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JP2000273322A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

Info

Publication number
JP2000273322A
JP2000273322A JP11079410A JP7941099A JP2000273322A JP 2000273322 A JP2000273322 A JP 2000273322A JP 11079410 A JP11079410 A JP 11079410A JP 7941099 A JP7941099 A JP 7941099A JP 2000273322 A JP2000273322 A JP 2000273322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
thermoplastic elastomer
elastomer composition
resin
filler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11079410A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Nemoto
秀雄 根本
Jiro Watanabe
次郎 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP11079410A priority Critical patent/JP2000273322A/ja
Publication of JP2000273322A publication Critical patent/JP2000273322A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】硬化後の引張強さ、伸び等の物性に優れ、従来
の熱可塑性エラストマー組成物と比べて製造工程が短
く、効率的に製造することができる熱可塑性エラストマ
ー組成物の提供。 【解決手段】表面に充填剤が付着した粒状ゴム、および
樹脂組成物を、粒状ゴム/樹脂組成物=70/30〜1
5/85の重量比で混練し、樹脂組成物中にゴム組成物
を分散させてなる熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化後の引張強
さ、伸び等の物性に優れる熱可塑性エラストマー組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマー組成物の一つとし
て、ポリオレフィンブレンド体、例えば、ポリプロピレ
ンとエチレン−プロピレン系ゴムの混合物等が広く知ら
れている。この場合、カーボンやシリカ等の補強剤を配
合して使用されることも多い。この補強剤の分散性がよ
いほど、硬化後の引張強さ等の補強効果は高くなる。し
かし、従来の熱可塑性エラストマー組成物では、補強剤
の分散性が不足して補強効果が十分に発揮されない場合
があり、硬化後の引張強さ等の物性に優れる熱可塑性エ
ラストマー組成物が望まれている。従来の熱可塑性エラ
ストマー組成物より耐熱軟化性の優れるものとして、ゴ
ムと熱可塑性樹脂をその樹脂の軟化点以上の温度で混練
しながら行う架橋、いわゆる動的架橋により得られる熱
可塑性エラストマー組成物がある。この動的架橋により
得られる熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも一
部が連続相となる樹脂相に少なくとも一部が不連続相と
なる架橋ゴム相が微細に分散した状態となるため、架橋
ゴムと同様の挙動を示し、かつ、少なくとも連続相が樹
脂相であるため、その成形加工に際しては樹脂に準じた
加工が可能であるという利点を有する。また、樹脂の中
に架橋ゴムが粒子状に分散した構造をとっているので優
れた物性を有するが、さらに物性を向上させる際には、
従来の熱可塑性エラストマー組成物と同様に補強剤を配
合することがある。しかし、軟化点以上の温度において
液状化した樹脂中に、固体の充填剤を均一に分散させる
のは困難であり、さらなる物性の向上が図れなかった。
また、従来の一般的な熱可塑性エラストマー組成物の製
造方法は、必要な補強剤等を予めゴムに混練し、それを
ペレット化したゴム組成物を2軸混練機等の中の熱可塑
性樹脂に加えて混練し、必要に応じて架橋剤を加えてさ
らに混練するというものである。従来から、効率的な製
造のため、このような多段の煩雑な製造工程の短縮が望
まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硬化後の引
張強さ、伸び等の物性に優れ、従来の熱可塑性エラスト
マー組成物と比べて製造工程が短く、効率的に製造する
ことができる熱可塑性エラストマー組成物を提供するこ
とを課題とする。また、本発明は、前記熱可塑性エラス
トマー組成物中のゴム成分が少なくとも一部架橋してい
る熱可塑性エラストマー組成物であって、引張強さ、伸
び等の物性に優れるものを提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、表面に
充填剤が付着した粒状ゴム、および樹脂組成物を、粒状
ゴム/樹脂組成物=70/30〜15/85の重量比で
混練し、樹脂組成物中にゴム組成物を分散させてなる熱
可塑性エラストマー組成物を提供する。
【0005】前記表面に充填剤が付着した粒状ゴムが、
該粒状ゴムのゴム成分の原料であるモノマーを気相重合
させる工程で充填剤を付着させることにより得られるも
のであるのが好ましい。
【0006】前記充填剤がカーボンブラックまたはホワ
イトカーボンであるのが好ましい。
【0007】また、本発明は、前記熱可塑性エラストマ
ー組成物中のゴム成分が少なくとも一部架橋している熱
可塑性エラストマー組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いられる粒状
ゴムは、表面に充填剤が付着しているものであれば、特
に限定されない。粒状ゴムのゴム成分は、例えば、ジエ
ン系ゴムおよびその水素添加物(例えば、天然ゴム、エ
ポキシ化天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエ
ンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴ
ム)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アク
リロニトリル−ブタジエンゴム)、オレフィン系ゴム
(例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロ
ピレン−ジエンゴム、マレイン酸変性エチレン−プロピ
レンゴム、ブチルゴム、イソブチレンと芳香族ビニルま
たはジエン系モノマーとの共重合体、アクリルゴム、ア
イオノマー)、含ハロゲンゴム(例えば、臭素化ブチル
ゴム、塩素化ブチルゴム、イソブチレン−パラメチルス
チレン共重合体の臭素化物、クロロプレンゴム、ヒドリ
ンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエ
チレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン)、シリコ
ンゴム(例えば、メチルビニルシリコンゴム、メチルフ
ェニルビニルシリコンゴム)、含イオウゴム(例えば、
ポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えば、ビニリデ
ンフルオロライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴ
ム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラスト
マー(例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系
エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エ
ラストマー、ポリアミド系エラストマー)が挙げられ
る。
【0009】中でも、エチレン−プロピレン−ジエンゴ
ムが好適に用いられる。本発明に用いられるエチレン−
プロピレン−ジエンゴムは、少なくとも1種の非共役ジ
エンを含有する。ジエンは、炭素原子約5〜約15を有
する直鎖、分枝鎖、または環状のものを使用することが
できる。直鎖非環式ジエンは、例えば、1,4−ヘキサ
ジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−オクタジエ
ン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが挙げ
られる。分枝鎖非環式ジエンは、例えば、5−メチル−
1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オ
クタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン
ならびにジヒドロミリセンおよびジヒドロシエネンの混
成異性体等のジエンが挙げられる。単環脂環式ジエン
は、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シ
クロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,
5−シクロドデカジエンが挙げられる。多環脂環式ジエ
ンおよびブリッジド環ジエンは、例えば、テトラヒドロ
インデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペン
タジエン、ビシクロ(2,2,1)−ヘプタ−2,5−
ジエン、アルケニル、アルキリデン、5−メチレン−2
−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、
5−イソ−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4
−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロ
ヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノ
ルボルネン等のシクロアルケニルおよびシクロアルキリ
デンノルボルネンならびに5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン等のノルボルナジエンが挙げられる。特に好適な
ジエンは、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエ
ン、1,3−シクロペンタジエン、1,7−オクタジエ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびこれらの
混合物である。
【0010】表面に充填剤が付着した粒状ゴムは、該粒
状ゴムのゴム成分の原料であるモノマーを気相重合させ
る工程で充填剤を付着させることによって得られるもの
であるのが好ましい。気相重合のプロセスは、例えば、
米国特許第4,994,534号公報、同第5,30
4,588号公報、同第5,317,036号公報、同
第5,453,471号公報等に開示されているものを
用いることができる。具体的には、気相重合反応槽中で
重合末期に充填剤を系内に吹き込み、ゴムの周囲に付着
させることによって調製することができる。粒状ゴムの
ゴム成分の原料であるモノマーの気相重合工程で充填剤
を付着させると、充填剤はゴムの表面に付着し、もしく
は内部に取り込まれ、またはその両方が起こり、粒状ゴ
ムが生成する。即ち、前記粒状ゴムにおいては、重合途
中で付着させた充填剤がゴムポリマーと強固に結合して
いる。その結果、本発明に用いられる前記粒状ゴムは、
ゴムと充填剤をバンバリミキサー等で混練してコンパウ
ンド化したものに比べ高い強度を示す。また、前記粒状
ゴムは、充填剤が周囲を取り巻いているので、ゴムの粒
同士が付着することがなく、取扱いが容易である。
【0011】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用
いられる粒状ゴムの表面に付着させる充填剤は、特に限
定されない。例えば、黒色充填剤(例えば、SAF、I
SAF、HAF、XCF、FEF、GPF、SRF、F
T、MT等のカーボンブラック)、白色充填剤(例え
ば、ホワイトカーボン(例えば、無水微粉ケイ酸、含水
微粉ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カル
