WO2024128029A1

WO2024128029A1 - 睫毛用油性化粧料

Info

Publication number: WO2024128029A1
Application number: PCT/JP2023/043077
Authority: WO
Inventors: 志織岩下; 隆治渡邉
Original assignee: 株式会社資生堂
Priority date: 2022-12-15
Filing date: 2023-12-01
Publication date: 2024-06-20

Abstract

【課題】本発明は、化粧もちおよび被膜特性が優れるとともに、落としやすさが向上した睫毛用油性化粧料を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の睫毛用油性化粧料は、（Ａ）レジン構造とリニア構造とを含んでなる油溶性被膜剤であって、前記レジン構造が、ＳｉＯ_４／２で表される単位またはＲ^１ＳｉＯ_３／２（Ｒ^１はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、前記リニア構造が、Ｒ^２ＳｉＯ_２／２（Ｒ^２はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、前記レジン構造と前記リニア構造がＳｉ－Ｏ－Ｓｉ結合によって連結されているポリマーである、油溶性被膜剤と、（Ｂ）揮発性油分とを含むことを特徴とする。

Description

睫毛用油性化粧料

　本発明は、化粧もちおよび被膜特性が優れるとともに、落としやすさが向上した睫毛用油性化粧料に関する。

　マスカラ等の睫毛用化粧料は、睫毛を太く長くしたりするボリューム感の付与、塗布後ににじまない等の耐水性、カール力を維持する化粧もち効果、経時で剥がれ落ちのないしなやかな膜の形成等、様々な機能が求められている。マスカラには、樹脂や色材等を水性成分に乳化分散した乳化タイプと、揮発性の油分にワックス、樹脂、色材等を分散させた油性タイプとがある。

　乳化タイプのマスカラは、主にガラス転移点が３０℃付近のアクリル系モノマーを主成分とする樹脂エマルジョンと水溶性高分子を配合することにより、耐水性がありながら、リムーバーを用いずにお湯で簡単に落とせるという利点があるが、化粧もちの点で油性タイプより劣る傾向がある。
　一方、油性タイプのマスカラは、溶剤揮発後に形成される被膜によって睫毛の形状を強固に整えることが可能であるので、耐水性および化粧もちに優れるが、水性洗浄剤では被膜を落とすことができず、通常油性溶剤を主成分とするリムーバー（除去液）が必要となる。

　油性タイプのマスカラは、主にシロキサン結合を主骨格に持つシリコーン系ポリマーを被膜形成剤として用いることが一般的である。このようなポリマーとしては、トリメチルシロキシケイ酸やシリコーン化プルランが挙げられるが、トリメチルシロキシケイ酸を用いた場合には被膜が硬くもろい性質となり、シリコーン化プルランを用いた場合には比較的しなやかな被膜が形成されるが、経時で亀裂が生じることがあり、用いるポリマーに応じて形成される被膜の特性が異なる。

　特許文献１では、シリコーン系ポリマーを被膜形成剤として用い、揮発性油分と揮発性シリコーン油を特定の割合で配合し、かつ、硬度を３０ｋｇ以上１００ｋｇ以下とすることによって、化粧もちを向上したマスカラ等の目元用化粧料組成物を得ている。

　上記特許文献１では、マスカラやアイライナー等の目元用化粧料として理想的な被膜が得られているが、油性化粧料として調製した場合には落としやすさの課題が依然としてある。

特開２０１７－２１８４１３号公報

　本発明は、化粧もち（カール力）および被膜特性に優れ、落としやすさが向上した睫毛用油性化粧料を提供することを目的とする。

　発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する油溶性被膜剤を用いることによって、化粧もち（カール力）および被膜特性が優れるとともに、落としやすさが向上した睫毛用油性化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

　すなわち、本発明は、
（Ａ）レジン構造とリニア構造とを含んでなる油溶性被膜剤であって、
前記レジン構造が、ＳｉＯ_４／２で表される単位またはＲ^１ＳｉＯ_３／２（Ｒ^１はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記リニア構造が、Ｒ^２ＳｉＯ_２／２（Ｒ^２はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記レジン構造と前記リニア構造がＳｉ－Ｏ－Ｓｉ結合によって連結されているポリマーである、油溶性被膜剤と
（Ｂ）揮発性油分と
を含んでなることを特徴とする、睫毛用油性化粧料を提供する。

