JP2001071631A

JP2001071631A - インクジェット記録用シートおよびその用途

Info

Publication number: JP2001071631A
Application number: JP25228099A
Authority: JP
Inventors: Takashi Chiba; 葉孝千; Tsukasa Okada; 田司岡
Original assignee: OKADA ENGINEERING KK; Nippon Mektron KK
Current assignee: OKADA ENGINEERING KK; Nippon Mektron KK
Priority date: 1999-09-06
Filing date: 1999-09-06
Publication date: 2001-03-21

Abstract

(57)【要約】（修正有）【解決手段】吸水能が１００〜２０００重量％である吸
水性ポリウレタンからなるインク受容層と、インク受容
層を支持する支持体とからなり、吸水性ポリウレタン
が、脂肪族系または脂環系ポリイソシアネートを原料と
する組成物であり、それを織布または不織布からなる支
持体に含浸させる。このシートは装飾用シート、広告用
シート、建築用シート又は衣料用シートとしての使用で
きる。【効果】インク吸収速度が速くてにじみが少なく、印刷
画像が良好で、屋外用途として特に必要な雨、風、光に
対する耐水性、耐光性、擦過性に優れ、かつ光を当てた
場合の発色性に優れており、屋内外での特殊な使用にも
好適である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、インク吸収速度が速く、
印刷画像が鮮明で、耐水性、耐光性が良好で擦過性に優
れ、光を当てた場合の発色性がよいインクジェット記録
用シートおよびその用途に関する。

【０００２】

【発明の技術的背景】インクジェット方式によるプリン
ターは、フルカラー化が容易なこと、印字騒音が低いこ
と、コンピューターによって処理された画像が印字可能
なことから、近年急速に普及している。それにともな
い、インクジェットプリンターは、より高速化、高解像
度化、多色化が図られており、ハード面の技術はかなり
の進歩を遂げつつある。

【０００３】また、インクジェットプリンターで使用さ
れるインクについても、従来使われてきた染料インクに
代わり、耐水性や耐光性に富む顔料インクが種々開発さ
れており、プリンターの普及と相まって従来の染料イン
クを用いての広告案内、装飾、標識表示板、各種インテ
リアなどの屋内用途から顔料インクを用いた屋外用途へ
の展開が活発になってきている。

【０００４】このようなプリンターやインクの進歩にと
もない、記録用シートの性能への要求が、より厳しくか
つ多様化してきている。たとえば、プリンターの高速
化、多色化、高解像度化等にともない、記録用シート
は、インクの吸収速度が早くかつにじみが少なく、発色
性に優れていることなど更なる性能向上を望まれてい
る。このような性能向上への要求に対応するため、種々
のインクジェット記録用シートの提案がなされている。
この中で、ポリウレタンをインク受容層に含んだインク
ジェット記録用シートの開発も行われている。例えば、
特公平6-84099号公報、特開昭61-35988号公報、特開昭6
1-35989号公報、特開昭61-49882号公報、特開昭61-9288
5号公報、特開昭61-92886号公報、特開平9-71041号公
報、特開平9-76626号公報、特開平9-76627号公報、特開
平9-99635号公報、特開平9-123593号公報、特開平10-18
1188号公報、特開平10-181189号公報、特開平10-291362
号公報、特開平10-291363号公報などでは、ポリウレタ
ンをインク受容層として用いているが、いずれも、ポリ
ウレタン自体の吸水性が低いと本来の画像が得られない
ことや、光を当てた場合に良好な発色性が得られないな
どの問題点があった。また、特開平9-39372号公報に
は、吸水性ポリウレタンとカチオン系アクリルポリマー
からなるインク受容層を有する記録媒体が記載されてい
るが、吸水性ポリウレタンの含有率を上げるとインクの
吸収速度が速くなりにじみの少ない画像が得られる反
面、耐水性が悪化するという問題点があった。また、ポ
リウレタンが芳香族系ポリイソシアネートを原料とした
組成物であると、光による黄変のため、耐光性、透明
性、発色性が悪くなるという問題点があった。

【０００５】また、光を当てた場合の発色性を向上させ
るために、蛍光塗料や光分散剤などを添加することは公
知であるが、蛍光塗料や光分散剤などの添加が少量であ
ると発色性が不十分となったり、逆にこれらを多量に添
加するとインクの吸収性を阻害してしまいかつインク受
容層自体の強度が低下して耐擦過性が低下するなどの問
題点があった。

