JP2001003123A - 含油軸受用焼結合金およびその製造方法 - Google Patents
含油軸受用焼結合金およびその製造方法Info
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- JP2001003123A JP2001003123A JP11172971A JP17297199A JP2001003123A JP 2001003123 A JP2001003123 A JP 2001003123A JP 11172971 A JP11172971 A JP 11172971A JP 17297199 A JP17297199 A JP 17297199A JP 2001003123 A JP2001003123 A JP 2001003123A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 音響・映像機器などに好適な青銅系焼結含油
軸受に関し、従来のものよりも軸とのなじみ性がよく摩
擦抵抗の低い軸受を開発すること。 【解決手段】 従来の青銅合金よりも錫の含有量が1〜
6%と少ない青銅粉末を主体とし、これに重量比で鉄粉
5〜15%と炭素O.3〜1%を配合して所要の形状に
成形後、450〜650℃の低温で焼結する。従来より
も軟質の青銅基地中に再適量の鉄粒子と黒鉛粒子が斑に
分散した金属組織となり、所要の耐久性を備え乍ら軸と
のなじみ性がよく、モーターの消費電流の少ない軸受が
得られる。
軸受に関し、従来のものよりも軸とのなじみ性がよく摩
擦抵抗の低い軸受を開発すること。 【解決手段】 従来の青銅合金よりも錫の含有量が1〜
6%と少ない青銅粉末を主体とし、これに重量比で鉄粉
5〜15%と炭素O.3〜1%を配合して所要の形状に
成形後、450〜650℃の低温で焼結する。従来より
も軟質の青銅基地中に再適量の鉄粒子と黒鉛粒子が斑に
分散した金属組織となり、所要の耐久性を備え乍ら軸と
のなじみ性がよく、モーターの消費電流の少ない軸受が
得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は例えば音響・映像
機器などの軸受に好適な、軸とのなじみ性がよく摩擦抵
抗の低い焼結含油軸受に関するものである。
機器などの軸受に好適な、軸とのなじみ性がよく摩擦抵
抗の低い焼結含油軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼結含油軸受は多孔質焼結合金に潤滑油
を容積比で10〜30%,通常20%程度含ませたもの
で、その材質には大別して青銅系と鉄系(鉄−銅系)が
ある。後者は前者に比べて強度が高く価格は安い長所の
半面錆び易く、相手部材の軸を摩耗させ易い短所をもっ
ている。また、焼結含油軸受は滑り軸受の一種であるが
その多孔質のために潤滑形態が境界潤滑に近く、摺動面
における面圧P,周速度V,および両者の積であるPV
値に制限がある。軸受の材質が硬いと軸の摩耗が促進さ
れ易く、一方、柔らか過ぎると摺動面の表層が塑性変形
し易くなり、その結果、摺動面に開口する含油孔が閉塞
されて給油不足を来たすことになる。
を容積比で10〜30%,通常20%程度含ませたもの
で、その材質には大別して青銅系と鉄系(鉄−銅系)が
ある。後者は前者に比べて強度が高く価格は安い長所の
半面錆び易く、相手部材の軸を摩耗させ易い短所をもっ
ている。また、焼結含油軸受は滑り軸受の一種であるが
その多孔質のために潤滑形態が境界潤滑に近く、摺動面
における面圧P,周速度V,および両者の積であるPV
値に制限がある。軸受の材質が硬いと軸の摩耗が促進さ
れ易く、一方、柔らか過ぎると摺動面の表層が塑性変形
し易くなり、その結果、摺動面に開口する含油孔が閉塞
されて給油不足を来たすことになる。
【0003】殊にその用途が携帯型の音響・映像機器な
どの場合、小型で比較的軽負荷ではあるが、これらの機
器では電源として電池を用いているために電池の寿命を
延長させることが重要な課題になっている。そのため機
器自体の小型軽量化や駆動系全般の抵抗軽減が図られて
いるが、軸受についてもノイズの低減その他一般的な軸
受特性の改善はもとより、例えばキャプスタン軸受のよ
うな用途では、軸とのなじみ性がよく、安定した軸の回
転が保証され、摩擦抵抗が低くモーターの消費電流の少
ないことが特に要望されている。
どの場合、小型で比較的軽負荷ではあるが、これらの機
器では電源として電池を用いているために電池の寿命を
延長させることが重要な課題になっている。そのため機
器自体の小型軽量化や駆動系全般の抵抗軽減が図られて
いるが、軸受についてもノイズの低減その他一般的な軸
受特性の改善はもとより、例えばキャプスタン軸受のよ
うな用途では、軸とのなじみ性がよく、安定した軸の回
転が保証され、摩擦抵抗が低くモーターの消費電流の少
ないことが特に要望されている。
【0004】しかし、この様な厳しい要望に応えること
は単純な組織の合金では殆ど不可能なので、鉄系の部分
と青銅系の部分とが混在する組織にして両者の長所の兼
備を図ったり、さらに、潤滑機能を一層高めるために黒
鉛,二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を分散させた焼
結合金が種々試みられてきた。その一例として、特開昭
