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JPWO2018117014A1 - 眼科用組成物及びその製造方法 - Google Patents

眼科用組成物及びその製造方法 Download PDF

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JPWO2018117014A1
JPWO2018117014A1 JP2018557757A JP2018557757A JPWO2018117014A1 JP WO2018117014 A1 JPWO2018117014 A1 JP WO2018117014A1 JP 2018557757 A JP2018557757 A JP 2018557757A JP 2018557757 A JP2018557757 A JP 2018557757A JP WO2018117014 A1 JPWO2018117014 A1 JP WO2018117014A1
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雅貴 吉田
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Abstract

(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、(B)非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/(A)、[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。

Description

本発明は、ビタミンA及びビタミンEから選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物に関するものである。
涙液油層は、涙の水分の蒸発を防いだり、異物を除去するため眼の機能維持にはなくてはならないものであり、その役割を十分に果たすためには眼表面で安定であることが必要である。この涙液油層はマイボーム腺から分泌される脂質(マイバム)から構成されており、主な成分はワックスエステル、コレステロールエステル、リン脂質等である。一方、これら成分は加齢やホルモン変化によって飽和脂質の割合が増加し、涙液油層の安定化に影響して、涙液水層の蒸発が亢進されドライアイ症状が誘発される原因ともなる。さらに眼疲労とも深い関係があると言われている。特に、マイボーム腺機能不全では、脂質の飽和化が過度に進行し、上記症状が悪化することが知られている。一方、涙液油層から過酸化脂質が発生することによっても眼の不快症状を誘発することが報告されている。涙液油層から過酸化脂質が発生する原因は、紫外線やブルーライト等の短波長の光による酸化等が挙げられる。近年ブルーライトの発生源であるVDT機器での作業時間が長時間化しているため、酸化のリスクが増加していると考えられる。
涙液油層における過酸化脂質発生を抑制するには、点眼剤等の眼科用組成物により抗酸化成分を涙液油層に供給することが考えられる。しかしながら、従来の眼科用組成物では涙液油層へ抗酸化成分が十分に移行されずに結膜嚢から排出されてしまい、過酸化脂質発生を抑制する効果は不十分であった。
特開2013−253063号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、脂溶性抗酸化成分であるビタミンAやビタミンEが涙液希釈によって組成物から放出(以下、(A)成分の組成物からの放出性と記載する場合がある)されやすく、それらを涙液油層に供給でき、過酸化脂質の発生を抑制でき、さらには、過酸化脂質に起因する不快症状を予防できる組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非イオン界面活性剤の種類と比率を限定した組成物とすることにより、点眼後に涙液に希釈されることでビタミンA及び/又はビタミンEが組成物から放出(分離・浮遊)し、これらを涙液油層に供給できることを見出した。さらに、本発明の組成物は過酸化脂質の発生を抑制でき、さらには、過酸化脂質に起因する眼の疲れ、眼のぼやけ・かすみ、眼の乾き、異物感、眼の痛み、眼がまぶしい、眼が重い、眼のかゆみ、眼の不快感、眼脂、流涙、充血等の眼の不快症状を予防することができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記眼科用組成物及びその製造方法を提供する。
[1].(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
(B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10
を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。
[2].(A)成分が、(A−2)ビタミンEである[1]記載の眼科用組成物。
[3].(B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].さらに、(C)テルペノイドを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[5].点眼剤である[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6].涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である[1]〜[5]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[7].高圧乳化による微細化工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の眼科用組成物を製造する方法。
ビタミンA、ビタミンE等が涙液希釈によって放出され、それらを涙液油層に十分に供給でき、過酸化脂質の発生を抑制し、さらには、過酸化脂質に起因する眼の不快症状を予防できる眼科用組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上
これらは脂溶性ビタミンとして知られている成分である。
(A−1)ビタミンA
ビタミンAとしては、例えば、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステルが好ましい。
(A−2)ビタミンE
ビタミンEとしては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール、これらの塩、誘導体(エステル)を総称する意味で使用される。具体的には、例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等があり、これらの誘導体としては、例えば、ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、酢酸トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)が好ましい。(A)成分としては、(A−2)ビタミンEが好ましい。
(A−1)成分と(A−2)成分の合計量は、眼科用組成物中0.0001〜1W/V%(質量/容積%,g/100mL、以下同じ。)が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.01〜0.1W/V%が特に好ましい。0.0001W/V%以上とすることで、抗酸化効果がより発揮され、1W/V%以上では眼刺激を感じやすくなる。
本発明において、(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1である。この比率が0.1を超えると、(A)成分の組成物からの放出性が不十分となる。
なお、(A−1)成分の配合量は、組成物からの放出性の観点からは上記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0〜0.1W/V%が好ましく、0W/V%でもよい。一方、過酸化脂質抑制の観点からは、0.005W/V%以上含むことが好ましい。(A−2)成分の配合量は、上記比率を満たしていれば特に限定されないが、0.00009〜1W/V%が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.01〜0.1W/V%がさらに好ましい。
(B)非イオン界面活性剤
本発明の(B)非イオン界面活性剤は、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油と記載する場合がある)、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油と記載する場合がある)、(B−3)その他の非イオン界面活性剤に分類され、これらから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤である。(B)成分としては、比較的高濃度配合しても組成物からの放出性を維持できるため、組成物の澄明性に有利である点から(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。さらに、組成物安定性の点から、非イオン界面活性剤は2種以上配合されていることがより好ましい。
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)は、ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、3〜60モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレンヒマシ油3(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油35を用いることが好ましい。
