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JPWO2020022129A5 - - Google Patents

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JPWO2020022129A5
JPWO2020022129A5 JP2020532311A JP2020532311A JPWO2020022129A5 JP WO2020022129 A5 JPWO2020022129 A5 JP WO2020022129A5 JP 2020532311 A JP2020532311 A JP 2020532311A JP 2020532311 A JP2020532311 A JP 2020532311A JP WO2020022129 A5 JPWO2020022129 A5 JP WO2020022129A5
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本発明は、電子機器の小型化・高性能化に伴う高周波化への対応を可能とする金属張積層板及び回路基板に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブル回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話、スマートフォン等の電子機器の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
情報処理や情報通信においては、大容量の情報を伝送・処理するために伝送周波数を高くする取り組みが行われており、回路基板材料は絶縁樹脂層の低誘電化による伝送損失の低下が求められている。そこで、高周波化に対応するために、低誘電率、低誘電正接を特徴とした液晶ポリマーを誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性や金属箔との接着性に改善の余地があることから、耐熱性や接着性に優れた絶縁樹脂材料としてポリイミドが注目されている。
回路基板の高周波伝送特性を改善するために、誘電特性が改善されたポリイミドを使用することが提案されている(例えば、特許文献1~3)。
一方、二つの片面銅張積層板のポリイミド樹脂面を貼り合わせることによって、絶縁樹脂層の厚みが50μm以上の両面銅張積層板を製造することも提案されている(例えば、特許文献4、5)。
特開2016-193501号公報 特開2016-192530号公報 国際公開WO2018/061727号 特許第5886027号公報 特許第6031396号公報
回路基板において、高周波化への要請が今後益々強まり、高周波伝送特性に対する要求水準が厳しくなると予想される。このような観点から、絶縁樹脂層の誘電特性の改善だけでなく、絶縁樹脂層の厚みを大きくするという選択肢も必要となってくる。しかし、特許文献1~3の実施例では、絶縁樹脂層の厚みが25μm程度であり、例えば50μmを超える厚みに厚膜化することは検討されていない。
一方、特許文献4、5では、高周波伝送への対応については考慮されておらず、厚膜の絶縁樹脂層を採用する場合のポリイミドの構成についても検討されていない。
本発明は、絶縁樹脂層の厚みが十分に確保され、電子機器の高性能化に伴う高周波伝送への対応を可能とする金属張積層板及び回路基板を提供することにある。
本発明者らは、厚みの大きな絶縁樹脂層を設けるとともに、該絶縁樹脂層を構成するポリイミドの誘電特性を考慮することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属張積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、前記樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板である。
本発明の金属張積層板は、前記樹脂積層体が、以下のi)~iv)の条件;
i)全体の厚みが40~200μmの範囲内である;
ii)前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含む;
iii)前記樹脂積層体の全体の厚みに対する前記第2のポリイミド層の厚みの比率が、70~97%の範囲内である;
iv)下記の数式(a)、
=√ε×Tanδ ・・・(a)
[ここで、εは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電正接を示す]
に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満である;
を満たすことを特徴とする。
本発明の金属張積層板は、前記第2のポリイミド層を構成するポリイミドが、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドであって、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものであってもよい。この場合、前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、
3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導されるテトラカルボン酸残基(TAHQ残基)の少なくとも1種並びにピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(PMDA残基)及び2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(NTCDA残基)の少なくとも1種の合計が80モル部以上であってもよく、
前記BPDA残基及び前記TAHQ残基の少なくとも1種と、前記PMDA残基及び前記NTCDA残基の少なくとも1種とのモル比{(BPDA残基+TAHQ残基)/(PMDA残基+NTCDA残基)}が0.4~1.5の範囲内にあってもよい。
本発明の金属張積層板は、前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)を80モル%以上含有するものであってもよい。
本発明の金属張積層板において、前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものであってもよい。
本発明の金属張積層板において、前記樹脂積層体は、少なくとも4層以上のポリイミド層からなる積層構造を有するものであってもよい。
本発明の回路基板は、上記いずれかの金属張積層板の前記金属層を配線回路加工してなるものである。
本発明の金属張積層板は、十分な厚みを有するとともに、優れた誘電特性を有するポリイミドによって構成される樹脂積層体を備えているため、高速信号伝送を必要とする電子材料として好適に用いることができる。
本発明の一実施の形態に係る両面銅張積層板(両面CCL)の構成を示す模式的断面図である。 両面CCLの変形例の構成を示す模式的断面図である。 図1に示した両面CCLの製造方法の一工程を説明する図面である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。
[金属張積層板]
本実施の形態の金属張積層板は、複数のポリイミド層を含む樹脂積層体と、この樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層と、を備えている。
<樹脂積層体>
樹脂積層体は、以下のi)~iv)の条件を満たすものである。
i) 樹脂積層体は、全体の厚みが40~200μmの範囲内であり、好ましくは40~180μmの範囲内、より好ましくは50~160μmの範囲内である。樹脂積層体の全体の厚みが40μmに満たないと十分な高周波伝送特性が得られなくなるおそれがあり、200μmを超えると反りなどの問題が生じることがある。また、寸法安定性や屈曲性等において問題が生じるおそれがあるので、樹脂積層体の全体の厚みは180μm以下とすることが好ましい。
ii) 樹脂積層体は、少なくとも、金属層に接している第1のポリイミド層と、第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含んでいる。第1のポリイミド層を構成するポリイミドは熱可塑性ポリイミドであり、第2のポリイミド層を構成するポリイミドは非熱可塑性ポリイミドである。樹脂積層体は、金属層側から、それぞれ、少なくとも第1のポリイミド層、第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有することが好ましい。なお、樹脂積層体は、第1のポリイミド層、第2のポリイミド層以外の任意の樹脂層を有していてもよい。また、樹脂積層体は、その厚み方向の中心を基準にして、厚み方向に対称な層構造を有することが好ましいが、厚み方向に非対称な層構造を有するものであってもよい。
iii)樹脂積層体は、樹脂積層体の全体の厚みに対する第2のポリイミド層の厚みの比率が、70~97%の範囲内であり、75~95%の範囲内であることが好ましい。後述するように、第2のポリイミド層は、低誘電特性を有する非熱可塑性ポリイミド層であるため、樹脂積層体の全体の厚みに対する第2のポリイミド層の厚みの比率を上記範囲内に制御することによって、優れた高周波伝送特性を有するFPC等の回路基板を製造できる。樹脂積層体の全体の厚みに対する第2のポリイミド層の厚みの比率が70%に満たないと、絶縁樹脂層における非熱可塑性ポリイミド層の割合が小さくなり過ぎるため、誘電特性が損なわれる可能性があり、97%を超えると、第1のポリイミド層である熱可塑性ポリイミド層が薄くなるため、樹脂積層体と金属層との接着信頼性が低下しやすくなる。
iv) 樹脂積層体は、下記の数式(a)、
=√ε×Tanδ ・・・(a)
