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JP2000234157A - 金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法 - Google Patents

金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法

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Publication number
JP2000234157A
JP2000234157A JP11032633A JP3263399A JP2000234157A JP 2000234157 A JP2000234157 A JP 2000234157A JP 11032633 A JP11032633 A JP 11032633A JP 3263399 A JP3263399 A JP 3263399A JP 2000234157 A JP2000234157 A JP 2000234157A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
preform
metal
temperature
composite material
based composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11032633A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Kimura
康一 木村
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Koji Iwata
耕治 岩田
Kazumi Kaneda
和巳 金田
Tsutomu Kobayashi
強 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichias Corp
Original Assignee
Nichias Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichias Corp filed Critical Nichias Corp
Priority to JP11032633A priority Critical patent/JP2000234157A/ja
Publication of JP2000234157A publication Critical patent/JP2000234157A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い温度で焼成しても十分に機械的強度が高
く、且つ添加材の性能を損なうことのない金属基複合材
用プリフォーム及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 セラミック材料からなる強化材の少なく
とも一部がガラスバインダによって結合された3次元骨
格構造を有する金属基複合材用プリフォームであって、
更に添加材として、前記金属基複合材料用プリフォーム
中に、炭素材料又は前記セラミック材料以外の鉄、銅、
チタン、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン、タングス
テン、鉛、ビスマス、バナジウム、コバルト、錫、硼
素、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選択
される1種又は2種以上の金属の酸化物粉末を含有する
金属基複合材料用プリフォーム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温焼成であって
も機械的強度に優れ、添加材の性能を損なうことのない
金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鋼やアルミニウム合金等の素材金属に炭
素繊維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、炭化ケイ素
等のセラミックウイスカ耐熱性繊維又はウイスカ、アル
ミナ及びムライト等のセラミック粒子を埋設して補強す
ると、その素材金属が通常有する機械的強度や耐摩耗性
等の物性をはるかに上回る高物性を有する材料となる。
このような無機繊維、ウイスカ及びセラミック粒子等で
補強された金属基複合材(Metal Matrix Comosite:以下
「MMC」とも言う)は、予め、無機繊維、ウイスカ及
びセラミック粒子等で構成される所定の形状を有する多
孔質構造の成形体(以下、プリフォームという。)をス
クイズキャストあるいはダイカスト鋳造機等の金型に配
置し、前記プリフォーム内にマトリックス金属の溶湯を
流し込み含浸させる方法により得られる。
【0003】MMCは、機械的強度や耐摩耗性が高いと
ともに、軽量であるため、自動車、航空機等の軽量で高