　本発明は、上記構成とすることにより、しなやかで柔軟性があり、経時での亀裂や剥がれ落ちが抑制されるといった被膜特性に優れ、化粧もちおよび耐水性を有しながら、落としやすさが向上した睫毛用油性化粧料を得ることができる。

　本発明の睫毛用油性化粧料は、（Ａ）特定の構造を有する油溶性被膜剤と（Ｂ）揮発性油分とを含むことを特徴とする。以下、本発明の化粧料を構成する各成分について詳述する。

＜（Ａ）油溶性被膜剤＞
　本発明に係る化粧料は、（Ａ）特定の構造を含んでなる油溶性被膜剤（以下、単に「（Ａ）油溶性被膜剤」または「（Ａ）成分」と称する場合がある）を必須に含む。本発明の（Ａ）油溶性被膜剤は、レジン構造とリニア構造とを含んでなり、
前記レジン構造が、ＳｉＯ_４／２で表される単位またはＲ^１ＳｉＯ_３／２（Ｒ^１はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記リニア構造が、Ｒ^２ＳｉＯ_２／２（Ｒ^２はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記レジン構造と前記リニア構造がＳｉ－Ｏ－Ｓｉ結合によって連結されているポリマーである。

　本発明の（Ａ）油溶性被膜剤は、レジン構造とリニア構造の両方の構造を有することを特徴とする。一般に、ポリマーがレジン構造のみからなると、その構造に由来する造膜性および粘着性に優れるが、柔軟性や追従性が不足することがある。ところがポリマーにリニア構造を組み合わせると、ポリマーが柔軟性および追従性を兼ね備えるようになる。このような特徴を有する油溶性被膜剤を含む化粧料は、しなやかな被膜が形成され、経時で剥がれ落ちや亀裂が生じにくいため、マスカラ等の睫毛用に適する。

　レジン構造は、ＳｉＯ_４／２で表される単位（以下、Ｑ単位と称することがある）またはＲ^１ＳｉＯ_３／２（Ｒ^１はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基であり、より好ましくはメチル基である）で表される単位（以下、Ｔ単位と称することがある）を含んでなり、好ましくはＱ単位を含んでなる。
　レジン構造は、上記の単位に加えて、（Ｒ^３）_３ＳｉＯ_１／２（Ｒ^３はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基であり、より好ましくはメチル基である）で表される単位（以下、Ｍ単位と称することがある）をさらに含むこともできる。
　好ましい一形態において、レジン構造は、Ｍ単位およびＱ単位を含んでなり、より好ましくはＭ単位およびＱ単位からなる構造（ＭＱ構造）である。

　リニア構造は、Ｒ^２ＳｉＯ_２／２（Ｒ^２はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基であり、より好ましくはメチル基である）で表される単位（以下、Ｄ単位と称することがある）を含んでなる。リニア構造は、Ｄ単位が５単位以上鎖状に連結していることが好ましく、鎖状に連続して結合している数は、より好ましくは５～１０００であり、さらに好ましくは１０～３００である。言い換えれば、Ｄ単位が複数、好ましくは５以上、連結した部分がリニア構造であり、それ以外のＱ単位、Ｔ単位、Ｄ単位およびＭ単位が混在している部分がレジン構造である。
　リニア構造は、分子鎖の末端にヒドロキシ基（シラノール基）を有することが好ましい。

　レジン構造とリニア構造の連結部は、Ｓｉ－Ｏ－Ｓｉ結合によって連結されており、このＳｉ－Ｏ－Ｓｉ結合により連結された構造は、分子内に複数あってもよい。好適な一形態において、レジン構造に結合するＳｉ原子がＴ単位である。
　ポリマー１分子中に含まれるレジン構造とリニア構造の質量比は、好ましくは５０：５０～９５：５であり、より好ましくは６０：４０～９０：１０である。

　（Ａ）成分の質量平均分子量は、被膜形成剤としての機能および溶解性の観点から、好ましくは５，０００～１００，０００であり、より好ましくは１０，０００～５０，０００である。ここで、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。

