WO2015034045A1 - ダブルオスコネクタ - Google Patents

Abstract

　ダブルオスコネクタ（１）は、一端に第１オスルアー（１０）を備え、他端に第２オスルアー（２０）を備える。第１オスルアー（１０）と第２オスルアー（２０）とは連通している。第１オスルアー（１０）の外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第１テーパ面（１２）であり、第２オスルアー（２０）の外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第２テーパ面（２２）である。第１オスルアー（１０）を筒状部（１５）が取り囲む。筒状部（１５）の内周面に雌ネジ（１６）が形成されている。

Description

ダブルオスコネクタ

　本発明は、両端にオスルアーを備えたダブルオスコネクタに関する。特に、経腸栄養療法などにおいて使用される２つのチューブの末端のメスコネクタ同士を接続するために使用されるダブルオスコネクタに関する。

　経口によらずに患者に栄養や薬剤を投与する方法として経腸栄養療法が知られている。経腸栄養療法では、患者の鼻腔から胃又は十二指腸にまで挿入された経鼻カテーテル又は患者の腹に形成された胃ろうに挿入されたＰＥＧ（Percutaneous Endoscopic Gastrostomy）カテーテルを介して栄養剤、流動食、又は薬剤などの液状物（一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる）が患者に投与される。患者に投与される液状物は、容器に貯留される。容器の流出ポートには、柔軟性を有するチューブからなる栄養セットが接続される。栄養セットの下流側端は、患者に挿入された経鼻カテーテル又はＰＥＧカテーテル（以下、これらを総称して「カテーテル」という）の上流側端に接続される。一般に、栄養セットの下流側端には、オスコネクタが設けられている。一方、カテーテルの上流側端には、当該オスコネクタと接続可能なメスコネクタが設けられている。オスコネクタ及びメスコネクタとしては、様々な形状のものが実際に使用されている（例えば特許文献１参照）。

　ところで、経腸栄養療法において投与された液状物が低粘度の液体であると、液状物が胃から食道に逆流して肺炎を併発したり、液状物の水分が体内で十分に吸収されないために下痢したりする等の問題がある。そこで、経腸栄養療法では、液状物を、トロミ剤や増粘剤を加える等して高粘度化（即ち、半固形化）させることが多い。このような高粘度化した液状物は、流動性が低いので、チューブを通過する際の抵抗が大きい。従って、液状物を患者に投与する際には、液状物は圧力を加えて圧送される。

　そのため、栄養セットとカテーテルとを接続するコネクタは、液状物に印加される圧力に耐えることができるように、互いに係合し合うロック機構を備えることが望まれる。そこで、このような用途に使用されるオスコネクタ及びメスコネクタが栄養系の医療機器に関する国際規格ＩＳＯ８０３６９－３として国際標準化することが検討されている。図１１Ａ及び図１１Ｂに示すように、ＩＳＯ８０３６９－３として検討されているオスコネクタ９０１は、筒状のオスルアー９１０を取り囲む雌ネジ９１６を有する。一方、図１２Ａ及び図１２Ｂに示すように、ＩＳＯ８０３６９－３として検討されているメスコネクタ９０２は、オスルアー９１０が挿入される円筒状の挿入部（メスルアー）９２０の外周面に雄ネジ９２６を有する。オスコネクタ９０１とメスコネクタ９０２とは、オスルアー９１０を挿入部９２０に挿入し、且つ、雌ネジ９１６と雄ネジ９２６とを螺合させることにより接続される。オスコネクタ９０１とメスコネクタ９０２とは、液密性（液状物に圧力を加えてもオスコネクタとメスコネクタとの接続部分から液状物が漏れ出さない性質）と接続強度（接続されたオスコネクタとメスコネクタとが引張り力を加えても分離しない性質）に優れた接続を提供する。

　このようなオスコネクタ９０１及びメスコネクタ９０２が国際規格として採用されれば、メスコネクタ９０２を下流側端に設けた栄養セット、及び、オスコネクタ９０１を上流側端に設けたカテーテルが、実用化される可能性が高い。

