面に接触させるための汚染物質含有物
導入手段とを備えていることを特徴とする光触媒による
汚染物質含有物浄化装置である。
【0012】請求項6の発明は、請求項5記載の光触媒
による汚染物質含有物浄化装置において、前記汚染物質
が悪臭物質であり、生ゴミ処理に用いられるものである
ことを特徴とするものである。
【0013】請求項7の発明は、請求項5記載の光触媒
による汚染物質含有物浄化装置において、前記汚染物質
が有機性ガスであり、クリーンルーム又はクリーンルー
ム内の局所空間の気体浄化に用いられるものであること
を特徴とするものである。
【0014】請求項8の発明は、請求項5記載の光触媒
による汚染物質含有物浄化装置において、前記汚染物質
が揮発性汚染物質であり、前記汚染物質含有物導入手段
が、液体中に含まれる揮発性汚染物質を気体中に移行さ
せ、この移行させた揮発性汚染物質を含む気体を前記紫
外線が照射されている前記光触媒被覆材の表面に導き接
触させるように構成されてなることを特徴とするもので
ある。
【0015】前記特徴を有する本発明に係る光触媒被覆
材、及びその製造方法について説明する。本発明におい
ては、チタン基合金基材を酸洗処理して該基材の表面酸
化膜を除去し、しかる後、該チタン基合金基材表面に不
可避的に形成される自然酸化膜など、酸化チタン結晶、
チタン基合金結晶とも異なる不可避的薄膜の膜厚が0.
05μm以下(ゼロを含む)において、前記酸洗処理さ
れたチタン基合金基材に液体有機チタン化合物などのチ
タン化合物を塗布して酸素含有雰囲気下で焼成を行うこ
とによって、前記酸洗処理されたチタン基合金基材上
に、チタン基合金基材中のTi原子と塗膜中のTi原子
とを界面間で相互拡散させながら、かつ大気中からのO
原子(酸素原子)を塗膜から基材へ侵入させながら、そ
の過程で光触媒膜として酸化チタン結晶の薄膜が形成さ
れる。
【0016】前述のように焼成することによって、チタ
ン基合金基材中のTi原子と塗膜中のTi原子とを界面
間で相互拡散させながら、かつ大気中からのO原子を塗
膜から基材へ侵入させながらチタン基合金基材上に光触
媒膜が形成されるため、チタン基合金基材のTi原子と
光触媒膜のTi原子とが連続的につながった界面構造と
なり、チタン基合金基材に対して密着性の良い光触媒膜
を形成することができ、耐久性に優れた光触媒被覆材が
得られる。
【0017】このような密着性の良い光触媒膜を得るた
めには、チタン基合金基材と光触媒膜の間に存在する不
可避的薄膜の厚みが0.05μm以下である必要があ
る。一般に、空気中に数日間置かれたチタン基材表面に
は厚み0.05μm程度の自然酸化膜が形成される。こ
の自然酸化膜はアナターゼ型あるいはルチル型酸化チタ
ン結晶ではなく非晶質構造である。また、不可避的汚れ
による薄膜が形成されることもある。そして、このよう
な自然酸化膜などの不可避的薄膜の厚みが0.05μm
より大きいものでは、焼成時における前述したTi原子
の界面間での相互拡散、及びO原子の基材への侵入が阻
害されて、光触媒膜の密着性が悪い。したがって前記不
可避的薄膜は、厚み0.05μm以下である必要があ
り、光触媒膜の密着性を高める点から、好ましくは厚み
0.03μm以下、特に好ましくは厚み0.01μm以
下である。なお、このような不可避的薄膜の厚みについ
ては、透過型電子顕微鏡(TEM)による該薄膜の断面
観察により測定することができる。また当然ながら、こ
の不可避的薄膜は無いことが最も好ましく、チタン基合
金基材を酸洗処理してその表面酸化膜を除去した後、直
ちに前記の塗布・焼成を行うようにすることがよい。
【0018】本発明においては、高い光触媒性を得るに
は、形成される光触媒膜中の非酸化チタン結晶成分が少
ないことがよく、光触媒膜中の酸化チタン結晶含有率
(体積%)を90体積%以上にする必要がある。よって
光触媒膜の酸化チタン結晶含有率(体積%)は、90体
積%以上であり、光触媒性を高める点から、好ましくは
95体積%以上、特に好ましくは99体積%以上であ
る。なお、光触媒膜中の酸化チタン結晶は、結晶構造が
アナターゼ型の酸化チタン結晶若しくは結晶構造がルチ
ル型の酸化チタン結晶、又はこれら両者の混合相よりな
っている。
【0019】ここで前記した光触媒膜中の酸化チタン結
晶含有率については、TEM断面観察により求めること
ができる。すなわち、光触媒膜中のアナターゼ型とルチ
ル型の酸化チタン結晶の電子回折の反射によって結像し
た暗視野像では、酸化チタン結晶部分は明るく、一方、
非晶質部分などの非酸化チタン結晶部分は前記酸化チタ
ン結晶部分よりも暗くなる。このような暗視野像を解析
することによって幾何学的に光触媒膜中の酸化チタン結
晶含有率を計算により求めることができる。
【0020】本発明においては、光触媒膜の厚みについ
ては、該厚みが薄すぎると、焼成時においてチタン基合
金基材からの非Ti成分が不純物として該光触媒膜表面
まで容易に達し、該膜中の非酸化チタン結晶成分が10
体積%を上回ってしまい光触媒性が低下することにな
る。したがって、光触媒膜の厚みは、0.1μm以上で
ある必要があり、光触媒膜中不純物低減の点から、好ま
しくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上
である。光触媒膜の厚みは、TEMによる該膜の断面観
察により測定することができる。
【0021】また本発明においては、焼成温度は、酸化
チタン結晶を生成させるために400℃以上とする必要
がある。また焼成温度は、前述したTi原子の界面間で
の相互拡散とO原子の基材への侵入とを促進させて光触
媒膜の密着性を向上させる点から、450℃以上が好ま
しく、特に好ましくは500℃以上がよい。
【0022】一方、焼成温度が高すぎると、アナターゼ
型酸化チタン結晶がこれに比べて光触媒性が比較的低い
ルチル型酸化チタン結晶に転化し、該ルチル型酸化チタ
ン結晶の増加にともなって光触媒性がしだいに低下する
(ルチル型酸化チタン結晶の光触媒性がなぜ低いかにつ
いての機構は明確に解明されていない)。よって焼成温
度の上限側については、700℃以下にて光触媒膜の全
酸化チタン結晶中のアナターゼ型酸化チタン結晶体積比
