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JP2000104775A - 防振ブッシュの製造方法 - Google Patents

防振ブッシュの製造方法

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JP2000104775A
JP2000104775A JP10273415A JP27341598A JP2000104775A JP 2000104775 A JP2000104775 A JP 2000104775A JP 10273415 A JP10273415 A JP 10273415A JP 27341598 A JP27341598 A JP 27341598A JP 2000104775 A JP2000104775 A JP 2000104775A
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wall portion
curvature
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peripheral
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Yukio Hayashi
幸男 林
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁
部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位
置する一対の第二の周壁部分の曲率の方が小さくされた
略扁平円筒形状の外筒金具を備えた防振ブッシュを製造
するに際し、外筒金具に絞り加工を施して、目的とする
外筒金具の形状を安定して得ることの出来る方法を提供
すること。 【解決手段】 内外筒金具12,14をゴム弾性体15
で連結せしめた一体加硫成形品62に対し、その外筒金
具14の第一の周壁部分34,34に対して、目的とす
る外周面形状に対応した成形面を有する絞り型を用いて
絞り加工を施すと共に、該第一の周壁部分34,34に
対する絞り加工に遅れて、第一の周壁部分34,34よ
りも目的とする曲率が小さい第二の周壁部分36,36
に対し、少なくとも成形面の中央部分が、目的とする外
周面形状よりも大きな曲率の湾曲凹面形状36とされた
絞り型70c,dを用いて絞り加工を施すことにより、
外筒金具14に対する絞り加工を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、例えば自動車用のサスペンショ
ンブッシュ等に用いられる防振ブッシュの製造方法に係
り、特に略扁平円筒形状の外筒金具を備えた防振ブッシ
ュの製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】振動伝達系を構成する部材間に介装される
防振装置の一種として、従来から、軸部材と、該軸部材
の外周側に離間して配された外筒金具を、ゴム弾性体で
連結せしめた防振ブッシュが知られており、例えば自動
車用サスペンションブッシュ等に採用されている。
【0003】ところで、このような防振ブッシュに対し
ては、それが装着される装置や箇所等に応じて各種の特
性が要求される。具体的には、互いに直交する軸直角方
向で、柔らかいばね特性と硬いばね特性が要求される場
合があり、或いはまた、所定の軸直角方向において、大
荷重入力時におけるゴム弾性体の弾性変形量を制限する
ストッパ機能が要求される場合等もある。そこで、この
ような要求特性を満足するために、従来では、例えば、
軸部材から特定の軸直角方向外方に向かって突出する硬
質の突起部を形成し、ゴム弾性体内に埋設配置すること
により、かかる突起部の突出方向でゴム弾性体の肉厚を
小さくして、ばね剛性を上げると共に、ゴム弾性体の弾
性変形量を制限するようにした構造の防振ブッシュが提
案されている。
【0004】しかしながら、このような突起部を軸部材
に一体形成することが難しく、合成樹脂等の硬質材で別
途形成しなければならないために、製造が面倒で高コス
ト化が避けられないといった問題があった。
【0005】そこで、このような問題に対処するため
に、例えば、外筒金具の曲率を周方向で異ならせて、軸
直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よ
りも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の
第二の周壁部分の曲率を小さくすることによって、該第
二の周壁部分を略平板形状とした、略扁平円筒形状の外
筒金具を採用することも、考えられる。かくの如き外筒
金具を採用すれば、ゴム弾性体における軸直角方向の肉
厚を、第一の周壁部分の対向方向と第二の周壁部分の対
向方向で互いに異ならせて、それら各方向で相違するば
ね剛性を設定すること等が可能となる。
【0006】ところが、かくの如き略扁平円筒形状を有
する外筒金具を採用すると、防振ブッシュの製造工程に
おける外筒金具に対する絞り加工が極めて困難になると
いう不具合が見出された。即ち、防振ブッシュにおいて
は、ゴム弾性体における引張応力の発生を軽減乃至は防
止して耐久性を向上すること等を目的として、ゴム弾性
体の加硫成形後に、外筒金具に対する絞り加工が施され
るが、本発明者等が検討したところ、目的とする外筒金
具の外周面形状に対応した成形面を備えた絞り型を用い
て絞り加工を施すと、外筒金具の内周側にゴム弾性体が
存在するために、外筒金具の内周側への変形を拘束する
ことが難しく、特に、曲率の小さい第二の周壁部分が、
絞り型の成形面から離れて内方に押し潰されたように変
形してしまい易く、目的とする形状を安定して得ること
が出来ないという事実が、明らかとなったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、外筒金具に対する絞り加工を安定して加え
ることが出来、略扁平円筒形状の外筒金具を有する防振
ブッシュを、有利に製造することの出来る防振ブッシュ
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、軸部材と、該軸部材