物性の素材を求める分野で注目され、ピストンの耐摩環
やレシプロエンジンのシリンダブロック等のように耐熱
性及び耐摩耗性が要求される部分に好ましく用いられて
いる。また、上述したシリンダブロックのような部品に
利用される場合、高い耐摩耗性と共に滑り性(低摩擦
性)も要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、MMCの低摩擦
性を向上させる手段としては、プリフォームに炭素繊
維、炭素粒子、窒化ホウ素等の滑り性のよい物質を配合
させる技術が知られている。しかし、従来のプリフォー
ムは無機繊維等をアルミナゾル、コロイダルシリカ等の
無機バインダで結合させるため、焼成温度が1200℃
程度にもなる。このため、添加材として配合した炭素繊
維等が焼成の際の高温のために昇華してしまうという問
題があった。例えば、炭素繊維を昇華させないようにす
るためには、焼成温度を700℃程度以下とすることが
必要となる。しかし、このような温度ではコロイダルシ
リカ等が十分にバインダとして機能しないため、プリフ
ォームの機械的強度が低くなるという問題があった。
【0005】また、プリフォームは、金属溶湯との濡れ
性を良くし、溶湯の浸透性を向上させるために、強化材
に、添加材として更にW、Mo、Pb、Bi、V、Cu
等の金属の酸化物微細片が配合されることがある(特開
平1−279714号公報)。しかし、このようなプリ
フォームは金属酸化物の共融合金化などにより耐熱性が
低下するという恐れがある。さらに、プリフォームは、
セラミック繊維等の代わりにあるいはセラミック繊維等
と共にガラス繊維が用いられることも多い。ガラス繊維
はセラミック繊維等と異なり軟化するため、繊維同士の
交絡点が多数結合し易く、プリフォームの機械的強度を
向上させることが可能になる。しかし、ガラス繊維は軟
化点が低く、例えば、一般的に用いられるEガラスであ
れば850℃程度であるため、コロイダルシリカ等を溶
融させる焼成温度で焼成すると、軟化し過ぎあるいは溶
融して元のガラス繊維の形状を保つことができない。こ
のため、プリフォームの機械的強度が向上しなかった
り、溶融したガラスによってプリフォームの空隙率が低
下して金属溶湯の含浸の際の抵抗を高めてしまうという
問題があった。
【0006】従って、本発明の目的は、低い温度で焼成
しても機械的強度が十分に高く、且つ炭素繊維や金属酸
化物粉末のような添加材の性能を損なうことのない金属
基複合材用プリフォーム及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、セラミック繊維等のセ
ラミック材料からなる強化材及び必要に応じて添加され
る炭素材料又は金属酸化物の添加材を、無機バインダと
して軟化点の低いガラスバインダを用いて特定の温度範
囲で焼成すれば、炭素材料等の添加材が分解又は酸化あ
るいは変質することなく、また、金属の酸化物は共融合
金化することもないため金属溶湯とのなじみ性などその
性能を損なうことのない金属基複合材用プリフォームが
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、セラミック材料から
なる強化材の少なくとも一部がガラスバインダによって
結合された3次元骨格構造を有する金属基複合材用プリ
フォームであって、更に添加材として、前記金属基複合
材料用プリフォーム中に、炭素材料又は前記セラミック
材料以外の鉄、銅、チタン、亜鉛、ニッケル、クロム、
マンガン、タングステン、鉛、ビスマス、バナジウム、
コバルト、錫、硼素、マグネシウム及びアルミニウムか
らなる群より選択される1種又は2種以上の金属の酸化
物粉末を含有することを特徴とする金属基複合材料用プ
リフォームを提供するものである。
【0009】また、本発明は、セラミック材料からなる
強化材、添加材及びガラスバインダを含有する混合物を
スラリーとし、該スラリーを脱水成形し、乾燥し、該強
化材及び該添加材が有する耐熱温度よりも低く、且つ前
記ガラスバインダの軟化点より高い温度で焼成して、3
次元骨格構造を得ることを特徴とする金属基複合材料用
プリフォームの製造方法を提供するものである。
【0010】本発明の金属基複合材料用プリフォーム及
びその製造方法によれば、プリフォームの焼成温度が低
いにもかかわらず、ガラスバインダが強化材を強固に結
合すると共に、低摩擦性向上のために配合した炭素材料
等、金属溶湯とのなじみをよくするために配合した金属
酸化物粉末及び機械的強度向上のために配合したガラス
繊維等の各種添加材の性能を損なわずにプリフォームを
焼成することができる。従って、本発明のプリフォーム
から製造されるMMCは、機械的強度や耐摩耗性に優
れ、且つ低摩擦性に優れるため、自動車エンジンのシリ
ンダブロックのような耐熱性や耐摩耗性、さらに低摩擦
性が要求されるものに好適に使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の金属基複合材用プリフォ
