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JP2000090418A - 磁気抵抗効果素子および磁気記録装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子および磁気記録装置

Info

Publication number
JP2000090418A
JP2000090418A JP10262152A JP26215298A JP2000090418A JP 2000090418 A JP2000090418 A JP 2000090418A JP 10262152 A JP10262152 A JP 10262152A JP 26215298 A JP26215298 A JP 26215298A JP 2000090418 A JP2000090418 A JP 2000090418A
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JP
Japan
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magnetization
layer
layers
pinned
magnetic field
Prior art date
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Pending
Application number
JP10262152A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Koui
克彦 鴻井
Hitoshi Iwasaki
仁志 岩崎
Kazuhiro Saito
和浩 斉藤
Hiromi Fukuya
ひろみ 福家
Hideaki Fukuzawa
英明 福澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP10262152A priority Critical patent/JP2000090418A/ja
Priority to US09/343,270 priority patent/US6313973B1/en
Publication of JP2000090418A publication Critical patent/JP2000090418A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デュアルスピンバルブ構造の磁気抵抗効果素
子において、静電放電により、磁化固着層の磁化が反転
して出力が得られなくなる問題を解決するとともに、素
子内部において磁化自由層に生じるバイアス磁界を打ち
消して、磁界と出力の関係において非対称が生じたり、
出力が飽和したりする問題を解決する方法を提供する。 【解決手段】 磁化固着層に対し、反平行結合層を介し
て反強磁性的に結合する磁化調整層を設け、磁化調整層
と磁化固着層の飽和磁化と厚さの積の値を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はデュアルスピンバル
ブ膜を有する磁気抵抗効果素子、およびデュアルスピン
バルブ膜を有する磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッド
を具備した磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体に記録された情報の読み出
しは、従来、コイルが巻線され磁気ギャップを有する磁
気コアで構成される再生用磁気ヘッドを記録媒体に対し
相対的に移動させ、そのときに磁気ギャップを通じて磁
界を感知しコイルに誘起される電圧を検出する方法によ
って行われてきた。これに対し、磁気記録の高密度化に
伴い、NiFe合金膜などの磁気抵抗効果(MR効果)
を利用した磁気ヘッド(MRヘッド)が、磁気記録媒体
の記録情報をより高感度に読み出すことができるため、
現在では広く用いられるようになった。
【0003】最近においては、磁気記録を一段と高密度
化するために、上記MRヘッドよりもさらに高感度の巨
大磁気抵抗効果(GMR)を応用した高感度な磁気抵抗
効果素子、即ちGMR素子の開発が行われている。GM
R素子の中でも有望視されているのがスピンバルブ構造
と呼ばれる構造であって、これは2枚の金属強磁性層の
間に非磁性金属層をはさんだものである。この構造で一
方の磁性層(磁化固着層)の磁化をバイアス磁界などに
よって固定しておき、もう一方の磁性層(磁化自由層)
の磁化が記録媒体からの磁界によってその向きが磁化を
固定した層に対して相対的に変化したときに、抵抗値の
大きな変化として記録媒体磁界の情報を得ることができ
る。
【0004】このスピンバルブ構造によってより高出力
を得るために、様々な構造が提案されいる。その一つが
デュアルスピンバルブと呼ばれる構造であって、この構
造は磁化が同一方向に固着された2枚の磁化固着層の間
に非磁性金属層を介して磁化自由層を配置したものであ
る。このデュアルスピンバルブ構造によれば、従来の単
一の磁化固着層を有するスピンバルブ膜に比べて、出力
が大きくとれる利点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のスピン
バルブ構造は、出力が大きく得られる反面で、静電放電
(ESD)によって磁化固着層の反転が生じて出力が得
られなくなることがあり、しかもこれを修正して再び出
力が得られるようにすることが困難であるという問題が
あった。またスピンバルブの内部で大きなバイアス磁界
が存在するために、素子のバイアスポイントの設定に困
難があった。
【0006】即ち、従来のスピンバルブ素子においては
静電放電(ESD)によって磁化固着層の反転が生じる
ことがあり、磁化固着層の反転を修正するために、素子
に電流を流してその電流磁界を磁化固着層に加える回路
が提案されている。しかし、従来のデュアルスピンバル
ブ構造の場合には、素子に電流を流してその電流磁界を
磁化固着層に加えると、2枚の磁化固着層には互いに逆
向きの磁界が加わり、このため2枚の磁化固着層は互い
に逆向きに固定されることになる。ところが、デュアル
スピンバルブ構造においては、磁化固着層の磁化が同一
の方向を向いていないと、磁気抵抗変化による出力が得
られない。このため従来のスピンバルブ素子に用いられ
る磁化固着層反転の修正方法が従来のデュアルスピンバ
ルブ構造の場合には適用できないという問題があった。
【0007】他方でデュアルスピンバルブ構造において
は、出力が大きく得られるように磁化固着層を設定する
と、磁化固着層から磁化自由層に大きなバイアス磁界を
生じるために、磁界を読み取る際のプラス成分とマイナ
ス成分を同等に読み出せるようにすることが困難であっ
た。これは磁化固着層が2枚存在するために、出力が大
となるように設計を行おうとすると、2枚の磁化固着層
の飽和磁化Ms と厚さtとの積Ms tの合計値が大きく
なり、その結果として磁化自由層のバイアス磁界が大き
くなるためである。そして2枚の磁化固着層のMs tの
合計値が磁化自由層のMs tよりも大きくなると磁化自
由層と磁化固着層の磁化が静磁気的な結合によって完全
に反平行をなしてしまう。この場合、磁界のプラス方向
あるいはマイナス方向の一方で、磁界が変化しても全く
出力の変化が得られないということが起こってしまう。
【0008】本発明はこのようなデュアルスピンバルブ
素子の問題点を解決すべくなされたもので、ESDが生
じても磁化固着層の磁化反転の発生することがない、あ
るいは発生の可能性がきわめて小さいデュアルスピンバ
ルブ素子で構成された磁気抵抗効果素子を提供するもの
である。
【0009】また本発明はデュアルスピンバルブ素子に
ESDによる磁化固着層反転が生じた場合に素子に電流
を流すことによって磁化固着層の磁化反転を修正するこ
とが可能な磁気抵抗効果素子を提供し、またこの磁気抵
抗効果素子を具備し、磁化反転を修正する回路を有する
磁気記録装置を提供するものである。
【0010】さらに本発明はESDに関して良好な上記
の性質を有するとともに、デュアルスピンバルブ素子の
内部で生じるバイアス磁界を相殺することによって、正
負の磁界に対して出力の対称性が良好な磁気抵抗効果素
子を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の発
明の磁気抵抗効果素子は、強磁性を有する第1の磁化非
固着層、磁化自由層および第2の磁化固着層がこの順序
でそれぞれ非磁性の第1および第2のスペーサ層によっ
て分離されて積層されており、前記第1および第2の磁
化固着層は磁化の向きが同一方向に固着された層であ
り、前記磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変え
ることかできる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵
抗効果素子であって、前記第1の磁化固着層は前記第1
のスペーサ層と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁
性結合した強磁性の第1の磁化調整層を備えており、前
記第2の磁化固着層は前記第2のスペーサ層と反対の側
に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の第2
の磁化調整層を備えており、前記磁気抵抗効果素子に電
流を流して電流磁界を発生させた場合に、磁化調整層の
飽和磁化と厚さと電流磁界との積と、磁化固着層の飽和
磁化と厚さと電流磁界との積とが、前記第1の磁化固着
層と前記第1の磁化調整層との間でほぼ等しく、また前
記第2の磁化固着層と前記第2の磁化調整層の間でほぼ
等しくされていることを特徴とする記載の磁気抵抗効果
素子である。
【0012】ここに、ほぼ等しくされている、とは互い
に反強磁性結合する前記二組の磁化固着層と磁化調整層
のそれぞれにおける、磁化調整層の飽和磁化と厚さと電
流磁界との積を、磁化固着層の飽和磁化と厚さと電流磁
界との積で除した比が、ともに好ましくは0.8以上、
且つ1.2以下、より好ましくは0.9以上、且つ1.
