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JP2000503532A - 遺伝子送達ビヒクル標的化リガンド - Google Patents

遺伝子送達ビヒクル標的化リガンド

Info

Publication number
JP2000503532A
JP2000503532A JP9-524442A JP52444297A JP2000503532A JP 2000503532 A JP2000503532 A JP 2000503532A JP 52444297 A JP52444297 A JP 52444297A JP 2000503532 A JP2000503532 A JP 2000503532A
Authority
JP
Japan
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vector
gene delivery
targeting
cells
delivery vehicle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9-524442A
Other languages
English (en)
Inventor
チャダ,サニル
バンクス,テレサ
ディー. ムーア,マーガレット
エム.ダブリュー. チャン,スティーブン
Original Assignee
カイロン コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カイロン コーポレイション filed Critical カイロン コーポレイション
Publication of JP2000503532A publication Critical patent/JP2000503532A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 MHCクラスI分子、MHCクラスII分予、またはβ2ミクログロブリン、および標的化リガンドから構成される融合タンパク質が開示される。このような融合タンパク質をコードする核酸分子ならびに適切な発現カセットおよび宿主細胞もまた、開示される。その表面に上記の融合タンパク質の1つを含む遺伝子送達ビヒクルを利用して、選択した細胞型に遺伝子送達ビヒクルを標的化するための方法もまた、提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝子送達ビヒクル標的化リガンド技術分野 本発明は、一般的には遺伝子送達ビビクルに関し、そしてより詳細には、遺伝 子送達ビヒクルを標的化するための方法に関する。発明の背景 1940年代のDNAの発見以来、そして最も最近の組換えDNA技術の時代を通して引 き続いて、疾患の経過が生体の核酸との相互関係を通して影響され得るという可 能性を理解するための実質的な調査が行われている。最も最近では、遺伝子を改 変するかまたはそれに影響を与えるための広範な種々の方法(例えば、レトロウ イルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、およびアデ ノ随伴ウイルスに由来するウイルスベクターを含む(Jolly,Cancer Gene Therap y1(l):51-64,1994を参照のこと))が記載されている。 レトロウイルスベクターのようなウイルスベクターを標的化するために、多数 の方法が試みられている。例えば、Nedaら(J.Bjo1.Chem.266(22):14143-1414 6,1991)は、インビトロでヒト肝細胞を標的化し得る生存能力のあるウイルス粒 子を産生するために、ラクトースをウイルス粒子に化学的に結合した。しかし、 このような方法は、適用可能性に制限があり、そして組織培養中の肝細胞を標的 化し得ることが示されているのみである。 他の人々は、特定の細胞型にウイルス粒子を標的化するために、抗体(Goudら 、Vjr.163:251-254,1988)または抗体フラグメント(Rouxら、PNAS86: 9070-908 3,1989; Etienne-Julanら、J.of Gen.Vir.73:3251-3255,1992)をウイルス 粒子に連結することを試みた。しかし、このような方法は、特定の細胞型へのレ トロウイルスの結合を生じるとはいえ、プロウイルス状態の樹立を生じなかった か(Goudらにおいて)、または低レベルの形質導入のみを生じた(RouxらおよびEti enneら)。さらに、これらの参考文献のいずれも、インビボで細胞に標的化する ためのそのような組成物の使用を記載しなかった。 ある細胞型に通常に感染するビヒクルを選択することにより、その細胞型を特 異的に標的化する他の試みもまた行われている。例えば、Shimadaら(J.Clin.I nvest.88: 1043-1047,1991)は、CD4+ T細胞を特異的に標的化するためのHIV遺 伝子移入系を開発した。しかし、このような系の有する1つの問題点は、これは ヘルパーウイルス(上記の場合はHIV)を産生し、それがこのようなベクター系 をヒトの処置のためには不適切にすることである。 他の科学者は、おそらくHIV感染T細胞を標的化する試み(Youngら、Science 2 50:1421,1990)において、CD4タンパク質を、ニワトリ白血病ウイルス膜貫通タ ンパク質またはマウス白血病ウイルスの膜貫通タンパク質とインフレームで同時 発現させた。CD4タンパク質はウイルスにより発現されたが、このようなウイル ス粒子がT標的細胞を形質導入し得ることを示す証拠は提供されなかった。 レトロウイルスのような組換え遺伝子送達ビヒクル(特にインビボで送達され るもの)をより特異的に標的化するために、本発明は、特定の特異的細胞表面分 子またはレセプターを保有する細胞を標的化し得る、組換え遺伝子送達ビヒクル を提供する。本発明は、これらならびに他の関連する利点を提供する。発明の要旨 簡潔に述べると、本発明は、選択した細胞または組織へ遺伝子送達ビヒクルを 標的化するための組成物および方法を提供する。本発明の1つの局面において、 MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、またはβ2ミクログロブリン、および標的 化リガンドを含む融合タンパク質が提供される。特定の実施態様において、標的 化リガンドは、抗体可変領域、メラニン細胞刺激ホルモンのようなホルモン、ま たはエリトロポエチンであり得る。 本発明の他の局面において、MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、またはβ2 ミクログロブリン、および高親和性結合対の1つのメンバーを含む融合タンパク 質が提供される。1つの実施態様において、高親和性結合対の1つのメンバーは 、アビジンである。 本発明によりまた、上記のようなタンパク質をコードする核酸分子(例えば、 DNA.RNA、またはこの2つの何らかの組合せ)、このような核酸分子の発現を指 向し得る発現カセット、およびこれらの発現カセットを含む宿主細胞が提供され る。 他の局面において、その表面上に上記の融合タンパク質の1つを有する遺伝子 送達ビヒクルが提供される。代表的な遺伝子送達ビヒクルは、組換えレトロウイ ルスおよびアルファウイルスを含む。関連する局面において、その表面上に異種 MHCクラスII分子を含むタンパク質を有する複製欠損レトロウイルスベクター粒 子が提供される。 他の局面において、gag/pol発現カセット、env発現カセット、および上記の融 合タンパク質の1つをコードする配列の発現を指向する発現カセットを含むパッ ケージング細胞株が提供される。このようなパッケージング細胞株および組換え レトロウイルスベクターを含むベクター産生細胞株もまた、提供される。 本発明の他の局面において、温血動物中の選択した細胞型に遺伝子送達ビヒク ルを標的化するための方法であって、温血動物へ上記の遺伝子送達ビヒクルの1 つを投与する工程を含む方法が提供される。関連する局面において、このような 方法は、(a)上記のような遺伝子送達ビヒクルを温血動物へ投与する工程、およ び(b)高親和性結合対の第2のメンバーに結合した標的化エレメントを温血動物 へ投与する工程であって、結合した標的化エレメントは、上記温血動物中の選択 した細胞型に特異的に結合し得、そして第2のメンバーは第1のメンバーに特異 的に結合し得、このようにして遺伝子送達ビヒクルは、選択した細胞型に標的化 される工程の一般的な工程を含む。 1つの実施態様において、高親和性結合対は、ビオチン/アビジン、シスタチ ン/パパイン、val-ホスホネート(val-phosphonate)/カルボキシーペプチダー ゼA、および4CABP/RuBisCoからなる群より選択される。別の実施態様において 、標的化エレメントは、抗体可変領域または免疫補助分子(immune accessory mo lecule)であり得る。他の実施態様において、遺伝子送達ビヒクルは、レトロウ イルスベクター粒子、またはリポソームもしくはポリカチオン縮合(condensed) 核酸であり得る。 本発明のさらなる実施態様において、遺伝子送達ビヒクルは、異種配列(例え ば、細胞傷害性タンパク質(例えば、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレ ラ毒素、ゲロニン(gelonin)、ヨウシュヤマゴボウ、抗ウイルスタンパク質、ト リチン(tritin)、Shigella毒素、およびPseudomonas体外毒素A)、アンチセン スもしくはリボザイム配列、または免疫補助分子(例えば、IL-2、IL-12、IL-15 、γ-インターフェロン、ICAM-l、ICAM-2、β-ミクログロビン、LFA3、ならびに HLAクラスI分子およびHLAクラスII分子)をコードする遺伝子)を含む。他の実 施態様において、異種配列は、細胞傷害性をほとんど有さないかまたは全く有さ ない化合物を毒性産物(例えば、HSVTKまたはVZVTK)に活性化する遺伝子産物を コードする。さらに他の実施態様において、異種配列は、第VIII因子、ADA、HPR T、CFTCR、およびLDLレセプターのようなタンパク質をコードする置換遺伝子で あり得る。さらに別の代替の実施態様において、異種配列は、HBV、HCV、HPV、E BV、FeLV、FIV、およひHIVからなる群より選択されるウイルスの免疫原性部分を コードし得る。 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な記載および添付の図面を参照 すれば明白となる。さらに、特定の手順または組成物(例えば、プラスミドなど )をより詳細に記載する種々の参考文献が以下に記載され、そして従って、各々 が個々に援用について示されるかのように、その全体が参考として援用される。図面の簡単な説明 図1は、pSC6の模式図である。 図2は、pSC6/HLA-A2の模式図である。 図3は、HLA-2テンプレートの代表的配列を提供する。 図4は、gp350/220ペプチドの代表的配列を提供する。 図5は、pCRII/350-A2の模式図である。 図6は、抗体可変領域の増幅のために選択されたPCRプライマーの位置の概略 図である。 図7は、pSC6/HLA-DRαの模式図である。 図8は、HLA DRテンプレートの代表的配列を提供する。 図9は、pSC6/EPO-β2 Mの模式図を提供する。発明の詳細な説明 本発明を説明する前に、本明細書中以下に使用される特定の用語の定義を説明 することは、その理解に役立ち得る。 「遺伝子送達ビヒクル」は、1つ以上の目的の遺伝子または配列を宿主細胞 内に送達し得、そして好ましい実施態様においてはそれを発現し得る構築物をい う。このようなビヒクルの代表的な例は、ウイルスベクター、核酸発現ベクター 、裸のDNA、および特定の真核生物細胞(例えば、プロデューサー細胞)を含む 。