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JP2000143296A - 撥水性ガラス製品およびその製造方法 - Google Patents

撥水性ガラス製品およびその製造方法

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Publication number
JP2000143296A
JP2000143296A JP31255998A JP31255998A JP2000143296A JP 2000143296 A JP2000143296 A JP 2000143296A JP 31255998 A JP31255998 A JP 31255998A JP 31255998 A JP31255998 A JP 31255998A JP 2000143296 A JP2000143296 A JP 2000143296A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
repellent
fluoroalkylsilane
silicon alkoxide
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31255998A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyoko Tosa
恭子 土佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ichikoh Industries Ltd
Original Assignee
Ichikoh Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ichikoh Industries Ltd filed Critical Ichikoh Industries Ltd
Priority to JP31255998A priority Critical patent/JP2000143296A/ja
Publication of JP2000143296A publication Critical patent/JP2000143296A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/28Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material
    • C03C17/30Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with organic material with silicon-containing compounds

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、撥水性、耐侯性、防汚性、防水
滴性及び耐薬品性に優れ、自動車用ガラス、自動車用ミ
ラー及び建築用ガラス等、屋外での苛酷な環境条件で長
期間使用できる撥水性ガラスを提供する。 【解決手段】 本願発明の撥水性ガラス製品は、ガラス
基材上に、シリコンアルコキシドとフルオロアルキルシ
ランとの加水分解縮合物を含む撥水性膜を備え、該撥水
性膜の膜厚が3700〜6000Åであることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性、撥水
性、耐侯性、防汚性、及び耐薬品性を有する撥水性膜を
ガラス基板の表面に形成した撥水性ガラス製品に関し、
特に、自動車用ガラス、自動車用ドアミラー、建築用ガ
ラス等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車用ガラス、自動車用ド
アミラー等のガラス製品においては、汚染物質を含む雨
水がガラス表面に付着するのを防止したり、雨天走行時
にガラス表面に付着した雨水を風圧で吹き飛ばしたりし
て、運転者の視野を確保する必要があった。また、走行
時に跳ね上がった泥やごみ等の汚れを除去したり、雨滴
を拭き取るために、ガラス表面が布やワイパー等で擦ら
れる機会が頻繁にあり、特に、耐摩耗性、耐侯性を要求
される自動車用ガラス、自動車用ドアミラー等におい
て、改善が望まれていた。
【0003】これらの問題を解決する一つの方法とし
て、ガラス基板の表面に撥水性膜を形成することが提案
されている。このような撥水性膜は、シリコーン系化合
物、クロロシラン系化合物、アルコキシシラン系化合
物、フルオロアルキルシラン系化合物などを用いて形成
されている。
【0004】しかしながらこれらの化合物を用いて形成
した撥水性膜では、例えば、シリコーン系化合物やアル
コキシシラン系化合物で形成した撥水性膜は、初期摩擦
係数が小さく、水滴の転落性に優れているが、耐摩耗性
が低く、また、フルオロアルキルシラン系化合物で形成
した撥水性膜は、耐侯性、耐摩耗性に優れるが初期摩擦
係数が大きく、水滴の転落性が低下するという問題があ