[ここで、εは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電正接を示す。なお、√εは、εの平方根を意味する。]
に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満であり、好ましくは0.0025~0.0085の範囲内がよく、より好ましくは0.0025~0.008の範囲内がよい。E値が、0.009未満であることによって、優れた高周波伝送特性を有するFPC等の回路基板を製造できる。一方、E値が上記上限を超えると、FPC等の回路基板に使用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
また、樹脂積層体は、金属張積層板を形成した際の反りや寸法安定性の低下を抑制する観点から、樹脂積層体の全体として、CTEを10~30ppm/Kの範囲内に制御することが好ましい。この場合、樹脂積層体においてベース層(主層)として機能する第2のポリイミド層のCTEは、好ましくは1 ~25ppm/Kの範囲内、より好ましくは10~20ppm/Kの範囲内がよい。
(第1のポリイミド層)
第1のポリイミド層を構成するポリイミドは、熱可塑性ポリイミドである。熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下であるものが好ましく、より好ましくは200~320℃の範囲内である。ここで、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満であるポリイミドをいう。樹脂積層体は、1層又は2層の金属層にそれぞれ隣接する1層又は2層の第1のポリイミド層を有している。2つの第1のポリイミド層を有する場合、構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。なお、熱可塑性ポリイミドの詳細については後述する。
(第2のポリイミド層)
第2のポリイミド層を構成するポリイミドは、低熱膨張性の非熱可塑性ポリイミドである。第2のポリイミド層を複数層有する場合、各層を構成するポリイミドは、同一の種類でもよく、異なる種類でもよい。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上であるポリイミドをいう。なお、非熱可塑性ポリイミドの詳細については後述する。
<金属層>
金属層としては、金属箔を好ましく使用できる。金属箔の材質に特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。
金属層として使用する金属箔は、表面に、例えば防錆処理、サイディング、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等の表面処理が施されていてもよい。
本実施の形態の金属張積層板において、例えばFPCの製造に用いる場合の金属層の好ましい厚みは3~50μmの範囲内であり、より好ましくは5~30μmの範囲内であるが、回路パターンの線幅を細線化するために、5~20μmの範囲内が最も好ましい。金属層の厚みは、高周波伝送における導体損失の増大を抑制する観点では厚い方が好ましいが、一方で、厚みが大きくなり過ぎると微細化への適用が困難になるとともに、屈曲性が低下して回路加工した場合の配線層と絶縁樹脂層との接着性が損なわれるおそれがある。このようなトレード・オフの関係を考慮して、金属層の厚みは上記範囲内とすることがよい。
また、高周波伝送特性と、樹脂積層体に対する接着性を両立させる観点から、金属層の第1のポリイミド層と接する表面の十点平均粗さ(Rz)は、1.2μm以下であり、0.05~1.0μmの範囲内であることが好ましい。同様の観点から、金属層の第1のポリイミド層と接する表面の算術平均高さ(Ra)は、0.2μm以下であることが好ましい。
本実施の形態の金属張積層板では、金属層としては、市販されている銅箔を用いることができる。その具体例としては、福田金属箔粉工業社製の銅箔CF-T49A-DS-HD(商品名)、三井金属鉱業株式会社製の銅箔TQ-M4-VSP(商品名)、JX金属株式会社製の銅箔GHY5-HA-V2(商品名)、同BHY(X)-HA-V2(商品名)などが挙げられる。
次に、図面を参照しながら、本実施の形態の金属張積層板の構造を具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る両面銅張積層板(両面CCL)100の構成を示す模式的断面図である。両面CCL100は、金属層としての銅箔層10A,10Bと、樹脂積層体としての樹脂積層体50を備えており、樹脂積層体50の両面に、銅箔層10A,10Bが積層された構造をしている。ここで、樹脂積層体50は、複数のポリイミド層によって構成されており、第1のポリイミド層としての熱可塑性ポリイミド層20A,20Bと、第2のポリイミド層としての非熱可塑性ポリイミド層30A,30Bと、第3のポリイミド層としての熱可塑性ポリイミド層40A,40Bとを備えている。
両面CCL100において、熱可塑性ポリイミド層20A,20Bは、それぞれ銅箔層10A,10Bに直接接している。熱可塑性ポリイミド層20Aと熱可塑性ポリイミド層20Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、非熱可塑性ポリイミド層30A,30Bは、それぞれ熱可塑性ポリイミド層20A,20Bに接していてもよいが、直接接しておらず、間接的に積層されていてもよい。非熱可塑性ポリイミド層30Aと非熱可塑性ポリイミド層30Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
また、両面CCL100において、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、接着性を確保するため、ガラス転移温度(Tg)が360℃以下、例えば200~320℃の範囲内の熱可塑性ポリイミドによって構成されていることが好ましい。熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、熱可塑性ポリイミド層20A,20Bと同じ材質であってもよい。熱可塑性ポリイミド層40Aと熱可塑性ポリイミド層40Bは、同じ厚みでも異なる厚みでもよく、これらを構成するポリイミドは、同じ種類でもよいし、異なる種類でもよい。
樹脂積層体50は、図1に示すような6層構造に限定されるものではない。樹脂積層体50は、少なくとも、銅箔層10A,10Bに接している熱可塑性ポリイミド層20A,20B(第1のポリイミド層)と、これらの熱可塑性ポリイミド層20A,20Bにそれぞれ直接又は間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層30A,30B(第2のポリイミド層)と、を含んでいればよい。従って、両面CCLの場合、樹脂積層体50は、少なくとも4層以上のポリイミド層を含んでいればよい。例えば図2に示す両面CCL100Aのように、樹脂積層体50が、第1のポリイミド層としての熱可塑性ポリイミド層20A,20Bと、第2のポリイミド層としての非熱可塑性ポリイミド層30A,30Bと、1層の熱可塑性ポリイミド層40Aとを備えた5層構造でもよい。また、樹脂積層体50は、図1、図2に示す以外の任意の層を含んでいてもよい。樹脂積層体50は、ポリイミド層以外の樹脂層を含んでいてもよいが、複数のポリイミド層のみからなることが好ましい。
樹脂積層体50を構成するポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
銅箔層10A,10Bは、厚みや材質が同じ構成の銅箔でもよいし、異なる構成の銅箔でもよい。
<金属張積層板の製造方法>
両面CCL100は、例えば以下に示す第1の方法又は第2の方法によって製造することが好ましい。
(第1の方法)
まず、2つの片面銅張積層板(片面CCL)を準備する。すなわち、銅箔層10A、熱可塑性ポリイミド層20A、非熱可塑性ポリイミド層30A及び熱可塑性ポリイミド層40Aを有する片面銅張積層板(片面CCL)70Aと、銅箔層10B、熱可塑性ポリイミド層20B、非熱可塑性ポリイミド層30B及び熱可塑性ポリイミド層40Bを有する片面CCL70Bと、をそれぞれ作製する。
次に、図3に示すように、2つの片面CCL70A,70Bの熱可塑性ポリイミド層40A,40B側を向き合わせて配置し、熱プレスによって接合面60で熱圧着することによって両面CCL100を製造できる。なお、接合面60は熱圧着面である。2つの片面CCL70A,70Bは、全く同一の構成であってもよいし、層数、樹脂種、金属層などが異なるものであってもよい。また、片面CCL70A,70Bのポリイミド層を4層以上とする場合は、熱可塑性ポリイミド層と、これに隣接する非熱可塑性ポリイミド層とを積層単位として、該積層単位が交互に繰り返されるように構成することが好ましい。
片面CCL70A,70Bを構成する各ポリイミド層は、厚さや物性のコントロールのしやすさから、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を、銅箔層10A,10Bの原料である銅箔上に塗布し、塗布膜を形成した後、熱処理により乾燥、硬化する所謂キャスト(塗布)法によって形成することが好ましい。つまり、片面CCL70A,70Bにおいて、銅箔層10A,10Bに積層している熱可塑性ポリイミド層20A,20B、非熱可塑性ポリイミド層30A,30B、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bは、いずれもキャスト法により順次形成されたものであることが好ましい。