1以下である。
【0013】また本発明は上記スピンバルブ膜を有する
磁気抵抗効果素子であって、前記第1の磁化固着層が前
記第1のスペーサ層と反対の側に反平行結合膜を介して
反強磁性結合した強磁性の第1の磁化調整層を備えてお
り、前記第2の磁化固着層は前記第2のスペーサ層と反
対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性
の第2の磁化調整層を備えており、磁化調整層の飽和磁
化と厚さとの積を磁化固着層の飽和磁化と厚さとの積で
除した値が、前記第1の磁化固着層と第1の磁化調整層
との間、および第2の磁化固着層と第2の磁化調整層と
の間において、ともに0.6以上、1.0未満にされて
いること特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【0014】さらに本発明は上記スピンバルブ膜を有す
る磁気抵抗効果素子であって、前記第1の磁化固着層と
前記第1のスペーサ層と前記磁化自由層と前記第2のス
ペーサ層と前記第2の磁化固着層と前記第2の磁化調整
層の6層の抵抗値によって前記第1のスペーサ層と前記
磁化自由層と前記第2のスペーサ層と前記第2の磁化固
着層の4層の抵抗値を除した値、および前記第2の磁化
調整層に隣接した前記第2の磁化固着層と前記第2のス
ペーサ層と前記磁化自由層と前記第1のスペーサ層と第
1の磁化固着層と第1の磁化調整層の6層の抵抗値によ
って、第2のスペーサ層と磁化自由層と第1のスペーサ
層と第1の磁化固着層の4層の抵抗値を除した値が、と
もに1.1よりも大きくされていることを特徴とする磁
気抵抗効果素子である。
【0015】本発明の構成においては、磁化固着層と磁
化調整層にかかる電流磁界が、それぞれ適切な値になる
ように調整がなされている。着目する一層の磁化固着層
に実質的に電流磁界を発生させる層は、他の一層の磁化
固着層と、二層のスペーサ層と、磁化自由層の4層であ
る。これに対し、この磁化調整層と結合する磁化調整層
に実質的に電流磁界を発生させる層は、他の一層の磁化
調整層と、二層のスペーサ層と、磁化自由層と、磁化固
着層の6層である。このため、磁化調整層に印加される
電流磁界と磁化調整層に印加される電流磁界との比率
は、電流磁界の比率、即ち前者4層の抵抗値の逆数と後
者6層の抵抗値の逆数との比率に等しい。このとき前者
4層の後者6層に対する抵抗の比率が大きい方が磁化調
整層に係る磁界を相対的に大きくすることができ、従っ
て磁化調整層を薄くすることができ、シャント分流によ
る出力の低下を防ぐことができる。従ってこの比率が
1.1より大きい方が良い。
【0016】本発明において、ESDを起こさない構造
として、アモルファスアルミナ上に、 Ta/Au/Ir
Mn/CoFe/Ru/CoFe/Cu/CoFe/Cu/CoFe/ Ru/CoFe/IrMn/Taの
順に積層した構造が、出力の点でも、磁化自由層の磁気
特性の点でも好ましい。3〜8nmのTa上に0.8か
ら2.2nmのAuを形成することで、スピンバルブ膜
全体のfcc構造の(111)配向性を向上させること
ができる。これによって、CoFe磁化自由層の良好な
軟磁性特性が得られる。さらにIrMnも5〜10nm
程度の膜厚で十分な交換バイアス磁界とブロッキング温
度が得られる。つまり、シャント分流による出力の損失
を最小にとどめることができる。そして磁化固着層およ
び磁化自由層は1.5〜3nm程度の膜厚のとき出力の
点で有利である。磁化調整層は、シャント分流による出
力の低減を防ぐためにできるだけ薄い方がよい。そして
ESD反転しない構造として0.7〜1.2nm程度が
望ましい。さらにスペーサ層のCu層は薄膜化した方が
出力が得られるが、強磁性結合磁界を抑えること、そし
てある程度の厚さがないと拡散に弱いことから1.5〜
2nm程度がよい。
【0017】本発明における第1の発明によれば、ES
Dなどにより素子に電流が流れて電流磁界が発生して
も、磁化固着層の磁化は磁化調整層によって安定化され
ているので反転を生じない。従ってESDによる磁化固
着層の反転について心配する必要がない。
【0018】本発明における第2の発明の磁気抵抗効果
素子は、強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁化自由
層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ非磁性
の前記第1および第2のスペーサ層によって分離されて
積層されており、前記第1および第2の磁化固着層は磁
化の向きが同一方向に固着された層であり、前記磁化自
由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることかできる
層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素子であ
って、前記第1の磁化固着層または前記第2の磁化固着
層のいずれか一方に、前記スペーサ層と反対の側に反平
行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の磁化調整層
を備え、前記磁気抵抗効果素子に電流を流して電流磁界
を発生させた際に、前記磁化調整層の飽和磁化と厚さと
電流磁界との積が、これと結合している前記磁化固着層
の飽和磁化と厚さと電流磁界との積よりも大きくされて
いることを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【0019】また本発明は上記スピンバルブ膜を有する
磁気抵抗効果素子であって、前記第1の磁化固着層また
は前記第2の磁化固着層のいずれか一方に、前記スペー
サ層と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合し
た強磁性の磁化調整層を備え、前記磁化調整層の飽和磁
化と厚さとの積を、これと結合している前記磁化固着層
の飽和磁化と厚さとの積で除した値が0.6以上にされ
ていることを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【0020】本発明における第3の発明の磁気抵抗効果
素子は、強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁化自由
層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ非磁性
の前記第1および第2のスペーサ層によって分離されて
積層されており、前記磁化固着層は磁化の向きが同一方
向に固着された層であり、前記磁化自由層は外部磁界に
応じて磁化方向を変えることかできる層であるスピンバ
ルブ膜を有する磁気抵抗効果素子において、前記第1の
磁化固着層が前記第1のスペーサ層と反対の側に反平行
結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の第1の磁化調
整層を備えており、前記第2の磁化固着層は前記第2の
スペーサ層と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性
結合した強磁性の第2の磁化調整層を備えており、前記
磁気抵抗効果素子に電流を流して電流磁界を発生させた
場合に、磁化調整層の飽和磁化と厚さと電流磁界との積
と、磁化固着層の飽和磁化と厚さと電流磁界との積と
が、前記第1の磁化固着層と前記第1の磁化調整層との