56−90954号に所載の焼結合金がある。
は単純な組織の合金では殆ど不可能なので、鉄系の部分
と青銅系の部分とが混在する組織にして両者の長所の兼
備を図ったり、さらに、潤滑機能を一層高めるために黒
鉛,二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を分散させた焼
結合金が種々試みられてきた。その一例として、特開昭
56−90954号に所載の焼結合金がある。
【0005】これは鉄粉に重量比で青銅合金粉10〜8
5%および必要に応じて黒鉛などの固体潤滑剤3%以下
を混合して成形し、温度800〜950℃で焼結したも
のであって、焼結時に青銅の一部が鉄と共晶して鉄を被
覆した状態になり、鉄系本来の機械的性質と青銅系の勝
れたなじみ性を兼ねるというものである。
5%および必要に応じて黒鉛などの固体潤滑剤3%以下
を混合して成形し、温度800〜950℃で焼結したも
のであって、焼結時に青銅の一部が鉄と共晶して鉄を被
覆した状態になり、鉄系本来の機械的性質と青銅系の勝
れたなじみ性を兼ねるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】然るに機器側の改良が
進むにつれて、従来の軸受では年々高くなる要求水準を
満足しないようになり、特に摩擦抵抗の一層の低減が急
務になってきた。一方、これらの機器が様々な環境、例
えば高温の場所とか潤滑油の粘度が上昇し抵抗が増すよ
うな低温の場所にも携帯され用いられることに伴い、機
器に組み込まれる焼結含油軸受の軸受特性の向上には軸
受自体の改良だけでなく、軸受に含浸する潤滑油の選択
・改良も大きな意味をもってきた。この様な観点から先
に発明者は特願平5−212271号(特開平7−48
588号)において、特定の成分を含有するシリコーン
系合成潤滑油を用いることにより温度変化に伴う特性変
動を軽減できることを開示したが、今回は軸受自体につ
いて、軸とのなじみ性や消費電流などの一層の改良を図
ったものである。
進むにつれて、従来の軸受では年々高くなる要求水準を
満足しないようになり、特に摩擦抵抗の一層の低減が急
務になってきた。一方、これらの機器が様々な環境、例
えば高温の場所とか潤滑油の粘度が上昇し抵抗が増すよ
うな低温の場所にも携帯され用いられることに伴い、機
器に組み込まれる焼結含油軸受の軸受特性の向上には軸
受自体の改良だけでなく、軸受に含浸する潤滑油の選択
・改良も大きな意味をもってきた。この様な観点から先
に発明者は特願平5−212271号(特開平7−48
588号)において、特定の成分を含有するシリコーン
系合成潤滑油を用いることにより温度変化に伴う特性変
動を軽減できることを開示したが、今回は軸受自体につ
いて、軸とのなじみ性や消費電流などの一層の改良を図
ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明に係る焼結
合金は、通常の青銅系含油軸受の錫含有量8〜11%に
比べて錫の含有量が1〜6%と低く軟質の青銅を主体と
し、この青銅,またはこれにその半量以下の銅が混在す
る基地中に、鉄粒子と黒鉛粒子とが拡散せずに斑に分散
していることを骨子とするものである。そしてこの様な
金属組織にするため、製造条件は錫の含有量が1〜6%
の青銅粉を主原料とし、青銅系の通常の焼結温度より低
温の450〜650℃の温度で焼結する点に特徴があ
る。
合金は、通常の青銅系含油軸受の錫含有量8〜11%に
比べて錫の含有量が1〜6%と低く軟質の青銅を主体と
し、この青銅,またはこれにその半量以下の銅が混在す
る基地中に、鉄粒子と黒鉛粒子とが拡散せずに斑に分散
していることを骨子とするものである。そしてこの様な
金属組織にするため、製造条件は錫の含有量が1〜6%
の青銅粉を主原料とし、青銅系の通常の焼結温度より低
温の450〜650℃の温度で焼結する点に特徴があ
る。
【0008】この発明に係る第1の焼結合金は全体組成
が錫0.8〜5.7%,鉄5〜15%,炭素0.3〜1
%および銅残部からなり、金属組織は錫の含有量1〜6
%のCu−Sn合金(青銅)の基地中に、5〜15%の
鉄粒子と0.3〜1%の黒鉛粒子が斑に分散した組織を
呈することを特徴とするものである。なお焼結金属の常
として原材料に由来する微量の不純物は避け難く、この
発明の合金でも青銅粉由来のP,Ζn,Pbとか鉄粉由
来のMn,Siなどが含まれることがあるが、その量が
0.5%以下ならば、合金の特性への影響は無いので許
容される。なおこの明細書中の成分組成に関する%は、
特に断わらない限り全て重量%である。
が錫0.8〜5.7%,鉄5〜15%,炭素0.3〜1
%および銅残部からなり、金属組織は錫の含有量1〜6
%のCu−Sn合金(青銅)の基地中に、5〜15%の
鉄粒子と0.3〜1%の黒鉛粒子が斑に分散した組織を
呈することを特徴とするものである。なお焼結金属の常
として原材料に由来する微量の不純物は避け難く、この
発明の合金でも青銅粉由来のP,Ζn,Pbとか鉄粉由
来のMn,Siなどが含まれることがあるが、その量が
0.5%以下ならば、合金の特性への影響は無いので許
容される。なおこの明細書中の成分組成に関する%は、
特に断わらない限り全て重量%である。
【0009】また、第2の焼結合金は全体組成が錫0.
