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JP2000169238A - 電子部品製造用材料、その成形体、それを用いた高密度フェライト電子部品及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子部品製造用材料、その成形体、それを用いた高密度フェライト電子部品及びそれらの製造方法

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JP2000169238A
JP2000169238A JP11270769A JP27076999A JP2000169238A JP 2000169238 A JP2000169238 A JP 2000169238A JP 11270769 A JP11270769 A JP 11270769A JP 27076999 A JP27076999 A JP 27076999A JP 2000169238 A JP2000169238 A JP 2000169238A
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ferrite
granules
fatty acid
ester
higher fatty
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Hiroshi Harada
浩 原田
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型からの離型性がよく、スプリングバック
によるヒビなどの成形不良がない成形体を与え、かつ均
質で優れた電磁特性を示す高密度フェライト電子部品を
与えるフェライト顆粒被覆体、それを用い、低い成形圧
による加圧成形により金型の寿命を損なうことなく、上
記性状を有するフェライト電子部品を与えるフェライト
顆粒被覆体の成形体、及びそれを用いて優れた電磁特性
を示す高密度フェライト電子部品を提供する。 【解決手段】 表面の少なくとも一部が高級脂肪酸のヘ
キシタンエステルにより被覆されたフェライト顆粒被覆
体又はその成形体、その成形体を焼結してなる高密度フ
ェライト電子部品とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト顆粒被
覆体からなる新規な電子部品製造用材料、このフェライ
ト顆粒被覆体を用いた高密度フェライト電子部品製造用
成形体、これから得られる高密度フェライト電子部品及
びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライトは、一般的に、耐熱性、耐化
学薬品性、機械的性質などに優れ、かつ電気絶縁性が大
きいなどの性質を有することから、例えば電気絶縁部
品、電子製品部品などの各種電子部品の製造用材料とし
て広く用いられている。
【0003】このようなフェライト電子部品を製造する
方法としては、従来、様々な方法が採用されているが、
中でも乾式加圧成形法が一般的に広く行われている。例
えば、フェライト粉末とバインダーと水とから水性スラ
リーを調製し、これをスプレードライヤーで噴霧乾燥し
て作製した顆粒、又はフェライト粉末とバインダー溶液
とを撹拌混合し、乾燥とオシレーティング押出し造粒を
繰り返して作製した顆粒を加圧成形したのち焼結するこ
とにより、フェライト電子部品を製造している。
【0004】このような加圧成形法においては、フェラ
イト顆粒として、流動性が良好で、金型への充填性及び
低圧でのつぶれの良いものを使用することが、得られる
フェライト電子部品の品質及び生産性の面から重要であ
る。流動性が良く、低圧でのつぶれの良い顆粒を作製す
る技術としては、例えば分散剤を用いてスラリーを調製
し、顆粒を作製する方法(特開平5−159918号公
報、特公平7−17460号公報)、バインダーの偏析
を低減させて顆粒を作製する方法(特公平3−3166
0号公報、特開平10−59776号公報)などが提案
されている。
【0005】しかしながら、これらの技術は、スプレー
ドライヤーを用いた噴霧乾燥造粒法による顆粒の作製に
適用される技術であって、オシレーティング押出し造粒
法による顆粒の作製には効果を発揮することができな
い。その上、この技術では、顆粒の流動性及び低圧での
つぶれ性は改善されるものの、得られる電子部品製造用
