WO2022113656A1 - 内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法 - Google Patents

Abstract

先端部を動作させる操作部の操作性に優れる内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法を提供する。　先端部２３に対する操作が入力される操作部２２と、先端部２３と操作部２２を接続する接続部２６と、を備える。操作部２２は、操作部２２を取付ける固定部５２と、固定部５２に対して進退が可能であり且つ進退の方向に直交する面に沿って回転可能な操作部本体５０と、を含み、固定部５２と操作部本体５０との回転の方向に第１摩擦力を生じさせ、固定部５２と操作部本体５０との進退の方向に第１摩擦力と異なる第２摩擦力を生じさせる摩擦機構を備える。

Description

内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法

　本発明は、内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法に関する。

　従来、内視鏡装置、内視鏡処置具と、が組み合わされ、生体に対して種々の処置が施されている。処置の一例として、内視鏡的粘膜下層剥離術（Ｅｎｄｏｓｃｏｐｉｃ・ｓｕｂｍｕｃｏｓａｌ・ｄｉｓｓｅｃｔｉｏｎ：ＥＳＤ）が知られている。ＥＳＤが適用される、例えば、食道、胃、大腸等の内壁は、粘膜層と、粘膜下層と、筋層との三つの層からなり、ＥＳＤでは、粘膜層の病変部位が粘膜下層を含めて剥離され、例えば２ｃｍを超えるような比較的大きな病変部位も一括して切除可能である。

　内視鏡処置具の一例として、例えば、特許文献１には、体内に挿入可能な挿入部分と、操作部と、操作部から挿入部分に延びており、操作部の操作によって操作部側に牽引される一本の操作ワイヤと、を備え、挿入部分は、開閉可能な把持部を有する先端部と、先端部の操作部側に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、湾曲部と操作部を接続している接続部と、を含む内視鏡処置具が開示されている。この内視鏡処置具において、接続部は、操作部の操作によって、接続部の長手軸に沿って進退され、また、接続部の長手軸を中心に回転され、接続部が進退又は回転されることにより、把持部が進退又は回転し、操作ワイヤが牽引されることにより、把持部が閉じ、且つ把持部が閉じた状態において湾曲部が湾曲する。

国際公開第２０１９／１７２３１８号

　特許文献１に開示された内視鏡処置具においては、例えば、回転操作や進退操作の両方の操作が行われるが、いずれの操作も操作者の負担にならないよう、それぞれの操作に必要な力が適切な範囲に設定されていることが望ましい。回転と進退の操作に必要な力を制御する方法としては、固定部と操作部の間に摩擦を発生させる構造が一般的であるが、例えば、Ｏリング等で回転と進退両方の動作に摩擦を生じさせると、進退方向の動作が重すぎる、あるいは回転方向の動作が軽すぎる、といった問題が発生していた。要するに、進退方向の操作性と回転方向の操作性とは同時に満足できる調整は難しく、いずれか一方の操作性を犠牲にしなければならないのが現状であった。

　本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、先端部を動作させる操作部の操作性に優れる内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法を提案する。

　本発明の内視鏡処置具は、体内に挿入され処置を行う先端部と、上記先端部に対する操作が入力される操作部と、上記先端部と上記操作部を接続する軟性部と、を備え、上記操作部は、上記操作部を内視鏡に取付ける固定部と、上記固定部に対して進退が可能であり且つ上記進退の方向に直交する面に沿って回転可能な操作部本体と、を含み、上記固定部と上記操作部本体との上記回転の方向に第１摩擦力を生じさせ、上記固定部と上記操作部本体との上記進退の方向に上記第１摩擦力と異なる第２摩擦力を生じさせる摩擦機構を備える、ものである。

　本発明の内視鏡装置は、上記処置具である第１の処置具と、第２の処置具と、上記第１の処置具が挿通可能な第１の処置具チャンネル、及び上記第２の処置具が挿通可能な第２の処置具チャンネルを有する内視鏡と、を備えるものである。

　本発明の処置方法は、上記内視鏡装置を用いる処置方法であって、上記第１の処置具は、上記先端部に設けられ、開閉可能な把持部と、上記先端部に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、を備え、上記操作部には、上記把持部を閉じる操作及び上記湾曲部を湾曲させる操作が入力され、上記内視鏡の上記第１の処置具チャンネルを通して、上記第１の処置具の上記先端部を体内の病変部位に配置し、上記病変部位を上記第１の処置具の上記把持部によって把持し、上記病変部位を把持した状態において、上記第１の処置具の上記湾曲部を湾曲させることによって上記病変部位を持ち上げ、上記病変部位を持ち上げた状態において、上記内視鏡の上記第２の処置具チャンネルに挿通された上記第２の処置具によって、上記病変部位の下方部位を処置するものである。

　本発明によれば、先端部を動作させる操作部の操作性に優れる内視鏡処置具、内視鏡装置、及び処置方法を提供することができる。

本発明の実施形態を説明するための、内視鏡システムの一例を示す図である。 本発明の実施形態を説明するための、内視鏡処置具の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具の先端部の把持部の構成を示す図である。 図３の把持部の動作を示す図である。 図２の内視鏡処置具の湾曲部及び接続部の構成を示す図である。 図５の湾曲部の動作を示す図である。 図５の湾曲部の内部の構成を示す図である。 図５の湾曲部の内部の構成を示す図である。 図５の湾曲部の内部の動作を示す図である。 図２の内視鏡処置具の操作部の構成を示す図である。 図２の内視鏡処置具の操作部の断面図である。 図２の内視鏡処置具の操作部の閉じ状態の断面図である。 図１１に示す摩擦調整機構の拡大斜視図である。 図１１に示すリンク部材の分解斜視図である。 図１１に示すワイヤ保持部の分解斜視図である。 内視鏡処置具の操作部の他の摩擦調整機構の例の断面図である。 内視鏡処置具の操作部における固定部と操作部本体との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構を示す分解斜視図である。 図１７のＸ－Ｘ線に沿った部分の断面矢視図である。 図１８に示す摩擦機構における回転時の接触状態を説明するための拡大断面図である。 内視鏡処置具の操作部における固定部と操作部本体との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構の他の例を示す断面斜視図である。 図２０に示す摩擦機構における要部の拡大断面斜視図である。 操作部の操作ハンドルの操作方向と把持部の動作方向の向きについて説明するための説明模式図である。 操作部の操作ハンドルの操作移動面と湾曲部の湾曲動作面との関係を説明するための斜視図である。 図２３に示す内視鏡処置具における操作部ハンドルを上方から見た拡大斜視図である。 図２３に示す内視鏡処置具における操作部本体をその軸線方向の先端側から見た図である。 図２の内視鏡処置具を用いた処置方法の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具を用いた処置方法の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具を用いた処置方法の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具と他の内視鏡処置具を組み合せて用いた処置方法の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具と他の内視鏡処置具を組み合せて用いた処置方法の一例を示す図である。 図２の内視鏡処置具と他の内視鏡処置具を組み合せて用いた処置方法の一例を示す図である。 図１０の操作部の他の構成例を示す図である。

　以下、本発明の一実施形態の内視鏡処置具について、図１～図２５を参照して説明する。なお、図１は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡システムの一例を示す。

　内視鏡システム１は、内視鏡２と、光源装置３と、プロセッサ４とを備える。内視鏡２は、被検体内に挿入されるための内視鏡挿入部６と、内視鏡挿入部６に連なる内視鏡操作部７と、内視鏡操作部７から延びるユニバーサルコード８とを有し、内視鏡挿入部６は、内視鏡先端部１０と、内視鏡先端部１０に連なる内視鏡湾曲部１１と、内視鏡湾曲部１１と内視鏡操作部７とを接続している内視鏡接続部１２とで構成されている。

　内視鏡先端部１０には、撮像素子を含む撮像装置が搭載されている。内視鏡湾曲部１１は湾曲可能に構成されており、内視鏡湾曲部１１の湾曲は内視鏡操作部７によって操作される。また、内視鏡接続部１２は、被検体内の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に可撓に構成されている。

　内視鏡操作部７には、上記撮像装置を用いた撮像を操作する操作ボタン、及び内視鏡湾曲部１１の湾曲を操作する操作ノブが設けられている。また、内視鏡操作部７には、内視鏡処置具２０（図２参照）を挿入可能な第１の処置具挿入口１３と、第２の処置具挿入口１５とが設けられており、内視鏡挿入部６の内部には、第１の処置具挿入口１３から内視鏡先端部１０に達し、内視鏡先端部１０の端面に開口している第１の処置具チャンネル１４と、第２の処置具挿入口１５から内視鏡先端部１０に達し、内視鏡先端部１０の端面に開口している第２の処置具チャンネル１６とが設けられている。