4〜5.7%,鉄5〜15%,炭素0.3〜1%および
銅残部からなり、金属組織は、錫の含有量1〜6%のC
u−Sn合金(青銅)とこの青銅の半量以下の銅が混在
する基地中に、5〜15%の鉄粒子と0.3〜1%の黒
鉛粒子が斑に分散した組織を呈することを特徴としてい
る。即ち第2の焼結合金は、第1のものにおける青銅基
地の一部(半量以下)が銅で置換され、青銅相と銅相と
が混在して基地を形成している訳である。これらの焼結
合金による含油軸受は、比較的高温の環境でも使用する
ことができる。
4〜5.7%,鉄5〜15%,炭素0.3〜1%および
銅残部からなり、金属組織は、錫の含有量1〜6%のC
u−Sn合金(青銅)とこの青銅の半量以下の銅が混在
する基地中に、5〜15%の鉄粒子と0.3〜1%の黒
鉛粒子が斑に分散した組織を呈することを特徴としてい
る。即ち第2の焼結合金は、第1のものにおける青銅基
地の一部(半量以下)が銅で置換され、青銅相と銅相と
が混在して基地を形成している訳である。これらの焼結
合金による含油軸受は、比較的高温の環境でも使用する
ことができる。
【0010】これらの合金の勝れた軸受特性は上述の金
属組織から得られるものであって、若し鉄粉への銅の拡
散,銅粉への錫の拡散などが生じた場合は、所望の特性
には達しない。そこでこれらの合金の製造方法として
は、焼結中の液相発生を避けるため錫の含有量1〜6%
の青銅粉末,またはこの青銅粉末とその半量以下の銅粉
との混合粉末に鉄粉5〜15%と黒鉛粉0.3〜1%を
配合して軸受所定の円筒状に成形した圧粉体を450〜
650℃の低温度で焼結する。焼結雰囲気は青銅系合金
の焼結に通常用いられるものを適宜に選択できるが、水
素ガスまたは水素と窒素の混合ガスが好ましい。また成
形時の潤滑法は押型潤滑でもよいが、粉末潤滑剤の添加
によるのが簡便で好ましい。
属組織から得られるものであって、若し鉄粉への銅の拡
散,銅粉への錫の拡散などが生じた場合は、所望の特性
には達しない。そこでこれらの合金の製造方法として
は、焼結中の液相発生を避けるため錫の含有量1〜6%
の青銅粉末,またはこの青銅粉末とその半量以下の銅粉
との混合粉末に鉄粉5〜15%と黒鉛粉0.3〜1%を
配合して軸受所定の円筒状に成形した圧粉体を450〜
650℃の低温度で焼結する。焼結雰囲気は青銅系合金
の焼結に通常用いられるものを適宜に選択できるが、水
素ガスまたは水素と窒素の混合ガスが好ましい。また成
形時の潤滑法は押型潤滑でもよいが、粉末潤滑剤の添加
によるのが簡便で好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明に係る焼結合金では基地
の主体となる青銅に錫の含有量が低く軟質のものを用い
て軸の摩耗や軸とのなじみ性を改善する一方、この基地
中に鉄を分散させて比較的硬質相の役割をもたせ、材質
の強化や、摺動面の塑性変形の防止を図っている。この
場合、青銅中の錫の含有量が1%未満では柔らか過ぎて
軸受の摩耗が多くなり、一方、6%を越えると硬くなり
過ぎて軸の摩耗が増し、なじみ性も低下するため青銅中
の錫含有量は1〜6%に限定される。
の主体となる青銅に錫の含有量が低く軟質のものを用い
て軸の摩耗や軸とのなじみ性を改善する一方、この基地
中に鉄を分散させて比較的硬質相の役割をもたせ、材質
の強化や、摺動面の塑性変形の防止を図っている。この
場合、青銅中の錫の含有量が1%未満では柔らか過ぎて
軸受の摩耗が多くなり、一方、6%を越えると硬くなり
過ぎて軸の摩耗が増し、なじみ性も低下するため青銅中
の錫含有量は1〜6%に限定される。
【0012】また、銅は上記の青銅より柔らかいので、
青銅基地の一部を銅で置換した第2発明の焼結合金は、
なじみ性や電池の寿命が特に重視される用途に適してい
る。ただし、過剰の銅は材質を過度に軟化させるので、
青銅の過半を置換することは不適当である。銅の量を青
銅の半分近くまで多くする場合は、青銅の組成は釣り合
い上、比較的硬めの錫含有量5〜6%とするのが望まし
い。逆に青銅の錫含有量が1〜2%で且つ銅を併用する
場合は、銅の量は20%以下が望ましい。摺動負荷が少
ない用途では、青銅の錫含有量を3〜4%程度にするこ
とができる。
青銅基地の一部を銅で置換した第2発明の焼結合金は、
なじみ性や電池の寿命が特に重視される用途に適してい
る。ただし、過剰の銅は材質を過度に軟化させるので、
青銅の過半を置換することは不適当である。銅の量を青
銅の半分近くまで多くする場合は、青銅の組成は釣り合
い上、比較的硬めの錫含有量5〜6%とするのが望まし
い。逆に青銅の錫含有量が1〜2%で且つ銅を併用する
場合は、銅の量は20%以下が望ましい。摺動負荷が少
ない用途では、青銅の錫含有量を3〜4%程度にするこ
とができる。
【0013】また、基地中に分散する鉄が5%未満では
硬質相としての効果が充分でなく、一方、15%を越え
ると軸の摩耗が増しなじみ性も低下するため、基地中に
分散させる鉄の量は5〜15%に限定される。全般的な
傾向として、鉄が多くなると相手部材(軸)の摩耗が多
くなり、逆に青銅が多くなると自己(軸受)の摩耗が多
くなる傾向にある。そして青銅と鉄の割合が上記の範囲
内のとき、軸受特性は望ましい均衡を保っている。
硬質相としての効果が充分でなく、一方、15%を越え
ると軸の摩耗が増しなじみ性も低下するため、基地中に
分散させる鉄の量は5〜15%に限定される。全般的な
傾向として、鉄が多くなると相手部材(軸)の摩耗が多
くなり、逆に青銅が多くなると自己(軸受)の摩耗が多
くなる傾向にある。そして青銅と鉄の割合が上記の範囲
内のとき、軸受特性は望ましい均衡を保っている。
【0014】基地中に分散させた鉄が基地と拡散合金化
すると、なじみ性や電池寿命の劣化を招くので、低温で
の固相焼結によりこれを防ぐ必要がある。焼結温度45
0〜650℃は固相焼結の領域であり、青銅と鉄との拡
散が極めて少ない合金が得られる。この温度範囲で焼結
した焼結体を顕微鏡で観察すると、単純に各相が分散し
た金属組織で、鉄粒子への銅や錫の拡散は殆ど認められ
ない。焼結温度は焼結体の機械的性質の点では高いほど