ームは、その基本骨格はセラミック材料からなる強化材
の少なくとも一部がガラスバインダで結合された3次元
骨格構造である。セラミック材料としては、セラミック
繊維及びセラミック粒子が挙げられる。また、強化材と
して、更にガラス繊維を使用することが好ましい。
【0012】セラミック繊維としては、例えば、アルミ
ナ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、石綿、ロ
ックウール等の天然又は合成の無機繊維;炭化ケイ素ウ
ィスカ、窒化ケイ素ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、チ
タン酸カリウィスカ等のウィスカ繊維等が挙げられる。
セラミック繊維の平均繊維径は、1〜5μm、好ましく
は2〜4μmである。平均繊維径が1μm未満であると
ガラスバインダに混ざり易くなりバインド効果を低下さ
せ、5μmを越えると強化材同士の交絡点の形成を阻害
し、3次元骨格が得られ難くなるため好ましくない。セ
ラミック繊維の平均繊維長はミルドファイバーの状態
で、50〜200μm、好ましくは70〜150μmで
ある。平均繊維長が50μm未満であるとガラスバイン
ダに混ざり易くなりバインド効果を低下させ、200μ
mを越えると強化材同士の交絡点の形成を阻害し、3次
元骨格が得られ難くなるため好ましくない。
【0013】セラミック粒子としては、例えば、Al、
Si、Ti、Zr、Mg、B、Fe等の金属酸化物、炭
化物、窒化物等が挙げられ、このうち、アルミナ粉末、
ムライト粉末、コージェライト粉末、シリカアルミナ粉
末、シリカ粉末が好ましい。セラミック粒子の粒子径
は、1〜80μmである。
【0014】ガラス繊維としては、例えば、Eガラス、
Cガラス、Tガラス及びARガラス等が挙げられる。ガ
ラス繊維は温度の上昇に伴い軟化し、繊維の交絡点にお
いて相互にあるいはガラスバインダやセラミック繊維等
と結合し易くなる。このため、焼成条件等の設定により
適宜軟化点の異なるガラス繊維を用いることが好まし
い。ガラス繊維の平均繊維径は、3〜20μm、好まし
くは5〜15μmである。平均繊維径が3μm未満であ
るとプリフォームの気孔径が小さくなりマトリックス合
金の浸透が悪くなり、圧縮変形率が大きくなるため好ま
しくない。また、平均繊維径が20μmを越えると、ス
ラリーの均一性を確保できなかったり、繊維の交絡点が
少なくなりプリフォームの強度が低くなるため好ましく
ない。
【0015】また、ガラス繊維には連続繊維と短繊維が
あり、平均繊維長50〜300μm、好ましくは70〜
200μmのミルド処理品のものを用いることができ
る。平均繊維長が50μm未満であるとプリフォームが
高密度化してマトリックス合金の浸透性が悪くなり、圧
縮変形率が大きくなるため好ましくない。また、平均繊
維長が300μmを越えるとスラリーの均一性を確保で
きないため好ましくない。強化材は、上記のうち1種又
は2種以上を組み合わせて用いるのがよい。
【0016】本発明において、前記3次元骨格構造から
なる金属基複合材料用プリフォームには、更に、添加材
として、炭素材料、又は前記セラミック材料以外の鉄、
銅、チタン、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン、タン
グステン、鉛、ビスマス、バナジウム、コバルト、錫、
硼素、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選
択される1種又は2種以上の金属の酸化物粉末(以下、
単に「金属の酸化物粉末」とも言う。)が配合される。
すなわち、本発明においては、金属基複合材料用プリフ
ォームに添加材として、炭素材料を単独で含んでも、ま
た、金属の酸化物粉末を単独で含んでも、更に両者を共
に含んでいてもよい。
【0017】すなわち、添加材として配合される炭素材
料又は金属の酸化物粉末は、強化材又はガラスバインダ
の表面又は該3次元骨格構造の空隙中に存在する。強化
材又はガラスバインダの表面に存在する場合は、炭素材
料又は金属酸化物粉末がこれらの表面に絡まったり、ガ
ラスバインダで溶着されて存在する。また、3次元骨格
構造の空隙中に存在する場合は、炭素材料又は金属の酸
化物粉末が3次元骨格構造体に絡まったり、少なくとも
一部がガラスバインダで3次元骨格構造体に溶着されて
存在する。金属基複合材料用プリフォーム中に炭素材料
を配合することにより、プリフォームの低摩擦性が向上
する。また、金属の酸化物粉末を配合することにより、
プリフォームを金属溶湯となじみ易くすることができ
る。
【0018】炭素材料としては、炭素繊維や炭素粒子を
単独あるいは併用して用いることができる。炭素繊維の
平均繊維径は3〜20μm、好ましくは7〜15μmで
あり、炭素繊維の平均繊維長は20〜200μm、好ま
しくは30〜150μmである。炭素粒子を用いる場合
は、平均粒径が4〜50μm 、好ましくは20〜40μ
m のものを用いることができる。また、金属の酸化物粉
末の平均粒子径は0.5〜100μm、好ましくは1〜
