WO2025047851A1

WO2025047851A1 - 金型交換用台車

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Publication number: WO2025047851A1
Application number: PCT/JP2024/030908
Authority: WO
Inventors: 順浩中野; 昌裕市川
Original assignee: 愛三工業株式会社; 株式会社サンメイテック
Priority date: 2023-09-01
Filing date: 2024-08-29
Publication date: 2025-03-06

Abstract

金型交換用台車（５０）は、台車レール（５６）と、係止部（５５ｃ）と、係止状態操作部（５５ｘ）とを有する。台車レール（５６）は、金型交換装置（３０）の金型載置台（３１）に連結可能である。係止部（５５ｃ）は、台車レール（５６）における金型載置台（３１）に対向する台車側対向面（５５ｍ）に設けられて金型載置台（３１）における台車レール（５６）に対向する装置側対向面（３１ｍ）またはその近傍に設けられた被係止部（３１ｐ）に係止可能である。係止状態操作部（５５ｘ）は、装置側対向面（３１ｍ）に台車側対向面（５５ｍ）が接触あるいは近接され金型載置台（３１）に対して台車レール（５６）が位置決めされて被係止部（３１ｐ）に係止された係止部（５５ｃ）を係止状態に保持する係止ロック状態と係止ロック状態を解除して金型載置台（３１）から台車レール（５６）が離間することを許容する係止解除状態とのいずれかに操作可能である。

Description

金型交換用台車

　本明細書に開示の技術は、金型交換用台車に関する。

　従来より、ダイカスト成型品や樹脂成型品の製造において種々の金型装置が使用されている。なお、製造の際には成型品の種類に応じて金型装置の金型を交換しなければならない。金型装置には、金型の交換が比較的容易なカセット金型を用いたカセット金型装置と、カセット金型を用いていない金型装置がある。

　カセット金型を用いていない金型装置では、交換する金型のサイズと重量が非常に大きいので、ホイストと呼ばれる巻き上げ機を用いて金型を吊り上げて交換する必要がある。そのため、熟練者しか金型交換作業を行うことができず、交換時間も比較的長い時間を要する。これに対してカセット金型を用いたカセット金型装置では、交換するカセット金型のサイズと重量は、カセット金型を用いていない金型装置の場合と比較して非常に小さい。そのため、熟練者がホイストを用いて交換する必要は無い。したがって、一般作業者が台車にカセット金型を載せて交換作業の一部を行うだけで済み、比較的短時間で容易に交換することができる。

　例えば特公平８－１１２８３号公報には、作業者が搭乗して運転する比較的大型の台車を位置決めするためのガードレールのようなガイドが下方に取り付けられた金型装置が開示されている。そして台車の下方には、ガイドに嵌合するカムフォロアとシリンダが設けられている。作業者は、台車を運転して台車の下方に設けられたカムフォロアとシリンダをガイドの所定位置に嵌合させることで金型装置に対して台車を位置決めしている。そして金型の交換の際には、ガイドよりも上方に設けられた金型装置のレールと、カムフォロアとシリンダよりも上方に設けられた台車のレールと、の間で金型の授受を行っている。

　また特開２０１３－８６４９２号公報には、作業者が手押しする比較的小型の台車を、金型装置の所定位置に進入させて、金型装置のレールと台車のレールとの間で作業者が金型の授受を行うことが記載されている。

　特公平８－１１２８３号公報に記載の金型装置と台車は、金型が載置された金型装置のレールに対して台車のレールを直接的に位置決めしていない。また、双方のレールよりも離れた下方に設けられたガイドを用いて金型装置に対して台車を位置決めしている。このため、例えば金型装置のレールの高さと台車のレールの高さや左右の位置がズレていた場合、金型装置のレールと台車のレールとの間に段差が発生して金型装置と台車の間で交換用の金型の授受を適切に実施できない可能性がある。

　また特開２０１３－８６４９２号公報に記載の金型装置と台車については、台車の車輪にロック機構は有る。しかし、特公平８－１１２８３号公報と同様、金型が載置された金型装置のレールに対して台車のレールを直接的に位置決めしていない。台車のレールは昇降機構を有しているので、金型装置のレールの高さと台車のレールの高さのズレは抑制できるが、金型の交換作業中に台車が動いてしまった場合、金型が落下する可能性が考えられる。

　そのため、本明細書が開示する技術は、カセット金型を用いたカセット金型装置のカセット金型の交換作業において作業者が、より安全に、より容易に、より短時間に交換作業を行うことを支援できる金型交換用台車を提供する。

　上記課題を解決するために本明細書に開示の金型交換用台車は、次の手段をとる。

　第１の手段は、固定側金型と可動側金型を有するベース金型に交換可能なカセット金型が取り付けられるカセット金型装置に対して前記ベース金型から前記カセット金型を取り外して別の前記カセット金型を前記ベース金型に取り付ける金型交換装置との前記カセット金型の授受を支援する金型交換用台車であって、前記金型交換装置の金型載置台に連結可能な台車レールと、ここで、前記台車レールは前記金型載置台に対向する台車側対向面を有し、前記金型載置台は、前記金型交換装置によって前記ベース金型から取り外された前記カセット金型あるいは前記金型交換装置によって前記ベース金型に取り付けられる前記カセット金型が載置されるよう構成されており、前記金型載置台は前記台車レールに対向する装置側対向面と前記装置側対向面または前記装置側対向面の近傍に設けられた被係止部とを有し、前記台車側対向面に設けられており、前記被係止部に係止可能とされた係止部と、前記装置側対向面に前記台車側対向面が接触あるいは近接され前記金型載置台に対して前記台車レールが位置決めされて前記被係止部に係止された前記係止部を係止状態に保持する係止ロック状態と前記係止ロック状態を解除して前記金型載置台から前記台車レールが離間することを許容する係止解除状態とのいずれかに操作可能な係止状態操作部と、を有している、金型交換用台車である。

カセット金型装置（金型交換装置を含む）、射出装置、付帯設備、金型交換用台車等を有する金型システムの一実施形態の平面図である。図１に示す金型システム（金型交換用台車、金型棚等を除く）をＩＩ方向から見た側面図である。可動側カセットが取り付けられた可動側金型と、固定側カセットが取り付けられた固定側金型の斜視図である。可動側カセットと固定側カセットが連結されたカセット金型の斜視図である。カセット金型装置に設けられた金型交換装置の金型載置台とその周囲の斜視図である。金型交換用台車の平面図である。図６に示す金型交換用台車をＶＩＩ方向から見た側面図である。金型交換用台車の台車レール（可動レール）及び台車側対向面とその周囲の斜視図である。図８に示す台車レール及び台車側対向面とその周囲をＩＸ方向から見た側面図である。金型載置台の位置決めストッパと落下防止ストッパを昇降させる構造の模式図である。金型載置台の装置側対向面の近傍に設けられた被係止部（一対のロックピン）と、金型交換用台車の台車側対向面に設けられた係止部を斜め下方から見た斜視図である。図１１の被係止部及び係止部を下方から見た図である。図１２の状態から金型交換用台車が金型載置台に接近されて係止部の開閉部が被係止部（ロックピン）を通過中で閉じ状態となることを示す図である。図１３の状態から金型交換用台車の台車側対向面が、金型載置台の装置側対向面にほぼ接触するまで近接されて係止部の開閉部が被係止部（ロックピン）を通過し、係止状態操作部が操作されて開き状態（係止ロック状態）とされたことを示す図である。図１４の状態から係止状態操作部が操作されて係止部の開閉部が閉じ状態（係止解除状態）とされたことを示す図である。