成形体の密度バラツキ、金型からの離型性、スプリング
バックによる成形体内部のヒビ、金型の長寿命化につい
ては、満足しうる効果が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような事情のもと
で、本発明の第1の目的は、金型からの離型性がよく、
スプリングバックによるヒビなどの成形不良がない成形
体を与え、かつ均質で優れた電磁特性を示す高密度フェ
ライト電子部品を与えるフェライト顆粒被覆体を提供す
ることにある。また、本発明の第2の目的は、上記のフ
ェライト顆粒被覆体を用い、低い成形圧による加圧成形
により、金型の寿命を損なうことなく、上記性状を有す
るフェライト電子部品を与えるフェライト顆粒被覆体の
成形体を提供することにある。本発明の第3の目的は、
上記のフェライト顆粒被覆体及びその成形体を用いて優
れた電磁特性を示す高密度フェライト電子部品を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、優れた電磁
特性をもつ、高密度フェライト電子部品を得るために鋭
意研究を重ねた結果、特定の高級脂肪酸エステルで、少
なくとも表面の一部が被覆されたフェライト顆粒被覆体
を型成形し、その成形体を焼結することにより、その目
的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発
明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、表面の少なくとも一
部が高級脂肪酸のヘキシタンエステルにより被覆された
フェライト顆粒被覆体又はその成形体、その成形体を焼
結してなる高密度フェライト電子部品を提供するもので
ある。前記の、表面の少なくとも一部が高級脂肪酸のヘ
キシタンエステルにより被覆されたフェライト顆粒被覆
体は、例えばフェライト粉末を造粒したのち、得られた
顆粒に高級脂肪酸のヘキシタンエステルを添加し、両者
をよく接触させて、フェライト顆粒の表面の少なくとも
一部を高級脂肪酸のヘキシタンエステルで被覆すること
により調製することができる。また、このフェライト顆
粒被覆体の成形体は、フェライト顆粒被覆体を型成形す
ることにより、さらに高密度フェライト電子部品は、こ
のフェライト顆粒被覆体の成形体を焼結することによ
り、それぞれ製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、高密度フェライ
ト電子部品製造用材料の主材として用いるフェライト顆
粒は、公知の方法、例えばスプレードライヤーによる噴
霧造粒法やオシレーティング押出し造粒法などで、フェ
ライト粉末を造粒することにより得られる。この際用い
るフェライトの種類及び粒径については特に制限はな
く、得られるフェライト電子部品の使用目的や用途に応
じて適宜選択することができる。このフェライト粉末の
粒径は、通常0.5〜5μm、好ましくは0.7〜3μ
mの範囲で選ばれる。本発明においては、このフェライ
ト粉末は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0010】このフェライト顆粒の造粒に際しては、通
常バインダーが用いられる。このバインダーとしては、
従来フェライト顆粒の造粒において使用されている公知
のものの中から、任意のものを適宜選択して用いること
ができる。このバインダーの例としては、ポリビニルア
ルコールやポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリアクリ
ル酸、メチルセルロース、アクリルアミド類の単独重合
体や共重合体などが挙げられる。これらのバインダー
は、フェライト粉末100重量部に対し、通常0.2〜
10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好まし
くは0.7〜5重量部の範囲で用いられる。
【0011】また、このフェライト顆粒を造粒する際に
は、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、
各種の公知の添加成分、例えばポリカルボン酸塩、縮合
ナフタレンスルホン酸塩などの分散剤、グリセリン、グ
リコール類、トリオール類などの可塑剤、ワックス、ス
テアリン酸やその塩などの滑剤、さらにはポリエーテル
系、ウレタン変性ポリエーテル系、ポリアクリル酸系、
変性アクリル酸系などの有機系高分子凝集剤、硫酸アル
ミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの
無機系凝集剤などを添加することができる。このように
して得られるフェライト顆粒の粒径は、従来電子部品の
製造に際し、一般に用いられているフェライト顆粒の場
合と同じ範囲内でよく、特に変える必要はない。この粒
径範囲は通常平均粒径で50〜500μm、好ましくは
70〜300μmの範囲である。
【0012】次に、本発明の高密度フェライト電子部品
製造用材料は、このようにして得たフェライト顆粒に高
級脂肪酸のヘキシタンエステルを添加し、両者をよく接
触させて、フェライト顆粒の表面の少なくとも一部、す
なわち一部又は全部を高級脂肪酸のヘキシタンエステル
で被覆することにより製造される。
【0013】このフェライト顆粒の表面の少なくとも一
部を被覆するために用いられる高級脂肪酸のヘキシタン
エステルにおけるヘキシタンとは、ヘキシトールすなわ
ちヘキソースの糖アルコールから1分子脱水して得られ
る分子内エーテルであり、その高級脂肪酸のエステルと
は、ヘキシタン中の4個の水酸基の一部又は全部が高級
脂肪酸エステルを形成したものである。このヘキシタン
の例としては、ソルビタン、マンニタン、ズルシタンな
どを挙げることができるが、これらの中でソルビタン及
びマンニタンが好ましく、特にソルビタンが好ましい。
【0014】また、高級脂肪酸としては炭素数12〜1
8の脂肪酸が好ましく、これは飽和、不飽和のいずれで
あってもよいし、直鎖状、分枝状のいずれであってもよ
い。このような高級脂肪酸の例としては、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸などが挙げられるが、これらの中でパルミチン酸、ス
テアリン酸及びオレイン酸が好適である。本発明におい
ては、この高級脂肪酸のヘキシタンエステルは部分エス
テル及び完全エステルのいずれであってもよい。また、
これらのエステルは単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0015】本発明の高密度フェライト電子部品製造用
材料においては、フェライト顆粒の表面を被覆している
高級脂肪酸のヘキシタンエステルの量が、フェライト顆
粒の重量に基づき0.1〜3.0重量%であり、高級脂
肪酸のヘキシタンエステルが、炭素数12〜18の高級
脂肪酸のソルビタン又はマンニタンエステル、特に高級
脂肪酸のヘキシタンエステルが、オレイン酸、ステアリ
ン酸又はパルミチン酸のソルビタンエステルであるもの
が好ましい。
【0016】この高級脂肪酸のヘキシタンエステルの量
がフェライト顆粒の重量に基づき0.1重量%未満で
は、以下に示す本発明の効果が十分に発揮されないし、
また3.0重量%を越えるとその量を増加しても効果の
向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。効果及
び経済性などを考慮すると、この高級脂肪酸のヘキシタ
ンエステルの好ましい使用量は0.2〜2.0重量%の
範囲であり、特に0.3〜1.5重量%の範囲が好適で
ある。
【0017】次に、フェライト顆粒と高級脂肪酸のヘキ
シタンエステルとの接触は、フェライト顆粒を造粒させ
たのちに行うことが必要である。フェライト顆粒の造粒
前にフェライト粉末中に高級脂肪酸のヘキシタンエステ
ルを加え混合する方法によると、型成形の際の本発明の
効果が十分に発揮されない。この接触方法としては、例
えば高級脂肪酸のヘキシタンエステルを、アルコールや
トルエンなどの適当な溶剤に溶かした溶液を、フェライ
ト顆粒に添加してドラムミキサーなどで混合する方法、
あるいは転動流動層などのコーティング装置で顆粒を転
動させながら、上記高級脂肪酸のヘキシタンエステル溶
液を霧化添加する方法、上記高級脂肪酸のヘキシタンエ
ステルを固体状のまま添加し機械的に混合する方法など
がある。
【0018】本発明のフェライト顆粒の製造方法の好適
な態様を説明すると、フェライト粉末を、例えば、スプ
レードライヤー法、噴霧造粒法又はオシレーティング押
出造粒法により造粒して、平均粒径100〜300μm
の顆粒を作製し、次いでこれにオレイン酸、ステアリン
酸又はパルミチン酸のソルビタンエステルを所定の割合
で加え、十分に接触させることによって、フェライト顆
粒表面の少なくとも一部をこれによって被覆させる。こ
の際の被覆はフェライト顆粒の表面全体が均質に覆われ
