JP2000344698A - フェノールの製造方法 - Google Patents
フェノールの製造方法Info
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Abstract
ン酸化生成物の分解における、高沸点化合物やヒドロキ
シアセトンの副生を抑えて、高効率にフェノール、アセ
トン及びα−メチルスチレンを得る方法を提供すること
を目的とするものである。 【解決手段】クメンヒドロペルオキシドを主成分とする
クメン酸化生成物を分解して、フェノール、アセトン及
びα−メチルスチレンを2段反応で製造する方法におい
て、構造式H8-n(XM12O40)(式中、XはPもしく
はSi、MはMoもしくはWであり、nは4もしくは5
の整数を示す。)で示されるヘテロポリ酸類の存在下、
第1段反応器にクメンヒドロペルオキシドを主成分とす
るクメン酸化生成物を供給し、反応温度55〜90℃、
かつ反応混合物中のアセトン濃度を20〜70重量%に
保ち、クメンヒドロペルオキシドの転化率が95〜9
9.9%まで反応を行い、次いで反応温度55〜120
℃の第2段反応器で反応を完結させることを特徴とする
フェノールの製造方法。
Description
方法に関し、詳しくは、ヘテロポリ酸類の存在下にクメ
ンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物
から2段反応でフェノール、アセトン及びα−メチルス
チレンを製造する方法に関する。これらは合成樹脂、農
薬、染料、医薬などの製造用の中間体として有用であ
る。
て、各種の方法が提案されている。これらの方法の中
で、クメンを出発原料としてフェノールを合成するクメ
ン法フェノール製造プロセスが一般的に実用化されてい
る。この方法は、クメンを酸素または空気により酸化し
てクメンヒドロキシペルオキシド(以下、CHPと略
す)を生成し、次いで得られたCHPを鉱酸触媒の存在
下に分解反応させてフェノールとアセトンを得る方法で
ある。
ラントにおいては、反応条件が温和で、経済性にも優れ
るこのクメン法プロセスが世界のフェノール製造法の主
流を占め、その製造プロセスは、大きく分けて酸化系、
濃縮系、クリベージ系、中和系、精製系、リサイクル系
から成り、CHPを酸により開裂する工程(クリベージ
系)には、触媒として硫酸が一般的に用いられている
が、この硫酸以外にも種々の酸触媒が既に提案されてい
る。
は、酸触媒として、トリフルオロメタンスルホン酸を用
いる方法、特開平6−199718号公報ではテトラフ
ルオロホウ酸などの均一触媒を使用する方法が開示され
ている。また、これ以外にも、例えば、米国特許第4,
898,995号明細書には、スルホン酸基を含有する
イオン交換樹脂が提案されており、ヨーロッパ特許第1
25,065号明細書には、種々のゼオライト類のよう
な不均一触媒が提案されている。
いては、特開昭52−5719号公報にて開示されてお
り、その明細書にはタングストケイ酸やタングストリン
酸などのタングステン酸類やモリブドリン酸、モリブド
ケイ酸などのモリブデン酸類を用いて、30〜90℃に
おけるCHPの分解速度定数を求める発明がなされてい
る。
は、不活性担体上にヘテロポリ酸を担持した不均一触媒
の存在下、CHPを20〜150℃の温度、0.1〜7
MPaの圧力で分解する方法が開示されている。しかし、
このようなヘテロポリ酸を担持する方法では、ヘテロポ
リ酸の反応液への溶解が認められ、有効成分をロスする
可能性がある。また、長期に懸濁床あるいは、固定床で
使用した場合、反応で生成するタール分などの付着によ
り活性が低下したり、あるいは、複雑な再生処理が必要
になるなどの問題点があった。
てフェノールとアセトンが得られるが、同時にクメンの
酸化反応時にジメチルフェニルカルビノールが副生し、
さらにそのジメチルフェニルカルビノールの脱水反応に
よって、α−メチルスチレン(以下、α−MSと略す)
が副生する。この副生するα−MSは、水素化反応によ
り容易にクメンに転化して、再度、原料として利用する
ことができ、また、樹脂の改質剤として工業的にも有効
に活用できるものである。
α−MSとフェノールが反応してクミルフェノールが生
成したり、α−MSの2量化反応によりメチルスチレン
ダイマーが生成したりする。これらの物質はフェノール
プロセスの回収工程にて熱分解され、一部は再びリサイ
クルされるが、さらに重質化した高沸点化合物は回収不
能となり、系外に排出されて燃料になるため、原料原単
位を悪化させる。その結果、CHPの分解反応による目
的生成物であるフェノールやα−MSなどの収率低下の
原因となる反応が生じる。
