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JP2001089780A - 潤滑性樹脂組成物およびシールリング - Google Patents

潤滑性樹脂組成物およびシールリング

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Publication number
JP2001089780A
JP2001089780A JP2000127855A JP2000127855A JP2001089780A JP 2001089780 A JP2001089780 A JP 2001089780A JP 2000127855 A JP2000127855 A JP 2000127855A JP 2000127855 A JP2000127855 A JP 2000127855A JP 2001089780 A JP2001089780 A JP 2001089780A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
ring
seal ring
lubricating
seal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000127855A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuya Ishii
卓哉 石井
Kenji Ito
健二 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2000127855A priority Critical patent/JP2001089780A/ja
Priority to US09/584,093 priority patent/US6349943B1/en
Publication of JP2001089780A publication Critical patent/JP2001089780A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J15/00Sealings
    • F16J15/16Sealings between relatively-moving surfaces
    • F16J15/32Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings
    • F16J15/3284Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings characterised by their structure; Selection of materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L71/00Compositions of polyethers obtained by reactions forming an ether link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
    • F16J9/28Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction of non-metals

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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性およびシール性に優れ、潤滑油が充
分に供給されなくてもアルミニウム合金製シール面を摩
耗損傷しない潤滑性樹脂組成物とし、特に外径寸法が2
0mm以下の小型のシールリングについて、容易に開環
用割れ目を広げて軸に取り付けできるシールリングとす
ることである。 【解決手段】 芳香族ポリエーテルケトン樹脂50〜9
0体積%、芳香族ポリアミド繊維5〜30体積%、四フ
ッ化エチレン樹脂2〜30体積%を配合してなる潤滑性
樹脂組成物とする。または、前記の樹脂組成物にマイカ
もしくはタルク2〜20体積%、モース硬度3以下のウ
ィスカ2〜30体積%またはモース硬度3以下の粒状無
機化合物2〜30体積%を配合した潤滑性樹脂組成物と
する。このような潤滑性樹脂組成物からなるリングに開
環用割れ目を形成したシールリングにおいて、曲げ歪み
(ASTM D790)が3%以上で外径20mm以下
のアルミニウム合金面摺接用のシールリングとする。複
数の補強材が互いの弱点を補うように作用し、組成物の
耐摩耗性を効率よく向上させ、アルミニウム合金製シー
ル面を損傷しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シールリングな
どのシール部材に適用される潤滑性樹脂組成物およびシ
ールリングに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の自動変速機、連続無段
可変変速機をはじめとする油圧機器には、シールリング