り、さらに、フルオロアルキルシラン系化合物とアルコ
キシシラン系化合物とで形成した撥水性膜は、水滴の転
落性は改善されるが耐候性や耐摩耗性は良くないという
ものであった。
【0005】また、これらの化合物を用いてガラス基板
上に撥水性膜を形成する際にクラックを生じるなど良好
な撥水性膜が形成することができないという問題ととも
に膜が形成されたとしても使用中にクラックや傷が発生
することがしばしばみられた。従って、これらのガラス
製品では、自動車用ガラスやドアミラーに要求される耐
候性や耐摩耗性を満たさず、信頼性、耐久性の面で問題
があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、撥水性
膜が形成された自動車用ガラスやドアミラーでは、ガラ
ス表面に泥や砂埃が付着しワイパーなどで擦られたとき
に、ガラス表面に何らかの傷が入ると、その視認性は著
しく低下し、安全性にも悪影響を及ぼすことは避けられ
ない。また、これらの自動車用ガラスやドアミラーは、
例えば、極寒や酷暑のような環境や、高温多湿の環境
や、海沿いの塩分の多い環境などの苛酷な環境下でも、
また、急激に温度が変化するなど環境の変化が激しいよ
うな環境下であっても、その撥水性能を長期間維持しな
ければならない。
【0007】本願発明は、以上のような状況のもとで、
耐摩耗性、耐擦過性、撥水性、耐侯性、防汚性を有し苛
酷な環境下でもこれらの性能を維持する耐久性に優れた
撥水性膜をガラス表面に形成したガラス製品を得ること
を目的とするもので、対象となるガラス製品としては特
に、自動車用ガラス、自動車用ドアミラー、建築用ガラ
ス等があげられる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記従来に
おける問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、撥水
性膜の形成に用いる化合物が重要であるとともに、ガラ
ス基材上に形成する膜厚が、撥水性膜の性能を決めるの
に極めて大きな因子となっていることをみいだし、この
知見に基づき本発明を完成した。
【0009】すなわち、本願発明の撥水性ガラス製品
は、ガラス基材上に、シリコンアルコキシドとフルオロ
アルキルシランとの加水分解縮合物を含む撥水性膜を備
え、該撥水性膜の膜厚が3700〜6000Åであるこ
とを特徴とし、前記加水分解縮合物を構成するシリコン
アルコキシドとフルオロアルキルシランと構成比が、モ
ル比で、シリコンアルコキシド:フルオロアルキルシラ
ン=1:0.02〜0.17であることを特徴とする。
また、本願発明は前記撥水性膜を備えた自動車用ガラス
であり、前記撥水性膜を備えたガラスミラーを用いた自
動車用ドアミラーであることを特徴とする。
【0010】また、本願発明は撥水性ガラス製品の製造
方法に係るもので、該方法は、(1)シリコンアルコキ
シドと、フルオロアルキルシランと、溶剤と、水とを含
むコーティング液を調製する工程と、(2)前記コーテ
ィング液を撥水性膜の膜厚が3700〜6000Åとな
るようにガラス基材に塗布する工程と、(3)コーティ
ング液が塗布されたガラス基材を加熱処理し、シリコン
アルコキシドとフルオロアルキルシランとを縮合する工
程と、を備えるものであり、(1)のコーティング液の
調製において、シリコンアルコキシドとフルオロアルキ
ルシランとの配合量を、モル比で、シリコンアルコキシ
ド:フルオロアルキルシラン=1:0.02〜0.17
となるように配合するものである。そして、本願発明は
この製造方法により撥水性の自動車用ガラスを製造し、
この製造方法により撥水性のガラスミラーを得、これを
用いて自動車用ドアミラーを製造することを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0012】本願発明でガラス基材上に成膜され撥水性
を付与する膜は、シリコンアルコキシドとフルオロアル
キルシランとの共加水分解縮合物から形成されるもの
で、この撥水性膜によりガラス製品に撥水性が付与され
る。
【0013】本願発明に用いるシリコンアルコキシドと
は、ケイ素にアルコキシ基が結合した化合物で、アルコ
キシ基が3〜4個、ケイ素に結合しているものが好まし
い。このようなシリコンアルコキシドとしては、アルキ
ルトリアルコキシシランやテトラアルコキシシランなど
があり、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリ
エトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチ
ルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルトリエトキシシランなどがあげられ、
これらを単独で、もしくは併用して用いることができ
る。いずれのアルコキシシランを用いるかは要求される
物性によって変化するが、一般にテトラエトキシシラン
を用いることが多い。
【0014】本願発明で用いるフルオロアルキルシラン