30μmである。炭素材料の配合量は、強化材100重
量部に対して、3〜30重量部であり、金属の酸化物粉
末の配合量は、強化材100重量部に対して、3〜50
重量部である。また、金属の酸化物粉末は、粉末状物、
微細片状物及び粒子状物等の形状を含むものである。以
上のような構成を有するプリフォームは、密度が0.3
〜1.5g/cm3 であり、空隙率が10〜50%である。
ここで空隙率とは、プリフォーム全体積中において空隙
の占める割合を表す。
【0019】ガラスバインダは、繊維状又は粒子状の前
記強化材の少なくとも一部を結合して3次元骨格構造の
プリフォームを形成するものであり、その軟化点は当該
金属基複合材用プリフォーム中に含まれる強化材及び添
加材などの材料の耐熱温度より低い温度のものである。
ここで、耐熱温度とは、金属基複合材用プリフォーム中
に含まれる材料の融点、共融点、昇華温度又は軟化点の
いずれかのうち、最も低い温度である。融点、共融点、
昇華温度又は軟化点のいずれを採るかは材料により異な
る。例えば、融点及び他の金属と共融混合物をつくって
共融点を共に示す金属の酸化物などの材料は低い温度を
有する共融点で定め、炭素材料などは昇華温度で定めれ
ばよい。また、共融点が明確に定まらない場合は、耐熱
温度を融点、昇華温度又は軟化点のいずれかのうち、最
も低い温度で定めてもよい。昇華とは、材料の高温分
解、灰化又は焼失を言う。具体的には、耐熱温度は10
00℃以下、好ましくは800℃以下であり、ガラスバ
インダの軟化点は300〜900℃、好ましくは350
〜600℃である。ガラスバインダの軟化点を上記範囲
とすることにより、強化材や添加材の軟化や溶融、又は
変質を防止して当該材料を強固に結合して3次元骨格構
造を形成することができる。ガラスバインダとしては、
ガラスフリットが挙げられる。ガラスフリットとして
は、例えば、リン酸塩フリット、ホウケイ酸塩フリッ
ト、鉛カリフリット、ホウケイ酸鉛フリット、チタンフ
リット、ジルコンフリット等が挙げられ、特にリン酸塩
フリットが軟化点400℃程度と低いため好ましい。ガ
ラスバインダは、これらの1種又は2種以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0020】ガラスバインダの配合量は、強化材100
重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜50
重量部である。ガラスバインダの配合量が1重量部未満
であると、強化材同士の結合点が少なくなるため、プリ
フォームの強度が低くなる。また、ガラスバインダの配
合量が50重量部を越えると、プリフォームの焼成時に
軟化したガラスバインダが強化材で構成される3次元骨
格構造の隙間を埋めて溶湯の浸透抵抗が大きくなるた
め、溶湯含浸時にプリフォームに割れ、潰れ、変形が発
生して好ましくない。本発明では、ガラスバインダの配
合量を上記範囲内で調節することにより、プリフォーム
の強度及び空隙率を任意に調節することができる。本発
明の金属基複合材料用プリフォームには、更に添加材と
して、プリフォームの低摩擦性を向上させるために、窒
化ホウ素及び窒化ケイ素を配合してもよい。
【0021】本発明の金属基複合材用プリフォームは、
次の製造方法により得ることができる。まず、強化材、
添加材及びガラスバインダを配合した出発原料に、成形
助剤として水を加えて混合し、均一な可塑性混合物(ス
ラリー)とする。この際、必要により成形助材として有
機バインダを加えてもよい。有機バインダとしては、例
えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、メ
チルセルロース等が挙げられる。有機バインダを配合す
ると、強化材、添加材及びガラスバインダからなるスラ
リー中においてガラスバインダが均一に分散してプリフ
ォームが均一に焼成されたり、スラリーを脱水成形する
際の成形性が向上するため好ましい。有機バインダは、
これら1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、添加材としては、前述と同様の炭素材料又は金属
の酸化物粉末が挙げられる。また、金属の酸化物粉末は
これに限定されず、焼成により当該金属の酸化物となる
ような原料であればよく、例えば前述の金属又は当該金
属の塩化物などが挙げられる。
【0022】このようにして得られたスラリーは、金型
に流し込まれ、棒状、円筒状、リング状、円盤状等製品
の用途に応じた所定の形状に脱水成形される。かかる脱
水成形法としては、特に制限されず、製品の形状に応じ
て選択すればよく、押出し成形法、射出成形法、プレス
成形法等が挙げられる。得られた成形体は常温又は加熱
下に乾燥して水分を除去し、有機バインダが配合されて
いる場合にはこれを硬化させ、プリフォームの原型とな
る成形体を得る。次いで、この成形体を焼成してプリフ
ォームを得る。
【0023】焼成温度は、成形体中の強化材及び添加材
が有する耐熱温度よりも低い温度で、且つガラスバイン
