JP2000058892A - シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents
シリコン系薄膜光電変換装置Info
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- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プラズマCVD法による低温プロセスを用い
て形成される結晶質シリコン系薄膜光電変換層を含む光
電変換装置の低コスト化と高性能化を図る。 【解決手段】 シリコン系薄膜光電変換装置は、基板
1、光反射性金属膜102を有する裏面電極10、少な
くとも1つのシリコン系光電変換ユニット11、および
前面透明電極2を含み、光反射性金属膜102および前
面透明電極2の少なくとも一方はシリコン系光電変換ユ
ニット側の面において表面凹凸形状を有し、凹凸の高低
差が0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸の
ピッチが高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内
にある。
て形成される結晶質シリコン系薄膜光電変換層を含む光
電変換装置の低コスト化と高性能化を図る。 【解決手段】 シリコン系薄膜光電変換装置は、基板
1、光反射性金属膜102を有する裏面電極10、少な
くとも1つのシリコン系光電変換ユニット11、および
前面透明電極2を含み、光反射性金属膜102および前
面透明電極2の少なくとも一方はシリコン系光電変換ユ
ニット側の面において表面凹凸形状を有し、凹凸の高低
差が0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸の
ピッチが高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内
にある。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜光電変換装置に
関し、特に、シリコン系薄膜光電変換装置の低コスト化
と性能改善に関するものである。
関し、特に、シリコン系薄膜光電変換装置の低コスト化
と性能改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、シリコン薄膜、特に多結晶シリコ
ンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜
を利用した光電変換装置の開発が精力的に行なわれてい
る。これらの開発は、安価な基板上に低温プロセスで良
質の結晶質シリコン薄膜を形成することによって光電変
換装置の低コスト化と高性能化を両立させようという試
みであり、太陽電池だけではなくて光センサ等のさまざ
まな光電変換装置への応用が期待されている。なお、本
願明細書において「多結晶」と「微結晶」と「結晶質」
の用語は、薄膜光電変換装置の技術分野において通常用
いられているように、部分的に非晶質を含むものをも意
味するものとする。
ンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜
を利用した光電変換装置の開発が精力的に行なわれてい
る。これらの開発は、安価な基板上に低温プロセスで良
質の結晶質シリコン薄膜を形成することによって光電変
換装置の低コスト化と高性能化を両立させようという試
みであり、太陽電池だけではなくて光センサ等のさまざ
まな光電変換装置への応用が期待されている。なお、本
願明細書において「多結晶」と「微結晶」と「結晶質」
の用語は、薄膜光電変換装置の技術分野において通常用
いられているように、部分的に非晶質を含むものをも意
味するものとする。
【0003】しかし、光電変換層が薄膜である場合、そ
の光吸収係数の小さな長波長領域の光に対して十分な吸
収が生じず、光電変換層における光電変換量がその膜厚
によって制限されることになる。特に結晶質シリコンを
含む光電変換層の場合十分な吸収を生じない。このよう
なことから、光電変換層を含む光電変換ユニットに入射
した光をより有効に利用するために、光反射率の高い金
属層を光電変換ユニットの裏側に設け、この金属層に表
面凹凸(表面テクスチャ)構造を設けることによって光
を光電変換ユニット内へ散乱反射させる工夫がなされて
いる。
の光吸収係数の小さな長波長領域の光に対して十分な吸
収が生じず、光電変換層における光電変換量がその膜厚
によって制限されることになる。特に結晶質シリコンを
含む光電変換層の場合十分な吸収を生じない。このよう
なことから、光電変換層を含む光電変換ユニットに入射
した光をより有効に利用するために、光反射率の高い金
属層を光電変換ユニットの裏側に設け、この金属層に表
面凹凸(表面テクスチャ)構造を設けることによって光
を光電変換ユニット内へ散乱反射させる工夫がなされて
いる。
【0004】また、光入射側の透明電極にも表面凹凸
(表面テクスチャ)構造を設け、それによって光を光電
変換ユニット内へ散乱させ、さらに金属電極で反射され
た光を乱反射させる工夫もなされている。上記のように
表面テクスチャ構造を有する透明電極を含む光電変換装
置は、たとえば特公平6−12840号公報、特開平7
−283432号公報などに開示されており、光電変換
効率が向上することが記載されている。
(表面テクスチャ)構造を設け、それによって光を光電
変換ユニット内へ散乱させ、さらに金属電極で反射され
た光を乱反射させる工夫もなされている。上記のように
表面テクスチャ構造を有する透明電極を含む光電変換装
置は、たとえば特公平6−12840号公報、特開平7
−283432号公報などに開示されており、光電変換
効率が向上することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、薄膜多結晶
シリコン太陽電池に代表的に用いられているようなシリ
コン系光電変換ユニットは、シリコン系薄膜からなる光
電変換層と導電型層を含んでいる。不純物がドープされ
た導電型層は、そのドープされた不純物による光吸収に
よって光電変換層への入射光の減少を引き起こす。した
がって、このような光電変換に寄与しない不純物による
光吸収を低減して光電変換層への入射光を増大させるた
めには、導電型層の膜厚を必要最小限まで薄くすること
が望まれる。
シリコン太陽電池に代表的に用いられているようなシリ
コン系光電変換ユニットは、シリコン系薄膜からなる光
電変換層と導電型層を含んでいる。不純物がドープされ
た導電型層は、そのドープされた不純物による光吸収に
よって光電変換層への入射光の減少を引き起こす。した
がって、このような光電変換に寄与しない不純物による
光吸収を低減して光電変換層への入射光を増大させるた
めには、導電型層の膜厚を必要最小限まで薄くすること
が望まれる。
【0006】このような状況下において、本発明者たち
は、光電変換層内における光吸収を増大させるために好
ましい乱反射を生じ得る表面凹凸構造を有する前面透明
電極や裏面電極を用いる場合に、それらに接する光電変
換ユニットにおける薄い導電型層に機械的および電気的
な欠陥が生じやすく、得られる太陽電池の開放端電圧の
低下や短絡による歩留まりの低下を招くという問題があ
ることを見出した。
は、光電変換層内における光吸収を増大させるために好
ましい乱反射を生じ得る表面凹凸構造を有する前面透明
電極や裏面電極を用いる場合に、それらに接する光電変
換ユニットにおける薄い導電型層に機械的および電気的
な欠陥が生じやすく、得られる太陽電池の開放端電圧の
低下や短絡による歩留まりの低下を招くという問題があ
ることを見出した。
【0007】本発明者たちによって見出されたこのよう
な先行技術における課題に鑑み、本発明は、安価な基板
が使用可能な低温プロセスのみを用いて形成されるシリ
コン系薄膜光電変換装置において、開放端電圧の低下や
生産歩留まりの低下を招くことなく光閉じ込め効果によ
る光電変換特性の改善を図ることを目的としている。
な先行技術における課題に鑑み、本発明は、安価な基板
が使用可能な低温プロセスのみを用いて形成されるシリ
コン系薄膜光電変換装置において、開放端電圧の低下や
生産歩留まりの低下を招くことなく光閉じ込め効果によ
る光電変換特性の改善を図ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者たちが見出した
上述の課題を解決すべく検討を重ねた結果、光電変換ユ
ニットに含まれる半導体接合を構成するすべての半導体
層をプラズマCVD法にて低温で形成するシリコン系薄
膜光電変換装置においては、裏面電極または前面透明電
極の光電変換ユニット側の面に形成される表面凹凸構造
