慢性閉塞性肺疾患の検出方法 技術分野
本発明は、 慢性閉塞性肺疾患の治療、 予防等のための手段に関する。 より詳し くは、 本発明は、 慢性閉塞性肺疾患の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、 該スクリーニング方法に用いるキット、 医薬組成物、 慢性閉塞性肺疾患の診断方 法、 該診断方法に用いるキット、 慢性閉塞性肺疾患に罹患している疑いがある個 体由来の試料の検出又は選別方法、 並びに該検出又は選別方法に用いるキットに 関する。 背景技術
慢性閉塞性肺疾患(C0PD: chroni c obs t ruc t ive pulmonary d i seases)とは、 一 般に小気管支の永続的あるいは一時的狭窄を示す病気の総称で、 努力呼気流が低 下し、 特に病因や他のより特異的病名が付けられないものをいうと定義される疾 患である (ステッドマン医学大辞典第 5版、 (株) メジカルビユー社、 2002年 2 月 20 日第 1刷発行参照) 。 当該疾患には、 例えば、 肺気腫や慢性気管支炎が含 まれる。 喫煙が C0PD の原因となることはすでに多くの調査研究で明らかにされ ている。
肺気腫は本来病理学的に定義された疾患であり、 終末細気管支より末梢の気道 の破壊性変化と気腔の拡張を特徴とする。 臨床的には 50〜60 歳台以後の喫煙男 性に多く、 労作時呼吸困難、 咳、 場合によっては喀痰を伴うこともあり、 最終的 には呼吸不全、 右心不全を合併してくる。 喫煙が本疾患の原因であることに異論 はないが、 逆に長期喫煙者がすべて肺気腫になるわけではない。 喫煙量よりも喫 煙に対する個体の感受性の差が発症の要因として重要であることが示唆されてい
る (泉 孝英ら、 「喫煙の肺気腫の発症 ·進展に及ぼす影響に関する臨床的 ·基 礎的研究- C0PD登録症例 m例における喫煙と C0PD発症の関連性に関する検討 」 平成 5年度喫煙科学研究財団研究年報: 288-293参照) 。
慢性気管支炎は喀痰を伴った咳が 3か月以上、 しかも 2年以上の期間にわたつ て反復するという臨床所見に基づいて定義される。 病理学的には気管支粘液腺の 腫大、 平滑筋肥大と気管支壁の肥厚 ·炎症細胞の浸潤 ·浮腫などの炎症所見がみ られる。 本症の特徴である喀痰量増加は病理学的に気管支粘液腺の腫大と対応す ると考えられる。 喫煙刺激が気管支腺組織の肥大をもたらし、 気道分泌亢進の一 因となることが指摘されている (吉良枝郎ら、 「呼吸器病学的、 気道構成上及び 呼吸器防御系からみた長期喫煙の指標」 昭和 63年度喫煙科学研究財団研究年報: 354- 359参照) 。
しかしながら、 喫煙による C0PD の発症にどのような因子が関係しているかに ついては未だ不明である。
一方、 Secretoglob in (SCGB) ファミリーとはクララ細胞分泌タンパク質 (CCS P ; Cl ara ce l l secretory pro te in) を主要なメンバーとする一群のタンパク質 である (Susan D. e t al . , Am. J. of Respi ratory and Cr i t i cal Care Med. , 2 002, Vo l . 166, 1498-1509 参照) 。 該 CCSP は誘導気道上皮内で多く発現されて おり、 気道の炎症に関与しているものと考えられている。
SCGB ファミリーには 7つのサブファミリー (1A、 1B、 1 1D、 2A、 2B、 3A) があり、 SCGBファミリー 3Aに含まれるタンパク質としては、 例えば、 ヒト Uter oglobin-rel ated protein (UGRP) 2が知られている。 ヒト UGRP2は前駆体が 104 個のアミノ酸からなる分泌型タンパク質である。 該前駆体としては、 アミノ酸配 列の 19位が Alaであるものと、 Argであるものの 2種類が報告されており、 い ずれも 20アミノ酸残基からなるシグナルペプチド (1位の Me tから 20位の Al a まで) が切断され、 成熟型として分泌される。
例えば、 ヒト UGRP2の核酸配列の検出方法及びそのキット、 核酸配列、 組換え
体発現システム及び形質転換細胞、 ポリペプチド、 抗体及びそれを用いた検出キ ット、 抗体作出方法、 遺伝子及びその断片などが報告されており、 肺癌等の一般 的な肺疾患の予防 '治療等への適用が報告されている (国際公開第 98/33926 号 パンフレツト参照) 。
しかしながら、 ヒト UGRP2と COPDとの関係については具体的な開示はない。 , また、' 喫煙による COPD の発症モデルとしては、 マウスにおいて長期間の煙草 煙暴露で COPD病態 (特に肺気腫、 肺組織 (肺胞) の破壊) が惹起されることが 報告されている (Haut amaki R. D. et al ., Sc ience, 1997, Vol . 277, 2002-200 4参照) 。 発明の開示
本発明は、 SCGBファミリーに属するタンパク質、 例えば、 UGRP2の遺伝子の発 現レベルを測定することによる、 C0PD に罹患している疑いがある個体由来の試 料の簡便かつ迅速な検出又は選別方法、 該方法を効率的に行いうるキットを提供 することを目的とする。
また、 本発明は、 SCGBファミリーに属するタンパク質、 例えば、 UGRP2の遺伝 子の発現レベルを測定することによる、 C0PD の簡便かつ迅速な診断方法、 該診 断方法を効率的に行いうる診断用キットを提供することを目的とする。
また、 本発明は、 SCGBファミリーに属するタンパク質、 例えば、 UGRP2又はそ れをコードする遺伝子の動態を検出又は測定することによる、 C0PD の治療剤又 は予防剤の効率的なスクリーニング方法、 前記スクリ.一二ング方法を簡便かつ迅 速に行いうるスクリーニング用キットを提供することを目的とする。
また、 本発明は、 前記スクリーニング方法により得られる、 C0PD の治療剤又 は予防剤として好適に使用される化合物又はその塩、 C0PD の治療又は予防に好 適な前記化合物又はその塩を有効成分とする医薬組成物を提供することを目的と する。
即ち、 本発明の一つの局面は、
( 1 ) 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由来の対照試料それぞれにお ける Secretoglobinファミリーに属するタンパク質の遺伝子の発現レベルを測定 するステップを含み、 ここで、 被検試料における発現レベルが、 対照試料におけ る発現'レベルよりも高くなる場合、 該被検試料が、 慢性閉塞性肺疾患に罹患して いる疑いがある個体由来の試料であることの指標となる、 慢性閉塞性肺疾患に罹 患している疑いがある個体由来の試料の検出又は選別方法、
(2) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質の遺伝子の mRNA転写物の量を指標として測定される、 前記 (1) 記載の方法、
(3) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリ一に属するタンパク質の遺伝子の 遺伝子産物の量を指標として測定される、 前記 (1) 記載の方法、
(4) 慢性閉塞性肺疾患が肺気腫である、 前記 (1) 〜 (3) いずれか記載の方 法、
(5) Secretoglobin ファミリ一に属するタンパク質をコードする核酸を検出し うる核酸を用いて測定される、 前記 (2) 記載の方法、
(6) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする核酸が、 配列 番号: 1、 3、 5、 7、 9、 1 1、 13及び 15からなる群より選ばれる塩基配 列からなる核酸である、 前記 (5) 記載の方法、
(7) 配列番号: 19、 20、 21、 22及び 23からなる群より選ばれる少な くとも 1つの核酸を用いて測定される、.前記 (6) 記載の方法、
(8) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその断片 を用いて測定される、 前記 (3) 記載の方法、
(9) 前記抗体又はその断片が、 配列番号 26又は 27のアミノ酸配列を有する ぺプチド又は該ぺプチドを含むポリぺプチドに対するモノクローナル抗体又はそ の断片である、 前記 (8) 記載の方法、
(1 0) 前記抗体が受領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイブ リドーマにより産生されるものである、 前記 (9) 記載の方法、
(1 1) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする核酸を検出 しうる核酸を含有してなる、 前記 (5) 記載の方法に使用するための検出又は選 別用キッ卜、
(1 2う Secretoglobin ファミリ一に属するタンパク質をコードする核酸が、 配 列番号: 1、 3、 5、 6、 9、 1 1、 1 3及び 1 5からなる群より選ばれる配列 からなる核酸である、 前記 (1 1) 記載の検出又は選別用キット、
(1 3) 配列番号: 1 9、 20、 2 1、 22及び 23からなる群より選ばれる少 なくとも 1つの核酸を含有してなる、 前記 (1 2) 記載の検出又は選別用キット
(14) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその断 片を含有してなる、 前記 (8) 記載の方法に使用するための検出又は選別用キッ 卜、
(1 5) 前記抗体又はその断片が、 配列番号 26又は 27のアミノ酸配列を有す るべプチド又は該ぺプチドを含むポリべプチドに対するモノクローナル抗体又は その断片である、 前記 (14) 記載の検出又は選別用キット、
(1 6) 前記抗体が受領番号 FERM ABP-10012又は FERM ABP-10013であるハイブ リドーマにより産生されるものである、 前記 (1 5) 記載の検出又は選別用キッ 卜、
(1 7) 配列番号 26又は 27のアミノ酸配列を有するペプチド又は該ペプチド を含むポリぺプチドに対するモノクローナル抗体、
(1 8) 受領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイプリドーマに より産生される抗体、
(1 9) 受領番号 FERM ABP-10012又は FERM ABP- 10013であるハイプリドーマ、
(20) 被検物質の存在下、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質若し
くは該タンパク質をコードする遺伝子の動態を検出又は測定することを特徴とす る、 慢性閉塞性肺疾患治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、
(21) 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由来の対照試料それぞれに おける SecretogloMnファミリーに属するタンパク質の遺伝子の発現レベルを測 定するステップを含み、 ここで、 被検試料における発現レベルが、 対照試料にお ける発現レベルよりも高くなる場合、 該被検対象の個体が、 慢性閉塞性肺疾患に 罹患している疑いがあることの指標となる、 慢性閉塞性肺疾患の診断方法、
(22) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする核酸を検出 しうる核酸を含有してなる、 前記 (21) 記載の方法に使用するための診断用キ ッ卜、
(23) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする核酸が、 配 列番号: 1、 3、 5、 6、 9、 1 1、 13及び 1 5からなる群より選ばれる配列 からなる核酸である、 前記 (22) 記載の診断用キット、
(24) 配列番号: 19、 20、 21、 22及び 23からなる群より選ばれる少 なくとも 1つの核酸を含有してなる、 前記 (23) 記載の診断用キット、
(25) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその断 片を含有してなる、 前記 (21) 記載の方法に使用するための診断用キット、
(26) 前記抗体又はその断片が、 配列番号 26又は 27のアミノ酸配列を有す るぺプチド又は該ぺプチドを含むポリべプチドに対するモノクロ一ナル坊体又は その断片である、 前記 (25) 記載の診断用キット、 ならびに
(27) 該抗体が受領番号 FERM ABP- 10012又は?6 ¾1 ABP-10013であるハイプリ ドーマにより産生されるものである、 前記 (26) 記載の診断用キット に関する。
さらに、 本発明の第二の局面は、
(1) 被検物質の存在下、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質若し くは該タンパク質をコードする遺伝子の動態を検出又は測定することを特徴とす
る、 慢性閉塞性肺疾患治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、
(2) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質が、 SecretogloMn ファ ミリ一 3Aに属するタンパク質である、 前記 (1) 記載の方法、
(3) Secretoglobinファミリー 3Aに属するタンパク質が、 Uteroglobin-rela ted proteinである、 前記 (2) 記載の方法、