国際公開第２００８／１５２８７１号パンフレット

　しかしながら、ＩＳＯ８０３６９－３が国際規格化された後も、実際の医療の現場では、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠しない、従来のメスコネクタを備えたカテーテルが依然として使用され続ける場合があると予想される。従って、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタ９０２を下流側端に備えた栄養セットと、従来のメスコネクタを上流側端に備えたカテーテルとを接続することが要望される。

　本発明は、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタと従来のメスコネクタとを接続することができるダブルオスコネクタを提供することを目的とする。

　本発明のダブルオスコネクタは、一端に第１オスルアーを備え、他端に第２オスルアーを備える。前記第１オスルアーと前記第２オスルアーとは連通している。前記第１オスルアーの外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第１テーパ面（円錐面）である。前記第２オスルアーの外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第２テーパ面（円錐面）である。ダブルオスコネクタは、前記第１オスルアーを取り囲む筒状部を更に備える。前記筒状部の内周面に雌ネジが形成されている。

　本発明によれば、第１オスルアー及びこれを取り囲む雌ネジをＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタに接続し、且つ、第２オスルアーを従来のメスコネクタに接続することができる。従って、例えば、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタを下流側端に備えた栄養セットと、従来のメスコネクタを上流側端に備えたカテーテルとを、本発明のダブルオスコネクタを介して接続することができる。

図１Ａは、本発明の実施形態１にかかるダブルオスコネクタの第１オスルアー側から見た斜視図である。図１Ｂは、当該ダブルオスコネクタの第２オスルアー側から見た側面図である。図１Ｃは、当該ダブルオスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図２Ａは、本発明の実施形態１にかかるダブルオスコネクタの第１オスルアーに接続される第１メスコネクタの斜視図である。図２Ｂは、当該第１メスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図３Ａは、本発明の実施形態１にかかるダブルオスコネクタの第２オスルアーに接続される第２メスコネクタの斜視図である。図３Ｂは、当該第２メスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図４Ａ～図４Ｃは、本発明の実施形態１にかかるダブルオスコネクタを介して第１メスコネクタと第２メスコネクタとを接続する過程を順に示した斜視図である。 図５Ａは、本発明の実施形態２にかかるダブルオスコネクタの第１オスルアー側から見た斜視図である。図５Ｂは、当該ダブルオスコネクタの第２オスルアー側から見た側面図である。図５Ｃは、当該ダブルオスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図６Ａは、本発明の実施形態２にかかるダブルオスコネクタの第２オスルアーに接続される第２メスコネクタの斜視図である。図６Ｂは、当該第２メスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図７Ａは、本発明の実施形態２において第２メスコネクタを構成するハンドルの斜視図である。図７Ｂは、当該ハンドルの上面図である。図７Ｃは、当該ハンドルの正面図である。 図８Ａ及び図８Ｂは、本発明の実施形態２にかかるダブルオスコネクタを介して第１メスコネクタと第２メスコネクタとを接続する過程を順に示した斜視図である。 図９Ａ及び図９Ｂは、本発明の実施形態２にかかるダブルオスコネクタを介して第１メスコネクタと第２メスコネクタとを接続する過程を順に示した斜視図である。 図１０Ａは、本発明の実施形態２にかかる別のダブルオスコネクタの第１オスルアー側から見た斜視図である。図１０Ｂは、当該別のダブルオスコネクタの正面図である。 図１１Ａは、ＩＳＯ８０３６９－３として検討されているオスコネクタの斜視図である。図１１Ｂは、当該オスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。 図１２Ａは、ＩＳＯ８０３６９－３として検討されているメスコネクタの斜視図である。図１２Ｂは、当該メスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。

　本発明の上記のダブルオスコネクタにおいて、前記第１テーパ面と前記雌ネジとは、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠していることが好ましい。これにより、本発明のダブルオスコネクタとＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタとを、ＩＳＯ８０３６９－３にしたがって接続することができる。