　以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお図中にＸ軸、Ｙ軸、Ｚ軸が記載されている場合、Ｘ軸とＹ軸とＺ軸は互いに直交しており、Ｚ軸は鉛直方向、Ｘ軸とＹ軸はそれぞれ水平方向に延在している。より詳細には、Ｚ方向は鉛直方向上方を示す。また、図１に示すように、Ｙ方向は可動側金型１２が固定側金型１１に接近する方向を示し、Ｘ方向は金型交換用台車５０を用いてカセット金型２０を交換する際に金型載置台３１から金型交換用台車５０に向かう方向を示している。なお、Ｘ軸方向とはＸ方向及びＸ方向と反対の方向を意味し、Ｙ軸方向とはＹ方向及びＹ方向と反対の方向を意味する。本実施形態にて説明する金型交換用台車５０は、図１に示す金型システム１においてカセット金型２０の交換の際、金型交換装置３０とカセット金型２０の授受を行う作業者Ｓの作業を支援する。

＜＜金型システム１の全体構成（図１、図２）＞＞
　まず図１、図２を用いて、金型システム１の全体構成の例について説明する。金型システム１は、カセット金型装置２、射出装置３、付帯設備４、金型棚５、金型交換用台車５０等を有している。

　カセット金型装置２は、ベース金型１０と、金型交換装置３０と、成型操作盤２ａ及び交換操作盤２ｂと、装置側ガイド４２（案内部材ともいう）及び装置側位置決め部４１等を有している。ベース金型１０は、固定側金型１１と可動側金型１２とを備える。装置側ガイド４２及び装置側位置決め部４１は、金型交換用台車５０の案内及び位置決めをする。

　固定側金型１１にはカセット金型２０の固定側カセット２１が取り付けられている。可動側金型１２にはカセット金型２０の可動側カセット２２が取り付けられている。ベース金型１０に対してカセット金型２０は交換可能である。

　金型交換装置３０は、ベース金型１０からカセット金型２０を自動的に取り外して別のカセット金型２０をベース金型１０に自動的に取り付ける装置である。金型交換装置３０は、カセット金型の交換時における取り外しの際、ベース金型１０からカセット金型２０を自動的に取り外して金型載置台３１に載置する。また金型交換装置３０は、カセット金型の交換時における取り付けの際、金型載置台３１に載置されているカセット金型２０を自動的にベース金型１０に取り付ける動作を行う。なお、金型交換装置３０における上記の取り外し、取り付けの動作の詳細については説明を省略する。

　金型交換装置３０は、図２に示すように、カセット金型２０が載置される金型載置台３１、リフタ３２、シフタ３３等を有している。リフタ３２は、昇降シリンダ等を有して金型載置台３１を上下に昇降させる。シフタ３３はシフトモータ３３ｍとシフトネジ３３ｎを有しており、シフタ３３と一体とされた金型載置台３１をＹ軸方向に沿うシフトレール３３ｒ（図５参照）に沿って往復移動させる。

　射出装置３は、成型品の製造の際に溶融されたアルミや樹脂等を射出する装置である。また付帯設備４は、カセット金型装置２にて製造した成型品を取り出すロボットハンド４ａ（図１参照）と、取り出した成型品を次工程に搬送するコンベア４ｂ（図１参照）とを備える。付帯設備４は、カセット金型装置２等で用いる圧縮エア、水、油、電力等を供給するよう構成されている。金型棚５は、成型品ごとに用意されたカセット金型２０を収容している棚である。

　以下、カセット金型２０の交換作業時における作業者Ｓの手順の概略を説明する。なお、カセット金型２０の交換作業時における作業者Ｓの手順の詳細については後述する。

　作業者Ｓは、成型品が変更となった場合、成型操作盤２ａを操作して成型を停止し、交換操作盤２ｂを操作してカセット金型２０の取り出しを指示する。すると金型交換装置３０が、指示に応じてベース金型１０から自動的にカセット金型２０を取り外してカセット金型２０を金型載置台３１に載置する。

　次に作業者Ｓは、カセット金型が載置されていないカラ状態の金型交換用台車５０を金型交換装置３０の位置へ移動させる。そして作業者Ｓは、カセット金型２０を金型載置台３１から金型交換用台車５０に移動させ、金型交換用台車５０を金型棚５の位置へ移動させてカセット金型２０を金型棚５へ保管する。

　次に作業者Ｓは、次の成型品を製造するための別のカセット金型２０を金型棚５から取り出して金型交換用台車５０に載置する。そして作業者Ｓは、カセット金型２０が載置された金型交換用台車５０を金型交換装置３０の位置へ移動させる。さらに作業者は、カセット金型２０を金型交換用台車５０から金型載置台３１に移動させた後、金型交換用台車５０を金型載置台３１から離間させる。

　そして作業者Ｓは交換操作盤２ｂを操作してカセット金型２０の取り付けを指示する。すると金型交換装置３０が、指示に応じて金型載置台３１に載置されているカセット金型２０をベース金型１０に自動的に取り付け、成型の準備が完了する。

　金型交換用台車５０は、金型交換装置３０によって取り外されて金型載置台３１に載置されたカセット金型２０を作業者Ｓが金型棚５へ移動させる作業と、別のカセット金型２０を作業者Ｓが金型棚５から金型載置台３１へ移動させる作業を支援する。金型交換用台車５０は、以降に説明する構造を有することで、作業者Ｓが、上記の作業を、より安全に、より容易に、より短時間に行うことができるように支援する。

＜＜ベース金型１０（図３）と、カセット金型２０（図４）の外観＞＞
　図３は、図１及び図２に示すカセット金型装置２が有するベース金型１０（固定側金型１１と可動側金型１２）の斜視図である。図４は図３に示すベース金型１０が備えるカセット金型２０（固定側カセット２１と可動側カセット２２）の斜視図である。なお、金型交換装置３０（図１、図２参照）によってベース金型１０から取り外されたカセット金型２０は、図４に示すように固定側カセット２１と可動側カセット２２とが連結された状態で取り外される。そして金型交換装置３０によってカセット金型２０をベース金型１０に取り付ける作業は、図４に示すように固定側カセット２１と可動側カセット２２とが連結された状態から開始される。

　図３に示すように、ベース金型１０の固定側金型１１には固定側カセット２１が取り付けられている。ベース金型１０の可動側金型１２には可動側カセット２２が取り付けられている。また本実施形態では、可動側金型１２には、可動側カセット２２の中子２２ａ、２２ｂ、２２ｃを動作させる中子駆動部１２ａ、１２ｂ、１２ｃが設けられている。また、固定側カセット２１と可動側カセット２２のそれぞれの対向面には、成型品の形状が彫り込まれている（図示省略）。

　また、金型交換装置３０（図１、図２参照）によってベース金型１０から取り外されたカセット金型２０、及び金型交換装置３０によってベース金型１０に取り付けられるカセット金型２０は、図４に示すとおり、固定側カセット２１と可動側カセット２２とが連結されている。なお可動側カセット２２は、成型品の取り出しの際に使用される押出板２２ｄと、可動側カセット２２から突出して押出板２２ｄに連結されている押出シャフト２２ｅを備える。

＜＜金型交換装置３０の金型載置台３１とその周囲の外観（図５）＞＞
　図５では、金型交換装置３０によってベース金型１０から取り外されて金型載置台３１に載置されたカセット金型２０（あるいは、金型交換装置３０がベース金型１０に取り付けるために金型載置台３１に載置されたカセット金型２０）を二点鎖線にて示している。

