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JP2001075304A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

トナー及びその製造方法

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JP2001075304A
JP2001075304A JP32866599A JP32866599A JP2001075304A JP 2001075304 A JP2001075304 A JP 2001075304A JP 32866599 A JP32866599 A JP 32866599A JP 32866599 A JP32866599 A JP 32866599A JP 2001075304 A JP2001075304 A JP 2001075304A
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silicon
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弥生 田澤
Hitoshi Itabashi
仁 板橋
Yoshinobu Baba
善信 馬場
Yasukazu Ayaki
保和 綾木
Yuzo Tokunaga
雄三 徳永
Takeshi Ikeda
武志 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動化剤を用いなくても優れた流動性を示
し、耐久においても安定した帯電量を保持することがで
き、定着性に優れ、高い転写効率を達成し得、連続して
現像を繰り返しても流動化剤の遊離や、トナー粒子への
流動化剤の埋め込みがなく、耐久後においても、かぶり
や飛び散りが少ないドットの再現性の高い良好な画像形
成が可能なトナー、及び該トナーが容易に得られるトナ
ーの製造方法の提供。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂と着色剤とを有する
トナー粒子で構成されるトナーにおいて、上記トナー粒
子の表面に、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士
が固着されることによって形成された被覆層を有するト
ナー、及びトナーの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電荷像を現像す
るためのトナー又は、トナージェット方式の画像形成方
法におけるトナー像を形成するためのトナー、及び、該
トナーの製造方法に関し、特に、トナーによって形成さ
れたトナー画像を転写材の如きプリントシートに加熱加
圧定着させる方式に好適に供されるトナー、及び該トナ
ーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】静電荷現像方法においては、帯電したト
ナー粒子が、ドラム上の電位差に応じた静電気力によっ
てドラム上の静電潜像を現像するように構成されてい
る。この際、トナー粒子の帯電は、具体的には、トナー
粒子とトナー粒子との間、或いはトナー粒子とキャリア
粒子との間の摩擦によって生じるが、この摩擦を効率よ
く均一に起こさせるためには、トナーに流動性を保持さ
せることが重要である。
【0003】これに対し、トナーに流動性を付与する一
般的な方法としては、シリカ、チタン、アルミナ等に代
表される無機微粒子や、高分子化合物による有機微粒子
等の流動化剤をトナー粒子表面に外添する方法がよく知
られている。又、上記の如き流動化剤を添加する手法に
ついては、色々な工夫がなされている。例えば、トナー
粒子と流動化剤との静電力、或いはファンデルワールス
力によりトナー粒子の表面に流動化剤を付着せしめる手
法が一般的である。このトナー粒子の表面に流動化剤を
付着せしめる手法としては、撹拌機や混合機を用いて行
なわれる方法がある。
【0004】しかしながら、上記の手法においては、流
動化剤を均一にトナー粒子の表面に分散させて付着させ
ることが容易ではなく、又、トナー粒子に未付着の流動
化剤同士が凝集物となり、これが、所謂、遊離状態とな
って含有された「遊離した添加剤」の存在を避けること
は難しい。このような場合には、現像剤の流動性が低下
することが生じ、例えば、摩擦帯電量が低下し、充分な
画像濃度が得られなくなったり、或いは逆にかぶりの多
い画像になったりする。更に、上記したように、従来の
場合は、流動化剤は、トナー粒子の表面に、静電力、或
いは、ファンデルワールス力等により付着しているだけ
であるので、連続コピーを行なった場合に、トナー粒子
表面からの流動化剤の遊離や、トナー粒子に対する流動
化剤の埋め込みが増加し、連続コピーの後半においては
耐久初期の画像を保持し得なくなるという問題を生じ
る。
【0005】流動化剤を使用することなしにトナーに流
動性を付与する手法としては、例えば、特開平7−18
1722号公報に記載されているように、トナー粒子の
表面にワックス微粒子を固着させ、更にその外側にアミ
ノシランアルコキサイド及びアルキルアルコキシシラン
の重縮合より得られたポリシロキサン層を設ける方法
や、特開平8−95284号公報に記載されているよう
に、有機シラン化合物を添加したモノマー系を重合する
ことによってトナーを得る方法等が知られている。しか
しながら、これらの手法によって得られるトナーは、ト
ナー粒子表面が平滑であるために、転写効率が低下する
現象がみられるという問題があった。
【0006】更に、最近、電子写真分野では、より高画
質な画像を求める動きが強くなってきている。そして、
画像の高画質を達成する手段の一つとして、現像剤に使
用するトナーの帯電量分布のシャープ化が挙げられる。
トナーの帯電量分布がシャープになると、トナーを構成
する一つ一つのトナー粒子の帯電量が均一になるので、
形成される画像のかぶりや飛び散りが少なくなり、ドラ
ム上に形成された潜像に対して忠実なトナー像を再現す
ることが可能になる。一般的に、トナー粒子の帯電量は
トナー粒子の粒子径に比例することから、トナーの帯電
量分布のシャープ化を図るためには、トナーの粒度分布
をシャープにすることが効果的であると考えられる。ト
ナー粒子に十分な帯電量を付与させるためには、一般的
に、シリカ、チタン及びアルミナ等に代表される無機微
粒子や高分子化合物による有機微粒子等といった所謂外
添剤を添加する方法が採られている。
【0007】しかしながら、これらの外添剤は、撹拌器
や混合器を用いてトナー粒子表面に機械的に固着させる
のが一般的であるため、特に、連続印刷等を行った場合
等において、外添剤がトナー粒子から遊離したり、逆に
トナー粉体に対して埋め込まれたりする現象がおきてし
まう。そして、これらの現象によってトナー粒子の表面
状態が変化してしまうために、画像形成を行なった場合
に、耐久初期におけるトナーの帯電量を、継続的に保持
することが困難となり、初期のシャープな帯電量分布を
保持することが耐久において困難になるという問題点を
有していた。
【0008】更に、近年、パーソナルコンピューターが
驚異的な普及を遂げる中、電子写真方式を用いたプリン
ターや複写機の需要は、オフィス向けから一般ユーザー
向けへと拡大傾向にある。それに伴い、これらの電子写
真方式のプリンターや複写機に対しては、装置の小型
化、エコロジー対応に伴う省資源化、低コスト化等が望
まれている。これらの課題を解決する一つの方法とし
て、定着温度の低温化が挙げられ、その達成手段とし
て、トナーを構成する結着樹脂の低分子量化、又は、ガ
ラス転移点(Tg)の低温化、トナーに含有させるワッ
クスの含有量の増量が試みられている。しかしながら、
結着樹脂の低分子量化やガラス転移点の低温化によっ
て、溶融温度は低くなるものの、それと同時にトナーの
保存安定性が悪化してしまい、特に、高温環境下におい
て、現像器内への融着を起こしたり、トナー同士が融着
し、流動性が低下してしまうといった問題を生じてい
た。
【0009】このような問題を解決するために、シラン
化合物を用いた手法が提案されている。例えば、特開平
7−98516号公報ではポリエステル樹脂と金属アル
コキシドを混練架橋させる方法が、又、特開平7−23
9573号公報ではビニルモノマーと不飽和二重結合お
よびアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤
とが共有結合されたビニル系樹脂を結着樹脂として用い
る方法が提案されている。しかしながら、これらの手法
では、結着樹脂の組成が限られていたり、シラン化合物
がトナー粒子内部まで存在することになるため、実質的
に、定着性と保存安定性という相反する性能をコントロ
ールすることが困難であった。
【0010】ほかの手法としては、例えば、特開平6−
289647号公報ではトナー粒子表面に硬化型シリコ
ーン樹脂を被覆する方法が、特開平8−15894号公
報ではトナー粒子表面に金属アルコキシドを付着させた
トナーが、及び、特開平9−179341号公報にはシ
ランカップリング剤を用いて、トナー粒子表面を連続し
た薄膜の形で覆う手法が、それぞれ提案されている。こ
れらの方法は、比較的低Tgの樹脂を用いて母粒子を作
成し、その表面にシリコーン樹脂や金属アルコキシド等
の堅い素材を被覆することにより、ブロッキングの発生
を防ぎ、同時に定着温度を低温下する試みであるが、こ
れらのトナー粒子表面は上記シラン化合物で充分に覆わ
れていなかったり、覆われている場合でもその被覆層表
面は平滑であるために、熱ロール等の定着部材との接触
面積が少なく、熱吸収効率が悪く、母粒子のTgと実際
の溶融温度との間には大きな差が生じてしまい、充分な
低温定着化をはかるのが困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、流動
化剤を用いなくても優れた流動性を有し、しかも高い転
写効率を得ることのできるトナー、及び該トナーの製造
方法を提供することにある。本発明の目的は、流動化剤
を用いないトナーを提供することによって、連続して現
像を繰り返しても流動化剤の遊離や、トナー粒子への流
動化剤の埋め込みがなく、耐久後においても安定した画
像濃度を保持できる定着性に優れたトナー、及び該トナ
ーの製造方法を提供することにある。本発明の目的は、
長時間の画出しを行った耐久において、トナーの帯電量
分布のシャープ性が継続的に保持されることで、かぶり
や飛び散りが少ないドットの再現性の高い高画質画像を
安定して得ることのできるトナー、及び該トナーの製造
方法を提供することにある。本発明の目的は、低い定着
温度で良好に定着するにもかかわらず、耐ブロッキング
性に優れたトナー、及び該トナーの製造方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも
結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子で構成されるト
ナーにおいて、上記トナー粒子の表面に、少なくともケ
イ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって
形成された被覆層を有することを特徴とするトナー、表
面に被覆層を有するトナー粒子で構成されるトナーの製
造方法であって、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有す
るトナー粒子を調製するトナー粒子調製工程;及び該ト
ナー粒子の外部から、該トナー粒子の表面にケイ素化合
物の重縮合物を堆積させることにより、トナー粒子の表
面に、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着
することによって形成される被覆層を形成する被覆層形
成工程;を有することを特徴とするトナーの製造方法、
及び、表面に被覆層を有するトナー粒子で構成されるト
ナーの製造方法であって、少なくとも結着樹脂と着色剤
とを含有し、且つケイ素化合物が内在しているトナー粒
子を調製するトナー粒子調製工程;及び該トナー粒子を
水、及び水と水性溶媒との混合溶媒からなるグループか
ら選択される液中で、該トナー粒子の表面でケイ素化合
物の加水分解及び重縮合反応を行なわせて、該トナー粒
子表面に少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固
着された状態の被覆層を形成する被覆層形成工程;を有
することを特徴とするトナーの製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙
げて本発明をより詳細に説明する。本発明のトナーの特
徴は、トナーを構成している少なくとも結着樹脂と着色
剤とを含有するトナー粒子表面に、少なくともケイ素化
合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆層が設け
られていることにある。本発明における少なくともケイ
素化合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆層と
は、具体的には、例えば、シランアルコキサイドに代表
されるケイ素化合物の加水分解と重縮合によってトナー
粒子表面に形成し得るものであり、好ましくは、その表
面にnmオーダーの微細な凹凸が観察されるように形成
されている層である。
【0014】本発明者らが鋭意検討した結果、少なくと
も結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子の表面に、
上記の少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着
された状態の被覆層を設ければ、従来の外添剤を用いな
くても、充分な流動性が付与されたトナーになることを
知見して本発明に至った。これにより、安定した帯電性
を保持することができることがわかった。更に、外添剤
を用いないので、連続して現像を行なった場合にも、外
添剤の遊離や、トナー粒子に対する外添剤の埋め込みを
起こすこともなく、耐久性に優れていることもわかっ
た。
【0015】以下、トナー粒子表面に設ける「少なくと
もケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被
覆層」について詳細に説明する。本発明者らは、上記に
述べたような優れた作用を有するトナーの表面状態につ
いて検討した結果、以下の知見を得た。先ず、本発明の
トナーを構成している粒子断面を透過型電子顕微鏡(T
EM)で観察することによって、トナー粒子表面に、数
十nmの直径の粒状塊によって構成されている層状構造
が形成されている様子を観察することができた。更に、
X線マイクロアナライザーを取り付けた走査型電子顕微
鏡(SEM)を用いた電子プローブ微小部分析法(elec
tron probe microanalysis:EPMA)で、界面活性
剤によりトナーを洗浄した前後のトナー粒子の表面構成
を調べた結果、洗浄によって生じるケイ素元素の減少率
が少ないという結果が得られ、ケイ素化合物を含む粒状
塊は、トナー粒子表面に単に付着しているのではなく、
粒状塊同士が固着した状態でトナー粒子表面に存在し、
被覆層を形成していることが確認できた。
【0016】以下に、本発明のトナーの構成要件である
少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着される
ことによって形成される被覆層の層構造の確認方法につ
いて説明する。下記の手順で、少なくともケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層を確認した。
【0017】《ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着さ
れることによって形成される被覆層の確認》 ・透過型電子顕微鏡観察による層構造の存在の有無の確
認 測定するトナーの粒子をエポキシ樹脂に埋め込んで固め
た後、ミクロトームによりトナーの粒子の超薄切片を作
成し、これを透過型電子顕微鏡用の測定セルに固定し、
これをサンプルとした。日立製作所製H−7500型透
過型電子顕微鏡で、上記サンプルを拡大倍率1万〜5万
倍で観察し、トナーの粒子表面に粒状塊による層構造が
存在していることを確認した。
【0018】・界面活性剤洗浄後のトナー粒子表面のケ
イ素元素の存在量の減少率による粒状塊同士の固着の確
認 トナーの粒子表面における電子プローブ微小部分析法
によるケイ素原子の存在量(質量%)の測定 トナーの粒子の表面を、(株)堀場製作所製X線マイク
ロアナライザーX−5770Wを取り付けた(株)日立
製作所製S−4500型電界放出型走査型電子顕微鏡を
用いて、加速電圧20kV、試料の吸収電流値1.0×
10-10A、25,000倍の条件で、電子プローブ微
小部分析を行い、炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の
存在量(質量%)の総計を100%とした場合のケイ素
原子の存在量Si1(質量%)を測定した。尚、測定は
20視野について行い、その平均値を測定値とした。
【0019】トナーの粒子表面の界面活性剤による洗
浄 トナー0.2gを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶
液5mlに分散し、超音波洗浄機に30分かけることに
より、トナーの粒子表面を充分洗浄した。更に、遠心分
離、洗浄を繰り返し、トナーの粒子表面のドデシルベン
ゼンスルホン酸を完全に取り除いた後、減圧乾燥してト
ナーを単離した。
【0020】界面剤活性剤による洗浄後のトナーの粒
子表面のケイ素原子の存在量(質量%)の測定 上記の操作によってトナーの粒子表面から脱離したケ
イ素原子の存在量(質量%)を測定するため、上記と
同様の方法で、界面活性剤洗浄後のトナーの粒子表面の
電子プローブ微小部分析を行い、ケイ素原子の存在量S
2(質量%)を測定した。
【0021】トナー粒子表面に設けられたケイ素化合
物を含む粒状塊同士によって形成された被覆層の状態の
解析 上記〜の手順によって得られたSi1及びSi2の値
から、下記式によって、界面活性剤洗浄によって生じた
トナー粒子表面におけるケイ素元素の存在量の減少率を
算出した。このトナー粒子表面におけるケイ素元素の存
在比率の減少率が極端に少ない場合は、ケイ素化合物を
含む粒状塊同士によってトナー粒子表面に形成された被
覆層は、その表面から脱落しにくい状態で付着している
と判断できる。そこで、下記式によって得られるトナー
粒子表面のケイ素元素の存在量の減少率が30%以下で
ある場合は、トナー粒子表面に形成されている被覆層
は、該層を構成しているケイ素化合物を含む粒状塊同士
が強固に固着された状態にあると見做し、ケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着した状態にあるか否かを確認す
る手段とした。
【0022】
【数1】
【0023】以上説明したように、本発明においては、
透過型電子顕微鏡観察による視覚的な粒状塊による層構
造の確認と、界面活性剤洗浄前後に生じたトナーの粒子
表面におけるケイ素元素の存在量の減少率の測定結果と
を組み合せ、これを「少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることによって形成される被覆層」
の確認手段とする。
【0024】上記の方法で確認されたように、本発明の
トナーにあっては、トナーを構成しているトナー粒子の
表面にある被覆層が、少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることによって形成されているの
で、トナー粒子表面には微細な凹凸が存在することとな
り、これによって高い転写効率が実現される。又、本発
明においては、その代表的なトナーの製造例として、後
述するゾルゲル法によるケイ素化合物の重縮合物によっ
てトナー粒子表面に被覆層を形成するが、この方法によ
れば、重縮合物は膜状の形態をとり、しかも、ケイ素化
合物の重縮合物を含む粒状塊同士が化学的に結合した状
態の膜となってトナー粒子表面全体を覆った被覆層の形
態となる。このため、先に述べたトナー粒子表面にシリ
カ等の従来の流動化剤を付着させた場合のように、流動
化剤の添加によって生じる未付着の遊離微粒子や耐久劣
化による遊離微粒子が発生する余地がない。このため、
本発明のトナーは、耐久性に優れたものとなる。
【0025】本発明者らの詳細な検討によれば、EPM
Aによってトナーの粒子表面のケイ素元素の存在量を測
定した場合に、その存在量が、好ましくは0.10〜2
0.0質量%の範囲、より好ましくは0.1〜10.0
質量%の範囲、更に好ましくは0.10〜4.0質量%
の範囲にある場合に、より好ましい状態の被覆層が得ら
れることがわかった。即ち、トナー粒子の表面に、トナ
ー粒子表面におけるケイ素原子の存在量が0.10質量
%以上になるようなケイ素化合物を含む粒状塊同士が固
着されることによって形成される被覆層を設けた場合
に、トナーに、より高い流動性と高い転写効率とを付与
することができることを確認した。更に、ケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層が設けられているトナー粒子表面のケイ素原子の
存在量が0.10質量%以上であると、ケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着されることによって形成される被
覆層によってトナー粒子表面が十分な状態で被覆される
ことになるので、トナーにより高い流動性を付与するこ
とができ、十分な帯電量が付与され得るトナーが得られ
る。一方、トナー粒子表面のケイ素原子の存在量が2
0.0質量%以下になるような被覆層を設けることで、
トナーがより良好な定着性を示すことがわかった。これ
は、トナー粒子表面のケイ素原子の存在量が上記条件を
満足するような被覆層である場合には、トナー粒子を構
成している結着樹脂の熱可塑性が十分に発揮されるため
であると思われる。
【0026】本発明においては、トナーが、上記の如き
特定の被覆層を、母体となるトナー粒子表面に設けられ
て構成されているので、トナーを形成する結着樹脂の溶
融温度を低くして定着性を向上させることができ、しか
も、そのような形態のトナーであっても、高温環境下に
おいても、現像器内等への融着や、トナー同士の融着が
発生して流動性が低下するといったことを起こすことが
なく、保存安定性に優れるという機能を同時に満たすト
ナーが得られる。このような定着性に優れたトナーの構
成としては、トナーは、少なくとも60℃以下に1点以
上ガラス転移点を有し、溶融開始温度が100℃以下で
あり、更に、該ガラス転移点と該溶融開始温度との差が
38℃以下であることが好ましい。
【0027】上記の構成のトナーの場合には、EPMA
によって測定したトナーのトナー粒子表面のケイ素元素
の存在量が、0.10〜10.0質量%の範囲、好まし
くは0.1〜4.0質量%の範囲にある場合に、好まし
い被覆層を得ることができる。トナーの表面のケイ素原
子の存在量が0.10質量%以上になるようなケイ素化
合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成さ
れる被覆層を母体となるトナー粒子表面に設けることに
より、ゾルゲル膜が母体となるトナー粒子を充分に包含
することが可能となり、優れたブロッキング耐性を示し
すものとなったものと思われる。これに対し、ケイ素化
合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成さ
れる被覆層が設けられているトナー粒子表面におけるケ
イ素原子の存在量が0.10質量%よりも少ないと、こ
れは、表面のゾルゲル膜の量が少ないことを意味するこ
とになり、よって、ゾルゲル膜による母体となるトナー
粒子表面の被覆が充分でなくなってしまい、トナーの耐
ブロッキング性が損なわれることになる。
【0028】トナー粒子表面におけるケイ素原子の存在
量が10.0質量%以下になるように被覆層を設ける
と、母体となるトナー粒子の良好な定着性を保持でき
る。即ち、このような被覆層が形成されている場合に
は、母体となるトナー粒子を構成する結着樹脂の熱可塑
性が、被覆層を設けたことによって損なわれることがな
く、充分に発揮される。
【0029】更に、トナーの表面に形成される被覆層が
少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着される
ことによって形成されているので、トナーを構成してい
るトナー粒子表面が微細な凹凸を有し、それにより表面
積が大きくなっていることから、熱ロール等の定着部材
とトナーとの接触面積が大きくなり、熱吸収効率がよく
なる。この結果、耐ブロッキング性を目的として設けら
れていた従来の被覆層を有するトナーに比べ、母体とな
るトナー粒子のTg及び溶融開始温度と、トナーのそれ
との間に差が生じることが少ないため、充分な低温定着
化をはかることができる。加えて、トナー粒子表面に設
ける被覆層を、代表的な例として、後述するゾルゲル法
によって、ケイ素化合物の重縮合物を粒子表面に堆積さ
せる方法で形成するが、この重縮合物は膜状の形態をと
り、ケイ素化合物の重縮合物を含む粒状塊同士が化学的
に結合した状態の膜がトナー粒子表面全体を覆った被覆
層の形態となるため、ガラス転移点の低い低温定着性に
優れた結着樹脂を主成分として用いたトナー粒子の表面
が充分に包み込まれ、その結果、高温環境下において
も、トナー同士が融着してしまうといったことが生じな
い。
【0030】更に、本発明者らの検討によれば、本発明
のトナーにあっては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを
含有するトナー粒子の表面に設けるケイ素化合物を含む
粒状塊同士が固着されることによって形成される被覆層
を、先に述べたような優れた作用を有するものとするた
めには、主にトナー粒子の表面近傍に、上記被覆層が形
成された状態となっていることが必要であることがわか
った。即ち、例えば、上記で説明した、ケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着されることによって形成される被
覆層の好適な構成成分であるケイ素化合物の重縮合物が
トナーの粒子内部にまで存在する場合には、トナー粒子
を構成する結着樹脂の熱可塑性が失われてしまい、得ら
れるトナーの定着性が損なわれる傾向があることがわか
った。
【0031】そして、本発明者らの更なる詳細な検討の
結果、トナー粒子の表面近傍に形成されるケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層の要件として、EPMAによって、トナーの粒子
断面の炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在量(質量
%)を測定した場合に、その測定値が4.0質量%以下
であれば、充分な定着性を有するトナーが得られること
が確認できた。即ち、トナーの粒子断面におけるケイ素
原子の存在量が4.0質量%を超えるということは、ケ
イ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって
形成される被覆層の構成成分であるケイ素化合物の重縮
合物がトナーの粒子内部にまで存在していることを意味
し、この結果、定着性が損なわれるものと考えられる。
【0032】本発明において規定する上記のトナーの粒
子断面におけるケイ素原子の存在量(質量%)の測定方
法について説明する。 《トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在量の測定
方法》測定するトナー粒子をエポキシ樹脂に埋め込んで
固めた後、ミクロトームによりトナー粒子の超薄切片を
作成し、測定用のサンプルとする。このサンプルを、走
査型電子顕微鏡写真用のアルミニウム製のサンプル台上
にのせ、導電性カーボン粘着シートを用いて固定する。
このサンプルについて、上記したトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量の測定方法と同様の方法で、ケ
イ素原子の定量を行った。
【0033】本発明のトナーにおいては、更に、上記し
た方法で測定したトナーの粒子表面におけるケイ素原子
の存在量が、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存
在量の2倍以上である場合に、より好ましい効果が得ら
れる。即ち、本発明者らの検討によれば、このような要
件を具備したケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着され
ることによって形成される被覆層が設けられたトナーを
用いて画像を形成した場合に、より優れた定着性が得ら
れることがわかった。これは、このような構成を有する
被覆層は、より一層トナー粒子の表面近傍に形成される
ので、結着樹脂の熱可塑性が、少なくともケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層の形成によって損なわれることがないため、より
定着性が優れたものになったと考えられる。
【0034】更に、本発明の一連の検討の結果、本発明
のトナーにおいては、トナーの粒子表面におけるケイ素
原子の存在量が4.0質量%以下である場合に、より好
ましい効果が得られることがわかった。そして、かかる
構成は、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固
着されることによって形成される被覆層中のケイ素化合
物中に、有機置換基を有するものを使用することにより
達成され易く、このことによってトナーの耐久性を更に
向上することができることもわかった。これは、おそら
く、上記被覆層中のケイ素化合物中に有機置換基を有す
るものを使用すると、形成された被覆層に有機鎖の柔軟
性が加わって、その結果、優れた耐久性が達成されたも
のと考えている。
【0035】即ち、少なくともケイ素化合物を含む粒状
塊同士が固着されることによって形成される被覆層中の
ケイ素化合物に有機置換基がある場合には、トナーの粒
子表面における炭素原子の存在量が上昇する、換言すれ
ば、炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量の総計
を100%とした場合のケイ素原子の存在量が減少する
と考えられるが、本発明者らが、トナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量とトナーの耐久性とを比較検討した結
果、トナーの粒子表面のケイ素原子の存在量が、炭素原
子、酸素原子及びケイ素原子の存在量の総計を100%
とした場合に4.0質量%以下にある場合に、形成され
る被覆層の耐久性がより高くなり、これによって本発明
のトナーの耐久性を更に向上させることが可能となるこ
とがわかった。
【0036】本発明のトナー粒子表面に少なくともケイ
素化合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆層が