を80%以上とすることがよく、好ましくは650℃以
下にてアナターゼ型酸化チタン結晶体積比を90%以上
とすることがよく、特に好ましくは600℃以下にてア
ナターゼ型酸化チタン結晶体積比を95%以上とするこ
とがよい。
【0023】ここで前記アナターゼ型酸化チタン結晶体
積比は、光触媒膜中の全酸化チタン結晶に対するアナタ
ーゼ型酸化チタン結晶の占める割合(体積%)であり、
アナターゼ型酸化チタン結晶体積/〔アナターゼ型酸化
チタン結晶体積+ルチル型酸化チタン結晶体積〕という
値の百分率である。この体積比の値は、TEM断面観察
において、アナターゼ型酸化チタン結晶の電子回折の反
射による暗視野像ではアナターゼ型酸化チタン結晶部が
明るくなり、ルチル型酸化チタン結晶の電子回折の反射
による暗視野像ではルチル型酸化チタン結晶部が明るく
なるので、両者の比から幾何学的に求めることができ
る。
【0024】本発明においては、このような400℃以
上の高い温度による焼成によって、前述したように塗膜
中のTi原子と基材中のTi原子とを界面間で相互拡散
させながら光触媒膜を形成するには、基材がチタン基合
金よりなるものである必要がある。また、界面間でTi
原子を相互拡散させるとともに、形成される光触媒膜中
の非酸化チタン結晶成分を10体積%以下に抑えて、酸
化チタン結晶含有率を90体積%以上にするためには、
チタン基合金基材は、そのTi含有率が70質量%であ
る必要がある。このチタン基合金基材のTi含有率は、
光触媒膜へ拡散する非Ti成分を減らして光触媒性を高
める点から、好ましくは光触媒膜中の酸化チタン結晶含
有率を95体積%以上とするためには80質量%以上、
特に好ましくは酸化チタン結晶含有率を99体積%以上
とするためには90質量%以上がよい。
【0025】またチタン基合金基材の形状(形態)につ
いては、平板状、パイプ状、網状、線状など種々の形状
のものが適用できるが、光触媒性をより向上させるため
に有効表面積をなるべく大きくすることがよく、網状を
なすものや、表面に微細な凸凹を有するものがよい。
【0026】本発明においては、酸洗処理されたチタン
基合金基材の表面に塗布されるチタン化合物としては、
チタンにアルコールを結合させたアルコキシドやアセチ
ルアセトナートなどの液体有機チタン化合物が望まし
い。なお、チタン基合金基材上に、固体粉末状、固体フ
ィルム状、板状などをなす有機チタン化合物、あるいは
無機チタン化合物をのせて焼成を行うようにしても光触
媒膜の形成を行うことができる。
【0027】ところで、酸化チタン光触媒に接するよう
に金属の粒子、あるいは酸化チタンと成分が異なる酸化
物などの粒子を分散・担持させると、該粒子部分で光触
媒によるカソード反応が下地よりも起こりやすくなり、
光触媒のアノード反応とカソード反応のサイトが分離さ
れ、両反応の相殺による損失が最小限となるため光触媒
性(光触媒特性)がさらに向上することが知られてい
る。本発明においてもこのような技術と組み合わせるこ
とにより、さらに高い光触媒性を得ることができる。
【0028】次に、本発明に係る光触媒による汚染物質
含有物浄化方法、及び光触媒による汚染物質含有物浄化
装置によれば、本発明に係る前記光触媒被覆材を使用
し、この光触媒被覆材の表面に、つまり光触媒膜表面に
紫外線を照射するとともに汚染物質を含有する気体又は
液体を接触させることにより、前記光触媒被覆材の持つ
優れた機械的耐久性と優れた光触媒性(光触媒活性)と
が発揮されて、光触媒膜の剥離を生じることがなく耐久
性の点において実用に適し、汚染物質を効果的に分解・
除去することができる。
【0029】ここで、気体中(大気中)の汚染物質とし
ては、メチルメルカプタン(家庭ゴミなどで発生する)
や硫化水素などの悪臭物質、空中浮遊菌、NOX (窒素
酸化物)やSOX (硫黄酸化物)などの大気汚染物質、
などが挙げられる。また、液体中(水中)の汚染物質と
しては、藻類などの微生物、プランクトンの死骸、アン
モニア、ダイオキシンなどが挙げられる。また、揮発性
汚染物質という観点からは、トリクロロエチレンやテト
ロクロロエチレンなどの高揮発性有機溶剤が挙げられ
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明に係る光触媒被覆材とその製造
方法について、その実施例を比較例とともに説明する。
【0031】〔実施例1〜24及び比較例1〜16〕:
光触媒膜の酸化チタン結晶含有率が光触媒性に及ぼす影
響、光触媒膜の膜厚が光触媒性に及ぼす影響、及びチタ
ン基合金基材のTi含有率が前記酸化チタン結晶含有率
に及ぼす影響について説明する。
【0032】Ti含有率が65〜95質量%のTi−F
e二元合金を溶製し、これを厚み1mm×幅50mm×
長さ50mmの寸法に板加工してチタン基合金からなる
基材を所要個数用意する一方、同寸法に板加工した普通
鋼S50C(JIS G 3311)からなる基材を所
要個数用意した。そして、各基材についてフッ酸水溶液
で酸洗いして基材表面の自然酸化膜を完全に除去した
後、直ちに液体有機チタン化合物の1種であるアセチル
アセトンチタンを周知のディップ方式で塗布し、このも
のを大気雰囲気下で温度400℃で30分間焼成した。
この塗布・焼成を2〜6回繰り返して基材表面に所要厚
みの光触媒膜を被覆形成してなる光触媒被覆材とした。
【0033】このようにして得られた各々の光触媒被覆
材について、その光触媒膜の酸化チタン結晶含有率(体
積%)を先に説明したように透過型電子顕微鏡(TE
M)による断面観察像から幾何学的に計算し求めた。ま
た光触媒性を評価するために、ヨウ化カリウム水溶液
(濃度:0.1mol/L、150mL)に光触媒被覆
材をその酸化チタン膜の面が受光面(受光面積:25c
2 )となるように浸漬し、強度2.6mW/cm2
紫外線を30分間照射したときに生成するヨウ素の量を
吸光度分析により求めた。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示すように、基材が普通鋼S50C
よりなる比較例1〜5では、本発明で規定する「Ti含
