WO2022158096A1

WO2022158096A1 - バイポーラ型蓄電池

Info

Publication number: WO2022158096A1
Application number: PCT/JP2021/041932
Authority: WO
Inventors: 憲治廣田; 芳延平; 英郎西久保; 健一須山; 広樹田中; 康雄中島; 彰田中
Original assignee: 古河電池株式会社; 古河電気工業株式会社
Priority date: 2021-01-22
Filing date: 2021-11-15
Publication date: 2022-07-28
Also published as: US20230361312A1; JPWO2022158096A1

Abstract

電解液に含有される硫酸による腐食によって正極にグロースが生じても、正極と接着層との界面に電解液が浸入しにくく電池性能の低下が起こりにくいバイポーラ型蓄電池を提供する。積層した際に隣接するプレート同士を互いに支持する支柱を備えるバイポーラプレート（１２）と、バイポーラプレート（１２）の一方の面に接着剤（１４０）により接着される正極用集電体（１０１）と、正極用集電体（１０１）の上に配置される正極活物質層（１０３）と、バイポーラプレート（１２）の他方の面に接着剤（１４０）により接着される負極用集電体（１０２）と、負極用集電体（１０２）の上に配置される負極活物質層（１０４）と、正極用集電体（１０１）の周縁部を覆うカバープレート（１５０）とを備える。

Description

バイポーラ型蓄電池

　本発明の実施の形態は、バイポーラ型蓄電池に関する。

　バイポーラ型鉛蓄電池は、正極及び負極と、一方の面に正極が設けられて他方の面に負極が設けられた基板（バイポーラプレート）と、を有するバイポーラ電極を備えている。従来のバイポーラ電極の正極は、図６の（ａ）に示すように、樹脂製の基板２１０の一方の面の上に接着層２４０を介して正極用鉛層２２０が配され、当該正極用鉛層２２０の上に正極用活物質層（図示せず）が配されることによって構成されている。

特表２０１４－５３０４５０号

　上記のようなバイポーラ型鉛蓄電池においては、電解液に含有される硫酸によって正極用鉛層２２０が腐食して正極用鉛層２２０の表面に腐食生成物（酸化鉛）の被膜２６０が生成されることがある（図６の（ｂ）を参照）。そして、この腐食生成物の被膜２６０の成長によって正極用鉛層２２０に伸び（グロース）が生じるおそれがあった。

　また、このグロースによって正極用鉛層２２０と接着層２４０が剥離し正極用鉛層２２０がまくれてしまうと、正極用鉛層２２０と接着層２４０との界面に電解液が浸入して、硫酸による正極用鉛層２２０の腐食がさらに進行するおそれがあった（図６の（ｃ）を参照）。その結果、電解液が例えば正極用鉛層２２０の裏面（基板２１０に対向する面）を伝い負極用鉛箔（図示せず）にまで達してしまうと、短絡（液絡）が生じるなどして電池の性能が低下する場合があった。

　なお、ここでグロースによって正極用鉛層２２０（正極）と接着層２４０との界面に電解液が浸入して硫酸による正極用鉛層２２０（正極）の腐食が進んだ面のことを、以下適宜「沿面」と表す。また、腐食が進んだ距離のことを適宜「沿面距離」と表す。

　本発明は、電解液に含有される硫酸による腐食によって正極にグロースが生じても、正極と接着層との界面に電解液が浸入しにくく電池性能の低下が起こりにくいバイポーラ型蓄電池を提供することを目的とする。

　本発明の一態様に係るバイポーラ型蓄電池は、積層した際に隣接するプレート同士を互いに支持する支柱を備えるバイポーラプレートと、バイポーラプレートの一方の面に接着剤により接着される正極用集電体と、正極用集電体の上に配置される正極活物質層と、バイポーラプレートの他方の面に接着剤により接着される負極用集電体と、負極用集電体の上に配置される負極活物質層と、正極用集電体の周縁部を覆うカバープレートとを備える。