好ましくは、本発明の遺伝子送達ビヒクルは、約Xキロダルトンよりも大きな 分予量を有し、ここでXは、50、100、150、200、250、300、400、500、600、70 0、800、900、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、4,000、および5,000からな る群より選択される。本発明の種々の局面において、遺伝予送達ビヒクルは、遺 伝子送達ビヒクルの外部の肝要な部分として発現されるかまたは含まれるかのい ずれかの融合タンパク質(以下に議論)をその表面に有する。 「ベクター構築物」、「レトロウイルスベクター」、「組換えベクター」、 および「組換えレトロウイルスベクター」は、目的の核酸分子を有し、そして特 定の実施態様においては、その発現を指向し得る核酸構築物をいう。レトロウイ ルスベクターは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサーもしくは遺 伝子座決定エレメント、または他の手段(例えば、オルタナティブスプライシン グ、核RNA輸送、メッセンジャーの翻訳後修飾、もしくはタンパク質の翻訳後修 飾)により遺伝子発現を制御する他のエレメントを含まなければならない。この ようなベクター構築物はまた、パッケージングシグナル、長い末端反復配列(LTR )またはその一部、ならびに使用したレトロウイルスに適切なポジティブおよび ネガティブ鎖プライマー結合部位(これらがレトロウイルスベクター中にすでに 存在しているわけではない場合)を含まなければならない。必要に応じて、組換 えレトロウイルスベクターはまた、ポリアデニル化、選択マーカー(例えば、Ne o、TK、ハイグロマイシン、フレオマイシン、ヒスチジノール、またはDHFR)、 ならびに1つ以上の制限部位および翻訳終結配列を指向するシグナルを含み得る 。例示のために、このようなベクターは、典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、 パッ ケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および3' LTR、またはこれらの一 部を含む。 「組換えレトロウイルス」「レトロウイルス遺伝子送達ビヒクル」、および 「レトロウイルスベクター粒子」は、本発明において利用されるように、少なく とも1つの目的の遺伝子を有するレトロウイルスをいう。レトロウイルスは、選 択マーカーを含み得る。組換えレトロウイルスは、その遺伝物質をDNAに逆転写 し得、そして感染の際にこの遺伝物質を宿主細胞のDNA中に組み込み得る。 「核酸発現ベクター」または「発現カセット」は、目的の配列または遺伝子 の発現を指向し得るアセンブリをいう。核酸発現ベクターは、転写される場合に 、目的の配列または遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター、ならびにポリ アデニル化配列を含まなくてはならない。本発明の特定の実施態様において、本 明細書中に記載される核酸発現ベクターは、プラスミド構築物中に含まれ得る。 核酸発現ベクターの成分に加えて、プラスミド構築物はまた、細菌の複製起点、 1つ以上の選択マーカー、プラスミド構築物を1本鎖DNAとして存在させるシグ ナル)(例えば、Ml3複製起点)、マルチクローニング部位、および「哺乳動物 」の複製起点(例えば、SV40またはアデノウイルスの複製起点)を含み得る。 「パッケージング細胞」は、組換えレトロウイルスベクターが欠損している 感染性組換えレトロウイルスの産生のために必要なエレメントを含む細胞をいう 。典型的には、このようなパッケージング細胞は、gag、pol、およびenvタンパ ク質をコードするタンパク質を発現し得る1つ以上の発現カセットを含む。 「プロデューサー細胞」または「ベクター産生細胞」は、組換えレトロウイ ルスベクター粒子の産生のために必要な全てのエレメントを含む細胞をいう。 「高親和性結合対」は、10-yM未満のKDで互いに結合し得る分予の対をいい 、ここでyは、8、9、10、11、12、13、14、および15からなる群より選択され る。 ここでAおよびBは、高親和性結合対のメンバーである。(さらに、2つの分子 の親和性が増加するにつれて、KDは減少することが当業者に理解されるべきで ある)。親和定数は、例えば、Scatchard分析(Scatchard,Ann.N.Y.Acad.Sc i.51:660-672,1949を参照のこと)によるものを含む種々の技術により容易に 決定され得る。適切な親和性結合対の代表的な例は、ビオチン/アビジン、シス タチン/パパイン、ホスホネート/カルボキシペプチダーゼA、および4CABP/R uBisCoを含む。 「標的化エレメント」は、選択した細胞型を特異的に結合し得る分子をいう 。本発明の情況において利用されるように、標的化エレメントは、結合した標的 化エレメントの生物学的影響がその細胞型に見られ得る場合、または標的細胞お よび非標的細胞に対する、結合した標的化エレメントの結合の間に10倍よりも大 きい差異、そして好ましくは、25、50、または100倍の差異が存在する場合に、 選択した細胞型を特異的に結合すると考えられる。一般的に、標的化エレメント は選択した細胞型に10-5M未満、好ましくは10-6M未満、より好ましくは10-7M未 満、そして最も好ましくは10-8M未満(Scatchard分析(Scatchard,Ann.N.Y.A cad.Sci.51:660-672,1949を参照のこと)により決定した場合)のKDで結合す ることが好ましい。さらに、標的化エレメントが、高親和性結合対の親和定数よ りも少なくとも1log(すなわち、10倍)少ない親和性で選択した細胞型に結合 することが一般的に好ましい。(言い換えれば、KD値は少なくとも1logすなわ ち10倍大きい)。適切な標的化エレメントは、好ましくは、非免疫原性であり、 タンパク質分解により分解されず、そして免疫系により除去されない。特に好ま しい標的化エレメント(これは、高親和性結合対のメンバーに結合されている) は、動物中で10分と1週間との間の半減期(清澄(clearing)剤の非存在下で)を 有するべきである。適切な標的化エレメントの代表的な例は、以下により詳細に 記載される。 「清澄剤」は、循環している結合した標的化エレメントに結合および/また は架橋し得る分子をいう。好ましくは、清澄剤は、非免疫原性であり、結合した 標的化エレメントに特異的であり、そして迅速な腎クリアランスを避けるに十分 に大きい。さらに、清澄剤は、好ましくはタンパク質分解により分解されず、そ して免疫系により除去されない。本発明における使用のために特に好ましい清澄 剤は、結合した標的化エレメントに親和性結合メンバー以外の部位で結合するも のを含み、そして最も好ましくは、その標的への標的化エレメントの結合をブロ ックするような様式で結合するものを含む。本発明の情況において多数の切断(c le aving)剤が利用され得、例えば、Marshallら Brit.J.Cancer 69:502-507,199 4によって記載されたものを含む。 上記のように、本発明は、温血動物中の選択した細胞型に遺伝子送達ビヒクル を標的化するための組成物および方法を提供する。このような組成物および方法 は、例えば、MHCクラスIもしくはクラスII分子、またはβ2ミクログロブリン、 標的化リガンドもしくは高親和性結合対のメンバーから構成される融合タンパク 質は、その構築の間に遺伝子送達ビヒクルの表面に割り振られるという知見に基 づく。従って、このような遺伝子送達ビヒクルは、特異的なまたは選択した細胞 型に遺伝子送達ビヒクルを標的化するために、その細胞型についての標的化リガ ンド(これは、遺伝子送達ビヒクルの表面上に融合タンパク質として存在する) の親和性に基づいて、本明細書中に記載された方法において利用され得る。適切 な融合タンパク質および遺伝予送達ビヒクルの代表的な例、ならびにそれらの調 製方法および投与方法は、以下でより詳細に記載される: A.融合タンパク質の構築。 1.表疲分子-MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、およびβ2-ミクログロブリ ン ウイルスにコードされない広範な種々の細胞膜分子は、本明細書中に記載され る融合タンパク質の構築のために利用され得る。これに関して、MHCクラスI分子 、MHCクラスII分子、およびβ2ミクログロブリンが例として提供されるにも関 わらず、本発明は、そのようには限定されないことが理解されるべきである。詳 細には、ウイルスにコードされない他の広範な種々のビリオン表面分子が利用さ れ得る。これは、例えば、トランスフェリンレセプター、CD43、CD44、CD63、CD 7l,接着分子(例えば、CD3、CD4、CD11a、CD12、CD13、CD14、CD15、CD16、CD17 、CD18、LF1(CD11a/CD18)、CD25、CD54、CD55(DAF)、CD59(MIRL))、または非ヒ ト動物等価物を含む(全てのマーカーに適用する)。 簡潔に述べると、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)は、その産物が種々の細胞 の表面上に発現される、高度に多型な遺伝子の領域である。この複合体によりコ ードされるタンパク質は、MHC分子またはMHC抗原と呼ばれ、そしてこれらは移植 片拒絶の主要な決定因子である。MHC遺伝子産物には2つの主要な型が存在する: MHCクラスIおよびクラスII分子であり、両方の型の分子は膜に結合し、そして細 胞表面上にペプチド抗原を提示する。 クラスI分子は、2つの別々のポリペプチド鎖を含む;ヒトでは約44kD、そし てマウスでは47kDのMHCコード重鎖(α鎖)、および12kDの非MHCコードβ鎖。重 鎖の大部分は細胞外へ広がり、短い疎水性膜貫通セグメントおよび約30アミノ酸 の細胞質カルボキシ末端テールを有する。β鎖は、重鎖の細胞外部分と非共有結 合的に相互作用し、そして細胞表面に直接結合することはない。クラスI分子は 、4つの別々の領域に分離され得る:ぺプチド結合領域(α-1およびα-2ドメ インを含む);Ig様領域;膜貫通領域および細胞質領域。異なるMHCクラスI分子 の結晶構造解析は、α-1およびα-2ドメインが相互作用して、αヘリックスの 2つの平行鎖を支持する8鎖のβ-プリーツシートのプラットフォームを形成す ることを示した。2つのαヘリックスは、その底がβシートにより形成されるク レフトの側面を形成する。クレフトは、10〜20アミノ酸ペプチドに結合し得、そ して外来ぺプチドがT細胞への提示のためのMHCクラスIを結合する部位であると 推定される。 多数のマウスおよびヒトクラスI分子の比較は、ほぼ全ての多型残基がペプチ ド結合溝のαヘリックスまたはβシート中に見出され、そしてこれらはアミノ酸 側鎖が溝の中に向くように配置され、そして従ってペプチド配列への結合のため に利用可能であることを示した。クラスI分子のIg様(α-3)領域は、ぺプチ ド結合領域を膜貫通領域へと連結させる。この領域は、試験した全てのクラスI 分子の間で高度に保存されており、そしてIg定常ドメインに相同性を共有する。 クラスI分子のβ鎖は、全てのヒトクラスI分子において同一である。クラス1 -β鎖はまた、β2-ミクログロブリンとして知られており、そしてα-3領域と 同様に、Ig定常ドメインに相同なジスルフィド連結ループを含む(Guessowら、J. Immunol.139:3132,1987)(Robinsonら、Immunogenetjcs20:655,1984)。 MHCクラスII分子は、α鎖(32〜34kD)およびβ鎖(29〜32kD)と呼ばれる2つの ポリペプチド鎖から構成される。両方のクラスII鎖は、多型である。クラスII分 子の3次元構造は、未だに解明されていないが、1次配列分析はクラスI分 子とクラスII分子との間の構造的類似性を明らかにする。