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JP2000239304A - 細胞培養用基材 - Google Patents

細胞培養用基材

Info

Publication number
JP2000239304A
JP2000239304A JP11043286A JP4328699A JP2000239304A JP 2000239304 A JP2000239304 A JP 2000239304A JP 11043286 A JP11043286 A JP 11043286A JP 4328699 A JP4328699 A JP 4328699A JP 2000239304 A JP2000239304 A JP 2000239304A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hyaluronic acid
cell culture
culture substrate
gel
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11043286A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Iketani
仁志 池谷
Kazuhiko Arai
一彦 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP11043286A priority Critical patent/JP2000239304A/ja
Publication of JP2000239304A publication Critical patent/JP2000239304A/ja
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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 なんら架橋剤等を使用することなく、安全性
及び生体適合性に優れ、各種細胞を培養用基材の内部及
び又は表面で培養することにより、人工皮膚等の人工臓
器の構築材料として利用できる他、細胞培養による有用
物質の生産にも利用できる細胞培養用基材を提供するこ
と。 【解決手段】 中性水溶液に難溶性であるヒアルロン酸
単独で形成されたゲルを含有する細胞培養用基材を構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中性水溶液に難溶
性であるヒアルロン酸単独で形成されたゲルを含有する
細胞培養用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、火傷や擦過傷等による皮膚損傷の
治療には、損傷部位をカバーし、欠損した組織を補充す
るために、ヒト皮膚の移植、あるいは、凍結乾燥豚真皮
やキチンを用いた不織布などの創傷被覆材が用いられて
きた。しかし、皮膚移植は採取できる量が限られ、又、
創傷被覆材は損傷をカバーするだけで、皮膚の機能を代
替するものではない為、より効果的な治療法として、損
傷部位で皮膚細胞の増殖の場を提供する培養基材からな
る人工皮膚や、あらかじめ培養基材に皮膚細胞を培養し
た人工皮膚が研究されている。
【0003】このような人工皮膚に用いられる培養基材
の材料としては、高い生体適合性と生体吸収性に加え
て、損傷に応じて様々な形態が選べるものが望ましく、
コラーゲン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などが
検討されている。中でも、ヒアルロン酸は本来、ヒトの
体内に存在する物質であり、さらに眼科手術補助剤や関
節注入剤などの医薬品として長い使用実績があることか
ら、その生体適合性と生体吸収性は充分に確認されてい
た。しかし、ヒアルロン酸は水溶性である為、それ自体
では培養基材としての利用には制限があった。
【0004】そこで、他の材料と組み合わせる、あるい
は、ヒアルロン酸を化学的に修飾して難水溶性とする試
みがなされてきた。例えば、(1)ヒアルロン酸とアミ
ノ基あるいはイミノ基を有する高分子化合物とのイオン
複合体からなる水不溶性の医療材料(特開平6−731
03号)、(2)ヒアルロン酸と架橋剤ジ(もしくは
ビ)ヒドラジン又はジ(もしくはビ)ヒドラジドとの縮
合反応による水不溶性の生体適合性材料(特開平9−5
9303号)、(3)ヒアルロン酸と脂肪族、芳香脂肪
族、などとの完全または部分エステルからなる外科皮膚
科用人工皮膚(特許2569012号)、等がある。
【0005】しかし、(1)はヒアルロン酸それ自体で
