JP2000337404A - オーバランニングクラッチ - Google Patents
オーバランニングクラッチInfo
- Publication number
- JP2000337404A JP2000337404A JP11148163A JP14816399A JP2000337404A JP 2000337404 A JP2000337404 A JP 2000337404A JP 11148163 A JP11148163 A JP 11148163A JP 14816399 A JP14816399 A JP 14816399A JP 2000337404 A JP2000337404 A JP 2000337404A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- clutch
- roller cam
- overrunning clutch
- roller
- thrust spline
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加工精度を高くする必要がなく、クラッチア
ウタの作製が容易で、かつ、特性のよいオーバランニン
グクラッチが得られない。 【解決手段】 スラストスプライン3Aとローラカム3
cとの接合部に、軸方向および径方向精度確保のための
いんろう部3Dと、動力伝達時およびオーバラン時に回
り止めとなる凹部3Eと凸部3Fとを設けた。
ウタの作製が容易で、かつ、特性のよいオーバランニン
グクラッチが得られない。 【解決手段】 スラストスプライン3Aとローラカム3
cとの接合部に、軸方向および径方向精度確保のための
いんろう部3Dと、動力伝達時およびオーバラン時に回
り止めとなる凹部3Eと凸部3Fとを設けた。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジンを始動
するためのスタータに用いられるオーバランニングクラ
ッチに関する。
するためのスタータに用いられるオーバランニングクラ
ッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスタータに用いられるオーバラン
ニングクラッチは、図9に示すように、車両用スタータ
の電動機により駆動される出力軸とスプライン結合され
るヘリカルスプライン30xが内周面に形成された筒部
30aと,クラッチローラ30rを収容するための溝3
0tが形成されたローラカム部30cと,このローラカ
ム部30cのカム底となるフランジ部30bとから成る
クラッチアウタ30Xと、クランクシャフトに連結され
たリングギヤと噛み合うピニオン30Pと、このピニオ
ン30Pの根元の部分で構成され上記クラッチローラ3
0rをローラカム部30cの溝30tに係合させたりこ
の係合状態から開放するクラッチインナ30Yと、上記
クラッチアウタ30Xとワッシャ30eの外側を覆うク
ラッチカバー30wとから構成されている。上記クラッ
チアウタ30Xは、筒部30aとフランジ部30bとロ
ーラカム部30cとから成り、このクラッチアウタ30
Xは、冷間鍛造後、切削加工、熱処理を施すことで一体
成形されていた。
ニングクラッチは、図9に示すように、車両用スタータ
の電動機により駆動される出力軸とスプライン結合され
るヘリカルスプライン30xが内周面に形成された筒部
30aと,クラッチローラ30rを収容するための溝3
0tが形成されたローラカム部30cと,このローラカ
ム部30cのカム底となるフランジ部30bとから成る
クラッチアウタ30Xと、クランクシャフトに連結され
たリングギヤと噛み合うピニオン30Pと、このピニオ
ン30Pの根元の部分で構成され上記クラッチローラ3
0rをローラカム部30cの溝30tに係合させたりこ
の係合状態から開放するクラッチインナ30Yと、上記
クラッチアウタ30Xとワッシャ30eの外側を覆うク
ラッチカバー30wとから構成されている。上記クラッ
チアウタ30Xは、筒部30aとフランジ部30bとロ
ーラカム部30cとから成り、このクラッチアウタ30
Xは、冷間鍛造後、切削加工、熱処理を施すことで一体
成形されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ク
ラッチアウタ30Xは、カム底となるフランジ部30b
を有する二段階の筒形状なので、熱処理により一様でな
い歪みが生じてローラカム部30cの部分が内側に変形
してしまい、オーバランニングクラッチの動力伝達性能
及びクラッチローラ30rが作動するための作動空間の
容量を満たすように加工することが困難で、特性のよい
オーバランニングクラッチを得ることができなかった。
尚、実公昭45−23620号公報には、上記クラッチ
アウタ30Xの筒部30aとフランジ部30bとローラ
カム部30cとを分離し、組み付けるようにした技術が
開示されている。これによれば、ローラカム部30cは
加工の際に変形しない。しかし、この従来技術では、フ
ランジ部30bとローラカム部30cとの接合面に一対
の凹凸部を設け、これらフランジ部30bとローラカム
部30cとを凹凸嵌合により組み付けるので、凹凸部の
加工精度を高くする必要があり、フランジ部30bとロ
ーラカム部30cの加工が容易でないという課題があっ
た。また、筒部30aとフランジ部30bとを組み付け
る必要があり、筒部30aとフランジ部30bについて
も凹凸嵌合により組み付けるので、高い加工精度が必要
になり、筒部30aとフランジ部30bの加工が容易で
ないという課題もあった。いずれにしろ、上記各従来技
術では、クラッチアウタ30Xの加工に、高い加工精度
が必要で、クラッチアウタの作製が容易でないという課
題があった。さらに、上記各従来技術では、クラッチア
ウタ30Xが、透磁率μの高い鉄鋼材(ほぼμ≧30
0)で形成されていることから、スタータの電磁スイッ
チの近傍に配置すると、クラッチアウタ30Xを介して
磁束が漏れ、プランジャに対する電磁スイッチの吸引力
が十分に得られなくなるので、オーバランニングクラッ
チの配置の規制を受けざるを得ず、スタータの小型化を