　内視鏡挿入部６及び内視鏡操作部７並びにユニバーサルコード８の内部にはライトガイド及びケーブルが設けられ、ユニバーサルコード８の末端にはコネクタ９が設けられている。内視鏡２は、コネクタ９を介して、光源装置３及びプロセッサ４と接続される。

　光源装置３によって生成される照明光は、上記ライトガイドを介して内視鏡先端部１０に導かれ、内視鏡先端部１０から出射される。また、上記撮像素子の動作電力、撮像素子を駆動する制御信号、及び撮像素子から出力される画像信号は、上記ケーブルを介してプロセッサ４と撮像装置との間で伝送される。プロセッサ４は、入力された画像信号を処理して被検体内の観察部位の画像データを生成し、生成した画像データをモニタ５に表示させ、また記録する。

　図２は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡処置具２０の一例を示す。

　内視鏡処置具２０は、第１の処置具チャンネル１４（図１参照）に挿通可能な挿入部２１と、処置具操作部２２（以下、単に「操作部２２」という）と、内視鏡操作部７に取付け固定する固定部５２と、を備えている。挿入部２１は、操作部２２によって開閉操作される把持部２４を有する先端部２３と、先端部２３の操作部側に隣設されている湾曲部２５と、湾曲部２５と操作部２２とを接続している接続部２６とを含む。

　挿入部２１が第１の処置具チャンネル１４に挿通された際に、接続部２６は、第１の処置具チャンネル１４に収容され、また、先端部２３及び湾曲部２５は内視鏡先端部１０（図１参照）の端面から突出する。第１の処置具チャンネル１４に収容される接続部２６は、内視鏡接続部１２と同様に、被検体内の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に可撓に構成されている。接続部２６は、本発明の軟性部の一例である。

　図３及び図４は、内視鏡処置具２０における先端部２３の把持部２４の構成及び動作を示す。

　図３に示す例では、把持部２４は、一対の把持爪３０と、一対のリンク部材３１とを有している。先端部２３は、一対の把持爪３０を回動可能に支持する支持体３２を有する。一対の把持爪３０は、交差して配置されており、ピン３３が一対の把持爪３０の交差部分を貫通して設けられている。ピン３３は、支持体３２に固定されている。把持爪３０は、ピン３３を回動軸として回動可能に、支持体３２によって支持されている。

　把持爪３０の基端部には、リンク部材３１の先端部が回動可能に連結されており、リンク部材３１の基端部には、操作ワイヤ２７が接続されている。操作ワイヤ２７は、先端部２３から湾曲部２５及び接続部２６を経て操作部２２に達しており、操作部２２における操作に応じて操作部２２側に牽引され、又は先端部２３側に押し出される。

　図３は、操作ワイヤ２７が先端部２３側に押し出されている状態を示しており、一対の把持爪３０の先端部は開かれている。操作ワイヤ２７が操作部２２側に牽引されることにより、図４に示すように、一対の把持爪３０の先端部が閉じられる。生体の処置部位は、閉じられた一対の把持爪３０の先端部によって把持される。

　図５及び図６は、内視鏡処置具２０における湾曲部２５及び接続部２６の構成及び動作を示す。

　接続部２６は、可撓性を有し、且つ、並進及び回転動力を操作部２２側から湾曲部２５側に伝達可能な剛性も有する。このような接続部２６は、例えば金属製の帯板材が螺旋状に巻かれてなる螺管の外周に、金属製の線材が編組みされてなる網状管が被覆され、網状管の外周に樹脂製の外皮が被覆されて構成され得る。図６に示すように、操作部２２によって湾曲操作される湾曲部２５は、一対の把持爪３０の開閉方向を含む面に対して略垂直な方向に湾曲可能である。要するに、湾曲部２５の湾曲動作方向を含む湾曲動作面は、一対の把持爪３０の開閉動作面に対して略垂直な方向となっている。

　図７から図９は、湾曲部２５の内部の構成及び動作を示す。

　湾曲部２５は、複数の湾曲駒４２と、樹脂製の外皮４３とを有する。複数の湾曲駒４２は、湾曲部２５を含む挿入部２１の長手方向に並んで配置されている。隣り合う二つの湾曲駒４２は、湾曲部２５の径方向において対面するように配置された一対のピン４６を介して連結されている。一対のピン４６は、図８に示すように、一対の把持爪３０の開閉方向と略平行な軸Ｘ上に配置されている。したがって、一対のピン４６によって連結されている隣り合う湾曲駒４２は、軸Ｘを回動軸として回動可能である。軸Ｘを回動軸とする複数の湾曲駒４２の回動が足し合わされることにより、図９に示すように、湾曲部２５は、一対の把持爪３０の開閉方向（軸Ｘの方向）に対して略垂直な方向（湾曲動作面）に沿って湾曲される。

　湾曲部２５は、一対の把持爪３０を開閉するための操作ワイヤ２７によって湾曲される。複数の湾曲駒４２は、図８に示すように、操作ワイヤ２７を押し引き可能に保持するワイヤガイド４７をそれぞれ有する。軸Ｘを境にして、第１側Ａと、反対側の第２側Ｂとに湾曲駒４２を二分した場合に、ワイヤガイド４７は一方の第２側Ｂに設けられている。したがって、操作ワイヤ２７が操作部２２側に牽引されることにより、第１側Ａが湾曲外側に位置し、第２側Ｂが湾曲内側に位置するように、湾曲部２５は湾曲される。

　このように、把持部２４の閉動作と、湾曲部２５の湾曲動作とが一本の操作ワイヤ２７の牽引によって行われる。これにより、操作部２２における操作が容易となる。ここで、操作ワイヤ２７が操作部２２側に牽引された際に、まず把持部２４が閉じ、把持部２４が閉じた状態において、湾曲部２５が湾曲するように構成される。把持部２４の閉動作と、湾曲部２５の湾曲動作との動作順序は、把持部２４が閉じる際の動作抵抗と、湾曲部２５が湾曲する際の動作抵抗との大小関係によって設定可能である。要するに、湾曲部２５の動作抵抗が相対的に大きい場合に、把持部２４の閉動作が先となり、湾曲部２５の湾曲動作が後となる。

　把持部２４が閉じる際の動作抵抗は、一対の把持爪３０の交差部分の摩擦と、把持爪３０とリンク部材３１との連結部分の摩擦とを含む。同様に、湾曲部２５が湾曲する際の動作抵抗は、隣り合う二つの湾曲駒４２の連結部分の摩擦を含む。また、湾曲部２５の外皮４３は、湾曲部２５を直線状に延ばす弾性部材であり、湾曲部２５が湾曲する際の動作抵抗は外皮４３の弾性を含む。操作ワイヤ２７もまた、湾曲部２５を直線状に延ばす弾性部材であり、湾曲部２５が湾曲する際の動作抵抗は操作ワイヤ２７の弾性を含む。なお、湾曲部２５を直線状に延ばす弾性部材は外皮４３、操作ワイヤ２７等に限られず、線ばね、板ばね等であってもよい。

　このように、操作ワイヤ２７の牽引で湾曲する湾曲部２５は、外皮４３が弾性部材にて構成されていることで、外皮４３によって湾曲状態から直線状態に戻る方向の弾性力が生じる。

　また、湾曲部２５は、外皮４３が弾性部材にて構成されているので、操作ワイヤ２７にて牽引され変形した状態で戻り方向の弾性力を生じさ、更に、湾曲部２５の弾性力は、湾曲量に応じて大きくなる。この弾性力に対応可能な、後述する摩擦調整機構７０，７３によって、湾曲部２５の曲り量（角度）に応じて摩擦力を大きくし、湾曲部２５の湾曲状態を良好に維持する。

　ここで、操作ワイヤ２７が牽引される移動量が大きくなるほど、操作ワイヤ２７を戻す方向に引く力（直線状に延ばす力）が大きくなる。なお、本実施形態においては、操作ワイヤ２７を戻す方向に引く力（弾性戻り力）の変化に対応可能な、後述する摩擦調整機構７０，７３によって、操作ワイヤ２７の牽引量に対応して摩擦力を大きくでき、牽引状態を良好に維持することができる。

　また、湾曲部２５は、外皮４３の内側の部材である回動可能に連結される複数の湾曲駒４２に替えて、エラストマー等の弾性材料からなる可撓な管材によって形成されてもよい。湾曲部２５が可撓な管材からなる場合に、湾曲部２５が湾曲する際の動作抵抗（弾性戻り力）は管材の弾性を含むものとなり、より一層強い弾性力が生じる。このように、湾曲部２５は、外皮４３の内側の部材が弾性材料にて構成されていることで、操作ワイヤ２７にて牽引され変形した状態において、戻り方向に付勢力を生じさせることができる。