シウム)、クレー・タルク類(例えば、カオリン質クレ
ー(カオリナイト、ハロイサイト)、パイロフィライト
質クレー、セリサイト質クレー、焼成クレー、タル
ク)、炭酸塩類(例えば、塩基性炭酸マグネシウム、極
微細炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カ
ルシウム、胡粉)、アルミナ水和物(例えば、含水水酸
化アルミニウム)、ケイソウ土、硫酸バリウム(例え
ば、沈降性硫酸バリウム)、マイカ、硫酸アルミナ、リ
トポン、アスベスト、グラファイト、二硫化モリブデ
ン、軽石粉、ガラス粉、ケイ砂)等の無機質充填剤;ハ
イスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹
脂、変性メラミン樹脂、石油樹脂、リグニン、再生ゴ
ム、粉末ゴム、エボナイト粉末、セルロースパウダー、
木粉、コルク粉末等の有機質充填剤が挙げられる。補強
効果、価格等を考慮すると、カーボンブラックおよびホ
ワイトカーボンが好ましい。これらの充填剤は1種類を
単独で用いても良いし、2種類以上を併用してもよい。
粒状ゴムの表面に付着させる充填剤の量は、ゴム成分1
00重量部に対して、5〜50重量部であるのが好まし
く、15〜25重量部であるのがより好ましい。
【0012】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用
いられる粒状ゴムの形状は、特に限定されず、球状、だ
円球状、円筒状、粉状、不定形状等が挙げられる。粒状
ゴムの粒径は、特に限定されないが、樹脂と混練する際
の分散性および取扱いやすさを考慮すると、平均0.5
〜1.0mm程度であるのが好ましい。
【0013】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用
いられる樹脂組成物中の樹脂成分は、特に限定されず、
一般の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。例えば、ポリ
オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル樹脂、ポリメタ
クリレート樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹
脂、フッ素系樹脂、イミド系樹脂、熱可塑性エラストマ
ー(例えば、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル
系、ウレタン系)が挙げられる。
【0014】ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、
アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチック
ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体樹脂等が
挙げられる。
【0015】ポリアミド系樹脂の具体例としては、ナイ
ロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン4
6(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12
(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン6
12(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/
66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/6
6/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロ
ン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/P
P共重合体、ナイロン66/PPS共重合体)、ポリア
ミドエラストマー等が挙げられる。
【0016】ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート
(PEI)、ポリエステルエラストマー、PET/PE
I共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレン
ナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキ
シアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレー
ト共重合体などの芳香族ポリエステル等が挙げられる。
【0017】ポリエーテル系樹脂の具体例としては、ポ
リアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(P
PO)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルエー
テルケトン(PEEK)等が挙げられる。
【0018】ポリニトリル系樹脂の具体例としては、ポ
リアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリ
ル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メ
タクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニト
リル/スチレン/ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0019】ポリメタクリレート系樹脂の具体例として
は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタク
リル酸エチル等が挙げられる。ポリビニル系樹脂の具体
例としては、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体
(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ
塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共
重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体
