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JP2000154151A - 免疫抑制剤 - Google Patents

免疫抑制剤

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Publication number
JP2000154151A
JP2000154151A JP11258650A JP25865099A JP2000154151A JP 2000154151 A JP2000154151 A JP 2000154151A JP 11258650 A JP11258650 A JP 11258650A JP 25865099 A JP25865099 A JP 25865099A JP 2000154151 A JP2000154151 A JP 2000154151A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
formula
immunosuppressant
liver
extract
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11258650A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyo Jo
強 徐
Ikuo Saiki
育夫 済木
Tei Chin
▲てい▼ 陳
Katsuko Komatsu
かつ子 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
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Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP11258650A priority Critical patent/JP2000154151A/ja
Publication of JP2000154151A publication Critical patent/JP2000154151A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自己免疫疾患、それに類似する疾患に起因す
る組織の損傷や感染に伴って起こる炎症反応、組織の線
維化および臓器機能障害、臓器移植の拒否反応、骨髄移
植による移植片対宿主病、アレルギー疾患に対して、そ
の原因となる活性化T細胞を選択的に抑制する、副作用
の少ない、有効な免疫抑制剤の提供。 【解決手段】 活性化T細胞を選択的に抑制する作用物
質を有効成分とする免疫抑制剤であり、特に、活性化T
細胞の選択的アポトーシスを作用機序とする、免疫抑制
剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免疫抑制剤に係り、
詳細には、活性化したT細胞を選択的に抑制する作用物
質を有効成分とする免疫抑制剤に係り、活性化したT細
胞に起因する免疫異常、例えば、移植に対する拒絶反
応、骨髄(造血幹細胞)移植による移植片対宿主病、自
己免疫疾患、自己免疫疾患や類縁疾患に起因する組織の
損傷や感染に伴って起こる炎症反応、線維化さらに臓器
機能障害、アレルギー疾患等の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生体における免疫系は、本来、外来から
の異物である微生物を認識して排除するための生体防御
機構として進化してきたものである。そのために、生体
は自己の細胞や組織(すなわち、自己抗原)と、異物で
ある微生物(非自己抗原)を区別して認識し、自己抗原
に対しては免疫応答をしないか、あるいは反応したとし
ても免疫機能を発揮できない状態(免疫寛容)を保持し
つつ、外来性の非自己抗原を速やかに、かつ効率的に排
除するべく獲得免疫を発達させてきた。
【0003】その免疫系において、中心的な役割を担っ
ているのがT細胞(Tリンパ球)である。末梢にでたば
かりのナイーブCD4T細胞は、細胞表面上のT細胞レ
セプターを通じて、抗原提示細胞から抗原の提示を受け
ると同時に、活性化関連分子群からのある種のシグナル
により活性化され、T細胞増殖因子であるIL−2を分
泌して増殖する(Thp:ヘルパーT細胞)。このTh
pがTh0に分化し、その後Th1またはTh2に分か
れ、さまざまなサイトカインの産生、さらなる細胞増
殖、細胞傷害活性などが誘導される。
【0004】これら一連の免疫応答に異常が起きると、
リンパ球とくにT細胞が自己抗原に対して強く反応(自
己抗原に対して免疫応答)し、その結果、自己の組織傷
害を引き起こすことがあり、これを自己免疫疾患とい
う。これらの免疫異常反応における引き金のひとつとし
て、ウイルスや細菌に対する本来の免疫応答が、何らか
の機構で、自己抗原に対する免疫応答に変わってしまう
可能性が指摘されている。この自己免疫疾患により引き
起こされた組織の損傷や感染は、種々の炎症反応、さら
に組織の線維化、臓器の機能障害等をもたらす。
【0005】一方、正常な免疫応答であっても、臓器移
植に伴う拒絶反応や、骨髄(造血幹細胞)移植に伴う移
植片対宿主病を抑制することが治療上待望されている。
これらで誘導される免疫応答は、基本的に同一であり、
活性化されたT細胞が主体をなしている。
【0006】さらに近年、アレルギー疾患における活性
化T細胞の役割も注目されている。すなわち、活性化T
h2細胞が主に産生するIL−4,IL−5等のサイト
カインは、肥満細胞や好酸球を活性化して即時型アレル
ギーを惹起し、また、活性化Th1細胞が主に産生する
IFN−γ等は、遅延型アレルギーを惹起することが明
らかとなってきた。
【0007】したがって、自己免疫疾患や移植免疫、そ
れらに伴う慢性活動性の免疫学的な炎症反応、さらにア
レルギー疾患に対する治療のために、活性化T細胞の選
択的な抑制を確保し得る薬剤の登場が期待されている。
【0008】このような状況下、T細胞活性化機構にお
けるメディエーターの制御による治療手段が検討されて
きており、シクロスポリンやFK506等によるT細胞
に対する強力な免疫抑制効果、抗サイトカイン療法、抗
接着分子(活性化関連分子)療法、モノクローナル抗体
療法等が注目されている。
【0009】しかしながら、これらの療法も、従来から
のグルココルチコイドによる療法と同様に、活性化T細
胞選択的とは言い難く、副作用等の問題が解決されてい
るものではない。
【0010】ところで、自己免疫疾患は全身性に加え
て、ほとんどの臓器においても認めらる疾患である。ま
た今後、臓器移植手術や造血幹細胞移植手術がますます
発展するのに伴い、拒絶反応の問題や、移植片対宿主病
の問題も増大してくる。さらには、アレルギー性疾患は
文明病ともいわれ、一度罹患するとなかなか完治しにく
く、現在でも罹患患者数がきわめて多いのが現状であ
る。
【0011】このように、活性化T細胞が中心的な役割
を担っている疾患は多岐にわたるものであり、これら疾
患に対する有効な治療薬の開発が期待されてはいるもの
の、いまだ活性化されたT細胞に起因する疾患の治療手
段として、活性化T細胞の働きを選択的に抑制するよう
な薬剤は登場していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
上記した現状に鑑み、自己免疫疾患、自己免疫疾患や類