有率が70質量%以上のチタン基合金基材」という要件
を欠くため、膜中の酸化チタン結晶含有率が50体積%
未満と低くなっており、焼成時に基材から非Ti金属原
子であるFe原子が多量に表面方向に拡散して酸化チタ
ン結晶の生成を阻害したと考えられる。そのため、光触
媒性の指標であるヨウ素生成量は1×10-5〜3×10
-5mol程度と少なく、光触媒性が著しく低いものとな
っている。また同様に、比較例6〜10では、チタン基
合金基材ではあるものの「Ti含有率が70質量%以
上」という本発明で規定する要件を欠き、光触媒膜中の
酸化チタン結晶含有率が90体積%未満と低いため光触
媒性が著しく低くなっている。
【0036】これに対して、チタン基合金基材としてT
i含有率が70質量%(本発明で規定する下限値)以上
のTi−Fe二元合金基材を用いた実施例1〜24で
は、光触媒膜中の酸化チタン結晶含有率が90体積%
(本発明で規定する下限値)以上になっており、ヨウ素
生成量も20×10-5mol以上と多く、高い光触媒性
が得られている。Ti−Fe二元合金基材のTi含有率
に着目すると、Ti含有率が大きくなるにしたがって光
触媒膜中の酸化チタン結晶含有率が高くなり、これにつ
れてヨウ素生成量も多くなっている。
【0037】ただし、基材のTi含有率が70質量%以
上と高くなっても光触媒膜の膜厚が0.05μmである
比較例11〜16では、該膜の酸化チタン結晶含有率が
90体積%に達せず、そのためにヨウ素生成量が少なく
光触媒性が著しく低い。一方、光触媒膜の膜厚が0.1
μm(本発明で規定する下限値)以上のものは、基材の
Ti含有率が70質量%以上において該膜中の酸化チタ
ン結晶含有率が90体積%以上となり、光触媒膜の膜厚
が0.2μm、0.3μmと厚くなるほど、該膜中の酸
化チタン結晶含有率が増加しヨウ素生成量が増えて光触
媒性が向上する傾向が見られる。
【0038】このように実施例1〜24では高い光触媒
性を有する光触媒被覆材が得られた。そして、Ti含有
率80質量%のTi−Fe二元合金基材を用いた実施例
9〜12では酸化チタン結晶含有率が95〜99体積%
という光触媒膜が得られ、さらにTi含有率90質量%
の基材を用いた実施例17〜20では酸化チタン結晶含
有率が99体積%という光触媒膜が得られており、特に
光触媒性に優れた光触媒被覆材が得られている。
【0039】〔実施例25〜69及び比較例17〜6
1〕:焼成温度が光触媒膜の密着性に及ぼす影響、酸化
膜(自然酸化膜,陽極酸化膜)が密着性に及ぼす影響、
及び光触媒膜のアナターゼ型酸化チタン結晶体積比が光
触媒性に及ぼす影響について説明する。
【0040】Ti含有率が95質量%のTi−Fe二元
合金を溶製し、これを厚み1mm×幅50mm×長さ5
0mmの寸法に板加工してチタン基合金からなる基材を
所要個数用意した。そして、後述のように基材表面の状
態を変化させた各基材について、液体有機チタン化合物
であるアセチルアセトンチタンをディップ方式で塗布
し、大気雰囲気下で350〜900℃での各種温度(表
2〜表4参照)にて30分間焼成を行った。各基材につ
いてこの塗布・焼成を5回繰り返して基材上に厚み0.
5μmの光触媒膜を被覆形成して、光触媒被覆材とし
た。
【0041】前記の基材表面の処理について説明する
と、用意した所要個数の基材のうち、その一部について
はフッ酸水溶液で酸洗いして基材表面の自然酸化膜を完
全に除去した後、直ちに前記の塗布・焼成を行った。ま
た、一部については大気中に放置することにより、0.
005〜0.05μm(表2〜表4参照)の自然酸化膜
を生成させてから前記の塗布・焼成を行った。さらに、
残りの基材については、濃度1vol%のリン酸水溶液
中で印加電圧50〜100Vにて陽極酸化処理を行い、
厚み0.08〜0.2μm(表2〜表4参照)の陽極酸
化膜を形成させてから前記の塗布・焼成を行った。
【0042】なお、前記自然酸化膜と陽極酸化膜とは、
それらの電子線回折像によると酸化チタン結晶をわずか
に部分的に含有するものの、大部分は非晶質(アモルフ
ァス)構造であることを確認している。
【0043】このようにしてつくられた各光触媒被覆材
について、スクラッチ試験により光触媒膜が剥離すると
きの臨界荷重を測定することにより、密着性を評価し
た。スクラッチ試験は、直径200μmの半球状ダイヤ
モンド圧子を用い、荷重負荷速度:100N/min、
試料移動速度:10mm/minにて垂直荷重を連続的
に負荷して、前記臨界荷重を測定する試験である。ま
た、先の実施例1〜24の場合と同様なヨウ素生成試験
により光触媒性を評価した。また各処理温度毎の代表例
として、酸洗いして自然酸化膜を除去した基材上に各温
度による焼成で形成された光触媒膜について、先に説明
したように透過型電子顕微鏡による断面観察像からアナ
ターゼ型酸化チタン結晶体積比を幾何学的に計算により
求めた(実施例25,30,35,40,45,50,
55,60,65)。これらの試験結果を表2〜表4に
示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表2から分かるように、比較例17〜25
では、本発明で規定する「温度400℃以上で焼成」と
いう要件を欠き、焼成温度が350℃と低いため塗布さ
れた有機チタンが酸化チタン結晶に転化しておらず、そ
のためヨウ素生成量は2×10-5mol以下と少なく、
光触媒性が著しく弱いものとなっている。
【0048】一方、実施例では、焼成温度が400℃
(実施例25〜29),450℃(実施例30〜3
4),500℃(実施例35〜39),550℃(実施
例40〜44),600℃(実施例45〜49)のもの
では、塗布された有機チタンはアナターゼ型酸化チタン
結晶体積比が95%以上よりなる酸化チタン結晶に転化
するためにヨウ素生成量が50×10-5mol前後の値
にまでなっており、高い光触媒性が得られている。
【0049】そして、焼成温度が650℃(実施例50
〜54),700℃(実施例55〜59)のものでは、
アナターゼ型酸化チタン結晶の一部がルチル型酸化チタ
ン結晶に転化し、アナターゼ型酸化チタン結晶体積比が
90〜80%に低下し、これによって光触媒性の若干の