　金型載置台３１の上面には、図５に示すように、位置決めストッパ３１ａ、落下防止ストッパ３１ｂ、後端ストッパ３１ｃ、装置レール３１ｎ、ローラ３１ｒ等が設けられている。ローラ３１ｒは、金型載置台３１上におけるカセット金型２０のＸ軸方向に沿う移動を容易にする。後端ストッパ３１ｃは、カセット金型２０が後方（Ｘ方向とは反対の方向）に移動して金型載置台３１から落下することを防止する。位置決めストッパ３１ａは、カセット金型２０を位置決めストッパ３１ａと後端ストッパ３１ｃの間（金型載置台３１の「所定位置」に相当）に保持する。落下防止ストッパ３１ｂは、位置決めストッパ３１ａが何らかの要因で機能しなかった場合等においてカセット金型２０が前方（Ｘ方向）に移動して金型載置台３１から落下することを防止する。

　また金型載置台３１におけるＹ方向とは反対側の側面には、金型ガイド３１ｋが設けられている。金型ガイド３１ｋは、可動側カセット２２と押出板２２ｄとの間に挿通される。これにより、金型ガイド３１ｋは、カセット金型２０（図５中に二点鎖線で記載）がＹ軸方向への移動を抑制し、カセット金型２０のＸ軸方向への移動を案内する。

　また金型載置台３１の正面（金型交換用台車５０に対向する面（図１参照））は装置側対向面３１ｍである。装置側対向面３１ｍには、位置決め孔３１ｈ、位置決めストッパ操作孔３１ｅ、落下防止ストッパ操作孔３１ｆ、開口部３１ｓ等が設けられている。

　位置決め孔３１ｈは、カセット金型２０の交換工程において図８に示す金型交換用台車５０の台車側対向面５５ｍが装置側対向面３１ｍに接触あるいは近接された際に図８に示す位置決めピン５５ｐが挿通される孔である。位置決めストッパ操作孔３１ｅは、図８に示す金型交換用台車５０の位置決めストッパ制御部５５ａが挿通される孔である。落下防止ストッパ操作孔３１ｆは、図８に示す金型交換用台車５０の落下防止ストッパ解除部５５ｂが挿通される孔である。開口部３１ｓは、図８に示す係止部５５ｃが差し込まれるよう構成されている。開口部３１ｓには、所定間隔Ｄ１（図１２参照）をあけて下方に向かって延びる一対のロックピン３１ｐ（被係止部に相当）が設けられている。一対のロックピン３１ｐは、装置側対向面３１ｍ、あるいは装置側対向面３１ｍの近傍に設けられている。

＜＜金型交換用台車５０の全体構成（図６、図７）＞＞
　次に図６及び図７を用いて金型交換用台車５０の全体構成について説明する。金型交換用台車５０は、下テーブル５１、上テーブル５２、下テーブル５１に対して上テーブル５２を昇降させる昇降装置５３等を備えている。

　金型交換用台車５０は、下テーブル５１の一方端からＺ方向に延在する後壁５１ｋと、後壁５１ｋの上端に設けられた台車ハンドル５１ｇを備える。台車ハンドル５１ｇは、作業者Ｓが金型交換用台車５０を移動させる際に作業者Ｓに把持されるよう構成されている。下テーブル５１の底面における台車ハンドル５１ｇに近い側には一対の自在キャスタ５１ｄが設けられている。下テーブル５１の底面における台車ハンドル５１ｇから遠い側には一対の固定キャスタ５１ｆが設けられている。そして下テーブル５１の底面における自在キャスタ５１ｄと固定キャスタ５１ｆとの間となる位置には、電動モータ５１ｍにて駆動される駆動輪５１ｅが設けられている。

　駆動輪５１ｅは１輪であり、金型交換用台車５０を上から見た場合、下テーブル５１の略中央に配置されている。また電動モータ５１ｍには下テーブル５１に載置されたバッテリ５１ｎから電力が供給されている。作業者Ｓが台車ハンドル５１ｇに取り付けられた走行操作ハンドル５１ｈを把持して走行操作ハンドル５１ｈを前方（図６、図７においてＸ方向とは反対の方向）に押すと、駆動輪５１ｅは金型交換用台車５０を安全な速度で前進させる（Ｘ方向とは反対の方向へ進行させる）。また作業者Ｓが走行操作ハンドル５１ｈを把持して走行操作ハンドル５１ｈを後方（図６、図７においてＸ方向）に引くと、駆動輪５１ｅは金型交換用台車５０を安全な速度で後退させる（Ｘ方向へ進行させる）。

　また金型交換用台車５０は、下テーブル５１の他方端に、図１、図５及び図６に示す装置側ガイド４２に案内される一対の台車側ガイド５１ｂ、装置側位置決め部４１に嵌って位置決めされる一対の台車側位置決め部５１ａを備える。本実施形態における台車側ガイド５１ｂは、鉛直軸を中心に回動するローラである。一方、装置側ガイド４２は、リフタ３２側からＸ方向に延在する板状であり、略中央部で外方に向かって約３０～４５°の角度で屈曲している。そのため、金型交換用台車５０をカセット金型装置２へ向けて移動させる際に台車側ガイド５１ｂが装置側ガイド４２に転がり接触することにより、金型交換用台車５０を台車側対向面５５ｍが装置側対向面３１ｍに接触あるいは近接する連結可能位置に円滑に案内可能である。

　また下テーブル５１は、昇降ハンドル５３ｈ、高さ情報表示部５３ｇ、台車連結レバー５１ｖ、台車連結部５１ｗ、床ロック装置５１ｓ等を有している。作業者Ｓは、床ロック装置５１ｓを踏み込むことで、位置決めした金型交換用台車５０を床面に対して固定可能であり、もう一度踏み込むことで固定を解除可能である。

　昇降ハンドル５３ｈは、作業者Ｓによって操作され、昇降装置５３を動作させて上テーブル５２を昇降させる。高さ情報表示部５３ｇには、床面等に対する上テーブル５２の高さ情報が表示される。また、金型交換装置３０の金型載置台３１（図５～図７参照）には、床面等に対する金型載置台３１の高さ情報が表示されている（図示省略）。作業者Ｓは、カセット金型の交換の際、金型交換用台車５０を金型載置台３１の位置へ位置決めする前に、まず金型載置台３１に表示されている高さ情報を確認する。そして作業者Ｓは、金型載置台３１の高さ情報と高さ情報表示部５３ｇに表示される高さ情報とが一致するように、高さ情報表示部５３ｇを見ながら昇降ハンドル５３ｈを操作して上テーブル５２の高さを調整する。

　台車連結レバー５１ｖは、後壁５１ｋに設けられている。作業者Ｓが台車連結レバー５１ｖを操作すると、図７に示すように、金型交換用台車５０の前端に設けられた台車連結部５１ｗが動作して、金型交換装置３０に設けられた被連結部（図示省略）への連結と連結解除が行われる。

　上テーブル５２には、固定レール５４と可動レール５５を有する台車レール５６、噛み合いチェーン装置５７等が設けられている。後述するように、台車レール５６（可動レール５５）は、金型載置台３１の装置レール３１ｎ（図５参照）に連結可能とされている。

　固定レール５４は、上テーブル５２に固定された一対のレールである。固定レール５４の上面にはカセット金型２０の移動（Ｘ軸方向に沿う移動）を容易にするための複数のローラ５４ｒが設けられている。また固定レール５４における台車ハンドル５１ｇに近い側（Ｘ方向の端部の近傍）には、噛み合いチェーン装置５７が取り付けられている。