(B−1)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、0.00001W/V%以上がより好ましい。上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは1.0W/V%以下が好ましい。
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)は、水添したヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、5〜100モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を用いることが好ましい。
(B−2)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、0.00001W/V%以上がより好ましい。上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは1.0W/V%以下が好ましい。
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
(B−1)及び(B−2)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート80(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)(()内数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)に代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POEPOPグリコール)に代表されるポロクサマー、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10)に代表されるモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ただし、界面から脱着しにくいレシチンや水添レシチン、ホスファチジルコリンやホスファチジルグリセロール等のリン脂質類は涙液希釈によってビタミンA又は/及びビタミンEから分離せず、涙液油層へ移行されにくくなるため、実質的に含まれないことが好ましい。
(B−3)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、より好ましくは0.00001W/V%以上であり、上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは0.5W/V%以下が好ましい。
(B)成分の非イオン界面活性剤は下記のような比率で配合する。なお、下記比率はW/V%比であるが、質量比と同じ値となる。
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10、
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]は(B)成分の配合下限であり、(A)成分に対する(B)非イオン界面活性剤の量を規定したものである。0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]を満たさないと、均一な組成物にならず、目的とする透過率が得られない。なお、上記比率は0.1≦がより好ましく、0.5≦がさらに好ましい。なお、[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]の上限は特に限定されないが、(A)成分の組成物からの放出性の観点から2.0以下が好ましい。
一方、配合上限は、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10、
であり、これを満たさないと目的とする(A)成分の放出性が得られない。上記比率は≦8が好ましい。なお、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])
の下限は特に限定されないが、透過率の観点から0.25超が好ましい。
配合条件を決定する上記式は、(A−1)、(A−2)に対する(B−1)、(B−2)、(B−3)の量を規定したものである。(B)非イオン界面活性剤の種類により(A)の配合条件が異なるため、(B)成分の種類に対してそれぞれ固有の係数で除している。固有の係数は、例えば、(B−1)/0.25と(B−3)/0.1に関して比較すると、(B−1)の配合上限が(B−3)の2.5倍高いことを意味している。また、(A)成分の種類によって、(B)成分の各活性剤配合上限が異なるため、[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]は、(A−1)に対する各(B)成分の配合上限に関する式を表し、[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]は、(A−2)に対する各(B)成分の配合上限に関する式を表す。それらを(A)成分の和(A−1)+(A−2)で除している。さらに、(A−1)と(A−2)の両者を含む場合その配合割合によって影響力が大小するため、その重み付けとして(A−1)/[(A−1)+(A−2)]と(A−2)/[(A−1)+(A−2)]をかけている。
例えば、(A−2)成分1.0W/V%の場合、(B−1)単独であれば、0.05W/V%超、1.0W/V%以下、(B−2)単独であれば、0.05W/V%超、2.0W/V%以下、(B−3)単独であれば、0.05W/V%超、0.5W/V%以下とする必要がある。(A−1)と(A−2)の複合組成の場合、例えば、(A−1)成分0.1W/V%、(A−2)成分0.9W/V%の場合、(B−1)単独であれば、0.05W/V%超、1.1W/V%以下、(B−2)単独であれば0.05W/V%超、0.7W/V%以下、(B−3)単独であれば0.05W/V%超、0.5W/V%以下とする必要がある。
なお、塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムに代表される陽イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウムやソルビン酸又はその塩に代表される陰イオン性界面活性剤、ラウラミンオキシドに代表される両性界面活性剤は、涙液希釈による(A)成分と界面活性剤の分離を阻害し、(A)成分が涙液油層へ移行されにくくなるため、組成物中に0.1W/V%以下がより好ましく、0.01W/V%以下とすることがさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本発明の眼科用組成物は、さらに(C)テルペノイドを含有するとよい。テルペノイドの配合により、(A)成分の組成物からの放出性を高める等、放出性を調整することができ、さらに過酸化脂質の発生を抑制する効果を高めることができる。本発明におけるテルペノイドとは、イソプレンユニットを構成単位とする構造を有するもので、例えば、テルペン炭化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン等が挙げられる。また、炭素数により、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペンがある。具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、リュウノウ、ゲラニオール、シネオール、リナロール、シトロネロール及びリモネン等のモノテルペン、レチノール及びレチナール等のジテルペン、カロチノイド等のテトラテルペン等が挙げられる。中でも、モノテルペンを使用することが好ましい。これらのテルペノイドは、d体、l体又はdl体のいずれでも使用することができる。中でも、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロールが好ましく、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロールがより好ましい。なお、本発明において、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ローズ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、及びフタバガキ科植物の精油、ロズマリン油、ラベンダー油等が挙げられる。(A)成分の組成物からの放出性を高める点から、ベルガモット油、ユーカリ油が好ましい。
(C)成分の配合量は、組成物中0.0001〜0.2W/V%であり、(C)成分の種類、(B)成分等の他の配合成分及びその配合量等から適宜選定され、0.001〜0.1W/V%が好ましい。この配合濃度範囲では、他の配合成分の種類や配合量に関わらず、(C)テルペノイドが析出するおそれが少ない。また、過酸化脂質発生抑制の観点から0.005W/V%以上がさらに好ましく、刺激感を低減する観点から0.075W/V%以下がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、張化剤、安定化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