縁疾患に起因する組織の損傷や感染に伴って起こる炎症
反応さらに組織の線維化および臓器機能障害、臓器移植
の拒絶反応、骨髄(造血幹細胞)移植による移植片対宿
主病、さらにアレルギー疾患に対して、その原因となる
活性化T細胞を選択的に抑制する、副作用の少ない、臨
床的に適応し得る、有効な免疫抑制剤を提供することを
基本的課題とする。
【0013】かかる課題を解決するべく、本発明者は鋭
意検討をした結果、活性化T細胞の選択的アポトーシス
を機序として、活性化したT細胞を選択的に抑制する作
用物質を新規に見出した。さらに、この選択的抑制剤が
かかる機序により、活性化T細胞起因性の疾患を有効に
予防、または治療し得ることを新規に見出して、本発明
を完成させるに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、その
一態様として、活性化したT細胞を選択的に抑制する作
用物質を有効成分とする免疫抑制剤を提供する。
【0015】本発明において、活性化したT細胞とは、
各種サイトカインを産生、分泌して増殖し、引き続き一
連の反応を惹起するT細胞をいう。
【0016】本発明は、かかる活性化したT細胞に対し
て、選択的なアポトーシスを誘導させ、T細胞自体の働
きを抑制することにより、その活性化したT細胞に起因
する免疫異常に基づく種々の疾患を予防、または治療す
ることに特徴がある。
【0017】したがって、本発明の活性化したT細胞を
選択的に抑制する作用物質を有効成分として含有する免
疫抑制剤は、より具体的な態様として、移植に対する拒
絶反応;骨髄(造血幹細胞)移植による移植片対宿主
病;自己免疫疾患;自己免疫疾患や類縁疾患に起因する
組織の損傷や感染に伴って起こる炎症反応、組織の線維
化および臓器機能障害;さらにアレルギー疾患に対する
治療剤として使用される免疫抑制剤である。
【0018】上記のなかで、本発明が提供する免疫抑制
剤により有効に予防、または治療し得る自己免疫疾患と
しては、自己免疫性肝炎、慢性関節リウマチ、インスリ
ン依存性糖尿病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、強皮
症、重症筋無力症、多発性筋炎・皮膚筋炎、橋本病、自
己免疫性血球減少症、シェーグレン症候群、血管炎症候
群、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患である。
【0019】また、アレルギー疾患としては、気管支喘
息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、あ
るいは花粉症等のアレルギー疾患である。
【0020】本発明の免疫抑制剤は、これらの自己免疫
疾患あるいはアレルギー疾患に対しても、活性化T細胞
を選択的に抑制することにより、副作用が少なく、臨床
的に極めて有効に予防、または治療し得ることが判明し
た。
【0021】これらの活性化されたT細胞を選択的に抑
制する作用物質は、例えば、後記する遅延型過敏反応誘
発マウスの活性化T細胞に対するアポトーシスを測定す
る方法で選択することができる。本発明者らの検討によ
れば、そのような遅延型過敏反応誘発マウスの活性化T
細胞に対するアポトーシスを誘導する作用物質として、
特に、次式(I):
【0022】
【化3】
【0023】(式中、Rは、水素原子または、1または
2個の水酸基により置換されたフェニル基を表し、Rh
aは、α−L−ラムノース残基を表し、点線は、二重結
合の存在または不存在を表す。)で示されるフラボノイ
ド類またはクロモン類が好ましいものであることを確認
した。
【0024】したがって、本発明のより具体的な免疫抑
制剤としては、活性化T細胞を選択的に抑制する作用物
質として、上記式(I)で示されるフラボノイド類また
はクロモン類を有効成分として含有する免疫抑制剤であ
る。
【0025】これらの中でも、特に、前記式(I)中、
Rが水素原子であるクロモン類、または4−ヒドロキシ
フェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、または
3,5−ジヒドロキシフェニル基であるフラボノイド類
が好ましく、より具体的には、次式(I−a)で示され
るスミチルビン(smitilbin)、(I−b)で
示されるアスチルビン(astilbin)、(I−
c)で示されるエンゲルチン(engeletin)ま
たは(I−d)で示されるエウクリフィン(eucry
phin)であり、最も好ましい化合物は式(I−d)
のエウクリフィンである。
【0026】
【化4】
【0027】本発明が提供する免疫抑制剤における有効
成分としての上記フラボノイド類またはクロモン類のう
ち、いくつかの化合物は公知の化合物でもある。しかし
ながらこれらの化合物については、その抗炎症効果が検
討されていたのみであり、このものに免疫異常を改善す
る作用があることは何ら知られていなかったものであ
る。
【0028】そのなかでも、式(I−a)で示されるス
ミチルビンは本発明者により見出された全く新規な化合
物であり、したがって、本発明はまた別の態様として、
上記式(I−a)で示されるスミチルビン自体をも提供
するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明が提供する免疫抑制
剤の詳細を、例えば、遅延型過敏反応誘発マウスの活性
化T細胞に対するアポトーシスを誘導する、具体的フラ
ボノイド類またはクロモン類である式(I)の化合物を
例にとって説明していく。
【0030】本発明が提供する免疫抑制剤における有効
成分としての上記式(I)で示されるフラボノイド類ま
たはクロモン類は、例えば、ユリ科の植物である土茯苓
(Smilax glabra Roxb.)に含まれ
る化合物である。なお、土茯苓の根茎(Rhizoma
smilacis Glabrae)は、中国民間に
おいて慢性の皮膚疾患、梅毒性皮膚疾患、水銀中毒によ
る皮膚炎などの治療剤として、薬用に供されているもの
である。
【0031】この土茯苓を、適当な抽出溶媒により抽出
し、精製することにより、式(I)で示されるフラボノ
イド類またはクロモン類、より具体的には式(I−a)
であるスミチルビン、式(I−b)であるアスチルビ
ン、式(I−c)であるエンゲルチン、ならびに式(I
−d)であるエウクリフィンを、それぞれ単品、かつ純
品として単離することができる。
【0032】なお、本発明の免疫抑制剤にあっては、こ
れらフラボノイド類またはクロモン類は、その純品のみ
を有効成分として含有するものに限られるものではな
い。それらフラボノイド類またはクロモン類を含有する
植物抽出物、例えば土茯苓の抽出物を有効成分として含
有するものであってもよいことはいうまでもない。その
ような、土茯苓の抽出物としては、抽出液を濃縮し、さ
らに凍結乾燥することにより得た、粉末状物質、あるい
は、抽出液を適宜濃縮して得た抽出エキス等であっても
よい。
【0033】この場合のフラボノイド類またはクロモン
類の具体的抽出手段としては、例えば、それを含有する
植物、好ましくはその乾燥粉砕物を、抽出溶媒と共に常
温ないし加熱還流下に浸潤して行うことができる。この
場合に使用し得る抽出溶媒としては、中間極性を有する
有機溶媒、低級アルコールまたは水を挙げることがで
き、より具体的には、酢酸エチルエステル、クロロホル
ム、石油エーテル、メタノール、エタノール、水等であ
る。なお、これらの抽出溶媒は複数の溶媒を混合して使