　可動レール５５は、上テーブル５２に載置された一対のレールである。可動レール５５は、固定レール５４に対して、固定レール５４の長手方向であるレール長手方向（Ｘ軸方向）に沿ってスライド移動可能である。従って、図６及び図７において、可動レール５５をＸ方向とは反対の方向にスライドさせていくと、固定レール５４と可動レール５５にて形成される台車レール５６が延びていく。また図６及び図７において、可動レール５５をＸ方向にスライドさせていくと、固定レール５４と可動レール５５にて形成される台車レール５６が短くなっていく。

　ここで、図６及び図７に示す金型交換時において、金型載置台３１に対向する可動レール５５の面（可動レール５５における台車ハンドル５１ｇとは反対側の面）を台車側対向面５５ｍとする。また、台車側対向面５５ｍに対向する金型載置台３１の面を装置側対向面３１ｍとする。固定レール５４と可動レール５５にて構成された台車レール５６は、上述したように、台車レール５６（可動レール５５）の長手方向であるレール長手方向（Ｘ軸方向）に沿って伸縮可能とされている。また可動レール５５の上面には、カセット金型２０の移動（Ｘ軸方向に沿う移動）を容易にするための複数のローラ５５ｒが設けられている。また、可動レール５５の幅は、カセット金型２０を載置及び移動することが可能な幅とされている。

　また可動レール５５には、ガイド５５ｔ、ガイド５５ｕ（図６～図８参照）が、可動レール５５のレール長手方向（Ｘ軸方向）に沿って設けられている。ガイド５５ｔ、ガイド５５ｕは、カセット金型２０がＹ軸方向にズレて可動レール５５から落下することを防止する。

　噛み合いチェーン装置５７は、作業者Ｓが操作するチェーンハンドル５７ｈ、Ｘ軸方向に沿って伸縮する噛み合いチェーン５７ａ、噛み合いチェーン５７ａの先端に設けられた金型連結部５７ｂ、金型連結部５７ｂを回転させる金型連結レバー５７ｃ等を有している。

　噛み合いチェーン装置５７は、２本のチェーンを収容している。作業者Ｓがチェーンハンドル５７ｈを右回転させると、２本のチェーンが噛み合わされて棒状となった噛み合いチェーン５７ａがＸ方向とは反対方向に向かって延びていく（図６、図７参照）。また作業者Ｓがチェーンハンドル５７ｈを左回転させると、噛み合いチェーン５７ａが２本のチェーンに分離されながら噛み合いチェーン装置５７内に収容され、噛み合いチェーン５７ａはＸ方向に向かって縮んでいく。

　金型連結部５７ｂは、図７に示すようにピンが立設されている。作業者Ｓが金型連結レバー５７ｃをＹ方向とは反対方向に移動（Ｘ軸方向に沿った連結部中心軸線回りに反時計回り方向へ回転）させると、金型連結部５７ｂのピンは垂直状態となってカセット金型２０に設けられたピン孔に挿通可能となる。また金型連結部５７ｂをカセット金型２０のピン孔に挿通して作業者Ｓが金型連結レバー５７ｃをＹ方向に移動（連結部中心軸線回りに時計回り方向へ回転）させると、金型連結部５７ｂのピンは水平状態となってカセット金型２０のピン孔にロックされる。噛み合いチェーン５７ａと金型連結部５７ｂにて押し引き機構５７ｄが構成されている。押し引き機構５７ｄは、装置レール３１ｎ（図５参照）または台車レール５６（図６、図７参照）に載置されたカセット金型２０をレール長手方向（Ｘ軸方向）に押し引き可能とする。

＜＜金型交換用台車５０の台車側対向面５５ｍの周囲の構造（図８、図９）と、装置側対向面３１ｍの周囲の構造（図１０）＞＞
　図８及び図９に示すように、台車側対向面５５ｍには、位置決めピン５５ｐ、落下防止ストッパ解除部５５ｂ、往復操作部挿通孔５５ｎ、係止部５５ｃ等が設けられている。カセット金型の交換の際は作業者Ｓの操作によって、台車側対向面５５ｍ（図８参照）が装置側対向面３１ｍ（図５、図１０参照）に接触するように、可動レール５５（図８参照）が金型載置台３１の装置レール３１ｎ（図５参照）に連結される。そして作業者Ｓによって金型交換用台車５０と金型載置台３１との間でカセット金型の授受が行われる。

　位置決めピン５５ｐは、図５に示す金型載置台３１の位置決め孔３１ｈに挿通されることで、金型載置台３１の装置側対向面３１ｍ（図５参照）に対する可動レール５５の台車側対向面５５ｍ（図８参照）の位置を位置決めするピンである。

　落下防止ストッパ解除部５５ｂは、図５に示す金型載置台３１の落下防止ストッパ操作孔３１ｆに挿通される。落下防止ストッパ解除部５５ｂは、図５に示す金型載置台３１に設けられた落下防止ストッパ３１ｂを下降させて落下防止ストッパ３１ｂによるカセット金型２０の落下防止状態を解除する部材である。

　図１０は、金型載置台３１に設けられた落下防止ストッパ３１ｂ、位置決めストッパ３１ａの周囲の構造の模式図である。台車側対向面５５ｍが装置側対向面３１ｍに対して位置決めされて接触（近接）されると（金型載置台３１に可動レール５５が連結されると）、落下防止ストッパ解除部５５ｂは、金型載置台３１の落下防止ストッパ操作孔３１ｆに挿通される。図１０に示すように、落下防止ストッパ解除部５５ｂは、落下防止ストッパ操作孔３１ｆに挿通されると、前方に形成された傾斜部がローラ３７ａを下方に押し下げて落下防止ストッパ３１ｂを下降させる（落下防止状態を落下防止解除状態にする）。金型交換用台車５０が金型載置台３１から離間されて落下防止ストッパ解除部５５ｂが落下防止ストッパ操作孔３１ｆから抜き出されると、バネ３７ｂの弾性力によって落下防止ストッパ３１ｂは上昇する（落下防止状態となる）。

　往復操作部挿通孔５５ｎは、図８及び図９に示す棒状の位置決めストッパ制御部５５ａの先端部が出入りする孔である。作業者Ｓは、位置決めストッパ操作レバー５５ｖを操作することで、位置決めストッパ制御部５５ａをＸ軸方向に沿って往復移動させることができる。作業者Ｓは、金型載置台３１に可動レール５５を連結した後、位置決めストッパ操作レバー５５ｖを操作することで、図１０に示すように、位置決めストッパ制御部５５ａの先端部を金型載置台３１の位置決めストッパ操作孔３１ｅに出し入れして位置決めストッパ３１ａを上昇させたり下降させたりすることができる。

　図１０に示すように、位置決めストッパ制御部５５ａの先端部が位置決めストッパ操作孔３１ｅに挿通されてシャフト３６ａをＸ方向とは反対方向に押し込むと、ギア３６ｂ、３６ｃ、３６ｄ、及び棒ギア３６ｅを介して位置決めストッパ３１ａが下降する。これにより、位置決めストッパ３１ａは金型載置台３１の上面に突出していない位置決め解除状態となる。位置決めストッパ制御部５５ａの先端部が位置決めストッパ操作孔３１ｅから抜き出されると、図１０に示すようにバネ３６ｆの弾性力によって位置決めストッパ３１ａは上昇する。これにより、位置決めストッパ３１ａは金型載置台３１の上面よりも上方に突出した位置決め状態となる。