化合物は、フルオロアルキル基と、アルコキシ基やクロ
ルのような加水分解性基とがケイ素に結合した化合物
で、例えば、CF3 (CF27 CH2 CH2 Si(O
CH33 、CF3 (CF25 CH2 CH2 Si(O
CH33 、CF3 CH2 CH2 Si(OCH33
CF3 (CF27 CH2 CH2 SiCl3 などがあげ
られ、これらの化合物はいずれも市販されており、例え
ば、CF3 (CF25 CH2 CH2 Si(OCH3
3 については商品名、KBM−7803(信越化学工業
株式会社製)として入手できる。
【0015】本願発明ではこれらのシリコンアルコキシ
ドとフルオロアルキルシランとを併用して成膜するが、
シリコンアルコキシドとフルオロアルキルシランとの配
合量は、モル比で、シリコンアルコキシド:フルオロア
ルキルシラン=1.00:0.02〜1.00:0.1
7、好ましくは1.00:0.05〜1.00:0.1
3の範囲である。フルオロアルキルシランは、膜に長期
間持続する撥水性を付与するために用いるもので、その
配合量が多くなれば撥水性能は高まるが、膜自体の強度
が弱くなる傾向がある。従って、自動車用ガラスやドア
ミラーなどは、泥水がかかったり、埃にまみれた状態で
使用されるものであり、表面が擦れて傷が付くことは好
ましくないので、膜の硬度や耐摩耗性も重要な選択因子
となる。一方、撥水性に関しては、接触角が通常、70
°、好ましくは80°以上であれば、実用上問題はない
が、水をより球形に近づけて、転がり落とすことを狙い
とする撥水性膜では、これより大きな接触角であること
が好ましいとされる。そこで、本願発明では、この点を
考慮してフルオロアルキルシランの配合量を前記のよう
に規定したものである。かかる範囲の組成比を有する撥
水性膜は、耐摩耗性、撥水性、耐侯性等種々の性能を備
えており、これらの優れた性能は要求される自動車用ガ
ラス、自動車用ミラー等に最適のもとなる。また、この
範囲から大きく外れる場合には、用いるシリコンアルコ
キシドとの組み合わせにもよるが、成膜後に白濁が生じ
たり、クラックが発生し易くなる傾向があった。
【0016】本願発明においては、シリコンアルコキシ
ドとフルオロアルキルシランとが共加水分解し、縮合さ
れることにより撥水性膜が得られる。すなわち、これら
のシリコンアルコキシドのアルコキシ基やフルオロアル
キルシランのアルコキシ基やクロルは加水分解性の官能
基で、水中や空気中の水分により加水分解され、シラノ
ール(Si−OH)基を生じると共に、互いに縮合して
シロキサン結合(Si−O−Si)を形成する。このと
き、フルオロアルキルシランは主としてシリコンアルコ
キシドと反応し、膜の内部に分散された状態となる。こ
のため、樹脂基材の表面に形成された撥水性膜は、安定
した状態を保つことができ、長時間の苛酷な条件下での
使用によっても、撥水性、耐摩耗性等を維持することが
可能となる。
【0017】また、本願発明の撥水性ガラス製品にあっ
ては、ガラス基材上に形成される撥水性膜の膜厚が、信
頼性の高い製品を得るのに重要な因子となる。これは、
塗布後の乾燥・熱処理工程で、溶媒のアルコールや水が
蒸発すると、塗布された膜の体積は減少し、撥水性膜の
表面層と内部の両方が収縮する。このとき、膜厚が厚す
ぎると、表面層と内部の乾燥速度が異なってくるため、
さらに溶媒の蒸発が進むと、表面層は溶媒が不足の状態
となり、さらに収縮しようとするのに対し、層の内部は
収縮しないため、表面層に働く引張り応力が生じ、クラ
ックが発生する結果となる。また、膜厚が薄すぎる場合
には、結合鎖が短くなるため密着性が弱くなり、その結
果耐摩耗性が低下するため、と考えられる。本願発明は
得られる膜物性に対して膜厚が大きな影響を与えている
ことを初めて見いだしたもので、従来の膜物性は膜自体
の組成で決定されるものであり、膜厚は膜物性には影響
することはないとする考え方とは相違するものである。
実験の結果、撥水性膜の膜厚は、3700〜6000
Å、好ましくは3800〜5500Å、さらに好ましく
は5000〜5500Åの範囲で求める物性の膜が得ら
れることがわかった。
【0018】膜厚が6000Åを超えると、上述のよう
な理由によりクラックが発生する傾向があり、得られる
膜も耐摩耗性が低下し、耐久性のある膜は得られなかっ
た。一方、膜厚が3700Å未満であると、密着性が悪
く、耐摩耗性が低くなった。
【0019】ガラス基材上に撥水性膜を形成するには、
まずコーティング液を調製し、次いでこのコーテイング
液をガラス基材上に塗布し、その後、熱処理を行う。
【0020】コーテイング液の調製は次のようにして行
う。シリコンアルコキシドとフルオロアルキルシランと
を混合し、混合液に溶剤としてエタノールを加え攪拌を
続けながら、別途調製した塩酸を添加した水−エタノー
ルを徐々に添加する。コーテイング液の最終組成は、シ
リコンアルコキシドをモル比で1とすると、フルオロア
ルキルシランが0.02〜0.17モル、水が0.34
〜0.36モル、溶剤のエタノールが1.59〜1.7
3モルのものとなる。また酸触媒である塩酸はは、0.
