[go: up one dir, main page]

JP2000053708A - メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法 - Google Patents

メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法

Info

Publication number
JP2000053708A
JP2000053708A JP22265298A JP22265298A JP2000053708A JP 2000053708 A JP2000053708 A JP 2000053708A JP 22265298 A JP22265298 A JP 22265298A JP 22265298 A JP22265298 A JP 22265298A JP 2000053708 A JP2000053708 A JP 2000053708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactor
polymer
polymerization
weight
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22265298A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Nakamoto
哲生 中本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP22265298A priority Critical patent/JP2000053708A/ja
Publication of JP2000053708A publication Critical patent/JP2000053708A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/10Esters
    • C08F220/12Esters of monohydric alcohols or phenols
    • C08F220/14Methyl esters, e.g. methyl (meth)acrylate

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的透明性、耐候性および耐熱分解性に優
れたメタクリル系重合体の生産性および製造安定性に優
れた連続溶液重合法。 【解決手段】 メタクリル酸メチル単量体、アルキル基
の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル単
量体の特定の割合の混合物95.0〜99.9重量%と
非重合性溶媒5.0〜10.0重量%からなる蒸留精製
された混合物、特定の遊離基発生剤、連鎖移動剤からな
る供給液を気体窒素と向流接触させ、溶存酸素含有量を
1ppm以下とし、透過粒径2μm以下のフィルターを
通過させた後、反応器に供給、温度を130〜170
℃、平均滞留時間を0.5〜1.9時間、遊離基発生剤
の半減期と反応器中の平均滞留時間の比を5.0×10
-4〜2.50、反応器中の重合体濃度(重量分率)の比
を0.5×10-6〜6.0×10-6mol・g-1の条件
下に連続的に重合反応させることを特徴とするメタクリ
ル系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的透明性、耐
候性に優れた、射出成形、押出成形等の熱成形用の材料
に適したメタクリル系重合体の生産性に優れた製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】メチルメタクリレート重合体またはメチ
ルメタクリレートを主成分とするメタクリル系共重合体
からなるアクリル樹脂は、その卓越した透明性、耐候
性、そして良好な機械的性質、表面硬度、加工性並びに
成形品における外観の美麗さ等によって、例えば、各種
光学レンズ、光ディスク、導光板等の光学用途、照明器
具、看板、各種装飾品、銘板、テーブルウェアー、自動
車用テールランプ等の外装部品やエクステリア用品等の
屋外用途に広く使用されている。
【0003】これらのメタクリル系重合体のうち一般に
塊状重合、溶液重合法により製造されたメタクリル系重
合体は、懸濁重合法により製造されたメタクリル系重合
体と比較して、不純物が少なく光学特性は良好な重合体
を製造することが可能であるだけでなく、生産性に優れ
た連続プロセスが可能である。このため、連続塊状重
合、連続溶液重合法は特に高品質な重合体を高生産性条
件下に製造可能なプロセスとして注目され、技術の高度
化が求められている。
【0004】一方、そのメタクリル系樹脂を射出成形に
より成形する場合に発生する問題点としては、成形品の
銀状痕(シルバーストリークス)や、気泡の発生、耐熱
変形性の低下、発生ガスによる作業環境の悪化等があっ
た。これらの問題は一般に成形時の溶融樹脂の温度を低
下させることにより、抑制されることが多いが、その場
合には溶融流動性の低下により大型や薄肉形状の成形品
の成形が困難になったり、成形品の残留歪みが製品品質
を低下させる等の理由により、その用途が制限される場
合があった。
【0005】これらの問題は、メタクリル系重合体で
は、熱分解温度と重合体が成形加工に必要な溶融流動性
を示す温度が近接しているために、成形時に重合体の分
解反応が生じることに起因するメタクリル樹脂固有の問
題点と考えられている。また、メタクリル系樹脂は他樹
脂と比較して光学特性、耐候性に優れるものの、成形時
の熱履歴による黄変、屋外暴露による黄変の傾向を示す
ことは明らかであり、光学特性、耐候性の改良された重
合体を製造できる製造方法の開発は尚、重要な課題であ
る。
【0006】従来、連続重合法において重合体の熱安定
性および光学特性改良法として、塊状重合(特開昭54
−42035号公報)、溶液重合法(特開昭63−57
613号公報)における種々の製造技術が提案されてい
る。特開昭54−42035号公報においては、未反応
揮発分を原料として再使用する原料サイクル型プロセス
において、回収揮発成分から低重合度重合体を除去し、
且つ、不純物濃度を一定範囲に制御することにより、重
合体の光学特性を改良する技術が開示されている。ま
た、特開昭63−57613号公報には、10〜25重
量%の不活性重合溶媒を含有する供給液に不活性ガスを
導入して溶存酸素濃度を1ppm以下にした後、0.5