(4) Uteroglobin - related proteinが、 Uteroglobin-related protein2 ¾ る、 前記 (3) 記載の方法、 ·
(5) Uteroglobin-related protein2が、 ヒ卜 Uteroglobin - related protein 2である、 前記 (4) 記載の方法、
(6) (I) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質と、 被検物質とを 接触させるステップ、 並びに
(I I) 前記ステップ (I) の後、 該タンパク質と被検物質との結合を検出し、 それにより、 該タンパク質と結合する被検物質を、 慢性閉塞性肺疾患治療剤又は 予防剤の候補化合物として選択するステップ
を含む、 前記 (1) 〜 (5) いずれか記載の方法、
(7) (A) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝 子を細胞に導入するステップ、
(B) 被検物質の存在下、 前記ステップ (A) で得られた細胞において前記遺伝 子を発現させるステップ、 並びに
(C) 被検物質の非存在下の場合と比較して、 前記遺伝子の発現の有無を検出し 、 又は前記遺伝子の発現の変動を測定し、 それにより、 該遺伝子の発現の変化を もたらす被検物質を慢性閉塞性肺疾患治療剤又は予防剤の候補化合物として選択 するステップ
を含む、 前記 (1) 〜 (5) いずれか記載の方法、
(8) 該遺伝子の発現の変化が該遺伝子の発現の減少である前記 (7) 記載の 方法、
(9) 慢性閉塞性肺疾患が肺気腫である前記 (1) 〜 (8) いずれか記載の方 法、
(10) Secretoglobin ファミリ一に属するタンパク質を含有してなる前記 ( 1) 〜 (6) 及び (9) いずれかに記載の方法に使用するためのキット、
(1 1) , Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝^"を 含む核酸構築物を含有してなる前記 (1) 〜 (5) 及び (7) 〜 (9) いずれか に記載の方法に使用するためのキット、
(12) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子が 導入された細胞を含有してなる前記 (1) 〜 (5) 及び (7) 〜 (9) いずれか に記載の方法に使用するためのキット、
(13) Secretoglobin ファミリ一に属するタンパク質に対する抗体又はその 断片を含有してなる前記 (1) 〜 (9) いずれかに記載の方法に使用するための キッ卜、
(14) 前記 (1) 〜 (9) いずれかに記載の方法により得られる化合物又は その塩、
(15) 前記 (14) に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有してな る医薬組成物、 '
(16) 慢性閉塞性肺疾患の治療又は予防に用いる、 前記 (15) 記載の医薬 組成物、
(17) 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由来の対照試料それぞれ における Secretoglobinファミリ一に属するタンパク質の遺伝子の発現レベルを 測定するステップを含み、 ここで、 被検試料における発現レベルが、 対照試料に おける発現レベルよりも高くなる場合、 該被検対象の個体が、 慢性閉塞性肺疾患 に罹患している疑いがあることの指標となる、 慢性閉塞性肺疾患の診断方法、
(18) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質の遺伝 子の mRNA転写物の量を指標として測定される、 前記 (17) 記載の方法、
(19) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質の遺伝 子の遺伝子産物の量を指標として測定される、 前記 (17) 記載の方法、
(20) 慢性閉塞性肺疾患が肺気腫である前記 (17) 〜 (19) いずれか記 載の方法、
(21) 配列番号: 1、 3、 5、 7、 9、 1 1、 13、 1 5及び 19〜 23か らなる群より選ばれる塩基配列からなる核酸を含有してなる、 前記 (17) 〜 ( 18) 及び (20) いずれかに記載の方法に使用するための診断用キット、
(22) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその 断片を含有してなる、 前記 (17) 〜 (20) いずれかに記載の方法に使用する ための診断用キット、
(23) 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由来の対照試料それぞれ における Secretoglobinファミリーに属するタンパク質の遺伝子の発現レベルを 測定するステップを含み、 ここで、 被検試料における発現レベルが、 対照試料に おける発現レベルよりも高くなる場合、 該被検試料が、 慢性閉塞性肺疾患に罹患 している疑いがある個体由来の試料であることの指標となる、 慢性閉塞性肺疾患 に罹患している疑いがある個体由来の試料の検出又は選別方法、
(24) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質の遺伝 子の inRNA転写物の量を指標として測定される、 前記 (23) 記載の方法、
(25) 発現レベルが、 Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質の遺伝 子の遺伝子産物の量を指標として測定される、 前記 (23) 記載の方法、
(26) 慢性閉塞性肺疾患が肺気腫である前記 (23) 〜 (25) いずれか記 載の方法、
(27) 配列番号: 1、 3、 5、 7、 9、 1 1、 13、 1 5及び 19〜 23か らなる群より選ばれる塩基配列からなる核酸を含有してなる、 前記 (23) 〜 ( 24) 及び (26) いずれかに記載の方法に使用するための検出又は選別用キッ ト、 並びに
(28) Secretoglobin ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその 断片を含有してなる、 前記 (23) 〜 (26) いずれかに記載の方法に使用する ための検出又は選別用キット、
に関する。 図面の簡単な説明
図 1は、 対照群と比較した、 C0PDモデルマウス (喫煙群) の肺における UGRP2 IIIRNAの発現解析の結果を示すグラフである。
図 2は、 対照群と比較した、 喘息モデルマウス (喘息群) の肺における UGR mRNAの発現解析の結果を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 長期間の煙草煙暴露により誘発された C0PD のモデルマウスの肺組 織において UGRP2が特異的に有意に増加しているという、 本発明者らにより初め て明らかにされた驚くべき知見に基づくものである。
喫煙はマクロファージゃ好中球を活性化してタンパク質分解酵素 (肺胞を破壊 する因子) の放出を増加させ、 さらにタンパク質分解酵素阻害作用を持つ 1 ァ ンチトリプシン( α; 1AT)を不活性化することにより、 肺胞破壊性に働くと考えら れている (Crystal R. G. et al. , The alpha - 1 antitrypsin gene and its muta tions. Chest 95:196-208, 1989; Takahashi H. et al., Cathepsin L activity is increased in alveolar macrophages and bronchoalveolar lavage fluid of smokers. Am Rev Respir Dis 147:1562-1568, 1993) 。 alAT は肺における重 要なタンパク質分解酵素阻害タンパク質であり、 正常人では好中球エラスターゼ やマクロファージ由来のタンパク質分解酵素が肺胞組織夕ンパク質を分解し組織 破壊するのを防いでいる。 それゆえ、 QIIAT の欠損が喫煙による肺気腫の発生の 素因の 1つであることが指摘されているが、 両者の明らかな関連性については見
いだされていない (福地義之助ら、 「喫煙の老化に及ぼす影響に関する研究-喫 煙の肺機能に及ぼす影響と遺伝的素因に関する研究 - α ΐ-アンチトリプシンの遺 伝子表現正常亜型 ( Μ)による喫煙の影響について」 平成 5年度喫煙科学研究財 団研究年報: 357- 363) 。 また、 アレルギー素因や白血球抗原 (HLA)と喫煙による 肺気腫発生についても検討されたが、 関連性は認められなかった (泉 孝英ら、
「喫煙の肺気腫の発症 ·進展に及ぼす影響に関する臨床的 ·基礎的研究 -C0PD (慢 性気管支炎/肺気腫)の発症素因としてのアレルギー素因に関する検討」 平成 3年 度喫煙科学研究財団研究年報: 258- 261;泉 孝英ら、 「喫煙の肺気腫の発症 ·進 展に及ぼす影響に関する臨床的 ·基礎的研究- C0PD (慢性気管支炎/肺気腫)の発症 素因としての HLA抗原分布に関する検討」 平成 4年度喫煙科学研究財団研究年報
: 258-261) 。
これらは、 喫煙と肺気腫発症との関係についての報告であるが、 一般に C0PD の発症にどのような因子が関係しているかについては未だ不明である。
本発明において初めて C0PDモデルマウスの肺組織における UGRP2の特異的な 増加が見出された。 C0PD発症メカニズムと UGRP2 の特異的高発現との関係の詳 細は未だ不明であるが、 UGRP2 の特異的高発現が喫煙による C0PD の発症の素因 であるか、 若しくは C0PD の発症を促進している可能性がある。 また、 肺気腫発 症については、 喫煙量よりも喫煙に対する個体の感受性の差が発症の要因として 重要であることが示唆されているが、 UGRP2 が喫煙に対する個体の感受性の差と 何らかの関係を有する可能性がある。
なお、 後述の実施例に記載のように、 オボアルブミンで誘発された喘息のモデ ルマウスでは UGRP2の特異的な発現増加は見られず、 従って、 UGRP2の特異的な 発現増加は、 喫煙により誘発される C0PD の発症に特異的なものであると考えら れる。 以下、 本発明を詳細に説明する。 本発明は、 C0PD の治療剤又は予防剤のスク
リーニング方法、 該スクリーニング方法に用いるキット、 医薬組成物、 C0PD の 診断方法、 該診断方法に用いるキット、 C0PD に罹患している疑いがある個体由 来の試料の検出又は選別方法、 並びに該検出又は選別方法に用いるキットに関す るものであるが、 本明細書において C0PDとは、 少なくとも SCGBファミリ一に属 するタンパク質の特異的な高発現が認められる症状をいう。 具体的には、 例えば 、 肺気-腫又は慢性気管支炎が挙げられる。 本発明は、 肺気腫に対し特に好適に使 用されうる。
なお、 本明細書において、 特に指示のない限り、 遺伝子組換え技術、 細胞での 組換えタンパク質の生産技術、 発現タンパク質の分離精製法、 分析法及び免疫学 的手法等は公知の方法が採用される。 また、 本明細書において、 タンパク質との 記載は、 該タンパク質及び該タンパク質をコードする遺伝子を含む場合がある。 また、 タンパク質との記載は、 その一部の断片を含む場合がある。 さらに、 遺伝 子との記載は、 天然の遺伝子、 バリアント及び cDNAを含む場合がある。 本発明の C0PD の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法は、 被検物質の存在 下、 SCGB ファミリ一に属するタンパク質若しくは該タンパク質をコードする遺 伝子の動態を検出又は測定することを 1つの特徴とする。
すなわち、 C0PDの発症との関連が認められる SCGBファミリーに属するタンパ ク質の動態に対する被検物質による影響を調べることにより、 C0PD に対する治 療剤又は予防剤として有効な物質のスクリーニングを効率的に行うものである。 SCGB ファミリーに属するタンパク質の動態に対する被検物質による影響は、 被 検物質の非存在下における該動態を対照として調べるのが好適である。
また、 本発明のスクリーニング方法は、 C0PD に対する治療剤又は予防剤の候 補化合物の薬理評価に用いることができる。
前記被検物質としては、 化合物又はその塩が挙げられる。 なお、 本明細書にお いては、 前記化合物又はその塩は、 低分子化合物、 高分子化合物、 ポリペプチド
又はその誘導体、 核酸又はその誘導体等を含む。 かかる被検物質は、 天然物質で あってもよく、 非天然物質であってもよい。 ポリペプチドの誘導体としては、 修 飾基を付加して得られた修飾ポリぺプチド、 アミノ酸残基を改変することにより 得られたバリアントポリペプチド等が挙げられる。 また、 核酸の誘導体としては 、 修飾基を付加して得られた修飾核酸、 塩基を改変することにより得られたパリ アント核酸、 ペプチド核酸等が挙げられる。
本発明において、 その動態を検出又は測定する SCGB ファミリーに属するタン パク質としては、 特に限定されるものではないが、 例えば、 前記非特許文献 4に 記載されるタンパク質、 或いはそのアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミ ノ酸の欠失、 付加、 挿入又は置換を有し、 かつ該タンパク質と同等の性質を有す る任意のバリアン卜タンパク質が挙げられる。 本明細書において 「同等の性質」 とは、 少なくとも C0PD の発症との関連において特異的に発現されうることをい 。