【０００６】さらに、ＯＨＰ用に使用される透明で光沢
ある記録シートは、透過光によって形成される画像の発
色性は良いが電飾用としての発色性はまだ不十分であ
り、また、インクの吸収性や耐水性、耐光性が不足する
などの点においてなお問題点があった。このため、イン
ク吸収速度が速くてにじみが少なく、印刷画像が良好
で、耐水性、耐光性、擦過性に優れ、かつ発色性にも優
れるといった、インクジェット記録用シートへの要求性
能を全て満たしたインクジェット記録用シートの出現が
望まれている。

【０００７】そこで、本発明者らは、上記問題を解決す
べく鋭意研究し、吸水性ポリウレタンをインク受容層と
し、該インク受容層を支持する支持体とからなるインク
ジェット記録用シートであって、その吸水性ポリウレタ
ンの吸水能を特定の範囲に限定することにより、吸水性
ポリウレタンからなるインク受容層におけるインクの吸
水速度を維持しつつ、耐水性、擦過性を備えることがで
きることを見出し、本発明を完成するに至った。また、
吸水性ポリウレタンの原料を脂肪族系または脂環系ポリ
イソシアネートとすることにより、耐光性、発色性の向
上を図ることも可能であることを見出した。

【０００８】また、本発明者らは、本発明に係るインク
ジェット記録用シートが、これまでの一般的な安価の印
刷物やプリント写真などでの使用に加え、発色性、耐水
性、剥離性、耐光性、発色性などの向上により、装飾用
として装飾品あるいはテーブルクロスなどとしての特殊
用途、広告用として電飾看板あるいは広告垂幕などとし
ての特殊用途、建築用として建築材料あるいは壁紙など
として、さらに、衣料用として衣服やその材料となる布
地などとして有用であることを見出した。

【０００９】さらに、本発明者らは、支持体の材料がポ
リウレタンを含浸できる織布または不織布の場合には、
該ポリウレタンを含浸できる織布または不織布からなる
支持体全体に吸水性ポリウレタンを含浸させることによ
っても、インクの吸水速度を維持しつつ、耐水性、擦過
性を備えることが可能であることを見出し、本発明を完
成するに至った。また、含浸させる吸水性ポリウレタン
の原料を脂肪族系または脂環系ポリイソシアネートとす
ることにより、耐光性、発色性の向上を図ることも可能
であることを見出した。本発明に係るこのようなインク
ジェット記録用シートは、例えば、織布または不織布を
活かし、装飾用、広告用、建築用または衣料用として特
殊用途にも使用可能であることも見出した。

【００１０】

【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、インク吸収速度
が速くてにじみが少なく、印刷画像が鮮明で、屋外用途
として特に必要な雨、風、光に対する耐水性、耐光性、
擦過性に優れ、かつ光を当てた場合の発色性に優れるイ
ンクジェット記録用シートを得ることを目的としてい
る。

【００１１】

【発明の概要】本発明に係るインクジェット記録用シー
トは、吸水能が１００〜２０００重量％である吸水性ポ
リウレタンからなるインク受容層と、該インク受容層を
支持する支持体とからなることを特徴としている。前記
吸水性ポリウレタンは、脂肪族系または脂環系ポリイソ
シアネートを原料とする組成物であることが好ましい。
また、本発明に係るインクジェット記録用シートは、該
インクジェット記録用シートにインクジェット方式によ
り印刷されたシートからなる装飾用シート、広告用シー
ト、建築用シートまたは衣料用シートとしての使用が可
能である。

【００１２】また、本発明に係る支持体の材料は特に限
定されないが、材料が、ポリウレタンを含浸できる織布
または不織布からなる支持体の場合には、該ポリウレタ
ンを含浸できる織布または不織布からなる支持体全体に
吸水性ポリウレタンを含浸させることも可能である。こ
のような吸水性ポリウレタンは、脂肪族系または脂環系
ポリイソシアネートを原料とする組成物であることが好
ましい。このようなインクジェット記録用シートは、該
インクジェット記録用シートにインクジェット方式によ
り印刷されたシートからなる装飾用シート、広告用シー
ト、建築用シートまたは衣料用シートとしての使用が可
能である。