等のシール部材が用いられている。このようなシール部
材は、使用する環境によって鋳鉄または合成樹脂を主成
分としたものを選択して使用され、オイルシール性など
の密封性と共に、低摩擦特性、耐摩耗性、摺接する相手
金属に対する非損傷性、軸へ装着する作業の容易性(ハ
ンドリング)等が要求される部材である。
【0003】鋳鉄製のシール部材は耐摩耗性に優れてい
るが、シール効率が悪くこれを用いた油圧機器には流量
の大きいオイルポンプが必要となる。また、鋳鉄製のシ
ール部材は、合成樹脂より弾性率が高くて靭性がないの
で、取り付けが容易でなく、例えば、外径寸法が20m
m以下で開環用割れ目(合口部)を有する鋳鉄製のオイ
ルシールリングは、合口部を広げて軸に取り付ける際に
破断しやすい。
【0004】一方、四フッ化エチレン樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族熱可塑
性ポリイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂等の
合成樹脂を成分とし、さらに種々の充填材が配合された
成形体からなるシールリングは、鋳鉄と比較して弾性率
が低くて合口部を広げても破断し難く、しかもシール性
に優れたものである。
【0005】このうち四フッ化エチレン樹脂は、弾性率
が低くシール性にも優れた摩擦特性を示し、充填材を配
合して耐摩耗性、耐クリープ性を改良したものをシール
部材として用いている。
【0006】しかし、このような樹脂組成物からなるシ
ール部材は、100℃を越える高温雰囲気で高速摺動し
た場合、1MPaに満たない面圧で摩耗し、かつ圧縮ク
リープも大きく、充分なシール性は得られなかった。
【0007】また、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂製のシール部材は、高温雰囲気で高速摺
動する使用条件では溶融して摩耗量が多くなり、オイル
シールとして使用するとオイル漏れが生じる。
【0008】また、芳香族熱可塑性ポリイミド樹脂製の
シール部材は、耐熱性に優れるが、合口部を有するシー
ルリングに形成すると、靭性が充分にないので、合口部
を広げ難く、耐摩耗性も充分ではない。
【0009】芳香族ポリエーテルケトン樹脂製のシール
部材は、適度な弾性率を有して靭性があるため、優れた
シール性があって取扱いが容易であり、例えば100℃
を越える高温で高速に摺動する使用状態でも低摩擦特性
であり耐摩耗性にも優れている。
【0010】芳香族ポリエーテルケトン樹脂製シール部
材は、摺接する相手金属に応じて種々の充填材が配合さ
れており、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ
ウムウィスカ、黒鉛、マイカ、タルク、四フッ化エチレ
ン樹脂などが代表として挙げられる。
【0011】例えば、機械的特性や耐摩耗性を向上させ
るためにガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィ
スカ等の繊維状充填材、または黒鉛、マイカ、タルク等
の鱗片状充填材が添加され、低摩擦特性を付与するため
に四フッ化エチレン樹脂、黒鉛、二硫化モリブデン等の
固体潤滑剤が添加されている。
【0012】ところが、充填材を配合すると、耐摩耗
性、低摩擦特性は向上するが、合口部を広げ難くなると
いう欠点がある。因みに、合口部の広げ易さという取り
扱いの容易性は、充填材の種類、添加量に大きく関連す
る。充填材の種類別にみると、黒鉛、マイカ、タルクと
いった鱗片状のものは、添加量を多くすると取り扱いの
容易性が失われやすい。そのため、外径寸法が20mm
以下の小型の合成樹脂製のシールリングに低摩擦特性、
耐摩耗性および取り扱いの容易性等のすべてを満足させ
ることは難しかった。
【0013】また、炭素繊維と固体潤滑剤を併用して添
加したシール部材は、ある程度の摩擦摩耗特性を示す
(特公昭61−58093号公報、特願平9−1424
87号公報)が、外径寸法20mm以下のシールリング
では充填材の添加量を少なくして合口部を広げ易やすく
すると、耐摩耗性が低くなると共にシール性が充分でな
くなる。そして、このようなシールリングを用い、シー
ル面がアルミニウム合金である場合には、炭素繊維によ
ってアルミニウム合金が損傷し、これによりシールリン
グが異常摩耗するという問題が起こる。
【0014】特公平1−29379号公報または特開平
2−175793号公報には、チタン酸カリウムウィス
カと固体潤滑剤とを併用して添加したシール部材が記載
されているが、これらは100℃を越える高温雰囲気
下、高速度で摺動させるとチタン酸カリウムウィスカの
補強効果が不充分になり、摩耗量が多くなる。また、こ
のシール部材は、摺接するシール面がアルミニウム合金
の場合には、シール面を損傷して充分なシール性が得ら
れなかった。
【0015】アルミニウム合金製シール面の損傷を防ぐ
ために、粒状、鱗片状の充填材、または固体潤滑剤のい
ずれかを添加したシール部材が開示されたが、このシー
ル部材は、耐摩耗性が不充分であり、シール面を損傷さ
せる場合があった(特開平8−159292、特開平1
0−53700)。