0076〜0.0082モル程度加えられている。
【0021】添加終了後も攪拌を引き続き行い、均一な
溶液を得た後、室温下で静置し、アルコキシ基の一部を
反応させて、コーティング液を得る。室温で静置するこ
とにより、アルコキシ基のような加水分解性基は、水と
反応してOH基となる。
【0022】ガラス基材上への塗布は、ガラス基材の形
状により、また、必要とする膜厚や撥水ハードコート組
成物の濃度、粘度などを考慮してスピンコート法の他、
スプレー法、デイップ法、フロー法など公知の技術を適
宜使用して行うことができるが、いずれの場合であって
も膜厚を3700〜6000Åにコントロールすること
が必要である。
【0023】塗布が終わったガラス基材は、室温で1〜
10分間予備乾燥した後、90〜120℃で、10〜3
0分間程度予備焼を行い、次いで約200〜約400℃
で、10〜20分程度焼成する、いわゆる焼き付けを行
い、OH基同士を縮合させ縮合物を生成させ、ガラス基
材上に撥水性膜を形成する。
【0024】熱処理温度が400℃を超えると、C−F
の結合鎖が切断され、撥水性が無くなる傾向が認められ
る。一方、200℃未満であると、膜の硬度が低くなる
傾向がある。
【0025】なお、用いるシリコンアルコキシドやフル
オロアルキルシランは加水分解性が高く、空気中の水分
による影響を受けやすいものであるため、これらの工程
の実施においては、湿度を管理することが好ましく、相
対湿度60%以下の環境で行うことが好ましい。
【0026】以上のようにして、撥水性膜をガラス基材
の上に形成することができるが、本願発明の撥水性膜
は、シリコンアルコキシドにフルオロアルキルシランを
併用し、ガラス基材上の膜厚を特定の膜厚にコントロー
ルすることにより、要求性能が厳しい自動車用ガラスや
ドアミラーに適合する性能のものを得ることを可能とし
たものであって、本願発明の撥水性ガラスは、風雨や汚
染物質の付着等、屋外での苛酷な環境条件下による長期
間の使用によっても、耐摩耗性、撥水性、防汚性を維持
することが必要なガラス物品、例えば、自動車用ガラ
ス、自動車用ドアミラー、自動車用フェンダミラー、カ
ーブミラー及びビル等の建築用ガラス等に適用すること
ができる。
【0027】次に、これらの車両用部品に適用する場合
について簡単に説明する。
【0028】図1はガラス製ミラーの表面に撥水性膜が
形成されたドアミラーの構造を示す断面図である。この
ミラー部分の構造は図2の断面図に示されるように、A
l、Cr等の反射膜を有するガラス基材の反対側の表面
に上記撥水性膜が積層されたものである。
【0029】このようなガラス表面に撥水性膜を形成し
たミラーは、耐摩耗性、撥水性などの性能が向上し、例
えば、雨天時の走行では雨滴が丸く凝集して除去しやす
くするという防水滴性も付与され、雨の日の視認性を良
くすることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】実施例1 攪拌装置を備えた300mlの反応容器に、テトラエト
キシシラン(Si(OC254 )68.6ml
(0.3モル)、フルオロアルキルシラン化合物(CF
3 (CF27 CH2 CH2 Si(OCH33 )6.