低下が見られる。また、焼成温度750℃(実施例60
〜64)のものでは、アナターゼ型酸化チタン結晶体積
比が60%になり、焼成温度900℃(実施例65〜6
9)のものでは、すべてがルチル型酸化チタン結晶より
なる光触媒膜となってヨウ素生成量が20×10-5mo
l程度まで低くなっている。これら焼成温度750℃,
900℃のものは「アナターゼ型酸化チタン結晶体積
比:80%以上」という本発明の推奨条件から外れるも
のの、ヨウ素生成量が20×10-5mol以上であり光
触媒性はある程度良い。
【0050】このように表2,表3に示される光触媒性
の低下傾向から、焼成温度の上限側については、700
℃以下にて全酸化チタン結晶中のアナターゼ型酸化チタ
ン結晶体積比を80%以上とし、好ましくは650℃以
下にて同体積比を90%以上とし、特に好ましくは60
0℃以下にて同体積比を95%以上にすることがよいと
いう結果が得られた。
【0051】また焼成温度の下限側については、表2に
示されるように、焼成温度が400℃,450℃,50
0℃と高くなるにしたがって界面間におけるTi原子の
相互拡散が促進されるので、光触媒膜の密着性を表す剥
離臨界荷重が増加することから、400℃以上、好まし
く450℃以上、特に好ましくは500℃以上にするこ
とがよいという結果が得られている。
【0052】一方、基材と光触媒膜の間にある酸化膜に
ついては、自然酸化膜や陽極酸化膜などの非晶質膜が存
在すると光触媒膜の剥離臨界荷重が低下するものの、実
施例25〜69ではいずれも剥離臨界荷重30N以上と
いう密着性の良いものが得られている。この酸化膜の膜
厚については、厚み0.05μm以下、光触媒膜の密着
性を高める点から、好ましくは厚み0.03μm以下、
特に好ましくは厚み0.01μm以下という結果が得ら
れている。
【0053】ところが比較例22〜61では、本発明で
規定する「厚み0.05μm以下」という要件を欠き、
焼成時における塗膜のTi原子と基材のTi原子との界
面間での相互拡散、及びO原子の基材への侵入が妨げら
れるため、剥離臨界荷重値が実施例の「1/10」程度
と大幅に小さくなっており、光触媒膜の密着性が極めて
悪い。例えば比較例37では、基材と酸化チタン膜の間
に、印加電圧100Vにて形成された厚み0.20μm
の陽極酸化膜(非晶質膜)が存在している。このため、
焼成時に前記陽極酸化膜の存在によって基材からの不純
物が光触媒膜に入ることはないので、光触媒性は十分に
良く、49×10-5molのヨウ素生成量が得られてい
るものの、焼成時における界面間でのTi原子の相互拡
散が抑制されて基材と光触媒膜とが一体となった構造が
得られず、剥離臨界荷重値は3Nという低い値であっ
た。
【0054】次に、実施例に基づいて、本発明に係る光
触媒による汚染物質含有物浄化方法と光触媒による汚染
物質含有物浄化装置について説明する。
【0055】〔実施例70〕:ここでは、悪臭物質であ
るアンモニアの分解・除去性能と殺菌性能(滅菌性能)
について調べた。図1は本発明の一実施形態による消臭
装置の構成を示す説明図である。図1において、17は
断面矩形で角形形状をなし、生ゴミをバクテリアにより
減量して堆肥化するため生ゴミ処理槽(コンポスタ
ー)、11は断面矩形で角形形状をなし、生ゴミ処理槽
17の上方に配設された消臭槽、15は生ゴミ処理槽1
7と消臭槽11とを連通する処理気体導入管、16は消
臭槽11と生ゴミ処理槽17とを連通する処理気体排出
管、14は処理気体導入管内に設けられた吸引ファンで
ある。消臭槽11の内周面には光触媒被覆材12が全周
にわたって貼り付けられている。また、消臭槽11の内
部には消臭槽中心軸線に沿って延びる蛍光灯型の紫外線
ランプ13(波長250nmの殺菌灯を使用した)が配
置されている。
【0056】光触媒による汚染物質含有物浄化装置とし
ての消臭装置10は、光触媒被覆材12を用いて構成さ
れた光触媒部としての消臭槽11と、消臭槽11を構成
する光触媒被覆材12の表面に紫外線を照射する紫外線
照射部としての紫外線ランプ13と、汚染物質である悪
臭物質を含有する気体を消臭槽11に導き、紫外線が照
射されている光触媒被覆材12の表面に接触させるため
の汚染物質含有物導入手段としての吸引ファン14、処
理気体導入管15及び処理気体排出管16と、により構
成されている。
【0057】このように構成された消臭装置10を備え
た生ゴミ処理槽17において、生ゴミ処理槽17内に残
飯、野菜くず及び肉などからなる生ゴミと、バクテリア
による発酵を促すための酵母菌とを投入し、生ゴミを発
酵させることにより、生ゴミ処理槽17内に悪臭物質と
細菌とを含有する温度約45℃の気体を発生させた。前
記細菌は生ゴミの堆肥化に伴う好熱性細菌などの細菌で
ある。この悪臭物質と細菌とを含有する気体を、生ゴミ
処理槽17内から処理気体導入管15を介して消臭槽1
1内に導き、消臭槽11内を通過させながら、紫外線ラ
ンプ13にて強度10mW/cm2 の紫外線が照射され
ている光触媒被覆材12の表面に接触させるようにし
た。この消臭槽11内を通過した気体は、処理気体排出
管16を介して生ゴミ処理槽17内に戻るようになって
いる。本実験では、生ゴミ処理槽17からの気体を5時
間連続循環させた。なお、消臭槽11内に図示しない冷
却コイルをこれが光触媒被覆材12に接触するように設
け、該冷却コイル内に冷却媒体を流すことにより、光触
媒被覆材12をその温度が5℃程度になるように冷却し
た。これは、気体中の水分が光触媒被覆材12に触れて
結露するため、悪臭物質や細菌を光触媒被覆材12表面
に接触させる点で有利なためである。
【0058】本実験では、表5に示すように、消臭槽1
1に用いる光触媒被覆材12として、比較のために実験
No.1では光触媒膜を被覆しないTi含有率95質量
%のチタン合金材を使用し、比較のために実験No.2
では普通鋼S50Cよりなる基材に厚み0.4μmの光
触媒膜を被覆したもの(表1の比較例5)を使用し、比
較のために実験No.3ではTi含有率65質量%のチ
タン合金基材に厚み0.4μmの光触媒膜を被覆したも
の(表1の比較例10)を使用した。また、実験No.
