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JP2000273215A - 芳香族ポリアミドフィルム及びそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルム及びそれを用いた磁気記録媒体

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Publication number
JP2000273215A
JP2000273215A JP11344169A JP34416999A JP2000273215A JP 2000273215 A JP2000273215 A JP 2000273215A JP 11344169 A JP11344169 A JP 11344169A JP 34416999 A JP34416999 A JP 34416999A JP 2000273215 A JP2000273215 A JP 2000273215A
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JP
Japan
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aromatic polyamide
film
weight
solution
polymer
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Application number
JP11344169A
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Masanori Sueoka
雅則 末岡
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで延伸性が良く、高延伸時に高ヤン
グ率を発現する芳香族ポリアミドフィルムを提供する。 【解決手段】 芳香族ポリアミドと少なくとも一種の異
種ポリマーを含有し、異種ポリマーの含有量が芳香族ポ
リアミドに対し10重量%以上100重量%未満であ
り、かつ、異種ポリマーの主鎖を構成する少なくとも一
つの炭素の13C−NMRスペクトルのピーク強度の比S
/S0(ここで、S0は異種ポリマー単独溶液状態で測定
の13C−NMRスペクトルのピーク強度を、Sは芳香族
ポリアミドと異種ポリマーをフィルム中と同じ割合で混
合した溶液状態で測定の13C−NMRスペクトルのピー
ク強度を表す)が 0 ≦ S/S0 ≦ 0.5 を充たすことを特徴とする芳香族ポリアミドフィルム

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体とし
て好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル記録技術の進歩、コンピ
ュ−タ−の外部メモリへの展開等により、薄膜化、高密
度記録化、高耐久性の磁気記録媒体に適したフィルムの
要求がより強くなってきている。芳香族ポリアミドフィ
ルムは従来、磁気記録媒体のベ−スフィルムに用いられ
てきたポリエチレンテレフタレ−トやポリエチレンナフ
タレ−ト等のポリエステルフィルムに比べ、剛性が高い
ため薄膜化が可能であり、大容量の磁気記録媒体に適し
た素材である。しかし、芳香族ポリアミドフィルムは、
使用するモノマーのコストが高く、かつ重合・製膜工程
が複雑であるためにコストを低く押さえることが難し
い。更に、芳香族ポリアミドは剛直で延伸性に乏しいた
めに生産性も悪い。この様な問題を解決する方法として
比較的安価なポリマーとのブレンドフィルムとする方法
がある。
【0003】例えば、特開平3−237135号公報に
は、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂からなり、可溶性樹
脂の重量分率が10重量%〜95重量%の耐熱性フィル
ムが開示されている。しかし、可溶性樹脂を芳香族ポリ
アミドに対して多く含むために、芳香族ポリアミドの特
徴である高い機械特性、特に高ヤング率が失われてい
る。例えば、該公報の実施例においては、最もヤング率
の高いものでも、6.2GPa(実施例2)に過ぎな
い。この他同様な例として、特開平3−286680号
公報、特開平3−227290号公報、特開平4−11
7433号公報、特開平4−27110号公報等がある
が、いずれも同様である。
【0004】また、特開平4−8763号公報には、芳
香族ポリアミド/ポリエーテルスルホン組成物の製造方
法において、芳香族ポリアミド重合完了前にポリエーテ
ルスルホンを添加する方法が開示されているが、成形体
(フィルムなど)の製造方法及び特性については一切記
載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低コスト化
が可能で延伸性が良くて生産性が高く、かつ高延伸時に
芳香族ポリアミドの特徴である高ヤング率を発現できる
芳香族ポリアミドフィルムを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、芳香族ポ
リアミドと少なくとも一種の異種ポリマーを含有し、異
種ポリマーの含有量が芳香族ポリアミドに対し10重量
%以上100重量%未満であり、かつ、異種ポリマーの
主鎖を構成する少なくとも一つの炭素の13C−NMRス
ペクトルのピーク強度の比S/S0(ここで、S0は異種
ポリマー単独溶液状態で測定の13C−NMRスペクトル
のピーク強度を、Sは芳香族ポリアミドと異種ポリマー
をフィルム中と同じ割合で混合した溶液状態で測定の13
C−NMRスペクトルのピーク強度を表す)が0 ≦ S