における凹凸の高低差とピッチを制御することによっ
て、高い開放端電圧を得ることができかつ光電変換層に
おける光吸収量が増大する高性能の薄膜光電変換装置が
得られることが見出された。
上述の課題を解決すべく検討を重ねた結果、光電変換ユ
ニットに含まれる半導体接合を構成するすべての半導体
層をプラズマCVD法にて低温で形成するシリコン系薄
膜光電変換装置においては、裏面電極または前面透明電
極の光電変換ユニット側の面に形成される表面凹凸構造
における凹凸の高低差とピッチを制御することによっ
て、高い開放端電圧を得ることができかつ光電変換層に
おける光吸収量が増大する高性能の薄膜光電変換装置が
得られることが見出された。
【0009】すなわち、本発明によるシリコン系薄膜光
電変換装置は、基板、光反射性金属膜を有する裏面電
極、少なくとも1つのシリコン系光電変換ユニット、お
よび前面透明電極を含み、光反射性金属膜および前面透
明電極の少なくとも一方はシリコン系光電変換ユニット
側の面において表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が
0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッ
チが高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内にあ
ることを特徴としている。ここで、表面の凹凸の高低差
とは凸部と凹部の高さの差の平均値を表わし、ピッチと
は隣接する凸部と凸部または凹部と凹部の間の平均距離
を表わしている。
電変換装置は、基板、光反射性金属膜を有する裏面電
極、少なくとも1つのシリコン系光電変換ユニット、お
よび前面透明電極を含み、光反射性金属膜および前面透
明電極の少なくとも一方はシリコン系光電変換ユニット
側の面において表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が
0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッ
チが高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内にあ
ることを特徴としている。ここで、表面の凹凸の高低差
とは凸部と凹部の高さの差の平均値を表わし、ピッチと
は隣接する凸部と凸部または凹部と凹部の間の平均距離
を表わしている。
【0010】本発明では光反射性金属膜のシリコン系光
電変換ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高
低差が0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸
のピッチが前記高低差より大きくかつその25倍以下の
範囲内にあることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換
装置であってよい。
電変換ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高
低差が0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸
のピッチが前記高低差より大きくかつその25倍以下の
範囲内にあることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換
装置であってよい。
【0011】また、前面透明電極のシリコン系光電変換
ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が
0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッ
チが前記高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内
にあることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置で
あってよい。
ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が
0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッ
チが前記高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内
にあることを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置で
あってよい。
【0012】これらの太陽電池は光反射性金属膜と前面
透明電極の両者のシリコン系光電変換ユニット側の面が
表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜2μm
の範囲内にあるとともに、凹凸のピッチが前記高低差よ
り大きくかつその25倍以下の範囲内にあることを特徴
とするシリコン系薄膜光電変換装置であってもよい。
透明電極の両者のシリコン系光電変換ユニット側の面が
表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜2μm
の範囲内にあるとともに、凹凸のピッチが前記高低差よ
り大きくかつその25倍以下の範囲内にあることを特徴
とするシリコン系薄膜光電変換装置であってもよい。
【0013】光反射性金属膜または前面透明電極のシリ
コン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構造は、実質
的に鋭角的な突起を含まない曲線であることが好まし
い。
コン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構造は、実質
的に鋭角的な突起を含まない曲線であることが好まし
い。
【0014】また、光反射性金属膜または前面透明電極
のシリコン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構造
は、実質的に屈曲点を含まない曲線であることが好まし
い。なお屈曲点とは曲線の傾きが不連続的に変化する点
をいう。
のシリコン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構造
は、実質的に屈曲点を含まない曲線であることが好まし
い。なお屈曲点とは曲線の傾きが不連続的に変化する点
をいう。
【0015】ところで、金属層とその上の酸化亜鉛(Z
nO)等の透明導電性酸化物層とを含む裏面電極上にシ
リコン系光電変換ユニットを堆積させた光電変換装置が
近年数多く試みられており、たとえば特開平3−994
77;特開平7−263731;IEEE 1st World Conf.
on Photovoltaic Energy Conversion,p. 405(199
4);Applied Physics Letters, Vol. 70, p. 2975 (1
997)などにおいて報告されている。このように、裏面
電極の金属層とシリコン系光電変換ユニットとの間に透
明導電性酸化物層を介在させることによって、それらの
間の熱膨張係数の相違による熱歪みを緩和し、かつ金属
原子がシリコン系光電変換ユニット内へ拡散して混入す
ることを防止し得る。その結果、得られる光電変換装置
の歩留まりと信頼性が向上するのみならず、光感度が改
善されて光電変換特性も向上することが知られている。
本発明においても、このように光反射性金属膜とシリコ
ン系光電変換ユニットの間に透明導電性酸化膜が含まれ
ていてもよい。
nO)等の透明導電性酸化物層とを含む裏面電極上にシ
リコン系光電変換ユニットを堆積させた光電変換装置が
近年数多く試みられており、たとえば特開平3−994
77;特開平7−263731;IEEE 1st World Conf.
on Photovoltaic Energy Conversion,p. 405(199
4);Applied Physics Letters, Vol. 70, p. 2975 (1
997)などにおいて報告されている。このように、裏面
電極の金属層とシリコン系光電変換ユニットとの間に透
明導電性酸化物層を介在させることによって、それらの
間の熱膨張係数の相違による熱歪みを緩和し、かつ金属
原子がシリコン系光電変換ユニット内へ拡散して混入す
ることを防止し得る。その結果、得られる光電変換装置
の歩留まりと信頼性が向上するのみならず、光感度が改
善されて光電変換特性も向上することが知られている。
本発明においても、このように光反射性金属膜とシリコ
ン系光電変換ユニットの間に透明導電性酸化膜が含まれ
ていてもよい。