ヒトは、DR、DQ、およ びDP分子をコードする3つのクラスII遺伝予座を有する。個々のクラスII遺伝子 は、以前に単離されて、そして種々の研究者により発現構築物に挿入された。こ れは、例えば、Nishimuraら、J.Immun.145:353-360,1990によるDQw6A;Klohe ら、J.Immun.141:2158-2164,1988によるDRα:DR1βl、DRα:DR4β1、DRα:DR5 βl、DRα:DR5βIII(Drw52)、DRα:DR7β1、DRα:DR4/7βIV(Drw53)、DQ7α:DQ w2β、DQ7α:DQw3β、および“Pw4α:DPw4β;およびWilkinsonら、J.Exp.Afed .167:1442-1458,1988による、DR2βa(DR2Dw2から)、およびDR2βb(DR2Dw2から )を含む。 2.高親和性結合対 上記のように、本発明の融合タンパク質は、1つの局面において、高親和性結 合対の1メンバーを含み得る。簡潔に述べると、広範な種々の高親和性結合対が 利用され得る。これは、例えば、10-14Mの親和性を有するシスタチン/パパイン (BjorkおよびYlinenjarvi,Biochemistry29:1770-1776,1990);10-14Mの親和性 を有するval-ホスホネート/カルボキシペプチダーゼA(KaplanおよびBartlett ,Biochemistry30:8165-8170,1991);10-13Mの親和性を有する4CABP-RuBisCo( Schloss,J.Biol.Che.,263:4145-4150,1988);および10-11Mの親和性を有す るタバコホーンワーム(hornwor)利尿ホルモン/タバコホーンワーム利尿ホルモ ンレセプター(Reaganら、Arch.Insect Biochem.Physio1.23:135-145,1993) を含む。 他の広範な種々の高親和性結合対はまた、例えば、選択した抗原を認識する抗 体を調製および選択することにより、そして高親和性を有する抗体を選択するた めにこのような抗体をさらにスクリーニングすることにより、開発され得る(一 般的には、米国特許第RE 32,011号、同4,902,614号、同4,543,439号、および同4 ,411,993号を参照のこと;Monoclona1 Antjbodjes,Hybrjdomas: A New Djmensj on in Biologica1 Analyses,Plenum Press,Kennett,McKearn,およびBechtol (編)、1980、およびAntibodjes:A Laboratory Manual,HarlowおよびLane( 編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988もまた参照のこと)。ある いは、抗体または抗体フラグメントはまた、組換え技術を利用して産生および 選択され得る(WilliamD.Huseら、「λファージにおける免疫グロブリンレパー トリーの大きな組合せライブラリーの作製」、Scjence 246:1275-1281,1989年1 2月を参照のこと;L.Sastryら、「モノクローナル触媒性抗体の作製のためのEs cherichj acoliにおける免疫学的レパートリーのクローニング:重鎖可変領域特 異的cDNAライブラリーの構築」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:5728-5732,19 89年8月もまた参照のこと;MichelleAlting-Meesら、 「モノクローナル抗体発 現ライブラリー:ハイブリドーマへの迅速な代替物」、Strategjes in Molecula r Bjo1ogy 3:1-9、1990年1月もまた参照のこと;これらの参考文献は、Stratac yte,La Jolla,Californiaから入手可能な商業的系を記載し、その系は、組換 え技術を通じて抗体の産生を可能にする)。高親和性結合対を用いる利点は、1 つのプロデューサー細胞からの、任意の標的化リガンドのカクテルを付加する能 力を有する標的化可能なベクターの作製である。 3.標的化リガンド 本発明の情況において、選択した細胞型に遺伝子送達ビヒクルを特異的に指向 させるために、広範な種々の標的化エレメントが利用され得る。一般的に、標的 化エレメントは、タンパク質またはペプチドであるが、他の非タンパク質性分子 もまた標的化エレメントとして機能し得る。例えば、本発明の1つの実施態様に おいて、抗体(これは、例えば、抗体可変領域を含む)は、選択した細胞型を標 的化するために利用され得る(一般的には、WilchekおよびBayer,Ana1.Bioche m 171:1-32,1988を参照のこと)。代表的な例は、幹細胞上の抗CD34抗原を標的 化するために利用され得る抗CD34抗体(例えば、12.8(Andrewsら、Blood67:842 ,1986)および、Myl0(Civinら、J.Immunol.133:157,1984;HPCA-2の名称のも とでBecton DiCkinsonから市販されている)、CD4+T細胞を標的化するために利 用され得る抗CD4抗体、CD8+細胞を標的化するための抗CD8抗体、卵巣細胞および 乳房細胞を標的化するためのHER2/neuモノクローナル抗体4D5(Sarupら、Growth Regu1.1:72-82,1991)、乳房細胞を標的化するためのc-erbB-2モノクローナル 抗体GFD-OA-p185-1 (Alperら、Cell Growth Djffer.1:591-9,1990)、大腸細胞 および乳房細胞を標的化するためのTAG72モノクローナルAb:CC49およびB72.3(Ki ngら、J.Bjochem.281:317-23,1992)、および大腸癌細胞を標的化するための 癌胎児性抗原モノクローナル抗体ZCEO25(Napら、Canc.Res.52:2329-39,1992 )を含む。 他の適切な標的化エレメントは、ホルモンおよびホルモンレセプターを含む。 代表的な例は、卵巣細胞および精巣細胞に対する濾胞剌激ホルモンおよび黄体形 成ホルモン、表皮細胞に対するメラニン細胞刺激ホルモンおよび上皮増殖因子、 ならびにほとんどの骨細胞および骨格筋細胞に対するヒト成長ホルモンを含む。 他の実施態様において、免疫補助分子は、種々の細胞上の特異的なレセプター を標的化するために利用され得る。例は、マクロファージおよびナチュラルキラ ー細胞に標的化したインターフェロン、Tリンパ球に対するインターロイキン、 ならびに骨髄細胞に対するエリトロポエチンおよびCSFを含む。 なお他の実施態様において、物質Pのようなペプチドは、痛覚シグナルのメデ ィエーターとしてニューロンを標的化し得、ニューロメジン(Conlon,J.Neuroc hem.51:988,1988)が、収縮活性のために子宮の細胞を標的化するために利用さ れ得、そして既知の細胞表面レセプターについてのリガンドに対応するタンパク 質(例えば、インスリン)が、グルコース調節のために細胞上のインスリンレセ プターを標的化するために利用され得る。 なお他の実施態様において、他のリガンドおよび抗体は、選択した細胞型を標 的化するために利用され得る。これは、例えば:ヒト肺ガン上の125kDの抗原を標 的化するためのモノクローナル抗体c-SF-25(Takahashiら、Sc1ence259:1460,19 93);種々の肺ガン抗原に対する抗体(Souhami,Thorax47:53-56,1992);ヒト 卵巣ガン抗原14C1に対する抗体(Gallagherら、Br.J.Cancer 64:35-40,199l); 肺ガンを標的化するためのH/Ley/Leb抗原に対する抗体(Masayukiら、N.Eng.J. Med.327:14-18,1992);神経腫瘍上の神経増殖因子レセプターを標的化するた めの神経増殖因子(Chaoら、Science232:518,1986);マクロファージを標的化す るためのFcレセプター(AndersonおよびLooney,Immun.Today 1:264-266,1987) ;レクチン(SharonおよびLis,Science 246:227,1989);大腸ガンを標的化する ためのI型コラーゲン(PullamおよびBodmer,Nature 356:529,1992);T細胞上 のインターロイキンー1レセプターを標的化するためのインターロイキン−1(Fa nslowら、Science248:739,1990);マクロファージスカベンジャーレセプ ター(およびアテローム性硬化症プラーク;Brownら、Ann.Rev.Biochem52:223- 261,1983を参照のこと)を標的化するためのアセチル化低密度リポタンパク質( 「LDU」)、ならびにマクロファージスカベンジャーレセプターを標的化する他 のアセチル化分予(Paulinskiら、PNAS 86:1372-1376,1989);ウイルスレセプタ ー(Haywood,J.Vjr.68(l):l-5,1994);腫瘍細胞上のトランスフェリンレセプ ターを標的化するためのトランスフェリン(Huebersら、Physio.Rev.67:520,58 2,1987);増加した血管新生が生じる場所の細胞を標的化するための血管内皮( vasoendothelial)増殖因子(「vegF」);およびウロキナーゼプラスミノーゲンア クチベーターレセプター(UPAR)に結合するためのウロキナーゼプラスミノーゲン アクチベーターを含む。 あるいは、リガンドは、組換え技術(ScottおよびSmith,Science249:386,199 0;Devlinら、Science249:404,1990;Houghtenら、Nature354:841991;Matthewsお よび遭ells,Science260:1113,1993; Nissimら、EMB0J.13(3):692-698,1994) 、または有機化合物ライブラリー(例えば、EricErbら、Proc Natl Acad Sci.US A 91:11422-11426, 1994, K.S. Lamら、Nature 354:82-84,1991)を利用する等価 の技術を利用して作製したライブラリーから選択され得る。 なおさらなる実施態様において、標的化エレメントまたはリガンドは、特定の 型のタンパク質配列を自然に修飾する、炭水化物または他の非ペプチド成分であ り得る。代表的な例は、ガラクトース末端炭水化物を付加させ、次いで肝細胞上 のアシアロ糖タンパク質レセプターに標的化させる配列を含む。関連した実施態 様において、標的化エレメントは、後に化学的または酵素的方法により付加され 得、そしてこれは、適切なリガンドを付加するために必要とされる化学的または 生化学的反応に有利であるハイブリッド分子中に適切なぺプチド配列を提供する ことにより、容易にされ得る。 本発明の好ましい局面において、標的化リガンドは、2つ以上の異なるタンパ ク質または非タンパク質成分から構成される、キメラタンパク質または融合タン パク質であり得る。簡潔に述べると、タンパク質は一般的に、規定された2次、 3次、そしてしばしば4次構造を有する、疎水性コアおよびより親水性の表面を 有するそのアミノ酸配列によりコードされる特定の3次元構造をとる。一般的に 、 オリゴペプチド標的化リガンドは、完全に折り畳まれた構造をとらないが、特徴 的な2次構造の一部および特定の結合モチーフを規定する特徴的なアミノ酸配列 を有し得るタンパク質配列の一部から作製され得る。このような結合モチーフは 、一般的に、αヘリックスまたはβシート鎖のような2次構造ユニットの間に見 出されるループのような、タンパク質の表面に露出した領域に見出される。ルー プは、一般的に可撓性であり、そして長さが高度に変化し得、そして一般的に許 容される配列にほとんど制約を有さない。