　本発明によれば、積層した際に隣接するプレート同士を互いに支持する支柱を備えるバイポーラプレートと、バイポーラプレートの一方の面に接着剤により接着される正極用集電体と、正極用集電体の上に配置される正極活物質層と、バイポーラプレートの他方の面に接着剤により接着される負極用集電体と、負極用集電体の上に配置される負極活物質層と、正極用集電体の周縁部を覆うカバープレートとを備える。このような構成を採用することによって、電解液に含有される硫酸による腐食によって正極にグロースが生じても、カバープレートの存在により正極用集電体の周縁部に電解液が浸入することを可能な限り防止することができる。従って、正極と接着層との界面に電解液が浸入しにくく、当該電解液が負極に到達することを遅らせることができるため、電池性能の低下が起こりにくい。

本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池の構造を部分的に示す断面図である。実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池の要部であって、正極鉛箔の周縁部の構造を示すバイポーラ電極の拡大断面図である。実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池の要部であって、支柱の周縁部の構造を示すバイポーラ電極の拡大断面図である。実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池の要部の構造を示すバイポーラ電極の平面図である。実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池における効果を示すバイポーラ電極の拡大断面図である。従来のバイポーラ型鉛蓄電池において、電解液に含有される硫酸による腐食によって正極用鉛層にグロースが生じた結果、正極用鉛層と接着層との界面に電解液が浸入する様子を示す図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を示したものである。また、本実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。なお、以下においては、様々な蓄電池の中から鉛蓄電池を例に挙げて説明する。

　本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１の構造を、図１を参照しながら説明する。図１は、本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１の構造を部分的に示す断面図である。

　図１に示すバイポーラ型鉛蓄電池１は、第１のエンドプレート１１と、バイポーラプレート１２と、第２のエンドプレート１３と、を有する。第１のエンドプレート１１は、凹状に形成され、その凹部に負極１１０が接着剤１４０を介して固定される。バイポーラプレート１２は、Ｈ状に形成され、第１のエンドプレート１１の凹部と平行に構成される一方の面に正極１２０が設けられて他方の面に負極１１０が設けられたバイポーラ電極１３０を備える。第２のエンドプレート１３は、凹状に形成され、その凹部に正極１２０が接着剤１４０を介して固定される。

　また、正極活物質層１０３及び負極活物質層１０４との間には電解層（セパレータ）１０５が設けられ両者と接触している。この電解層１０５は、例えば、硫酸を含有する電解液が含浸されたガラス繊維マットによって構成されている。

　そして、バイポーラプレート１２が第１のエンドプレート１１と第２のエンドプレート１３との間に積層されることによって、例えば、略直方体形状をなすバイポーラ型鉛蓄電池１が構成される。なお、図１ではバイポーラプレート１２が２つ積層された状態のバイポーラ型鉛蓄電池１を示しているが、積層されるバイポーラプレート１２の個数は、バイポーラ型鉛蓄電池１の蓄電容量が所望の数値になるように設定される。

　第１のエンドプレート１１には図示しない負極端子が固定されており、当該負極端子は、第１のエンドプレート１１に固定された負極１１０と電気的に接続されている。第２のエンドプレート１３には図示しない正極端子が固定されており、当該正極端子は、第２のエンドプレート１３に固定された正極１２０と電気的に接続されている。

　第１のエンドプレート１１及び第２のエンドプレート１３は、例えば周知の成形樹脂によって形成されている。そして、第１のエンドプレート１１、バイポーラプレート１２及び第２のエンドプレート１３は、電解液の流出が無いように、適宜の方法で内部が密閉状態となるよう互いに固定されている。

　また、第１のエンドプレート１１、バイポーラプレート１２、及び、第２のエンドプレート１３の略中央部には、これらを積層した際に隣接するプレート同士を互いに支持する支柱１４が設けられている。

　なお、本発明の実施の形態においては、支柱１４は略中央部にのみ設けられていることを前提にしているが、当該支柱１４については、１カ所のみならず、複数箇所において設けられていても良い。

　バイポーラプレート１２は、例えば、熱可塑性樹脂で形成されている。バイポーラプレート１２を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）、ポリプロピレンが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、成形性に優れているとともに耐硫酸性にも優れている。よって、バイポーラプレート１２に電解液が接触したとしても、バイポーラプレート１２に分解、劣化、腐食等が生じにくい。

　またバイポーラプレート１２には、一方の面と他方の面とを連通する導通孔１２ａが設けられている。そして、当該導通孔１２ａを介して正極鉛箔１０１と負極鉛箔１０２とが接合されることによって、両者が電気的に接続され、正極１２０と負極１１０との導通部が形成される。