【0016】そして、炭素繊維、粒状または鱗片状の充
填材および固体潤滑剤を併用して添加しても、アルミニ
ウム合金製シール面の非損傷性は充分に満足できる程度
にならない。また、アルミニウム合金製シール面の損傷
を軽減するために、鱗片状の充填材を多量に添加する
と、合口部を広げ難くなりシールリングの取り扱い性が
悪化する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シールリン
グのようなシール部材を装着した油圧機器などは、装置
全体の小型化や高性能化などが要請され、高圧条件下で
も良好に摺動する特性が要求される。また、装置を小型
化するためにシールリングの外径寸法も小さくする必要
があり、小径で合口部を広げ易く、取り扱いの容易なシ
ールリングが要望されてきている。
【0018】また、従来の組成からなる芳香族ポリエー
テルケトン樹脂製のシールリングまたはその他のシール
部材は、100℃を越える高温雰囲気で高速摺動させた
場合に、充分なシール性を発揮させることができなかっ
た。
【0019】また、外径寸法が20mm以下のシールリ
ングの合口部を広げ易くするために、シール面の摩耗量
を増やさずに充填材を減らすことはできなかった。
【0020】シールリングを軸に装着する際の組み付け
の容易性は、樹脂組成物の曲げ歪みと大きな関係があ
り、曲げ歪みが大きいほど軸に対して外径寸法が小さい
シールリングを装着しやすくなる。
【0021】通常、軸やシリンダのいずれかをアルミニ
ウム合金で形成し、切削加工性や軽量化を図っている
が、このようなシールを油圧シリンダやピストンなどに
装着するとき、潤滑油に接して摺動するアルミニウム合
金製のシール面は、潤滑油に接しない条件(乾燥摩擦条
件)で摺動する場合よりも損傷され易くなる。
【0022】なぜなら、高速高面圧の条件では摺動面に
潤滑油が充分に供給され難く、また何らかの理由で摺動
面に非常に薄い油膜が形成されている場合に乾燥摩擦面
で通常に起こる芳香族ポリエーテルケトン樹脂組成物か
ら摺動相手材へ潤滑物質の移着作用が起こらなくなる。
その場合、摺動面には固体潤滑剤または液体潤滑剤がい
ずれも供給されない状態になり、シール面は摩耗損傷す
るのである。
【0023】そこで、本願の潤滑性樹脂組成物に係る発
明の課題は、上記した問題点を解決して、耐摩耗性およ
びシール性に優れ、潤滑油が充分に供給されない状態で
もアルミニウム合金製シール面が摩耗損傷することのな
い潤滑性樹脂組成物とすることである。
【0024】特に、100℃を越える高温および高速摺
動条件で、耐摩耗性およびシール性に優れた潤滑性樹脂
組成物を提供し、しかもアルミニウム合金からなるシー
ル面に対して1MPa以上の面圧で摺接する際にもシー
ル面を損傷しないものを提供することである。
【0025】また、本願のシールリングに係る発明は、
耐摩耗性、シール性およびアルミニウム合金製シール面
を損傷しないシールリングとし、特に外径寸法が20m
m以下の小型のシールリングについて、その開環用割れ
目を広げやすくして容易に軸に取り付けることができる
取り扱い性のよいシールリングとすることである。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願の潤滑性樹脂組成物に係る発明においては、芳
香族ポリエーテルケトン樹脂50〜90体積%、芳香族
ポリアミド繊維5〜30体積%、四フッ化エチレン樹脂
2〜30体積%を配合してなる潤滑性樹脂組成物とした
ものである。上記の潤滑性樹脂組成物をシール用潤滑性
樹脂組成物とすることもできる。
【0027】上記の潤滑性樹脂組成物に係る発明では、
補強材の芳香族ポリアミド繊維と潤滑剤の四フッ化エチ
レン樹脂を併用することにより、芳香族ポリエーテルケ
トン樹脂を主成分とする樹脂組成物における耐摩耗性と
低摩擦特性が改良され、シール性の高い組成物となる。
そして、所定量の芳香族ポリアミド繊維によってシール
自体の耐摩耗性が向上すると共にシール面がアルミニウ
ム合金である場合にもシール面を摩耗させずまたは損傷
しないものになる。
【0028】また、前記の課題を解決するため、本願の
潤滑性樹脂組成物に係る発明では、上記の樹脂組成物に
対し、さらにマイカもしくはタルク2〜20体積%、モ
ース硬度3以下のウィスカ2〜30体積%、またはモー
ス硬度3以下の粒状無機化合物2〜30体積%を配合し
た潤滑性樹脂組成物としたのである。
【0029】上記の潤滑性樹脂組成物の発明では、補強
材として芳香族ポリアミド繊維と共に、マイカもしくは
タルク、所定硬度のウィスカまたは粒状無機化合物を併
用することにより、芳香族ポリアミド繊維が芳香族ポリ
エーテルケトン樹脂の全体をマクロ的に補強すると共
に、マイカもしくはタルク、所定硬度のウィスカまたは
粒状無機化合物が、芳香族ポリアミド繊維間をミクロ的
に補強する。このような補強材は、それぞれ所定量配合
されているので、互いの弱点を補うように作用して組成
物の耐摩耗性を相乗的に向上させ、シール性およびアル
ミニウム合金製シール面を摩耗損傷しないという複数の
課題を全て確実に解決できる。
【0030】また、本願のシールリングに係る発明にお