/S0 ≦ 0.5を充たすことを特徴とする芳香族ポリ
アミドフィルムによって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとは、
次の式(4)及び/又は式(5)で表される繰り返し単
位を有するものである。 式(4):
【0008】
【化4】 式(5):
【0009】
【化5】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3は 例えば、
【0010】
【化6】 等が挙げられ、X、Yは−O−,−CH2−,−CO
−,−CO2−,−S−,−SO2−,−C(CH32
等から選ばれる。
【0011】更に、これらの芳香環上の水素原子の一部
が、フッ素,臭素,塩素等のハロゲン基(特に塩素)、
ニトロ基、メチル,エチル,プロピル等のアルキル基
(特にメチル基)、メトキシ,エトキシ,プロポキシ等
のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、吸
湿率を低下させるために湿度変化による寸法変化が小さ
くなるため好ましい。また、重合体を構成するアミド結
合中の水素が他の置換基によって置換されていてもよ
い。本発明に用いられる芳香族ポリアミドは、上記の芳
香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の80
%以上、より好ましくは90%以上をしめていることが
好ましい。ここで言うパラ配向性とは、芳香核上主鎖を
構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状
態を言う。このパラ配向性が80%未満の場合、フィル
ムの剛性および耐熱性が不十分となる場合がある。
【0012】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少な
くとも一種の異種ポリマーを含有し、異種ポリマーの含
有量は芳香族ポリアミドに対して10重量%以上100
重量%未満である。異種ポリマーの含有量が10重量%
未満の場合は、コスト低減及び延伸性向上の効果を充分
に得られないことがあり、異種ポリマーの含有量が10
0重量%以上の場合は、延伸性は向上するが、高延伸時
にもヤング率が充分に上昇せず、芳香族ポリアミドフィ
ルムの特徴である高い剛性を保てなくなることがある。
延伸性向上と高ヤング率化のバランスが良いことから異
種ポリマーの含有量は20〜90重量%であることがよ
り好ましく、30〜80重量%であることが更に好まし
い。
【0013】更に、上記異種ポリマーは、主鎖を構成す
る少なくとも一つの炭素の13C−NMRスペクトルのピ
ーク強度の比S/S0(ここで、S0は異種ポリマー単独
溶液状態で測定の13C−NMRスペクトルのピーク強度
を、Sは芳香族ポリアミドと異種ポリマーをフィルム中
と同じ割合で混合した溶液状態で測定の13C−NMRス
ペクトルのピーク強度を表す)が 0 ≦ S/S0 ≦ 0.5 を充たす必要がある。
【0014】S/S0が上記の範囲にあることは異種ポ
リマーと芳香族ポリアミドが強く相互作用を及ぼしあう
ことにより、芳香族ポリアミドと異種ポリマーをフィル
ム中と同じ割合で混合した溶液中において13C−NMR
スペクトルのピークが検出されにくくなっているためで
あり、異種ポリマーと芳香族ポリアミドの相溶性が良い
ことを表している。S/S0が0.5を越える場合は、
異種ポリマーと芳香族ポリアミドの相溶性が悪いために
製膜時に相分離を起こし、フィルムの延伸性が不十分で
あったり、失透して伸度の低い脆いフィルムになった
り、フィルムの表面に凹凸ができる場合がある。更に、
相溶性が非常に悪い場合は、溶液状態で相分離を起こし
フィルム化が不可能になったりすることがある。延伸性
がより向上することから、より好ましくはS/S0が0
〜0.3、更に0〜0.2であることが特に好ましい。
【0015】13C−NMRスペクトル測定に用いる溶媒
としては、芳香族ポリアミド及び異種ポリマーが可溶な
溶媒の中から選ばれるが、製膜に用いられる溶媒と同じ
溶媒が好ましく用いられる。この様な溶媒として、濃硫
酸、メタンスルホン酸、ポリリン酸等の強酸、あるいは
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、
ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒等
が挙げられるが、取り扱いが容易なことから非プロトン
性有機極性溶媒が好ましく用いられる。
【0016】上記異種ポリマーは、製膜原液の溶媒に可
溶なポリマーの中から選ばれるが、特に主鎖や側鎖に極
性の高い官能基を持つポリマーが芳香族ポリアミドのア
ミド基と水素結合を形成すること等により相溶性が良く
なるために好ましい。更に、上記異種ポリマーが式
(6)に示す繰り返し単位のうち、少なくとも一つの繰
り返し単位を50モル%以上含有する場合、芳香族ポリ
アミドと相溶性が極めて良くなるためにより好ましい。 式(6):
【0017】
【化7】 更に、上記異種ポリマーが式(7)に示す繰り返し単位
のうちの少なくとも一つをmモル%、式(8)に示す繰
り返し単位のうちの少なくとも一つをnモル%含有する
共重合ポリマーであり、かつmとnが 0.5≦m/n≦2.0 であると、芳香族ポリアミドとの相溶性を保ちつつ、異
種ポリマーによる湿度特性の悪化を抑制できるので特に
好ましい。 式(7):
【0018】
【化8】 式(8):
【0019】
【化9】 本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少なくとも一方
向において引張りヤング率が9.8GPa以上であり、