図れないという課題があった。
ラッチアウタ30Xは、カム底となるフランジ部30b
を有する二段階の筒形状なので、熱処理により一様でな
い歪みが生じてローラカム部30cの部分が内側に変形
してしまい、オーバランニングクラッチの動力伝達性能
及びクラッチローラ30rが作動するための作動空間の
容量を満たすように加工することが困難で、特性のよい
オーバランニングクラッチを得ることができなかった。
尚、実公昭45−23620号公報には、上記クラッチ
アウタ30Xの筒部30aとフランジ部30bとローラ
カム部30cとを分離し、組み付けるようにした技術が
開示されている。これによれば、ローラカム部30cは
加工の際に変形しない。しかし、この従来技術では、フ
ランジ部30bとローラカム部30cとの接合面に一対
の凹凸部を設け、これらフランジ部30bとローラカム
部30cとを凹凸嵌合により組み付けるので、凹凸部の
加工精度を高くする必要があり、フランジ部30bとロ
ーラカム部30cの加工が容易でないという課題があっ
た。また、筒部30aとフランジ部30bとを組み付け
る必要があり、筒部30aとフランジ部30bについて
も凹凸嵌合により組み付けるので、高い加工精度が必要
になり、筒部30aとフランジ部30bの加工が容易で
ないという課題もあった。いずれにしろ、上記各従来技
術では、クラッチアウタ30Xの加工に、高い加工精度
が必要で、クラッチアウタの作製が容易でないという課
題があった。さらに、上記各従来技術では、クラッチア
ウタ30Xが、透磁率μの高い鉄鋼材(ほぼμ≧30
0)で形成されていることから、スタータの電磁スイッ
チの近傍に配置すると、クラッチアウタ30Xを介して
磁束が漏れ、プランジャに対する電磁スイッチの吸引力
が十分に得られなくなるので、オーバランニングクラッ
チの配置の規制を受けざるを得ず、スタータの小型化を
図れないという課題があった。
【0004】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、加工精度を高くする必要がな
く、クラッチアウタの作製が容易で、かつ、特性のよい
オーバランニングクラッチを提供することを目的とす
る。また、上記目的に加え、さらに、配置の規制を受け
ず、スタータの小型化に貢献できるオーバランニングク
ラッチを提供することを目的とする。
ためになされたもので、加工精度を高くする必要がな
く、クラッチアウタの作製が容易で、かつ、特性のよい
オーバランニングクラッチを提供することを目的とす
る。また、上記目的に加え、さらに、配置の規制を受け
ず、スタータの小型化に貢献できるオーバランニングク
ラッチを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るオーバラン
ニングクラッチは、接合されるスラストスプラインとロ
ーラカムの接合部に、軸方向および径方向精度確保のた
めのいんろう部と、動力伝達時およびオーバラン時に回
り止めとなる凹凸部とを設けるようにした。また、上記
スラストスプラインとローラカムの外周に、クラッチカ
バーをしごくことで固定する際の抜け止め溝を形成する
ようにした。さらに、上記スラストスプラインを、鉄よ
りも透磁率の低い弱磁性体で形成するようにした。
ニングクラッチは、接合されるスラストスプラインとロ
ーラカムの接合部に、軸方向および径方向精度確保のた
めのいんろう部と、動力伝達時およびオーバラン時に回
り止めとなる凹凸部とを設けるようにした。また、上記
スラストスプラインとローラカムの外周に、クラッチカ
バーをしごくことで固定する際の抜け止め溝を形成する
ようにした。さらに、上記スラストスプラインを、鉄よ
りも透磁率の低い弱磁性体で形成するようにした。
【0006】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、本発明に係
るオーバランニングクラッチの実施の形態1を図1〜3
に基づいて説明する。図1は、実施の形態に係るオーバ
ランニングクラッチが用いられるスタータの構成を示す
断面図である。図1中、左側の部分は直流電動機部X、
右側の部分は作動部Y、ほぼ中央の上側の部分は接点室
Zである。尚、以下、適宜、図1の電動機側を後方、リ
ングギヤ側を前方と呼んで説明する。スタータは、フロ
ントブラケット20,センタブラケット30,リアブラ
ケット40で覆われ、ほぼ弾丸状の外観を呈している。
尚、リングギヤ50が入り込む部分は開口部となってい
る。内部には、直流電動機M、この直流電動機Mで駆動
される出力軸1、この出力軸1の周りに環状の電磁スイ
ッチ2やオーバランニングクラッチ3やプランジャ(可
動鉄心)4などが配置されている。即ち、このスタータ
は、出力軸1と同軸に、電磁スイッチ2やオーバランニ
ングクラッチ3やプランジャ4が配置されている構成な
ので、同軸型スタータと呼ばれる。
るオーバランニングクラッチの実施の形態1を図1〜3
に基づいて説明する。図1は、実施の形態に係るオーバ
ランニングクラッチが用いられるスタータの構成を示す
断面図である。図1中、左側の部分は直流電動機部X、
右側の部分は作動部Y、ほぼ中央の上側の部分は接点室
Zである。尚、以下、適宜、図1の電動機側を後方、リ
ングギヤ側を前方と呼んで説明する。スタータは、フロ
ントブラケット20,センタブラケット30,リアブラ
ケット40で覆われ、ほぼ弾丸状の外観を呈している。
尚、リングギヤ50が入り込む部分は開口部となってい
る。内部には、直流電動機M、この直流電動機Mで駆動
される出力軸1、この出力軸1の周りに環状の電磁スイ
ッチ2やオーバランニングクラッチ3やプランジャ(可
動鉄心)4などが配置されている。即ち、このスタータ
は、出力軸1と同軸に、電磁スイッチ2やオーバランニ
ングクラッチ3やプランジャ4が配置されている構成な
ので、同軸型スタータと呼ばれる。
【0007】本実施の形態1に係るオーバランニングク
ラッチ3は、上記出力軸1の中央側の一部の外周に形成
されたヘリカルスプライン1aと噛み合うヘリカルスプ
ライン3xが内面に形成された筒部3aと,この筒部3