μm以下のフィルタ−でろ過して供給し、特定の条件で
重合させる方法が提案されている。
【0007】さらに、特開平3−111408号公報に
は、連続塊状重合において反応器にモノマー混合物を供
給するに際し、モノマーに不活性ガスを導入したモノマ
ー中の溶存酸素を1ppm以下とした後、反応器に供給
し特定の条件下に安定に連続重合させる技術が開示され
ている。しかし、重合体の熱分解性については記載され
ていない。
【0008】特公平8−19193号公報には、特定条
件下の連続塊状重合法で製造され、二重結合末端含有量
が特定範囲内である重合体が、耐熱分解性、光学特性に
優れることが開示されている。しかし、同号公報中に
は、重合体の耐熱分解性と重合時の条件については開示
されていない。
【0009】一方、連続的重合方法における生産性は、
重合設備の規模と、反応機内での平均滞留時間、および
反応機最終出口における単量体の反応転化率が重要であ
り、平均滞留時間が短く、また反応機最終出口における
単量体の反応転化率が高いほど生産性に優れた製造方法
と言い得る。また、反応器最終出口における重合体濃度
が一定の条件で比較すると平均滞留時間が短いほど、重
合設備の規模を小さくすることができ生産性に優れた製
造方法と言える。
【0010】従って、反応器最終出口での重合体濃度s
(重量分率)と反応機内平均滞留時間τ(時間)の比の
値s/τは、重合反応器の規模(反応機内反応液の全重
量)が同一の条件下での生産性を表す指標である。一般
に、重合反応の形式、組成、重合転化率が近似の条件で
は、反応器内滞留時間、重合体の熱安定性は相反する傾
向を示すことが知られているが、生産性と重合体の熱安
定性のバランスを改良するための方法については知見が
少なく重要な技術的課題である。
【0011】例えば、特公平8−19193号公報中実
施例、比較例には、反応器内滞留時間が5、6.7時
間、重合率46〜59%の例が開示されているが、反応
器内での重合速度が異なる一般的な条件下で熱安定性を
制御するための方法については記載されていない。ま
た、生産性の指標であるs/τの値は実施例中0.11
(1/時間)が最大である。同号公報中には、完全混合
重合反応器を用いた連続重合プロセスにおいて溶存酸素
濃度、微小異物含有量の制御により、重合体の着色が低
減されることが示されているが、重合過程での生産性と
の関係については記載されていない。
【0012】また、溶媒の濃度として適する範囲とし
て、10〜25重量%、実施例としては、溶媒としてエ
チルベンゼン20重量%が挙げられている。溶媒量が1
0重量%未満であれば、重合反応系の粘度が高く、重合
系の安定制御が困難であると記載されているが、溶媒の
含有量以外の因子については記載されていない。また、
重合条件と重合体の熱安定性の関係についても記載され
ていない。
【0013】一方、特開平8−253507号公報に
は、熱成形時におけるシルバーストリークスや発泡、着
色および臭気等の発生の少ない、耐熱分解性に優れたメ
タクリル樹脂の製造方法として、ラジカル開始剤の半減
期、平均滞留時間、ラジカル開始剤濃度、連鎖移動剤濃
度、モノマー転化率を特定範囲内とした溶媒量29〜5
重量%である1段完全混合槽を使用した製造方法が開示
されている。
【0014】そこでは溶媒量の限定理由として、5重量
%未満では重合の自動促進効果による重合速度の異常加
速化現象が生じやすく、安定に重合が維持できなくなる
と記載され、溶媒が重合安定性に寄与すると記載されて
いるが、重合を安定に制御するための溶媒量以外の要因
については全く記載されていない。また、実施例より計
算されるs/τの値の最大値は0.132(1/時間)
である。
【0015】以上例示したようにs/τの値は小さい程
工業的価値が高いことは自明であるにもかかわらず従来
開示されている範囲では、熱安定性を実用可能レベルに
保つ為に、s/τが一定範囲値以下に限られていたとい
うことができる。一方、熱安定性のレベルに制限が無い
場合には生産性への制限が少ないと考えられ、s/τが
大きく、生産性に優れた連続塊状重合法が、特開平7−
126308号公報に開示されている。同号公報中に
は、完全混合型反応槽内を満液状態とし、実質的に熱の
出入りのない断熱状態とし、特定条件で連続塊状重合す
る製造方法が開示され、実施例中に、s/τが0.33
〜1.34(1/時間)と従来より高生産性の製造条件
が記載され、重合安定性についての記載は見られるもの
の重合体の熱安定性については全く記載されず、重合体
色度についても重合反応との具体的関係は明らかにされ
ていない。
【0016】以上のように、耐熱分解性に優れたメタク
リル系重合体を連続溶液重合法によって安定に製造する
ための製造技術については、生産性の制限の大きい限ら
れた条件範囲について知られるのみであった。特にs/
τが0.2(1/時間)以上の高生産性を有し、且つ熱
安定性に優れた重合体を製造するための連続溶液重合技
術は得られていないのが現状であった。したがって、光
学特性、耐候性および熱安定性において優れた高品質の
重合体を従来より高い生産性で製造することが可能な連
続溶液重合技術は未だ未確立であり、その確立が強く望
まれていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した要
望に応えるものであって、光学特性、耐候性に優れたメ
タクリル系重合体を高い生産性で製造可能にする連続溶
液重合法を提供することを課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する方法を見いだすべく鋭意検討した結果、特定量
の単量体、特定量の非重合性溶媒、特定範囲の半減期を
有する遊離基発生剤を用いた、特定条件下の連続溶液重
合法により、熱安定性、光学特性が優れたメタクリル系
重合体を従来より高い生産性で安定的に製造できること
を見出し本発明を完成するに至った。
【0019】即ち、本発明は、メタクリル酸メチル単量
体、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アル
キルエステル単量体および非重合性溶媒を、夫々下記式 0.70≦A/(A+B)≦0.998 0.050≦C/(A+B+C)≦0.100 (式中Aはメタクリル酸メチル単量体の重量部、Bはメ
タクリル酸アルキルエステル単量体の重量部、Cは非重
合性溶媒の重量部である。)を満足する重量部有する蒸
留精製された混合物と、反応器中における半減期が5.