のヒドロキシアセトンが生成する。このヒドロキシアセ
トンは、フェノールと蒸留分離し難いため、クメン法プ
ロセスでは溶剤を用いた抽出蒸留が必要となったり、ス
チーム原単位の悪化をきたしたりすることが知られてい
る。さらに、最終生成物である製品フェノールに混入し
て、製品品質を悪化させる原因になる。例えば、ヒドロ
キシアセトンが混入した製品フェノールを原料として、
ビスフェノールAを製造すると、製品に着色し、商品価
値を著しく低下させてしまう。また、ヒドロキシアセト
ンは水溶性のため、廃水のCOD負荷の増大をもたらす
などの問題がある。
α−MSの収率の低下原因となる副反応を抑制する触媒
としては、例えば、上述の特開平6−199718号公
報ではテトラフルオロホウ酸を用いた場合、硫酸触媒に
比べ、副生量が極めて少ないことを開示している。
希釈した後、酸分解反応を行う方法(特公昭27−38
75号公報、同28−4619号公報など)、反応を多
段階に分ける方法(米国特許第2,757,209号明
細書、特公昭37−13464号公報など)など反応方
式の改良による方法が提案されている。これらの先行技
術の中でも、アセトンなどの溶剤により希釈したCHP
の酸分解反応を行う方法については、溶剤による希釈効
果及び酸触媒とCHPの接触効率の向上により、副反応
が抑制されると記載されている。
る米国特許第2,757,209号明細書に記載の方法
は、第1反応として、例えば、フェノール、アセトン及
びα−MSの生成反応を1段階で終了させる方法に比べ
て、酸触媒濃度及び反応温度が低い穏和な条件で酸分解
反応を行い、反応生成物中にCHPを数%残す。次に、
第2段階の反応として、第1段階の反応生成物をプラグ
フロー型反応器に導入し、反応生成物中に存在する有機
過酸化物及びジメチルフェニルカルビノールを分解する
反応を行う方法である。
混入防止策としては、英国特許第1,231,991号
明細書には、CHPを主成分とするクメン酸化生成物の
酸分解反応の反応生成物から、アセトン、炭化水素類な
どの低沸点成分及び未反応のジメチルフェニルカルビノ
ール、クミルフェノール、メチルスチレンダイマーなど
の高沸点化合物を蒸留分離した粗フェノールを、酸性イ
オン交換樹脂にて処理し、粗フェノール中に含有するヒ
ドロキシアセトンを蒸留分離しやすい高沸点化合物に転
化し、その後蒸留分離する方法が記載されている。
細書には、粗フェノールを有機ポリアミンで処理し、粗
フェノール中のヒドロキシアセトンが、添加した有機ポ
リアミンと反応して高沸点化合物となり、その後、この
高沸点化合物を蒸留操作により分離する方法が記載され
ている。
ェノール製造プロセスを複雑にし、かつヒドロキシアセ
トン除去のための多大な設備を必要とするなどの問題点
がある。そのため、クメン法プロセスにおいて、目的生
成物の収率低下の原因となる高沸点化合物の生成を抑制
すること、及び製品フェノールの品質悪化の原因となる
ヒドロキシアセトンの生成を触媒で抑制することは、実
用上、重要な課題である。
第1段階として、逆混合反応器を用いて30〜100p
pmの硫酸濃度、50〜90℃の反応温度で、反応混合
物中のCHP濃度を0.5〜5重量%まで低下させる反
応を行う。この第1段階の反応においては、ジメチルフ
ェニルカルビノールからジクミルペルオキシドへの転化
率が40mol%以上になる。次に、プラグフロー型反
応器に送り、120〜150℃の温度で第1段階の反応
器で生成したジクミルペルオキシドを分解する第2段階
を行う方法が提案されている。
明細書には、第1段階の反応を、非等温状態の反応装置
内で150〜500重量ppmの酸触媒濃度、50〜6
2℃の温度範囲及びアセトンを添加した条件でCHP濃
度を0.3〜1.5%まで低下させる反応を行う。次
に、第1段階の反応生成物にアンモニア水を添加した
後、プラグフロー型反応器に送り、80〜110℃の温
度で第1段階の反応で生成したジクミルペルオキシドを
分解する第2段階を行う方法が提案されている。
成分とするクメン酸化生成物からフェノール、アセトン
及びα−メチルスチレンを得る方法において、上述した
ような従来の方法における問題点を解決するためになさ
れたものであって、高沸点化合物やヒドロキシアセトン
の副生を抑えて、高効率にフェノール、アセトン及びα
−メチルスチレンを得る方法を提供することを目的とす
る。
を解決するため、鋭意研究を行った結果、クメンを酸化
して得られるCHPを酸触媒にて開裂し、フェノール、
アセトン及びα−MSを得るに際し、ヘテロポリ酸類を
触媒に用いてアセトンの存在下に反応を2段で行うこと
により、フェノールやα−MSの収率悪化の原因となる
高沸点化合物の生成や製品フェノールの品質を悪化させ
