JPWO2018117014A1 - 眼科用組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1].(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
(B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10
を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。
[2].(A)成分が、(A−2)ビタミンEである[1]記載の眼科用組成物。
[3].(B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].さらに、(C)テルペノイドを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[5].点眼剤である[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6].涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である[1]〜[5]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[7].高圧乳化による微細化工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の眼科用組成物を製造する方法。
(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上
これらは脂溶性ビタミンとして知られている成分である。
(A−1)ビタミンA
ビタミンAとしては、例えば、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステルが好ましい。
ビタミンEとしては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール、これらの塩、誘導体(エステル)を総称する意味で使用される。具体的には、例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等があり、これらの誘導体としては、例えば、ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、酢酸トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)が好ましい。(A)成分としては、(A−2)ビタミンEが好ましい。
本発明の(B)非イオン界面活性剤は、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油と記載する場合がある)、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油と記載する場合がある)、(B−3)その他の非イオン界面活性剤に分類され、これらから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤である。(B)成分としては、比較的高濃度配合しても組成物からの放出性を維持できるため、組成物の澄明性に有利である点から(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。さらに、組成物安定性の点から、非イオン界面活性剤は2種以上配合されていることがより好ましい。
ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)は、ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、3〜60モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレンヒマシ油3(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油35を用いることが好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)は、水添したヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、5〜100モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を用いることが好ましい。
(B−1)及び(B−2)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート80(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)(()内数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)に代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POEPOPグリコール)に代表されるポロクサマー、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10)に代表されるモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ただし、界面から脱着しにくいレシチンや水添レシチン、ホスファチジルコリンやホスファチジルグリセロール等のリン脂質類は涙液希釈によってビタミンA又は/及びビタミンEから分離せず、涙液油層へ移行されにくくなるため、実質的に含まれないことが好ましい。
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10、
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10、
であり、これを満たさないと目的とする(A)成分の放出性が得られない。上記比率は≦8が好ましい。なお、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])
の下限は特に限定されないが、透過率の観点から0.25超が好ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、張化剤、安定化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分等の油性成分と(B)成分等の界面活性剤成分との混合溶液を、水性成分を含む水溶液と混合して乳化し、pH調整後、総体積を水により調製することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。より好ましくは高圧乳化による微細化工程を行う。高圧乳化条件は、組成物の澄明性を向上させる観点からは高圧でパス回数を多くすることが好ましく、生産効率を向上させる観点からは低圧でパス回数を少なくすることが好ましく、噴射圧は100〜245MPaが好ましく、150〜245MPaがより好ましく、200〜245MPaがさらに好ましい。さらに背圧を印加することが好ましく、1〜10MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましい。さらにパス回数は1〜10回が好ましく、1〜5回がより好ましい。高圧乳化時の温度は20〜90℃の範囲から適宜選定される。
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」であることが好ましい。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。なお、水の配合量は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から、組成物中90.0〜99.5W/V%が好ましく、95.0〜98.0W/V%がより好ましい。