油成分として、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、ゴマ油、コーン油、ヤシ油、アーモンド油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、白色ワセリン、精製ラノリン、コレステロール、ミックストコフェロール、流動パラフィン等が挙げられる。油成分の配合量は組成物中0.001〜1.0W/V%が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.001〜0.25W/V%が最も好ましい。
防腐剤の中でもアルキル鎖やベンゼン環等の疎水部を有する防腐剤として、チロメサール、フェニルエチルアルコール、アルキルアミノエチルグリシン、クロルヘキシジングルコン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等が挙げられるが、(A)成分が、涙液油層へ移行されにくくなるため、組成物中に0.1W/V%以下が好ましく、0.01W/V%以下がさらに好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
糖類としては、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。なお、これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。糖類の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、氷酢酸、トロメタモール、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜2W/V%がより好ましく、0.001〜1W/V%がさらに好ましい。
pH調整剤としては、無機酸又は無機アルカリ剤が挙げられる。例えば、無機酸としては(希)塩酸が挙げられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。組成物のpHは3.5〜8.0が好ましく、5.5〜8.0がより好ましい。なお、pHの測定は、25℃でpHメータ(HM−25R、東亜ディーケーケー(株))を用いて行う。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられ、等張化されていることが好ましい。組成物の対生理食塩水浸透圧比は、0.60〜2.00が好ましく、0.60〜1.55がより好ましく、0.83〜1.20が最も好ましい。なお、浸透圧の測定は、25℃で自動浸透圧計(A2O、アドバンスドインストルメンツ社)を用いて行う。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、シクロデキストリン、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。安定化剤の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。ジブチルヒドロキシトルエンは涙液希釈による(A)成分と界面活性剤との分離を阻害し、(A)成分が涙液油層へ供給されにくくなるため、実質的に含まないことがより好ましい。
多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。多価アルコールを配合する場合、多価アルコールの配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
粘稠剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。粘稠剤を配合する場合、その配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
薬物(薬学的有効成分)としては、例えば、充血除去成分(例えば、エピネフリン、塩酸エピネフリン、エフェドリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリン塩酸塩、ナファゾリン硝酸塩、フェニレフリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩等)、消炎・収斂剤(例えば、ネオスチグミンメチル硫酸塩、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリン塩化物水和物、ベルベリン硫酸塩水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム塩酸塩等)、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等)、水溶性ビタミン類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等)、アミノ酸類(例えば、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等)、サルファ剤等が挙げられる。薬物を配合する場合、薬物の含有量は、各薬物の有効な適性量を選択することができるが組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
[製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分等の油性成分と(B)成分等の界面活性剤成分との混合溶液を、水性成分を含む水溶液と混合して乳化し、pH調整後、総体積を水により調製することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。より好ましくは高圧乳化による微細化工程を行う。高圧乳化条件は、組成物の澄明性を向上させる観点からは高圧でパス回数を多くすることが好ましく、生産効率を向上させる観点からは低圧でパス回数を少なくすることが好ましく、噴射圧は100〜245MPaが好ましく、150〜245MPaがより好ましく、200〜245MPaがさらに好ましい。さらに背圧を印加することが好ましく、1〜10MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましい。さらにパス回数は1〜10回が好ましく、1〜5回がより好ましい。高圧乳化時の温度は20〜90℃の範囲から適宜選定される。
また、得られた組成物を樹脂製容器に充填後、さらに包装体により密封し、上記容器と上記包装体との間に形成された空間に不活性ガス濃度を封入してもよく、眼科用組成物を樹脂製容器に充填し、脱酸素剤と共に包装体により密封してもよい。
[眼科用組成物]
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」であることが好ましい。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。なお、水の配合量は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から、組成物中90.0〜99.5W/V%が好ましく、95.0〜98.0W/V%がより好ましい。
本発明の組成物は目への適応を容易にする点から液体が好ましく、25℃における粘度は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以下がさらに好ましく、2mPa・s以下が特に好ましい。なお、粘度の測定方法はコーンプレート型粘度計(DV2T、英弘精機(株))を用いて行う。
本発明の組成物は異物混入時の発見を容易にする点から、澄明であることが好ましい。具体的には分光光度計(UV−1800、(株)島津製作所)を用いて測定した波長600nmの透過率が70%以上であり、70〜100%が好ましく、75〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。
本発明の組成物中に含有される界面活性剤と(A)成分の会合体の中位径は粒子径測定装置(ELSZ−200ZS、大塚電子(株)製)にて測定し、組成物安定性の点から1〜200nmが好ましく、1〜100nmがより好ましく、1〜60nmがさらに好ましく、1〜40nmが特に好ましい。
本発明の組成物は、点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤、洗眼剤等として好適に使用できるが、涙液希釈倍率が高く、(A)成分からの界面活性剤の離脱がより促進され、(A)成分の組成物からの放出性が向上し、(A)成分の涙液油層への供給が効率的に行われる点から、特に点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤(コンタクトレンズ装着者用点眼剤)等の点眼剤として好適に使用できる。コンタクトレンズとしては、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ等特に限定されない。
点眼剤又はコンタクトレンズ用点眼剤として使用する場合、1回につき10〜100μLを1〜3滴1日につき1〜6回点眼することが好ましく、目からあふれ出すことにより過酸化脂質発生抑制効果が減ずるおそれがあるため、1回につき10〜50μLを1〜3滴1日につき1〜6回がより好ましく、1回につき10〜30μLを1〜3滴1日につき1〜6回がさらに好ましい。洗眼剤として使用する場合、1回につき3〜6mL、1日につき3〜6回洗眼することが好ましい。
本発明の組成物はVDT作業や紫外線等による涙液脂質の酸化を防ぎ、過酸化脂質による眼の不快症状(眼の疲れ、眼のぼやけ・かすみ、眼の乾き、異物感、眼の痛み、眼がまぶしい、眼が重い、眼のかゆみ、眼の不快感、眼脂、流涙、充血等)の予防効果があるため、涙液油層の過酸化脂質発生抑制用、過酸化脂質による眼の不快症状予防用として有効であり、特に眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の症状の改善用に有効である。