aの前方側に設けられ後述するローラカムのカム底とな
るフランジ部3bとから成るスラストスプライン3A
と、このスラストスプライン3Aのフランジ部3bとワ
ッシャ3eとで挟まれたローラカム3cと、ピニオン3
Pと、ピニオン3Pの根元の筒部で構成されるクラッチ
インナ3yと、ローラカム3cに形成された溝3tに配
置されたクラッチローラ3rと、上記スラストスプライ
ン3Aのフランジ部3bとローラカム3cとワッシャ3
eの外側を覆うクラッチカバー3wとで構成される。上
記スラストスプライン3Aとローラカム3cとでクラッ
チアウタ3Bが構成される。
ラッチ3は、上記出力軸1の中央側の一部の外周に形成
されたヘリカルスプライン1aと噛み合うヘリカルスプ
ライン3xが内面に形成された筒部3aと,この筒部3
aの前方側に設けられ後述するローラカムのカム底とな
るフランジ部3bとから成るスラストスプライン3A
と、このスラストスプライン3Aのフランジ部3bとワ
ッシャ3eとで挟まれたローラカム3cと、ピニオン3
Pと、ピニオン3Pの根元の筒部で構成されるクラッチ
インナ3yと、ローラカム3cに形成された溝3tに配
置されたクラッチローラ3rと、上記スラストスプライ
ン3Aのフランジ部3bとローラカム3cとワッシャ3
eの外側を覆うクラッチカバー3wとで構成される。上
記スラストスプライン3Aとローラカム3cとでクラッ
チアウタ3Bが構成される。
【0008】即ち、クラッチアウタ3Bは、別々に形成
された上記スラストスプライン3Aとローラカム3cと
を接合して成るものであり、これらの接合部3Acに
は、図2,3に示すように、軸方向および径方向精度確
保のためのいんろう部3Dと、後述のようにクラッチロ
ーラ3rが係合したときの動力伝達時およびクラッチロ
ーラ3rの係合が解除したときのオーバラン時に回り止
めとなる凹部3Eと凸部3Fが設けられている。即ち、
接合部3Acの詳細を示す図3よりわかるように、上記
スラストスプライン3Aには、いんろう部3Dの一方を
構成する筒蓋部3D1が形成され、この筒蓋部3D1の
内側には、リング状の隆起部3Mが形成され、この隆起
部3Mの外周の複数箇所に、軸中心方向に延長する凹部
3Eが形成されている。また、上記ローラカム3cに
は、いんろう部3Dの他方を構成し、上記筒蓋部3D1
の内周側に外周側が嵌合する筒状突出部3D2が形成さ
れ、この筒状突出部3D2の内周側には、軸中心方向に
延長して上記各凹部3Eに嵌合する凸部3Fが形成され
ている。いんろう部3Dによるスラストスプライン3A
とローラカム3cの接合によれば、従来技術の凹凸嵌合
に比べて、加工精度を高くする必要がなく、また、回り
止めとなる凹部3Eと凸部3Fを設けたことにより、さ
らに加工精度が低くてもよくなる。よって、スラストス
プライン3Aとローラカム3c、結局、クラッチアウタ
3Bの製作が容易になる。
された上記スラストスプライン3Aとローラカム3cと
を接合して成るものであり、これらの接合部3Acに
は、図2,3に示すように、軸方向および径方向精度確
保のためのいんろう部3Dと、後述のようにクラッチロ
ーラ3rが係合したときの動力伝達時およびクラッチロ
ーラ3rの係合が解除したときのオーバラン時に回り止
めとなる凹部3Eと凸部3Fが設けられている。即ち、
接合部3Acの詳細を示す図3よりわかるように、上記
スラストスプライン3Aには、いんろう部3Dの一方を
構成する筒蓋部3D1が形成され、この筒蓋部3D1の
内側には、リング状の隆起部3Mが形成され、この隆起
部3Mの外周の複数箇所に、軸中心方向に延長する凹部
3Eが形成されている。また、上記ローラカム3cに
は、いんろう部3Dの他方を構成し、上記筒蓋部3D1
の内周側に外周側が嵌合する筒状突出部3D2が形成さ
れ、この筒状突出部3D2の内周側には、軸中心方向に
延長して上記各凹部3Eに嵌合する凸部3Fが形成され
ている。いんろう部3Dによるスラストスプライン3A
とローラカム3cの接合によれば、従来技術の凹凸嵌合
に比べて、加工精度を高くする必要がなく、また、回り
止めとなる凹部3Eと凸部3Fを設けたことにより、さ
らに加工精度が低くてもよくなる。よって、スラストス
プライン3Aとローラカム3c、結局、クラッチアウタ
3Bの製作が容易になる。
【0009】また、スラストスプライン3Aとローラカ
ム3cの外周には、それぞれ、クラッチカバー3wをし
ごく際の抜け止め溝3G,3Gが形成されている。尚、
「しごく」とは、図2の想像線Sに示すような厚さのあ
るクラッチカバー3wを被せた状態で専用の治具により
クラッチカバー3wを押し伸ばすように組み付けること
をいう。これによれば、クラッチカバー3wが押し伸ば
されるときにその一部が溝3G,3G内に密着して嵌ま
り込むので、スラストスプライン3Aとローラカム3c
とを強固に固定できる。
ム3cの外周には、それぞれ、クラッチカバー3wをし
ごく際の抜け止め溝3G,3Gが形成されている。尚、
「しごく」とは、図2の想像線Sに示すような厚さのあ
るクラッチカバー3wを被せた状態で専用の治具により
クラッチカバー3wを押し伸ばすように組み付けること
をいう。これによれば、クラッチカバー3wが押し伸ば
されるときにその一部が溝3G,3G内に密着して嵌ま
り込むので、スラストスプライン3Aとローラカム3c
とを強固に固定できる。
【0010】本実施の形態1におけるオーバランニング
クラッチ3によれば、軸方向および径方向精度確保が容
易ないんろう部3Dによりスラストスプライン3Aとロ
ーラカム3cとを接合するようにして、かつ、スラスト
スプライン3Aとローラカム3cとに回り止めとなる凹
部3Eと凸部3Fを設けるようにしたので、スラストス
プライン3Aとローラカム3cの加工精度を高くする必
要がなく、クラッチアウタの作製が容易になり、かつ、
ローラカム3cの加工において変形もなくなるので、動
力伝達性能及びクラッチローラ3rが作動するための作
動空間の容量を満たし、特性の良いオーバランニングク
ラッチ3が得られる。また、このようなオーバランニン
グクラッチ3は、オーバラン時に受ける電動機Mの負荷