【００１３】

【発明の具体的説明】以下、本発明に係るインクジェッ
ト記録用シートについて具体的に説明する。本発明に係
るインクジェット記録用シートでは、特定の範囲の吸水
能を有する吸水性ポリウレタンをインク受容層と、該イ
ンク受容層を支持する支持体とからなる。また、本発明
に係るインクジェット記録用シートでは、織布または不
織布からなる支持体に、特定の範囲の吸水能を有する吸
水性ポリウレタンを含浸させることも可能である。支持体本発明に係る支持体は、その材料を特に限定されるもの
ではなく、従来公知の種々のものを使用できる。このよ
うな支持体材料としては、具体的には、ポリエステル、
ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、セ
ルローストリアセテート、ポリイミド、塩化ビニル、ア
クリル樹脂等の樹脂系フィルムや、紙類、不織布、繊維
布帛、木材、金属板、ガラスなどが挙げられる。また、
支持体の材料は、１種でもよいし２種以上の異なる材料
を組み合わせて用いてもかまわない。吸水性ポリウレタン本発明に係るインクジェット記録用シートのインク受容
層を構成する吸水性ポリウレタンは、特定の範囲の吸水
能を有する吸水性ポリウレタンである。

【００１４】このような、吸水性ポリウレタンは、ポリ
オールとポリイソシアネート化合物との重付加反応な
ど、従来公知のいずれの方法によっても得ることができ
る。また、本発明に合致する吸水性ポリウレタンであれ
ば、市販の吸水性ポリウレタンを用いてもかまわない。吸水性ポリウレタンの吸水能本発明に係る吸水性ポリウレタンの吸水能は、１００〜
２０００重量％であり、好ましくは１５０〜５００重量
％である。

【００１５】なお、本発明における吸水性ポリウレタン
の吸水能とは、非吸水状態の吸水性ポリウレタンの重量
（Ａ）と、吸水性ポリウレタン中に保持可能限界まで水
を吸収させた吸水性ポリウレタンの重量（Ｂ）との比
（Ｂ／Ａ）を意味している。このように吸水率が１００
〜２０００重量％の吸水性ポリウレタンをインク受容層
とすると、インクの吸収速度、吸収容量が十分でにじみ
がなく、鮮明な画像が得られるとともに、耐水性も良好
で、吸水性ポリウレタンを支持体上に被膜にした場合の
表面強度や硬度が高く、擦過性も良好である。

【００１６】吸水能が２０００重量％を超えると、吸水
性ポリウレタンを支持体上に被膜にした場合の強度が低
くまた硬度も低いことから擦過性が低下するとともに、
耐水性が低下する。吸水能が１００重量％より小さい
と、インクの吸収速度が低下し、また水の吸収容量が小
さいため、良好な印刷画像が得られない。このように、
吸水性ポリウレタンの吸水能を特定の範囲に限定するこ
とにより、吸水性ポリウレタンからなるインク受容層に
おけるインクの吸水速度を維持しつつ、耐水性、擦過性
を備えることができる。

【００１７】吸水性ポリウレタンの原料(1)：ポリオー
ル本発明に係る吸水性ポリウレタンの原料となるポリオー
ルは、ポリイソシアネート化合物との重付加反応などに
より得られる吸水性ポリウレタンの吸水能が、１００〜
２０００重量％の範囲であれば特に限定されるものでは
ない。本発明においては、末端基が水酸基であり親水性
を有するポリオールが好ましく、具体的には、ポリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール／ポリテトラ
メチレングリコール共重合体ポリオール、ポリエチレン
グリコール／ポリプロピレングリコール共重合体ポリオ
ール、ポリエチレングリコールアジペート、ポリエチレ
ングリコール／ポリ−ε−カプロラクトン共重合体ポリ
オールなどが挙げられる。これらのポリオールは、単独
または２種以上を組み合わせて使用することもできる。

【００１８】吸水性ポリウレタンの原料(2)：ポリイソ
シアネート本発明に係る吸水性ポリウレタンの原料となるポリイソ
シアネートは、芳香族系ポリイソシアネート、脂肪族系
ポリイソシアネートおよび脂環系ポリイソシアネートな
ど従来公知のものが使用できる。芳香族系ポリイソシア
ネートとしては、具体的には、パラフェニレンジイソシ
アネート、２−クロロ−１，４−フェニルジイソシアネ
ート、２，４−トルエンジイソシアネート、２，５−ト
ルエンジイソシアネート、１，５−ナフタレンジイソシ
アネートなどやこれらの誘導体が挙げられる。