　正極１２０は、鉛又は鉛合金からなる正極用集電体であり、且つ、バイポーラプレート１２の一方の面の上に配置される正極鉛箔１０１と、正極鉛箔１０１の上に配置される正極活物質層１０３と、を備えている。この正極鉛箔１０１は、バイポーラプレート１２の一方の面と正極鉛箔１０１の間に設けられる接着剤１４０によってバイポーラプレート１２の一方の面に接着されている。従って、バイポーラプレート１２の一方の面（後述する図２等の図面においては、紙面における上方を向く面）の上に、接着剤１４０と、正極鉛箔１０１と、正極活物質層１０３とが、この記載順に積層されている。

　負極１１０は、鉛又は鉛合金からなる負極用集電体であり、且つ、バイポーラプレート１２の他方の面の上に配置される負極鉛箔１０２と、負極鉛箔１０２の上に配置される負極活物質層１０４と、を備えている。この負極鉛箔１０２は、バイポーラプレート１２の他方の面と負極鉛箔１０２の間に設けられる接着剤１４０によってバイポーラプレート１２の他方の面に接着されている。そしてこれら正極１２０と負極１１０は、上述した導通孔１２ａを介して電気的に接続されている。

　なお、以下に示す図２をはじめとするバイポーラ電極１３０の断面図においては、正極活物質層１０３、電解層１０５の図示を省略している。また同様に、バイポーラプレート１２の他方の面に形成される負極１１０についても図示を省略している。

　このような構成を有する本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１においては、上述したように、バイポーラプレート１２、正極鉛箔１０１、正極活物質層１０３、負極鉛箔１０２、及び負極活物質層１０４によって、バイポーラ電極１３０が構成されている。バイポーラ電極とは、１枚の電極で正極、負極両方の機能を有する電極である。そして、本発明の実施の形態のバイポーラ型鉛蓄電池１は、正極１２０と負極１１０との間に電解層１０５を介在させてなるセル部材を交互に複数積層して組み付けることにより、セル部材同士を直列に接続した電池構成を有している。

　次に、本発明の実施の形態に係るバイポーラ電極１３０における正極鉛箔１０１の端部における構造について、以下図１とともに図２及び図３も用いて説明する。図２は、本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１の要部の構造であって、正極鉛箔１０１の周縁部１０１ｃを示すバイポーラ電極１３０の拡大断面図である。また、図３は、本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１の要部であって、支柱１４の周縁部１０１ｄの構造を示すバイポーラ電極１３０の拡大断面図である。

　なお、図２及び図３におけるバイポーラ電極１３０では、バイポーラプレート１２、接着剤１４０及び正極鉛箔１０１以外の正極活物質層１０３、負極１１０及び負極鉛箔１０２をバイポーラプレート１２に接着する負極側の接着剤１４０については、その図示を省略している。

　バイポーラプレート１２は、例えば、図２に示す通り、図面上水平方向に延びる部分を備えている。また、水平方向に延びる部分は、図２においてはその右側の部分を、図３においてはその両端の部分において図示を省略している。

　図２に示すバイポーラ電極１３０では、バイポーラプレート１２の一方の面を構成する水平方向に延びる部分の上に接着剤１４０を介して正極鉛箔１０１が接着されている。また、接着剤１４０は、バイポーラプレート１２の一方の面と当該面に対向する正極鉛箔１０１の面との間のみならず、正極鉛箔１０１の端部１０１ａを含み、正極鉛箔１０１における面であって正極鉛箔１０１がバイポーラプレート１２の一方の面と接着される面に対向する面（以下、この面を適宜「対向面１０１ｂ」と表す）上にも接着剤１４０が設けられている。

　さらに接着剤１４０は、バイポーラプレート１２の一方の面と当該面に対向する正極鉛箔１０１の面との間、及び、対向面１０１ａ上とをつなぐように、バイポーラプレート１２の一方の面を構成する水平方向に延びる部分の上にフランジ状に設けられている。