　係止部５５ｃは、図５及び図１０に示す金型載置台３１の一対のロックピン３１ｐの間に挿通されて、金型載置台３１に連結された可動レール５５を、連結状態に保持（係止ロック状態にする）または保持の解除（係止解除状態にする）を行う部材である。図１１に示すように、係止部５５ｃは、係止ベース部５５ｄ、開閉部５５ｅ、開閉案内部５５ｆ、往復操作部５５ｇ、弾性部材５５ｙ等を有している。係止部５５ｃは、一対のロックピン３１ｐ（被係止部に相当）に係止可能とされている。

　係止ベース部５５ｄは、図８及び図９に示すように、台車側対向面５５ｍに取り付けられて固定されている。開閉部５５ｅは、図９及び図１２～図１５に示すように、回動ピン５５ｈにて係止ベース部５５ｄに取り付けられ、回動ピン５５ｈ回りに回動可能とされている。また開閉部５５ｅには、図９及び図１２～図１５に示すように、開閉案内ピン５５ｊが立設されている。開閉案内ピン５５ｊは、開閉案内部５５ｆの案内孔５５ｋに挿通されて開閉案内部５５ｆのＸ軸方向に沿った移動に応じて開閉部５５ｅを開閉動作させる（図１２～図１５参照）。

　往復操作部５５ｇは、図９及び図１２～図１５に示すように、先端が開閉案内部５５ｆに接続されている。図８に示すように、往復操作部５５ｇは、台車レール５６（可動レール５５）の長手方向であるレール長手方向（Ｘ軸方向）に沿って往復移動可能とされている。図９に示すように、作業者Ｓは係止操作レバー５５ｗを操作することで、往復操作部５５ｇ（つまり開閉案内部５５ｆ）をＸ軸方向に沿って往復移動させることができる。そして往復操作部５５ｇと開閉案内部５５ｆにて係止状態操作部５５ｘが構成されている。係止状態操作部５５ｘは、上述したように、ロックピン３１ｐ（被係止部）に係止された係止部５５ｃを、係止ロック状態と係止解除状態とのいずれかに操作可能とされている。

＜＜ロックピン３１ｐ（被係止部）に係止される係止部５５ｃの、係止ロック状態と係止解除状態の動作（図１１～図１５）＞＞
　図１１は、金型交換用台車５０の可動レール５５（図８参照）を金型載置台３１（図５参照）に連結する直前の状態における、金型載置台３１と係止部５５ｃ（可動レール５５の先端に設けられた係止部５５ｃ）を示している。金型載置台３１に可動レール５５を連結する際、係止部５５ｃの係止ベース部５５ｄと開閉部５５ｅは、図１２～図１５に示すように、一対のロックピン３１ｐ（被係止部）の間に挿通される。

　図１２は、図１１に示す状態を下方から見た図である。また一対の開閉部５５ｅは弾性部材５５ｙにて台車側対向面５５ｍ側が開くように付勢されている（開き状態となるように付勢されている）。

　図１３は、図１２に示す状態から作業者Ｓが金型交換用台車５０を前進させて、一対のロックピン３１ｐの間に係止部５５ｃが途中まで挿通された状態を示している。なお、係止部５５ｃの開閉案内部５５ｆは、ロックピン３１ｐと干渉しない位置となっている。つまり、ロックピン３１ｐの下方に延びる長さは、開閉案内部５５ｆまで届いていない。図１３に示すように、図１２に示すロックピン３１ｐの所定間隔Ｄ１よりも広い開き状態であった開閉部５５ｅは、ロックピン３１ｐに衝突するが、ロックピン３１ｐに押されて所定間隔Ｄ１よりも狭い閉じ状態へと自動的に回動する。このとき、図１３に示すように、回動ピン５５ｈと開閉案内部５５ｆとの間の操作距離Ｌ２は、図１２に示す操作距離Ｌ１よりも少し大きくなるので、往復操作部５５ｇは操作距離Ｌ２分だけＸ方向へ押される。

　図１４は、図１３に示す状態から作業者Ｓがさらに金型交換用台車５０を前進させて、金型載置台３１の装置側対向面３１ｍに、金型交換用台車５０の台車側対向面５５ｍが近接（ほぼ接触）した状態を示している。この状態では係止部５５ｃの開閉部５５ｅは、一対のロックピン３１ｐを完全に通過している。そして図１４は、作業者Ｓが係止操作レバー５５ｗ（図９参照）を操作して図１４中に示すＸａ方向へ往復操作部５５ｇを移動させた状態を示している。このとき、回動ピン５５ｈと開閉案内部５５ｆとの間の操作距離Ｌ３は、ほぼゼロとなる。この場合、開閉案内部５５ｆの案内孔５５ｋに開閉案内ピン５５ｊが案内され、かつ、弾性部材５５ｙの付勢力によって、開閉部５５ｅは図１４に示す開き状態（開閉部５５ｅが、図１２に示す所定間隔Ｄ１よりも広い状態）となる。

　図１４に示す開き状態では、金型交換用台車５０が金型載置台３１から離間（Ｘ方向へ移動）しようとすると、開閉部５５ｅの後端部（図中の左端部）が一対のロックピン３１ｐと干渉する。すなわち、開き状態とされた係止部５５ｃの開閉部５５ｅは、金型交換用台車５０が金型載置台３１から離間することを防止する（係止ロック状態に設定されている）。

　図１５は、図１４に示す状態から作業者Ｓが係止操作レバー５５ｗ（図９参照）を操作して図１５中に示すＸｂ方向へ往復操作部５５ｇを移動させた状態を示している。このとき、回動ピン５５ｈと開閉案内部５５ｆとの間の操作距離Ｌ４は図１４に示す操作距離Ｌ３よりも少し広がる。この場合、開閉案内部５５ｆの案内孔５５ｋに開閉案内ピン５５ｊが案内され、開閉部５５ｅは図１５に示す閉じ状態（開閉部５５ｅが、図１２に示す所定間隔Ｄ１よりも狭い状態）となる。

　図１５に示す閉じ状態では、係止部５５ｃの開閉部５５ｅによる係止ロック状態（図１４に示す状態）が解除され（係止解除状態とされ）ている。この状態では、作業者Ｓが金型交換用台車５０を後退させて金型載置台３１から金型交換用台車５０を離間させることができる。すなわち、閉じ状態とされた係止部５５ｃの開閉部５５ｅは、金型交換用台車５０が金型載置台３１から離間することを許容する（係止解除状態に設定されている）。このように開閉部５５ｅは、閉じ状態と開き状態との間で可動する。

＜＜カセット金型２０の交換時における作業者Ｓの作業手順＞＞
　金型交換用台車５０及び金型載置台３１は、以上に説明した構成を有している。カセット金型２０の交換の際、作業者Ｓは、カセット金型２０の交換作業の一部として、以下の（１）と（２）の作業を行う必要があり、金型交換用台車５０は、当該（１）と（２）の作業を支援する。
（１）金型交換装置３０（図２参照）によって自動的に取り外されて金型載置台３１に載置されたカセット金型２０（図５に二点鎖線で示すカセット金型２０）を、（金型交換用台車５０を用いて）金型棚５（図１参照）へ移動させる。
（２）金型交換装置３０（図２参照）を用いて自動的に取り付けるべきカセット金型を、（金型交換用台車５０を用いて）金型棚５（図１参照）から金型載置台３１へ移動（図５に二点鎖線で示すカセット金型２０の位置へ移動）させる。