　本発明のダブルオスコネクタは、全体が一部品として一体的に形成されていることが好ましい。これにより、ダブルオスコネクタの作成が容易になる。また、ダブルオスコネクタの強度や耐久性が向上する。

　前記第１オスルアーと前記第２オスルアーとの間に、外向きに突出した一対の係合爪を更に備えることが好ましい。これにより、一対の係合爪を、メスコネクタに設けられた係合構造と係合させることができる。

　前記一対の係合爪は、前記第２オスルアーをメスコネクタに挿入したとき、前記メスコネクタに係合することが好ましい。これにより、第２オスルアーとメスコネクタとの接続強度を向上させることができる。

　以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。以下の各図では、実際の部材の寸法および各部材の寸法比率等が忠実に表されていない。

　（実施形態１）
　＜ダブルオスコネクタの構成＞
　図１Ａ及び図１Ｂは、本発明の実施形態１にかかるダブルオスコネクタ１の斜視図である。図１Ｃは、ダブルオスコネクタ１の中心軸１ａを含む面に沿った断面図である。

　ダブルオスコネクタ１は、一端に、筒状の第１オスルアー１０を備え、他端に筒状の第２オスルアー２０を備える。ダブルオスコネクタ１は、両端がオスコネクタであるオス－オスコネクタである。

　第１オスルアー１０の外周面は、その先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面（第１テーパ面）１２である。第１オスルアー１を取り囲むように、筒状部１５が設けられている。筒状部１５の内周面（第１オスルアー１０に対向する面）には雌ネジ１６が形成されている。第１テーパ面１２の形状（外径、テーパ角度など）及び雌ネジ１６の形状（径、ピッチなど）は、制限はないが、ＩＳＯ８０３６９－３のオスコネクタ（図１１Ａ、図１１Ｂ参照）に準拠していることが好ましい。

　第２オスルアー２０の外周面も、その先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面（第２テーパ面）２２である。第２テーパ面２２の形状（外径、テーパ角度など）は、制限はないが、例えば後述するメスルアー（図３Ａ、図３Ｂ参照）に適合する従来のオスルアー（例えば特許文献１の図４参照）と互換性を有することが好ましい。

　流路９が、中心軸１ａに沿ってダブルオスコネクタ１を貫通している。この結果、第１オスルアー１０と第２オスルアー２０とは、流路９を介して互いに連通している。

　ダブルオスコネクタ１の材料は、制限はないが、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなることが好ましい。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ＡＢＳ（アクリル－ブタジエン－スチレン共重合体）等の樹脂材料を用いることができる。ダブルオスコネクタ１は、別々に作成した部材を組み合わせて構成することもできるが、射出成形等の方法により全体が一部品として一体的に形成されていることが、ダブルオスコネクタ１の製造容易性、強度、耐久性が向上するので好ましい。なお、本発明において「一体的に形成」とは、二色成形法により作成する場合を含むが、別個に作成した複数の部品を嵌合したり融着したり接着剤等を用いたりして一体化する場合を含まない。

　＜ダブルオスコネクタに接続される第１メスコネクタ＞
　ダブルオスコネクタ１に接続される第１メスコネクタの一例を説明する。

　図２Ａは、ダブルオスコネクタ１の第１オスルアー１０に接続される第１メスコネクタ６の斜視図である。図２Ｂは第１メスコネクタ６の中心軸６ａを含む面に沿った断面図である。

　第１メスコネクタ６は、一端に、第１オスルアー１０が挿入される円筒状の挿入部６０を備える。挿入部６０の内周面は、その先端に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面６２である。挿入部６０の外周面には雄ネジ６６が形成されている。テーパ面６２の形状（内径、テーパ角度など）及び雄ネジ６６の形状（径、ピッチなど）は、ＩＳＯ８０３６９－３のメスコネクタ（図１２Ａ、図１２Ｂ参照）に準拠している。