いては、上記の課題を解決するために、潤滑性樹脂組成
物をリング状に形成すると共に、このリングに開環用割
れ目を形成したシールリングとしたのである。また、上
記の潤滑性樹脂組成物を曲げ歪み(ASTM D79
0)が3%以上で外径20mm以下のリング状に形成
し、このリングに開環用割れ目を形成したシールリング
としたのである。または、上記の潤滑性樹脂組成物から
なり、アルミニウム合金面摺接用のシールリングとした
のである。
【0031】上記のシールリングに係る発明では、前述
の潤滑性樹脂組成物で形成されているので、耐摩耗性、
シール性およびアルミニウム合金製シール面を摩耗損傷
しないという複数の課題を同時に解決できる。そして、
所定の補強材を併用して所定量配合しているので、曲げ
弾性率が向上する。特に曲げ歪み(ASTM D79
0)が3%以上としたものは、特に外径寸法が20mm
以下で小型のシールリングの開環用割れ目を広げやすく
て容易に軸に装着できるものになる。
【0032】
【発明の実施の形態】この発明に用いる芳香族ポリエー
テルケトン樹脂(以下、PEKと略記する。)は、下記
の化1の式にそれぞれ示した繰り返し単位からなる重合
体、またはそのような繰り返し単位と共に、例えば下記
の化2の式にそれぞれ示した繰り返し単位をPEK本来
の特性を失わないように重合させた共重合体である。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】そのようなPEKの市販品としては、下記
の化3で表されるビクトレックス(VICTREX)社
製:PEEK、下記の化4の式で表されるビクトレック
ス(VICTREX)社製:PEK、または、下記の化
5の式で表されるBASF社製:Ultrapekが挙
げられる。これらは、上記した市販品のほか、特開昭5
4−90296号公報などに記載された周知の方法に従
って製造することもできる。
【0036】
【化3】
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】この発明に用いる芳香族ポリアミド繊維
は、下記に示す繰り返し単位を有する有機繊維であっ
て、化6に示すメタ系のものと化7に示すパラ系のもの
がある。
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】芳香族ポリアミド繊維の繊維長は0.1〜
3mmであることが好ましく、また0.1〜1.5mm
であることがより好ましい。なぜなら、前記範囲未満の
繊維長では耐摩耗性への効果が不充分であり、前記範囲
を越える繊維長では組成物中で分散不良となるからであ
る。
【0043】このような芳香族ポリアミド繊維がPEK
樹脂を補強するので、組成物の耐摩耗性が著しく向上す
る。また、芳香族ポリアミド繊維は有機繊維であるため
柔らかく、摩擦面において強い摩擦せん断力を受けた際
にも炭素繊維に比べて摺動相手のアルミニウム合金(J
IS H2118で規定されるダイカスト用アルミニウ
ム合金など)を摩耗および損傷し難い。
【0044】上記した好ましい条件を満足するメタ系の
芳香族ポリアミド繊維の市販品としては、デュポン・東
レ・ケブラー社製:ノーメックス、帝人社製:コーネッ
クスが挙げられる。また、パラ系の芳香族ポリアミド繊
維の市販品としては、デュポン・東レ・ケブラー社製:
ケブラー、日本アラミド社製:トワロン、帝人社製:テ
クノーラが挙げられる。
【0045】この発明に用いる四フッ化エチレン樹脂
(以下、PTFEと略記する。)は、懸濁重合法による
モールディングパウダー、乳化重合法によるファインパ
ウダー、加熱処理または加圧、加熱処理された粉末を粉
砕した粉末、その後γ線または電子線を照射した粉末な
どの固体潤滑剤用粉末のいずれを採用してもよいが、固
体潤滑剤用粉末がより好ましい。また、これらモールデ
ィングパウダー、ファインパウダー、固体潤滑剤用粉末
を併用してもよい。
【0046】そのようなPTFEの市販品としては、喜
多村社製:KTL−610、KTL−350、KT−8
N、KT−400H、三井・デュポンフロロケミカル社
製:テフロン7−J、TLP−10、旭硝子社製:フル
オンG163、L150J、L169J、ダイキン工業
社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト
社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが
挙げられる。また、PTFEは、パーフルオロアルキル
エーテル基、フルオロアルキル基、またはその他のフル
オロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFEであ
ってもよい。
【0047】この発明に用いるマイカまたはタルクの平
均粒径は1〜50μmであり、好ましくは5〜30μm
である。前記範囲外の粒径では、ミクロ的な補強効果に
乏しく、組成物の耐摩耗性の向上が不充分になる。
【0048】この発明に用いるモース硬度3以下のウィ
スカとしては、硫酸マグネシウムウィスカ、硫酸カルシ
ウムウィスカが挙げられる。
【0049】ウィスカの繊維長は前記した芳香族ポリア