の外周側に離間して配された外筒金具を、ゴム弾性体で
連結してなる中間製品に対して、前記外筒金具に絞り加
工を施し、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁
部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位
置する一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該
第二の周壁部分が略平板形状とされた略扁平円筒形状の
外筒金具を有する防振ブッシュを製造するに際して、前
記中間製品の外筒金具における一対の第一の周壁部分に
対して、該第一の周壁部分において目的とする曲率を有
する第一の成形面を備えた絞り型を用いて絞り加工を施
すと共に、該第一の周壁部分に対する絞り加工に遅れ
て、前記一対の第二の周壁部分に対する絞り加工を、少
なくとも周方向中央部分が該第二の周壁部分において目
的とする曲率よりも大きな曲率の湾曲凹面形状とされた
第二の成形面を備えた絞り型を用いて施すことによっ
て、目的とする防振ブッシュを製造するようにしたこと
にある。
【0009】このような本発明方法においては、外筒金
具に絞り加工を施すに際して、目的とする曲率が大きい
(換言すれば、曲率半径が小さい)一対の第一の周壁部
分に対する絞り加工が、目的とする曲率が小さい(換言
すれば、曲率半径が大きい)一対の第二の周壁部分に対
する絞り加工に先行して実施される。これにより、先
ず、一対の第一の周壁部分が縮径されることに伴い、外
筒金具の肉が一対の第二の周壁部分と軸方向にそれぞれ
逃げるように移行せしめられ、それに遅れて、一対の第
二の周壁部分が縮径される。しかも、第二の周壁部分
は、成形面の少なくとも周方向中央部分が目的とする曲
率よりも大きな曲率(換言すれば、小さな曲率半径)と
された絞り型によって縮径される。
【0010】従って、本発明方法に従えば、第一の周壁
部分が第二の周壁部分よりも先に目的とする形状に成形
されるのであり、第二の周壁部分は、先ず、先行する第
一の周壁部分の成形に伴い、最終形状よりも大きな曲率
をもって外周側に湾曲状に突出せしめられる。その後、
かかる第二の周壁部分が、第二の成形面で内周側に押圧
されて縮径されるが、その際、第二の成形面の少なくと
も中央部分が、第二の周壁部分の目的形状よりも大きな
曲率とされていることから、第二の周壁部分に作用する
押圧力、特に第二の周壁部分の周方向中央部位に作用す
る押圧力が軽減されるのであり、その結果、第二の周壁
部分の特に中央部分が、必要以上に内方に凹んでしまう
ことなく、目的とする形状に有利に成形され得るのであ
る。
【0011】なお、本発明において、第二の周壁部分
は、第一の周壁部分よりも小さな曲率で湾曲した円弧板
形状等であっても良いが、周方向に直線的に延び、一対
の第二の周壁部分の対向方向である軸直角方向線に直交
して広がる平板形状とすることが望ましく、それによっ
て、第一の周壁部分と第二の周壁部分の各対向方向での
ばね特性をより大きく異ならせることが出来ると共に、
一対の第二の周壁部分の対向方向でのストッパ機構をよ
り有利に構成することが可能となる。
【0012】また、本発明においては、例えば、前記第
一の成形面を備えた絞り型と、前記第二の成形面を備え
た絞り型とを、別体とし、該第一の成形面を備えた絞り
型による前記外筒金具における第一の周壁部分に対する
絞り加工を、前記第二の周壁部分の外周面を拘束しない
状態下で施した後に、該第一の周壁部分の外周面を拘束
した状態下で、該第二の成形面を備えた絞り型による該
第二の周壁部分に対する絞り加工を施す方法が、好適に
採用される。このような方法を採用すれば、第一の周壁
部分と第二の周壁部分が、時間的に重ならずに各別に成
形されることから、より高い成形精度を得ることが可能
となる。
【0013】尤も、本発明においては、それに代えて、
第一の成形面と第二の成形面を、同じ絞り型によって構
成することにより、一つの絞り型を用いて、第一の成形
面による第一の周壁部分に対する絞り加工と、第二の成
形面による第二の周壁部分に対する絞り加工を、タイミ
ングをずらせて、即ち、第一の周壁部分に対する絞り加
工を開始した後、所定の時間遅れをもって第二の周壁部
分に対する絞り加工を開始することによって、行うこと
も可能であり、それによって、必要とされる絞り型が少
なくて済む等といった効果が発揮される。
【0014】また、本発明においては、前記第二の成形
面を、前記第一の成形面よりも大きな曲率を有する円弧
形状の湾曲凹面とすることが望ましい。このような第二
の成形面を採用すれば、第二の周壁部分の絞り加工に際
し、第二の周壁部分の周方向中央部位に第二の成形面が
当接して直接に作用せしめられる押圧力が、より有利に
軽減されるのであり、以て、第二の周壁部分における必
要以上の内方への凹み変形が一層効果的に防止されて、
成形安定性の更なる向上が図られ得る。なお、このよう
に、目的とする第一の周壁部分の曲率よりも小さな曲率
を有する第二の成形面を採用した場合でも、周方向にス
トレートな形状の第二の周壁部分を、有利に形成するこ
とが可能である。
【0015】更にまた、本発明においては、前記中間製
品として、前記軸部材と前記外筒金具に対して、前記ゴ
ム弾性体がそれぞれ加硫接着された一体加硫成形品が、
好適に採用され得る。かかる一体加硫成形品は、例え
ば、必要に応じて予め接着処理を施した軸部材と外筒金
具の存在下で、それらの間にゴム材料を充填して加硫す
ることにより、有利に製造され得る。
【0016】さらに、本発明においては、中間製品を構
成する外筒金具として、周方向全周に亘って一定の曲率
を有する円筒金具等を採用することも可能であるが、例
えば、前記中間製品を構成する前記外筒金具として、軸
直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よ
りも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の
第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部
分が略平板形状とされることにより、絞り加工後の目的