4ml(0.02モル)、エタノール63.2mlを仕
込み、室温で5分間攪拌して均一な液にした。また、別
の容器にエタノール50ml、塩酸0.52ml、水2
3.8mlとを仕込み、3分間攪拌し、エタノール−水
の溶液を調製した。次いでこのエタノール−水の溶液
を、前記ビーカーに、全量を徐々に添加し、添加終了
後、更に15分間攪拌を続け、均一な混合液を得た。そ
の後、室温にて2時間放置した後、濾紙5Bを使用して
濾過し、3日間静置し、コーティング液を調製した。
【0032】次に得られたコーティング液を用いて撥水
性膜を形成するが、本願発明では、膜厚と撥水性膜の性
能を評価するにあたり、再現性のある結果を得るため塗
布をスピンナー(協栄スピンナー1H−III型)を用い
て行った。
【0033】スピンナー回転数を2000rpmにセッ
トし、このコーティング液をガラス基板に滴下し、スピ
ンコーティングして、常温で3分間保持した後、100
℃で10分間、次いで385℃で10分間熱処理して撥
水性膜をガラス基板上に形成した。膜厚は、表面形状測
定器、SURFCOM50A(株式会社東京精密社製)
を用い測定したところ5300Åであった。なお、全工
程において、相対湿度60%以下で調製を行った。
【0034】次いで、このようにして形成された撥水性
膜について、撥水性および耐摩耗性の評価を行った。撥
水性は純水の接触角をめやすとした。耐摩耗性について
は、初期の試料と摩耗後試験後の試料との、接触角、分
光透過率、膜表面の状態とを比較することにより評価し
た。摩耗試験は、トラバース試験機を用いて、摩耗材と
してネル布を用い、荷重:300gf/cm2 、速度:
30回/分、ストローク:50mm、の条件で1500
回往復で行った。膜表面の状態の観察は目視と光学顕微
鏡(×40)を用いて行った、表1中には、それぞれ
「目視による外観評価」、「顕微鏡による外観評価」と
して結果を示した。また、接触角の測定は、接触角計C
A−X型(協和界面科学株式会社製製)を用いて、接触
角を測定することにより求めた。なお、結果は1つの試
料に対して、6ヶ所を測定しその平均値をとることによ
り算出した。分光透過率の測定は、分光光度計330
(日立製作所株式会社製)を用いて、波長550nmの
透過率を測定することにより行った。耐摩耗性試験を行
う前、および行った後のそれぞれの評価結果を表1に示
す。
【0035】
【表1】 実施例2〜3、比較例1〜2 実施例1で得られたコーティング液を用い、スピンナー
の回転数を3000rpm(実施例2)、4000rp
m(実施例3)、1000rpm(比較例1)および5
000rpm(比較例2)として、実施例1と同様にし
て撥水性膜を得、同様に評価した。結果を表1に示し
た。得られた膜厚はそれぞれ、4300、3800、7
400、3500Åであった。得られた、スピンナーの
回転数と撥水性膜の膜厚との関係を図3に示した。
【0036】次に、実施例1で得られたガラス基板上の
撥水性膜について以下のような評価を行った。評価は上
記した評価に加えさらに密着性についても行い、その測
定方法は、JIS K5400 碁盤目テープ試験に準
じて行った。結果は、同試験の評価点数に従って算出し
た。最高点は10点である。
【0037】1.堅牢度乾布試験 堅牢度乾布試験については以下の条件で摩耗試験を行っ
た。その後、水の接触角の測定、分光透過率の測定、目
視及び光学顕微鏡による外観評価を行い、さらに密着性
について評価した。
【0038】トラバース試験機を用いて、摩耗材として
ネル布と酸化クロム粉末とを用い、荷重:200gf/
cm2 、速度:60回/分、ストローク:50mm、の
条件で100回往復で摩耗試験を行った。
【0039】2.耐アルカリ性 耐アルカリ性は、0.1NのNaOH水溶液に2時間浸
漬し、その後水洗し、完全に乾燥してから水の接触角な
どを同様に測定することによって評価した。
【0040】3.耐酸性 耐酸性は、0.1NのH2 SO4 水溶液に2時間浸漬
し、その後水洗し、完全に乾燥してから水の接触角など
を同様に測定することによって評価した。
【0041】4.耐ガードワックス性 耐ガードワックス性は、ガードワックス(CCオイル2
01、日本ペイント株式会社製)を塗り、80℃で24
時間放置した後、水洗し、エチルアルコールで軽く拭
き、完全に乾燥してから水の接触角などを同様に測定す
ることによって評価した。
【0042】5.耐高温性 耐高温性は、100℃で24時間放置した後、完全に乾
燥してから水の接触角などを同様に測定することによっ
て評価した。
【0043】6.耐高湿度性 耐高湿度性は、50℃、80%RH下で7日間放置した
後、水の接触角などを同様に測定することによって評価
した。
【0044】7.耐塩水性 耐塩水性は、常温で、5%のNaCl水溶液に2時間浸