スクリーニングの有効性の向上の観点から、 SCGB ファミリーに属するタンパ ク質としては、 好ましくは SCGBファミリー 3Aに属するタンパク質であり、 より 好ましくは UGRPであり、 さらに好ましくは UGRP2である。 特に、 本発明により 、 ヒトに対して有効な C0PD の治療剤又は予防剤のスクリーニングを効率的に行 う観点からは、 UGRP2としてはヒト UGRP2が特に好適である。
SCGB ファミリーに属するタンパク質としては、 例えば、 ヒト SCGB1A1 タンパ ク質にっき、 それをコードする遺伝子の塩基配列 (配列番号: 1 ) がジーンバン ク (GenBank) ァクセッション番号: X13197 の下に、 また、 そのアミノ酸配列 ( 配列番号: 2 ) がジーンバンクァクセッション番号: CAA31584 の下に開示され ている。 また、 同様に、 ヒト SCGB1C1タンパク質にっき、 塩基配列 (配列番号:
3 ) が NM— 145651の下に、 アミノ酸配列 (配列番号: 4 ) が NP一 663626の下に; ヒト SCGB1D1 タンパク質にっき、 塩基配列 (配列番号: 5 ) が AJ224171 の下に
、 アミノ酸配列 (配列番号: 6 ) が CAA11863の下に; ヒト SCGB1D2タンパク質
にっき、 塩基配列 (配列番号: 7 ) が AJ224172 の下に、 アミノ酸配列 (配列番 号: 8 ) が CAA11864の下に; ヒト SCGB2A1 タンパク質にっき、 塩基配列 (配列 番号: 9 ) が M224173の下に、 アミノ酸配列 (配列番号: 1 0 ) が CAA11865の 下に; ヒト SCGB2A2 タンパク質にっき、 塩基配列 (配列番号: 1 1 ) が U33147 の下に、 アミノ酸配列 (配列番号: 1 2 ) が AAC50375 の下に; ヒト SCGB3A2夕 ンパヶ質につき、 塩基配列 (配列番号: 1 5 ) が AF313455 の下に、 アミノ酸配 列 (配列番号: 1 6 ) が AAL26215の下に、 それぞれ開示されている。
特に、 UGRP としては、.例えば、 ヒト由来のもの (ヒト SCGB3A1 タンパク質) として、 ジーンバンクァクセッション番号: AF086152 の下に、 その塩基配列 ( 配列番号: 1 3 ) が、 AAL26217 の下に、 そのアミノ酸配列 (配列番号: 1 4 ) が開示されている。 また、 マウス由来のもの (マウス SCGB3A1タンパク質) とし て、 ジーンバンクァクセッション番号: AF313456 の下に、 その塩基配列 (配列 番号: 1 7 ) が、 AAL26216 の下に、 そのアミノ酸配列 (配列番号: 1 8 ) が開 示されている。
ヒト UGRP2は、 肺、 胸腺、 脾臓、 小腸、 リンパ節、 前立腺、 舌、 気管において 発現が見られ、 気管 >肺 >舌>前立腺 >胸腺、 脾臓、 小腸、 リンパ節の発現パ夕 ーンを示すという特徴を有する。
本発明のスクリーニング方法における測定又は検出対象の 「SCGB ファミリー に属するタンパク質の動態」 としては、 例えば、 該タンパク質とそのリガンドと の結合の有無;該タンパク質の発現、 具体的には、 該発現の有無ゃ該発現の変動 等が挙げられる。 '
本発明のスクリーニング方法としては、 測定又は検出対象の 「SCGB ファミリ 一に属するタンパク質の動態」 に応じて、 大きく 2つの実施態様がある。
本発明のスクリーニング方法の第 1の実施態様としては、 ( I ) SCGB フアミ リーに属するタンパク質と、 被検物質とを接触させるステップ、 並びに
( I I ) 前記ステップ (I ) の後、 該タンパク質と被検物質との結合を検出し、
それにより、 該タンパク質と結合する被検物質を、 C0PD 治療剤又は予防剤の候 補化合物として選択するステップ
を含む方法が挙げられる。 かかる方法によれば、 前記タンパク質への結合を介し て当該タンパク質の機能に作用する物質を選択することができるため、 選択され た候補化合物は、 直接的かつ特異的に前記タンパク質に結合してその機能を調節 するという特徴的な性質を有する。
前記ステップ (I ) において、 前記タンパク質と被検物質との接触は、 例えば 、 該タンパク質の本来の機能を妨げない溶液中において、 前記タンパク質と被検 物質とを混合し、 適切な反応条件 (例えば、 反応温度、 反応時間等) の下、 維持 する (すなわち、 両者を反応させる) ことにより行なわれうる。
前記 「タンパク質の本来の機能を妨げない溶液」 としては、 例えば、 リン酸緩 衝化生理的食塩水 (P B S ) 、 H E P E Sバッファー、 T r i sバッファ一等の 溶液が挙げられる。
ステップ (I ) における反応条件としては、 特に限定されないが、 例えば、 前 記溶液中、 通常、 pH6. 0〜10. 0、 好ましくは ρΗ7. 0〜9· 0、 より好ましくは. ρΗ7. 5 〜8· 5、 さらに好ましくは ρΗ8· 0で、 通常、 10〜50t、 好ましくは 20〜40°C、 よ り好ましくは 25〜37°C、 さらに好ましくは 25°C、 通常、 1分間〜 1時間、 好まし くは 3〜30分間、 より好ましくは 5〜20分間、 さらに好ましくは 10分間維持す ること等が挙げられる。 より具体的には、 10mM Hepes、 80mM KCK 5 %グリセ口 ール、 lOmM DTT、 0. lmg/ml polydldC, 50ng/ml herr ing sperm DNA、 lmg/ml BSA 、 10% ret iculocyte lysate中、 前記条件下に維持することが挙げられる。
ついで、 ステップ (I I ) において、 前記タンパク質と被検物質との結合を検 出し、 該結合の有無を調べる。
結合は、 例えば、 前記のようにしてステップ (I ) で前記タンパク質と、 例え ば、 放射性物質により標識した被検物質とを反応させた後の溶液に含まれる該夕 ンパク質の放射活性を、 大過剰の非放射性被検物質との競合下において解析する
ことにより検出することができる。 結合が検出された場合、 使用された被検物質 を C0PD治療剤又は予防剤の候補化合物として選択する。
また、 ステップ (I ) とステップ (I I ) を連続した工程により実施してもよ い。 かかる態様は、 例えば、 表面プラズモン解析、 被検物質を保持した担体への バインディングアツセィ等を利用することにより実施することができる。
例え-ば、 表面プラズモン解析を利用する場合、 例えば、 下記ステップ: 一 前記タンパク質を固定化したセンサーチップに対し、 被検物質を含有した溶 液を一定の流速で送液するステップ 〔ステップ (I ) 〕 、 並びに
一 適切な検出手段 〔例えば、 光学的検出 (蛍光度、 蛍光偏向度等) 、 質量分析 計との組み合わせ (マトリックス支援レーザー脱離イオン化—飛行時間型質量分 析計: MALDI- TOF MS、 エレクトロスプレー ·イオン化質量分析計: ES I- MS 等) 〕 により、 光学的変動又は質量の変動として、 前記タンパク質と、 被検物質との 結合を検出するステップ 〔ステップ (1 1 ) 〕 ;
を含む方法により実施することができる。 表面プラズモン解析を利用する一般的 方法の詳細については、 例えば、 「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法 Biacore を中心に」 永田和宏 半田 宏共編: シュプリンガー ·フエアラーク東 京,全頁(1998)を参照すればよい。
なお、 表面プラズモン解析を利用する場合、 前記タンパク質と被検物質との間 の結合は、 送液による被検物質の導入を行った際の、 例えば、 光学的センサーグ ラム又は質量センサーグラムの変動を検出することにより検出されることになる 本発明のスクリーニング方法の第 2の実施態様としては、
(A) SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入す るステップ、
( B ) 被検物質の存在下、 前記ステップ (A) で得られた細胞において前記遺伝 子を発現させるステップ、 並びに
( C ) 被検物質の非存在下の場合と比較して、 前記遺伝子の発現の有無を検出し 、 又は前記遺伝子の発現の変動を測定し、 それにより、 該遺伝子の発現の変化を もたらす被検物質を C0PD治療剤又は予防剤の候補化合物として選択するステツ プ
を含む方法が挙げられる。
前記ステップ (A) において、 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコード する遺伝子を細胞に導入するには、 例えば、 該タンパク質の発現調節領域として 知られる発現調節性エレメントの下流かつその支配下に、 前記タンパク質をコー ドする遺伝子が動作可能に連結されてなる核酸構築物を用いて行うのが好適であ る。 前記発現調節性エレメントとしては、 例えば、 Ni imi T e t al ., Mo l ecu l ar Endocr ino logy, 2001 , Vo l. 15, 202卜 2136に記載されている。
なお、 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子には、 当該遺 伝子そのもの;前記遺伝子のアンチセンス鎖にストリンジェントな条件下にハイ ブリダィズし、 かつ前記タンパク質と同等の作用を有するタンパク質をコードす る遺伝子;前記遺伝子の塩基配列において、 少なくとも 1塩基の変異を有し、 か つ前記タンパク質と同等の作用を有するタンパク質をコードする遺伝子;前記遺 伝子の塩基配'列と少なくとも 60 %、 好ましくは 80 %以上、 より好ましくは 90 % 以上の配列同一性を有し、 かつ前記タンパク質と同等の作用を有するタンパク質 をコードする遺伝子等も含まれる。
前記核酸構築物は、 前記発現調節性エレメント及び SCGB ファミリーに属する タンパク質をコードする遺伝子を慣用の発現ベクターのクローニング部位に挿入 することにより簡便に構築されうる。 当該ベクターとしては、 例えば、 ウィルス ベクター、 プラスミドベクター等が挙げられる。
なお、 本発明の種々の態様において、 その構成上、 SCGB ファミリーに属する タンパク質をコードする遺伝子の発現を必須とする場合、 当該遺伝子の発現にお いて用いられるベクター、 核酸構築物を導入する宿主細胞等は、 それらの任意の
組み合わせにより、 前記遺伝子の発現が達成されうるのであれば、 それらはどの ような生物種由来のものであってもよい。 当業者であれば、 任意の構成材料を用 いて前記遺伝子の発現系を構築することができる。 SCGB ファミリーに属する夕 ンパク質をコードする遺伝子が真核生物に由来するものである点、 及び本発明に おいて提供される治療剤又は予防剤等が真核生物、 中でも哺乳動物、 特にヒ卜に おいて好適に使用されうる点を考慮すれば、 前記遺伝子の発現に使用される宿主 細胞としては動物細胞であるのが好適である。 よって、 本明細書においては、 特 に前記遺伝子の発現に動物細胞を使用する場合について説明する。
使用されるベクターとしては、 前記遺伝子を組み込んで動物細胞で発現できる ベクターであればいずれでもよい。 そのようなベクターとしては、 PCR- Bluntll- T0P0、 pcDNAl. K pcDNAl.l/A即、 pCDM8、 pREP (インビトロジェン社製) 、 HM6 、 HB6 (ロシュダイァグノスティックス社製) 、_ PKK223-3, pGEX (アマシャムバ ィォテク社製) 、 pET- 3、 ρΕΤ-ΙΚ pBluescriptll (登録商標) SK (十)、 Bluescri ptll (登録商標) SK (-) (ストラタジーン社製) 、 pUC19、 pTrxFus (インビトロ ジェン社製) 、 pUC118、 PSTV28 (夕カラバイオ社製) 、 pMAL- c2X (ニューイング ランドパイオラポ社製) 、 PAGE 107 [Cytotechnology, 3 (2), 133-140 (1990) ;特開 平 3— 2297 9号公報〕 、 pAGE 103 [The Journal of Biochemistry, 101 (5) , 13 07-1310 (1987)] 、 pAMo、 pAMoA [The Journal of Biologycal Chemistry, 268(30 ),22782-22787 (1993)] 、 pAMoPRSA (特開平 5— 336 963号公報) 、 AS3-3 (特開平 2— 22707 5号公報) 等が挙げられる。 かかるベクターには、 任意 にポリ A付加シグナル、 複製開始起点、 抗生物質耐性遺伝子等が含まれていても よい。
宿主に用いる動物細胞としては、 使用するベクターに対応する適当な細胞又は 組織であればよく、 以下のような動物細胞等が挙げられる。 当該動物細胞として は、 例えば、 マウス由来株細胞の L6 〔骨格筋由来筋芽細胞〕 、 ヒト由来株細胞の 腿 293 (ヒト胎児腎細胞、 ATCC: CRL-1573) 、 HeLa (子宮穎部癌細胞、 ATCC: CCL-