　第１メスコネクタ６の他端は、柔軟なチューブ６９が接続される基端部６８である。基端部６８とチューブ６９との接続方法は、制限はないが、接着剤を使用する方法、熱融着による方法など、任意の方法を使用しうる。

　第１メスコネクタ６の材料は、制限はないが、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなることが好ましい。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ＡＢＳ（アクリル－ブタジエン－スチレン共重合体）等の樹脂材料を用いることができる。

　第１メスコネクタ６及びチューブ６９は、経腸栄養療法に使用される栄養セットの一部を構成する。第１メスコネクタ６は、栄養セットの下流側端に設けられたメスコネクタである。チューブ６９の第１メスコネクタ６とは反対側端（上流側端）には、例えば栄養剤等の液状物を貯留した容器又はシリンジなどが接続される。

　＜ダブルオスコネクタに接続される第２メスコネクタ＞
　ダブルオスコネクタ１に接続される第２メスコネクタの一例を説明する。

　図３Ａは、ダブルオスコネクタ１の第２オスルアー２０に接続される第２メスコネクタ７の斜視図、図３Ｂは第２メスコネクタ７の中心軸７ａを含む面に沿った断面図である。

　第２メスコネクタ７は、一端に、第２オスルアー２０が挿入される円筒状の挿入部７０を備える。挿入部７０の内周面は、その先端に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面７２である。

　テーパ面７２には、周方向に連続した複数のリブ７５が、中心軸７ａに向かって突出している。リブ７５は、第２オスルアー２０の第２テーパ面２２に対して局所的に密着することにより液密性と接続強度とを向上させる。リブ７５の数は任意である。また、リブ７５が省略されていてもよい。

　挿入部７０の開口端には、周方向に連続したフランジ７３が、半径方向に沿って外向きに突出している。フランジ７３は、挿入部７０に第２オスルアー２０を挿入する際に、作業者が挿入部７０を把持するのに役立つ。また、フランジ７３は、挿入部７０の開口端の強度を向上させて、挿入部７０の開口端が、挿入される第２オスルアー２０によって変形するのを防止する。

　第２メスコネクタ７の他端は、柔軟なチューブ７９が接続される基端部７８である。基端部７８とチューブ７９との接続方法は、制限はないが、接着剤を使用する方法、熱融着による方法など、任意の方法を使用しうる。

　第２メスコネクタ７は、第２オスルアー２０よりも柔軟な材料からなることが好ましく、制限はないが、柔軟性（可撓性）とゴム弾性を有する軟質材料（一般にエラストマーとも呼ばれる）からなることが好ましい。例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。第２メスコネクタ７とチューブ７９とが同一材料を用いて一体的に形成されていてもよい。

　第２メスコネクタ７及びチューブ７９は、経腸栄養療法に従来から使用されているＰＥＧカテーテルや経鼻カテーテルなどのカテーテルの一部を構成する。第２メスコネクタ７は、カテーテルの上流側端に設けられるメスコネクタ（特許文献１参照）である。チューブ７９の第２メスコネクタ７とは反対側端（下流側端）は、患者に挿入される。

　＜ダブルオスコネクタの使用方法＞
　図４Ａに示すように、ダブルオスコネクタ１は、栄養セットの下流側端に設けられた第１メスコネクタ６とカテーテルの上流側端に設けられた第２メスコネクタ７とをダブルオスコネクタ１を介して接続するために使用される。以下に、ダブルオスコネクタ１の使用方法を説明する。

　最初に、ダブルオスコネクタ１と第１メスコネクタ６とを接続する。即ち、ダブルオスコネクタ１の第１オスルアー１０を第１メスコネクタ６の挿入部６０に挿入する。そして、第１メスコネクタ６に対してダブルオスコネクタ１を回転させて、ダブルオスコネクタ１の雌ネジ１６と第１メスコネクタ６の雄ネジ６６とを螺合させる。第１オスルアー１０の第１テーパ面１２（図１Ｃ参照）の形状は、第１メスコネクタ６のテーパ面６２（図２Ｂ参照）の形状と一致するので、第１テーパ面１２とテーパ面６２とは密着する。従って、雄ネジ６６と雌ネジ１６とをしっかりと螺合させることにより、図４Ｂに示すように、ダブルオスコネクタ１と第１メスコネクタ６とは液密に接続される。