設けられたトナーは、トナー粒子表面に未反応のシラノ
ール基(−SiOH)が残存する場合があり、高温高湿
条件下において充分な帯電量を保持するためには、被覆
層の表面をカップリング剤によって処理することが好ま
しいことがわかった。即ち、少なくともケイ素化合物を
含む粒子同士が固着された状態の被覆層の表面に、カッ
プリング剤を処理すると、トナー粒子表面に被覆層を設
けたことによって、トナー粒子表面に残存することにな
った未反応のシラノール基の水酸基がキャッピングされ
るので、大気中の湿気の影響を軽減でき、高温高湿下に
おいても十分な帯電性を保持することが可能なトナーと
することができ、先に述べたトナー粒子表面にある被覆
層の機能をより高めることが可能となる。
【0037】本発明において、トナーは、個数平均粒子
径が0.1μm〜10.0μmの範囲内であり、且つ2
0.0%以下の個数分布の変動係数を有する小粒径のシ
ャープな粒度分布を有することが、高画質画像を形成す
るために好ましい。トナーの大きさ及び粒度分布をこの
ように制御することにより、該トナーを用いた場合に
は、トナーの帯電量分布はシャープとなり、カブリ、飛
び散りの少ないドット再現性の高い画像を得ることが可
能になる。トナーの個数平均粒径が0.1μmよりも小
さい場合には、粉体としての取り扱いが困難となり、1
0.0μmよりも大きいと、潜像に対してトナーの粒子
径が大き過ぎることが生じ、忠実にドットを再現するこ
とが困難となる。更に、粒度分布を表す個数分布の変動
係数が20.0%よりも広いと帯電量がばらつくため
に、カブリや飛び散りの多い画像となり、ドットの再現
性は低くなる。本発明において、上記のような目的を達
成するには、より好ましくは、トナーの個数平均粒子径
が1.0μm〜8.0μm、更に好ましくは3.0μm
〜5.0μmの範囲であるとよく、トナーの個数分布の
変動係数が、より好ましくは15.0%以下、更に好ま
しくは10.0%以下であることがよい。上記のような
被覆層を粒度分布がシャープなトナー粒子表面に設けた
トナーの帯電量分布は、長時間の耐久後も保持される。
【0038】以下に、本発明において用いたトナーの個
数平均粒子径及び粒度分布の測定方法を示す。先ず、日
立製作所製S−4500形電界放出形走査型電子顕微鏡
を用いて、トナーの5000倍の写真を撮り、その写真
から、トナー粒子の累積が300個以上になるように各
トナー粒子の粒径を測定し、これらの測定値から個数平
均粒子径を算出した。更に、トナーの個数分布の変動係
数を下記式より求めた。
【数2】
【0039】更に、本発明のトナーは、上記した形状的
な特徴に加えて、トナーの熱的特性において、少なくと
も60℃以下に一点以上ガラス転移点を有し、且つ、溶
融開始温度が100℃以下であり、更に、該ガラス転移
点と該溶融開始温度との差が38℃以下であることが好
ましく、これによって従来の定着温度よりも低い定着温
度を実現でき、しかも上記したように、トナー粒子表面
に設けた被覆層によって耐ブロッキング性をも満足する
ことができる。
【0040】以下、上記のトナーが有する特定の熱的特
性について説明する。本発明者らの検討によれば、トナ
ーが、少なくとも60℃以下に一点以上ガラス転移点を
有し、且つ、溶融開始温度が100℃以下であることと
する要件を満足しない場合には、後述する定着性試験に
おいて、トナーが良好な定着性を示さないことがあるこ
とがわかった。更に、ガラス転移点と溶融開始温度の差
が38℃よりも大きいと、母体となるトナー粒子が有す
る低温定着性が保持されず、該トナー粒子にゾルゲル膜
を被覆した後のトナーは、定着性試験において良好な定
着性を示さなくなる。
【0041】上記のように、トナーの溶融開始温度およ
びガラス転移点を制御するためには、母体となるトナー
粒子(被覆層を施す前のトナー粒子)の熱的特性を、例
えば、 1)結着樹脂組成 2)結着樹脂の分子量、分子量分布 3)ワックス、離型剤含有量 を制御することにしてコントロールすればよい。そし
て、母体となるトナー粒子のガラス転移点(Tg)が、
少なくとも60℃以下、より好ましくは40℃以下に、
一つ以上Tgを有し、且つ、溶融開始温度が100℃以
下、より好ましくは80℃以下となるように制御するこ
とが好ましい。
【0042】トナーに含有させる離型剤量で溶融温度を
調節する場合においては、離型剤量が、被覆層も含めた
トナーの重量を基準とした場合において、80質量%以
上になると、転写紙やフィルム等の上に定着した画像が
剥離してしまう等のことが起こり、実質的に実用不可能
であると推測される。又、定着ローラー等との離型性を
考えると、離型剤を含有した形態がより好ましいといえ
る。従って、本発明のトナーにおいては、離型剤の含有
量が、トナー全体として5〜80質量部、より好ましく
は10〜60質量部の範囲であることが好ましい。
【0043】本発明で用いることのできる離型剤として
は、室温固体の固体ワックスが好ましい。具体的には室
温で固体の固体ワックスが好ましい。具体的には、例え
ば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フ
ィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高
級脂肪酸、エステルワックス、及びグラフト化合物、ブ
ロック化合物の如き誘導体が挙げられる。下記一般構造
式で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を1個以
上有するエステルワックスが、OHPの透明性を阻害せ
ずに、耐高温オフセット性に効果を有するので特に好ま
しい。本発明で使用できる好ましい具体的なエステルワ
ックスの代表的化合物の構造式を以下に、一般構造式
(1)〜(5)として示す。
【0044】
【化1】 (式(1)中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+b
は4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を
示し、且つ、R1とR2との炭素数差が10以上である基
を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同
時に0になることはない。)
【0045】
【化2】 (式(2)中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+b
は4であり、R1は炭素数が1〜40の有機基を示し、
n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0に
なることはない。)
【0046】
【化3】 (式(3)中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+b
は3以下であり、R1は炭素数が1〜40の有機基を示
し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に
0になることはない。)
【0047】
【化4】 (式(4)中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水
素基を示し、且つ、R1及びR2は、お互いに同じでも異
なる炭素数のものでもよい。)
【0048】
【化5】 (式(5)中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水
素基を示し、nは2〜20の整数であり、且つ、R1
びR2は、お互いに同じでも異なる炭素数でもよい。)
【0049】以下に、本発明において使用したガラス転
移点および溶融開始点の測定方法を示す。 (ガラス転移点の測定)樹脂のガラス転移点Tgは、示
差熱分析測定装置、DSC−7(パーキンエルマー社
製)を用い、ASTM D3418−82法に準じて測
定した。
【0050】(溶融開始温度の測定)本発明における溶
融開始点の測定は、フローテスターCFT−500型
(島津製作所製)を用いて行った。測定する試料を約
1.0〜1.5g秤量し、これを成形器を使用して98
06.65kPa(100kgf/cm2)の加重で1
分間加圧し、加圧サンプルを作成する。この加圧サンプ
ルを下記の条件で、常温常湿下(温度約20〜30℃、
湿度30〜70%RH)でフローテスター測定を行い、
湿度−見掛け粘度曲線を得る。得られたスムース曲線よ
り、粘度減少が開始する温度を読み取り、溶融開始温度
とした。
【0051】 ・RATE TEMP:6.0(℃/1分) ・SET TEMP:70.0(℃) ・MAX TEMP:200.0(℃) ・INTERVAL:3.0(℃) ・PREHEAT:300.0(秒) ・LOAD:20.0(kgf) ・DIE(DIA):1.0(mm) ・DIE(LENG):1.0(mm) ・PLUNGER:1.0(cm2
【0052】次に、トナー粒子の表面に少なくともケイ
素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形
成される被覆層を有するように構成された本発明のトナ
ーが得られるトナーの製造方法について説明する。
【0053】本発明のトナーの製造方法においては、少
なくとも結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子を作成
し、その表面に、後述するような方法で、少なくともケ
イ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって
形成される被覆層を形成させる。このトナー粒子として
は、従来より知られている、少なくとも結着樹脂と着色
剤とを含有し、必要に応じて各種の添加剤が含有された
トナー粒子であればいずれのものでもよい。即ち、本発
明で使用するトナー粒子は、結着樹脂その他の任意成分
とからなるトナー用組成物を混練後、混練物を冷却した
後、粉砕して得られる所謂粉砕法トナーであってもよい
し、或いは、結着樹脂となる重合性単量体を重合して得
られる所謂重合法トナーであってもよい。しかしなが
ら、本発明のトナーにあっては、トナー粒子の形状が不
定形であると、トナー粒子同士の摩擦によって、その表
面に形成した上記の被覆層がが劣化し易くなるため、ト
ナー粒子として、球形のトナー粒子を用いることがより
好ましい。尚、球形のトナー粒子は、粉砕法によって製
造されたトナー粒子を球形化することにより、或いは、
重合法によってトナー粒子を製造することにより容易に
得ることができる。
【0054】本発明の少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることによって形成される被覆層の
代表的な製造例としては、一般に、ゾルゲル法と呼ばれ
ている手法の応用を挙げることができる。以下、このゾ
ルゲル法による製造例について説明する。ゾルゲル法
は、一般的には、平面状の金属化合物重縮合膜や、個体
状の金属化合物重縮合体を製造する手法として知られて
おり、この手法によって生成される金属化合物の膜を、
一般にゾルゲル膜と呼んでいる。
【0055】このゾルゲル膜は、具体的には、シランア
ルコキサイドに代表されるケイ素化合物の加水分解重縮
合によって生成され、その表面に、nmオーダーの微細
な凹凸が観察される膜である。本発明者らは、鋭意検討
した結果、このゾルゲル膜をトナーの粒子表面に設ける
ことによって、従来のトナーで行なわれているように外
添剤を用いなくても、充分な帯電量を付与でき、且つ、
耐久によるトナーの性能低下が生じにくいトナーが得ら
れることをことを見いだした。
【0056】更に、本発明者らは、鋭意検討した結果、
上記した特性を有するゾルゲル膜を、トナー粒子表面に
設けることによって、低いTgを有する結着樹脂を含有
するトナーが、その低温定着性を保ったまま、ブロッキ
ングを起こすことがないものとなることがわかった。
【0057】トナー粒子の表面に、少なくともケイ素化
合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成さ
れる被覆層を形成する第1の方法としては、少なくとも
結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子の外部から、
トナー粒子の表面にケイ素化合物の重縮合物を堆積させ
て、トナー粒子の表面に上記被覆層を形成する方法があ
る。具体的には、シランアルコキサイドを溶解させた水
または水性媒体中に、母体となるトナー粒子を分散させ
た後、この分散溶液を、アルカリを加えてある水または
水性媒体に滴下する方法がある。この方法によると、ト
ナー粒子が含有されている分散溶液中に溶解していたシ
ランアルコキサイドが、アルカリの存在下で加水分解及
び重縮合を起こし、徐々に不溶化していき、更に、疎水
性相互作用からトナー粒子の表面に堆積することにな
る。この結果、トナー粒子の表面に、少なくともケイ素
化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成
される被覆層が形成される。更に、前述した分散重合に
よるトナー粒子を用いる場合には、母体となるトナー粒
子の重合終了後の反応系を室温まで冷却した後に、この
中にシラン化合物を溶解させてトナー分散液として用い
ることもできる。
【0058】上記で使用する水性媒体としては、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノールの如き
アルコール類が用いられるが、これらの溶媒の有機性が
高くなるとシランアルコキサイドの重縮合物の溶解性が
高まり、トナー粒子表面にシランアルコキサイドの重縮
合物が堆積し難くなる。従って、上記の水性媒体として
は、メタノールまたはエタノールを用いることが好まし
い。
【0059】トナー粒子の表面に、少なくともケイ素化
合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成さ
れる被覆層を形成する第2の方法としては、少なくとも
結着樹脂と着色剤とを含有し、且つ、ケイ素化合物を内
存させてあるトナー粒子を、水、または、水性溶媒と水
との混合溶媒中に分散することによって、トナー粒子表
面でケイ素化合物の加水分解及び重縮合反応を行なわせ
て、上記被覆層を形成する方法がある。
【0060】上記の方法においては、トナー粒子が、
水、または、水性溶媒と水との混合溶媒中に分散される
と、トナー粒子中に内在させたケイ素化合物がトナー粒
子の表面で水と接触し、加水分解を受ける。つまり、ゾ
ルゲル反応がトナー粒子の表面近傍でのみで進行するこ
とになる。また、反応終了後に、アルコール等の溶媒で
洗浄すれば、トナー粒子の内部に残っている未反応のケ
イ素化合物を除去することができる。この結果、トナー
粒子表面に選択的にケイ素化合物の重縮合物が存在する
ことになり、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士
が固着されることによって形成される被覆層であって、
且つ、トナーの粒子表面のケイ素原子の存在量がトナー
の粒子内部における存在量よりも多い被覆層を形成する
ことができる。
【0061】ここで、水性溶媒とは、水に溶解し得る溶
媒をいい、上記の方法において好適な、トナー粒子を分
散させる際に使用する水性溶媒としては、メタノール、
エタノール、プロパノール等のアルコール類、及びこれ
らの混合溶媒が挙げられる。
【0062】ケイ素化合物をトナー粒子中に予め内在さ
せる方法としては、トナー粒子の製造時に混在させても
よいし、或いは母体となるトナー粒子を従来の手法で作
製した後、得られた粒子中に導入してもよい。この場合
に、母体となるトナー粒子を作製した後に、ケイ素化合
物をトナー粒子中に導入する方法としては、水、或いは
水と水性媒体の混合媒体中で、ケイ素化合物を母体とな
るトナー粒子に膨潤させる方法が有効である。具体的に
は、下記に挙げるような方法が挙げられる。
【0063】具体的には、例えば、ケイ素化合物が溶解
しない液媒体中、代表的には水に、母体となるトナー粒
子とケイ素化合物とを分散させる方法がある。このよう
にすると、液媒体中に僅かに溶解したケイ素化合物が、
液媒体中を拡散してトナー粒子に吸収される、若しくは
分散されたケイ素化合物とトナー粒子とが物理的に接触
することによってケイ素化合物がトナー粒子中に吸収さ
れて、ケイ素化合物をトナー粒子中に導入することがで
きる。この際には、ケイ素化合物を液媒体中に安定に分
散させるために、界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の一般的なものを使用す
ることができる。
【0064】このとき、トナー粒子の分散液とケイ素化
合物の分散液を別々に調製して両者を混合する場合に、
ケイ素化合物の分散液をトナー粒子の分散液に加えるよ
うにすると、トナー粒子の合着が起こり易く、反応前の
トナー粒子と比較して、粒度分布のブロードなトナーと
なってしまうので好ましくない。その結果、得られるト
ナーが、摩擦帯電量分布がブロードとなり、画像の飛び
散りが多くみられる等の不具合を生じるものとなり易
い。従って、トナー粒子の分散液とケイ素化合物の分散
液を別々に調製して両者を混合する場合には、トナー粒
子の分散液を、ケイ素化合物の分散液に加える手法がよ
り好ましい。
【0065】トナー粒子の表面に被覆層を形成して本発
明のトナーとした後に、被覆層を形成する前のトナー粒
子が有する粒度分布を保つためには、ケイ素化合物を水
の如き液媒体に分散させる際に、個々のトナー粒子に対
するケイ素化合物をできるだけ小さい液滴まで分散させ
ることがより好ましい。更に、その方法としては、高速
攪拌器等による機械的な攪拌させる手法や、超音波分散
器等を用いて微分散させる等の手法を用いることが好ま
しい。
【0066】このように、ケイ素化合物をトナー粒子中
に膨潤させて内在させる場合に、膨潤速度を高める等の
補助的な目的から、ケイ素化合物とその他の難水溶性溶
媒を併用して、トナー粒子中にケイ素化合物を膨潤させ
ることもできる。この際に使用する難水溶性溶媒として
は、用いるケイ素化合物より親水性が高い溶媒で、且
つ、水に難溶性の溶媒ならどのような溶媒でもよい。具
体的には、例えば、酢酸イソペンチル、酢酸イソブチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。これらの
難水溶性溶媒を用いる場合には、ケイ素化合物の重縮合
反応の開始以降のいずれかの段階で、この難水溶性溶媒
を蒸発させたり、疎水性媒体中にトナー粒子を投入する
ことによって疎水性媒体中に難水溶性溶媒を溶解させる
等して、トナー粒子中から除去することが必要となる。
上記の操作を行えば、トナー粒子中に残存している未反
応ケイ素化合物をも除去することもできる。
【0067】更に、母体となるトナー粒子に、ケイ素化
合物を膨潤させて内在させる他の方法としては、ケイ素
化合物が溶解する液媒体、代表的にはアルコールに、ト
ナー粒子を分散させ、ケイ素化合物の溶解性を下げるこ
とによりケイ素化合物をトナー中に導入する方法があ
る。ケイ素化合物の溶解性を下げる手法としては、例え
ば、温度を下げたり、ケイ素化合物が溶解する液媒体に
可溶で、且つ、ケイ素化合物を溶解しない液媒体を徐々
に加える方法等が挙げられる。後者の方法としては、具
体的には、例えば、メタノール等の低分子量アルコール
にケイ素化合物を溶解し、母体となるトナー粒子を分散
させた後、水を徐々に加え、ケイ素化合物の溶解性を下
げ、該ケイ素化合物をトナー粒子中に膨潤させて内在さ
せるといった方法が挙げられる。
【0068】以上のように、ケイ素化合物を溶解させ
て、ケイ素化合物をトナー粒子の内部に導入する方法を
用いる場合にあっては、加水分解後のシランアルコール
の溶解性が高いと、トナー粒子の表面から媒体中にシラ
ンアルコールが溶け出し、溶け出したシランアルコール
同士が単独で粒子を形成する場合があるため、ケイ素化
合物を加水分解して得られるシランアルコールが難溶性
であるような媒体を選択する必要がある。
【0069】ケイ素化合物が膨潤状態にある母体となる
トナー粒子表面で、ケイ素化合物の重縮合反応を進行さ
せる場合における攪拌速度は、系内の粒子濃度、系の大
きさ、ケイ素化合物の膨潤量等によって異なるが、あま
り遅過ぎても速過ぎても粒子同士が合着を起こし易く、
得られるトナーの粒度分布を乱す原因となり得るため、
速度は、適宜に調節することが必要である。また、上記
した場合においては、母体となるトナー粒子を難水溶性
媒体中に安定に分散させるために、一般的な界面活性剤
や高分子分散剤、固体分散剤等を用いてもよい。
【0070】本発明のトナーにおいて、トナー粒子表面
に形成される、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同
士が固着されることによって形成される被覆層は、具体
的には、上記のような方法によってシランアルコキサイ
ド等のケイ素化合物を加水分解した後、重縮合させるこ
とによって得られるケイ素化合物の重縮合物からなる被
覆層である。上記の反応は基本的には室温で進行する。
【0071】上記のような膜状の重縮合物を得るには、
一分子中に少なくとも2つの加水分解、重縮合基を具備
するケイ素化合物を1種以上用いる必要がある。但し、
一官能化合物を併用することもできる。従って、本発明
において、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が
固着されることによって形成される被覆層を形成する際
に用いることのできるケイ素化合物としては、以下のよ
うなものが挙げられる。
【0072】二官能以上のシラン系アルコキサイドとし
ては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、トリエトキ
シクロロシラン、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラ
ン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラキ
ス(2−メタクリロキシエトキシシラン)シラン、アリ
ルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルトリメトキシラン、ビス(トリエトキシシリル)エ
チレン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(ト
リエトキシシリル)1,7−オクタジエン、2,2−
(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、((クロ
ロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、1,
3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン、2−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エトルトリメトキシシラ
ン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシ
ラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシ
シラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシ
ラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メ
タクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、メタクリ
ロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチ
ルトリメトキシシラン、3−(メタクリルオキシプロピ
ル)トリメトキシシラン、1,7−オクタジエニルトリ
エトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、
テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス
(2−メタクルロキシエトキシ)シラン、ビニルメチル
ジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン
が挙げられる。
【0073】上記の二官能以上のシラン系アルコキサイ
ドと併用することのできる一官能のシラン系アルコキサ
イドとしては、例えば、(3−アクリロキシプロピル)
ジメチルメトキシシラン、o−アクルロキシ(ポリエチ
レンオキシ)トリメチルシラン、アクルロキシトリメチ
ルシラン、1,3−ビス(メタクリロキシ)−2−トリ
メチルシロキシプロパン、3−クロロ−2−トリメチル
シロキシプロペン、(シクロヘキセニロキシ)トリメチ
ルシラン、メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、
(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシランが挙
げられる。
【0074】更に、シランアルコキサイド以外のゾルゲ
ル反応性化合物として、例えば、1,3,5,7−テト
ラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラ
シラザン等のアミノシランを用いることもできる。これ
らのゾルゲル反応性化合物は単独で用いても、或いは2
種類以上を複合して用いてもよい。一般的に、ゾルゲル
反応では、反応媒体の酸性度によって生成するゾルゲル
膜の結合状態が異なることが知られている。具体的に
は、媒体が酸性である場合には、Hがアルコキシ基
(=OR基)の酸素に親電子的に付加してアルコールと
して脱離する。次に、水が求核的に攻撃し、ヒドロキシ
基に置換される。この際、媒体中の水の含有率が少ない
ときには特にヒドロキシ基の置換反応が遅いので、シラ
ンに付いたアルコキシ基のすべてが加水分解する前に重
縮合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子
や二次元的な高分子が生成し易い。
【0075】他方、媒体がアルカリ性であると、OH
による求核置換反応によりアルコキシ基が容易にシラン
アルコールに変化する。特に、同一シランに3個以上の
アルコキシ基を有するケイ素化合物を用いた場合には、
重縮合は3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い重
合体、つまり強度の高いゾルゲル膜が生成される。ま
た、反応も短時間で終了する。従って、母体となるトナ
ー粒子の表面にゾルゲル膜を形成するには、アルカリ性
の下でゾルゲル反応を進めることが好ましく、具体的に
は、pH9以上のアルカリ性下で反応を進めることが好
ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れ
たゾルゲル膜を形成することができる。また、上記した
ゾルゲル反応は、基本的には室温でも進行するが、加熱
によって反応が促進するので、必要に応じて反応系に熱
を加えてもよい。
【0076】次に、上記で述べた少なくとも少なくとも
ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆
層を、更にカップリング剤で処理する方法について説明
する。カップリング剤は、一般的には、材料表面に露出
した水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基と
結合する金属アルコキシドや金属塩化物等の反応サイト
と、材料表面に、疎水性、イオン性等を与えるアルキル
基やイオン性基等の機能サイトが結合して構成された分
子であると表現することができる。本発明では、このカ
ップリング剤が材料表面の水酸基と反応する性質を利用
し、上記したトナー粒子表面に少なくともケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆層表面を形成
した場合に、残存するシラノール基と反応させ、トナー
粒子表面の水酸基をキャッピングすることで、高温高湿
下においてもトナーの帯電能が良好な状態で保持される
ようになることを図る。従って、本発明において使用す
る理想的なカップリング剤には、シラノール基と容易に
反応し、且つ、自身は未反応金属アルコール基を残存さ
せないような化合物であることが好ましい。従って、一
般的に末端封止剤やキャッピング剤と呼ばれる化合物
や、シリル化剤と呼ばれる化合物等もこの目的に当ては
まる機能を有する。そこで、本発明ではこれらの化合物
も広義にカップリング剤と定義する。
【0077】次に、本発明において行うトナー粒子表面
に形成されている被覆層のカップリング剤による処理方
法について説明する。その手法は、一般的な、カップリ
ング処理、キャッピング処理、シリル化処理手法によっ
て行うことができる。例えば、pHを4.5〜5.5に
調整した酸性アルコール溶液中にカップリング剤を滴下
し、ついで、シラン化合物が被覆されたトナーを投入
し、5分程度攪拌した後に、濾過及び洗浄を繰り返し、
乾燥してトナー粒子を単離する方法や、カップリング剤
をアルコール中に溶解し、粉体をツインコートのような
強力ミキサー中で攪拌している上に、上記のカップリン
グ剤アルコール溶液を吹き付け、その後、攪拌乾燥する
方法等が挙げられる。前者の方法において酸性アルコー
ル溶液を調製する場合には、ケイ素化合物を含む被覆層
をトナー粒子表面に形成する際の反応にアルカリを用い
た場合には、該アルカリを除去又は中和した後に同一系
内に酸を加えて酸性に調整してもよいし、アルカリ溶液
から単離し、改めて調製した酸性溶液中でカップリング
処理をしてもよい。
【0078】更に、本発明のトナーの製造方法において
は、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着さ
れた状態の被覆層の形成時にカップリング剤を混入し
て、被覆層の形成と同時にカップリング処理を施すこと
も可能である。この場合には、被覆層を形成させるため
のシリカモノマーの反応性がカップリング剤の反応性よ
りも高くなる組み合わせを選び、先ず、シリカモノマー
同士の反応が進んで、トナー粒子表面に被覆層が形成さ
れ、その後に被覆層表面の未反応シラノールとカップリ
ング剤が反応して被覆層表面にカップリング処理が施さ
れるように構成することが好ましい。
【0079】本発明で用いることのできるカップリング
剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
シリカ系のカップリング剤としては以下のものが挙げら
れる。先ず、二官能以上のシリカ系カップリング剤とし
ては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、トリエトキ
シクロロシラン、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラ
ン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラキ
ス(2−メタクリロキシエトキシシラン)シラン、アリ
ルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルトリメトキシラン、ビス(トリエトキシシリル)エ
チレン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(ト
リエトキシシリル)1,7−オクタジエン、2,2−
(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、((クロ
ロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、1,
3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン、2−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシ
ラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシ
シラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシ
ラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メ
タクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、メタクリ
ロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチ
ルトリメトキシシラン、1,7−オクタジエニルトリエ
トキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、テ
トラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2
−メタクルロキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジエ
トキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、メ
トクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げ
られる。
【0080】一官能のシリカ系カップリング剤として
は、例えば、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメ
トキシシラン、o−アクルロキシ(ポリエチレンオキ
シ)トリメチルシラン、アクルロキシトリメチルシラ
ン、1,3−ビス(メタクリロキシ)−2−トリメチル
シロキシプロパン、3−クロロ−2−トリメチルシロキ
シプロペン、(シクロヘキセニロキシ)トリメチルシラ
ン、メタクリロキシエトキシトリメチルシラン、(メタ
クリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン等が挙げら
れる。
【0081】更に、アリロキシトリメチルシラン、トリ
メチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチ
ルアミノトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)
アセトアミド、トリメチルシリルジフェニル尿素、ビス
(トリメチルシリル)尿素、トリメチルシリルイミダゾ
ールの如きいわゆるシリル化剤も本発明におけるカップ
リング剤として用いることができる。
【0082】更に、チタン系カップリング剤としては、
例えば、O−アリルオキシ(ポリエチレンオキシド)ト
リイソプロポキシチタネート、チタンアリルアセトアセ
テートトリイソプロポキサイド、チタンビス(トリエタ
ノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタンn−ブト
キサイド、チタンクロライドトリイソプロポキサイド、
チタンクロライドトリイソプロポキサイド、チタンジn
−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネー
ト)、チタンクロライドジエトキサイド、チタンジイソ
プロポキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネー
ト)、チタンジイソプロポキサイドビス(テトラメチル
ヘプタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビ
ス(エチルアセトアセテート)、チタンエトキサイド、
チタン2−エチルヘキシオキシド、チタンイソブトキサ
イド、チタンイソプロポキサイド、チタンラクテート、
チタンメタクリレートイソプロポキサイド、チタンメタ
クリルオキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキ
サイド、(2−メタクリルオキシエトキシ)トリイソプ
ロポキシチタネート、チタンメトキサイド、チタンメト
キシプロポキサイド、チタンメチルフェノキサイド、チ
タンn−ノニルオキサイド、チタンオキシドビス(ペン
タンジオネート)、チタンn−プロポキサイド、チタン
ステアリルオキサイド、チタンテトラキス(ビス2,2
−(アリルオキシメチル)ブトキサイド)、チタントリ
イソステアロリルイソプロポキサイド、チタンメタクリ
レートメトキシエトキサイド、テトラキス(トリメチル
シロキシ)チタン、チタントリス(ドデシルベンゼンス
ルフォネート)イソプロポキサイド、チタノセンジフェ
ノキサイドが挙げられる。
【0083】アルミ系カップリング剤としては、例え
ば、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニ
ウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)s
−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アル
ミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(II
I)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、ア
ルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセト
アセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アル
ミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アル
ミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニ
ウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネ
ート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アル
ミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソ
プロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタ
ンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニ
ウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−
ヘプタンジオネートが挙げられる。
【0084】尚、これらは単独で用いても、複数種用い
てもよく、これらを適宜に組み合わせることや、用いる
処理量によって、トナーの帯電量を適宜に調節すること
もできる。カップリング剤の処理量については特に規定
はないが、あまり多すぎるとカップリング剤同士が結合
し、被覆膜を形成してしまい、定着性を損なうおそれが
ある。
【0085】次に、本発明の少なくともケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着されることによって形成される被
覆層を形成するための母体となるトナー粒子の製造方法
について説明する。
【0086】重合法によって母体となるトナー粒子を製
造する場合に用いることのできる重合性単量体として
は、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチ
ルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン等のスチレン系単量体、ア
クリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル
酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステ
アリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フ
ェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル
酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸ジアミノメチル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ベンジ
ル、クロトン酸、イソクロトン酸、アシッドホスホキシ
エチルメタクリレート、アッシドホスホオキシプロピル
メタクリレート、アクロイルモルホリン、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、アクリロニトリル、メタクルロニトリル、アク
リルアミド等のアクリル酸系単量体、メチルビニルエー
テル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、β−ク
ロルエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、
p−メチルフェニルエーテル、p−クロルフェニルエー
テル、p−ブロムフェニルエーテル、p−ニトロフェニ
ルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテ
ル、ブタジエン等のビニルエーテル系単量体、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マ
レイン酸モノブチル等の二塩基酸系単量体、2−ビニル
ピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、
N−ビニルイミダゾールの如き複素環単量体等を挙げる
ことができる。これらの単量体は単独で用いても、或い
は2種以上を組み合わせて用いてもよく、好ましい特性
が得られるように、任意に組み合わせることによって好
適な重合体組成を選択することができる。
【0087】更に、分散重合法で母体となるトナー粒子
を作成する場合に用いることのできる重合溶媒(重合性
単量体は溶解するが、その重合体は溶解しない溶媒)と
しては、重合によって得られる生成物(重合体)が重合
の進行に伴って析出してくるものが使用できる。具体的
には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノ
ール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアル
コール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペ
ンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチ
ルアルコール、ターシャリーペンチルアルコール、1−
ヘキサノール、2−メチル1−ペンタノール、4−メチ
ル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘ
プタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2
−オクタノール、2−エチル1−ヘキサノール等の直鎖
若しくは分枝鎖の脂肪族アルコール類、ブタン、2−メ
チルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチ
ルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチ
ルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、
2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シ
クロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシク
ロヘキシル等の脂肪族炭化水素のほか、芳香族炭化水
類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、脂肪酸類、エ
ステル類、含硫黄化合物類、及びそれらの混合物を挙げ
ることができる。
【0088】更に、分散重合において使用できる高分子
分散剤としては、具体的には、例えば、ポリスチレン、
ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、ヒドロキシルスチレン−ビ
ニルエーテル若しくはビニルエステルの共重合体、ポリ
メチルメタクリレート、フェノールノボラック樹脂、ク
レゾールノボラック樹脂、スチレン−アクリル共重合
体、ビニルエーテル共重合体、具体的には、例えば、ポ
リメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、
ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエー
テル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリビニルア
セタール、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロー
ス、アルキル化セルロース、ヒドロキシアルキル化セル
ロース、具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、飽和アルキルポリエステ
ル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リアセタール、ポリカーボネート樹脂、若しくはそれら
の混合物、或いは上述の高分子化合物を形成する単量体
を任意の比率で使用して形成可能な共重合体を挙げるこ
とがでる。
【0089】本発明のトナーは、トナーの構成成分とし
て、高分子量成分若しくはゲル成分を含有させることに
よって、オフセット防止等、溶融粘度特性を必要に応じ
て調節することが可能となる。このような成分の導入
は、重合性の2重結合を、一分子当たり2個以上有する
架橋剤を使用することによって達成される。かかる架橋
剤としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、
ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレ
ングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメ
タクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,
3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グ
リセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビ
ニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィ
ド、ジビニルスルフォンの化合物を挙げることができ
る。
【0090】これらは、単独で、或いは2種類以上を適
宜に混合して使用することができる。また、これらの架
橋剤は、重合性単量体に予め混合しておくこともできる
し、必要に応じて適宜重合の途中で添加することもでき
る。本発明において使用されるこれらの架橋剤の濃度と
しては、製造される重合体の分子量、分子量分布等を考
慮して適宜調節することができるが、使用する重合性単
量体の総量の0.01〜5質量%の範囲であることが好
適である。
【0091】又、粉砕法でトナー粒子を製造する場合に
用いることのできる結着樹脂としては、例えば、ポリス
チレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエ
ンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−ク
ロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重
合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン
−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル
酸共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル
共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニ
ルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケ
トン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレ
ン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル
−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体、ポリ塩
化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、
天然変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポ
キシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テル
ペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げ
られる。架橋されたスチレン系共重合体及び架橋された
ポリエステル樹脂も好ましい結着樹脂である。本発明の
トナーにおいては、溶融時のオフセットを防止するため
に、結着樹脂にゲル分を含有させることもできる。
【0092】母体となるトナー粒子を構成する着色剤と
しては、任意の顔料や染料を用いることができ、その両
者を併用することもできる。用いられる黒色着色剤とし
ては、例えば、カーボンブラック、磁性体、以下に示す
イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色さ
れたものが利用される。イエロー着色剤としては、縮合
アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン
化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化
合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、
17、62、74、83、93、94、95、97、1
09、110、111、120、127、128、12
9、147、168、174、176、180、18
1、191が好適に用いられる。
【0093】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キ
ナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール
化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合
物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられ
る。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、
5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、5
7:1、81:1、144、146、166、169、
177、184、185、202、206、220、2
21、254が特に好ましい。
【0094】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.
ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利
用できる。
【0095】これらの着色剤は、単独または混合して使
用することもでき、更には固溶体の状態で用いることも
できる。着色剤の添加量は、磁性体を用いた場合には結
着樹脂100質量部当たり40〜150質量部添加する
ことが好ましく、その他の着色剤を用いた場合には、結
着樹脂100質量部当たり5〜20質量部添加すること
が好ましい。
【0096】また本発明のトナーは、磁性体を含有させ
て磁性トナーとすることもできる。この場合、磁性材料
は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明のトナー
に使用できる磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイ
ト、フェライト等の如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケ
ルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コ
バルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモ
ン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、
マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム
等の金属の合金及びその混合物が挙げられる。
【0097】本発明のトナーに用いられる磁性体は、よ
り好ましくは表面改質された磁性体を用いるとよい。こ
の際に用いることのできる表面改質剤としては、例え
ば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を
挙げることができる。これらの磁性体は、平均粒径が1
μm以下、好ましくは0.1μm乃至0.5μmのもの
がよい。7.96×102kA/m(10kエスルテッ
ド)印加での磁気特性が、保磁力(H)が1.59×
103乃至2.39×104A/m(20乃至300エル
ステッド)、飽和磁化(σ)が50乃至200A・m
2/kg(50乃至200emu/g)、残留磁化(σ
)が2乃至20A・m2/kg(2乃至20emu/
g)である磁性体を使用することが好ましい。
【0098】上記した着色剤の添加量は、磁性体を用い
た場合には、結着樹脂100質量部当たり40〜150
質量部の範囲で添加することが好ましく、その他の着色
剤を用いた場合には、結着樹脂100質量部当たり5〜
20質量部の範囲で添加することが好ましい。
【0099】本発明のトナーは、磁性粉を含有させて磁
性トナーとすることもできる。この場合、下記に挙げる
ような磁性粉を使用することができる。この際に使用で
きる磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物
質が用いられ、例えば、鉄、コバルト、ニッケルの如き
強磁性金属の微粒子、若しくは、マグネタイト、フェラ
イトの如き、磁性酸化物の微粒子等が挙げられる。これ
らは、着色剤としての役割も兼ねることもできる。
【0100】また、本発明のトナーには、荷電制御剤が
必要に応じて添加されていてもよい。この場合には、従
来公知のいかなる荷電制御剤でも用いることができる
が、トナーの帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量
を安定して維持できる荷電制御剤を用いることが好まし
い。具体的には、ネガ系の荷電制御剤としては、例え
ば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリ
チル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物;
スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物、
ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークス
アレーン等を用いることが好ましい。ポジ系の荷電制御
剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、該四級アン
モニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン
化合物、イミダゾール化合物等を用いることが好まし
い。これらの荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対
して、0.5乃至10質量部の範囲で添加することが好
ましい。
【0101】更に、本発明のトナーでは、特に、熱ロー
ル定着器と組み合わせて使用したとき等における離型性
を向上させるために、可塑剤、ワックス等の低温流動化
成分を母体となるトナー粒子中に導入させることもでき
る。この際に使用できるワックスとしては、例えば、パ
ラフィン、ポリオレフィン系ワックス及びこれらの変性
物、例えば、酸化物やグラフト処理物の他、高級脂肪酸
及びその金属塩、高級脂肪族アルコール、高級脂肪族エ
ステル、脂肪族アミドワックス等が挙げられる。本発明
のトナーにおいては、これらのワックスの中でも、環球
法(JIS K2531)によって測定した軟化点が、
30〜130℃の範囲内にあるものを使用することが好
ましい。また、これらのワックス類を母体となるトナー
粒子中に導入する場合には、微粉体状で添加するように
構成することが好ましい。
【0102】更に、本発明のトナーにおいては、トナー
粒子に付与される帯電量を適宜なものに調節するため
に、シリカ、チタン、アルミナ等の一般的な無機微粒子
や有機微粒子を、外添剤として補助的に用いてもよい。
【0103】以上のようにして得られる本発明のトナー
の粒子径は、特に制限されるものではないが、高い流動
性を有するものとするためには、その個数平均粒子径
が、0.1μm〜10.0μmと小粒径であり、更に、
その個数分布の変動係数が20.0%以下のシャープな
粒度分布を有するものであることが好ましい。この様な
粒径、粒度分布を達成するためには、上記で述べたトナ
ーの製造工程に加えて、所謂、分級操作を用いることが
必要な場合もある。そこで、本発明においては、母体と
なるトナー粒子を製造する場合に、上記で述べた分散重
合法を用いることがより好ましい。分散重合法とは、一
般的に、重合性単量体は溶解するが、その重合体は溶解
しない重合溶媒中で、高分子分散剤に代表される粒子安
定剤の存在下で、該単量体を重合することにより粒子を
製造する方法であり、粒度分布の揃った粒子が得られる
方法として知られているトナーの製造方法である。更
に、この分散重合法によれば、他の重合法に比べ、トナ
ーとしてより好適な、1μm〜5μm程度の粒子径の小
粒径の粒子を製造することができる。従って、本発明に
おいては、この分散重合により母体となるトナー粒子を
製造することがより好ましい。
【0104】上記のような構成を有する本発明のトナー
は、一成分系現像剤として用いることもできるし、キャ
リアと混合して二成分系現像剤として用いることもでき
る。本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分
系現像剤を調製する場合には、その混合比率は、現像剤
中のトナー濃度として、2〜15質量%の範囲内とする
ことが好ましい。即ち、トナー濃度が2質量%未満では
画像濃度が低下し易く、一方、15質量%を超えるとカ
ブリや機内飛散が発生し易い。キャリアとしては、下記
の磁気特性を有するものを使用することが好ましい。即
ち、磁気的に飽和させた後の79.57kA/m(10
00エルステッド)における磁化の強さが、30乃至3
00kA/m(30乃至300emu/cm3)のもの
を使用することが好ましい。使用するキャリアの磁化の
強さが300kA/m(300emu/cm3)より大
きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくな
る。一方、30kA/m(30emu/cm3)未満で
あると、磁気的な拘束力が減少するためにキャリア付着
を生じ易い。
【0105】
【実施例】以下、本発明のトナー及びその製造方法の具
体的な構成を、実施例に基づいて説明する。 [実施例1−1] <母体となるトナー粒子の作成>高速攪拌装置TK−ホ
モミキサーを備えた四つ口フラスコ中に、イオン交換水
910質量部とポリビニルアルコール100質量部とを
添加し、回転数1200rpmにて攪拌しながら、55
℃に加熱して水系分散媒とした。一方、下記組成をアト
ライターを用いて3時間分散させた後、重合開始剤であ
る2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)3質量部を添加してモノマー分散液を調製した。 (モノマー分散液の組成) ・スチレン単量体 90質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 30質量部 ・カーボンブラック 10質量部 ・サリチル酸シラン化合物 1質量部 ・離型剤(パラフィンワックス155) 20質量部
【0106】次に、得られたモノマー分散液を、上記の
四つ口フラスコ内の分散媒中に投入し、上記の回転数を
維持しつつ10分間の造粒を行なった。続いて、50r
pmの攪拌下において、55℃で1時間、次に、65℃
で4時間、更に、80℃で5時間の重合を行った。上記
の重合の終了後、スラリーを冷却し、精製水で洗浄を繰
り返すことにより分散剤を除去した。更に洗浄、乾燥を
行なうことにより、ブラックトナーの母体となるトナー
粒子を得た。日立製作所製S−4500形電界放出形走
査型電子顕微鏡を用いて、トナーの5000倍の写真を
とり、その写真から、累積300個以上になるように粒
子径を測定し、数平均粒子径を算出したところ、8.3
0μmであった。更に、この結果から、個数平均粒子径
の標準偏差(S.D)をコンピュータを用いて算出し、
これよりこのトナーの個数分布の変動係数を以下の式に
よって算出した。その結果、このトナーの変動係数は3
8.4%であった。
【数3】
【0107】<少なくともケイ素化合物の重縮合物を含
む粒子から構成される被覆層の作成>上記で得た母体と
なるブラックトナー粒子0.9質量部をメタノール4.