タンパク質の他の結合領域は、単一の タンパク質のドメインの間のクレフト、または3次元構造の異なるエレメントが 出会う領域に見出され得る。 一般的に、特定の標的に結合するように、結合ドメインを他のタンパク質に付 加するため、またはタンパク質を変化させるためには、新しい配列は、それが、 細胞中で適切に折り畳まれ得ないかまたはプロセスおよび輸送され得ない程度ま でその構造的完全性を崩壊させないように、存在する配列中に融合させなければ ならない。最も通常の挿入部位は、タンパク質の残部を無傷なままにする、アミ ノ末端またはカルボキシル末端である。新しい配列の他の挿入部位は、ポリペプ チドのドメイン全体と、別のドメイン(例えば免疫付着因子(immunoadhesin)の 場合、例えばIL-2が無傷な免疫グロブリンの可変領域を置換してハイブリッド分 子を作製し得る)との置換を含み得る。小さなペプチド配列はまた、特に表面に 露出したループで、またはアミノ酸配列アラインメントが高度の配列易変性が許 容されることを示す場所で、またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端でタンパ ク質の内部に挿入され得る。 適切なキメラ分子または融合分子の代表的な例は、以下の実施例(実施例2〜 5を参照のこと)でより詳細に記載される。 B.遺伝子送達ビヒクル。 1.レトロウイルス遭伝子送達ビヒクルの構築 上記のように、本発明は、選択した目的の核酸分子を有するかまたは発現する ように構築された組換えレトロウイルスを提供する。本発明のレトロウイルス遺 伝子送達ビヒクルは、広範な種々のレトロウイルス(例えば、B、C、およびD 型レトロウイルスならびにスプマウイルスおよびレンチウイルスを含む)から容 易に構築され得る(RNA TumorViruses、第2版、Cold Spring Harbor Laborator y,1985を参照のこと)。このようなレトロウイルスは、本明細書中に提供され る開示および標準的な組換え技術(例えば、Sambrookら、Mo1ecular Clonjng: A Laboratory Manua1、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989; Ku nkle,PNAS 82:488,1985)によれば、レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルをア センブルまたは構築するために容易に利用され得る。さらに、本発明の特定の実 施態様において、レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの一部は、異なるレトロウ イルスに由来し得る。例えば、本発明の1つの実施態様において、レトロベクタ ーLTRはマウス肉腫ウイルスに由来し得、tRNA結合部位はラウス肉腫ウイルスに 由来し得、パッケージングシグナルはマウス白血病ウイルスに由来し得、そして 第2鎖合成の起点はニワトリ白血病ウイルスに由来し得る。 本発明の情況において利用され得るレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの代表 的な例は、例えば、EP 0,415,731; WO 90/07936; WO 94/03622; WO 93/25698; W O 93/25234; 米国特許第5,219,740号; WO 93/11230; WO 93/10218; VileおよびH art,Cancer Res.53:3860-3864,1993; VileおよびHart,Cancer Res.53:962- 967,1993; Ramら、Cancer Res.53:83-88,1993; Takamiyaら、J.Neurosci.R es.33:493-503,1992; Babaら、J.Neurosurg.79:729-735,1993(米国特許第 4,777,127号、GB 2,200,651、 EP 0,345,242、およびWO 91/02805)に記載される ものを含む。特に好ましい組換えレトロウイルスは、W0 91/02805およびWO 95/0 5789に記載されるものを含む。 上記のベクター構築物と共に使用するために適切なパッケージング細胞株は、 容易に調製(W0 92/05266を参照のこと)され得、そして本明細書中に提供され る開示によれば、組換えベクター粒子の産生のためのプロデューサー細胞株(ベ クター細胞株または「VCL」とも呼ばれる)を作製するために使用され得る。 2.アルファウイルヌ送達ビヒクル 本発明はまた、遺伝子送達ビヒクルとして機能し得る種々のアルファウイルス ベクターを提供する。いくつかの異なるアルファウイルスベクター系は、本発明 において構築および利用され得る。このような系の代表的な例は、WO 95/07994 に記載されるものを含む。 3.他のウイルス遭伝子送達ビヒクル レトロウイルスベクターおよびシンドビスウイルスベクターに加えて、多数の 他のウイルスベクター系はまた、遺伝子送達ビヒクルとして利用され得る。この ような遺伝子送達ビヒクルの代表的な例は、例えば、ポックスウイルス、カナリ アポックスウイルス、またはワクシニアウイルス(Fisher-Hochら、PNAS 86:317- 321,1989; Flexnerら、Ann. N.Y.Acad.Sci.569:86-103,1989; Flexnerら、V accine 8:17-21,1990; 米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号、および同第 5,017,487号;W0 89/01973);SV40 (Mulliganら、Nature277:108-114,1979);イ ンフルエンザウイルス(Luytjesら、Cel1 59:1107-1113,1989; McMichealら、N. Eng.J.Med.309:13-17,1983;およびYapら、Nature 273:238-239,1978);へ ルペス(Kit,Adv.Exp.Med.Bjo1.215:219-236,1989;米国特許第5,288,641 号);HIV(Poznansky,J.Virol.65:532-536,1991);麻疹(EP 0 440,219);セ ムリキ森林ウイルス、およびコロナウイルスのようなウイルス、ならびに他のウ イルス系(例えば、EP 0,440,219; W0 92/06693;来国特許第5,166,057号)を含 む。さらに、ウイルスキャリアは、相同的な非病原性(欠損)の複製許容ウイル ス(例えば、0verbaughら、Science239:906-910,1988)であり得、そしてそれに も関わらず、CTLを含む細胞性免疫応答を誘導する。 4.非ウイルス性遭伝子送達ビヒクル 上記のウイルスに基づくベクターに加えて、多数の非ウイルス性遺伝子送達ビ ヒクルが、同様に本発明の情況において利用され得る。このような遺伝子送達ビ ヒクルの代表的な例は、核酸発現ベクター、裸のDNA単独(W0 90/11092)、死んだ アデノウイルスに連結したかまたは連結していないポリカチオン縮合DNA(Curie lら、Hum.Gene Ther.3:147-154,1992)、上記の高親和性結合対の1つを有す るかまたは有さないリガンドに連結されたDNAリガンド(Wuら、J.of Biol.Che m 264:16985-16987,1989)、核酸含有リポソーム(例えば、W0 95/24929および W0 95/12387)、および特定の真核生物細胞(例えば、プロデューサー細胞)の 直接送達を含む。 C.異種核酸分子 広範な種々の核酸分子は、本発明の発現ベクターまたは組換えレトロウイルス により保有および/または発現され得る。一般的に、本明細書中に記載される核 酸分子は、それを保有する発現ベクターまたは組換えレトロウイルスにおいて天 然に存在せず、そして何らかの所望の利益、典型的には疾患または他の病原体(p athogenic agent)もしくは状態と闘う能力を提供する。 本明細書中に記載される核酸分子によりコードされ得る物質は、タンパク質( 例えば、単鎖分子を含む抗体)、免疫刺激分子(例えば、抗原)、免疫抑制分子 、ブロッキング剤、緩和剤(例えば、毒素、アンチセンスリボ核酸、リボザイム 、酵素、および病原体の機能を阻害し得る他の物質)、サイトカイン、種々のポ リペプチドまたはペプチドホルモン、それらのアゴニストまたはアンタゴニスト (ここで、これらのホルモンは組織(例えば、下垂体、視床下部、腎臓、内皮細 胞、肝臓、膵臓、骨、造血性(hemopoetic)骨髄、および副腎)に由来し得る)を 含む。このようなポリペプチドは、増殖、組織の退行、免疫応答の抑制、アポト ーシス、遺伝子発現、レセプター−リガンド相互作用のブロック、免疫応答の誘 導のために使用され得、そして特定の貧血、糖尿病、感染、高血圧、異常な血液 化学(単数または複数)(例えば、上昇した血液コレステロール、血液凝固因子 の欠損、低下したHDLを伴う上昇したLDL)、アルツハイマー関連アミロイドタン パク質のレベル、骨侵食/カルシウム沈着、ならびに種々の代謝物(例えば、ス テロイドホルモン、プリン、およびピリミジン)のレベルの制御のための処置で あり得る。 本発明の1つの局面において、緩和剤の発現を指向する発現ベクターまたは組 換えレトロウイルスの投与のための方法が提供される。細胞の増殖を阻害するよ うに直接作用する緩和剤の代表的な例は、リシン(Lambら、Eur.J.Bjochem.1 48:265-270,1985)のような毒素を含む。 本発明の別の局面において、発現ベクターまたは組換えレトロウイルスは、さ もなければ不活性な前駆体を、病原体の活性なインヒビターに活性化し得る物質 、または病原性状態を発現している細胞に毒性である緩和剤である条件的毒性緩 和剤の発現を指向する。本明細書中に提供される開示によれば明白であるように 、広範な種々の不活性前駆体は、病原体の活性なインヒビターに転換され得る。 従つて、例えば、抗ウイルス性ヌクレオシドアナログをその活性型に代謝するの を 補助する遺伝子産物(例えば、タンパク質)(例えば、単純ヘルペスウイルスチ ミジンキナーゼ(HSVTK)または水痘帯状へルペスウイルスチミジンキナーゼ(VZVT K))の発現を指向する発現ベクターまたは組換えレトロウイルスは、ヌクレオシ ドアナログ前駆体(例えば、AZTまたはddC)をその活性型に活性化することにお いて有用である。それによって、AZTまたはddI治療は、より有効であり、より低 い用量、より少ない全身性毒性、および増殖性感染に対するより高い能力を有す る。さらなるヌクレオシドアナログ(このヌクレオチド三リン酸型は、レトロウ イルス逆転写酵素について選択性を示すが、細胞ヌクレオシドおよびヌクレオチ ドキナーゼの基質特異性の結果、リン酸化されない)は、より効力があるように され得る。 なお別の局面において、病原性機能に対応するRNA分子を切断し、そしてこの 故に不活化する1つ以上のリボザイム(RNA酵素)(HaseloffおよびGerlach,Na ture 334:585,1989)をコードすることにより治療的効果を有する発現ベクター および組換えレトロウイルスが提供される(FosterおよびSymons,Ce1l 48: 211- 220,1987;HaseloffおよびGerlach,Nature 328: 596-600,1988; Ruffnerら、B iochem 29: 10,695-10,702,1990;およびPCT公開第W093/23569号もまた参照の こと)。別の局面において、アンチセンス配列(アンチセンス配列はまた、核酸 配列によりコードされ得、次いで転写を介して宿主細胞中で産生され得る)であ る、生物学的に活性な核酸分子を含む発現ベクターおよび組換えレトロウイルス が提供される。好ましい実施態様において、アンチセンス配列は、インフルエン ザウイルス、HIV、HSV、HPV、CMV、およびHBVをコードする配列からなる群より 選択される。