　図１０及び図１１は、操作部２２の構成を示す。

　操作部２２は、把持部２４（図３参照）を進退及び回転させる進退回転操作の入力手段としての操作部本体５０と、把持部２４を開閉させ且つ湾曲部２５（図２参照）を湾曲させる開閉湾曲操作の入力手段としての操作ハンドル５１と、内視鏡操作部７（図１参照）に着脱可能に取り付けられる取付部分である固定部５２と、を有する。

　固定部５２は接続金具５２ａを有する。接続金具５２ａは、内視鏡操作部７の第１の処置具挿入口１３（図１参照）に設けられている口金に接続され、接続金具５２ａが接続されている状態において、操作部２２は内視鏡操作部７によって支持される。

　操作部本体５０はロッド状に形成されており、矢印Ｅで示される中心軸方向及び矢印Ｆで示される中心軸まわりの回転方向に動作可能に、固定部５２によって支持されている。接続部２６は、固定部５２を通して操作部本体５０に接続されており、操作部本体５０の矢印Ｅ方向の動作に応じて接続部２６の長手軸に沿って進退される。また、接続部２６は、操作部本体５０の矢印Ｆ方向の動作に応じて接続部２６の長手軸を中心に回転される。接続部２６の進退及び回転は把持部２４に伝達され、把持部２４もまた接続部２６と一体に進退及び回転される。

　操作ハンドル５１は、操作部本体５０に揺動可能に支持されている。詳細には、図１１に示すように、操作ハンドル５１は、回動支軸部５５ａ（５５）に支持され、自由端部５１ａが操作部本体５０から離間する開方向Ｃ及び操作部本体５０に接近する閉方向Ｄに揺動可能である。要するに、操作ハンドル５１は、回動支軸部５５ａを中心とする扇状の操作移動面上を移動するように支持されている。

　図１２は、操作ハンドル５１を閉方向Ｄに操作したときの状態を示す。操作ハンドル５１は、閉方向Ｄに揺動したときには操作ワイヤ２７を牽引（矢印Ｇ方向）し、開方向Ｃに揺動したときには操作ワイヤ２７を押し込む（矢印Ｇの反対方向）。操作ワイヤ２７は、操作部本体５０内においてその軸線に沿ってスライド移動可能に設けられたワイヤ保持部５６に固定されている。ワイヤ保持部５６は、回動支軸部５５ｃ（５５）に回動可能に連結されたリンク部材５７を介して操作ハンドル５１に接続されている。リンク部材５７と操作ハンドル５１は、回動支軸部５５ｂ（５５）を介して回動可能に接続されている。

　ここで、上記のように、操作ワイヤ２７の牽引量（矢印Ｇ方向の移動量）が大きくなるのに伴って、ワイヤ保持部５６を戻す方向に引く力（弾性戻り力）が大きくなる。また、病変部位を把持して引き上げる際には、引き上げ量（牽引量）に伴って、戻り力が強くなる。したがって、操作ハンドル５１には、牽引量の増大に伴って大きくなる戻り力が作用することになる。この戻り力の変化に対応するために、操作ハンドル５１の操作に連動する操作ワイヤ２７の牽引量に対応して、ワイヤ保持部５６を係止する摩擦力を大きくする摩擦調整機構７０が回動支軸部５５ｃに設けられている。

　操作ワイヤ２７は、操作ハンドル５１の開方向Ｃの揺動に対して先端部２３側に押し出され、操作ハンドル５１の閉方向Ｄの揺動に対して操作部２２側に牽引される。この場合に、操作ハンドル５１が閉方向Ｄに揺動されることにより、把持部２４は閉じられ、湾曲部２５は湾曲される。

　操作ハンドル５１は、その操作状態を保持する摩擦調整機構７０を有していることで、湾曲部２５の湾曲角度を最大湾曲角度以下の任意の角度においていずれの角度でも保持可能に構成されている。摩擦調整機構７０は、操作ハンドル５１の揺動に連動するワイヤ保持部５６による操作ワイヤ２７の牽引量の増大に対応してワイヤ保持部５６を係止する摩擦力を大きくする。

　このように、摩擦調整機構７０によって、操作ワイヤ２７の牽引量が大きくなるのに伴って摩擦力を大きくできるので、操作ワイヤ２７の牽引量が大きくなることでワイヤ戻り力が強くなっても、操作ハンドル５１が戻ってしまう動きが防止され、操作ハンドル５１の操作位置がいずれにあっても操作ハンドル５１から手を離すことができ、更に、回動時の操作力が小さくてすみ安定した操作が可能になる。

　操作ハンドル５１は、リンク部材５７を介してワイヤ保持部５６をスライド移動可能に連結されていることで、操作ハンドル５１の操作に伴って相対移動する部位が多くなる。これにより、摩擦調整機構７０を設置する部位の選択肢を多くできる。また、ワイヤ保持部５６に対し牽引力量が大きくなるのに伴って、リンク部材５７は、ワイヤ保持部５６に対する先端部２３側の傾斜角度が小さくなるように傾くことで、操作ワイヤ２７の戻り力に対抗する力を大きくでき、これをハンドル操作性に利用できる。

　図１３～図１５は、摩擦調整機構７０の一例を示す斜視図である。摩擦調整機構７０は、図１３に示すように、回動支軸部５５ｃの貫通孔５５ｈを貫通する締結部材５８ｍにより、一対のワイヤ保持部５６の間にリンク部材５７が挟まれるようにして締結されている（図示において、締結部材５８ｍの雌ねじ側については省略する）。ここで、ワイヤ保持部５６及びリンク部材５７の回動支軸部５５ｃは、軸回りの周囲部分が円筒形状に構成されている。そして、円筒形状の部位の部材厚み方向で向き合って接触し摩擦力を調整可能なカム部７０ｃが設けられている。このカム部７０ｃは、後述するように、回動支軸部５５ｃの回転角度に対応して部材間の接触圧を変更することができる。

　リンク部材５７は、図１４に示すように、回動支軸部５５ｃのリンク部貫通孔５７ｈを有する円筒部５７ｂにおいて、軸心ＣＬ方向から見て表裏両端面にカム部５７ｃ（７０ｃ）が設けられている。カム部５７ｃは、円筒部５７ｂの表裏両端面を半円の領域に分割するように形成されている。要するに、円筒部５７ｂの表裏両端面には、その半円領域ごとに円周方向に傾斜するカム面が形成されている。より詳細には、円筒部５７ｂの半円領域における一端側５７ｃｔの厚み（Ｗ１）に対して、他端側５７ｃｅの厚み（Ｗ２）が薄くなる傾斜構造となっている。すなわち、円筒部５７ｂの厚みは、一端側５７ｃｔの厚み（Ｗ１）を最大として、図１４において反時計回りの方向に向かって徐々に薄くなる構造である。

　図１５に示すように、ワイヤ保持部５６の円筒部５６ｂは、貫通孔５５ｈを有しリンク部貫通孔５７ｈに嵌入可能なボス部５６ｄを有し、ボス部５６ｄの周りの部分に、軸心ＣＬ方向から見て一端面側（内側）にカム部５６ｃが設けられている。カム部５６ｃは、円筒部５６ｂの半円領域に分割され、その半円領域に円周方向において厚みが傾斜するカム面を備える。円筒部５６ｂの厚みは、一端側５６ｃｔの厚み（Ｗ３）を最大として図１５において時計回りの方向の他端部５６ｃｅの厚み（Ｗ４）に向かって徐々に薄くなるカム面となっている。

　このように構成されたワイヤ保持部５６のカム部５６ｃと、リンク部材５７のカム部５７ｃとが、図１３に示すように組み合わされ、締結部材５８ｍにて締結されることで、カム面の接触圧を変えることができる。すなわち、回動支軸部５５ｃを中心にして、ワイヤ保持部５６に対してリンク部材５７の角度が小さくなる方向に回動すると（牽引量が大きくなると）、リンク部材５７のカム部５７ｃがワイヤ保持部５６のカム部５６ｃを押し広げるように作用する。この結果、操作ワイヤ２７の牽引量に増大に伴ってカム面同士の接触圧を漸次強くでき、摩擦力を徐々に大きくできる。

　このように、摩擦調整機構７０は、操作ハンドル５１を回動可能に支持する回動支軸部５５ｃに設けられ、回動支軸部５５ｃには、その軸回りにおいて、回転角度に対応して接触圧を変更可能なカム部７０ｃを備えているので、摩擦調整機構７０の構造が大型化せずコンパクトにできる。

　このように、摩擦調整機構７０のカム部７０ｃは、操作部本体５０内のワイヤ保持部５６に設けられている。すなわち、リンク部材５７とワイヤ保持部５６との間の回動支軸部５５ｃに設けられていることで、例えば操作者の手が濡れている場合でも、カム部７０ｃへの液体の浸入を防ぐことができ、摩擦力の変動を防止できる。