1質量部に分散させた後、ケイ素化合物として、2.5
質量部のテトラエトキシシランを溶解し、更に40質量
部のメタノールを添加した。次いで、この溶液を、28
質量%のNH4OH水溶液10質量部に対して100質
量部のメタノールを混合したアルカリ性の溶液中に滴下
しながら加え、室温にて48時間攪拌することによっ
て、少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から
構成される膜をトナー粒子の表面に堆積させた。
【0108】反応終了後に、得られた粒子を精製水で洗
浄し、次いでメタノールで洗浄した後、粒子を濾別、乾
燥することにより、少なくともケイ素化合物の重縮合物
を含む粒子から構成される被覆層によって被覆されてい
るトナーを得た。得られたトナーの粒径を前述の方法で
測定したところ、数平均粒径は8.33μmであった。
このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したと
ころ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒
状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このトナー
の粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察から、このトナ
ーの粒子表面に被覆層が形成されていることが確認でき
た。
【0109】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は15.32
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03%であった。よっ
て、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
510.67倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合
物の重縮合物は殆ど存在していなかった。更に、このト
ナーを、5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄
した後のトナー粒子表面のケイ素原子の存在比率は1
1.44%であった。従って、界面活性剤による洗浄前
後におけるトナーの粒子表面に存在するケイ素原子の減
少率は25.33%であった。よって、上記で得たトナ
ーの粒子表面に形成されている被覆層は、粒状塊同士が
固着された状態の層であることが確認された。
【0110】続いて、上記のトナー5質量部と、粒径4
0μmのフェライトコアにシリコーン樹脂をコートして
なるキャリア粒子95質量部とを混合することによって
2成分系現像剤を調製した。そして、この2成分系現像
剤のトナーの帯電量を下記の方法によって測定したとこ
ろ−32.60mC/kgであった。トナーの帯電量の
測定方法は、次の通りである。
【0111】上記の2成分系現像剤10gを50mlの
ポリビンに入れ、シェーカーにて、10分間振り、帯電
させる。これをブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケ
ミカル社製 TB−200)で、メッシュは625メッ
シュ、吹き込みガスN2、圧力:9.81×10-2MP
a(1kgf/cm2)で測定し、30秒後の値を、そ
のトナーの帯電量(mC/kg)とする。更に、上記の
現像剤を使用し、温度25℃、湿度30%Rhの環境下
で、キヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機CLC
700改造機(プロセススピードを200mm/sec
にし、25℃/30%Rh環境における転写電流が40
0μAになるように改造した)を用いて画像を形成し、
以下の要領でトナー性能評価を行なった。更に、同機に
より、3万枚の耐久試験を行なった。この耐久試験後の
2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定したところ、−
32.10mC/kgであり、耐久によっても安定した
帯電量が保持されていることが確認された。
【0112】画像評価 (1)定着性 OHPシート上にベタ画像のコピーを行なった後、得ら
れた画像の一部を切り取り、走査型顕微鏡を用いて10
00倍で観察し、トナーの粒子形状が残存しているかど
うかを評価した。その結果、粒子形状は観察されず、良
好に定着されていることが確認できた。
【0113】(2)転写効率 印字動作の途中、まだ転写動作が全て完了していない段
階で装置の運転を停止させ、先ず、転写前の感光体上の
トナー量(A)を測定し、次いで、転写を完了したとき
に、記録媒体に転写されずに感光体上に残ったトナー量
(B)を測定し、下記式によって転写効率を算出した。
【数4】 その結果、本実施例のトナーの転写効率は98.5%で
あり、良好な状態で転写されていることが確認された。
【0114】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 耐久試験後におけるトナーの粒子表面の走査型顕微鏡写
真観察を行なったところ、トナーの粒子表面少なくとも
ケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成される膜は
破損しておらず、耐久試験前のトナーの粒子と同等の表
面状態を保持していた。
【0115】[実施例1−2] <母体となるトナー粒子の作成>以下の方法を用いて粉
砕法によって母体となるトナー粒子を調製した。 ・スチレン/ブチルアクリレート=80/20の共重合体 100質量部 ・カーボンブラック 6質量部 ・ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 4質量部 上記組成を充分予備混合を行った後、溶融混練し、冷却
後ハンマーミルを用いて、粒径約1〜2mm程度に粗粉
砕した。次いで、エアージェット方式による微粉砕機で
微粉砕した。更に、得られた微粉砕物をエルボジェット
分級機を用いて分級した。実施例1−1と同様にして、
日立製作所製S−4500形電界放出形走査型電子顕微
鏡を用いて、トナーの5000倍の写真をとり、その写
真から、累積300個以上になるように粒子径を測定
し、数平均粒子径を算出したところ、8.9μmであっ
た。
【0116】<少なくともケイ素化合物の重縮合物を含
む粒子から構成される被覆層の作成>上記で得たブラッ
クトナー粒子を母体となるトナー粒子に用いる以外は実
施例1−1と同様にして、少なくともケイ素化合物の重
縮合物を含む粒子から構成される被覆層で被覆されてい
るトナーを得た。得られたトナーの粒径を実施例1−1
と同様の方法で測定したところ、数平均粒径は9.00
μmであった。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写
真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm
直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されているこ
とが確認できた。
【0117】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は15.24
質量%であった。同様にして測定した、トナーの粒子断
面におけるケイ素原子の存在比率は0.02%であっ
た。よって、トナー粒子表面におけるケイ素原子の存在
比率は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比
率の762.00倍であり、トナーの粒子内部にケイ素
化合物の重縮合物は殆ど存在していなかった。更に、こ
のトナーを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗
浄した後のトナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在
量は、11.66%であった。従って、界面活性剤洗浄
前後におけるトナーの粒子表面に存在するケイ素原子の
減少率は23.49%であった。よって、上記で得たト
ナーの粒子表面に形成されている被覆層は、粒状塊同士
が固着された状態の層であることが確認できた。
【0118】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
1−1と同様にして、2成分系現像剤を調製した。そし
て、この2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定したと
ころ−33.40mC/kgであった。更に、この現像
剤を用いた場合の画像評価を、実施例1−1にて説明し
たと同様の方法で行なったところ、下記の通りの結果が
得られた。この耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの
帯電量を測定したところ、−32.80mC/kgであ
り、耐久によっても比較的安定した帯電量が保持されて
いることが確認された。
【0119】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることが確認でき
た。
【0120】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.2%であり、
良好な状態で転写されていることが確認された。
【0121】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は僅かに破損している部分が
確認されたが、問題のない程度であった。
【0122】[実施例1−3]ポリビニルアルコール
0.02質量部をエタノール/水=1:1(質量比)の
混合溶液20質量部に溶解した混合溶媒中に、実施例1
−1で母体として用いたトナー粒子と同じブラックトナ
ー粒子を0.9質量部分散させて、次いで、ケイ素化合
物として3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキ
シシラン5質量部を溶解させた。続いて、水120質量
部を徐々に滴下することによってケイ素化合物の溶解性
を下げて、滴下終了後、更に5時間の攪拌を行なって、
トナー粒子内に3−(メタクリルオキシ)プロピルトリ
メトキシシランを膨潤させて内在させた。
【0123】次いで、この系内に28質量%のNH4
H水溶液を20質量部加えて、12時間室温にて攪拌す
ることによって、トナー粒子表面でゾルゲル反応を進行
させて、少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む粒子
から構成される膜を形成した。反応終了後に、得られた
黒色粉末をエタノールで洗浄することにより、粒子内部
の未反応ケイ素化合物を洗浄し、更に濾別、乾燥するこ
とにより、少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む粒
子で構成される膜で被覆されているトナーを得た。
【0124】上記で得られたトナーの粒径を前述の方法
で測定したところ、重量平均粒径は8.32μmであっ
た。このトナーの粒子を走査型顕微鏡写真で観察したと
ころ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒
状凹凸が形成された膜が観察された。更に、このトナー
の粒子断表面の透過型電子顕微鏡写真観察から、トナー
の粒子表面に被覆層が形成されていることが確認でき
た。
【0125】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は3.33質
量%であった。同様にして測定したトナーの粒子断面に
おけるケイ素原子の存在比率は0.25%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
13.32倍であり、トナーの粒子内部におけるケイ素
化合物の重縮合物は僅かであった。更に、このトナーを
5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後の
トナーの粒子表面のケイ素原子の存在比率は、2.98
%であった。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は10.5
1%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に
形成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態
の層であることが確認された。
【0126】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−30.2mC/
kgであった。更に、この現像剤を用いた場合の画像評
価を、実施例1−1にて説明したと同様の方法で行なっ
たところ、下記の通りの結果が得られた。耐久試験後に
おける2成分系現像剤のトナーの帯電量は、−30.1
8mC/kgであり、実施例1−1と同様に耐久によっ
ても安定した帯電量が保持されていた。
【0127】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0128】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.4%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0129】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0130】[実施例1−4]0.3質量%のドデシル
スルホン酸ナトリウム水溶液120質量部に、ジブチル
フタレート4質量部を超音波ホモジナイザーを用いて微
分散させ、ジブチルフタレート乳化液を調製した。次い
で、実施例1−1で母体として用いたと同じブラックト
ナー粒子を0.9質量部、0.3質量%のドデシルスル
ホン酸ナトリウム水溶液4.0質量部に分散させて、ト
ナー粒子の分散液を調製した。その後、上記で得たジブ
チルフタレート乳化液を、トナー粒子の分散液に投入
し、室温で2時間の攪拌を行なった。
【0131】次いで、0.3質量%のドデシルスルホン
酸ナトリウム水溶液100質量部に、ケイ素化合物とし
て3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラ
ン5質量部を入れて、超音波ホモジナイザーを用いて微
分散させた分散液を、上記で得たトナー粒子の分散液に
投入し、室温で4時間攪拌して、母体となるトナー粒子
とケイ素化合物を分散させ、3−(メタクリルオキシ)
プロピルトリメトキシシランをトナー粒子に吸収させ
て、トナー粒子中にケイ素化合物を導入した。
【0132】その後、30質量%のNH4OH水溶液1
0質量部を投入し、室温で12時間攪拌し、トナー粒子
表面でゾルゲル反応を行なって、トナー粒子表面に少な
くともケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成され
る膜を形成した。反応終了後、系内に多量のエタノール
を投入して、粒子内部の未反応3−(メタクリルオキ
シ)プロピルトリメトキシシラン及びジブチルフタレー
トを除去した。次いで、得られたトナー粒子をエタノー
ルで再度洗浄し、続いて精製水で洗浄し、濾別、乾燥す
ることにより、本実施例のトナーを得た。
【0133】得られたトナーの粒径を前述の方法で測定
したところ、重量平均粒径は8.69μmであった。こ
のトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したとこ
ろ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒状
凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このトナーの
粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの
粒子表面に被覆層が形成されていることが確認された。
【0134】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は3.42質
量%であった。同様にして、トナーの粒子断面における
ケイ素原子の存在比率は0.25%であった。よって、
トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は、ト
ナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の13.
68倍であり、トナーの粒子内部のケイ素化合物の重縮
合物の存在は僅かであった。更に、このトナーを5%ド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー
の粒子表面のケイ素原子の存在比率は3.04%であっ
た。従って界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表
面に存在するケイ素原子の減少率は11.11%であっ
た。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形成されて
いる被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の層である
ことが確認できた。
【0135】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−29.64mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後におけ
る2成分系現像剤のトナーの帯電量は、−29.60m
C/kgであり、実施例1−1と同様に、耐久によって
も帯電量が安定に維持されていた。
【0136】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0137】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.4%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0138】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0139】[実施例1−5]酢酸イソアミル2質量部
と、ケイ素化合物として、テトラエトキシシラン3.5
質量部、メチルトリエトキシシラン0.5質量部とを混
合した混合溶液を、0.3質量%ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム水溶液30質量部に投入した後、超音
波ホモジナイザーを用いて攪拌することにより、酢酸イ
ソアミルとテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシ
シランの混合分散液を調製した。次いで、実施例1−1
で母体として用いたと同じブラックトナー粒子0.9質
量部を、0.3質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム水溶液30質量部に分散させた分散液に、上記
で得た酢酸イソアミルとケイ素化合物との混合分散液を
投入し、室温で2時間の攪拌を行なって、ケイ素化合物
をトナー粒子中に導入した。
【0140】次いで、28質量%NH4OH水溶液5質
量部を混合し、室温で12時間攪拌することにより、ゾ
ルゲル反応を行なって、トナーの粒子表面に少なくとも
ケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成される膜を
形成した。次に、系内に多量のエタノールを投入し、未
反応のテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン及び酢酸イソアミルをトナー粒子の内部から除去し、
更にエタノールで粒子を洗浄した後、精製水で洗浄し、
濾別、乾燥することにより、トナーを得た。
【0141】上記で得られたトナーの粒径を前述の方法
で測定したところ、重量平均粒径は8.74μmであっ
た。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察し
たところ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細
な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このト
ナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのト
ナーの粒子表面に被覆層が形成されていることを確認で
きた。
【0142】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は3.15質
量%であった。同様にして、トナーの粒子断面における
ケイ素原子の存在比率は0.33%であった。よって、
トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は、ト
ナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の9.5
5倍であり、トナーの粒子内部のケイ素化合物の重縮合
物の存在は僅かであった。更に、このトナーを5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの
粒子表面のケイ素原子の存在比率は2.98%であっ
た。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子
表面に存在するケイ素原子の減少率は5.40%であっ
た。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形成されて
いる被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の層である
ことが確認された。
【0143】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−28.24mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後におけ
る2成分系現像剤のトナーの帯電量は、−28.21m
C/kgであり、実施例1−1と同様に、耐久によって
も帯電量が安定に維持されていた。
【0144】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0145】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.4%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0146】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0147】(4)飛び散り ドラム上に形成されたトナー像の飛び散り具合を目視評
価したところ、元のトナー粒子よりは若干飛び散りが多
くなっていた。
【0148】[実施例1−6]実施例1−5で、トナー
粒子の分散液にケイ素化合物の分散液を加えたところ
を、ケイ素化合物の分散液にトナー粒子の分散液を投入
する方法に変えた以外は全く同様の方法を用いて、本実
施例のトナーを得た。
【0149】得られたトナーの粒径を前述の方法で測定
したところ、重量平均粒径は8.49μmであり、この
粒子の変動係数は、38.8%で元のトナー粒子とほぼ
同じの変動係数を示した。このトナーの粒子表面を走査
型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に
約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察
された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微
鏡写真観察から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成
されていることが確認できた。
【0150】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は3.75質
量%であった。同様にして、トナーの粒子断面における
ケイ素原子の存在比率は0.31%であった。よって、
トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は、ト
ナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の12.
10倍であり、トナーの粒子内部のケイ素化合物の重縮
合物の存在は僅かであった。更に、このトナーを5%ド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー
の粒子表面のケイ素原子の存在比率は3.63%であっ
た。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子
表面に存在する比率の減少率は3.20%であった。よ
って、上記で得たトナーの粒子表面に形成されている被
覆層は、粒状塊同士が固着された状態の層であることが
確認された。
【0151】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−31.80mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後におけ
る2成分系現像剤のトナーの帯電量は、−31.78m
C/kgであり、実施例1−1と同様に、耐久によって
も帯電量が安定に維持されていた。
【0152】(1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0153】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は97.5%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0154】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0155】(4)飛び散り ドラム上のトナー像の飛び散り具合を目視評価したとこ
ろ、元の粒子と同程度の飛び散り具合であった。
【0156】[実施例1−7]実施例1−1で得られた
トナーを1成分系現像剤として用い、市販の電子写真複
写機FC−2(キヤノン社製)改造機に投入して、温度
25℃、湿度30%Rhの環境下で、3万枚のベタしろ
白画像による耐久試験行ない、実施例1−1と同様の評
価を行ったところ、下記の通りの結果を得た。
【0157】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0158】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.6%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0159】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナー粒子表面少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む
粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験前の
トナーの粒子と同等の表面状態を保持していた。
【0160】この1成分系現像剤として用いたトナーの
帯電量を以下の方法で測定したところ、−30.70m
C/kgであり、3万枚の耐久試験後の1成分系現像剤
(トナー)の帯電量は−30.30mC/kgであり、
耐久後においても帯電量が安定していた。
【0161】上記のトナーの帯電量の測定方法は、次の
通りである。鉄粉キャリア(EFV−100/200)
9.5gとトナー0.5gを50mlのポリビンに入
れ、シェーカーにて、10分間振り、帯電させる。これ
をブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル社製
TB−200)で、メッシュは625メッシュ,吹き込
みガスN2、圧力:9.81×10-2MPa(1kgf
/cm2)で測定し、30秒後の値を、そのトナーの帯
電量とする。
【0162】[実施例1−8]モノマー分散液として、
実施例1−1で使用したモノマー分散液の組成中に、更
に、ケイ素化合物として5質量部のテトラエトキシシラ
ンを加え、且つ、その系内にNH4OH水溶液を加え
て、該モノマー分散液をアルカリ性にすること以外は実
施例1−1の重合方法と同一の手法によって重合を行な
った。この結果、重合トナーの製造時にトナー粒子中に
内在されるケイ素化合物が、熱によりゾルゲル反応を起
こし易くなる。その後、多量のエタノールで洗浄して粒
子内部の未反応のテトラエトキシシランを除去し、更に
濾別、乾燥することにより、少なくともケイ素化合物の
重縮合物を含む粒子から構成される膜が設けられたトナ
ーを得た。
【0163】このトナーの粒径を前述の方法で測定した
ところ、重量平均粒径は8.65μmであった。このト
ナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したところ、
該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒状凹凸
を有する被覆層が観察された。更に、このトナーの粒子
断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子
表面に被覆層が形成されていることが確認された。
【0164】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は10.12
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は5.75%であった。よっ
て、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
1.76倍であり、トナーの粒子内部にも、ケイ素化合
物の重縮合物が存在していることが確認された。更に、
このトナーを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で
洗浄した後のトナーの粒子表面のケイ素原子の存在比率
は9.84%であった。従って、界面活性剤洗浄前後に
おけるトナーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率
は2.77%であった。よって、上記で得たトナーの粒
子表面に形成されている被覆層は、粒状塊同士が固着さ
れた状態の層であることが確認された。
【0165】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−33.24mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後の2成
分系現像剤のトナーの帯電量は−32.84mC/kg
であり、耐久後においても安定していた。
【0166】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、部分的
に現像剤の粒子形状が観察され、他の実施例の場合より
も定着性に劣ることが確認されたが、全体的には平滑で
あり実用上の問題はなかった。
【0167】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.5%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0168】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0169】[実施例1−9]実施例1−1において、
ゾルゲル反応を行う際に、テトラエトキシシランの量を
0.5質量部にした以外は実施例1−1と同様の方法に
より少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から
構成される膜が設けられたトナーを得た。
【0170】このトナーの粒径を前述の方法で測定した
ところ、重量平均粒径は8.35μmであった。このト
ナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したところ、
該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒状凹凸
を有する被覆層が観察された。更に、このトナーの粒子
断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子
表面に被覆層が形成されていることが確認された。
【0171】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は0.08質
量%であった。同様にして、トナーの粒子断面における
ケイ素原子の存在比率は0.01%であった。よって、
トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は、ト
ナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の8.0
0倍であった。更に、このトナーを5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面の
ケイ素原子の存在比率は0.06%であった。従って、
界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に存在す
るケイ素原子の減少率は25.00%であった。よっ
て、上記で得たトナーの粒子表面に形成されている被覆
層は、粒状塊同士が固着された状態の層であることが確
認された。
【0172】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−26.01mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後の2成
分系現像剤のトナーの帯電量は−25.51mC/kg
であり、耐久後においても安定していた。
【0173】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、トナー
の粒子形状は観察されず、良好に定着されていた。
【0174】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は97.2%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0175】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0176】[実施例1−10]実施例1−1におい
て、ゾルゲル反応を行う際に、テトラエトキシシランの
量を6.0質量部にした以外は実施例1−1と同様の方
法により、少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む粒
子から構成される膜が設けられたトナーを得た。
【0177】得られたトナーの粒径を前述の方法で測定
したところ、重量平均粒径は8.79μmであった。こ
のトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したとこ
ろ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒状
凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このトナーの
粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの
粒子表面に被覆層が形成されていることが確認された。
【0178】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は10.33
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.04%であった。よっ
て、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
258.25倍であり、多量のケイ素化合物の重縮合物
が粒子表面に存在していることが確認された。更に、こ
のトナーを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗
浄した後のトナーの粒子表面のケイ素原子の存在比率
は、7.66%であった。従って、界面活性剤洗浄前後
におけるトナーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少
率は25.85%であった。よって、上記で得たトナー
の粒子表面に形成されている被覆層は、粒状塊同士が固
着された状態の層であることが確認された。
【0179】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−33.59mC
/kgであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を
上記の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なっ
たところ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後の2成
分系現像剤のトナーの帯電量は−32.99mC/kg
であり、耐久後においても安定していた。
【0180】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、部分的
に現像剤の粒子形状が観察され、他の実施例の場合より
も定着性に劣ることが確認されたが、全体的には平滑で
あり実用上の問題はなかった。
【0181】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.7%であり、
良好な状態で転写されていた。
【0182】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナーの粒子表面の少なくともケイ素化合物の重縮合物を
含む粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験
前のトナーの粒子と同等の表面状態が保持されていた。
【0183】[比較例1−1]実施例1−1で得られた
ブラックのトナー粒子を、表面に被覆層を形成すること
なくそのままの状態で利用して、実施例1−1と同様に
して2成分現像剤を調製した。この2成分系現現像剤の
トナーの帯電量を測定したところ、−10.4mC/k
gであった。この現像剤を用いた場合の画像評価を上記
の実施例1−1にて説明したのと同様にして行なったと
ころ、下記の通りの結果を得た。耐久試験後の2成分系
現像剤のトナーの帯電量は−8.95mC/kgであ
り、耐久後の帯電量はやや減少していた。
【0184】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0185】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本比較例のトナーの転写効率は、68.9%であ
り、実施例と比較すると劣っていた。
【0186】[比較例1−2]実施例1−1で得られた
ブラックのトナー粒子100質量部に対して、重量平均
粒径40nmの疎水化シリカ微粉体5質量部を添加し、
ヘンシェルミキサーで混合することによってシリカ微粉
末を流動化剤として外添してなるトナーを得た。
【0187】上記で得られたトナーの粒径を前述の方法
で測定したところ、重量平均粒径は8.33μmであっ
た。このトナーを走査型顕微鏡写真で観察したところ、
トナーの粒子表面に粒状物が観察されたものの、粒子−
粒子間に多数の間隙が存在しており、膜状物とはなって
いなかった。更に、このトナー断面の透過型電子顕微鏡
写真観察をしたところ、トナーの粒子表面に所々粒子の
存在や連続定な層が確認できるものの、連続的な層は確
認されなかった。
【0188】EPMAにより求めた上記のトナーの粒子
表面におけるケイ素原子の存在比率は0.45質量%で
あった。同様にして、トナーの粒子断面におけるケイ素
原子の存在比率は0.00%であった。更に、このトナ
ーを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した
後のトナーの粒子表面のケイ素原子の存在比率は0.3
0%であった。従って、界面活性剤洗浄前後におけるト
ナーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は33.
33%であった。よって、このトナーは界面活性剤洗浄
によるケイ素の減少率が高いため、固着層とは認められ
なかった。
【0189】上記のトナーを用いて、実施例1−1と同
様にして2成分現像剤を調製した。この2成分系現像剤
のトナーの帯電量を測定したところ、−29.8mC/
kgであった。更に、この現像剤を用いた場合の画像評
価を、実施例1−1にて説明したと同様の方法で行なっ
たところ、下記の通りの結果が得られた。耐久試験後に
おける2成分系現像剤のトナーの帯電量は、−26.4
mC/kgであり、若干低下していた。
【0190】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることを確認し
た。
【0191】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本比較例のトナーの転写効率は89.7%であり、
実施例と比べると若干劣っていた。
【0192】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、外
添シリカ粒子が、所々に遊離していたり、或いはトナー
粒子に埋め込まれたりしており、シリカ粒子−シリカ粒
子間の間隙の増加が認められた。
【0193】表1に、実施例1−1〜1−10及び比較
例1−1、1−2におけるトナー粒子及びトナーの特性
をまとめて示した。表2に、実施例1−1〜1−10及
び比較例1−1、1−2におけるトナーを用いた現像剤
を使用した場合における画像評価試験の結果をまとめて
示した。
【0194】
【表1】
【0195】
【表2】
【0196】尚、表中の定着性は、OHPシート上に現
像、定着した後に、走査型顕微鏡で1000倍に拡大し
て観察したときのものであり、下記のように評価した。 A:トナーの粒子形状を保っている部分が観察されない B:トナーの粒子形状を保っている部分が数箇所に存在
する C:トナーの粒子形状を保っている部分が殆どである
【0197】[実施例2−1] <母体となるトナー粒子の作成>高速攪拌装置TK−ホ
モミキサーを備えた四つ口フラスコ中に、イオン交換水
910質量部とポリビニルアルコール100質量部とを
添加し、回転数1200rpmにて攪拌しながら、55
℃に加熱して水系分散媒とした。一方、下記組成をアト
ライターを用いて3時間分散させた後、重合開始剤であ
る2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)3質量部を添加してモノマー分散液を調製した。 (モノマー分散液の組成) ・スチレン単量体 85質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 35質量部 ・カーボンブラック 12質量部 ・サリチル酸シラン化合物 1.5質量部 ・離型剤 20質量部
【0198】次に、得られたモノマー分散液を、上記の
四つ口フラスコ内の分散媒中に投入し、上記の回転数を
維持しつつ10分間の造粒を行なった。続いて、50r
pmの攪拌下において、55℃で1時間、次に、65℃
で4時間、更に、80℃で5時間の重合を行った。上記
の重合の終了後、スラリーを冷却し、精製水で洗浄を繰
り返すことにより分散剤を除去した。更に洗浄、乾燥を
行なうことにより、ブラックトナーの母体となるトナー
粒子を得た。日立製作所製S−4500形電界放出形走
査型電子顕微鏡を用いて、トナーの5000倍の写真を
とり、その写真から、累積300個以上になるように粒
子径を測定し、数平均粒子径を算出したところ、8.3
0μmであった。更に、この結果から、個数平均粒子径
の標準偏差(S.D)をコンピュータを用いて算出し、
これより個数分布の変動係数を算出した。その結果、こ
のトナー粒子における変動係数は38.4%であった。
【0199】<少なくともケイ素化合物の重縮合物を含
む粒子から構成される被覆層の作成>上記で得た母体と
なるブラックトナー粒子0.9質量部をメタノール3.