2) HBT5637 (白血病細胞、 特開昭 6 3— 2 9 9 ) 、 BALL- 1 (白血病細胞) 及び HCT - 15 (大腸癌細胞) 、 マウス由来株細胞の Sp2/0- Ag (マウス骨髄種細胞、 ATCC : CR L - 1581) 及び NS0 (マウス骨髄種細胞) 、 サル由来株細胞の C0S-1 〔アフリカミド リザル腎細胞 (SV40形質転換細胞) 、 ATCC: CRL-1650] 及び COS - 7 〔アフリカミド リザル腎細胞 (SV40形質転換細胞) 、 ATCC: CRL- 1651〕 、 ハムスター由来株細胞の CHO-ΚΓ (チャイニーズハムスター卵巣細胞、 ATCC: CCL-61) 及び BHK- 21 (C - 13) ( シシリアンハムスター仔腎細胞、 ATCC : CCL- 10) 、 マウス由来株細胞の PC12 (副腎 褐色細胞腫、 ATCC: CRL-1721) 及び YB2/0 (マウス骨髄種細胞、 ATCC: CRL-1662) 等が挙げられる。
なお、 本明細書に用いられる 「ストリンジエンドな条件」 とは、 高ストリンジ エンシーな条件、 例えば、 1 X SSC/0. 2 % SDS の条件等をいう。 ここで、 ストリン ジエンシーを向上させるため、 より低イオン強度、 例えば、 0. 5 X SSC、 好ましく は 0. 2 X SSC、 より好ましくは 0. 1 X SSC等の条件及び/又はより高温、 例えば、 用いられる核酸の Tm値により異なるが、 50°C以上、 好ましくは 60°C以上、 より 好ましくは 65°C以上等の条件下で洗浄等を行ってもよい。
本明細書に用いられる 「変異」 とは、 塩基の置換、 失、 付加及び挿入をいう 。 かかる変異は、 天然に存在するバリエーションであってもよく、 慣用の部位特 異的変異方法等により人為的に導入された変異であってもよい。
本明細書に用いられる 「配列同一性」 とは、 比較対象の少なくとも 2つの配列 について、 適切に整列化させ、 それぞれの配列に存在する同一の残基を決定して
、 適合部位の数を決定し、 ついで、 比較対象の配列領域内の残基の総数で、 前記 適合部位の数を割、 得られた数値に 1 0 0をかけることにより算出されうる値を いう。 かかる配列同一性は、 具体的には、 例えば、 ホームページアドレス ht tp :
〃www. ncbi . nlm. nih. gov/BLAST/において、 一般に利用可能である B L A S Tァ ルゴリズム等により算出されうる。
ステップ (A) における、 前記核酸構築物の動物細胞への導入は、 慣用の遺伝
子導入法により行なわれうる。 例えば、 エレクト口ポレーシヨン法 〔Cytotechno logy,3 (2), 133-140 (1990)) 、 リン酸カルシウム法 (特開平 2— 2270 7 5号 公報) 、 リポフエクシヨン法 [Proceedings of the National Academy of Scien ces USA, 84,7413(1987); Vi lology, 52, 456 (1973)] 、 DEAE デキストラン法、 パー ティクルガン法、 ウィルスを利用した方法等により行なわれうる。
前記核酸構築物が導入された形質転換体は、 当該分野において周知慣用の常法 により培養することができる。 形質転換した宿主に適した培地を用いて行うこと ができ、 培養に使用される培地としては液体培地が適当である。 例えば、 MEM培 地 [Science, 130,432 (1959)] 、 DMEM培地 [Virology, 8, 396(1959)) 、 RPMI1640 培地 [The Journal of the American Medical Association, 199, 519 (1967)〕 等 にゥシ胎仔血清 (FCS) を適量添加したもの等が用いられる。 なお、 それらの培 地は市販されているので、 そのような市販培地を用いることができる。
培養は、 例えば、 振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件で行うことが できる。 培養温度、 培養時間及び培養液の pH は、 各種宿主に適した範囲に設定 される。 例えば、 培養は、 通常、 15〜40で、 5時間〜 7日間、 pH3.0〜9.0、 5%C0 2存在下等の条件で行なわれうる。 pHの調整は、 無機酸又は有機酸、 アルカリ溶 液、 尿素、 炭酸カルシウム、 アンモニア等を用いて行いうる。 また、 所望により 抗生物質を培地に添加してもよい。
なお、 本実施態様においては、 前記核酸構築物が導入された安定な細胞系を用 いる場合、 ステップ (A) は、 省略してもよい。
ついで、 ステップ (B) において、 被検物質の存在下、 前記ステップ (A) で 得られた細胞において SCGB ファミリ一に属するタンパク質をコードする遺伝子 を発現させる。
当該工程は、 例えば、 被検物質を含有した培地を用いて、 前記ステップ (A) で得られた細胞を培養することにより行なわれうる。 培養条件は前記の通りであ る。 -
続いて、 ステップ (C ) において、 被検物質の非存在下の場合と比較して、 前 記遺伝子の発現の有無を検出し、 又は前記遺伝子の発現の変動を測定し、 それに より、 該遺伝子の発現の変化をもたらす被検物質を C0PD 治療剤又は予防剤の候 補化合物として選択する。
なお、 「被検物質の非存在下の場合」 とは、 ステップ (B ) において、 被検物 質の非存在下にステップ (A) で得られた細胞において前記遺伝子を発現させた 場合をいい、 被検物質の存在下における前記遺伝子の発現の変化を把握するため の基準となる。 具体的には、 かかる場合の細胞、 又は該細胞の抽出液等を対照と して用いる。
前記遺伝子の発現の有無を検出し、 又はその発現の変動を測定した結果、 対照 と比較して該遺伝子の発現の変化が認められた時、 例えば、 対照において前記遺 伝子の発現が見られた場合に、 被検物質と接触させた細胞において前記遺伝子の 発現が検出されないか、 又は対照に比べて発現レベルが低下した時、 すなわち、 対照と比較して前記遺伝子の発現が減少した時、 該被検物質が C0PD治療剤又は 予防剤の候補化合物であると判定され、 該被検物質を候補化合物として選択する 選択された候補化合物は、 細胞レベルにおいて前記遺伝子の発現を転写レベル で抑制するという特徴的な性質を有するものと考えられ、 前記遺伝子の発現を特 異的に抑制することができるという優れた効果を発揮する。
被検物質の非存在下の場合と比較した前記遺伝子の発現の有無の検出、 又はそ の発現の変動の測定は、 例えば、 以下のようにして行うことができる。 タンパク 質レベルでは、 例えば、 前記ステップ (B ) を経た後の細胞における前記遺伝子 からの発現産物レベルと、 対照における発現産物レベルとを、 例えば、 ポリアク リルアミドゲル電気泳動により ;前記遺伝子の発現産物に対する抗体又はその断 片を用いたウェスタンブロット解析により ;前記抗体又はその断片を用いたィム ノアッセィ等により測定し、 比較することにより行うことができる。 また、 核酸
レベルでは、 例えば、 前記ステップ (B ) を経た後の細胞及び対照からそれぞれ 核酸を抽出し、 得られた核酸を、 例えば、 SCGB ファミリーに属するタンパク質 をコードする遺伝子の DiRNA を検出しうる核酸、 すなわち、 前記遺伝子又はその 一部の配列に特異的に結合する核酸を用いたハイブリダィゼーシヨン;前記遺伝 子又はその一部の配列を特異的に増幅しうるプライマー対を用いた PCR等に供し
、 ハイプリッドの形成若しくはその量又は増幅産物の出現若しくはその量を測定 し、 比較することにより行うことができる。
なお、 本発明のスクリーニング方法において使用される前記抗体としては、 前 記遺伝子からの発現産物、 すなわち、 SCGB ファミリーに属するタンパク質に対 する抗体、 その断片等が挙げられる。 前記抗体の作製方法は、 例えば、 1992 年
、 ジョン ·ワイリ一&サンズ社 (John We i ly & Sons, Inc) 発行、 ジョン · E · コリガン (John E. Co l igan ) 編集、 カレント ·プロトコルズ ·イン ·ィムノロ ジー (Current Pro t oco l s in I匪 uno l ogy ) に記載の方法により、 前記 SCGB フ アミリーに属するタンパク質の全部又は一部を用いて、 ゥサギやマウス等を免疫 することにより、 容易に作製され得る。 また、 遺伝子工学的に抗体を作製するこ ともできる。 前記抗体は、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質に特異的に 結合する能力を有するものであれば、 ポリクローナル抗体であってもよく、 モノ クローナル抗体であってもよい。 前記抗体は、 例えば、 前記 SCGB ファミリーに 属するタンパク質中における特定の部分断片に特異的に結合しうる抗体であって もよく、 ヒト UGPR2の部分ペプチド Cys_UGRP2 (46- 58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番 号: 2 6 )若しくは Cys-UGRP2 (63-77, SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )又は 該部分べプチドを含むポリぺプチドに対するモノクローナル抗体が好ましく、 受 領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイプリド一マにより産生さ れるモノクローナル抗体がより好ましい。 また、 得られた抗体を精製後、 ぺプチ ダーゼ等により処理することにより、 抗体の断片が得られる。 さらに、 前記抗体 の誘導体、 例えば、 キメラ抗体、 ヒト化抗体、 Fab フラグメント、 単鎖抗体等や
公知技術により修飾された抗体等を使用することもできる。 かかる抗体又はその 断片は、 慣用の酵素 (例えば、 ペルォキシダーゼ等) 、 蛍光色素、 放射性物質、 アビジン若しくはビォチン等で標識されていてもよい。
ヒト UGRP2を認識するポリクローナル抗体の作製は、 ヒト UGRP2のポリべプチ ドの全長、 その部分ペプチド Cys-UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6)若しくは Cys-UGRP2(63-77, SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 27)又は該部分 ぺプチドを含むポリぺプチドを抗原として哺乳動物に投与することにより抗体を 作製することができる。 坊原としては、 前記ポリペプチド又は部分ペプチドをそ のまま用いてもよく、 担体、 例えば、 ゥシ血清アルブミン (BSA) 、 スカシガイ のへモシァニン (keyhole li即 et hemocyanin; KLH) やゥシチログロブリン (BT G) 等に結合したものを用いてもよい。 また、 抗原による免疫反応を高めるため に、 例えば、 フロインドの完全アジュバント (CFA) 及び不完全アジュバント (I FA) を投与してもよい。 免疫に用いられる哺乳動物としてはマウス、 ラット、 ゥ サギ、 ャギ、 ハムスター等を用いることができる。
ポリクローナル抗体は、 例えば、 レーンらの方法 [Antibodies: A Laboratory Manual, Second Edition(1989) (Cold Spring Harber Laboratory Press)] 等に 従って作製することができる。
哺乳動物に抗原を 1回目の投与後、 1〜2 週間毎に 3〜10 回投与することで免 疫された哺乳動物を得て、 それらの哺乳動物から血清を採取し、 精製することで 作製できる。
前記抗原の投与は、 1 回目の投与の後 1〜2週間おきに 3〜10回行う。 該抗原 の投与量は 1 回当たり動物 1 匹に対し、 50〜100 gが好ましい。 ペプチドを用 いる場合は、 適当な担体に共有結合させたものを抗原とするのが望ましい。 抗原 とするぺプチドは、 遺伝子工学的手法やべプチド合成機で合成することができる
。 各投与後、 3〜7 日目に眼底静脈叢より採血し、 該血清が免疫に用いた抗原と 反応することを酵素免疫測定法 〔 「酵素免疫測定法 (ELISA法) 」 医学書院刊 (
1976 年) ; Ant ibodies :A Laboratory Manual, Second Edi t ion (1989) (Co l d Spr i ng Harber Laboratory Press) ) 等に記載の方法で確認することができる。
免疫された哺乳動物から採血し、 抗体価を測定する。 十分な抗体価が得られる までに免疫された時点で採血し、 血清を調製することによりポリクローナル抗体 を得ることができる。 ポリクローナル抗体の分離、 精製方法としては、 遠心分離 、 硫酸アンモニゥムによる塩析、 力プリル酸沈殿 〔Ant ibodies : A Laboratory Ma nual , Second Ed i t ion (1989) (Col d Spr ing Harber Laboratory Press) ] 又は DEA E-セファロ一スカラム、 陰イオン交換カラム、 プロテイン Aカラム、 G-カラムあ るいはゲル濾過カラム等の各種クロマトグラフィーを単独又は組み合わせること で行うことができる。
ヒト UGRP2を認識するモノクローナル抗体は、 例えば、 十分な抗体価が得られ た免疫哺乳動物から、 脾臓又はリンパ節を採取し、 それらから得られた抗体産生 細胞を骨髄腫 (ミエローマ) 細胞と融合させて、 モノクローナル抗体産生ハイブ リドーマを得、 得られたハイプリドーマを用いて慣用の方法により目的の抗体を 生産させることにより得られうる。 .