用してもよい。
【0034】また、抽出に際しての植物体またはその乾
燥粉砕物と抽出溶媒の比率は、一概に限定し得ないが、
2〜5回程度の複数回の抽出操作を行い、かつ、植物体
またはその乾燥粉砕物に対する重量比で、全量ほぼ5〜
10倍量程度の溶媒を使用した抽出操作を行うのが好ま
しい。
【0035】かくして抽出を行った後、抽出溶媒を適当
な量まで濃縮した後、さらに各種の溶液を用いた分配抽
出、クロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理、膜分離
処理等の通常の精製方法に付すことにより、高純度で、
かつ単品として単離された本発明のフラボノイド類また
はクロモン類を得ることができる。
【0036】なお、本発明の免疫抑制剤に含有される有
効成分であるこれらのフラボノイド類またはクロモン類
は、上記により植物体等から単離精製されたもののみな
らず、化学的合成手段により合成されたものであっても
よく、さらには、上記の抽出精製手段の各段階で得られ
た抽出エキスの状態のものであってもよい。
【0037】本発明の目的である、以上のようにして単
離精製された本発明の式(I)で示されるフラボノイド
類またはクロモン類が有する、活性化したT細胞に対す
る選択的な免疫抑制作用は、遅延型過敏反応誘発マウス
の活性化T細胞に対するアポトーシスの誘導により確認
された。
【0038】すなわち、具体的には、免疫学的に肝障害
を惹起させた遅延型過敏反応誘発マウスから単離した肝
障害性の肝非実質細胞を、これらのフラボノイド類また
はクロモン類の存在下に培養処理したところ、肝非実質
細胞の非付着細胞画分についての細胞死が多く、特に、
そのDNAのアガロースゲル電気泳動においては、断片
化パターン(ラダーパターン)が認められ、その細胞死
はアポトーシスによるものであることが判明した。
【0039】この遅延型過敏反応を惹起した肝非実質細
胞に対する、式(I)のフラボノイド類またはクロモン
類によるアポトーシスを誘導した細胞死は、肝非実質細
胞の付着細胞画分にはみられず、非付着細胞画分(主に
CD4+とCD8+T細胞から構成されている)に認めら
れた。その一方でこのような細胞死は、肝実質細胞では
観察されず、さらに免疫障害を伴わない正常な肝非実質
細胞、ならびに脾臓細胞においても観察されなかった。
これらの各点から判断すれば、本発明が提供する式
(I)のフラボノイド類またはクロモン類は、遅延型過
敏反応により活性化されたT細胞である免疫細胞(特に
肝非実質細胞の非付着細胞)を選択的に抑制しているも
のであり、有効な免疫抑制作用を有していることが理解
される。
【0040】さらに、本発明の式(I)で示されるフラ
ボノイド類またはクロモン類が、活性化したT細胞を選
択的に抑制することにより、活性化T細胞起因性の組織
障害に対する改善作用を有することは、遅延型過敏反応
により免疫的に肝障害を惹起させたマウスに、式(I)
のフラボノイド類またはクロモン類を投与したところ、
肝実質細胞の組織障害によるALT(アラニンアミノト
ランスフェラーゼ)遊離が抑制されることからも確認さ
れた。
【0041】以上のように、本発明が提供する免疫抑制
剤、例えば、式(I)で示されるフラボノイド類または
クロモン類を有効成分として含有する免疫抑制剤は、活
性化したT細胞に対し選択的にアポトーシスを誘導さ
せ、その結果、活性化したT細胞を選択的に抑制させる
ものである。
【0042】したがって、本発明の免疫抑制剤は、活性
化したT細胞に起因する免疫異常、例えば、移植に伴う
拒絶反応、骨髄(造血幹細胞)移植による移植片対宿主
病、自己免疫疾患、自己免疫疾患や類縁疾患に起因する
組織の損傷や感染に伴って起こる炎症反応、組織の線維
化さらに臓器機能障害、アレルギー疾患等の治療に特に
有効なものであることが理解される。
【0043】本発明が提供する、例えば、式(I)で示
されるフラボノイド類またはクロモン類、またはそれら
を含む植物抽出物による、活性化T細胞を選択的に抑制
する作用物質を有効成分とする免疫抑制剤としての剤形
は、特に限定されない。
【0044】例えば、式(I)で示されるフラボノイド
類またはクロモン類またはそれらの抽出物を用いて、製
剤学的に慣用される賦形剤と共にカプセル剤、錠剤、注
射剤等の適当な剤形として経口的または非経口的に投与
することができる。具体的には、例えば式(I)のフラ
ボノイド類またはクロモン類、あるいは粉末状の抽出物
を使用して、乳糖、澱粉またはその誘導体、セルロース
誘導体等の賦形剤と混合したのち、ゼラチンカプセルに
充填することによりカプセル剤を調製することができ
る。
【0045】また錠剤は、上記の賦形剤の他に、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、アラビ
アゴム等の結合剤と水を加えて練合し、必要により顆粒
として造粒したのち、さらにタルク、ステアリン酸等の
滑沢剤を添加し、通常の圧縮打錠機を用いて錠剤に調製
することができる。
【0046】さらに、注射による非経口的投与に際して
は、式(I)のフラボノイド類またはクロモン類を、溶
解補助剤と共に滅菌蒸留水または滅菌生理食塩水に溶解
し、アンプルに封入して注射用製剤とする。この場合、
必要により安定化剤、緩衝物質等を含有させてもよい。
これらの非経口投与製剤は、静脈内投与、あるいは点滴
静注により投与することができる。
【0047】本発明が提供する免疫抑制剤における有効
成分である、例えば式(I)で示されるフラボノイド類
またはクロモン類または抽出物の投与量は、種々の要
因、例えば治療すべき病態、患者の症状、重症度、年
齢、合併症等の有無により一概には限定できない。ま
た、投与経路、剤形、投与回数によっても異なるが、一
般的に経口投与の場合には、有効成分として、通常0.
1〜1000mg/日/ヒト、好ましくは1〜500m
g/日/ヒトの範囲内、また、非経口投与の場合には、
経口投与の場合における投与量の約1/100〜1/2
程度の範囲内で適宜選択し、投与することができる。な
お、これらの投与量は、患者の年齢、症状等により適宜
増減し得ることはいうまでもない。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例として、免疫学的に肝
障害を引き起こした遅延型過敏反応誘発マウスを用い、
本発明における治療剤が、活性化T細胞に対して選択的
にアポトーシスを誘導する点を明らかにすることによ
り、本発明の活性化T細胞を選択的に抑制する作用物質
を有効成分として含有する免疫抑制剤を、さらに詳細に
説明する。なお、本発明の範囲は、これらの実施例の記
載により、何ら限定されるものではないことはいうまで
もない。
【0049】実施例1:土茯苓抽出物の調製 土茯苓の乾燥粉砕物を用い、10重量倍量の蒸留水を用
い、100℃にて1時間の抽出を2回行った。この抽出
液をあわせて遠心分離(1700g)し、得られた上清
を凍結乾燥することにより、粉末組成物として土茯苓抽
出物を11%の収率で得た。この土茯苓抽出物中には、
液体クロマトグラフ法で定量した結果、アスチルビンが
0.273%含有されているものであった。
【0050】実施例2:土茯苓抽出物ならびに各種フラ
ボノイド類およびクロモン類の調製 a.抽出および単離操作:乾燥細切した土茯苓6kgを
用い、30Lのメタノールに浸漬し、2時間還流下に加
熱した。次いで、濾過して抽出液を採取し、残渣は再度
18Lのメタノールに浸漬し、同様に処理した。その