キャスト法において、塗布膜は、ポリアミド酸の樹脂溶液を銅箔の上に塗布した後に乾燥することによって形成できる。片面CCL70A,70Bの形成においては、ポリアミド酸溶液の上に、異なる構成成分からなる他のポリアミド酸溶液を順次塗布して形成することができるし、また、同一の構成のポリアミド酸溶液を2回以上塗布してもよい。また、多層押出により、同時に複数層の塗布膜を積層形成してもよい。また、ポリアミド酸の塗布膜を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、イミド化してポリイミド層を形成することも可能である。塗布する方法は特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。この場合、銅箔は、カットシート状、ロール状のもの、又はエンドレスベルト状などの形状のものを使用できる。生産性を得るためには、ロール状又はエンドレスベルト状の形態とし、連続生産可能な形式とすることが効率的である。さらに、回路基板における配線パターン精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、銅箔は長尺に形成されたロール状のものが好ましい。
イミド化の方法は、特に制限されず、例えば、80~400℃の範囲内の温度条件で1~60分間の範囲内の時間加熱するといった熱処理が好適に採用される。銅箔層10A,10Bの酸化を抑制するため、低酸素雰囲気下での熱処理が好ましく、具体的には、窒素又は希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、水素などの還元ガス雰囲気下、あるいは真空中で行うことが好ましい。熱処理により、塗布膜中のポリアミド酸がイミド化し、ポリイミドが形成される。
以上のようにして、複数層のポリイミド層と、銅箔層10A又は10Bとを有する片面CCL70A,70Bを製造することができる。このようにして得られた2つの片面CCL70A,70Bを、図3に示すように、熱可塑性ポリイミド層40A,40Bの表面が互いに対向するように配置し、接合面60で熱圧着させることによって、両面CCL100を製造できる。熱圧着は、2つの片面CCL70A,70Bを長尺に形成し、一対の加熱ロールを用いてロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら実施することが好ましく、この場合、片面CCLの搬送性及び接合性の観点から、加熱ロール間の搬送速度を1~10m/分の範囲内で行うことがより好ましい。
(第2の方法)
ここでは、キャスト法によって、金属層が銅箔層である片面金属張積層板(片面CCL)又は両面金属張積層板(両面CCL)100を製造する場合を例に挙げる。
まず、銅箔層10Aとなる銅箔(図示省略)を準備する。そして、この銅箔上に、ポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、乾燥することによって、1層目の塗布膜を形成する。塗布膜は、熱可塑性ポリイミドの前駆体樹脂層である。
次に、1層目の塗布膜の上に、さらにポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、乾燥することによって、2層目の塗布膜を形成する。2層目の塗布膜は、非熱可塑性ポリイミドの前駆体樹脂層である。
以降、ポリアミド酸の種類を選択しながら、同様にして、3層目、4層目、5層目、6層目の塗布膜を順次形成していき、その後、これらを熱処理し、各前駆体樹脂層のポリアミド酸をイミド化する。これによって、複数層のポリイミド層が積層した片面CCLを作製する。
なお、単層又は複数層のポリアミド酸の塗布膜の層を一旦イミド化して単層又は複数層のポリイミド層とした後に、更にその上にポリアミド酸の塗布膜を形成することも可能である。
以上のようにして得られる片面CCLは、銅箔層10Aの上に、樹脂積層体50が積層された構造を有している。樹脂積層体50は、例えば、銅箔層10Aの側から、熱可塑性ポリイミド層20A、非熱可塑性ポリイミド層30A、熱可塑性ポリイミド層40A、熱可塑性ポリイミド層40B、非熱可塑性ポリイミド層30B及び熱可塑性ポリイミド層20Bがこの順番で積層されたものである。
両面CCL100の製造を目的とする場合は、以上の工程に加え、さらに銅箔の熱圧着を実施することができる。
熱圧着工程では、片面CCLにおける銅箔層10Aとは反対側の面(つまり、熱可塑性ポリイミド層20B上)に、新たな銅箔(図示省略)を熱圧着することによって、銅箔層10Bを積層する。これによって、図1に示した構造を有する両面CCL100を得ることができる。新たな銅箔と片面CCLとの熱圧着は、一対の加熱ロールを用いてロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら実施することが好ましい。
第2の方法において、キャスト法による塗布膜の形成及びイミド化は、第1の方法と同様に実施できる。
[ポリイミド]
次に、樹脂積層体50を構成する好ましいポリイミドについて、非熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリイミドの順に説明する。
<非熱可塑性ポリイミド>
第2のポリイミド層(非熱可塑性ポリイミド層)を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むことが好ましい。
(テトラカルボン酸残基)
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基として、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)の少なくとも1種から誘導されるテトラカルボン酸残基並びにピロメリット酸二無水物(PMDA)及び2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)の少なくとも1種から誘導されるテトラカルボン酸残基を含有する。
BPDAから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「BPDA残基」ともいう。)及びTAHQから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「TAHQ残基」ともいう。)は、ポリマーの秩序構造を形成しやすく、分子の運動抑制により誘電正接や吸湿性を低下させることができる。しかし、一方でBPDA残基は、ポリイミド前駆体のポリアミド酸としてのゲル膜の自己支持性を付与できるが、イミド化後のCTEを増大させるとともに、ガラス転移温度を低くして耐熱性を低下させる傾向になる。
このような観点から、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドが、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、BPDA残基及びTAHQ残基の合計を好ましくは30モル部以上60モル部以下の範囲内、より好ましくは40モル部以上50モル部以下の範囲内で含有するように制御する。BPDA残基及びTAHQ残基の合計が30モル部未満では、ポリマーの秩序構造の形成が不十分となって、耐吸湿性が低下したり、誘電正接の低減が不十分となり、60モル部を超えると、CTEの増加や面内リタデーション(RO)の変化量の増大のほか、耐熱性が低下したりするおそれがある。
また、ピロメリット酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「PMDA残基」ともいう。)及び2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「NTCDA残基」ともいう。)は、剛直性を有するため、面内配向性を高め、CTEを低く抑えるとともに、面内リタデーション(RO)の制御や、ガラス転移温度の制御の役割を担う残基である。一方で、PMDA残基は、分子量が小さいため、その量が多くなり過ぎると、ポリマーのイミド基濃度が高くなり、極性基が増加して吸湿性が大きくなってしまい、分子鎖内部の水分の影響により誘電正接が増加する。また、NTCDA残基は、剛直性が高いナフタレン骨格によりフィルムが脆くなりやすく、弾性率を増大させる傾向になる。
そのため、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、PMDA残基及びNTCDA残基の合計を好ましくは40モル部以上70モル部以下の範囲内、より好ましくは50モル部以上60モル部以下の範囲内、さらに好ましくは50~55モル部の範囲内で含有する。PMDA残基及びNTCDA残基の合計が40モル部未満では、CTEが増加したり、耐熱性が低下したりするおそれがあり、70モル部を超えると、ポリマーのイミド基濃度が高くなり、極性基が増加して低吸湿性が損なわれ、誘電正接が増加するおそれやフィルムが脆くなりフィルムの自己支持性が低下するおそれがある。
また、BPDA残基及びTAHQ残基の少なくとも1種並びにPMDA残基及びNTCDA残基の少なくとも1種の合計が、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して80モル部以上、好ましくは90モル部以上であることがよい。
また、BPDA残基及びTAHQ残基の少なくとも1種と、PMDA残基及びNTCDA残基少なくとも1種のモル比{(BPDA残基+TAHQ残基)/(PMDA残基+NTCDA残基)}を0.4以上1.5以下の範囲内、好ましくは0.6以上1.3以下の範囲内、より好ましくは0.8以上1.2以下の範囲内とし、CTEとポリマーの秩序構造の形成を制御することがよい。