形状に対応した略扁平円筒形状を有する外筒金具を採用
することが望ましい。このような最終形状に対応した外
筒金具を中間製品で採用すれば、絞り加工に伴う外筒金
具の変形量、換言すれば外筒金具の絞り率(縮径率)の
周方向での不均一さが軽減されることから、中間製品に
おいて、外筒金具にゴム弾性体が加硫接着されている場
合でも、絞り加工に際してゴム弾性体に生ぜしめられる
歪みが軽減されて、耐久性や耐荷重性能の向上等が図ら
れ得る。
【0017】また、本発明においては、前記中間製品に
おいて、前記軸部材と前記外筒金具の間を軸方向に延び
るすぐり部が、少なくとも前記一対の第二の周壁部分が
対向位置する軸直角方向線上で軸部材を挟んだ両側に位
置して形成されているものが、好適に採用される。この
ようなすぐり部を備えた中間製品では、非線形的にばね
剛性が立ち上がるストッパ機構が実現されるのであり、
また、外筒金具の絞り加工によって、すぐり部の軸直角
方向幅寸法を小さくして、ばね剛性の立ち上がり荷重を
十分に小さく設定することも出来る。なお、一対の第二
の周壁部分が対向位置する軸直角方向線上に加えて、一
対の第一の周方向部分が対向位置する軸直角方向線上で
も、軸部材を挟んだ両側に位置するすぐり部を形成する
ことが可能であり、互いに直交する二つの径方向で各一
対のすぐり部を対向位置して形成することにより、径方
向ばね特性のチューニング自由度が一層有利に確保され
得る。
【0018】そして、特に、一対の第二の周壁部分が対
向位置する軸直角方向線上で軸部材を挟んだ両側に位置
してすぐり部が形成されている場合には、すぐり部の存
在により、外筒金具の絞り加工に際して、第二の周壁部
分における必要以上の内方への凹み変形がより発生し易
い傾向にあるが、本発明を採用することによって、かか
る凹み変形が軽減乃至は防止されて、第二の周壁部分に
対して目的とする絞り加工を安定して施すことが可能と
なるのである。
【0019】更にまた、本発明方法は、前記外筒金具の
少なくとも軸方向一方の開口端縁部に対して、外周側に
向かって広がるフランジ状部が形成されてなる防振ブッ
シュの製造に対して、特に有利に採用される。即ち、軸
方向の開口端縁部にフランジ状部が形成されていると、
該フランジ状部により、絞り加工時における軸方向の変
形が制限されること等の理由によって、第二の周壁部分
における必要以上の内方への凹みを伴う潰れ的変形が、
一層大きな問題となり易いのであり、そこにおいて、本
発明方法を採用することによって、そのようなフランジ
状部を備えた外筒金具を有する防振ブッシュを安定して
製造することが出来るのである。なお、フランジ状部
は、外筒金具の軸方向一方の側に形成されていても良い
し、軸方向両側の開口端縁部に形成されていても良い。
また、周方向に連続した環状のフランジ状部の他、周方
向の一部にフランジ状部が形成された外筒金具であって
も良い。更に、フランジ状部が形成されている場合に
は、外筒金具に対する絞り加工を、該フランジ状部に近
接する部分を除いて施すことが望ましく、例えば、フラ
ンジ状部の軸方向内方に近接位置する部分には、絞り加
工が施されない周壁部分を、数mm〜十mm程度の軸方向幅
で設けることが望ましい。
【0020】さらに、本発明方法においては、例えば、
前記中間製品の外筒金具への絞り加工によって、前記ゴ
ム弾性体に対して軸直角方向に10%以上の圧縮変形を
及ぼしめることが出来るのであり、それによって、外筒
金具の絞り後の形状精度を十分に確保しつつ、ゴム弾性
体に対する予圧縮効果等を、一層有利に得ることが可能
となるのである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0022】先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態
としてのサスペンションメンバマウント10が、示され
ている。このサスペンションメンバマウント10は、軸
部材としての内筒金具12と外筒金具14が、互いに径
方向に離間して配置されていると共に、それら内外筒金
具12,14間に、ゴム弾性体としての本体ゴム弾性体
15が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結さ
れた構造とされている。
【0023】より詳細には、内筒金具12は、小径の円
筒形状を有しており、軸方向一方(図1中の左方)の端
部近くには、略平板形状の固定プレート16が固着され
ている。この固定プレート16は、プレス金具等の剛性
部材で構成されており、中心部に貫設された中心孔18
において内筒金具12に外嵌され、溶着固定されてい
る。また、該固定プレート16には、中心孔18を径方
向一方向(図2中の上下方向)に挟んだ両側において、
径方向外方に突出するストッパ板部22および傾斜板部
24が、一体形成されている。図6にも示されているよ
うに、ストッパ板部22は、略一定の幅で、内筒金具1
2から突設されている一方、傾斜板部24は、径方向外
方に向かって幅広となる略扇形状を有しており、内筒金
具12の軸方向外方に向かって傾斜して突設されてい
る。
【0024】また、外筒金具14は、プレス加工等で形
成された大径の略円筒形状を有しており、内筒金具12
に外挿されることにより、内筒金具12の径方向外方に
離間して略同軸的に配設されている。なお、外筒金具1
4の軸方向長さは、内筒金具12よりも短くされてお
り、内筒金具12の軸方向略中央部分に外筒金具14が
位置せしめられ、外筒金具14の軸方向開口部から内筒
金具12の軸方向端部が突出している。また、外筒金具
14の軸方向一方(図1中の左方)の開口周縁部には、
径方向外方に突出するフランジ状部26が、周方向の全
周に亘って一体形成されており、このフランジ状部26
が、内筒金具12の軸方向で、固定プレート16に対し
て、所定距離を隔てて対向位置せしめられている。な
お、フランジ状部26のうち、固定プレート16の傾斜
板部24に対して対向位置する部位は、径方向斜め外方
に傾斜して延長されており、傾斜板部24に対して略平
行な対向面をもって対向位置する傾斜板対向部28が形
成されている。
【0025】更にまた、外筒金具14の筒壁部分は、フ
ランジ状部26側の開口端部に位置する僅かな軸方向長
さの接続筒部30だけを残して、その殆どの部分が絞り