後、濾過して抽出液を採取した後、残渣を再び18Lの
メタノールに浸漬し、同様に処理した。上記3回の処理
により得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮して、5
68gのメタノール抽出物を得た。
【0051】このメタノール抽出物を1Lの水中に懸濁
させ、1Lの石油エーテルにて3回抽出し、続いて1L
の酢酸エチルエステルで3回抽出した。これらの各抽出
液を濃縮して、石油エーテル抽出物として23g、およ
び酢酸エチルエステル抽出物として80gを得た。
【0052】酢酸エチルエステル抽出物の70gを、さ
らにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル:1000g)に供し、クロロホルム−メタノール混
合液(19:1および4:1、各2L)で溶出させて、
画分Aとして32.5g、画分Bとして28gをそれぞ
れ得た。
【0053】画分Aの25gを、さらにシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(シリカゲル:500g)に供
し、クロロホルム−メタノール混合液(9:1および
4:1、各1L)で溶出させて分離し、画分A−1とし
て2.5g、画分A−2として7.5gをそれぞれ得
た。
【0054】画分A−2の2.0gをさらに液体クロマ
トグラフィー(カラム:Cosmosil75C18−O
PN)に供し、メタノール−水混合液(2:3および
3:2、各200mL)で溶出させて分離し、式(I−
d)で示されるエウクリフィンを72mg得た。
【0055】一方、画分Bの28gをさらに液体クロマ
トグラフィー(カラム:Cosmosil75C18−O
PN)に供し、メタノール−水混合液(3:7、1:1
および7:3の混液)で溶出させて分離し、式(I−
b)で示されるアスチルビンを8.2gと、画分B−2
として11.5gを得た。
【0056】上記の画分B−2について、さらにシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:350
g)に供し、クロロホルム−メタノール混合液(9:
1、500mL)で溶出させて分離した後、薄層クロマ
トグラフィーで分離し、式(I−a)で示されるスミチ
ルビンを2.6g、式(I−c)で示されるエンゲルチ
ンを42mg得た。
【0057】これらの操作により得られたフラボノイド
類またはクロモン類の収量、および各化合物のメタノー
ル抽出物568gに対する収率をまとめると、以下の表
1のようになる。
【0058】
【表1】
【0059】b.構造確認(物性データ) 上記の単離操作により得られた各化合物のうち、公知化
合物であるアスチルビン、エンゲルチンおよびエウクリ
フィンについては、質量分析および核磁気共鳴分析を行
い、その構造を確認した。新規化合物である式(I−
a)のスミチルビンの構造決定は、以下の物性評価によ
り行った。
【0060】無色針状結晶(クロロホルム−メタノール
(9:1)混合液で結晶化時) 融点:179〜181℃ 比旋光度:[α]D −161.4°(メタノール、C
=0.2) UV(メタノール):λmax(Logε)=217nm
(4.394)、291nm(4.279) IR:νmax=3500(OH)、1620(C=
O),1360,1160,1040,970,82
0,780cm-1 HR−FAB−MS: m/z=451.1234(計算
値:C212311;451.1240)
【0061】1H−NMR(DMSO−d6):0.79(3H,
d,J=6.0Hz, H-6''), 2.37(1H, m,H-5''), 3.04(1H,
t, J=9.5Hz, H-4''), 3.20(1H, dd, J=9.5 & 2.9Hz, H-
3''),3.47(1H, brs, H-2''), 4.15(1H, d, J=2.0Hz, H-
3), 4.74(1H, s, H-1''), 5.43(1H, d, J=2.0Hz, H-2),
5.90(1H, brs, H-6), 5.92(1H, brs, H-8), 6.70(2H,b
rs, H-4',6'), 6.81(1H, brs, H-2'), 11.63(1H, s, OH
-5)
【0062】13C−NMR(DMSO−d6):80.85(C
-2), 74.38(C-3), 193.64(C-4), 164.75(C-5), 101.19
(C-6), 167.77(C-7), 96.20(C-8), 163.30(C-9), 97.30
(C-10),127.38(C-1'), 115.00(C-2'), 145.86(C-3'), 1
16.18(C-4'), 145.62(C-5'), 118.87(C-6'), 99.55(C-
1''), 71.01(C-2''), 71.01(C-3''), 72.11(C-4''), 6
9.84(C-5''), 18.11(C-6'')
【0063】また、式(I−a)の化合物を酸による加
水分解を行い、その結果得られた生成物のRf値は、ラ
ムノース一水和物と一致した。
【0064】以下の各実施例での試験においては、上記
実施例1で得た土茯苓抽出物、あるいは実施例2で得た
化合物を使用した。
【0065】実施例3:マウス肝障害モデルの検討 試験1:遅延型過敏反応誘発マウスの作製およびその評
価 a.方法:6〜8週齢のBALB/c系マウス(雄性な
らびに雌性;体重22±2g)を用い、その腹部皮膚上
に、1%のピクリルクロライドのエタノール溶液0.1
mlを、5日間隔で2回塗布して、抗原感作を行った。
2回目の抗原感作の5日後に、血液を一部採取した後、
0.2%のピクリルクロライド含有のオリーブ油10μ
lをマウス肝臓内に注射し、続いて6,12,18およ
び24時間後に、マウスからの採血、ならびに脾臓細
胞、肝非実質細胞および肝実質細胞の単離を行った。
【0066】採取した血液は、アラニンアミノトランス
フェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトラ
ンスフェラーゼ(AST)の活性測定に供した。
【0067】一方、脾臓細胞ならびに肝非実質細胞の両
者を、抗マウスLFA−1(lymphocyte f
unction associated antige
n−1)抗体により、また、肝実質細胞を抗マウスIC
AM−1(intercellular adhesi
on molecule−1)抗体でそれぞれ処理をし
た。洗浄後、FITC標識ヤギ抗ラットIgG抗体で染
色し、PBSで洗浄して再浮遊した後、FACScan
(Becton Dickinson)にて、それぞれ
の細胞表面分子の発現を測定した。
【0068】さらに、正常マウス、ならびに肝障害を惹
起した0,6,12,18および24時間後のマウスか
ら単離した肝非実質細胞または脾臓細胞と、肝実質細胞
を共培養し、その各培養上清中におけるALTの遊離に
ついての検討を、以下の方法により行った。
【0069】肝実質細胞(1×105 cell/ml)
を、WE液体培地(2mMのL−グルタミン、10%
(v/v)牛胎児血清、100U/mlのペニシリンお
よび100μg/mlのストレプトマイシンを含有する
ウイリアムズ培地E)を用い、24穴プレートにて5時
間、5%(v/v)の二酸化炭素濃度エアー条件下で、
37℃にて前培養した。次いで、この前培養処理した肝