かつ伸度が5%以上であることが好ましい。ヤング率が
9.8GPa未満の場合、加工時やテープに成形され使
用される際の巻き取り時の高張力、張力変動に対抗する
ことができないことがある。また、伸度が5%未満の場
合、フィルムが脆くなり切れやすくなることがある。本
発明の芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも一方向の
ヤング率はより好ましくは11.7GPa以上、更に好
ましくは12.7GPa以上であるとフィルムの薄膜化
に好適であるので好ましい。ヤング率は特に上限はない
が、通常は30GPa程度とするのがヤング率と伸度の
バランスが良いことから好ましい。更に、全ての方向の
ヤング率が9.8GPa以上であるとより好ましい。ま
た、本発明の芳香族ポリアミドフィルムの伸度は、より
好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上であ
るとテ−プに加工した際に適度な柔軟性を持つので好ま
しい。伸度は特に上限はないが、通常は70%程度とす
るのがヤング率と伸度のバランスが良いことから好まし
い。
【0020】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの吸湿
率は、3%以下、より好ましくは2%以下であると湿度
変化による寸法変化を抑制することができるので好まし
い。
【0021】本発明の芳香族ポリアミドフィルムの20
0℃、10分間での熱収縮率は0.0〜0.5%が好ま
しく、より好ましくは0.0〜0.3%であると温度変
化によるテ−プの寸法変化が小さく良好な電磁変換特性
を保てるので好ましい。
【0022】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも一方の表面において表面粗さRaが1nm以上
10nm以下であると磁気記録媒体とした時の電磁変換
特性が良好となるので好ましい。一般に相溶性の悪いポ
リマー同士をブレンドフィルムとすると、製膜時に相分
離が起こりフィルム表面に凹凸ができることが多い。こ
れに対し、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは相溶性
の良い異種ポリマーとのブレンドフィルムであることか
ら、高延伸可能で高ヤング率を保持できるばかりでな
く、上記のような凹凸がなくフィルム表面が平滑である
ことから磁気記録媒体のベースフィルムとして好適であ
る。Raが10nmを越えると磁気記録媒体とした時の
電磁変換特性が悪化する場合があり、Raが1nm未満
の場合は表面が平滑すぎて摩擦が大きくなりテープ加工
時等のハンドリングが悪化することがある。
【0023】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、テ
ープに加工した際の走行性を改善する目的で無機粒子や
有機粒子を含有することが好ましい。好ましい無機粒子
としては、例えば、SiO2、TiO2、Al23、Ca
SO4、BaSO4、CaCO 3、カ−ボンブラック、ゼ
オライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、
好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベ
ンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステ
ル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂
粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上
記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げら
れる。
【0024】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
レキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンターリ
ボン、音響振動板、太陽電池のベースフィルム等種々の
用途に好ましく用いられるが、少なくとも片面に磁性層
を設けた磁気記録媒体として用いられると高ヤング率と
平滑な表面を兼ね備えた本発明の芳香族ポリアミドフィ
ルムの効果が充分に発揮されるため、特に好ましい。
【0025】磁気記録媒体の形態は、ディスク状、カー
ド状、テープ状など特に限定されないが、本発明の芳香
族ポリアミドフィルムの優れた高ヤング率・表面性を活
かした薄膜化に対応するため、芳香族ポリアミドフィル
ムからなるベ−スフィルムの厚みが6.5μm以下、幅
が2.3〜13.0mm、長さが100m/巻以上、磁
気記録媒体としての記録密度(非圧縮時)が8キロバイ
ト/mm2以上の長尺、高密度の磁気テ−プとしたとき
に本発明の特徴である過酷な条件下でのしわの発生及び
巻きずれを抑制する効果をより一層奏することができる
ので特に好ましい。なお、ここでいう記録密度は下式に
より算出される。
【0026】 記録密度 = 記録容量/(テ−プ幅×テ−プ長さ) ベ−スフィルムの厚みはより好ましくは、5.0μm以
下であることがより好ましく、4.0μm以下であるこ
とが更に好ましい。厚みは特に下限はないが、通常は2
μm程度とするのがフィルムの取り扱いが良いことから
好ましい。また、磁気記録媒体としての記録密度は、よ
り好ましくは25キロバイト/mm2以上、更に好まし
くは34キロバイト/mm2以上である。記録密度は特
に上限はないが、通常は100キロバイト/mm2程度
とするのが粗大突起等によるドロップアウトの影響を受