よいが、650℃が鉄への銅の拡散を生じない限界なの
で、それに近い600℃程度が最適である。一方、45
0℃未満の温度では焼結が不充分で強度が低く軸受とし
ての使用に耐えない。従って焼結温度は450〜650
℃に限定される。
すると、なじみ性や電池寿命の劣化を招くので、低温で
の固相焼結によりこれを防ぐ必要がある。焼結温度45
0〜650℃は固相焼結の領域であり、青銅と鉄との拡
散が極めて少ない合金が得られる。この温度範囲で焼結
した焼結体を顕微鏡で観察すると、単純に各相が分散し
た金属組織で、鉄粒子への銅や錫の拡散は殆ど認められ
ない。焼結温度は焼結体の機械的性質の点では高いほど
よいが、650℃が鉄への銅の拡散を生じない限界なの
で、それに近い600℃程度が最適である。一方、45
0℃未満の温度では焼結が不充分で強度が低く軸受とし
ての使用に耐えない。従って焼結温度は450〜650
℃に限定される。
【0015】基地中に分散させる黒鉛は固体潤滑剤とし
て減摩作用を奏するもので、同様に機能するものには二
硫化モリブデン,硫化マンガン,窒化硼素,鉛および鉛
合金などがあるが、コスト面や公害防止の観点から、こ
の発明では黒鉛を採択した。配合された黒鉛は、この発
明の特徴とする450〜650℃の低温焼結では拡散せ
ずにそのまま基地中に散在し、その減摩作用は含有量が
0.3%以上で明確に認められ、効果の大小は含有量に
伴う。ただし含有量が1%を越えると合金中に占める容
積が過大になって強度その他の機械的性質が劣化するた
め、黒鉛の適正量を0.3〜1%に限定する。
て減摩作用を奏するもので、同様に機能するものには二
硫化モリブデン,硫化マンガン,窒化硼素,鉛および鉛
合金などがあるが、コスト面や公害防止の観点から、こ
の発明では黒鉛を採択した。配合された黒鉛は、この発
明の特徴とする450〜650℃の低温焼結では拡散せ
ずにそのまま基地中に散在し、その減摩作用は含有量が
0.3%以上で明確に認められ、効果の大小は含有量に
伴う。ただし含有量が1%を越えると合金中に占める容
積が過大になって強度その他の機械的性質が劣化するた
め、黒鉛の適正量を0.3〜1%に限定する。
【0016】次にこの様な焼結合金の製造に使用する原
料粉について述べると、先ず基地を形成する青銅にはア
トマイズ青銅合金粉が適しているが、銅粉と錫粉の混合
粉を加熱して合金化(部分拡散合金化を含む)させ粉砕
した粉末を用いることも可能である。鉄はアトマイズ鉄
粉でもよいが、還元鉄粉が好ましい。還元鉄粉は粉末の
形状が複雑なためその配合により圧粉体や焼結体の強度
が増し、軸受の耐久性が向上する。銅はアトマイズ銅
粉,電解銅粉の何れでもよい。黒鉛は通常の天然黒鉛が
用いられる。
料粉について述べると、先ず基地を形成する青銅にはア
トマイズ青銅合金粉が適しているが、銅粉と錫粉の混合
粉を加熱して合金化(部分拡散合金化を含む)させ粉砕
した粉末を用いることも可能である。鉄はアトマイズ鉄
粉でもよいが、還元鉄粉が好ましい。還元鉄粉は粉末の
形状が複雑なためその配合により圧粉体や焼結体の強度
が増し、軸受の耐久性が向上する。銅はアトマイズ銅
粉,電解銅粉の何れでもよい。黒鉛は通常の天然黒鉛が
用いられる。
【0017】(実施例1) 先ず原材料として粒度10
0メッシュ以下で錫5%含有のアトマイズ青銅粉,粒度
100メッシュ以下の還元鉄粉,粒度150メッシュ以
下の電解銅粉,粒度250メッシュ以下のアトマイズ錫
粉および粒度250メッシュ以下の鱗片状黒鉛粉、それ
に粉末潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉を用意した。な
お粉末粒度の表示は、ここでは100メッシュのふるい
を通過したものを粒度100メッシュ以下と表示してあ
る。この青銅粉に鉄粉12%と黒鉛粉0.8%を配合
し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加して混合機で充分
混合した混合粉を粉末成形機に掛け、内径3.53m
m,外径7mm,長さが5mmの円筒状圧粉体を成形し
た。成形圧力は3t/cm2 ,圧粉密度は6.9g/c
m3 である。
0メッシュ以下で錫5%含有のアトマイズ青銅粉,粒度
100メッシュ以下の還元鉄粉,粒度150メッシュ以
下の電解銅粉,粒度250メッシュ以下のアトマイズ錫
粉および粒度250メッシュ以下の鱗片状黒鉛粉、それ
に粉末潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉を用意した。な
お粉末粒度の表示は、ここでは100メッシュのふるい
を通過したものを粒度100メッシュ以下と表示してあ
る。この青銅粉に鉄粉12%と黒鉛粉0.8%を配合
し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加して混合機で充分
混合した混合粉を粉末成形機に掛け、内径3.53m
m,外径7mm,長さが5mmの円筒状圧粉体を成形し
た。成形圧力は3t/cm2 ,圧粉密度は6.9g/c
m3 である。
【0018】次に、この圧粉体をアンモニア分解ガス中
600℃で30分間焼結して所定の寸法精度にサイジン
グ後、40℃における動粘度が80mm2 /秒,粘度指
数が130のエーテル系合成潤滑油を含浸して試料1と
した。この試料の焼結密度は7.0g/cm3 ,含油率
(容積比;以下同じ)は19%である。そして試料の金
属組織を鏡検すると、大部分が青銅合金相でその中に気
孔(含油孔)と大小の鉄粒子が分散し、所々に黒鉛粒子
が点在している。大きな鉄粒子を観察しても、青銅との
拡散合金相は認められない。
600℃で30分間焼結して所定の寸法精度にサイジン
グ後、40℃における動粘度が80mm2 /秒,粘度指
数が130のエーテル系合成潤滑油を含浸して試料1と
した。この試料の焼結密度は7.0g/cm3 ,含油率
(容積比;以下同じ)は19%である。そして試料の金
属組織を鏡検すると、大部分が青銅合金相でその中に気
孔(含油孔)と大小の鉄粒子が分散し、所々に黒鉛粒子
が点在している。大きな鉄粒子を観察しても、青銅との