55×10-5〜2.30時間である遊離基発生剤と、連
鎖移動剤とからなる供給液を気体窒素と向流接触させる
ことにより、溶存酸素含有量を1ppm以下とし、且つ
透過粒径2μm以下のフィルターを通過させることによ
り、固形状異物を除去した後、連続的に反応器に供給
し、反応器内を130〜170℃に保ち均一に攪拌混合
しながら、反応器中における反応液の平均滞留時間を
0.3〜1.9時間、遊離基発生剤の半減期と反応器中
の反応液の平均滞留時間の比を5.0×10-4〜2.5
0、反応器中の重合体濃度(重量分率)を0.40〜
0.70、全供給液中の遊離基発生剤の発生遊離基換算
濃度(mol・g-1)と反応器中の重合液のポリマー濃
度(重量分率)の比を0.5×10-6〜6.0×10-6
mol・g-1、そして重合体の数平均分子量を2.5×
104〜15.0×104の範囲内に夫々制御して連続的
に重合反応させ、次いで反応器より反応液を連続的に払
い出し減圧脱揮処理することを特徴とするメタクリル系
重合体の製造方法、
【0020】及び用いる非重合性溶媒が、エチルベンゼ
ン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシ
レンより選ばれた一種以上の溶媒である上記のメタクリ
ル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0021】以下本発明を詳しく説明する。本発明のメ
タクリル系重合体の製造方法は、メタクリル酸メチル単
量体、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸ア
ルキルエステル単量体および非重合性溶媒を、夫々下記
式 0.70≦A/(A+B)≦0.998 0.050≦C/(A+B+C)≦0.100 (式中Aはメタクリル酸メチル単量体の重量部、Bはア
クリル酸アルキルエステル単量体の重量部、Cは非重合
性溶媒の重量部である。)を満足する重量部有する蒸留
精製された原料と、反応器中における半減期が5.55
×10-5〜0.60時間である遊離基発生剤と、連鎖移
動剤とからなる供給液を気体窒素と向流接触させること
により、溶存酸素含有量を1ppm以下とし、且つ透過
粒径2μm以下のフィルターを通過させることにより、
固形状異物を除去した後、連続的に反応器に供給するこ
とにより実施される。
【0022】反応器への供給液中のアルキル基の炭素数
が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル単量体は製
造される重合体の耐熱分解性、溶融流動性を付与する為
の成分である。
【0023】供給液の組成は、Aをメタクリル酸メチル
単量体の重量部、Bをアルキル基の炭素数が1〜8であ
るアクリル酸アルキルエステル単量体の重量部とすると
き、 0.70≦A/(A+B)≦0.998 を満足することが必要である。上記のA/(A+B)は
得られる供給液中の単量体成分全体に占めるメタクリル
酸メチル単量体の割合を表わし、A/(A+B)の値が
0.70未満であると、得られる重合体のメタクリル系
重合体としての特徴が損なわれるため好ましくなく、一
方、A/(A+B)の値が0.998を越えると、アル
キル酸エステル単量体を共重合させる効果が少なく好ま
しくない。
【0024】アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリ
ル酸アルキルエステルの例としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アク
リル酸sec−プロピル、アクリル酸tert−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチ
ル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−プロ
ピル、アクリル酸sec−プロピル等が挙げられる。こ
れらのうち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが共
重合による耐熱分解性、溶融流動性改良効果の点で特に
好ましい。
【0025】本発明において、反応器への供給液中の非
重合性溶媒は、重合体の熱安定性改良及び重合反応の安
定制御の為に必要な成分であって、単量体成分とラジカ
ル重合における共重合性を有しない有機化合物である。
本発明に使用する非重合性溶媒の具体例としては、トル
エン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エ
チルベンゼン等の芳香族化合物、オクタン、デカン、シ
クロヘキサン等の脂肪族化合物、デカリン等の脂環族化
合物、酢酸ブチル、酢酸ペンチル等のエステル化合物、
メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられ
る。特に重合安定性の観点からは、トルエン、o−キシ
レン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼンが
好ましい。
【0026】本発明において、反応器への供給液中のA
をメタクリル酸メチル単量体の重量部、Bをアルキル基
の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル単
量体の重量部、Cを非重合性溶媒の重量部とするとき、 0.050≦C/(A+B+C)≦0.100 好ましくは、 0.055≦C/(A+B+C)≦0.095 であることが必要である。C/(A+B+C)の値が
0.100を越えると、重合体の光学的透明性、耐候
性、熱安定性が低下する傾向が現れ好ましくない。一
方、C/(A+B+C)の値が0.050未満である
と、安定に重合反応させ得る条件の巾が狭くなり好まし
くない。
【0027】本発明において、反応器への供給される遊
離基発生剤は、アクリル系重合体のラジカル重合の開始
反応を生じる成分であって、重合反応器中における半減
期が5.55×10-5〜2.3時間であることが必要で
ある。半減期が5.55×10-5時間未満であると、同
一の生産レート条件での比較において得られる重合体の
熱安定性が低下する傾向が現れ好ましくなく、一方、半
減期が2.3時間を越えると重合反応の安定制御性が低
下する傾向が現れ好ましくない。
【0028】本発明に用いられる遊離基発生剤の例とし
ては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジ
−クミルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、ジ−tert−ブチルパーフタレート、ジ−ter
t−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーア
セテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、ジ−tert−アミルパーオキシド、ベンゾイルパ