が小さくなるので、信頼性が高い。また、スラストスプ
ライン3Aとローラカム3cの外周に、クラッチカバー
3wをしごく際の抜け止め溝3G,3Gが形成するよう
にしたので、スラストスプライン3Aとローラカム3c
とを強固に固定できる。
クラッチ3によれば、軸方向および径方向精度確保が容
易ないんろう部3Dによりスラストスプライン3Aとロ
ーラカム3cとを接合するようにして、かつ、スラスト
スプライン3Aとローラカム3cとに回り止めとなる凹
部3Eと凸部3Fを設けるようにしたので、スラストス
プライン3Aとローラカム3cの加工精度を高くする必
要がなく、クラッチアウタの作製が容易になり、かつ、
ローラカム3cの加工において変形もなくなるので、動
力伝達性能及びクラッチローラ3rが作動するための作
動空間の容量を満たし、特性の良いオーバランニングク
ラッチ3が得られる。また、このようなオーバランニン
グクラッチ3は、オーバラン時に受ける電動機Mの負荷
が小さくなるので、信頼性が高い。また、スラストスプ
ライン3Aとローラカム3cの外周に、クラッチカバー
3wをしごく際の抜け止め溝3G,3Gが形成するよう
にしたので、スラストスプライン3Aとローラカム3c
とを強固に固定できる。
【0011】実施の形態2 上記スラストスプライン3Aを、鉄よりも透磁率μの低
い弱磁性体で形成する。尚、具体的には、透磁率μが3
00以下の弱磁性体で形成するのが望ましい。このよう
にすれば、オーバランニングクラッチ3を電磁スイッチ
の近傍に配置しても、洩れ磁束を抑えることができるの
で、図1のプランジャ4に対する電磁スイッチ2の吸引
力を確保できる。従って、オーバランニングクラッチ3
の配置に際して規制が少なくなり、スタータを小型にで
きるという効果がある。
い弱磁性体で形成する。尚、具体的には、透磁率μが3
00以下の弱磁性体で形成するのが望ましい。このよう
にすれば、オーバランニングクラッチ3を電磁スイッチ
の近傍に配置しても、洩れ磁束を抑えることができるの
で、図1のプランジャ4に対する電磁スイッチ2の吸引
力を確保できる。従って、オーバランニングクラッチ3
の配置に際して規制が少なくなり、スタータを小型にで
きるという効果がある。
【0012】以下、本実施の形態1,2によるオーバラ
ンニングクラッチ3が用いられるスタータの構成及び動
作について図1,図4〜図8に基づき詳細に説明する。
ンニングクラッチ3が用いられるスタータの構成及び動
作について図1,図4〜図8に基づき詳細に説明する。
【0013】スタータの直流電動機Mは、周知のよう
に、電機子12、この電機子12の周囲を覆うヨーク1
3、このヨーク13の内側に設けられた固定磁極13
a、コンミュテータ(整流子)14、ブラシ15、シャ
フト16などで構成されている。電機子12は、電機子
鉄心に電機子コイルが巻かれたもので、そのシャフト1
6の前方側は筒状のコンミュテータ14の筒空間を貫通
して減速機構18に接続されている。電機子コイルはコ
ンミュテータ14に接続されている。直流電動機Mは、
固定磁極の数により、2極機,4極機,6極機などがあ
るが、例えば、6極機の直流電動機を使用する場合を例
にすると、固定磁極13aはN極,S極交互に全部で6
つ設けられていて、コンミュテータ14に接触するブラ
シ15は、コンミュテータ14の周囲に沿って交互に配
置されている。尚、15aはブラシ15をコンミュテー
タ14に押し付けるバネ、15hはブラシホルダであ
る。以上のような直流電動機Mにより出力軸1を駆動す
る。
に、電機子12、この電機子12の周囲を覆うヨーク1
3、このヨーク13の内側に設けられた固定磁極13
a、コンミュテータ(整流子)14、ブラシ15、シャ
フト16などで構成されている。電機子12は、電機子
鉄心に電機子コイルが巻かれたもので、そのシャフト1
6の前方側は筒状のコンミュテータ14の筒空間を貫通
して減速機構18に接続されている。電機子コイルはコ
ンミュテータ14に接続されている。直流電動機Mは、
固定磁極の数により、2極機,4極機,6極機などがあ
るが、例えば、6極機の直流電動機を使用する場合を例
にすると、固定磁極13aはN極,S極交互に全部で6
つ設けられていて、コンミュテータ14に接触するブラ
シ15は、コンミュテータ14の周囲に沿って交互に配
置されている。尚、15aはブラシ15をコンミュテー
タ14に押し付けるバネ、15hはブラシホルダであ
る。以上のような直流電動機Mにより出力軸1を駆動す
る。
【0014】作動部Yは、減速機構18、出力軸1、電
磁スイッチ2、オーバランニングクラッチ3、プランジ
ャ4などから成る。
磁スイッチ2、オーバランニングクラッチ3、プランジ
ャ4などから成る。
【0015】17は内歯車部材である。これは、軸受1
yを介して出力軸1の外周に嵌められる第1筒状部17
aと、この第1筒状部17aから出力軸1の外周に対し
て直角方向に延在する中空円盤状の底板部17bと、こ
の底板部17bの外周縁より後方側に延長し、内周に内
歯車18cを有する第2筒状部17cとから構成され
る。上記減速機構18は、上記内歯車部材17の内歯車
18cと、シャフト16に設けられた太陽歯車18a
と、この太陽歯車18aの周りに配置され当該太陽歯車
18a及び内歯車18cと噛み合う複数個の遊星歯車1
8bと、この遊星歯車18b群と上記内歯車部材17の
底板部17bとの間に挿入された出力軸1のフランジ部
1Fより突出して、各遊星歯車18bを出力軸1のフラ
ンジ部1Fに連結するピン1Pとにより構成される。
尚、各遊星歯車18bの回転力は軸受1zを介して各ピ
ン1Pに伝達される。尚、出力軸1のフランジ部1Fの
中心には円溝1hが形成されており、シャフト16の前
方側先端は上記円溝1hに設けられた軸受1xを介して
回転自在に支承されている。従って、図4の断面図に示
すように、各遊星歯車18bが太陽歯車18aの周りを
公転することによりシャフト16の回転力が減速されて
ピン1Pを介して出力軸1に伝達されることになる。
yを介して出力軸1の外周に嵌められる第1筒状部17
aと、この第1筒状部17aから出力軸1の外周に対し