PMDA及びNTCDAは、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、ポリイミド中の分子の面内配向性の制御が可能であり、熱膨張係数(CTE)の抑制とガラス転移温度(Tg)の向上効果がある。また、BPDA及びTAHQは、PMDAと比較し分子量が大きいため、仕込み比率の増加によりイミド基濃度が低下することで、誘電正接の低下や吸湿率の低下に効果がある。一方でBPDA及びTAHQの仕込み比率が増加すると、ポリイミド中の分子の面内配向性が低下し、CTEの増加に繋がる。さらに分子内の秩序構造の形成が進み、ヘイズ値が増加する。このような観点から、PMDA及びNTCDAの合計の仕込み量は、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、40~70モル部の範囲内、好ましくは50~60モル部の範囲内、より好ましくは50~55モル部の範囲内がよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、PMDA及びNTCDAの合計の仕込み量が40モル部未満であると、分子の面内配向性が低下し、低CTE化が困難となり、またTgの低下による加熱時におけるフィルムの耐熱性や寸法安定性が低下する。一方、PMDA及びNTCDAの合計の仕込み量が70モル部を超えると、イミド基濃度の増加により吸湿率が悪化したり、弾性率を増大させる傾向になる。
また、BPDA及びTAHQは、分子運動の抑制やイミド基濃度の低下による低誘電正接化、吸湿率低下に効果があるが、イミド化後のポリイミドフィルムとしてのCTEを増大させる。このような観点から、BPDA及びTAHQの合計の仕込み量は、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、30~60モル部の範囲内、好ましくは40~50モル部の範囲内、より好ましくは40~45モル部の範囲内がよい。
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに含まれる、上記BPDA残基、TAHQ残基、PMDA残基、NTCDA残基以外のテトラカルボン酸残基としては、例えば、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート等の芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基が挙げられる。
(ジアミン残基)
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましい。
Figure 2020022129000001
式(A1)において、連結基Xは単結合若しくは-COO-から選ばれる2価の基を示し、Yは独立に水素、炭素数1~3の1価の炭化水素基、若しくはアルコキシ基を示し、nは0~2の整数を示し、p及びqは独立して0~4の整数を示す。ここで、「独立に」とは、上記式(A1)において、複数の置換基Y、さらに整数p、qが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。なお、上記式(A1)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば-NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
一般式(A1)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン(A1)」と記すことがある)は、少なくとも1つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。ジアミン(A1)は、剛直構造を有しているため、ポリマー全体に秩序構造を付与する作用を有している。そのため、ガス透過性が低く、低吸湿性のポリイミドが得られ、分子鎖内部の水分を低減できるため、誘電正接を下げることができる。ここで、連結基Xとしては、単結合が好ましい。
ジアミン(A1)としては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(p-PDA;パラフェニレンジアミン)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-n-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-NPB)、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)等を挙げることができる。これらの中でも、剛直構造によってポリマー全体に秩序構造を付与する効果が大きな2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)が最も好ましい。
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、ジアミン(A1)から誘導されるジアミン残基を、ジアミン残基の100モル部に対して、好ましくは80モル部以上、より好ましくは85モル部以上含有することがよい。ジアミン(A1)を上記範囲内の量で使用することによって、モノマー由来の剛直構造により、ポリマー全体に秩序構造が形成されやすくなり、ガス透過性が低く、低吸湿性、かつ低誘電正接である非熱可塑性ポリイミドが得られやすい。
また、非熱可塑性ポリイミドにおけるジアミン残基の100モル部に対して、ジアミン(A1)から誘導されるジアミン残基が80モル部以上85モル部以下の範囲内である場合は、より剛直であり、面内配向性に優れる構造であるという観点から、ジアミン(A1)として、1,4-ジアミノベンゼンを用いることが好ましい。
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドに含まれるその他のジアミン残基としては、例えば、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエン、m-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾール、ピペラジン、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、6-アミノ-2-(4-アミノフェノキシ)ベンゾオキサゾール等の芳香族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級のアミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸型ジアミン等の脂肪族ジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
非熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、貯蔵弾性率、引張弾性率等を制御することができる。また、非熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、面内リタデーション(RO)のばらつきを抑制する観点から、ランダムに存在することが好ましい。
なお、非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を、いずれも芳香族基とすることで、ポリイミドフィルムの高温環境下での寸法精度を向上させ、面内リタデーション(RO)の変化量を小さくすることができるため好ましい。
非熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、33重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(-(CO)-N-)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が33重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。上記酸無水物とジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、非熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
非熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、50,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、フィルムの強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルムに厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
<熱可塑性ポリイミド>
第1のポリイミド層(熱可塑性ポリイミド層)を構成する熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものであり、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むことが好ましい。
(テトラカルボン酸残基)
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドに用いるテトラカルボン酸残基としては、上記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドにおけるテトラカルボン酸残基として例示したものと同様のものを用いることができる。
(ジアミン残基)
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましい。
Figure 2020022129000002
式(B1)~(B7)において、Rは独立に炭素数1~6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、連結基Aは独立に-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CH-、-C(CH-、-NH-若しくは-CONH-から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0~4の整数を示す。ただし、式(B3)中から式(B2)と重複するものは除き、式(B5)中から式(B4)と重複するものは除くものとする。ここで、「独立に」とは、上記式(B1)~(B7)の内の一つにおいて、または二つ以上において、複数の連結基A、複数のR若しくは複数のnが、同一でもよいし、異なっていてもよいことを意味する。なお、上記式(B1)~(B7)において、末端の二つのアミノ基における水素原子は置換されていてもよく、例えば-NR(ここで、R,Rは、独立してアルキル基などの任意の置換基を意味する)であってもよい。