具体的には、 ヒト UGRP2のポリぺプチドの全長、 その部分べプチド Cys-UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しくは Cys- UGRP2 (63- 77、 SLGIPVN HLIEGSQKC、 配列番号: 2 7 )又は該部分ペプチドを含むポリペプチドを抗原とし て投与して、 十分な抗体価を示したマウスに、 前記抗原を最終揆与する。 その後 、 3〜7日目に、 マウスから、 脾臓を摘出する。 得られた脾臓を、 MEM培地 (例え ば、 日水製薬社製) 中で細断し、 ピンセットでほぐし、 l, 200rpm で 5 分間遠心 分離する。 得られた沈殿分画中の脾細胞を Tr i s-塩化アンモニゥム緩衝液 (pH7. 65) で 1〜2分間処理して、 赤血球を除去する。 その後、 得られた脾細胞を、 MEM 培地で 3回洗浄する。 得られた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
骨髄腫細胞としては、 マウス又はラットから由来の株化細胞が挙げられる。 か かる骨髄腫細胞としては、 例えば、 8-ァザグァニン耐性マウス (BALB/c 由来)
骨髄腫細胞 P3- X63Ag8- Ul株 (以下、 P3-U1 と略す) [Current Topics Microbio logycal Immunology, 81, 1 (1978)> Europian Journal of Immunology, 6, 511 (1976) 〕 、 SP2/0_Agl4株 (以下、 SP- 2と略す) [Nature, 276> 269 (1978)] 、 P3-X63-Ag 8653株 (以下、 653と略す) [Journal of Immunology, 123, 1548(1979)3 、 P3-X 63 - Ag8 (以下、 X63 と略す) 〔Nature, 256, 495 (1975)〕 等が挙げられる。 これら の細胞株は、 8 -ァザグァニン培地 (15^§/ιηΙ 8-ァザグァニンを含む正常培地 〔 1.5mM グルタミン、 5Χ1(Γ¾ 2-メルカプトエタノール、 10 g/ml ジェン夕マイ シン及び 10%FCS (CSL社製) を含む RPMI1640培地) 〕 で継代し、 細胞融合を行 う 3〜4 日前に正常培地で培養する。 細胞融合には、 そのようにして調製した細 胞を 2X107個以上用いる。
細胞融合は、 既知の方法で行なわれ得、 例えば、 ケーラーとミルスタインの方 法 [Nature, 256,495-497 (1975)〕 に従って行なわれうる。 具体的には、 前記抗体 産生細胞と前記骨髄腫細胞とを、 MEM培地又は PBS (1 リットル当たり ; 1.83gリ ン酸ニナトリウム、 0.21g リン酸一カリウム、 7.65g NaCl、 pH7.2) で洗浄し、 骨髄腫細胞の細胞数に対し抗体産生細胞 5〜10 倍になるよう混合し、 l,200rpm で 5分間遠心分離した後、 沈殿分画を得る。 得られた沈澱画分の細胞群をよくほ ぐし、 該細胞群に対し抗体産生細胞 108個当たり、 ポリエチレングリコール溶液
〔2gポリエチレングリコール- 1000 (PEG- 1000) 、 2ml MEM培地、 0.7ml ジメチ ルスルホキシド (DMS0) 〕 を 0.2〜lmlを 37°Cで攪拌しながら添加し、 更に 1〜2 分間毎に MEM培地 〜 2mlを数回添加する。 MEM培地で全量を 50mlになるように 調製し、 900rpmで 5分間遠心分離した後、 沈殿分画を得る。 沈殿分画に HAT培 地 (正常培地、 10_4M ヒポキサンチン、 1.5X10—5Mチミジン及び 4X10— 7Mアミノ プテリンを含む) 100mlを添加し、 ゆるやかにほぐし、 懸濁する。
得られた懸濁液を 96穴培養用プレートの各穴に 100 1穴ずつ分注し、 37°C、
5%C02存在下で?〜 14日間培養する。 酵素免疫測定法 〔Antibodies:A Laborator y Manual, Second Edition (1989) (Cold Spring Harber Laboratory Press)] 等に
記載の方法で、 培養上清に産生された抗体のうち、 UGRP2の部分ペプチド Cys-UG
RP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しくは Cys- UGRP2 (63- 77、 SLGI
PVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )に特異的に反応する抗体を産生する八イブリド 一マを選択する。 このようにして得られたハイプリドーマは、 UG2- 6A9及び UG3-
1B12と命名 ·表示され、 それぞれ受領番号 FERM ABP- 10012及び FERM ABP-10013 として '2 0 0 4年 4月 2 1日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託 センター (郵便番号 305-8566 日本国 茨城県つくば巿東 1丁目 1番地 1 中 央第 6 ) に寄託されている。
前記ハイプリドーマによる抗体の生産は、 慣用の方法により行なわれうる。 また、 本発明のスクリーニング方法において使用される核酸 (プローブ) とし ては、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子に特異的に 結合する核酸等が挙げられる。 前記特異的に結合する核酸としては、 例えば、 SC
GB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子からなる核酸、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子に特徴的な部分配列からなる 核酸等が挙げられる。 かかる核酸は、 使用時における操作性を考慮し、 適切な T m値、 二次構造等に基づき、 適宜選択されうる。 具体的には、 ヒトでは、 例えば
、 配列番号: 1、 3、 5、 7、 9、 1 1、 1 3、 1 5又は 2 3に記載の塩基配列 を有する核酸等が好適に使用される。 また、 マウスでは、 配列番号: 1 7に記載 の塩基配列を有する核酸等が使用される。 かかる核酸は、 慣用の蛍光色素、 放射 性物質等で標識されていてもよい。
前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子又はその一部を 特異的に増幅しうるプライマー対としては、 例えば、 前記 SCGB ファミリーに属 するタンパク質をコードする遺伝子からなる核酸の 5'末端のアンチセンス配列 に対応するプライマーと 3'末端のアンチセンス配列に対応するプライマーとか らなるプライマー対;前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺 伝子に特徴的な部分配列からなる核酸の 5'末端のアンチセンス配列に対応する
プライマーと 3'末端のアンチセンス配列に対応するプライマ—とからなるプラ イマ一対等が挙げられる。 かかるプライマー対は、 使用時における操作性を考慮 し、 適切な Tm値、 二次構造等に基づき、 適宜選択されうる。 具体的には、 かか るプライマー対としては、 ヒトでは、 前記配列番号: 1〜8に記載の塩基配列の 全部又はその特徴的な部分配列を増幅可能なものであるのが好適である。 より具 体的には、 例えば、 配列番号: 1 9〜2 2に記載の塩基配列を有する核酸からな る群より選ばれたプライマー対等が挙げられる。 プライマー対の具体例としては 、 特に限定はないが、 配列番号: 1 9と 2 0とのプライマー対、 配列番号: 2 1 と 2 2とのプライマー対、 配列番号: 1 9と 2 2とのプライマ一対、 配列番号: 2 0と 2 1とのプライマー対等が挙げられる。 また、 マウスでは、 前記配列番号 : 1 7に記載の塩基配列の全部又はその特徴的な部分配列を増幅可能なものであ るのが好適である。 具体的には、 例えば、 配列番号: 2 4と 2 5とのプライマ一 対等が挙げられる。 それらのプライマーは、 慣用の蛍光色素、 放射性物質等で標 識されたプライマ一であってもよい。 増幅産物の検出は、 慣用のァガロースゲル 電気泳動等において、 臭化工チジゥムゃ蛍光色素による可視化、 標識プライマー に基づく検出等を行.うこと等により行なわれうる。
本明細書において、 「 (核酸に) 特徴的な部分配列」 とは、 例えば、 データべ ースに登録された配列のうち、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコー ドする遺伝子以外の遺伝子の塩基配列には実質的に見出されない部分配列をいい 、 例えば、 データベースに登録された配列との配列同一性が、 通常、 20%以下、 好ましくは 10%以下、 より好ましくは 5 %以下、 特に好ましくは 0%である配列 をい 。
本発明のスクリーニング方法により得られる化合物又はその塩としては、 例え ば、 M記 SCGB ファミリーに属するタンパク質等に結合することにより、 該タン パク質の機能を阻害する化合物、 例えば、 低分子化合物、 高分子化合物、 該 SCG
B ファミリーに属するタンパク質に対する抗体、 該 SCGB ファミリーに属する夕
ンパク質をコードする遺伝子からなる核酸のアンチセンス鎖等の核酸、 ペプチド 等が挙げられる。 _ また、 本発明のスクリーニング方法に用いられる前記 SCGB ファミリーに属す るタンパク質、 該 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子を保 持してなる核酸構築物、 該遺伝子が導入された細胞、 SCGB ファミリ一に属する タンパク質の抗体等を含む、 本発明のスクリーニング方法を行うためのキットが 提供される。 かかるスクリーニング用キットも本発明に含まれる。
本発明のスクリーニング用キットとしては、 具体的には、
一 SCGBファミリ一に属するタンパク質を含有してなるキット、
- SCGB ファミリ一に属するタンパク質をコードする遺伝子を含む核酸構築物 を含有してなるキット、
一 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子が導入された細胞 を含有してなるキット、
一 SCGB ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその断片を含有して なるキッ卜、
― ヒト UGPR2の部分ペプチド Cys-UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しくは Cys-UGRP2 (63-77, SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )又は該部 分ペプチドを含むポリペプチドに対するモノクローナル抗体又はその断片を含有 してなるキット、
一 受領番号 FERM ABP- 10012及び FERM ABP- 10013であるハイプリドーマにより 産生されるモノクローナル抗体又はその断片を含有してなるキット
等が挙げられる。
また、 各キットには、 所望により、 本発明のスクリーニング方法に好適に使用 されうる前記プローブ及び 又はプライマー対を含有させてもよい。 さらには、 所望により検出用試薬、 緩衝液、 標準物質、 本発明のスクリーニング方法を実施
するための説明書等を含有させてもよい。
本発明のスクリーニング用キットによれば、 前記スクリーニング方法を簡便か つ迅速に、 高処理量で行うことができるという優れた効果が発揮される。 本発明のスクリーニング方法により得られた化合物又はその塩は、 その発症に