て直角方向に延在する中空円盤状の底板部17bと、こ
の底板部17bの外周縁より後方側に延長し、内周に内
歯車18cを有する第2筒状部17cとから構成され
る。上記減速機構18は、上記内歯車部材17の内歯車
18cと、シャフト16に設けられた太陽歯車18a
と、この太陽歯車18aの周りに配置され当該太陽歯車
18a及び内歯車18cと噛み合う複数個の遊星歯車1
8bと、この遊星歯車18b群と上記内歯車部材17の
底板部17bとの間に挿入された出力軸1のフランジ部
1Fより突出して、各遊星歯車18bを出力軸1のフラ
ンジ部1Fに連結するピン1Pとにより構成される。
尚、各遊星歯車18bの回転力は軸受1zを介して各ピ
ン1Pに伝達される。尚、出力軸1のフランジ部1Fの
中心には円溝1hが形成されており、シャフト16の前
方側先端は上記円溝1hに設けられた軸受1xを介して
回転自在に支承されている。従って、図4の断面図に示
すように、各遊星歯車18bが太陽歯車18aの周りを
公転することによりシャフト16の回転力が減速されて
ピン1Pを介して出力軸1に伝達されることになる。
【0016】また、電磁スイッチ2は、スラストスプラ
イン3Aの筒部3aの外周側に配置される。電磁スイッ
チ2は、励磁コイル2aと、励磁コイル2aを覆うスイ
ッチケース2bと、コア2cとから成り、上記オーバラ
ンニングクラッチ3の位置より後方側に配置されてい
る。コア2cは上記スラストスプライン3Aのフランジ
部3bと対向する中空状円盤面を有し、スラストスプラ
イン3Aの筒部3aの外周上に貫通するよう配置される
環状体よりなり、かつ、スラストスプライン3Aの筒部
3a側において後方側に延長する環状突出部2tを有す
る。
イン3Aの筒部3aの外周側に配置される。電磁スイッ
チ2は、励磁コイル2aと、励磁コイル2aを覆うスイ
ッチケース2bと、コア2cとから成り、上記オーバラ
ンニングクラッチ3の位置より後方側に配置されてい
る。コア2cは上記スラストスプライン3Aのフランジ
部3bと対向する中空状円盤面を有し、スラストスプラ
イン3Aの筒部3aの外周上に貫通するよう配置される
環状体よりなり、かつ、スラストスプライン3Aの筒部
3a側において後方側に延長する環状突出部2tを有す
る。
【0017】また、上記オーバランニングクラッチ3
は、いわゆる一方向クラッチとして作動する。尚、図5
に図2のオーバランニングクラッチのA−A断面に相当
する図を示す。ローラカム3cの内周の数箇所には、ク
ラッチインナ3yの外周との間で狭い空間と広い空間と
を形成する溝3tが形成されており、これら各溝3tに
それぞれクラッチローラ3r及びバネ3sが配置されて
いる。3sはクラッチローラ3rを溝3tの狭い空間の
方へ付勢するバネである。これは、直流電動機Mにより
出力軸1が駆動されると、ローラカム3cが回転してク
ラッチローラ3rは溝3tの狭い空間の方へ移動し、ク
ラッチアウタ3Bのローラカム3cとクラッチインナ3
yとが係合してピニオン3Pが回転し、リングギヤ50
と噛み合う。そして、リングギヤ50によりピニオン3
Pが連れ回されると、クラッチローラ3rは溝3tの広
い空間の方へ移動し、クラッチアウタ3Bとクラッチイ
ンナ3yの係合が解除されて、オーバランニングクラッ
チ3はエンジンから切り離される。
は、いわゆる一方向クラッチとして作動する。尚、図5
に図2のオーバランニングクラッチのA−A断面に相当
する図を示す。ローラカム3cの内周の数箇所には、ク
ラッチインナ3yの外周との間で狭い空間と広い空間と
を形成する溝3tが形成されており、これら各溝3tに
それぞれクラッチローラ3r及びバネ3sが配置されて
いる。3sはクラッチローラ3rを溝3tの狭い空間の
方へ付勢するバネである。これは、直流電動機Mにより
出力軸1が駆動されると、ローラカム3cが回転してク
ラッチローラ3rは溝3tの狭い空間の方へ移動し、ク
ラッチアウタ3Bのローラカム3cとクラッチインナ3
yとが係合してピニオン3Pが回転し、リングギヤ50
と噛み合う。そして、リングギヤ50によりピニオン3
Pが連れ回されると、クラッチローラ3rは溝3tの広
い空間の方へ移動し、クラッチアウタ3Bとクラッチイ
ンナ3yの係合が解除されて、オーバランニングクラッ
チ3はエンジンから切り離される。
【0018】また、出力軸1におけるフランジ部1F側
の外周にはプランジャ4が配置されている。このプラン
ジャ4は、上記スイッチケース2bの内周とスラストス
プライン3Aの筒部3aとの間を移動可能なように配置
される筒体よりなり、コア2cの環状突出部2tと対向
する前方端側4tは、環状突出部2tの形状と対応した
形状に形成されている。また、プランジャ4の後方端側
の内周には、環状のプレート5aが固定されている。ま
た、上記オーバランニングクラッチ3のスラストスプラ
イン3Aの筒部3aの後方端側にも環状のプレート5b
が設けられている。これら各プレート5a,5b間にコ
イルバネ6が配置される。従って、プランジャ4は、コ
ア2cに吸引されてコア2cの方向(前方)に移動し、
オーバランニングクラッチ3は、プランジャ4の移動に
伴ってプレート5bで押されて移動し、ピニオン3Pの
端面がリングギヤ50の端面に当接して一旦移動が停止
した後に、電動機を駆動させてピニオン3Pとリングギ
ヤ50の歯の山と谷が合うと、それまで縮んで蓄えられ
ていたコイルバネ6の弾発力によりピニオン3Pがリン
グギヤ50に噛み合う。
の外周にはプランジャ4が配置されている。このプラン
ジャ4は、上記スイッチケース2bの内周とスラストス
プライン3Aの筒部3aとの間を移動可能なように配置
される筒体よりなり、コア2cの環状突出部2tと対向
する前方端側4tは、環状突出部2tの形状と対応した
形状に形成されている。また、プランジャ4の後方端側
の内周には、環状のプレート5aが固定されている。ま
た、上記オーバランニングクラッチ3のスラストスプラ
イン3Aの筒部3aの後方端側にも環状のプレート5b
が設けられている。これら各プレート5a,5b間にコ
イルバネ6が配置される。従って、プランジャ4は、コ