式(B1)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B1)」と記すことがある)は、2つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B1)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B1)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-CO-、-SO-、-S-が好ましい。
ジアミン(B1)としては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルプロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、(3,3’-ビスアミノ)ジフェニルアミン等を挙げることができる。
式(B2)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B2)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B2)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B2)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B2)としては、例えば1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン、3-[3-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ベンゼンアミン等を挙げることができる。
式(B3)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B3)」と記すことがある)は、3つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B3)は、1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B3)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B3)としては、例えば1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-[2-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[4-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン、4,4'-[5-メチル-(1,3-フェニレン)ビスオキシ]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B4)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B4)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B4)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結したアミノ基と2価の連結基Aとがメタ位にあることで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B4)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-、-CH-、-C(CH-、-SO-、-CO-、-CONH-が好ましい。
ジアミン(B4)としては、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド等を挙げることができる。
式(B5)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B5)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B5)は、少なくとも1つのベンゼン環に直結した、2つの2価の連結基Aが互いにメタ位にあることで、ポリイミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B5)としては、4-[3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]フェノキシ]アニリン、4,4’-[オキシビス(3,1-フェニレンオキシ)]ビスアニリン等を挙げることができる。
式(B6)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B6)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B6)は、少なくとも2つのエーテル結合を有することで高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B6)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-C(CH-、-O-、-SO-、-CO-が好ましい。
ジアミン(B6)としては、例えば、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン(BAPK)等を挙げることができる。
式(B7)で表されるジアミン(以下、「ジアミン(B7)」と記すことがある)は、4つのベンゼン環を有する芳香族ジアミンである。このジアミン(B7)は、ジフェニル骨格の両側に、それぞれ屈曲性の高い2価の連結基Aを有するため、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B7)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
ジアミン(B7)としては、例えば、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル等を挙げることができる。
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、ジアミン残基の100モル部に対して、ジアミン(B1)~ジアミン(B7)から選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を60モル部以上、好ましくは60モル部以上99モル部以下の範囲内、より好ましくは70モル部以上95モル部以下の範囲内で含有することがよい。ジアミン(B1)~ジアミン(B7)は、屈曲性を有する分子構造を持つため、これらから選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物を上記範囲内の量で使用することによって、ポリイミド分子鎖の柔軟性を向上させ、熱可塑性を付与することができる。ジアミン(B1)~ジアミン(B7)の合計量が全ジアミン成分の100モル部に対して60モル部未満であるとポリイミド樹脂の柔軟性不足で十分な熱可塑性が得られない。
また、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基も好ましい。式(A1)で表されるジアミン化合物[ジアミン(A1)]については、非熱可塑性ポリイミドの説明で述べたとおりである。ジアミン(A1)は、剛直構造を有し、ポリマー全体に秩序構造を付与する作用を有しているため、分子の運動抑制により誘電正接や吸湿性を低下させることができる。更に、熱可塑性ポリイミドの原料として使用することで、ガス透過性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、ジアミン(A1)から誘導されるジアミン残基を、好ましくは1モル部以上40モル部以下の範囲内、より好ましくは5モル部以上30モル部以下の範囲内で含有してもよい。ジアミン(A1)を上記範囲内の量で使用することによって、モノマー由来の剛直構造により、ポリマー全体に秩序構造が形成されるので、熱可塑性でありながら、ガス透過性及び吸湿性が低く、長期耐熱接着性に優れたポリイミドが得られる。
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、発明の効果を損なわない範囲で、ジアミン(A1)、(B1)~(B7)以外のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含むことができる。
熱可塑性ポリイミドにおいて、上記テトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類や、2種以上のテトラカルボン酸残基又はジアミン残基を適用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張係数、引張弾性率、ガラス転移温度等を制御することができる。また、熱可塑性ポリイミドにおいて、ポリイミドの構造単位を複数有する場合は、ブロックとして存在しても、ランダムに存在していてもよいが、ランダムに存在することが好ましい。
なお、熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を、いずれも芳香族基とすることで、ポリイミドフィルムの高温環境下での寸法精度を向上させ、面内リタデーション(RO)の変化量を抑制することができる。