　そして本発明の実施の形態におけるバイポーラ電極１３０においては、さらに対向面１０１ｂに設けられた接着剤１４０の上にカバープレート１５０が接着されている。

　ここでカバープレート１５０の素材としては、例えば、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）、ポリプロピレンが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、成形性が優れているとともに耐硫酸性も優れている。よって、カバープレート１５０に電解液が接触したとしても、カバープレート１５０に分解、劣化、腐食等が生じにくい。

　図２に示すカバープレート１５０は、正極鉛箔１０１の端部１０１ａを覆って対向面１０１ｂ上に設けられる接着剤１４０上に載置される。そのため、カバープレート１５０は、接着剤１４０を介してバイポーラプレート１２及び正極鉛箔１０１に固定されることとなる。このとき、カバープレート１５０は、正極鉛箔１０１を押圧するように配されていることがより好ましい。

　また、カバープレート１５０は、その一端１５０ａが対向面１０１ｂにおいて接着剤１４０が設けられる位置を含むように配置されているとともに、正極鉛箔１０１の端部１０１ａからの距離をみた場合に、接着剤１４０の端面が一端１５０ａを超える（はみ出す）ことはない。

　一方、カバープレート１５０の他端１５０ｂについては、バイポーラプレート１２の一方の面を構成する水平方向に延びる部分の上にフランジ状に設けられている接着剤１４０の上に載置されている。

　従って、カバープレート１５０が正極鉛箔１０１の端部１０１ａを含む正極鉛箔１０１の周縁部１０１ｃに設けられた接着剤１４０に覆い被さる形になり、カバープレート１５０の全面が接着剤１４０と接する。すなわちカバープレート１５０がこのような位置に設けられることによって、正極鉛箔１０１の周縁部１０１ｃがカバープレート１５０によって覆われることになる。

　そしてカバープレート１５０を接着剤１４０の上に載置するに当たっては、より好ましくは、図２に示すように、カバープレート１５０の一端１５０ａから他端１５０ｂの間の距離をＬ１とし、正極鉛箔１０１の端部１０１ａからカバープレート１５０の他端１５０ｂまでの間の距離をＬ２としたとき、距離Ｌ１と距離Ｌ２との比が９：４となるようにカバープレート１５０を配置する。

　このようにバイポーラ電極１３０は、正極鉛箔１０１の四隅を含む周縁部１０１ｃを覆うカバープレート１５０を備えている。本発明の実施の形態においては、カバープレート１５０が接着剤１４０を介して正極鉛箔１０１の一部を覆っている。カバープレート１５０が覆っている正極鉛箔１０１の領域は、上述したように、その端部１０１ａを含み、符号Ｌ１で示される、カバープレート１５０の幅（一端１５０ａと他端１５０ｂの間）と端部１０１ａとで示される所定の比率となる領域である。

　また、正極鉛箔１０１の周縁部としては、上述した正極鉛箔１０１の四隅を含む周縁部１０１ｃだけではなく、支柱１４の周りも含まれる。つまり、本発明の実施の形態においては、図１及び図３に示されているように、正極鉛箔１０１の対向面１０１ｂ上に設けられる接着剤１４０上であって、当該支柱１４の周縁部１０１ｄにもカバープレート１５０が設けられている。

　すなわち、図４の本発明の実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１の要部の構造を示すバイポーラ電極１３０の平面図に示すように、正極鉛箔１０１の周縁部１０１ｃが枠形状にカバープレート１５０によって覆われる。また、支柱１４の周縁部１０１ｄにも、支柱１４の周囲に接触し、周縁部１０１ｄを取り囲むように当該カバープレート１５０が設けられる。なお、正極鉛箔１０１の周縁部１０１ｃに設けられた枠形状のカバープレート１５０と支柱１４の周縁部１０１ｄを取り囲むように設けられたカバープレート１５０との幅の関係は、後者よりも前者が大きい方が好ましい。なぜならば、取り囲むように設けられたカバープレート１５０よりも枠形状に設けられたカバープレート１５０の方が大きい方が、グロースが生じた際に電解液が正極鉛箔１０１と接着剤１４０との界面に浸入して両者が剥離することをより防止することができるためである。枠形状に設けられたカバープレート１５０の幅は、取り囲むように設けられたカバープレート１５０の３倍～４倍設けられていることが好ましい。