4ではTi含有率90質量%のチタン合金基材に厚み
0.4μmの光触媒膜を被覆したもの(表1の実施例2
0)を使用し、実験No.5ではTi含有率95質量%
のチタン合金基材に厚み0.4μmの光触媒膜を被覆し
たもの(表1の実施例24)を使用した。
【0059】そして、本実験においては、悪臭物質であ
るアンモニア(NH4 )の濃度を測定した。すなわち、
消臭槽11の光触媒被覆材12に触れて結露した水分を
消臭槽11の外部に排出させて採取した。この採取され
た水100mLを1リットル容器に入れて30分放置し
てから、該容器中の悪臭物質であるアンモニアの濃度を
測定した。また、前記採取された水1g当たりの全菌数
を平板希釈法により計測した。結果を表5に示す。
【0060】なお、消臭槽11として、Ti含有率95
質量%のチタン合金基材に厚み0.10μmの陽極酸化
膜と厚み0.5μmの光触媒膜とをこの順で被覆してな
る光触媒被覆材(表2の比較例27)を使用したもの、
及び、Ti含有率95質量%のチタン合金基材に厚み
0.20μmの陽極酸化膜と厚み0.5μmの光触媒膜
とをこの順で被覆してなる光触媒被覆材(表2の比較例
29)を使用したものとについても、実験を行った。し
かしながら、これら両方の消臭槽ともに、実験中にその
光触媒膜が前記陽極酸化膜の存在によって剥離してしま
い、耐久性の点で実用に適するものでなかった。
【0061】
【表5】
【0062】表5に示すように、アンモニア濃度につい
ては、実験No.2と実験No.3の各比較例では、光
触媒膜の無い場合(実験No.1の比較例)に比較して
約60%に低下しているものの、15〜16ppm程度
残留していた。これに対して、実験No.4と実験N
o.5の各発明例では、1ppm以下にまで減らすこと
ができた。一方、細菌については、光触媒膜の無い場合
(実験No.1の比較例)では、紫外線照射にてある程
度殺菌されるものの、数として105 〔CFU/g〕台
の菌が残っていた。また、実験No.2と実験No.3
の各比較例では、菌数が104 〔CFU/g〕台まで減
少したものの、殺菌効果は十分ではなかった。これに対
して、実験No.4と実験No.5の各発明例では、菌
数が102〔CFU/g〕台まで減少し、優れた殺菌効
果が得られた。
【0063】なお、さらに優れた消臭効果を得るため、
消臭槽11に用いる光触媒被覆材として、光触媒膜の表
面に、活性炭やゼオライトなどの悪臭吸着機能を持つ吸
着剤の粒子を分散させた構造とし、これにより光触媒と
吸着剤を複合させたものを用いるようにしてもよい。
【0064】また、前記実施の形態では悪臭物質である
アンモニアの分解・除去について述べたが、本発明は、
他の悪臭物質であるメチルメルカプタンや硫化水素、さ
らに大気汚染物質であるNOX やSOX の分解・除去に
も有効である。
【0065】〔実施例71〕:ここでは、クリーンルー
ム内の局所空間における有機性ガス汚染防止性能につい
て調べた。図2は本発明の一実施形態による空気浄化装
置の構成を示す説明図である。図2において、25は内
部に多数のシリコンウエハ26を収納するウエハ収納箱
である。ウエハ収納箱25は、本例ではクラス1000
00のクリーンルーム内に設置されており、クリーンル
ーム内の局所空間を形成している。ウエハ収納箱25の
背面には紫外線を通す石英ガラス窓24が設けられてお
り、このウエハ収納箱25内における石英ガラス窓24
に近接した位置に光触媒パネル21が配置されている。
光触媒パネル21は、本例では矩形をなすパネル基板上
に光触媒被覆材22を貼り付けてなるものである。ま
た、石英ガラス窓24を間にしてウエハ収納箱25の外
側には蛍光灯型の紫外線ランプ23(波長250nmの
殺菌灯を使用した)が配置されている。ウエハ収納箱2
5の内部には、光触媒パネル21を間にして石英ガラス
窓24とは反対側に位置に試料台27が配置されてお
り、この試料台27上にシリコンウエハ26が載置され
ている。前記紫外線ランプ23は、石英ガラス窓24を
通して光触媒被覆材22の表面に紫外線を照射する一
方、ランプ熱に起因する温度差によりウエハ収納箱25
内の空気を流動化させるものである。図2における矢印
で示すように、紫外線ランプ23によりウエハ収納箱2
5内の空気を光触媒被覆材22表面に接触させるように
循環させることができる。
【0066】光触媒による汚染物質含有物浄化装置とし
ての空気浄化装置20は、光触媒被覆材22を用いて構
成された光触媒部としての光触媒パネル21と、光触媒
パネル21を構成する光触媒被覆材22の表面に紫外線
を照射する紫外線照射部としての紫外線ランプ23及び
石英ガラス窓24と、により構成されている。ここで、
紫外線ランプ23は、汚染物質である有機性ガスを含有
する気体を光触媒パネル21に導き、紫外線が照射され
ている光触媒被覆材22の表面に接触させるための汚染
物質含有物導入手段をも構成している。
【0067】さて、クリーンルーム内に設置されたウエ
ハ収納箱25内には、シリコンウエハ26の搬入、搬出
により、汚染物質を含むクリーンルーム空気が侵入する
ことになる。前記のように構成された空気浄化装置20
を備えたウエハ収納箱25において、ウエハ収納箱25
内に置かれたシリコンウエハ26表面の有機性ガスによ
る汚染度を調べた。ここで、有機性ガスとは例えば、フ
タル酸エステル、脂肪族エステル、トルエン、エチルベ
ンゼンである。これらの有機性ガスがシリコンウエハ2
6表面に付着すると、シリコンウエハ26表面は疎水性