るように行うのが好ましいが、その一部例えば30%以
上が覆われていれば十分である。この際、上記の高級脂
肪酸のヘキシタンエステルは、その一部がフェライト顆
粒の表層部に浸透することがあるが、本発明においては
そのようになっていても特に支障はない。
【0019】このようにして、フェライト顆粒に、高級
脂肪酸のヘキシタンエステルを上記の範囲で含有させる
ことにより、型成形により高級脂肪酸のヘキシタンエス
テルの界面活性剤としての作用によって、滑り性、流動
性、圧力伝達性が向上し、金型への充填が良好となり、
その結果、バラツキが少なく、低い圧力で成形体を与え
る、フェライト顆粒被覆体からなる高密度フェライト電
子部品製造用材料を得ることができる。
【0020】次に、このようにして得た表面の少なくと
も一部が高級脂肪酸のヘキシタンエステルで被覆された
フェライト顆粒被覆体を成形して高密度フェライト電子
部品製造用成形体を製造するには、上記フェライト顆粒
被覆体を、通常の型成形法により所望の形状に成形する
が、特にフェライト顆粒被覆体を金型を用いて乾式プレ
ス成形を行うのが有利である。この際、プレス圧力は、
通常0.5〜5ton/cm2、好ましくは1〜4to
n/cm2の範囲で選ばれる。この際使用されるフェラ
イト顆粒被覆体には、離型性が付与されているため、金
型からの成形体取出時の抜き圧が低下し、金型の摩耗や
損傷は減少する。さらに、これらの効果により、金型か
らの成形体取出時のスプリングバック(成形体膨張)が
減少し、ヒビなどの成形不良の発生が防止される。
【0021】このようにして得た、高密度フェライト電
子部品製造用成形体を続いて焼結すれば、高密度フェラ
イト電子部品を得ることができる。この際の焼結温度
は、フェライトの種類により異なるが、一般的には80
0〜1400℃の範囲であり、好ましくは1000〜1
300℃の範囲である。その他の焼結条件及び焼結方法
は、従来のフェライト電子部品を製造する場合と全く同
じであり、特に変更する必要はない。
【0022】本発明のフェライト電子部品製造用成形体
は、均質で高密度であり、例えばNi−Cu−Zn系フ
ェライトの場合には、その密度は3.0〜4.0g/c
3程度である。また、これから得られる電子部品は成
形体の離型性がよいため、金型からの電子部品成形体の
取出時の抜き圧が低い上、排出時のスプリングバックが
減少し、ヒビなどの成形不良の発生が少ないので、電磁
特性が優れたものになる。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
【0024】実施例1 Ni−Cu−Zn系フェライト粉末(平均粒径1μm)
66重量部、水34重量部、ポリビニルアルコール(バ
インダー)1.0重量部及びポリカルボン酸アンモニウ
ム塩(分散剤)0.25重量部を、湿式粉砕混合機で混
合して、フェライトスラリーを調製した。このスラリー
をスプレードライヤーで噴霧造粒し、平均粒径125μ
mの球形顆粒を得た。次いで、ソルビタンセスキオレイ
ン酸エステルの50重量%エチルアルコール溶液を、上
記顆粒に対して1.0重量%の割合で添加し、ドラムミ
キサーで回転混合し、凝集粉のないフェライト顆粒被覆
体を調製した。
【0025】次に、このようにして得たフェライト顆粒
被覆体を、所定の金型に充填し、成形圧力3ton/c
2で乾式プレス成形することにより、均質で高密度の
ヒビのない円柱コア製造用成形体(直径1.3mm、長
さ1.5mm)が得られた。この際の金型からの抜き圧
は、従来のフェライト顆粒を用いた場合よりも低く、ま
たスプリングバックも減少していた。この円柱コア製造
用成形体の製造では金型の損傷は認められず、また摩耗
も少ないため120万ショットの連続成形を行うことが
できた。また、別に前記のフェライト顆粒被覆体1.2
gを直径6mmの金型に充填し、成形圧力を0.5〜4
ton/cm2の間で変化させ、乾式プレス成形するこ
とにより、直径6mm、長さ12〜14mmの円柱コア
製造用成形体を作製し、このサンプルについて、成形圧
力と成形体密度との関係を図1(a)に、成形体密度と
金型からの抜き圧との関係を図2(a)に、成形体密度
と膨張率との関係(スプリングバックの変化)を図3
(a)にそれぞれ実線グラフとして示した。別に前記の
フェライト顆粒被覆体2.0gから成形圧力を変化させ
て直径6mm、長さ20〜22mmの円柱コア製造用成
形体を成形し、長さ方向で5等分し、プレス印加の方向