アンチセンス配列はまた、病原性のために必要なRNA配列に相補的 なアンチセンスRNAであり得る。あるいは、生物学的に活性な核酸分子は、病原 性のために必要なRNA配列に相補的なセンスRNA(またはDNA)であり得る。 本発明のなおさらなる局面は、免疫刺激し得る組換えレトロウイルスに関する 。簡潔に述べると、外来病原体を認識し、そしてそれに対して防御する能力は、 免疫系の機能に不可欠である。詳細には、免疫系は、宿主の防御機構が宿主組織 に対してではなく、侵入物に対して指向されるように、「自己」と「非自己」( すなわち、外来)とを区別し得なければならない。細胞傷害性Tリンパ球(CTL) は、 MHCクラスIまたはMHCクラスII細胞表面タンパク質と結合した、プロセスされた 病原体特異的ペプチドのような細胞表面認識構造の提示により、典型的に誘導ま たは剌激される。 1つの実施態様において、本発明は、感受性標的細胞中での抗原またはその改 変型の発現を指向する発現ベクターまたは組換えレトロウイルスを使用すること による、特異的免疫応答を剌激するため、およびウイルス拡散を阻害するための ための方法を提供する。ここで、抗原は、(1)ウイルス抗原に対する免疫応答を 開始し得るか、または(2)ウイルス相互作用のために必要な細胞レセプターを占 拠することによりウイルス拡散を防止し得るかのいずれかである。 本発明の別の局面において、本発明の発現ベクターまたは組換えレトロウイル スは、「免疫調節因子」を発現するように構築され得、その多くが上で説明され る。免疫調節因子は、免疫応答に関与する1つ以上の細胞により製造された場合 に、または細胞へ外部から添加された場合に、その因子の非存在下で引き起こさ れる免疫応答と質または効力で異なる免疫応答を引き起こす因子をいう。応答の 質または効力は、当業者に公知の種々のアッセイ(例えば、細胞増殖を測定する インビトロアッセイ(例えば、3Hチミジン取り込み)、およびインビトロ細胞 傷害性アッセイ(例えば、51Cr放出を測定する)を含む)により測定され得る(W arnerら、AIDS Res.and Human Retrovjruses 7:645-655,1991を参照のこと) 。免疫調節因子は、インビボおよびエクスビボの両方で活性であり得る。 このような免疫調節因子の代表的な例は、サイトカインまたはリンホカイン、 インターフェロン(例えば、γ-IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)(Jayaramanら、J.Im munology 144:942-951,1990)、CD3(Krissanenら、Immunogenetics 26:258-266, 1987)、ICAM-l(Altmanら、Nature 338:512-514,1989; Simmonsら、Nature331:6 24-627,1988)、ICAM-2、LFA-1、LFA-3(Wallnerら、J.Exp.Med.166(4):923-9 32,1987)、MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、B7.1-.3、β2-ミクログロブリ ン(Parnesら、PNAS 78:2253-2257,1981)、カルネキシンのようなシャペロン、 およびMHC連結輸送体タンパク質またはこれらのアナログ(Powisら、Nature 354: 528-531,1991)を含む。 本発明はまた、所望の抗原(例えば、ウイルス性、細菌性または寄生生物性抗 原を含む)の免疫原性部分をコードする、発現ベクターおよび組換えレトロウイ ルスを含む。代表的な例は、B型およびC型肝炎ウイルス抗原(例えば、WO 93/1 5207)、ネコ白血病ウイルス,および/または免疫不全症ウイルス抗原(例えば 、WO 94/06921)を含む。なお他の例は、ras(ras*)遺伝子およびp53遺伝子(WO 93/10814を参照のこと)のような、非腫瘍発生性の改変された遺伝子の発現を指 向する、発現ベクターまたは組換えレトロウイルスを含む。 D.細胞培養物濃縮および組換えレトロウイルス粒子の精製。 上記のように、本発明は、ヒトおよび他の温血動物への投与に適切な遺伝子送 達ビヒクルを提供する。例えば、広範な種々の方法(例えば、発酵槽またはバイ オリアクター、回転瓶、細胞ホテルまたは細胞工場、および中空繊維培養の使用 を含む)が、投与に適切な組換えウイルスを産生するために利用され得る。 簡潔に述べると、バイオリアクターまたは発酵槽については、細胞は、好まし くはミクロキャリア(すなわち、Cytodex 1またはCytodex 2;Pharmacia,Pisca taway,N.J.)中で、3〜15g/Lマイクロキャリアの範囲の濃度で増殖する。回転 瓶については、適切な条件は、マイクロキャリアビーズが一般的に好ましくない ことを除いては、バイオリアクターについて上に記載したものを含む。このよう な方法、ならびに細胞ホールドまたは細胞工場および中空リンカー培養のような 他の方法の代表的な例は、WO 96/0926に記載される。 培養に続いて、ウイルス濃度および純度を増加させるために、広範な種々の方 法(例えば、硫酸アンモニウムでの組換えレトロウイルスの沈殿、ポリエチレン グリコール(「PEG」)濃縮、遠心分離による濃縮(PERC0LLのようなグラジエント 、またはスクロースのような「クッション」を有するかまたは有さないかのいず れか)、濃縮フィルター(例えば、Amicon濾過)の使用、および2相分離を含む )が利用され得る。レトロウイルス粒子の濃縮および精製および指定の代表的な 例は、WO 96/0926に記載される。 E.投与。 上記のように、本発明は、遺伝子送達ビヒクルの投与のためのいくつかの方法 を提供する。本発明の1つの局面において、温血動物中の選択した細胞型に遺伝 子送達ビヒクルを標的化するための方法が提供される。この方法は、その表面に 標的化リガンドを含む融合タンパク質を有する、上記の遺伝子送達構築物を、温 血動物に投与する工程を含む。本発明の1つの局面において、温血動物中の選択 した細胞型に遺伝子送達ビヒクルを標的化するための方法が提供される。この方 法は、(a)その表面に高親和性結合対の1つのメンバーを有する融合タンパク質 を有する遺伝子送達ビヒクルを温血動物に投与する工程、および(b)上記高親和 性結合対の第2のメンバーに結合した遺伝子送達ビヒクルをその動物に投与する 工程であって、この第2のメンバーは、選択した細胞型に遺伝子送達ビヒクルが 標的化されるように、第1の高親和性分子に特異的に結合し得る工程を含む。1 つの実施態様において、このような方法は、高親和性結合対の第2のメンバーに 結合した遺伝子送達ビヒクルを投与する工程の前に、その動物に清澄剤を投与す る工程をさらに含む。 上記の方法において温血動物(例えば、ヒト、マカクサル、ウマ、ウシ、ブタ 、ヒツジ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ラット、およびマウス)が例示されていると はいえ、このような方法はまた、他の種々の動物(例えば、魚類を含む)に容易 に適用され得ることに留意されたい。 このような方法を利用して、本発明の遺伝子送達ビヒクルは、広範な種々の位 置(例えば、部位(例えば、脳脊髄液、骨髄、関節、動脈内皮細胞、直腸、頬/ 舌下、膣、リンパ系)、肺、肝臓、脾臓、皮膚、血液、および脳からなる群より 選択される器官、または腫瘍および間隙からなる群より選択される部位を含む) に投与され得る。他の実施態様において、遺伝子送達ビヒクルは、眼内、鼻腔内 、舌下(sublinually)、経口、局所、膀胱内、くも膜下腔内、局所、静脈内、膜 腔内、頭蓋内、筋肉内、または皮下で投与され得る。他の代表的な投与経路は、 胃鏡検査、ECRP、および結腸鏡検査を含み、これは完全な手術手順および入院を 必要としないが、医療従業者の存在を必要とし得る。 上記の方法は、種々の治療的(および予防的)処置のために容易に利用され得 る。例えば、本発明の1つの実施態様において、上記の方法は、温血動物中の病 原体を阻害または破壊するために達成され得る。このような病原体は、外来生物 体(例えば、寄生生物、細菌、およびウイルス)だけでなく宿主にとって「外来 」である細胞(例えば、癌または腫瘍細胞)、または「改変」された他の細胞 を含む。本発明の好ましい実施態様において、上記の組成物は、腫瘍のような病 原体を、例えば、腫瘍本体の中のいくつかの異なる位置への直接注入により直接 処置するために利用され得る。あるいは、腫瘍を供給する動脈が同定され得、そ して組成物を腫瘍に直接送達するために、組成物がこのような動脈に注入され得 る。別の実施態様において、壊死中心を有する腫瘍は吸引され得、そして組成物 がその時中空の腫瘍中心に直接注入され得る。なお別の実施態様において、上記 の組成物は、例えば、レトロベクター構築物、または好ましくは組換えレトロウ イルス粒子を含む局所的薬学的組成物の塗布により、腫瘍の表面に直接投与され 得る。 本発明の他の局面において、疾患を予防または処置するため、移植片拒絶を抑 制するため、免疫応答を抑制するため、および自己免疫応答を抑制するために、 上記の組成物を利用して、抗原の免疫原性部分に対する免疫応答を生じるための 方法が提供される。 以下の実施例は、例示のために提供され、そして限定のために提供されるわけ ではない。 実施例 実施例1 レトロウイルスベクターバックボーンの調製 本発明で使用するための適切なレトロウイルスバックボーンは、当業者により 容易に調製され得る。このようなバックボーン(例えば、KT-1およびKT-3)の代 表的な例は、W0 91/02805およびWO 95/05789に記載される。 実施例2 MHCクラスIに基づく標的化 A.発現バックボーンpSC6の構築。 gag/polおよびenv発現カセットの両方のためのバックボーンを形成するために 、ベクターを最初に構築する。簡潔に述べると、pBluescript SK-ファージミド (S tratagene,San Diego,Calif.; GenBankアクセス番号52324;以下「SK-」という )を、Spelを用いて消化し、そしてKlenowを用いて平滑末端化する。次いで、SV 40(Fiersら、Nature 273:113-120,1978)の平滑末端化DraIフラグメント(Dral(b p 2366)からDraI(bp 2729)まで)を、SK-に挿入し、そしてSV40後期ポリアデニ ル化シグナルがSK-のlacZ遺伝子と反対の方向である構築物を単離する。この構 築物を、SK-SV40Aと命名する。 ヒトサイトメガロウイルス主要即時型プロモーター(「HCMV-IE」;Boshartら 、Cell 41:521-530,1985)(HincII (bp 140)〜EagI (bp814))を、HincIIおよ びEagIを用いて消化した後に単離し、そしてEagI部位を平滑末端化する。674平 滑末端化フラグメントを、SK-SV40Aに連結する。次いでこの最終構築物(pSC6と 命名する)を単離する(図1を参照のこと)。この構築物は、lacZ遺伝子と反対 向きで、そしてSV40の後期ポリアデニル化シグナルの上流にHCMVプロモーターを 含む。 B.MHC クラスI、具体的にはヒトHLA-A2のクローニング。 ヒトHLA-A2遺伝子を、4kbのHindIII-ApaLIフラグメント(Kollerおよび0rr,J .Immun.134(4):2727-2733,1985)として単離し、そしてpSC6のポリリンカーのH indIII部位およびEcoRV部位を用いて発現構築物pSC6(Invitrogen)に挿入する( 図1)。この発現構築物は、ヒトHLA-A2遺伝子を駆動するヒトCMV即時型プロモ ーターを含む。ApaLI部位をT4 DNAポリメラーゼで処理して平滑末端を作製し、 そしてフラグメントを、HindIIIおよびEcoRVで切断したpSC6に連結する(図2) 。