ダの軟化点よりも高い温度である。耐熱温度とは、前述
と同様の金属基複合材用プリフォーム中に含まれる材料
の融点、共融点、昇華温度もしくは軟化点又は融点、昇
華温度もしくは軟化点のいずれかのうち、最も低い温度
(以下、「最低耐熱温度」とも言う。)である。すなわ
ち、ガラスバインダの軟化点<焼成温度<最低耐熱温度
の関係があり、かかる焼成温度はガラスバインダの軟化
点より50〜300℃、好ましくは100〜200℃高
い温度とすればよい。50℃未満であると、ガラスバイ
ンダが完全に溶融せず、十分なプリフォーム強度を得る
ことができない。また、300℃を越えると、焼成収縮
が大きくなると共に、繊維間空隙をガラスバインダが埋
めてしまう。また、焼成温度は最低耐熱温度より50〜
200℃低いことが好ましい。50℃未満であると、強
化材及び添加材の酸化や溶融などの変質が起こりやす
い。また、200℃を越えると、ガラスバインダの軟化
点を低くせざるを得ず、ガラスバインダの選定が限定さ
れるなど配合設計上の問題が生じる。また、共融点が不
明確で定まらない材料の場合、焼成温度は融点よりも1
00〜200℃低い温度とすることが好ましい。焼成温
度は上記の如く定められるが、ガラスバインダは使用さ
れる強化材及び添加材の耐熱温度により選定すればよ
い。焼成温度を上記範囲とすることにより、得られる焼
成物は強化材及び添加材が変質することなく、ガラスバ
インダで強固に結合された3次元骨格構造を有する。ま
た、金属の酸化物粉末の焼成に伴う共融合金化の恐れも
少なく耐熱性を低下させることがない。
【0024】以上のようにして得られた金属基複合材用
プリフォームは、スクイズキャスト、ダイキャスト等の
鋳造機の金型内に配置され、該プリフォーム内にアルミ
ニウム合金等のマトリックス金属の溶湯を流し込みこれ
を加圧・浸透させる方法によりMMCが得られる。な
お、ダイキャストによる鋳造条件は、特に制限されない
が、プリフォーム予熱温度が150〜450℃、溶湯温
度が600〜800℃、金型温度が150〜300℃、
鋳造圧力が250〜1500kg/cm2とすることが好まし
い。このような方法により製造されたMMCは、添加材
として炭素繊維や炭素粒子が配合される場合は低摩擦性
に優れたものとなり、また、添加材として金属の酸化物
粉末が配合される場合は鋳造時にマトリックス金属の溶
湯とのなじみがよくなるため、加圧を低圧で行え、さら
に機械的強度に優れたものとなる。MMCの用途として
は、例えば、ピストンの耐摩環やレシプロエンジンのシ
リンダブロック等に代表される自動車産業あるいは航空
産業の部品等に使用される。
【0025】
【発明の効果】本発明のプリフォームは、ガラスバイン
ダを用いて特定温度範囲で示される低い温度で焼成する
ため、強化材及び添加材などの構成材料を変質させるこ
とがなく、これらの特長を損なうことがない。すなわ
ち、本発明のプリフォームは軽量で耐熱性、機械的強度
及び耐摩耗性に優れ、さらに焼成時の耐熱性に劣るガラ
ス繊維等の強化材を用いても十分な機械的強度を有す
る。また、添加材として炭素材料が配合される場合は低
摩擦性に優れたものとなり、また、金属の酸化物粉末が
配合される場合はマトリックス金属の溶湯とのなじみが
よくなるため鋳造性が優れ、さらに機械的強度に優れた
ものとなる。また、焼成温度を低くできるため、省エネ
ルギーによる製造コストの低減が図れ、安価なプリフォ
ームを提供することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるもの
ではない。 実施例1 平均繊維径3μm、平均繊維長100μmのアルミナシ
リカ短繊維100重量部と、平均繊維径7μm、平均繊
維長30μm、昇華温度750℃の炭素繊維20重量部
と、軟化点約400℃のリン酸塩ガラスフリット10重
量部と、水とを配合してスラリーを形成した。これらの
組成を表1に示す。なお、表1中の配合量は重量部であ
る。次いで、各スラリーを金型に流し込み、吸引脱水成
形した後105℃で乾燥させ、プリフォームの原型とな
る直径100mm、厚さ20mmの円盤形状の成形体を
得た。次いで、この成形体を600℃、1時間の条件で
焼成し、濃灰色の金属基複合材用プリフォームを得た。
また、得られたプリフォームの曲げ強度、焼成重量減少
率及び焼成収縮率を測定した。ここで、曲げ強度は3点
曲げ強度の値である。また、焼成重量減少率は、焼成前
の成形体の重量から焼成後のプリフォームの重量を減じ
た値を、焼成前の成形体の重量で除した値である。ま
た、焼成収縮率は、焼成前の成形体の径から焼成後のプ
リフォームの径を減じた値を、焼成前の成形体の径で除
した値である。結果を表1に示す。
【0027】実施例2 スラリーを形成する際、更に代表的金属の酸化物とし
て、CuOを10重量部配合した以外は、実施例1と同
様に行った。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】比較例1、2 ガラスフリットに代えて、コロイダルシリカ(比較例
1)又はアルミナゾル(比較例2)を用いた以外は実施