けにくいことから好ましい。
【0027】また、本発明は磁気記録媒体として、民生
用、プロ用、D−1,D−2,D−3等の放送局用デジ
タルビデオカセット用途、DDS−2,3,4、データ
8mm、QIC等のデータストレージ用途に好適に用い
ることができるが、データ欠落等の信頼性が最も重視さ
れるデータストレージ用途が最適である。
【0028】本発明の芳香族ポリアミドフィルムが適用
される高密度記録媒体の磁性層は、特に限定されない
が、公知の強磁性金属薄膜層が例示される。強磁性金属
薄膜層の形成手段としては、従来公知の方法が用いら
れ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レ−ティング法や塗布法等が挙げられる。強磁性金属材
料としては、Co、Ni、Cr、Fe等の金属やこれら
を主成分とする合金等を用いることができる。
【0029】磁性層を形成後、ダイヤモンドライクコ−
ティングの付与あるいは潤滑保護層の付与を施したり、
または両者を併用することは磁気記録媒体の耐久性向上
の点で好ましい。更に、磁性層と反対側の面により走行
性を向上させるために、公知の方法によりバックコ−ト
層を設けてもよい。
【0030】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、コ
ア等に巻き上げていきフィルムロールとすることができ
る。コアの材質は特に限定されず、紙、プラスチック等
公知のものを使用できる。また、外径が1〜10イン
チ、特に2〜8インチのものが好ましく用いられる。コ
ア長は150〜2000mm、特に500〜1500m
mのものが好ましく用いられる。
【0031】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、例
えば、次のような方法で製造できるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0032】まず芳香族ポリアミドであるが、芳香族ジ
酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液
重合で合成される。
【0033】この時、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等
を添加してもよい。
【0034】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化
物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表さ
れる無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエ
タノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン等の有機の中和剤
が使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改善す
る目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリ
ド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマ−
の末端を封鎖してもよい。
【0035】本発明のフィルムを得るためにはポリマ−
の固有粘度(ポリマ−0.5gを硫酸中で100mlの
溶液として30℃で測定した値)は、0.5〜5.0で
あることが好ましい。
【0036】製膜原液としては、中和後のポリマ−溶液
をそのまま用いても、一旦、ポリマ−を単離後、有機溶
媒に再溶解したものを用いてもよい。
【0037】異種重合体の添加は、重合前にモノマ−と
ともに溶媒に溶解させても、重合後のポリマ−溶液に混
合させても、単離した芳香族ポリアミドとともに再溶解
しても、製膜直前にスタティックミキサ−等を利用して
混合させてもよい。また、粉末状やペレットとして添加
しても、一旦、重合溶媒等の有機溶媒に溶解後、ポリマ
−溶液と混合しても構わない。
【0038】また、粒子を添加する場合は、フィルム中
で均一な分散とするため、添加前に好ましくは10ポイ
ズ、より好ましくは1ポイズ以下の溶媒に分散させてお
くことが好ましい。粒子を予め溶媒に分散させずにその
まま製膜用のポリマ−溶液に添加した場合、平均粒径が
大きくなり、また、粒径分布も大きくなることがあり、
その結果フィルムの表面が粗れることがある。用いる溶
媒としては製膜原液と同じものが好ましいが、製膜性に
特に悪影響を与えなければ他の溶媒を使用してもかまわ
ない。分散方法としては、上記溶媒に粒子を入れ、撹拌
式分散器、ボ−ルミル、サンドミル、超音波分散器等で
分散する。この様に分散された粒子はポリマ−溶液中へ
添加混合されるが、重合前の溶媒中へ添加あるいはポリ
マ−溶液の調製工程で添加してもよい。また、キャスト
直前に添加してもよい。製膜原液中のポリマ−濃度は2
〜40重量%程度が好ましい。
【0039】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム
化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で、乾湿
式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にとって説明す
る。
【0040】上記の原液を口金からドラム、エンドレス
ベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかか
る薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温