は担体を形成しておらず、又、(2)と(3)は化学構
造が本来のヒアルロン酸とは異なる物質となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ヒアルロン酸自体が本
来持っている優れた生体適合性の特長を最大限生かすた
めに、何ら化学的架橋剤や化学修飾剤を使用することな
く、またカチオン性の高分子化合物と複合体を形成する
ことなくヒアルロン酸そのものを難水溶性にする手段は
これまで開発されていなかった。我々は、架橋剤等を使
用しないでヒアルロン酸単独からなる難水溶性ヒアルロ
ン酸ゲルを簡便な方法で製造することを初めて見出し
(PCT/JP98/03536号)、今回、この難水
溶性ヒアルロン酸ゲルの細胞培養基材への適用の可能性
を鋭意検討し、その有用性を見出し本発明を完成するに
至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
中性水溶液に難溶性であるヒアルロン酸単独で形成され
たゲルを含有する細胞培養用基材、(2)次の(a)、
(b)の要件を満たすヒアルロン酸単独で形成されたゲ
ルを含有することを特徴とする細胞培養用基材、(a)
中性の37℃の水溶液で12時間での溶解率が50%以
下である、(b)ヒアルロン酸の促進酸加水分解条件下
でヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化されたヒア
ルロン酸が分岐構造を有し、該可溶化されたヒアルロン
酸中に、分岐度が0.5以上の分子量フラクションを部
分的に含む、(3)ヒアルロン酸単独で形成されたゲル
が、シート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊
状、繊維状、又はチューブ状からなる群より選択した1
種であることを特徴とする(2)記載の細胞培養用基
材、(4)中性の37℃の水溶液で12時間での溶解率
が50%以下であり、ヒアルロン酸の促進酸加水分解条
件下でヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化された
ヒアルロン酸中に、分岐度が0.5以上の分子量フラク
ションを部分的に含むヒアルロン酸ゲルと、ゲル化され
ていないヒアルロン酸を含む細胞培養用基材、(5)シ
ート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊状、繊維
状、又はチューブ状であるヒアルロン酸単独で形成され
たヒアルロン酸ゲルと、ゲル化されていないヒアルロン
酸を含む細胞培養用基材、(6)細胞培養用基材が人工
皮膚用である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の細
胞培養用基材である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうヒアルロン酸ゲルとは、三次元網目構造を
もつ高分子及びその膨潤体である。三次元網目構造はヒ
アルロン酸の架橋構造によって形成されている。
【0009】その一例としては、ヒアルロン酸のpH
3.5以下の水溶液を凍結し、次いで解凍することでシ
ート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊状、繊維
状、又はチューブ状の中性水溶液に難溶性であるヒアル
ロン酸ゲルを得ることができる。より具体的には以下に
述べる。
【0010】本発明に用いられるヒアルロン酸は、動物
組織から抽出したものでも、また発酵法で製造したもの
でもその起源を問うことなく使用できる。発酵法で使用
する菌株は自然界から分離されるストレプトコッカス属
等のヒアルロン酸生産能を有する微生物、又は特開昭6
3−123392号公報に記載したストレプトコッカス
・エクイFM−100(微工研菌寄第9027号) 、特開平
2−234689号公報に記載したストレプトコッカス
・エクイFM−300(微工研菌寄第2319号) のような
高収率で安定にヒアルロン酸を生産する変異株が望まし
い。上記の変異株を用いて培養、精製されたものが用い
られる。
【0011】本発明に用いられるヒアルロン酸の分子量
は、約1×105 〜約1×107 ダルトンの範囲内のも
のが好ましい。また、上記範囲内の分子量をもつもので
あれば、より高分子量のものから、加水分解処理等をし
て得たものでも同様に好ましく使用できる。なお、本発
明にいうヒアルロン酸は、そのアルカリ金属塩、例え
ば、ナトリウム、カリウム、リチウムの塩をも包含する
概念で使用される。
【0012】本発明でいうヒアルロン酸単独とは、ヒア
ルロン酸以外に化学的架橋剤や化学的修飾剤等は使用し