間、および前記第2の磁化固着層と前記第2の磁化調整
層との間の一方では磁化調整層よりも磁化固着層におい
て大きく、他方では磁化調整層よりも磁化調整層におい
て大きくされていることを特徴とする記載の磁気抵抗効
果素子である。
【0021】また本発明は上記スピンバルブ膜を有する
磁気抵抗効果素子において、前記第1の磁化固着層が前
記第1のスペーサ層と反対の側に反平行結合膜を介して
反強磁性結合した強磁性の第1の磁化調整層を備えてお
り、前記第2の磁化固着層は前記第2のスペーサ層と反
対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性
の第2の磁化調整層を備えており、磁化調整層の飽和磁
化と厚さとの積を磁化固着層の飽和磁化と厚さとの積で
除した値が、前記第1の磁化固着層と前記第1の磁化調
整層との間、および前記第2の磁化固着層と前記第2の
磁化調整層との間の一方では0.6以下、もう一方では
1以上にされていることを特徴とする請求項5記載の磁
気抵抗効果素子である。
【0022】本発明における第2の発明または第3の発
明によれば、一方を磁化固着層の磁化方向を電流磁界の
方向とし、他方を磁化調整層の磁化方向を電流磁界の方
向とすることができるので、磁気抵抗効果素子に電流を
流した場合の電流磁界の向きが二つの磁化固着層で互い
に逆方向となることを利用して、二つの磁化固着層の方
向を同じ方向に揃えることができる。このため、ESD
により、デュアルスピンバルブ膜の磁化固着層の反転が
発生しても、素子に電流を流すことによって、直ちに修
正ができる。
【0023】また本発明における第4の発明の磁気記録
装置は、上記の磁気抵抗効果素子を具備した磁気記録装
置において、前記磁気抵抗効果素子に電流を流して前記
第1層と前記第3層の磁化固着層の向きを同一方向に固
着する回路を具備していることを特徴とする磁気記録装
置である。
【0024】本発明における第4の発明の磁気記録装置
によれば、電流磁界により磁化固着層の磁化の反転を修
正できるデュアルスピンバルブ素子を有する磁気抵抗効
果素子と磁化固着層の磁化反転修正の電流回路とを具備
しているので、従来のスピンバルブ素子の場合と同様
に、磁化固着層の磁化の反転の修正をすることができ、
出力が大きいなどのデュアルスピンバルブ素子の利点を
磁気記録装置に生かすことができる。
【0025】本発明における第5の発明の磁気抵抗効果
素子は、上記のデュアルスピンバルブ素子を有する磁気
抵抗効果素子において、前記磁化自由層に加わる静磁的
バイアス磁界とスペーサ層を通じて磁化自由層に作用す
る相互作用磁界との和が打ち消し合うように前記磁化調
整層の飽和磁化と厚さとが選択されていることを特徴と
する磁気抵抗効果素子である。
【0026】本発明においては磁化調整層の飽和磁化と
厚さとの積の合計値と、前記磁化調整層の飽和磁化と厚
さとの積の合計値との差を1nm・T以上5nm・T以
下にすることが好ましい。
【0027】本発明における第5の発明によれば、上記
磁気抵抗効果素子において、磁化自由層における磁化固
着層からの静磁的バイアス磁界を磁化調整層からの静磁
的バイアス磁界によって打ち消すことにより磁化自由層
の静磁的バイアス磁界を全体として小さくすることがで
きるだけでなく、これら静磁的バイアス磁界とスペーサ
層を介して磁化固着層から磁化自由層に作用する強磁性
交換相互作用磁界を含めて打ち消し合うようにすること
ができ、磁化自由層のバイアス磁界を全体として小さく
することができる。このため、スペーサ層が薄くなって
強磁性交換相互作用磁界が大きくなった場合でも、バイ
アス磁界を相殺することができ、磁気抵抗効果素子の出
力は正負の磁界に対して対称性を良好にすることができ
る。
【0028】本発明の磁気抵抗効果素子においては、磁
化調整層と結合した交換バイアス層としてIrMn、P
tMn、PdPtMn、RhMn、RhRuMn、Ru
Mn、FeMn、NiMnなどのMn系反強磁性体を用
いることができる。
【0029】また本発明の磁気抵抗効果素子において
は、磁化固着層と磁化調整層の少なくとも1層を硬質磁
性材料で構成することができる。
【0030】本発明の磁気抵抗効果素子は、磁化自由層
の飽和磁化と厚さとの積を、4.5nm・T以下とした
場合に特にすぐれた特徴を発揮することができる。
【0031】そして、これらの技術はMRAM(Magnet
ic Randum Access Memory)にも適用できる技術である。
【0032】 磁化自由層は1.5〜2nm厚のCoFe合金膜 第1および第2のスペーサ層は1.5〜2nmのCu 第1および第2の磁化固着層は1.5〜2nm厚
【0033】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は本発明の
磁気抵抗効果素子の一実施形態のスピンバルブ膜を示す
断面図である。図1において、1、2および3の強磁性
層が4および5の非磁性スペーサ層を介して形成されて
いる。ここに1および3の強磁性層は磁化方向の固着さ
れた磁化固着層であり、2の強磁性層が磁化方向が外部
磁界によって変化する磁化自由層である。磁化固着層
1、3にはそれぞれ強磁性の磁化調整層6、7が反平行
結合膜8、9を介して形成され、その磁化は磁化固着層
の磁化に対し反強磁性的に結合をしている。このため、
磁化固着層に磁界が加わった場合の固着磁化の安定性
は、磁化調整層のない場合に比べてはるかに安定にな
る。また強磁性の磁化調整層6、7の他方の側には、交
換バイアス膜10、11が結合している。この実施の形
態1の構成においては、スピンバルブ膜の各層は例えば
図3に示すような磁化方向に形成されている。図1、図
3における1,6の各層および3、7の各層のMs tを
Ms t(1) 、Ms t(6) 、Ms t(3) 、Ms t(7) で表
わすと、1,6の各層および3、7の各層における磁化
調整層のMs tを磁化自由層のMs tで除した値、Ms
t(6)/Ms t(1) およびMs t(7)/(Ms t(3) を共に
0.6以上、且つ1未満にすることにより、磁化自由層
のバイアス磁界をHinを含めて打ち消すことが可能であ
るとともに、ESDが生じても磁化固着層の磁化反転を
起こさない構成としたものである。
【0034】ESDが生じても磁化固着層の磁化反転を
起こさないためには、磁化固着層における電流磁界とM
s tのとの積が磁化調整層における電流磁界とMs tの
との積に等ければよいと考えられる。スピンバルブにお
いて電流磁界はスピンバルブの外側ほど強いので、磁化
固着層に働く磁界よりも磁化調整層に働く磁界の方が強
いものと考えられる。そこで上下層とも磁化調整層のM
s tを磁化固着層のMs tよりも小さくして、その比を
0.6以上1未満にすることにより、ESDによる反転
を生じないデュアルスピンバルブ膜を得ることができた
ものである。
【0035】(実施の形態2)実施の形態2は、デュア
ルスピンバルブ膜の上下二層の磁化固着層のうち、片側
の磁気固着層のみに磁化調整層を設けたものである。図
2は、デュアルスピンバルブの上下二層の磁化固着層
1、3のうち、片側の磁気固着層3のみに磁化調整層7
が設け、スピンバルブ素子に電流を流して電流磁界を発
生させて上下二層の磁化固着層を同方向に揃えて固着す
ることと、磁化自由層2のバイアス磁界の打ち消しとが
できるようにしたものである。
【0036】この構成においては、磁化固着層3と磁化
調整層7における飽和磁化と厚さと電流磁界との積が、