　次いで、ダブルオスコネクタ１の第２オスルアー２０を第２メスコネクタ７の挿入部７０に挿入する。挿入部７０はゴム弾性を有しているので、第２オスルアー２０が挿入部７０に挿入されるにしたがって、挿入部７０は第２オスルアー２０の第２テーパ面２２によって拡径され周方向に伸ばされる。図４Ｃに示すように、第２オスルアー２０を挿入部７０に十分に深く挿入すると、周方向に伸ばされた挿入部７０の弾性力により、挿入部７０は第２オスルアー２０の第２テーパ面２２に密着する。かくして、ダブルオスコネクタ１と第２メスコネクタ７とは液密に接続される。

　上記とは逆に、最初にダブルオスコネクタ１と第２メスコネクタ７とを接続し、次いで、ダブルオスコネクタ１と第１メスコネクタ６とを接続してもよい。但し、この接続方法は、雄ネジ６６と雌ネジ１６とを螺合させることにより、図４Ｃに示すようにダブルオスコネクタ１を介して第１メスコネクタ６と第２メスコネクタ７とを接続した状態においてチューブ６９，７９に捩れを生じさせる可能性がある。

　ダブルオスコネクタ１と第１メスコネクタ６及び第２メスコネクタ７との分離は、上記とは逆の操作を行うことにより可能である。

　以上のように、本実施形態１のダブルオスコネクタ１は、一端に、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠した第１メスコネクタ６に対応した第１オスルアー１０及び雌ネジ１６を備え、他端に、第２メスコネクタ７に対応した第２オスルアー２０を備えている。従って、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタ６を下流側端に備えた栄養セットと、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠していない従来のメスコネクタ７を上流側端に備えたカテーテルとを、ダブルオスコネクタ１を介して接続することができる。

　ダブルオスコネクタ１と第１メスコネクタ６とは、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠して接続されるから、ＩＳＯ８０３６９－３のオスコネクタ９０１（図１１Ａ、図１１Ｂ参照）とメスコネクタ９０２（図１２Ａ、図１２Ｂ参照）との接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。

　ダブルオスコネクタ１と第２メスコネクタ７とは、第２メスコネクタ７とそれに適合した従来のオスコネクタとの接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。

　（実施形態２）
　＜ダブルオスコネクタの構成＞
　図５Ａ及び図５Ｂは、本発明の実施形態２にかかるダブルオスコネクタ２の斜視図である。図５Ｃは、ダブルオスコネクタ２の中心軸２ａを含む面に沿った断面図である。実施形態１のダブルオスコネクタ１と同じ要素には同じ符号を付しており、それらについての説明を省略する。以下、実施形態１と相違する点を中心に、本実施形態２のダブルオスコネクタ２を説明する。

　本実施形態２のダブルオスコネクタ２は、第１オスルアー１０と第２オスルアー２０との間に、外向き（即ち、中心軸２ａから半径方向に沿って離れる向き）に突出した一対の係合爪３０を備えている。筒状部１５の第２オスルアー２０側の端から、周方向に連続したフランジ３２が、半径方向に沿って外向きに突出している。一対の係合爪３０は、フランジ３２の、円筒面である外周面上に設けられている。係合爪３０は、周方向（中心軸２ａを中心とした回転方向）に沿って延びている。図５Ｂに示されているように、係合爪３０の第２オスルアー２０側の面は、フランジ３２の第２オスルアー２０側の面及び筒状部１５の第２オスルアー２０側の面と同一平面を構成している。図５Ａに示されているように、係合爪３０の第１オスルアー１０側の面は、３つの傾斜面を組み合わせて構成されている。但し、係合爪３０の形状は、図５Ａ～図５Ｃに示したものに限定されず、適宜変更することができる。一対の係合爪３０は、中心軸２ａに対して回転対称であることが好ましい。一対の係合爪３０は、第２オスルアー２０が挿入されるメスコネクタに係合させるために設けられている。一対の係合爪３０は、公知のメスコネクタに係合する係合爪（例えば特許文献１の図２４参照）と互換性を有することが好ましい。ダブルオスコネクタ２は、実施形態１のダブルオスコネクタ１と同じ材料を用いて、射出成形等の方法により係合爪３０も含めて全体が一部品として一体的に成形されていることが好ましい。