拡散合金相は認められない。
【0019】この試料1を軸受試験機に掛け、環境温度
60℃で50時間連続運転して軸受特性を試験した。回
転軸はステンレス鋼SUS420の焼き入れ材で、試験
前の面粗さ0.3μm,軸受との隙間5μm(半径差)
に仕上げてある。試験条件は軸へのラジアル負荷0.8
kg,回転数60rpm(周速度0.67m/分)で軸
については50時間運転後の面粗さを、軸受については
なじみ時間(運転開始後モーターの消費電流が安定する
までの所要時間;単位は分)と、安定状態での消費電流
(mA)を測定した。その結果、軸の面粗さは0.3μ
mで試験開始前と変わらず、なじみ時間は30分間,消
費電流は120mAであった。ちなみに軸の面粗さは摩
耗の程度を表わすので数値が小さいほど,なじみ時間も
短いほど良い。消費電流は少ないほど摩擦抵抗が小さい
ことを意味し、電池駆動の場合は電池寿命が長くなる。
そして上記の結果は、要求仕様を充分に満たしている。
60℃で50時間連続運転して軸受特性を試験した。回
転軸はステンレス鋼SUS420の焼き入れ材で、試験
前の面粗さ0.3μm,軸受との隙間5μm(半径差)
に仕上げてある。試験条件は軸へのラジアル負荷0.8
kg,回転数60rpm(周速度0.67m/分)で軸
については50時間運転後の面粗さを、軸受については
なじみ時間(運転開始後モーターの消費電流が安定する
までの所要時間;単位は分)と、安定状態での消費電流
(mA)を測定した。その結果、軸の面粗さは0.3μ
mで試験開始前と変わらず、なじみ時間は30分間,消
費電流は120mAであった。ちなみに軸の面粗さは摩
耗の程度を表わすので数値が小さいほど,なじみ時間も
短いほど良い。消費電流は少ないほど摩擦抵抗が小さい
ことを意味し、電池駆動の場合は電池寿命が長くなる。
そして上記の結果は、要求仕様を充分に満たしている。
【0020】(実施例2) 原材料には実施例1と同じ
ものを用い、青銅粉に鉄粉12%,黒鉛粉0.8%およ
び銅粉22%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添
加した混合粉を実施例1と同様にして成形,焼結,サイ
ジングおよび含油処理を施して試料2とした。この試料
は、実施例1の合金(第1の発明)で基地を形成する青
銅の約1/3を銅で置換したもので、その焼結密度と含
油率は試料1の場合と同一である。この試料の金属組織
は基地の大部分が青銅合金相で、赤味がかった銅相が分
散している。気孔,鉄粒子,黒鉛の状況は試料1と同様
で、銅への錫の拡散相および鉄粒子への銅の拡散相は見
られない。
ものを用い、青銅粉に鉄粉12%,黒鉛粉0.8%およ
び銅粉22%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添
加した混合粉を実施例1と同様にして成形,焼結,サイ
ジングおよび含油処理を施して試料2とした。この試料
は、実施例1の合金(第1の発明)で基地を形成する青
銅の約1/3を銅で置換したもので、その焼結密度と含
油率は試料1の場合と同一である。この試料の金属組織
は基地の大部分が青銅合金相で、赤味がかった銅相が分
散している。気孔,鉄粒子,黒鉛の状況は試料1と同様
で、銅への錫の拡散相および鉄粒子への銅の拡散相は見
られない。
【0021】この試料2の軸受特性を実施例1と同様に
して試験したところ、軸の面粗さは0.2μm,なじみ
時間は20分間,消費電流は130mAであり、なじみ
性の面では試料1よりも若干勝れている。ちなみに、こ
の発明のような分散型焼結合金の全体組成は金属組織を
形成する各相の成分組成およびその割合,換言すれば原
材料の成分組成とその配合割合に基づいて定まるもの
で、試料2の場合、その全体組成は錫3.3%,鉄12
%,炭素0.8%および銅残部となる。
して試験したところ、軸の面粗さは0.2μm,なじみ
時間は20分間,消費電流は130mAであり、なじみ
性の面では試料1よりも若干勝れている。ちなみに、こ
の発明のような分散型焼結合金の全体組成は金属組織を
形成する各相の成分組成およびその割合,換言すれば原
材料の成分組成とその配合割合に基づいて定まるもの
で、試料2の場合、その全体組成は錫3.3%,鉄12
%,炭素0.8%および銅残部となる。
【0022】(実施例3) 錫の含有量2%のアトマイ
ズ青銅粉を別途用意し、この青銅粉に鉄粉12%と黒鉛
粉0.8%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加
した混合粉を実施例1と同じ条件で成形,焼結,サイジ
ングおよび含油処理を施して試料3とした。この試料は
実施例1における青銅粉を錫が少ないものと置換したも
ので、その焼結密度は6.95g/cm3 ,含油率は1
9.5%である。この試料3の金属組織は実施例1にお
ける試料1と実質的に変わらない。そしてこの試料の軸
受特性を実施例1と同様にして試験した結果は軸の面粗
さ0.3μm,なじみ時間25分間,消費電流130m
Aであって、全体として試料1と同等の水準にある。
ズ青銅粉を別途用意し、この青銅粉に鉄粉12%と黒鉛
粉0.8%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加
した混合粉を実施例1と同じ条件で成形,焼結,サイジ
ングおよび含油処理を施して試料3とした。この試料は
実施例1における青銅粉を錫が少ないものと置換したも
ので、その焼結密度は6.95g/cm3 ,含油率は1
9.5%である。この試料3の金属組織は実施例1にお
ける試料1と実質的に変わらない。そしてこの試料の軸
受特性を実施例1と同様にして試験した結果は軸の面粗
さ0.3μm,なじみ時間25分間,消費電流130m
Aであって、全体として試料1と同等の水準にある。
【0023】(比較例1) 先ず、混合粉の配合割合お
よび圧粉体の形状寸法は実施例1と同一の圧粉体を成形
した。次に、この圧粉体をアンモニア分解ガス中700
℃で30分間焼結後、実施例1と同様にサイジングおよ
び含油処理を施して試料4とした。この試料は焼結密度