熱可塑性ポリイミドのイミド基濃度は、33重量%以下であることが好ましい。ここで、「イミド基濃度」は、ポリイミド中のイミド基部(-(CO)-N-)の分子量を、ポリイミドの構造全体の分子量で除した値を意味する。イミド基濃度が33重量%を超えると、樹脂自体の分子量が小さくなるとともに、極性基の増加によって低吸湿性も悪化する。上記ジアミン化合物の組み合わせを選択することによって、熱可塑性ポリイミド中の分子の配向性を制御することで、イミド基濃度低下に伴うCTEの増加を抑制し、低吸湿性を担保している。
熱可塑性ポリイミドの重量平均分子量は、例えば10,000~400,000の範囲内が好ましく、50,000~350,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、フィルムの強度が低下して脆化しやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が400,000を超えると、過度に粘度が増加して塗工作業の際にフィルム厚みムラ、スジ等の不良が発生しやすい傾向になる。
熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、例えば回路基板の絶縁樹脂における接着層となるため、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm-1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm-1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出される。
(ポリイミドの合成)
樹脂積層体50を構成するポリイミドは、上記酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン、2-ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
ポリイミドの合成において、上記酸無水物及びジアミンはそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80~400℃の範囲内の温度条件で1~24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
<回路基板>
本実施の形態の回路基板は、金属張積層板の金属層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって製造することができる。金属層のパターニングは、例えばフォトリソグラフィー技術とエッチングなどを利用する任意の方法で行うことができる。
なお、回路基板を製造する際に、通常行われる工程として、例えば前工程でのスルーホール加工や、後工程の端子メッキ、外形加工などの工程は、常法に従い行うことができる。
以上のように、本実施の形態の金属張積層板は、FPCに代表される回路基板材料として使用することによって、回路基板に優れたインピーダンス整合性を付与し、電気信号の伝送特性を改善できるため、電子機器の信頼性を向上させることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[粘度の測定]
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数1Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×10Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
[熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
[吸湿率の測定]
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量-乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
[誘電率及び誘電正接の測定]
誘電率及び誘電正接は、ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)およびSPDR共振器を用いて、周波数10GHzにおける樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の誘電率(ε)および誘電正接(Tanδ)を測定した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24~26℃、湿度;45~55%の条件下で、24時間放置したものである。
また、樹脂積層体の誘電特性を示す指標であるEは、上記数式(a)に基づき算出した。
[銅箔の表面粗さの測定]
十点平均粗さ(Rz)及び算術平均高さ(Ra)の測定:
触針式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、商品名;サーフコーダET-3000)を用い、Force;100μN、Speed;20μm、Range;800μmの測定条件によって求めた。なお、表面粗さの算出は、JIS-B0601:1994に準拠した方法により算出した。
[ピール強度の測定]
金属張積層板を幅1.0mmに加工した後、幅;8cm×長さ;4cmに切断し、測定サンプルを調製した。テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、測定サンプルの片方の面を両面テープによりアルミ板に固定し、もう一方の面を90°方向に50mm/分の速度で、10mm剥離したときの中央強度を求めた。「銅箔ピール強度」は、キャスト側の銅箔層と樹脂積層体との界面で剥離したときのピール強度であり、「熱圧着面のピール強度」は、熱圧着させた2つの樹脂層の接合面で剥離したときのピール強度である。
合成例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
BTDA:3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DSDA:3,3',4,4'‐ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
DAPE:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(合成例1)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この溶媒に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,960mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液aを調製した。
次に、厚さ12μmの電解銅箔の片面(Rz;2.1μm)に、ポリアミド酸の樹脂溶液aを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結した。塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、ポリイミドフィルムa(熱可塑性、Tg;283℃、CTE;53ppm/K、吸湿率;1.30重量%)を調製した。
(合成例2)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、312gのDMAcを入れた。この反応容器に球状フィラー(シリカ、平均粒径1.2μm、アドマテックス社製、「SE4050」)を6.60g加え、超音波分散装置にて3時間分散させた。この溶液に14.67gのDAPE(0.073モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、23.13gのBTDA(0.072モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度3,160mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液b(シリカ含有量;10体積%)を調製した。
(合成例3)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この溶媒に27.14gのBAPP(0.066モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、14.86gのPMDA(0.068モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度2,850mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液cを調製した。樹脂溶液cを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムc(熱可塑性、Tg;312℃、CTE;55ppm/K、吸湿率;0.54重量%)を調製した。
(合成例4)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、308gのDMAcを入れた。この溶媒に22.57gのm-TB(0.106モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、6.20gのBPDA(0.021モル)及び18.37gのPMDA(0.084モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度20,000mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液dを調製した。樹脂溶液dを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムd(非熱可塑性、Tg;385℃、CTE;15ppm/K)を調製した。