SCGBファミリーに属するタンパク質の発現が関与する C0PDに対して治療又は予 防作用を発揮しうる。 したがって、 前記スクリーニング方法により得られた化合 物又はその塩により、 C0PD、 例えば、 肺気腫又は慢性気管支炎、 特に肺気腫の治 療又は予防に用いるための医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、 本発明のスクリーニング方法により得られた化合物又 はその塩を有効成分として含有することに 1つの特徴がある。 したがって、 本発 明の医薬組成物は、 C0PD に対し、 SCGB ファミリーに属するタンパク質の発現に 対する作用 (例えば、 該発現に対して抑制的に働く) を介して治療又は予防効果 を発揮する。
本発明の医薬組成物中における前記化合物又はその塩の含有量は、 治療目的の 疾患、 患者の年齢、 体重等により適宜調節することができ、 治療上有効量であれ ぱよく、 低分子化合物又は高分子化合物の場合、 例えば、 0. 0001〜1000mg、 好ま しくは 0. 001〜100mg、 ポリペプチド又はその誘導体の場合、 例えば、 0. 0001〜1 000mg、 好ましくは 0. 001〜100mg、 核酸又はその誘導体の場合、 例えば、 0. 0000 l〜100mg、 好ましくは 0. 0001〜10mgであることが望ましい。
本発明の医薬組成物は、 前記化合物又はその塩を安定に保持しうる種々の助剤 をさらに含有してもよい。 具体的には、 有効成分の送達対象となる部位に到達す るまでの間に、 有効成分が分解することを抑制する性質を呈する薬学的に許容さ れうる助剤、 賦形剤、 結合剤、 安定剤、 緩衝剤、 溶解補助剤、 等張剤等が挙げら れる。
本発明の医薬組成物の投与形態は、 有効成分の種類;投与対象となる個体、 器
官、 局所部位、 組織.;投与対象となる個体の年齢、 体重等に応じて、 適宜選択さ れる。 前記投与形態としては、 皮下注射、 筋肉内注射、 静脈内注射、 局所投与等 が挙げられる。
また、 本発明の医薬組成物の投与量も、 有効成分の種類;投与対象となる個体 、 器官、 局所部位、 組織;投与対象となる個体の年齢、 体重等に応じて、 適宜選 択される。 投与方法としては、 特に限定されないが、 有効成分が、 低分子化合物 又は高分子化合物である場合、 前記有効成分の量として、 例えば、 0. 0001〜1000 mg/kg体重、 好ましくは 0. 001〜100mg/kg体重、 ポリぺプチド又はその誘導体の 場合、 例えば、 0. 0001〜1000mg/kg体重、 好ましくは 0. 001〜100mg/kg体重、 核 酸又はその誘導体の場合、 例えば、 0. 00001〜100mg/kg体重、 好ましくは 0. 0001 〜10mg/kg体重の 1回投与量となるように、 1日につき、 1回若しくは複数回投. 与すること等が挙げられる。 投与期間も特に限定されるものではない。
本発明の医薬組成物の薬理評価は、 例えば、 後述の実施例に記載の C0PD モデ ルマウスに、 本発明の医薬組成物を投与し、 非投与動物に比べ、 投与動物におい て、 C0PD の改善が見られた場合を指標として評価する方法により行うことがで きる。 また、 本発明により、 C0PD の診断方法が提供される。 本発明の診断方法は、 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由来の対照試料それぞれにおける S CGBファミリーに属するタンパク質の遺伝子、 特に UGRP2の遺伝子の発現レベル を測定することを 1つの特徴とする。 したがって、 本発明の診断方法によれば、 被検対象の個体が C0PD に罹患している疑いがあるか否かを簡便かつ迅速に診断 することができるという優れた効果が発揮される。
本発明の診断方法においては、 被検試料における発現レベルが、 対照試料にお ける発現レベルよりも高くなる場合、 該被検対象の個体が、 C0PD に罹患してい る疑いがあることの指標となる。
前記個体としては、 特に限定されるものではないが、 哺乳動物、 特にヒト、 マ ウス、 マウス、 サル等が挙げられる。
被検試料は、 例えば、 個体の組織、 細胞、 血液等から慣用の手法により調製さ れうる。 特に SCGB ファミリーに属するタンパク質の発現量が高い、 気管、 肺、 舌、 あるいは唾液から調製するのが好ましい。 対照試料は、 被検試料と同様の部 位から調製されたものであればよく、 例えば、 被検試料と同様にして同部位より 調製することができる。
SCGBファミリーに属する夕ンパク質の遺伝子の発現レベルは、 該遺伝子の mRN A転写物の量又は該遺伝子の遺伝子産物の量を指標として測定するのが好適であ る。
mRNA転写物の量を指標とする場合、 被検対象の個体由来の被検試料及び正常 個体由来の対照試料のそれぞれを、 例えば、 前記 SCGB ファミリーに属するタン パク質をコードする遺伝子からなる核酸若しくは該核酸に特徴的な部分配列から なる核酸をプローブとして用いたハイブリダィゼーシヨン、 あるいは前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質をコードする遺伝子からなる核酸若しくは該核酸 に特徴的な部分配列からなる核酸をそれぞれ特異的に増幅しうるプライマー対を 用いた PCR等に供し、 八イブリッドの形成若しくはその量又は増幅産物の出現若 しくはその量を測定し、 比較することにより、 SCGB ファミリーに属するタンパ ク質の遺伝子の発現レベルを評価することができる。
プローブとして用いられる核酸は、 使用時における操作性を考慮し、 適切な T m値、 二次構造等に基づき、 適宜選択されうる。 プローブとしては、 例えば、 本 発明のスクリーニング方法において好適に使用されうる前記プローブ等が挙げら れる。 かかる核酸は、 慣用の蛍光色素、 放射性物質等で標識されていてもよい。
PCRに用いられるプライマー対としては、 SCGBファミリーに属するタンパク質 をコードする遺伝子からなる核酸若しくは該核酸に特徴的な配列部分からなる核 酸の 5'末端のアンチセンス配列に対応するプライマーと 3'末端のアンチセンス
配列に対応するプライマ一とからなるプライマ一対等が挙げられる。 かかるブラ イマ一対は、 使用時における操作性を考慮し、 適切な Tm値、 二次構造等に基づ き、 適宜選択されうる。 具体的には、 本発明のスクリーニング方法において好適 に使用されうる前記プライマー対等が挙げられる。 かかるプライマーは、 慣用の 蛍光色素、 放射性物質等で標識されたプライマーであってもよい。 増幅産物の検 出は、 慣用のァガロースゲル電気泳動等において、 臭化工チジゥムゃ蛍光物質に よる可視化、 標識プライマーに基づく検出等を行うこと等により行なわれうる。 また、 本態様においては、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質に対する 抗体又はその断片、 好ましくはヒト UGPR2の部分ペプチド Cys- UGRP2 (46-58、 CT LANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しくは Cys- UGRP2 (63- 77、 SLGIPVNHLIEGSQKC 、 配列番号: 2 7 )又は該部分ペプチドを含むポリペプチドに対するモノクロ一 ナル抗体又はその断片、 さらに好ましくは受領番号 FERM ABP-10012又は FERM A BP-10013 であるハイプリドーマにより産生されるモノクローナル抗体又はその 断片を用いて公知の方法に従って適宜 mRNA転写物の量を測定し、 SCGBファミリ 一に属するタンパク質の遺伝子の発現レベルを評価することができる。
遺伝子産物の量を指標とする場合、 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個 体由来の対照試料のそれぞれを、 ポリアクリルアミドゲル電気泳動、 前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質に対する抗体又はその断片、 好ましくはヒ卜 UGP R2 の部分ペプチド Cys- UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しく は Cys-UGRP2 (63-77, SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )又は該部分ペプチド を含むポリペプチドに対するモノクローナル抗体又はその断片、 さらに好ましく は受領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイブリドーマにより産 生されるモノクローナル抗体又はその断片を用いたウエスタンブロット解析、 前 記抗体又はその断片を用いたィムノアッセィ等に供し、 遺伝子産物量を測定し、 比較することにより、 SCGB ファミリーに属するタンパク質の遺伝子の発現レべ ルを評価することができる。
さらに、 本発明によれば、 本発明の診断方法を、 簡便、 迅速に、 高処理量で、 高い信頼性で行いうる、 本発明のスクリーニング方法において好適に使用されう る前記プローブ及び Z又はプライマー対を含有した診断用キット、 又は前記 SCG B ファミリーに属するタンパク質に対する抗体若しくはその断片、 好ましくはヒ ト UGPR2 の部分ペプチド Cys-UGR (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 ) 若しくは Cys-UGRP2 (63-77, SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )又は該部分べ プチドを含むポリぺプチドに対するモノクローナル抗体又はその断片、 さらに好 ましくは受領番号 FERM ABP- 10012又は?81«1 ABP- 10013であるハイブリドーマに より産生されるモノクローナル抗体又はその断片を含有した診断用キットが提供 される。
本発明の診断用キットには、 検出用試薬、 緩衝液、 対照試料、 本発明の診断方 法の説明書等をさらに含有させてもよい。 さらに、 本発明によれば、 C0PD に罹患している疑いがある個体由来の試料の 検出又は選別方法が提供される。
本発明の検出又は選別方法によれば、 C0PD に罹患している疑いがある個体由 来の試料を簡便かつ迅速に検出又は選別することができる。
本発明の検出又は選別方法は、 被検対象の個体由来の被検試料及び正常個体由 来の対照試料それぞれにおける前記 SCGB ファミリーに属するタンパク質の遺伝 子の発現レベルを測定するステップを含み、 ここで、 被検試料における発現レべ ルが、 対照試料における発現レベルよりも高くなる場合、 該被検試料が、 C0PP に罹患している疑いがある個体由来の試料であることの指標となる。
本発明の検出又は選別方法においては、 SCGB ファミリーに属するタンパク質 の遺伝子の発現レベルは、 該遺伝子の mRNA転写物の量又は該遺伝子の遺伝子産 物の量を指標として測定するのが好適である。 SCGB ファミリーに属するタンパ
ク質の遺伝子の発現レベルの測定は、 本発明の前記診断方法の場合と同様にして 行うことができる。
また、 本発明によれば、 本発明の検出又は選別方法を、 簡便、 迅速に、 高処理 量で行うための、 前記診断方法の説明において記載したプローブ及び 又はブラ イマ—-対を含有した検出又は選別用キット、 又は前記 SCGB ファミリーに属する タンパク質に対する抗体若しくはその断片、 好ましくは、 ヒト UGPR2の部分ぺプ チド Cys-UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK, 配列番号: 2 6 )若しくほ Cys- UGRP2 (6 3-77、 SLGIPVNHL IEGSQKC, 配列番号: 2 7 )又は該部分ペプチドを含むポリぺプ チドに対するモノクローナル抗体又はその断片、 さらに好ましくは受領番号 FER M ABP-10012 又は, FERM ABP-10013 であるハイブリドーマにより産生されるモノ クローナル抗体又はその断片を含有した検出又は選別用キットが提供される。