【００１９】脂肪族系ポリイソシアネートまたは脂環系
ポリイソシアネートとしては、具体的には、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
４，４’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネートなどやこれらの誘導体が挙
げられる。本発明においては、このうち、脂肪族系ポリ
イソシアネートまたは脂環系ポリイソシアネートが好ま
しい。これらを吸水性ポリウレタンの原料として用いる
と、得られる吸水性ポリウレタンをインクジェット記録
用シートのインク受容体として用いた場合の透明性が良
くなるので、光を当てた場合の発色性を改善できる。さ
らに、受容体の黄変が防止され、インクジェット記録用
シートのインク受容層の耐光性を改善することができ
る。

【００２０】吸水性ポリウレタンの原料(3)：鎖伸長剤本発明では、吸水性ポリウレタンを反応により合成する
際、上記成分の他に、本発明の目的達成を損なわない範
囲で、各種添加剤を併用してもよい。例えば、吸水性ポ
リウレタンの鎖を伸長したい場合は、前記ポリオールと
ポリイソシアネート化合物の重付加反応などの際、鎖伸
長剤を添加してもかまわない。本発明で用いられる鎖伸
長剤としては、具体的には、１，４−ブタンジオール、
１，６−ヘキサンジオールおよび２，３−ブタンジオー
ル等の低分子量脂肪族ジオール、グリセリン、トリメチ
ロールプロパンおよびトリメチロールエタン等の低分子
量脂肪族トリオールが挙げられる。このような伸長剤を
添加することにより、得られる吸水性ポリウレタンをイ
ンクジェット記録用シートの受容体として用いた場合の
透明性が良くなるので、光を当てた場合の発色性が良く
なる。インク受容層本発明に係るインク受容層を構成する吸水性ポリウレタ
ンは、このような吸水性ポリウレタンを単独で用いても
よいし、吸水能の異なる吸水性ポリウレタンを２種以上
混合してもよい。この場合、得られる吸水性ポリウレタ
ンの吸水能が、１００〜２０００重量％の範囲であれ
ば、吸水性ポリウレタンの吸水能が１００重量％より小
さい吸水性ポリウレタンまたは吸水能が２０００重量％
より大きい吸水性ポリウレタンを混合してもかまわな
い。

【００２１】また、本発明においては、使用するインク
ジェット用インクの組成や支持体、インクジェット記録
用シートの用途、要求されるインクジェット記録用シー
トの特性により、所望により、公知の樹脂を吸水性ポリ
ウレタンに添加してインク受容層を形成してもかまわな
い。このような樹脂としては、具体的には、デンプン、
ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン、メチルエチルセルロース、メラミン樹脂、
アクリル樹脂などが挙げられる。このような樹脂につい
ては、これらの変性物も含め１種類以上使用することが
できる。

【００２２】また、インク受容層形成に際し、所望によ
り、公知の無機顔料、有機顔料または樹脂粒子などの添
加物を添加してインク受容層を形成してもかまわない。
このような添加物としては、具体的には、シリカ、炭酸
カルシウム、タルク、酸化チタン、アルミナ、コロイダ
ルシリカ、ゼオライト等の顔料、ポリスチレン樹脂、尿
素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等
の樹脂などが挙げられる。

【００２３】さらに、インク受容層形成に際し、所望に
より、公知の助剤を添加してインク受容層を形成しても
かまわない。このような助剤としては、具体的には、増
粘剤、離型剤、浸透剤、湿潤剤、サイズ剤、消泡剤、着
色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤、防腐剤、帯電防止剤、分散剤、ＰＨ調整剤などが挙
げられる。インク受容層の形成方法本発明に係るインクジェット記録用シートは、インク受
容層と該インク受容層を支持する支持体とからなるが、
支持体にインク受容層を形成する方法は、特に限定され
ず、公知の方法が採用できる。例えば、上記のような吸
水性ポリウレタンを単独であるいは混合で、所望により
上記のような樹脂、添加物、助剤を、適当な溶剤に溶解
または分散させて塗工液を調製し、支持体に塗布した
後、乾燥する方法が挙げられる。塗布方法としては、バ
ーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ブ
レードコーター、ロッドコーターなどを用いる方法が挙
げられる。