【0016】本発明において、光電変換ユニットの少な
くとも1つが1導電型層と、結晶質シリコン系光電変換
層と、逆導電型層とを含む場合に本発明の効果が顕著に
発現する。
くとも1つが1導電型層と、結晶質シリコン系光電変換
層と、逆導電型層とを含む場合に本発明の効果が顕著に
発現する。
【0017】本発明による光電変換装置において、金属
膜は、500〜1200nmの範囲内の波長の光に対し
て95%以上の高い反射率を有することが好ましい。
膜は、500〜1200nmの範囲内の波長の光に対し
て95%以上の高い反射率を有することが好ましい。
【0018】より具体的には、金属膜は、Ag、Au、
Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそれを
含む合金によって形成されていることが好ましい。
Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそれを
含む合金によって形成されていることが好ましい。
【0019】光反射性金属膜とシリコン系光電変換ユニ
ットの間に透明導電性酸化膜が含まれている場合、金属
膜のうち、透明導電性酸化膜との界面はAg、Au、A
l、CuおよびPtから選択された1つまたはそれを含
む合金によって形成されていることが好ましい。
ットの間に透明導電性酸化膜が含まれている場合、金属
膜のうち、透明導電性酸化膜との界面はAg、Au、A
l、CuおよびPtから選択された1つまたはそれを含
む合金によって形成されていることが好ましい。
【0020】結晶質シリコン系光電変換層を用いる場
合、それは400℃以下の下地温度の下に形成されたも
のであって、80%以上の体積結晶化分率と、1〜30
原子%の範囲内の水素含有量と、0.5〜20μmの範
囲内の厚さと、その膜面に平行な(110)の優先結晶
配向面を有し、そのX線回折における(220)回折ピ
ークに対する(111)回折ピークの強度比が0.2以
下であることが好ましい。
合、それは400℃以下の下地温度の下に形成されたも
のであって、80%以上の体積結晶化分率と、1〜30
原子%の範囲内の水素含有量と、0.5〜20μmの範
囲内の厚さと、その膜面に平行な(110)の優先結晶
配向面を有し、そのX線回折における(220)回折ピ
ークに対する(111)回折ピークの強度比が0.2以
下であることが好ましい。
【0021】また、本発明の光電変換装置は、結晶質シ
リコン系光電変換層を含む光電変換ユニットに加えて、
非晶質シリコン系光電変換層を含む光電変換ユニットの
少なくとも1つが積層されたタンデム型にされていても
よい。
リコン系光電変換層を含む光電変換ユニットに加えて、
非晶質シリコン系光電変換層を含む光電変換ユニットの
少なくとも1つが積層されたタンデム型にされていても
よい。
【0022】本発明によるシリコン系薄膜光電変換装置
では、光反射性金属膜を有する裏面電極、少なくとも1
つのシリコン系光電変換ユニット、および前面透明電極
を基板上にこの順序で積層されていてもよい。
では、光反射性金属膜を有する裏面電極、少なくとも1
つのシリコン系光電変換ユニット、および前面透明電極
を基板上にこの順序で積層されていてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】図1の模式的な断面図を参照し
て、本発明の第1の実施の形態によるシリコン系薄膜光
電変換装置が説明される。この光電変換装置の基板1に
は、ステンレス等の金属、有機フィルム、セラミック
ス、または低融点の安価なガラス等が用いられ得る。
て、本発明の第1の実施の形態によるシリコン系薄膜光
電変換装置が説明される。この光電変換装置の基板1に
は、ステンレス等の金属、有機フィルム、セラミック
ス、または低融点の安価なガラス等が用いられ得る。
【0024】基板1上に配置される裏面電極10とし
て、光反射性金属膜102が形成される。裏面電極10
としては光反射性金属膜102と透明導電性酸化膜10
3を含む複合層が好ましい。光反射性金属膜102は、
真空蒸着またはスパッタ等の方法によって基板1上に形
成することができる。反射性金属膜102は、Ag、A
u、Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそ
れを含む合金によって形成されることが好ましい。たと
えば、ガラス基板1上に光反射性の高いAg層102を
100〜330℃の範囲内の基板温度、より好ましくは
200〜300℃の基板温度の下に真空蒸着法によって
形成することができる。また、ガラス基板1とAg層1
02との間に20〜50nmの範囲内の厚さを有するT
i層101を挿入することにより、ガラス基板1とAg
層102との間の付着性を向上させることができる。な
お、このようなTi層101も、蒸着またはスパッタに
よって形成することができる。透明導電性酸化膜103
としては酸化亜鉛が好ましい。
て、光反射性金属膜102が形成される。裏面電極10
としては光反射性金属膜102と透明導電性酸化膜10
3を含む複合層が好ましい。光反射性金属膜102は、
真空蒸着またはスパッタ等の方法によって基板1上に形
成することができる。反射性金属膜102は、Ag、A
u、Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそ
れを含む合金によって形成されることが好ましい。たと
えば、ガラス基板1上に光反射性の高いAg層102を
100〜330℃の範囲内の基板温度、より好ましくは
200〜300℃の基板温度の下に真空蒸着法によって
形成することができる。また、ガラス基板1とAg層1
02との間に20〜50nmの範囲内の厚さを有するT
i層101を挿入することにより、ガラス基板1とAg
層102との間の付着性を向上させることができる。な
お、このようなTi層101も、蒸着またはスパッタに
よって形成することができる。透明導電性酸化膜103
としては酸化亜鉛が好ましい。
【0025】反射性金属膜102の上表面における凹凸
構造は、たとえば、基板1の表面を予めエッチング等に
よって凹凸構造に加工し、その凹凸構造を自分自身の上
表面に伝達し得るような薄い金属膜102を形成するこ
とによって得ることができる。この代わりに、基板1上
に凹凸表面を有する透明導電性酸化物層(図示せず)を
堆積した後に、その凹凸構造を自分自身の上表面に伝達
し得るような薄い金属膜102を形成することによって
も得られる。
構造は、たとえば、基板1の表面を予めエッチング等に
よって凹凸構造に加工し、その凹凸構造を自分自身の上
表面に伝達し得るような薄い金属膜102を形成するこ
とによって得ることができる。この代わりに、基板1上
に凹凸表面を有する透明導電性酸化物層(図示せず)を
堆積した後に、その凹凸構造を自分自身の上表面に伝達
し得るような薄い金属膜102を形成することによって
も得られる。
【0026】光反射性金属膜102の表面凹凸構造にお
ける凹凸の高低差は0.01〜2μmの範囲内にあると
ともに、凹凸のピッチはその高低差より大きくて25倍
以下である。凹凸の高低差は0.01〜1μがより好ま
しく、0.01〜0.5μがさらに好ましく、0.02
〜0.1μが特に好ましい。凹凸のピッチの具体的範囲
は0.3〜1μにあることが好ましく、0.5〜0.8
μにあることがより好ましい。また、凹凸断面形状は鋭
角的な突起を含まないことが好ましく、実質的に屈曲点
を含まないことがさらに好ましい。なお、このような表
面凹凸構造は、金属膜102の断面のTEM(透過型電
子顕微鏡)写真やAFM(原子間力顕微鏡)による表面
観察によって測定され得る。
ける凹凸の高低差は0.01〜2μmの範囲内にあると
ともに、凹凸のピッチはその高低差より大きくて25倍
以下である。凹凸の高低差は0.01〜1μがより好ま
しく、0.01〜0.5μがさらに好ましく、0.02
〜0.1μが特に好ましい。凹凸のピッチの具体的範囲
は0.3〜1μにあることが好ましく、0.5〜0.8
μにあることがより好ましい。また、凹凸断面形状は鋭
角的な突起を含まないことが好ましく、実質的に屈曲点
を含まないことがさらに好ましい。なお、このような表
面凹凸構造は、金属膜102の断面のTEM(透過型電
子顕微鏡)写真やAFM(原子間力顕微鏡)による表面
観察によって測定され得る。
【0027】反射性金属膜102の表面凹凸構造におい
て、凹凸の高低差がピッチに対して大き過ぎれば凹部と
凸部の角度が鋭くなり、その上に堆積されるシリコン系
光電変換ユニット中の半導体接合の形成がうまくいか
ず、最終的に得られる光電変換装置の開放端電圧や製造
歩留まりの低下を招く。すなわち、反射性金属膜102
の表面凹凸構造における凹凸の高低差とピッチに関して
最適値が存在し、凹凸の高低差に対して十分な間隔のピ