本発明はさらに、 ヒト UGPR2の部分ペプチド Cys-UGRP2 (46- 58、 CTLANPLGTLNP LK、 配列番号: 2 6 )若しくは Cys- UGRP2 (63-77、 SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号
: 2 7 )又は該部分ペプチドを含むポリペプチドに対するモノクローナル抗体、 受領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイブリドーマにより産生 される抗体、 及び受領番号 FERM ABP- 10012又は FERM ABP- 10013であるハイプリ ドーマを提供する。 かかるモノクローナル抗体及びハイプリドーマは、 前記した とおりに調製される。
本発明の C0PD治療剤又は予防剤のスクリーニング方法によれば、 C0PD治療剤 又は予防剤の候補化合物を簡便かつ迅速にスクリーニングすることができ、 また
、 該治療剤又は予防剤の候補化合物の薬理評価を行うことができる。 また、 本発 明のスクリーニング用キットによれば、 前記スクリーニングを簡便、 迅速に、 高 処理量で行うことができる。 さらに、 本発明の医薬組成物によれば、 C0PD を効
果的に治療又は予防することができる。 また、 本発明の C0PD の診断方法によれ ば、 C0PD を簡便かつ迅速に診断することができる。 また、 本発明の診断用キッ トによれば、 前記診断を、 簡便、 迅速に、 高処理量で行うことができる。 さらに 、 本発明の C0PDに罹患している個体由来の試料の検出又は選別方法によれば、 C 0PD に罹患している個体由来の試料を簡便かつ迅速に検出又は選別することがで きる。 また、 本発明の検出又は選別用キットによれば、 前記検出又は選別を簡便 かつ迅速に、 高処理量で行うことができる。 本発明を、 実施例によりさらに詳細に説明するが、 本発明は、 かかる実施例の みに限定されるものではない。 また、 以下の実施例において、 遺伝子操作手法と して、 特に断らない限り、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Ed ition(1989) (Cold Spring Harbor Laboratory Press) に記載された方法を用い た。 実施例 1 C0PDモデルマウスにおける UGRP2 mRNAの発現 1
(1) C0PDモデルマウスの作製
C0PDモデルマウスは、 Balb/c系マウス (日本チャールズリバ一育成供給、 6週 齢、雄) に対し、 C0PD の発症に関わる第一原因である煙草煙 (主流煙)の全身曝露 を行って作製した (喫煙群) 。 すなわち、 マウスを飼育する間に、 主流煙曝露装 置 (M I P S社製) を用いて 1日あたり 20 本のハイライト (商品名、 日本たば こ産業 (株) 製) の主流煙を 20 分間かけて全身曝露した。 なお、 煙草煙曝露は 土日休日を除き、 4 ヶ月間毎日行った。解剖前日まで曝露を続けた。 飼育条件は 、 飼育温度 24±1 、 湿度 55±5%、 照明期間 12時間 (8時から 20時) とし、 自由摂餌とした。 , '
主流煙の全身曝露を行わないこと以外は同様にして飼育したマウスを対照群と した。 喫煙群及び対照群のマウスについて、 以下のようにして肺機能評価及び組
織学的評価を行った。 その結果、 喫煙群において呼吸機能が悪化し、 肺組織破壊 が増加していることが分かつた。
(肺機能評価)
煙草煙曝露による呼吸機能の悪化を、 主流煙の最終曝露の翌日、 全肺気量及び 準静肺コンプライアンスの測定を行い、 煙草煙曝露による、 それらの値の増加を 喫煙群と対照群との差として求め、 得られた値を指標として評価した。
(組織学的評価)
煙草煙による肺組織破壊を、 主流煙の最終曝露の翌日、 肺組織切片を作成し、
HE染色後、 顕微鏡下で平均肺胞径を測定し、 煙草煙曝露による肺組織破壊の増 加を喫煙群と対照群との差を指標として評価した。
(2) C0PDにおいて発現が変動する遺伝子の検索
主流煙の最終曝露の翌日、 喫煙群及び対照群のマウスから肺を摘出し、 当該肺 から全 RNAを抽出し、 両群での mRNAの発現プロファイルを比較することで、 発 現が変動する遺伝子を検索した。
arrayTAG (LION社製) の添付のプロトコールに従い、 PCR法によりマウス cDN A断片 10000種を調製し、 MAチップ作製システム Microarray System Generati on III Spotter (商品名、 Molecular Dynamics 社製) を用いて、 Type7スライド グラス (商品名、 アマシャム バイオサイエンス社製) にスポットして DNAチップ を作製した。
この DNAチップを用いて C0PDモデルマウスでの遺伝子発現変動解析を実施した
。 喫煙群及び対照群のマウスから肺を摘出し、 得られた肺から、 IS0GEN (商品名
、 日本ジーン社製) を用い、 添付のマニュアルに従って全 RNAを調製した。 得ら れた RNAをキアゲン (QIAGEN) 社製の商品名: RNeasy mini kit にて添付マニュ アルに従い DNase I処理した。これで得た全 RNA2.5 gを用い、 MessageAmp aRNA
Kit (商品名、 Ambion社製) のマニュアルに従い増幅 RNA (aRNA) を合成した。
合成した aRNAをプローブの錶型とし、 Atlas Glass Fluorescent Labelling Kit 〔商品名、 CLONTECH (現 BD BIOSCIENCE) 社製〕 もしくは At las PowerScript Fl uorescent Labeling Kit (商品名、 現 BD BIOSCIENCE社製) を用いて、 マ二ユア ルに従い Random 9merプライマーにより Cy- 3 dCTP又は Cy- 5 dCTP (アマシャム 'バイオサイエンス社製) を取り込ませ cDNA を蛍光標識した。 これをプローブ とし、 Automated Slide Processor (商品名、 アマシャム バイオサイエンス社製) を用いて DNAチップとのハイブリダィゼ一シヨンを実施した。 ハイブリダィゼーシ ョンは、 Type 7スライドのプロトコールに従い、 前処理の後にプローブと 48°Cで 1 2 時間行った。 バッファーには Hybridizaton Buffer Ver.2 (商品名、 アマシャム バイオサインス社製) を用いた。 洗浄後、 Microarray System Generation III Sc anner (商品名、 Molecular Dynamics 社製) により読み取りを行い、 解析コンビ ユー夕—ソフト 〔商品名: Lucidea Automated Spotf inder (Molecular Dynamics 社製) 及び商品名: GeneSpring (シリコンジエネテックス社製) 〕 を用いてデー 夕解析を実施した。 '
その結果、 対照群のマウス肺と比較して喫煙群 (C0PD 発症) のマウス肺におい て発現量の増加が認められた遺伝子として UGRP2が見出された。
以上の結果より、 UGRP2の発現を指標として、 C0PDが診断できることが示唆さ れる。 実施例 2 C0PDモデルマウスにおける UGRP2 mRNAの発現解析 2
RT-PCRにより、 C0PDモデルマウスの肺における UGRP2遺伝子の発現プロファ ィルを調べた。
RT-PCR には、 配列番号: 24と 2 5のプライマー対を用いた。 具体的には、 実施例 1の喫煙群及び対照群のマウスの肺より、 IS0GEN (商品名、 日本ジーン社 製) を用いて、 添付のマニュアルに従い、 全 RNAを抽出した。 この RNAをキアゲ ン (QIAGEN) 社製の商品名: RNeasy mini kitにて添付のマニュアルに従い DNas
e I処理した後、 回収した。 得られた全 RNA2.5 より RT-PCR用 Superscript ( 登録商標) First- strand Synthesis System (商品名、 インビトロジェン社製) を用いて添付のマニュアルに従い、 cDNAを合成した。 次に、 マウス UGRP2(配列 番号: 1 7) の配列をもとに、 プローブ検索ソフト Primer Express (商品名、 AB I社製) によりリアルタイム定量 PCR用プライマー (配列番号 24及び 2 5) を 選択した。 プライマーは、 国際試薬社に合成を依頼した。 このプライマーを用い て、 合成した cDNAを錡型として SYBR Green I 〔キアゲン (QIAGEN) 社製〕 によ るリアルタイム定量 PCRを行い、 mRNA量を定量した。
反応試薬としては、 Applied Biosysteis 社の商品名: SYBR Green PCR Master Mixを使用し、 95°Cで 10分間反応させた後、 95°Cで 10秒、 60°Cで 60秒の 40 サイクルを行って定量した。 PCR、 及び蛍光測定は、 ABI社の ABI PRISM 5700 Se quence Detection System (商品名) を用いて行った。 結果を図 1に示す。 図 1 のグラフは、 対照群のマウスにおける発現量を 1とした相対量で示している。 な お、 リアルタイム定量 PCRでは、 増幅産物の電気泳動と融解曲線を作製すること により目的の UGRP2 mRNAの一種類のみが増幅されていることを確認した。
図 1に示すように、 C0PD モデルマウス (喫煙群) の肺において、 対照群と比 ベて、 UGRP2 の発現が増強されることが確認された。 当該結果より、 対照群に比 ベ、 C0PD モデルマウスの肺において UGRP2 遺伝子の発現が約 4倍に増強される ことが分かる。 参考例 1 喘息モデルマウスにおける UGRP2 mRNAの発現解析
RT-PCR により、 喘息モデルマウスの肺における UGRP2 遺伝子の発現プロファ ィルを調べた。
喘息群及び対照群のマウスを以下のようにして得た。 喘息モデルマウスを、 Ba lb/c 系マウス (日本チャールズリパー育成供給、 9週齢、 雌) に対し、 卵白ァ ルブミン (OVA) 水酸化アルミニウムゲル (Alum) 懸濁液.を 1 回腹腔内注射し
て全身免疫し (0 日目及び 14 日目) 、 さらにネブライザ一 (オムロン社製) に て霧化した 1%0VA溶液を 30分間 3回噴霧して (25日目、 30日目及び 36日目) 作製した (喘息群) 。 対照群は生理食塩水を腹腔内注射し同様に噴霧したものと した。
最終チャレンジの翌日、 Whole Body Unrestrained PlethysmograpH (BAXCO 社 製) を'用いてメサコリン誘発気道過敏性を両群のマウスで測定し、 Penh 値を指 標に喘息症状を喘息群のマウスで確認した。 なお、 メサコリン溶液 (6、 12 及び 24mg/ml) はネブライザ一にて霧化して 2分間噴霧した。 Penh値は噴霧 1分後か ら測定を開始し、 4分間の測定値を平均して得た。
RT-PCR には、 配列番号: 24と 2 5とのプライマー対を用いた。 具体的には 、 喘息群及び対照群のマウスの肺より、 IS0GEN (商品名、 日本ジーン社製) を用 いて、 添付のマニュアルに従い、 全 RNAを抽出した。 この RNAをキアゲン (QIAG EN) 社製の商品名: RNeasy mini kit にて添付のマニュアルに従い DNase I処理 した後、 回収した。 得られた全 RNA2.5 gより RT-PCR用 Superscript (登録商 標) First- strand Synthesis System (商品名、 インビトロジェン社製) を用い て添付のマニュアルに従い、 cDNA を合成した。 次に、 マウス UGRP2 (配列番号