この構築物をpSC6/HLA-A2と命名する。 C.ヒトHLA-A2とEBV GP350/220由来のペプチドとの融合:成熟アミノ末端のEDP GFFNVE PCRプライマーを、成熟アミノ末端でgp350/220配列をHLA-A2テンプレートに融 合するために、表Iに示す配列を用いて合成し、そしてPCR反応を、GeneAmp PCR キット(Perkin/Elmer)を用いて、製造者の指示に従って表IIに示すように行う( 図3および4)。HLA-A2のアミノ末端にgp350/220ペプチド配列を含むPCR産物を 、TAクローニングキット(Invitrogen,SanDiego,CA)を用いて、製造者の指示に 従ってベクターpCRIIにクローン化する(図5)。PCR産物の配列を、標準的 なDNA配列決定方法により確認する。フラグメントを、Eco47IIIおよびBspEI部位 での消化によりpCRIIから取り出し、Eco47IIIおよびBspEI部位でpSC6/HLA-A2ベ クター(図2)にクローン化し、融合ベクターpSC6/350-A2を作製する。 表I gp350/220ペプチドをHLA-A2アミノ末端に融合するためのプライマーの配列表II 単回の重複PCRによるHLA-A2アミノ末端を有するEBV gp350/220ペプチドの挿入 D.モロニー同種指向性エンベロープを保有するパッケージング細胞株の構築。 同種指向性エンベロープ発現ベクタ−pSC6/ecoを、MoMLVのXbal-NheIフラグメ ント(MoMLVのbp5766からbp7845)のpSC6発現ベクター(実施例2A)への挿入に より作製する。簡潔に述べると、XbaI-NheIエンベロープフラグメントを、pMLV −K(Millerら、J.Vir.49:214-222,1988)からアガロースゲル上で単離する。 次いで、フラグメントを、標準的な方法を用いてT4ポリメラーゼで平滑末端化し 、pSC6cに連結しEcoRVおよびSmaI部位で消化する。正確な方向の産物は、HCMVプ ロモーターに続き、完全な同種指向性エンベロープコード配列およびポリアデニ ル 化シグナルを有する。 同種指向性パッケージング細胞株293Eを、293 gag-pol(「2932-3」;WO 91/028 05; Burnsら、PNAS 90: 8033-8037,1993)を、pSC6/ecoベクターおよびpSV2gpt( MulliganおよびBerg,Scjence209:1422,1980)で同時トランスフェクトすること により作製する。選択培地の存在下でのgptポジティブ細胞についての選択の後 に、個々の耐性コロニーを希釈クローニングにより単離し、そしてgp70に対する ヤギポリクローナル抗体(NCI/BCB貯蔵血清番号79S000842,1667 Davis St,Camde n,NJ 08104)を用いるウエスタンブロット分析により発現について分析する。 E.パッケージング細胞株作製のためのpSC6/350-A2の293Eまたは2932-3へのト ランスフェクション。 gag/polおよびMoMLV同種指向性エンベロープ細胞株293E、またはgag/pol細胞 株2932-3を、caPO4沈殿(Wigler,M.ら、Cell 11:223,1977)により、10μgのpSC 6/350-A2および1ugのフレオマイシン耐性ベクターpUT507(Mulsantら、Somat.Cel l Mol.Genet.14:243-52,1988)で同時トランスフェクトする。l0μg/mlフレオ マイシンを含む培地の存在下でトランスフェクトした細胞を選択した後、個々の 薬剤耐性細胞コロニーを拡大し、そしてHLA-A2に対するモノクローナル抗体を用 いるウエスタンブロットにより、発現について分析する。 F.チミジンキナーゼベクターを用いるプロデューサー細胞株の作製 1.レトロウイルスベクター構築物 単純ヘルペスウイルス1型のチミジンキナーゼ(ATP:チミジン5'ホスホトラン スフェラーゼ、EC2.7.1.21)をコードする遺伝子を、プラスミドp322TK(Enquist ら、Gene 7:335-342,1979:Wagnerら、P.N.A.S.78:1441-1445,1981)から得る 。プロモーターおよびポリアデニル化シグナルを除去し、そして5’XhoI部位お よび3’ClaI部位を生じるように遺伝子をさらに改変する。次いで、この改変遺 伝子フラグメントを、KT-3バックボーンのXhoIおよびClaI部位にクローン化して 、BH-lベクターを作製する。BH-1(N2/tk)ベクターにおいて、MoMLV gag発現のた めのATGメチオニン開始コドンは、gag発現を阻害するためにATTに変異されてい る(Chadaら、J.Vir.67(6):3409-3417,1993)。MoMLV長い末端反復配列(LTR)は 、 HSV-tk遺伝子の発現を制御し、そして内部SV40プロモーターは、ネオマイシン耐 性マーカーの発現を駆動する。 2.ベクター産生 レトロウイルスパッケージング細胞株DA(Irwinら、J.Vir.68(8):5036-5044, 1994; Laubeら、Hum.Gene.Ther.5:853-862,1994)を、イヌ肉腫細胞株Dl7に おいて、マウス白血病ウイルスgag/polおよび異種指向性env配列を発現するよう 操作する。DA/N2/tk/プロデューサー細胞株を、水庖性口内炎ウイルスG偽型化 ベクター(Burnsら、P.N.A.S.90:8033-8037,1993)のDAパッケージング細胞株ヘ の形質導入、続いてG4l8(800μg/ml)における選択により作製する。希釈クロー ニングにより個々のクローンを単離し、そしてG418R力価について試験する。力 価に基づいて最良のプロデューサークローンDA/BH-l#9Aおよび#18Aを、その後の 使用のために選択する。これらのDA/N2/tkプロデューサー細胞を、コンフルエン スまで増殖させ、そして複製欠損ベクターN2/tkを含む上清を収集し、濾過(孔 サイズ0.45μm)し、そして-80℃で貯蔵する。ベクター力価を、系列希釈、およ びG4l8(800μg/ml)を含む培地中で選択したHT-1080インディケーター細胞におけ るCFUアッセイ(Irwinら、1994)により決定する。力価は、一般的に、l05cfu/ml と106cfu/mlとの間である。DA/β-galプロデューサー細胞株は以前に記載されて いる(Irwinら、1994)。 同様の様式で、パッケージング細胞株293E/350-A2(実施例2E)を使用して、 水庖性口内炎ウイルスG偽型化ベクター(Burnsら、P.N.A.S.90:8033-8037,199 3)の293E/350-A2パッケージング細胞株への形質導入、続いてG418(400μg/ml)に おける選択により、プロデューサー細胞株を作製する。希釈クローニングにより 個々のクローンを単離し、そしてG4l8R力価について試験する。力価に基づいて 最高のプロデューサークローンを、その後の使用のために選択する。これらのプ ロデューサー細胞を、コンフルエンスまで増殖させ、そして複製欠損N2/tkベク ターを含む上清を収集し、濾過(孔サイズ0.45μm)し、そして-80℃で貯蔵する 。ベクター力価を、G418(800μg/ml)を含む培地中で選択したHT-1080インディケ ーター細胞における系列希釈(Irwinら)により決定する。 ベクターを上記のように他の細胞株に導入して、クローンを同様に選択し得る 。 G.チミジンキナーゼベクターを用いるRaji細胞の標的化 本実験は、補体C3dレセプターCD21を発現するBリンパ芽球様細胞株Raji(ATCC CCL 56)を、HLA融合タンパク質/チミジンキナーゼベクターによる形質導入の標 的として用い、そしてコントロールとして単球様細胞株(CD2lマイナス)U937(ATC C CRL 1593)を用いる。 2つの6ウェルディッシュの5つのウェルに1×106個のRaji細胞またはU937 細胞のいずれかをセットアップする。ウェルを、(l)両種指向性パッケージング 細胞株DAで産生されたチミジンキナーゼベクター、(2)HLA-A2融合ベクターパッ ケージング細胞株で産生されたチミジンキナーゼベクター、(3)パッケージング 細胞株293Eまたは293 2-3で産生されたチミジンキナーゼベクター、(4)無関係な ベクタ−DA/βgal,(5)ベクターなしに曝露する。細胞の半数をチミジンキナー ゼ産生について染色し、そしてチミジンキナーゼ産生についてのFACS分析に供す る。他の半数を、3、6、または9μg/mlガンシクロビルで3〜5日間処置し、 そして計数して残存する生存可能細胞の割合を決定する。あるいは、ガンシクロ ビルの効力を、3Hチミジン取り込みの相対レベル(Bradley,L.M.,Selected Me thods inCellularImmunology ,156-161頁、(B.MishellおよびS.Shiigi編),Fr eeman & Co.,N.Y.(1980))を用いて決定し得る。 実施例3 MHCクラスIIに基づく標的化 A.MHC クラスIIDR,DQ、およびDP遺伝子のクローニングおよび発現 1.レトロウイルスプロデューサー細胞におけるMHCクラスIIタンパク質の発現M HCクラスII遺伝子産物の発現のための多数の異なるベクターが存在する。例えば 、Wilkinson,Dら、J.Exp.Med.167:1442-1458,1988は、DR2Dw2細胞株PGFから のDR2βaおよびDR2βbを発現するベクターの構築を記載する。 異なるクラスII遺伝子をコードする発現ベクター(αおよびβ鎖の両方を、同 じ構築物中で組合せ得るか、または別々にトランスフェクトし得る)を、CaP04 手順(上記)を用いて、DA/βgal細胞にトランスフェクトし、そしてトランスフ ェクトした細胞を、適切なクラスII分子の細胞表面発現についてのFACS選別によ り単離する(詳細は以下を参照のこと)。最初の実験は、3つ全てのクラスII対 立遺伝子が、イヌDA細胞において発現され得るかどうかを決定する。選択した細 胞のプールを拡大し、そしてβ-gal(V)をコンフルエント培養物から単離する。 2.ビリオンに結合したHLAクラスII分子の検出 HLAクラスII特異的モノクローナル抗体をPharmingen(SanDiego,CA)から取得 する。これらのモノクローナル抗体には、H143(抗DP)、Tul69(抗DQ1,DQ2) 、Tu36(抗DR)、またはCaltag IIb3(抗Dqwl; Caltag,San Francisco,CA)、 7.3.19.1(抗DRw52)またはHL-37(抗DQ1、DQ3)が含まれる。抗体を、製造者の指 示に従って磁性ビーズ(Dynal Inc.,New Hyde Park,New York)に結合し、そし て異なるプロデューサー細胞株からのβ-gal(V)を精製するために使用する。ビ ーズに結合したベクターを、抗p30検出抗体を用いるELISAにより定量する。 あるいは、製造者(Pierce,Rockford Illinois)の指示に従ってアミノ連結キ ットを用いて、セフアロースに抗クラスIIモノクローナル抗体を結合することに より、アフィニティカラムを調製し得る。ベクター上清をカラムを通過させて、 そして結合したベクターを1M NaClを用いて溶出し、そしてHT 1080細胞におい てβ-gal活性について力価測定する。このアッセイは、1個程度の機能的なβ-g alビリオンを検出し得る。DA/β-gal-DR細胞由来のベクターを、DR、DP、および DQカラムを通過させ、そして結合の特異性を評価する。同様な実験を、コントロ ールDA/βgal細胞由来のベクターならびにDA/βgal-DPおよびDA/βgal-DQ細胞由 来のベクターについて実施する。 ビリオン表面に対するクラスII分子の好ましい選別を評価するために、DP、DQ 、およびDRをDA/βgal細胞にトランスフェクトし、そして生じるベクターを上記 のようにクラスII特異的カラムへの結合活性について試験する。 