度は、100〜210℃が好ましく、120〜180℃
がより好ましい。また、乾燥時間は、4〜12分が好ま
しく、5〜10分がより好ましい。次いで、乾式工程を
終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導
入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。フィルムを支
持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜60重量
%であることが好ましく、40〜50重量%であること
がより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合
は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなるこ
とがあり、60重量%以上の場合は、延伸が十分に行え
ない場合がある。本発明の芳香族ポリアミドフィルム
は、支持体から剥離されて湿式工程に導入される間に、
ゲルフィルムの状態でフィルムの長手方向に好ましく延
伸される。延伸倍率は延伸限界(フィルムが破れるまで
延伸したときの延伸倍率)の60〜90%であることが
好ましく、70〜85%であるとより好ましい。長手方
向の延伸倍率が60%未満では長手方向のヤング率が不
十分なことがあり、90%を越えると伸度の低い脆いフ
ィルムとなることがある。また、湿式工程を通さずにそ
のまま剥離したゲルフィルムに延伸および熱処理を行う
と、表面が大きくあれたり、カ−ルが発生することがあ
るため好ましくない。
【0041】湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、
フィルムの幅方向に延伸が行われる。延伸温度は200
〜300℃であることが好ましく、240〜280℃で
あることがより好ましい。延伸温度がこの範囲より低い
と延伸時にフィルムが破れやすく、高すぎると分子が配
向しにくくなりヤング率が不十分なことがある。幅方向
の延伸倍率は長手方向の延伸倍率の70〜300%であ
ることが好ましい。幅方向の延伸倍率が長手方向の70
%未満では幅方向のヤング率が不十分なことがあり、3
00%を越えると伸度の低い脆いフィルムとなったり、
長手方向のヤング率が大きく低下することがある。
【0042】フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理
が行なわれるが、熱処理温度は200〜300℃の範囲
にあることが好ましい。より好ましくは、240〜28
0℃である。熱処理温度が200℃未満の場合、フィル
ムのヤング率が低下することがあり、300℃を越える
とフィルムの結晶化が進みすぎて堅くてもろいフィルム
となる。また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷
する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却する
事が有効である。
【0043】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族
ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加し
た後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。
これら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金
内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成してお
いてその上に他の層を形成する方法などがある。
【0044】
【実施例】本発明における物性の測定方法、効果の評価
方法は次の方法に従って行った。
【0045】(1)13C−NMRスペクトル 異種ポリマー単独、又は、異種ポリマーと芳香族ポリア
ミド(混合比はフィルム中と同じ割合)をN−メチル−
2−ピロリドンにポリマー濃度が10重量%になるよう
に溶解し、日本電子社製GX−270を用いて以下の条
件で13C−NMRの測定を行った。
【0046】 温度:室温 観測周波数:67.9406MHz 測定法:T1測定(インハ゛ーシ゛ョンリカハ゛リー) 90°励起パルス幅:22.5μs 観測時間:1.091s 観測幅:15.015kHz 観測ポイント:16384 データポイント:16384 観測繰り返し時間:10s 溶媒のN−メチル−2−ピロリドンのピークと重ならな
い異種ポリマーの主鎖を構成する炭素の一つを選び、ピ
ーク強度の比S/S0を下式から求めた。
【0047】S/S0 =(A/C)/(A0/C0) ここで、A:混合溶液状態で測定した異種ポリマーの主
鎖炭素のピーク面積 C:混合溶液状態で測定した異種ポリマーのポリマー濃
度 A0:単独溶液状態で測定した異種ポリマーの主鎖炭素
のピーク面積 C0:単独溶液状態で測定した異種ポリマーのポリマー
濃度 である。
【0048】(2)延伸限界テスト 剥離したゲルフィルム(ポリマー濃度40〜50重量
%)を3cm×15cmに切り取り、手動延伸機に固定
後、フィルムが切れるまで延伸し、その時の倍率の平均
値(5回測定)を求めた。
【0049】(3)ヤング率、伸度 ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用
いて20℃、相対湿度60%において測定した。試験片
は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度は300m
m/分である。ただし、試験を開始してから加重が0.