になり、該表面に成膜される膜の付着力が弱くなるとい
う不具合がある。
【0068】本実験では、表6に示すように、光触媒パ
ネル21に用いる光触媒被覆材22として、比較のため
に実験No.6では光触媒膜を被覆しないTi含有率9
5質量%のチタン合金材を使用し、比較のために実験N
o.7では普通鋼S50Cよりなる基材に厚み0.4μ
mの光触媒膜を被覆したもの(表1の比較例5)を使用
し、比較のために実験No.8ではTi含有率65質量
%のチタン合金基材に厚み0.4μmの光触媒膜を被覆
したもの(表1の比較例10)を使用した。また、実験
No.9ではTi含有率90質量%のチタン合金基材に
厚み0.4μmの光触媒膜を被覆したもの(表1の実施
例20)を使用し、実験No.10ではTi含有率95
質量%のチタン合金基材に厚み0.4μmの光触媒膜を
被覆したもの(表1の実施例24)を使用した。
【0069】そして、本実験では、シリコンウエハ表面
の有機性ガスによる汚染度は、水によるぬれの接触角を
測定する水滴接触角法により評価した。有機性ガスがシ
リコンウエハ表面に付着すると、前述したようにシリコ
ンウエハ表面は疎水性になり、水をはじいてぬれにくく
なる。よって、有機性ガスの汚染度が高いほど接触角が
大きく、逆に汚染度が低いほど接触角が小さい。実験
は、ウエハ収納箱25内に洗浄された清浄なシリコンウ
エハを置き、光触媒被覆材22の表面に紫外線を照射
し、所定収納時間後にウエハ収納箱25から取り出され
た所定数のシリコンウエハについて接触角を測定するこ
とにより行った。紫外線ランプ23による光触媒被覆材
22の照射量は50mW/cm2 である。結果を表6に
示す。
【0070】なお、光触媒パネル21として、前記表2
の比較例27の光触媒被覆材を使用したもの、及び前記
表2の比較例29の光触媒被覆材を使用したものとにつ
いても、実験を行った。しかしながら、これら両方の光
触媒パネルともに、実験中にその光触媒膜が剥離してし
まい、耐久性の点で実用に適するものでなかった。
【0071】
【表6】
【0072】表6に示すように、光触媒膜の無い場合
(実験No.6の比較例)は、収納時間が長くなるに従
って有機性ガスによる汚染が進行するため接触角が大き
くなり、収納時間が30時間を超えると接触角が24°
程度に落ちつく傾向が見られた。実験No.7と実験N
o.8の各比較例では、収納時間が50時間でも接触角
が20°以下となっているものの、シリコンウエハに対
する有機性ガス汚染防止効果は十分でなかった。これに
対して、実験No.9と実験No.10の各発明例で
は、接触角が初期値5°のままで全く増大せず、優れた
有機性ガス汚染防止効果が得られた。
【0073】なお、前記実施の形態ではクリーンルーム
内の局所空間の気体浄化について述べたが、本発明はク
リーンルームの気体浄化にも適用可能である。
【0074】〔実施例72〕:ここでは、飼育水中に溶
存するアンモニアの分解・除去性能について調べた。図
3は本発明の一実施形態による水浄化装置の構成を示す
説明図である。図3において、37は上面が開口した箱
形の鑑賞魚飼育水槽である。この鑑賞魚飼育水槽37の
上に、上面が開口した箱形の光触媒フィルタ槽31が図
示しない支持板を介して配置されている。光触媒フィル
タ槽31内には後述する網目構造の光触媒被覆材32が
収納されている。35は処理水導入管、34は処理水導
入管35の途中に設けられた送水ポンプであり、送水ポ
ンプ34に吸入された鑑賞魚飼育水槽37内の飼育水
は、処理水導入管35を通って光触媒フィルタ槽31中
に導入される。光触媒フィルタ槽31に導入された飼育
水は、後述する網目構造の光触媒被覆材32に接触しな
がら網目の隙間を通り、次いで処理水排出管36を通っ
て鑑賞魚飼育水槽37へ戻されるようになっている。光
触媒フィルタ槽31上方には、蛍光灯型の紫外線ランプ
33(波長250nmの殺菌灯を使用した)が配置され
ている。
【0075】前記網目構造の光触媒被覆材32は、外形
寸法:幅320mm×長さ115mm×厚み0.1m
m、網目寸法:1mm×1mm、という網状に形成され
た網状光触媒被覆材を10枚積み重ねてなるものであ
る。この網目構造の光触媒被覆材32を、幅320mm
×長さ115mm×高さ100mmという外形寸法の光
触媒フィルタ槽31内に収納してある。
【0076】光触媒による汚染物質含有物浄化装置とし
ての水浄化装置30は、網目構造の光触媒被覆材32を
用いて構成された光触媒部としての光触媒フィルタ槽3
1と、この光触媒フィルタ槽31を構成する前記網目構
造の光触媒被覆材32の表面に紫外線を照射する紫外線
照射部としての紫外線ランプ33と、魚類にとって有害
なアンモニアを含む飼育水を光触媒フィルタ槽31に導
き、紫外線が照射されている網目構造の光触媒被覆材3
2の表面に接触させるための汚染物質含有物導入手段と
しての送水ポンプ34、処理水導入管35及び処理水排
出管36と、により構成されている。
【0077】本実験では、表7に示すように、網目構造
の光触媒被覆材32として、比較のために実験No.1
1では光触媒膜を被覆しないTi含有率95質量%のチ
タン合金材を網状に形成したものを使用し、比較のため
に実験No.12では普通鋼S50Cよりなる基材を網
状に形成し、これに厚み0.4μmの光触媒膜を被覆し
たもの(表1の比較例5を網状に形成したもの)を使用
し、比較のために実験No.13ではTi含有率65質
量%のチタン合金基材を網状に形成し、これに厚み0.