実質細胞を、WE液体培地にて2回洗浄した後、肝非実
質細胞(4×105cell/ml)あるいは脾臓細胞
(5×106cell/ml)と一緒に、それぞれ同条
件下にて、さらに3時間共培養した。培養後、培養上清
中のALT活性を測定した。
【0070】b.結果: その1:肝障害を惹起させたマウスにおける血清中AL
T活性の経時的変動、および脾臓細胞と肝非実質細胞に
おけるLFA−1発現、ならびに肝実質細胞におけるI
CAM−1発現の変動を経時的に観察し、併せて肝障害
マウスにおける肝細胞の組織形態学的な経時的変化を観
察した。
【0071】その結果、肝障害惹起の6時間後に脾臓細
胞でのLFA−1の発現は最大値を示した。一方、肝非
実質細胞でのLFA−1の発現ならびに肝実質細胞での
ICAM−1の発現は、12時間後に最大値を示し、血
清中ALT活性は、18時間後に最大値を示した。
【0072】さらに肝細胞の形態組織学的変化として
は、肝障害惹起時(0時間)では、肝細胞は正常であっ
たものの、6時間後においては穏やかな炎症性細胞浸潤
が観察されており、さらに12時間後では著しい炎症性
細胞浸潤が観察された。その後18時間では大量の肝細
胞がネクローシスを起こしているのが観察された。
【0073】その2:肝障害惹起後の肝実質細胞に対す
る、肝非実質細胞および脾臓細胞によるALT遊離の経
時的変化、ならびに正常マウスおよび肝障害惹起12時
間後のマウスから単離された肝非実質細胞あるいは脾臓
細胞を、肝実質細胞と共培養した場合の、培養上清中の
ALTの遊離の変化を観察した。
【0074】その結果、ALTの遊離は、肝非実質細胞
では、肝障害惹起12時間後に最大値を示し、脾臓細胞
では6〜12時間後に最大であった。その遊離活性の強
度は、肝非実質細胞のほうが脾臓細胞よりも強く、約1
2.5倍の遊離活性を示した。
【0075】以上の結果から判断すると、ピクリルクロ
ライドをマウスの腹部皮膚に5日間隔で2回塗布して抗
原を感作した後、5日後に同一抗原であるピクリルクロ
ライドを肝臓内に注射し、肝障害を惹起させることによ
り、活性化T細胞を作製することが可能となる。特に、
ピクリルクロライドを肝臓内に注射した12時間後に
は、肝非実質細胞でのLFA−1の発現、および肝実質
細胞でのICAM−1の発現が最大になり、強い免疫反
応が生じていることが確認された。
【0076】この強い免疫反応が生じている段階では、
血清中のALT活性が高い値を示したことから、免疫反
応により肝障害が引き起こされていることが確認され
た。また、ピクリルクロライドを肝臓内に注射した12
時間後のマウスから単離した肝非実質細胞と肝実質細胞
を共培養したときに、上清中のALT活性が最大を示し
たことから、この方法が、インビトロの系として、活性
化T細胞の選択的抑制作用の確認試験として代用できる
ことが確認された。
【0077】すなわち、ピクリルクロライドによる経皮
抗原感作後、さらにピクリルクロライドを肝臓内に注射
して12時間後のマウスが、免疫的に肝障害を惹起させ
た遅延型過敏反応誘発マウスとして、活性化したT細胞
の選択的抑制を検討するために、最も好ましい試験系で
あることが判明した。したがって、以下の実施例におけ
る各試験は、抗原であるピクリルクロライドで経皮感作
後に、さらに抗原を肝臓内に注射して12時間後の肝障
害マウスを対象に実施することとした。
【0078】実施例4:アスチルビンおよび土茯苓抽出
物の作用の検討 試験1.マウスの肝障害モデルの作製 実施例3に記載した方法に準じて、6〜8週齢のBAL
B/c系マウス(雄性;体重22±2g)および6〜8
週齢のICR系マウス(雄性;体重22±2g)を使用
し、その腹部皮膚上に、1%のピクリルクロライドのエ
タノール溶液0.1mlを、5日間隔で2回塗布して、
抗原感作を行った。2回目の抗原感作の5日後に、血液
を一部採取した後、0.2%のピクリルクロライド含有
のオリーブ油10μlをマウス肝臓内に注射して肝障害
を惹起し、惹起12時間後に、マウスから採血を行なう
とともに、肝細胞を単離した。
【0079】採取した血液について、常法によりALT
およびASTの活性を測定した。一方、正常および肝障
害マウスから2段階灌流法により単離した肝細胞を、さ
らに肝実質細胞と肝非実質細胞に分離し、この分離した
細胞を直ちに共培養試験、あるいはアポトーシス測定に
供した。
【0080】さらに、肝非実質細胞の一部を、培養皿上
で3時間培養して、付着細胞画分と非付着細胞画分に分
離した。なお、単離した肝実質細胞および肝非実質細胞
の両者は、トリパンブルーで染色した結果、約90%の
細胞が生存していることを確認した。
【0081】試験2.アポトーシス確認試験1(細胞死
数の測定) a.方法:肝障害を惹起して12時間後のマウスから単
離した、肝実質細胞および肝非実質細胞、ならびに肝非
実質細胞を分画して得た付着細胞画分および非付着細胞
画分のそれぞれを、アスチルビンならびに土茯苓抽出物
を試験対象薬物とし、その5×10-5g/ml濃度溶液
と共に、RPMI 1640培養液中で37℃、1時間
の条件下で培養を行い、培養後の各細胞死数の変化を、
Hoechst 33342(Molecular Probes, In
c., USA)染色により観察した。なお、対照として、薬
物処理を行わなかった場合の各細胞をおいた。
【0082】細胞死の観察は、Hoechst 333
42染色により、細胞の断片化あるいは凝縮した核を有
する死んだ細胞数で測定した。すなわち、RPMI 1
640培養液中の細胞を、室温で1分間染色した後、同
培養液で3回洗浄を行い、2%ホルムアルデヒド含有の
リン酸緩衝液(PBS溶液)で固定した。200個の細
胞を、異なる5個所で蛍光顕微鏡下観察し、全母集団中
の細胞死を起こした細胞数を測定した。
【0083】b.結果:図1に、肝障害を惹起したマウ
スから単離した、肝非実質細胞および肝実質細胞の細胞
死に対するアスチルビンおよび土茯苓抽出物の効果を示
した。
【0084】図中の結果からも明らかなように、対照群
である薬物未処理の肝実質細胞および肝非実質細胞全体
では、細胞死を起こした細胞数の比率は、それぞれ約1
0%と5%程度であった。これに対してアスチルビンお
よび土茯苓抽出物を、その5×10-5g/mlの濃度で
共存させると、肝非実質細胞全体中での細胞死を起こし
た細胞数の割合が、明らかに増加しているが、肝実質細
胞ではこのような変化は観察されなかった。
【0085】一方、肝非実質細胞の非付着細胞画分で
は、両薬物ともに、細胞死を起こした細胞数の割合を明
らかに増加させたが、付着細胞画分では細胞死数に変化
が見られなかった。
【0086】試験3.アポトーシス確認試験2:断片化
DNAパターンの確認(アガロースゲル電気泳動) a.方法:正常なマウス、および肝障害惹起12時間後
のマウスから単離した肝非実質細胞を、アスチルビンま
たは土茯苓抽出物で処理した後、アガロースゲル電気泳
動を行い、断片化DNAの測定を行った。
【0087】すなわち、正常なマウスおよび肝障害惹起
12時間後のマウスから単離された肝非実質細胞を、そ
のまま、または5×10-5g/ml濃度のアスチルビン
または土茯苓抽出物とともに、RPMI 1640培養
液中で37℃、1時間の条件下で培養した。
【0088】次いで、それぞれの細胞の106 個を洗浄
し、遠心して得られた沈殿物を、0.2% Trito
n X−100含有Lysing buffer(10
mMのTris、1mMのEDTA,pH7.5)0.