5質量部に分散させた後、ケイ素化合物として、3.0
質量部のテトラエトキシシラン及び、0.5質量部のメ
チルトリメトキシシランを溶解し、更に40質量部のメ
タノールを添加した。次いで、この溶液を、28質量%
のNH4OH水溶液10質量部に対して100質量部の
メタノールを混合したアルカリ性の溶液中に滴下しなが
ら加え、室温にて12時間攪拌することによって、少な
くともケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成され
る膜をトナー粒子の表面に堆積させた。
【0200】次に、この反応系を50℃に加熱し、蒸発
物を冷却して、系外に取り除くことで系内のアンモニア
を除去し、その後、液量が加熱前と同程度になるように
メタノールを加え、更に、酢酸を徐々に加えていき、p
H2となるまで加え続けた。次いで、この系にジメチル
エトキシシラン0.2質量部を加えた後、30分間攪拌
してカップリング処理を行った後、濾過及び洗浄を繰り
返し、乾燥して本実施例のトナーを得た。得られたトナ
ーの粒径を前述の方法で測定したところ、数平均粒径は
8.65μmであった。このトナーの粒子表面を走査型
顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約
45nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察さ
れた。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡
写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成され
ていることが確認できた。
【0201】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は16.32
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
544倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は殆ど存在していなかった。更に、このトナー
を、5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した
後のトナー粒子表面のケイ素原子の存在比率は15.3
4質量%であった。従って、界面活性剤による洗浄前後
におけるトナーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少
率は6.00%であった。よって、上記で得たトナーの
粒子表面に形成されている被覆層は、粒状塊同士が固着
された状態の層であることを確認できた。
【0202】続いて、上記のトナー5質量部と、粒径4
0μmのフェライトコアにシリコーン樹脂をコートして
なるキャリア粒子95質量部とを混合することによって
2成分系現像剤を調製した。得られた2成分系現像剤の
トナーの帯電量を温度25℃、湿度30%Rhの環境下
で測定したところ、−32.46mC/kgであった。
【0203】更に、上記で得た2成分系現像剤を使用
し、温度25℃、湿度30%Rhの環境下で、実施例1
−1で用いたと同じキヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
以下の項目について以下の要領でトナーの性能評価を行
なった。同機により、3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を上記
の方法で測定したところ、−31.86mC/kgであ
り、耐久によっても安定した帯電量が保持されているこ
とが確認され、耐久後の画像も劣化は見られず、良好で
あった。その評価結果を表4に示した。
【0204】画像評価 (1)定着性 実施例1−1と同様にして評価した。その結果、粒子形
状は観察されず、良好に定着されていることが確認でき
た。評価結果を表4に示した。
【0205】(2)転写効率 実施例1−1と同様にして転写効率を算出した。その結
果、本実施例のトナーの転写効率は98.6%であり、
良好な状態で転写されていることが確認された。
【0206】(3)耐久試験後のトナーの粒子表面の観
察 実施例1−1と同様にして耐久試験後におけるトナーの
粒子表面の走査型顕微鏡写真観察を行なったところ、ト
ナー粒子表面少なくともケイ素化合物の重縮合物を含む
粒子から構成される膜は破損しておらず、耐久試験前の
トナーの粒子と同等の表面状態を保持していた。
【0207】更に上記と同様の評価を30℃、湿度80
%Rhの環境下で行ったところ、耐久初期のトナーの帯
電量は−32.22mC/kgであり、環境変化による
影響は少なかった。3万枚耐久後のトナーの帯電量は−
31.74mC/kgであり、高温高湿下においても、
耐久前後で帯電量の大きな減少は見られず、得られる画
像も安定しており、良好であった。
【0208】[実施例2−2]実施例2−1と同様の方
法で、ケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成され
た被覆層を設けた後、濾過及び洗浄を繰り返し、濾別し
た粒子を、アルコール40質量部に再分散し、実施例2
−1と同様の方法でカップリング処理をして、本実施例
のトナー粒子を得た。このトナーの粒径を前述の方法で
測定したところ、数平均粒径は8.45μmであった。
このトナー粒子を走査型顕微鏡写真で観察したところ、
該トナー粒子表面に微細な粒状凹凸を有する膜が観察さ
れた。更に、このトナー断面の透過型電子顕微鏡写真観
察からこのトナー表面に被覆層が形成されていることが
確認できた。更に、このトナー粒子の表面の走査型電子
顕微鏡観察から、表面の微細な粒の直径を測定すること
によって求めたトナー粒子表面の膜中粒子の数平均粒子
径は43nmであった。
【0209】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
粒子の表面におけるケイ素原子の存在比率は15.98
質量%であった。同様にして測定したトナー断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.02質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
799倍であり、トナー粒子内部にシラン化合物の重縮
合物は殆ど存在していなかった。
【0210】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在比率は15.39質量%であった。従っ
て、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の減少率は3.69%であった。よっ
て、上記で得たトナーの粒子表面に形成されている被覆
層は、粒状塊同士が固着された層であることが確認でき
た。
【0211】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−31.15mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−30.77mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。こ
れらの結果を表4に示した。
【0212】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
0.86mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−30.35mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。
【0213】[実施例2−3]実施例2−1と同様の方
法で、ケイ素化合物の重縮合物を含む粒子から構成され
た被覆層がトナー粒子表面に形成されたトナーを調製
し、被覆層形成後、十分に洗浄し、濾別及び乾燥してト
ナー粒子を単離した。次いで、ジメチルエトキシシラン
の25%メタノール溶液を調整し、上記の方法で単離し
て得たトナー50質量部に対して、10質量部の割合で
上記のメタノール溶液を吹き付けながら、ヘンシェルミ
キサーで20分間攪拌し、その後、流動乾燥してトナー
を調製した。このトナーの粒径を前述の方法で測定した
ところ、数平均粒径は8.82μmであった。このトナ
ーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したところ、該
トナーの粒子表面に約50nm直径の微細な粒状凹凸を
有する被覆層が観察された。更に、このトナーの粒子断
面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子表
面に被覆層が形成されていることが確認できた。
【0214】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は15.87
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
529倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は僅かであった。更に、このトナーを、5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒
子表面のケイ素原子の存在比率は15.28質量%であ
った。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は3.72
%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形
成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の
層であることが確認できた。
【0215】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−31.52mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−31.13mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0216】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
1.33mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−30.86mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0217】[実施例2−4]実施例2−1の製造方法
で、カップリング剤をチタンエトキサイドに変えた以外
は同様の方法にして、チタンカップリング剤で処理され
た、ケイ素を含む被覆層を有するトナーを得た。このト
ナーの粒径を前述の方法で測定したところ、数平均粒径
は8.69μmであった。このトナーの粒子表面を走査
型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に
約46nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察
された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微
鏡写真観察から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成
されていることが確認できた。
【0218】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は13.55
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
452倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は僅かであった。更に、このトナーを、5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒
子表面のケイ素原子の存在比率は12.56質量%であ
った。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は7.31
%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形
成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の
層であることが確認できた。
【0219】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−33.21mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−32.77mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0220】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
3.00mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−32.48mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0221】[実施例2−5]実施例2−1のトナーの
製造方法において、カップリング剤をアルミニウム(II
I)n−ブトキサイドに変えた以外は同様の方法で、ア
ルミニウムカップリング剤で処理された、ケイ素を含む
被覆層で処理されたトナーを得た。このトナーの粒径を
前述の方法で測定したところ、数平均粒径は8.74μ
mであった。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約48nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されているこ
とが確認できた。
【0222】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は12.54
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.02質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
627倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は僅かであった。更に、このトナーを、5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒
子表面のケイ素原子の存在比率は11.57質量%であ
った。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は7.74
%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形
成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の
層であることが確認できた。
【0223】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−33.25mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−32.90mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。更
に、同様の測定を、30℃、湿度80%Rhの環境下で
行ったところ、耐久初期の帯電量は−30.92mC/
kgと、環境変化による影響は少なかった。3万枚耐久
後の帯電量は−30.40mC/kgであり、高温高湿
下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少は見られず画像
も良好であった。これらの結果を表4に示した。
【0224】[実施例2−6]実施例2−1の製造方法
において、カップリング剤をメタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシランに変えた以外は同様の方法で、シ
ランカップリング処理された、ケイ素を含む被覆層で覆
われたトナーを得た。このトナーの粒径を前述の方法で
測定したところ、数平均粒径は8.69μmであった。
このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したと
ころ、該トナーの粒子表面に約48nm直径の微細な粒
状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このトナー
の粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナー
の粒子表面に被覆層が形成されていることが確認でき
た。
【0225】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は16.54
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
551倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は僅かであった。更に、このトナーを、5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒
子表面のケイ素原子の存在比率は15.67質量%であ
った。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は5.26
%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形
成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の
層であることが確認できた。
【0226】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−31.41mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−31.01mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0227】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
3.76mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−33.23mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0228】[実施例2−7]実施例2−1のカップリ
ング剤をヘキサメチルジシラザンに変えた以外は実施例
2−1と同様にして、目的のトナーを得た。このトナー
の粒径を前述の方法で測定したところ、数平均粒径は
8.82μmであった。このトナーの粒子表面を走査型
顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約
50nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察さ
れた。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡
写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成され
ていることが確認できた。
【0229】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は16.25
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
542倍であり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重
縮合物は僅かであった。更に、このトナーを、5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒
子表面のケイ素原子の存在比率は15.41質量%であ
った。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は5.17
%であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形
成されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の
層であることが確認できた。
【0230】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−32.11mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−31.69mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0231】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
1.89mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−31.43mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0232】[実施例2−8]カップリング剤としてジ
メチルエトキシシランを2.0質量部にした以外は実施
例2−1と同様の方法で、目的のトナーを得た。このト
ナーの粒径を前述の方法で測定したところ、数平均粒径
は8.99μmであった。このトナーの粒子表面を走査
型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に
約54nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察
された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微
鏡写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成さ
れていることが確認できた。
【0233】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は17.02
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.02質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
851倍であり、トナーの粒子内部にもケイ素化合物の
重縮合物が存在していることが確認された。
【0234】更に、このトナーを、5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒子表面のケ
イ素原子の存在比率は16.24質量%であった。従っ
て、界面活性剤による洗浄前後におけるトナーの粒子表
面に存在するケイ素原子の減少率は4.58%であっ
た。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形成されて
いる被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の層である
ことが確認できた。
【0235】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−33.24mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−32.65mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0236】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
2.98mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−32.47mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0237】[実施例2−9]カップリング剤としてジ
メチルエトキシシランを0.1質量部にした以外は実施
例2−1と同様の方法で、目的のトナーを得た。このト
ナーの粒径を前述の方法で測定したところ、数平均粒径
は8.55μmであった。このトナーの粒子表面を走査
型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に
約44nm直径のnmオーダーの粒状凹凸を有する被覆
層が観察された。更に、このトナーの粒子断面の透過型
電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層
が形成されていることが確認できた。
【0238】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は15.35
質量%であった。同様にして、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在比率は0.02質量%であった。よ
って、トナーの粒子表面におけるケイ素原子の存在比率
は、トナーの粒子断面におけるケイ素原子の存在比率の
768倍であった。更に、このトナーを、5%ドデシル
ベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー粒子表
面のケイ素原子の存在比率は14.46質量%であっ
た。従って、界面活性剤による洗浄前後におけるトナー
の粒子表面に存在するケイ素原子の減少率は5.80%
であった。よって、上記で得たトナーの粒子表面に形成
されている被覆層は、粒状塊同士が固着された状態の層
であることが確認できた。
【0239】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−32.54mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−31.10mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後の画像も劣化が見られず、良好であった。
【0240】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−3
0.89mC/kgと、環境変化による影響は少なかっ
た。3万枚耐久後の帯電量は−30.40mC/kgで
あり、高温高湿下でも、耐久前後で帯電量の大きな減少
は見られず画像も良好であった。これらの結果を表4に
示した。
【0241】[比較例2−1]実施例2−1で母体とし
て用いたブラックのトナー粒子を、表面に被覆層を形成
することなくそのままの状態で利用して、実施例2−1
と同様にして2成分現像剤を調製した。続いて、得られ
たトナーを使用し、実施例2−1と同様の方法で2成分
系現像剤を調製し、この2成分系現像剤のトナーの帯電
量を25℃、湿度30%Rhの環境下で測定したところ
−10.40mC/kgであった。更に、この現像剤を
使用し、25℃、湿度30%Rhの環境下で、キヤノン
製フルカラーレーザーコピア複写機CLC700の改造
機を用いて画像を形成し、実施例2−1と同様の3万枚
の耐久試験を行なった。この耐久試験後の2成分系現像
剤のトナーの帯電量を測定したところ、−8.95mC
/kgであり、耐久後の帯電量はやや減少していた。
【0242】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−
5.24mC/kgと、25℃、湿度30%Rhの環境
下における初期帯電量に比べ低い値であり、帯電量の環
境変動が観察された。3万枚耐久後の帯電量は−3.3
2mC/kgであり、高温高湿下においても、耐久によ
る耐電量の減少が見られた。これらの結果を表4に示し
た。
【0243】[比較例2−2]実施例2−1で母体とし
て用いたブラックのトナー粒子100質量部に対して、
重量平均粒径40nmの疎水化シリカ微粉体5質量部を
添加し、ヘンシェルミキサーで混合することによってシ
リカ微粉末を流動化剤として外添してなるトナーを得
た。このトナーの粒径を前述の方法で測定したところ、
重量平均粒径は8.33μmであった。このトナーを走
査型顕微鏡写真で観察したところ、トナーの粒子表面に
粒状物が観察されたものの、粒子−粒子間に多数の間隙
が存在しており、膜状物とはなっていなかった。更に、
このトナー断面の透過型電子顕微鏡写真観察からは、ト
ナー粒子表面に所々粒子の存在や連続定な層が確認でき
るものの、連続的な層は確認されなかった。
【0244】更に、EPMAにより求めた上記のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在比率は0.45質
量%であった。同様にして、トナーの粒子断面における
ケイ素原子の存在比率は0.00質量%であった。更
に、このトナーを、5%ドデシルベンゼンスルホン酸水
溶液で洗浄した後のトナー粒子表面のケイ素原子の存在
比率は0.30質量%であった。従って、界面活性剤に
よる洗浄前後におけるトナーの粒子表面に存在するケイ
素原子の減少率は33.33%であった。よって、この
トナーは界面活性剤洗浄によるケイ素の減少が多いた
め、固着層とは認められなかった。
【0245】続いて、得られたトナーを使用し、実施例
2−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2
成分系現像剤のトナーの帯電量を25℃、湿度30%R
hの環境下で測定したところ−29.80mC/kgで
あった。更に、この現像剤を使用し、25℃、湿度30
%Rhの環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピ
ア複写機CLC700の改造機を用いて画像を形成し、
実施例2−1と同様の3万枚の耐久試験を行なった。こ
の耐久試験後の2成分系現像剤のトナーの帯電量を測定
したところ、−26.40mC/kgであり、耐久によ
っても安定した帯電量が保持されていることが確認され
た。耐久後帯電量は若干減少していた。
【0246】更に、同様の測定を、30℃、湿度80%
Rhの環境下で行ったところ、耐久初期の帯電量は−1
9.45mC/kgと、25℃、湿度30%Rhの環境
下における初期帯電量に比べ低い値であり、帯電量の環
境変動が観察された。。3万枚耐久後の帯電量は−1
7.23mC/kgであり、高温高湿下においても、同
様に耐久による耐電量の減少が見られた。これらの結果
を表4に示した。
【0247】表3に、実施例2−1〜2−9及び比較例
2−1、2−2におけるトナー粒子及びトナーの特性を
まとめて示した。表4に、実施例2−1〜2−9及び比
較例2−1、2−2におけるトナーを用いた現像剤を使
用した場合における画像評価試験の結果をまとめて示し
た。
【0248】
【表3】
【0249】
【表4】
【0250】[実施例3−1] <母体となるトナー粒子の作成>先ず、以下のようにし
て母体となるトナー粒子を作成した。 ・メタノール 95質量部 ・スチレン 40質量部 ・ポリビニルピロリドン 5質量部 ・n−ブチルアクリレート 10質量部 ・2,2−アゾビスイソブチロニトリル 2質量部 ・カーボンブラック 2質量部
【0251】上記の材料を充分に撹拌して、溶解、分散
させた後、窒素置換した反応容器に入れ、窒素気流下で
65℃に加熱し、20.0時間反応させた。得られた反
応物を濾過し、濾過物をメタノール希釈し、充分に撹拌
した後、これを再び濾過した。この希釈洗浄の操作を合
計3回繰り返した。次に、得られた濾過物を真空乾燥機
で充分に乾燥し、ブラックトナー粒子を得た。得られた
ブラックトナー粒子の数平均粒子径は5.04μmであ
り、標準偏差は0.61であった。よって、このブラッ
クトナー粒子の個数分布の変動係数は12.10%であ
った。
【0252】<少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同
士が固着されることによって形成される被覆層の作成方
法>上記の方法で得た母体となるブラックトナー粒子
0.9質量部を、メタノール40質量部に分散せしめ、
その後、2.5質量部のテトラエトキシシランを溶解さ
せた。次いで、この溶液を、28%NH4OH水溶液1
0質量部に対して100質量部のメタノールを添加した
混合溶液中に滴下しながら加え、室温で48時間攪拌す
ることにより、ケイ素化合物の縮合物膜をトナー粒子表
面に堆積させた。反応終了後、得られた粒子を、精製
水、次いでメタノールで洗浄した後、粒子を濾別、乾燥
することにより、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊
同士が固着されることによって形成される被覆層で被覆
された本実施例のブラックトナーを得た。
【0253】得られたトナーについて粒度分布を測定し
たところ、数平均粒子径が5.45μmであり、標準偏
差が1.09、及び、個数分布の変動係数が20.00
%であり、小粒径のシャープな粒度分布を有するトナー
であった。このトナーの粒子表面を走査型電子顕微鏡写
真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm
直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成されている
ことが確認できた。
【0254】更に、EPMAにより、前述の方法で求め
たトナー表面におけるケイ素原子の存在比率は、10.
70質量%であった。同様にして求めたトナー断面にお
けるケイ素原子の存在比率は0.03質量%であった。
よって、トナー断面のケイ素原子に対するトナー表面の
ケイ素原子の比率は319.05であり、トナーの粒子
内部にケイ素化合物の重縮合物は殆ど存在していないこ
とがわかった。更に、このトナーを5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は8.54質量%であった。
従って界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存
在するシリカの変化率は20.14%であった。よっ
て、このトナーには、粒状塊同士が固着されることによ
って形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0255】上記のようにして得られたトナー5質量部
と、粒径が40μmのフェライトコアにシリコーン樹脂
をコートしたキャリア95質量部とを混合して2成分系
現像剤を調製した。この2成分系現像剤の帯電量を実施
例1−1と同様にして測定したところ、−46.36m
C/kgであった。
【0256】[評価]上記で得られた2成分系現像剤に
ついて、以下の要領で、定着性、ドット再現性及び耐久
性の各評価を行った。 (定着性)OHPシート上にベタ画像のコピーを行い、
得られた画像の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡を用
いて1000倍でその画像を観察し、トナーの粒子形状
が残存しているかどうかで定着性を評価した。その結
果、観察した画像上にはトナーの粒子形状の存在は観察
されなかった。
【0257】(ドット再現性)25℃、湿度30%の環
境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機C
LC700を、プロセススピード200mm/sec、
25℃/30%Rh環境下における転写電流を40μA
になるように設定し、更に露光光源として、波長が68
0nmで出力が35mWである半導体レーザーを用いる
よう改造した改造機を用いてオリジナル画像のコピーを
行った。そして、被転写紙に転写する前のドラム上のト
ナー画像について顕微鏡観察を行い、ドット再現性を評
価した。この結果、トナー画像のドット形状は全体に均
一に再現されており、かぶりや飛び散りもなく、ドット
再現性に優れていた。
【0258】(耐久性)続いて、上記のドット再現性試
験に用いたと同様の装置を用いて、25℃、湿度30%
の環境下で10万枚の画出しを行った。この耐久後にお
けるトナーの帯電量、及び、ドラム上に形成されたトナ
ー画像について観察し、ドット再現性を評価した。この
結果、帯電量は−43.26mC/kgであり、耐久前
よりもやや帯電量が減少する傾向にあったが、実用上問
題のない程度の減少度であった。10万枚目の画像形成
後にドラム上のドットを評価したところ、耐久初期にお
けるよりもやや飛び散りが増加したものの、ドット形状
は均一であり、ドット再現性に優れた画像が得られた。
【0259】[実施例3−2]実施例3−1で用いたの
と同様のブラックトナー粒子を母体として用い、実施例
3−1で使用した金属化合物の縮合物膜の構成成分であ
るテトラエトキシシラン2.5質量部を、テトラエトキ
シシラン2.0質量部、メチルトリエトキシシラン0.
5質量部に代えた以外は実施例3−1と同様にして、本
実施例のブラックトナーを作成した。得られたトナーの
数平均粒子径は5.31μmであり、標準偏差は0.6
3であり、個数分布の変動係数は11.86%であっ
た。得られたトナーの粒子表面を走査型電子顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成されている
ことが確認できた。
【0260】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面におけるケイ素原子の存在比率は4.21質
量%であった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素
原子の存在比率は0.06質量%であった。よって、ト
ナー断面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子
の比率は74.69であり、トナーの粒子内部にケイ素
化合物の重縮合物は殆ど存在していなかった。
【0261】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は3.20質量%であった。従
って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に
存在するシリカの変化率は24.15%であった。よっ
て、このトナーの粒子表面には、粒状塊同士が固着され
ることによって形成される被覆層が形成されていること
が確認された。上記の方法で得られたブラックトナーを
用いて、実施例3−1と同様の方法で2成分系現像剤を
作製し、実施例3−1と同様にして評価を行ったとこ
ろ、以下の結果を得た。
【0262】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−47.96mC/kgであった。
【0263】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用いて1000倍でその画像を観察し、トナーの
粒子形状が残存しているかどうかで定着性を評価した。
その結果、観察した画像上にはトナーの粒子形状の存在
は観察されなかった。
【0264】(ドット再現性)ドラム上に形成されたト
ナー画像のドット形状は均一であり、かぶりや、飛び散
りもなく、高いドット再現性を示した。
【0265】(耐久性)耐久後の帯電量は−46.69
mC/kgであり、帯電量の減少は僅かであった。10
万枚目の画像形成後にドラム上のドットを評価したとこ
ろ、耐久初期におけるのと同等のドット再現性を示して
いた。
【0266】[実施例3−3]ポリビニルアルコール
0.02質量部を、エタノール/水=1:1混合溶液2
0.0質量部中に溶解し、これに実施例3−1で母体と
して用いたのと同様のブラックトナー粒子0.9質量部
を分散せしめ、次いで、3−(メタクリルオキシプロピ
ル)トリメトキシシラン5質量部を溶解させた。その
後、水120.0質量部を徐々に滴下し、滴下終了後、
5時間攪拌させることにより、上記アルコキシシランを
ブラックトナー粒子に膨潤せしめた。次いで、系内に、
28%NH4OH溶液を20.0質量部加え、12時間
室温にて攪拌することによってゾルゲル反応を行った。
反応終了後、得られたブラックトナーをエタノールで洗
浄することにより、粒子内部の未反応ケイ素化合物を洗
浄、濾別し、その後、乾燥して本実施例のブラックトナ
ーを得た。
【0267】得られたトナーの数平均粒子径は5.43
μmであり、標準偏差は0.77であり、個数分布の変
動係数は14.48%であった。このトナーの粒子表面
を走査型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子
表面に約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層
が観察された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電
子顕微鏡写真観察から、このトナーの粒子表面に被覆層
が形成されていることが確認できた。
【0268】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面におけるケイ素原子の存在比率は5.82質
量%であった。同様の方法で求めたトナー断面における
ケイ素原子の存在比率は0.44質量%であった。よっ
て、トナー断面のケイ素原子の存在量に対するトナー表
面のケイ素原子の比率は13.13であり、少なくとも
ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることにより
形成される被覆層は、トナー表面に形成されていること
が確認できた。
【0269】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後、トナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量を測定したところ、4.53質
量%であった。従って、界面活性剤洗浄前後におけるト
ナーの粒子表面に存在するシリカの変化率は22.12
%であった。よって、このトナーの粒子表面には、粒状
塊同士が固着されることによって形成される被覆層が形
成されていることが確認できた。上記の方法で得られた
ブラックトナーを用いて、実施例3−1と同様の方法で
2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同様にして評
価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0270】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−45.86mC/kgであった。
【0271】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用いて1000倍でその画像を観察し、トナーの
粒子形状が残存しているかどうかで定着性を評価した。
その結果、粒子形状は一部観察されたものの、全体的に
は平滑な表面であった。
【0272】(ドット再現性)ドット形状は均一であ
り、かぶりや飛び散りもなく、充分なドット再現性を示
した。
【0273】(耐久性)耐久後の帯電量は−44.48
mC/kgであり、帯電量の減少は僅かであった。10
万枚後のドラム上のトナー像を評価したところ、耐久前
と同等のドット再現性を示していた。
【0274】[実施例3−4]0.3質量%のドデシル
スルホン酸ナトリウム水溶液120.0質量部にジブチ
ルフタレート4質量部を超音波ホモジナイザーを用いて
微分散し、ジブチルフタレート乳化液を調製した。次い
で、実施例3−1で母体として用いたブラックトナー粒
子0.9質量部を、0.3質量%のドデシルスルホン酸
ナトリウム4.0質量部に分散し、トナー粒子分散液を
調製した。その後、ジブチルフタレート分散液と、トナ
ー粒子分散液を混合し、室温で2時間攪拌した。次い
で、0.3質量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液
に3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラ
ンを超音波ホモジナイザーを用いて微分散させた分散液
をトナー分散液に投入し、4時間室温で攪拌させた。そ
の後、30質量%のNH4OH水溶液10質量部を投入
し、室温で12時間攪拌し、ゾルゲル反応を行った。反
応終了後、系内に多量のエタノールを投入し、粒子内部
の未反応3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキ
シシラン及びジブチルフタレートを除去した。次いで得
られたトナーをエタノールで再度洗浄した後、精製水で
洗浄し、濾別、乾燥後ブラックトナーを得た。
【0275】得られたトナーの粒径を測定したところ、
数平均粒子径が5.21μmであり、標準偏差は0.5
4であり、個数分布の変動係数は10.36%であっ
た。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察し
たところ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細
な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このト
ナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのト
ナーの粒子表面に被覆層が形成されていることが確認さ
れた。
【0276】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は6.23質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.30質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子の比率
は20.75であり、少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることにより形成される被覆層はト
ナー表面に形成されていることが確認された。更に、こ
のトナーを5%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗
浄した後のトナーの粒子表面のケイ素原子の存在量は
5.58%であった。従って、界面活性剤洗浄前後によ
るトナーの粒子表面に存在するシリカの変化率は10.