4μmの光触媒膜を被覆したもの(表1の比較例10を
網状に形成したもの)を使用した。また、実験No.1
4ではTi含有率90質量%のチタン合金基材を網状に
形成し、これに厚み0.4μmの光触媒膜を被覆したも
の(表1の実施例20を網状に形成したもの)を使用
し、実験No.15ではTi含有率95質量%のチタン
合金基材を網状に形成し、これに厚み0.4μmの光触
媒膜を被覆したもの(表1の実施例24を網状に形成し
たもの)を使用した。
【0078】本実験においては、送水ポンプ34を作動
させたときの光触媒フィルタ槽31の水面より高さ50
mmの位置に紫外線ランプ33を配置し、紫外線ランプ
33の前記水面における強度が10mW/cm2 となる
ようにした。そして、鑑賞魚飼育水槽37に金魚20匹
を飼育し、送水ポンプ34により飼育水を光触媒フィル
タ槽31を通して循環させながら、金魚の排泄によって
生成する飼育水中のアンモニアの濃度を測定した。その
結果を表7に示す。
【0079】なお、網目構造の光触媒被覆材32とし
て、前記表2の比較例27の光触媒被覆材を網状に形成
し、これを使用したもの、及び、前記表2の比較例29
の光触媒被覆材を網状に形成し、これを使用したものと
についても、実験を行った。しかしながら、これら両方
の網目構造の光触媒被覆材ともに、実験中にその光触媒
膜が剥離してしまい、耐久性の点で実用に適するもので
なかった。
【0080】
【表7】
【0081】表7に示すように、光触媒膜の無い場合
(実験No.11の比較例)、アンモニア濃度は2週間
までは時間の経過とともに増加し、3週間を超えると徐
々に低下した。この低下の理由は、鑑賞魚飼育水槽37
において増殖した微生物が飼育水の浄化に寄与するため
と考えられる。実験No.12と実験No.13の各比
較例では、アンモニアの分解・除去効果が認められるも
のの、十分でなかった。これに対して、実験No.14
と実験No.15の各発明例では、アンモニア濃度が初
期値0ppmのままで全く増大せず、アンモニアを効果
的に分解・除去することができた。
【0082】なお、前記実施の形態では水質汚染物質で
あるアンモニアの分解・除去について述べたが、本発明
は、他の水質汚染物質として、藻類などの微生物、プラ
ンクトンの死骸、ダイオキシンについてもその分解・除
去に有効である。
【0083】〔実施例73〕:ここでは、揮発性汚染物
質であるトリクロロエチレンの分解・除去性能について
調べた。図4は本発明の一実施形態による揮発性汚染物
質除去装置の構成を示す説明図である。図4において、
46はストリッピング(Stripping)槽であ
る。ストリッピング槽46は、該ストリッピング槽46
の底面近くに接続された処理水供給管46bを通して揮
発性汚染物質であるトリクロロエチレンを含む処理水が
供給される一方、圧縮空気吹込み管46aを通して圧縮
空気が前記処理水中に吹き込まれるように構成されてい
る。ストリッピング槽46は、空気バブリングによる脱
気を行うことにより、処理水に含まれるトリクロロエチ
レンを空気中に移行(抽出)するためのものである。4
1はストリッピング槽46の外部に設けられたリアクタ
ーである。断面矩形で角形形状をなすリアクター41の
内周面には光触媒被覆材42が全周にわたって貼り付け
られている。また、リアクター41の内部にはリアクタ
ー中心軸線に沿って延びる蛍光灯型の紫外線ランプ43
(波長250nmの殺菌灯を使用した)が配置されてい
る。45はストリッピング槽46とリアクター41とを
連通し、ストリッピング槽46内からトリクロロエチレ
ンを含む空気をリアクター41に導くための処理気体導
入管である。この処理気体導入管45の途中に吸引ファ
ン44が設けられている。なお、リアクター41の下流
側の面には次工程につながる配管が接続されている。
【0084】光触媒による汚染物質含有物浄化装置とし
ての揮発性汚染物質除去装置40は、光触媒被覆材42
を用いて構成された光触媒部としてのリアクター41
と、リアクター41を構成する光触媒被覆材42の表面
に紫外線を照射する紫外線照射部としての紫外線ランプ
43と、揮発性汚染物質であるトリクロロエチレンを含
む空気をリアクター41に導き、紫外線が照射されてい
る光触媒被覆材42の表面に接触させるための汚染物質
含有物導入手段としてのストリッピング槽46、処理気
体導入管45及び吸引ファン44と、により構成されて
いる。
【0085】本実験では、表8に示すように、リアクタ
ー41に用いる光触媒被覆材42として、比較のために
実験No.16では光触媒膜を被覆しないTi含有率9
5質量%のチタン合金材を使用し、比較のために実験N
o.17では普通鋼S50Cよりなる基材に厚み0.4
μmの光触媒膜を被覆したもの(表1の比較例5)を使
用し、比較のために実験No.18ではTi含有率65
質量%のチタン合金基材に厚み0.4μmの光触媒膜を
被覆したもの(表1の比較例10)を使用した。また、
実験No.19ではTi含有率90質量%のチタン合金
基材に厚み0.4μmの光触媒膜を被覆したもの(表1
の実施例20)を使用し、実験No.20ではTi含有
率95質量%のチタン合金基材に厚み0.4μmの光触
媒膜を被覆したもの(表1の実施例24)を使用した。
【0086】本実験では、ストリッピング槽46内に濃
度100ppmのトリクロロエチレンを含む処理水を送
り込み、ストリッピング槽46内において空気バブリン
グによる脱気を行うことにより、空気中に移行されたト
リクロロエチレンを含む空気を得、このトリクロロエチ
レンを含む空気をリアクター41に導くようにした。紫
外線ランプ43による光触媒被覆材42の照射量は10
mW/cm2 である。そして、ストリッピング槽46内
における空気中のトリクロロエチレン濃度(初期濃度)
とリアクター41の下流側出口における空気中のトリク
ロロエチレン濃度(処理後の濃度)とを測定した。その
結果を表8に示す。なお、ストリッピング槽46の排水
管46cからの脱気がなされた処理水のトリクロロエチ
レン濃度は、実験No.16〜No.20のいずれの場
合も10ppmまで低下していた。
【0087】なお、前記表2の比較例27の光触媒被覆
材と同じく表2の比較例29の光触媒被覆材について
は、両者ともリアクターに貼り付ける段階でその光触媒
膜が剥離してしまい、耐久性の点で実用に適するもので
なかった。
【0088】
【表8】
【0089】表8に示すように、光触媒膜の無い場合
(実験No.16の比較例)は、初期濃度と処理後の濃
度がともに10ppmであり、トリクロロエチレンの分