　作業者Ｓは、上記の（１）と（２）の作業を、以下の（Ａ）～（Ｔ）の手順にて行う。

（Ａ）金型システム１の成型操作盤２ａ（図１参照）を操作して成型品の製造を停止させ、交換操作盤２ｂ（図１参照）を操作して金型交換装置３０にカセット金型２０（図２、図５参照）を取り外させる。なお、金型交換装置３０によって自動的に取り外されたカセット金型２０は、図５に二点鎖線で示すカセット金型２０の位置（金型載置台３１の位置決めストッパ３１ａと後端ストッパ３１ｃの間の位置）に載置される。

（Ｂ）カセット金型が載置されていないカラ状態の金型交換用台車５０を用意し、昇降ハンドル５３ｈと高さ情報表示部５３ｇを用いて、金型交換用台車５０の上テーブル５２の高さ（可動レール５５の高さ）を、金型載置台３１の高さに応じて調整する。

（Ｃ）金型交換用台車５０の可動レール５５が金型載置台３１に対向するように金型交換用台車５０を移動させる。そして金型交換用台車５０をカセット金型装置２に向けてゆっくりと前進させて、金型交換用台車５０の台車側ガイド５１ｂ（図１、図６，図７参照）を、カセット金型装置２の装置側ガイド４２（図１、図６、図７参照）に転がり接触させることにより金型交換用台車５０を連結可能位置に案内する。そして、金型交換用台車５０の台車側位置決め部５１ａ（図１、図６、図７参照）をカセット金型装置２の装置側位置決め部４１（図１、図６、図７参照）に嵌合させる。その後、金型交換用台車５０の台車連結レバー５１ｖを操作して台車連結部５１ｗ（図７参照）をカセット金型装置２に連結する。その後、金型交換用台車５０の床ロック装置５１ｓ（図６、図７参照）を踏み込んで、金型交換用台車５０を床面に固定する。

（Ｄ）金型交換用台車５０の可動レール５５（図６～図８参照）を金型載置台３１（図６、図７参照）の側へスライド移動させ、可動レール５５の台車側対向面５５ｍ（図６～図８参照）を、金型載置台３１の装置側対向面３１ｍ（図６、図７参照）に接触（または近接）させることにより、可動レール５５を装置レール３１ｎに連結する。このとき、金型載置台３１の落下防止ストッパ３１ｂ（図５参照）は、落下防止ストッパ解除部５５ｂ（図８参照）によって自動的に下降される。

（Ｅ）金型交換用台車５０の係止操作レバー５５ｗ（図９参照）を操作して、係止部５５ｃをロックピン３１ｐに対して係止ロック状態（図１４に示す状態）にする。係止ロック状態では、ロックピン３１ｐ（被係止部）に係止された係止部５５ｃを係止状態に保持する。これにより、金型交換用台車５０の可動レール５５が金型載置台３１に対して位置決めされて連結された状態をロックする。

（Ｆ）金型交換用台車５０のチェーンハンドル５７ｈ（図６、図７参照）を操作して、噛み合いチェーン５７ａ及び金型連結部５７ｂを、金型載置台３１に載置されているカセット金型２０に向けて延ばしていく（前進させる）。金型連結部５７ｂがカセット金型２０のピン孔に挿通されたらチェーンハンドル５７ｈの操作を停止し、金型連結レバー５７ｃ（図６、図７参照）を操作して、金型連結部５７ｂをカセット金型２０のピン孔に固定する。

（Ｇ）金型交換用台車５０の位置決めストッパ操作レバー５５ｖ（図９参照）を操作して、金型載置台３１の位置決めストッパ３１ａ（図５参照）を下降させる（位置決め解除状態にする）。その後、金型交換用台車５０のチェーンハンドル５７ｈ（図６、図７参照）を操作して噛み合いチェーン５７ａを縮めて（後退させて）、金型連結部５７ｂが固定されたカセット金型２０を引き寄せ、金型載置台３１に載置されていたカセット金型２０を金型交換用台車５０へ移動させる。移動が完了したらチェーンハンドル５７ｈの操作を停止する。

（Ｈ）金型交換用台車５０の係止操作レバー５５ｗ（図９参照）を操作して、上記の（Ｅ）にて係止ロック状態（図１４に示す状態）にした係止部５５ｃを係止解除状態（図１５に示す状態）にする。係止解除状態では、係止ロック状態が解除されて金型載置台３１から台車レール５６を離間することが許容される。その後、床ロック装置５１ｓ（図６、図７参照）を踏み込んで床面への固定を解除し、台車連結レバー５１ｖ（図６、図７参照）を操作して台車連結部５１ｗの連結を解除する。

（Ｉ）金型交換用台車５０を後退させて金型載置台３１から離間させ、取り外されたカセット金型２０が載置された金型交換用台車５０を金型棚５（図１参照）まで移動させる。その後、金型交換用台車５０に載置されたカセット金型２０を、金型棚５の所定位置へと移動させる（以下の（Ｏ）、（Ｐ）と同様の作業を行う）。

（Ｊ）金型棚５の中から次の成型品の製造に使用するカセット金型２０を選定して、チェーンハンドル５７ｈ、噛み合いチェーン５７ａ、金型連結部５７ｂ、金型連結レバー５７ｃ（図６、図７参照）を用いて、上記の（Ｆ）、（Ｇ）と同様の作業を行い、金型棚５からカセット金型２０を金型交換用台車５０に移動させる。金型交換用台車５０に載置されたカセット金型２０のピン孔には金型連結部５７ｂが挿通されて固定されている。

（Ｋ）上記の（Ｃ）と同じ作業を行い、金型交換用台車５０をカセット金型装置２に対して位置決めして連結し、金型交換用台車５０を床面に固定する。

（Ｌ）上記の（Ｄ）と同じ作業を行い、可動レール５５を金型載置台３１に対して位置決めして連結する。

（Ｍ）上記の（Ｅ）と同じ作業を行い、金型載置台３１に対して可動レール５５が位置決めされて連結された状態をロックする（係止ロック状態にする）。

（Ｎ）金型交換用台車５０の位置決めストッパ操作レバー５５ｖ（図９参照）を操作して、金型載置台３１の位置決めストッパ３１ａ（図５参照）を下降させる（位置決め解除状態にする）。なお、落下防止ストッパ３１ｂは、自動的に下降されている。

（Ｏ）金型交換用台車５０のチェーンハンドル５７ｈ（図６、図７参照）を操作して、噛み合いチェーン５７ａを金型載置台３１に向けて延ばす（前進させる）。これにより、噛み合いチェーン５７ａの先端の金型連結部５７ｂに固定されたカセット金型２０を押し出して金型載置台３１へ移動させる。カセット金型２０を、下降している位置決めストッパ３１ａ（図５参照）を超える位置まで移動させ、チェーンハンドル５７ｈの操作を停止する。

（Ｐ）金型交換用台車５０の位置決めストッパ操作レバー５５ｖ（図９参照）を操作して、金型載置台３１の位置決めストッパ３１ａ（図５参照）を上昇させる（位置決め状態にする）。その後、チェーンハンドル５７ｈ（図６、図７参照）を操作して噛み合いチェーン５７ａを縮めて（後退させて）カセット金型２０を位置決めストッパ３１ａ（図５参照）に接触させて（位置決めして）、チェーンハンドル５７ｈの操作を停止する。その後、金型連結レバー５７ｃ（図６、図７参照）を操作して、カセット金型２０のピン孔に挿通されている金型連結部５７ｂの固定を解除する。その後、チェーンハンドル５７ｈ（図６、図７参照）を操作して、噛み合いチェーン５７ａ及び金型連結部５７ｂを縮めて（後退させて）カセット金型２０から離間させる。