ーオキシド、クメンハイドロパーオキシド及びラウリル
パーオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブタノ
ールジアセテート、1、1’−アゾビスシクロヘキサン
カルボニトリル、2−フェニルアゾ2,4−ジメチル−
4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2,2プロ
ピルアゾホルムアシド及び2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは
単独または二種以上組み合わせて使用できる。
【0029】遊離基発生剤は反応器中における発生遊離
基換算濃度I(mol・g-1)と反応器中の重合液の重
合体濃度s(重量分率)の比I/sが0.5×10-6
6.0×10-6mol・g-1、好ましくは0.6×10
-6〜5.5×10-6mol・g-1なる比率で反応器に供
給される。
【0030】ここで、遊離基発生剤の発生遊離基換算濃
度は以下のように定義される量をいう。すなわち、遊離
基発生剤が有機過酸化物の場合、供給液中全体に基づく
遊離基発生剤濃度と遊離基発生剤の活性酸素量とから求
めることができ、[発生遊離基換算濃度(mol・
-1)]=[遊離基発生剤濃度(mol・g-1)]×
[(遊離基発生剤の活性酸素量/16)/100]で算
出される。[活性酸素量(%)]は[遊離基発生剤単位
重量あたり発生するRO・ラジカルO原子の重量]×1
00(%)で定義される。
【0031】これらは、用いる遊離基発生剤の化学構造
および純度からの計算、または、開始剤の完全分解時の
生成物の分析等により決定することができる。また、ア
ゾ系化合物その他の場合も開始剤1モル当たり発生する
遊離基モル数をもとに同様にして求められる。
【0032】尚、上述のI/sの値が0.5×10-6
ol・g-1未満であれば、重合速度が低く生産性に劣り
好ましくなく、一方、6.0×10-6mol・g-1を越
えると重合体の光学的透明性、耐候性および熱安定性が
低下する傾向が現れ、好ましくない。
【0033】本発明の重合体の製造方法においては、供
給液を反応器に供給するに際し、供給液を蒸留精製し、
且つ気体窒素と供給液を向流接触させることにより、供
給液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とし、且つ供給液
を透過粒径2μm以下のフィルターを通過させることに
より、固形状異物を除去する。上述の操作により、光学
特性、耐候性の特に優れた重合体を製造することができ
る。
【0034】供給液原料であるメタクリル酸メチル単量
体、アクリル酸エステル単量体、不活性重合溶媒の蒸留
精製は、単量体、非重合性溶媒に含まれる不純物およ
び、異物の除去に有効であり、重合体の光学的透明性、
重合体に含まれる異物を除去させる効果がある。その
際、蒸留精製は、例えば、充填塔式、棚段式などの蒸留
塔により実施する。蒸留の方式は原料混合物を蒸留塔の
中段または上段より供給し、蒸留塔ボトム液をリボイラ
ー等の加熱器で加熱しながら蒸留し、蒸留塔の塔頂部よ
り流出するメタクリル酸メチルを主成分とする単量体及
び非重合性溶媒の蒸気をコンデンサーにて凝縮すること
によって実施する。
【0035】この際、使用する非重合性溶媒の沸点が単
量体より高い場合、蒸留塔ボトム液に濃縮された高沸点
の不純物、異物、単量体の貯蔵安定化のために添加され
た重合禁止剤等は、蒸留塔ボトム液を連続してあるいは
断続して取り出すと同時に取り出した量の溶媒を追加す
ることによって除去することができる。なお、原料の一
部として、重合反応後の反応液から脱揮分離回収された
未反応単量体および非重合性溶媒をリサイクル使用する
際、回収された未反応単量体を蒸留精製することによ
り、メタクリル酸メチルダイマー、オリゴマーを除去す
ることができる。
【0036】蒸留精製された供給液は、更に向流接触塔
を用いて向流接触させることにより、不活性ガスと置換
し、供給液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とする。タ
ンク中における不活性ガスバブリング法では溶存酸素濃
度は10〜20ppmであるが、向流接触法により、達
成不可能な溶存酸素濃度1ppm以下にすることが可能
である。
【0037】本発明においては、供給原料の蒸留精製の
際、固形状異物が低減されるが、溶存酸素濃度を1pp
m以下とした後、更に透過粒径2μm以下のフィルター
で濾過することにより残留する異物を除去することが必
要である。フィルターの種類は、供給液に対し化学的に
安定であり、供給液を汚染することがなく、且つ供給液
から固形状異物を除去できる構造を有するものであれば
特に制限はなく、例えば細孔濾過器、限外濾過膜等が挙
げられる。この様な濾過処理によって、得られる重合体
中の2μm以上の粒子径を有する固形状異物の含有量を
低減させ、重合体の黄色度および耐候性を向上させるこ
とができる。
【0038】本発明のための重合反応器としては、混合
装置、温度調節装置を備え、連続的に原料の供給と反応
液の排出を行わせしめることのできる供給口と排出口を
備えた反応器を用いる。本発明における反応器は均一に
攪拌混合する為、攪拌器を備えることが必要であり、使
用できる攪拌翼の例としては、ダブルヘリカルリボン
翼、ピッチドパドル、タービン、アンカー型等が挙げら
れる。
【0039】本発明における反応熱の除去方法として
は、反応器上部に凝縮器を設け、反応器内部の圧力を制
御して反応液を沸騰させ、凝縮器で上記を凝縮循環させ
ることにより、蒸発潜熱により反応熱を除熱する方法、
反応器に供給される供給液の温度を低温に制御すること
により、供給液の顕熱により反応熱を除去する方法、反
応液外部に設けた外部冷却装置に反応液を循環させ熱交
換によって反応液を冷却する方法等何れの方法であって
もよく、これらのうち複数の除熱方式を併用することも
できる。
【0040】本発明における重合反応器中の圧力につい
ては反応器の設計上の上限以内、制限以内でれば特に制
限はなく、反応液の除熱方式に応じて内圧を適宜調節し
た条件下で反応をおこなうことができる。
【0041】本発明における重合反応器内の温度は、1
30〜170℃、好ましくは135〜160℃であるこ
とが必要である。反応器内温度が130℃未満であれば
反応器内の粘度上昇により重合制御の安定性が低下し、
また得られる重合体の熱安定性が低下する傾向が現れ好
ましくない。一方、反応器内温度が170℃を越える
と、重合体の熱安定性の低下、色度の悪化が現れる傾向
があり好ましくない。
【0042】本発明における反応器中の反応液の平均滞
留時間は0.3〜1.9時間、好ましくは0.5〜1.
8時間であることが必要である。平均滞留時間が0.5
時間未満であれば、重合反応の安定制御性体が低下する
傾向が現れ好ましく、一方、平均滞留時間が1.9時間
を越えると生産性が低下する為好ましくない。
【0043】本発明において、反応器中の反応液中の重
合体の重量分率は0.40〜0.70、好ましくは0.