から順にA、B、C、D、Eに区分して、各区分におけ
る成形体密度を成形圧力を変化させて測定した。その結
果得られた成形圧力0.5、1.0及び2.0ton/
cm2における密度のバラツキを実線I、II及びII
Iとして図4(a)に示す。
【0026】実施例2〜4 表1に示す種類のソルビタン脂肪酸エステルと添加量を
変えた以外は、実施例1と同様にしてフェライト顆粒被
覆体を調製し、それを実施例1と同様に直径6mmの金
型を用いて型成形して円柱コア製造用成形体を製造し
た。これらの成形圧力と成形体密度との関係、成形体密
度と金型からの抜き圧との関係、成形体密度と膨張率と
の関係を示すグラフは、実施例1の場合とほとんど同じ
であった。
【0027】比較例1 実施例1と同様にして、平均粒径125μmの球形フェ
ライト顆粒を製造した。この顆粒にソルビタンセスキオ
レイン酸エステルの被覆処理を施すことなく、実施例1
と同様の直径6mmの金型を用いて型成形し、円柱コア
製造用成形体を製造した。このようにして得たソルビタ
ンセスキオレイン酸エステル無添加の顆粒からの成形体
は、滑り性、圧力伝達性が悪い上、低圧での成形体密度
が低いものとなった。また、このものは金型からの抜き
圧が実施例1よりもかなり高く、高圧での成形では、成
形体取出時に金型鳴きが発生し、成形体に断層ヒビが発
生した。実施例1と同様にして調べた成形圧力と成形体
密度との関係を図1(a)に、成形体密度と金型からの
抜き圧との関係を図2(a)に、成形体密度と膨張率と
の関係(スプリングバックの変化)を図3(a)にそれ
ぞれ破線グラフとして示す。また、実施例1と同様にし
て、円柱状成形体(直径6mm、長さ20〜22mm)
の長さ方向における各区分の成形体密度を測定した。そ
の結果得られた成形圧力0.5、1.0及び2.0to
n/cm2における密度のバラツキを実線I、II及び
IIIとして図4(b)に示す。
【0028】比較例2 実施例1におけるソルビタンセスキオレイン酸エステル
の50重量%エタノール溶液の代わりに、ステアリン酸
亜鉛微粉末を、顆粒に対し0.1重量%の割合で添加し
た以外は、実施例1と同様にしてフェライト顆粒被覆体
を調製し、これを実施例1と同じ直径6mmの金型を用
いて型成形した。ステアリン酸亜鉛の添加により、離型
性が付与され、金型からの抜き圧は低下したが、低圧で
の成形体密度が低く、密度バラツキも大きい成形体が得
られた。また、円柱状成形体(直径1.3mm、長さ
1.5mm)の連続成形では、金型の損傷は無いもの
の、摩耗が多く、80万ショットで寸法及び外観の規格
を外れる成形体を生じた。実施例1と同様にして調べた
成形圧力と成形体密度との関係、成形体密度と膨張率と
の関係(スプリングバックの変化)は比較例1の場合と
ほとんど同じであった。一方、成形体密度と金型からの
抜き圧との関係を図2(a)に点線グラフで示す。ま
た、実施例1と同様にして、円柱状成形体(直径6m
m、長さ20〜22mm)の長さ方向における各区分の
成形体密度を測定した。その結果得られた成形圧力0.
5、1.0及び2.0ton/cm2における密度のバ
ラツキを実線I、II及びIIIとして図4(c)に示
す。
【0029】実施例5 Ni−Cu−Zn系フェライト粉末(平均粒径1μm)
100重量部に、固形分濃度6重量%のポリビニルアル
コール水溶液17重量部を添加し、撹拌造粒機TMミキ
サー(三井鉱山社製)で混合撹拌造粒を行い、造粒粉を
調製した。この造粒粉をベルト式乾燥機で乾燥処理し、
オシレーティング造粒解砕機(日本精機社製)で押出し
造粒を行い、シフターで整粒し、平均粒径250μmの
オシレーティング押出し造粒顆粒を得た。次いで、実施
例1と同様に、ソルビタンセスキオレイン酸エステルの
50重量%エタノール溶液を、上記顆粒に対し1.0重
量%の割合で添加し、ドラムミキサーで回転混合し、凝
集粉のないフェライト顆粒被覆体を調製した。
【0030】次に、このフェライト顆粒被覆体1.2g
を用い、実施例1と同様に、成形圧力を0.5〜4to
n/cm2に変化させて乾式加圧成形することにより、
均質で高密度でヒビのない円柱状成形体(直径6mm、
長さ12〜14mm)を得た。この際、金型からの抜き
圧が低下し、スプリングバックも実施例1〜4のスプレ
ードライヤー造粒顆粒被覆体使用時よりもさらに減少し
た。
【0031】この例における成形圧力と成形体密度との
関係を図1(b)に、成形体密度と金型からの抜き圧と