B.IgG 抗トランスフェリンレセプターモノクローナル抗体454Al2のV領域のク ローニング Mab 454Al2(米国特許第4,938,948号)の可変領域を、ハイブリドーマ細胞株(AT CC HB 10804)からクローン化する。重鎖および軽鎖の可変領域を、mRNAから、リ ーダー配列および定常領域配列に対応する混合オリゴヌクレオチドプライマーを 用いるPCR(Larrickら、BioTechniques 7:934-838(1989))により取得する。PCRの 産物を、TA Cloningキット(Invitrogen)を用いてpCRIIにクローン化し、そしてS angerジデオキシヌクレオチド法により配列決定する。3つのクローンを、完全 に配列決定して各V領域のDNA配列を確認する。配列を表IIIおよびIVに示す。 C.抗トランスフェリンレセプター抗体454Al2単鎖Fvフラグメントの構築 重鎖および軽鎖の可変領域をアセンブルして、それらの間にGly-Gly-Gly-Gly- Serの3反復からなる合成リンカー配列を有する単鎖Fvフラグメントを形成する 。プライマー、および454A12 sFvのアセンブリ用のテンプレートを、表III〜V にまとめる。2回のPCR反応の産物を、表VIに示すように、重複PCR(Horton,R.M .ら、Biotechniques 8:528-535(1990))におけるテンプレートとして使用する。 次いで、重複PCR産物を、上記したようにTAクローニングキット(Invitrogen)に より、ベクターpCRIIにクローン化する。PCR産物は、約750bpの長さの単鎖Fvフ ラグメントに相当する。いくつかのクローンを、Sangerジデオキシヌクレオチド 配列決定に供して、正確な推定DNA配列のクローンを取得する。 D.抗トランスフェリンレセプター454A12単鎖FvフラグメントとのMHC抗体融合 タンパク質のための発現ベクターの構築 DR遺伝子を、ポリリンカーのEcoRVおよびEcoRI部位で、ScaIらPstIまで(4Kb フラグメント)およびPstIからEcoRIまで(1700 bpフラグメント)切断したHLA DR 遺伝子の3断片連結としてpSC6ベクターに挿入する。ScaIは、ポリリンカーのEc oRV部位に連結する平滑末端を生じる。シグナルペプチドおよび成熟アミノ末端 を含むエクソンを、表VII載のプライマーおよび表VIIIに記載のPCR反応を用いて 、NdeIからBglIIまでの2回の重複PCRに供して、sFv(上の章に記載)をアミノ 末端に付加する。最終産物を、配列確認のためにpCRIIにクローン化する。アミ ノ末端NdeI〜BglIIフラグメントを、pSC6/HLA-DRにクローン化し、pSC6/DR-aTfR を作製する。 表III 454A12重鎖V領域テンプレートの配列 配列番号9 表IV 454A12軽鎖V領域テンプレートの配列 配列番号10 表V 454A12 sFv構築のPC重複のためのプライマーの配列 表VI 重複PCRによる454A12 sFvのアセンブリ 表VII 抗トランスフェリンレセプター抗体454A12 sFvをHLA-DRアミノ末端に融合するた めのプライマーの配列表VIII 二回の重複PCRによる454A12 sFv融合物のHLA-DRアミノ末端での挿入 E.パッケージング細胞株作製のためのpSC6/DR-aTfRの293Eまたは293 2-3への トランスフェクション。 gag/polおよびMoMLV同種指向性エンベロープ細胞株293Eまたは細胞株293 2-3 を、CaPO4沈殿(Wigler,M.ら、Cell 11:223,1977)により、10μgのpSC6/DR-aTf Rおよび1μgのフレオマイシン耐性ベクターpUT507(Mulsantら、Somat.Cell Mo l.Genet.14:243-52,1988)を用いて同時トランスフエクトする。10μg/mlフレ オマイシンを含む培地の存在下でのトランスフェクト細胞についての選択後に、 個々の薬剤耐性細胞コロニーを拡大し、そしてHLAクラスIIDR特異的モノクロー ナル抗体Tu36(Pharmingen(SanDlego,CA)より取得)を用いるウエスタンブロッ トにより、発現について分析する。 F.βガラクトシダーゼベクター βガラクトシダーゼ(「βgal;Price,PNAS 84:156,1987)をコードする細菌l acZ遺伝子を、記載(Irwinら、1994)のように、N2バックボーンにクローン化して 、N2βgalプロベクタープラスミドを作製する。N2βgalプロベクターを使用して 、DA/βgalとよばれる安定なプロデューサ一細胞クローンを作製する。精製した ベクター上清をこの細胞株から産生し、そして1×108cfu/mlよりも大きい力価 まで濃縮する。 G.βガラクトシダーゼベクターを用いるHLA DR抗体融合タンパク質PCLの形質 導入 パッケージング細胞株293E/DR-aTfRまたは293 2-3/DR-aTfRを用いて、水庖性 口内炎ウイルスG偽型化ベクター(Burnsら、P.N.A.S.90:8033-8037,1993)を29 3E/DR-aTfRパッケージング細胞株に形質導入し、続いてG418(400pg/ml)における 選択により、プロデューサー細胞株を作製する。個々のクローンを、希釈クロー ニングにより単離し、そしてG418R力価について試験する。力価に基づいて最良 のプロデューサークローンを、その後の使用のために選択する。これらのプロデ ューサー細胞を、コンフルエンスまで増殖させ、そして複製欠損N2-βGalベクタ ーを含む上清を収集し、濾過(孔サイズ0.45μm)し、そして-80℃で貯蔵する。 ベクター力価を、G4l8(800μg/ml)を含む培地中で選択したHT-1080インディケ ーター細胞における系列希釈(Irwinら、1994)により決定する。 H.細胞上のトランスフェリンレセプターへの標的化 本実験は、HLA DR抗TfR/βGalベクターによる形質導入のための標的として、 トランスフェリンレセプターを発現する細胞株Molt4(ATCCCRL1582)を使用する。 簡潔に述べると、2つの6ウェルディッシュの4つのウェルに1×105個のM0LT4 細胞をセットアップする。ウェルを、(1)両種指向性パッケージング細胞株DA( 実施例3E)で産生されたβgalベクター、(2)HLA-A2融合ベクターパッケージン グ細胞株で産生されたβgalベクター、(3)パッケージング細胞株293E(実施例2 D)で産生されたβgalbベクター、(4)ベクターなしに曝露する。細胞の半数を βgal産生について染色する。他の半数を、1000μg/mlジェネチシンを用いる10 日間の処置に供して、そして生存細胞を計数する(Irwinら、1994前出)。標的化 を、青色細胞またはG4l8耐性コロニーのいずれかの存在により、(2)に上記した ように実証する。 実施例4 β2ミクログロブリン(β2M)に基づく標的化 A.ヒトエリトロポエチン(EPO)のクローニングおよびヒトβ2M融合EPOを有する 発現ベクターの構築。 EPO-b2m融合タンパク質の作製のために用いる基本的ストラテジーは、適切な プライマーおよびテンプレートでPCRを使用して、EPOおよびb2mフラグメント( これらは、次いで、適切に消化した真核生物発現ベクターpSC6に連結し得る)を 産生することである。 詳細には、ClaI-AatI EPOフラグメント、AatI-EcoRI b2mフラグメントおよびC laI-EcoRI消化pSC6発現ベクターを用いて、3ウェイの連結を達成する。 プラスミドEPOenv-D5923(Kasaharaら、Science 266:1373,1994)を、ヒトEPO 遺伝子の供給源として利用する。このクローンは、制限酵素BstEIIおよびBamHI を用いてベクターから無傷で切り出され得る、166アミノ酸の長さの完全な成熟E p0タンパク質をコードするcDNAを含む。BstEII部位を、T7ポリメラーゼを用いて 処理して平滑末端を作製し、次いでフラグメントを、EcoRVおよびBamHI消化プラ スミドSK+(Stratagene,La Jolla,CA)に連結する。このプラスミド構築物をSK+ /EPOと呼び、そしてSK+のマルチクローニング部位におけるEcoRV部位の5'側にCl aI部位が存在することは、EPO遺伝子をClaI-AatIフラグメントとしてSK+/EPOプ ラスミドから取り出すことを可能にする。AatI部位は、EPO遺伝子の第5番目の エクソンの末端付近に位置する独特の制限部位であり、そして終結コドンの前に 位置する。 次いで、ヒトb2m遺伝子フラグメントを操作して、その5'末端にAatI制限部位 、およびその3'末端にEcoRI制限部位を含ませる。ヒトb2mをコードするcDNAを含 むプラスミドp7l4(ParkerおよびWiley,Gene 83:117,1989)を、b2m遺伝子(そ のシグナルペプチドを含まない)を含む遺伝子フラグメント、ならびにEPO遺伝 子の3'末端(その終結コドンを含まない)をb2m遺伝子にインフレームで融合す るために必要なすべての配列を増幅する1セットのプライマーのためのPCRテン プレートとして供する。詳細には、プライマーセットを、以下のように設計する :プライマー1:5’GGGAGGCCTGCAGGACAGGGGACAGACAGCGTACTCCAAAGATTCAGGTT 3 ’(配列番号17)そしてこれは、AatI制限部位、EPO遺伝子の最後のいくつかの コドン、およびb2m遺伝子の最初のいくつかのコドンを含む。プライマー2は、E coRI制限部位およびb2m遺伝子の最後の9コドンを含むアンチセンス配列(5’GGG AATTCTACCTGGCGCTGTTACATGTCTCGGTC 3’(配列番号18))である。PCR反応を、Ge neAmp PCRキット(Perkin/Elmer)を用いて製造者の指示に従って行い、そして生 じる増幅遺伝子産物を、TAクローニングキット(Invitrogen,San Diego,CA)を 用いて製造者の指示に従って、ベクターpCRIIにクローン化する。増幅したPCR産 物の配列を、標準的なDNA配列決定方法を用いて確認する。次いで、フラグメン トを、まずAatIを用いる消化、次いでEcoRIを用いる部分消化(末端EcoRIから20 9bp5’側にb2m遺伝子の終結コドンの直前に位置するさらなるEcoRI部位が存在す る)により、pCRIIから取り出す。試験的な消化をセットアップして、他のEcoRI 部位を乱さないままで、末端EcoRI部位を消化するための最適条件を決定する。 一旦正確なAatI-EcoRI b2mフラグメントを単離すると、それを、ClaI-AatI EPO 遺伝子フラグメントならびにClaI-EcoRI消化pSC6ベクターDNAと同時に連結する 。生じる融合構築物pSC6/EPO-b2を配列決定して、EPO-b2m遺伝子融合が正確であ ることを確認する。 B.パッケージング細胞株作製のためのpSC6/EPO-b2mの293Eまたは293 2-3への トランスフェクション。 gag/polおよびMoMLV同種指向性エンベロープ細胞株293E(実施例2D)または細 胞株293 2-3を、CaPo4沈殿(Wiglerら、Cell 11:223,1977)により、10μgのpSC6 /EPO-b2mプラスミドDNAおよび1μgのフレオマイシン耐性ベクターpUT507(Mulsa ntら、Somat.Cell Mol.Genet.14:243-52,1988)を用いて同時トランスフェク トする。フレオマイシンの存在下でのトランスフェクト細胞についての選択後に 、個々の薬剤耐性細胞コロニーを拡大し、そしてEPOに対するモノクローナル抗 体およびヒトb2mに対するモノクローナル抗体を用いる、ウエスタンブロッティ ングおよび蛍光染色により、発現について分析する。