磁化固着層3よりも磁化調整層7において大きくなるよ
うにすることにより、素子に電流を流したときの電流磁
界によって、磁化調整層7の磁化の方向を電流磁界の方
向に向けて磁化固着層3の磁化方向を電流磁界と逆の方
向に向けることができ、上下二層の磁化固着層を同じ方
向に向けることができるようにしたものである。従って
ESDによってスピンバルブ素子の磁化固着層の磁化が
反転した場合には、磁化調整層の磁化のために、スピン
バルブ素子に電流を流して電流磁界を発生させることに
よって上下二層の磁化固着層を同方向に揃えて再び固着
することが可能である。
【0037】実施の形態2では、磁化調整層7の磁化固
着層3に対するMs tの比、Ms t(7)/(Ms t(3) を
1以上にして上下二層の磁化固着層を同じ方向に向ける
ことを可能にしている。
【0038】スピンバルブ素子に電流を流して、上下二
層の磁化固着層を同方向に揃えて再固着するための電流
駆動回路としては、例えば従来のスピンバルブ素子に対
して用いられている電流駆動回路(例えば米国特許第 5
650887号)を用いることができる。
【0039】また実施の形態2において、磁化自由層2
に生じる静磁的バイアス磁界は、1、3、7の各層のM
s tに関し、Ms t(7) −Ms t(3) =Ms t(1) が成
り立つようにすることで、ほぼゼロにすることができ
る。
【0040】さらに実施の形態2においてスペーサ層
4、5を介して磁化自由層2に働く強磁性相互作用バイ
アス磁界(Hin)を、1、3、7の各層からの静磁的
バイアス磁界の総和によって打ち消すことができる。具
体的にはMs t(1) +Ms t(3) −Ms t(7) が1〜5
nmTであれば、Hinを打ち消すことができる。
【0041】(実施の形態3)実施の形態3は、上記の
実施の形態1の場合と同じ図1の構成において、磁化調
整層を用い、スピンバルブ素子に電流を流して電流磁界
を発生させることによって、上下二層の磁化固着層を同
方向に揃えて固着することができるようにしたものであ
る。
【0042】電流磁界は上下の磁化固着層の位置で互い
に逆向きであることから、一方においては電流磁界とM
s tとの積が磁化調整層よりも磁化固着層の方で大き
く、他方においては電流磁界とMs tとの積が磁化固着
層よりも磁化調整層の方で大きくすることにより、上下
の磁化固着層の向きを同方向に揃えることができる。
【0043】従って上下二層の磁化固着層1および3を
同方向に揃えるために、一方の磁化固着層を電流磁界と
逆方向に向け、磁化調整層を電流磁界の方向に向ける。
このため磁気抵抗効果素子に電流を流して電流磁界を発
生させた場合に、互いに反強磁性結合する二組の磁化固
着層と磁化調整層(1と6、3と7)における飽和磁化
と厚さと電流磁界との積が、一方では磁化調整層よりも
磁化固着層において大きく、もう一方では磁化調整層よ
りも磁化調整層において大きくなるようにしている。
【0044】電流磁界はスピンバルブ膜の外側ほど強い
ので、磁化調整層に働く磁界は磁化固着層に働く磁界よ
りも強い。この実施の形態3においては、互いに反強磁
性結合する二組の磁化固着層と磁化調整層における磁化
調整層の飽和磁化と厚さを磁化固着層の飽和磁化と厚さ
の積で除した比を、一方は0.6以下、他方は1以上に
してこれを実現している。
【0045】(実施の形態4)実施の形態4は、二層の
磁化調整層を有する図1および図3において、上記実施
の形態1または実施の形態3のESD対策を行った上
で、さらに磁化自由層におけるバイアス磁界を小さくす
ることを実施したものである。
【0046】図1および図3において1,6の各層およ
び2、7の各層から磁化自由層にかかる静磁的バイアス
を全体として打ち消し合うように設計することができ、
ほぼゼロにすることができる。これによって磁化調整層
のない場合に問題であった磁化自由層における大きな静
磁バイアスは解消できる。スピンバルブ膜の抵抗変化率
を高めるためには、磁化自由層の膜厚を薄くして、磁化
固着層と同程度のMst(飽和磁化と膜厚の積)に設定
すればよい。
【0047】しかし、磁化自由層のMs tが磁化固着層
のそれと同程度か、それ以下になると、磁化固着層と磁
化自由層の磁化の向きは完全に反平行になるため、バイ
アスポイントの設計が困難であった。特にMs tが5n
mT以下では一般的に設計が困難であったが、本発明の
この実施の形態においては、Ms tが5nm以下でも設
計が容易になる。
【0048】具体的に述べると磁化自由層として飽和磁
化1.8TのCoFeを用いた場合、3nm以下の膜厚
でも設計が可能である。図1、図3における1,6の各
層および2、7の各層のMs tをMs t(1) 、Ms t
(6) 、Ms t(3) 、Ms t(7)で表わすと、Ms t(1)
+Ms t(6) がMs t(3) +Ms t(7) にほぼ等しくす
ることで磁化自由層2に加わる各層からの静磁的バイア
ス磁界は、ほぼゼロにすることができる。
【0049】さらに、スペーサ層4および5を介して磁
化自由層に作用する強磁性的相互作用バイアス磁界(H
in)を、1,6、3、7の各層からの静磁的バイアス磁
界によって打ち消すことができる。これは1,6、3、
7の各層からの静磁的バイアス磁界の総和を、Hinと大
きさが同程度で逆方向にして残すことによって行うこと
ができる。具体的にはCo系合金やNi系合金を用いた
場合には、 (Ms t(1) −Ms t(6) )+(Ms t(3) −Ms t
(7) ) の値が1〜5nmであれば、Hinを打ち消すことができ
る。
【0050】このように強磁性的相互作用バイアス磁界
(Hin)を、各層からの静磁的バイアス磁界によって打
ち消すことは、スペーサ層4、5が薄くなってHinが大
きくなった場合に特に効果的である。
【0051】上記の各実施の形態において、磁化固着層
と磁化調整層とを反強磁性的に結合させる反平行結合膜
は、Ru、Rh、Ir、Crおよびこれらを主成分とす
る物質で形成する。その膜厚は、例えばRuの場合は
0.5〜1.1nm程度が好ましい。いずれの金属も、
それぞれある固有の膜厚を超えると結合が強磁性的にな
ってしまうので膜厚はこの固有の膜厚を超えないことが
必要であり、他方で0.5nm未満の膜は熱による原子
拡散に長時間耐えることができないので、0.5nm以
上が好ましく、0.8nm以上がさらに好ましい。
【0052】また交換バイアス膜としてはRhMn、R
hRuMn、PtMn、FeMn、NiMn、IrM
n、PdPtMnなどMn系合金およびその他のMn系
反強磁性体、NiOおよびNiOを主成分とする酸化物
反強磁性体が用いられる。また、反強磁性体の代わりに
Co、FeおよびNi系の各合金で形成される硬磁性
膜、およびこれら金属の酸化物であるCoフェライトな
どを用いることもできる。
【0053】また磁化固着層および磁化調整層としては
Fe、Co、Ni系の合金であれば軟磁性、硬磁性を問
わず使用することができる。また2種以上の強磁性金属
の積層でもよい。その中でもCo系合金は磁気抵抗変化
率の点で有利である。また、特に硬磁性金属材料を用い
た場合には、交換バイアス膜はなくてもよい。
【0054】これに対し、磁化自由層には軟磁性が求め
られる。このため、パーマロイおよびこれらに添加物を
加えたものを主成分とする磁性層は軟磁性の点で有利で
ある。このほかCoを主成分とする合金のみの磁性層
は、磁気抵抗変化率の点で有利であって、軟磁性を得る
ために、fcc合金とし、実質的に(111)軸が膜面