46%であった。よってこのトナーは粒状塊同士が固着
されることによって形成される被覆層が形成されている
ことが確認された。上記の方法で得られたブラックトナ
ーを用いて、実施例3−1と同様の方法で2成分系現像
剤を作製し、実施例3−1と同様にして評価を行ったと
ころ、以下の結果を得た。
【0277】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。
【0278】(初期帯電量)実施例3−1と同様の方法
で帯電量を測定したところ、−47.55mC/kgで
あった。
【0279】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は一部観察されたものの、全体的には平滑な表面であっ
た。
【0280】(ドット再現性)ドット形状は均一で、か
ぶり飛び散りもなく、ドット再現性に優れていた。
【0281】(耐久性)耐久後の帯電量は−46.87
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像を評価したところ、耐久前
と同等のドット再現性を示した。
【0282】[実施例3−5]酢酸イソペンチル2質量
部と3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシ
ラン4質量部を混合した溶液を、0.3質量%ドデシル
スルホン酸ナトリウム水溶液30質量部に投入した後、
超音波ホモジナイザーを用いて酢酸イソペンチル及びメ
チルトリエトキシシラン分散液を調製した。次いで、実
施例3−1で母体として用いたブラックトナー粒子0.
9質量部を0.3質量%ドデシルスルホン酸ナトリウム
水溶液30質量部に分散し、前述の酢酸イソペンチル及
びメチルトリエトキシシラン分散液を投入し、室温で2
時間攪拌した。次いで、28質量%NH4OH水溶液5
質量部混合し、室温で12時間攪拌することによりゾル
ゲル反応を行った。次いで、系内に多量のエタノールを
投入し、未反応のメチルトリエトキシシラン及び酢酸イ
ソペンチルをトナー粒子内部より除去した。再度エタノ
ールで粒子を洗浄した後、精製水で洗浄し、濾別、乾燥
することによりブラックトナーを得た。
【0283】得られたトナーの粒径を測定したところ、
数平均粒子径が5.20μmであり、標準偏差は0.6
9であり、個数分布の変動係数は13.27%であっ
た。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察し
たところ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細
な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このト
ナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察から、この
トナーの粒子表面に被覆層が形成されていることが確認
できた。
【0284】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は5.99質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.39質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子の比率
は15.36であり、少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることにより形成される被覆層はト
ナー表面に形成されていることが確認された。
【0285】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は4.30%であった。従って、界面
活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在するシリ
カの変化率は28.22%であった。よってこのトナー
は粒状塊同士が固着されることによって形成される被覆
層が形成されていることが確認された。上記の方法で得
られたブラックトナーを用いて、実施例3−1と同様の
方法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同様に
して評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0286】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−47.59mC/kgであった。
【0287】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は一部観察されたものの、全体的には平滑な表面であっ
た。
【0288】(ドット再現性)ドット形状も均一で、か
ぶり飛び散りもなく、ドット再現性に優れていた。
【0289】(耐久性)耐久後の帯電量は−45.69
mC/kgであり、帯電量の減少は僅かであった。10
万枚後のドラム上トナー像を評価したところ耐久前と同
等のドット再現性を示した。
【0290】[実施例3−6]実施例3−1のトナーの
調製の際に、反応系内に5質量部の3−(メタクリルオ
キシプロピル)トリメトキシシランを溶解する以外は同
様の方法にて重合を行った後に、系内にNH4OH水溶
液を加えてアルカリ性にし、その後多量のエタノールで
洗浄することにより、粒子内部の未反応の3−(メタク
リルオキシプロピル)トリメトキシシランを除去し、次
いで濾別、乾燥することにより、ブラックトナーを得
た。
【0291】得られたトナーの粒径を測定したところ、
数平均粒子径が5.68μmであり、標準偏差は0.9
8μmであり、個数分布の変動係数は17.25%であ
った。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察
したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微
細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、この
トナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこの
トナーの粒子表面に被覆層が形成されていることが確認
された。
【0292】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は4.42質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.12質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子の比率
は37.94であり、少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることにより形成される被覆層はト
ナー表面に形成されていることが確認された。
【0293】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は3.38質量%であった。従って、
界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在する
シリカの変化率は23.56%であった。よってこのト
ナーは粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層が形成されていることが確認された。上記の方法
で得られたブラックトナーを用いて、実施例3−1と同
様の方法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同
様にして評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0294】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。
【0295】(初期帯電量)実施例3−1と同様の方法
で帯電量を測定したところ、−47.59mC/kgで
あった。
【0296】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は観察されなった。
【0297】(ドット再現性)ドットの形状は均一で、
かぶり飛び散りもなく、ドット再現性に優れていた。
【0298】(耐久性)耐久後の帯電量は−46.32
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像を評価したところ耐久前と
同等のドット再現性を示した。
【0299】[実施例3−7]実施例3−3で行なった
トナーの製造方法において、被覆層を形成するためのゾ
ルゲル反応の後に行なう洗浄を水のみで行なうことによ
り、粒子内部の未反応アルコキシドを粒子内部に内存さ
せたまま、再度水中に分散し、50℃に加熱すること
で、粒子内部までゾルゲル反応を進行させた以外は、実
施例3−3と同様にして、少なくともケイ素化合物を含
む粒状塊同士が固着されることによって形成される被覆
層を有するブラックトナーを作成した。
【0300】得られたトナーの粒径は、数平均粒子径が
6.89μmであり、標準偏差は1.05μmであり、
個数分布の変動係数は15.24%であった。このトナ
ーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察したところ、該
トナーの粒子表面に約40nm直径の微細な粒状凹凸を
有する被覆層が観察された。更に、このトナーの粒子断
面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子表
面に被覆層が形成されていることが確認された。
【0301】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は6.32質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は5.45質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子の比率に対するトナー表面のケイ素原子
の比率は1.16であり、ケイ素化合物の重縮合物がト
ナーの比較的内部にまで存在していることがわかった。
【0302】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は4.99質量%であった。従って、
界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在する
シリカの変化率は21.11%であった。よってこのト
ナーは粒状塊同士が固着されることによって形成される
被覆層が形成されていることが確認された。上記の方法
で得られたブラックトナーを用いて、実施例3−1と同
様の方法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同
様にして評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0303】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。
【0304】(初期帯電量)実施例3−1と同様の方法
で帯電量を測定したところ、−47.55mC/kgで
あった。
【0305】(定着性)粒子形状がやや多めに観察され
たが、かろうじて問題ない程度であった。
【0306】(ドット再現性)ドット形状は均一でかぶ
り飛び散りもなく、ドット再現性に優れていた。
【0307】(耐久性)耐久後の帯電量は−46.98
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像を評価したところ耐久前と
同等のドット再現性を示した。
【0308】[実施例3−8]実施例3−2の製造方法
において、テトラエトキシシラン及びメチルトリエトキ
シシランの量を夫々、10.0質量部、5質量部にした
以外は同様にしてブラックトナーを得た。得られた粒子
の数平均粒子径が6.55μmであり、標準偏差は0.
85であり、個数分布の変動係数は12.98%であっ
た。このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真で観察し
たところ、該トナーの粒子表面に約40nm直径の微細
な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更に、このト
ナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察からこのト
ナーの粒子表面に被覆層が形成されていることが確認さ
れた。
【0309】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は20.16質量%
であった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子
の存在比率は0.19質量%であった。よって、トナー
断面のケイ素原子の比率に対するトナー表面のケイ素原
子の比率は107.91であり、少なくともケイ素化合
物を含む粒状塊同士が固着されることにより形成される
被覆層はトナー表面に形成されていることが確認され
た。更に、このトナーを5%ドデシルベンゼンスルホン
酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケイ素原子
の存在量は16.09質量%であった。従って、界面活
性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在するシリカ
の変化率は20.21%であった。よってこのトナーは
粒状塊同士が固着されることによって形成される被覆層
が形成されていることが確認された。上記の方法で得ら
れたブラックトナーを用いて、実施例3−1と同様の方
法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同様にし
て評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0310】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−45.23mC/kgであった。
【0311】(定着性)粒子形状が多く観察されたが、
かろうじて問題ない程度であった。
【0312】(ドット再現性)ドット形状は均一であ
り、かぶり飛び散りもなく、ドット再現性に優れてい
た。
【0313】(耐久性)耐久後の帯電量は−45.24
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像を評価したところ耐久前と
同等のドット再現性を示した。
【0314】[実施例3−9]実施例3−2のトナーの
製造方法において用いたテトラエトキシシラン及びメチ
ルトリエトキシシランの量を、夫々、テトラエトキシラ
ン0.9質量部、メチルトリエトキシシラン0.3質量
部に代えた以外は同様にして、ブラックトナーを作成し
た。得られたトナーは、数平均粒子径が5.33μmで
あり、標準偏差は0.99であり、個数分布の変動係数
は18.57%であった。このトナーの粒子表面を走査
型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に
約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察
された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微
鏡写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成さ
れていることが確認された。
【0315】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は1.01質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.01質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子の比率に対するトナー表面のケイ素原子
の比率は92.14であり、少なくともケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着されることにより形成される被覆
層はトナー表面に形成されていることが確認された。
【0316】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は0.92質量%であった。従って界
面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在するシ
リカの変化率は9.24%であった。よってこのトナー
は粒状塊同士が固着されることによって形成される被覆
層が形成されていることが確認された。上記の方法で得
られたブラックトナーを用いて、実施例3−1と同様の
方法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−1と同様に
して評価を行ったところ、以下の結果を得た。
【0317】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−40.21mC/kgであった。
【0318】(定着性)粒子形状は確認されず、定着性
は良好であった。
【0319】(ドット再現性)ドット形状は均一であ
り、かぶり飛び散りもなく、ドット再現性に優れてい
た。
【0320】(耐久性)耐久後の帯電量は−36.02
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像を評価したところ耐久前よ
りややかぶりや飛び散りは増加したが、ドット形状は均
一であり、ドット再現性は良好であった。
【0321】[実施例3−10]実施例3−1で行なっ
たトナーの製造方法において、重合終了後に反応系を室
温まで冷却した後、反応溶液20質量部に対し、メタノ
ール20質量部を追加した溶液に、テトラエトキシシラ
ン28質量部、及びメチルトリエトキシシラン7質量部
を溶解させ、この溶液を、28%NH4OH水溶液10
質量部に対し100質量部のメタノールを添加した溶液
中に滴下しながら加え、室温で48時間攪拌することに
よりケイ素化合物の縮合物膜をトナー粒子に堆積させ
た。反応終了後得られた粒子を精製水、次いでメタノー
ルで洗浄した後、粒子を濾別、乾燥することにより、少
なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されるこ
とによって形成される被覆層で被覆されたトナーを得
た。
【0322】得られた粒子の数平均粒子径が5.29μ
mであり、標準偏差は0.71であり、個数分布の変動
係数は13.42%であった。このトナーの粒子表面を
走査型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表
面に約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が
観察された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子
顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形
成されていることが確認できた。
【0323】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は4.15質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.05質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子の比率
は83.00であり、少なくともケイ素化合物を含む粒
状塊同士が固着されることにより形成される被覆層はト
ナー表面に形成されていることが確認された。
【0324】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は3.23質量%であった。従って、
界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在する
シリカの変化率は22.14%であった。よって、この
トナーは粒状塊同士が固着されることによって形成され
る被覆層が形成されていることが確認された。このトナ
ーを1成分系現像剤として用い、市販の電子写真複写機
FC−2(キヤノン社製)改造機に投入して、温度25
℃、湿度30%Rhの環境下で実施例3−1と同様の評
価を行っところ、以下の結果を得た。
【0325】[評価]上記で得られた1成分系現像剤に
ついて、実施例3−1の場合と同様の要領で各評価を行
った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−47.89μq/であった。
【0326】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は観察されなかった。
【0327】(ドット再現性)ドット形状は均一であ
り、かぶり飛び散りもなくドット再現性に優れていた。
【0328】(耐久性)耐久後の帯電量は−45.14
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後の画像を評価したところ耐久前と同等のドット
再現性を示していた。
【0329】[実施例3−11]母体となるトナー粒子
を以下の要領で作成する以外は実施例3−2と同様にし
て、ブラックトナーを作成した。 <母体となるトナー粒子の作成>高速撹拌装置TK−ホ
モミキサーを備えた反応容器に、イオン交換水890質
量部とポリビニルアルコール95質量部を添加し、回転
数を3600rpmに調整し、55℃に加熱せしめた。 ・スチレン単量体 85質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 34質量部 ・カーボンブラック 10質量部 上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、
重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)3質量部を添加し、この分散物を前
述の分散媒体中に投入し。回転数を維持しつつ、10分
間造粒した。その後、50rpm、55℃1時間、65
℃で4時間、更に80℃で5時間夫々重合を行った。
【0330】重合終了後、スラリーを冷却し、精製水で
洗浄を繰り返すことで分散剤を除去した。更に洗浄し、
乾燥することで、母体となるブラックトナー粒子を得
た。上記の方法で得られたトナー粒子は、分級を繰り返
すことで、数平均粒子径10.24μmであり、標準偏
差1.20であり、個数分布の変動係数が11.71%
のトナー粒子として得た。このトナー粒子を母体として
用い、実施例3−2と同様の方法で、該トナー粒子に、
少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着するこ
とによって形成される被覆層を設け、ブラックトナーを
作成した。
【0331】得られたトナーの個数平均粒子径は、1
0.60μmであり、標準偏差は1.38であり、個数
分布の変動係数は13.03%であり、粒径の比較的大
きなトナーとなった。このトナーの粒子表面を走査型顕
微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約4
0nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察され
た。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写
真観察からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されて
いることが確認された
【0332】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は13.05質量%
であった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子
の存在比率は0.04質量%であった。よって、トナー
断面のケイ素原子に対するトナー表面のケイ素原子の比
率は326.25であった。更に、このトナーを5%ド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー
の粒子表面のケイ素原子の存在量は10.38%であっ
た。従って、界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表
面に存在するシリカの変化率は20.45%であった。
よって、このトナーは粒状塊同士が固着されることによ
って形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0333】上記の方法で得られたトナーを用いて、実
施例3−1と同様の方法で2成分系現像剤を作製し、実
施例3−1と同様にして評価を行ったところ、以下の結
果を得た。
【0334】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−42.14mC/kgであった。
【0335】(定着性)粒子は観察されず、良好な定着
性を示した。
【0336】(ドット再現性)飛び散り、かぶりが若干
生じており、ドットは所々つながっている部分がみら
れ、形状は均一ではなかったが、画質としては問題なか
った。
【0337】(耐久性)耐久後の帯電量は−41.53
mC/kgであり、帯電量の減少は僅かであった。10
万枚後のドラム上トナー像は耐久前と同程度であった。
【0338】[実施例3−12]実施例3−3で母体と
して用いたトナー粒子の分級条件を変更した以外は同様
にして、ブラックトナーを作成した。得られたトナーの
数平均粒子径は6.59μmであり、標準偏差は1.8
9であり、個数分布の変動係数は28.68%であっ
た。上記の方法で得られたトナーを用いて、実施例3−
1と同様の方法で2成分系現像剤を作製し、実施例3−
1と同様にして評価を行ったところ、以下の結果を得
た。
【0339】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−42.01mC/kgであった。
【0340】(定着性)粒子形状は観察されず、良好な
定着性を示した。
【0341】(ドット再現性)ドット間に飛び散り、か
ぶりが若干発生しており、ドット形状が均一ではなく、
画質はやや劣るものの、実質上問題はなかった。
【0342】(耐久性)耐久後の帯電量は−41.25
mC/kgであり、帯電量の減少はわずかであった。1
0万枚後のドラム上トナー像は耐久前と同等であった。
【0343】[比較例3−1]実施例3−1で母体とし
て用いた重合後のブラックトナー粒子を、少なくともケ
イ素化合物を含む粒状塊同士が固着することによって形
成される被覆層を施すことなしに使用し、実施例3−1
と同様にして2成分系現像剤を調製した。この現像剤評
価を実施例3−1と同様にして評価した。
【0344】[評価]上記で得られた2成分系現像剤に
ついて、実施例3−1の場合と同様の要領で各評価を行
った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−7.56mC/kgであった。
【0345】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は観察されなった。
【0346】(ドット再現性)画像濃度が極めて薄く、
ドットは所々消えており、ドットは充分に再現されてい
なかった。
【0347】(耐久性)10枚の耐久を行おうとしたと
ころ、耐久3千枚目でトナー同士が融着を起こし、耐久
を進めることができなかった。
【0348】[比較例3−2]実施例3−6において、
3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン
をテトラエトキシシランに代え、NH4OHを加えない
ことでテトラエトキシシランの加水分解、重縮合反応を
起こりにくくした以外は同様の方法でブラックトナーを
得た。得られたトナーの数平均粒子径は5.10μmで
あり、標準偏差は0.79であり、個数分布の変動係数
は15.49%であった。
【0349】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面には所々粒状物
が確認されるものの、個々の粒子は互いに離れて存在し
ており、被覆層の形態にはなっていなかった。更に、こ
のトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察も同様
で、被覆層は確認できなかった。これはおそらく、アル
カリ処理をしなかったため、ケイ素化合物の加水分解反
応が進まず、被覆層を形成するのに十分な重縮合物が形
成されなかったためと思われる。
【0350】更に、EPMAにより前述の方法で求めた
トナー表面のケイ素原子の存在比率は0.03質量%で
あった。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の
存在比率は0.01質量%であった。よって、トナー断
面のケイ素原子の比率に対するトナー表面のケイ素原子
の比率は3.00であった。更に、このトナーを5%ド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー
の粒子表面のケイ素原子の存在量は0.02質量%であ
った。従って、界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子
表面に存在するシリカの変化率は33.33%であり、
このトナーには十分な被覆層を形成しているとは判断で
きなかった。上記の方法で得られたトナーを用いて、実
施例3−1と同様の方法で2成分系現像剤を作製し、実
施例3−1と同様にして評価を行ったところ、以下の結
果を得た。
【0351】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−10.25mC/kgと低い帯電量で
あった。
【0352】(定着性)OHPシート上にベタ画像のコ
ピーを行い、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕
微鏡を用い、1000倍で観察し、トナーの粒子形状が
残存しているかどうかを評価した。その結果、粒子形状
は観察されなった。
【0353】(ドット再現性)全体的に画像濃度が薄
く、ドットも所々消えていた。
【0354】(耐久性)10万枚の耐久試験を行おうと
したところ、耐久5千枚目で、トナーが現像器内で融着
を起こし、現像困難となった。これは、本実施例のトナ
ーではケイ素化合物の被覆層が形成されなかったためで
あると思われる。
【0355】[比較例3−3]実施例3−2で母体とし
て用いたブラックトナー粒子100質量部に対して、平
均粒径40nmの疎水化シリカ粒子を5質量部混合し、
ヘンシェルミキサーで混合することにより、シリカ微粒
子を上記トナー粒子表面に外添し、ブラックトナーを得
た。このトナーの粒子径を測定したところ、数平均粒子
径が5.04μmであり、標準偏差が0.98μmであ
り、個数分布の変動係数が19.44%であった。
【0356】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒子の存在が確認されたが、粒子は個々に存
在しており、被覆層を形成してはいなかった。このトナ
ーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察も同様の結果
であった。更に、EPMAにより前述の方法で求めたト
ナー表面のケイ素原子の存在比率は0.54質量%であ
った。同様に求めたトナー断面におけるケイ素原子の存
在比率は0.00質量%であった。
【0357】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面のケ
イ素原子の存在量は0.38質量%であった。従って、
界面活性剤洗浄前後によるトナーの粒子表面に存在する
シリカの変化率は30.18%であった。この洗浄によ
るケイ素濃度の変化率は少なくともケイ素化合物を含む
粒状塊同士が固着することによって形成される被覆層に
比べ大きいものとなった。上記の方法で得られたトナー
を用いて、実施例3−1と同様の方法で2成分系現像剤
を作製し、実施例3−1と同様にして評価を行ったとこ
ろ、以下の結果を得た。
【0358】[評価]上記で得られたトナー及び2成分
系現像剤について、実施例3−1の場合と同様の要領で
各評価を行った。 (初期帯電量)実施例3−1と同様の方法で帯電量を測
定したところ、−44.12mC/kgであった。
【0359】(定着性)粒子は観察されなかった。
【0360】(ドット再現性)ドット形状は均一であ
り、飛び散りもなくドット再現性に優れていた。
【0361】(耐久性)耐久後の帯電量は−21.0m
C/kgであり、帯電量の減少がみられた。10万枚後
のドラム上トナー像を観察すると、飛び散りが多く発生
しており、ドット形状も不均一で所々ドットがつながっ
ている箇所が見られた。下記表5及び表6に実施例3−
1〜3−12及び比較例3−1、3−2におけるトナー
粒子及びトナーの特性をまとめて示し、表7に評価結果
を示した。
【0362】
【表5】
【0363】
【表6】
【0364】
【表7】
【0365】表7中の定着性は、OHPシート上にベタ
画像を現像・定着後、トナーの粒子形状が残存している
かどうかを走査型顕微鏡を用いて1000倍で観察し、
その結果を下記の基準で示した。 A:粒子は観察されない。 B:粒子形状を保った部分が数か所ある。 C:ほとんどの粒子は粒子形状を保っている。
【0366】表7中のドット再現性は、25℃、湿度3
0%の環境下で、キヤノン製フルカラーレーザーコピア
複写機CLC700改造機を用いてオリジナル画像のコ
ピーを行い、被転写紙に転写する前及び10万枚耐久後
のドラム上のトナー画像について顕微鏡観察を行い、そ
の結果を下記の基準で示した。
【0367】[実施例4−1] <母体となるトナー粒子の作成>先ず、本実施例に用い
る母体となるトナー粒子を、次の如くして調製した。高
速攪拌装置TK−ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ
中に、イオン交換水820質量部とポリビニルアルコー
ル97質量部を添加し、回転数を1000rpmに調節
し、55℃に加熱せしめて分散媒を調製した。
【0368】一方モノマー分散液は、下記のようにして
調製した。 ・スチレン重合体 60質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 40質量部 ・カーボンブラック 10質量部 ・サリチル酸金属化合物 1質量部 ・離型剤(パラフィンワックス155) 20質量部 上記組成からなる混合物をアトライターを用い3時間分
散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス
(2,4―ジメチルバレロニトリル)3質量部を添加
し、この分散物を上記で調製した分散媒中に投入し、回
転数を維持しつつ、10分間造粒した。その後、50r
pm、55℃で1時間、65℃で、4時間、更に、80
℃で5時間維持して、重合を行った。
【0369】重合終了後、スラリーを冷却し、精製水で
洗浄を繰り返すことにより未反応物を除去した。更に洗
浄し、乾燥を行うことでブラックトナー粒子を得た。該
トナー粒子の粒径を測定したところ、ブラックトナー粒
子の数平均粒子径は、6.01μmであった。更に、こ
のトナー粒子のガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、27.86℃であった。
【0370】<被覆層(ゾルゲル膜)の作成方法>上記
の方法で得たブラックトナー粒子0.8質量部と、テト
ラエトキシシラン2.5質量部を、メタノール40質量
部に分散及び溶解させ、トナー分散液を調製した。その
後、28%NH4OH水溶液8質量部に対して100質
量部のメタノールを添加した溶液中に、先に調製したト
ナー分散液中を滴下し、滴下終了後、室温で48時間攪
拌することにより、加水分解及び重縮合してゾルゲル膜
をトナー粒子表面に堆積させた。反応終了後、得られた
粒子を、精製水、次いでメタノールで洗浄した後、粒子
を濾別、乾燥してゾルゲル膜で被覆された本実施例のト
ナーを得た。
【0371】得られたトナーの粒径を、実施例1−1の
場合と同様にして測定したところ、数平均粒子径は6.