6mlに再懸濁して、氷冷下に10分間放置した後、遠
心した(20000g)。得られた上清を、等量のTE
飽和フェノールと混合し、2〜3分間穏やかにかき混ぜ
た後、遠心し、上清をクロロホルム−イソアミルアルコ
ール(24:1)混液と混合し、さらに20000gに
て遠心した。得られた上清を、0.3M NaClと7
0%エタノール中で、−20℃の条件下に一夜放置し、
DNAを沈殿させた。
【0089】沈殿させたDNAに、1mg/mlのRN
ase A 1μlを加え、37℃にて30分間インキ
ュベートした。インキュベート終了後、この溶液に1/
10容量のLoading buffer(0.02%
のブロモフェノールブルー、0.02%のxylene
cyanol FF、50%のグリセロール、0.1
%のSDS含有)を加えた。2%アガロースゲルを用
い、50vで75分間電気泳動を行い、臭化エチジウム
を用いて、DNA断片を検出した。
【0090】b.結果:正常マウス、および肝障害を惹
起したマウスの肝非実質細胞から単離したDNAのアガ
ロースゲル電気泳動パターン、およびアスチルビンおよ
び土茯苓抽出物で処理した肝非実質細胞のDNAのアガ
ロースゲル電気泳動パターンを比較すると、肝障害を惹
起したマウスから単離した肝非実質細胞では、アスチル
ビンおよび土茯苓抽出物で処理したときに、DNAのラ
ダーパターンが観察された。
【0091】一方、正常なマウス由来の肝非実質細胞お
よび脾臓細胞では、両薬物で処理を行っても、そのよう
なDNAの断片化が見られなかった。すなわち、正常マ
ウスの肝非実質細胞および脾臓細胞にはアポトーシスの
誘導は観察されなかった。
【0092】これらのDNAのアガロースゲル電気泳動
パターンからみれば、抗原(ピクリルクロライド)投与
12時間後の肝障害を惹起したマウスから単離された、
肝非実質細胞に対するアスチルビンによる細胞死は、ア
ポトーシスであることが判明する。なおこの結果は、上
記試験2における、Hoechst 33342染色試
験で、正常な肝非実質細胞での細胞死が認められなかっ
た結果と一致するものであった。
【0093】ところで、本発明者のこれまでの検討によ
れば、ピクリルクロライドによる経皮感作後に、肝臓に
同じ抗原を投与した場合には、肝非実質細胞内に含まれ
る細胞集団の組成が大きく変化することを、フローサイ
トメトリー(流量血球計算分析)で確認している。そし
て、抗原投与前に脾臓を摘出すると、肝障害の有無とそ
の程度を知るための指標である血清中ALT活性レベル
が低くなることから、脾臓からリンパ球が肝臓へ浸潤し
て局在化し、肝非実質細胞の組成が変化することが肝障
害に至る主要因であることを確認してきている。
【0094】また、実施例3の試験結果からも明らかな
ように、抗原投与12時間後には、組織学上炎症性細胞
湿潤の程度と肝非実質細胞の肝細胞障害作用がインビト
ロで最大に達しており、この段階での肝非実質細胞はL
FA−1陽性細胞が約72.6〜78%であり、またC
D4+ T細胞47.9%およびCD8+ T細胞23.2
%で構成されているものであることが判明している。こ
のような肝非実質細胞を、抗CD4モノクローナル抗体
−補体で処理すると、肝実質細胞からのALTの遊離が
完全に抑制され、抗CD8抗体では、ALTの遊離の抑
制傾向が観察されている。
【0095】かかる事実を踏まえ、本実施例4のこれま
での試験の結果を考察すると、アスチルビンおよび土茯
苓抽出物による細胞死の誘導は、肝非実質細胞の付着細
胞画分ではなく、非付着細胞画分で認められている。し
たがって、アスチルビンおよび土茯苓抽出物は、肝非実
質細胞の非付着細胞画分を主に構成するTリンパ球集団
に対し作用していることは明白であるといえる。
【0096】また、両薬物ともに、肝実質細胞と、正常
マウスの肝非実質細胞および脾臓細胞には細胞死を誘導
しなかったことからみれば、活性化された主にT細胞で
ある免疫細胞が、アスチルビンおよび土茯苓抽出物によ
り、選択的に阻害されることが明らかとなった。
【0097】試験4.ALTの遊離抑制試験(その1) a.方法:実施例3の方法により、肝障害惹起12時間
後のマウスから、肝実質細胞および肝非実質細胞を単離
した。単離した肝実質細胞を、WE液体培地中に分散
し、2×104 cell/0.2mlを96穴プレート
にまき、37℃にて、5%二酸化炭素濃度エアーの条件
下で5時間培養した。
【0098】次いで、培養細胞をWE液体培地で2回洗
浄した後、各種濃度のアスチルビンまたは土茯苓抽出物
と、37℃、1時間の条件下で処理した8×104 個の
肝非実質細胞とともに、同条件下にてさらに3時間共培
養した。培養終了後、培養上清を常法により集め、上清
中のALTならびにAST活性を測定した。
【0099】b.結果:図2に、その結果を示した。図
中の結果から明らかなように、肝実質細胞を、肝非実質
細胞と3時間共培養することにより、ALTおよびAS
Tの遊離レベルが著しく亢進されている。これに対し
て、共培養させる肝非実質細胞を、アスチルビンあるい
は土茯苓抽出物と前処理することにより、肝実質細胞か
らのALTの遊離は濃度依存的に抑制され、ASTの遊
離はアスチルビンにより濃度依存的に抑制されている。
特に、アスチルビンと土茯苓抽出物の両方においては、
5×10-5g/mlの濃度で、ALTの遊離を完全に抑
制していることが理解される。
【0100】試験5.ALT遊離抑制試験(その2) a.方法:上記試験4と同様に、肝障害惹起12時間後
のマウスから肝非実質細胞および肝実質細胞を単離し
た。単離した肝実質細胞を、WE液体培地中に分散し、
2×104cell/0.2mlを96穴プレートにま
き、37℃にて、5%二酸化炭素濃度エアーの条件下で
5時間培養した。
【0101】次いで、培養細胞をWE液体培地で2回洗
浄した後、5×10-5g/ml濃度のアスチルビンまた
は土茯苓抽出物で37℃にて5,15,30,60およ
び120分間前処理した肝非実質細胞(それぞれ8×1
4 個)とともに、同条件下にてさらに3時間共培養し
た。培養終了後、培養上清を常法により集め、上清中の
ALT活性を測定した。
【0102】b.結果:図3にその結果を示した。図中
の結果からも明らかなように、肝非実質細胞をアスチル
ビンあるいは土茯苓抽出物と前処理することにより、時
間依存的に肝実質細胞からのALTの遊離が抑制されて
おり、30分間以上の処理によりその遊離が完全に抑制
された。なお、肝実質細胞については、高濃度のアスチ
ルビンあるいは土茯苓抽出物で2時間以上前処理して
も、ALTの遊離に変化は認められなかった。
【0103】試験6.経口投与による遊離ALT活性試
験 a.方法:6〜8週齢のBALB/c系マウス(雄性;
体重22±2g)および6〜8週齢のICR系マウス
(雄性;体重22±2g)を使用した。マウスをピクリ
ルクロライドにより試験1と同様により経皮感作した
後、肝臓内に抗原投与して0,5および10時間後に、
アスチルビンの100mg/kg、および土茯苓抽出物
の200mg/kgのそれぞれを、経口投与した。最終
投与の2時間後に、マウスから採血を行い、血清中のA
LT活性を測定した。また、肝非実質細胞と肝実質細胞
を単離して、共培養し、得られた培養上清中のALT活
性測定値と比較した。
【0104】b.結果:図4にその結果を示した。図中
の結果より明らかなように、アスチルビンまたは土茯苓
抽出物を経口投与したマウスでは、対照群と比較して、
明らかに血清中ALT活性が減少するとともに、単離し
た肝非実質細胞の肝実質細胞に対する細胞障害性も有意
に低下した。この結果は、肝障害マウスから単離した肝
非実質細胞をアスチルビンまたは土茯苓抽出物で処理し
た後に肝実質細胞と共培養するときに、対照群と比較し
て、培養上清中ALT活性が減少し、肝実質細胞に対す
る細胞障害性が有意に低下したことと良く一致してい