(合成例5)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、255gのDMAcを入れた。この溶媒に22.13gのTPE-R(0.076モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、16.17gのDSDA(0.047モル)及び6.78gのPMDA(0.031モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度2,640mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液eを調製した。樹脂溶液eを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムe(熱可塑性、Tg;277℃、CTE;61ppm/K、吸湿率;0.90重量%)を調製した。
(合成例6)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、200gのDMAcを入れた。この溶媒に1.335gのm-TB(0.0063モル)及び10.414gのTPE-R(0.0356モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、0.932gのPMDA(0.0043モル)及び11.319gのBPDA(0.0385モル)を加えた。その後、2時間撹拌を続け、溶液粘度1,420mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液fを調製した。樹脂溶液fを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムf(熱可塑性、Tg;220℃、CTE;52ppm/K、吸湿率;0.36重量%)を調製した。
(合成例7)
熱電対および攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、250gのDMAcを入れた。この溶媒に12.323gのm-TB(0.0580モル)及び1.886gのTPE-R(0.0064モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、8.314gのPMDA(0.0381モル)及び7.477gのBPDA(0.0254モル)を加えた。その後、3時間撹拌を続け、溶液粘度31,500mPa・sのポリアミド酸の樹脂溶液gを調製した。樹脂溶液gを用いて、合成例1と同様にして、ポリイミドフィルムg(非熱可塑性、Tg;303℃、CTE;15.6ppm/K、吸湿率;0.61重量%)を調製した。
[実施例1]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液bを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、6層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が82%の片面銅張積層板1Bを調製した。
片面銅張積層板1Bのポリイミド層と電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を、同時に一対の加熱ロール間に4m/分の速度で連続的に供給して熱圧着(ロール表面温度;320℃、ロール間の線圧;134kN/m)することで、樹脂積層体の厚みが50μmの両面銅張積層板1を調製した。両面銅張積層板1における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板1の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム1を調製した。このポリイミドフィルム1の誘電率ε;3.45、誘電正接Tanδ;0.0039、これら誘電特性から計算されるEは0.0072であった。
[実施例2]
樹脂溶液bの代わりに、樹脂溶液aを使用したこと以外、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が82%の片面銅張積層板2Bを調製した。
片面銅張積層板2B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板2を調製した。両面銅張積層板2における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板2の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム2を調製した。このポリイミドフィルム2の誘電率ε;3.45、誘電正接Tanδ;0.0038、これら誘電特性から計算されるEは0.0071であった。
[実施例3]
樹脂溶液bの代わりに、樹脂溶液fを使用したこと以外、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が82%の片面銅張積層板3Bを調製した。
片面銅張積層板3B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、ポリイミド層の厚みが50μmの両面銅張積層板3を調製した。両面銅張積層板3における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板3の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム3を調製した。このポリイミドフィルム3の誘電率ε;3.43、誘電正接Tanδ;0.0032、これら誘電特性から計算されるEは0.0059であった。
[実施例4]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約34μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約34μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、6層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが76μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が87%の片面銅張積層板4Bを調製した。
片面銅張積層板4B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが76μmの両面銅張積層板4を調製した。両面銅張積層板4における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板4の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム4を調製した。このポリイミドフィルム4の誘電率ε;3.20、誘電正接Tanδ;0.0032、これら誘電特性から計算されるEは0.0057であった。
[実施例5]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約35μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約34μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、5層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが76μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が90%の片面銅張積層板5Bを調製した。
片面銅張積層板5B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが76μmの両面銅張積層板5を調製した。両面銅張積層板5における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板5の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム5を調製した。このポリイミドフィルム5の誘電率ε;3.41、誘電正接Tanδ;0.0033、これら誘電特性から計算されるEは0.0061であった。
[実施例6]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液bを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約23μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、5層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が86%の片面銅張積層板6Bを調製した。
片面銅張積層板6B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが50μmの両面銅張積層板6を調製した。両面銅張積層板6における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板6の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム6を調製した。このポリイミドフィルム6の誘電率ε;3.45、誘電正接Tanδ;0.0039、これら誘電特性から計算されるEは0.0072であった。
[実施例7]
樹脂溶液bの代わりに、樹脂溶液eを使用したこと以外、実施例6と同様にして、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が86%の片面銅張積層板7Bを調製した。