有効量、投与方法、製剤化等は上記に記載した通りであり、例えば、(A)成分量として、成人1人当たり0.0001〜1mgを、1日1〜6回に分けて、眼に投与する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」はW/V%である。比率はW/V%比であり、質量比と同じ値となる。
[実施例、比較例]
下記表に記載の各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃・15分間加温混合した。同時に、(A)成分と(B)成分のプレミックスを作製し、90℃・15分間加熱混合した。次に、プレミックスを水溶液に所定量加え、さらに90℃・15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、100mLになるように水を加えた。さらに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用い、噴射圧200MPa・背圧3MPaにて5回処理を行い、点眼剤(眼科用組成物)を調製した。得られた点眼剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、各実施例で得られた点眼剤の25℃における粘度は0.5〜2.0mPa・sの範囲であった。
[希釈による(A)成分の放出性]
ヒトの涙液は平均7μLと言われており点眼剤30〜60μLを点眼した場合、約1.12〜1.23倍希釈されることになる。本試験では組成物の涙液希釈によって可溶化していた(A)成分が、気液界面に浮遊してくること(放出性)を評価するため、モデル涙液として生理食塩水を使用し、希釈倍率約1.2倍で組成物を希釈した時の水面上への(A)成分遊離を観察した。観察を容易にするため開口部の狭いメスフラスコを使用した。具体的には、50mLメスフラスコに生理食塩水10mLを加え、さらに点眼剤を開口部まで注いだ。なお、開口部まで注いだときの希釈率が1.2倍となるメスフラスコを使用し、開口部の面積は152mm2であった。水面上の(A)成分の観察は、蛍光灯を光源として光を液面にあて、液面に浮かんでいる油の干渉光を観察し、水面に占める油の干渉光の面積の割合を算出し、以下の基準で評価した。なお、いずれの実施例と比較例において非希釈の場合は油の干渉光は観察されなかった。○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:水面の10%以上に油の干渉光が観察される
○:水面の10%未満に油の干渉光が観察される
×:油の干渉光は観察されない
[紫外線照射による涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)]
モデル涙液油層としては、ウサギマイバムクロロホルム溶液を生理食塩水で模した水槽上に展開することで作製した油膜を使用した。マイバムの種によって脂質組成の違いはあるものの、膜の安定性はヒトマイバムとウサギマイバムで相違がないことが確認できたため入手の容易なウサギマイバムを用いることとした。ウサギから切り出した眼瞼(フナコシ(株))のマイボーム腺開口部付近を指で圧迫し、圧出されたマイバムをキムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)にて採取した。その後、そのキムワイプをガラスバイアルに入れ、クロロホルムとメタノールの1:1混液(容積比)に浸し、超音波10分処理し、液を別のガラスバイアルに移した。この操作を3回繰り返した。その後、上記クロロホルム・メタノール混液にて洗浄したテルモシリンジ(テルモ(株)製、50mL)とメンブランフィルター(メルクミリポア(株)製、Millex GP、0.22μm)を用いろ過し、乾燥重量を精密天秤((株)島津製作所製、XS−104)にて測定した。その後、クロロホルムをマイクロシリンジ(ハミルトン社製)にて0.5mg/mLになるように加え、ウサギマイバムを溶解し、−20℃冷凍庫にて保存した。使用の際は室温まで戻し、析出物がないことを確認した。35mmディッシュに生理食塩水1mLで水層を形成させ、ウサギマイバムクロロホルム溶液(0.5mg/mL)を100μL水面に展開し、各点眼剤を165μL添加し、UV(254nm)で1時間照射後、この溶液をバイアルに全量回収し、これに35%TCA(trichloro acetic acid)溶液を0.5mL、0.5%TBA(Thiobarbituric acid)溶液を1.0mL、0.2%BHT(butylated hydroxytoluene)溶液0.05mL、0.5%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を0.05mL加えた後、100℃で30分加熱した。冷却後、酢酸0.5mL、クロロホルム1.0mLを加えて攪拌後、遠心分離(3,000rpm×10分)を行い、上層の吸光度を532nmで測定した。ブランクは上記方法においてウサギマイバムクロロホルム溶液を展開しない以外は同等の操作を行ったときの吸光度とした。得られた吸光度から、下記式に基づき、涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)を算出した。結果を下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)=
(1−(点眼剤添加時の吸光度−ブランク)/(点眼剤非添加時の吸光度−ブランク))×100
[評価基準]
◎:50%以上
○:30%以上50%未満
●:10%以上30%未満
×:10%未満
[VDT作業による症状予防効果]
健常人3名に各点眼剤を30μLずつ両眼に点眼し、VDT作業(コンピューター作業)を課し、点眼前、点眼10分後、点眼60分後における眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の自覚症状を0(全く感じない)〜10(非常に感じる)でスコア化した。結果を、3人の平均から下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:60分後5点未満(10分後5点未満の中で60分後も5点未満のもの)
○:10分後5点未満
●:10分後5点以上7点未満
×:10分後7点以上
[透過率]
製造直後の点眼剤を、日立分光光度計U−3310を用いて、波長600nmの透過率を測定した。70%以上を合格とする。
Figure 2018117014
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上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
レチノールパルミチン酸エステル(DSMニュートリションジャパン(株)製)
酢酸d−α−トコフェロール(理研Eアセテートα、理研ビタミン(株)製)
流動パラフィン(KAYDOL、島貿易(株)製)
ヒマシ油(マルトクA、伊藤製油(株)製)
ゴマ油((株)カネダ製)
ポリオキシエチレンヒマシ油35:酸化エチレンの平均付加モル数35(ユニオックスC35、日油(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO40、日本サーファクタント工業(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*1:酸化エチレンの平均付加モル数10(MYS10V、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*2:酸化エチレンの平均付加モル数40(MYS40MV、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*3:酸化エチレンの平均付加モル数100(EMALEX8100、日本エマルション(株)製)
POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80、花王(株)製)
POEPOPグリコール(ポリオキシエチレン(196)−ポリオキシプロピレン(67)ブロックコポリマー(LutrolF127、BASFジャパン(株)製)
ホウ酸(小堺製薬(株)製)
トロメタモール(関東化学(株)製)
エデト酸ナトリウム水和物(クワレットN、ナガセケムテックス(株)製)
塩化ナトリウム(富田製薬(株)製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
メントール(l−メントール、鈴木薄荷(株)製)
dl−カンフル(日本精化(株)製)
ボルネオール(d−ボルネオール、柳沢正巳商店(株)製)
ゲラニオール(高砂香料工業(株)製)
シネオール(高砂香料工業(株)製)
リナロール(高砂香料工業(株)製)
ベルガモット油(山本香料(株)製)
ユーカリ油(小川香料(株)製)
本発明は、ビタミンA及びビタミンEから選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物 及びその製造方法に関するものである。
涙液油層は、涙の水分の蒸発を防いだり、異物を除去するため眼の機能維持にはなくてはならないものであり、その役割を十分に果たすためには眼表面で安定であることが必要である。この涙液油層はマイボーム腺から分泌される脂質(マイバム)から構成されており、主な成分はワックスエステル、コレステロールエステル、リン脂質等である。一方、これら成分は加齢やホルモン変化によって飽和脂質の割合が増加し、涙液油層の安定化に影響して、涙液水層の蒸発が亢進されドライアイ症状が誘発される原因ともなる。さらに眼疲労とも深い関係があると言われている。特に、マイボーム腺機能不全では、脂質の飽和化が過度に進行し、上記症状が悪化することが知られている。一方、涙液油層から過酸化脂質が発生することによっても眼の不快症状を誘発することが報告されている。涙液油層から過酸化脂質が発生する原因は、紫外線やブルーライト等の短波長の光による酸化等が挙げられる。近年ブルーライトの発生源であるVDT機器での作業時間が長時間化しているため、酸化のリスクが増加していると考えられる。