ミド繊維より適度に短い50μm前後であることが好ま
しく、極端に短いウィスカでは組成物に充分な耐摩耗性
が備わらない。
【0050】また、この発明に用いるモース硬度3以下
の粒状無機化合物としては、硫酸マグネシウム、硫酸カ
ルシウムなどからなる粉粒体が挙げられるが、できれば
低硬度な硫酸カルシウムが好ましい。
【0051】粒状無機化合物の平均粒径は100μm以
下、好ましくは前記した芳香族ポリアミド繊維より適度
に小さい10〜50μmであり、1μm未満の極端に小
さい粒状無機化合物では組成物に充分な耐摩耗性が備わ
らない。
【0052】ウィスカまたは粒状無機化合物は、芳香族
ポリアミド繊維に比べて小さいので、密封面に存在する
確率が高いものである。そして、密封面が摩擦された際
に生じる摩擦せん断力の大部分を、このようなウィスカ
または粒状無機化合物が受けるため、シール面は摩耗し
難くなり、またウィスカまたは粒状無機化合物はモース
硬度3以下のものであるから、シール面のアルミニウム
合金(JIS H2118で規定されるダイカスト用ア
ルミニウム合金など)は摩耗損傷し難い。
【0053】モース硬度3以下のウィスカの具体例とし
ては、硫酸カルシウムウィスカの無水塩型のもの、また
は半水塩型のものが挙げられるが、好ましいウィスカは
無水塩型のものである。市販のウィスカを列記すると、
以下の通りである。 (a) 硫酸マグネシウムウィスカ(宇部興産社製:モスハ
イジ) (モース硬度2.5、繊維長10〜30μm、繊維径
0.5〜1μm) (b) 硫酸カルシウムウィスカ 大日精化工業社製:フランクリンファイバー A−30
(無水塩型) 大日精化工業社製:フランクリンファイバー H−30
(半水塩型) (モース硬度2〜3、繊維長50〜60μm、繊維径2
μm) また、モース硬度3以下の粒状無機化合物の具体例とし
ては、硫酸カルシウムの無水塩型のもの、半水塩型のも
のが挙げられるが、好ましくは無水塩型のものである。
硫酸カルシウムの市販品としては、ノリタケ社製:D−
101A(無水塩型)、D−101A(無水塩型)、D
−200(無水塩型)、FT−2(半水塩型)などが挙
げられる。
【0054】PEK組成物中で芳香族ポリアミド繊維は
耐摩耗性を向上させ、四フッ化エチレン樹脂は低摩擦特
性を向上させる役割を果たしている。そのため、PEK
組成物からなるシール部材を、アルミニウム合金相手材
と1MPa以上の面圧で100℃を越える高温雰囲気で
高速に摺接させても、柔らかい芳香族ポリアミド繊維が
摩擦面における摩擦せん断力の大部分を受け、シール面
のアルミニウム合金(JIS H2118で規定される
ダイカスト用アルミニウム合金など)を摩耗損傷させな
い。
【0055】PEK組成物中にマイカ、タルク、所定硬
度のウィスカまたは粒状無機化合物を芳香族ポリアミド
繊維と共に添加すると、芳香族ポリアミド繊維がPEK
組成物を比較的粗いネットワークで補強し、マイカ、タ
ルクまたはウィスカが、前記のネットワークを縫うよう
にミクロ的に補強する。そのため、組成物の耐摩耗性が
著しく向上すると考えられる。
【0056】また、モース硬度3以下のマイカ、タル
ク、ウィスカおよび粒状無機化合物は、芳香族ポリアミ
ド繊維に比べて小さいので、これらは摩擦面に多く露出
して面圧を均等に受けることになる。そのため、摺動面
にかかる荷重は面全体に平均化されて、芳香族ポリアミ
ド繊維とマイカ、タルク、ウィスカまたは粒状無機化合
物とが摩擦面で受ける摩擦せん断力を低くし、そのため
に摺動相手のアルミニウム合金が摩耗せず損傷し難くな
る。
【0057】このように雰囲気温度と面圧が高い条件
で、シール部材をアルミニウム合金に摺接させる際に
は、PEK組成物中にマイカ、タルク、所定硬度のウィ
スカまたは粒状無機化合物を芳香族ポリアミド繊維と併
用して添加することが好ましい。
【0058】マイカ、タルクは鱗片状、ウィスカは繊維
状であるため、いずれもミクロ的な補強効果を有するも
のであるが、繊維状であるウィスカがより効果的で好ま
しいものである。また、マイカのモース硬度は、2〜3
であるのに対し、タルクのモース硬度は1であり、鉱物
のうちで最も低いため、マイカよりもタルクを採用する
ことがより好ましい。
【0059】潤滑性樹脂組成物の配合割合は、PEK樹
脂50〜90体積%、芳香族ポリアミド繊維5〜30体
積%、PTFE2〜30体積%とするか、または上記の
樹脂組成物に、さらにマイカもしくはタルク2〜20体
積%、モース硬度3以下のウィスカ2〜30体積%また
はモース硬度3以下の粒状無機化合物2〜30体積%を
添加する。
【0060】このような配合割合を採用する理由は、芳
香族ポリアミド繊維の配合割合が30体積%を越えると
組成物の成形性が阻害され、機械的強度や耐摩耗性が低
下するからである。また、配合割合が5体積%未満では
組成物を補強する効果が乏しくなり、充分な耐摩耗性が
得られない。
【0061】また、PTFEの配合割合が30体積%を
越えると、耐摩耗性が所要程度より低下する。また、P
TFEの配合割合が2体積%未満の少量では組成物に所
要の潤滑性が備わらず潤滑性が充分に発揮されない。
【0062】マイカまたはタルクの配合割合が20体積
%を越える多量では、耐摩耗性が所要程度より低下し、