（Ｑ）上記の（Ｈ）と同じ作業を行い、金型載置台３１及びカセット金型装置２に対する可動レール５５及び金型交換用台車５０の係止及び連結を解除し、床面への固定も解除する。

（Ｒ）金型交換用台車５０を後退させて金型載置台３１から離間させ、金型交換用台車５０を台車保管位置（金型交換用台車５０を保管する位置）まで移動させ、床ロック装置５１ｓ（図６、図７参照）を踏み込んで床面へ固定する。

（Ｓ）交換操作盤２ｂ（図１参照）を操作して、金型載置台３１に載置されたカセット金型２０を金型交換装置３０によって自動的にベース金型１０に取り付けさせる。

（Ｔ）成型操作盤２ａ（図１参照）を操作して、成型品の製造を開始する。

　上記の（Ａ）～（Ｔ）の作業は、ホイストによる吊り上げ等の特殊な作業を必要としないので、特殊な技能を有する熟練作業者でなく一般的な作業者であっても、より安全に、より容易に、より短時間に交換作業を行うことができる。また、金型交換用台車５０をカセット金型装置２（金型交換装置３０）に対して位置決めして固定し、カセット金型が載置される金型載置台３１に対して可動レール５５を直接的に位置決めして固定するので、作業者は、より安全に交換作業を行うことができる。そして金型交換用台車５０は、作業者が上記の（Ａ）～（Ｔ）の作業をより安全に、より容易に、より短時間に行うことを適切に支援できる。

＜＜その他＞＞
　本明細書に開示の技術の、金型交換用台車５０は、本実施の形態で説明した構成、構造、外観、形状等に限定されず、本明細書に開示の技術の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また作業者Ｓの作業手順等も、本明細書に開示の技術の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また本明細書に開示の技術は、その特徴を単独又は他の特徴と組み合わせて実施することができる。

　本実施の形態の説明では被係止部として一対のロックピン３１ｐを用いた例を説明したが、被係止部は一対のロックピンとに限定されるものではない。また係止状態操作部（往復操作部５５ｇと開閉案内部５５ｆ）や係止部５５ｃの形状及び構造等も、本実施の形態で説明した形状及び構造等に限定されるものではない。

　また位置決めストッパ３１ａの形状や昇降動作させる構造、落下防止ストッパ３１ｂの形状や昇降動作させる構造等は、本実施の形態で説明した形状や構造等に限定されるものではない。

　また、装置レール３１ｎまたは可動レール５５に載置されたカセット金型２０を押し引きする押し引き機構５７ｄは、噛み合いチェーン５７ａと金型連結部５７ｂに限定されるものではない。

　また、ローラである台車側ガイド５１ｂをカセット金型装置２に設け、板状の装置側ガイド４２を金型交換用台車５０に設けてもよい。

　本開示は以下の態様を含む。第１の態様は、固定側金型と可動側金型を有するベース金型に交換可能なカセット金型が取り付けられるカセット金型装置に対して前記ベース金型から前記カセット金型を取り外して別の前記カセット金型を前記ベース金型に取り付ける金型交換装置との前記カセット金型の授受を支援する金型交換用台車であって、前記金型交換装置の金型載置台に連結可能な台車レールと、ここで、前記台車レールは前記金型載置台に対向する台車側対向面を有し、前記金型載置台は、前記金型交換装置によって前記ベース金型から取り外された前記カセット金型あるいは前記金型交換装置によって前記ベース金型に取り付けられる前記カセット金型が載置されるよう構成されており、前記金型載置台は前記台車レールに対向する装置側対向面と前記装置側対向面または前記装置側対向面の近傍に設けられた被係止部とを有し、前記台車側対向面に設けられており、前記被係止部に係止可能とされた係止部と、前記装置側対向面に前記台車側対向面が接触あるいは近接され前記金型載置台に対して前記台車レールが位置決めされて前記被係止部に係止された前記係止部を係止状態に保持する係止ロック状態と前記係止ロック状態を解除して前記金型載置台から前記台車レールが離間することを許容する係止解除状態とのいずれかに操作可能な係止状態操作部と、を有している、金型交換用台車である。

　上記第１の態様によれば、装置側対向面に台車側対向面を接触あるいは近接され金型載置台に対して台車レールを位置決めされて被係止部に係止された係止部を係止ロック状態とすることで、金型載置台に対して位置決めされた台車レールを直接的に固定する。これにより、金型載置台と金型交換用台車の台車レールが離間することを防止する。そして金型交換用台車は、ホイスト等による吊り上げ等を行うことなく金型載置台とのカセット金型の授受を行うことを支援し、作業者がより安全に、より容易に、より短時間にカセット金型の交換作業を行うことを支援できる。

　第２の態様は、上記第１の態様に係る金型交換用台車であって、前記被係止部は、所定間隔をあけて設けられた一対のロックピンであり、前記係止部は、前記所定間隔よりも狭い閉じ状態と前記所定間隔よりも広い開き状態との間で可動する開閉部と、前記開閉部を前記開き状態となるように付勢する弾性部材とを有している、金型交換用台車である。

　上記第２の態様によれば、被係止部は一対のロックピンで実現され、係止部は開閉部を有することで実現される。従って、シンプルな構成で被係止部と係止部を実現できる。

　第３の態様は、上記第２の態様に係る金型交換用台車であって、前記係止状態操作部は、前記台車レールの長手方向に沿って往復移動可能とされた往復操作部と、前記往復操作部に接続された開閉案内部と、を有し、前記開閉案内部は、前記往復操作部の往復移動に応じて、前記被係止部に係止された前記係止部の前記開閉部を前記開き状態へと案内することで前記係止ロック状態に設定し、前記被係止部に係止された前記係止部の前記開閉部を前記閉じ状態へと案内することで前記係止解除状態に設定する、金型交換用台車である。

　上記第３の態様によれば、往復操作部と開閉案内部を有するように係止状態操作部を構成する。この係止状態操作部にて、開閉部を閉じ状態と開き状態のいずれかにすることができる。

　第４の態様は、上記第１～第３の態様のいずれか１つに係る金型交換用台車であって、前記金型載置台は、前記金型載置台に載置された前記カセット金型を前記金型載置台の所定位置に保持する位置決めストッパを有し、前記金型交換用台車は、前記係止状態の場合に前記位置決めストッパを位置決め状態と位置決め解除状態との間で動作させる位置決めストッパ制御部を有している、金型交換用台車である。

　上記第４の態様によれば、金型載置台に載置されたカセット金型を金型載置台の所定位置に保持する位置決めストッパを、係止状態の場合に金型交換用台車から位置決め状態と位置決め解除状態の間で動作させることができる。金型載置台と金型交換用台車との間でカセット金型を移動させる際、位置決め状態では位置決めストッパがカセット金型と干渉するので、金型交換用台車から位置決め状態と位置決め解除状態との間で動作させることができると便利である。従って金型交換用台車は、作業者がより容易にカセット金型の交換作業を行うことを支援できる。

　第５の態様は、上記第４の態様に係る金型交換用台車であって、前記金型載置台は、前記金型載置台に載置された前記カセット金型が、前記装置側対向面の側へ移動して前記金型載置台から落下することを防止するように前記位置決めストッパよりも前記装置側対向面に近い位置に落下防止ストッパを有し、前記金型交換用台車は、前記係止状態の場合に前記落下防止ストッパを落下防止解除状態にする落下防止ストッパ解除部を有している、金型交換用台車である。