1kgfを通過した点を伸びの原点とした。
【0050】(4)表面粗さRa Digital Instruments社製原子間力顕微鏡NanoScopeIII
を用いて、以下の条件でガラス板またはベルトに接触し
ない表面について3ヶ所測定し、平均値を求めた。
【0051】 カンチレバ−:シリコン単結晶 走査モ−ド:タッピングモ−ド 走査範囲:30μm×30μm 走査速度:0.5Hz 測定環境:25℃、相対湿度65% (5)吸湿率 フィルムを100mm×100mmに切り取り、200
℃のオ−ブン中で1時間加熱脱湿後、乾燥窒素雰囲気下
で降温し、完全脱湿時の重量を測定した。このフィルム
を75%RH中で48時間放置後に取り出した吸湿後の重量を
測定し、吸湿による重量の増加を測定した。
【0052】(6)電磁変換特性 フィルムの製膜時の金属ベルトと接しない側の表面に、
次の組成からなる磁性塗料を調製し、グラビアロ−ルで
磁性層の厚みが2μmとなるように塗布し、硬化した後
カレンダ−処理を行った。
【0053】 磁性粉(メタル粉) 80重量部 塩ビ系共重合体 10重量部 ポリウレタン 10重量部 硬化剤 5重量部 研磨剤 5重量部 トルエン 100重量部 メチルエチルケトン 100重量部 この磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリ
ットし、VTRカセットに組み込みVTRテ−プとし
た。このテ−プにVHS方式の家庭用VTRを用いてテ
レビ試験波形発生器により100%クロマ信号からカラ
−ビデオノイズ測定器で、100回繰り返し走行後のク
ロマS/Nを測定した。雰囲気は25℃、55%RHの
条件で、市販のテ−プを基準とし以下の基準で評価し
た。
【0054】 ○:標準テ−プとの差が+0.5dB以上 △:標準テ−プとの差が−0.5dB以上+0.5dB
未満 ×:標準テ−プとの差が−0.5dB未満 以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものでないことは言う
までもない。
【0055】参考例 脱水したN−メチルピロリドン(以下、NMPという)
に90モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジア
ミンと10モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テルとを溶解させ、これに98.5モル%に相
当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時
間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリ
マ−濃度が11重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得
た。
【0056】この芳香族ポリアミド溶液をアプリケータ
を用いてガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブ
ン中で7分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時の
ポリマー濃度は43重量%であった。このゲルフィルム
の延伸限界を上記の方法で測定したところ1.44倍で
あった。
【0057】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.15倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率13.2GPa、伸度16.5%、表
面粗さRa1.2nm、吸湿率1.7%であった。
【0058】実施例1 乾燥したポリビニルピロリドン(以下、PVPという)
を脱水したNMPに20重量%になるように溶解した。
このPVP溶液を、参考例で作成した芳香族ポリアミド
溶液にPVPが芳香族ポリアミドに対し40重量%にな
るように添加した。主鎖のメチン基についてS/S0を
測定したところ0.12であった。
【0059】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で
6.5分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポ
リマー濃度は40重量%であった。このゲルフィルムの
延伸限界を上記の方法で測定したところ1.82倍であ
り、芳香族ポリアミド単独の場合より延伸性が向上し
た。
【0060】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.46倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率13.5GPa、伸度10.1%、表
面粗さRa1.2nm、吸湿率3.5%であった。
【0061】実施例2 乾燥したPVPを脱水したNMPに20重量%になるよ
うに溶解した。このPVP溶液を、参考例で作成した芳
香族ポリアミド溶液にPVPが芳香族ポリアミドに対し
65重量%になるように添加した。主鎖のメチン基につ
いてS/S0を測定したところ0.23であった。
【0062】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7
分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー
濃度は48重量%であった。このゲルフィルムの延伸限
界を上記の方法で測定したところ2.06倍であり、芳
香族ポリアミド単独の場合より延伸性が向上した。
【0063】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.65倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率11.5GPa、伸度13.5%、表
面粗さRa1.0nm、吸湿率4.4%であった。
【0064】実施例3 Dynamit Nobel社製非晶性ナイロンTrogamidを乾燥後、
脱水したNMPに20重量%になるように溶解した。こ
の非晶性ナイロン溶液を、参考例で作成した芳香族ポリ
アミド溶液に非晶性ナイロンが芳香族ポリアミドに対し
40重量%になるように添加した。主鎖の4級炭素につ
いてS/S0を測定したところ0.41であった。
【0065】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で
6.5分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポ
リマー濃度は44重量%であった。このゲルフィルムの
延伸限界を上記の方法で測定したところ1.55倍であ
り、芳香族ポリアミド単独の場合より延伸性が向上し
た。
【0066】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
90%にあたる1.40倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率12.3GPa、伸度4.6%、表面