下記表に記載の各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃・15分間加温混合した。同時に、(A)成分と(B)成分のプレミックスを作製し、90℃・15分間加熱混合した。次に、プレミックスを水溶液に所定量加え、さらに90℃・15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、100mLになるように水を加えた。さらに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用い、噴射圧200MPa・背圧3MPaにて5回処理を行い、点眼剤(眼科用組成物)を調製した。得られた点眼剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、各実施例で得られた点眼剤の25℃における粘度は0.5〜2.0mPa・sの範囲であった。
ヒトの涙液は平均7μLと言われており点眼剤30〜60μLを点眼した場合、約1.12〜1.23倍希釈されることになる。本試験では組成物の涙液希釈によって可溶化していた(A)成分が、気液界面に浮遊してくること(放出性)を評価するため、モデル涙液として生理食塩水を使用し、希釈倍率約1.2倍で組成物を希釈した時の水面上への(A)成分遊離を観察した。観察を容易にするため開口部の狭いメスフラスコを使用した。具体的には、50mLメスフラスコに生理食塩水10mLを加え、さらに点眼剤を開口部まで注いだ。なお、開口部まで注いだときの希釈率が1.2倍となるメスフラスコを使用し、開口部の面積は152mm2であった。水面上の(A)成分の観察は、蛍光灯を光源として光を液面にあて、液面に浮かんでいる油の干渉光を観察し、水面に占める油の干渉光の面積の割合を算出し、以下の基準で評価した。なお、いずれの実施例と比較例において非希釈の場合は油の干渉光は観察されなかった。○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:水面の10%以上に油の干渉光が観察される
○:水面の10%未満に油の干渉光が観察される
×:油の干渉光は観察されない
モデル涙液油層としては、ウサギマイバムクロロホルム溶液を生理食塩水で模した水槽上に展開することで作製した油膜を使用した。マイバムの種によって脂質組成の違いはあるものの、膜の安定性はヒトマイバムとウサギマイバムで相違がないことが確認できたため入手の容易なウサギマイバムを用いることとした。ウサギから切り出した眼瞼(フナコシ(株))のマイボーム腺開口部付近を指で圧迫し、圧出されたマイバムをキムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)にて採取した。その後、そのキムワイプをガラスバイアルに入れ、クロロホルムとメタノールの1:1混液(容積比)に浸し、超音波10分処理し、液を別のガラスバイアルに移した。この操作を3回繰り返した。その後、上記クロロホルム・メタノール混液にて洗浄したテルモシリンジ(テルモ(株)製、50mL)とメンブランフィルター(メルクミリポア(株)製、Millex GP、0.22μm)を用いろ過し、乾燥重量を精密天秤((株)島津製作所製、XS−104)にて測定した。その後、クロロホルムをマイクロシリンジ(ハミルトン社製)にて0.5mg/mLになるように加え、ウサギマイバムを溶解し、−20℃冷凍庫にて保存した。使用の際は室温まで戻し、析出物がないことを確認した。35mmディッシュに生理食塩水1mLで水層を形成させ、ウサギマイバムクロロホルム溶液(0.5mg/mL)を100μL水面に展開し、各点眼剤を165μL添加し、UV(254nm)で1時間照射後、この溶液をバイアルに全量回収し、これに35%TCA(trichloro acetic acid)溶液を0.5mL、0.5%TBA(Thiobarbituric acid)溶液を1.0mL、0.2%BHT(butylated hydroxytoluene)溶液0.05mL、0.5%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を0.05mL加えた後、100℃で30分加熱した。冷却後、酢酸0.5mL、クロロホルム1.0mLを加えて攪拌後、遠心分離(3,000rpm×10分)を行い、上層の吸光度を532nmで測定した。ブランクは上記方法においてウサギマイバムクロロホルム溶液を展開しない以外は同等の操作を行ったときの吸光度とした。得られた吸光度から、下記式に基づき、涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)を算出した。結果を下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)=
(1−(点眼剤添加時の吸光度−ブランク)/(点眼剤非添加時の吸光度−ブランク))×100
[評価基準]
◎:50%以上
○:30%以上50%未満
●:10%以上30%未満
×:10%未満
健常人3名に各点眼剤を30μLずつ両眼に点眼し、VDT作業(コンピューター作業)を課し、点眼前、点眼10分後、点眼60分後における眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の自覚症状を0(全く感じない)〜10(非常に感じる)でスコア化した。結果を、3人の平均から下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:60分後5点未満(10分後5点未満の中で60分後も5点未満のもの)
○:10分後5点未満
●:10分後5点以上7点未満
×:10分後7点以上
製造直後の点眼剤を、日立分光光度計U−3310を用いて、波長600nmの透過率を測定した。70%以上を合格とする。
レチノールパルミチン酸エステル(DSMニュートリションジャパン(株)製)
酢酸d−α−トコフェロール(理研Eアセテートα、理研ビタミン(株)製)
流動パラフィン(KAYDOL、島貿易(株)製)
ヒマシ油(マルトクA、伊藤製油(株)製)
ゴマ油((株)カネダ製)
ポリオキシエチレンヒマシ油35:酸化エチレンの平均付加モル数35(ユニオックスC35、日油(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO40、日本サーファクタント工業(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*1:酸化エチレンの平均付加モル数10(MYS10V、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*2:酸化エチレンの平均付加モル数40(MYS40MV、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*3:酸化エチレンの平均付加モル数100(EMALEX8100、日本エマルション(株)製)
POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80、花王(株)製)
POEPOPグリコール(ポリオキシエチレン(196)−ポリオキシプロピレン(67)ブロックコポリマー(LutrolF127、BASFジャパン(株)製)
ホウ酸(小堺製薬(株)製)
トロメタモール(関東化学(株)製)
エデト酸ナトリウム水和物(クワレットN、ナガセケムテックス(株)製)
塩化ナトリウム(富田製薬(株)製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
メントール(l−メントール、鈴木薄荷(株)製)
dl−カンフル(日本精化(株)製)
ボルネオール(d−ボルネオール、柳沢正巳商店(株)製)
ゲラニオール(高砂香料工業(株)製)
シネオール(高砂香料工業(株)製)
リナロール(高砂香料工業(株)製)
ベルガモット油(山本香料(株)製)
ユーカリ油(小川香料(株)製)
[1].(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
(B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)]≦10
を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。
[2].(A)成分が、(A−2)ビタミンEである[1]記載の眼科用組成物。