の関係を図2(b)に、成形体密度と膨張率との関係
(スプリングバックの変化)を図3(b)に、それぞれ
実線のグラフで示す。
【0032】比較例3 実施例5と同様にして、平均粒径250μmの顆粒を調
製した。この顆粒にソルビタンセスキオレイン酸エステ
ルの50重量%エタノール溶液を添加せずに、そのまま
型成形したこと以外は実施例5と同様にして成形体を製
造した。このようにして、ソルビタンセスキオレイン酸
エステル無添加の顆粒を用いた場合は、滑り性、圧力伝
達性が悪い上、低圧での成形体密度が低く、かつ密度バ
ラツキの大きい成形体となった。また、金型からの抜き
圧が高く、高圧での成形では、成形体取出時に金型鳴き
が発生し、得られた成形体に断層ヒビが認められた。成
形圧力と成形体密度との関係を図1(b)に、成形体密
度と金型からの抜き圧との関係を図2(b)に、成形体
密度と膨張率との関係(スプリングバックの変化)を図
3(b)に、それぞれ破線グラフで示す。
【0033】比較例4 実施例5におけるソルビタンセスキオレイン酸エステル
の50重量%エタノール溶液の代わりに、ステアリン酸
亜鉛微粉末を、顆粒に対し0.1重量%の割合で添加し
た以外は、実施例5と同様にしてフェライト顆粒被覆体
を調製し、次いでこれを型成形して成形体を製造した。
ステアリン酸亜鉛の添加により、離型性が付与され、金
型からの抜き圧は低下したが、低圧での成形体密度が低
く、密度バラツキも大きい成形体となった。成形圧力と
成形体密度との関係を示すグラフは、比較例3の場合と
ほとんど重なっていた。また成形体密度と金型からの抜
き圧との関係を図2(b)に、成形体密度と膨張率との
関係(スプリングバックの変化)を図3(b)にそれぞ
れ点線グラフで示す。以上実施例1〜5及び比較例1〜
4のフェライト顆粒について造粒方法、添加成分、添加
量をまとめて表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例6 前記実施例1〜5で得たフェライト顆粒被覆体を、それ
ぞれ1000kgf/cm2の圧力でプレス成形し、外
径21mm、内径12mm、厚さ7mmのリング状成形
体を得た。次いで、これらを1030℃、1050℃、
1070℃又は1090℃の温度において2時間焼結
し、リング状コアを製造した。次に、これらのリング状
コアの密度をアルキメデス法に準じた方法で測定した。
また、これらのリング状コアについて100kHzにお
ける初透磁率を、LCRメーター4274A(ヒューレ
ット・パッカード社製、商品名)により測定した。この
ようにして得た電子部品の焼結温度と密度との関係及び
焼結温度と初透磁率との関係をそれぞれ図5(a)、
(b)及び図6(a)、(b)に実線グラフA〜Eとし
て示す。図中Aは、実施例1、Bは実施例2、Cは実施
例3、Dは実施例4、Eは実施例5のフェライト顆粒成
形体を用いた結果である。なお、実施例2〜4の成形体
を用いた電子部品の焼結温度と初透磁率との関係を示す
グラフは実施例1のグラフAとほとんど重なっていた。
【0036】比較例5 前記比較例1〜4で得たフェライト顆粒を用い、実施例
6と同様にして成形、焼結することによりリング状コア
を製造した。このようにして得たリング状コアについ
て、実施例6と同様にして密度及び初透磁率を測定し、
このようにして得た電子部品の焼結温度と密度との関係
及び焼結温度と初透磁率との関係をそれぞれ図5
(a)、(b)及び図6(a)、(b)に破線グラフF
〜Iとして示す。比較例4の成形体を用いた電子部品の
焼結温度と初透磁率との関係を示すグラフは比較例3の
グラフHとほとんど重なっていた。
【0037】実施例7 前記実施例1〜5で得たフェライト顆粒被覆体をそれぞ
れ1000kgf/cm2の圧力でプレス成形し、長さ
55mm、幅12mm、高さ5mmの直方体状のブロッ
ク成形体を得た。このブロック成形体を1030℃、1
060℃又は1090℃の温度において2時間焼結し、
ブロックコアを製造した。このようにして得た電子部品
について、荷重試験機(アイコーエンジニアリング社
製)を用いて抗折強度をJIS R1601に従い測定
した。これらのものの焼結温度と抗折強度の関係を図7
(a)、(b)に実線グラフA〜Eとして示す。
【0038】比較例6 前記比較例1〜4で得たフェライト顆粒を用い、実施例
7と同様にして成形、焼結することによりブロックコア
を製造した。このようにして得たブロックコアについ
て、実施例7と同様にして抗折強度を測定した。これら