ッチを付与して凹部と凸部の角度を緩やかにすることに
よって、高い開放端電圧が得られることが見出された。
このような知見に基づいて、本発明で規定するような高
低差とピッチを含む表面凹凸構造を有する光反射性金属
層102を利用することによって、開放端電圧の低下や
製造歩留まりの低下を伴うことなく、光閉じ込め効果を
改善して高性能の光電変換装置を得ることができる。
て、凹凸の高低差がピッチに対して大き過ぎれば凹部と
凸部の角度が鋭くなり、その上に堆積されるシリコン系
光電変換ユニット中の半導体接合の形成がうまくいか
ず、最終的に得られる光電変換装置の開放端電圧や製造
歩留まりの低下を招く。すなわち、反射性金属膜102
の表面凹凸構造における凹凸の高低差とピッチに関して
最適値が存在し、凹凸の高低差に対して十分な間隔のピ
ッチを付与して凹部と凸部の角度を緩やかにすることに
よって、高い開放端電圧が得られることが見出された。
このような知見に基づいて、本発明で規定するような高
低差とピッチを含む表面凹凸構造を有する光反射性金属
層102を利用することによって、開放端電圧の低下や
製造歩留まりの低下を伴うことなく、光閉じ込め効果を
改善して高性能の光電変換装置を得ることができる。
【0028】光反射性金属膜102上に形成される透明
導電性酸化膜103は、ITO、SnO2、ZnO等か
ら選択された少なくとも1以上の層から形成されること
が好ましく、中でもZnOを主成分とする膜が特に好ま
しい。光電変換ユニット11に隣接して配置される透明
導電性酸化膜103の平均結晶粒径は100nm以上で
あることが好ましく、それを満たすためには100〜4
50℃の範囲内の下地温度の下で透明導電性酸化膜10
3を形成することが望まれる。なお、ZnOを主成分と
する透明導電性酸化膜103の膜厚は50nm〜1μm
の範囲内にあることが好ましく、その比抵抗は1.5×
10-3Ωcm以下であることが好ましい。
導電性酸化膜103は、ITO、SnO2、ZnO等か
ら選択された少なくとも1以上の層から形成されること
が好ましく、中でもZnOを主成分とする膜が特に好ま
しい。光電変換ユニット11に隣接して配置される透明
導電性酸化膜103の平均結晶粒径は100nm以上で
あることが好ましく、それを満たすためには100〜4
50℃の範囲内の下地温度の下で透明導電性酸化膜10
3を形成することが望まれる。なお、ZnOを主成分と
する透明導電性酸化膜103の膜厚は50nm〜1μm
の範囲内にあることが好ましく、その比抵抗は1.5×
10-3Ωcm以下であることが好ましい。
【0029】裏面電極10上には、シリコン系光電変換
ユニット11が形成される。この光電変換ユニット11
に含まれるすべての半導体層が、400℃以下の下地温
度の条件の下にプラズマCVD法によって堆積される。
プラズマCVD法としては、一般によく知られている平
行平板型のRFプラズマCVDを用い得る他、周波数が
150MHz以下のRF帯からVHF帯までの高周波電
源を利用するプラズマCVDを用いてもよい。
ユニット11が形成される。この光電変換ユニット11
に含まれるすべての半導体層が、400℃以下の下地温
度の条件の下にプラズマCVD法によって堆積される。
プラズマCVD法としては、一般によく知られている平
行平板型のRFプラズマCVDを用い得る他、周波数が
150MHz以下のRF帯からVHF帯までの高周波電
源を利用するプラズマCVDを用いてもよい。
【0030】裏面電極10上には、まず光電変換ユニッ
ト11に含まれる1導電型層111が堆積される。この
1導電型層111としては、たとえば導電型決定不純物
原子であるリンがドープされたn型シリコン系薄膜、ま
たはボロンがドープされたp型シリコン系薄膜などが用
いられ得る。しかし、この1導電型層111についての
これらの条件は限定的なものではなく、不純物原子とし
ては、たとえばn型層においては窒素等でもよい。ま
た、1導電型層111の材料としては、非晶質シリコン
の他に非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲル
マニウム等の合金材料の他に、多結晶もしくは部分的に
非晶質を含む微結晶のシリコンまたはその合金材料を用
いることもできる。なお、望まれる場合には、堆積され
たこのような1導電型層111にパルスレーザ光を照射
することにより、その結晶化分率や導電型決定不純物原
子によるキャリア濃度を制御することもできる。
ト11に含まれる1導電型層111が堆積される。この
1導電型層111としては、たとえば導電型決定不純物
原子であるリンがドープされたn型シリコン系薄膜、ま
たはボロンがドープされたp型シリコン系薄膜などが用
いられ得る。しかし、この1導電型層111についての
これらの条件は限定的なものではなく、不純物原子とし
ては、たとえばn型層においては窒素等でもよい。ま
た、1導電型層111の材料としては、非晶質シリコン
の他に非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲル
マニウム等の合金材料の他に、多結晶もしくは部分的に
非晶質を含む微結晶のシリコンまたはその合金材料を用
いることもできる。なお、望まれる場合には、堆積され
たこのような1導電型層111にパルスレーザ光を照射
することにより、その結晶化分率や導電型決定不純物原
子によるキャリア濃度を制御することもできる。
【0031】1導電型層111上には、光電変換層11
2として、非晶質シリコン系薄膜光電変換層または結晶
質シリコン系薄膜光電変換層が堆積される。結晶質シリ
コン系光電変換層112としては、ノンドープの真性半
導体の多結晶シリコン薄膜や体積結晶化分率が80%以
上の微結晶シリコン膜、または微量の不純物を含む弱p
型もしくは弱n型で光電変換機能を十分に備えているシ
リコン系薄膜材料が用いられ得る。しかし、この光電変
換層112はこれらに限定されず、シリコンカーバイド
やシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いて形成され
てもよい。
2として、非晶質シリコン系薄膜光電変換層または結晶
質シリコン系薄膜光電変換層が堆積される。結晶質シリ
コン系光電変換層112としては、ノンドープの真性半
導体の多結晶シリコン薄膜や体積結晶化分率が80%以
上の微結晶シリコン膜、または微量の不純物を含む弱p
型もしくは弱n型で光電変換機能を十分に備えているシ
リコン系薄膜材料が用いられ得る。しかし、この光電変
換層112はこれらに限定されず、シリコンカーバイド
やシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いて形成され
てもよい。
【0032】このような光電変換層112の厚さは0.
1〜20μmの範囲内にある。非晶質シリコン系薄膜光
電変換層112の場合はその厚さが0.1〜2μmの範
囲にあることが好ましく、0.15〜0.5μmの範囲
にあることが好ましい。他方、結晶質シリコン系薄膜光
電変換層112としての必要かつ十分な膜厚の範囲は
0.5〜20μmである。また、結晶質光電変換層11
2は400℃以下の低温で形成されるので、結晶粒界や
粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子
を多く含み、その水素含有量は1〜30原子%の範囲内
にある。さらに、結晶質シリコン系薄膜光電変換層11
2に含まれる結晶粒の多くは下地層から上方に柱状に延
びて成長しており、その膜面に平行に(110)の優先
結晶配向面を有し、そのX線回折における(220)回
折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は0.
2以下であることが好ましい。
1〜20μmの範囲内にある。非晶質シリコン系薄膜光
電変換層112の場合はその厚さが0.1〜2μmの範
囲にあることが好ましく、0.15〜0.5μmの範囲
にあることが好ましい。他方、結晶質シリコン系薄膜光
電変換層112としての必要かつ十分な膜厚の範囲は
0.5〜20μmである。また、結晶質光電変換層11
2は400℃以下の低温で形成されるので、結晶粒界や
粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子
を多く含み、その水素含有量は1〜30原子%の範囲内
にある。さらに、結晶質シリコン系薄膜光電変換層11
2に含まれる結晶粒の多くは下地層から上方に柱状に延
びて成長しており、その膜面に平行に(110)の優先
結晶配向面を有し、そのX線回折における(220)回
折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は0.