に対し垂直にすることが好ましい。
【0055】また、この実施の形態においては、実施の
形態1で述べた各構成材料を用いることができ、交換バ
イアス膜としてはMn系反強磁性膜、具体的にはIrM
n、PtMn、PdPtMn、RhMn、RhRuM
n、FeMn、NiMn、IrMnなどが好ましい。
【0056】さらに、上記の各実施の形態の構成におい
て、磁化調整層は磁気抵抗効果に寄与せず、電流が分流
するので出力の低下を招く。このため、磁化調整層は高
抵抗であることが好ましい。具体的にはFe、Co、N
iおよびこれらの合金に、Crなどのデカ元素を加え
た、CoCr、NICr、FeCr、CoFeCr、N
iFeCr、CoPtCr、CoNiFeCr、CoP
dCrなどが好ましい。また飽和磁化Ms の大きな材料
を用いることが、厚さtを小さくして電流の分流を小さ
く抑えることになるので好ましい。
【0057】
【実施例】(実施例1)次に示す構成の上下二層の磁化
固着層が共に磁化調整層を有するスピンバルブを作製し
た。
【0058】実施例1:5nmTa/7nmIrMn/ 2nmCo90Fe10/
0.9nmRu/3nmCo90Fe10/2nmCu/4nmCo90Fe10/2nmCu/ 3nmCo
90Fe10/0.9nmRu/2.5nmCo90Fe10/7nmIrMn/5nmTa この構成のスピンバルブ素子では素子に電流を流して電
流磁界を発生させても、磁化固着層の磁化反転が起きな
いことが確認された。従ってESDによって磁化固着層
の磁化反転が生じることがなく安定である。
【0059】次に磁化調整層の厚さをxnm、磁化固着
層の厚さをynmとして、xとyとを変化させた次に示
す構成のスピンバルブ素子を作製し、素子に電流を流し
て電流磁界を発生させて磁化固着層の磁化反転の有無を
調べた。結果を表1に示す。 5nmTa/7nmIrMn/ xnmCo90Fe10/0.9nmRu/ynmCo90Fe10/2nm
Cu/4nmCo90Fe10/2nmCu/ ynmCo90Fe10/0.9nmRu/xnmCo90F
e10/7nmIrMn/5nmTa
【表1】 (実施例2)次に示す構成のスピンバルブ素子を作製し
た。
【0060】実施例2:5nmTa/7.5nmIrMn/1.6nmCo 90Fe
10/0.85nmRu/2.5nmCo90Fe10/2nmCu/4nmCo90Fe10/2nmCu/
3nmCo90Fe10/0.9nmRu/2.5nmCo 90Fe10/7nmIrMn/5nmTa この構成により、Hinを含む磁化自由層のバイアス磁界
の相殺が得られて良好なバイアスポイントが得られ、し
かも非常に高い出力を得ることができた。
【0061】また、素子に電流を流して磁化固着層の磁
化反転を調べた結果、素子の破壊が生じる85Vまで、
磁化固着層の磁化反転は認められず、非常に安定である
ことがわかった。
【0062】(実施例3)次に示す上下二層の磁化固着
層の一方だけが磁化調整層を有する構成のスピンバルブ
を作製した。
【0063】実施例3:5nmTa/7nmIrMn/ 3nmCo90Fe10/3
nmCu/3nmCo90Fe10/3nmCu/2.5nmCo 90Fe10/0.9nmRu/5.5n
mCo90Fe10/7nmIrMn/5nmTa この構成においても、素子に電流を流すことにより、電
流磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方向に正しく
揃えることができた。このためESDによって磁化固着
層の磁化反転が生じても、素子にパルス電流を流すこと
によって二層の磁化固着層を正規の状態に戻すことがで
きる。さらに磁界の正負に対し対称な形に出力が得ら
れ、従って磁化自由層のバイアス磁界が相殺されている
ことが示された。
【0064】(実施例4)次に示す上下二層の磁化固着
層が共に磁化調整層を有する構成のスピンバルブを作製
した。
【0065】実施例4:5nmTa/7nmIrMn/ 3nmCo90Fe10/
0.9nmRu/2nmCo90Fe10/3nmCu/3nmCo90Fe10/3nmCu/ 3nmCo
90Fe10/0.9nmRu/1.5nmCo90Fe10/7nmIrMn/5nmTa この構成において、素子に電流を流すことにより、電流
磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方向に正しく揃
えることができた。このためESDによって磁化固着層
の磁化反転が生じても、素子にパルス電流を流すことに
よって上下二層の磁化固着層を正規の状態に戻すことが
できる。
【0066】この実施例1の磁気抵抗効果素子の出力特
性の測定結果を図5(a)に示す。図5(a)では磁界
の正負に対し、対称な形に出力が得られ、従って磁化自
由層のバイアス磁界が相殺されていることが確認され
た。
【0067】比較例1:5nmTa/7nmIrMn/3nmCo 90Fe10/3
nmCu/3nmCo90Fe10/3nmCu/ 3nmCo90Fe10/20nmNiO/5nmTa この比較例1の磁気抵抗効果素子の出力特性の測定結果
を図5(b)に示す。図5(b)においては、バイアス
ポイントが大きくずれて、外部磁界が正の側では磁界に
よる出力の変化がほとんど出ていない。
【0068】次に実施例1と比較例1のスピンバルブ膜
について、磁化過程をを測定した。磁界を磁化固着層の
容易軸方向にかけた。磁化固着層の磁化方向が変わる磁
界は実施例1では700Oe程度と大きく、これに対し
比較例では400Oe程度であった。
【0069】(実施例5、実施例6)上下二層の磁化固
着層が共に磁化調整層を有する、次に示す構成のスピン
バルブを作製した。
【0070】実施例5:5nmTa/7InmrMn/ 1.6nmCo90Fe10
/0.9nmRu/3nmCo90Fe10/2nmCu/4nmCo90Fe10/2nmCu/3nmCo
90Fe10/0.9nmRu/4nmCo90Fe10/7nmIrMn/5nmTa 実施例6:5nmTa/7nmIrMn/ 1.6nmCo90Fe10/0.9nmRu/3nm
Co90Fe10/2nmCu/4nmCo90Fe10/2nmCu/3nmCo 90Fe10/0.9n
mRu/3nmCo90Fe10/7nmIrMn/5nmTa この構成において、素子に電流を流すことにより、電流
磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方向に正しく揃
えることができた。このためESDによって磁化固着層
の磁化反転が生じても、素子にパルス電流を流すことに
よって上下二層の磁化固着層を正規の状態に戻すことが
できる。
【0071】実施例5においては、磁化調整層のMs t
の磁化固着層のMs tに対する比が一方では約0.5
3、他方が約1.3であるため、電流磁界によって一方
の磁化固着層の磁化は電流磁界の方向に、他方の磁化固
着層の磁化は電流磁界と逆の方向に向くことによって、
上下二層の磁化固着層が同じ方向に揃うことができたも
のである。
【0072】実施例6の場合は、磁化調整層のMs tの
磁化固着層のMs tに対する比は一方では約0.53で
あるものの、他方ではMs tが等しく比は1である。こ
の場合も磁化調整層に働く電流磁界の方が磁化固着層に
働く電流磁界よりも大きく、従って実施例5の場合と同
様に上下二層の磁化固着層が同じ方向に揃った。
【0073】(実施例7)上下二層の磁化固着層の両方
に磁化調整層を形成したスピンバルブの構成において、