　本発明の（Ａ）油溶性被膜剤は、好ましくはシリコーン系被膜形成剤であり、より好ましくはシリコーンレジンガムである。具体的には、（トリメチルシロキシケイ酸／ジメチコノール）クロスポリマーが挙げられる。

　本発明の（Ａ）油溶性被膜剤として、１種または２種以上を組み合わせて用いてもよい。（Ａ）成分の配合量は、通常化粧料に配合される量であれば特に限定されないが、化粧料全量に対する配合量の下限値としては、好ましくは０．０３質量％であり、より好ましくは０．０４質量％であり、上限値としては、好ましくは６質量％であり、より好ましくは５質量％である。よって、配合量範囲としては、０．０３～６質量％、０．０４～５質量％等が挙げられる。

　油性の睫毛用化粧料は、塗布した化粧料を落とす際に、油性溶剤を主成分とする除去剤（リムーバー）が必要となるのが一般的である。しかしながら、本発明によれば、前記（Ａ）油溶性被膜剤により形成される被膜は落としやすさに優れるので、水性洗浄剤でも落とすことが可能となる。

＜（Ｂ）揮発性油分＞
　本発明に係る化粧料に配合される（Ｂ）揮発性油分（以下、単に「（Ｂ）成分」と称する場合がある）は、前記（Ａ）成分を溶解する揮発性油分であれば特に限定されないが、常圧における沸点が６０～２６０℃の範囲である揮発性油分であることが好ましい。本発明の揮発性油分として、揮発性炭化水素油および揮発性シリコーン油が挙げられる。

　揮発性炭化水素油としては、直鎖状および分岐状のいずれであってもよく、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン等のＣ８－Ｃ１６イソアルカン（イソパラフィンとしても知られる）、水添ポリイソブテン等を挙げることができる。
　揮発性シリコーン油としては、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン油、低分子量直鎖ジメチコン（０．６５ｃｓ、１ｃｓ、１．５ｃｓ、２ｃｓ）や低分子量分岐状シリコーンであるメチルトリメチコン（ＴＭＦ－１．５等）、低分子量アルキル変性シリコーン（メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等）等の直鎖シリコーン油を挙げることができる。

　本発明の（Ｂ）揮発性油分として、前記油分の１種または２種以上を組み合わせて用いてもよい。（Ｂ）成分の配合量は、前記（Ａ）成分を溶解する量である限りにおいて特に限定されない。化粧料全量に対する配合量の下限値の例としては、好ましくは４０質量％、より好ましくは４５質量％が挙げられ、上限値の例としては、好ましくは６５質量％、より好ましくは６０質量％が挙げられる。よって、配合量範囲としては、４０～６５質量％、４５～６０質量％等が挙げられる。

　また、本発明においては、驚くべきことに、前記（Ａ）油溶性被膜剤を従来の睫毛用化粧料に用いられる被膜形成剤と組み合わせて配合することにより、化粧料の落としやすさを向上させることができる。
　本発明の（Ａ）油溶性被膜剤と組み合わせて用いられうる被膜形成剤としては、トリメチルシロキシケイ酸およびシリコーン化プルラン等の、前記（Ａ）成分以外のシリコーン系被膜形成剤が挙げられる。

＜（Ｃ）シリコーン系被膜形成剤＞
　本発明に配合されうる（Ｃ）シリコーン系被膜形成剤（以下、単に「（Ｃ）成分」と称する場合がある）は、前記（Ａ）成分以外のシリコーン系被膜形成剤であって、通常睫毛用化粧料に被膜形成剤として用いられるシリコーン系被膜形成剤であれば特に限定されない。具体例として、トリメチルシロキシケイ酸およびシリコーン化プルラン等が挙げられる。

　本発明に係る化粧料に配合されうるトリメチルシロキシケイ酸は、重量平均分子量が１０，０００以上であることが好ましい。なお、重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー（ＧＰＣ）によるポリスチレン換算値である。
　このようなトリメチルシロキシケイ酸は、公知の製法により製造したものを用いることができる。