2以下であることが好ましい。
【0033】光電変換層112上には、1導電型層11
1とは逆タイプの逆導電型層113としてのシリコン系
薄膜が堆積される。この逆導電型層113としては、た
とえば導電型決定不純物原子であるボロンがドープされ
たp型シリコン系薄膜、またはリンがドープされたn型
シリコン系薄膜などが用いられ得るが、p型シリコン系
薄膜が好ましい。しかし、この逆導電型層113につい
てのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子
としては、たとえばp型層においてはアルミニウム等で
もよい。また、逆導電型層113の材料としては、非晶
質シリコンの他に非晶質シリコンカーバイドや非晶質シ
リコンゲルマニウム等の合金材料を用いてもよく、多結
晶もしくは部分的に非晶質を含む微結晶のシリコンまた
はその合金材料を用いることもできる。
1とは逆タイプの逆導電型層113としてのシリコン系
薄膜が堆積される。この逆導電型層113としては、た
とえば導電型決定不純物原子であるボロンがドープされ
たp型シリコン系薄膜、またはリンがドープされたn型
シリコン系薄膜などが用いられ得るが、p型シリコン系
薄膜が好ましい。しかし、この逆導電型層113につい
てのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子
としては、たとえばp型層においてはアルミニウム等で
もよい。また、逆導電型層113の材料としては、非晶
質シリコンの他に非晶質シリコンカーバイドや非晶質シ
リコンゲルマニウム等の合金材料を用いてもよく、多結
晶もしくは部分的に非晶質を含む微結晶のシリコンまた
はその合金材料を用いることもできる。
【0034】ここで、裏面電極10の表面1Aが実質的
に平坦である場合でも、その上に堆積される光電変換ユ
ニット11が結晶質光電変換層である場合には、その上
面1Bには微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造が形成
される。また、裏面電極10の上表面1Aが凹凸テクス
チャ構造を有する場合、光電変換ユニット11の上面1
Bのテクスチャ構造における微細な凹凸のピッチは、裏
面電極10の上面1Aのそれに比べて小さくなってい
る。これは、光電変換ユニット11に含まれる結晶質光
電変換層112がその堆積時に自然に凹凸テクスチャ構
造を生じることによるものであり、これによって、光電
変換ユニット11の上面1Bが、広範囲の波長領域の入
射光を散乱させるのに適した微細な表面凹凸テクスチャ
構造になり、光電変換装置における光閉じ込め効果も大
きくなる。
に平坦である場合でも、その上に堆積される光電変換ユ
ニット11が結晶質光電変換層である場合には、その上
面1Bには微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造が形成
される。また、裏面電極10の上表面1Aが凹凸テクス
チャ構造を有する場合、光電変換ユニット11の上面1
Bのテクスチャ構造における微細な凹凸のピッチは、裏
面電極10の上面1Aのそれに比べて小さくなってい
る。これは、光電変換ユニット11に含まれる結晶質光
電変換層112がその堆積時に自然に凹凸テクスチャ構
造を生じることによるものであり、これによって、光電
変換ユニット11の上面1Bが、広範囲の波長領域の入
射光を散乱させるのに適した微細な表面凹凸テクスチャ
構造になり、光電変換装置における光閉じ込め効果も大
きくなる。
【0035】光電変換ユニット11の積層が終了した後
に、ITO、SnO2 およびZnOから選択された1以
上の層を含む透明導電性酸化膜が前面透明電極2として
形成される。光電変換ユニット11が表面凹凸構造を有
する場合、前面透明電極2の光電変換ユニット側の面に
はその表面凹凸構造に従った凹凸構造が形成される。ま
た、前面透明電極2自体も、その製膜時に表面に凹凸構
造を生じる傾向を有している。前面透明電極2の光電変
換ユニット側の面も凹凸の高低差が0.01〜2μmの
範囲内にあるとともに、凹凸のピッチがその高低差より
大きくかつ25倍以下の範囲内にあることが好ましい。
に、ITO、SnO2 およびZnOから選択された1以
上の層を含む透明導電性酸化膜が前面透明電極2として
形成される。光電変換ユニット11が表面凹凸構造を有
する場合、前面透明電極2の光電変換ユニット側の面に
はその表面凹凸構造に従った凹凸構造が形成される。ま
た、前面透明電極2自体も、その製膜時に表面に凹凸構
造を生じる傾向を有している。前面透明電極2の光電変
換ユニット側の面も凹凸の高低差が0.01〜2μmの
範囲内にあるとともに、凹凸のピッチがその高低差より
大きくかつ25倍以下の範囲内にあることが好ましい。
【0036】なお、本発明の第1の実施の形態におい
て、反射性金属膜102または前面透明電極2のいずれ
か一方あるいは双方が前述の凹凸の高低差とピッチを有
していれば本発明の効果が発現する。図1の薄膜光電変
換装置の場合、反射性金属膜102が前述の凹凸の高低
差とピッチを有する場合に本発明の効果はもっとも大き
く発現される。この場合、前面透明電極2は反射性金属
膜102と同様な凹凸の高低差とピッチを有するか、さ
らに微細な凹凸構造を有することが好ましい。
て、反射性金属膜102または前面透明電極2のいずれ
か一方あるいは双方が前述の凹凸の高低差とピッチを有
していれば本発明の効果が発現する。図1の薄膜光電変
換装置の場合、反射性金属膜102が前述の凹凸の高低
差とピッチを有する場合に本発明の効果はもっとも大き
く発現される。この場合、前面透明電極2は反射性金属
膜102と同様な凹凸の高低差とピッチを有するか、さ
らに微細な凹凸構造を有することが好ましい。
【0037】さらに、この前面透明電極2上のグリッド
電極3として、Al、Ag、Au、CuおよびPtから
選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金
の層を含む櫛型状の金属電極が形成されて、光電変換装
置が完成する。このようなシリコン系薄膜光電変換装置
において、光電変換されるべき光4は前面透明電極2側
から照射される。
電極3として、Al、Ag、Au、CuおよびPtから
選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金
の層を含む櫛型状の金属電極が形成されて、光電変換装
置が完成する。このようなシリコン系薄膜光電変換装置
において、光電変換されるべき光4は前面透明電極2側
から照射される。
【0038】図2は、図1の第1の実施の形態に代わり
得る第2の実施の形態によるシリコン系薄膜光電変換装
置を示している。なお、図1と2において、同一の参照
番号は互いに対応する部分を示している。図2の薄膜光
電変換装置では、ガラス等の透明な基板1上に前面透明
電極2が形成される。光電変換されるべき光4は透明な
基板1側から入射される。前面透明電極2の材料として
はITO、SnO2およびZnOから選択される1以上
の層を含む透明導電性酸化膜が用いられうる。これらの
材料のうち、透過率、導電率および化学安定性の観点か
らはSnO2が特に好適であり、加工性、導電率および
透過率の観点からはITOも好適である。透明電極2
は、真空蒸着、熱CVDまたはスパッタなどの方法によ
って基板1上に形成され得る。前面透明電極2上にシリ
コン系薄膜光電変換ユニット11が形成される。光電変
換ユニット11としては、図1に示された光電変換ユニ
ットと同様のものが用いられ得る。光入射側の導電型層
113としてはp型が好ましい。
得る第2の実施の形態によるシリコン系薄膜光電変換装
置を示している。なお、図1と2において、同一の参照
番号は互いに対応する部分を示している。図2の薄膜光
電変換装置では、ガラス等の透明な基板1上に前面透明
電極2が形成される。光電変換されるべき光4は透明な
基板1側から入射される。前面透明電極2の材料として
はITO、SnO2およびZnOから選択される1以上
の層を含む透明導電性酸化膜が用いられうる。これらの
材料のうち、透過率、導電率および化学安定性の観点か
らはSnO2が特に好適であり、加工性、導電率および
透過率の観点からはITOも好適である。透明電極2
は、真空蒸着、熱CVDまたはスパッタなどの方法によ
って基板1上に形成され得る。前面透明電極2上にシリ
コン系薄膜光電変換ユニット11が形成される。光電変
換ユニット11としては、図1に示された光電変換ユニ
ットと同様のものが用いられ得る。光入射側の導電型層
113としてはp型が好ましい。
【0039】光電変換ユニット11上に裏面電極10と
して、光反射性金属膜102が形成される。しかし、裏
面電極10としては、光反射性金属膜102と透明導電
性酸化膜103を含む複合膜が好ましい。すなわち、裏
面電極10も、図1に示されたのと同様のものが用いら
れ得る。
して、光反射性金属膜102が形成される。しかし、裏
面電極10としては、光反射性金属膜102と透明導電
性酸化膜103を含む複合膜が好ましい。すなわち、裏
面電極10も、図1に示されたのと同様のものが用いら
れ得る。
【0040】図2の薄膜光電変換装置の場合、前面透明
電極2がシリコン系薄膜光電変換ユニット11側の面に
おいて表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜
2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッチがその高
低差より大きくかつ25倍以下の範囲内にあるときに本
発明の効果が最も大きく発現される。この場合、反射性
金属膜102は前面透明電極2と同様な凹凸の高低差と
ピッチを有するか、さらに微細な凹凸構造を有すること
が好ましい。
電極2がシリコン系薄膜光電変換ユニット11側の面に
おいて表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜
2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッチがその高