磁化調整層をいずれも硬磁性膜で構成することにより、
交換バイアス膜を省略した。実施例7のスピンバルブ膜
の具体的構成は次の通りである。
【0074】実施例7:5nmTa/3nmCoPt/0.9nmRu/3nmCo9
0Fe10/3nmCu/3nmCo90Fe10/3nmCu/ 3nmCo90Fe10/0.9nmRu
3nmCoPt/5nmTa この実施例5の磁気抵抗効果素子について出力特性を測
定した結果、磁界ゼロを中心に正負に対称な出力が得ら
れた。
【0075】この実施例では磁化調整層を硬磁性膜にし
たが、磁化固着層を硬磁性膜にしても同様結果が得られ
る。また、磁化固着層と磁化調整層とを硬磁性膜にする
こともできる。
【0076】この構成において、素子に電流を流すこと
により、電流磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方
向に正しく揃えることができた。
【0077】(実施例8)上下二層の磁化固着層の片側
のみに磁化調整層を形成したスピンバルブの構成におい
て、磁化調整層を硬磁性膜で構成するとともに、交換バ
イアス膜を省略した。実施例8のスピンバルブ膜の具体
的構成は次の通りである。
【0078】実施例8:5nmTa/20nmNiO/ 3nmCo90Fe10/3
nmCu/5.5nmCo90Fe10/0.9nmRu/2.5nmCoPt/5nmTa この実施例8の磁気抵抗効果素子について出力特性を測
定した結果、磁界ゼロを中心に正負に対称な出力が得ら
れた。
【0079】上記の場合と同様、磁化固着層に硬磁性膜
にしても、また、磁化固着層と磁化調整層とを硬磁性膜
にしても同様の結果が得られた。
【0080】この構成において、素子に電流を流すこと
により、電流磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方
向に正しく揃えることができた。
【0081】また、ここで用いた硬磁性材料のほかに、
Co、CoCrPt、CoCrTa、CoVFeなどを
用いても同様の結果が得られた。さらに、硬磁性材料に
さらに反強磁性交換バイアス膜を積層することで、より
強力な固着をすることができた。このときの反強磁性材
料は、Mn系反強磁性体(RhMn、RuMN、PtM
n、RhRuMn、IrMn、NiMn、FeMn
等)、およびFe、Co、Niを含む酸化物磁性体でも
同様の結果が得られた。また、Mn系反強磁性体の下地
としては、上記実施例で挙げた下地材料をそのまま使用
することができた。
【0082】(実施例9)実施例9においては、Cuの
スペーサ層を介して磁化固着層と磁化自由層が磁気的に
結合することにより、磁化自由層に及ぼすバイアス効果
を、磁化固着層と磁化調整層の静磁バイアス磁界によっ
て打ち消したものである。実施例7のスピンバルブ膜の
具体的構成は次の通りである。
【0083】実施例9:5nmTa/20nmNiO/ 2nmCo90Fe10/
0.9nmRu/3nmCo90Fe10/2nmCu/3nmCo90Fe10/2nmCu/ 3nmCo
90Fe10/0.9nmRu/2nmCo90Fe10/20nmNiO/5nmTa この実施例9の磁気抵抗効果素子について出力特性を測
定した結果を図5(c)に示す。図5(c)にみられる
ように、磁界ゼロを中心に正負に対称な出力が得られ
た。
【0084】磁化固着層からCu層を介して磁化自由層
に及ぼす相互作用磁界はCu層の厚さが3nmでは8O
e程度に過ぎないが、この実施例7のようにCuの厚さ
が2nmに減少すると、相互作用磁界は30Oeと、C
uの厚さの減少によって急激に増大し、以下の比較例2
に示されるように、大きなバイアス効果を生じる。
【0085】この相互作用磁界を磁化固着層と磁化調整
層の静磁バイアス磁界によって打ち消すことができたも
のである。
【0086】この構成において、素子に電流を流すこと
により、電流磁界により上下二層の磁化固着層を同じ方
向に正しく揃えることができた。
【0087】(比較例2)Cuのスペーサ層を実施例7
と同じ2nmにした、次の具体的構成のスピンバルブ膜
を作製した。
【0088】比較例2:5nmTa/20nmNiO/ 3nmCo90Fe10/
0.9nmRu/3nmCo90Fe10/2nmCu/3nmCo90Fe10/2nmCu/ 3nmCo
90Fe10/0.9nmRu/3nmCo90Fe10/20nmNiO/5nmTa この構成はCuのスペーサ層の厚さを2nmにしたもの
で、磁化自由層における静磁バイアス磁界を小さくした
一方で、Cuのスペーサ層の厚さが2nmになって相互
作用磁界が大きいものである。
【0089】この比較例2の磁気抵抗効果素子について
出力特性を測定した結果を図5(d)に示す。図5
(d)にみられるように、相互作用磁界によって出力特
性がシフトし、磁界の正負に対する対称性が損なわれて
いる。
【0090】このように磁界磁化自由層における相互作
用磁界を打ち消すためには、静磁バイアス磁界が有効に
利用できることがわかる。上記実施例および比較例で磁
化自由層に用いたCo90Fe10はMs が1.8Tであ
り、磁化自由層に静磁バイアス磁界を与えるMs tは厚
さ各1nmの場合、二層で3.6nmTである。表1に
は磁化調整層厚さxnm、磁化固着層厚さynmとした
スピンバルブ構成、 5nmTa/20nmNiO/ xnmCo90Fe10/0.9nmRu/ynmCo90Fe10/3nm
Cu/3nmCo90Fe10/3nmCu/ ynmCo90Fe10/0.9nmRu/xnmCo90F
e10/20nmNiO/5nmTa において、x、yの値を変えた場合に測定されたバイア
ス磁界を示す。
【0091】
【表2】 以上の実施例の反強磁性膜において、NiOをIrMn
に代え、あるいは逆にIrMnをNiOに代え、あるい
は反強磁性膜をRhMn、RhRuMn、PtMn、F
eMn、NiMnに代えた場合にも、実施例1と同様の
結果が得られた。この結果はこれら反強磁性膜に添加元
素を加えたもの、あるいは他のMn系反強磁性体でも同
様の結果が得られることを示す。さらにCoフェライト
でも同様の結果が得られ、他のフェライトも使用可能で
あることが示された。
【0092】また以上の実施例と同様の結果が、実施例
の磁化自由層をCoFe合金とNiFe合金の積層膜と
した場合にも得られた。この結果は他のNi系合金や、
他のCo系合金を用いても同様の結果が得られることを
示している。
【0093】また、これらの構造において、TaとIr
Mnの間に、1nmAu,2nmAu,1nmCu,2nmCu.2nmRu,2nmNiFe,
2nmAuCu,1nmAu/1nmCu,1nmRu/1nmCu,1nmCu/1nmRu,1nmCu/
1nmAu,2nmAg の各金属層を挿入した構造でも同様の結果
が得られた。
【0094】また5〜40nmのMn系反強磁性体(Rh
Mn,RuMn,PtMn,RhRuMn,IrMn,NiMn,FeMn等)によってIr
Mnを置き換えても同様の結果が得られた。
【0095】交換バイアス膜に、Mn系反強磁性体を用
いた場合、下地として 5nmTa上に0.8nmの以上の
Cu、Au、NiFe、Ag、Ruを含む合金等を形成
することで、上部の膜室を向上させ、ヘッド作製プロセ
ス時の熱処理による出力の劣化を抑えることができるこ
と、および磁化自由層の軟磁性特性を向上させること、
および反強磁性膜を薄くしても、十分大きな交換バイア
ス磁界を得ることが達成できた。シャント分流の効果を