　なお、本発明の実施の形態においては、上述したように支柱１４は１つのみ設けられている。但し、バイポーラプレート１２に複数の支柱１４が設けられている場合には、これら全ての支柱１４の周縁部１０１ｄにカバープレート１５０が設けられる。

　なお、カバープレート１５０としては、上述したような材質を例に挙げたが、このような材質に限定しなくても良い。つまり、硫酸に腐食されにくい耐硫酸性を有している、例えば、耐硫酸性を有する金属（例えばステンレス鋼）、セラミックをカバープレート１５０として使用しても良い。

　このように正極鉛箔１０１の端部１０１ａを含む領域（周縁部１０１ｃ）及び支柱１４の周縁部１０１ｄにカバープレート１５０を設けることによって、正極鉛箔１０１での電解液が浸入しやすい部分において電解液の浸入を可能な限り防ぐことができるため、たとえグロースが生じたとしても、電解液が正極鉛箔１０１と接着剤１４０との界面に浸入して両者が剥離することを防止することができる。

　なお、ここでは図２に示すように、カバープレート１５０を接着するための接着剤１４０は、正極鉛箔１０１の端部１０１ａを覆い、バイポーラプレート１２の一方の面と正極鉛箔１０１との間に配された接着剤１４０と一体をなしていることを前提としている。この一体をなす状態は、例えば、カバープレート１５０を正極鉛箔１０１の端部１０１ａを覆うように載置する際に、正極鉛箔１０１をバイポーラプレート１２の一方の面に接着する際の余剰分の接着剤１４０を利用することで作出される。

　但しこの他に、カバープレート１５０を載置する際に、バイポーラプレート１２の一方の面に正極鉛箔１０１を接着する際に用いる接着剤１４０とは別の工程として、対向面１０１ｂの上であって周縁部１０１ｃのカバープレート１５０が載置される位置に接着剤１４０を設けるようにしても良い。

　また、本発明の実施の形態のバイポーラ型鉛蓄電池１において用いられる接着剤１４０としては、例えば、エポキシ樹脂を含有する主剤とアミン化合物を含有する硬化剤とが反応して硬化する反応硬化型接着剤の硬化物を挙げることができる。

　すなわち、この硬化物は、硫酸に侵されにくい性質を有しており、正極鉛箔１０１と接着剤１４０との界面に硫酸が浸入しにくい。また、硬化物は、電解液と接触したとしても分解、劣化、腐食等が生じにくい。そのため、正極鉛箔１０１と接着剤１４０とが強固に接着しているので、電解液に含有される硫酸による腐食によって正極鉛箔１０１にグロースが生じたとしても、正極鉛箔１０１と接着剤１４０との界面への電解液の浸入が抑制される。さらに、硫酸による腐食が正極１２０のバイポーラプレート１２に対向する面にまで達し短絡が生じるなどして電池の性能が低下するという不具合が生じにくい。

　主剤に含有されるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールＡ型エポキシ樹脂及びビスフェノールＦ型エポキシ樹脂の少なくとも一方が挙げられる。エポキシ樹脂は、１種を単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　硬化剤に含有されるアミン化合物としては、例えば、脂肪族ポリアミン化合物、脂環族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物が挙げられる。これらのアミン化合物は、１種を単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　脂肪族ポリアミン化合物の具体例としては、トリエチレンテトラミン（Ｃ₆Ｈ₁₈Ｎ₄）等の脂肪族第一級アミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族第二級アミンが挙げられる。脂環族ポリアミン化合物の具体例としては、イソホロンジアミン（Ｃ₁₀Ｈ₂₂Ｎ₂）等の脂環族第一級アミンが挙げられる。芳香族ポリアミン化合物の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン（Ｃ₁₃Ｈ₁₄Ｎ₂）等の芳香族第一級アミンが挙げられる。

　図５は、実施の形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池１における効果を示すバイポーラ電極１３０の拡大断面図である。なお、当該図５においては、支柱１４の描画を省略している。

　図５に示すバイポーラ電極１３０では、電解液に含有される硫酸によって正極鉛箔１０１が腐食して正極鉛箔１０１の表面に腐食生成物（酸化鉛）の被膜１６０が生成された状態が示されている。