加工によって縮径されている。ここにおいて、縮径され
た筒壁部32は、互いに直交する径方向で対向位置する
部分が、それぞれ、相互に曲率半径の異なる各一対の第
一の周壁部分34,34と第二の周壁部分36,36と
されている。第一の周壁部分34,34は、外筒金具1
4に固設された傾斜板対向部28の突出方向に対して直
交する径方向で対向位置しており、それぞれ、筒壁部3
2の周方向で1/2周より短く、好ましくは1/4周よ
り長い周方向長さ(本実施形態では、略140度)とさ
れている。一方、第二の周壁部分36,36は、第一の
周壁部分34,34を除く部分において、かかる一対の
第一の周壁部分34,34の周方向両端部間に跨がって
位置しており、それぞれ、筒壁部32の周方向で1/2
周より短く、好ましくは1/4周より短い周方向長さ
(本実施形態では、略40度)とされている。第一及び
第二の周壁部分34,36において、このような周方向
長さを採用することにより、互いに直交する径方向のば
ね比を有利に確保することが出来る等の利点がある。
【0026】また、第一の周壁部分34,34は、何れ
も、外筒金具14の中心軸を曲率中心とし、曲率半径が
全周に亘って一定とされた略円弧板形状を有している。
一方、第二の周壁部分36,36は、何れも、対向する
径方向線に対して直交する平面上に広がる実質的に平板
形状を有している。換言すれば、第二の周壁部分36
は、曲率半径が無限大とされて、第一の周壁部分34よ
りも曲率が小さくされている。そして、第二の周壁部分
36,36の対向面間距離が、第一の周壁部分34,3
4の対向面間距離、即ち第一の周壁部分34,34で構
成された筒壁部32の直径寸法よりも、小さくされてい
る。これにより、内筒金具12と外筒金具14の径方向
対向面間距離が、第二の周壁部分36,36の対向方向
よりも第一の周壁部分34,34の対向方向において大
きく設定されている。要するに、かくの如き第一の周壁
部分34,34および第二の周壁部分36,36からな
る外筒金具14の筒壁部32は、径方向一方向(図1,
2中、上下方向)で潰されるようにして扁平化されて、
全体として略小判形の断面形状とされているのである。
【0027】なお、本実施形態では、各第一の周壁部分
34が、その軸方向中央部分において、ごく僅かに大径
化されており(図3参照)、図示しない装着孔に外筒金
具14を圧入して組み付ける際、装着孔への嵌着力が有
利に確保されるようになっている。また、第一の周壁部
分34,34は、その曲率半径が、接続筒部30と略同
じに設定されており、図示しない装着孔への装着に際
し、接続筒部30も装着孔に嵌め込まれて、フランジ状
部26を装着孔の開口端面に重ね合わせることが出来る
ようになっている。
【0028】さらに、本体ゴム弾性体15は、全体とし
て略厚肉の円筒形状を有しており、内筒金具12と外筒
金具14の径方向対向面間の略全体に亘って介在せしめ
られている。そして、かかる本体ゴム弾性体15は、そ
の内外周面が、内筒金具12の外周面と外筒金具14の
内周面にそれぞれ加硫接着されることにより、本体ゴム
弾性体15が、それら内外筒金具12,14を有する一
体加硫成形品として形成されている。また、本体ゴム弾
性体15は、固定プレート16の傾斜板部24と外筒金
具14の傾斜板対向部28との対向面間にも延び出して
おり、以て、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28の
対向面間の全体に亘って充填されたコンプレッションゴ
ム38が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されてい
る。
【0029】更にまた、本体ゴム弾性体15は、固定プ
レート16のストッパ板部22と外筒金具14のフラン
ジ状部26の各対向面にも延び出しており、以て、それ
ら各対向面上において他方の側に向かって突出し、所定
の間隙40を隔てて軸方向で相互に対向位置するストッ
パゴム42,44が、本体ゴム弾性体15と一体的に形
成されている。更に、本体ゴム弾性体15は、固定プレ
ート16の表面を全体に亘って覆って固定プレート16
の外面にまで延び出しており、以て、ストッパ板部22
および傾斜板部24の外面上で軸方向に突出する緩衝ゴ
ム46が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されてい
る。
【0030】また、本体ゴム弾性体15には、外筒金具
14における第一の周壁部分34,34が対向位置する
径方向(図2中、左右方向)で内筒金具12を挟んだ両
側において、固定プレート16と反対側(図1中の右
側)の軸方向端面に開口して、固定プレート16の近く
まで軸方向に直線的に延びる一対の第一のすぐり部4
8,48が形成されている。これら第一のすぐり部4
8,48は、何れも、軸直角方向の断面形状において、
内筒金具12の外周面に沿って周方向に略1/6周の長
さで周方向に延びる円弧形状の周方向空間50aと、該
周方向空間50aの周方向両端部から略径方向外方に向
かって直線的に延びる一対の径方向空間50b,50b
から構成されている。そして、これら第一のすぐり部4
8,48は、それぞれ、内筒金具12と外筒金具14に
おける第一の周壁部分34との径方向対向面間に位置せ
しめられている。また、各第一のすぐり部48の形成部
位には、周方向空間50aと径方向空間50b,50b
によって、外筒金具14から内筒金具12に向かって、
略山形断面形状をもって径方向に突出する第一の径方向
ストッパ52が、本体ゴム弾性体15によって形成され
ている。そして、内外筒金具12,14間に、第一のす
ぐり部48,48が対向する径方向で大きな荷重が入力
された際、第一のすぐり部48が潰れて第一の径方向ス
トッパ52の突出先端面が内筒金具12側に当接するこ
とにより、内外筒金具12,14の径方向における相対
的変位量が非線形的なばね特性をもって緩衝的に制限さ
れるようになっている。
【0031】更にまた、本体ゴム弾性体15には、第一
のすぐり部48,48の対向方向に直交する径方向(図
2中、上下方向)で内筒金具12を挟んだ両側におい
て、第一のすぐり部48と略同様に、軸方向一方の側
(図1中の右側)の端面に開口して、軸方向に延びる一