除くために、反強磁性膜は好ましくは3nm以下に抑え
た方が出力の点で好ましい。この下地としては、fcc
およびhcpの金属合金であれば上記の効果を達成する
ことができる。
【0096】また磁化自由層は0.8nmCoFe/3NiFe/0.8CoF
e,1nmCoFe/4NiFe/1nmCoFe,1nmCoFe/10NiFe/1nmCoFeでも
同様の結果が得られ、任意の膜厚のNiFeとCoFe
の積層膜でも同様の結果が得られることが明らかになっ
た。
【0097】
【発明の効果】本発明によって、デュアルスピンバルブ
構造の磁気抵抗効果素子において、静電放電により、磁
化固着層の磁化が反転して出力が得られなくなる問題を
解決するとともに、素子内部において磁化自由層に生じ
るバイアス磁界を打ち消して、磁界と出力の関係におい
て非対称が生じたり、出力が飽和したりする問題を解決
することができた。
【0098】このため、静電放電やバイアス磁界につい
て懸念することなく、デュアルスピンバルブ構造の磁気
抵抗効果素子を用いて、磁気記録装置の再生信号出力を
高めることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気抵抗効果素子の一実施形態にお
ける膜構成を示す図である。
【図2】 本発明の磁気抵抗効果素子の他の一実施形態
における膜構成を示す図である。
【図3】 本発明の磁気抵抗効果素子の一実施形態にお
ける各磁性層の磁化方向を示す図である。
【図4】 本発明の磁気抵抗効果素子の構造を示す図で
ある。
【図5】 本発明および比較例の磁気抵抗効果素子にお
ける磁界と出力電圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
1、3……磁化固着層、 2……磁化自由層、
4、5……スペーサ層、6、7……磁化調整層、
8、9……反平行結合層、 10、11 ……交換バ
イアス層、 12……スピンバルブ素子、 13…
…リード14……縦バイアス膜、 15……保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 和浩 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 福家 ひろみ 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 福澤 英明 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 Fターム(参考) 5D034 BA05 BA09 BA15 CA07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の第1および第2のスペーサ層によって分離され
    て積層されており、前記第1および第2の磁化固着層は
    磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記磁化
    自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることかでき
    る層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素子で
    あって、前記第1の磁化固着層は前記第1のスペーサ層
    と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強
    磁性の第1の磁化調整層を備えており、前記第2の磁化
    固着層は前記第2のスペーサ層と反対の側に反平行結合
    膜を介して反強磁性結合した強磁性の第2の磁化調整層
    を備えており、前記磁気抵抗効果素子に電流を流して電
    流磁界を発生させた場合に、磁化調整層の飽和磁化と厚
    さと電流磁界との積と、磁化固着層の飽和磁化と厚さと
    電流磁界との積とが、前記第1の磁化固着層と前記第1
    の磁化調整層との間でほぼ等しく、また前記第2の磁化
    固着層と前記第2の磁化調整層の間でもほぼ等しくされ
    ていることを特徴とする記載の磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の第1および第2のスペーサ層によって分離され
    て積層されており、前記第1および第2の磁化固着層は
    磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記磁化
    自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることかでき
    る層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素子で
    あって、前記第1の磁化固着層は前記第1のスペーサ層
    と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強
    磁性の第1の磁化調整層を備えており、前記第2の磁化
    固着層は前記第2のスペーサ層と反対の側に反平行結合
    膜を介して反強磁性結合した強磁性の第2の磁化調整層
    を備えており、磁化調整層の飽和磁化と厚さとの積を磁
    化固着層の飽和磁化と厚さとの積で除した値が、前記第
    1の磁化固着層と第1の磁化調整層、および第2の磁化
    固着層と第2の磁化調整層において、ともに0.6以
    上、1.0未満にされていること特徴とする磁気抵抗効
    果素子。
  3. 【請求項3】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の前記第1および第2のスペーサ層によって分離
    されて積層されており、前記第1および第2の磁化固着
    層は磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記
    磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることか
    できる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素
    子であって、前記第1の磁化固着層と前記第1のスペー
    サ層と前記磁化自由層と前記第2のスペーサ層と前記第
    2の磁化固着層と前記第2の磁化調整層の6層の抵抗値
    によって、前記第1のスペーサ層と前記磁化自由層と前
    記第2のスペーサ層と前記第2の磁化固着層の4層の抵
    抗値を除した値、および前記第2の磁化調整層に隣接し
    た前記第2の磁化固着層と前記第2のスペーサ層と前記
    磁化自由層と前記第1のスペーサ層と第1の磁化固着層
    と第1の磁化調整層の6層の抵抗値によって、第2のス
    ペーサ層と磁化自由層と第1のスペーサ層と第1の磁化
    固着層の4層の抵抗値を除した値が、ともに1.1より
    も大きくされていることを特徴とする磁気抵抗効果素
    子。
  4. 【請求項4】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の前記第1および第2のスペーサ層によって分離
    されて積層されており、前記第1および第2の磁化固着
    層は磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記
    磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることが
    できる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素
    子であって、前記第1の磁化固着層または前記第2の磁
    化固着層のいずれか一方に、前記スペーサ層と反対の側
    に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の磁化
    調整層を備え、前記磁気抵抗効果素子に電流を流して電
    流磁界を発生させた際に、前記磁化調整層の飽和磁化と
    厚さと電流磁界との積が、これと結合している前記磁化
    固着層の飽和磁化と厚さと電流磁界との積よりも大きく
    されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の前記第1および第2のスペーサ層によって分離
    されて積層されており、前記第1および第2の磁化固着
    層は磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記
    磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることか
    できる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素
    子であって、前記第1の磁化固着層または前記第2の磁
    化固着層のいずれか一方に、前記スペーサ層と反対の側
    に反平行結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の磁化
    調整層を備え、前記磁化調整層の飽和磁化と厚さとの積
    を、これと結合している前記磁化固着層の飽和磁化と厚
    さとの積で除した値が1以上にされていることを特徴と
    する磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の前記第1および第2のスペーサ層によって分離
    されて積層されており、前記第1および第2の磁化固着
    層は磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記
    磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることか
    できる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素
    子において、前記第1の磁化固着層が前記第1のスペー
    サ層と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合し
    た強磁性の第1の磁化調整層を備えており、前記第2の
    磁化固着層は前記第2のスペーサ層と反対の側に反平行
    結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の第2の磁化調
    整層を備えており、前記磁気抵抗効果素子に電流を流し
    て電流磁界を発生させた場合に、磁化調整層の飽和磁化
    と厚さと電流磁界との積と、磁化固着層の飽和磁化と厚
    さと電流磁界との積とが、前記第1の磁化固着層と前記
    第1の磁化調整層との間、および前記第2の磁化固着層
    と前記第2の磁化調整層との間の一方では磁化調整層よ
    りも磁化固着層において大きく、他方では磁化調整層よ
    りも磁化調整層において大きくされていることを特徴と
    する記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 強磁性を有する第1の磁化非固着層、磁
    化自由層および第2の磁化固着層がこの順序でそれぞれ
    非磁性の前記第1および第2のスペーサ層によって分離
    されて積層されており、前記第1および第2の磁化固着
    層は磁化の向きが同一方向に固着された層であり、前記
    磁化自由層は外部磁界に応じて磁化方向を変えることか
    できる層であるスピンバルブ膜を有する磁気抵抗効果素
    子において、前記第1の磁化固着層が前記第1のスペー
    サ層と反対の側に反平行結合膜を介して反強磁性結合し
    た強磁性の第1の磁化調整層を備えており、前記第2の
    磁化固着層は前記第2のスペーサ層と反対の側に反平行
    結合膜を介して反強磁性結合した強磁性の第2の磁化調
    整層を備えており、磁化調整層の飽和磁化と厚さとの積
    を磁化固着層の飽和磁化と厚さとの積で除した値が、前
    記第1の磁化固着層と前記第1の磁化調整層との間、お
    よび前記第2の磁化固着層と前記第2の磁化調整層との
    間の一方では0.6以下、他方では1以上にされている
    ことを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし請求項7のいずれか1項
    記載の磁気抵抗効果素子を具備した磁気記録装置におい
    て、前記磁気抵抗効果素子に電流を流して前記第1層と
    前記第3層の磁化固着層の向きを同一方向に固着する回
    路を具備していることを特徴とする磁気記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項7のいずれか1項
    記載の磁気抵抗効果素子において、前記磁化自由層に加
    わる静磁的バイアス磁界とスペーサ層を通じて磁化自由
    層に作用する相互作用磁界との和が打ち消し合うように
    前記磁化調整層の飽和磁化と厚さとが選択されているこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項7のいずれか1
    項記載の磁気抵抗効果素子において、前記磁化調整層の
    飽和磁化と厚さとの積の合計値と、前記磁化調整層の飽
    和磁化と厚さとの積の合計値との差が1nm・T以上5
    nm・T以下にされていることを特徴とする磁気抵抗効
    果素子。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項7または請求項
    9ないし請求項10のいずれか1項記載の磁気抵抗効果
    素子において、少なくとも一層の前記磁化調整層が反平
    行結合膜と反対の側に交換バイアス層を備えていること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし請求項7または請求項
    9ないし請求項11のいずれか1項記載の磁気抵抗効果
    素子において、前記磁化調整層と前記磁化固着層のうち
    少なくとも1層は硬質磁性材料であることを特徴とする
    磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし請求項7または請求項
    9ないし請求項12のいずれか1項記載の磁気抵抗効果
    素子において、前記磁化自由層の飽和磁化と厚さとの積
    を4.5nm・T以下であることを特徴とする磁気抵抗
    効果素子。
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