　トリメチルシロキシケイ酸の市販品としては、例えば、Ｘ－２１－５２５０（５０％デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製）、Ｘ－２１－５２５０Ｌ（５０％ジメチコン溶液、信越化学工業社製）、Ｘ－２１－５６１６（６０％イソドデカン溶液、信越化学工業社製）、Ｘ－２１－５２４９（５０％デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製）、Ｘ－２１－５２４９Ｌ（５０％ジメチコン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－７３１２（５０％デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－７３１２Ｋ（６０％ジメチコン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－７３１２Ｌ（５０％ジメチコン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－７３１２Ｔ（６０％メチルトリメチコン溶液、信越化学工業社製）、Ｘ－２１－５５９５（６０％イソドデカン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－９０２１（５０％デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製）、ＫＦ－９０２１Ｌ（５０％ジメチコン溶液、信越化学工業社製）、ＭＱ－１６００　Ｓｏｌｉｄ　Ｒｅｓｉｎ（純分１００％、ダウ・東レ社製）、Ｗａｃｋｅｒ－Ｂｅｌｓｉｌ　ＴＭＳ８０３（純分１００％、旭化成ワッカーシリコーン社製）等が挙げられる。

　シリコーン化プルランはプルランの反応性官能基に対するシリコーン化合物の結合割合がその種類によって異なるが、本発明に係る化粧料に配合されるシリコーン化プルランとしては、多糖化合物の構成糖１単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数（置換度）が０．５～３．０であることが好適である。なお、本発明において置換度は化合物中のＳｉ含有量（質量％）から換算したものである。

　本発明に係る化粧料に配合されうるシリコーン化プルランとしては、トリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランが好ましい。
　シリコーン化プルランは、公知の製法により製造したものを用いることができる（例えば、特開平１０－２９９１０号公報）。

　シリコーン化プルランの市販品としては、例えば、ＴＳＰＬ－３０－ＩＤ（トリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルラン、３０％イソドデカン溶液、信越化学工業社製）、ＴＳＰＬ－３０－Ｄ５（トリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルラン、３０％デカメチルシクロペンタシロキサン溶液、信越化学工業社製）が挙げられる。

　本発明の（Ｃ）シリコーン系被膜形成剤として、前記化合物の１種または２種以上を組み合わせて用いてもよい。（Ｃ）成分の配合量は、通常睫毛用化粧料に配合される量であれば特に限定されない。化粧料全量に対する配合量の下限値の例としては、好ましくは０．８質量％、より好ましくは１質量％が挙げられ、上限値の例としては、好ましくは２０質量％であり、より好ましくは１５質量％、さらに好ましくは１０質量％、よりさらに好ましくは５質量％である。よって、配合量範囲としては、０．８～２０質量％、１～１５質量％等が挙げられる。

　本発明の化粧料においては、化粧料の落としやすさを特に向上する観点から、（Ｃ）シリコーン系被膜形成剤としてトリメチルシロキシケイ酸を用いるのが好ましい。

　また、本発明の化粧料に、前記（Ｃ）成分を配合する場合には、被膜特性を向上する観点から、前記（Ｃ）成分の配合量に対する前記（Ａ）成分の配合量を、質量比にして３倍以上とすることが好ましい。

　本発明の化粧料においては、化粧料に通常用いられる各種成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合してもよい。例えば、前記（Ｂ）成分以外の油分、粉末成分（色材含む）、油相増粘剤、界面活性剤、保湿剤、その他の樹脂、繊維、粉体の疎水化表面処理剤、水溶性高分子、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、分散剤、薬剤、消泡剤、ｐＨ調製剤、防腐剤、水等が挙げられる。

　前記（Ｂ）成分以外の油分としては、通常化粧料において用いられる油分でよく、特に限定されるものではない。具体例として、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂；ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂；流動パラフィン、スクワラン、パラフィン、セレシン、ワセリン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス等の非揮発性炭化水素油；ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸エチレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル油；非揮発性ジメチコン等のシリコーン油が挙げられ、これらから選択される１種又は２種以上を用いることができる。

　本発明の化粧料に配合されうる水は、イオン交換水、精製水、水道水、天然水等、必要に応じて選択される。本発明における水の配合量は、増粘剤等の他の配合成分を溶解するために必要とされる量であれば特に限定されないが、化粧料全量に対して１．５質量％以下であることが好適である。