対の第二のすぐり部54,54が形成されている。これ
ら第二のすぐり部54,54は、何れも、軸直角方向の
断面形状において、内筒金具12の外周面に沿って周方
向に略1/8周の長さで周方向に延びる円弧形状の周方
向空間56aと、該周方向空間56aの周方向両端部か
ら略径方向外方に向かって直線的に延びる一対の径方向
空間56b,56bから構成されている。そして、これ
ら第二のすぐり部54,54は、それぞれ、内筒金具1
2と外筒金具14における第二の周壁部分36との径方
向対向面間に位置せしめられている。また、各第二のす
ぐり部54の形成部位には、周方向空間56aと径方向
空間56b,56bによって、外筒金具14から内筒金
具12に向かって、略山形断面形状をもって径方向に突
出する第二の径方向ストッパ58が、本体ゴム弾性体1
5によって形成されている。そして、内外筒金具12,
14間に、第二のすぐり部54,54が対向する径方向
で大きな荷重が入力された際、第二のすぐり部54が潰
れて第二の径方向ストッパ58の突出先端面が内筒金具
12側に当接することにより、内外筒金具12,14の
径方向における相対的変位量が非線形的なばね特性をも
って緩衝的に制限されるようになっている。
【0032】なお、第一のすぐり部48,48および第
二のすぐり部54,54は、本体ゴム弾性体15を軸方
向に貫通する貫通構造をもって形成することも可能であ
るが、本実施形態では、何れも、本体ゴム弾性体15を
軸方向に貫通しない有底穴構造をもって、実質的に、外
筒金具14の軸方向全長に亘って形成されている。そし
て、これら各一対の第一のすぐり部48,48と第二の
すぐり部54,54が形成されることにより、本体ゴム
弾性体15には、互いに周方向に隣接する第一のすぐり
部48と第二のすぐり部54の間を径方向に延びて内筒
金具12と外筒金具14を弾性的に連結する四本の径方
向連結部60が形成されているのである。また、これら
各一対の第一のすぐり部48,48と第二のすぐり部5
4,54は、外筒金具14の絞り加工によって本体ゴム
弾性体15に予圧縮が加えられることにより、各周方向
空間50a,56aの間隙が小さくされており、以て、
目的とするばね特性およびストッパ特性が付与されてい
る。
【0033】このような構造とされたサスペンションメ
ンバマウント10においては、内筒金具12と外筒金具
14に対して、傾斜板部24と傾斜板対向部28が突出
する径方向(図2中の上下方向)で、それら傾斜板部2
4と傾斜板対向部28を接近させる径方向の外的荷重が
入力されてコンプレッションゴム38が圧縮変形せしめ
られると、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28の対
向面による分力作用によって、内外筒金具12,14に
対して、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28を軸方
向で離間させる方向に、軸方向の相対的変位力が及ぼさ
れる。それ故、かかるサスペンションメンバマウント1
0を、例えば、セミトレーリングアーム式サスペンショ
ン機構を構成するサスペンションメンバに形成された装
着孔に外筒金具14を圧入固定する一方、内筒金具12
をロッド等を介してボデーに固定することにより、図1
において、その左方が車両外方で右方向が車両内方とな
って、図中の左右方向が車両左右方向となり、且つ図中
の上下方向が車両前後方向となる状態で装着することに
よって、上述の分力作用に基づいて、車両旋回時におけ
る車体のロール変位等が有利に抑えられるのである。な
お、本実施形態では、傾斜板部24が、径方向外方に行
くに従って幅広となる扇形状とされていることから、傾
斜板部24と傾斜板対向部28の対向面積を十分に確保
して、上述の如き、分力作用を有効に発揮させることが
出来る。また、本実施形態では、傾斜板対向部28が、
傾斜板部24に対して十分に大きな周方向幅をもって形
成されており、内外筒金具12,14が捩り方向に相対
変位した際にも、傾斜板部24が、その略全面で傾斜板
対向部28に対して対向位置せしめられるようになって
いることから、ねじり荷重と径方向乃至は軸方向荷重が
同時に作用した場合でも、分力作用に基づく所期の効果
が有効に発揮され得るのである。しかも、そのような装
着状態下では、内筒金具12に固着された固定プレート
16の軸方向外面が、外筒金具14が取り付けられるサ
スペンションメンバ側の当接部材(図示せず)に対し
て、緩衝ゴム46を介して当接することによって、内外
筒金具12,14間における、傾斜板部24が傾斜板対
向部28から離間する軸方向の相対変位量が制限され得
ることとなる。
【0034】しかも、かかるサスペンションメンバマウ
ント10においては、外筒金具14が、第一の周壁部分
34,34と第二の周壁部分36,36からなる略扁平
円筒形状とされており、上記装着状態下において、本体
ゴム弾性体15の径方向厚さが、車両上下方向で大き
く、車両前後方向で薄くされていることから、車両上下
方向の防振性能を十分に確保して、良好な乗り心地を確
保しつつ、車両前後方向で比較的大きなばね剛性を確保
して、優れた操縦安定性を得ることが出来るのである。
特に、本実施形態では、第一のすぐり部48の周方向空
間50aよりも、第二のすぐり部54の周方向空間56
aの方が小さく設定されていることにより、特に車両前
後方向において、ばね定数の立ち上がりも早く、且つ大
きなストッパばね剛性が発揮されて、乗り心地を阻害す
ることなく、より優れた操縦安定性が得られるようにな
っている。
【0035】以下、上述の如きサスペンションメンバマ
ウント10の製造方法の一具体例について、説明する。
【0036】先ず、別途製作した内筒金具12と外筒金
具14を、本体ゴム弾性体15の加硫成形型内の所定位
置にセットする。なお、内筒金具12には、予め固定プ
レート16を溶着しておくと共に、内外筒金具12,1
4には、必要に応じて接着処理を施しておく。また、外
筒金具14は、例えば圧延鋼板をプレス加工すること等
によって有利に形成され得る。
【0037】そして、かかる成形型内に本体ゴム弾性体
15のゴム材料を充填し、成形および加硫操作を施すこ
とにより、内外筒金具12,14間で本体ゴム弾性体1
5を加硫成形する。また、かかる成形と同時に、本体ゴ