ア2cに吸引されてコア2cの方向(前方)に移動し、
オーバランニングクラッチ3は、プランジャ4の移動に
伴ってプレート5bで押されて移動し、ピニオン3Pの
端面がリングギヤ50の端面に当接して一旦移動が停止
した後に、電動機を駆動させてピニオン3Pとリングギ
ヤ50の歯の山と谷が合うと、それまで縮んで蓄えられ
ていたコイルバネ6の弾発力によりピニオン3Pがリン
グギヤ50に噛み合う。
【0019】8は接点軸であり、これは上記内歯車部材
17の第2筒状部17cの一部(図1では上部)に設け
られた支持孔17hにより、軸の延長方向に移動可能な
ように支持されている。尚、接点軸8は、支持孔17h
を介して作動部Yと接点室Zとにまたがるよう取付けら
れている。接点軸8の接点室Z内に位置する一端側に
は、可動接点8eが設けられている。さらにこの可動接
点8eより後方側には環状のプレート9aが接点軸8に
固定され、このプレート9aと可動接点8eとの間に
は、可動接点8aを後述する固定接点側に押圧するため
のコイルバネ9bが設けられている。また、接点軸8の
作動部Y側に位置する軸の他端側には環状のプレート9
cが接点軸8に固定され、このプレート9cとフロント
ブラケット20との間には押し戻しコイルバネ9dが設
けられている。
17の第2筒状部17cの一部(図1では上部)に設け
られた支持孔17hにより、軸の延長方向に移動可能な
ように支持されている。尚、接点軸8は、支持孔17h
を介して作動部Yと接点室Zとにまたがるよう取付けら
れている。接点軸8の接点室Z内に位置する一端側に
は、可動接点8eが設けられている。さらにこの可動接
点8eより後方側には環状のプレート9aが接点軸8に
固定され、このプレート9aと可動接点8eとの間に
は、可動接点8aを後述する固定接点側に押圧するため
のコイルバネ9bが設けられている。また、接点軸8の
作動部Y側に位置する軸の他端側には環状のプレート9
cが接点軸8に固定され、このプレート9cとフロント
ブラケット20との間には押し戻しコイルバネ9dが設
けられている。
【0020】また、プランジャ4の後方端側にはシフト
プレート7が取付けられており、このシフトプレート7
は、上下に延長する細長い板状のものよりなり、中央側
にはプランジャ4の後方端側に装着するための孔が形成
され、上記接点軸8に対応する上部には貫通孔7sが形
成されている。このシフトプレート7は、係止リング7
tにより、プランジャ4に固定されている。なお、シフ
トプレート7の下部とフロントブラケット20との間に
は押し戻しコイルバネ9vが設けられている。
プレート7が取付けられており、このシフトプレート7
は、上下に延長する細長い板状のものよりなり、中央側
にはプランジャ4の後方端側に装着するための孔が形成
され、上記接点軸8に対応する上部には貫通孔7sが形
成されている。このシフトプレート7は、係止リング7
tにより、プランジャ4に固定されている。なお、シフ
トプレート7の下部とフロントブラケット20との間に
は押し戻しコイルバネ9vが設けられている。
【0021】電動機部X及び接点室Zと作動部Yは、仕
切りプレート34,35を介して区画されている。ま
た、接点室Zは、接点室壁31及び接点室カバー32で
区画されている。接点室壁31には、第1固定接点10
aと第2固定接点10bが設けられる。第1固定接点1
0aは、端子ボルト11を介してバッテリに接続されて
いる。第2固定接点10bは、リード線を介して+極ブ
ラシに接続され、また、電磁スイッチ2の励磁コイル2
aの他端に接続されている。尚、第1固定接点10a
は、端子ボルト11がナット11aで固定されることに
より頭部11tで接点室壁31に固定されている。ま
た、33はOリング、70aは防水のためとヨークで接
点室カバー32を接点室壁31に押し付けるための緩衝
材として例えばゴム性のグロメット、70b,70cは
パッキンである。
切りプレート34,35を介して区画されている。ま
た、接点室Zは、接点室壁31及び接点室カバー32で
区画されている。接点室壁31には、第1固定接点10
aと第2固定接点10bが設けられる。第1固定接点1
0aは、端子ボルト11を介してバッテリに接続されて
いる。第2固定接点10bは、リード線を介して+極ブ
ラシに接続され、また、電磁スイッチ2の励磁コイル2
aの他端に接続されている。尚、第1固定接点10a
は、端子ボルト11がナット11aで固定されることに
より頭部11tで接点室壁31に固定されている。ま
た、33はOリング、70aは防水のためとヨークで接
点室カバー32を接点室壁31に押し付けるための緩衝
材として例えばゴム性のグロメット、70b,70cは
パッキンである。
【0022】なお、シャフト16の後方端16eは軸受
60aを介してリアブラケット40に回転自在に支承さ
れており、出力軸1の前方端1tは軸受60eを介して
フロントブラケット20の先端20t側に支承されてい
る。また、出力軸1の前方側には係止リング51を介し
てストッパ52が設けられ、ピニオン3Pの先端にもス
トッパ53が設けられ、これらストッパ52,53間に
は押し戻しコイルバネ54が設けられている。41は、
直流電動機部Xと作動部Yを、リアブラケット40とフ
ロントブラケット20で挟み込んで固定するためのボル
トである。
60aを介してリアブラケット40に回転自在に支承さ
れており、出力軸1の前方端1tは軸受60eを介して
フロントブラケット20の先端20t側に支承されてい
る。また、出力軸1の前方側には係止リング51を介し
てストッパ52が設けられ、ピニオン3Pの先端にもス
トッパ53が設けられ、これらストッパ52,53間に
は押し戻しコイルバネ54が設けられている。41は、
直流電動機部Xと作動部Yを、リアブラケット40とフ
ロントブラケット20で挟み込んで固定するためのボル
トである。
【0023】尚、図6に出力軸1の斜視図を、図7
(a),(b)にオーバランニングクラッチ3の斜視図
を、図8にプランジャ4とシフトプレート7の斜視図を
示す。
(a),(b)にオーバランニングクラッチ3の斜視図
を、図8にプランジャ4とシフトプレート7の斜視図を