涙液油層における過酸化脂質発生を抑制するには、点眼剤等の眼科用組成物により抗酸化成分を涙液油層に供給することが考えられる。しかしながら、従来の眼科用組成物では涙液油層へ抗酸化成分が十分に移行されずに結膜嚢から排出されてしまい、過酸化脂質発生を抑制する効果は不十分であった。
特開2013−253063号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、脂溶性抗酸化成分であるビタミンAやビタミンEが涙液希釈によって組成物から放出(以下、(A)成分の組成物からの放出性と記載する場合がある)されやすく、それらを涙液油層に供給でき、過酸化脂質の発生を抑制でき、さらには、過酸化脂質に起因する眼の不快症状を予防できる組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非イオン界面活性剤の種類と比率を限定した組成物とすることにより、点眼後に涙液に希釈されることでビタミンA及び/又はビタミンEが組成物から放出(分離・浮遊)し、これらを涙液油層に供給できることを見出した。さらに、本発明の組成物は過酸化脂質の発生を抑制でき、さらには、過酸化脂質に起因する眼の疲れ、眼のぼやけ・かすみ、眼の乾き、異物感、眼の痛み、眼がまぶしい、眼が重い、眼のかゆみ、眼の不快感、眼脂、流涙、充血等の眼の不快症状を予防することができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記眼科用組成物及びその製造方法を提供する。
[1].(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
(B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)≦10
を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。
[2].(A)成分が、(A−2)ビタミンEである[1]記載の眼科用組成物。
[3].(B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む[1]又は[2]記載の眼科用組成物。
[4].さらに、(C)テルペノイドを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[5].点眼剤である[1]〜[4]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[6].涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である[1]〜[5]のいずれかに記載の眼科用組成物。
[7].高圧乳化による微細化工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の眼科用組成物を製造する方法。
ビタミンA、ビタミンE等が涙液希釈によって放出され、それらを涙液油層に十分に供給でき、過酸化脂質の発生を抑制し、さらには、過酸化脂質に起因する眼の不快症状を予防できる眼科用組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上
これらは脂溶性ビタミンとして知られている成分である。
(A−1)ビタミンA
ビタミンAとしては、例えば、ビタミンAそれ自体の他に、ビタミンA油等のビタミンA含有混合物、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA誘導体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノール、レチノイン酸、レチノイド等が挙げられる。中でも、レチノールパルミチン酸エステルが好ましい。
(A−2)ビタミンE
ビタミンEとしては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール、これらの塩、誘導体(エステル)を総称する意味で使用される。具体的には、例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等があり、これらの誘導体としては、例えば、ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、酢酸トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)が好ましい。(A)成分としては、(A−2)ビタミンEが好ましい。
(A−1)成分と(A−2)成分の合計量は、眼科用組成物中0.0001〜1W/V%(質量/容積%,g/100mL、以下同じ。)が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.01〜0.1W/V%が特に好ましい。0.0001W/V%以上とすることで、抗酸化効果がより発揮され、1W/V%以上では眼刺激を感じやすくなる。
本発明において、(A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1である。この比率が0.1を超えると、(A)成分の組成物からの放出性が不十分となる。
なお、(A−1)成分の配合量は、組成物からの放出性の観点からは上記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0〜0.1W/V%が好ましく、0W/V%でもよい。一方、過酸化脂質抑制の観点からは、0.005W/V%以上含むことが好ましい。(A−2)成分の配合量は、上記比率を満たしていれば特に限定されないが、0.00009〜1W/V%が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.01〜0.1W/V%がさらに好ましい。
(B)非イオン界面活性剤
本発明の(B)非イオン界面活性剤は、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油と記載する場合がある)、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油と記載する場合がある)、(B−3)その他の非イオン界面活性剤に分類され、これらから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤である。(B)成分としては、比較的高濃度配合しても組成物からの放出性を維持できるため、組成物の澄明性に有利である点から(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。さらに、組成物安定性の点から、非イオン界面活性剤は2種以上配合されていることがより好ましい。
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
ポリオキシエチレンヒマシ油(POEヒマシ油)は、ヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレンヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、3〜60モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレンヒマシ油3(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油20、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリオキシエチレンヒマシ油40、ポリオキシエチレンヒマシ油50、ポリオキシエチレンヒマシ油60等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレンヒマシ油35を用いることが好ましい。
(B−1)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、0.00001W/V%以上がより好ましい。上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは1.0W/V%以下が好ましい。
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(POE硬化ヒマシ油)は、水添したヒマシ油に酸化エチレンを付加重合することによって得られる化合物であり、酸化エチレンの平均付加モル数が異なるいくつかの種類が知られている。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油における酸化エチレンの平均付加モル数については、特に限定はないが、5〜100モルが例示される。具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5(数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を用いることが好ましい。
(B−2)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、0.00001W/V%以上がより好ましい。上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは1.0W/V%以下が好ましい。