片面銅張積層板7B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが50μmの両面銅張積層板7を調製した。両面銅張積層板7における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板7の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム7を調製した。このポリイミドフィルム7の誘電率ε;3.42、誘電正接Tanδ;0.0041、これら誘電特性から計算されるEは0.0076であった。
[実施例8]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液gを硬化後の厚みが約35μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液bを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約35μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、4層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが76μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が93%の片面銅張積層板8Bを調製した。
片面銅張積層板8B及び電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を準備し、実施例1と同様にして、樹脂積層体の厚みが76μmの両面銅張積層板8を調製した。両面銅張積層板8における銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板8の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム8を調製した。このポリイミドフィルム8の誘電率ε;3.34、誘電正接Tanδ;0.0037、これら誘電特性から計算されるEは0.0068であった。
[実施例9]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液fを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液bを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液gを硬化後の厚みが約23μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液bを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、5層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液gにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が86%の片面銅張積層板9Bを調製した。
片面銅張積層板9Bにおける銅箔ピール強度は1.0kN/mを超えていた。この片面銅張積層板9Bの銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム9を調製した。このポリイミドフィルム9の誘電率ε;3.44、誘電正接Tanδ;0.0043、これら誘電特性から計算されるEは0.0080であった。
[実施例10]
実施例4と同様にして、片面銅張積層板4Bを2つ準備し、ポリイミド層面同士で貼り合わせ、同時に一対の加熱ロール間に1m/分の速度で連続的に供給して熱圧着(ロール表面温度;390℃、ロール間の線圧;134kN/m)することで、樹脂積層体の厚みが152μmの両面銅張積層板10を調製した。両面銅張積層板10における熱圧着面のピール強度は1.0kN/mを超えていた。この両面銅張積層板10の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム10を調製した。このポリイミドフィルム10の誘電率ε;3.20、誘電正接Tanδ;0.0032、これら誘電特性から計算されるEは0.0057であった。
[比較例1]
長尺の電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)の表面に、樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液dを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液eを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液eを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。次に、その上に樹脂溶液dを硬化後の厚みが約21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し、溶媒を除去した。更に、その上に樹脂溶液cを硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、6層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結し、樹脂積層体の厚みが50μmで、樹脂積層体全体に対する非熱可塑性ポリイミド層(樹脂溶液dにより形成されたポリイミド層)の厚みの比率が82%の片面銅張積層板1’Bを調製した。
片面銅張積層板1’Bのポリイミド層と電解銅箔(Rz;0.8μm、Ra;0.2μm)を、同時に一対の加熱ロール間に4m/分の速度で連続的に供給して熱圧着(ロール表面温度;390℃、ロール間の線圧;134kN/m)することで、樹脂積層体の厚みが50μmの両面銅張積層板1’を調製した。この両面銅張積層板1’の銅箔をエッチング除去することによって、ポリイミドフィルム1’を調製した。このポリイミドフィルム1’の誘電率ε;3.08、誘電正接Tanδ;0.0071、これら誘電特性から計算されるEは0.0125であった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。
10A,10B…銅箔層、20A,20B…熱可塑性ポリイミド層、30A,30B…非熱可塑性ポリイミド層、40A,40B…熱可塑性ポリイミド層、50…樹脂積層体、60…接合面、70A,70B…片面CCL、100,100A…両面CCL

Claims (5)

  1. 少なくとも4層以上のポリイミド層からなる積層構造を有する樹脂積層体と、前記樹脂積層体の少なくとも片面に積層された金属層と、を備えた金属張積層板であって、
    前記樹脂積層体が、以下のi)~iv)の条件;
    i)全体の厚みが40~200μmの範囲内である;
    ii)前記金属層に接している第1のポリイミド層と、前記第1のポリイミド層に直接又は間接的に積層された第2のポリイミド層と、を含む;
    iii)前記樹脂積層体の全体の厚みに対する前記第2のポリイミド層の厚みの比率が、70~97%の範囲内である;
    iv)下記の数式(a)、
    =√ε×Tanδ ・・・(a)
    [ここで、εは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電率を示し、Tanδは、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)により測定される10GHzにおける誘電正接を示す]
    に基づき算出される、誘電特性を示す指標であるE値が0.009未満である;
    を満たすことを特徴とする金属張積層板。
  2. 前記第2のポリイミド層を構成するポリイミドが、酸無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドであって、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものであり、
    前記テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、
    3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導されるテトラカルボン酸残基(TAHQ残基)の少なくとも1種並びにピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(PMDA残基)及び2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(NTCDA残基)の少なくとも1種の合計が80モル部以上であり、
    前記BPDA残基及び前記TAHQ残基の少なくとも1種と、前記PMDA残基及び前記NTCDA残基の少なくとも1種とのモル比{(BPDA残基+TAHQ残基)/(PMDA残基+NTCDA残基)}が0.4~1.5の範囲内にある請求項1に記載の金属張積層板。
  3. 前記ジアミン成分が、全ジアミン成分に対して4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)を80モル%以上含有するものである請求項2に記載の金属張積層板。
  4. 前記樹脂積層体は、前記金属層側から、それぞれ、少なくとも前記第1のポリイミド層、前記第2のポリイミド層がこの順に積層された構造を有するものである請求項1に記載の金属張積層板。
  5. 請求項1に記載の金属張積層板の前記金属層を配線回路加工してなる回路基板。

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