　配合可能な粉末成分は、化粧料等に汎用されている粉末成分である。例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト等の無機粉末；二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料；酸化鉄（ベンガラ）等の無機赤色系顔料；黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料；黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料；酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料；群青、紺青等の無機青色系顔料；酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料；アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料；赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２０４号、赤色２０５号、赤色２２０号、赤色２２６号、赤色２２８号、赤色４０５号、橙色２０３号、橙色２０４号、黄色２０５号、黄色４０１号、青色４０４号等の有機顔料；ジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料（例えば、赤色３号、赤色１０４号、赤色１０６号、赤色２２７号、赤色２３０号、赤色４０１号、赤色５０５号、橙色２０５号、黄色４号、黄色５号、黄色２０２号、黄色２０３号、緑色３号、青色１号）；ポリアミド樹脂粉末（ナイロン粉末）、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリウレタン粉末、ポリスチレン粉末、ポリアクリル酸アルキル粉末、セルロース粉末、シリコーン粉末等の有機粉末；スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、架橋型シリコーン粉末等の樹脂粉末等が挙げられる。

　配合可能な油相増粘剤としては、アルキル（Ｃ３０－Ｃ４５）メチコン等のシリコーンワックス、ジステアルジモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物、パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、（ベヘン酸／エイコサン二酸）グリセリル等のグリセリル脂肪酸エステル、Ｎ－ラウロイル－Ｌ－グルタミン酸ジブチルアミド（ジブチルラウロイルグルタミド）およびポリアミド－８等のアミノ酸ゲル化剤、トリ酢酸テトラステアリン酸スクロースおよびテトライソステアリン酸スクロース等のショ糖脂肪酸エステル、１２－ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸もしくはその塩等が挙げられ、これらから選択される１種又は２種以上を用いることができる。

　配合可能な界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の親油性非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらから選択される１種または２種以上を用いることができる。

　本発明の化粧料は、通常油性化粧料を製造するための常法により製造することができる。本発明の化粧料は、マスカラ等の睫毛用の油性化粧料として適する。

　以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量％で示す。各実施例について具体的に説明する前に、採用した評価方法について説明する。

１．使用性評価（カール力および被膜特性）
　専門パネラー１０名による実使用試験を行った。具体的には、各化粧料を調製した後、各パネラーの睫毛に適用し、睫毛のカール力および被膜特性（被膜のしなやかさ）について下記の基準に従って評価した。
＜評価基準＞
（１）カール力
Ａ：パネラーの８名以上が、カール力が良好であると認めた。
Ｂ：パネラーの６名以上８名未満が、カール力が良好であると認めた。
Ｃ：パネラーの３名以上６名未満が、カール力が良好であると認めた。
Ｄ：パネラーの３名未満が、カール力が良好であると認めた。
（２）被膜特性（被膜のしなやかさ）
Ａ：パネラーの８名以上が、被膜のしなやかさが良好であると認めた。
Ｂ：パネラーの６名以上８名未満が、被膜のしなやかさが良好であると認めた。
Ｃ：パネラーの３名以上６名未満が、被膜のしなやかさが良好であると認めた。
Ｄ：パネラーの３名未満が、被膜のしなやかさが良好であると認めた。

２．落としやすさの評価
　白色合成皮革上に、調製した各化粧料０．５ｇを載せ、０．４ｍｍのドクターブレードを用いて均一に塗り広げ、乾燥させて被膜を形成させた。各被膜に対して同量のクレンジングローション（ＰＥＧ／ＰＰＧ－３５／４０ジメチルエーテルとＰＰＧ－１３デシルテトラデセス－２４を有効成分とする水性洗浄剤）を、被膜を覆うように滴下し、５分間放置した後、各々同じ水圧の水（水温およそ４０℃）をかけて、クレンジングローションを洗い流した。洗い流した後の被膜の剥がれ程度を以下の基準に従って評価した。
＜評価基準＞
Ａ：被膜の７割以上が剥がれた。
Ｂ：被膜の３割以上７割未満が剥がれた。
Ｃ：被膜の３割未満が剥がれた。
Ｄ：被膜がまったく剥がれなかった。