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
(B−1)及び(B−2)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)(()内数値は酸化エチレンの平均付加モル数、以下同様)に代表されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POEPOPグリコール)に代表されるポロクサマー、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10)に代表されるモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ただし、界面から脱着しにくいレシチンや水添レシチン、ホスファチジルコリンやホスファチジルグリセロール等のリン脂質類は涙液希釈によってビタミンA又は/及びビタミンEから分離せず、涙液油層へ移行されにくくなるため、実質的に含まれないことが好ましい。
(B−3)成分を配合する場合の配合量は、下記比率を満たしていれば特に限定されないが、組成物中0.000001W/V%以上が好ましく、より好ましくは0.00001W/V%以上であり、上記以上とすることで、組成物がより均一になる。安全性の点からは0.5W/V%以下が好ましい。
(B)成分の非イオン界面活性剤は下記のような比率で配合する。なお、下記比率はW/V%比であるが、質量比と同じ値となる。
0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)≦10、
(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油
(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B−3)その他の非イオン界面活性剤
[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]は(B)成分の配合下限であり、(A)成分に対する(B)非イオン界面活性剤の量を規定したものである。0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]を満たさないと、均一な組成物にならず、目的とする透過率が得られない。なお、上記比率は0.1≦がより好ましく、0.5≦がさらに好ましい。なお、[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]の上限は特に限定されないが、(A)成分の組成物からの放出性の観点から2.0以下が好ましい。
一方、配合上限は、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)≦10、
であり、これを満たさないと目的とする(A)成分の放出性が得られない。上記比率は≦8が好ましい。なお、
[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
[(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)
の下限は特に限定されないが、透過率の観点から0.25超が好ましい。
配合条件を決定する上記式は、(A−1)、(A−2)に対する(B−1)、(B−2)、(B−3)の量を規定したものである。(B)非イオン界面活性剤の種類により(A)の配合条件が異なるため、(B)成分の種類に対してそれぞれ固有の係数で除している。固有の係数は、例えば、(B−1)/0.25と(B−3)/0.1に関して比較すると、(B−1)の配合上限が(B−3)の2.5倍高いことを意味している。また、(A)成分の種類によって、(B)成分の各活性剤配合上限が異なるため、[(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]は、(A−1)に対する各(B)成分の配合上限に関する式を表し、[(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]は、(A−2)に対する各(B)成分の配合上限に関する式を表す。それらを(A)成分の和(A−1)+(A−2)で除している。さらに、(A−1)と(A−2)の両者を含む場合その配合割合によって影響力が大小するため、その重み付けとして(A−1)/[(A−1)+(A−2)]と(A−2)/[(A−1)+(A−2)]をかけている。
例えば、(A−2)成分1.0W/V%の場合、(B−1)単独であれば、0.05W/V%超、1.0W/V%以下、(B−2)単独であれば、0.05W/V%超、2.0W/V%以下、(B−3)単独であれば、0.05W/V%超、0.5W/V%以下とする必要がある。(A−1)と(A−2)の複合組成の場合、例えば、(A−1)成分0.1W/V%、(A−2)成分0.9W/V%の場合、(B−1)単独であれば、0.05W/V%超、1.1W/V%以下、(B−2)単独であれば0.05W/V%超、0.7W/V%以下、(B−3)単独であれば0.05W/V%超、0.5W/V%以下とする必要がある。
なお、塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウムに代表される陽イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウムやソルビン酸又はその塩に代表される陰イオン性界面活性剤、ラウラミンオキシドに代表される両性界面活性剤は、涙液希釈による(A)成分と界面活性剤の分離を阻害し、(A)成分が涙液油層へ移行されにくくなるため、組成物中に0.1W/V%以下がより好ましく、0.01W/V%以下とすることがさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
本発明の眼科用組成物は、さらに(C)テルペノイドを含有するとよい。テルペノイドの配合により、(A)成分の組成物からの放出性を高める等、放出性を調整することができ、さらに過酸化脂質の発生を抑制する効果を高めることができる。本発明におけるテルペノイドとは、イソプレンユニットを構成単位とする構造を有するもので、例えば、テルペン炭化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン等が挙げられる。また、炭素数により、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペン、テトラテルペンがある。具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、リュウノウ、ゲラニオール、シネオール、リナロール、シトロネロール及びリモネン等のモノテルペン、レチノール及びレチナール等のジテルペン、カロチノイド等のテトラテルペン等が挙げられる。中でも、モノテルペンを使用することが好ましい。これらのテルペノイドは、d体、l体又はdl体のいずれでも使用することができる。中でも、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロールが好ましく、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、リナロールがより好ましい。なお、本発明において、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ローズ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、及びフタバガキ科植物の精油、ロズマリン油、ラベンダー油等が挙げられる。(A)成分の組成物からの放出性を高める点から、ベルガモット油、ユーカリ油が好ましい。
(C)成分の配合量は、組成物中0.0001〜0.2W/V%であり、(C)成分の種類、(B)成分等の他の配合成分及びその配合量等から適宜選定され、0.001〜0.1W/V%が好ましい。この配合濃度範囲では、他の配合成分の種類や配合量に関わらず、(C)テルペノイドが析出するおそれが少ない。また、過酸化脂質発生抑制の観点から0.005W/V%以上がさらに好ましく、刺激感を低減する観点から0.075W/V%以下がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、張化剤、安定化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
油成分として、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、ゴマ油、コーン油、ヤシ油、アーモンド油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、白色ワセリン、精製ラノリン、コレステロール、ミックストコフェロール、流動パラフィン等が挙げられる。油成分の配合量は組成物中0.001〜1.0W/V%が好ましく、0.001〜0.5W/V%がより好ましく、0.001〜0.25W/V%が最も好ましい。
防腐剤の中でもアルキル鎖やベンゼン環等の疎水部を有する防腐剤として、チメロサール、フェニルエチルアルコール、アルキルアミノエチルグリシン、クロルヘキシジングルコン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等が挙げられるが、(A)成分が、涙液油層へ移行されにくくなるため、組成物中に0.1W/V%以下が好ましく、0.01W/V%以下がさらに好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