45〜0.65の範囲に制御することが必要である。重
合体の重量分率が0.40未満であれば、重合体の生産
速度に劣り、且つ重合後の脱揮回収時の負荷、重合体単
位重量当たりに必要とされる未反応成分回収の為のエネ
ルギー消費が過大となる為、好ましくない。
【0044】一般に、連続的重合方法においては、重合
設備の規模と、反応機内での平均滞留時間、および反応
機最終出口における単量体の反応転化率が重要であり、
平均滞留時間が短く、また反応機最終出口における単量
体の反応転化率が高いほど生産性に優れた製造方法と言
い得る。また、反応機最終出口における重合体濃度が一
定の条件で比較すると平均滞留時間が短いほど、重合設
備の規模を小さくすることができ生産性に優れた製造方
法と言い得る。
【0045】従って、反応機最終出口での重合体濃度
(重量分率)と反応機内平均滞留時間の比の値は、重合
反応器の規模(反応機内反応液の全重量)が同一の条件
下での生産性を表す指標と考えられる。本発明における
反応器内重合体濃度s(重量分率)と、反応器内滞留時
間τ(時間)の比s/τは0.21〜2.33(1/時
間)の範囲であり、本発明によれば従来技術による製造
方法と比較して高い生産性で製造することができる。
【0046】本発明において、反応器への供給液中の遊
離基発生剤の反応器中の半減期と反応器内平均滞留時間
の比は5.0×10-4〜2.50、好ましくは1.0×
10 -3〜2.0であることが必要である。上述の比の値
が5.0×10-4未満であれば、得られる重合体の熱安
定性が低下する傾向が現れ、一方、2.50を越える
と、重合安定性の低下、即ち転化率の制御性に劣る傾向
が現れ好ましくない。
【0047】本発明において、供給液中の遊離基発生剤
の発生遊離基換算濃度I(mol・g-1)と反応器中の
重合液濃度s(重量分率)の比I/sは0.5×10-6
〜6.0×10-6mol・g-1、好ましくは、0.6×
10-6〜5.5×10-6mol・g-1の範囲内であるこ
とが必要である。上述の比率は、重合体の熱分解性の指
標として重要であって、0.5×10-6mol・g-1
満とする為には、生産性の低い条件に重合反応を制御す
る必要があり好ましくなく、一方、6.0×10-6mo
l・g-1を越えると熱安定性が低下し、従来のメタクリ
ル系重合体と比較して成形加工時にシルバーストリーク
ス等の不良を発生する傾向が大きくなり、好ましくな
い。
【0048】本発明のメタクリル系重合体の製造方法に
おいて、連鎖移動剤は重合体の分子量の調節のために添
加される成分であり、反応器への供給液中にしめる含有
量は、反応器中の重合体の数平均分子量が2.5×10
4〜15×104、好ましくは3.0×104〜12×1
4の範囲内となるように添加濃度を調節する。本発明
において、反応器中の重合体の数平均重合度が、2.5
×104未満であれば、成形して得られる成形品の機械
的強度が低下する傾向が現れ好ましくなく、一方、15
×104を越えると、重合反応の安定制御可能な重合条
件範囲が狭くなり、好ましくない。
【0049】本発明において重合体の数平均分子量は、
ゲルパーミュエーション(GPC)法により測定される
数値であって、分子量分布の狭い標準ポリメチルメタク
リレート(PMMA)を標準試料として較正されたゲル
パーミュエーションクロマトグラフにより、試料のPM
MA換算分子量分布を測定したデータから算出される数
値である。
【0050】本発明において反応器に供給される供給液
中の連鎖移動剤の濃度は、重合体の数平均分子量が前述
の範囲内となるよう目標とする分子量に応じて設定す
る。本発明における連鎖移動剤は、分子量調節の為に、
単量体、非重合性溶媒、遊離基発生剤以外に反応器に供
給される化合物であり、重合条件、アクリル系重合体の
分子量の目標値に応じて、濃度を決定し、反応器に供給
される。
【0051】連鎖移動剤の例としては、メチルメルカプ
タン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イ
ソプロピル、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメル
カプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ドデシ
ルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンなどのアルキ
ル基または置換アルキル基を有する第一級、第二級及び
第三級メルカプタン、フェニルメルカプタン、チオクレ
ゾールなどの芳香族メルカプタン、チオグリコール酸と
そのエステル及びエチレンチオグリコール等が挙げられ
る。これらは単独でまたは二種以上組み合わせて使用で
きる。これらのうち、重合体の色調、反応混合物から分
離除去の容易さの点からn−ブチル、t−ブチルおよび
n−オクチルメルカプタンの使用が特に好ましい。
【0052】本発明において連続的に反応器より払い出
された反応液は、脱揮して重合物を取り出すと同時に揮
発分である未反応メタクリル酸メチルを主成分とする単
量体及び溶媒を分離する。脱揮装置としては、多段ベン
ト付き押出機、脱揮タンク等を使用することができる。
特に、該反応液を200〜290℃の温度に加熱し、上
部に十分な空間を有し、且つ200〜280℃、20〜
100torrの温度、真空下の脱揮タンクにフィード
して重合物を取り出すと同時に未反応メタクリル酸メチ
ルを主成分とする単量体および非重合性溶媒からなる揮
発成分を分離する方法が好ましい。
【0053】この減圧下に保持された脱揮タンクに重合
液を導入する方法は、揮発成分の瞬間的な揮発とそれに
よる発泡を生じて、極めて大きな蒸発面積を形成し、高
沸点の溶媒を使用しても効率的に短時間で揮発成分が除
去され、重合体中に残存する未反応単量体、ダイマー、
オリゴマーおよび非重合性溶媒等の揮発分の量が少な
く、光学的透明性に優れた重合体が得られる点で優れた
脱揮方式である。この脱揮工程において、重合体に含ま
れる非重合性溶媒の含有量を2〜500ppm、好まし
くは、2〜300ppmの範囲内に制御することができ
る。
【0054】以上に説明した本発明の溶液重合プロセス
で用いられる連続重合装置の工程図の一例を図1(前半
部)及び図2(後半部)に示す。
【0055】本発明のメタクリル系重合体の製造方法に