　本実施形態２のダブルオスコネクタ２は、上記を除いて実施形態１のダブルオスコネクタ１と同じである。

　＜ダブルオスコネクタに接続されるメスコネクタ＞
　ダブルオスコネクタ２の第１オスルアー１０には、実施形態１で説明した第１メスコネクタ６（図２Ａ、図２Ｂ）が接続される。

　図６Ａは、ダブルオスコネクタ２の第２オスルアー２０に接続される第２メスコネクタ８の斜視図、図３Ｂは第２メスコネクタ８の中心軸８ａを含む面に沿った断面図である。

　第２メスコネクタ８は、実施形態１で説明した第２メスコネクタ７の挿入部７０に、ハンドル８０を外装したものである。

　図７Ａはハンドル８０の斜視図、図７Ｂはハンドル８０の上面図、図７Ｃはハンドル８０の正面図である。

　ハンドル８０は、全体として略筒形状を有する。上下方向にハンドル８０を貫通する開口８１の上側の端縁に沿って、円環状の溝８２が形成されている。溝８２よりも外側において、一対の鍔部８５が上方に向かって突出している。それぞれの鍔部８５の互いに対向する内周面には、係合壁８６が相手方に向かって突出している。係合壁８６は周方向に沿って延びている。図６Ｂに示されているように、係合壁８６の下面は、ダブルオスコネクタ２の係合爪３０の第１オスルアー１０側の面（図５Ａ参照）に適合するように、３つの傾斜面を組み合わせて構成されている。係合壁８６の長手方向の一端は停止部８７で閉じられており、他端は開放されている。鍔部８５及び係合壁８６は、ハンドル８０の中心軸に対して回転対称である。ハンドル８０の外周面には、一対の略平坦な把持部８９が設けられている。

　ハンドル８０の材料は、制限はないが、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなることが好ましい。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ＡＢＳ（アクリル－ブタジエン－スチレン共重合体）等の樹脂材料を用いることができる。ハンドル８０は、このような樹脂材料を用いて射出成形等の方法により一部品として一体的に形成することができる。

　図６Ｂに示されているように、ハンドル８０の中央の開口８１に挿入部７０が貫挿される。挿入部７０のフランジ７３が、ハンドル８０の溝８２内に嵌入される。ハンドル８０は挿入部７０に対して自由に回転することができる。

　第２メスコネクタ８及びチューブ７９は、経腸栄養療法に従来から使用されているＰＥＧカテーテルや経鼻カテーテルなどのカテーテルの一部を構成する。第２メスコネクタ８は、カテーテルの上流側端に設けられるメスコネクタ（特許文献１参照）である。チューブ７９の第２メスコネクタ８とは反対側端（下流側端）は、患者に挿入される。

　＜ダブルオスコネクタの使用方法＞
　図８Ａに示すように、ダブルオスコネクタ２は、栄養セットの下流側端に設けられた第１メスコネクタ６とカテーテルの上流側端に設けられた第２メスコネクタ８とをダブルオスコネクタ２を介して接続するために使用される。以下に、ダブルオスコネクタ２の使用方法を説明する。

　最初に、ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６とを接続する。ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６との接続方法は実施形態１と同じである。図８Ｂに示すように、ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６とは液密に接続される。