る。
【0105】試験7.薬物の投与時期の影響検討 a.方法:試験1と同様にしてマウスに肝障害を惹起さ
せた。その中でアスチルビンおよび土茯苓抽出物のin
duction phaseに対する効果を検討するた
めに、抗原であるピクリルクロライドを最初に経皮感作
してから10日間、毎日1回ずつ、また、effect
or phaseに対する効果を検討するために、肝臓
内に抗原投与後0,5,10時間後の計3回に、アスチ
ルビン(50mg/kgおよび100mg/kg)なら
びに土茯苓抽出物(100mg/kgおよび200mg
/kg)を経口投与した。なお、対照群として薬物の投
与をしないマウス、ならびに活性対照群として、免疫抑
制剤であるシクロフォスファミド(Cy)の10mg/
kgを腹腔内投与したマウスをおいた。
【0106】ピクリルクロライドの肝臓内投与の18時
間後に、各マウスから採血を行い、常法に従い、血清中
のALT活性を測定した。なお、併せて肝臓の病理組織
学的検討を行った。
【0107】b.結果:図5に、アスチルビン、土茯苓
抽出物およびシクロフォスファミドが、肝障害マウスに
おける血清中ALTの上昇に与える効果について示し
た。図中の結果から明らかなように、対照群では、正常
値よりも、血清中ALT活性が著しく上昇している。対
照群と比較すると、アスチルビンまたは土茯苓抽出物の
高用量を、effector phaseに投与した場
合には、明らかにALT活性が減少し、低用量では、減
少の傾向が観察され、肝障害改善作用が認められた。こ
れに対して、induction phaseに投与し
た場合には、肝障害改善作用はほとんど見られなかっ
た。
【0108】なお、免疫抑制剤であるシクロフォスファ
ミドは両phaseでの投与においても、明らかにAL
T活性を減少させていた。病理組織学的検討において
は、対照群における主変化は、炎症性細胞浸潤と肝実質
細胞の凝固壊死であった。アスチルビンまたは土茯苓抽
出物投与群、ならびにシクロフォスファミド投与群にお
いて、ALT活性が減少し、肝障害改善作用が認められ
たほとんどのマウスでは、病理組織学的変化の改善作用
が認められた。
【0109】以上の各試験の結果よりみれば、アスチル
ビンおよび土茯苓抽出物は、遅延型アレルギー反応(D
TH反応)のinduction phaseではな
く、effector phaseで投薬することによ
り、血中ALT活性とAST活性の上昇を明らかに抑制
していることが判明する。肝非実質細胞をアスチルビン
あるいは土茯苓抽出物で前処理したときには、濃度依存
的にALTおよびASTの遊離を抑制しており、アスチ
ルビンの方が土茯苓抽出物よりも強い抑制作用を示して
いる。
【0110】また、アスチルビンと土茯苓抽出物の両方
においては、その5×10-5g/mlの濃度で、肝非実
質細胞を30分間以上前処理すると、ALTの遊離が完
全に抑制され、肝非実質細胞の機能である肝細胞障害作
用が完全に抑制されることが確認された。しかしなが
ら、共培養前に肝実質細胞をアスチルビンまたは土茯苓
抽出物で処理しても、肝非実質細胞による潜在的な肝細
胞障害作用を抑制することはできなかった。以上の結果
からは、活性化した主にT細胞からなる免疫細胞の機能
を選択的に除去することにより、肝障害に対する改善作
用を示すことが確認された。
【0111】試験8.四塩化炭素で誘導した肝障害モデ
ルマウスに対する評価 a.方法:ICR系雄性マウスを1群8匹使用し、アス
チルビン(50mg/kgあるいは100mg/kg)
および土茯苓抽出物(100mg/kgあるいは200
mg/kg)を6日間、経口投与した。最終投与の1時
間後、各マウスに、0.2%四塩化炭素含有のオリーブ
油を、0.2ml/20gの体重当たりの用量で腹腔内
投与した。なお対照として、正常マウス群である薬剤の
無投与/四塩化炭素無投与群を、対照群として四塩化炭
素のみの投与群をおいた。また、活性対照群としてBD
D(ビフェニル ジメチル ジカルボキシレート)の1
50mg/kg投与群をおいた。四塩化炭素投与から2
0時間後に各マウスから採血し、常法に従い、血清中の
ALT活性およびAST活性を測定した。
【0112】b.結果:それらの結果を、まとめて表2
に示した。
【0113】
【表2】 *P<0.01 対照群と比較
【0114】表中の結果から明らかなように、四塩化炭
素投与群では血中ALT活性およびAST活性が著しく
上昇したが、これに対するアスチルビンおよび土茯苓抽
出物の影響は認められなかった。BDDはALTの上昇
を著しく抑制した。
【0115】試験9.四塩化炭素によるマウス肝細胞障
害に対する評価 a.方法:試験8に使用したマウスと同様の正常なマウ
スから、肝実質細胞を単離し、アスチルビンあるいは土
茯苓抽出物で2時間処理した。次いで細胞をWE液体培
地で2回洗浄後、0.2%四塩化炭素含有オリーブ油の
0.1mlを添加し、さらに1時間反応させた。反応終
了後、上清中のALT活性を測定した。
【0116】b.結果:アスチルビンおよび土茯苓抽出
物の両者は、それぞれ5×10-6〜1×10-4g/ml
濃度で、四塩化炭素で障害を与えたマウス肝実質細胞か
らのALTの遊離に、なんらの影響を及ぼさなかった。
【0117】この結果から明らかなように、アスチルビ
ンと土茯苓抽出物の両者を、肝実質細胞の前処理に用い
ても、四塩化炭素による肝細胞障害に対して、保護作用
がみられなかった。また、両薬物を予防的に6日間投薬
しても、マウスにおいて四塩化炭素により誘導される肝
障害に対して、改善作用を示さなかった。これらの結果
よりみれば、アスチルビンおよび土茯苓抽出物は、これ
までに知られているような肝細胞の保護作用ではなく、
活性化した主にT細胞からなる免疫細胞の機能を選択的
に抑制して、肝障害改善作用を示すものであることが判
明した。
【0118】実施例5:各種フラボノイド類またはクロ
モン類の作用 試験1.ピクリルクロライドによる肝障害モデルマウス
の作製 6ないし8週の雄性BALB/c系マウスを使用した。
実施例4の試験1と同様に、マウスの腹部皮膚上に、
0.1%のピクリルクロライドを含有するエタノール溶
液の0.1mlを、5日間隔で2回塗布して、抗原感作
を行った。
【0119】2回目の感作の5日後に、0.2%のピク
リルクロライド含有オリーブ油の10μlを肝臓内に投
与した。その12時間後、2段階灌流法の変法により、
肝実質細胞および肝非実質細胞を単離した。次いで、単
離した肝実質細胞および肝非実質細胞を、トリパンブル
ー染色により評価し、約90%の各細胞が生存している
ことを確認し、以下の各薬物との処理ならびに共培養の
試験に用いた。
【0120】試験2.細胞培養およびALTの遊離試験
(肝非実質細胞の前処理) a.方法:WE液体培地中の肝実質細胞(2×104
ell/0.2ml)を96穴のプレートにまき、37
℃にて、5%二酸化炭素濃度エアー条件下にて培養を行
った。一方、肝非実質細胞を培地単独、あるいは各種濃
度の試験化合物を溶解した培地中で1時間反応させるこ
とにより、薬物処理を行った。なお、試験薬物として
は、式(I−a),(I−b),(I−c)および(I
−d)で示されるスミチルビン、アスチルビン、エンゲ
ルチン、エウクリフィンを用いた。
【0121】5時間後に、肝実質細胞の単層を培地で2
回洗浄し、上記薬物で処理した肝非実質細胞、あるいは
処理していない肝非実質細胞のそれぞれ8×104 ce
llを添加した。添加後、さらに3時間共培養し、常法
により、集めた上清中のALT活性を測定した。
【0122】b.結果:図6にその結果を示した。図中
の結果からも明らかなように、薬物未処理の肝非実質細
胞(対照群)では、培養上清中のALT活性値が著しく
上昇している。これに対して、フラボノイド類のなかで
類似構造を持つアスチルビン、スミチルビン、エンゲル