低差より大きくかつ25倍以下の範囲内にあるときに本
発明の効果が最も大きく発現される。この場合、反射性
金属膜102は前面透明電極2と同様な凹凸の高低差と
ピッチを有するか、さらに微細な凹凸構造を有すること
が好ましい。
【0041】このような前面透明電極の表面凹凸構造
は、基板1の表面にエッチングなどにより凹凸構造を形
成し、その上に薄い透明電極2を形成して、透明電極2
の表面を基板1の凹凸構造に沿った凹凸構造にする方
法、基板1上に急峻な凹凸表面を有する透明電極層を堆
積した後に、還元雰囲気下などでエッチング処理、プラ
ズマ処理、電子線処理、コロナ処理などにより所望の緩
やかな凹凸構造に加工する方法、または急峻な凹凸表面
を有するSnO2からなる下層上にZnO等の他の導電
層からなる層を形成することによって表面を緩やかな凹
凸構造にする方法等によって得られる。
は、基板1の表面にエッチングなどにより凹凸構造を形
成し、その上に薄い透明電極2を形成して、透明電極2
の表面を基板1の凹凸構造に沿った凹凸構造にする方
法、基板1上に急峻な凹凸表面を有する透明電極層を堆
積した後に、還元雰囲気下などでエッチング処理、プラ
ズマ処理、電子線処理、コロナ処理などにより所望の緩
やかな凹凸構造に加工する方法、または急峻な凹凸表面
を有するSnO2からなる下層上にZnO等の他の導電
層からなる層を形成することによって表面を緩やかな凹
凸構造にする方法等によって得られる。
【0042】たとえば、まず下地基板1の温度を約35
0℃以上、好ましくは約450〜550℃に設定し、S
nCl4、O2、CH3OH、HF、H2Oなどを原料とし
て常圧熱CVDによりSnO2からなる透明電極2を形
成する。SnO2の場合、たとえば常圧熱CVD時に基
板温度や各原料の導入量を変化させることによって表面
の凹凸構造をある程度調整することができる。また、S
nO2層上にZn層を蒸着した後、HClなどを用いて
エッチングすることにより、所望の緩やかな凹凸構造を
得ることができる。この際、Zn蒸着量を変えてエッチ
ング量を変化させることにより、表面凹凸構造を調整す
ることができる。
0℃以上、好ましくは約450〜550℃に設定し、S
nCl4、O2、CH3OH、HF、H2Oなどを原料とし
て常圧熱CVDによりSnO2からなる透明電極2を形
成する。SnO2の場合、たとえば常圧熱CVD時に基
板温度や各原料の導入量を変化させることによって表面
の凹凸構造をある程度調整することができる。また、S
nO2層上にZn層を蒸着した後、HClなどを用いて
エッチングすることにより、所望の緩やかな凹凸構造を
得ることができる。この際、Zn蒸着量を変えてエッチ
ング量を変化させることにより、表面凹凸構造を調整す
ることができる。
【0043】次に、図3の模式的な断面図を参照して、
本発明の第3の実施の形態によるタンデム型シリコン系
薄膜光電変換装置が説明される。図3のタンデム型光電
変換装置においては、基板1上の複数の層201〜20
3および211〜213が、図1の基板1上の複数の層
101〜103および111〜113に対応して同様に
形成される。
本発明の第3の実施の形態によるタンデム型シリコン系
薄膜光電変換装置が説明される。図3のタンデム型光電
変換装置においては、基板1上の複数の層201〜20
3および211〜213が、図1の基板1上の複数の層
101〜103および111〜113に対応して同様に
形成される。
【0044】しかし、図3のタンデム型光電変換装置に
おいては、後方光電変換ユニットとして結晶質シリコン
系光電変換層を含む第1のユニット21を用い、この上
に前方光電変換ユニットとしての第2のユニット22が
さらに重ねて形成される。第2の光電変換ユニット22
は、プラズマCVD法にて順次堆積された第1導電型の
微結晶または非晶質のシリコン系薄膜221、実質的に
真性半導体である非晶質シリコン系薄膜光電変換層22
2、および逆導電型の微結晶または非晶質のシリコン系
薄膜223を含んでいる。第2の光電変換ユニット22
上には、前面透明電極2および櫛型金属電極3が図1の
場合と同様に形成され、これによって図3に示されてい
るようなタンデム型光電変換装置が完成する。
おいては、後方光電変換ユニットとして結晶質シリコン
系光電変換層を含む第1のユニット21を用い、この上
に前方光電変換ユニットとしての第2のユニット22が
さらに重ねて形成される。第2の光電変換ユニット22
は、プラズマCVD法にて順次堆積された第1導電型の
微結晶または非晶質のシリコン系薄膜221、実質的に
真性半導体である非晶質シリコン系薄膜光電変換層22
2、および逆導電型の微結晶または非晶質のシリコン系
薄膜223を含んでいる。第2の光電変換ユニット22
上には、前面透明電極2および櫛型金属電極3が図1の
場合と同様に形成され、これによって図3に示されてい
るようなタンデム型光電変換装置が完成する。
【0045】図4は、図3の第3の実施の形態に代わり
得る第4の実施の形態によるタンデム型光電変換装置を
示している。図3と4の光電変換装置の関係は、図1と
2の関係に類似しており、図3と4中の同一の参照番号
は互いに対応する部分を表わしている。
得る第4の実施の形態によるタンデム型光電変換装置を
示している。図3と4の光電変換装置の関係は、図1と
2の関係に類似しており、図3と4中の同一の参照番号
は互いに対応する部分を表わしている。
【0046】以下において、本発明のいくつかの実施例
によるシリコン系薄膜光電変換装置が比較例による光電
変換装置とともに説明される。
によるシリコン系薄膜光電変換装置が比較例による光電
変換装置とともに説明される。
【0047】(実施例1)図1を参照して説明された第
1の実施の形態に対応して、シリコン系薄膜光電変換装
置が実施例1として作製された。この実施例1において
は、ガラス基板1上に裏面電極10が形成された。裏面
電極10は、順次堆積された厚さ20nmのTi層10
1、厚さ300nmのAg層102、および厚さ100
nmのZnO層103を含んでいる。これらのうち、光
反射性金属膜として働くAg層102は、真空蒸着によ
って堆積された。裏面電極10上には、シリコン系薄膜
光電変換ユニット11に含まれるn型層111、ノンド
ープの結晶質シリコン系光電変換層112、およびp型
層113がプラズマCVD法によって形成された。ま
た、光電変換ユニット11上の前面電極2としては厚さ
80nmの透明導電性ITO膜が形成され、その上に電
流取出し用の櫛型Ag電極3が形成された。
1の実施の形態に対応して、シリコン系薄膜光電変換装
置が実施例1として作製された。この実施例1において
は、ガラス基板1上に裏面電極10が形成された。裏面
電極10は、順次堆積された厚さ20nmのTi層10
1、厚さ300nmのAg層102、および厚さ100
nmのZnO層103を含んでいる。これらのうち、光
反射性金属膜として働くAg層102は、真空蒸着によ
って堆積された。裏面電極10上には、シリコン系薄膜
光電変換ユニット11に含まれるn型層111、ノンド
ープの結晶質シリコン系光電変換層112、およびp型
層113がプラズマCVD法によって形成された。ま
た、光電変換ユニット11上の前面電極2としては厚さ
80nmの透明導電性ITO膜が形成され、その上に電
流取出し用の櫛型Ag電極3が形成された。
【0048】光電変換ユニット11に含まれるノンドー
プの結晶質シリコン系光電変換層112は300℃の下
地温度の下でRFプラズマCVD法によって堆積され、
その膜厚は1.5μmにされた。この結晶質光電変換層
112において、2次イオン質量分析法によって求めら
れた水素含有量は2.3原子%であり、X線回折におけ
る(220)回折ピークに対する(111)回折ピーク
の強度比は0.084であった。
プの結晶質シリコン系光電変換層112は300℃の下
地温度の下でRFプラズマCVD法によって堆積され、
その膜厚は1.5μmにされた。この結晶質光電変換層
112において、2次イオン質量分析法によって求めら
れた水素含有量は2.3原子%であり、X線回折におけ
る(220)回折ピークに対する(111)回折ピーク
の強度比は0.084であった。
【0049】このような実施例1による光電変換装置に
入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2の
光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧
が0.550V、短絡電流密度が22.5mA/c
m2、曲線因子が76.8%、そして変換効率が9.5
0%であった。
入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2の
光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧
が0.550V、短絡電流密度が22.5mA/c
m2、曲線因子が76.8%、そして変換効率が9.5
0%であった。
【0050】(実施例2〜5および比較例1〜2)実施
例2〜5および比較例1〜2においては、光反射性金属
薄膜であるAg層102を形成する際の下地温度と蒸着
速度を変化させることによってその表面凹凸状態が種々
に変えられたこと以外は、実施例1と同じ方法と条件の
下でシリコン系薄膜光電変換装置が作製された。得られ
たAg層102の表面凹凸構造における凹凸の高低差、
ピッチ、およびピッチ/高低差が、光電変換装置の種々
の光電変換特性とともに表1に示されている。なお、表
1においては、実施例1に関する結果も示されている。
例2〜5および比較例1〜2においては、光反射性金属
薄膜であるAg層102を形成する際の下地温度と蒸着
速度を変化させることによってその表面凹凸状態が種々
に変えられたこと以外は、実施例1と同じ方法と条件の
下でシリコン系薄膜光電変換装置が作製された。得られ
たAg層102の表面凹凸構造における凹凸の高低差、
ピッチ、およびピッチ/高低差が、光電変換装置の種々
の光電変換特性とともに表1に示されている。なお、表