粗さRa1.7nm、吸湿率3.7%であった。
【0067】実施例4 乾燥したPVPとポリスチレン(以下、PStという)
の1対1のランダム共重合体を脱水したNMPに20重
量%になるように溶解した。この共重合ポリマー溶液
を、参考例で作成した芳香族ポリアミド溶液に共重合ポ
リマーが芳香族ポリアミドに対し40重量%になるよう
に添加した。主鎖のメチン基についてS/S0を測定し
たところ0.11であった。
【0068】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7
分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー
濃度は48重量%であった。このゲルフィルムの延伸限
界を上記の方法で測定したところ1.71倍であり、芳
香族ポリアミド単独の場合より延伸性が向上した。
【0069】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.37倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率12.6GPa、伸度13.3%、表
面粗さRa1.0nm、吸湿率2.2%であった。吸湿
率はPVP単独の磁気記録媒体1より良くなった。
【0070】実施例5 乾燥したポリ(n,n−ジメチル)アクリルアミド(以
下、PDMAAという)とPStの1対1のランダム共
重合体を脱水したNMPに20重量%になるように溶解
した。この共重合ポリマー溶液を、参考例で作成した芳
香族ポリアミド溶液に共重合ポリマーが芳香族ポリアミ
ドに対し40重量%になるように添加した。主鎖のメチ
ン基についてS/S0を測定したところ0.14であっ
た。
【0071】脱水したNMP中に一次粒径45nmのシ
リカを20重量%添加し、超音波分散器で10時間分散
後濾過した。この粒子の溶液を上記のブレンド溶液に、
無機粒子が芳香族ポリアミドに対し1.8重量%になる
ように添加した。
【0072】この溶液を押し出し機で口金に供給し、表
面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延した。この流
延されたポリマ−溶液を最初160℃、次いで180℃
の熱風でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸発させ、
剥離後、フィルムの長手方向に1.46倍延伸を行っ
た。次に、水槽内へフィルムを2分間通して残存溶媒と
中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、テン
タ−中で、温度280℃、風速5m/秒の熱風下に、フ
ィルムの幅方向に2.20倍延伸と熱処理を行った。こ
うして総厚み4.4μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0073】フィルム物性は表2に示したように、長手
方向のヤング率11.7GPa、伸度19.6%、幅方
向のヤング率16.4GPa、伸度14.9%、表面粗
さRa6.3nm、吸湿率2.3%であった。更に、フ
ィルムをスリットして磁気テ−プとし、上記の方法で評
価したところ、標準テープに比べて+1.7dBであ
り、電磁変換特性は良好であった。
【0074】比較例1 乾燥したPVPを脱水したNMPに20重量%になるよ
うに溶解した。このPVP溶液を、参考例で作成した芳
香族ポリアミド溶液にPVPが芳香族ポリアミドに対し
5重量%になるように添加した。主鎖のメチン基につい
てS/S0を測定したところほぼ0であった。
【0075】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7
分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー
濃度は42重量%であった。このゲルフィルムの延伸限
界を上記の方法で測定したところ1.44倍であり、芳
香族ポリアミド単独の場合と変化がなかった。
【0076】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.15倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率12.8GPa、伸度11.5%、表
面粗さRa1.0nm、吸湿率1.8%であった。
【0077】比較例2 乾燥したPVPを脱水したNMPに20重量%になるよ
うに溶解した。このPVP溶液を、参考例で作成した芳
香族ポリアミド溶液にPVPが芳香族ポリアミドに対し
110重量%になるように添加した。主鎖のメチレン基
についてS/S0を測定したところ0.25であった。
【0078】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で
7.5分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポ
リマー濃度は58重量%であった。このゲルフィルムの
延伸限界を上記の方法で測定したところ2.51倍であ
り、芳香族ポリアミド単独の場合より延伸性が向上し
た。
【0079】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
90%にあたる2.26倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率8.9GPa、伸度4.5%、表面粗
さRa1.1nm、吸湿率6.1%であり、高延伸して
もヤング率が充分に上昇しなかった。
【0080】比較例3 乾燥したポリエーテルイミド(以下、PEIという)を
脱水したNMPに20重量%になるように溶解した。こ
のPEI溶液を、参考例で作成した芳香族ポリアミド溶
液にPEIが芳香族ポリアミドに対し40重量%になる
ように添加した。主鎖の4級炭素についてS/S0を測
定したところ0.93であった。
【0081】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で
6.5分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポ
リマー濃度は41重量%であった。このゲルフィルムの
延伸限界を上記の方法で測定したところ1.45倍であ
り、芳香族ポリアミド単独の場合とほとんど変化がなか
った。
【0082】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.16倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率8.5GPa、伸度5.2%、表面粗
さRa11.7nm、吸湿率1.6%であり、ヤング率
が芳香族ポリアミド単独の場合と比較して大きく低下
し、表面粗さが大きくなった。
【0083】比較例4 乾燥したポリカーボネート(以下、PCという)を脱水
したNMPに20重量%になるように溶解した。このP
C溶液を、参考例で作成した芳香族ポリアミド溶液にP
Cが芳香族ポリアミドに対し65重量%になるように添
加した。主鎖の4級炭素についてS/S0を測定したと