ないことまた、カチオン性の高分子と複合体化しないこ
とであり、自己架橋を意味するものである。
【0013】本発明でいうヒアルロン酸ゲルは、ヒアル
ロン酸の促進酸加水分解反応条件下でヒアルロン酸ゲル
を処理することで分解、可溶化することができる。可溶
化されたヒアルロン酸が架橋構造を保持している場合、
分岐点を有するヒアルロン酸として高分子溶液論的に直
鎖状のヒアルロン酸と区別することができる。
【0014】本発明でいうヒアルロン酸の促進酸加水分
解反応条件としては、水溶液のpH1.5、温度60℃
が適当である。ヒアルロン酸のグリコシド結合の加水分
解による主鎖切断反応が、中性の水溶液中と比較して、
酸性やアルカリ性の水溶液中で著しく促進される。更に
酸加水分解反応は、反応温度が高い方が促進される。
【0015】本発明ではGPC−MALLS法を用い、
GPCで分離された分子量フラクションの分子量と分岐
度をオンラインで連続的に測定した。本発明では、同一
溶出体積のフラクションの可溶化されたヒアルロン酸の
分子量と対照となる直鎖状ヒアルロン酸の分子量を比較
して分岐度を計算する溶出体積法を使って分岐度の測定
を行った。分岐度は可溶化されたヒアルロン酸の高分子
鎖1コ当たりに存在する分岐点の数であり、可溶化され
たヒアルロン酸の分子量に対してプロットされる。
【0016】可溶化されたヒアルロン酸は、GPC溶媒
で希釈して濃度を調製し、0.2μmのメンブランフィ
ルターでろ過した後測定に供した。本発明でいうヒアル
ロン酸ゲル中に、ヒアルロン酸の促進酸加水分解条件下
でも安定に存在する架橋構造がある場合、可溶化された
ヒアルロン酸に分岐構造が高分子溶液論的に確認され
る。本発明でいうヒアルロン酸ゲルの分岐度は、0.5
以上である。
【0017】ヒアルロン酸の水溶液のpHを調整するた
めに使用する酸は、pH3.5以下に調整できる酸であ
れば、いずれの酸も使用することができる。酸の使用量
を低減するために、好ましくは強酸、例えば、塩酸、硝
酸、硫酸等を使用することが望ましい。
【0018】ヒアルロン酸の水溶液のpHは、ヒアルロ
ン酸のカルボキシル基が充分な割合でプロトン化するp
Hに調整する。調整されるpHはヒアルロン酸塩の対イ
オンの種類、ヒアルロン酸の分子量、水溶液濃度、凍結
及び解凍の条件、並びに生成するゲルの強さ等の諸特性
により適宜決められるが、本発明では、pH3.5以
下、好ましくは、pH2.5以下に調整することであ
る。
【0019】凍結、解凍はヒアルロン酸の調整された酸
性水溶液を、任意の容器に入れた後、所定の温度で凍結
させ、凍結が終わった後、所定の温度で解凍させる操作
を少なくとも1回行う。凍結、解凍の温度と時間は、容
器の大きさ、水溶液量によりヒアルロン酸の酸性水溶液
が凍結、解凍する温度と時間の範囲内で適宜決められる
が、一般には、氷点以下の凍結温度、氷点以上の解凍温
度が好ましい。凍結、解凍時間を短くできることから、
更に好ましくは−5℃以下の凍結温度、5℃以上の解凍
温度が選ばれる。また、時間は、その温度で凍結、解凍
が終了する時間以上であれば特に制限されない。
【0020】ヒアルロン酸の調整された酸性水溶液を凍
結し、次いで解凍する操作の繰り返し回数は、使用する
ヒアルロン酸の分子量、水溶液濃度、水溶液のpH、凍
結及び解凍の温度と時間、並びに生成するゲルの強さ等
の諸特性により適宜決められる。通常は1回以上繰り返
すことが好ましい。また、凍結、解凍の操作を繰り返す
ごとに、その凍結、解凍の温度及び時間を変えても構わ
ない。
【0021】ヒアルロン酸の調整された酸性溶液の凍結
解凍により得られたヒアルロン酸ゲルは、ヒアルロン酸
の酸加水分解を避けるために、酸性に調整するために用
いた酸等の成分を除く必要がある。酸等の成分を除くた
めには、通常は水性溶媒による洗浄か透析をする。使用
する溶媒は、ヒアルロン酸ゲルの機能を損なわないもの
であれば特に制限はないが、例えば、水、生理食塩水、
リン酸緩衝液等が用いられるが、好ましくは、生理食塩
水、リン酸緩衝液等が用いられる。
【0022】また、洗浄・透析方法は、特に制限はない
が、通常は、バッチ法、濾過法、カラム等に充填して通
液する方法等が、また、透析の場合、透析膜、限外ろ過
膜による方法等が好適に用いられる。これらの条件は、
液量、回数等を含めて、除きたい成分を目標の濃度以下
にできる条件であればよく、ヒアルロン酸ゲルの形態や
用途により適宜選択することが可能である。
【0023】この洗浄・透析されたヒアルロン酸ゲル
は、その使用目的に応じて、溶媒中に浸漬した状態、溶
媒を含ませた湿潤状態、風乾、減圧乾燥あるいは凍結乾
燥等の処理を経た乾燥状態で細胞培養用基材として供さ
れる。
【0024】ヒアルロン酸ゲルの成形加工等の処理は、