1においては、実施例1に関する結果も示されている。
【0051】
【表1】
【0052】図5のグラフでは、実施例1〜3による光
電変換装置における光吸収特性が示されている。すなわ
ち、このグラフにおいて、横軸は光の波長を表わし、縦
軸は光電変換装置の外部量子効率を表わしている。ま
た、実線の曲線A、点線の曲線Bおよび一点鎖線の曲線
Cは、それぞれ実施例1、2および3による光電変換装
置における分光感度特性を表わしている。なお、いずれ
の実施例と比較例においても、結晶質光電変換層112
の厚さが比較的薄い1.5μmに設定されたのは、60
0〜1000nmの長波長領域における光閉じ込め効果
の影響を大きくして確認しやすくするためである。
電変換装置における光吸収特性が示されている。すなわ
ち、このグラフにおいて、横軸は光の波長を表わし、縦
軸は光電変換装置の外部量子効率を表わしている。ま
た、実線の曲線A、点線の曲線Bおよび一点鎖線の曲線
Cは、それぞれ実施例1、2および3による光電変換装
置における分光感度特性を表わしている。なお、いずれ
の実施例と比較例においても、結晶質光電変換層112
の厚さが比較的薄い1.5μmに設定されたのは、60
0〜1000nmの長波長領域における光閉じ込め効果
の影響を大きくして確認しやすくするためである。
【0053】表1と図5のグラフから理解されるよう
に、Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低差の
比率が小さくなるほど、すなわち表面の凹凸が激しくな
るほど600〜1000nmの長波長領域における外部
量子効率が高くなっており、これは光閉じ込め効果が高
まっていることを表わしている。
に、Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低差の
比率が小さくなるほど、すなわち表面の凹凸が激しくな
るほど600〜1000nmの長波長領域における外部
量子効率が高くなっており、これは光閉じ込め効果が高
まっていることを表わしている。
【0054】他方、表1に示されている開放端電圧は、
図5に示された分光感度特性の傾向と必ずしも一致して
おらず、Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低
差の比率が約10〜20の範囲内で比較的高い値を示し
ている。
図5に示された分光感度特性の傾向と必ずしも一致して
おらず、Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低
差の比率が約10〜20の範囲内で比較的高い値を示し
ている。
【0055】ところで、比較例1と2では、それぞれ、
Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低差の比率
が極端に小さな場合と大きい場合が示されている。これ
らの比較例においても、よりなだらかな表面凹凸を含む
比較例2の方が、高い開放端電圧値を示している。ただ
し、図5に示されているのと同様な分光感度特性の測定
結果によれば、比較例2の方が比較例1に比べて光閉じ
込め効果が低くなっていた。また、原因は明らかではな
いが、比較例1のように表面凹凸状態が激し過ぎても、
実施例に比べて却って光閉じ込め効果が低くなるという
結果が得られた。
Ag層102の表面凹凸におけるピッチ/高低差の比率
が極端に小さな場合と大きい場合が示されている。これ
らの比較例においても、よりなだらかな表面凹凸を含む
比較例2の方が、高い開放端電圧値を示している。ただ
し、図5に示されているのと同様な分光感度特性の測定
結果によれば、比較例2の方が比較例1に比べて光閉じ
込め効果が低くなっていた。また、原因は明らかではな
いが、比較例1のように表面凹凸状態が激し過ぎても、
実施例に比べて却って光閉じ込め効果が低くなるという
結果が得られた。
【0056】以上のように、光を反射する金属薄膜10
2の表面は光電変換ユニット11内に光を閉じ込めるた
めにある程度凹凸構造を有することが望まれるが、その
凹凸の高低差が大き過ぎて凹部と凸部の角度が鋭くなれ
ば、その上に形成される光電変換ユニット11内の半導
体接合の形成がうまくいかず、光電変換装置の開放端電
圧や製造歩留まりの低下を招くことになる。このような
ことから、光反射性金属膜102の表面凹凸状態のパラ
メータには、適切な範囲が存在することがわかる。すな
わち、その表面凹凸状態は、0.01〜2μmの範囲内
の高低差を有し、かつ凹凸のピッチ/高低差の比率が1
倍より大きくて25倍以下であることが好ましく、4〜
20倍の範囲内にあることがより好ましい。
2の表面は光電変換ユニット11内に光を閉じ込めるた
めにある程度凹凸構造を有することが望まれるが、その
凹凸の高低差が大き過ぎて凹部と凸部の角度が鋭くなれ
ば、その上に形成される光電変換ユニット11内の半導
体接合の形成がうまくいかず、光電変換装置の開放端電
圧や製造歩留まりの低下を招くことになる。このような
ことから、光反射性金属膜102の表面凹凸状態のパラ
メータには、適切な範囲が存在することがわかる。すな
わち、その表面凹凸状態は、0.01〜2μmの範囲内
の高低差を有し、かつ凹凸のピッチ/高低差の比率が1
倍より大きくて25倍以下であることが好ましく、4〜
20倍の範囲内にあることがより好ましい。
【0057】(実施例6)図3を参照して説明された本
発明の第3の実施の形態に対応して、実施例6としてタ
ンデム型光電変換装置が作製された。この実施例7のタ
ンデム型光電変換装置においては、ガラス基板1上の要
素201〜203および211〜213が、実施例1の
対応する要素101〜103および111〜113と同
様に形成された。ただし、結晶質シリコン系光電変換層
212の膜厚は、3.0μmの厚さに設定された。後方
光電変換ユニットとしての第1のユニット21上には、
前方光電変換ユニットとしての第2のユニット22がさ
らに積層された。この第2の光電変換ユニット22は、
順次積層されたn型層221、非晶質シリコン系光電変
換層222、およびp型層223を含んでいる。非晶質
光電変換層222の厚さは、300nmに設定された。
第2の光電変換ユニット22上には、実施例1の場合と
同様に、透明前面電極2と櫛型Ag電極3が形成され
た。
発明の第3の実施の形態に対応して、実施例6としてタ
ンデム型光電変換装置が作製された。この実施例7のタ
ンデム型光電変換装置においては、ガラス基板1上の要
素201〜203および211〜213が、実施例1の
対応する要素101〜103および111〜113と同
様に形成された。ただし、結晶質シリコン系光電変換層
212の膜厚は、3.0μmの厚さに設定された。後方
光電変換ユニットとしての第1のユニット21上には、
前方光電変換ユニットとしての第2のユニット22がさ
らに積層された。この第2の光電変換ユニット22は、
順次積層されたn型層221、非晶質シリコン系光電変
換層222、およびp型層223を含んでいる。非晶質
光電変換層222の厚さは、300nmに設定された。
第2の光電変換ユニット22上には、実施例1の場合と
同様に、透明前面電極2と櫛型Ag電極3が形成され
た。
【0058】このような実施例6による非晶質/結晶質
型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置に対して入
射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2の光
量で照射したときの出力特性としては、開放端電圧が
1.42V、短絡電流密度が13.0mA/cm2、曲
線因子が73.5%、そして変換効率が13.6%であ
った。
型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置に対して入
射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2の光
量で照射したときの出力特性としては、開放端電圧が
1.42V、短絡電流密度が13.0mA/cm2、曲
線因子が73.5%、そして変換効率が13.6%であ
った。
【0059】以上のように、本発明によれば、高い光閉
じ込め効果と高い開放端電圧を兼ね備えたシリコン系薄
膜光電変換装置を提供することができ、シリコン系薄膜
光電変換装置の低コスト化と高性能化に大きく貢献する
ことができる。
じ込め効果と高い開放端電圧を兼ね備えたシリコン系薄
膜光電変換装置を提供することができ、シリコン系薄膜
光電変換装置の低コスト化と高性能化に大きく貢献する
ことができる。
【図1】本発明の第1の実施の形態によるシリコン系薄
膜光電変換装置を説明するための模式的な断面図であ
る。
膜光電変換装置を説明するための模式的な断面図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施の形態によるシリコン系薄
膜光電変換装置を説明するための模式的な断面図であ
る。
膜光電変換装置を説明するための模式的な断面図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施の形態による非晶質/結晶
質型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を説明す
るための模式的な断面図である。
質型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を説明す
るための模式的な断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態による非晶質/結晶
質型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を説明す
るための模式的な断面図である。
質型のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を説明す
るための模式的な断面図である。
【図5】本発明の実施例によるいくつかの光電変換装置
における外部量子効率の光波長依存性を示すグラフであ