ム弾性体15を内外筒金具12,14に加硫接着するこ
とによって、図4〜7に示されている如き、中間製品と
しての一体加硫成形品62を製作する。
【0038】ここにおいて、この一体加硫成形品62を
構成する外筒金具14′においては、図8及び図9にも
示されているように、フランジ状部26や接続筒部30
の形状および寸法が、目的とするマウント製品(サスペ
ンションメンバマウント10)を構成する絞り後の外筒
金具14と実質的に同じに設定されているが、その筒壁
部32′は、マウント製品10の最終形状を有する筒壁
部32に比して、絞り代を考慮して、形状および寸法が
一回り大きく設定されている。
【0039】特に、本実施形態では、かかる外筒金具1
4′における筒壁部32′は、絞り後の筒壁部32に対
応して、各一対の第一の周壁部分34′,34′と第二
の周壁部分36′,36′を備えている。第一の周壁部
分34′,34′は、何れも、外筒金具14′の中心軸
上に曲率中心を有し、絞り後の筒壁部32における第一
の周壁部分34,34よりも絞り代だけ大きな曲率半径
を有する円弧板形状を有している。また、第二の周壁部
分36′,36′は、何れも、曲率半径が無限大とされ
て、対向する径方向線に対して直交する平面上に広がる
実質的に平板形状を有している。また、これら第二の周
壁部分36′,36′の対向面間距離が、第一の周壁部
分34′,34′で構成された筒壁部32′の直径寸法
よりは小さく、且つ絞り後の筒壁部32における第二の
周壁部分36,36の対向面間距離よりも絞り代だけ大
きくされている。なお、本実施形態では、第二の周壁部
分36′,36′の対向面間距離が、接続筒部30の直
径寸法と略同じに設定されている。要するに、かくの如
き第一の周壁部分34′,34′および第二の周壁部分
36′,36′からなる外筒金具14′の筒壁部32′
は、絞り後の筒壁部32の形状に対応しており、径方向
一方向(図8,9中、上下方向)で潰されるようにして
扁平化されて、全体として略小判形の断面形状とされて
いるのである。
【0040】なお、このような外筒金具14′を用いて
形成された一体加硫成形品62においては、本体ゴム弾
性体15における第一及び第二のすぐり部48′,5
4′の周方向空間が、それぞれ、径方向外側の内周面が
テーパ面とされることにより、軸方向開口側に向かって
次第に拡開せしめられている。
【0041】そして、かくの如き一体加硫成形品62に
対して、外筒金具14′に絞り加工を施すことにより、
目的とするサスペンションメンバマウント10を得る
が、例えば、外筒金具14′に対する絞り加工を、第一
段階と第二段階の2つの絞り工程で実施することによ
り、目的とする絞り加工が有利に施され得る。
【0042】具体的には、先ず、図10に示されている
ように、八方絞りダイス64a〜hを用い、それらのダ
イス64a〜hを図示しない絞り治具で径方向内方に押
圧し、各ダイス64a〜hを径方向内方に変位させて、
その内周面を外筒金具14′の筒壁部32′の外周面に
圧接させることによって第一段階の絞り加工を行う。そ
の際、外筒金具14′における第一の周壁部分34′,
34′の外周面に圧接されて縮径力を加える八方絞りダ
イス64a〜fは、目的とする第一の周壁部分34,3
4の外周面形状に対応した第一の成形面66,66を協
働して形成するようになっている。また一方、外筒金具
14′における第二の周壁部分36,36の外周面上に
位置せしめられる八方絞りダイス64g〜hは、何れ
も、第一段階の絞り加工に際して、外筒金具14′の外
周面への当接が回避される大径の内周面68を有してお
り、第一段階の絞り完了後においても、内周面68と第
二の周壁部分36′との間には、空間69が介在するよ
うになっている。
【0043】それ故、図10に示されている如き八方絞
りダイス64a〜hを用いた第一段階の絞り加工によっ
て、外筒金具14′における第一の周壁部分34′,3
4′は、目的とする形状に成形されることとなるが、第
二の周壁部分36′,36′は、外周側への膨出変形が
拘束されないことにより、第一の周壁部分34′,3
4′の縮径に伴う余肉が第二の周壁部分36′,36′
に回り込むことによって、径方向外方に膨らんだ形状に
変形せしめられる。
【0044】続く、第二段階の絞り加工では、図11に
示されているように、絞り用ダイス70a〜dを用い、
それらのダイス70a〜dを図示しない絞り治具で径方
向内方に押圧し、その内周面を外筒金具14′の外周面
に圧接させることによって第二段階の絞り加工を行う。
その際、第一段階の絞り加工で目的とする形状に成形さ
れた外筒金具14′の第一の周壁部分34′,34′に
は、目的とする外周面形状に対応した成形面(八方絞り
ダイス64a〜fで得られる第一の成形面66,66と
略同じ形状の成形面)72,72を内周面に備えた絞り
用ダイス70a〜bを、予め重ね合わせて保持せしめた
状態で、第一段階の絞り加工で外方に膨出せしめられた
第二の周壁部分36′,36′に対して、絞り用ダイス
70c〜dを径方向内方に変位させ、それらの成形面
(第二の成形面)74,74を圧接せしめる。これによ
り、第一の周壁部分34′,34′の変形を、絞り用ダ
イス70a〜bによって抑えつつ、絞り用ダイス70c
〜dによって、第二の周壁部分36′,36′を、目的
とする略平板形状に成形せしめるのであり、以て、目的
とする形状の外筒金具14を得る。
【0045】ここにおいて、第二段階の絞り加工に際し
て第二の周壁部分36′,36′に当接して絞り加工を
施す絞り用ダイス70c,70dにおける第二の成形面
74,74は、何れも、第二の周壁部分36′,36′
における目的とする曲率(略零)よりも大きな曲率をも
って周方向に湾曲した湾曲凹面形状とされている。特
に、本実施形態では、かかる第二の成形面74に対し
て、第一の周壁部分36′,36′を成形する第一の成
形面66よりも僅かに大きな曲率の円弧状湾曲凹面が設
定されている。そして、絞り用ダイス70c,70d
は、その第二の成形面74の周方向両端部が、第一の周
壁部分34′,34′の外周面に重ね合わされた絞り用
ダイス70a,70bの成形面72,72の周方向両端
部と略同じ位置になるまで、径方向内方に変位せしめら
れることにより、第二の周壁部分36′,36′に対す