[3].(B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].さらに、(C)テルペノイドを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[5].点眼剤である[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6].涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である[1]〜[5]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[7].高圧乳化による微細化工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の眼科用組成物を製造する方法。
(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上
これらは脂溶性ビタミンとして知られている成分である。
(A−1)ビタミンA
ビタミンAとしては、例えば、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステルが好ましい。
ビタミンEとしては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール、これらの塩、誘導体(エステル)を総称する意味で使用される。具体的には、例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等があり、これらの誘導体としては、例えば、ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、酢酸トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)が好ましい。(A)成分としては、(A−2)ビタミンEが好ましい。
本発明の(B)非イオン界面活性剤は、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油と記載する場合がある)、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油と記載する場合がある)、(B−3)その他の非イオン界面活性剤に分類され、これらから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤である。(B)成分としては、比較的高濃度配合しても組成物からの放出性を維持できるため、組成物の澄明性に有利である点から(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。さらに、組成物安定性の点から、非イオン界面活性剤は2種以上配合されていることがより好ましい。
ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)は、ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、3〜60モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレンヒマシ油3(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油35を用いることが好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)は、水添したヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、5〜100モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を用いることが好ましい。
(B−1)及び(B−2)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)(()内数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)に代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POEPOPグリコール)に代表されるポロクサマー、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10)に代表されるモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ただし、界面から脱着しにくいレシチンや水添レシチン、ホスファチジルコリンやホスファチジルグリセロール等のリン脂質類は涙液希釈によってビタミンA又は/及びビタミンEから分離せず、涙液油層へ移行されにくくなるため、実質的に含まれないことが好ましい。
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)]≦10、
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)]≦10、
であり、これを満たさないと目的とする(A)成分の放出性が得られない。上記比率は≦8が好ましい。なお、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)]
の下限は特に限定されないが、透過率の観点から0.25超が好ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、安定化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分等の油性成分と(B)成分等の界面活性剤成分との混合溶液を、水性成分を含む水溶液と混合して乳化し、pH調整後、総体積を水により調整することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。より好ましくは高圧乳化による微細化工程を行う。高圧乳化条件は、組成物の澄明性を向上させる観点からは高圧でパス回数を多くすることが好ましく、生産効率を向上させる観点からは低圧でパス回数を少なくすることが好ましく、噴射圧は100〜245MPaが好ましく、150〜245MPaがより好ましく、200〜245MPaがさらに好ましい。さらに背圧を印加することが好ましく、1〜10MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましい。さらにパス回数は1〜10回が好ましく、1〜5回がより好ましい。高圧乳化時の温度は20〜90℃の範囲から適宜選定される。
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」であることが好ましい。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。なお、水の配合量は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から、組成物中90.0〜99.5W/V%が好ましく、95.0〜98.0W/V%がより好ましい。
下記表に記載の各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃・15分間加温混合した。同時に、(A)成分と(B)成分のプレミックスを作製し、90℃・15分間加熱混合した。次に、プレミックスを水溶液に所定量加え、さらに90℃・15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、100mLになるように水を加えた。さらに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用い、噴射圧200MPa・背圧3MPaにて5回処理を行い、点眼剤(眼科用組成物)を調製した。得られた点眼剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、各実施例で得られた点眼剤の25℃における粘度は0.5〜2.0mPa・sの範囲であった。