35μmであった。このトナーの粒子表面を走査型顕微
鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40
nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察され
た。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写
真観察から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成され
ていることが確認できた。
【0372】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は、
6.39質量%であった。更に、同様にして求めたトナ
ーの粒子断面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素
原子の存在量の総計を100%とした場合のケイ素原子
の存在比率は0.07質量%であった。よって、トナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒
子断面におけるケイ素原子の存在量の91.00倍であ
った。従って、ケイ素化合物の重縮合物は、大部分がト
ナーの粒子表面に存在し、トナーの粒子内部には殆ど存
在していないことがわかった。
【0373】更に、このトナーを、5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は4.76質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は25.46%であった。よ
って、このトナーのトナー粒子表面には、粒状塊同士が
固着されることによって形成される被覆層が形成されて
いることが確認された。
【0374】上記のようにして得られたトナーの、溶融
開始温度をフローテスターを用いて測定したところ、5
3.95℃であった。更に、このトナーのガラス転移点
(Tg)を求めたところ、35.71℃であった。よっ
て、このトナーの溶融開始温度とガラス転移点の差は1
8.24℃であった。
【0375】<評価>上記で得られた本実施例のトナー
について、下記の方法で、耐ブロッキング性と定着性に
ついての評価を行なった。尚、実施例および比較例のト
ナーの評価結果は、表9にまとめて示した。 (1)耐ブロッキング性 上記のトナー30gを30mlのサンプル瓶に入れ、5
0℃の恒温槽中に2日間放置した後、その瓶を傾けて流
動性を観察することにより、ブロッキング試験を行っ
た。この結果、トナーは良好な流動性を保持したままで
あり、耐ブロッキング性は良好であることが確認され
た。
【0376】(2)定着性 上記で得られたトナー5質量部と、粒径が40μmのフ
ェライトコアにシリコーン樹脂をコートしたキャリア9
5質量部とを混合して2成分系現像剤を調製した。この
現像剤をCLC500を以下の条件に変えた改造機を用
いて、OHPシート上にベタ画像を印刷した。この際の
定着条件を以下に示した。 ・ロール圧力=3.43×10-1MPa(3.5kg/
cm2) ・ロールスピード70mm/sec. ・定着温度100℃ ・プロセススピード200mm/sec 次に、得られた画像の一部を切り取り、走査型顕微鏡を
用い、1000倍で観察し、トナー粒子の形状が残存し
ているかどうかによって定着性を評価した。観察は、お
互いが完全に重複しない視野を5カ所観察することによ
って行なった。その結果、粒子形状は観察されなかっ
た。
【0377】[実施例4−2]ポリビニルアルコール
0.02質量部を、エタノール/水=1:1混合溶液中
25質量部に溶解し、これに、実施例4−1で母体とし
て用いたのと同様のブラックトナー粒子0.9質量部を
分散せしめ、次いでヘキシルトリメトキシシラン5質量
部を溶解させた。その後、水120質量部を徐々に滴下
することによって、ヘキシルトリメトキシシランをブラ
ックトナー粒子に吸収させ、滴下終了後、5時間攪拌さ
せた。次いで、系内に28%NH4OH溶液20質量部
を加え、12時間室温にて攪拌することにより、ゾルゲ
ル反応(加水分解及び重縮合)を行った。反応終了後、
得られた黒色の母体となるトナー粒子をエタノールで洗
浄することにより、トナー内部の未反応アルコキサイド
を洗浄し、濾別乾燥して、本実施例のブラックトナーを
得た。得られたトナーの数平均粒子径を実施例4−1と
同様の方法で測定したところ、6.78μmであった。
【0378】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成されている
ことが確認できた。
【0379】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は4.
75質量%であった。同様にして求めたトナーの粒子断
面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在
量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率
は0.26質量%であった。よって、トナーの粒子表面
におけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面にお
けるケイ素原子の存在量の18.05倍であった。従っ
て、ケイ素化合物の重縮合物は、トナーの粒子内部に比
較し、トナーの粒子表面に多く存在してることがわかっ
た。
【0380】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は、3.59質量%であった。
よって、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は、24.58%であった。
従って、このトナーには、粒状塊同士が固着されること
によって形成される被覆層が形成されていることが確認
された。
【0381】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、6
4.69℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、34.
55℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は、30.14℃であった。
【0382】更に、上記のトナーについて、ブロッキン
グ試験を実施例4−1と同様の方法で行ったところ、ト
ナーは良好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキ
ング性は良好であった。上記のトナーを用いて実施例4
−1と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2成
分系現像剤を用いて、実施例4−1と同様の方法で定着
性評価用の画像を作成し、定着性の評価を行った。その
結果、粒子形状は観察されず、定着性は良好であった
(表9参照)。
【0383】[実施例4−3]0.5質量%のドデシル
スルホン酸ナトリウム水溶液100質量部に、ジブチル
フタレート4質量部を超音波ホモジナイザーを用いて微
分散し、ジブチルフタレート乳化液(分散液)を調製し
た。次いで、実施例4−1で母体として用いたと同様の
ブラックトナー粒子0.9質量部を、0.5質量%のド
デシルスルホン酸ナトリウム6.0質量部に分散し、ト
ナー粒子分散液を調製した。その後、ジブチルフタレー
ト分散液と、トナー粒子分散液を混合し、室温で2時間
攪拌し、ジブチルフタレートをブラックトナー粒子に導
入した。
【0384】次いで、0.5質量%ドデシルスルホン酸
ナトリウム水溶液に、(3−グリシドキシプロピル)メ
チルジメトキシシラン5質量部を超音波ホモジナイザー
を用いて微分散させた分散液を、上記で調製したトナー
分散液に投入し、5時間室温で攪拌させることによっ
て、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシ
ランをブラックトナー粒子に吸収させた。その後、30
質量%のNH4OH水溶液10質量部を投入し、室温で
12時間攪拌し、ブラックトナー粒子表面においてゾル
ゲル反応を行った。
【0385】反応終了後、系内に多量のエタノールを投
入し、トナー内部の未反応(3−グリシドキシプロピ
ル)メチルジメトキシシランおよびジブチルフタレート
を除去した。次いで、得られたトナー粒子をエタノール
で再度洗浄した後、精製水で洗浄し、濾別、乾燥して、
本実施例のブラックトナーを得た。得られたトナーの数
平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定したとこ
ろ、6.89μmであった。
【0386】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
から、このトナーの粒子表面に被覆層が形成されている
ことが確認できた。
【0387】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける、炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
5.15質量%であった。又、同様に求めたトナーの粒
子断面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の
存在量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在
比率は0.19質量%であった。よって、トナーの粒子
表面におけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面
におけるケイ素原子の存在量の27.85倍であった。
従って、ケイ素化合物の重縮合物は、トナーの粒子内部
に比較し、トナーの粒子表面に多く存在してることがわ
かった。
【0388】更に、このトナーを、5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、4.61質量%であっ
た。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子
表面に存在するシリカの減少率は10.56%であっ
た。よって、このトナーの粒子表面には、粒状塊同士が
固着されることによって形成される被覆層が形成されて
いることが確認された。
【0389】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、5
7.64℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、33.
08℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は24.56℃であった。
【0390】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と同
様の方法で2成分系現像剤を調製し、この2成分系現像
剤を用いて、実施例4−1と同様の方法で定着性評価用
の画像を作成し、定着性の評価を行った。その結果、粒
子形状は観察されず、定着性は良好であった(表9参
照)。
【0391】[実施例4−4]酢酸イソプロピル2.3
質量部と(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキ
シシラン4質量部を混合した溶液を、0.5質量%ドデ
シルスルホン酸ナトリウム水溶液50質量部に投入した
後、T.Kホモミクサーで5000回転で30分間処理
をした後、コスモ計装(株)社製、ナノマイザーシステ
ムLA−30Cを用い、処理圧力1300kg/c
2、1パスの条件で、酢酸イソプロピルおよび(3−
グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン分散液
を調製した。
【0392】次いで、実施例4−1で母体として用いた
と同様のブラックトナー粒子0.9質量部を、0.5質
量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液40質量部に
分散させた分散液に、上記で作製した酢酸イソプロピル
および(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシ
シラン分散液を投入し、室温で2時間攪拌した。次い
で、28質量%NH4OH水溶液を8質量部入れて混合
し、室温で12時間攪拌することにより、ゾルゲル反応
を行った。次いで、系内に多量のエタノールを投入し、
未反応の(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキ
シシランおよび酢酸イソプロピルをトナー粒子内部より
除去した。更に、再度エタノールでトナーを洗浄した
後、精製水で洗浄し、濾別、乾燥することにより、本実
施例のブラックトナーを得た。得られたトナーの数平均
粒子径を実施例4−1と同様にして測定したところ、
6.57μmであった。
【0393】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
から、このトナーの粒子表面には被覆層が形成されてい
ることが確認できた。
【0394】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は3.
91質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
0.13質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の29.26倍であった。従っ
て、ケイ素化合物の重縮合物は、トナーの粒子内部に比
較し、トナーの粒子表面に多く存在してることがわかっ
た。更に、このトナーを、5%ドデシルベンゼンスルホ
ン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面におけるケ
イ素原子の存在量は、3.12質量%であった。従っ
て、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に存
在するシリカの減少率は20.14%であった。よっ
て、このトナーは、粒状塊同士が固着されることによっ
て形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0395】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、5
6.24℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、33.
60℃であった。従って、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は22.64℃であった。
【0396】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。又、上記のトナーを用いて実施例4−1
と同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を
用いて実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像
を作成し、定着性の評価を行った。その結果、粒子形状
は観察されず定着性は良好であった(表9参照)。
【0397】[実施例4−5]実施例4−1のトナーの
製造方法で用いたテトラエトキシシランの処方量を5.
0質量部に代えた以外は実施例4−1と同様の方法を用
いて、ゾルゲル膜被覆トナーを得た。得られたトナーの
数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定したとこ
ろ、6.59μmであった。
【0398】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されているこ
とが確認できた。EPMAより求めたトナーの粒子表面
における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量
の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
19.73質量%であった。同様に求めたトナーの粒子
断面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存
在量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比
率は0.02質量%であった。よって、トナーの粒子表
面におけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面に
おけるケイ素原子の存在量の873.66倍であった。
従って、ケイ素化合物の重縮合物は、大部分がトナーの
粒子表面に存在し、トナーの粒子内部には殆ど存在して
いないことがわかった。
【0399】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は15.87質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は19.56%であった。よ
って、このトナーは、粒状塊同士が固着されることによ
って形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0400】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、6
7.72℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、33.
48℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は34.24℃であった。
【0401】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と同
様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用い
て実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を作
成し、定着性の評価を行った。その結果、一視野中に平
均5.5個の粒子が観察されたが、粒子の殆どは良好に
定着していた(表9参照)。
【0402】[実施例4−6]実施例4−5のトナーの
製造方法でゾルゲル膜の形成時に用いたテトラエトキシ
ラン5質量部に加えて、トリメトキシシラン2質量部を
更に用いた以外は実施例4−5と同様にしてゾルゲル膜
で被覆された本実施例のブラックトナーを得た。得られ
た粒子の数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定
したところ、6.82μmであった。このトナーの粒子
表面を走査型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの
粒子表面に約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被
覆層が観察された。更に、このトナーの粒子断面の透過
型電子顕微鏡写真観察からこのトナーの粒子表面に被覆
層が形成されていることが確認できた。
【0403】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は1
2.79質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断
面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在
量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率
は0.06質量%であった。よって、トナーの粒子表面
におけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面にお
けるケイ素原子の存在量の221.65倍であった。従
って、ケイ素化合物の重縮合物は、その大部分がトナー
の粒子表面に存在し、トナーの粒子内部には殆ど存在し
ていないことがわかった。更に、このトナーを5%ドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの
粒子表面におけるケイ素原子の存在量は9.71質量%
であった。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナー
の粒子表面に存在するシリカの減少率は24.10%で
あった。よって、このトナーは粒状塊同士が固着される
ことによって形成される被覆層が形成されていることが
確認できた。
【0404】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、71.41℃であった。実施例4−1と同様の方
法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、33.52℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は37.89℃であった。
【0405】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と同
様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用い
て実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を作
成し、定着性の評価を行った。その結果、一視野中に平
均6.3個の粒子形状が観察されたが、粒子の殆どは良
好に定着していた(表9参照)。
【0406】[実施例4−7]実施例4−1のトナーの
調製の際に、モノマー分散液中に5質量部の(3−グリ
シドキシプロピル)メチルジメトキシシランを加え、且
つ、系内にNH4OH水溶液を加えてアルカリ性にする
以外は実施例4−1と同様の方法にて重合を行った。そ
の後、多量のエタノールで洗浄することにより、粒子内
部の未反応の(3−グリシドキシプロピル)メチルジメ
トキシシランを除去し、次いで、濾別、乾燥することに
より、本実施例のブラックトナーを得た。上記で得られ
たトナーの数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測
定したところ、6.22μmであった。
【0407】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に、約40nm
直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されているこ
とが確認できた。
【0408】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は4.
10質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
4.00質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の1.03倍であった。従って、
ケイ素化合物の重縮合物は、トナーの粒子表面のみなら
ず、トナーの粒子内部にも同様の割合で存在しているこ
とがわかった。更に、このトナーを5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、3.68質量%であっ
た。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子
表面に存在するシリカの減少率は10.25であった。
よって、このトナーは、粒状塊同士が固着されることに
よって形成される被覆層が形成されていることが確認さ
れた。
【0409】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、7
2.99℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、36.
45℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は36.54℃であった。
【0410】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と同
様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用い
て実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を作
成し、定着性の評価を行った。その結果、一視野中に平
均2.4個の粒子が観察されたが、粒子の殆どは良好に
定着していた(表9参照)。
【0411】[実施例4−8]実施例4−1の母体とな
るトナー粒子の製造方法において、重合組成物中に、エ
ステルワックス(融点50℃)を加えた以外は実施例4
−1と同様にして、トナー粒子を作成した。このトナー
粒子の数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定し
たところ、6.31μmであった。更に、このトナー粒
子のガラス転移点は20.13℃であった。
【0412】上記で得られた母体となるトナー粒子に対
して実施例4−1と同様の方法を用いてゾルゲル膜を被
覆し、本実施例のトナーを作成した。得られたトナーの
数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定したとこ
ろ、6.62μmであった。このトナーの粒子表面を走
査型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表面
に約40nm直径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観
察された。更に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕
微鏡写真観察から、このトナーの粒子表面に被覆層が形
成されていることが確認された。
【0413】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は5.
78質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
0.06質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の101.29であった。従っ
て、ケイ素化合物の重縮合物は、その大部分がトナーの
粒子表面に存在し、トナーの粒子内部には殆ど存在して
いないことがわかった。
【0414】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は4.88質量%であった。従
って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に
存在するシリカの減少率は15.49%であった。よっ
てこのトナーは粒状塊同士が固着されることによって形
成される被覆層が形成されていることが確認された。
【0415】上記で得られたトナーの溶融開始温度を実
施例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、4
4.11℃であった。実施例4−1と同様の方法でこの
トナーのガラス転移点(Tg)を求めたところ、28.
69℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は15.42℃であった。
【0416】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは良
好な流動性を保持したままであり、耐ブロッキング性は
良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と同
様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用い
て実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を作
成し、定着性の評価を行った。その結果、粒子形状は確
認できず、定着性は良好であった(表9参照)。
【0417】[実施例4−9]実施例4−1の母体とな
るトナー粒子の作成で、スチレンモノマーを120質量
部ブチルアクリレートを30質量部に代えた以外は同様
の方法を用いて、トナー粒子を作成した。得られたトナ
ー粒子の数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定
したところ、6.32μmであった。このトナー粒子に
対して、実施例4−1と同様の方法でゾルゲル膜を被覆
して本実施例のトナーを得た。得られたトナーの数平均
粒子径は6.44μmであった。
【0418】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に少なくともケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着することによって形成される被覆
層が形成されていることが確認できた。
【0419】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は4.
80質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
0.05質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の99.93倍であり、ケイ素化
合物の重縮合物は、その大部分がトナーの粒子表面に存
在し、トナーの粒子内部には殆ど存在していないことが
わかった。
【0420】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は3.61質量%であった。従
って界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に存
在するシリカの減少率は24.78%であった。よっ
て、このトナーは粒状塊同士が固着されることによって
形成される被覆層が形成されていることが確認された。
【0421】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、104.40℃であった。実施例4−1と同様の
方法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、64.18℃であり、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は40.22℃であった。
【0422】更に、上記で得られたトナーについて、ブ
ロッキング試験を実施例4−1と同様の方法で行ったと
ころ、トナーの流動性は良好であり、耐ブロッキング性
は良好であった。上記のトナーを用いて実施例4−1と
同様の方法で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用
いて実施例4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を
作成し、定着性の評価を行った。その結果、一視野中に
つき平均6.7個の粒子が観察されたが、定着性に問題
はなかった。これはこのトナーの少なくともケイ素化合
物を含む粒状塊同士が固着することによって形成される
被覆層の被覆量が過剰であるために、本発明で行なった
定着性試験において充分な熱定着性が得られなかったた
めと思われる。
【0423】[実施例4−10] <母体となるトナー粒子の作成>先ず、母体となるトナ
ー粒子を以下の手法を用いて作成した。高速攪拌装置T
K−ホモミキサーを備えた四つ口フラスコ中にイオン交
換水1000質量部とポリビニルアルコール45質量部
を添加し、攪拌装置NO回転数を3000pmに調整
し、55℃に加熱せしめて分散媒を調製した。
【0424】一方、モノマー分散液は、下記のようにし
て調製した。 ・スチレン重合体 3質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 20質量部 ・カーボンブラック 5質量部 ・サリチル酸金属化合物 0.5質量部 ・離型剤(パラフィンワックス155) 8質量部 上記組成をアトライターを用い3時間分散させた後、重
合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)1.4質量部を添加し、この分散物を
前述の分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ10分間
造粒した。その後、50rpm、55℃で1時間、65
℃で4時間、更に、80℃で5時間、それぞれ重合を行
った。
【0425】重合終了後、スラリーを冷却し、精製水で
洗浄を繰り返すことにより分散剤を除去した。更に洗浄
し、乾燥を行うことで母体となるトナー粒子を得た。実
施例4−1と同様の方法で測定したトナー粒子の数平均
粒子径は、5.02μmであった。更に、このトナー粒
子のガラス転移点(Tg)を測定したところ、27.8
6℃であった。
【0426】<被覆層(ゾルゲル膜)の作成>上記で得
られた母体となるトナー粒子を用いて、使用するテトラ
エトキシシランの量を2.5質量部から10質量部に代
えた以外は実施例4−1と同様にして、トナー粒子に少
なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着すること
によって形成される被覆層を被覆した。その結果、得ら
れた本実施例のトナーの数平均粒子径を実施例4−1と
同様の方法で測定したところ、6.32μmであった。
【0427】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に被覆層が形成されているこ
とが確認できた。
【0428】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は2
0.49質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断
面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在
量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率
は1.70質量%であった。この被覆層は比較的被覆量
の多い被覆層であるといえる。上記の測定値から、トナ
ーの粒子表面におけるケイ素原子の存在量は、トナーの
粒子断面におけるケイ素原子の存在量の12.08倍で
あり、トナーの粒子内部にケイ素化合物の重縮合物があ
る程度存在していることがわかった。
【0429】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は14.86質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は27.48%であった。よ
って、このトナーは、粒状塊同士が固着されることによ
って形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0430】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、142.40℃であった。実施例4−1と同様の
方法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、34.55℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は107.9℃であった。
【0431】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーの流
動性は良好であり、よって耐ブロッキング性は良好であ
った。上記のトナーを用いて実施例4−1と同様の方法
で2成分系現像剤を調製し、この現像剤を用いて実施例
4−1と同様の方法で定着性評価用の画像を作成し、定
着性の評価を行った。その結果、一視野中につき平均
7.9個の粒子が観察されたが、定着性に問題はなかっ
た。これはおそらく、トナーに対する被覆量が比較的多
く、トナー内部にもケイ素化合物の重縮合物が存在して
いるために、本発明における定着性の試験において、充
分な熱定着性が得られなかったものと思われる。
【0432】[実施例4−11]実施例4−1でゾルゲ
ル膜を被覆する際に、室温で2日間反応させた後、アル
コールを系内に投入せずに、粒子を濾過し、その後トナ
ー粒子表面を洗浄した後、50℃の乾燥機内で1晩加熱
することによりトナーを得た。得られたトナーの数平均
粒子径を実施例4−1と同様の方法で測定したところ、
6.25μmであった。
【0433】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、該トナーの粒子表面に約40nm直
径の微細な粒状凹凸を有する被覆層が観察された。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
からこのトナーの粒子表面に少なくともケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着することによって形成される被覆
層が形成されていることが確認できた。
【0434】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は6.
05質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
5.32質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の1.14倍であり、トナーの粒
子内部にもトナーの表面と同程度にケイ素化合物の重縮
合物が存在していることがわかった。
【0435】更に、このトナーを、5%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は4.55質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は24.78%であった。よ
って、このトナーは、粒状塊同士が固着されることによ
って形成される被覆層が形成されていることが確認され
た。
【0436】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、99.57℃であった。実施例4−1と同様の方
法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、35.83℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は63.74℃であった。
【0437】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーの流
動性は良好であり、耐ブロッキング性は良好であった。
上記トナーを用いて実施例4−1と同様の方法で2成分
系現像剤を調製し、この現像剤を用いて実施例4−1と
同様の方法で定着性評価用の画像を作成し、定着性の評
価を行った。その結果、一視野中につき平均8.5個の
粒子が観察されたが、定着性に問題はなかった。これは
おそらく、トナー内部にまでケイ素化合物の重縮合物が
存在するものであるために定着性が若干低下したものと
思われる(表9参照)。
【0438】[比較例4−1]実施例4−1で用いた重
合後のブラックトナー粒子に、少なくともケイ素化合物
を含む粒状塊同士が固着することによって形成される被
覆層を施すことなしに、本比較例のトナーとした。この
粒子のガラス転移点は実施例4−1でも述べた通り、2
7.86℃であった。このトナーの溶融開始温度を実施
例4−1と同様の方法を用いて測定したところ、32.
89℃であった。よって、このトナーの溶融開始温度と
ガラス転移点の差は5.03℃であった。
【0439】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは完
全に溶融し、サンプル瓶底に膜状に固着していた。上記
のトナーを用いて実施例4−1と同様の方法で2成分系
現像剤を調製し、この現像剤を用いて実施例4−1と同
様の方法で定着性評価用の画像を作成しようと試みた
が、撹拌器内でトナー同士が融着を起こし、充分な画像
形成が不可能であった(表9参照)。
【0440】[比較例4−2]実施例4−1で用いたテ
トラエトキシシランの量を0.1質量部に代えた以外は
同様の方法を用い、トナーを作成した。得られたトナー
の数平均粒子径を実施例4−1と同様にして測定したと
ころ、6.35μmであった。このトナーの粒子表面を
走査型顕微鏡写真で観察したところ、該トナーの粒子表
面にシリカ被覆層由来の凹凸は確認できなかった。更
に、このトナーの粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察
も同様で、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が
固着することによって形成される被覆層は確認できなか
った。
【0441】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は0.