おいて、重合体の改良の為、必要に応じて、離型剤、酸
化防止剤、光拡散剤、染料、顔料、蛍光増白剤、滑剤、
耐衝撃改質剤等を製造過程の各段階において重合体に添
加することができる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明の実施の
形態を説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受け
るものではない。なお,実施例、比較例における重合体
の数平均分子量、熱分解性およびシルバーストリークス
発生率は以下に記載する方法に従い測定した。
【0057】(1)重合体の数平均分子量 重合反応中の重合反応器から、反応液を抜き出し、ゲル
パーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いて以下のように決定した。反応液2gを20gのアセ
トンに完全に溶解した後、2000gのn−ヘキサンに
再沈殿させポリマーを分離し、真空乾燥しポリマー試料
とした。ポリマー試料20mgを、テトラヒドロフラ
ン:THF40cm3に溶解し、試料溶液とした。得ら
れたクロマトグラムは、標準PMMA(ポリマーラボラ
トリーズ社製)により作成した校正線により、分子量分
布に換算し、数平均分子量を算出した。
【0058】[GPC測定条件]装置:トーソー製HL
C8120、カラム:トーソー製TSKgel、sup
erHM−M2本直列、溶媒:テトラヒドロフラン(T
HF)、カラム温度:40℃、流量:0.2cm3/分
【0059】(2)重合体の射出成形および成形片の色
度評価 東芝機械製射出成形機IS−75S型により、シリンダ
ー温度設定250℃において15×20×220mmの
試験片を成形した。試験片は成形サイクル安定後4ショ
ット成形して作成し、試験片を厚さ方向に4本重ね、長
さ方向の空気(試験片無し)を基準とする黄色度ΔYI
(光路長220mm)を色差計(日本電色工業製TC−
1500MC型)により測定した。
【0060】(3)成形品の耐候性評価 (2)で成形した成形片をサンシャインウェザオメータ
ー(SWOM)により、56℃、降雨有りの条件で20
00時間暴露した後の黄色度(ΔYI)を(4)と同様
に測定した。
【0061】(4)シルバーストリークス発生率 成形時のシルバーストリークスの発生率を以下の方法に
より評価した。樹脂ペレットを熱風乾燥機により乾燥、
ペレット中の水分濃度を300ppmとなるまで乾燥
後、以下の条件で射出成形テストを実施した。ファナッ
ク製射出成形機T−100D型を用い、シリンダー温度
280℃、金型温度55℃、充填圧力750kgf/c
2の条件でスパイラルフロー長(SFD)評価用の渦
巻き状成形品(厚さ2mm)を成形した。SFDが安定
した後、さらに50ショット成形し、成形品のシルバー
ストリークスおよび発泡の有無を観察した。同法による
測定を2回行い、計100ショット中のシルバーストリ
ークス発生または発泡の観察された回数を記録した。
【0062】
【実施例】実施例1 メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、エチルベンゼ
ンの混合物を単蒸留により精製した。蒸留条件は、減圧
度80torr、ボトム温度95℃、環流比0.11と
した。蒸留後の混合組成は、メタクリル酸メチル92.
6重量%、アクリル酸メチル1.9重量%、及びエチル
ベンゼン5.5重量%であった。
【0063】この混合物に遊離基発生剤として、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンを128ppm、及びn−オクチル
メルカプタンを1720ppmとなる量だけ連続的に添
加混合して供給液とし、この混合物を窒素交流接触塔
(窒素:供給液の供給重量比=1/10000)により、
脱酸素させ溶存酸素濃度を2ppm以下とし、透過粒径
2μmサイズのフィルターを通過させた後、ピッチドパ
ドル翼攪拌機付き10L完全混合型重合反応機に連続的
に供給、反応機内液温度155℃、反応機内平均滞留時
間1.00時間の条件で重合し、重合液を反応機から連
続的に払い出し、次いで重合液を加熱板の間隙を通過さ
せて熱交換させ260℃に加熱し、脱揮タンクに流延落
下させた。反応器中における反応器内平均滞留時間
(τ)は1.00hrであり、反応器中における遊離基
発生剤の半減期(θ)は0.0083hrであるから、
θ/τは0.0083であった。
【0064】脱揮タンクは、真空脱揮により内圧を30
torr、温度を230℃に維持し、未反応単量体及
び、重合溶媒を分離回収した。重合体は脱揮タンク下部
のギアポンプにより払い出し、押し出しダイスより押し
出し、ストランドをストランドカッターにより、ペレタ
イズしてペレットとして回収する方法により、連続的に
10日間の運転を行い、重合体を製造し、サンプリング
した。重合反応器への供給液組成、反応条件、重合体の
特性を表1に示した。ペレットの生産速度と供給液供給
速度から求めた反応器内の重合体の重量分率sは0.5
7であった。したがって、生産速度の指標であるs/τ
は0.57hr-1であり、優れた特性の重合体を安定且
つ高生産性条件下で生産することが可能であることが分
かる。
【0065】実施例2〜8 実施例1における条件を表1に示した様に変更した以外
は、実施例1と同様な操作を行った。各例とも、連続的
に10日間の運転を行い、重合体を製造し、サンプリン
グした。重合反応器への供給液組成、反応条件、重合体
の特性を表1に示す。実施例1と同様に優れた特性の重
合体を安定且つ高生産性条件下で生産することが可能で
あることが分かる。
【0066】比較例1 供給液の組成および、重合条件を表1に示したように変
更し対外は実施例1と同様の操作により、連続的に10
日間の運転を行い、重合体ペレットを得た。重合体の特
性を表1に示す。重合体特性の内、シルバー発生率が高
く成形性に劣る結果となった。
【0067】比較例2 供給液の組成および、重合条件を表1に示したように変
更し対外は実施例1と同様の操作を行った。重合開始
後、反応機中の重合体重量分率と反応器内温度が不安定
となった為、運転を停止した。
【0068】実施例9 実施例1の実施後、回収された未反応単量体、非重合性
溶媒からなる混合物(以下リサイクル液という)43.