解・除去効果が認められなかった。実験No.17と実
験No.18の各比較例では、処理後の濃度が初期濃度
より低下して8〜7ppmになっており、トリクロロエ
チレンの分解・除去効果が認められるものの、十分でな
かった。これに対して、実験No.19と実験No.2
0の各発明例では、処理後の濃度が2〜1ppmまで低
下しており、トリクロロエチレンを効果的に分解・除去
することができた。
【0090】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、チ
タン基合金基材上に光触媒膜として酸化チタン結晶の薄
膜を形成してなり、光触媒性と耐久性との両者に優れた
光触媒被覆材を提供することができる。また、本発明に
よれば、光触媒膜の剥離を生じることがなく耐久性の点
において実用に適するとともに、汚染物質を効果的に分
解・除去することができる、光触媒による汚染物質含有
物浄化方法、及び光触媒による汚染物質含有物浄化装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による消臭装置の構成を示
す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による空気浄化装置の構成
を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による水浄化装置の構成を
示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による揮発性汚染物質除去
装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10…消臭装置 11…消臭槽 12…光触媒被覆材
13…紫外線ランプ 14…吸引ファン 15…処理気体導入管 16…処理
気体排出管 17…生ゴミ処理槽 20…空気浄化装置
21…光触媒パネル 22…光触媒被覆材 23…紫
外線ランプ 24…石英ガラス窓 25…ウエハ収納箱
26…シリコンウエハ 27…試料台 30…水浄化
装置 31…光触媒フィルタ槽 32…光触媒被覆材
33…紫外線ランプ 34…送水ポンプ 35…処理水
導入管 36…処理水排出管 37…鑑賞魚飼育水槽
40…揮発性汚染物質除去装置 41…リアクター 4
2…光触媒被覆材 43…紫外線ランプ 44…吸引フ
ァン 45…処理気体導入管 46…ストリッピング槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/745 B01J 37/02 301E 32/00 37/14 37/02 301 C02F 1/32 37/14 1/72 101 B09B 3/00 ZAB F24F 7/06 C C02F 1/32 B01D 53/36 J 1/72 101 G F24F 7/06 B01J 23/74 301A B09B 3/00 ZABD

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン基合金基材上に、アナターゼ型及
    び/又はルチル型の酸化チタン結晶を90体積%以上含
    有する光触媒膜が形成されてなる光触媒被覆材であっ
    て、前記チタン基合金基材のチタン含有量が70質量%
    以上であり、前記光触媒膜の厚みが0.1μm以上であ
    り、前記チタン基合金基材と前記光触媒膜の間に存在
    し、酸化チタン結晶、チタン基合金結晶とも異なる不可
    避的薄膜の厚みが0.05μm以下であることを特徴と
    する光触媒被覆材。
  2. 【請求項2】 前記光触媒膜中の全酸化チタン結晶に対
    するアナターゼ型酸化チタン結晶の体積比が80%以上
    である請求項1記載の光触媒被覆材。
  3. 【請求項3】 チタン含有量が70質量%以上であるチ
    タン基合金からなる基材をその表面酸化膜を除去すべく
    酸洗処理し、しかる後、該チタン基合金基材表面に形成
    される不可避的薄膜であって、酸化チタン結晶、チタン
    基合金結晶とも異なる該不可避的薄膜の膜厚が0.05
    μm以下において、前記酸洗処理されたチタン基合金基
    材にチタン化合物を塗布し、このものを酸素含有雰囲気
    下で温度400℃以上で焼成し、この塗布・焼成を1
    回、あるいは2回以上繰り返し行うことにより、前記酸
    洗処理されたチタン基合金基材上に酸化チタン結晶を9
    0体積%以上含有し厚みが0.1μm以上の光触媒膜を
    形成することを特徴とする光触媒被覆材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の光触媒被覆材の表
    面に、紫外線を照射するとともに汚染物質を含有する気
    体又は液体を接触させることにより、前記汚染物質を分
    解・除去することを特徴とする光触媒による汚染物質含
    有物浄化方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の光触媒被覆材を用
    いて構成された光触媒部と、該光触媒部を構成する前記
    光触媒被覆材の表面に紫外線を照射する紫外線照射部
    と、汚染物質を含有する気体又は液体を前記光触媒部に
    導き、前記紫外線が照射されている前記光触媒被覆材の
    表面に接触させるための汚染物質含有物導入手段とを備
    えていることを特徴とする光触媒による汚染物質含有物
    浄化装置。
  6. 【請求項6】 前記汚染物質が悪臭物質であり、生ゴミ
    処理に用いられるものであることを特徴とする請求項5
    記載の光触媒による汚染物質含有物浄化装置。
  7. 【請求項7】 前記汚染物質が有機性ガスであり、クリ
    ーンルーム又はクリーンルーム内の局所空間の気体浄化
    に用いられるものであることを特徴とする請求項5記載
    の光触媒による汚染物質含有物浄化装置。
  8. 【請求項8】 前記汚染物質が揮発性汚染物質であり、
    前記汚染物質含有物導入手段が、液体中に含まれる揮発
    性汚染物質を気体中に移行させ、この移行させた揮発性
    汚染物質を含む気体を前記紫外線が照射されている前記
    光触媒被覆材の表面に導き接触させるように構成されて
    なることを特徴とする請求項5記載の光触媒による汚染
    物質含有物浄化装置。
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