作製時には、ヒアルロン酸の調整された酸性溶液の凍結
時の容器や手法の選択によりシート状、フィルム状、破
砕状、スポンジ状、繊維状、又チューブ状の所望の形態
のヒアルロン酸ゲルの作製が可能である。例えば、板上
にキャスティングして凍結することによりフィルム状及
びシート状の形態が得られるし、水と混和しない有機溶
剤と激しく混合撹拌しながら凍結解凍することにより破
砕状の形態が得られる。
【0025】ヒアルロン酸の分子量、濃度、などの条件
を変えることで、生体吸収性の異なる種々の難水溶性ヒ
アルロン酸ゲルが得られる。
【0026】本発明の難水溶性ヒアルロン酸ゲルを含有
する細胞培養用基材は、それ自体で、あるいは他の生理
活性物質、生体適合性物質、抗生物質等と組合わせて利
用できる。
【0027】生理活性物質としては、培養する細胞の成
長を促進する因子が重要であり、例えば、インシュリ
ン、肝細胞成長因子、トンラスフォーミング成長因子、
神経成長因子、上皮成長因子、血小板由来成長因子、イ
ンシュリン様成長因子、線維芽細胞成長因子、コロニー
刺激因子、エリスロポイエチン、トランスフェリン、イ
ンターロイキン、インターフェロン等が挙げられる。
【0028】生体適合性物質としては、培養する細胞の
接着を促進する物質が重要であり、例えば、コラーゲ
ン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、ア
ルブミン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、へパラ
ン硫酸、ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0029】抗生物質としては、ストレプトマイシン、
ペニシリン、トブラマイシン、アミカシン、ゲンタマイ
シン、ネオマイシン、アンホテリシンB等が挙げられ
る。
【0030】本発明の難水溶性ヒアルロン酸ゲルを含有
する細胞培養用基材は、各種細胞をその内部及び又は表
面で培養することができ、人工皮膚などの人工臓器の構
築材料として利用できる他、細胞培養による有用物質の
生産にも利用できる。
【0031】本発明の細胞培養用基材に自家皮膚細胞を
培養し、熱傷、擦過傷、潰瘍等による皮膚創傷の治療に
おいて、自家移植物として用いることができる。同様に
自家粘膜細胞を培養し、口腔内等の粘膜の損傷の治療に
用いることができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に示す
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0033】調製例1:シート状の難水溶性ヒアルロン
酸ゲルの作製 分子量2×106 ダルトンのヒアルロン酸を蒸留水に溶
解し、1%の溶液を調製した。この水溶液に1N硝酸を
添加しpH1.5に調整した後、この溶液を平底の容器
に入れ、−20℃に設定した冷凍庫で凍結した。5日後
に取り出し25℃で解凍し難水溶性ヒアルロン酸ゲルを
得た。次に、このゲルをpH7の25mMリン酸緩衝生
理食塩水100mlに24時間浸漬中和した後、蒸留水
で十分にろ過洗浄し、乾燥してシート状の難水溶性ヒア
ルロン酸ゲルを得た。
【0034】実施例1:難水溶性ヒアルロン酸ゲルの溶
解性試験 生理食塩水に50mM濃度でリン酸緩衝成分を加え、p
H7のリン酸緩衝生理食塩水を調製した。調製例1で作
製した難水溶性ヒアルロン酸ゲルを50mlのリン酸緩
衝生理食塩水に浸漬し緩やかに攪拌した。37℃でリン
酸緩衝生理食塩水中に溶出するヒアルロン酸の割合を、
リン酸緩衝生理食塩水中のヒアルロン酸濃度から求め
た。
【0035】ヒアルロン酸濃度の測定 リン酸緩衝生理食塩水中のヒアルロン酸濃度は、GPC
を使って、示差屈折率検出器のピーク面積から求めた。
【0036】その結果、調製例1で得られたヒアルロン
酸ゲルの溶解率は、12時間経過後では、2%であり、
24時間経過後では、4%であり、24時間経過しても
86%のヒアルロン酸ゲルが残存していた。よって、調
製例1で得られたヒアルロン酸ゲルは、中性水溶液に難
溶性であることが示唆される。
【0037】実施例2:難水溶性ヒアルロン酸ゲルの分
岐度測定 調製例1で得られた難水溶性ヒアルロン酸ゲルを、pH
1.5の塩酸水溶液15mlに浸漬し、60℃、6時間
の加水分解を行った。ゲルは加水分解により可溶化さ
れ、これをGPC溶媒で2倍に希釈して濃度を0.05
重量%に調製し、0.2μmのメンブレンフィルターで
濾過した後、0.1ml注入してGPC−MALLSの
測定を行った結果、分岐度0.5以上であった。
【0038】実施例3:生体吸収性試験 マウス(ICR♀8週令)の腹腔内に開腹手術により調