等が挙げられる。セルロース系樹脂の具体例としては、
酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等が挙げられる。
フッ素系樹脂の具体例としては、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロ
ルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエ
チレン/エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられ
る。イミド系樹脂の具体例としては、芳香族ポリイミド
(PI)等が挙げられる。
【0020】本発明において、前記熱可塑性樹脂は、1
種単独または2種以上を組み合わせた混合物としても用
いることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、コ
ストおよび加工性を考慮すると、ポリアミド系樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂からなる
群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、ポリ
オレフィン系樹脂の中では、ポリプロピレン樹脂が特に
好適に使用できる。
【0021】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用
いられる樹脂組成物は、樹脂成分以外に各種配合剤を含
有することができる。
【0022】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
表面に充填剤が付着した粒状ゴムおよび樹脂組成物の
他、必要に応じて、充填剤(粒状ゴムに付着した充填剤
と同じであっても、異なっていてもよい。)、架橋助
剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤等も含有す
ることができる。
【0023】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
上記粒状ゴムおよび樹脂組成物、ならびに、必要に応じ
て各種配合剤を、粒状ゴム/樹脂組成物=70/30〜
15/85の重量比で混練し、樹脂組成物中にゴム組成
物を分散させてなる。上記重量比より粒状ゴムの割合が
多いと、連続相がゴム相、不連続相が樹脂相となり、熱
可塑性エラストマー組成物が得られない場合がある。上
記重量比より粒状ゴムの割合が少ないと、熱可塑性エラ
ストマー組成物の特徴であるゴム弾性の発現が不足する
場合がある。
【0024】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
混練されているため、粒状ゴムが細かく砕かれ、マトリ
ックスを形成する樹脂組成物中に未架橋のゴム組成物が
分散した状態となる。また、表面に充填剤が付着した粒
状ゴムを用い、この粒状ゴムが樹脂組成物中に分散する
ので、結果的に充填剤も凝集等することなく樹脂組成物
中に均一に分散する。
【0025】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
用途によってはゴムの架橋をしなくても良いが、熱可塑
性エラストマー組成物の耐熱性、耐油性を考慮すると、
好ましくは、混練時に架橋剤を用いることにより、即
ち、動的に架橋させることにより、ゴム成分の少なくと
も一部が架橋している熱可塑性エラストマー組成物とす
ることが良い。
【0026】架橋剤の種類や動的な架橋条件(例えば、
温度、時間)等は、適宜決定すればよく、特に限定はな
い。架橋剤としては、一般的なゴム架橋剤を用いること
ができる。具体的には、イオウ系架橋剤としては粉末イ
オウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオ
ウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、ア
ルキルフェノールジサルファイド等が挙げられ、例え
ば、粒状ゴム100重量部に対して、0.5〜4重量部
程度を用いればよい。また、有機過酸化物系の架橋剤と
しては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロ
パーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,
5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられ、例
えば、粒状ゴム100重量部に対して、1〜15重量部
程度を用いればよい。さらに、フェノール樹脂系の架橋
剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩
化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフ
ェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が挙げられ、例
えば、粒状ゴム100重量部に対して、1〜20重量部
程度を用いればよい。その他、亜鉛華(粒状ゴム100
重量部に対して、5重量部程度)、酸化マグネシウム
(同じく4重量部程度)、リサージ(同じく10〜20
重量部程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイ
ルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノ
ン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(同じく2〜10重
量部程度)、メチレンジアニリン(同じく0.2〜10
重量部程度)等が挙げられる。
【0027】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製
造において、表面に充填剤が付着した粒状ゴム、樹脂組
成物等の混練に使用する機械には特に限定はないが、ス
クリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練
押出機等が例示される。中でも、前記熱可塑性エラスト
マー組成物を動的架橋して、連続的に生産性高く本発明