　上記第５の態様によれば、金型載置台に載置されたカセット金型が装置側対向面の側へ移動して金型載置台から落下することを防止する落下防止ストッパ（位置決めストッパよりも装置側対向面に近い位置に設けられた落下防止ストッパ）を、係止状態の場合に金型交換用台車から落下防止解除状態にすることができる。金型載置台と金型交換用台車との間でカセット金型を移動させる際、落下防止状態では落下防止ストッパがカセット金型と干渉するので、金型交換用台車から落下防止解除状態にすることができると便利である。従って金型交換用台車は、作業者がより安全に、より容易にカセット金型の交換作業を行うことを支援できる。

　第６の態様は、上記第１～第５の態様のいずれか１つに係る金型交換用台車であって、前記金型交換用台車及び前記カセット金型装置の一方は案内部材を有し、他方は前記案内部材と転がり接触するローラを有し、前記案内部材は、前記金型交換用台車を前記カセット金型装置へ向けて移動させる間に前記ローラと接触することにより、前記金型交換用台車を前記台車側対向面が前記装置側対向面に接触あるいは近接する連結可能位置に案内する、金型交換用台車である。

　上記第６の態様によれば、金型交換用台車をカセット金型装置へ向けて移動させる間に、案内部材がローラと接触することにより金型交換用台車を連結可能位置に案内することができる。これにより、金型載置台に対する台車レールの位置決めが容易になり、両者を正確に連結しやすくなる。

　第７の態様は、上記第６の態様に係る金型交換用台車であって、前記金型載置台は、前記台車レールに連結可能な装置レールを有し、前記装置レールは、前記ローラが前記案内部材に接触して前記金型交換用台車が前記連結可能位置に案内された後に前記台車レールに連結される、金型交換用台車である。

　上記第７の態様によれば、ローラが案内部材に接触することにより金型交換用台車が連結可能位置に案内された後に金型載置台の装置レールが台車レールに連結される。そのため、所定の連結可能位置へ案内された金型交換用台車の台車レールを装置レールに連結できるため、両者の正確な連結が更に容易になる。

　第８の態様は、上記第１～第６の態様のいずれか１つに係る金型交換用台車であって、前記金型載置台に設けられた装置レールに連結可能であるとともに前記台車レールの長手方向であるレール長手方向に沿って伸縮可能とされた前記台車レールと、前記装置レールまたは前記台車レールに載置されている前記カセット金型に対して連結と解除が可能な金型連結部が取り付けられて前記カセット金型に連結された状態では前記装置レールまたは前記台車レールに載置されている前記カセット金型を前記レール長手方向に沿って押し引き可能とする噛み合いチェーンを有する押し引き機構と、を有している、金型交換用台車である。

　上記第８の態様によれば、装置レールに連結可能であるとともにレール長手方向に沿って伸縮可能とされた台車レールと、装置レールまたは台車レールに載置されたカセット金型を押し引き可能とする噛み合いチェーンを有する押し引き機構とを有する。これにより金型交換用台車は、作業者による金型載置台と金型交換用台車との間でのカセット金型の授受を、より安全に、より容易に、より短時間に行うことを支援できる。

Claims

　固定側金型と可動側金型を有するベース金型に交換可能なカセット金型が取り付けられるカセット金型装置に対して前記ベース金型から前記カセット金型を取り外して別の前記カセット金型を前記ベース金型に取り付ける金型交換装置との前記カセット金型の授受を支援する金型交換用台車であって、
　前記金型交換装置の金型載置台に連結可能な台車レールと、ここで、前記台車レールは前記金型載置台に対向する台車側対向面を有し、前記金型載置台は、前記金型交換装置によって前記ベース金型から取り外された前記カセット金型あるいは前記金型交換装置によって前記ベース金型に取り付けられる前記カセット金型が載置されるよう構成されており、前記金型載置台は前記台車レールに対向する装置側対向面と前記装置側対向面または前記装置側対向面の近傍に設けられた被係止部とを有し、
　前記台車側対向面に設けられており、前記被係止部に係止可能とされた係止部と、
　前記装置側対向面に前記台車側対向面が接触あるいは近接され前記金型載置台に対して前記台車レールが位置決めされて前記被係止部に係止された前記係止部を係止状態に保持する係止ロック状態と前記係止ロック状態を解除して前記金型載置台から前記台車レールが離間することを許容する係止解除状態とのいずれかに操作可能な係止状態操作部と、
を有している、
　金型交換用台車。
　請求項１に記載の金型交換用台車であって、
　前記被係止部は、所定間隔をあけて設けられた一対のロックピンであり、
　前記係止部は、前記所定間隔よりも狭い閉じ状態と前記所定間隔よりも広い開き状態との間で可動する開閉部と、前記開閉部を前記開き状態となるように付勢する弾性部材とを有している、
　金型交換用台車。
　請求項２に記載の金型交換用台車であって、
　前記係止状態操作部は、
　前記台車レールの長手方向に沿って往復移動可能とされた往復操作部と、
　前記往復操作部に接続された開閉案内部と、
　を有し、
　前記開閉案内部は、前記往復操作部の往復移動に応じて、前記被係止部に係止された前記係止部の前記開閉部を前記開き状態へと案内することで前記係止ロック状態に設定し、前記被係止部に係止された前記係止部の前記開閉部を前記閉じ状態へと案内することで前記係止解除状態に設定する、
　金型交換用台車。
　請求項１～３のいずれか一項に記載の金型交換用台車であって、
　前記金型載置台は、前記金型載置台に載置された前記カセット金型を前記金型載置台の所定位置に保持する位置決めストッパを有し、
　前記金型交換用台車は、前記係止状態の場合に前記位置決めストッパを位置決め状態と位置決め解除状態との間で動作させる位置決めストッパ制御部を有している、
　金型交換用台車。
　請求項４に記載の金型交換用台車であって、
　前記金型載置台は、前記金型載置台に載置された前記カセット金型が、前記装置側対向面の側へ移動して前記金型載置台から落下することを防止するように前記位置決めストッパよりも前記装置側対向面に近い位置に落下防止ストッパを有し、
　前記金型交換用台車は、前記係止状態の場合に前記落下防止ストッパを落下防止解除状態にする落下防止ストッパ解除部を有している、
　金型交換用台車。
　請求項１～５のいずれか一項に記載の金型交換用台車であって、
　前記金型交換用台車及び前記カセット金型装置の一方は案内部材を有し、他方は前記案内部材と転がり接触するローラを有し、
　前記案内部材は、前記金型交換用台車を前記カセット金型装置へ向けて移動させる間に前記ローラと接触することにより、前記金型交換用台車を前記台車側対向面が前記装置側対向面に接触あるいは近接する連結可能位置に案内する、
　金型交換用台車。
　請求項６に記載の金型交換用台車であって、
　前記金型載置台は、前記台車レールに連結可能な装置レールを有し、
　前記装置レールは、前記ローラが前記案内部材に接触して前記金型交換用台車が前記連結可能位置に案内された後に前記台車レールに連結される、
　金型交換用台車。
　請求項１～６のいずれか一項に記載の金型交換用台車であって、
　前記金型載置台に設けられた装置レールまたは前記台車レールに載置されている前記カセット金型に対して連結と解除が可能な金型連結部が取り付けられた押し引き機構を有し、
　前記台車レールは、前記装置レールに連結可能であるとともに前記台車レールの長手方向に沿って伸縮可能であり、
　前記押し引き機構は、前記金型連結部が前記カセット金型に連結された状態では前記装置レールまたは前記台車レールに載置されている前記カセット金型を前記長手方向に沿って押し引き可能とする噛み合いチェーンを有する、
　金型交換用台車。