る絞り加工を施すようになっている。また、絞り用ダイ
ス70c,70dにおける第二の成形面74は、絞り用
ダイス70c,70dが絞り加工完了時の移動端に位置
せしめられた際、その成形面74上の何れの点も、第一
段階の絞り加工によって膨出変形した第二の周壁部分3
6′の外周面より径方向内方に位置せしめられるよう
に、形状設計されていることが望ましい。
【0046】要するに、第二の成形面74は、目的とす
る第二の周壁部分36の外周面形状に対して、周方向両
端部から周方向中央部分に行くに従って、径方向外方に
離隔して位置せしめられる湾曲面形状とされている。そ
して、このような第二の成形面74,74を備えた絞り
用ダイス70c,70dを用いて第二段階の絞り加工を
行うことにより、第一段階の絞り加工によって径方向外
方に膨出変形せしめられた第二の周壁部分36′に対し
て、特にその周方向両側部分に対して有効な絞り力が作
用せしめられることとなり、周方向中央部分に対して
は、最終的な段階での大きな絞り力の作用が回避され
る。しかも、第一の周壁部分34′に対する絞り加工
が、先に行われていることから、第一の周壁部分34′
への絞り加工に伴う変形力が、第二の周壁部分36′の
絞り工程時に、第二の周壁部分36′に対して合わせて
大きく作用することが軽減乃至は回避される。
【0047】それ故、第二の周壁部分36′の特に周方
向中央部分における径方向内方への過剰な変形が効果的
に軽減乃至は回避されるのであり、その結果、かかる第
二の周壁部分36′が、目的とする略平坦な板形状に成
形され得るのであり、以て、目的とする扁平な円筒形状
を有する外筒金具14を備えた、前述の如きサスペンシ
ョンメンバマウント10を、安定して得ることが出来る
のである。なお、第二の周壁部分36′の周方向中央部
分に対しては、該第二の周壁部分36′が最終形状に達
する際に、第二の成形面74による直接的な押圧力は作
用し難いが、周方向両側部分に及ぼされる押圧力によっ
て、第二の周壁部分36′の中央部分にも有効な縮径変
形が生ぜしめられることとなり、絞り加工の終了時に
は、図11に示されているように、第二の周壁部分3
6′の中央部分は、第二の成形面74から径方向内方に
離れ、空隙76を介して位置するまで縮径変形せしめら
れることとなる。
【0048】しかも、本実施形態においては、本体ゴム
弾性体15の加硫成形に際して用いられる外筒金具1
4′が、絞り加工後の形状に対応した扁平円筒形状とさ
れていることから、真円筒形状の外筒金具を用いる場合
に比して、絞り加工に際して外筒金具14′に加えられ
る絞り率を、周方向全周に亘って均一化することが出来
る。それ故、本体ゴム弾性体15に対して、周方向全体
に略均一の予圧縮を及ぼすことが出来ると共に、外筒金
具14′の絞り加工に際して、本体ゴム弾性体15と外
筒金具14′の加硫接着部位における引張応力の発生を
軽減乃至は防止することが出来、一層優れた耐久性を確
保することが可能となる。
【0049】また、本実施形態では、外筒金具14にお
いて、略平板形状を有する第二の周壁部分36,36が
安定して形成されることから、車両前後方向(図2中の
上下方向)におけるストッパ当たり面を有利に確保する
ことが出来るのであり、それによって、ストッパ耐荷重
性能やストッパ耐久性の向上等の効果も達成され得る。
【0050】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
上述の実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0051】例えば、前記実施形態では、第一段階の絞
り加工と第二段階の絞り加工を、それぞれ別々の絞りダ
イスを用いて実施することにより、外筒金具14′に対
する絞り加工を行ったが、例えば、一つの絞りダイスを
用いた絞り加工によって、目的とする絞りを実施するこ
とも可能である。具体的には、例えば、図10に示され
た八方絞りダイス64において、第二の周壁部分3
6′,36′の外周に位置せしめられる八方絞りダイス
64g,hを、図11に示された絞り用ダイス70c,
dに変更した八方絞りダイス64a〜fおよび絞り用ダ
イス70c〜dを採用し、絞り用ダイス70c〜dより
も八方絞りダイス64a〜fを先行させて径方向内方に
変位させて、第一の周壁部分34′に対する絞り加工
を、第二の周壁部分36′に対する絞り加工よりも先に
完了させるようにしても良く、それのような絞り加工に
よっても、前記実施形態と同様な効果が発揮され得る。
【0052】また、本体ゴム弾性体15における第一及
び第二のすぐり部48,48,54,54は、マウント
要求特性等に応じて、適当な位置に適当な大きさで設け
られるものであり、本発明において必須のものでなく、
また、それらを軸方向に貫通して形成するようにしても
良い。
【0053】更にまた、ストッパ板部22とフランジ状
部26や、傾斜板部24と傾斜板対向部28およびそれ
らの間に介装されたコンプレッションゴム38等は、必
ずしも設ける必要はない。更にまた、ストッパ板部22
や傾斜板部24の外面上に突出する緩衝ゴム46も、必
ずしも必要なものでない。
【0054】加えて、本発明は、ロール変位を抑えるた
めのサスペンションメンバマウントの他、適度なアンダ
ステア傾向を実現するためのサスペンションメンバマウ
ント,横力コンプライアンスステアを抑制するためのサ
スペンションブッシュ等、或いは、径方向荷重によって
軸方向分力を生ぜしめない単純な円筒形のサスペンショ
ンブッシュ等、各種のサスペンションメンバマウントや
サスペンションブッシュ、或いは自動車のサブフレーム
とボデーの間に介装されるサブフレームマウントなど、
軸部材と外筒金具がゴム弾性体で連結せしめられた構造
の各種の筒形の防振ブッシュに対して、何れも、有利に
適用され得るものである。
【0055】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
方法に従えば、第一の周壁部分の対向方向に直交する軸
直角方向で対向位置する、該第一の周壁部分よりも曲率
が小さい第二の周壁部分に対して、特にその中央部分に
作用せしめられる絞り力が軽減されることにより、第二
の周壁部分における必要以上の縮径変形が防止されるの