の熱可塑性エラストマー組成物を得ることを考慮する
と、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。また、2
種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。
【0028】樹脂組成物中にゴム組成物を分散してなる
従来の一般的な熱可塑性エラストマー組成物は、分散し
ているゴム組成物の強度向上とコストダウンのために、
予めゴムと充填剤をバンバリミキサー等で混練してゴム
組成物をつくっておき、これをペレット化した後、2軸
混練機等で樹脂成分、架橋剤等とともに混練、動的架橋
して調製する。しかしながら、ゴムと充填剤をバンバリ
ミキサー等で混練したゴム組成物は、混練状態にもよる
が、一般に物性が十分でない。そのため、そのゴム組成
物を樹脂成分等と混練、動的架橋して調製される熱可塑
性エラストマー組成物も、引張試験等において、分散相
のゴム部分が破壊し、十分な強度を示さない。
【0029】一方、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物は、表面に充填剤が付着した粒状ゴムを用い、この粒
状ゴムが樹脂組成物中に分散するので、結果的に充填剤
が凝集等することなく樹脂組成物中に均一に分散する。
従って、充填剤による補強効果が十分に発揮され、ゴム
組成物の強度が強くなる。熱可塑性エラストマー組成物
の引張強さ等の強度は分散しているゴム組成物の強度に
依存するから、本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、従来の熱可塑性エラストマー組成物に比べ、優れた
強度特性を示す。特に、本発明に用いられる粒状ゴム
が、粒状ゴムのゴム成分の原料であるモノマーを気相重
合させる工程で充填剤を付着させることにより得られる
ものである場合には、ゴムポリマー分子と充填剤が化学
結合および/または物理結合によって強固に結合してい
るので、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の引張強
さ、伸び等の強度特性が特に優れたものになり、従来の
熱可塑性エラストマー組成物に比べ、飛躍的に強度が高
いものとなる。
【0030】更に、本発明に用いられる粒状ゴムは、形
状が顆粒状であるために、ゴム組成物のペレット化を必
要とせず、2軸混練押出機等の連続運転等に極めて効率
よく用いることができる。
【0031】以下、通常行われる2軸混練押出機による
混練に基づいて、製造方法の一例をより具体的に例示す
る。
【0032】まず、2軸混練押出機に、ペレット状の樹
脂組成物を投入し、2軸スクリューによって混合して加
熱、溶融する。次に、ゴム成分の原料であるモノマーを
気相重合させる工程で充填剤を付着した粒状ゴムを2軸
混練押出機に投入し、樹脂中に均一に分散させ、必要に
応じて架橋剤、架橋助剤等を投入し、混練下に、ゴム成
分を架橋させる。このようにすると、強度の高いゴム組
成物を樹脂組成物中に均一に分散させた状態で架橋を行
うことができ、連続相をなす樹脂組成物中に、分散相と
してゴム組成物が安定に分散するようになる。
【0033】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に必
要に応じて充填剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、可
塑剤等を配合する場合は、粒状ゴムへの配合剤は、気相
重合の際に添加してもよく、樹脂組成物との混練の際に
添加してもよく、樹脂成分への配合剤は、混練の前に添
加してもよく、粒状ゴムとの混練の際に添加してもよ
い。
【0034】混練の条件としては、混練温度は好ましく
は150〜350℃、特に好ましくは150〜270℃
であり、混練時のせん断速度は好ましくは500〜70
00秒-1、特に好ましくは1000〜2500秒-1であ
り、溶融混練全体の時間は好ましくは30秒〜10分で
ある。架橋剤は混練の始めから添加してもよく、途中で
添加してもよい。
【0035】従来の熱可塑性エラストマー組成物は、製
造工程において、ゴムを樹脂と混練する前にゴムと充填
剤とをバンバリミキサー等の混合設備で混合する工程お
よびペレット化工程を必要とする。これに対し、本発明
の熱可塑性エラストマー組成物は、粒状ゴムの製造時に
充填剤を含む配合剤を添加することができるのでバンバ
リミキサー等による混合工程が不要で、また、ゴムが顆
粒状であるのでペレット化工程も必要ない。また、分散
性が極めて良好であるため、混練の時間も短くすること
ができる。更に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物
に用いられる粒状ゴムが、充填剤を含む配合剤を含有す
るものである場合には、ゴムおよび各種配合剤の計量お
よび混練機への投入を1度で済ませることができる。従
って、従来のものと比べて製造工程を大幅に短くするこ
とができ、効率的な製造も可能となる。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 <熱可塑性エラストマーの調製>以下に示される原料を
それぞれ第1表に示される重量比で用いて、以下のよう
にして、第1表に示される各熱可塑性エラストマー組成
物を得た。 (実施例1〜5)2軸混練押出機の第1投入口からペレ
ット状の樹脂成分を投入し、2軸スクリューによって混
合して加熱、溶融した。次に、第2投入口からカーボン
ブラックを表面に付着させた粒状ゴム1、可塑剤および
老化防止剤を投入し、樹脂成分中に分散させた後、第3
投入口から加硫系を投入し、混練下にゴム成分を動的に
架橋させて本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得
た。混練条件は、温度180℃、せん断速度1000秒
-1、溶融混練全体の時間は3分であり、架橋剤を添加し
た後の架橋時間は1.5分であった。
【0037】(実施例6)加硫系を投入しなかった以外
は、実施例1〜5と同様の方法により、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物を得た。
【0038】(比較例1)ゴム2および充填剤を密閉式
のバンバリミキサーに投入して混練してから、ゴム用ロ
ールで厚さ2.5mmにシート出しし、さらにゴム用ペ