あるいは、高レベルのEPO- b2mを発現する細胞を、蛍光活性化セルソーター(FACS)を用いて選択し得る。詳 細には、EPO検出のためには、EPOに対するポリクローナル抗血清(AB-286-NA; R &D Systems,Minneapolis,MN)を使用し、そしてb2m検出のためには、ネイティ ブなb2mおよび変性b2mの両方に存在するエピトープに結合する抗体mAb BBM-1(P arhamら、J.Biol.Chem.258:6179-6186,1983)を使用する。 C.βガラクトシダーゼベクターを用いるプロデューサー細胞株の作製 パッケージング細胞株293E/EPO-b2mまたは293 2-3/EPO-b2mを用いて、水庖性 口内炎ウイルスG偽型化ベクター(Burnsら、P.N.A.S.90:8033-8037,1993)でパ ッケージング細胞株に形質導入し、続いてG4l8(400μg/ml)において選択するこ とにより、プロデューサー細胞株を作製する。個々のクローンを、希釈クローニ ングにより単離し、そしてG418R力価について試験する。力価に基づいて最良の プロデューサークローンを、その後の使用のために選択する。これらのプロデュ ーサー細胞を、コンフルエンスまで増殖させ、そして複製欠損N2-βGalベクター を含む上清を収集し、濾過(孔サイズ0.45μm)し、そして−80℃で貯蔵する。 ベクター力価を、G4l8(800μg/ml)を含む培地中で選択したHT-1080インディケー ター細胞における系列希釈(Irwinら、1994)により決定する。 D.EPO レセプターへの標的化。 本実験は、NIH 3T3細胞がEPOレセプターをコードする相補的DNA(cDNA)(cDNA 供給源は、A.D'Andreaら、Cell,57:277,1989である)で安定にトランスフェ クトされている細胞株を使用する。標準的なトランスフェクションおよび選択方 法論を使用して、EPOレセプターを安定に発現するNIH 3T3細胞(NIH 3T3-EPOR)を 単離して、そしてFACS分析を用いてこれらの細胞上でのEPOレセプターの発現を 確認する。2つの6ウェルディッシュの4つのウェルに1×105個のNIH 3T3-EP0 R細胞またはNIH 3T3細胞(EPOレセプターを含まない)をセットアップする。次 いで、ウェルを、(1)両種指向性パッケージング細胞株DAで産生されたβgalベ クター、(2)EPO-b2m融合ベクターパッケージング細胞株で産生されたβgalベク ター、(3)パッケージング細胞株293Eで産生されたβgalベクター、(4)ベクタ ーなしに曝露する。細胞の半数をβgal産生について染色する。他の半数を、600 μg/mlジェネチシンを用いる10日間の処置に供して、そして生存細胞を計数する (Irwinら、1994)。 実施例5 サブユニット交換による(b2m)に基づく標的化 A.EPO-b2m 融合タンパク質の原核生物発現ベクターへのクローニング 組換えEPO-b2m融合タンパク質を、原核生物発現ベクターpSE280(Invitrogen,S an Diego,CA)を用いて発現させ得る。EPO-b2m遺伝子を、まずClaI消化し、Klen owを用いて処理して平滑末端を作製し、続いてEcoRI部分消化を行うことにより 、pSC6/EPO-b2mからClaI-EcRIフラグメントとして切り出す。次いで、このフラ グメントを、NcoI-EcoRI消化pSE280ベクターDNAと連結する(NcoI末端もまた、 連結をセットアップする前に平滑化する)。この組換えプラスミドを、pSE280/E PO-b2mという。 B.拡大および精製のためのEPO-b2m融合タンパク質の発現。 簡潔に述べると、EPO-b2m融合タンパク質を含むpSE280プラスミド(pSE280/EPO -b2m)を、E.coli株XA90に形質転換し、次いでポジティブタンパク質産生クロー ンを配列決定して、そのDNA配列を確認する。続いて、ポジティブクローンを適 切な密度まで増殖させ、そしてイソプロピルb-D-チオガラクトピラノシド(IPTG; 1mM)を用いて誘導する。細胞がOD650で1.8〜2.0の密度に達したとき、培養物を 遠心分離により収集し(1リットルアリコート)、続いてリゾチームを100μg/m l、プロテアーゼインヒビターPMSFを50μg/ml、DNaseを20μg/ml、RNaseを20μ g/ml、および1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8)の溶液(20ml/1リットルのペ レット化細胞)を用いて溶解する。細胞をこの混合物中で20分間室温にてインキ ュベートし、次いで別の回の20分間10,000×gでの遠心分離の前に超音波処理す る。得られる、組換えタンパク質を含むペレットを、20mlの10mM Tris-HCl(pH8) を用いて洗浄し、次いで100mM Tris-HCl(pH8)および8M尿素の溶液(計10ml)に 再懸濁する。再懸濁に続いて、溶解物を1時間4℃にて150,000×gで遠心分離 する。次いで、尿素中の組換え融合タンパク質を、10mM Tris-HCl(pH7)に対して 透析し、そして0〜100mM NaClの直線グラジエントを有する10mM Tris-HCl(pH7) 中でQ Sepharoseで精製する。画分を回収し、そしてCentriconフィルター(Amico n)を用いる限界濾過により濃縮する。 C.EPO-b2m 融合タンパク質とウイルス表面上のネイティブb2mとの交換。 b2交換を決定するために、精製EPO-b2m融合タンパク質を、クロラミンT法(Hu nter,W.M.,(1973),Handbook of Experimental Immunology,Weir,D.M.編、(Black well,Oxford)、第1巻、17.1-17.36頁)を用いて、またはBolton-Hunter試薬(Bo ltonおよびHunter Biochem.J.133:529-539,1973)を用いてヨウ素化する。前 者の方法は103cpm/ngの比活性を生じ、後者の方法は2〜5×104cpm/ngを生じる 。簡潔に述べると、1mg/mlのゼラチンおよび50μg/mlのピューロマイシンを含む 1mlのRPMI培地中の5×105HT1080細胞を、20ugの標識したb2mと共に37℃にて4 時間インキュベートする。細胞を、Hanks緩衝化生理食塩水(HBSS)で3回洗浄し 、そして最終細胞ペレットを、免疫沈降に常用される溶解緩衝液を用いて溶解す る。免疫沈降反応は、ネイティブなb2mおよび変性b2mの両方に存在するエピトー プに対するBBM-1モノクローナル抗体を使用する。標識細胞の免疫沈降後、放射 活性標識を検出する。これは、標識b2mが、これらの細胞に結合したネイティブ なb2mと交換されたことを示す。 精製EPO-b2m融合タンパク質を、ベクター表面上に存在するb2mと上記のように 交換する。交換反応に続いて、この「交換された」ベクターを、EPOレセプター 発現細胞への標的化について試験する(実施例4Dに記載のように)。Amicon濾 過(300k分子量カットオフ)を使用して、ベクターを夾雑物質から精製する。 D.EPO レセプターへの標的化。 2つの6ウェルディッシュの4つのウェルに1×105個のNIH 3T3-EPOR細胞ま たはNIH 3T3細胞(EPOレセプターを含まない)をセットアップする。次いで、ウ ェルを、(1)両種指向性パッケージング細胞株DAで産生されたβgalベクター、(2 )(1)のように産生されたが、EPO-b2m融合タンパク質交換後のβgalベクター、(3 )パッケージング細胞株293Eで産生されたβgalベクター、(4)ベクターなしに曝 露する。細胞の半数をβgal産生について染色する。他の半数を、600μg/mlジェ ネチシンを用いる10日間の処置に供して、そして生存細胞を計数する(Irwinら、 1994)。 以上の記載から、本発明の特定の実施態様が例示の目的で本明細書中に記載さ れているにも関わらず、種々の改変を、本発明の精神および範囲から逸脱するこ となく行い得ることが明白である。従って、本発明は、添付の請求の範囲による 以外は限定されない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/805 C07K 14/805 19/00 19/00 C12N 5/10 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),CA,JP (72)発明者 ムーア,マーガレット ディー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92117, サン ディエゴ,ジェニファー ストリー ト 3616 (72)発明者 チャン,スティーブン エム.ダブリュ ー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92064, ポウェイ,カミノ デル ベール 12912

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ウイルスにコードされない細胞膜分子および標的化リガンドを含む、融合タ ンパク質。 2.MHCクラスI分子および標的化リガンドを含む、融合タンパク質。 3.MHCクラスII分子および標的化リガンドを含む、融合タンパク質。 4.β2ミクログロブリンおよび標的化リガンドを含む、融合タンパク質。 5.前記標的化リガンドが抗体可変領域である、請求項1〜3のいずれか一項に 記載の融合タンパク質。 6.MHCクラスI分子および高親和性結合対の1つのメンバーを含む、融合タ ンパク質。 7.MHCクラスII分子および高親和性結合対の1つのメンバーを含む、融合タ ンパク質。 8.β2ミクログロブリンおよび高親和性結合対の1つのメンバーを含む、融合 タンパク質。 9.前記高親和性結合対の1つのメンバーがアビジンである、請求項7から8の いずれか一項に記載の融合タンパク質。 10.請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンパク質をコードする、核酸分子 。 11.請求項10に記載の核酸分子の発現を指向する、発現カセット。 12.請求項11に記載の発現カセットを含む、宿主細胞。 13.その表面に請求項1〜5のいずれか一項に記載の融合タンパク質を有する 、遺伝子送達ビヒクル。 14.その表面に請求項6〜9のいずれか一項に記載の融合タンパク質を有する 、遺伝子送達ビヒクル。 15.その表面に異種のMHCクラスII分子を含むタンパク質を有する、複製欠 損レトロウイルスベクター粒子。 16.gag/pol発現カセットおよび請求項11に記載の発現カセットを含む、パ ッケージング細胞株。 17.請求項16に記載のパッケージング細胞株および組換えレトロウイルスベ クターを含む、ベクター産生細胞株。 18.温血動物中の選択した細胞型ヘ遺伝子送達ビヒクルを標的化するための方 法であって、温血動物へ請求項13に記載の遺伝子送達ビヒクルを投与する工程 を包含する、方法。 19.温血動物中の選択した細胞型ヘ遺伝子送達ビヒクルを標的化するための方 法であって、以下の工程: (a)請求項14に記載の遺伝子送達ビヒクルを温血動物へ投与する工程;および (b)高親和性結合対の第2のメンバーに結合した標的化エレメントを該温血動物 へ投与する工程であって、該結合した標的化エレメントは、該温血動物中の選択 した細胞型に特異的に結合し得、そして該第2のメンバーは、前記第1のメンバ ーに特異的に結合し得、このようにして該遺伝子送達ビヒクルは該選択した細胞 型に標的化される工程を包含する、方法。
JP9-524442A 1995-12-29 1996-12-20 遺伝子送達ビヒクル標的化リガンド Pending JP2000503532A (ja)

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