　また、回動支軸部５５ｃには、この回動支軸部５５ｃを貫通する締結部材５８ｍが設けられ、回動支軸部５５ｃの締結力が調整可能に構成されている。このように、締結部材５８ｍの締付け調整により、締結力を調整可能であることで、カム面の接触圧を変えることができる。この結果、摩擦調整機構７０の摩擦力を調整することが容易にできる。また、カム面同士の接触圧は、締結部材５８ｍとワイヤ保持部５６の間に弾性部材を挟むことでも調整が可能である。例えば、締結部材５８ｍとワイヤ保持部５６の間にばね定数の小さいバネワッシャを挟むことで、接触圧の上昇を緩やかにすることができる。

　摩擦調整機構７０は、回動支軸部５５ｃに設ける構成としたが、他の回動支軸部５５ａ，５５ｂに設ける構成としてもよい。要するに、操作ハンドル５１の揺動に関与する回動支軸部５５であれば、いずれの箇所に設けてもよく、また、摩擦調整機構７０は、複数の箇所に設けてもよい。また、一箇所は、摩擦調整機構７０とする一方で、他の箇所においては、操作ハンドル５１の操作位置に関係なく一定の摩擦力を生じる、例えばゴム等からなる摩擦部材を配置した構造でもよい。

　カム部７０ｃを構成するリンク部材５７とワイヤ保持部５６の材質は、適度な摩擦を発生させながらも、スティックスリップ現象の発生しにくいものが望ましい。また、ワイヤ保持部５６は操作部本体５０と摺動することから、摩擦係数の低い材質が望ましい。以上の観点から、ワイヤ保持部５６はポリプロピレン、ポリエチレン、ＰＴＦＥ（Ｐｏｌｙ　Ｔｅｔｒａ　Ｆｌｕｏｒｏ　Ｅｔｈｙｌｅｎｅ）といった低摩擦の樹脂材料、リンク部材５７はＡＢＳ（Ａｃｒｙｌｏｎｉｔｒｉｌｅ　Ｂｕｔａｄｉｅｎｅ　Ｓｔｙｒｅｎｅ）など適度な摩擦係数を有する材料が好適である。

　なお、輸送、保管の状態ではカム同士の接触圧が小さい状態にレバーが固定されている。これにより、カムを構成する部品に長期間の圧縮力がかかることを避け、クリープ現象による寸法変化、接触圧の低下を抑制することができる。

　図１６は、操作部２２の他の摩擦調整機構７３の例の断面図である。図１６に示すように、摩擦調整機構７３は、操作部本体５０に対してスライド移動するワイヤ保持部５６のスライド移動に伴ってワイヤ保持部５６に摺動接触可能な摺動部として第１摺動部７１及び第２摺動部７２を備えている。第１摺動部７１は、例えば、軸状のワイヤ保持部５６をスライド可能に保持する平坦なスライド壁面５６ｓを有する。第２摺動部７２は、操作ワイヤの牽引量（ワイヤ保持部５６の移動量）の増大と共にワイヤ保持部５６の保持力の増大が可能な傾斜壁面７３ｔを有する。

　このように、操作部本体５０に対してスライド移動するワイヤ保持部５６と、ワイヤ保持部５６の移動によって摺動接触可能な第１及び第２摺動部７１，７２と、を含み、第１及び第２摺動部７１，７２は、少なくともその一部が操作ワイヤ２７の牽引量の増大に対応して、ワイヤ保持部５６への接触圧を増大する傾斜構造を有する。よって、操作ワイヤ２７の牽引量が大きくなるのに伴って摩擦力を大きくすることが可能である。したがって、操作ワイヤ２７の牽引量が大きくなりワイヤ戻り力が強くなっても、傾斜壁面７３ｔによって徐々に接触力を大きくし、操作ハンドル５１が戻ろうとする力の大きさに対応することができる。この結果、操作ハンドル５１は、その操作位置が何処にあっても保持され、安定した操作が可能になる。

　第１摺動部７１は、例えば、スライド方向に沿う円筒状の内壁面で構成されたスライド壁面５６ｓに対し、例えばＯリング等のリング状部材７３ａが接触する構成となっている。したがって、スライド壁面５６ｓとリング状部材７３ａとは、常時一定の接触力でもって接しているので、第１摺動部７１は、ワイヤ保持部５６に対して一定の摩擦力を生じさせることができる。

　このように、摺動部は、ワイヤ保持部５６に対して接触圧が略一定な第１摺動部７１と、ワイヤ保持部５６に対して接触圧が操作ワイヤ２７の牽引量の増大に対応して増大する傾斜構造の第２摺動部７２と、を含むことから、２つの摺動部によって別々に摩擦力調整でき、摩擦力の調整がし易くなる。よって、安定した摩擦力を生じさせることができ、操作ワイヤ２７の牽引量が大きくなることでワイヤ戻り力が強くなっても、操作ハンドル５１を確実に保持でき、操作ハンドル５１の操作位置が何処にあっても安定した操作が可能になる。

　第２摺動部７２は、操作部本体５０の一端側５０ｅに設けられた、例えば、円筒形のシリンダ７３ｃと、ワイヤ保持部５６の一端部に設けられシリンダ７３ｃ内にスライド移動可能に設けられたピストン７３ｐと、を備えている。このピストン７３ｐの外周には、シリンダ７３ｃの内壁面を構成する傾斜壁面７３ｔに接するリング状の、例えば、Ｏリングなどの弾性部材７３ｏが設けられている。傾斜壁面７３ｔは、ピストン７３ｐが牽引方向に移動（図中において矢印Ｇ方向への移動）するのに伴って、シリンダ内径を小さくするように傾斜している。

　ここで、第１摺動部７１は、第２摺動部７２よりも小さい摩擦力に設定されている。これにより、最低限の摩擦力を第１摺動部７１によって発生させることができ、摩擦力の調整部分を第２摺動部７２により行うことができる。この結果、摩擦力の調整がし易く、安定した摩擦力を得ることができる。

　また、摩擦力の調整は、第２摺動部７２の傾斜壁面７３ｔと弾性部材７３ｏとの間の接触力によって調整することができる。更に、弾性部材７３ｏは、Ｏリングにて構成されているので、弾性変形構造を容易にでき、安価に製造できる。

　図１７は、固定部５２と操作部本体５０との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構８０を示す分解斜視図である。また、図１８は、固定部５２の内部構造を示し、図１７のＸ－Ｘ線に沿った部分の断面矢視図である。また、図１９は、摩擦機構８０における回転時の接触状態を説明するための拡大断面図である。

　図１７及び図１８に示すように、操作部２２を内視鏡操作部７（図１参照）に取付ける固定部５２は、操作部本体５０の先端側（図１７において左側）の小径の挿入端部５０ｔをスライド移動可能に収容する略円筒形の収容空間ＳＳを備えている。収容空間ＳＳを構成する内壁面には、収容空間ＳＳの径方向内方に向かって突出する突起部５２ｄが設けられている。突起部５２ｄは、収容空間ＳＳの長手方向、すなわち、挿入端部５０ｔの進退方向（操作ワイヤ２７の牽引方向と押込み方向）に沿って形成されている。また、突起部５２ｄは、内壁面の円周方向に所定の間隔で複数（４個）設けられている。挿入端部５０ｔには、突起部５２ｄに対して所定の接触圧で接し、挿入端部５０ｔの回転の方向（矢印Ｆ方向）に沿うように円環状の摩擦部材５９が設けられている。摩擦部材５９は、例えば、Ｏリング等の所定の弾性を有する部材にて構成される。

　このように、操作部２２は、操作部２２を取付ける固定部５２と、この固定部５２に対して操作ワイヤ２７に沿って進退が可能であり且つ進退の方向に直交する面に沿って回転可能な操作部本体５０と、を含む。そして、固定部５２と操作部本体５０との回転の方向に第１摩擦力（回転方向摩擦力）を生じさせ、固定部５２と操作部本体５０との進退の方向に第１摩擦力と異なる第２摩擦力（進退方向摩擦力）を生じさせる摩擦機構８０を備える。

　要するに、摩擦機構８０は、固定部５２に対して操作部本体５０の回転（矢印Ｆ方向）の方向において第１摩擦力（回転方向の摩擦力）を生じさせる。また、固定部５２に対して操作部本体５０の進退の方向（矢印Ｅ方向）に第１摩擦力と異なる第２摩擦力（進退方向の摩擦力）を生じさせる。

　このように、固定部５２と操作部本体５０との間において、回転の際の回転方向摩擦力と、進退の際の進退方向摩擦力と、が異なっていることで、操作部２２を回転方向の力と進退方向の力とを別々に設定し易くできる。これにより、従来のように回転と進退のいずれか一方を優先することで他方の操作性を悪くするような事態を回避できる。この結果、操作部本体５０の回転及び進退の両方の操作がし易い操作部２２を提供できる。