0重量%と新たなメタクリル酸メチル55.8重量%及
び新たなアクリル酸メチル1.2重量%からなる混合物
を蒸留塔に連続フィードして、ボトム温度90℃、圧力
70torrの条件で連続的に蒸留した。蒸留された単
量体を主とする混合物の組成は、メタクリル酸メチル9
2.6重量%、アクリル酸メチル1.9重量%、エチル
ベンゼン5.5重量%であった。
【0069】この混合物に1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが
107ppm、及びn−オクチルメルカプタンが193
0ppmになる量だけ夫々連続的に追加混合して供給液
とし、窒素交流接触塔により脱酸素させた後、透過粒径
2μmサイズのフィルターを通過させ重合反応器に連続
的に供給、反応機内液温度155℃、反応機内平均滞留
時間1.00hrの条件で重合し、重合液を反応機から
連続的に払い出し、次いで重合液を加熱板の間隙を通過
させて熱交換させ260℃に加熱し、脱揮タンクに流延
落下させた。
【0070】反応器に供給される直前の供給液中の酸素
濃度は0.2ppm以下であった。脱揮タンクは、真空
脱揮により内圧を30トール、温度を230℃に維持
し、未反応単量体及び、重合溶媒を分離した。重合体は
脱揮タンク下部のギアポンプにより払い出し、押し出し
ダイスより押し出し、ストランドをストランドカッター
により、ペレタイズしてペレットとして回収した。脱揮
により分離回収した未反応単量体および溶媒の組成は、
実施例3と同等であった。回収されたリサイクル液はタ
ンクに貯蔵し、リサイクル液として再使用する方法によ
り、連続的に10日間の運転を行い、重合体を製造し、
サンプリングした。
【0071】その際、リサイクル液の組成の変化に応じ
て、リサイクル液と新たな単量体の混合比率を調製し
て、供給液の組成を表2中記載の組成に維持させた。運
転期間中の蒸留塔ボトムでのポリマー生成による粘度の
上昇は見られず、精留塔ボトムのリボイラーは連続的に
安定運転が可能であった。重合体の評価結果を表2中に
示す。実施例1と同様、優れた特性の重合体が得られ
た。
【0072】実施例10 供給液組成、重合条件を表2記載の様に変更する以外は
実施例9と同様の操作を行い、連続的に10日間の運転
を行い、重合体を製造し、サンプリングした。運転期間
中の蒸留塔ボトムでのポリマー生成による粘度の上昇は
見られず、精留塔ボトムのリボイラーは連続的に安定運
転が可能であった。重合体の評価結果を表2中に示す。
生産性の指標であるs/τ値は0.57であり、実施例
2と同様、優れた特性の重合体を安定且つ高生産性条件
下で生産することが可能であった。
【0073】実施例11 供給液組成、重合条件を表2記載の様に変更する以外は
実施例9と同様の操作を行い、連続的に10日間の運転
を行い、重合体を製造し、サンプリングした。運転期間
中の蒸留塔ボトムでのポリマー生成による粘度の上昇は
見られず、精留塔ボトムのリボイラーは連続的に安定運
転が可能であった。重合体の評価結果を表2中に示す。
生産性の指標であるs/τ値は0.95であり、実施例
5と同様、優れた特性の重合体を安定且つ高生産性条件
下で生産することが可能であった。
【0074】比較例3 供給液の向流接触塔での脱酸素を行わない以外は実施例
1と同様の操作を行い、重合体ペレットを得た。反応器
へ供給される前の供給液中の酸素濃度は10ppmであ
った。重合体の特性を表2中に示す。重合体の光学特
性、耐候性が劣る結果となった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】本発明は、光学的透明性、耐候性および
耐熱分解性に優れ、射出成形、押出成形等の熱成形用の
材料に適したメタクリル系重合体の生産性および安定生
産性に優れた製造方法を提供したという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶液重合プロセスでの連続重合装置の
一例を示す工程図(前半部)である。
【図2】本発明の溶液重合プロセスでの連続重合装置の
一例を示す工程図(後半部)である。
【符号の説明】
1 新たな単量体の供給ライン 2 回収揮発分貯蔵タンク 3 回収揮発分供給ライン 4 定量ポンプ 5 精留塔 6 コンデンサー 7 高沸分払い出しライン 8 連鎖移動剤供給ライン 9 向流接触塔 10 窒素供給ライン 11 バッファータンク 12 遊離基発生剤供給ライン 13 フィルター 14 完全混合型反応器 15 払い出しポンプ 16 ポリマー加熱板 17 脱揮タンク 18 コンデンサー 19 回収揮発分送液ライン 20 真空ポンプ 21 ポリマー押し出しダイス 22 ストランドバス 23 ストランドカッター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/14 C08F 220/14 //(C08F 220/14 220:10) Fターム(参考) 4J011 AA04 AA05 AB02 AB05 AB08 BA01 HA03 HA10 HB02 HB05 HB10 HB12 HB22 4J015 AA01 BA03 4J100 AL03P AL03Q CA04 DA01 FA03 FA04 FA19 FA28 FA30 FA37 FA39 FA41 FA47 GB05 GD01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル単量体、アルキル基
    の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステル単
    量体および非重合性溶媒を、夫々下記式 0.70≦A/(A+B)≦0.998 0.050≦C/(A+B+C)≦0.100 (式中Aはメタクリル酸メチル単量体の重量部、Bはア
    クリル酸アルキルエステル単量体の重量部、Cは非重合
    性溶媒の重量部を表わす。)を満足する重量部有する蒸
    留精製された混合物と、反応器中における半減期が5.