7.05g/cm3 ,含油率18.5%である。この試
料4の軸受特性を実施例1と同様にして試験したとこ
ろ、軸の面粗さは0.8μm,なじみ時間は60分間,
消費電流は150mAであって、どの項目も実施例の試
料1〜3に比べて特性が低くなっている。その理由は、
合金の成分組成は実施例1のものと同一であるが、この
発明の設定範囲よりも若干高い温度で焼結したために合
金化が進行して焼結密度の上昇,鉄粒子の表層部に生じ
た拡散合金相による部分的硬化などを招いたことによる
と考えられる。
よび圧粉体の形状寸法は実施例1と同一の圧粉体を成形
した。次に、この圧粉体をアンモニア分解ガス中700
℃で30分間焼結後、実施例1と同様にサイジングおよ
び含油処理を施して試料4とした。この試料は焼結密度
7.05g/cm3 ,含油率18.5%である。この試
料4の軸受特性を実施例1と同様にして試験したとこ
ろ、軸の面粗さは0.8μm,なじみ時間は60分間,
消費電流は150mAであって、どの項目も実施例の試
料1〜3に比べて特性が低くなっている。その理由は、
合金の成分組成は実施例1のものと同一であるが、この
発明の設定範囲よりも若干高い温度で焼結したために合
金化が進行して焼結密度の上昇,鉄粒子の表層部に生じ
た拡散合金相による部分的硬化などを招いたことによる
と考えられる。
【0024】(比較例2) 先ず原材料は実施例1の場
合と同じものを用い、混合粉の配合割合を鉄粉のみ15
%に変更して圧粉体の形状寸法は実施例1と同一の圧粉
体を成形した。次にこの圧粉体をアンモニア分解ガス中
820℃で30分間焼結後、実施例1と同様にサイジン
グおよび含油処理を施して試料5とした。この試料は青
銅系合金の通常の焼結温度で焼結したもので、焼結密度
は7.1g/cm3 ,含油率は18%である。この試料
5の軸受特性を実施例1と同様にして試験した結果は軸
の面粗さ1.0μm,なじみ時間70分間,消費電流1
60mAであって、試料4に比べても若干劣っている。
その理由は高温焼結のために、試料4の場合よりも一段
と拡散合金化が進行したことにあると考えられる。
合と同じものを用い、混合粉の配合割合を鉄粉のみ15
%に変更して圧粉体の形状寸法は実施例1と同一の圧粉
体を成形した。次にこの圧粉体をアンモニア分解ガス中
820℃で30分間焼結後、実施例1と同様にサイジン
グおよび含油処理を施して試料5とした。この試料は青
銅系合金の通常の焼結温度で焼結したもので、焼結密度
は7.1g/cm3 ,含油率は18%である。この試料
5の軸受特性を実施例1と同様にして試験した結果は軸
の面粗さ1.0μm,なじみ時間70分間,消費電流1
60mAであって、試料4に比べても若干劣っている。
その理由は高温焼結のために、試料4の場合よりも一段
と拡散合金化が進行したことにあると考えられる。
【0025】(比較例3) 先ず原材料は実施例1と同
じものを用い、青銅粉に鉄粉12%を配合し、ステアリ
ン酸亜鉛を0.3%添加した混合粉を実施例1と同一の
形状寸法に成形した。次にこの圧粉体を焼結条件その他
実施例1と同様にして焼結,サイジングおよび含油処理
を施して試料6とした。この試料は試料1から黒鉛を省
いたもので、焼結密度は7.05g/cm3 ,含油率は
19%である。そしてこの試料6の金属組織は、基地中
に黒鉛粒子が存在しないことを除き、試料1の場合と同
様の組織を示している。
じものを用い、青銅粉に鉄粉12%を配合し、ステアリ
ン酸亜鉛を0.3%添加した混合粉を実施例1と同一の
形状寸法に成形した。次にこの圧粉体を焼結条件その他
実施例1と同様にして焼結,サイジングおよび含油処理
を施して試料6とした。この試料は試料1から黒鉛を省
いたもので、焼結密度は7.05g/cm3 ,含油率は
19%である。そしてこの試料6の金属組織は、基地中
に黒鉛粒子が存在しないことを除き、試料1の場合と同
様の組織を示している。
【0026】この試料6の軸受特性を実施例1と同様に
して試験したところ、軸の面粗さは1.0μm,なじみ
時間は70分間,消費電流は160mAで、試料1に比
べてかなり劣っている。その理由は、この試験における
摺動面の潤滑状態が境界潤滑主体のため、黒鉛粒子によ
る固体潤滑作用の有無の影響が顕著に現われたものと考
えられる。
して試験したところ、軸の面粗さは1.0μm,なじみ
時間は70分間,消費電流は160mAで、試料1に比
べてかなり劣っている。その理由は、この試験における
摺動面の潤滑状態が境界潤滑主体のため、黒鉛粒子によ
る固体潤滑作用の有無の影響が顕著に現われたものと考
えられる。
【0027】(比較例4) 原材料には実施例1と同じ
ものを用い、青銅粉に鉄粉20%,黒鉛粉0.8%を配
合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加した混合粉を実
施例1と同様にして成形,焼結,サイジングおよび含油
処理を施して試料7とした。この試料は、実施例1にお
ける混合粉の配合割合を鉄粉のみ20%と多量に配合し
たもので、その焼結密度は6.95g/cm3 ,含油率
は19.5%である。この試料7の金属組織は、基地中
に分散している鉄粒子が多いことを除けば同じ温度で焼
結した試料1と実質的に同一で、鉄粒子と青銅の拡散合
金相も認められない。
ものを用い、青銅粉に鉄粉20%,黒鉛粉0.8%を配
合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加した混合粉を実
施例1と同様にして成形,焼結,サイジングおよび含油
処理を施して試料7とした。この試料は、実施例1にお
ける混合粉の配合割合を鉄粉のみ20%と多量に配合し
たもので、その焼結密度は6.95g/cm3 ,含油率
は19.5%である。この試料7の金属組織は、基地中
に分散している鉄粒子が多いことを除けば同じ温度で焼
結した試料1と実質的に同一で、鉄粒子と青銅の拡散合
金相も認められない。
【0028】ところが、この試料7の軸受特性を実施例
1と同様にして試験した結果は軸の面粗さ1.4μm,
なじみ時間80分間,消費電流160mAで試料1の場