るヒドロキシアセトンの生成を抑制することを見出し、
本発明を完成するに至ったものである。
キシドを主成分とするクメン酸化生成物を分解して、フ
ェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを2段反応
で製造する方法において、下記の構造式(1)で示され
るヘテロポリ酸類の存在下、第1段反応器にクメンヒド
ロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物を供給
し、反応温度55〜90℃、かつ反応混合物中のアセト
ン濃度を20〜70重量%に保ち、クメンヒドロペルオ
キシドの転化率が95〜99.9%まで反応を行い、次
いで反応温度55〜120℃の第2段反応器で反応を完
結させることを特徴とするフェノールの製造方法であ
る。
くはWであり、nは4もしくは5の整数を示す。)
は、前記の構造式(1)で示される2つ又は、それ以上
の無機オキシ酸の縮合によって生成した一群の酸を含
む。例えば、酸性溶媒中で反応した時、ホスフェート及
びタングステートイオンは縮合して典型的なヘテロポリ
酸である12−タングストリン酸を生成する。
がヘテロポリ酸の中心原子(ヘテロ原子)になりうる。
酸素を経てヘテロ原子に配位された原子は多価原子と称
じられる。いわゆるkeggin構造を含有するアニオ
ンは1:12の縮合比を有し、全ヘテロポリ酸アニオン
の最も典型的なものである。これらヘテロポリ酸類をC
HPの酸分解反応に使用する場合、適切なヘテロポリ酸
触媒はモリブデン、タングステン、ニオビウム及びバナ
ジウムの群から選ばれた多価原子を含むことができ、一
方、ヘテロ原子はリン、ケイ素、ゲルマニウム及びヒ素
が挙げられる。好ましくはヘテロ原子にはリンまたは、
ケイ素が用いられる。これらのヘテロポリ酸はkegg
in構造である。
モリブデン酸(H3PMo12O40)、12−リンタングステン
酸(H3PW12O40)、12−ケイモリブデン酸(H4SiMo12O
40)及び12−ケイタングステン酸(H4SiW12O40)が挙
げられる。前記の酸は一般に水和物として使用され、過
剰のアセトンに完全に溶解した状態で第1段反応器に供
給される。
の存在下に、主としてCHPの酸分解反応を行う第1段
反応と、主としてα−MSの生成反応を行う第2段反応
とを有する2段反応法によって、CHPを主成分とする
クメン酸化生成物から、フェノール、アセトン及びα−
MSを製造する方法である。
は、クメンを炭酸ナトリウムの存在下あるいは、非存在
下に100℃前後の温度で空気または、酸素によって酸
化し、その後、生成物を蒸留操作によって所定の濃度に
なるように未反応クメンを分離したものである。このク
メン酸化生成物は、通常、CHP(83.1重量%)、
ジメチルフェニルカルビノール(6.6重量%)、アセ
トフェノン(0.9重量%)、クメン(7.7重量
%)、ジクミルペルオキシド(0.4重量%)、その他
(1.3重量%)の成分組成を有するものである。
するヘテロポリ酸類のクメン酸化生成物に対する濃度
は、硫酸などで通常行われている濃度域(100〜50
0重量ppm)よりも低濃度域で高活性を発現するとさ
れているが、一般に、CHPからフェノール、アセトン
及びα−MSを生成するプロセスにおいて、酸の変動は
運転安定性に影響を与えるため、余り低濃度にすると反
応液中の水濃度の増加や原料であるクメン酸化生成物中
に同伴するナトリウム塩の影響を受け、酸強度及び酸濃
度が低下し、未反応のCHPが増加する恐れがある。ま
た、余りに高濃度で反応を行っても、生成するα−MS
の重質化反応が促進されるので好ましくない。従って、
使用するヘテロポリ酸類の濃度を特に制限はしないが、
上述の影響から見て好ましい範囲は20〜300重量p
pmである。
は、出来るだけ高いほうが良く、低転化率で反応を行っ
た場合、第2段反応における反応温度が著しく上昇し、
有効成分であるα−MSの重質化反応などが促進され、
好ましくないだけでなく、プラントの安全運転上、問題
である。従って、少なくとも95%以上、99.9%ま
でであり、好ましくは97〜99.6%である。
類に影響を及ぼすことから、少なくとも3.0重量%以
下に制御することが必要であり、通常1.5重量%以
下、好ましくは0.2〜1.0重量%の範囲である。反
応液中の水濃度を制御する方法としては、原料およびア
セトンなどからの持ち込み分をできるだけ抑制すること
で、或いは積極的に排除することで達成できる。
55〜90℃の範囲であり、好ましくは65〜85℃で
ある。この反応温度の調節は、ここで蒸発するアセトン
を冷却・凝縮し、環流することにより行うこともでき