シールリングの軸への取り付け時の扱いやすさが悪化す
る。2体積%未満では組成物のミクロ補強効果がなく、
所要の耐摩耗性が得られない。
【0063】また、ウィスカまたは粒状無機化合物の配
合割合が30体積%を越える多量では、耐摩耗性が所要
程度より低下し、2体積%未満では組成物のミクロ補強
効果がなく、所要の耐摩耗性が得られない。
【0064】また、この発明における潤滑性樹脂組成物
では、充填材の配合割合の総計が50体積%を越えると
成形し難くなり、またシール部材に所要の耐摩耗性がな
くなる。また、充填材が10体積%未満では、所要の耐
摩耗性、潤滑性が得られない。
【0065】なお、この発明の効果を阻害しない程度に
潤滑性樹脂組成物に対し、以下に列挙するような周知の
樹脂用添加剤を配合してもよい。 (1)摩擦特性向上剤:黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリ
ブデン、二硫化タングステンなど (2)電気特性向上剤:炭素粉末、酸化亜鉛、酸化チタ
ンなど (3)クラッキング性向上剤:黒鉛 (4)熱伝導性向上剤:黒鉛、金属酸化物粉末 (5)摩耗補強剤:炭素繊維、炭酸カルシウムウィス
カ、酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホ
ウ酸アルミニウムウィスカ、酸化チタンウィスカなど
【0066】以上述べた諸原材料を混合または混練する
手段は、特に限定されないが、例えは粉末原料のみをヘ
ンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダ
ー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーな
どにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出
し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得るこ
とができる。そして、成形方法としては、押出し成形、
射出成形、加熱圧縮成形などを採用することができる
が、製造効率などの点で射出成形が好ましいのは勿論で
ある。また、成形後にアニール処理等の物性改善のため
の処理を施してもよい。
【0067】この発明の潤滑性樹脂組成物の好適な用途
としては、自動車の自動変速機、連続無段可変変速機を
はじめとする各種の油圧機器などに用いられるシールリ
ングが挙げられる。
【0068】さらに、炭酸ガス、天然ガス、代替フロン
などの冷媒が使用されているコンプレッサー用シール
(チップシール、ピストンリング)、トラック、バス、
自動車などのパワーステアリングシールリング、ショベ
ルカー、フォークリフト、ブルドーザーまたは釘打ち機
等の建設機械関連のシール軸受としても使用可能であ
る。
【0069】また、安全性を考慮するならば、前述の1
00℃を越える雰囲気で負荷圧力が1MPaを越えるよ
うな仕様より穏やかな条件で用いる油圧機器のシールリ
ングであってもよい。
【0070】また、接触する相手金属の材質が、鋼、鋳
鉄などのアルミニウム合金より硬度の高い材質の場合で
あっても、外径寸法が20mmを越えるシールリングの
場合であっても、前記組成物の成形体をシール部材とし
て使用可能である。
【0071】
【実施例】実施例および比較例に用いる原材料を一括し
て以下に示す。なお、原材料に括弧書きした番号は、表
中の原材料番号と一致している。 (1) 芳香族ポリエーテルケトン樹脂〔PEK〕 VICTREX社製:PEEK450P (2) 芳香族ポリアミド繊維〔ARF−1〕 日本アラミド社製:トワロン1010カットファイバー (パラ系、繊維長0.25mm、繊維径12μm) (3) 芳香族ポリアミド繊維〔ARF−2〕 日本アラミド社製:トワロン1010カットファイバー (パラ系、繊維長0.5mm、繊維径12μm) (4) 芳香族ポリアミド繊維〔ARF−3〕 日本アラミド社製:トワロン1010カットファイバー (パラ系、繊維長1mm、繊維径12μm) (5) 芳香族ポリアミド繊維〔ARF−4〕 日本アラミド社製:トワロン1010カットファイバー (パラ系、繊維長3mm、繊維径12μm) (6) 芳香族ポリアミド繊維〔ARF−5〕 帝人社製:コーネックス ショートカットファイバー (メタ系、繊維長0.6mm、2デニール) (7) 炭素繊維(PAN系)〔CF〕 東邦レーヨン社製:ベスファイト HTA−CMF01
60−0H (繊維長0.16mm、繊維径7μm) (8) 硫酸マグネシウムウィスカ〔硫酸マグネシウムW〕 宇部興産社製:モスハイジ (モース硬度2.5、繊維長10〜30μm、繊維径
0.5〜1μm) (9) 硫酸カルシウムウィスカ〔硫酸カルシウムW〕 大日精化工業社製:フランクリンファイバー A−30
(無水塩型) (モース硬度2〜3、繊維長50〜60μm、繊維径2
μm) (10)チタン酸カリウムウィスカ〔チタン酸カリウムW〕 大塚化学社製:ティスモN (モース硬度4、繊維長10〜20μm、繊維径0.3
〜0.6μm) (11)ホウ酸アルミニウムウィスカ〔ホウ酸アルミニウム