合に比べて軸の摩耗が増し、なじみ性も低下している。
これは青銅よりは幾分硬質な鉄の割合が多くなっている
ためと考えられる。この様に材質の僅かな差違がその軸
受特性に大きく影響する事実は、摺動現象の複雑で微妙
な性格を示している。
1と同様にして試験した結果は軸の面粗さ1.4μm,
なじみ時間80分間,消費電流160mAで試料1の場
合に比べて軸の摩耗が増し、なじみ性も低下している。
これは青銅よりは幾分硬質な鉄の割合が多くなっている
ためと考えられる。この様に材質の僅かな差違がその軸
受特性に大きく影響する事実は、摺動現象の複雑で微妙
な性格を示している。
【0029】(比較例5) 先ず銅粉に錫粉4%と鉄粉
20%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加した
混合粉を実施例1と同様にして成形した。次にこの圧粉
体をアンモニア分解ガス中760℃で30分間焼結後、
実施例1と同様にサイジングおよび含油処理を施して試
料8とした。この試料は青銅粉の代わりに銅,錫を各単
味粉末で配合してそれに適する温度で焼結したものであ
って、その焼結密度は7.0g/cm3 ,含油率は19
%であり、焼結過程での液相の発生によって各試料の中
では焼結が最も進んでいる。
20%を配合し、ステアリン酸亜鉛を0.3%添加した
混合粉を実施例1と同様にして成形した。次にこの圧粉
体をアンモニア分解ガス中760℃で30分間焼結後、
実施例1と同様にサイジングおよび含油処理を施して試
料8とした。この試料は青銅粉の代わりに銅,錫を各単
味粉末で配合してそれに適する温度で焼結したものであ
って、その焼結密度は7.0g/cm3 ,含油率は19
%であり、焼結過程での液相の発生によって各試料の中
では焼結が最も進んでいる。
【0030】即ちその金属組織は大部分を占める青銅相
に錫含有量の多い灰色のδ相が点在し、基地中に分散す
る鉄粒子と青銅相との焼結が進行して鉄粒子に拡散合金
相が認められる。この試料8の軸受特性を実施例1と同
様にして試験した結果は軸の面粗さは1.8μm,なじ
み時間は100分間,消費電流は180mAであり、各
試料の中で特性が最も劣っている。これは、試料7と同
じく鉄粒子の量が多いことに加えてその拡散相や、前述
の硬いδ相が生成したためと考えられる。なお以上の実
施例1〜3(試料1〜3)および比較例1〜5(試料4
〜8)における各試料の原材料配合割合,焼結温度,試
験結果などをまとめて表1に示した。
に錫含有量の多い灰色のδ相が点在し、基地中に分散す
る鉄粒子と青銅相との焼結が進行して鉄粒子に拡散合金
相が認められる。この試料8の軸受特性を実施例1と同
様にして試験した結果は軸の面粗さは1.8μm,なじ
み時間は100分間,消費電流は180mAであり、各
試料の中で特性が最も劣っている。これは、試料7と同
じく鉄粒子の量が多いことに加えてその拡散相や、前述
の硬いδ相が生成したためと考えられる。なお以上の実
施例1〜3(試料1〜3)および比較例1〜5(試料4
〜8)における各試料の原材料配合割合,焼結温度,試
験結果などをまとめて表1に示した。
【0031】
【表1】
【発明の効果】以上に詳述したように、この発明に係る
青銅系焼結軸受は従来より軟質の青銅基地と、その中に
斑に分散する鉄粒子および黒鉛の硬さや割合が軸受,回
転軸の双方に最適な均衡状態にあるため従来のものに比
べて双方の摩耗が少ないこと,軸とのなじみ性がよいこ
と,摩擦抵抗が小さくモーターの消費電流が少ないこと
などの優れた効果があり、例えば音響・映像機器のキャ
プスタン軸受などに特に適している。
青銅系焼結軸受は従来より軟質の青銅基地と、その中に
斑に分散する鉄粒子および黒鉛の硬さや割合が軸受,回
転軸の双方に最適な均衡状態にあるため従来のものに比
べて双方の摩耗が少ないこと,軸とのなじみ性がよいこ
と,摩擦抵抗が小さくモーターの消費電流が少ないこと
などの優れた効果があり、例えば音響・映像機器のキャ
プスタン軸受などに特に適している。
Claims (4)
- 【請求項1】 全体組成が重量比にて錫0.8〜5.7
%,鉄5〜15%,炭素O.3〜1%および銅残部から
なり、合金の組織が、錫の含有量1〜6%のCu−Sn
合金基地中に、5〜15%の鉄粒子および0.3〜1%
の黒鉛粒子が斑に分散している組織を呈することを特徴
とする含油軸受用焼結合金。 - 【請求項2】 全体組成が重量比にて錫0.4〜5.7
%,鉄5〜15%,炭素0.3〜1%および銅残部から
なり、合金の組織が、錫の含有量1〜6%のCu−Sn
合金(青銅)とこの青銅の半量以下の銅とが混在する基
地中に、5〜15%の鉄粒子および0.3〜1%の黒鉛
粒子が斑に分散している組織を呈することを特徴とする
含油軸受用焼結合金。 - 【請求項3】 重量比にて、錫の含有量1〜6%の青銅
合金粉末に鉄粉5〜15%と黒鉛粉末0.3〜1%を配
合して所定の形状に圧粉成形し、温度450〜650℃
で焼結することを特徴とする、青銅合金基地中に5〜1
5%の鉄粒子および0.3〜1%の黒鉛粒子が斑に分散
した組織を呈する含油軸受用焼結合金の製造方法。 - 【請求項4】 重量比にて、錫の含有量1〜6%の青銅
合金粉末に鉄粉5〜15%,黒鉛粉末0.3〜1%およ
び青銅合金粉末の半量以下の銅粉を配合して所定の形状
に圧粉成形し、温度450〜650℃で焼結することを
特徴とする、青銅合金と銅が混在する基地中に5〜15
%の鉄粒子および0.3〜1%の黒鉛粒子が斑に分散し
た組織を呈する含油軸受用焼結合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11172971A JP2001003123A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 含油軸受用焼結合金およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11172971A JP2001003123A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 含油軸受用焼結合金およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001003123A true JP2001003123A (ja) | 2001-01-09 |