【００２４】また、上記のような吸水性ポリウレタンお
よび所望により添加する添加物、助剤等を用いて、熱転
伸法、Ｔダイ法などの公知の方法によりインク受容層と
なるシートを形成して、該シートを支持体にラミネート
する方法、該シートを支持体と共押出しする方法、支持
体にホットメルトコーティングする方法により、支持体
にインク受容層を形成してもよい。

【００２５】このような吸水性ポリウレタンからならる
インク受容層は、通常、支持体上に形成されているが、
支持体の表面に一部含浸されながら形成されていてもか
まわない。このようにして形成されるインク受容層の厚
さは、インクを保持できる範囲であればよく、プリンタ
ーの種類、インクの種類、印刷条件あるいは用途にもよ
るが、実用的には、２０〜５０μｍが好ましい。吸水性ポリウレタンを織布または不織布からなる支持体
に含浸させる場合吸水性ポリウレタンを含浸できる織布または不織布を支
持体とする場合には、このような織布または不織布から
なる支持体全体に吸水性ポリウレタンを含浸させること
も可能である。

【００２６】織布または不織布は、吸水性ポリウレタン
が含浸可能であれば特に限定されるものではないが、織
布の組成としては、具体的には、綿、絹、麻、紙などの
植物繊維、羊毛などの動物繊維、炭素繊維、ガラス繊維
などの無機系合成繊維、ナイロン、ポリエチレン、ポリ
エステルなどの有機系合成繊維、またはこれらのうちの
異なる繊維を２つ以上含む複合繊維などが挙げられ、好
ましくは、有機系合成繊維および植物繊維が挙げられ
る。

【００２７】不織布の組成としては、具体的には、綿、
絹、麻、紙などの植物繊維、羊毛などの動物繊維、炭素
繊維、ガラス繊維などの無機系合成繊維、ナイロン、ポ
リエチレン、ポリエステルなどの有機系合成繊維、また
はこれらのうちの異なる繊維を２つ以上含む複合繊維な
どが挙げられ、好ましくは有機系合成繊維および植物繊
維が挙げられる。

【００２８】このような織布または不織布からなる支持
体にポリウレタンを含浸させる場合の吸水性ポリウレタ
ンの吸水能は１００〜２０００重量％であることが好ま
しく、特に１５０〜５００重量％であることが好まし
い。また、このような吸水性ポリウレタンは、脂肪族系
または脂環系ポリイソシアネートを原料とする組成物で
あることが好ましい。

【００２９】また、このような織布または不織布からな
る支持体の厚さは、特に限定されず、用途により適宜決
定される。織布または不織布からなる支持体全体に吸水
性ポリウレタンを含浸させる方法は、公知の方法が採用
でき、例えば、前記のような吸水性ポリウレタンを含む
塗工液を織布または不織布に低圧状態で浸透させる方
法、織布または不織布を上記のような吸水性ポリウレタ
ンを含む塗工液に浸せきさせて含浸させる方法などが挙
げられる。

【００３０】このようにして織布または不織布に上記の
ような吸水性ポリウレタンを含浸させた支持体は、該支
持体自体がインク受容層としての機能を併せ持つように
して用いてもよいし、該支持体に、さらにインク受容層
を形成してもよい。この場合のインク受容層の構成成分
としては、本発明の特性を損なわない範囲で公知のもの
が使用できる。この中で、インク受容層が、吸水性ポリ
ウレタンであることが好ましい。支持体とインク受容層
の密着性がよいためである。特に、前記の吸水能が１０
０〜２０００重量％の範囲の吸水性ポリウレタンを使用
することが好ましい。

【００３１】このような織布または不織布に吸水性ポリ
ウレタンを含浸させることにより得られるインクジェッ
ト記録用シートは、インク吸収速度、印刷画像の鮮明
性、耐水性、耐光性、擦過性、発色性に優れている。用途以上のような本発明に係るインクジェット記録用シート
は、前述のとおり、または後述の実施例において示すと
おり、インク吸収速度、印刷画像、耐水性、耐光性、擦
過性、発色性などの、インクジェット記録用シートへの
要求性能を全てにわたって満たしており、これまでの一
般的な安価な印刷物やプリント写真などでの使用に加
え、各種の特殊な用途への使用も可能である。