W〕 四国化成工業社製:アルボレックスY (モース硬度7、繊維長10〜30μm、繊維径0.5
〜1μm) (12)四フッ化エチレン樹脂〔PTFE〕 喜多村社製:KTL−610(固体潤滑用粉末、粒径1
5μm) (13)タルク 松村産業社製:クラウンタルクPP (モース硬度1、粒径11μm) (14)マイカ レプコ社製:M−325 (モース硬度2〜3、粒径20μm) (15)黒鉛 日本黒鉛社製:ACP(粒径10μm) (16)硫酸カルシウム粉末 ノリタケ社製:D−101
A(無水塩型) (モース硬度2〜3、粒径25μm)
【0072】〔実施例1〜16、比較例1〜14〕原材
料を表1および表2に示す配合割合(体積%)でヘンシ
ェル乾式混合機を用いてドライブレンドし、二軸押出し
機を用いて溶融混練しペレットを作製した。このペレッ
トを射出成形機にて射出圧力100MPa、ノズル温度
400℃、金型温度180℃の条件で成形し、φ14
(内径)×φ23(外径)×13(幅)mmの素形材、
図1に示す合口形状が複合ステップカットのφ17(内
径)×φ20(外径)×2.0(幅)mmのシールリン
グA、および12.7(幅)×128(長さ)×3.2
(厚さ)mmの曲げ試験片を得た。そして、φ14×φ
23×13mmの素形材は、切削加工してφ17×φ2
1×10mmの摩擦摩耗試験用のリング試験片を作製し
た。
【0073】摩擦摩耗試験としては、以下に示すリング
オンディスク試験およびシールリング試験を採用した。
【0074】(1)リングオンディスク試験 リングオンディスク型試験機を用い、低粘度の潤滑油
(モービル社製ベロシティオイルNo.3:2cSt−
40℃)中で摺接相手材をアルミニウム合金(ADC1
2:JIS H2118 12種)とし、面圧2MPa
及び4MPa、周速64m/分、油温110℃で5時間
供試し、試験終了直前の動摩擦係数、樹脂試験片の摩耗
量、相手材の摩耗量を表3および表4に示した。
【0075】(2)シールリング試験 図2に示すシールリング試験機を用い、アルミニウム合
金(ADC12:JIS H2118 12種)製の軸
1の軸溝2、2′にシールリング3、3′を装着し、軸
1を回転させてシールリング3、3′を軸溝2、2′の
側面およびS45C製シリンダ4の内周面と摺接させ
た。このときシリンダ4の上方の油圧ポンプ(図示省
略)から供給管5を介して油を圧送し、油圧計6により
油圧を設定した。
【0076】潤滑油としてATF(昭和シェル石油社
製:デキシロン)を使用し、油圧1MPa、軸回転数8
000rpm、油温120℃で100時間供試し、シー
ルリングの側面(ADC12製軸溝との摺接面)の摩耗
量、およびADC12製軸溝の摩耗量を表3および表4
に示した。また、シールリングを軸溝に装着する際の容
易性を○印(開環用割れ目を軸方向へずらすように広げ
て容易に軸溝に装着できる)、△印(容易ではないが開
環用割れ目を軸方向へずらすように広げて装着可能であ
る)、×印(装着のために開環用割れ目を軸方向へずら
すように広げるとリングが破断する)の3段階に評価
し、結果を表3または表4に併記した。
【0077】(3)曲げ試験 ASTM D790に準拠し、常温での曲げ弾性率、曲
げ歪みを測定し、これらの結果を表3および表4に示し
た。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】表3および表4の結果からも明らかなよう
に、PEK樹脂、芳香族ポリアミド繊維、PTFEのう
ち、一種以上の原材料が不足する組成物からなる比較例
1〜4、14のシールリングは、低摩擦特性、耐摩耗性
及び相手材の非損傷性のすべてを同時に満足することが
できなかった。
【0083】芳香族ポリアミド繊維が40体積%という
多量の比較例5は、摺接相手材の摩耗量が多く、また曲
げ歪み量が少なく軸溝への装着容易性が劣っていた。芳
香族ポリアミド繊維が2体積%という少量の比較例6
は、シールリングの耐摩耗性が不良であった。
【0084】PEK樹脂の配合割合が50体積%未満の
比較例7は、曲げ歪み量が少なく軸溝への装着容易性が
劣っていた。PEK樹脂の配合割合が90体積%を越え
る多量でありしかも芳香族ポリアミド繊維が2体積%と
いう少量の比較例8は、シールリングの耐摩耗性が不良
であった。
【0085】また、所定硬度以外のウィスカを配合した
比較例9、10は摺動相手材を損傷させ、耐摩耗性も不
充分であった。炭素繊維またはチタン酸カリウムウィス
カの繊維状補強材と固体潤滑材を添加した比較例12、
13は相手材を著しく損傷させた。
【0086】それに対して、実施例1〜16の組成物
は、油温100℃を越える高温のオイルに接し、面圧2
MPa条件でのリングオンディスク試験で相手材(AD
C12)をほとんど損傷することなく、低摩擦特性およ
び耐摩耗性に優れていた。また、実施例1、2、8、
9、12、14〜16は、高面圧(4MPa)でのリン
グオンディスク試験においても優れた摩擦摩耗特性を示
した。
【0087】そして、実施例1〜5、7〜10、12及
び14〜16は、ASTM D790の曲げ歪みが3%
以上であって、外径寸法が20mm以下のシールリング
として使用可能であるように軸への装着容易性があり、