であり、以て、目的とする絞り加工を安定して施すこと
が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に従って製造されるサスペンション
メンバマウントの一具体例を示す縦断面図であって、図
2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1における右側面図である。
【図3】図2における III−III 断面図である。
【図4】図1に示されたサスペンションメンバマウント
を得るための中間製品としての一体加硫成形品を示す縦
断面図であって、図5におけるIV−IV断面図である。
【図5】図4における右側面図である。
【図6】図4における左側面図である。
【図7】図5における VII−VII 断面図である。
【図8】図4に示された一体加硫成形品を構成する外筒
金具を示す縦断面図であって、図9におけるVIII−VIII
断面図である。
【図9】図8における右側面図である。
【図10】図4に示された一体加硫成形品に対する第一
段階の絞り加工を説明するための説明図である。
【図11】図4に示された一体加硫成形品に対する第二
段階の絞り加工を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 サスペンションメンバマウント 12 内筒金具 14 外筒金具 15 本体ゴム弾性体 32 筒壁部 34 第一の周壁部分 36 第二の周壁部分 48 第一のすぐり部 54 第二のすぐり部 62 一体加硫成形品 64 八方絞りダイス 66 第一の成形面 70 絞り用ダイス 74 第二の成形面

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と、該軸部材の外周側に離間して
    配された外筒金具を、ゴム弾性体で連結してなる中間製
    品に対して、前記外筒金具に絞り加工を施し、軸直角方
    向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、
    それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の
    周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部分が略
    平板形状とされた略扁平円筒形状の外筒金具を有する防
    振ブッシュを製造するに際して、 前記中間製品の外筒金具における一対の第一の周壁部分
    に対して、該第一の周壁部分において目的とする曲率を
    有する第一の成形面を備えた絞り型を用いて絞り加工を
    施すと共に、該第一の周壁部分に対する絞り加工に遅れ
    て、前記一対の第二の周壁部分に対する絞り加工を、少
    なくとも周方向中央部分が該第二の周壁部分において目
    的とする曲率よりも大きな曲率の湾曲凹面形状とされた
    第二の成形面を備えた絞り型を用いて施すことを特徴と
    する防振ブッシュの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第一の成形面を備えた絞り型と、前
    記第二の成形面を備えた絞り型とを、別体とし、該第一
    の成形面を備えた絞り型による前記外筒金具における第
    一の周壁部分に対する絞り加工を、前記第二の周壁部分
    の外周面を拘束しない状態下で施した後に、該第一の周
    壁部分の外周面を拘束した状態下で、該第二の成形面を
    備えた絞り型による該第二の周壁部分に対する絞り加工
    を施すことを特徴とする請求項1に記載の防振ブッシュ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第二の成形面を、前記第一の成形面
    よりも大きな曲率を有する円弧形状の湾曲凹面とする請
    求項1又は2に記載の防振ブッシュの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記中間製品として、前記軸部材と前記
    外筒金具に対して、前記ゴム弾性体がそれぞれ加硫接着
    された一体加硫成形品を採用する請求項1乃至3の何れ
    かに記載の防振ブッシュの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中間製品を構成する前記外筒金具と
    して、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分
    の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置す
    る一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二
    の周壁部分が略平板形状とされることにより、絞り加工
    後の目的形状に対応した略扁平円筒形状を有する外筒金
    具を採用する請求項1乃至4の何れかに記載の防振ブッ
    シュの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記中間製品において、前記軸部材と前
    記外筒金具の間を軸方向に延びるすぐり部が、少なくと
    も前記一対の第二の周壁部分が対向位置する軸直角方向
    線上で軸部材を挟んだ両側に位置して形成されている請
    求項1乃至5の何れかに記載の防振ブッシュの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記外筒金具の少なくとも軸方向一方の
    開口端縁部に対して、外周側に向かって広がるフランジ
    状部が形成されている請求項1乃至6の何れかに記載の
    防振ブッシュの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記中間製品の外筒金具への絞り加工に
    よって、前記ゴム弾性体に対して軸直角方向に10%以
    上の圧縮変形を及ぼしめる請求項1乃至7の何れかに記
    載の防振ブッシュの製造方法。
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