　摩擦部材５９と突起部５２ｄとの回転方向の相対移動によって生じる第１摩擦力は、図１９に示すように、摩擦部材５９に変形部５９ｔが発生することで大きくなる。これは、突起部５２ｄに対して摩擦部材５９が回転したときに、突起部５２ｄとの接触圧によって、摩擦部材５９の表面が少し凹むようになっていること、摩擦部材５９が突起部５２ｄにて擦られることで円周方向においては変形し易い（伸び易い）こと、摩擦部材５９が回転において長尺であることから回転方向では伸び易いこと、等の条件によって変形部５９ｔが形成される。この変形部５９ｔが形成されることで、摩擦部材５９は、突起部５２ｄに対する接触圧が大きくなり、摩擦抵抗が大きくなる。

　一方、進退方向においては、摩擦部材５９は、突起部５２ｄに対して表面が凹むが、摩擦部材５９の径方向（太さ方向）においては凹んだままの状態で、変形部５９ｔのような部分は形成されず、第２摩擦力が大きくなることはない。すなわち、第１摩擦力が第２摩擦力よりも大きく設定されている。

　このように、回転方向の摩擦力である第１摩擦力が、進退方向の摩擦力である第２摩擦力よりも大きく設定されていることで、操作部２２の回転操作の時と進退操作の時に必要な力を近づけるように調整可能となり、操作部２２の操作性の向上を図ることができる。

　摩擦機構８０においては、摩擦部材５９が回転の方向に沿って延出され、突起部５２ｄが進退の方向に沿って延出されている。この構成によって、摩擦部材５９と突起部５２ｄとの接触は、回転方向において突起部５２ｄが摩擦部材５９を変形させながら移動するので、回転方向の抵抗を大きくできる。これに比べて、進退方向においては、摩擦部材５９は、所定の部分のみが突起部５２ｄと接触する部分的な接触状態であることから、進退時の抵抗を小さくできる。この結果、回転方向と進退方向の抵抗をそれぞれ最適化でき、操作部本体５０の操作性を向上できる。

　摩擦部材５９は、図１８に示すように、円環形状に構成され、突起部５２ｄが摩擦部材５９の円周方向に所定間隔で４個配置され進退方向に延びる複数の突起部５２ｄにて構成されている。これによって、進退方向においては、突起部５２ｄの摩擦部材５９との接触は部分的で摩擦抵抗の増大が回避される。一方、回転方向においては、突起部５２ｄと摩擦部材５９との接触は、各突起部５２ｄの箇所で摩擦部材５９の変形を伴うことから摩擦抵抗を大きくすることができる。

　逆に、進退方向の摩擦抵抗を増やしたい場合は、突起部５２ｄの幅を広げればよい。進退方向の摩擦抵抗は、摩擦部材５９と突起部５２ｄの接触面積にほぼ比例するため、突起部５２ｄの形状を変更することで自在に摩擦抵抗を調整することができる。

　以上のような構成により回転方向と進退方向の摩擦力をそれぞれ自由に設計できるため、潤滑剤の使用も回避することができる。潤滑剤は製造における管理が煩雑で、塗布量によるばらつきや樹脂材料への悪影響など、様々な問題の原因となるため、品質、コストの面で、潤滑剤が不要となることによる効果も期待できる。

　図２０は、操作部２２における固定部５２と操作部本体５０との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構８０の他の例を示す断面斜視図である。図２１は、図２０に示す摩擦機構８０における要部の拡大断面斜視図である。

　図２０に示す操作部２２の摩擦機構８０は、固定部５２と操作部本体５０との間、すなわち、固定部５２と操作部本体５０の挿入端部５０ｔとの間に、進退の方向の移動が規制されたスライドリング７５が設けられている。スライドリング７５は、突起部５０ｔｄと嵌合する側において操作部本体５０の進退の方向の移動を許容する。一方、突起部５０ｔｄと嵌合する側とは反対側において、摩擦部材７６を介在して操作部本体５０の回転移動（矢印Ｆ方向）を許容する。

　また、摩擦機構８０は、スライドリング７５を有する部位を第１摩擦部位８１とし、第１摩擦部位８１とは別の部位に、回転の方向及び進退の方向の摩擦力を生じる第２摩擦部位８２を有する２つの部位から構成されている。

　第２摩擦部位８２は、例えば、挿入端部５０ｔの先端部に設けられたＯリング７７と、固定部５２の円筒形状の内周壁面５２ｗと、が接触する構造である。したがって、操作部本体５０の回転移動（矢印Ｆ方向）によって、所定の摩擦が生じる。また、操作部本体５０の進退移動（矢印Ｅ方向）によって、所定の摩擦が生じる。

　第１摩擦部位８１を構成するスライドリング７５は、図２１に示すように、リング径方向において外側に、リング溝７５ｇが形成されており、このリング溝７５ｇにＯリングからなる摩擦部材７６が嵌められている。また、スライドリング７５は、固定部５２の内面の円周方向に沿って形成されたリングガイド溝５２ｇに嵌っている。したがって、リングガイド溝５２ｇの底壁５２ｇｗと摩擦部材７６とが接触する。また、スライドリング７５の内周側には、進退方向に沿った縦溝７５ｋが設けられており、この縦溝７５ｋに突起部５０ｔｄがスライド可能に嵌っている。このように構成されていることで、第１摩擦部位８１は、進退方向においてはほとんど摩擦力による抵抗は生じないが、回転方向においては、大きい摩擦力を生じさせることができる。

　このように、固定部５２と操作部本体５０の挿入端部５０ｔとの間にスライドリング７５を設けると共に、スライドリング７５の一端側に摩擦部材７６を設けることで、スライドリング７５と接する側と摩擦部材７６と接する側の摩擦力を変えることができる。この結果、固定部５２と操作部本体５０の間の回転方向（矢印Ｆ方向）と進退方向（矢印Ｅ方向）の摩擦を別々に分けることができる。

　また、第１摩擦部位８１と第２摩擦部位８２の複数の摩擦部位が設けられることで、複数の部位で摩擦力を調整することができ、調整がし易くなる。

　また、第２摩擦部位８２は、第１摩擦部位８１よりも小さい摩擦力を生じるように設定されている。

　図２０，図２１において、突起部５０ｔｄが操作部本体５０に設けられている構成について説明したが、突起部５０ｔｄは固定部５２に設けられてもよい。この場合、リングガイド溝５２ｇは操作部本体５０に設けられる。また、縦溝７５ｋはスライドリング７５の外周側に設けられ、リング溝７５ｇ及び摩擦部材７６はスライドリング７５の内周側に設けられる。すなわち、突起部５０ｔｄは、固定部５２及び操作部本体５０の一方に設けられ、固定部５２及び操作部本体５０の他方側に突出する。具体的には、突起部５０ｔｄは、固定部５２（一方）に設けられて操作部本体５０の側（他方側）に突出し、又は、突起部５０ｔｄは、操作部本体５０（一方）に設けられて固定部５２の側（他方側）に突出する。

　このように、第２摩擦部位８２に小さい摩擦力を発生させることで、第２摩擦部位８２によって最低限の摩擦力が生じるようにできる。これにより、第１摩擦部位８１の摩擦力の調整をし易くできる。

　図１０に戻り、操作部本体５０の外面には、操作部本体５０を進退の方向に操作するときに、手指を係合可能な凹部５０ｃ及び凸部５０ｄが設けられている。

　このように、操作部本体５０の外面に凹部５０ｃ及び凸部５０ｄが設けられていることで、操作部本体５０を進退の方向に操作するときに、手指を係合可能な凹部５０ｃや凸部５０ｄに引っかけることができ、進退方向の操作性を向上することができる。

　また、固定部５２に対して操作部本体５０が最も接近した状態（図１０に示す状態）において、固定部５２の端面５２ｍと、端面５２ｍに対面する操作部本体５０の端面５０ｍとの間隔が、操作部本体５０の外面側に向かって広がる傾斜面である。

　このように、固定部５２の端面５２ｍと、操作部本体５０の端面５０ｍとが最接近した時の間隔が、操作部本体５０の外面側に向かって広がる傾斜面であるので、操作部本体５０の進退操作において、両部材の端面の間に手指を挟むトラブルを回避できる。