: 1 7) の配列をもとに、 プローブ検索ソフト Primer Express (商品名、 ABI社 製) によりリアルタイム定量 PCR用プライマー (配列番号: 24及び 2 5) を選 択した。 プライマーは、 日清紡社に合成を依頼した。 このプライマーを用いて、 合成した cDNAを铸型として SYBR Green I によるリアルタイム定量 PCRを行い 、 mRNA量を定量した。
反応試薬としては、 Applied Biosystems 社の商品名: SYBR Green PCR Master
Mixを使用し、 95"Cで 10分間反応させた後、 95°Cで 10秒、 で 60秒の 40 サイクルを行って定量した。 PCR、 及び蛍光測定は、 ABI社の ABI PRISM 5700 Se quence Detection System (商品名) を用いて行った。 結果を図 2に示す。 図 2 のグラフは、 対照群のマウスにおける発現量を 1とした相対量で示している。 な
お、 リアルタイム定量 PCRでは、 増幅産物の電気泳動と融解曲線を作製すること により目的の UGRP2 mRNAの一種類のみが増幅されていることを確認した。
図 2に示すように、 喘息モデルマウス (喘息群) の肺においては、 対照群と比 ベて、 UGRP2の有意な発現変動は検出されなかった。 実施例 3 ヒト正常組織における UGRP2 mRNAの発現解析
NCBI のデータベースより得られた UGRP2 遺伝子配列 (配列番号: 1 3 ) に基 づき、 プライマー対 5' -GCGCCATGAAGCTGGCCG-3'及び 5' -ATGCTCCAGTCTCGGCTCAG-3 ' (配列番号: 1 9及び 2 0 ) を合成し、 ヒト肺由来全 RNA (クロンテック社製 ) より逆転写酵素 XL (夕カラ社製) を用いて合成した 1本鎖 cDNAを铸型 として、 PCR反応を行った。
この反応により増幅された cDNA断片混合物をさらに铸型として、 プライマー 対 5' - GCGCCATGAAGCTGGCCG- 3'及び 5' - TCAGCCAAACACTGTCAGGG- 3' (配列番号: 1
9及び 2 2 ) を用いた PCR反応により、 ヒト UGRP 2遺伝子の全翻訳領域に相当す る cDNA断片を合成した。 該反応における反応液の組成は、 上記 1本鎖 cDNAある いは PCR反応液の 50分の 1量を铸型として使用し、 Ex Taq (夕カラ社製) 1/200 量、 プライマー対を 1 M、 dNTPs を 200 ^ Μ、 及び酵素に添付されたバッファー を加え、 50 1の液量とした。 PCR反応は、 94°Cで 3分の後、 94°Cで 30秒、 50°C で 30秒、 72 で 1分のサイクルを 25回繰り返し、 最後に 72 で 1分の伸長反 応を行った。 PCR反応の結果、 得られた 320bpの cDNA断片をァガロース電気泳 動後、 回収し、 pCR2.卜 T0P0 ベクター (インビトロジェン社製) にクローン化後
、 M13フォワード 'プライマー及び M13 リバース ·プライマー (インビトロジェ ン社製) と BigDye Terminator vl . 0 Cyc l e Sequenc ing Ready Reac t i on Ki t ( アプライド ·バイオシステムズ社製) によりシーケンシング反応後、 ABI PRI SM
310 (アプライド ·バイオシステムズ社製) にて塩基配列を決定することにより
、 回収した DNA断片が目的物であることを確認した。 この DNA断片を [ひ- 32P] dC
TP (3000Ci/mmoK lOmCi/ml) (アマシャム 'バイオサイエンス社製)を用いて Re diprime II DNA Labeling system (アマシャム ·バイオサイエンス社製)を使用 して、 その処方に従い 32P標識した。 この 32 P標識プローブを用いて、 Human 12- Lane MTN Blot (クロンテック社製; レーン 1 :脳、 レーン 2 :心臓、 レーン 3 :骨格筋、 レーン 4 :結腸、 レーン 5 :胸腺、 レーン 6 :脾臓、 レーン 7 :腎臓 、 レ ン 8 :肝臓、 レーン 9 :小腸、 レーン 1 0 :胎盤、 レーン 1 1 :肺、 レー ン、 1 2 :末梢血リンパ球) 及び Human 12- Lane MTN Blot-ΙΠ (クロンテック社 製; レーン 1 :副腎、 レーン 2 :膀胱、 レーン 3 :骨髄、 レーン 4 :脳 (全体) 、 レーン 5 : リンパ節、 レーン 6 :前立腺、 レーン 7 :脊髄、 レーン 8 :胃、 レ ーン 9 :甲状腺、 レーン 1 0 :舌、 レーン 1 1 :気管、 レーン 12 :子宮)に対 してノーザンプロット解析を行った。 これらのナイロン膜を、 0.5Mリン酸バッ ファー(pH7.2)、 1 %ゥシ血清アルブミン、 ImM EDTA、 7 %SDS からなるハイブ リダィゼーシヨン ·バッファー (GMCバッファー) に浸し、 65°Cで 1時間、 予備 ハイブリダィゼーシヨンを行った後、 32P標識プローブを GMCバッファーに加え た液にナイロン膜を移し、 65°Cで 16 時間ハイブリダィゼーシヨンを行った。 引 続きこのナイロン膜を 2XSSC (1XSSCは 15mMクェン酸ナトリウムと 150mM塩化 ナトリゥムの混合水溶液) で室温にて 5分間濯いだ後、 1 XSSCで 50°Cにて 30分 間、 0.5XSSCで 50 にて 30分間洗浄した。 風乾後、 このナイロン膜をフジ写真 フィルム社のイメージング ·プレートに密着させ、 同社イメージ ·アナライザー BAS2000 で画像解析を行った。その結果、 肺、 気管、 舌などの組織において強い 発現が観察された。 実施例 4 抗 UGRP2モノクローナル抗体の作製
UGRP に対するモノクローナル抗体を産生するハイプリドーマを細胞融合技術 により作製した。
免疫原として 2種類の UGRP2部分べプチド Cys_UGRP2 (46-58、 CTLANPLGTLNPLK
、 配列番号: 2 6 )と Cys-UGRP2 (63-77、 SLGIPVNHLIEGSQKC, 配列番号: 2 7 )を マレイミド化 Keyho l e Li即 e t Hemocyanin (KLH、 ピアス社製)と結合させたコン ジュゲートを用いた。 A/J Jms S i c マウスの皮下と腹腔に初回はフロイント完全 アジュパンド (FCA) 、 2回目以降はフロイント不完全アジュパンドと混和した 乳化液を皮下及び腹腔に免疫した。 2回目の免疫以降は部分採血を行い、 抗体の 産生を DELFIA法により行った。 即ち、 ャギ抗マウス IgG Fc特異抗体(ICN社製) を固相したプレート上にて、 ピオチン標識した上記ペプチド、 Eu 標識ストレブ トァビジン (パーキンエルマ一社製) 及び抗体溶液を室温 2時間あるいは 4tに て終夜反応後、 洗浄を行い、 増強試薬を添加し、 時間分解蛍光を Wal l ac ARV0 ( パ一キンエルマ一社製) ,にて測定することにより評価を行つた。
4回目の免疫を実施してから 2週間経過後にブースター (追加免疫) を行い、 さらに 3日後に無菌下で摘出した脾臓より脾細胞を調製し、 50 %ポリエチレング リコールによりミエローマ細胞との細胞融合を行った。 HAT 培地にて 96 穴プレ 一卜に融合細胞を撒き、 7〜9 日間培養した。 コロニーが形成された事を確認し た後、 上清を採取し、 上記の DELFIA.法にて抗体産生能を評価した。 抗体産生ハ イブリドーマは限界希釈法によりクロ一ニングを行い、 UG2- 6A9 (受領番号 FERM
ABP-10012) と UG3-1B12 (受領番号 FERM ABP-10013) のモノクローナル抗体産 生八イブリドーマを得た。 実施例 5 UGRP2測定法
UGRP2 測定法は西洋ヮサビペルォキシダーゼ (HRP) 標識抗体を用いた酵素免 疫測定法 (EL ISA法) を利用する。 抗体は、 八イブリドーマ細胞を無血清培地 ( インビトロジェン社) にて培養し、 その培養上清から MAPS I I Pro t e in A ki t (
BIO- RAD社)を用いァフィ二ティー精製する。 標準品の UGRP2 は、 コムギ胚芽発 システム ¾:禾 ij用した Wheat germ eel 1-f ree pro te in synthes i s core ki t (東 洋紡社製) を用い発現させたリコンビナント UGRP2タンパクを用いる。 発現の方
法は添付のマニュアルに従い、 UGR 遺伝子の 3'側に FLAGタグ遺伝子を付加し た遺伝子を利用し発現させる。 発現タンパクの精製には抗 FLAG抗体ゲル (SIGMA 社製) を用いたァフィ二ティー精製にて行う。
2 種類の抗体のうち、 一方のェピトープを認識する抗体は 50mM トリス塩酸緩 衝生理食塩水 (TBS) にて適当な濃度に希釈し、 96穴プレート (Nunc社製) に撒 き 4°Cで終夜静置する事により物理的に吸着させる。 洗浄後、 ゥシ血清アルブミ ンを含む溶液を添加することによりブロッキングを行い、 抗体固相プレートを作 製する。 もう一方のェピトープを認識する抗体は、 ヒンジ法を用いて HRPで標識 する。 抗体をペプシンにて消化し F (ab' ) 2を調製後、 終濃度 10mMの 2 メルカプ トェチルァミンで 90分間還元して Fal]'を調製する。 HRPは 50倍モルの Sul fo-H MCS (同仁化学研究所社製) と反応させマレイミド化 HRPを作製する。 上記 Fab' とマレイミド化 HRPを等モル反応させ、 HRP標識 Fab'を調製する (HRP標識抗体 ) 。 標識抗体の精製には TSKgel G2000SWXLカラムを用いた HPLCにて行う。
ELISAは、 初めに標準 UGRP2あるいは UGRP2を含む検体を抗体固相プレートに 添加し、 反応させる。 反応後、 プレートを洗浄し、 HRP 標識抗体を添加する。 反 応後、 プレートを洗浄し Col orburs t Blue溶液 (テトラメチルベンチジン溶液、 ALerCHEK社製) を添加する。 呈色後、 等量の 0. 18N硫酸溶液を添加し酵素反応 を停止させる。 450nmにおける吸光度を Wal l ac ARV0 SX (パーキンエルマ一社製 ) にて測定し、 標準 UGRP2の吸光度から標準曲線を作成し、 検体の濃度を求める
配列表フリーテキスト
配列番号: 1 9は、 ヒト SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR フォワードプライマーの配 列を示す。
配列番号: 2 0は、 ヒト SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR リパースプライマ一の配列 を示す。
配列番号: 2 1は、 ヒト SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR フォワードプライマーの配 列を示す。
配列番号: 2 2は、 ヒト SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR リバースプライマーの配列 を示す。
配列番号: 2 3は、 ヒト SCGB3A1 (UGRP2)ノーザン解析用プローブの配列を示 す。 一
配列番号: 2 4は、 マウス SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR フォワードプライマーの 配列を示す。
配列番号: 2 5は、 マウス SCGB3A1 (UGRP2) RT-PCR リバースプライマーの配 列を示す。