　次いで、ダブルオスコネクタ２の第２オスルアー２０を第２メスコネクタ８の挿入部７０に挿入する。挿入部７０はゴム弾性を有しているので、第２オスルアー２０が挿入部７０に挿入されるにしたがって、挿入部７０は第２オスルアー２０の第２テーパ面２２によって拡径され周方向に伸ばされる。ハンドル８０の把持部８９を把持することにより、第２メスコネクタ８を容易に保持することができる。

　図９Ａに示すように、ダブルオスコネクタ２の係合爪３０が挿入部７０のフランジ７３に接近又は接触するほどに、第２オスルアー２０を挿入部７０に深く挿入する。一対の係合爪３０が対向する方向と、一対の係合壁８６（図６Ａ、図７Ａ参照）が対向する方向とは略直交している。この状態で、ダブルオスコネクタ２とハンドル８０とを互いに逆方向（矢印Ｒ２，Ｒ８０）に回転させる。ダブルオスコネクタ２の係合爪３０が、ハンドル８０の鍔部８５に形成された係合壁８６と係合する。係合爪３０の一端が停止部８７（図７Ａ参照）に衝突するまで、ダブルオスコネクタ２とハンドル８０とを回転させる。かくして、図９Ｂに示すように、ダブルオスコネクタ２と第２メスコネクタ８とは液密に接続される。

　第１オスルアー１０を取り囲む雌ネジ１６及び第１メスコネクタ６の雄ネジ６６は、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠した右ネジである。ハンドル８０の停止部８７は、図７Ａに示されているように、ダブルオスコネクタ２側から見て、ダブルオスコネクタ２を時計回り方向に回転（即ち、右回転）させた時に、係合爪３０が衝突するように設けられている。従って、図９Ａの状態において、作業者が、ダブルオスコネクタ２ではなく、第１メスコネクタ６と、ハンドル８０とを掴んで互いに逆方向に回転させたとしても、ダブルオスコネクタ２の雌ネジ１６と第１メスコネクタ６の雄ネジ６６との螺合が緩むことはない。

　上記とは逆に、最初にダブルオスコネクタ２と第２メスコネクタ８とを接続し、次いで、ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６とを接続してもよい。但し、この接続方法は、雄ネジ６６と雌ネジ１６とを螺合させることにより、図９Ｂに示すようにダブルオスコネクタ２を介して第１メスコネクタ６と第２メスコネクタ８とを接続した状態においてチューブ６９，７９に捩れを生じさせる可能性がある。

　あるいは、第１オスルアー１０を第１メスコネクタ６の挿入部６０に挿入し、且つ、第２オスルアー２０を第２メスコネクタ８の挿入部７０に挿入した状態で、第１メスコネクタ６とハンドル８０とを摘まんで互いに逆方向に回転させることにより、雌ネジ１６と雄ネジ６６との螺合、及び、係合爪３０と係合壁８６との係合を同時に行ってもよい。

　ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６及び第２メスコネクタ８との分離は、上記とは逆の操作を行うことにより可能である。

　以上のように、本実施形態２のダブルオスコネクタ２は、一端に、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠した第１メスコネクタ６に対応した第１オスルアー１０及び雌ネジ１６を備え、他端に、第２メスコネクタ８に対応した第２オスルアー２０及び一対の係合爪３０を備えている。従って、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタ６を下流側端に備えた栄養セットと、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠していない従来のメスコネクタ８を上流側端に備えたカテーテルとを、ダブルオスコネクタ２を介して接続することができる。

　ダブルオスコネクタ２と第１メスコネクタ６とは、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠して接続されるから、ＩＳＯ８０３６９－３のオスコネクタ９０１（図１１Ａ、図１１Ｂ参照）とメスコネクタ９０２（図１２Ａ、図１２Ｂ参照）との接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。

　ダブルオスコネクタ２と第２メスコネクタ８とは、第２メスコネクタ８とそれに適合した従来のオスコネクタとの接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。本実施形態２のダブルオスコネクタ２は、係合爪３０が第２メスコネクタ８と係合するので、実施形態１に比べてより高い接続強度が得られる。