【００３２】具体的には、印刷画像、発色性の向上など
の点で、屋内における用途を拡大することが可能である
とともに、耐水性、耐光性、擦過性の向上などの点で、
屋外における用途を拡大することが可能である。また、
支持体の材料によって、屋内外における用途を拡大する
ことが可能である。一般的な用途としては、具体的に
は、支持体が紙類の場合、コピー、コンピューターなど
での使用、支持体が樹脂系フィルムの場合、スライドや
ＯＨＰ等の光学器械による使用などが挙げられる。

【００３３】一方、本発明によるインクジェット記録用
シートの特殊用途としては、具体的には、装飾用として
装飾品、テーブルクロス、ポスター、カレンダー、ラン
チョンマット、テーブルセンター、タペストリー、壁紙
などとしての使用が挙げられる。また、広告用として電
飾看板、広告垂幕、ポスター、カレンダーなどとしての
使用が挙げられる。さらに、建築用として建築材料、壁
紙などとしての使用が挙げられる。衣料用としてシャ
ツ、エプロン、ズボン、スカート、コートなどの衣服あ
るいはその材料とする布地などへの使用が挙げられる。

【００３４】吸水性ポリウレタンを織布または不織布か
らなる支持体に含浸させてなるインクジェット記録用シ
ートの場合、織布または不織布といった素材を生かし、
装飾用として装飾品、テーブルクロス、ポスター、カレ
ンダー、ランチョンマット、テーブルセンター、タペス
トリー、壁紙など、広告用として電飾看板、広告垂幕、
ポスター、カレンダーなど、建築用として建築材料、壁
紙など、衣料用としてシャツ、エプロン、ズボン、スカ
ート、コートなどの衣服あるいはその材料とする布地な
どへの使用が挙げられる。

【００３５】

【発明の効果】本発明に係るインクジェット記録用シー
トは、インク吸収速度が速くてにじみが少なく、印刷画
像が良好で、屋外用途として特に必要な雨、風、光に対
する耐水性、耐光性、擦過性に優れ、かつ光を当てた場
合の発色性に優れており、屋内外での特殊な使用にも好
適である。

【００３６】

【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、これらの実施例により本発明は限定される
ものではない。

【００３７】

【実施例１】吸水能が１５０％である（脂環系）ポリイ
ソシアネート系の吸水性ポリウレタン（Tecophilic SP-
80A-150,Thermedics社製）１５ｇを、トルエン３５ｇ、
イソプロピルアルコール２５ｇおよびメチルエチルケト
ン１０ｇの混合溶媒に溶解し、得られた溶液に非晶質シ
リカ（MizukasilP-801、水澤化学工業（株）製）１５ｇ
を混合分散し、固形物３０重量％の塗工液を調製した。
この塗工液を、ポリエステルフィルム（厚さ１００μ
ｍ；ルミラーＳ１０、東レ（株）製）の片面上に乾燥後
の厚さが３０μｍとなるようにバーコーターを用いて塗
布し、乾燥機により１００℃で２分間乾燥して、吸水性
ポリウレタンをインク受容層とするインクジェット記録
用シートを得た。

【００３８】このインクジェット記録用シートに、イン
クジェットプリンター（ローランド社製CAMM JET CJ-7
0）により、３６０dpiで印字記録し、下記の評価を行っ
た。その評価結果を表１に示す。［インクの吸収速度］印字終了から１分後に印字面にコ
ピー用紙をのせ、上から３．３ｋｇの荷重をかけて１分
間放置後、コピー用紙へのインクの付着度合いを観察
し、以下の基準で評価した。

【００３９】コピー用紙にインクは全く付着していないもの：○ コピー用紙にわずかにインクが付着しているが画像には影響しないもの：△ コピー用紙にインクが付着し画像に影響ありしていないもの：× ［画像］各印刷ドットの形状を観察し、以下の基準で評
価した。

【００４０】にじみが全くなくきれいな画像が得られるもの：○ 細部ににじみがわずかにあるが使用上は問題ないもの：△ あきらかににじみがあり画像に影響があるもの：× ［耐水性］印字部を水中に一分間浸せき後、垂直に垂ら
した状態で自然乾燥し、インク受容層の剥離、インク落
ちを観察し、以下の基準で評価した。