示す。
【0024】次に動作を説明する。イグニッションスイ
ッチをオンして、電磁スイッチ2の励磁コイル2aに電
流が流れると、プランジャ4が励磁コア2c側に向かっ
て吸引され、これにより、プレート5aがコイルバネ6
を押し、これに伴ってプレート5bがスラストスプライ
ン3Aを押圧して、オーバランニングクラッチ3をリン
グギヤ50の方向に押し出す。これにより、オーバラン
ニングクラッチ3に設けられたピニオン3Pの端面3P
eとリングギヤ50の端面50eとが当接するので、オ
ーバランニングクラッチ3の前方への移動は一旦中断す
るが、プランジャ4の内周側に設けられているプレート
5aがコイルバネ6を撓ませながら、プランジャ4は更
に吸引され移動を続行する。そして、シフトプレート7
も前方に移動してプレート9cに接触する。この後も、
プランジャ4は吸引され続けるため、接点軸8に固定さ
れたプレート9cがシフトプレート7に押されて接点軸
8も前方へ移動する。これにより、接点軸8の可動接点
8eが第1,第2固定接点10a,10bと接触する
と、バッテリからの電力が供給されて電機子12が回転
を始める。尚、プランジャ4が完全に吸引されてその先
端4t側が励磁コア2cに接触する状態になるまで接点
軸8は移動する。この時、プレート9aによりコイルバ
ネ9bが圧縮され、これにより、可動接点8eは押圧さ
れて第1,第2固定接点10a,10bとの接触が保た
れる。電機子12が回転を始めると、その回転力は減速
機構18を介して減速されて出力軸1に伝わり、出力軸
1とスプライン結合されたオーバランニングクラッチ
3、更にはピニオン3Pへと及ぶ。そして、ピニオン3
Pがゆっくりと回転してピニオン3Pの歯の山と谷がリ
ングギヤの歯の谷と山に一致すると、撓んだ状態のコイ
ルバネ6のバネ力(弾発力)によってピニオン3Pが前
方に押し出され、完全にリングギヤ50に噛み合う。こ
れにより、リングギヤ50に連結されたクランクシャフ
トが回転するので、エンジンが始動する。エンジンが始
動すると、オーバランニングクラッチ3の作用で出力軸
1とピニオン3Pが切り離され、ピニオン3Pが空転す
る。そして、励磁コイル2aへの通電が停止されると、
押し戻しコイルバネ9d,9vにより、プランジャ4及
びオーバランニングクラッチ3が元の位置に復帰するの
でピニオン3Pがリングギヤ50より離脱する。尚、ピ
ニオン3Pの歯の山と谷がリングギヤ50の歯の谷と山
に一致していれば、ピニオン3Pの端面3Peとリング
ギヤ50の端面50eとが当接せずに、そのまま噛み合
うので問題はない。
ッチをオンして、電磁スイッチ2の励磁コイル2aに電
流が流れると、プランジャ4が励磁コア2c側に向かっ
て吸引され、これにより、プレート5aがコイルバネ6
を押し、これに伴ってプレート5bがスラストスプライ
ン3Aを押圧して、オーバランニングクラッチ3をリン
グギヤ50の方向に押し出す。これにより、オーバラン
ニングクラッチ3に設けられたピニオン3Pの端面3P
eとリングギヤ50の端面50eとが当接するので、オ
ーバランニングクラッチ3の前方への移動は一旦中断す
るが、プランジャ4の内周側に設けられているプレート
5aがコイルバネ6を撓ませながら、プランジャ4は更
に吸引され移動を続行する。そして、シフトプレート7
も前方に移動してプレート9cに接触する。この後も、
プランジャ4は吸引され続けるため、接点軸8に固定さ
れたプレート9cがシフトプレート7に押されて接点軸
8も前方へ移動する。これにより、接点軸8の可動接点
8eが第1,第2固定接点10a,10bと接触する
と、バッテリからの電力が供給されて電機子12が回転
を始める。尚、プランジャ4が完全に吸引されてその先
端4t側が励磁コア2cに接触する状態になるまで接点
軸8は移動する。この時、プレート9aによりコイルバ
ネ9bが圧縮され、これにより、可動接点8eは押圧さ
れて第1,第2固定接点10a,10bとの接触が保た
れる。電機子12が回転を始めると、その回転力は減速
機構18を介して減速されて出力軸1に伝わり、出力軸
1とスプライン結合されたオーバランニングクラッチ
3、更にはピニオン3Pへと及ぶ。そして、ピニオン3
Pがゆっくりと回転してピニオン3Pの歯の山と谷がリ
ングギヤの歯の谷と山に一致すると、撓んだ状態のコイ
ルバネ6のバネ力(弾発力)によってピニオン3Pが前
方に押し出され、完全にリングギヤ50に噛み合う。こ
れにより、リングギヤ50に連結されたクランクシャフ
トが回転するので、エンジンが始動する。エンジンが始
動すると、オーバランニングクラッチ3の作用で出力軸
1とピニオン3Pが切り離され、ピニオン3Pが空転す
る。そして、励磁コイル2aへの通電が停止されると、
押し戻しコイルバネ9d,9vにより、プランジャ4及
びオーバランニングクラッチ3が元の位置に復帰するの
でピニオン3Pがリングギヤ50より離脱する。尚、ピ
ニオン3Pの歯の山と谷がリングギヤ50の歯の谷と山
に一致していれば、ピニオン3Pの端面3Peとリング
ギヤ50の端面50eとが当接せずに、そのまま噛み合
うので問題はない。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、スラ
ストスプラインとローラカムの接合部に、軸方向および
径方向精度確保のためのいんろう部と、動力伝達時およ
びオーバラン時に回り止めとなる凹凸部とを備えたの
で、加工精度を高くする必要がなく、クラッチアウタの
作製が容易で、かつ、特性のよいオーバランニングクラ
ッチが得られる。また、スラストスプラインとローラカ
ムの外周には、クラッチカバーをしごくことで固定する
際の抜け止め溝を形成したので、スラストスプラインと
ローラカムとを強固に固定できるので、上記効果をさら
に高めることが可能となる。さらに、スラストスプライ
ンを、鉄よりも透磁率の低い弱磁性体で形成したので、
上記各効果に加え、スタータの小型化に貢献できるオー
バランニングクラッチが得られる。
ストスプラインとローラカムの接合部に、軸方向および
径方向精度確保のためのいんろう部と、動力伝達時およ