例1と同様にして、濃灰色の金属基複合材用プリフォー
ムを得た。得られたプリフォームは実施例1と同様に曲
げ強度、焼成重量減少率及び焼成収縮率を測定した。原
料の配合比、焼成条件及び測定結果を表1に示す。比較
例1、2は焼成温度が600℃と低いため、コロイダル
シリカ及びアルミナゾルが、無機バインダとして十分な
強度の結合を形成しておらず、曲げ強度が低くなる。
【0030】比較例3 炭素繊維の昇華温度より高い温度1200℃で焼成した
以外は、比較例1と同様にして白色の金属基複合材用プ
リフォームを得た。得られたプリフォームは実施例1と
同様に曲げ強度、焼成重量減少率及び焼成収縮率を測定
した。原料の配合比、焼成条件及び測定結果を表1に示
す。比較例3は、焼成温度が高いため、コロイダルシリ
カが十分に結合して曲げ強度が比較的高くなる。しか
し、色調が白色になり、焼成重量が大幅に減少している
ことから、配合された炭素繊維が分解、灰化あるいは焼
失していることがわかる。なお、炭素繊維が分解してい
ることは、プリフォームをSEM(走査型電子顕微鏡)
観察、及びEDS(Energy Dispersive X-ray Spectros
copy)観察することによっても確認した。また、焼成温
度が高いため、アルミナシリカ繊維がムライト化して焼
成収縮率が大きくなってしまうことが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 耕治 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 金田 和巳 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 小林 強 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 4K020 AA04 AA05 AA22 AA24 AA27 AC01 BA05 BB05 BB26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック材料からなる強化材の少なく
    とも一部がガラスバインダによって結合された3次元骨
    格構造を有する金属基複合材用プリフォームであって、
    更に添加材として、前記金属基複合材料用プリフォーム
    中に、炭素材料又は前記セラミック材料以外の鉄、銅、
    チタン、亜鉛、ニッケル、クロム、マンガン、タングス
    テン、鉛、ビスマス、バナジウム、コバルト、錫、硼
    素、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選択
    される1種又は2種以上の金属の酸化物粉末を含有する
    ことを特徴とする金属基複合材料用プリフォーム。
  2. 【請求項2】 前記ガラスバインダは、その軟化点が当
    該金属基複合材用プリフォーム中に含まれる材料の耐熱
    温度より低い温度のものであることを特徴とする請求項
    1記載の金属基複合材料用プリフォーム。
  3. 【請求項3】 前記耐熱温度は、前記金属基複合材用プ
    リフォーム中に含まれる材料の融点、共融点、昇華温度
    又は軟化点のいずれかのうち、最も低い温度であること
    を特徴とする請求項2記載の金属基複合材料用プリフォ
    ーム。
  4. 【請求項4】 前記耐熱温度が、1000℃以下である
    ことを特徴とする請求項3記載の金属基複合材料用プリ
    フォーム。
  5. 【請求項5】 セラミック材料からなる強化材、添加材
    及びガラスバインダを含有する混合物をスラリーとし、
    該スラリーを脱水成形し、乾燥し、該強化材及び該添加
    材が有する耐熱温度よりも低く、且つ前記ガラスバイン
    ダの軟化点より高い温度で焼成して、3次元骨格構造を
    得ることを特徴とする金属基複合材料用プリフォームの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記耐熱温度は、前記金属基複合材用プ
    リフォーム中に含まれる材料の融点、共融点、昇華温度
    又は軟化点のうち、最も低い温度であることを特徴とす
    る請求項5記載の金属基複合材料用プリフォームの製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008086930A1 (de) * 2007-01-19 2008-07-24 Robert Bosch Gmbh Keramischer vorkörper zur herstellung von metall-keramik verbundwerkstoffen
CN101649400B (zh) * 2009-07-20 2011-04-20 温州宏丰电工合金股份有限公司 电子封装用金刚石增强金属基复合材料及其制备方法

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