糖類としては、グルコース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。なお、これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。糖類の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、氷酢酸、トロメタモール、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜2W/V%がより好ましく、0.001〜1W/V%がさらに好ましい。
pH調整剤としては、無機酸又は無機アルカリ剤が挙げられる。例えば、無機酸としては(希)塩酸が挙げられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。組成物のpHは3.5〜8.0が好ましく、5.5〜8.0がより好ましい。なお、pHの測定は、25℃でpHメータ(HM−25R、東亜ディーケーケー(株))を用いて行う。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられ、等張化されていることが好ましい。組成物の対生理食塩水浸透圧比は、0.60〜2.00が好ましく、0.60〜1.55がより好ましく、0.83〜1.20が最も好ましい。なお、浸透圧の測定は、25℃で自動浸透圧計(A2O、アドバンスドインストルメンツ社)を用いて行う。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、シクロデキストリン、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。安定化剤の配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。ジブチルヒドロキシトルエンは涙液希釈による(A)成分と界面活性剤との分離を阻害し、(A)成分が涙液油層へ供給されにくくなるため、実質的に含まないことがより好ましい。
多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。多価アルコールを配合する場合、多価アルコールの配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
粘稠剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。粘稠剤を配合する場合、その配合量は、組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
薬物(薬学的有効成分)としては、例えば、充血除去成分(例えば、エピネフリン、塩酸エピネフリン、エフェドリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリン塩酸塩、ナファゾリン硝酸塩、フェニレフリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩等)、消炎・収斂剤(例えば、ネオスチグミンメチル硫酸塩、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリン塩化物水和物、ベルベリン硫酸塩水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム塩酸塩等)、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等)、水溶性ビタミン類(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等)、アミノ酸類(例えば、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等)、サルファ剤等が挙げられる。薬物を配合する場合、薬物の含有量は、各薬物の有効な適性量を選択することができるが組成物中0.001〜5.0W/V%が好ましく、0.001〜1W/V%がより好ましく、0.001〜0.1W/V%がさらに好ましい。
[製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(A)成分等の油性成分と(B)成分等の界面活性剤成分との混合溶液を、水性成分を含む水溶液と混合して乳化し、pH調整後、総体積を水により調することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。より好ましくは高圧乳化による微細化工程を行う。高圧乳化条件は、組成物の澄明性を向上させる観点からは高圧でパス回数を多くすることが好ましく、生産効率を向上させる観点からは低圧でパス回数を少なくすることが好ましく、噴射圧は100〜245MPaが好ましく、150〜245MPaがより好ましく、200〜245MPaがさらに好ましい。さらに背圧を印加することが好ましく、1〜10MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましい。さらにパス回数は1〜10回が好ましく、1〜5回がより好ましい。高圧乳化時の温度は20〜90℃の範囲から適宜選定される。
また、得られた組成物を樹脂製容器に充填後、さらに包装体により密封し、上記容器と上記包装体との間に形成された空間に不活性ガスを封入してもよく、眼科用組成物を樹脂製容器に充填し、脱酸素剤と共に包装体により密封してもよい。
[眼科用組成物]
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」であることが好ましい。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。なお、水の配合量は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から、組成物中90.0〜99.5W/V%が好ましく、95.0〜98.0W/V%がより好ましい。
本発明の組成物は目への適応を容易にする点から液体が好ましく、25℃における粘度は、涙液との混合を容易にし(A)成分の涙液への移行を容易にする点から20mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以下がさらに好ましく、2mPa・s以下が特に好ましい。なお、粘度の測定方法はコーンプレート型粘度計(DV2T、英弘精機(株))を用いて行う。
本発明の組成物は異物混入時の発見を容易にする点から、澄明であることが好ましい。具体的には分光光度計(UV−1800、(株)島津製作所)を用いて測定した波長600nmの透過率が70%以上であり、70〜100%が好ましく、75〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。
本発明の組成物中に含有される界面活性剤と(A)成分の会合体の中位径は粒子径測定装置(ELSZ−200ZS、大塚電子(株)製)にて測定し、組成物安定性の点から1〜200nmが好ましく、1〜100nmがより好ましく、1〜60nmがさらに好ましく、1〜40nmが特に好ましい。
本発明の組成物は、点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤、洗眼剤等として好適に使用できるが、涙液希釈倍率が高く、(A)成分からの界面活性剤の離脱がより促進され、(A)成分の組成物からの放出性が向上し、(A)成分の涙液油層への供給が効率的に行われる点から、特に点眼剤、コンタクトレンズ用点眼剤(コンタクトレンズ装着者用点眼剤)等の点眼剤として好適に使用できる。コンタクトレンズとしては、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ等特に限定されない。
点眼剤又はコンタクトレンズ用点眼剤として使用する場合、1回につき10〜100μLを1〜3滴1日につき1〜6回点眼することが好ましく、目からあふれ出すことにより過酸化脂質発生抑制効果が減ずるおそれがあるため、1回につき10〜50μLを1〜3滴1日につき1〜6回がより好ましく、1回につき10〜30μLを1〜3滴1日につき1〜6回がさらに好ましい。洗眼剤として使用する場合、1回につき3〜6mL、1日につき3〜6回洗眼することが好ましい。
本発明の組成物はVDT作業や紫外線等による涙液脂質の酸化を防ぎ、過酸化脂質による眼の不快症状(眼の疲れ、眼のぼやけ・かすみ、眼の乾き、異物感、眼の痛み、眼がまぶしい、眼が重い、眼のかゆみ、眼の不快感、眼脂、流涙、充血等)の予防効果があるため、涙液油層の過酸化脂質発生抑制用、過酸化脂質による眼の不快症状予防用として有効であり、特に眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の症状の改善用に有効である。
有効量、投与方法、製剤化等は上記に記載した通りであり、例えば、(A)成分量として、成人1人当たり0.0001〜1mgを、1日1〜6回に分けて、眼に投与する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」はW/V%である。比率はW/V%比であり、質量比と同じ値となる。
[実施例、比較例]
下記表に記載の各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃・15分間加温混合した。同時に、(A)成分と(B)成分のプレミックスを作製し、90℃・15分間加熱混合した。次に、プレミックスを水溶液に所定量加え、さらに90℃・15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、100mLになるように水を加えた。さらに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用い、噴射圧200MPa・背圧3MPaにて5回処理を行い、点眼剤(眼科用組成物)を調製した。得られた点眼剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、各実施例で得られた点眼剤の25℃における粘度は0.5〜2.0mPa・sの範囲であった。