　図２２は、操作部２２の操作ハンドル５１の操作方向と把持部２４の動作方向の向きについて説明するための説明模式図である。

　図２２に示すように、操作ワイヤ２７を直線状にし、操作部２２を操作ワイヤ２７の軸線の方向に沿って先端部２３に向かって見たときに（図２２では、操作部本体５０の方向から先端部２３方向に向かって見たとき）、湾曲部２５の湾曲動作面ＭＳ（図２３参照）の位置（図２２において、先端部２３の位置と同じ位置）は、操作部２２に湾曲部２５を動作させる操作ハンドル５１が設けられた位置（図２２において０度の位置）を起点にして軸線（図２２において、操作ワイヤ２７で示す軸線）の円周方向において、時計回りの方向に１８０度よりも大きく且つ時計回り２７０度未満の範囲ＯＥに位置している。

　このように構成されていると、例えば、内視鏡処置具２０が内視鏡操作部７に取付けられ使用される際には、操作ハンドル５１を操作する操作者の操作方向（図２２において０度を示す直線方向）と内視鏡画面のモニタ５に映る湾曲部２５（先端部２３を含む）の湾曲動作面ＭＳとの関係において、モニタ５の画面の上方と操作者の真正面前方の操作方向（図２２において、１８０度を示す直線方向）とを一致させた場合と、モニタ５の画面の上方と操作者の真正面前方に対して９０度右方向の操作方向（図２２において、２７０度を示す直線方向）とを一致させた場合と、の中間位置ＣＰ（０度の位置から時計回りの方向に２２５度の位置）を中心にして円周方向に９０度未満の範囲ＯＥの位置がモニタ５の画面の上方になるように設定する。

　このように、操作部２２により動作する湾曲部２５の湾曲動作面ＭＳの位置が、操作ハンドル５１の配置された位置を起点（０度）にして時計回りの方向に１８０度よりも大きく且つ時計回り２７０度未満の範囲ＯＥに位置していることで、操作部２２を操作するときに、湾曲部２５の湾曲動作面ＭＳの方向と操作画面の方向とが操作者の操作感覚に違和感なく受け入れられる。この結果、操作部２２の操作性をよくすることができる。

　図２３は、操作部２２の操作ハンドル５１の操作移動面ＯＳと湾曲部２５の湾曲動作面ＭＳとの関係を説明するための斜視図である。

　図２３に示すように、操作移動面ＯＳは、操作部２２の操作ハンドル５１が描く扇型の移動面を含む仮想面である。また、湾曲動作面ＭＳは、把持爪３０が開閉する仮想面に対して直交する方向に湾曲動作する湾曲部２５の扇型の移動面を含む仮想面である。

　また、操作ワイヤ２７の牽引により湾曲部２５が湾曲動作する湾曲動作面ＭＳは、操作ハンドル５１を操作するときの操作移動面ＯＳを起点にして時計回りの方向に２２５度（図２２において中間位置ＣＰ）の位置に設定されていることが最も好ましい。

　このように、湾曲動作面ＭＳは、操作ハンドル５１を操作するときの操作移動面ＯＳを起点にして時計回りの方向に２２５度の中間位置ＣＰに設定されていることで、操作ハンドル５１の操作向きと湾曲部２５の湾曲向きとの関係において、操作者によって操作部２２の持ち方が変わる変動範囲の中間の向きにできる。この結果、操作者によって持ち方（操作向き）が変わっても、湾曲部２５の動作向きの極端な変動に伴う違和感を避けることができ、内視鏡手技の安定化を図ることができる。

　また、操作部２２は、操作部を所定部位に取付ける固定部５２に対し回動して先端部２３の向きを回動可能な操作部本体５０と、操作部本体５０に対し回動支点を中心にする開閉により操作ワイヤ２７を移動する操作ハンドル５１と、を有する。

　このように、操作部２２は、固定部５２に対して回転可能であるので、操作部本体５０により先端部２３を回転でき、操作部本体５０に対して回動支点（回動支軸部５５ａ）を中心にする開閉動可能な操作ハンドル５１であることから、操作部本体５０の回動と操作ハンドル５１の開閉を容易にできる。

　図２４は、内視鏡処置具２０における操作ハンドル５１を上方から見た拡大斜視図である。図２４に示すように、操作ハンドル５１は、この操作ハンドル５１を操作する指Ｈｆに対して、少なくとも操作ハンドル５１を閉じる側の側面５１ｗと開く側の側面５１ｕとが同時に対面可能に湾曲した第１突出部５１ｆを有する。

　このように、操作ハンドル５１は、第１突出部５１ｆが設けられることで、操作ハンドル５１を操作する指Ｈｆに対して、指Ｈｆの内側及び外側に側面５１ｕ，５１ｗが配置されるので、第１突出部５１ｆの内側に置いた指Ｈｆを閉じ方向（矢印Ｄ方向）若しくは開き方向（矢印Ｃ方向）に動かすことで、操作ハンドル５１の開閉が自在にできる。

　また、第１突出部５１ｆは、少なくとも操作ハンドル５１の開閉方向とは直交する方向の一方側（図２４において右側）が解放された解放部５１ｓを有するフック形状である。

　このように、操作ハンドル５１の開閉方向とは直交する方向の一方側が解放部５１ｓとしたフック形状であることで、操作ハンドル５１を操作する指Ｈｆを、例えば、操作ハンドル５１から直交する横方向（矢印Ｊ方向）へのスライド移動が可能になる。

　操作ハンドル５１は、操作ハンドル５１の開閉方向と直交する方向に突出した第２突出部５１ｂを有する。

　このように、操作ハンドル５１の開閉方向とは直交する方向に第２突出部５１ｂを有するので、操作ハンドル５１に対して横方向に指をずらしても操作ハンドル５１に指を掛けることができる。この結果、手に対する操作部２２の持ち方が操作部２２の円周方向に変化しても、第２突出部５１ｂで操作ハンドル５１の操作が可能である。例えば、指Ｈｆが右手の指であり、右手を矢印Ｃ方向に回転させるように捻じった場合、指Ｈｆによる第１突出部５１ｆの操作が困難になるが、指Ｈｆを第１突出部５１ｆから第２突出部５１ｂに移動させ、指Ｈｆにより第２突出部５１ｂの操作を行うことで、操作ハンドル５１の操作を容易に行うことができる。

　また、第１突出部５１ｆと第２突出部５１ｂとは、連続して形成されている。これにより、操作ハンドル５１の操作可能な面が連続した面として広くなり、操作ハンドル５１の開閉操作と共に回転操作をするときでも、操作可能範囲が広くなり、指Ｈｆを操作ハンドル５１から離すことなく回転操作と開閉操作ができる。

　図２５は、内視鏡処置具２０における操作部本体５０をその軸線方向の先端側から見た図である。図２５に示すように、操作部２２は、操作部本体５０が操作部２２の軸方向と直交する横断面において長手方向及び短手方向を有している。そして、長手方向は、操作ハンドル５１の操作移動面ＯＳを含む面と略平行である。

　このように、操作部２２は、操作部２２の軸方向と直交する横断面において長手方向が操作ハンドル５１の操作移動面ＯＳを含む面と略平行であることから、図２５に示すように、操作部２２を手で持ったときに、操作ハンドル５１に掛ける指Ｈｆと、操作部本体５０を持つ手のひらとが収まりがよく、操作性に優れている。また、操作者が操作ハンドル５１を目視しなくても、操作者が操作ハンドル５１を握ることで操作ハンドル５１の方向を容易に判別することができる。

　図２６～図３１は、内視鏡処置具２０を用いた処置方法の一例として、ＥＳＤにおける処置方法を示す。なお、操作ハンドル５１の閉方向Ｄの揺動に対して操作ワイヤ２７は操作部２２側に牽引されるものとする。また、内視鏡処置具２０と組み合せて用いられる内視鏡処置具は、切開具であり、開閉可能な一対の爪６１を先端部に有する高周波はさみ鉗子６０である（図２９参照）。一対の爪６１は、高周波はさみ鉗子６０の操作部によって開閉される。一対の爪６１が閉じられ、生体組織が一対の爪６１によって把持されている状態において、生体組織を介して一対の爪６１と対極板との間に高周波の電流が流され、又は一対の爪６１間に高周波の電流が流されることにより、生体組織が焼灼され、切開が行われる。

　図２６に示すように、内視鏡２が体内に挿入され、内視鏡先端部１０が、粘膜層の病変部位ＬＡの側方に配置される。内視鏡処置具２０が内視鏡２の第１の処置具チャンネル１４に挿通され、内視鏡処置具２０の先端部２３及び湾曲部２５が、内視鏡先端部１０の端面から突出される。そして、内視鏡処置具２０の操作部２２の操作により、病変部位ＬＡが先端部２３の把持部２４によって把持される。

　病変部位ＬＡが把持部２４によって把持される際に、まず、操作部２２の操作ハンドル５１（図１０参照）が開方向Ｃに操作される。図２６に示すように、操作ハンドル５１の上記操作に伴って操作ワイヤ２７が先端部２３側に押し出され、操作ワイヤ２７が押し出されることにより、湾曲部２５は、直線状に延ばされ、接続部２６の長手軸に沿って寝かされる。また、操作ワイヤ２７が押し出されることにより、把持部２４の一対の把持爪３０が開かれる。そして、操作部本体５０が適宜押し引きされ、病変部位ＬＡが一対の把持爪３０の間に配置される。