シールリング試験においてアルミニウム合金(ADC1
2)製の軸溝をほとんど損傷することがなく、シールリ
ング自体にも優れた耐摩耗性を有するものであった。
【0088】
【発明の効果】本願の潤滑性樹脂組成物に係る発明は、
以上説明したように、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、
芳香族ポリアミド繊維および四フッ化エチレン樹脂をそ
れぞれ所定量配合した潤滑性樹脂組成物としたので、耐
摩耗性およびシール性に優れ、潤滑油が充分に供給され
なくてもアルミニウム合金製シール面を摩耗損傷しない
潤滑性樹脂組成物となる利点がある。特に、100℃を
越える高温および高速摺動の条件で、耐摩耗性およびシ
ール性に優れ、しかもアルミニウム合金からなるシール
面に対して1MPa以上の面圧で摺接する際にシール面
を損傷しない潤滑性樹脂組成物になるという利点もあ
る。
【0089】そして、上記の樹脂組成物に対し、さらに
マイカもしくはタルク、モース硬度3以下のウィスカま
たはモース硬度3以下の粒状無機化合物を所定量配合し
た潤滑性樹脂組成物に係る発明では、上記利点がより確
実かつ顕著に現れる。
【0090】また、本願のシールリングに係る発明にお
いては、潤滑性樹脂組成物からなり、開環用割れ目を形
成したシールリングとしたので、耐摩耗性、シール性お
よびアルミニウム合金製シール面を損傷しないシールリ
ングとなり、特に外径寸法が20mm以下の小型のシー
ルリングについて、その開環用割れ目を広げて簡単に軸
に取り付けることができる取り扱い性のよいものとなる
利点がある。
【0091】また、本願のシールリングに係る発明で
は、潤滑性樹脂組成物を曲げ歪み(ASTM D79
0)が3%以上で外径20mm以下のリング状に形成
し、このリングに開環用割れ目を形成した場合において
もその開環用割れ目を広げて容易に軸に取り付けること
ができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】合口形状が複合ステップカットのシールリング
の部分斜視図
【図2】シールリング試験機の縦断面図
【符号の説明】
1 軸 2、2′ 軸溝 3、3′ シールリング 4 シリンダ 5 供給管 6 油圧計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/02 C08K 7/02 7/18 7/18 C08L 71/08 C08L 71/08 C10M 107/32 C10M 107/32 107/38 107/38 107/44 107/44 125/22 125/22 125/30 125/30 145/24 145/24 147/02 147/02 149/18 149/18 F16J 15/16 F16J 15/16 B //(C08L 71/08 (C08L 71/08 77:10 77:10 27:18) 27:18) C10N 10:04 C10N 10:04 20:00 20:00 Z 20:06 20:06 Z B 30:06 30:06 40:34 40:34

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリエーテルケトン樹脂50〜9
    0体積%、芳香族ポリアミド繊維5〜30体積%、四フ
    ッ化エチレン樹脂2〜30体積%を配合してなる潤滑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の樹脂組成物に、マイカ
    またはタルク2〜20体積%を配合してなる潤滑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の樹脂組成物に、モース
    硬度3以下のウィスカ2〜30体積%を配合してなる潤
    滑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の樹脂組成物に、モース
    硬度3以下の粒状無機化合物2〜30体積%を配合して
    なる潤滑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 モース硬度3以下の粒状無機化合物が硫
    酸カルシウムである請求項4記載の潤滑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹
    脂組成物をリング状に形成すると共に、このリングに開
    環用割れ目を形成してなるシールリング。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤
    滑性樹脂組成物を曲げ歪み(ASTM D790)が3
    %以上で外径20mm以下のリング状に形成し、このリ
    ングに開環用割れ目を形成してなるシールリング。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤
    滑性樹脂組成物からなり、アルミニウム合金面摺接用の
    シールリング。
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