09質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
0.02質量%であった。
【0442】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は0.07質量%であった。従
って界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面に存
在するシリカの減少率は30.15%であった。以上の
結果から、このトナーはシリカ原子の存在は確認された
ものの、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固
着することによって形成される被覆層を有してはいなか
った。
【0443】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、49.15℃であった。実施例4−1と同様の方
法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、28.74℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は20.41℃であった。
【0444】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は、2.85質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は22.14%であった。以
上の結果から、このトナーはケイ素化合物を含む被覆層
を有するものの、その被覆層表面は平滑であり、粒状塊
同士が固着されることによって形成される被覆層とは明
らかに異なるものであることがわかった。
【0445】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、106.21℃であった。実施例4−1と同様の
方法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、28.55℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は77.66℃であった。
【0446】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーの流
動性は良好であり、耐ブロッキング性は良好であった。
上記のトナーを用いて実施例4−1と同様の方法で2成
分系現像剤を調製し、この現像剤を用いて実施例4−1
と同様の方法で定着性評価用の画像を作成し、定着性の
評価を行った。その結果、殆どの粒子は定着されておら
ず、粒子形状を保ったままであった。これはおそらく、
トナー粒子表面が平滑なために熱伝導が悪く、本発明で
行なった定着性試験において、充分な定着性を示さなか
ったものと思われる。
【0447】[比較例4−3]実施例4−1で用いた母
体となるトナー粒子100質量部に対して、常温硬化型
シリコーンレジン0.50質量部を添加して、サンプル
瓶内に投入し、30分、ロールミルで撹拌し、その後4
0℃雰囲気下で更に撹拌を3時間続けることにより、シ
リコーン樹脂で被覆されたトナーを得た。得られたトナ
ーの数平均粒子径は、6.63μmであった。
【0448】このトナーの粒子の表面を走査型顕微鏡写
真で観察したところ、トナーの粒子表面は平滑であり、
粒子状の凹凸は観察されなかった。更に、このトナーの
粒子断面の透過型電子顕微鏡写真観察から、このトナー
の粒子表面に何らかの被覆層が形成されていることが確
認できた。
【0449】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は3.
66質量%であった。同様に求めたトナーの粒子断面に
おける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の
総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は
0.07質量%であった。よって、トナーの粒子表面に
おけるケイ素原子の存在量は、トナーの粒子断面におけ
るケイ素原子の存在量の54.65倍であり、ケイ素化
合物の重縮合物はトナーの粒子表面に主に存在し、トナ
ーの粒子内部には殆ど存在していなかった。
【0450】更に、このトナーを5%ドデシルベンゼン
スルホン酸水溶液で洗浄した後のトナーの粒子表面にお
けるケイ素原子の存在量は、2.85質量%であった。
従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナーの粒子表面
に存在するシリカの減少率は22.14%であった。以
上の結果から、このトナーはケイ素化合物を含む被覆層
を有するものの、その被覆層表面は平滑であり、粒状塊
同士が固着されることによって形成される被覆層とは明
らかに異なるものであることがわかった。
【0451】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、106.21℃であった。実施例4−1と同様の
方法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、28.55℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は77.66℃であった。
【0452】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーの流
動性は良好であり、耐ブロッキング性は良好であった。
上記のトナーを用いて実施例4−1と同様の方法で2成
分系現像剤を調製し、この現像剤を用いて実施例4−1
と同様の方法で定着性評価用の画像を作成し、定着性の
評価を行った。その結果、殆どの粒子は定着されておら
ず、粒子形状を保ったままであった。これはおそらく、
トナー粒子表面が平滑なために熱伝導が悪く、本発明で
行なった定着性試験において、充分な定着性を示さなか
ったものと思われる。
【0453】[比較例4−4]実施例4−1で用いた母
体となるトナー粒子100質量部に対して平均粒径40
nmの疎水化シリカ粒子を5質量部混合して、ヘンシェ
ルミキサーで混合することによりシリカ微粒子を外添
し、トナーを得た。得られたトナーの数平均粒子径を実
施例4−1と同様の方法で測定したところ、6.10μ
mであった。
【0454】このトナーの粒子表面を走査型顕微鏡写真
で観察したところ、トナー粒子表面に粒状物は確認され
るものの、粒子−粒子間には多数の間隙が存在し、膜状
物は観察されなかった。更に、このトナーの粒子断面の
透過型電子顕微鏡写真観察から、このトナーの粒子表面
にシリカ粒子が観察されたが、シリカ粒子同士は個々に
存在していることが確認された。
【0455】EPMAより求めたトナーの粒子表面にお
ける炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在量の総
計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率は0.
55質量%であった。又、同様に求めたトナーの粒子断
面における炭素原子、酸素原子、及びケイ素原子の存在
量の総計を100%とした場合のケイ素原子の存在比率
は0.01質量%であった。更に、このトナーを5%ド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液で洗浄した後のトナー
の粒子表面におけるケイ素原子の存在量は0.37質量
%であった。従って、界面活性剤洗浄前後におけるトナ
ーの粒子表面に存在するシリカの減少率は、33.48
%であった。
【0456】上記のようにして得られたトナーの溶融開
始温度を実施例4−1と同様の方法を用いて測定したと
ころ、43.33℃であった。実施例4−1と同様の方
法でこのトナーのガラス転移点(Tg)を求めたとこ
ろ、29.75℃であった。よって、このトナーの溶融
開始温度とガラス転移点の差は13.58℃であった。
【0457】更に、上記のトナーのブロッキング試験を
実施例4−1と同様の方法で行ったところ、トナーは完
全に溶融し、瓶底に膜状に固着していた。上記のトナー
を用いて実施例4−1と同様の方法で2成分系現像剤を
調製し、この現像剤を用いて実施例4−1と同様の方法
で定着性評価用の画像を作成し、定着性の評価を行っ
た。その結果、粒子形状は確認されなかった。下記表8
に実施例4−1〜4−11及び比較例4−1〜4−4に
おけるトナー粒子及びトナーの特性を示し、表9に評価
結果を示した。
【0458】
【表8】
【0459】
【表9】
【0460】表9中の耐ブロッキング性は、トナー粒子
30gを30mlのサンプル瓶に入れ、50℃の恒温槽
に2日間放置した後、トナーの様子を目視で観察結果観
察を行い、その結果を下記の基準で示した。 A:瓶を傾けると粒子は流動する。 B:瓶底を軽くたたくと粒子は流動する。 C:瓶を傾けると粒子が固まりで流動する。 D:粒子の一部は融解し、瓶に固着。 E:粒子は完全に融解し、瓶底に膜状に固着。
【0461】表9中の定着性は、OHPシート上にベタ
画像を現像・定着後、トナーの粒子形状が残存している
かどうかを走査型顕微鏡を用いて1000倍で観察し、
その結果を下記の基準で示した。 A:粒子形状は観察されない。 B:粒子形状を保った部分が一視野につき6個以下あ
る。 C:粒子形状を保った部分が一視野につき10個以下あ
る。 D:殆どの粒子は粒子形状を保っている。
【0462】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
母体となるトナー粒子表面に少なくともケイ素化合物を
含む粒状塊同士が固着されることによって形成される被
覆層を設けることによって、流動化剤を用いなくても優
れた流動性を示し、耐久においても安定した帯電量を保
持することができ、且つ、高い転写効率を達成し得る良
好な画像形成が可能なトナーが提供される。又、本発明
によれば、流動化剤を用いないため、連続現像を行なっ
た場合においても、従来のように、流動化剤の遊離や、
流動化剤のトナー粒子に対する埋め込みの発生を起こす
ことがなく、しかも、耐久においても優れた流動性が安
定して保持され、且つ耐久に優れたトナーが提供され
る。更に、本発明によれば、上記の特性を有する優れた
トナーを、容易に且つ安定して得ることができるトナー
の製造方法が提供される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 375 381 384 (31)優先権主張番号 特願平11−188209 (32)優先日 平成11年7月1日(1999.7.1) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 馬場 善信 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 綾木 保和 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 徳永 雄三 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 池田 武志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA08 AB03 AB06 AB10 CA04 CA08 CA14 CA26 CB13 DA05 EA03 EA05 EA07

Claims (76)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂と着色剤とを有する
    トナー粒子で構成されるトナーにおいて、上記トナー粒
    子の表面に、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士
    が固着されることによって形成された被覆層を有するこ
    とを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜20.0質量%である請求項1に記載
    のトナー。
  3. 【請求項3】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜10.0質量%である請求項1に記載
    のトナー。
  4. 【請求項4】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜4.0質量%である請求項1に記載の
    トナー。
  5. 【請求項5】 該トナーの粒子断面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が4.0質量%以下である請求項1に記載のトナ
    ー。
  6. 【請求項6】 該トナーの粒子断面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1質量%以下である請求項1に記載のトナ
    ー。
  7. 【請求項7】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜20.0質量%であり、且つ、該トナ
    ーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によっ
    て測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在
    量の総計に対するケイ素原子の存在比率が4.0質量%
    以下である請求項1に記載のトナー。
  8. 【請求項8】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜10.0質量%であり、且つ、該トナ
    ーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によっ
    て測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在
    量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量%
    以下である請求項1に記載のトナー。
  9. 【請求項9】 該トナーの粒子表面における電子プロー
    ブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原子
    及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の存
    在比率が0.1〜4.0質量%であり、且つ、該トナー
    の粒子断面における電子プローブ微小部分析法によって
    測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在量
    の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量%以
    下である請求項1に記載のトナー。
  10. 【請求項10】 該被覆層が設けられているトナーの粒
    子表面のケイ素原子の存在比率が、該トナーの粒子断面
    のケイ素原子の存在比率の2倍以上である請求項1乃至
    9のいずれか1項に記載のトナー。
  11. 【請求項11】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    によって形成されたものである請求項1乃至10のいず
    れか1項に記載のトナー。
  12. 【請求項12】 該ケイ素化合物の重縮合物は、ゾルゲ
    ル法によって形成されたものである請求項11に記載の
    トナー。
  13. 【請求項13】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    を含む粒状塊同士が化学的に結合した状態にある請求項
    11に記載のトナー。
  14. 【請求項14】 該結着樹脂が、スチレン系樹脂、アク
    リル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
    及び、これらの混合物からなるグループから選択される
    樹脂を含む請求項1乃至13のいずれか1項に記載のト
    ナー。
  15. 【請求項15】 該被覆層の表面は、カップリング剤に
    より処理されている請求項1乃至14のいずれか1項に
    記載のトナー。
  16. 【請求項16】 該カップリング剤は、該被覆層表面に
    存在するシラノール基と反応し得る請求項15に記載の
    トナー。
  17. 【請求項17】 該トナーは、個数平均粒子径が0.1
    μm〜10.0μmであり、且つ、20.0%以下の個
    数分布の変動係数を有している請求項1乃至16のいず
    れか1項に記載のトナー。
  18. 【請求項18】 該トナーは、個数平均粒子径が1.0
    μm〜8.0μmである請求項17に記載のトナー。
  19. 【請求項19】 該トナーは、個数平均粒子径が3.0
    μm〜5.0μmである請求項17に記載のトナー。
  20. 【請求項20】 該トナーは、15.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項17に記載のトナー。
  21. 【請求項21】 該トナーは、10.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項17に記載のトナー。
  22. 【請求項22】 該トナーは、少なくとも60℃以下に
    一点以上ガラス転移点を有し、溶融開始温度が100℃
    以下であり、且つ、該ガラス転移点と該溶融開始温度と
    の差が38℃以下である請求項1乃至21のいずれか1
    項に記載のトナー。
  23. 【請求項23】 該トナーは、更に離型剤成分を80質
    量%以下の範囲で含有する請求項22に記載のトナー。
  24. 【請求項24】 表面に被覆層を有するトナー粒子で構
    成されるトナーの製造方法であって、 少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子を調
    製するトナー粒子調製工程;及び該トナー粒子の外部か
    ら、該トナー粒子の表面にケイ素化合物の重縮合物を堆
    積させることにより、トナー粒子の表面に、少なくとも
    ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着することによって
    形成される被覆層を形成する被覆層形成工程;を有する
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  25. 【請求項25】 該被覆層形成工程は、少なくともケイ
    素化合物を溶解させた水性溶媒中に、又は、該水性溶媒
    と水との混合溶媒中に、少なくとも結着樹脂及び着色剤
    を含有するトナー粒子を分散させて、トナー分散液を調
    製する工程;及びアルカリ性水性溶媒中に、又は、該ア
    ルカリ性水性溶媒と水との混合溶媒中に、該分散液を添
    加し、ケイ素化合物を加水分解反応によって重縮合させ
    ることにより、重縮合物をトナー粒子表面に外部から堆
    積させて、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同士が
    固着された被覆層を形成する工程;を有している請求項
    24に記載のトナーの製造方法。
  26. 【請求項26】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜20.0質量%である請求項24又
    は25に記載のトナーの製造方法。
  27. 【請求項27】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜10.0質量%である請求項24又
    は25に記載のトナーの製造方法。
  28. 【請求項28】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜4.0質量%である請求項24又は
    25に記載のトナーの製造方法。
  29. 【請求項29】 該トナーの粒子断面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が4.0質量%以下である請求項24又は25
    に記載のトナーの製造方法。
  30. 【請求項30】 該トナーの粒子断面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1質量%以下である請求項24又は25
    に記載のトナーの製造方法。
  31. 【請求項31】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜20.0質量%であり、且つ、該ト
    ナーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によ
    って測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存
    在量の総計に対するケイ素原子の存在比率が4.0質量
    %以下である請求項24又は25に記載のトナーの製造
    方法。
  32. 【請求項32】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜10.0質量%であり、且つ、該ト
    ナーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によ
    って測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存
    在量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量
    %以下である請求項24又は25に記載のトナーの製造
    方法。
  33. 【請求項33】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜4.0質量%であり、且つ、該トナ
    ーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によっ
    て測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在
    量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量%
    以下である請求項24又は25に記載のトナーの製造方
    法。
  34. 【請求項34】 該被覆層が設けられているトナーの粒
    子表面のケイ素原子の存在比率が、該トナーの粒子断面
    のケイ素原子の存在比率の2倍以上である請求項24乃
    至33のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  35. 【請求項35】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    によって形成されたものである請求項24乃至34のい
    ずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  36. 【請求項36】 該ケイ素化合物の重縮合物は、ゾルゲ
    ル法によって形成されたものである請求項35に記載の
    トナーの製造方法。
  37. 【請求項37】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    を含む粒状塊同士が化学的に結合した状態にある請求項
    35に記載のトナーの製造方法。
  38. 【請求項38】 該結着樹脂が、スチレン系樹脂、アク
    リル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
    及び、これらの混合物からなるグループから選択される
    樹脂を含む請求項24乃至37のいずれか1項に記載の
    トナーの製造方法。
  39. 【請求項39】 該被覆層の表面は、カップリング剤に
    より処理されている請求項24乃至38のいずれか1項
    に記載のトナーの製造方法。
  40. 【請求項40】 該カップリング剤は、該被覆層表面に
    存在するシラノール基と反応し得る請求項39に記載の
    トナーの製造方法。
  41. 【請求項41】 該トナーは、個数平均粒子径が0.1
    μm〜10.0μmであり、且つ、20.0%以下の個
    数分布の変動係数を有している請求項24乃至40のい
    ずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  42. 【請求項42】 該トナーは、個数平均粒子径が1.0
    μm〜8.0μmである請求項41に記載のトナーの製
    造方法。
  43. 【請求項43】 該トナーは、個数平均粒子径が3.0
    μm〜5.0μmである請求項41に記載のトナーの製
    造方法。
  44. 【請求項44】 該トナーは、15.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項41に記載のトナーの
    製造方法。
  45. 【請求項45】 該トナーは、10.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項41に記載のトナーの
    製造方法。
  46. 【請求項46】 該トナー粒子調製工程において、結着
    樹脂を形成するための重合性単量体は溶解するがその重
    合体は溶解しない溶媒に少なくとも該重合性単量体を溶
    解し、該溶媒中で該重合性単量体を重合することによ
    り、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒子
    を調製する請求項41乃至45のいずれか1項に記載の
    トナーの製造方法。
  47. 【請求項47】 該結着樹脂を合成するための重合性単
    量体は溶解し得るがその重合体は溶解し得ない溶媒中に
    少なくとも該重合性単量体を溶解し、該溶媒中で該重合
    性単量体を重合することにより、少なくとも結着樹脂及
    び着色剤を含有するトナー粒子を製造し、該トナー粒子
    が分散されているトナー分散液を調製する工程;及びア
    ルカリ性水性溶媒中に、又は、該アルカリ性水性溶媒と
    水との混合溶媒中に、該分散液を添加し、ケイ素化合物
    を加水分解反応によって重縮合させることにより、該重
    縮合物を該トナー粒子表面に外部から堆積させて、少な
    くともケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着された被覆
    層を形成する工程;を有している請求項41乃至45の
    いずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  48. 【請求項48】 該結着樹脂を合成するための重合性単
    量体は溶解し得るがその重合体は溶解し得ない溶媒中に
    少なくとも重合性単量体を溶解させて、該溶媒中で該重
    合性単量体を重合することにより、少なくとも結着樹脂
    及び着色剤を含有するトナー粒子を製造し、該トナー粒
    子が分散されているトナー分散液を調製する工程;及び
    該トナー分散液を室温まで冷却し、冷却された該トナー
    分散液中に少なくともケイ素化合物及びアルカリを加え
    て、該ケイ素化合物を加水分解反応によって重縮合させ
    ることにより、該重縮合物を該トナー粒子表面に外部か
    ら堆積させて、少なくともケイ素化合物を含む粒状塊同
    士が固着された被覆層を形成する工程;を有している請
    求項41乃至45のいずれか1項に記載のトナーの製造
    方法。
  49. 【請求項49】 該トナーは、少なくとも60℃以下に
    一点以上ガラス転移点を有し、溶融開始温度が100℃
    以下であり、且つ、該ガラス転移点と該溶融開始温度と
    の差が38℃以下である請求項24乃至48のいずれか
    1項に記載のトナーの製造方法。
  50. 【請求項50】 該トナーは、更に離型剤成分を80質
    量%以下の範囲で含有する請求項49に記載のトナーの
    製造方法。
  51. 【請求項51】 表面に被覆層を有するトナー粒子で構
    成されるトナーの製造方法であって、 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、且つケイ素化
    合物が内在しているトナー粒子を調製するトナー粒子調
    製工程;及び該トナー粒子を水、及び水と水性溶媒との
    混合溶媒からなるグループから選択される液中で、該ト
    ナー粒子の表面でケイ素化合物の加水分解及び重縮合反
    応を行なわせて、該トナー粒子表面に少なくともケイ素
    化合物を含む粒状塊同士が固着された状態の被覆層を形
    成する被覆層形成工程;を有することを特徴とするトナ
    ーの製造方法。
  52. 【請求項52】 該トナー粒子調製工程は、 水、及び水と水性溶媒との混合溶媒からなるグループか
    ら選択される液中に、少なくとも結着樹脂と着色剤とを
    含有し、且つ、ケイ素化合物を内在していないトナー粒
    子を分散させてトナー粒子分散液を調製する工程;水、
    及び水と水性溶媒との混合溶媒からなるグループから選
    択される液中に、少なくともケイ素化合物を分散させて
    ケイ素化合物分散液を調製する工程;及び上記トナー粒
    子分散液を上記ケイ素化合物分散液に添加して、上記ト
    ナー粒子中に上記ケイ素化合物を膨潤させ、該トナー粒
    子中にケイ素化合物を内在させる工程;を有している請
    求項51に記載のトナーの製造方法。
  53. 【請求項53】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜20.0質量%である請求項51又
    は52に記載のトナーの製造方法。
  54. 【請求項54】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜10.0質量%である請求項51又
    は52に記載のトナーの製造方法。
  55. 【請求項55】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜4.0質量%である請求項51又は
    52に記載のトナーの製造方法。
  56. 【請求項56】 該トナーの粒子断面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が4.0質量%以下である請求項51又は52
    に記載のトナーの製造方法。
  57. 【請求項57】 該トナーの粒子断面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1質量%以下である請求項51又は52
    に記載のトナーの製造方法。
  58. 【請求項58】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜20.0質量%であり、且つ、該ト
    ナーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によ
    って測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存
    在量の総計に対するケイ素原子の存在比率が4.0質量
    %以下である請求項51又は52に記載のトナーの製造
    方法。
  59. 【請求項59】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜10.0質量%であり、且つ、該ト
    ナーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によ
    って測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存
    在量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量
    %以下である請求項51又は52に記載のトナーの製造
    方法。
  60. 【請求項60】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜4.0質量%であり、且つ、該トナ
    ーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によっ
    て測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在
    量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量%
    以下である請求項51又は52に記載のトナーの製造方
    法。
  61. 【請求項61】 該トナーの粒子表面における電子プロ
    ーブ微小部分析法によって測定された炭素原子、酸素原
    子及びケイ素原子の存在量の総計に対するケイ素原子の
    存在比率が0.1〜4.0質量%であり、且つ、該トナ
    ーの粒子断面における電子プローブ微小部分析法によっ
    て測定された炭素原子、酸素原子及びケイ素原子の存在
    量の総計に対するケイ素原子の存在比率が0.1質量%
    以下である請求項51又は52に記載のトナーの製造方
    法。
  62. 【請求項62】 該被覆層が設けられているトナーの粒
    子表面のケイ素原子の存在比率が、該トナーの粒子断面
    のケイ素原子の存在比率の2倍以上である請求項51乃
    至61のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  63. 【請求項63】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    によって形成されたものである請求項51乃至62のい
    ずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  64. 【請求項64】 該ケイ素化合物の重縮合物は、ゾルゲ
    ル法によって形成されたものである請求項63に記載の
    トナーの製造方法。
  65. 【請求項65】 該被覆層は、ケイ素化合物の重縮合物
    を含む粒状塊同士が化学的に結合した状態にある請求項
    63に記載のトナーの製造方法。
  66. 【請求項66】 該結着樹脂が、スチレン系樹脂、アク
    リル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
    及び、これらの混合物からなるグループから選択される
    樹脂を含む請求項51乃至65のいずれか1項に記載の
    トナーの製造方法。
  67. 【請求項67】 該被覆層の表面は、カップリング剤に
    より処理されている請求項51乃至66のいずれか1項
    に記載のトナーの製造方法。
  68. 【請求項68】 該カップリング剤は、該被覆層表面に
    存在するシラノール基と反応し得る請求項67に記載の
    トナーの製造方法。
  69. 【請求項69】 該トナーは、個数平均粒子径が0.1
    μm〜10.0μmであり、且つ、20.0%以下の個
    数分布の変動係数を有している請求項51乃至68のい
    ずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  70. 【請求項70】 該トナーは、個数平均粒子径が1.0
    μm〜8.0μmである請求項69に記載のトナーの製
    造方法。
  71. 【請求項71】 該トナーは、個数平均粒子径が3.0
    μm〜5.0μmである請求項69に記載のトナーの製
    造方法。
  72. 【請求項72】 該トナーは、15.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項69に記載のトナーの
    製造方法。
  73. 【請求項73】 該トナーは、10.0%以下の個数分
    布の変動係数を有している請求項69に記載のトナーの
    製造方法。
  74. 【請求項74】 該トナー粒子調製工程において、結着
    樹脂を形成するための重合性単量体は溶解するがその重
    合体は溶解しない溶液に少なくとも該重合性単量体を溶
    解させて、該溶媒中で該重合性単量体を重合することに
    より、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有するトナー粒
    子を調製する請求項69乃至73のいずれか1項に記載
    のトナーの製造方法。
  75. 【請求項75】 該トナーは、少なくとも60℃以下に
    一点以上ガラス転移点を有し、溶融開始温度が100℃
    以下であり、且つ、該ガラス転移点と該溶融開始温度と
    の差が38℃以下である請求項51乃至74のいずれか
    1項に記載のトナーの製造方法。
  76. 【請求項76】 該トナーは、更に離型剤成分を80質
    量%以下の範囲で含有する請求項75に記載のトナーの
    製造方法。
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