チンは、濃度依存的にALTの遊離を抑制しており、そ
の抑制強度は3者とも同程度であり、クロモン類である
エウクリフィンが、最も強い抑制作用を示していること
が理解される。
【0123】以上の結果から判断すると、本発明のフラ
ボノイド類またはクロモン類は、肝臓に浸潤した非実質
細胞、すなわち活性化T細胞の機能を不活化することに
より肝細胞障害作用を抑制しているといえる。
【0124】試験3.細胞培養およびALTの遊離試験
(肝実質細胞の前処理) a.方法:肝実質細胞をWE液体培地の単独、あるいは
各種濃度の試験化合物を溶解した培地とともに1時間反
応させて、薬物処理した。次いで、薬物処理を行った肝
実質細胞、あるいは薬物処理を行わなかった肝実質細胞
の2×104 cell/0.2mlを96穴のプレート
上にまき、37℃にて、5%二酸化炭素濃度のエアー条
件下に培養を行った。
【0125】5時間後に、肝実質細胞の単層を培地で2
回洗浄し、8×104 cellの肝非実質細胞を添加
し、さらに3時間共培養し、常法により、集めた上清中
のALT活性を測定した。なお、試験化合物は上記試験
2と同様のものを使用した。
【0126】b.結果:その結果、各試験化合物を肝実
質細胞の前処理に用いたときには、肝非実質細胞との共
培養によるALTの遊離に影響を及ぼさなかった。
【0127】試験4.細胞培養およびALTの遊離試験
(四塩化炭素に対する影響) a.方法:正常なマウスから単離された肝実質細胞を用
い、2時間にわたり試験化合物で処理をした。なお、試
験化合物との未処理群を対照としておいた。処理終了
後、細胞を2回洗浄した後、0.2%の四塩化炭素を
0.1ml添加し、さらに1時間反応させ、常法によ
り、集めた上清中のALT活性を測定した。試験化合物
は、上記試験2と同様のものを使用した。
【0128】b.結果:試験化合物であるスミチルビ
ン、アスチルビン、エンゲルチンおよびエウクリフィン
は、いずれも5×10-6〜1×10-4g/mlの濃度
で、四塩化炭素で障害を与えたマウス肝実質細胞からの
ALTの遊離を抑制せず、肝細胞保護作用を示さなかっ
た。したがって、これらの化合物には、これまでに肝細
胞保護剤で見られていたような、肝細胞膜の安定化のよ
うな、肝細胞保護作用をもたないものであり、むしろ、
活性化T細胞を選択的に抑制する肝機能保護作用である
ことが示された。
【0129】
【発明の効果】以上で詳細に説明したように、本発明の
活性化T細胞を選択的に抑制する作用物質を有効成分と
して含有する免疫抑制剤は、活性化したT細胞に起因す
る疾患の治療、および改善において非常に優れた作用を
発揮している。したがって、本発明が提供する免疫抑制
剤は、活性化T細胞に起因する免疫異常、例えば、移植
に対する拒絶反応、骨髄(造血幹細胞)移植による移植
片対宿主病、自己免疫疾患、自己免疫疾患や類縁疾患に
起因する組織の損傷や感染に伴って起こる炎症反応、線
維化さらに臓器機能障害、アレルギー疾患等の治療に、
特に有効なものである。
【0130】その中でも特に、本発明が提供する式
(I)のフラボノイド類またはクロモン類は、活性化T
細胞を選択的に抑制するものであり、その抑制は、活性
化T細胞に対するアポトーシスの誘導として作用するも
のである。これらのフラボノイド類またはクロモン類
は、例えば、古くから民間で使用されている漢方薬に含
まれる成分でもあり、したがって、毒性も低く、その医
療上の価値は多大なものであるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の試験2の結果を示す図である。
【図2】実施例4の試験4の結果を示す図である。
【図3】実施例4の試験5の結果を示す図である。
【図4】実施例4の試験6の結果を示す図である。
【図5】実施例4の試験7の結果を示す図である。
【図6】実施例5の試験2の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/06 A61P 11/06 17/04 17/04 25/28 25/28 29/00 29/00 37/02 37/02 37/06 37/06 37/08 37/08 43/00 111 43/00 111 C07H 17/07 C07H 17/07 // A61K 35/78 A61K 35/78 V (72)発明者 陳 ▲てい▼ 中華人民共和国江蘇省南京市馬家街40号5 幢1単元602号室 (72)発明者 小松 かつ子 富山県富山市五福末広町1073 コーポモビ リエ1−201

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性化T細胞を選択的に抑制する作用物
    質を有効成分とする免疫抑制剤。
  2. 【請求項2】 移植に伴う拒絶反応に対する治療剤であ
    る請求項1記載の免疫抑制剤。
  3. 【請求項3】 骨髄(造血幹細胞)移植による移植片対
    宿主病の治療剤である請求項1記載の免疫抑制剤。
  4. 【請求項4】 自己免疫疾患の治療剤である請求項1記
    載の免疫抑制剤。
  5. 【請求項5】 自己免疫疾患が、自己免疫性肝炎、慢性
    関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、潰瘍性大腸
    炎、多発性硬化症、強皮症、重症筋無力症、多発性筋炎
    ・皮膚筋炎、橋本病、自己免疫性血球減少症、シェーグ
    レン症候群、血管炎症候群、全身性エリテマトーデス等
    である請求項4記載の免疫抑制剤。
  6. 【請求項6】 自己免疫疾患や類縁疾患に起因する組織
    の損傷や感染に伴って起こる炎症反応、線維化さらに臓
    器機能障害の治療剤である請求項1記載の免疫抑制剤。
  7. 【請求項7】 アレルギー疾患治療剤である請求項1記
    載の免疫抑制剤。
  8. 【請求項8】 アレルギー疾患が、気管支喘息、アレル
    ギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、花粉症等であ
    る請求項7記載の免疫抑制剤。
  9. 【請求項9】 次式(I): 【化1】 (式中、 Rは、水素原子または、1または2個の水酸基により置
    換されたフェニル基を表し、 Rhaは、α−L−ラムノース残基を表し、 点線は、二重結合の存在または不存在を表す。)で示さ
    れるフラボノイド類またはクロモン類を有効成分とする
    請求項1ないし8のいずれかに記載の免疫抑制剤。
  10. 【請求項10】 前記式(I)中、Rが水素原子、4−
    ヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル
    基、または3,5−ジヒドロキシフェニル基である請求
    項9記載の免疫抑制剤。
  11. 【請求項11】 前記式(I)のフラボノイド類または
    クロモン類が、次式(I−a)、(I−b)、(I−
    c)または(I−d): 【化2】 で表されるフラボノイド類またはクロモン類である請求
    項9に記載の免疫抑制剤。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載の式(I)で表される
    フラボノイド類またはクロモン類を含有する植物抽出物
    を有効成分とする請求項1ないし8のいずれかに記載の
    免疫抑制剤。
  13. 【請求項13】 植物抽出物が、土茯苓抽出物である請
    求項12記載の免疫抑制剤。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の式(I−a)で表
    されるスミチルビン。
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