る。この反応温度が90℃よりも高温の場合は、CHP
の熱分解反応が優先され、目的生成物であるフェノール
及びアセトンの収率低下を招く。一方、55℃に満たな
い温度では、反応熱の除去のために多大な設備を必要と
し、かつ酸分解反応時の温度の安定性を悪化させるため
好ましくない。
もα−MSからクミルフェノールまたは、メチルスチレ
ンダイマー及びこれらがさらに重質化した高沸点化合物
が生成する。この反応を抑制するためアセトンを添加し
て反応器内のα−MS濃度を低下させることでα−MS
の重質化反応を抑制することができ、しかも、このアセ
トンの添加は、反応混合物中のアセトン濃度が20〜7
0重量%になるように行われ、フェノール及びα−MS
の収率低下を防ぐことができる。
のアセトン濃度が70重量%より多くなると、α−MS
の重質化反応は抑制できるが、反応器とアセトンの蒸留
設備間を循環するアセトン量を多くする必要があり、そ
の結果、アセトンを蒸留するための消費エネルギーを多
く必要とし、プロセス全体ではデメリットの方が大きく
なる。また、反応混合物中のアセトン濃度が20重量%
より少ない場合、α−MSの重質化反応の抑制効果は殆
ど得られない。
699号公報では、硫酸触媒において第1段階の反応に
アセトンを添加する方法において、ヒドロキシアセトン
の生成が増大して、品質を悪化させるという記載がある
が、本発明の方法では、使用するヘテロポリ酸類触媒に
おけるCHPの分解速度が、ヒドロキシアセトンの副生
速度に比べ、極めて速いため、過剰のアセトンによるヒ
ドロキシアセトンの増大は認められない。
滞留時間は、5〜40分の範囲であり、通常、15〜3
0分程度になるように調整される。第1段反応におい
て、CHPの酸分解によってフェノールとアセトンが生
成する際に生じる反応熱は、一般的な有機化学反応にお
ける反応熱の数倍の熱量になる。そのため、第1段にお
ける反応は、発生する反応熱を完全に除去して所定の反
応温度に維持することで、CHPの分解速度を一定に
し、第1段反応器からは、成分組成の安定した反応混合
物を第2段の反応器に供給できるように、反応温度を制
御して行う必要がある。
としては、完全混合槽型反応器が好ましい。また、例え
ば、反応器内部に冷却管を備えた方式、反応器の外周に
冷媒を流すためのジャケットを備えた方式、反応時に併
産されるアセトンの蒸発潜熱を利用して反応熱を除去す
る方式などを採用することができる。また、反応熱の除
去と生成したアセトンの分離を同時に行う反応蒸留方式
にて、反応を行うこともできる。この時、該反応器の温
度制御に利用される反応で生成するアセトンは、反応熱
によって蒸発し、反応器上部に取り付けた蒸留塔の塔頂
より抜き出す。この場合、反応温度は塔頂圧力及びアセ
トンの還流比により調節する。従って、反応圧力は反応
物の組成、反応温度により、減圧、常圧、加圧の全ての
範囲から適切な条件を選ぶ必要がある。
ことで、原料であるクメン酸化生成物中のジメチルフェ
ニルカルビノールは、CHPとの反応生成物であるジク
ミルペルオキシドへ転化、もしくは未反応の状態で反応
混合物中に存在し、α−MSへの転化、さらには高沸点
物への転化は抑制される。このようにして第1段反応器
から得た反応混合物は、フェノール、アセトン、ジメチ
ルフェニルカルビノール、ジクミルペルオキシド及びク
メンを主成分とするものであり、引き続き第2段反応器
に供給される。
合物中のジメチルフェニルカルビノールまたは、ジクミ
ルペルオキシドからα−MSを生成する反応が行われ
る。このα−MSの生成反応は発熱反応であることか
ら、反応器入口の温度よりも出口の温度の方が高く、そ
の温度差は、反応するジクミルペルオキシドの量に応じ
て変動するが、通常、2〜30℃程度になるため、第2
段反応器の出口温度を制御する必要がある。
るため、反応時間を短縮するなどの制御をする必要があ
る。これらのことから第2段反応器における反応温度は
55〜120℃であり、好ましくは、第1段反応器出の
温度〜120℃未満である。第2段反応器の反応温度が
120℃を越える場合に、ジクミルペルオキシド及びジ
メチルフェニルカルビノールからα−MSへの転化率が
70%以上になると、α−MSの重質化物であるクミル
フェノールやメチルスチレンダイマー及び高沸点化合物
の副生速度が急激に増加するため好ましくない。
に対して塔長を長くしたり、反応器の内部に邪魔板を設
けて、反応混合物のバックミキシングを抑えることが出
来るプラグフロー型反応器が好ましく用いられる。この
第2段反応器での反応混合物の滞留時間は、通常、0.
1〜60分程度、好ましくは0.5〜30分程度であ
る。また、反応圧力は減圧、常圧、加圧のいずれでもよ
い。
ルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールから
α−MSの生成反応が終了した直後に反応生成物を冷却
し、酸触媒であるヘテロポリ酸の中和処理を行って反応
を停止することが必要である。これは反応生成物中に酸
触媒が存在すると、有機過酸化物(CHPなど)の分解
反応が終了しても、α−MSの重質化反応、すなわちク
ミルフェノール、メチルスチレンダイマー、さらには、
さらに高沸化した化合物の生成反応が進行し、α−M
S、フェノールの収率が悪化する。
ポリ酸の中和処理は、通常、水酸化ナトリウム水溶液ま
たは、水酸化ナトリウムとフェノールの塩であるナトリ
ウムフェノラート、あるいは炭酸ナトリウム水溶液を用
いて行われる。
物は、蒸留工程にてアセトン、フェノール、α−MS、
クメンなどに分離される。この時、分離したアセトンの
一部は、第1段反応器へ反応希釈剤及びヘテロポリ酸の
供給溶媒として循環させて使用することが出来る。
する。
酸化生成物(組成がCHP83.1重量%、ジメチルフ
ェニルカルビノール6.6重量%、アセトフェノン0.
9重量%、クメン7.7重量%)を得た。また、このクメ
ン酸化生成物中のナトリウム塩濃度は、3.6重量pp
mであった。次に、このクメン酸化生成物を同体積の水
と混合し、油水分離操作を行い、クメン酸化生成物中に
含有するナトリウム塩を水相に抽出し、さらに油相に溶
解した4.5重量%の水分を蒸留操作によって除去し
た。
成物は、第1段反応器として除熱機能を有する連続式完
全混合槽型反応器に供給されてCHPの分解反応を行
い、引き続き第2段反応器として、断熱式プラグフロー
型反応器を用いて、主としてα−MSの生成反応を行っ
た。
25g/hr、触媒としてリンタングステン酸(H3PW12
O40・30H2O、日本無機化学工業(株)社製)14.4m
g(クメン酸化生成物に対して64重量ppm)を含む
アセトンを75g/hrでポンプにて連続供給した。圧
力は常圧にて、該反応器で蒸発するアセトンを冷却・凝
縮し、環流することにより反応温度を78℃に制御し、
反応混合物を得た。この時の該反応器での滞留時間は1
7分であった。ここで、触媒と共に供給したアセトン
は、後述の第2段階の反応生成物から蒸留分離したもの
で、アセトンよりも低沸点のアルデヒド類を1000重
量ppm、水を3.1重量%含有しているものであっ
た。また、反応混合物中の水濃度は、0.9重量%であ
った。
し、冷却して、10重量%水酸化ナトリウム水溶液で中
和した。この中和反応液をガスクロマトグラフで分析し
た結果、CHP転化率は97.7%、ジメチルフェニル
カルビノール転化率は、70.9%であった。
合物を予め加熱昇温した断熱型のプラグフロー型反応器
に供給して第2段反応を行った。この第2段反応器にお
ける反応混合物の滞留時間は1分であり、反応器の出口
温度は118℃であった。こうして得られた反応生成物
は直ちに冷却され、10重量%水酸化ナトリウム水溶液
で中和して反応を停止した。この反応生成物を分析し、
フェノール及びα−MSの収率、ならびに不純物である
高沸点化合物及びヒドロキシアセトンの濃度を求めた。
結果を表1に示す。
(H3PMo12O40・30H2O、日本無機化学工業(株)社製)
を用いた他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示
す。
混合物中の濃度が2000重量ppmになるようにアセ
トンに溶解して、75g/hrの速度で第1段反応器に
供給して反応を行った。得られた反応混合物は、第2段
の反応器に供給することなく、直ちに冷却し、炭酸ナト
リウム水溶液で中和して反応を終了した他は実施例1と
同様に行った。結果を表1に示す。
中の濃度が2000重量ppmになるようにアセトンに
溶解して用いた他は比較例1と同様に行った。結果を表
1に示す。
500重量ppmとした他は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
204重量ppmとした他は実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
hrとした他は実施例1と同様の方法で実施した。結果
を表1に示す。
とした他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示
す。
に代えて、2.5重量%になるように、第1段反応器に
添加するアセトン中の水を調整した他は実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。
%に代えて、5重量%になるように、第1段反応器に添加