ヒトの涙液は平均7μLと言われており点眼剤30〜60μLを点眼した場合、約1.12〜1.23倍希釈されることになる。本試験では組成物の涙液希釈によって可溶化していた(A)成分が、気液界面に浮遊してくること(放出性)を評価するため、モデル涙液として生理食塩水を使用し、希釈倍率約1.2倍で組成物を希釈した時の水面上への(A)成分遊離を観察した。観察を容易にするため開口部の狭いメスフラスコを使用した。具体的には、50mLメスフラスコに生理食塩水10mLを加え、さらに点眼剤を開口部まで注いだ。なお、開口部まで注いだときの希釈率が1.2倍となるメスフラスコを使用し、開口部の面積は152mm2であった。水面上の(A)成分の観察は、蛍光灯を光源として光を液面にあて、液面に浮かんでいる油の干渉光を観察し、水面に占める油の干渉光の面積の割合を算出し、以下の基準で評価した。なお、いずれの実施例と比較例において非希釈の場合は油の干渉光は観察されなかった。○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:水面の10%以上に油の干渉光が観察される
○:水面の10%未満に油の干渉光が観察される
×:油の干渉光は観察されない
モデル涙液油層としては、ウサギマイバムクロロホルム溶液を生理食塩水で模した水槽上に展開することで作製した油膜を使用した。マイバムの種によって脂質組成の違いはあるものの、膜の安定性はヒトマイバムとウサギマイバムで相違がないことが確認できたため入手の容易なウサギマイバムを用いることとした。ウサギから切り出した眼瞼(フナコシ(株))のマイボーム腺開口部付近を指で圧迫し、圧出されたマイバムをキムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)にて採取した。その後、そのキムワイプをガラスバイアルに入れ、クロロホルムとメタノールの1:1混液(容積比)に浸し、超音波10分処理し、液を別のガラスバイアルに移した。この操作を3回繰り返した。その後、上記クロロホルム・メタノール混液にて洗浄したテルモシリンジ(テルモ(株)製、50mL)とメンブランフィルター(メルクミリポア(株)製、Millex GP、0.22μm)を用いろ過し、乾燥重量を精密天秤((株)島津製作所製、XS−104)にて測定した。その後、クロロホルムをマイクロシリンジ(ハミルトン社製)にて0.5mg/mLになるように加え、ウサギマイバムを溶解し、−20℃冷凍庫にて保存した。使用の際は室温まで戻し、析出物がないことを確認した。35mmディッシュに生理食塩水1mLで水層を形成させ、ウサギマイバムクロロホルム溶液(0.5mg/mL)を100μL水面に展開し、各点眼剤を165μL添加し、UV(254nm)で1時間照射後、この溶液をバイアルに全量回収し、これに35%TCA(trichloro acetic acid)溶液を0.5mL、0.5%TBA(Thiobarbituric acid)溶液を1.0mL、0.2%BHT(butylated hydroxytoluene)溶液0.05mL、0.5%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を0.05mL加えた後、100℃で30分加熱した。冷却後、酢酸0.5mL、クロロホルム1.0mLを加えて攪拌後、遠心分離(3,000rpm×10分)を行い、上層の吸光度を532nmで測定した。ブランクは上記方法においてウサギマイバムクロロホルム溶液を展開しない以外は同等の操作を行ったときの吸光度とした。得られた吸光度から、下記式に基づき、涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)を算出した。結果を下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)=
(1−(点眼剤添加時の吸光度−ブランク)/(点眼剤非添加時の吸光度−ブランク))×100
[評価基準]
◎:50%以上
○:30%以上50%未満
●:10%以上30%未満
×:10%未満
健常人3名に各点眼剤を30μLずつ両眼に点眼し、VDT作業(コンピューター作業)を課し、点眼前、点眼10分後、点眼60分後における眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の自覚症状を0(全く感じない)〜10(非常に感じる)でスコア化した。結果を、3人の平均から下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:60分後5点未満(10分後5点未満の中で60分後も5点未満のもの)
○:10分後5点未満
●:10分後5点以上7点未満
×:10分後7点以上
製造直後の点眼剤を、日立分光光度計U−3310を用いて、波長600nmの透過率を測定した。70%以上を合格とする。
レチノールパルミチン酸エステル(DSMニュートリションジャパン(株)製)
酢酸d−α−トコフェロール(理研Eアセテートα、理研ビタミン(株)製)
流動パラフィン(KAYDOL、島貿易(株)製)
ヒマシ油(マルトクA、伊藤製油(株)製)
ゴマ油((株)カネダ製)
ポリオキシエチレンヒマシ油35:酸化エチレンの平均付加モル数35(ユニオックスC35、日油(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO40、日本サーファクタント工業(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*1:酸化エチレンの平均付加モル数10(MYS10V、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*2:酸化エチレンの平均付加モル数40(MYS40MV、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*3:酸化エチレンの平均付加モル数100(EMALEX8100、日本エマルション(株)製)
POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80、花王(株)製)
POEPOPグリコール(ポリオキシエチレン(196)−ポリオキシプロピレン(67)ブロックコポリマー(LutrolF127、BASFジャパン(株)製)
ホウ酸(小堺製薬(株)製)
トロメタモール(関東化学(株)製)
エデト酸ナトリウム水和物(クレワットN、ナガセケムテックス(株)製)
塩化ナトリウム(富田製薬(株)製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
メントール(l−メントール、鈴木薄荷(株)製)
dl−カンフル(日本精化(株)製)
ボルネオール(d−ボルネオール、柳沢正巳商店(株)製)
ゲラニオール(高砂香料工業(株)製)
シネオール(高砂香料工業(株)製)
リナロール(高砂香料工業(株)製)
ベルガモット油(山本香料(株)製)
ユーカリ油(小川香料(株)製)
Claims (7)
- (A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
(B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10
を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。 - (A)成分が、(A−2)ビタミンEである請求項1記載の眼科用組成物。
- (B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む請求項1又は2記載の眼科用組成物。
- さらに、(C)テルペノイドを含む請求項1〜3のいずれか1項記載の眼科用組成物。
- 点眼剤である請求項1〜4のいずれか1項記載の眼科用組成物。
- 涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である請求項1〜5のいずれか1項記載の眼科用組成物。
- 高圧乳化による微細化工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の眼科用組成物を製造する方法。
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