　病変部位ＬＡが一対の把持爪３０の間に配置されている状態において、操作ハンドル５１が閉方向Ｄに操作される。これにより、操作ワイヤ２７が操作部２２側に牽引される。操作ワイヤ２７が牽引されることにより、まず、図２７に示すとおり、一対の把持爪３０が閉じられ、病変部位ＬＡが把持部２４によって把持される。そして、病変部位ＬＡが把持部２４によって把持された後に、図２８に示すとおり、湾曲部２５が湾曲される。これにより、把持部２４は、接続部２６の長手軸に沿って寝かされている状態から起こされ、把持部２４によって把持されている病変部位ＬＡが持ち上げられる。

　病変部位ＬＡが持ち上げられている状態において、図２９に示すように、内視鏡２の第２の処置具チャンネル１６に挿通されている高周波はさみ鉗子６０が、内視鏡先端部１０の端面から突出される。高周波はさみ鉗子６０の一対の爪６１が、病変部位ＬＡの下方部位に配置され、一対の爪６１によって病変部位ＬＡの下方部位が切開される。切開が進むに従って、持ち上げた病変部位ＬＡを一度離し、把持し直してから持ち上げてもよい。一度切開された病変部位ＬＡを持ち上げると、下方部位が視認しやすく露出することで、安全に、且つ確実に、且つ容易に切除を行うことができる。高周波はさみ鉗子６０が適宜押し引きされることによって切開が進められ、病変部位ＬＡが粘膜下層を含めて徐々に剥離される。

　このように、内視鏡処置具２０の操作ハンドル５１の操作のみにより、病変部位ＬＡの側方において病変部位ＬＡを把持し、把持した病変部位ＬＡを持ち上げることができるので、操作が簡潔である。これにより、病変部位ＬＡの持ち上げと、病変部位ＬＡを持ち上げることにより病変部位ＬＡの下方部位を視認しやすく露出させ、それにより持ち上げた病変部位ＬＡの下方部位に対する処置を安全に、且つ確実、且つ容易に行うことができる。さらに、本例では、摩擦調整機構７０，７３によって操作ハンドル５１の操作状態を保つことができ、したがって、操作者の手が操作ハンドル５１から離れた後も、病変部位ＬＡを持ち上げた状態に保つことができる。これにより、切開の際には高周波はさみ鉗子６０の操作に集中でき、操作を一層簡潔なものとして、病変部位ＬＡの下方部位に対する処置をさらに容易に行うことができる。

　切開の際には、操作部２２の操作部本体５０が、図１０の矢印Ｅ方向に押し引きされ、及び／又は操作部本体５０が、図１０の矢印Ｆ方向に回転されてもよい。上述したとおり、接続部２６は、並進及び回転動力を操作部２２側から湾曲部２５側に伝達可能な剛性を有しており、操作部本体５０の押し引き及び回転は、接続部２６を介して湾曲部２５に伝達される。

　図３０は、操作部本体５０が回転された場合を示す。操作部本体５０の回転に応じ、接続部２６は、接続部２６の長手軸を中心に回転される。湾曲部２５が湾曲されている状態において、把持部２４は、接続部２６の長手軸に対して起立した状態を保って回転され、把持部２４によって把持されている病変部位ＬＡは、接続部２６の長手軸を中心に揺り動かされる。

　図３１は、操作部本体５０が押し引きされた場合を示す。操作部本体５０の押し引きに応じ、接続部２６は、接続部２６の長手軸の軸方向に進退される。湾曲部２５が湾曲されている状態において、把持部２４は、接続部２６の長手軸に対して起立した状態を保って進退され、把持部２４によって把持されている病変部位ＬＡは、接続部２６の長手軸の軸方向に押し引きされる。

　病変部位ＬＡを適宜揺り動かし、及び／又は押し引きすることにより、例えば切開創を広げることができる。これにより、病変部位ＬＡの下方部位に対する処置をさらに容易に行うことができる。そして、摩擦機構８０によって操作部本体５０の操作状態を保つことにより、操作者の手が操作部本体５０から離れた後も、切開創を広げた状態に保つことができる。これにより、病変部位ＬＡの下方部位に対する処置をさらに容易に行うことができる。

　以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。

　例えば、上記実施形態における摩擦調整機構７０においては、リンク部材５７を一対のワイヤ保持部５６にて挟み込む、カム面が二対の構造としたが、これに限るものではなく、例えば、対面するカム面が一対であってもよい。

　また、上記実施形態のスライド式の摩擦調整機構７３においては、弾性部材７３ｏとしてＯリングを用いたが、Ｏリングでなくてもよい。

　また、上記実施形態の摩擦機構８０においては、突起部５２ｄを４個設けた構成としたが、４個に限るものではなく、更に多い数でも少ない数でもよい。

　また、上記実施形態の摩擦機構８０においては、手指を係合可能な凹部５０ｃ及び凸部５０ｄが設けられているが、凹部５０ｃ、凸部５０ｄは両方が設けられていなくても、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。

　また、上記実施形態の操作部２２においては、操作ハンドル５１が、操作部本体５０に対して張出して揺動可能に設けられ、且つ揺動によりワイヤ保持部５６を移動する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、図３２に示すように、操作ハンドル５１は、操作部本体５０に設けられた平面部５０ｂ上に設けられており、この平面部５０ｂに沿ってＥ方向に移動可能な部材であってもよい。操作ハンドル５１は、例えば操作部本体５０を把持した操作者の親指によって操作される。

　この場合、操作ハンドル５１は、ワイヤ保持部５６と連結されており、操作ハンドル５１を操作部本体５０の先端側（図３２の上側）に移動させるとワイヤ保持部５６も操作部本体５０の先端側に移動して操作ワイヤ２７が牽引される。また、操作ハンドル５１を操作部本体５０の基端側（図３２の下側）に移動させるとワイヤ保持部５６も操作部本体５０の基端側に移動して操作ワイヤ２７が緩む。すなわち、図３２に示した構成において、操作ハンドル５１を上下させる操作により、図１１等に示した操作ハンドル５１を揺動させる操作と同様の動作を実現することができる。

　なお、図３２に示した構成において、操作ハンドル５１や平面部５０ｂの位置や形状は、図３２に示した構成に限らない。例えば、平面部５０ｂは、図３２に示した例よりも、操作部本体５０の先端側に位置していてもよい。

　本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。

（１）
　体内に挿入され処置を行う先端部と、
　上記先端部に対する操作が入力される操作部と、
　上記先端部と上記操作部を接続する軟性部と、
　を備え、
　上記操作部は、
　上記操作部を内視鏡に取付ける固定部と、上記固定部に対して進退が可能であり且つ上記進退の方向に直交する面に沿って回転可能な操作部本体と、を含み、
　上記固定部と上記操作部本体との上記回転の方向に第１摩擦力を生じさせ、上記固定部と上記操作部本体との上記進退の方向に上記第１摩擦力と異なる第２摩擦力を生じさせる摩擦機構を備える、
　内視鏡処置具。

（２）
　（１）記載の内視鏡処置具であって、
　上記第１摩擦力が上記第２摩擦力よりも大きく設定されている、
　内視鏡処置具。

（３）
　（１）又は（２）記載の内視鏡処置具であって、
　上記摩擦機構は、上記固定部及び上記操作部本体の一方に設けられた摩擦部材と、上記固定部及び上記操作部本体の他方に設けられ上記摩擦部材に接するよう突出する突起部と、を含み、
　上記摩擦部材は、上記回転の方向に沿って延出され、
　上記突起部は、上記進退の方向に沿って延出されている、
　内視鏡処置具。

（４）
　（３）記載の内視鏡処置具であって、
　上記摩擦部材は、円環形状に構成され、
　上記突起部は、上記摩擦部材の円周方向に所定間隔で配置され上記進退の方向に沿って延びる複数の突起にて構成されている、
　内視鏡処置具。

（５）
　（１）又は（２）記載の内視鏡処置具であって、
　上記摩擦機構は、上記固定部及び上記操作部本体の一方に設けられ、上記固定部及び上記操作部本体の他方側に突出する突起部と、上記固定部と上記操作部本体との間に設けられ、上記進退の方向の移動が規制されたスライドリングと、を含み
　上記スライドリングは、
　上記突起部と嵌合する側において上記操作部本体の上記進退の方向の移動を許容し、
　上記突起部と嵌合する側とは反対側において摩擦部材を介在して上記操作部本体の回転移動を許容する、
　内視鏡処置具。