するアセトン中の水を調整した他は実施例1と同様に行
ったところ、第1段反応でのCHP分解反応が認められ
ず、反応を途中で中止した。
で減圧にして反応を行った他は実施例1と同様に行っ
た。この時、第1段の反応器内温度は70℃であった。
結果を表1に示す。
で減圧にして反応を行った他は実施例1と同様に行った
ところ、第1段の反応器内温度は40℃であった。第1
段反応でのCHP分解反応が認められず、反応を途中で
中止した。
た他は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
ドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物から
第1段反応器で過剰のアセトンの存在下にクメンヒドロ
ペルオキシドの分解反応を行い、次いで第2段反応器で
α−メチルスチレンの生成反応を行うという2段の反応
を連続で行うことにより、フェノールやα−MSの収率
悪化の原因となる高沸点化合物の生成や製品フェノール
の品質を悪化させるヒドロキシアセトンの生成を抑制す
ることができ、産業上優位である。
Claims (5)
- 【請求項1】クメンヒドロペルオキシドを主成分とする
クメン酸化生成物を分解して、フェノール、アセトン及
びα−メチルスチレンを2段反応で製造する方法におい
て、下記の構造式(1)で示されるヘテロポリ酸類の存
在下、第1段反応器にクメンヒドロペルオキシドを主成
分とするクメン酸化生成物を供給し、反応温度55〜9
0℃、かつ反応混合物中のアセトン濃度を20〜70重
量%に保ち、クメンヒドロペルオキシドの転化率が95
〜99.9%まで反応を行い、次いで反応温度55〜1
20℃の第2段反応器で反応を完結させることを特徴と
するフェノールの製造方法。 【化1】 (式中、XはPもしくはSi、MはMoもしくはWであ
り、nは4もしくは5の整数を示す。) - 【請求項2】第1段反応器で蒸発するアセトンを、冷却
・凝縮し、環流することにより、反応温度を55〜90
℃に保つ請求項1記載の方法。 - 【請求項3】第2段反応器を出た反応生成物から分離し
たアセトンの一部を第1段反応器に循環させる請求項1
記載の方法。 - 【請求項4】第1段反応器におけるヘテロポリ酸類を、
クメン酸化生成物に対して20〜300重量ppm用い
る請求項1記載の方法。 - 【請求項5】第2段反応器を出た反応生成物を、直ちに
冷却及び中和して反応を停止させる請求項1記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11154468A JP2000344698A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | フェノールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11154468A JP2000344698A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | フェノールの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000344698A true JP2000344698A (ja) | 2000-12-12 |
Family
ID=15584917
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JP11154468A Pending JP2000344698A (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | フェノールの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2000344698A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002371020A (ja) * | 2001-06-19 | 2002-12-26 | Mitsui Chemicals Inc | フェノールの製造方法 |
-
1999
- 1999-06-02 JP JP11154468A patent/JP2000344698A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002371020A (ja) * | 2001-06-19 | 2002-12-26 | Mitsui Chemicals Inc | フェノールの製造方法 |
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