レタイザーでペレット状にした。次に、実施例1〜5と
同様の方法により、2軸混練押出機へ樹脂成分、ゴムペ
レット、可塑剤、老化防止剤、加硫系の順で投入し、混
練、動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得
た。
【0039】(1)ゴム 粒状ゴム1:気相重合法により得られたエチレン−プ
ロピレン−ジエンゴムであって、ゴム100重量部に対
してカーボンブラック(ASTMコード:N650)2
0重量部を少なくとも表面に含有した粒状ゴム、ELA
STOFLOMEGA−7265、ユニオン・カーバイ
ド社製 ゴム2:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エスプ
レン512F、住友化学工業社製 (2)樹脂 ポリプロピレン:トクヤマポリプロRS511Y、ト
クヤマ社製 ナイロン6/66共重合体:アミランCM6001、
東レ社製 (3)配合剤 充填剤:カーボンブラック(ASTMコード:N65
0)、シーストV、東海カーボン社製 可塑剤:パラフィンオイル、サンパー2280、日本サ
ン石油社製 老化防止剤:ノクラック224、大内新興化学社製 加硫系:亜鉛華、亜鉛華3号、正同化学社製 ステアリン酸、LUNAC YA、花王社製 イオウ、粉末イオウ、軽井沢精練所社製 臭素化フェノール樹脂、タッキロール250−I、田岡
化学社製
【0040】得られた各熱可塑性エラストマー組成物を
2軸混練押出機から連続的にストランド状に排出し、水
冷後、カッターで長さ約3mm、直径約2mmに切断
し、ペレット状にした後、熱可塑性樹脂用単軸押出機と
Tダイによって、1.5mm厚のシート状に成形し、以
下の試験に供した。 <引張試験>JIS K6251に準拠して、引張強さ
および伸びを測定した。 <カーボン分散>ASTM D5596に準拠して、熱
可塑性エラストマー組成物におけるカーボンブラックの
分散性を測定した。 <作業工数>各熱可塑性エラストマー組成物を製造する
のに必要な工数を、比較例1を100としたときの相対
値で表した。
【0041】結果を第1表に示す。本発明の熱可塑性エ
ラストマー組成物(実施例1〜5)は、従来の熱可塑性
エラストマー組成物(比較例1)に比べて、引張強さお
よび伸びが優れることが分かる。また、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物は、加硫系を配合しない場合(実
施例6)であっても、従来の加硫系を配合した熱可塑性
エラストマー組成物より優れることが分かる。これは、
充填剤の分散性が極めて良好であること、および充填剤
とゴムポリマーが強固に結合していることに起因する。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、従来の
熱可塑性エラストマー組成物に比べて、製造工程が大幅
に短いことが分かる。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、引張強さ、伸び等の物性に優れ、従来の熱可塑性エ
ラストマー組成物と比べて製造工程が短く、効率的に製
造することができるので極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 21/00 C08L 21/00 Fターム(参考) 4F070 AA04 AA12 AA15 AA16 AA44 AA47 AA54 AC04 AC05 AC15 AC22 AC56 AE01 AE08 GA05 4J002 AB013 AB021 AC012 AC032 AC062 AC072 AC082 AC092 AC112 AC133 AF033 AH003 BA013 BB121 BB151 BB152 BB182 BB212 BB232 BB242 BB272 BC022 BC033 BC061 BD041 BD101 BD131 BD141 BD142 BD151 BE021 BE031 BE042 BF021 BG042 BG051 BG061 BG101 BG111 BN062 BN102 BN141 CB001 CC033 CC243 CD182 CF051 CF061 CF071 CF081 CF161 CH042 CH071 CH091 CK022 CL002 CL011 CL021 CL031 CL051 CL091 CM041 CN022 CN031 CP032 DA026 DA036 DE146 DE236 DE256 DG026 DG046 DJ006 DJ026 DJ036 DJ046 DJ056 DL006 FD013 FD016

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に充填剤が付着した粒状ゴム、および
    樹脂組成物を、粒状ゴム/樹脂組成物=70/30〜1
    5/85の重量比で混練し、樹脂組成物中にゴム組成物
    を分散させてなる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】前記表面に充填剤が付着した粒状ゴムが、
    該粒状ゴムのゴム成分の原料であるモノマーを気相重合
    させる工程で充填剤を付着させることにより得られるも
    のである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
  3. 【請求項3】前記充填剤がカーボンブラックまたはホワ
    イトカーボンである請求項1または2に記載の熱可塑性
    エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性
    エラストマー組成物中のゴム成分が少なくとも一部架橋
    している熱可塑性エラストマー組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006067894A1 (ja) * 2004-12-24 2006-06-29 Nok Corporation 熱可塑性エラストマーブレンド物
JP2012117018A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性重合体の製造方法

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