ころ0.87であった。
【0084】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7
分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー
濃度は43重量%であった。このゲルフィルムの延伸限
界を上記の方法で測定したところ1.44倍であり、芳
香族ポリアミド単独の場合と変化がなかった。
【0085】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.15倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率6.3GPa、伸度4.1%、表面粗
さRa8.2nm、吸湿率1.4%であり、ヤング率が
芳香族ポリアミド単独の場合と比較して大きく低下し
た。
【0086】比較例5 乾燥したPVPとPStの1対3のランダム共重合体を
脱水したNMPに20重量%になるように溶解した。こ
の共重合ポリマー溶液を、参考例で作成した芳香族ポリ
アミド溶液に共重合ポリマーが芳香族ポリアミドに対し
40重量%になるように添加した。主鎖の4級炭素につ
いてS/S0を測定したところ0.71であった。
【0087】このブレンド溶液をアプリケータを用いて
ガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7
分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー
濃度は43重量%であった。このゲルフィルムの延伸限
界を上記の方法で測定したところ1.43倍であり、芳
香族ポリアミド単独の場合と変化がなかった。
【0088】同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の
80%にあたる1.14倍延伸し、金属製のフレームに
枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この
後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理
を行った。得られたフィルムは表1に示したように、延
伸方向のヤング率8.3GPa、伸度11.2%、表面
粗さRa2.4nm、吸湿率1.9%であり、ヤング率
が芳香族ポリアミド単独の場合と比較して大きく低下し
た。
【0089】比較例6 脱水したNMP中に一次粒径45nmのシリカを20重
量%添加し、超音波分散器で10時間分散後濾過した。
この粒子の溶液を比較例3のブレンド溶液に、無機粒子
が芳香族ポリアミドに対し1.8重量%になるように添
加した。
【0090】この溶液を押し出し機で口金に供給し、表
面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延した。この流
延されたポリマ−溶液を最初160℃、次いで180℃
の熱風でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸発させ、
剥離後、フィルムの長手方向に1.16倍延伸を行っ
た。次に、水槽内へフィルムを2分間通して残存溶媒と
中和で生じた無機塩の水抽出を行なった。この後、テン
タ−中で、温度280℃、風速5m/秒の熱風下に、フ
ィルムの幅方向に1.75倍延伸と熱処理を行った。こ
うして総厚み4.4μmの芳香族ポリアミドフィルムを
得た。
【0091】フィルム物性は表2に示したように、長手
方向のヤング率8.4GPa、伸度12.3%、幅方向
のヤング率11.9GPa、伸度6.2%、表面粗さR
a12.7nm、吸湿率1.6%であった。更に、フィ
ルムをスリットして磁気テ−プとし、上記の方法で評価
したところ、標準テープに比べて−2.4dBであり、
電磁変換特性は不良であった。また、テープの剛性が低
いために繰り返し走行後にテープの変形が見られた。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
低コスト化が可能で、延伸性が良いことから生産性が高
く、かつ高延伸時に芳香族ポリアミドの特徴である高ヤ
ング率を発現できるブレンドフィルムであり、磁気記録
媒体のベースフィルムとして特に有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドと少なくとも一種の異
    種ポリマーを含有し、異種ポリマーの含有量が芳香族ポ
    リアミドに対し10重量%以上100重量%未満であ
    り、かつ、異種ポリマーの主鎖を構成する少なくとも一
    つの炭素の13C−NMRスペクトルのピーク強度の比S
    /S0(ここで、S0は異種ポリマー単独溶液状態で測定
    13C−NMRスペクトルのピーク強度を、Sは芳香族
    ポリアミドと異種ポリマーをフィルム中と同じ割合で混
    合した溶液状態で測定の13C−NMRスペクトルのピー
    ク強度を表す)が 0 ≦ S/S0 ≦ 0.5 を充たすことを特徴とする芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】 前記異種ポリマーが、式(1)に示す繰
    り返し単位のうちの少なくとも一つを50モル%以上含
    有するポリマーである請求項1に記載の芳香族ポリアミ
    ドフィルム。 式(1): 【化1】
  3. 【請求項3】 前記異種ポリマーが、式(2)に示す繰
    り返し単位のうちの少なくとも一つをmモル%、式
    (3)に示す繰り返し単位のうちの少なくとも一つをn
    モル%含有する共重合ポリマーであり、かつ、mとnが
    0.5≦m/n≦2.0である請求項1または2に記載
    の芳香族ポリアミドフィルム。 式(2): 【化2】 式(3): 【化3】
  4. 【請求項4】 少なくとも一方向においてヤング率が
    9.8GPa以上であり、かつ伸度が5%以上である請
    求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方の表面において表面粗さ
    Raが 1nm ≦ Ra ≦ 10nm である請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリアミ
    ドフィルム。
  6. 【請求項6】 吸湿率が3%以下である請求項1〜5の
    いずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族
    ポリアミドフィルムの少なくとも一面に磁性層が設けら
    れてなる磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 幅が2.3〜13mm、支持体厚みが
    6.5μm以下、長さが100m/巻以上、磁気記録媒
    体としての記録密度が8キロバイト/mm2以上である
    請求項7に記載の磁気記録媒体からなる磁気テープ。
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