[希釈による(A)成分の放出性]
ヒトの涙液は平均7μLと言われており点眼剤30〜60μLを点眼した場合、約1.12〜1.23倍希釈されることになる。本試験では組成物の涙液希釈によって可溶化していた(A)成分が、気液界面に浮遊してくること(放出性)を評価するため、モデル涙液として生理食塩水を使用し、希釈倍率約1.2倍で組成物を希釈した時の水面上への(A)成分遊離を観察した。観察を容易にするため開口部の狭いメスフラスコを使用した。具体的には、50mLメスフラスコに生理食塩水10mLを加え、さらに点眼剤を開口部まで注いだ。なお、開口部まで注いだときの希釈率が1.2倍となるメスフラスコを使用し、開口部の面積は152mm2であった。水面上の(A)成分の観察は、蛍光灯を光源として光を液面にあて、液面に浮かんでいる油の干渉光を観察し、水面に占める油の干渉光の面積の割合を算出し、以下の基準で評価した。なお、いずれの実施例と比較例において非希釈の場合は油の干渉光は観察されなかった。○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:水面の10%以上に油の干渉光が観察される
○:水面の10%未満に油の干渉光が観察される
×:油の干渉光は観察されない
[紫外線照射による涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)]
モデル涙液油層としては、ウサギマイバムクロロホルム溶液を生理食塩水で模した水槽上に展開することで作製した油膜を使用した。マイバムの種によって脂質組成の違いはあるものの、膜の安定性はヒトマイバムとウサギマイバムで相違がないことが確認できたため入手の容易なウサギマイバムを用いることとした。ウサギから切り出した眼瞼(フナコシ(株))のマイボーム腺開口部付近を指で圧迫し、圧出されたマイバムをキムワイプ(日本製紙クレシア(株)製)にて採取した。その後、そのキムワイプをガラスバイアルに入れ、クロロホルムとメタノールの1:1混液(容積比)に浸し、超音波10分処理し、液を別のガラスバイアルに移した。この操作を3回繰り返した。その後、上記クロロホルム・メタノール混液にて洗浄したテルモシリンジ(テルモ(株)製、50mL)とメンブランフィルター(メルクミリポア(株)製、Millex GP、0.22μm)を用いろ過し、乾燥重量を精密天秤((株)島津製作所製、XS−104)にて測定した。その後、クロロホルムをマイクロシリンジ(ハミルトン社製)にて0.5mg/mLになるように加え、ウサギマイバムを溶解し、−20℃冷凍庫にて保存した。使用の際は室温まで戻し、析出物がないことを確認した。35mmディッシュに生理食塩水1mLで水層を形成させ、ウサギマイバムクロロホルム溶液(0.5mg/mL)を100μL水面に展開し、各点眼剤を165μL添加し、UV(254nm)で1時間照射後、この溶液をバイアルに全量回収し、これに35%TCA(trichloro acetic acid)溶液を0.5mL、0.5%TBA(Thiobarbituric acid)溶液を1.0mL、0.2%BHT(butylated hydroxytoluene)溶液0.05mL、0.5%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を0.05mL加えた後、100℃で30分加熱した。冷却後、酢酸0.5mL、クロロホルム1.0mLを加えて攪拌後、遠心分離(3,000rpm×10分)を行い、上層の吸光度を532nmで測定した。ブランクは上記方法においてウサギマイバムクロロホルム溶液を展開しない以外は同等の操作を行ったときの吸光度とした。得られた吸光度から、下記式に基づき、涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)を算出した。結果を下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
涙液油層からの過酸化脂質の発生抑制率(%)=
(1−(点眼剤添加時の吸光度−ブランク)/(点眼剤非添加時の吸光度−ブランク))×100
[評価基準]
◎:50%以上
○:30%以上50%未満
●:10%以上30%未満
×:10%未満
[VDT作業による症状予防効果]
健常人3名に各点眼剤を30μLずつ両眼に点眼し、VDT作業(コンピューター作業)を課し、点眼前、点眼10分後、点眼60分後における眼の疲れ、異物感、眼の痛み、眼の不快感の自覚症状を0(全く感じない)〜10(非常に感じる)でスコア化した。結果を、3人の平均から下記評価基準で示す。●、○及び◎を合格とする。
[評価基準]
◎:60分後5点未満(10分後5点未満の中で60分後も5点未満のもの)
○:10分後5点未満
●:10分後5点以上7点未満
×:10分後7点以上
[透過率]
製造直後の点眼剤を、日立分光光度計U−3310を用いて、波長600nmの透過率を測定した。70%以上を合格とする。
Figure 2018117014
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上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
レチノールパルミチン酸エステル(DSMニュートリションジャパン(株)製)
酢酸d−α−トコフェロール(理研Eアセテートα、理研ビタミン(株)製)
流動パラフィン(KAYDOL、島貿易(株)製)
ヒマシ油(マルトクA、伊藤製油(株)製)
ゴマ油((株)カネダ製)
ポリオキシエチレンヒマシ油35:酸化エチレンの平均付加モル数35(ユニオックスC35、日油(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO40、日本サーファクタント工業(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*1:酸化エチレンの平均付加モル数10(MYS10V、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*2:酸化エチレンの平均付加モル数40(MYS40MV、日本サーファクタント工業(株)製)
モノステアリン酸ポリエチレングリコール*3:酸化エチレンの平均付加モル数100(EMALEX8100、日本エマルション(株)製)
POEソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート80、花王(株)製)
POEPOPグリコール(ポリオキシエチレン(196)−ポリオキシプロピレン(67)ブロックコポリマー(LutrolF127、BASFジャパン(株)製)
ホウ酸(小堺製薬(株)製)
トロメタモール(関東化学(株)製)
エデト酸ナトリウム水和物(クレワットN、ナガセケムテックス(株)製)
塩化ナトリウム(富田製薬(株)製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
メントール(l−メントール、鈴木薄荷(株)製)
dl−カンフル(日本精化(株)製)
ボルネオール(d−ボルネオール、柳沢正巳商店(株)製)
ゲラニオール(高砂香料工業(株)製)
シネオール(高砂香料工業(株)製)
リナロール(高砂香料工業(株)製)
ベルガモット油(山本香料(株)製)
ユーカリ油(小川香料(株)製)

Claims (7)

  1. (A)(A−1)ビタミンA及び(A−2)ビタミンEから選ばれる1種以上と、
    (B)(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油、(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び(B−3)その他の非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤を含有し、これらの配合質量比が、
    (A−1)/[(A−1)+(A−2)]≦0.1、
    0.05<[(B−1)+(B−2)+(B−3)]/[(A−1)+(A−2)]、
    [(B−1)/0.25+(B−2)/0.01+(B−3)/0.1]/
    [(A−1)+(A−2)]×(A−1)/[(A−1)+(A−2)]+
    [(B−1)/0.1+(B−2)/0.2+(B−3)/0.05]/
    [(A−1)+(A−2)]×(A−2)/[(A−1)+(A−2)])≦10
    を満たし、透過率が70%以上である眼科用組成物。
  2. (A)成分が、(A−2)ビタミンEである請求項1記載の眼科用組成物。
  3. (B)非イオン界面活性剤が、(B−1)ポリオキシエチレンヒマシ油及び(B−2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上を含む請求項1又は2記載の眼科用組成物。
  4. さらに、(C)テルペノイドを含む請求項1〜3のいずれか1項記載の眼科用組成物。
  5. 点眼剤である請求項1〜4のいずれか1項記載の眼科用組成物。
  6. 涙液油層の過酸化脂質発生抑制用又は過酸化脂質による眼の不快症状の予防用である請求項1〜5のいずれか1項記載の眼科用組成物。
  7. 高圧乳化による微細化工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の眼科用組成物を製造する方法。
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