【００４１】インク受容層の剥離がなくインク落ちもないもの：○ インク受容層の剥離がなくインク落ちもわずかで画像に影響しないもの：△ インク受容層の剥離がありまたはインク落ちがあり画像に影響したもの：× ［耐光性］印字部をアイスーパーＵＶテスターＷタイプ
（ＳＵＶ−Ｗ１、岩崎電気（株）製）を用いて２８時間
照射し、変色度合いを観察し、以下の基準で評価した。

【００４２】インクの退色がなく照射前と同じ画像がえられているもの：○ 細部ではインクの退色があるが実用上は問題ないもの：△ 全体的にインクの退色が見られるもの：× ［剥離性］アクリル樹脂系粘着剤のテープを印字面に貼
り、５００ｇで１分間荷重をかけた後、テープを剥がし
たときのインク受容層の剥離、インク落ちを観察し、以
下の基準で評価した。

【００４３】インク受容層の剥離がなくインク落ちもないもの：○ インク落ちが見られるがインク受容層の剥離はなく画像に影響しないもの：△ インク受容層の剥離が見られるもの：× ［発色性］印字面の裏から光を当てた場合の発色性につ
いて観察し、以下の基準で評価した。

【００４４】細部まで明るく鮮やかに発色するもの：○ 発色性がやや不足しているもの：△ 光を当てたことによる発色が見られないもの：×

【００４５】

【実施例２】実施例１において、吸水能が１５０％であ
る（脂環系ポリイソシアネート系）の吸水性ポリウレタ
ンの代わりに、吸水能が５００％である（脂環系ポリイ
ソシアネート系）の吸水性ポリウレタン（Tecogel-0500
-V,Thermedics社製）を用いた以外は、実施例１と同様
の条件でインクジェット記録用シートを得た。

【００４６】このインクジェット記録用シートについ
て、実施例１と同様の方法、基準により評価を行った。
その評価結果を表１に示す。

【００４７】

【実施例３】実施例１において、吸水能が１５０％であ
る（脂環系ポリイソシアネート系）の吸水性ポリウレタ
ンの代わりに、吸水能が２０００％である（脂環系ポリ
イソシアネート系）の吸水性ポリウレタン（Tecogel-20
00-V,Thermedics社製）を用いた以外は、実施例１と同
様の条件でインクジェット記録用シートを得た。

【００４８】このインクジェット記録用シートについ
て、実施例１と同様の方法、基準により評価を行った。
その評価結果を表１に示す。

【００４９】

【比較例１】実施例１において、吸水能が１５０％であ
る（脂環系ポリイソシアネート系）の吸水性ポリウレタ
ンの代わりに、吸水能が３５％である（脂環系ポリイソ
シアネート系）の吸水性ポリウレタン（Tecophilic HP-
60D-35,Thermedics社製）を用いた以外は、実施例１と
同様の条件でインクジェット記録用シートを得た。

【００５０】このインクジェット記録用シートについ
て、実施例１と同様の方法、基準により評価を行った。
その評価結果を表１に示す。

【００５１】

【表１】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 2C056 EA04 EA13 FB01 FB02 FB03 FB04 FC06 2H086 BA15 BA22 BA34

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】吸水能が１００〜２０００重量％である吸
水性ポリウレタンからなるインク受容層と、該インク受
容層を支持する支持体とからなることを特徴とするイン
クジェット記録用シート。
【請求項２】前記支持体が、ポリウレタンを含浸できる
織布または不織布からなり、該支持体に吸水性ポリウレ
タンが含浸されていることを特徴とする請求項１に記載
のインクジェット記録用シート。
【請求項３】前記吸水性ポリウレタンが、脂肪族系また
は脂環系ポリイソシアネートを原料とする組成物である
ことを特徴とする請求項１または２に記載のインクジェ
ット記録用シート。
【請求項４】請求項１または２に記載のインクジェット
記録用シートに、インクジェット方式により印刷された
シートからなる装飾用シート。
【請求項５】請求項１または２に記載のインクジェット
記録用シートに、インクジェット方式により印刷された
シートからなる広告用シート。
【請求項６】請求項１または２に記載のインクジェット
記録用シートに、インクジェット方式により印刷された
シートからなる建築用シート。
【請求項７】請求項１または２に記載のインクジェット
記録用シートに、インクジェット方式により印刷された
シートからなる衣料用シート。