のものの焼結温度と抗折強度の関係を図7(a)、
(b)に破線グラフF〜Iとして示す。
【0039】比較例7 実施例5におけるソルビタンセスキオレイン酸エステル
の同量を最初からフェライト粉末に添加して造粒したこ
と以外は、実施例5と同様にしてフェライト顆粒被覆体
を調製した。実施例5で得たフェライト顆粒被覆体及び
上記のフェライト顆粒被覆体をそれぞれ用いて実施例6
及び7と同様にして成形体を製造し、1030℃におい
て2時間焼成した。このようにして得た電子部品につい
て実施例6及び7と同様にして密度及び抗折温度を測定
した結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】この表から分かるように、高級脂肪酸のヘ
キシタンエステルをフェライト粉末にあらかじめ添加し
て造粒した場合と造粒後添加した場合は明らかに後者の
方が優れた物性を示す。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、高級脂肪酸のヘキシタ
ンエステルを含有するフェライト顆粒被覆体を乾式加圧
成形に用いることにより、滑り性、流動性、圧力伝達性
が向上し、金型への充填が良好となり、バラツキが少な
く、低い圧力でも均質な、かつ電磁特性の優れた高密度
フェライト電子部品製造用材料が得られる。また、同時
に離型性が向上し、金型からの成形体取出時の抜き圧が
低下し、金型の摩耗や損傷が減少する。さらに、これら
の効果により、金型からの成形体取出時のスプリングバ
ック(成形体膨張)が減少し、ヒビ等の成形不良の無い
高密度フェライト電子部品製造用成形体を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1、5及び比較例1、3で得た成形体
の成形圧力と成形体密度との関係を示すグラフ。
【図2】 実施例1、5及び比較例1〜4で得た成形体
の成形体密度と金型からの抜き圧との関係を示すグラ
フ。
【図3】 実施例1、5及び比較例1、3、4で得た成
形体密度と膨張率との関係を示すグラフ。
【図4】 実施例1、比較例1及び比較例2で得た成形
体の密度バラツキを示すグラフ。
【図5】 実施例6及び比較例5で得た電子部品の焼結
温度と密度との関係を示すグラフ。
【図6】 実施例6及び比較例5で得た電子部品の焼結
温度と初透磁率との関係を示すグラフ。
【図7】 実施例7及び比較例6で得た電子部品の焼結
温度と抗折強度との関係を示すグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の少なくとも一部が高級脂肪酸のヘ
    キシタンエステルにより被覆されたフェライト顆粒被覆
    体からなる高密度フェライト電子部品製造用材料。
  2. 【請求項2】 高級脂肪酸のヘキシタンエステルの量が
    フェライト顆粒の重量に基づき0.1〜3.0重量%の
    範囲にある請求項1記載の高密度フェライト電子部品製
    造用材料。
  3. 【請求項3】 フェライト粉末を造粒したのち、得られ
    た顆粒に高級脂肪酸のヘキシタンエステルを添加し、両
    者をよく接触させて、フェライト顆粒の表面の少なくと
    も一部を高級脂肪酸のヘキシタンエステルで被覆するこ
    とを特徴とする高密度フェライト電子部品製造用材料の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 表面の少なくとも一部が高級脂肪酸のヘ
    キシタンエステルにより被覆されたフェライト顆粒被覆
    体の成形体からなる高密度フェライト電子部品製造用成
    形体。
  5. 【請求項5】 表面の少なくとも一部が高級脂肪酸のヘ
    キシタンエステルで被覆されたフェライト顆粒被覆体の
    成形体を焼結してなる高密度フェライト電子部品。
  6. 【請求項6】 フェライト粉末を造粒したのち、得られ
    た顆粒に高級脂肪酸のヘキシタンエステルを添加し、両
    者をよく接触させて、フェライト顆粒の表面の少なくと
    も一部を高級脂肪酸のヘキシタンエステルで被覆し、次
    いでこのようにして得たフェライト顆粒被覆体を所定の
    形状に型成形したのち、焼結することを特徴とする高密
    度フェライト電子部品の製造方法。
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