（６）
　（５）記載の内視鏡処置具であって、
　上記摩擦機構は、上記スライドリングを有する部位を第１摩擦部位とし、上記第１摩擦部位とは別の部位に、上記回転の方向及び上記進退の方向の摩擦力を生じる第２摩擦部位を有する、
　内視鏡処置具。

（７）
　（６）記載の内視鏡処置具であって、
　上記第２摩擦部位は、上記第１摩擦部位よりも小さい摩擦力を生じる、
　内視鏡処置具。

（８）
　（１）から（７）のいずれか１つに記載の内視鏡処置具であって、
　上記操作部本体の外面には、上記操作部本体を上記進退の方向に操作するときに手指を係合可能な凹部及び凸部の少なくともいずれかを有する、
　内視鏡処置具。

（９）
　（１）から（８）のいずれか１つに記載の内視鏡処置具であって、
　上記固定部に対して上記操作部本体が最も接近した状態において、上記固定部の端面と、上記端面に対面する上記操作部本体の端面との間隔が、上記操作部本体の外面側に向かって広がる傾斜面である、
　内視鏡処置具。

（１０）
　（１）から（９）のいずれか１つに記載の内視鏡処置具であって、
　開閉可能な把持部が設けられている先端部と、
　上記先端部に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、
　上記把持部を閉じる操作及び上記湾曲部を湾曲させる操作が入力される操作部と、
　上記操作部の操作を上記把持部及び上記湾曲部に伝達する操作ワイヤを有する、
　内視鏡処置具。

（１１）
　（１）から（１０）のいずれか１つに記載の内視鏡処置具である第１の処置具と、
　第２の処置具と、
　上記第１の処置具が挿通可能な第１の処置具チャンネル、及び上記第２の処置具が挿通可能な第２の処置具チャンネルを有する内視鏡と、
　を備える内視鏡装置。

（１２）
　（１１）記載の内視鏡装置を用いる処置方法であって、
　上記第１の処置具は、
　上記先端部に設けられ、開閉可能な把持部と、
　上記先端部に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、
　を備え、上記操作部には、上記把持部を閉じる操作及び上記湾曲部を湾曲させる操作が入力され、
　上記内視鏡の上記第１の処置具チャンネルを通して、上記第１の処置具の上記先端部を体内の病変部位に配置し、
　上記病変部位を上記第１の処置具の上記把持部によって把持し、
　上記病変部位を把持した状態において、上記第１の処置具の上記湾曲部を湾曲させることによって上記病変部位を持ち上げ、
　上記病変部位を持ち上げた状態において、上記内視鏡の上記第２の処置具チャンネルに挿通された上記第２の処置具によって、上記病変部位の下方部位を処置する、
　処置方法。

　以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。

　なお、本出願は、２０２０年１１月３０日出願の米国仮出願（６３／１１８，９７２）に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。

２０　　　　内視鏡処置具
２２　　　　操作部
２３　　　　先端部
２５　　　　湾曲部
２６　　　　接続部
２７　　　　操作ワイヤ
５０　　　　操作部本体
５０ｂ　　　平面部
５１　　　　操作ハンドル
５２　　　　固定部
５２ｄ　　　突起部
５５　　　　回動支軸部
５６　　　　ワイヤ保持部
５７　　　　リンク部材
５８ｍ　　　締結部材
５９　　　　摩擦部材
７０，７３　摩擦調整機構
７１　　　　第１摺動部（摺動部）
７２　　　　第２摺動部（摺動部）
７３ｃ　　　シリンダ
７３ｏ　　　弾性部材
７３ｐ　　　ピストン
７５　　　　スライドリング
７６　　　　摩擦部材
７７　　　　Ｏリング
８０　　　　摩擦機構
８１　　　　第１摩擦部位
８２　　　　第２摩擦部位
ＭＳ　　　　湾曲動作面
ＯＳ　　　　操作移動面

Claims (12)

1. 　体内に挿入され処置を行う先端部と、
   　前記先端部に対する操作が入力される操作部と、
   　前記先端部と前記操作部を接続する軟性部と、
   　を備え、
   　前記操作部は、
   　前記操作部を内視鏡に取付ける固定部と、前記固定部に対して進退が可能であり且つ前記進退の方向に直交する面に沿って回転可能な操作部本体と、を含み、
   　前記固定部と前記操作部本体との前記回転の方向に第１摩擦力を生じさせ、前記固定部と前記操作部本体との前記進退の方向に前記第１摩擦力と異なる第２摩擦力を生じさせる摩擦機構を備える、
   　内視鏡処置具。
2. 　請求項１記載の内視鏡処置具であって、
   　前記第１摩擦力が前記第２摩擦力よりも大きく設定されている、
   　内視鏡処置具。
3. 　請求項１又は２記載の内視鏡処置具であって、
   　前記摩擦機構は、前記固定部及び前記操作部本体の一方に設けられた摩擦部材と、前記固定部及び前記操作部本体の他方に設けられ前記摩擦部材に接するよう突出する突起部と、を含み、
   　前記摩擦部材は、前記回転の方向に沿って延出され、
   　前記突起部は、前記進退の方向に沿って延出されている、
   　内視鏡処置具。
4. 　請求項３記載の内視鏡処置具であって、
   　前記摩擦部材は、円環形状に構成され、
   　前記突起部は、前記摩擦部材の円周方向に所定間隔で配置され前記進退の方向に沿って延びる複数の突起にて構成されている、
   　内視鏡処置具。
5. 　請求項１又は２記載の内視鏡処置具であって、
   　前記摩擦機構は、前記固定部及び前記操作部本体の一方に設けられ、前記固定部及び前記操作部本体の他方側に突出する突起部と、前記固定部と前記操作部本体との間に設けられ、前記進退の方向の移動が規制されたスライドリングと、を含み
   　前記スライドリングは、
   　前記突起部と嵌合する側において前記操作部本体の前記進退の方向の移動を許容し、
   　前記突起部と嵌合する側とは反対側において摩擦部材を介在して前記操作部本体の回転移動を許容する、
   　内視鏡処置具。
6. 　請求項５記載の内視鏡処置具であって、
   　前記摩擦機構は、前記スライドリングを有する部位を第１摩擦部位とし、前記第１摩擦部位とは別の部位に、前記回転の方向及び前記進退の方向の摩擦力を生じる第２摩擦部位を有する、
   　内視鏡処置具。
7. 　請求項６記載の内視鏡処置具であって、
   　前記第２摩擦部位は、前記第１摩擦部位よりも小さい摩擦力を生じる、
   　内視鏡処置具。
8. 　請求項１から７のいずれか１項記載の内視鏡処置具であって、
   　前記操作部本体の外面には、前記操作部本体を前記進退の方向に操作するときに手指を係合可能な凹部及び凸部の少なくともいずれかを有する、
   　内視鏡処置具。
9. 　請求項１から８のいずれか１項記載の内視鏡処置具であって、
   　前記固定部に対して前記操作部本体が最も接近した状態において、前記固定部の端面と、前記端面に対面する前記操作部本体の端面との間隔が、前記操作部本体の外面側に向かって広がる傾斜面である、
   　内視鏡処置具。
10. 　請求項１から９のいずれか１項記載の内視鏡処置具であって、
    　開閉可能な把持部が設けられている先端部と、
    　前記先端部に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、
    　前記把持部を閉じる操作及び前記湾曲部を湾曲させる操作が入力される操作部と、
    　前記操作部の操作を前記把持部及び前記湾曲部に伝達する操作ワイヤを有する、
    　内視鏡処置具。
11. 　請求項１から１０のいずれか１項記載の内視鏡処置具である第１の処置具と、
    　第２の処置具と、
    　前記第１の処置具が挿通可能な第１の処置具チャンネル、及び前記第２の処置具が挿通可能な第２の処置具チャンネルを有する内視鏡と、
    　を備える内視鏡装置。
12. 　請求項１１記載の内視鏡装置を用いる処置方法であって、
    　前記第１の処置具は、
    　前記先端部に設けられ、開閉可能な把持部と、
    　前記先端部に隣設されている湾曲可能な湾曲部と、
    　を備え、前記操作部には、前記把持部を閉じる操作及び前記湾曲部を湾曲させる操作が入力され、
    　前記内視鏡の前記第１の処置具チャンネルを通して、前記第１の処置具の前記先端部を体内の病変部位に配置し、
    　前記病変部位を前記第１の処置具の前記把持部によって把持し、
    　前記病変部位を把持した状態において、前記第１の処置具の前記湾曲部を湾曲させることによって前記病変部位を持ち上げ、
    　前記病変部位を持ち上げた状態において、前記内視鏡の前記第２の処置具チャンネルに挿通された前記第２の処置具によって、前記病変部位の下方部位を処置する、
    　処置方法。

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