漬し、その後水洗し、完全に乾燥してから水の接触角な
どを同様に測定することによって評価した。
【0045】8.耐紫外線性 耐紫外線性は、サンシャインウェザーメーター・WEL
−SUN−HC型(スガ試験機株式会社製)により、6
3℃で紫外線を48分間照射した後、清浄水600時間
噴霧の条件で行った。その後、水洗し、完全に乾燥して
から水の接触角などを同様に測定することによって評価
した。
【0046】結果を表2に示した。
【0047】
【表2】 表1の実施例1〜3、比較例1〜2から、撥水性膜の膜
厚が重要な影響を与えていることがわかる。すなわち膜
厚が3500Åの比較例1では成膜当初からクラックが
発生しており、膜厚が7400Å比較例2では摩耗試験
後に傷が発生しているのに対し、本願実施例1〜3では
このようなことは認められない。従って、膜厚が重要で
あり、膜厚を3700〜6000Å程度にコントロール
することが良い撥水性膜を得るために必要であることが
わかる。
【0048】表2から、本願発明の撥水性ガラスは、優
れた撥水性、耐侯性、耐薬品性を有し、また、摩耗試験
後もこれらの性能が維持され、ガラス基板表面に傷が付
くこともなく、耐摩耗性に優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上のように、シリコンアルコキシドと
フルオロアルキルシランの縮合物から構成され、特定の
膜厚に調製された撥水性膜を備えた本願発明の撥水性ガ
ラス製品は、耐摩耗性、撥水性、耐侯性、防汚性、耐薬
品性に優れるもので、自動車用ガラスやドアミラーに使
用すると、走行時に跳ね上がった泥やごみ等の汚れを布
やワイパー等で除去したり、雨滴を拭き取ったりして表
面を擦っても傷が付きにくくなり視認性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス製ミラーの表面に撥水性膜が形成された
ドアミラーの構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すドアミラーのミラーASSY部分の
構造を示す図である。
【図3】本願発明で用いるコーティング液をガラス基材
上にスピンナーを用いて塗布した場合の、スピンナーの
回転数と撥水性膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 ミラーパワーユニット 3 ミラーASSY 4 反射膜 5 ガラス基材 6 撥水性膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基材上に、シリコンアルコキシド
    とフルオロアルキルシランとの加水分解縮合物を含む撥
    水性膜を備え、該撥水性膜の膜厚が3700〜6000
    Åである撥水性ガラス製品。
  2. 【請求項2】 加水分解縮合物を構成するシリコンアル
    コキシドとフルオロアルキルシランと構成比が、モル比
    で、シリコンアルコキシド:フルオロアルキルシラン=
    1:0.02〜0.17である請求項1に記載の撥水性
    ガラス製品。
  3. 【請求項3】 前記撥水性ガラス製品が、自動車用ガラ
    スもしくは自動車用ドアミラーである請求項1または2
    に記載の撥水性ガラス製品。
  4. 【請求項4】 シリコンアルコキシドと、フルオロアル
    キルシランと、溶剤と、水とを含むコーティング液を調
    製する工程と、 前記コーティング液を撥水性膜の膜厚が3700〜60
    00Åとなるようにガラス基材に塗布する工程と、 コーティング液が塗布されたガラス基材を加熱処理し、
    シリコンアルコキシドとフルオロアルキルシランとを縮
    合する工程とを備えるガラス基材上に撥水性膜を有する
    撥水性ガラス製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 シリコンアルコキシドと、フルオロアル
    キルシランと、溶剤と、水とを含むコーティング液を調
    製する工程において、シリコンアルコキシドとフルオロ
    アルキルシランとの配合量が、モル比で、シリコンアル
    コキシド:フルオロアルキルシラン=1:0.02〜
    0.17となるように調製する請求項4に記載の撥水性
    ガラス製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記撥水性ガラス製品が、自動車用ガラ
    スもしくは自動車用ドアミラーである請求項4または5
    に記載の撥水性ガラス製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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