びオーバラン時に回り止めとなる凹凸部とを備えたの
で、加工精度を高くする必要がなく、クラッチアウタの
作製が容易で、かつ、特性のよいオーバランニングクラ
ッチが得られる。また、スラストスプラインとローラカ
ムの外周には、クラッチカバーをしごくことで固定する
際の抜け止め溝を形成したので、スラストスプラインと
ローラカムとを強固に固定できるので、上記効果をさら
に高めることが可能となる。さらに、スラストスプライ
ンを、鉄よりも透磁率の低い弱磁性体で形成したので、
上記各効果に加え、スタータの小型化に貢献できるオー
バランニングクラッチが得られる。
【図1】 この発明の実施の形態1,2によるオーバラ
ンニングクラッチが用いられるスタータの構造を示す断
面図である。
ンニングクラッチが用いられるスタータの構造を示す断
面図である。
【図2】 実施の形態1によるオーバランニングクラッ
チを説明するための拡大断面図である。
チを説明するための拡大断面図である。
【図3】 実施の形態1によるオーバランニングクラッ
チのスラストスプラインとローラカムとの接合部の構成
を示す斜視図である。
チのスラストスプラインとローラカムとの接合部の構成
を示す斜視図である。
【図4】 減速機構の断面図である。
【図5】 図2のA−A断面に相当するオーバランニン
グクラッチの断面図である。
グクラッチの断面図である。
【図6】 出力軸の斜視図である。
【図7】 オーバランニングクラッチの斜視図である。
【図8】 プランジャとシフトプレートの斜視図であ
る。
る。
【図9】 従来のオーバランニングクラッチの一例を説
明するための断面図である。
明するための断面図である。
1 出力軸、2 電磁スイッチ、2a 励磁コイル、3
オーバランニングクラッチ、3A スラストスプライ
ン 3c ローラカム、3r クラッチローラ、3D
いんろう部、3E 凹部、3F 凸部、3G 抜け止め
溝、3B クラッチアウタ、3y クラッチインナ、3
w クラッチカバー、3P ピニオン、4 プランジ
ャ、50 リングギヤ、M 電動機。
オーバランニングクラッチ、3A スラストスプライ
ン 3c ローラカム、3r クラッチローラ、3D
いんろう部、3E 凹部、3F 凸部、3G 抜け止め
溝、3B クラッチアウタ、3y クラッチインナ、3
w クラッチカバー、3P ピニオン、4 プランジ
ャ、50 リングギヤ、M 電動機。
フロントページの続き (72)発明者 倉垣 昭 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 亀井 光一郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 クランクシャフトに連結されたリングギ
ヤに噛合うピニオンを有するとともに、車両用スタータ
の電動機により駆動される出力軸にスプライン結合され
るスラストスプラインとクラッチローラを収容するため
の溝が形成され上記スラストスプラインとは別に形成さ
れたローラカムとが接合されて構成されるオーバランニ
ングクラッチにおいて、 上記スラストスプラインとローラカムの接合部に、軸方
向および径方向精度確保のためのいんろう部と、動力伝
達時およびオーバラン時に回り止めとなる凹凸部とを備
えたことを特徴とするオーバランニングクラッチ。 - 【請求項2】 上記スラストスプラインとローラカムの
外周には、それぞれ、上記スラストスプラインとローラ
カムの外周を覆うクラッチカバーをしごくことで固定す
る際の抜け止め溝が形成されていることを特徴とする請
求項1に記載のオーバランニングクラッチ。 - 【請求項3】 上記スラストスプラインを、鉄よりも透
磁率の低い弱磁性体で形成したことを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載のオーバランニングクラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11148163A JP2000337404A (ja) | 1999-05-27 | 1999-05-27 | オーバランニングクラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11148163A JP2000337404A (ja) | 1999-05-27 | 1999-05-27 | オーバランニングクラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000337404A true JP2000337404A (ja) | 2000-12-05 |
Family
ID=15446668
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11148163A Pending JP2000337404A (ja) | 1999-05-27 | 1999-05-27 | オーバランニングクラッチ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000337404A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7849755B2 (en) * | 2006-07-26 | 2010-12-14 | Remy Technologies, L.L.C. | Starter motor with bi-directional clutch |
-
1999
- 1999-05-27 JP JP11148163A patent/JP2000337404A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7849755B2 (en) * | 2006-07-26 | 2010-12-14 | Remy Technologies, L.L.C. | Starter motor with bi-directional clutch |
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