    55×10-5〜2.30時間である遊離基発生剤と、連
    鎖移動剤とからなる供給液を気体窒素と向流接触させる
    ことにより、溶存酸素含有量を1ppm以下とし、且つ
    透過粒径2μm以下のフィルターを通過させることによ
    り、固形状異物を除去した後、連続的に反応器に供給
    し、反応器内を130〜170℃に保ち均一に攪拌混合
    しながら、反応器中における反応液の平均滞留時間を
    0.3〜1.9時間、遊離基発生剤の半減期と反応器中
    の反応液の平均滞留時間の比を5.0×10-4〜2.5
    0、反応器中の重合体濃度(重量分率)を0.40〜
    0.70、全供給液中の遊離基発生剤の発生遊離基換算
    濃度(mol・g-1)と反応器中の重合液のポリマー濃
    度(重量分率)の比を0.5×10-6〜6.0×10-6
    mol・g-1、そして重合体の数平均分子量を2.5×
    104〜15.0×104の範囲内に夫々制御して連続的
    に重合反応させ、次いで反応器より反応液を連続的に払
    い出し減圧脱揮処理することを特徴とするメタクリル系
    重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非重合性溶媒が、エチルベンゼン、トル
    エン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンより
    選ばれた一種以上の溶媒である請求項1記載のメタクリ
    ル系重合体の製造方法。
JP22265298A 1998-08-06 1998-08-06 メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法 Pending JP2000053708A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22265298A JP2000053708A (ja) 1998-08-06 1998-08-06 メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22265298A JP2000053708A (ja) 1998-08-06 1998-08-06 メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000053708A true JP2000053708A (ja) 2000-02-22

Family

ID=16785817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22265298A Pending JP2000053708A (ja) 1998-08-06 1998-08-06 メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000053708A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002074822A1 (en) * 2001-03-15 2002-09-26 Toagosei Co., Ltd. Process for producing copolymer
WO2009125764A1 (ja) 2008-04-08 2009-10-15 住友化学株式会社 熱板融着用メタクリル樹脂組成物、熱板融着への使用及び融着方法
KR101172967B1 (ko) 2007-08-21 2012-08-09 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 아크릴계 수지 펠릿의 제조방법 및 필름의 제조방법
JP2012251064A (ja) * 2011-06-02 2012-12-20 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル重合体及びその製造方法
WO2013161265A1 (ja) * 2012-04-27 2013-10-31 株式会社クラレ (メタ)アクリル樹脂組成物
KR20150004872A (ko) * 2012-04-27 2015-01-13 가부시키가이샤 구라레 (메트)아크릴 수지 조성물

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002074822A1 (en) * 2001-03-15 2002-09-26 Toagosei Co., Ltd. Process for producing copolymer
US7163992B2 (en) 2001-03-15 2007-01-16 Toagosei Co., Ltd. Methods for manufacturing a copolymer with a high yield by reacting a vinyl monomer and a macromonomer
CN104057554A (zh) * 2007-08-21 2014-09-24 株式会社日本触媒 丙烯酸系树脂颗粒的制造方法以及薄膜的制造方法
KR101172967B1 (ko) 2007-08-21 2012-08-09 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 아크릴계 수지 펠릿의 제조방법 및 필름의 제조방법
WO2009125764A1 (ja) 2008-04-08 2009-10-15 住友化学株式会社 熱板融着用メタクリル樹脂組成物、熱板融着への使用及び融着方法
JP2012251064A (ja) * 2011-06-02 2012-12-20 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル重合体及びその製造方法
WO2013161265A1 (ja) * 2012-04-27 2013-10-31 株式会社クラレ (メタ)アクリル樹脂組成物
CN104271663A (zh) * 2012-04-27 2015-01-07 株式会社可乐丽 (甲基)丙烯酸类树脂组合物
KR20150004872A (ko) * 2012-04-27 2015-01-13 가부시키가이샤 구라레 (메트)아크릴 수지 조성물
KR20150004871A (ko) * 2012-04-27 2015-01-13 가부시키가이샤 구라레 (메트)아크릴 수지 조성물
JPWO2013161265A1 (ja) * 2012-04-27 2015-12-21 株式会社クラレ (メタ)アクリル樹脂組成物
TWI568751B (zh) * 2012-04-27 2017-02-01 可樂麗股份有限公司 (甲基)丙烯酸樹脂組成物
KR101958052B1 (ko) * 2012-04-27 2019-03-13 주식회사 쿠라레 (메트)아크릴 수지 조성물
KR101958051B1 (ko) * 2012-04-27 2019-03-13 주식회사 쿠라레 (메트)아크릴 수지 조성물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3628518B2 (ja) メタクリル系重合体およびその製造方法
JP3395291B2 (ja) メタクリル系重合体の製造方法
KR100427376B1 (ko) 중합체의 제조방법
US5599888A (en) Process for preparing methyl methacrylate polymer
CN1137161C (zh) 制备共聚物的方法
CN101724120B (zh) (甲基)丙烯酸酯类聚合物的制备方法
JP2752458B2 (ja) メタクリル系ポリマーの製造方法
JP2000053708A (ja) メタクリル系重合体の生産安定性に優れた製造方法
JP2000053709A (ja) メタクリル系重合体の連続的製造方法
JP3937111B2 (ja) 重合体の製造方法
JP3801124B2 (ja) メタクリル系重合体の製造方法
JP3013951B2 (ja) アクリル系樹脂の製造法
JP3636554B2 (ja) 連続溶液重合法における不純物の除去方法
JPS6357613A (ja) 光学材料
JP3779777B2 (ja) メタクリル系樹脂の製造方法
JP3628124B2 (ja) 連続塊状重合法における不純物の除去方法
JP2001342263A (ja) 光学材料用樹脂成形体およびそれからなる導光板
JP3779776B2 (ja) 光学品質に優れたメタクリル系樹脂の製造方法
JPH10152505A (ja) スチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法
JPH08253507A (ja) メタクリル樹脂の製造方法
JPH07206906A (ja) 耐熱分解性を有するメタクリル樹脂及びその製造方法
JPH06239938A (ja) メタクリル系樹脂の製造方法
JP3319484B2 (ja) 耐熱分解性を有するメタクリル樹脂の製造方法
JPH1087737A (ja) 連続溶液重合法における不純物除去の方法
WO2020085474A1 (ja) メタクリル樹脂組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050803

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20050803

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Effective date: 20060131

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071211

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080408