製例1の難水溶性ヒアルロン酸ゲルあるいは1ml1%
ヒアルロン酸溶液を入れた。術後2、4、8日後に開腹
し、残存するゲルを回収し、腹腔内に生理食塩水2ml
を注入し、よく撹拌し液を回収した。このゲルと液をア
ルカリ処理(0.1NNaOH、2h)した後、中和
し、ゲルろ過(ShodexOHpakKB806)に
よりヒアルロン酸濃度を測定し残存率を算出した。その
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1より、調製例1で得られたヒアルロン
酸ゲルは、4日後で41%残存していたのに対してヒア
ルロン酸溶液は0%であり、本発明のヒアルロン酸ゲル
は、生体内滞留時間が長いことが示唆される。即ち、ヒ
アルロン酸溶液と比較して、生体内での吸収速度が遅
く、生体吸収性の、細胞培養用基材として有用な性質を
有していることが示唆される。
【0041】実施例4:細胞培養試験 35mmの細胞培養用シャーレに、調製例1で作製した
シート状の難水溶性ヒアルロン酸ゲル(2×2cm)、
調製例1と同量のヒアルロン酸を凍結乾燥したシート
(2×2cm)、を入れて、2×104 個の正常ヒト新
生児包皮由来線維芽細胞を10%FCS−DMEM培地
中、37℃のCO2 インキュベータで培養し、シャーレ
単独の場合と比較した。3日後と5日後、トリプシン/
EDTAにより細胞を回収し、細胞を計数した。その結
果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】その結果、倒立型位相差顕微鏡で観察した
ところ、シャーレ単独ではシャーレ上に細胞が付着して
おり、難水溶性ヒアルロン酸ゲルの場合は、シートの上
及び内部に細胞が観察されたが、ヒアルロン酸を凍結乾
燥したものは、シートは溶解し原形を留めず細胞はシャ
ーレ上にあった。これらの細胞数は表2に示すように、
増殖性には大きな違いは認められず、シート状の難水溶
性ヒアルロン酸ゲルに皮膚細胞を培養したものは、人工
皮膚として好適である。
【0044】
【発明の効果】本発明により、ヒアルロン酸単独で形成
された難水溶性のヒアルロン酸ゲルを含有する細胞培養
用基材を提供することができる。かかる本発明の細胞培
養用基材は、架橋剤等を使用していないため、安全性及
び生体適合性に優れ、各種細胞を培養用基材の内部及び
又は表面で培養することにより、人工皮膚等の人工臓器
の構築材料として利用できる他、細胞培養による有用物
質の生産にも利用できる等の効果を奏する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性水溶液に難溶性であるヒアルロン酸
    単独で形成されたゲルを含有する細胞培養用基材。
  2. 【請求項2】 次の(a)、(b)の要件を満たすヒア
    ルロン酸単独で形成されたゲルを含有することを特徴と
    する細胞培養用基材。(a)中性の37℃の水溶液で1
    2時間での溶解率が50%以下である、(b)ヒアルロ
    ン酸の促進酸加水分解条件下でヒアルロン酸ゲルを処理
    することで可溶化されたヒアルロン酸が分岐構造を有
    し、該可溶化されたヒアルロン酸中に、分岐度が0.5
    以上の分子量フラクションを部分的に含む。
  3. 【請求項3】 ヒアルロン酸単独で形成されたゲルが、
    シート状、フィルム状、破砕状、スポンジ状、塊状、繊
    維状、又はチューブ状からなる群より選択した1種であ
    ることを特徴とする請求項2記載の細胞培養用基材。
  4. 【請求項4】 中性の37℃の水溶液で12時間での溶
    解率が50%以下であり、ヒアルロン酸の促進酸加水分
    解条件下でヒアルロン酸ゲルを処理することで可溶化さ
    れたヒアルロン酸中に、分岐度が0.5以上の分子量フ
    ラクションを部分的に含むヒアルロン酸ゲルと、ゲル化
    されていないヒアルロン酸を含む細胞培養用基材。
  5. 【請求項5】 シート状、フィルム状、破砕状、スポン
    ジ状、塊状、繊維状、又はチューブ状であるヒアルロン
    酸単独で形成されたヒアルロン酸ゲルと、ゲル化されて
    いないヒアルロン酸を含む細胞培養用基材。
  6. 【請求項6】 細胞培養用基材が人工皮膚用である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の細胞培養用基材。
JP11043286A 1999-02-22 1999-02-22 細胞培養用基材 Withdrawn JP2000239304A (ja)

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