る。
における外部量子効率の光波長依存性を示すグラフであ
る。
1:ガラス等の基板 2:透明導電性酸化膜 3:櫛型金属電極 4:照射光 10、20:裏面電極 11、21:結晶質シリコン系光電変換ユニット 22:非晶質シリコン系光電変換ユニット 101、201:Ti等の金属膜 102、202:Ag等の金属膜 103、203:ZnO等の透明導電性酸化膜 111、211、221:1導電型層 112、212:結晶質シリコン系光電変換層 222:非晶質シリコン系光電変換層 113、213、223:逆導電型層 1A、2A:下地電極の上表面 1B、2B:結晶質シリコン系光電変換ユニットの上表
面
面
Claims (14)
- 【請求項1】 基板、光反射性金属膜を有する裏面電
極、少なくとも1つのシリコン系光電変換ユニット、お
よび前面透明電極を含み、 前記光反射性金属膜および前記前面透明電極の少なくと
も1つはシリコン系光電変換ユニット側の面において表
面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜2μmの
範囲内にあるとともに、凹凸のピッチが前記高低差より
大きくかつその25倍以下の範囲内にあることを特徴と
するシリコン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項2】 前記光反射性金属膜のシリコン系光電変
換ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差
が0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピ
ッチが前記高低差より大きくかつその25倍以下の範囲
内にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系
薄膜光電変換装置。 - 【請求項3】 前記前面透明電極のシリコン系光電変換
ユニット側の面が表面凹凸構造を有し、凹凸の高低差が
0.01〜2μmの範囲内にあるとともに、凹凸のピッ
チが前記高低差より大きくかつその25倍以下の範囲内
にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン系薄
膜光電変換装置。 - 【請求項4】 前記光反射性金属膜と前記前面透明電極
の両者のシリコン系光電変換ユニット側の面が表面凹凸
構造を有し、凹凸の高低差が0.01〜2μmの範囲内
にあるとともに、凹凸のピッチが前記高低差より大きく
かつその25倍以下の範囲内にあることを特徴とする請
求項1に記載のシリコン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項5】 前記光反射性金属膜または前記前面透明
電極のシリコン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構
造は実質的に鋭角的な突起を含まない曲線であることを
特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシリコン
系薄膜光電変換装置。 - 【請求項6】 前記光反射性金属膜または前記前面透明
電極のシリコン系光電変換ユニット側の面の表面凹凸構
造は実質的に屈曲点を含まない曲線であることを特徴と
する請求項1から4のいずれかに記載のシリコン系薄膜
光電変換装置。 - 【請求項7】 前記裏面電極はシリコン系光電変換ユニ
ット側に透明導電性酸化膜を含むことを特徴とする請求
項1から4のいずれかに記載のシリコン系薄膜光電変換
装置。 - 【請求項8】 前記光電変換ユニットの少なくとも1つ
は1導電型層と、結晶質シリコン系光電変換層と、逆導
電型層とを含むことを特徴とする請求項1から4のいず
れかに記載のシリコン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項9】 前記裏面電極中の金属膜は500〜12
00nmの範囲内の波長の光に対して95%以上の高い
反射率を有することを特徴とする請求項1から4のいず
れかに記載のシリコン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項10】 前記裏面電極中の金属膜はAg、A
u、Al、CuおよびPtから選択された1つまたはそ
れを含む合金によって形成されていることを特徴とする
請求項1から4のいずれかに記載のシリコン系薄膜光電
変換装置。 - 【請求項11】 前記裏面電極中の金属膜のうち、前記
透明導電性酸化膜との界面はAg、Au、Al、Cuお
よびPtから選択された1つまたはそれを含む合金によ
って形成されていることを特徴とする請求項7に記載の
シリコン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項12】 前記結晶質シリコン系光電変換層は4
00℃以下の下地温度の下に形成されたものであって、
80%以上の体積結晶化分率と、1〜30原子%の範囲
内の水素含有量と、0.5〜20μmの範囲内の厚さ
と、その膜面に平行な(110)の優先結晶配向面を有
し、そのX線回折における(220)回折ピークに対す
る(111)回折ピークの強度比が0.2以下であるこ
とを特徴とする請求項8に記載のシリコン系薄膜光電変
換装置。 - 【請求項13】 前記シリコン系光電変換装置は、前記
結晶質シリコン系光電変換層を含む結晶質光電変換ユニ
ットに加えて、非晶質シリコン系光電変換層を含む非晶
質光電変換ユニットの少なくとも1つが積層されたタン
デム型であることを特徴とする請求項8に記載のシリコ
ン系薄膜光電変換装置。 - 【請求項14】 光反射性金属膜を有する裏面電極、少
なくとも1つのシリコン系光電変換ユニット、および前
面透明電極は基板上にこの順序で積層されることと特徴
とする請求項1から13のいずれかに記載のシリコン系
薄膜光電変換装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11151847A JP2000058892A (ja) | 1998-06-01 | 1999-05-31 | シリコン系薄膜光電変換装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15104998 | 1998-06-01 | ||
JP10-151049 | 1998-06-01 | ||
JP11151847A JP2000058892A (ja) | 1998-06-01 | 1999-05-31 | シリコン系薄膜光電変換装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000058892A true JP2000058892A (ja) | 2000-02-25 |
Family
ID=26480438
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11151847A Withdrawn JP2000058892A (ja) | 1998-06-01 | 1999-05-31 | シリコン系薄膜光電変換装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000058892A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001308362A (ja) * | 2000-04-24 | 2001-11-02 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法 |
JP2002151716A (ja) * | 2000-11-08 | 2002-05-24 | Sharp Corp | 多接合型薄膜太陽電池 |
JP2002222975A (ja) * | 2001-01-29 | 2002-08-09 | Kyocera Corp | 薄膜結晶質Si太陽電池およびその製造方法 |
US6750394B2 (en) | 2001-01-12 | 2004-06-15 | Sharp Kabushiki Kaisha | Thin-film solar cell and its manufacturing method |
JP2004297008A (ja) * | 2003-03-28 | 2004-10-21 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | p型半導体材料、その作製方法、その作製装置、光電変換素子、発光素子、および薄膜トランジスタ |
JP2006310503A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Sanyo Electric Co Ltd | 積層型光起電力装置 |
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JP4814307B2 (ja) * | 2005-03-22 | 2011-11-16 | コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ | 薄膜シリコンに基づいた光電池の製造方法 |
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JP2013041996A (ja) * | 2011-08-16 | 2013-02-28 | Kaneka Corp | 薄膜光電変換装置 |
-
1999
- 1999-05-31 JP JP11151847A patent/JP2000058892A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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---|---|---|---|
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