３．タッピング試験（にじみ確認試験）
　調製した各試料をタッピング試験機の塗布面に均一に塗布し、乾燥させて被膜を形成させた。ろ紙（１０ｃｍ^２）に水または人工皮脂を滴下し、タッピング試験機により塗布領域を前記ろ紙に３０回のタッピングを行った（Ｎ＝３）。タッピング後のろ紙への転写度合から、以下の基準に従ってにじみの有無を評価した。
＜評価基準＞
Ａ：ろ紙への転写が少なく、にじみは認められない。
Ｂ：ろ紙への転写があり、わずかににじみが認められる。
Ｃ：ろ紙への転写が多く、にじみが認められる。

（実施例および比較例）
１．カール力および被膜特性について
　下記表１に掲げた組成を有するマスカラを常法により調製し、カール力および被膜特性について評価した。評価結果を表中に示す。

　表１に示されるように、本発明の（Ａ）油溶性被膜剤を配合する実施例１の化粧料はカール力および被膜特性がともに優れていた。

２．落としやすさについて
　下記表２および３に掲げた組成を有するマスカラを常法により調製し、化粧料の落としやすさについて評価した。

　表中のトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランおよびトリメチルシロキシケイ酸は、従来よりマスカラに用いられる被膜形成剤である。
　表２に示されるように、被膜形成剤として本発明の（Ａ）成分を含まずトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランのみを含む比較例１およびトリメチルシロキシケイ酸のみを含む比較例２の化粧料と比較して、本発明の（Ａ）成分を含む実施例１および２の化粧料は、落としやすさに優れていた。また、本発明の（Ａ）成分をトリメチルシロキシケイ酸あるいはトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランと組み合わせて用いた場合（実施例３～５）であっても、比較例１、比較例２および（Ａ）成分を含まずトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランとトリメチルシロキシケイ酸を含む比較例３の化粧料より、落としやすさが向上していた。

　さらに、実施例６～８では、本発明の（Ａ）成分とトリメチルシロキシケイ酸とを組み合わせて配合する化粧料において（Ａ）成分の配合量を変更した。トリメチルシロキシケイ酸のみを含む比較例２およびトリメチルシロキシケイ酸とトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランを含む比較例３の化粧料と比較して、本発明の（Ａ）成分を配合した実施例６～８の化粧料はいずれも落としやすさが向上した。

３．にじみの有無について
　下記表４に掲げた組成を有するマスカラを常法により調製し、にじみの有無について評価した。

　表４に示されるように、（Ａ）成分を含まず、従来より被膜形成剤として用いられるトリ（トリメチルシロキシ）シリルプロピルカルバミド酸プルランおよびトリメチルシロキシケイ酸（（Ｃ）成分）を配合する比較例１～３の化粧料と比較すると、本発明の（Ａ）成分を含む実施例１、３および５の化粧料はいずれも従来品と同等もしくは従来品よりもにじみにくいことが示された。この結果から、本発明の（Ａ）成分を含むマスカラは落としやすさに優れるにもかかわらず、にじみの心配がなく、耐水性も有していると認められる。

Claims

（Ａ）レジン構造とリニア構造とを含んでなる油溶性被膜剤であって、
前記レジン構造が、ＳｉＯ_４／２で表される単位またはＲ^１ＳｉＯ_３／２（Ｒ^１はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記リニア構造が、Ｒ^２ＳｉＯ_２／２（Ｒ^２はＣ_１－６アルキル基またはＣ_１－６アルコキシ基である）で表される単位を含んでなり、
前記レジン構造と前記リニア構造がＳｉ－Ｏ－Ｓｉ結合によって連結されているポリマーである、油溶性被膜剤と
（Ｂ）揮発性油分と
を含んでなる、睫毛用油性化粧料。
さらに、（Ｃ）トリメチルシロキシケイ酸およびシリコーン化プルランから選択されるシリコーン系被膜形成剤を含む、請求項１に記載の睫毛用油性化粧料。
前記（Ａ）成分の配合量が、化粧料全量に対して０．０３質量％以上である、請求項１に記載の睫毛用油性化粧料。
前記（Ａ）油溶性被膜剤が、（トリメチルシロキシケイ酸／ジメチコノール）クロスポリマーである、請求項１に記載の睫毛用油性化粧料。
前記睫毛用油性化粧料がマスカラである、請求項１に記載の睫毛用油性化粧料。