Family
ID=15951763
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11172971A Pending JP2001003123A (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 含油軸受用焼結合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001003123A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008136355A1 (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Komatsu Ltd. | 銅合金系摺動材料および銅合金系摺動部材 |
US20120328461A1 (en) * | 2008-06-11 | 2012-12-27 | AquaMotion, Inc. | Motor pump bearing |
JP2019002570A (ja) * | 2013-03-25 | 2019-01-10 | Ntn株式会社 | 振動モータ |
JP2019031738A (ja) * | 2013-04-09 | 2019-02-28 | Ntn株式会社 | 焼結軸受の製造方法 |
US10536048B2 (en) | 2013-03-25 | 2020-01-14 | Ntn Corporation | Method for manufacturing sintered bearing, sintered bearing, and vibration motor equipped with same |
CN115449660A (zh) * | 2022-08-31 | 2022-12-09 | 西安理工大学 | 超高Sn含量高致密度低偏析铜锡合金的制备方法 |
CN116174708A (zh) * | 2022-12-05 | 2023-05-30 | 中南大学 | 一种含流态化高效氧化纤维状铜粉的微型含油轴承材料 |
-
1999
- 1999-06-18 JP JP11172971A patent/JP2001003123A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008136355A1 (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Komatsu Ltd. | 銅合金系摺動材料および銅合金系摺動部材 |
GB2459427A (en) * | 2007-04-26 | 2009-10-28 | Komatsu Mfg Co Ltd | Copper alloy-based slide material, and copper alloy-based slide member |
GB2459427B (en) * | 2007-04-26 | 2012-04-04 | Komatsu Mfg Co Ltd | Copper alloy-based slide material, and copper alloy-based slide member |
US8557396B2 (en) | 2007-04-26 | 2013-10-15 | Komatsu Ltd. | Copper-alloy-based sliding material, and copper-alloy-based sliding member |
JP5575472B2 (ja) * | 2007-04-26 | 2014-08-20 | 株式会社小松製作所 | 銅合金系摺動材料および銅合金系摺動部材 |
US20120328461A1 (en) * | 2008-06-11 | 2012-12-27 | AquaMotion, Inc. | Motor pump bearing |
US9328736B2 (en) | 2008-06-11 | 2016-05-03 | AquaMotion, Inc. | Motor pump bearing |
JP2019002570A (ja) * | 2013-03-25 | 2019-01-10 | Ntn株式会社 | 振動モータ |
US10536048B2 (en) | 2013-03-25 | 2020-01-14 | Ntn Corporation | Method for manufacturing sintered bearing, sintered bearing, and vibration motor equipped with same |
JP2019031738A (ja) * | 2013-04-09 | 2019-02-28 | Ntn株式会社 | 焼結軸受の製造方法 |
CN115449660A (zh) * | 2022-08-31 | 2022-12-09 | 西安理工大学 | 超高Sn含量高致密度低偏析铜锡合金的制备方法 |
CN116174708A (zh) * | 2022-12-05 | 2023-05-30 | 中南大学 | 一种含流态化高效氧化纤维状铜粉的微型含油轴承材料 |
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Legal Events
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060831 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060831 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061219 |