　すなわち、当該被膜１６０が生成された正極鉛箔１０１の表面が沿面であり、被膜１６０の成長により沿面距離が伸びる。そして、この被膜１６０の成長によって正極鉛箔１０１にグロースが生じると、図５に破線で示す矢印の向きが示すように、上側（図５ではその図示を省略している正極活物質層１０３の方向側）にその力が掛かる。

　しかしながら上述したように、本発明の実施の形態におけるバイポーラ型鉛蓄電池１では、正極鉛箔１０１の端部１０１ａを含む周縁部１０１ｃを覆うようにカバープレート１５０を設けている。このような構成を採用することによって、たとえグロースが発生したとしても、バイポーラプレート１２及びカバープレート１５０による上下方向（図５で示す実線で描かれる矢印の方向）の力により、正極鉛箔１０１と接着剤１４０との間に硫酸が浸入して被膜１６０が生成されにくくすることができる。

　また、そしてカバープレート１５０の一端１５０ａないし他端１５０ｂの全面が接着剤１４０に接着されていることから、図５に示されているように正極鉛箔１０１と正極活物質層１０３側から、すなわち、カバープレート１５０の一端１５０ａ側からの電解液の浸入のみならず、他端１５０ｂ側からの電解液の浸入についても生じにくくすることができる。

　これらのことは、グロースの成長を遅延させるとともに沿面距離を稼ぐことにつながり、グロースの成長を遅延させることができれば、電解液が正極鉛箔１０１と接着剤１４０との界面に浸入して両者が剥離してまくれることをより抑制することができる。その結果、当該電解液が負極に到達することを遅らせることができるため、電池性能の低下が起こりにくい。

　そして、正極１０１の周縁部１０１ｃに関して説明した上記作用及び効果は、支柱１４の周縁部１０１ｄに設けられたカバープレート１５０においても同様の作用、効果を奏することになる。

　なお、上述したように、本発明の実施の形態においては正極を例に挙げて説明を行った。このようにカバープレートは少なくとも正極に設けられていれば良いが、説明した構造は、負極においても採用し得る。

　なお、上述したように、本発明の実施の形態においてはバイポーラ型鉛蓄電池を例に挙げて説明した。但し、集電体に鉛ではなく他の金属を用いるような他の蓄電池においても上記説明内容が当てはまる場合には、当然その適用を排除するものではない。

　　　　１・・・バイポーラ型鉛蓄電池
　　　１２・・・基板（バイポーラプレート）
　　１０１・・・正極鉛箔
　　１０１ａ・・・端部
　　１０１ｂ・・・対向面
　　１０１ｃ・・・周縁部
　　１０１ｄ・・・周縁部
　　１０２・・・負極鉛箔
　　１０３・・・正極活物質層
　　１０４・・・負極活物質層
　　１０５・・・電解層
　　１１０・・・負極
　　１２０・・・正極
　　１３０・・・バイポーラ電極
　　１４０・・・接着剤
　　１５０・・・カバープレート
　　１５０ａ・・・一端
　　１６０・・・被膜

Claims

　積層した際に隣接するプレート同士を互いに支持する支柱を備えるバイポーラプレートと、
　前記バイポーラプレートの一方の面に接着剤により接着される正極用集電体と、
　前記正極用集電体の上に配置される正極活物質層と、
　前記バイポーラプレートの他方の面に接着剤により接着される負極用集電体と、
　前記負極用集電体の上に配置される負極活物質層と、
　前記正極用集電体の周縁部を覆うカバープレートと、
　を備えることを特徴とするバイポーラ型蓄電池。
　前記周縁部は、前記支柱の周縁部を含み、前記カバープレートは、前記支柱の前記周縁部を覆うことを特徴とする請求項１に記載のバイポーラ型蓄電池。
　前記カバープレートは、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体製またはポリプロピレン製であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のバイポーラ型蓄電池。
　前記カバープレートは、少なくとも前記正極に設けられた接着剤上に配置され、前記カバープレートの一端は前記接着剤が設けられている領域を覆うように配置されていることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか一項に記載のバイポーラ型蓄電池。
　前記カバープレートは、前記正極の端部を覆い、枠形状をなすことを特徴とする請求項１、３または請求項４のいずれか一項に記載のバイポーラ型蓄電池。
　前記正極用集電体及び前記負極用集電体は、鉛又は鉛合金からなることを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれか一項に記載のバイポーラ型蓄電池。