　上記の実施形態２では、係合爪３０は、筒状部１５から突出したフランジ３２に設けられていたが、筒状部１５の外径によっては、フランジ３２を形成せずに、筒状部１５の外周面に係合爪３０を直接形成してもよい。あるいは、図１０Ａ及び図１０Ｂに示すように、筒状部１５と第２オスルアー２０との間に、筒状部１５から分離しした円板状のフランジ３３を形成し、フランジ３３の外周面上に一対の係合爪３０を形成してもよい。

　ダブルオスコネクタ２の第２オスルアー２０を、実施形態１で説明した第２メスコネクタ７と接続することができる。この場合、係合爪３０は使用されないが、実施形態１で説明したのと同等の液密性及び接続強度で第２メスコネクタ７と接続することができる。

　上記の実施形態１，２は例示にすぎない。本発明は、上記の実施形態１，２に限定されず適宜変更することができる。

　上記の実施形態１，２では、第２オスルアー２０が挿入される第２メスコネクタの挿入部７０はゴム弾性を有し、第２オスルアー２０が挿入されることによって周方向に伸ばされた。しかしながら、本発明の第２オスルアー２０は、実質的に変形しない硬質材料からなる挿入部７０を備えた第２メスコネクタにも接続することができる。例えば、第２オスルアー２０の第２テーパ面２２を第２メスコネクタの挿入部７０の内周面のテーパ面７２（リブ７５は存在しない）と一致するように形成すれば、第２オスルアー２０と第２メスコネクタの挿入部７０とを液密に接続することができる。あるいは、第２オスルアー２０をゴム弾性を有する軟質材料で形成することにより、第２オスルアー２０が第２メスコネクタの挿入部７０の内周面のテーパ面７２やリブ７５に応じて適宜変形するので、第２オスルアー２０と第２メスコネクタの挿入部７０とを液密に接続することができる。第２オスルアー２０が軟質材料で構成され、これ以外の部分が硬質材料で構成されたダブルオスコネクタ２は、制限はされないが、二色成形法によりダブルオスコネクタ２全体を一部品として一体的に形成することができる。

　上記の実施形態１，２では、第１オスルアー１０と第２オスルアー２０とが一体的に形成されていたが、例えば、第１オスルアー１０と第２オスルアー２０とが別部品として形成され、これらが柔軟なチューブを介して接続されていてもよい。

　本発明の利用分野は、制限はないが、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠したメスコネクタと、従来から使用されているメスコネクタとを接続するためのコネクタとして利用することができる。上記の実施形態では、本発明を経腸栄養療法の分野で利用する場合を説明したが、経腸栄養療法以外の医療分野はもちろん、医療以外の分野（例えば食品、化学等の分野）においても利用することができる。

１，２　ダブルオスコネクタ
９　流路
１０　第１オスルアー
１２　第１テーパ面
１５　筒状部
１６　雌ネジ
２０　第２オスルアー
２２　第２テーパ面
３０　係合爪

Claims (5)

1. 　一端に第１オスルアーを備え、他端に第２オスルアーを備え、前記第１オスルアーと前記第２オスルアーとが連通したダブルオスコネクタであって、
   　前記第１オスルアーの外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第１テーパ面であり、
   　前記第２オスルアーの外周面は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなる第２テーパ面であり、
   　前記第１オスルアーを取り囲む筒状部を更に備え、
   　前記筒状部の内周面に雌ネジが形成されていることを特徴とするダブルオスコネクタ。
2. 　前記第１テーパ面と前記雌ネジとは、ＩＳＯ８０３６９－３に準拠している請求項１に記載のダブルオスコネクタ。
3. 　全体が一部品として一体的に形成されている請求項１又は２に記載のダブルオスコネクタ。
4. 　前記第１オスルアーと前記第２オスルアーとの間に、外向きに突出した一対の係合爪を更に備える請求項１～３のいずれかに記載のダブルオスコネクタ。
5. 　前記一対の係合爪は、前記第２オスルアーをメスコネクタに挿入したとき、前記メスコネクタに係合する請求項４に記載のダブルオスコネクタ。

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